JP2017199883A - n型拡散層形成組成物、n型拡散層付き半導体基板の製造方法、及び太陽電池素子の製造方法 - Google Patents

n型拡散層形成組成物、n型拡散層付き半導体基板の製造方法、及び太陽電池素子の製造方法 Download PDF

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Mitsunori Iwamuro
光則 岩室
野尻 剛
Takeshi Nojiri
剛 野尻
田中 直敬
Tadayoshi Tanaka
直敬 田中
成宜 清水
Nariyoshi Shimizu
成宜 清水
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Mari Shimizu
麻理 清水
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鉄也 佐藤
真年 森下
Masatoshi Morishita
真年 森下
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Abstract

【課題】半導体基板にライフタイムキラー元素が混入することを抑制し、不要な領域にn型拡散層が形成するのを抑えて特定の領域にn型拡散層を形成することが可能なn型拡散層形成組成物、n型拡散層付き半導体基板の製造方法、及び太陽電池素子の製造方法を提供する。【解決手段】ドナー元素を含むガラス粒子と、分散媒と、ハロゲン元素と、を含有するn型拡散層形成組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、n型拡散層形成組成物、n型拡散層付き半導体基板の製造方法、及び太陽電池素子の製造方法に関する。
従来の結晶シリコン太陽電池素子の製造工程について説明する。
まず、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、受光面側にテクスチャー構造を形成したp型シリコン基板を準備する。続いて、ドナー元素含有化合物であるオキシ塩化リン(POCl)、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気において800℃〜900℃で数十分の処理を行って、一様にn型拡散層を形成する。この従来の方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、p型シリコン基板の表面のみならず、側面及び裏面にもn型拡散層が形成される。そのため、側面のn型拡散層を除去するためのサイドエッチング工程が必要である。
また、裏面のn型拡散層は、p型拡散層へ変換する必要があり、裏面のn型拡散層の上にアルミニウムペーストを付与して、アルミニウムの拡散によってn型拡散層からp型拡散層に変換させている。
一方で、半導体の製造分野では、ドナー元素含有化合物として、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)等のリン酸塩を含有する溶液の塗布によってn型拡散層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法では溶液を用いるために、上記混合ガスを用いる気相反応法と同様、リンの拡散が側面及び裏面にもおよび、表面のみならず、側面及び裏面にもn型拡散層が形成される。
また、拡散層形成のために、リン等のドナー元素を含むペーストを拡散源として塗布し、熱拡散して拡散層を形成する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、ドナー元素を含むガラス粉末と、分散媒と、を含有するn型拡散層形成組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。ガラス粉末中のドナー元素は熱拡散処理の際でも揮散しにくいため、不要な領域にn型拡散層が形成するのを抑えて特定の領域にn型拡散層が形成される。
特開2002−75894号公報 特許4073968号公報 特許4868079号公報
従来知られているリン等のドナー元素を含むペーストを拡散源として塗布してn型拡散層を形成する方法では、ドナー元素を有する化合物がガス化して揮散し、拡散が必要とされる領域以外にも拡散層が形成される場合がある。そのため、特定の領域にのみn型拡散層が形成された半導体基板を得ることが難しいという問題点がある。
また、特許文献3に記載のn型拡散層形成組成物を半導体基板の特定の領域にのみ付与する方法として、スクリーン印刷が考えられる。このとき、スクリーン印刷機を構成する金属製部材から鉄、ニッケル等の遷移金属元素が、付与したn型拡散層形成組成物層に混入し、プロセスコンタミネーションを生じる場合がある。この遷移金属元素がライフタイムキラー元素として作用することがあり、ドナー元素と共にライフタイムキラー元素も半導体基板内に拡散してしまい、最終的に太陽電池としての特性を下げる場合がある。
本発明は、以上の問題点に鑑みなされたものであり、半導体基板にライフタイムキラー元素が混入することを抑制し、不要な領域にn型拡散層が形成するのを抑えて特定の領域にn型拡散層を形成することが可能なn型拡散層形成組成物、n型拡散層付き半導体基板の製造方法、及び太陽電池素子の製造方法の提供を課題とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>ドナー元素を含むガラス粒子と、分散媒と、ハロゲン元素と、を含有するn型拡散層形成組成物。
<2>前記ドナー元素が、P(リン)及びSb(アンチモン)からなる群より選択される少なくとも1種である<1>に記載のn型拡散層形成組成物。
<3>前記ドナー元素を含むガラス粒子が、酸化物として表示したときに、P、P及びSbからなる群より選択される少なくとも1種のドナー元素含有物質と、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO、及びMoOからなる群より選択される少なくとも1種のガラス成分物質と、を含む<1>又は<2>に記載のn型拡散層形成組成物。
<4>前記ハロゲン元素が、臭素及びヨウ素からなる群より選択される少なくとも1種を含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載のn型拡散層形成組成物。
<5>半導体基板上に、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のn型拡散層形成組成物を付与する工程と、前記n型拡散層形成用組成物が付与された半導体基板に熱拡散処理を施す工程と、を有するn型拡散層付き半導体基板の製造方法。
<6>半導体基板上に、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のn型拡散層形成組成物を付与する工程と、前記n型拡散層形成用組成物が付与された半導体基板に熱拡散処理を施して、n型拡散層を形成する工程と、前記n型拡散層上に電極を形成する工程と、を有する太陽電池素子の製造方法。
本発明によれば、半導体基板にライフタイムキラー元素が混入することを抑制し、不要な領域にn型拡散層が形成するのを抑えて特定の領域にn型拡散層を形成することが可能なn型拡散層形成組成物、n型拡散層付き半導体基板の製造方法、及び太陽電池素子の製造方法が提供される。
太陽電池素子の製造工程の一例を概念的に示す断面図である。 (A)は、太陽電池素子を表面から見た平面図であり、(B)は(A)の一部を拡大して示す斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。また、本明細書において、「含有率」とは、特に断らない限り、n型拡散層形成組成物の全量を100質量%としたときの、各成分の質量%を表す。
本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本明細書において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
<n型拡散層形成組成物>
本実施形態のn型拡散層形成組成物は、少なくとも、ドナー元素を含むガラス粒子(以下、単に「ガラス粒子」と称する場合がある)と、分散媒と、ハロゲン元素と、を含有する。本実施形態のn型拡散層形成組成物は、更に付与適性(塗布性)等を考慮して、その他の添加剤を含有してもよい。
上記のn型拡散層形成組成物によれば、半導体基板にライフタイムキラー元素が混入することを抑制し、かつ、所望の領域にn型拡散層が形成され、裏面、側面等の不要な領域にn型拡散層が形成されることが抑えられる。その理由は明らかではないが、以下のように推測される。
例えば、スクリーン印刷法を用いてn型拡散層形成組成物を付与した場合、スクリーン印刷機を構成する金属製部材から鉄、ニッケル等の遷移金属元素が、付与したn型拡散層形成組成物層に混入することがある。この遷移金属元素は、ライフタイムキラー元素として作用することがある。
ここで、塩素、臭素等のハロゲン元素は、加熱により反応する。そのため、ハロゲン元素は、遷移金属元素と熱拡散処理の際の温度でライフタイムキラー元素と反応し、金属ハロゲン化物を形成する。金属ハロゲン化物は、高い蒸気圧を示すので、熱拡散処理によって蒸発する。その結果、半導体基板にライフタイムキラー元素が混入することを抑制し、これにより、半導体基板におけるキャリアのライフタイムの低下も抑制できると考えられる。そのため、太陽電池の特性が低下しにくい。
また、ガラス粒子中のドナー元素は、熱拡散処理中でも揮散しにくい。ドナー元素をガラス粒子に含有させることにより、熱拡散処理の際に、揮散ガスが発生して、表面のみでだけでなく裏面及び側面にまでn型拡散層が形成されるという不具合は抑えられる。その結果、不要な領域にn型拡散層が形成するのを抑えて特定の領域にn型拡散層を形成しやすくなると考えられる。
したがって、本実施形態のn型拡散層形成組成物を適用すれば、従来広く採用されている気相反応法では必須のサイドエッチング工程が不要となり、工程が簡易化される。また、裏面に形成されたn型拡散層をp型拡散層へ変換する工程も不要となる。そのため、裏面のp型拡散層の形成方法、裏面電極の材質、形状、厚さ等が制限されず、適用する製造方法、材質、形状等の選択肢が広がる。また、詳細は後述するが、裏面電極の厚さに起因した半導体基板内の内部応力の発生が抑えられ、半導体基板の反りも抑えられる。
なお、n型拡散層形成組成物に含有されるガラス粒子は、熱拡散処理により溶融し、n型拡散層の上にガラス層を形成する。しかし、従来の気相反応法、リン酸塩含有の溶液又はペーストを付与する方法においてもn型拡散層の上にガラス層が形成されている。そのため、形成されたガラス層は、従来のn型拡散層を形成する方法と同様に、エッチングにより除去することができる。したがって本実施形態のn型拡散層形成組成物は、従来の方法と比べても不要な生成物を発生させず、工程を増やすこともない。
このように、本実施形態のn型拡散層形成組成物は、所望の領域に、所望の濃度のn型拡散層を形成することが可能であり、n型ドーパント濃度の高い選択的な領域を形成することが可能となる。特に、本実施形態のn型拡散層形成組成物を用いて、電極直下の位置にn型ドーパント濃度の高い選択的な領域(以下、この領域を「選択エミッタ」と称する場合がある)を形成してn層、n++層等とすることで、n型拡散層と電極との接触抵抗を低下させることが可能となる。
なお、選択エミッタは、選択的な領域のみでn型ドーパント濃度を高くするものであるため、n型拡散層の一般的な方法である気相反応法、リン酸塩含有溶液を用いる方法等によって形成することは困難である。
<ドナー元素を含むガラス粒子>
ドナー元素とは、半導体基板中にドーピングさせることによってn型拡散層を形成することが可能な元素である。ドナー元素としては、例えば、第15族の元素が使用できる。第15族の元素としては、例えば、P(リン)、Sb(アンチモン)及びAs(ヒ素)が挙げられる。安全性、ガラス化の容易さ等の観点から、P(リン)及びSb(アンチモン)からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好適である。
ドナー元素を含むガラス粒子としては、ドナー元素含有物質とガラス成分物質との双方を含む系が挙げられ、例えば、酸化物として表示したときに、P−SiO系(ドナー元素含有物質−ガラス成分物質の順で記載、以下同様)、P−KO系、P−NaO系、P−LiO系、P−BaO系、P−SrO系、P−CaO系、P−MgO系、P−BeO系、P−ZnO系、P−CdO系、P−PbO系、P−V系、P−SnO系、P−GeO系、及びP−TeO系のドナー元素含有物質としてPを含む系、上記のPを含む系のPの代わりにドナー元素含有物質としてSbを含む系等のガラス粒子が挙げられる。
なお、P−Sb系、P−As系等のように、2種以上のドナー元素含有物質を含むガラス粒子でもよい。
上記では2成分を含む複合ガラスを例示したが、P−SiO−V、P−SiO−CaO等、3成分以上の物質を含むガラス粒子でもよい。
ドナー元素含有物質としては特に制限なく、例えば、ドナー元素を含む酸化物が挙げられる。ドナー元素を含む酸化物としては、例えば、P、P、Sb、Bi及びAsが挙げられ、これらの中でも、P、P及びSbからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
また、ドナー元素を含むガラス粒子は、必要に応じて成分比率を調整することによって、溶融温度、軟化点、ガラス転移点、化学的耐久性等を制御することが可能である。さらに以下に記す、ガラス成分物質を含むことが好ましい。なお、本明細書においてガラス粒子とは、ガラス(ガラス転移現象を示す非晶質固体)が粒子状になったものを意味する。
ガラス成分物質としては、例えば、酸化物として表示したときに、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO、WO、MoO、MnO、La、Nb、Ta、Y、TiO、ZrO、GeO、TeO及びLuが挙げられ、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO、及びMoOからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これらの中でも、SiO、CaO及びMgOからなる群より選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
ガラス粒子中のガラス成分物質の含有率は、溶融温度、軟化点、ガラス転移点、化学的耐久性等を考慮して適宜設定することが好ましく、例えば、0.1質量%〜95質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜90質量%であることが更に好ましい。
具体的には、ガラス成分物質として酸化バナジウム(V)を含むガラス(例えばP−V系ガラス)の場合には、溶融温度及び軟化点を降下させる観点から、Vの含有率は、例えば、1質量%〜50質量%であることが好ましく、3質量%〜40質量%であることがより好ましい。
また、Vを含まないガラスであってもよく、Vを含まないガラスの場合(例えば、ガラス成分物質として、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、SnO、ZrO、及びMoOからなる群より選択される少なくとも1種を含有するガラス)、半導体基板としてシリコン基板を用いたときに、シリコンとの反応物が、フッ酸処理時に残渣として残らないため好ましい。
ガラス粒子の軟化点は、ドナー元素の熱拡散処理時の拡散性及び液だれの発生を抑制する観点から、例えば、200℃〜1000℃であることが好ましく、300℃〜900℃であることがより好ましい。
ガラス粒子の形状としては、略球状、扁平状、ブロック状、板状、鱗片状等が挙げられ、n型拡散層形成組成物とした場合の基板への付与適性(塗布性)及び均一拡散性の点から、略球状、扁平状又は板状であることが好ましい。ガラス粒子の粒子径は、例えば、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが更に好ましい。ガラス粒子の粒子径が100μm以下の場合には、平滑な塗膜が得られやすい。なお、下限は特に制限されず、ガラス粒子の粒子径が0.01μm以上であることが好ましい。
ここで、ガラス粒子の粒子径は、平均粒子径を表し、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置等により測定することができる。
ドナー元素を含むガラス粒子は、以下の手順で作製される。
最初に原料、例えば、上記ドナー元素含有物質とガラス成分物質を秤量し、るつぼに充填する。るつぼの材質としては白金、白金−ロジウム、イリジウム、アルミナ、石英、炭素等が挙げられ、溶融温度、雰囲気、溶融物質との反応性等を考慮して適宜選択することができる。
次に、電気炉でガラス組成に応じた温度で加熱し均一な融液とする。このとき融液が均一となるよう攪拌することが好ましい。
続いて、得られた融液を、ジルコニア基板、カーボン基板等の上に流し出して融液をガラス化する。
最後にガラスを粉砕し粉末状とする。粉砕にはジェットミル、ビーズミル、ボールミル等公知の方法が適用できる。
n型拡散層形成組成物中のドナー元素を含むガラス粒子の含有率は、付与適性(塗布性)、ドナー元素の拡散性等を考慮し決定される。n型拡散層形成組成物中のガラス粒子の含有率は、例えば、0.1質量%〜95質量%であることが好ましく、1.0質量%〜90質量%であることがより好ましく、1.5質量%〜85質量%であることが更に好ましく、2.0質量%〜80質量%であることが特に好ましい。
<分散媒>
分散媒とは、n型拡散層形成組成物中において、ガラス粒子を分散させる媒体である。分散媒としては、例えば、バインダー及び溶剤からなる群より選択される少なくとも1種を用いることができる。
バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸、セルロースエーテル樹脂、セルロース誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチン、澱粉、澱粉誘導体、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム誘導体、キサンタン、キサンタン誘導体、グアーガム、グアーガム誘導体、スクレログルカン、スクレログルカン誘導体、トラガカント、トラガカント誘導体、デキストリン、デキストリン誘導体、(メタ)アクリル酸樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂(アルキル(メタ)アクリレート樹脂、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート樹脂等)、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、及びこれらの共重合体が挙げられる。また、他にも、シロキサン樹脂等を適宜選択しうる。これらのバインダーは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
バインダーの重量平均分子量は特に制限されず、組成物としての所望の粘度、印刷時の付与適性(塗布性)等を考慮して調整することが望ましい。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジ−イソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のケトン溶剤;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のエーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸s−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸s−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリエチレングリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル溶剤;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、s−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、s−ヘキサノール、2−エチルブタノール、s−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、s−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、s−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、s−テトラデシルアルコール、s−ヘプタデシルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール溶剤;フェノール等のフェノール溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリエチレングリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル溶剤;テルピネン、テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、ピネン、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン溶剤;水などが挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、n型拡散層形成組成物とした場合、基板への付与適性(塗布性)の観点から、例えば、テルピネオール、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、及び酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、テルピネオール及びジエチレングリコールモノブチルエーテルらなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
n型拡散層形成組成物中の分散媒の含有率は、付与適性(塗布性)、ドナー濃度等を考慮し決定される。
n型拡散層形成組成物中の分散媒の含有率は、特に制限されず、例えば、10質量%〜95質量%であることが好ましく、10質量%〜90質量%であることがより好ましい。
<ハロゲン元素>
本実施形態のn型拡散層形成組成物は、ハロゲン元素を含有する。n型拡散層形成組成物がハロゲン元素を含有することで、太陽電池素子製造工程で混入した遷移金属元素と反応して金属ハロゲン化物を形成する。これにより、半導体基板にライフタイムキラー元素が混入することが抑制される。
ハロゲン元素の種類については特に制限なく、例えば、ハロゲン分子であることが好ましく、n型拡散層形成組成物を調製する上で、常温(25℃)で液体であるBr(臭素)及び常温(25℃)で固体であるI(ヨウ素)がより好ましく、分子の毒性が低い観点から、I(ヨウ素)が更に好ましい。
ここで、太陽電池素子製造工程には、n型拡散層形成組成物を半導体基板に付与する工程、付与したn型拡散層形成組成物を乾燥する工程、及びそれらを熱拡散処理する工程が含まれている。これらの工程で混入する可能性が高い遷移金属元素としては、例えば、n型拡散層形成組成物の調製工程等の各工程で用いる装置の材質であるFe(鉄)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、及びCr(クロム)が挙げられる。これらの遷移金属元素は、ライフタイムキラー元素と呼ばれ、半導体基板内において、不純物準位を形成することから太陽電池としての機能を著しく低下させることが知られている。
例えば、通常の太陽電池に用いるシリコン基板には、体積あたりの原子数換算で、1E14atoms/cm(1E14は10の14乗を示す。)程度のFe(鉄)元素が含まれている。シリコン基板内の含有するFe(鉄)元素の濃度が1E16atoms/cmを越えると、シリコン基板内において、Fe(鉄)原子が作る中間準位がキャリヤのトラップ準位となり、光電変換特性を著しく低下させる傾向にある。
したがって、シリコン基板内のFe(鉄)元素濃度としては、例えば、1E16atoms/cm以下とすることが好ましく、より高効率な変換効率を得る観点から、1E15atoms/cm以下とすることがより好ましい。
シリコン基板における金属元素の濃度は、2次イオン質量分析法(SIMS)により測定することができる。SIMSの測定は、カメカインスツルメンツ(株)製、IMS−7Fを使用して、分析室に酸素ガスを流しながら、一次イオンエネルギー6000eVにてシリコン基板の2μm深さまで、SIMS分析を行い、Fe(鉄)元素の濃度を算出することができる。
n型拡散層形成組成物中のハロゲン元素は、熱拡散処理において、上記のライフタイムキラー元素である遷移金属元素と反応して蒸気圧の高い金属ハロゲン化物を形成することで、半導体基板にライフタイムキラー元素が混入することを抑制する。
n型拡散層形成組成物中のハロゲン元素の含有率としては、例えば、0.1質量%〜15質量%であることが好ましく、1質量%〜10質量%であることがより好ましい。ハロゲン元素の含有率が0.1質量%以上であると、ライフタイムキラー元素と反応して金属ハロゲン化物を形成しやすい傾向にある。また、ハロゲン元素の含有量が15質量%以下であると、スクリーン印刷時に必要とされる粘度の調整が容易になる傾向にある。ハロゲン元素の合計の含有率が、上記の範囲であれば、ハロゲン元素は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<その他の添加剤>
n型拡散層形成組成物は、必要に応じて、その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、有機フィラー、無機フィラー、有機酸塩等のチキソ性付与剤、濡れ性向上剤、レベリング剤、界面活性剤、可塑剤、充填剤、消泡剤、安定剤、酸化防止剤、香料及びガラス粒子と反応しやすい金属が挙げられる。その他の添加剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ガラス粒子と反応しやすい金属としては、例えば、Ag(銀)、及びSi(ケイ素)が挙げられる。ガラス粒子と反応しやすい金属をn型拡散層形成組成物に含有させておくことにより、n型拡散層の表面に形成されたガラスを、フッ酸等の酸洗浄によって容易に除去することができる。
ガラス粒子と反応しやすい金属としては、これらの中でも、Ag(銀)を用いることがより好ましい。
ガラス粒子と反応しやすい金属の含有率は、ガラスの種類、金属の種類等によって適宜調整することが好ましく、例えば、ガラス粒子に対して、0.01質量%〜10質量%であることがより好ましい。
<n型拡散層付き半導体基板及び太陽電池素子の製造方法>
本実施形態のn型拡散層付き半導体基板の製造方法は、半導体基板上に上記したn型拡散層形成組成物を付与する工程(n型拡散層形成組成物付与工程)と、n型拡散層形成用組成物が付与された半導体基板に熱拡散処理を施してn型拡散層を形成する工程(n型拡散層形成工程)と、を有する。
本実施形態の太陽電池素子の製造方法は、n型拡散層形成組成物付与工程と、n型拡散層形成工程と、形成されたn型拡散層上に電極を形成する工程(電極形成工程)と、を有する。
以下、n型拡散層付き半導体基板及び太陽電池素子の製造方法の一実施態様について、図1を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
図1は、太陽電池素子の製造工程の一例を概念的に表す模式断面図である。また、図1中、10はp型半導体基板、11はn型拡散層形成組成物層、12はn型拡散層、13は第13族の元素を含む組成物、14は高濃度電界層、16は反射防止膜、18は表面電極、20は裏面電極(電極層)をそれぞれ示す。以降の図面においては、共通する構成要素に同じ符号を付す。
なお、以下では、p型半導体基板としてシリコン基板を用いる例について説明するが、本発明において半導体基板はシリコン基板に限定されない。
図1(1)では、p型半導体基板10である結晶シリコンにアルカリ溶液を付与してダメージ層を除去し、テクスチャー構造をエッチングにて得る。詳細には、インゴットからスライスした際に発生するシリコン表面のダメージ層を20質量%苛性ソーダで除去する。次いで、1質量%苛性ソーダと10質量%イソプロピルアルコールとの混合液によりエッチングを行い、テクスチャー構造を形成する(図中ではテクスチャー構造の記載を省略する)。太陽電池素子としたときに、受光面(表面)側にテクスチャー構造を形成することにより、光閉じ込め効果が促され、高効率化が図られる。
図1(2)では、p型半導体基板10の表面すなわち受光面となる面に、n型拡散層形成組成物を付与して、n型拡散層形成組成物層11を形成する。付与方法については特に制限なく、例えば、印刷法、スピンコート法、刷毛塗り、スプレー法、ドクターブレード法、ロールコート法及びインクジェット法が挙げられる。本実施形態においては、印刷法を用いてもよく、スクリーン印刷法を用いたときでも、ライフタイムキラー元素の半導体基板への混入を抑えることが可能である。
n型拡散層形成組成物の付与量としては特に制限されず、例えば、ガラス粒子量として0.01g/m〜100g/mとすることができ、0.1g/m〜10g/mであることが好ましい。
n型拡散層形成組成物が分散媒として溶剤を含む場合、熱拡散処理の前に、組成物中に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去するために、n型拡散層形成組成物を付与した後のp型半導体基板10を熱処理する工程が必要な場合がある。この場合の熱処理は、例えば、80℃〜300℃程度の温度で、ホットプレートを使用する場合は1分間〜10分間、乾燥機等を用いる場合は10分間〜30分間程度の条件で行われる。熱処理の条件は、n型拡散層形成組成物に含まれる溶剤の種類、組成、含有率等に応じて調節することが好ましく、特に上記条件に限定されない。
また、本実施形態のn型拡散層及び太陽電池素子の製造方法を用いる場合には、裏面のp型拡散層(高濃度電界層)14の製造方法は、アルミニウムによるn型拡散層からp型拡散層への変換による方法に限定されることなく、従来から公知であるいずれの方法も採用できる。したがって、B(ボロン)等の第13族の元素を含む組成物13を付与し、高濃度電界層14を形成することができる。
n型拡散層形成組成物層11を形成したp型半導体基板10を、600℃〜1200℃で熱拡散処理を施す。この熱拡散処理により、図1(3)に示すようにp型半導体基板10へドナー元素が拡散し、n型拡散層12が形成される。熱拡散処理には公知の連続炉、バッチ炉等が適用できる。また、熱拡散処理の炉内雰囲気は、空気、酸素、窒素等の不活性ガス、これらの混合ガスなどから所望の条件に合わせて選択できる。
熱拡散処理時間は、n型拡散層形成組成物に含まれるドナー元素の含有率等に応じて適宜選択することができる。例えば、1分間〜60分間であることが好ましく、2分間〜30分間であることがより好ましい。
p型半導体基板10の受光面に形成されたn型拡散層12の表面には、リン酸ガラス等のガラス層(不図示)が形成される。このため、リン酸ガラスをエッチングにより除去する。エッチングとしては、フッ酸等の酸に浸漬する方法、苛性ソーダ等のアルカリに浸漬する方法等の、公知の方法のいずれもが適用できる。フッ酸によるエッチング処理としては、フッ酸にp型半導体基板10を浸漬する方法が挙げられる。フッ酸にp型半導体基板10を浸漬する場合、浸漬時間は特に制限されない。例えば、0.5分〜30分とすることができ、1分〜10分とすることが好ましい。
図1(2)及び(3)に示されるように、本実施形態のn型拡散層付き半導体基板の製造方法では、所望の領域にn型拡散層12が形成され、裏面及び側面には不要なn型拡散層が形成されない。一方、従来広く採用されている気相反応法によりn型拡散層を形成する方法では、側面に形成された不要なn型拡散層を除去するためのサイドエッチング工程が必要である。本実施形態のn型拡散層付き半導体基板の製造方法によれば、サイドエッチング工程が不要となり、工程が簡易化される。
また、従来の製造方法では、裏面に形成された不要なn型拡散層をp型拡散層へ変換する必要があり、この変換方法としては、裏面のn型拡散層に、第13族の元素であるアルミニウムのペーストを付与し、熱拡散処理し、n型拡散層にアルミニウムを拡散させてp型拡散層へ変換する方法が採用されている。この方法においてp型拡散層への変換を十分なものとし、更にp層の高濃度電界層を形成するためには、ある程度以上のアルミニウム量が必要であることから、アルミニウム層を厚く形成する必要がある。しかしながら、アルミニウムの熱膨張率は、基板として用いるシリコンの熱膨張率と大きく異なることから、熱拡散処理及び冷却の過程でシリコン基板中に大きな内部応力を発生させ、シリコン基板の反りの原因となっている。この内部応力は、シリコン基板の結晶粒界に損傷を与え、電力損失が大きくなるという課題がある。また、反りは、モジュール工程における太陽電池素子の搬送、及びタブ線と呼ばれる銅線との接続において、セルを破損させやすくしていた。近年では、スライス加工技術の向上から、結晶シリコン基板の厚みが薄型化されつつあり、更にセルが割れやすい傾向にある。
しかし、本実施形態のn型拡散層及び太陽電池素子の製造方法によれば、裏面に不要なn型拡散層が形成されないことから、n型拡散層からp型拡散層への変換を行う必要がなくなり、アルミニウム層を厚くする必然性がなくなる。その結果、シリコン基板内の内部応力の発生、反り等を抑えることができる。結果として、電力損失の増大及びセルの破損を抑えることが可能となる。
また、本実施形態のn型拡散層及び太陽電池素子の製造方法を用いる場合には、裏面のp型拡散層(高濃度電界層)14の製造方法はアルミニウムによるn型拡散層からp型拡散層への変換による方法に限定されることなく、いずれの方法も採用でき、製造方法の選択肢が広がる。
また、後述する裏面の表面電極20に用いる材料は、第13族のアルミニウムに限定されず、例えば、Ag(銀)及びCu(銅)を適用することができ、裏面の表面電極20の厚さも従来のものよりも薄く形成することが可能となる。
図1(4)では、n型拡散層12の上に反射防止膜16を形成する。反射防止膜16は公知の技術を適用して形成される。例えば、反射防止膜16がシリコン窒化膜の場合には、SiHとNHとの混合ガスを原料とするプラズマCVD法により形成する。このとき、水素が結晶中に拡散し、ケイ素原子の結合に寄与しない軌道、即ちダングリングボンドと水素とが結合し、欠陥を不活性化(水素パッシベーション)する。
より具体的には、反射防止膜16は、例えば、混合ガスの流量比(NH/SiH)が0.05〜1.0、反応室の圧力が13.3Pa(0.1Torr)〜266.6Pa(2Torr)、成膜時の温度が300℃〜550℃、プラズマの放電のための周波数が100kHz以上の条件下で形成される。
図1(5)では、表面(受光面)の反射防止膜16上に、表面電極用金属ペーストをスクリーン印刷法で印刷付与し、乾燥させ、表面電極18を形成する。表面電極用金属ペーストとしては、金属粒子とガラス粒子とを必須成分とし、必要に応じて樹脂バインダー、その他の添加剤等を含む。
次いで、裏面の高濃度電界層14上にも裏面電極20を形成する。上記のように、本実施形態では裏面電極20の材質及び形成方法は特に限定されない。例えば、アルミニウム、銀又は銅を含む裏面電極用ペーストを付与し、乾燥させて、裏面電極20を形成してもよい。このとき、裏面にも、モジュール工程におけるセル間の接続のために、一部に銀電極形成用銀ペーストを付与してもよい。
図1(6)では、表面電極用金属ペーストを熱拡散処理して、太陽電池素子を完成させる。600℃〜900℃の範囲で数秒〜数分間熱拡散処理すると、表面側では表面電極用金属ペーストに含まれるガラス粒子によって絶縁膜である反射防止膜16が溶融し、更にp型半導体基板10表面も一部溶融して、ペースト中の金属粒子(例えば銀粒子)がp型半導体基板10と接触部を形成し凝固する。これにより、形成した表面電極18とp型半導体基板10とが導通される。これはファイアースルーと称されている。
表面電極18の形状の一例について図2を参照して説明する。なお、図2において、30はバスバー電極を、32はフィンガー電極を示す。表面電極18は、バスバー電極30、及びバスバー電極30と交差しているフィンガー電極32で構成される。図2(A)は、表面電極18を、バスバー電極30、及びバスバー電極30と交差しているフィンガー電極32からなる構成とした太陽電池素子を表面から見た平面図であり、図2(B)は、図2(A)の一部を拡大して示す斜視図である。
表面電極18は、例えば、上記の金属ペーストのスクリーン印刷及び乾燥、電極材料のメッキ並びに高真空中における電子ビーム加熱による電極材料の蒸着の手段により形成することができる。バスバー電極30とフィンガー電極32とからなる表面電極18は、受光面側の電極として一般的に用いられていて周知であり、受光面側のバスバー電極及びフィンガー電極の公知の形成手段を適用することができる。
上記では、表面にn型拡散層、裏面にp型拡散層を形成し、更にそれぞれの層の上に表面電極及び裏面電極を設けた太陽電池素子について説明したが、本実施形態のn型拡散層形成組成物を用いればバックコンタクト型の太陽電池素子を作製することが可能である。
バックコンタクト型の太陽電池素子は、電極を全て裏面に設けて受光面の面積を大きくするものである。つまりバックコンタクト型の太陽電池素子では、裏面にn型拡散領域及びp型拡散領域の両方を形成しpn接合構造とする必要がある。本実施形態のn型拡散層形成組成物は、特定の領域にn型拡散領域を形成することが可能であり、よって、バックコンタクト型の太陽電池素子の製造に好適に適用することができる。上記したように、本実施形態のn型拡散層形成組成物を用いることにより、不要な領域にn型拡散層を形成させることなく特定の領域にn型拡散層を形成することが可能である。また、このようなn型拡散層を有する太陽電池素子を、不要な領域にn型拡散層を形成させることなく得ることができる。
以下、本発明を実施例によって、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限するものではない。なお、特に記述が無い限り、薬品は全て試薬を使用した。また「%」は断りがない限り「質量%」を意味する。
[実施例1]
粒子形状が略球状で、平均粒子径が2.1μmのP−SiO−CaO系ガラス(P:30モル%、SiO:60モル%、CaO:10モル%)粒子10gと、エチルセルロース6.8gと、テルピネオール78.2gと、Br(臭素)5gとを、自動乳鉢混練装置を用いて混合してペースト化し、n型拡散層形成組成物を調製した。
なお、ガラス粒子の粒子形状は、(株)日立ハイテクノロジーズ製TM−1000型走査型電子顕微鏡を用いて観察した。ガラス粒子の平均粒子径はベックマン・コールター(株)製LS 13 320型レーザー散乱回折法粒度分布測定装置(測定波長:632nm)を用いて算出した。ガラス粒子の軟化点は(株)島津製作所製DTG−60H型示差熱・熱重量同時測定装置を用いて、示差熱(DTA)曲線により求めた。
次に、調製したn型拡散層形成組成物をスクリーン印刷によって、p型シリコン基板表面に付与し、150℃のホットプレート上で1分間乾燥させ、厚さ約11μmの層を形成した。続いて、940℃に設定した電気炉で10分間熱拡散処理を行った。熱拡散処理後、シリコン基板上に形成されたガラス層を除去するため、シリコン基板をフッ酸に5分間浸漬し、流水洗浄を行った。流水洗浄後、自然乾燥を行った。
n型拡散層形成組成物を付与した側の表面のシート抵抗は22Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。他方、裏面のシート抵抗は1000000Ω/□以上で測定不能であり、n型拡散層は形成されていなかった。
なお、シート抵抗は、三菱化学(株)製Loresta−EP MCP−T360型低抵抗率計を用いて四探針法により、25℃で測定した。
上記のp型シリコン基板内のFe(鉄)元素濃度を2次イオン質量分析装置「IMS−7F」(カメカインスツルメンツ(株)製)を用いて、分析室に酸素ガスを流しながら、一次イオンエネルギー6000eVにて、n型拡散層が形成された箇所について、シリコン基板の2μm深さまで、2次イオン質量分析し、Fe(鉄)元素濃度を測定したところ、6E15atoms/cmであった。
[実施例2]
n型拡散層形成組成物に含まれるハロゲン元素をI(ヨウ素)とした以外は実施例1の方法と同様にして、n型拡散層形成組成物を調製し、そしてn型拡散層を形成した。
n型拡散層形成組成物を付与した側の表面のシート抵抗は22Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。他方、裏面のシート抵抗は1000000Ω/□以上で測定不能であり、n型拡散層は形成されていなかった。また、p型シリコン基板内のFe(鉄)元素濃度を実施例1と同様の条件下で測定したところ、4E15atoms/cmであった。
[比較例1]
粒子形状が略球状で、平均粒子径が2.1μmのP−SiO−CaO系ガラス(P:30モル%、SiO:60モル%、CaO:10モル%)粒子10gと、エチルセルロース6.8gと、テルピネオール88.2gを、自動乳鉢混練装置を用いて混合してペースト化し、ハロゲン元素を含まないn型拡散層形成組成物を調製した。
n型拡散層形成組成物を付与した側の表面のシート抵抗は実施例1同様に22Ω/□であり、P(リン)が拡散しn型拡散層が形成されていた。p型シリコン基板内のFe(鉄)元素濃度を実施例1と同様の条件下で測定したところ、1.2E16atoms/cmであった。
10 p型半導体基板
11 n型拡散層形成組成物層
12 n型拡散層
13 第13族の元素を含む組成物
14 高濃度電界層
16 反射防止膜
18 表面電極
20 裏面電極(電極層)
30 バスバー電極
32 フィンガー電極

Claims (6)

  1. ドナー元素を含むガラス粒子と、分散媒と、ハロゲン元素と、を含有するn型拡散層形成組成物。
  2. 前記ドナー元素が、P(リン)及びSb(アンチモン)からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載のn型拡散層形成組成物。
  3. 前記ドナー元素を含むガラス粒子が、酸化物として表示したときに、P、P及びSbからなる群より選択される少なくとも1種のドナー元素含有物質と、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、SnO、ZrO、及びMoOからなる群より選択される少なくとも1種のガラス成分物質と、を含む請求項1又は請求項2に記載のn型拡散層形成組成物。
  4. 前記ハロゲン元素が、臭素及びヨウ素からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のn型拡散層形成組成物。
  5. 半導体基板上に、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のn型拡散層形成組成物を付与する工程と、前記n型拡散層形成用組成物が付与された半導体基板に熱拡散処理を施す工程と、を有するn型拡散層付き半導体基板の製造方法。
  6. 半導体基板上に、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のn型拡散層形成組成物を付与する工程と、前記n型拡散層形成用組成物が付与された半導体基板に熱拡散処理を施して、n型拡散層を形成する工程と、前記n型拡散層上に電極を形成する工程と、を有する太陽電池素子の製造方法。
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