JP5934206B2 - アルドース還元酵素阻害剤および同使用方法 - Google Patents

アルドース還元酵素阻害剤および同使用方法 Download PDF

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Description

本願は、2010年7月16日出願の米国仮特許出願第61/365,098号の優先権の利益を主張するものであり、その開示の全体は参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に引用した特許、特許出願および刊行物はすべてその全体を参照により本明細書に組み込む。本明細書に記載し主張する本発明の日付において当業者に知られた技術水準を十分に理解するために、これらの刊行物の開示全体を参照により本明細書に組み込む。
本特許の開示には、著作権保護を受ける資料が含まれる。この著作権保有者は、本特許文献または特許開示の複製に関して、それが米国特許商標局のファイルまたは記録の中に現れるものである限り、いかなる者によるものであっても異議を唱えない。但し、それ以外の形ではあらゆる著作権を保持する。
本発明は、皮膚の健康な老化の促進、皮膚障害の治療、心血管系障害の治療、腎障害の治療、血管形成障害(例えば、癌)の治療、組織障害(例えば、心臓以外の組織障害)の治療、進行性心筋梗塞の治療およびその他の種々の障害(例えば、糖尿病に起因する合併症)の治療のための、新規な化合物およびその医薬組成物、ならびに本発明の化合物および組成物を用いた方法に関する。その他の障害には、限定するものではないが、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、皮膚感染症、末梢血管疾患、脳卒中等が挙げられる。
糖尿病は最もよくみられる慢性疾患であり、インスリン産生および/またはインスリン感受性の欠如から高血糖値が生じる。高血糖のヒトはインスリン感受性細胞(例えば、水晶体、末梢神経および糸球体)においてグルコース‐ソルビトール‐果糖経路を介して多くのグルコースを代謝する。これによりその細胞ではソルビトールが過剰になり、細胞膜を通して容易には拡散されない。ソルビトールの濃度が高くなると細胞内へ水が流れ込み、膨潤および潜在的な損傷を引き起こす。
米国特許第5,677,342号 米国特許第5,155,259号 米国特許第4,939,140号 米国特許第11/210,283号
Diabetes Research and Clinical Practice,Vol.10,Issue 1,91‐97
アルドース還元酵素は身体の多くの器官に存在する酵素であり、グルコースからソルビトールへの還元を触媒し、これはグルコースからの果糖形成の役割を担うソルビトール経路の工程の1つである。もはや組織にインスリン感受性がない糖尿病状態でグルコース濃度が上昇すると、アルドース還元酵素活性が増大する。このような組織には、例えば、水晶体、末梢神経および腎糸球体がある。ソルビトールは容易には細胞膜を通って拡散しないため、蓄積して浸透圧の障害を引き起こし、続いて、網膜症、神経障害および腎障害をきたす。したがって、アルドース還元酵素を阻害すれば、糖尿病のインスリン感受性細胞におけるソルビトールの蓄積が阻止され、糖尿病患者における大血管および微小血管の合併症を防止するための新規な方法が提供される。また、アルドース還元酵素阻害剤(例えば、ゾポルレスタット)はそういった作用を治療または軽減するのに有用であり得、糖尿病動物モデルの角膜上皮の創傷治癒に有効性を示している。
一態様では、本発明は式(I)の化合物に関する
[式中、Rは、H、(C〜C)‐アルキル、(C〜C)‐ヒドロキシアルキルまたは(C〜C)‐アミノアルキル;XはNまたはCR;XはNまたはCR;XはNまたはCR;XはNまたはCR;但し、X,X,XまたはXのうちの2または3個はNである;Yは結合C=O、C=S、C=NHまたはC=N(C〜C)‐アルキル;Zは
はNR11、O、SまたはCH;AはNまたはCH;AはNR11、OまたはS;
〜R10は独立して水素、ハロゲン,シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ,トリフルオロアセチル,(C〜C)‐アルキル、(C〜C)‐アルコキシ、(C〜C)‐アルキルチオ、(C〜C)‐アルキルスルフィニルまたは(C〜C)‐アルキルスルホニル;あるいはR〜Rのうちの2つまたはR〜R10のうちの2つはともに(C〜C)‐アルキレンジオキシ;およびR11は水素、C〜CアルキルまたはC(O)O‐(C〜C)‐アルキル;または薬学的に許容され得るその塩または溶媒和物である]。
別の態様において、本発明は、式(I)の化合物を含む医薬組成物、または薬学的に許容され得るその塩または溶媒にも関する。
さらに別の態様において、本発明は、式(I)の化合物または薬学的に許容され得るその塩または溶媒、あるいは式(I)の化合物を含む医薬組成物または薬学的に許容され得るその塩または溶媒を、それを必要とする対象に投与するステップを含む治療方法にも関する。本発明の化合物および/または組成物は、例えば、皮膚の健康な老化の促進、皮膚疾患の治療、血管形成障害(例えば、癌)の治療、組織障害の治療、心血管系障害の治療、腎障害の治療、進行性心筋梗塞の治療、その他の種々の疾患(例えば、糖尿病に起因する合併症)の治療に有用であり得る。そういった疾患には、限定するものではないが、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、皮膚感染症、末梢血管疾患、脳卒中等を含み得る。
さらに別の態様において、本発明は、式(I)の化合物の調製法に関する。
本発明は、一部には、本願の実施例のセクションにより完全に記載されているある発見に基づくものである。例えば、本発明は、一部には、式(I)の化合物の発見および係る化合物が呈するアルドース還元酵素の阻害に基づくものである。
本発明のこれらおよび他の実施形態は、発明を実施するための形態、実施例および添付の特許請求の範囲を含む本願の以下のセクションでさらに記載されている。本発明のさらに他の目的および利点は、本明細書の開示から当業者によって明白となろう。それらは単なる例示であって限定するものではない。したがって、本発明の精神および範囲から逸脱しなければ、当業者には他の実施形態が認識されよう。
水溶液中の化合物Aおよびゾポルレスタットの溶解度曲線を示すグラフである。 化合物Aおよびゾポルレスタットのアルドース還元酵素阻害活性を示すグラフである。
アルドース還元酵素阻害剤は、例えば、米国特許第5,677,342号;同第5,155,259号;同第4,939,140号;米国特許出願第11/210,283号;ならびにRoyらのDiabetes Research and Clinical Practice,Vol.10,Issue 1,91‐97;およびそれらに引用されている参照物に記載されており、それらの各々全体を参照により本明細書に組み込む。アルドース還元酵素阻害剤には、例えば、ゾポルレスタット、エパルレスタット、ラニレスタット、ベルベリンおよびソルビニルが挙げられる。新規なアルドース還元酵素阻害剤のファミリーを見出したので、本明細書に記載する。驚くべきことに、この新規なファミリーは、例えばゾポルレスタットなどの他のアルドース還元酵素阻害剤と比較して劇的に改善された性質(例えば、結合親和性、溶解性および極性)を呈する化合物を含む。ゾポルレスタットなどの化合物は、例えば、米国特許第4,939,140号;同第6,159,976号および同第6,570,013号に記載されており、その各々全体を参照により本明細書に組み込む。また、本発明者らは驚くべきことに、前記酵素の疎水性結合ポケットに存在することが多い各位置の官能性の変化がその酵素に対する化合物の結合性を打ち消さないということも見出した。例えば、極性部分(例えば、フタラジンのフェニル環の窒素原子)を組み込めば、結合親和性および溶解性は向上する。これは予想外のことであり、一部には、その酵素で疎水性ポケットを占めるフタラジンのフェニル環の性質によるものである。
本発明の化合物および/または組成物は、アルドース還元酵素活性に関連する合併症(例えば、糖尿病患者における神経障害、網膜症、腎障害および多くの合併症)の治療、低減および/または抑制に有効であり得る。また、本発明の化合物および/または組成物は、非糖尿病患者の新血管系障害および腎障害の治療、低減および/または抑制の他、皮膚の健康な老化または創傷治癒の促進にも有効であり得る。
(略語および定義)
用語「アルドース還元酵素阻害剤」とは、主にアルドースの代謝還元の調節を担い、アルドース還元酵素の活性を阻害することによって機能する化合物およびその塩または溶媒和物をいう。アルドースの例には、限定するものではないが、グルコースまたはガラクトースおよびそれらに対応するポリオール(例えば、ソルビトールおよびガラクチトール)が挙げられる。アルドース還元酵素阻害剤の例は、米国特許第4,939,140号、同第4,954,629号および同第5,304,557号に見出され、それら各々の全体を参照により本明細書に組み込む。
本明細書で用いる用語「本発明の化合物」とは、式(I)の化合物を意味する。また、この用語はその塩、水和物、プロドラッグおよび溶媒和物も包含することを意図している。
本明細書で用いる用語「本発明の(一種以上の)組成物」とは、本発明の化合物を含む組成物ならびにその塩、水和物、プロドラッグまたは溶媒和物を意味する。本発明の組成物は、その他の物質(例えば、賦形剤、安定化剤、潤滑剤、溶媒等)を含み得る。
本明細書で用いる用語「アルキル」とは、別途指示のない限り、直鎖、分枝鎖、単環式部分または多環式部分部分あるいはこれらの組み合わせを有する一価の脂肪族炭化水素基をいう(ここで、その基は場合によっては、直鎖、分枝鎖、単環式部分または多環式部分部分あるいはこれらの組み合わせの1個以上の炭素が1個以上の置換基で各炭素が置換されており、1個以上の置換基は独立してC〜C10アルキルである)。「アルキル」基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec‐ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基等が挙げられる。
本明細書で用いる用語「ハロゲン」は、塩素(Cl)、フッ素(F)、ヨウ素(I)または臭素(Br)を意味する。
本明細書で用いる用語「本発明の方法」とは、本発明の化合物および/または組成物を用いた治療を含んだ方法を意味する。
本明細書で用いる用語「溶媒和物」とは、化合物あるいは薬学的に許容され得るその塩を意味し、適した溶媒の分子は結晶格子に組み込まれている。適した溶媒は、投与される用量で生理学的に許容できるものである。適した溶媒の例には、エタノール、水等がある。水を溶媒とする場合、その分子を「水和物」と呼ぶ。
「医薬組成物」とは、本明細書に記載の化合物または薬学的に許容され得るその塩、溶媒和物、プロドラッグまたは水和物の1以上と他の化学成分(例えば、生理学的に許容可能なキャリアおよび賦形剤)との混合物をいう。医薬組成物の目的は、器官または対象への化合物の投与を容易にすることにある。
「プロドラッグ」または「プロドラッグ」とはin vivoで親薬剤に転換される物質をいう。プロドラッグは多くの場合、状況によっては親薬剤よりも投与が容易であるので有用である。プロドラッグは、例えば経口投与によって生物学的に利用可能であるが、親薬剤は生物学的利用可能性が低いか、生物学的に利用することができない。また、プロドラッグは親薬剤よりも医薬組成物における溶解性が高くなっている。例えば、前記化合物は、体液(例えば、血流)中で加水分解によって分割され、ひいては活性化合物が放出される保護基を担持するか、体液中で酸化または還元されて前記化合物を放出する。用語「プロドラッグ」はそういった官能基(例えば、式Iの化合物の酸性官能基)にも適用されることもある。プロドラッグは、酸性基が例えばエステルまたはアミドとして保護された構造から成ることがある。プロドラッグのさらなる例をここで、および例えばAlexanderらのJ.Med.Chem.1988,31,318(その全体を参照により本明細書に組み込む)によって考察する。
用語「薬学的に許容され得る塩」とは、無機酸または有機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、グリコール酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、マロン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ナフタレン‐2スルホン酸およびその他の酸)に由来する塩および無機塩基または有機塩基(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩またはテトラフルオロホウ酸塩)に由来する塩を含むことが意図される。薬学的に許容され得る塩の例は、例えば、Bergeら(J.Pharm.Sci.1977,66(1),1、米国特許第6,570,013号および同第4,939,140号、それら各々の全体を参照により本明細書に組み込む)に見出される。薬学的に許容され得る塩には、半塩も包含することが意図される(ここで、化合物/酸の比はそれぞれ2:1である)。半塩の例には2個のカルボン酸を含む酸(例えば、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、グルタル酸、シュウ酸、アジピン酸およびクエン酸)由来のものがある。その他の半塩の例としては、二陽子の鉱酸(例えば、硫酸)由来のものがある。好適な半塩の例には、限定するものではないが、ヘミマレイン酸塩、ヘミフマル酸塩およびヘミコハク酸塩が挙げられる。
用語「酸」には、薬学的に許容され得るあらゆる無機酸または有機酸を想定している。無機酸には、ハロゲン化水素酸のような鉱酸(例えば、臭化水素酸および塩酸、硫酸、リン酸および硝酸)が挙げられる。有機酸には、薬学的に許容され得るあらゆる脂肪族および脂環式および芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸および脂肪酸が挙げられる。好適な酸は、直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和C〜C20脂肪族カルボン酸(場合によってはハロゲン基またはヒドロキシル基で置換された)またはC〜C12芳香族カルボン酸である。そういった酸の例は、炭酸、ギ酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、吉草酸、α−ヒドロキシ酸(例えば、グリコール酸および乳酸)、クロロ酢酸、安息香酸、メタンスルホン酸およびサリチル酸である。ジカルボン酸の例には、シュウ酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸およびマレイン酸が挙げられる。トリカルボン酸の一例はクエン酸である。脂肪酸には、炭素原子数4〜24の薬学的に許容され得るあらゆる飽和または不飽和脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸を含む。例としては、酪酸、イソ酪酸、sec‐ブチル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸およびフェニルステリック酸(phenylsteric acid)が挙げられる。その他の酸として、グルコン酸、グリコヘプトン酸およびラクトビオン酸が挙げられる。
本明細書で用いる用語「約(about)」は、近似的(approximately)、大まかに(roughly)、に近い(around)または、の辺り(in the region of)を意味する。用語「約」を数値範囲と一緒に用いる場合、それは記載された数値より上および下に境界を広げることによってその範囲を変更する。一般に、用語「約」は本明細書では、20%だけ上または下(高または低)に記載の値の数値を上下に変更するために用いられる。
本明細書で用いる「有効量」、「十分量」または「治療有効量」とは、有益なまたは所望の結果(臨床結果など)をもたらすのに十分な化合物の量をいう。したがって、有効量とは、例えば、アルドース還元酵素に関連する苦痛の重症度および/または持続期間または1以上のその症状を低減また軽減するか、アルドース還元酵素に関連する苦痛に関係する状態または症状の進行を阻止するか、あるいは別の療法の(1以上の)予防効果または治療効果を増強または改善するのに十分なものであり得る。また、有効量には望ましくない副作用を回避または実質的に減弱する、前記化合物の量を含む。
本明細書で用いられ周知でもある「治療」とは、有益なまたは所望の結果(臨床結果など)を得るためのアプローチである。有益なまたは所望の臨床結果には、限定するものではないが、検出できるか否かにかかわらず、1以上の症状または状態の軽減または寛解、疾患または苦痛の程度の減少、疾患または苦痛の状態の安定化(すなわち、悪化しない)、疾患または苦痛の拡大の阻止、疾患または苦痛の進行の遅延化または緩徐化、疾患または苦痛の状態の寛解または緩和および寛解(部分的でも全体的でも)を含み得る。また「治療」には、治療を行わない場合に想定される生存と比較して生存を引き延ばすことも含み得る。
語句「必要とする」とは、アルドース還元酵素活性に関連する状態または本発明の化合物および/または組成物によって緩和され得る状態からの症状緩和または無症状緩和のために必要であることをいう。
用語「キャリア」とは、化合物を投与するのに用いる希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルをいう。そういった薬学的キャリアの非限定的な例には水および油のような液体(石油、動物、植物または合成起源のもの(例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油等))が挙げられる。薬学的キャリアは、生食水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプン糊、滑石、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素等でもよい。また、補助剤、安定化剤、濃化剤、潤滑剤および着色剤を用いてもよい。その他の適した薬学的キャリアの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Alfonso Gennaro ed.,Krieger Publishing Company(1997);Remington’s:The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.(Lippincot,Williams & Wilkins(2005);Modern Pharmaceutics,vol.121(Gilbert Banker and Christopher Rhodes,CRC Press(2002)に記載されており、それら各々の全体を本明細書に組み込む。
本明細書で用いる用語「動物」、「対象」および「患者」には、限定するものではないが、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ネコ、サル、イヌ、ウマ、ブタ等)およびヒトを含む動物界のあらゆる仲間を包含する。
一実施形態において、本明細書に記載のアルドース還元酵素阻害剤は、式(I)の化合物または薬学的に許容され得るその塩、プロドラッグおよび溶媒和物を包含する
[式中、RはH、(C〜C)‐アルキル、(C〜C)‐ヒドロキシアルキルまたは(C〜C)‐アミノアルキル;XはNまたはCR;XはNまたはCR;XはNまたはCR;XはNまたはCR;但し、X,X,XまたはXのうちの2または3個はNである;Yは結合C=O、C=S、C=NHまたはC=N(C〜C)‐アルキル;Zは、
はNR11、O、SまたはCH;AはNまたはCH;AはNR11、OまたはS;
〜R10は独立して水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル,ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、トリフルオロアセチル、(C〜C)‐アルキル、(C〜C)‐アルコキシ、(C〜C)‐アルキルチオ、(C〜C)‐アルキルスルフィニルまたは(C〜C)‐アルキルスルホニル;あるいはR〜Rのうちの2つまたはR〜R10のうちの2つはともに(C〜C)‐アルキレンジオキシ;およびR11は水素、C〜CアルキルまたはC(O)O‐(C〜C)‐アルキルである]。
当業者には、
Zは、
またはZは、
であるという指定は、Zが
である場合に、式(I)の化合物は
を包含するものと理解され、Zが
である場合、式(I)の化合物は、
を包含するものと理解されることを示すことが認識されよう。
ある実施形態において、Rは水素または(C〜C)‐アルキルである。ある実施形態において、Rは水素である。ある実施形態において、Rは(C〜C)‐アルキルである。ある実施形態において、Rはtert‐ブチルである。
ある実施形態において、R〜R10は独立して水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。ある実施形態において、R〜R10は独立して水素、ハロゲンまたはトリハロアルキルである。
ある実施形態において、R〜Rは水素である。
ある実施形態において、R〜R10は独立して水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。ある実施形態において、R〜R10は独立して水素、ハロゲンまたはトリハロアルキルである。
ある実施形態において、RおよびR10は水素である。
ある実施形態において、Rは水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。ある実施形態において、Rは水素である。ある実施形態において、Rはハロゲンである。ある実施形態において、Rはハロアルキルである。
ある実施形態において、Rは水素、ハロゲンまたはハロアルキルである。ある実施形態において、Rは水素である。ある実施形態において、Rはハロゲンである。ある実施形態において、Rはハロアルキルである。
ある実施形態において、YはC=O、C=S、C=NHまたはC=N(C〜C)‐アルキルである。ある実施形態において、YはC=OまたはC=Sである。ある実施形態において、YはC=Oである。ある実施形態において、YはC=Sである。ある実施形態において、YはC=NHまたはC=N(C〜C)‐アルキルである。
ある実施形態において、AはNR11、SまたはCHである。ある実施形態において、AはNR11またはOである。ある実施形態において、AはNR11またはSである。ある実施形態において、AはNR11である。ある実施形態において、AはOである。ある実施形態において、AはSである。
ある実施形態において、AはNまたはCHである。ある実施形態において、AはNである。ある実施形態において、AはCHである。
ある実施形態において、AはOまたはSである。ある実施形態において、AはOである。ある実施形態において、AはSである。
ある実施形態において、XおよびXは窒素である。
ある実施形態において、XおよびXは窒素である。
ある実施形態において、XおよびXは窒素である。
ある実施形態において、XおよびXは窒素である。
ある実施形態において、XおよびXは窒素である。
ある実施形態において、XおよびXは窒素である。
ある実施形態において、Zは、
ある実施形態において、Zは、
である。
ある実施形態において、Rは水素または(C〜C)‐アルキル;
およびXはN;XはCR;XはCR;YはC=O;Zは、
はNR11、OまたはS;AはN;AはOまたはS;RおよびRは水素;R〜R10は独立して水素、ハロゲン、シアノ、アシル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、(C〜C)‐アルキル、(C〜C)‐アルコキシ、(C〜C)‐アルキルチオ、(C〜C)‐アルキルスルフィニルまたは(C〜C)‐アルキルスルホニル;およびR11は水素、C〜CアルキルまたはC(O)O‐(C〜C)‐アルキルである。
ある実施形態において、Rは水素またはtert‐ブチル;XおよびXはN;XはCR;XはCR;YはC=O;Zは、
;AはNR11、OまたはS;AはN;AはOまたはS;RおよびRは水素;R〜R10は独立して水素、ハロゲンまたはハロアルキル;およびR11は水素、(C〜C)‐アルキルまたはC(O)O‐tert‐ブチルである。
ある実施形態において、Rは水素またはtert‐ブチル;
およびXはN;XはCH;XはCH;YはC=O;Zは、
;AはNR11、OまたはS;AはN;AはOまたはS;R、RおよびR10は独立して水素、ハロゲンまたはハロアルキル;Rはハロゲンまたはハロアルキル;およびR11は水素またはメチルである。
ある実施形態において、R1は水素またはtert‐ブチル;
およびXはN;XはCH;XはCH;YはC=O;
Zは、
;AはNR11、OまたはS;AはN;AはOまたはS;R、RおよびR10は独立して水素、ハロゲンまたはハロアルキル;Rは塩素またはトリフルオロメチル;および
11は水素またはメチルである。
ある実施形態において、式(I)の化合物は、化合物Aまたは薬学的に許容され得るその塩(例えばそれらのモノ‐、ジ‐またはトリ‐エタノールアミン塩)を包含する。
ある実施形態において、式(I)の化合物は、化合物Bまたは薬学的に許容され得るその塩(例えば、モノ‐、ジ‐またはトリ‐エタノールアミン塩)を包含する。
式(I)の化合物は一般に、例えば、例えばスキーム1に従って調製することができる。
[式中、X,X,X,X,R,A,A,R〜R11は上記で定めたものであり、Qはハロゲン(例えば、Cl、Br、I等)あるいは他の脱離基(例えば、OH、OSOMe、OMs、OTs、OTf等)である]。
ある実施形態において、前記反応は、塩基(例えば、カリウムt‐ブトキシド、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等)の存在下で実施することができる。
ある実施形態において、前記反応は非プロトン溶媒(例えば、DMF、THF、NMP等)を用いて実施することができる。ある実施形態において、前記反応はアルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール等)を用いて実施することができる。
ある実施形態において、前記反応は約5℃〜約80℃(例えば、20℃〜30℃)の温度で実施することができる。
ある実施形態において、前記反応の後には、さらなる分離工程および精製工程(例えば、クロマトグラフィ(例えば、フラッシュ、HPLC、MPLC等))、結晶化等が続き得る。
その他の適した反応(例えば、式(I)の化合物を加水分解して異なる形態の式(I)の化合物を得る)が可能である。例えば、tert‐ブトキシ、メトキシ、エトキシ等の基をRとして有する化合物を適した試薬(例えば、トリフルオロ酢酸(TFA)、HCl、KOH等)と反応させることによって加水分解して、水素をRとして有する式(I)の化合物を得ることができる。
式(I)の化合物はスキーム2に従って調製することもできる。
例えば、以下の合成例はスキーム3に従って実施することができる。
その他のいくつかの実施形態(YはC=Oである)において、次の反応を実施してC=OをC=SまたはC=N等と置換することができる。
式(IB)の化合物
式(IB)の化合物を得るために、種々の可能性が存在する。例えば、商業的供給源(例えば、Sigma‐Aldrich社)が利用できる。別法では、式(IB)の化合物は、種々の異なる反応(例えば、以下のスキーム4に概略的に示した縮合反応)によって合成することができる。前記反応は種々の溶媒(例えば、エタノール、メタノール、DMF、AcOH等)を用いて実施することができる。前記反応は約5℃〜約80℃(例えば、55℃〜65℃)の温度で実施することができる。
式(IB)のある種の化合物の合成に関する他の説明の例示は、J.Med.Chem.(1991),Vol.34,pp.108‐122およびJ.Med.Chem.(1992),Vol.35,No.3,pp.457‐465に記載されており、それらの各々の全体を参照により本明細書に組み込む。
式(IA)の化合物
式(IA)の化合物を得るために、種々の可能性が存在する。例えば、式(IA)の化合物はスキーム5に示すように合成することができる。例えば、式(IA)の化合物(YはC=Oである)を得るために、以下に示すように、式(IIA)で表される化合物と添加/環化反応(例えば、ヒドラジン等との反応)を生じさせる試薬との反応を実施することができる。前記反応は種々の溶媒(例えば、エタノール、メタノール、THF等)を用いて実施することができる。前記反応は約20℃〜約100℃(例えば、60℃〜80℃)で実施することができる。
式(IIA)の化合物は、スキーム6に示すように、例えば、無水物とウィッティヒ反応を生じさせる試薬(例えば、(tert‐ブトキシカルボニルメチレン)‐トリフェニルホスホラン等)との反応によって得ることができる。前記反応は非プロトン溶媒(例えば、CHCl、THF、1,4‐ジオキサン、トルエン等)を用いて実施することができる。前記反応は約20℃〜約110℃(例えば、55℃〜70℃)の温度で実施することができる。
ある実施形態において、以下(スキーム7)に例示するように、無水物とウィッティヒ反応を生じさせる試薬との反応によって、式(IIA)で表される特定の化合物の混合物を得ることができる。このような場合、必要に応じて、この混合物を分離および精製して対象とする式(IIA)の特定の化合物を得ることができる。
式(IIIA)の化合物は一般に、商業的供給源(例えば、Sigma‐Aldrich社)から入手できる。別法では、式(IIIA)の化合物は、以下(スキーム8)に概略的に示すように、式(IVA)で表されるジカルボン酸誘導体と適した無水物形成試薬(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)または無水酢酸)との反応によって得ることができる。前記反応は非求核性溶媒(例えば、無水酢酸、THF等)を用いて実施することができる。前記反応は約20℃〜約100℃(例えば、60℃〜80℃)の温度で実施することができる。
式(IVA)の化合物は一般に、商業的供給源(例えば、Sigma‐Aldrich社)から得ることができる。別法では、式(IVA)の化合物は、以下(スキーム9)に概略的に示すように、式(VA)で表される適切な前駆物質と適切なジカルボン酸誘導体形成試薬(例えば、NaMnOおよび/またはNaOH)との反応によって得ることができる。前記反応は水性溶媒(例えば、水)を用いて実施することができる。前記反応は約50℃〜約100℃(例えば、85℃〜95℃)の温度で実施することができる。
式(I)の化合物のための他の合成スキーム
追加の反応を実施して、式(I)によって表される化合物の追加の実施形態を合成することができる。
式(I)の化合物(ここで、YはC=Sである)を得るために、以下の合成を実施し得る(スキーム10)。
式(I)の化合物(ここで、YはC=NRである。式中、Rは例えば水素またはアルキル置換基を表す)を得るに、次の合成を実行し得る(スキーム11)。
代替の反応スキームも可能である。例えば、次の合成スキームを行って式(I)の化合物を得ることもできる(ここで、Yは共有結合である)(スキーム12)。
ある他の実施形態において、他の種類の反応(例えば、パーキン反応)を実施して式(I)の化合物を得ることができる(スキーム13)。KOAc/AcOを用いたパーキン反応を以下に示す。しかし、他の温度および他の塩基(例えば、KCO等)を利用してよい。
当業者には明らかであるように、その他の置換基および修飾基も可能である。例えば、スキーム13では、NaOHの代わりにKOHを用いることができる。以下のスキーム14では、NaHの代わりにKOBuを用いることができる。また、DMFの代わりに、NMPまたはTHFを用いてもよい。パーキン反応のさらなる詳細はWO03/061660に記載されており、その内容全体を参照により本明細書に組み込む。
ある実施形態において、以下の代替の合法成を実施することができる(スキーム15)。
式(I)の化合物の各種実施形態を生成するための反応スキームの例
ある実施形態のための特定の非限定的な例示の合成スキームを以下に示す。
式(I)の化合物(式中、X、X、XおよびXのうちの3つは窒素、YはC=Oである)は、例えば、一般スキーム16に従って合成することができる。
式(I)の化合物(式中、XおよびXは窒素であり、YはC=Oである)は、例えば、一般スキーム17に従って合成することができる。
式(I)の化合物(式中、XおよびXは窒素であり、YはC=Oである)は、例えば、一般スキーム18に従って合成することができる。
式(I)の化合物(式中、XおよびXまたはXおよびXは窒素であり、YはC=Oである)は、例えば、一般スキーム19に従って合成することができる。
式(I)の化合物(式中、XおよびXまたはXおよびXは窒素であり、YはC=Oである)は、例えば、一般スキーム20に従って合成することができる。
上記実施例において、Qはハロゲンまたは脱離基、RおよびRは独立して水素、ハロゲン(例えばClまたはF)またはハロアルキル(例えば、CF)である。
式(I)の化合物(式中、XおよびXは窒素、Yは共有結合である)は、例えば、一般スキーム21に従って合成することができる。
上記実施例において、置換基は本明細書に先に記載したものである。
本発明の化合物または組成物は、アルドース還元酵素を阻害することから利益を受ける用途において有用であり得る。アルドース還元酵素阻害の利用例は、例えば、米国特許第5,677,342号;同第5,155,259号;同第4,939,140号;米国特許出願第11/210,283号、RoyらのDiabetes Research and Clinical Practice,Vol.10,Issue 1,91‐97、およびそれらに引用された参照物に見出すことができ、その全体を参照により本明細書に組み込む。アルドース還元酵素の阻害は、結腸癌の転移および結腸癌細胞の有糸分裂を阻止することも明らかとなっている(例えば、Tammali,R.らのInhibition of Aldose Reductase Prevents Colon Cancer Metastasis,Carcinogenesis 2011,doi:10.1093/carcin/bgr102;published online:June3,2011;Angiogenesis2011 May;14(2):209‐21;およびMol.Cancer Ther.2010,Apr;9(4):813‐824を参照されたい。それら全体を参照により本明細書に組み込む)。
ある実施形態において、本発明の化合物および/または組成物は、皮膚の健康な老化の促進、皮膚障害の治療、血管形成障害(例えば、結腸癌などの癌)の治療、心臓以外の組織障害の治療、心血管系障害の治療、腎障害の治療、進行性心筋梗塞の治療およびその他の種々の障害(例えば、糖尿病に起因する合併症)の治療に有用であり得る。そういった疾患には、限定するものではないが、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、皮膚感染症、末梢血管疾患、脳卒中等を含み得る。
ある実施形態において、本発明の化合物および/または組成物は、心血管用途に有用であり得る。例えば、本発明の化合物および/または組成物を用いて、心バイパス術を受けた患者を治療して術後の回復を改善することができる。別の例では、本発明の化合物および/または組成物を用いて、動脈硬化性プラークの蓄積または迅速な発生を抑制または低減することができる。
その他のいくつかの実施形態において、本発明の化合物および/または組成物は局所適用に有用であり得る。例えば、本発明の化合物および/または組成物を用いて皮膚の老化を遅延または低減することができる。
ある実施形態において、式(I)の化合物は、治療を受ける対象の体重1kg当たり約0.5〜約25mg/kg/日(例えば、約1.0〜10mg/kg)の範囲の用量で治療を必要とする対象に投与することができる。しかし、追加の変更例が本発明の範囲内にある。
式(I)の化合物は、単独で投与してもよいし、薬学的に許容され得るキャリア(例えば、希釈剤、フィラー、水溶液の他、有機溶媒も)と併用して投与することもできる。本発明の化合物および/または組成物は、錠剤、粉末剤、トローチ剤、シロップ、注射剤等として投与することができる。追加の成分(例えば、香味剤、結合剤、賦形剤等)が本発明の範囲内にある。
ある実施形態において、薬学的に許容され得る組成物は、約0.01〜約2重量%(例えば、0.01〜約1重量%または約0.05〜約0.5重量%)の濃度で式(I)の化合物および/または薬学的に許容され得るその塩を含み得る。前記組成物は、溶液、懸濁剤、軟膏剤またはカプセル剤等として製剤化可能である。前記医薬組成物は水溶液として調製することができ、追加の成分(例えば、防腐剤、緩衝剤、等張化剤、抗酸化剤、安定化剤、粘度改変成分等)を含み得る。
その他の同等な投与形態が米国特許第4,939,140号に見出され、その全体を参照により本明細書に組み込む。
一実施形態において、本発明は、アルドース還元酵素によって引き起こされたか、またはアルドース還元酵素に関連する病態および/または病状を治療する方法において、式Iの化合物から成る医薬組成物および/または薬剤、あるいは薬学的に許容され得るその塩、水和物、溶媒和物またはプロドラッグの使用法を提供する。
別の実施形態において、前記治療方法は、(i)係る治療を必要とする対象を同定するステップと、(ii)式Iの化合物あるいは薬学的に許容され得るその塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグまたは互変異性体を提供するステップと、(iii)前記式Iの化合物を治療有効量で投与して、係る治療を必要とする対象の病態または病状を治療、抑制および/または阻止するステップとを含む。
別の実施形態において、前記治療方法は、(i)係る治療を必要とする対象を同定するステップと、(ii)式Iの化合物を含む組成物あるいは薬学的に許容され得るその塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグまたは互変異性体を提供するステップと、(iii)前記組成物を治療有効量で投与して、係る治療を必要とする対象の病態または病状を治療、抑制および/または阻止するステップとを含む。
一実施形態において、前記化合物または組成物は経口投与される。
一実施形態において、前記方法は、有効量の式Iの化合物あるいは薬学的に許容され得るその塩、溶媒和物、水和物またはプロドラッグ、もしくは式Iの化合物を含む組成物または薬学的に許容され得るその塩、溶媒和物、水和物またはプロドラッグおよび薬学的に許容され得るキャリアを対象に投与するステップを含む。前記薬学的に許容され得るキャリアは当業者には公知であり、例えば、アジュバント、希釈剤、賦形剤、フィラー、潤滑剤およびビヒクルが挙げられる。多くの場合、前記薬学的に許容され得るキャリアは当該活性化合物に対して化学的に不活性であり、使用条件下では無毒性である。薬学的に許容され得るキャリアの例には、例えば、水または生食水、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)、糖質およびそれらの誘導体、油、脂肪酸またはアルコール類が挙げられる。
別の実施形態において、アルドース還元酵素に関連する状態の治療、阻止および/または抑制の方法は、(i)係る治療を必要とする対象を同定するステップと、(ii)式Iの化合物または薬学的に許容され得るその塩、溶媒和物、水和物またはプロドラッグあるいは式Iの化合物を含む組成物または薬学的に許容され得るその塩、溶媒和物、水和物またはプロドラッグおよび薬学的に許容され得るキャリアを提供するステップと、(iii)前記化合物または組成物を治療有効量で投与して、係る治療を必要とする対象のアルドース還元酵素に関連する病態または病状を治療、阻止および/または抑制するステップとを含む。
一実施形態において、本発明は、式Iの化合物のプロドラッグおよび/またはその医薬組成物を含む方法も包含する。プロドラッグには、生物学的状態下(in vitroまたはin vivo)で加水分解、酸化または反応して本発明の活性化合物を提供することができる化合物の誘導体を含む。プロドラッグの例には、限定するものではないが、生体加水分解性部分(例えば、生体加水分解性アミド、生体加水分解性エステル、生体加水分解性カルバミン酸塩、生体加水分解性炭酸塩および生体加水分解性リン酸塩の類似体)を含む本発明の化合物の誘導体および代謝産物が挙げられる。プロドラッグは、例えば、The Practice of Medicinal Chemistry(Camille Wermuth,ed.,1999,Academic Press;その全体を参照により本明細書に組み込む)にも記載されている。ある実施形態において、カルボキシル官能基を有する化合物のプロドラッグは、カルボン酸の低級アルキルエステルである。前記カルボン酸エステルは便宜上、その分子に存在するカルボン酸部分のいずれかをエステル化することによって形成される。プロドラッグは典型的には周知の方法(例えば、Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery 6th ed.(Donald J.Abraham ed.,2001,Wiley)およびDesign and Application of Prodrugs(H.Bundgaard ed.,1985,Harwood Academic Publishers Gmfh;それらの全体を参照により本明細書に組み込む)に記載された方法を用いて調製することができる。式Iの化合物の生体加水分解性部分は、1)前記化合物の生物学的活性には干渉しないが、in vivoにおける有利な性質(例えば、取り込み、作用持続時間または作用の発現)を前記化合物に与えることができるか、2)生物学的に不活性な場合があるが、in vivoにて生物学的に活性のある化合物に転換される。生体加水分解性エステルの例として、限定するものではないが、低級アルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステルおよびコリンエステルが挙げられる。生体加水分解性アミドの例として、限定するものではないが、低級アルキルアミド、α‐アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミドおよびアルキルアミノアルキルカルボニルアミドが挙げられる。生体加水分解性カルバミン酸塩の例には、限定するものではないが、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環アミンおよび複素環式芳香族アミンならびにポリエーテルアミンが挙げられる。
一実施形態において、本発明の化合物は、in vivo投与に適した生物学的に適合性のある形態で対象に投与するための医薬組成物として製剤化することができる。別の態様によれば、本発明は、薬学的に許容され得る希釈剤および/またはキャリアと混合して式Iの化合物を含む医薬組成物を提供する。薬学的に許容され得るキャリアは、前記組成物の他の成分と適合性があり、且つその被投与者に対して有害でないという意味において「許容され得る」。本明細書に用いた薬学的に許容され得るキャリアは、製剤処方用材料として使用され、且つ、鎮痛剤、緩衝剤、結合剤、錠剤分解物質、希釈剤、乳化剤、賦形剤、増量剤、流動促進剤、可溶化剤、安定化剤、懸濁剤、等張化剤、ビヒクル、および増粘剤として組み込まれる、種々の有機材料または無機材料から選択することができる。医薬品添加物(例えば、抗酸化剤、芳香剤、着色剤、香味改善剤、防腐剤および甘味料)を添加してもよい。許容され得る薬学的キャリアの例には、特に、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース、グリセリン、アラビアゴム、乳糖、ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロース、粉末、生食水、アルギン酸ナトリウム、ショ糖、デンプン、滑石および水等が挙げられる。一実施形態において、用語「薬学的に許容され得る」とは、動物、さらに具体的にはヒトに使用するために、米国連邦または州政府の規制当局による認可を受けていることまたは米国薬局方または一般に承認されている他の薬局方に記載されていることを意味する。
界面活性剤(例えば、洗剤)は、前記製剤にも適している。界面活性剤の具体例として、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとビニルピロリドンとの共重合体、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、マンニトール、グリセロール、ソルビトール、またはソルビタンのポリオキシエチレン化エステル;レシチンまたはナトリウムカルボキシメチルセルロース;またはアクリル酸誘導体(例えば、メタクリレートおよびその他)、アニオン性界面活性剤(例えば、ステアリン酸アルカリ、特にステアリン酸ナトリウム、カリウムまたはアンモニウム);ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸トリエタノールアミン;アルキル硫酸塩、特に、ラウリル硫酸ナトリウムおよびセチル硫酸ナトリウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムまたはジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;または脂肪酸、特に、ココナッツオイル由来の脂肪酸、カチオン性界面活性剤、例えば、式NR’R’’R’’’R’’’’Yの水溶性四級アンモニウム塩(式中、R基は、同一または異なる、場合によってヒドロキシル化された炭化水素基であり、Yは、強酸性アニオン(例えば、ハライドアニオン、硫酸アニオンおよびスルホン酸アニオン)である);ここでは、臭化セチルトリメチルアンモニウムが、使用可能なカチオン性界面活性剤の一種であり、式NR’R’’R’’’のアミン塩(式中、R基は、同一または異なる、場合によってヒドロキシル化された炭化水素基である);ここでは、オクタデシルアミン塩酸塩が使用可能な前記カチオン性界面活性剤の一種であり、非イオン性界面活性剤(例えば、場合によってポリオキシエチレン化されているソルビタンエステル(特に、ポリソルベート80(Polysorbate80)またはポリオキシエチレン化アルキルエーテル);ステアリン酸ポリエチレングリコール、ヒマシ油のポリオキシエチレン化誘導体、ポリグリセロールエステル、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化脂肪酸またはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体、両性界面活性剤(例えば、ベタインの置換ラウリル化合物)が挙げられる。
対象に投与する場合、式Iの化合物および薬学的に許容され得るキャリアは無菌性であり得る。適した薬学的キャリアは、賦形剤(例えば、デンプン、グルコース、乳糖、ショ糖、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、滑石、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、ポリエチレングリコール300、水、エタノール、ポリソルベート20(polysorbate20)等)が挙げられる。本組成物は必要に応じて、少量の湿潤剤または乳化剤、あるいはpH緩衝剤を含んでもよい。
本発明の薬学的製剤は製薬分野では周知の方法によって調製される。場合によっては、1種以上の補助成分(例えば、緩衝剤、香味剤、界面活性剤等)も添加される。キャリアの選択は、前記化合物の溶解度および化学的性質、選択された投与経路および標準薬務によって決定される。
また、本発明の化合物および/または組成物は、経口投与、舌下投与または口腔投与などの既知の方法によってヒトまたは動物対象に投与される。一実施形態において、前記化合物および/または組成物は経口投与される。
経口投与の場合、本発明の化合物の製剤は、カプセル剤、錠剤、粉末剤、顆粒剤などの剤形で、あるいは懸濁剤または溶液として提供され得る。カプセル製剤は、ゼラチン、ソフトゲルまたは固体であり得る。錠剤およびカプセル製剤は、1以上のアジュバント、結合剤、希釈剤、錠剤分解物質、賦形剤、フィラーまたは潤滑剤(それぞれ当該分野で公知である)をさらに含んでもよい。これらの例には、糖質(例えば、乳糖またはショ糖)、無水リン酸水素カルシウム、コーンスターチ、マンニトール、キシリトール、セルロースまたはその誘導体、微結晶性セルロース、ゼラチン、ステアリン酸塩、二酸化ケイ素、滑石、デンプングリコール酸ナトリウム、アカシアゴム、香味剤、防腐剤、緩衝剤、錠剤分解物質および着色剤が挙げられる。経口投与される組成物は、薬学的に口当たりのよい調製物を提供するために、1種以上の任意の物質(例えば、甘味料(例えば、果糖、アスパルテームまたはサッカリン);香味剤(例えば、ペパーミント、冬緑油、サクランボ);着色剤;および防腐剤を含んでもよい。
実施形態によっては、前記組成物は、単位用量形態(例えば、錠剤、カプセル剤または単回用バイアル)である。適した単位用量(すなわち、治療有効量)は、選択された化合物の投与が示唆される状態の各々について適切にデザインされた臨床試験中に決定されてよもよく、当然、所望の臨床エンドポイントに応じて変わる。
本発明の方法によれば、本発明の化合物は、例えば対象におけるアルドース還元酵素活性に関連する症状を低減または軽減するために、治療有効量で対象に投与される。この量は、in vivoで確立された滴定曲線ならびに本明細書に開示した方法およびアッセイなど公知の手順に基づいて当業者によって迅速に決定される。
一実施形態において、当該方法は、本発明の化合物の治療有効量を投与するステップを含む。実施形態によっては、前記治療有効量は、少なくとも約0.05mg/kg体重、少なくとも約0.1mg/kg体重、少なくとも約0.25mg/kg体重、少なくとも約0.3mg/kg体重、少なくとも約0.5mg/kg体重、少なくとも約0.75mg/kg体重、少なくとも約1mg/kg体重、少なくとも約2mg/kg体重、少なくとも約3mg/kg体重、少なくとも約4mg/kg体重、少なくとも約5mg/kg体重、少なくとも約6mg/kg体重、少なくとも約7mg/kg体重、少なくとも約8mg/kg体重、少なくとも約9mg/kg体重、少なくとも約10mg/kg体重、少なくとも約15mg/kg体重、少なくとも約20mg/kg体重、少なくとも約25mg/kg体重、少なくとも約30mg/kg体重、少なくとも約40mg/kg体重、少なくとも約50mg/kg体重、少なくとも約75mg/kg体重、少なくとも約100mg/kg体重、少なくとも約200mg/kg体重、少なくとも約250mg/kg体重、少なくとも約300mg/kg体重、少なくとも約350mg/kg体重、少なくとも約400mg/kg体重、少なくとも約450mg/kg体重、少なくとも約500mg/kg体重、少なくとも約550mg/kg体重、少なくとも約600mg/kg体重、少なくとも約650mg/kg体重、少なくとも約700mg/kg体重、少なくとも約750mg/kg体重、少なくとも約800mg/kg体重、少なくとも約900mg/kg体重、または少なくとも約1000mg/kg体重である。ここに記載の用量のいずれかは上限または下限の用量範囲を構成することがあり、他の用量と組み合わせて上限および下限を含んだ用量範囲を構成することもできることを認識されたい。
実施形態によっては、前記方法は、単回の投薬または投与(例えば、単回注射または沈着(deposition)として)を含む。別法では、前記方法は、1日1回、1日2回、1日3回または1日4回、約2〜約28日間または約7〜約10日間あるいは約7〜約15日間以上、それを必要とする対象に投与するステップを含む。実施形態によっては、前記方法は慢性投与を含む。さらに他の実施形態において、前記方法は、数週間、数カ月、数年または数十年にわたって投与するステップを含む。また他の実施形態では、前記方法は、数週間にわたって投与するステップを含む。さらに他の実施形態では、前記方法は、数カ月にわたって投与するステップを含む。また他の実施形態では、前記方法は、数年間にわたって投与するステップを含む。さらに他の実施形態では、前記方法は、数十年間にわたって投与するステップを含む。
投与される用量は、周知の要因(例えば、活性成分の薬力学的特性、投与形態および投与経路;活性成分の投与時間;被投与者の年齢、性別、健康および体重;症状の性質および程度;併用治療の種類、治療頻度および所望される効果;および排泄率に応じて変化し得る。これらは投与量および/または投与計画を調整または漸増するために、当業者によっていずれも容易に決定され、使用され得る。
前記組成物に採用されるべき正確な用量は投与経路によっても左右され、投与実施者の判断および各患者の環境に従って決定されるべきである。本発明の具体的な実施形態において、本発明の化合物の適した経口投与量の範囲は一般に、約1mg/日〜約1000mg/日である。一実施形態において、経口投与量は約1mg/日〜約800mg/日である。一実施形態において、経口投与量は約1mg/日〜約500mg/日である。別の実施形態において、経口投与量は約1mg/日〜約250mg/日である。別の実施形態において、経口投与量は約1mg/日〜約100mg/日である。別の実施形態において、経口投与量は約5mg/日〜約50mg/日である。別の実施形態において、経口投与量は約5mg/日である。別の実施形態において、経口投与量は約10mg/日である。別の実施形態において、経口投与量は約20mg/日である。別の実施形態において、経口投与量は約30mg/日である。別の実施形態において、経口投与量は約40mg/日である。別の実施形態において、経口投与量は約50mg/日である。別の実施形態において、経口投与量は約60mg/日である。別の実施形態において、経口投与量は約70mg/日である。別の実施形態において、経口投与量は約100mg/日である。ここに記載の用量のいずれかは上限または下限の用量範囲を構成することがあり、他の用量と組み合わせて上限および下限を含んだ用量範囲を構成することもできることを認識されたい。
本発明の化合物および/または組成物のいずれも、前記化合物および/または組成物を含むキットとして提供され得る。したがって、一実施形態において、本発明の化合物および/または組成物はキットとして提供される。
当業者であれば、通常の実験を用いるだけで、本明細書に記載された本発明の具体的な実施形態との多くの同等物を認識するか、あるいは確認することができるであろう。そのような同等物は、本発明の範囲の範囲内にあることを意図している。
以下の非限定的な実施例によって本発明をさらに説明する。
実施例
本発明をさらに完全に理解するために実施例を以下に示す。以下の実施例は、本発明を製造および実施する例示的な形態を説明するためのものである。しかし、本発明の範囲はこれらの実施例に開示の具体的な実施形態に限定されものと解釈すべきではなく、実施例は単なる例示である。
実施例1:化合物Aの調製
以下に概略的に示すように化合物Aを調製した。
(E)/(Z)‐tert‐ブチル2‐(7‐オキソフロ[3,4‐b]ピラジン‐5(7H)‐イリデン)酢酸塩(化合物1)の調製
CHCl300mL中の撹拌した5.05g(33.63mmol)の市販の2,3‐ピラジンジカルボン酸無水物溶液に、12.34g(33.63mmol)の(tert‐ブトキシカルボニルメチレン)‐トリフェニルホスホランを加えた。得られた溶液を2日間で62℃まで加熱した。この反応混合物を真空濃縮し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィにより残渣を精製し(薄層クロマトグラフィによってモニターした)、ヘキサン:酢酸エチル1:1(体積比)で溶離した。収集した画分を蒸発させ、分離されなかった幾何異性体(約1:1)の混合物として2.99g(収率36%)の(E)/(Z)‐tert‐ブチル2‐(7‐オキソフロ[3,4‐b]ピラジン‐5(7H)‐イリデン)酢酸塩(化合物1)を得た:H NMR(CDCl,300MHz):δppm9.03(d、J=2.4Hz,1H),8.96(d、J=2.4Hz,1H),8.92(d、J=2.4Hz,1H),8.90(d、J=2.4Hz,1H),6.32(s,2H),1.58(s,18H)。
tert‐ブチル2‐(8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物2)の調製
エタノール600mL中の撹拌した9.42g(37.99mmol)の(E)/(Z)‐tert‐ブチル2‐(7‐オキソフロ[3,4‐b]ピラジン‐5(7H)‐イリデン)酢酸塩(化合物1)溶液に、1.25mL(39.90mmol)のヒドラジンを加えた。得られた溶液を3時間で80℃にした。次いで、反応混合物を真空濃縮し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィにより残渣を精製し(薄層クロマトグラフィによってモニターした)、塩化メチレン:メタノール19:1(体積比)で溶離した。収集した画分を蒸発させ、7.78g(収率78%)のtert‐ブチル2‐(8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物2)を得た:H NMR(CDCl,300MHz):δppm10.67(br s,1H),9.06(d、J=2.1Hz,1H),9.04(d、J=2.1Hz,1H),4.02(s,2H),1.43(s,9H)。
tert‐ブチル2‐(8‐オキソ‐7‐((5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾール‐2‐イル)メチル)‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物4)の調製
DMF300mL中の撹拌した7.78g(29.58mmol)のtert‐ブチル2‐(8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物2)溶液に、3.49g(31.06mmol)のカリウムtert‐ブトキシドを加えた。得られた反応混合物を室温で0.5時間撹拌した。次に、DMF20mL中の7.80g(31.06mmol)の2‐(クロロメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾール(化合物3)溶液を加え、得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、前記反応混合物を酢酸エチルと水との間で分離させ、層を分離し、酢酸エチル層を多量の水で洗浄した(3回)。有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィにより残渣を精製し(薄層クロマトグラフィによってモニターした)、ヘキサン:酢酸エチル3:1(体積比)〜ヘキサン:酢酸エチル1:1(体積比)の勾配で溶離した。次いで、得られた残渣を再びシリカゲルクロマトグラフィにかけ、塩化メチレン:メタノール49:1(体積比)で溶離した。収集した画分を蒸発させ、6.88g(収率48%)のtert‐ブチル2‐(8‐オキソ‐7‐((5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾール‐2‐イル)メチル)‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物4)を得た:H NMR(CDCl,300MHz):δppm9.08(d、J=2.1Hz,1H),9.04(d、J=2.1Hz,1H),8.27(s,1H),7.94(d、J=8.4Hz,1H),7.61(d、J=8.4Hz,1H),5.89(s,2H),4.04(s,2H),1.42(s,9H)。
2‐(8‐オキソ‐7‐((5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾール‐2‐イル)メチル)‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物A)の調製
CHCl41mL中の撹拌した6.0g(12.55mmol)のtert‐ブチル2‐(8‐オキソ‐7‐((5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ‐[d]チアゾール‐2‐イル)メチル)‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物4)溶液に82mLのTFAを加えた。得られた反応混合物を室温で1時間撹拌した。次に、反応混合物を真空濃縮し、残渣を水中の酢酸エチルと1.0M KOHとの間で分離させた。この層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した(2回)。水層を濃塩酸でpH約2に酸性化させ、次に酢酸エチルで抽出した(3回)。2回目の抽出からの有機物をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィにより残渣を精製し(薄層クロマトグラフィによってモニターした)、塩化メチレン:1%(体積比)の酢酸を含むメタノール19:1(体積比)で溶離した。収集した画分を蒸発させ、2.30g(収率44%)の2‐(8‐オキソ‐7‐((5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾール‐2‐イル)メチル)‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸(化合物A)を固体として得た:H NMR(DMSO‐d,300MHz):δppm9.26(d、J=2.1Hz,1H),9.22(d、J=2.1Hz,1H),8.37(s,1H),8.35(d、J=8.4Hz,1H),7.79(d、J=8.4Hz,1H),5.88(s,2H),4.03(s,2H);m.p.=192〜193℃。
実施例2:化合物Aの別の調製法
2‐(ヨードメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾール(化合物5)の調製
アセトン86mL中の撹拌した10.79g(42.97mmol)の2‐(クロロメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾール(化合物3)溶液に7.40g(49.42mmol)のヨウ化ナトリウムを加えた。得られた反応混合物を1時間で55℃まで加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、真空濃縮した。残渣をEtOAcと水との間に分割し、層を分離し、有機層を水で洗浄した(1回)。次いで、回収した有機層を1.0M Naで処理し、15分間激しく撹拌した。次いで、この層を分離し、有機層を順に水(1回)およびブライン(1回)で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空濃縮し、14.28g(粗収率97%)の2‐(ヨードメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾール(化合物5)を得、さらに精製せずに用いた:H NMR(CDCl,300MHz):δppm8.26(s,1H),7.95(d、J=8.4Hz,1H),7.66(d、J=8.4Hz,1H),4.80(s,2H)。
3‐(メトキシカルボニル)ピラジン‐2‐カルボン酸(化合物6)の調製
MeOH282mL中の12.0g(79.95mmol)の2,3‐ピラジンジカルボン酸無水物溶液を一晩で65℃まで加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、真空濃縮した。得られた残渣に水を加え、その後、固体NaHCOをゆっくりと添加した。ガス発生が収まった後、水層をEtOAc(1回)で抽出した。次いで、濃塩酸を加えることによって水層をpH2に酸性化させた。水層をEtOAcで抽出し(2回)2回目の抽出からの混ざり合った有機物をブラインで洗浄した(1回)。有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空濃縮し、12.41g(粗収率85%)の3‐(メトキシカルボニル)ピラジン‐2‐カルボン酸(化合物6)を白色粉末として得、さらに精製せずに用いた。:H NMR(DMSO、300MHz):δppm8.91(d、J=2.7Hz,1H),8.89(d、J=2.7Hz,1H),3.91(s,3H)。
tert‐ブチル2‐(8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物2)の調製
フラスコ#1では、DMF88mL中の12.23g(67.22mmol)の3‐(メトキシカルボニル)ピラジン‐2‐カルボン酸(化合物6)溶液を12.53g(77.28mmol)のCDIでゆっくりと処理した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。
別のフラスコ(フラスコ#2)では、0℃に冷却した147mLのDMFに8.32g(87.39mmol)のMgClを段階的に添加した。0℃で5分間撹拌した後、13.5mL(87.39mmol)のモノ‐tert‐ブチルマロン酸塩および37.4mL(269mmol)のトリエチルアミンを加え、得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した。2時間後、フラスコ#1の中身をフラスコ#2に加え、併せた反応混合物を室温で一晩撹拌した。次に、反応混合物を0℃に冷却した1.0M HCl水溶液に注ぎ、15分間撹拌した。この混合物にEtOを加え、層を分離し、エーテル性の層を順に水(1回)、飽和NaHCO水溶液(1回)、水(1回)およびブライン(1回)で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空濃縮し、粗メチル3‐(3‐(tert‐ブトキシ)‐3‐オキソプロパノイル)ピラジン‐2‐カルボン酸塩(化合物7)を得、さらに精製せずに用いた。
粗メチル3‐(3‐(tert‐ブトキシ)‐3‐オキソプロパノイル)ピラジン‐2‐カルボン酸塩(化合物7)を250mLのMeOHに入れ、得られた溶液を0℃まで冷却した。次に、2.2mL(70.58mmol)のヒドラジンを液滴状に加え、反応混合物を室温まで1時間加熱した。1時間後、反応混合物を真空濃縮し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィにより残渣を精製し(薄層クロマトグラフィによってモニターした)、塩化メチレン:メタノール19:1(体積比)で溶離した。収集した画分を蒸発させ、黄色固体を得、EtOAc中での再結晶化による精製を行って、13.23g(収率75%)のtert‐ブチル2‐(8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物2)を得た:H NMR(CDCl,300MHz):δppm10.3(br s,1H),9.06(d、J=2.1Hz,1H),9.04(d、J=2.1Hz,1H),4.02(s,2H),1.43(s,9H)。
tert‐ブチル2‐(8‐オキソ‐7‐((5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾール‐2‐イル)メチル)‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物4)の調製
NMP67mL中の激しく撹拌した2.5g(9.54mmol)のtert‐ブチル2‐(8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物2)溶液に、3.12g(9.09mmol)の2‐(ヨードメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾール(化合物5)および1.51g(10.9mmol)のKCO。を加えた。得られた反応混合物を光から遮蔽し、室温で5時間撹拌した。次に、この反応混合物にEtOおよび水を加え、層を分離し、水層をEtO(1回)で抽出した。次いで、混ざり合ったエーテル層を順にHO(1回)、1.0M KOH(1回)、1.0M Na(1回)、1.0M HCl(1回)およびブライン(1回)で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィにより残渣を精製し(薄層クロマトグラフィによってモニターした)、塩化メチレン:メタノール49:1(体積比)で溶離した。収集した画分を蒸発させ、4.03g(収率93%)のtert‐ブチル2‐(8‐オキソ‐7‐((5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾール‐2‐イル)メチル)‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物4)を得た。
2‐(8‐オキソ‐7‐((5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾール‐2‐イル)メチル)‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸(化合物A)の調製
(化合物4の脱保護は別個の2つのフラスコで行ったが、検査および精製を行う前に、この2つの反応混合物を混ぜ合わせた)
一方のフラスコでは、3.09g(6.49mmol)のtert‐ブチル2‐(8‐オキソ‐7‐((5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾール‐2‐イル)メチル)‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物4)を30mLのギ酸(水中で88%)および3.0mLの水に溶解させた。別のフラスコでは、4.95g(10.37mmol)の化合物4を48mLのギ酸(水中で88%)および5.0mLの水に溶解させた。反応混合物を室温で別個に22時間撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、残渣を併せた。併せた残渣をEtOと飽和NaHCO水溶液との間に分割し、層を分離し、水層をEtOで抽出した(1回)。濃塩酸を添加することにより水層をpH2まで酸性化させ、EtOAcにより抽出した(3回)。第2の抽出からの有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィにより残渣を精製し(薄層クロマトグラフィによってモニターした)、塩化メチレン:1%AcOHを含むメタノール97:3(体積比)で溶離した。収集した画分を蒸発させ、5.29g(収率75%)の2‐(8‐オキソ‐7‐((5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾール‐2‐イル)メチル)‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸(化合物A)を固体として得た。この固体をMeOHからの再結晶化によりさらに精製すると、オフホワイト色の固体が得られる:m.p.=210〜211℃。
実施例3:化合物8の調製
以下に記載の化合物8を次の通り調製した:
上記と同じモル比を用い、化合物4について記載した調製法を繰り返したが、2‐(クロロメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾールに代えて5‐クロロ‐2‐(クロロメチル)‐ベンゾ[d]チアゾールを試薬として用いた。この場合、得られた最終産物はtert‐ブチル2‐(7‐((5‐クロロベンゾ[d]チアゾール‐2‐イル)メチル)‐8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物8)であった(収率75%):H NMR(CDCl,300MHz):δppm9.08(s,1H),9.05(s,1H),8.00(s,1H),7.74(d、J=8.7Hz,1H),7.36(d、J=8.7Hz,1H),5.87(s,2H),4.04(s,2H),1.41(s,9H)。
実施例4:化合物Bの調製
以下に示す化合物Bを次の通り調製した。
化合物8について記載した調製法を繰り返した。化合物4から化合物Aを得るために実施例1に記載したスキームを実施したが、化合物4は化合物8に代えた。この場合、得られた最終産物は2‐(7‐((5‐クロロベンゾ[d]チアゾール‐2‐イル)メチル)‐8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸(化合物B)(収率51%)であった:H NMR(DMSO‐d,300MHz):δppm9.26(d、J=2.1Hz,1H),9.21(d、J=2.1Hz,1H),8.13(d、J=8.7Hz,1H),8.09(d、J=2.4Hz,1H),7.51(dd、J=8.7,2.4Hz,1H),5.83(s,2H),4.02(s,2H);m.p.=196〜197℃。
実施例5:化合物9の調製
上記と同じモル比を用い、化合物4について記載した調製法を繰り返したが、2‐(クロロメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾールに代えて2‐(ブロモメチル)‐5‐フルオロベンゾ[d]チアゾールを試薬として用いた。この場合、得られた最終産物はtert‐ブチル2‐(7‐((5‐フルオロベンゾ[d]チアゾール‐2‐イル)メチル)‐8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物9)(収率73%)であった:H NMR(CDCl,300MHz):δppm9.09(d、J=1.8Hz,1H),9.05(d、J=1.8Hz,1H),7.77(dd、J=8.7Hz,4.8Hz,1H),7.71(dd、J=9.3Hz,2.7Hz,1H),7.16(ddd、J=8.7Hz,8.7Hz,2.7Hz,1H),5.88(s,2H),4.05(s,2H),1.42(s,9H)。
実施例6:化合物10の調製
化合物4から化合物Aを得るために実施例1に記載したスキームを実施したが、化合物4は化合物9に代えた。この場合、得られた最終産物は2‐(7‐((5‐フリオロベンゾ[d]チアゾール‐2‐イル)メチル)‐8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸(化合物10)(収率63%)であった:H NMR(DMSO‐d,300MHz):δppm9.25(d、J=2.1Hz,1H),9.21(d、J=2.1Hz,1H),8.12(dd、J=9.0Hz,5.7Hz,1H),7.85(dd、J=9.9Hz,2.4Hz,1H),7.36(ddd、J=9.0Hz,9.0Hz,2.4Hz,1H),5.82(s,2H),4.02(s,2H)。
実施例7:化合物11の調製
上記と同じモル比を用い、化合物4について記載した調製法を繰り返したが、2‐(クロロメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾールに代えて2‐(ブロモメチル)ベンゾ[d]チアゾールを試薬として用いた。この場合、得られた最終産物はtert‐ブチル2‐(7‐(ベンゾ[d]チアゾール‐2‐イルメチル)‐8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物11)(収率63%)であった:H NMR(CDCl,300MHz):δppm9.07(d、J=1.8Hz,1H),9.03(d、J=1.8Hz,1H),8.02(d、J=7.5Hz,1H),7.83(d、J=7.5Hz,1H),7.46(ddd、J=7.5Hz,7.5Hz,1.2Hz,1H),7.37(ddd、J=7.5Hz,7.5Hz,1.2Hz,1H),5.89(s,2H),4.04(s,2H),1.41(s,9H)。
実施例8:化合物12の調製
化合物4から化合物Aを得るために実施例1に記載したスキームを用いたが、化合物4は化合物11に代えた。この場合、得られた最終産物は2‐(7‐(ベンゾ[d]チアゾール‐2‐イルメチル)‐8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸(化合物12)(収率67%)であった:H NMR(DMSO‐d,300MHz):δppm9.26(d、J=2.1Hz,1H),9.22(d、J=2.1Hz,1H),8.08(dd、J=7.5Hz,1.2Hz,1H),7.99(dd、J=8.1Hz,1.2Hz,1H),7.52(ddd、J=8.1Hz,8.1Hz,1.2Hz,1H),7.45(ddd、J=7.5Hz,7.5Hz,1.2Hz,1H),5.83(s,2H),4.03(s,2H)。
実施例9:化合物13の調製
上記と同じモル比を用い、化合物4について記載した調製法を繰り返したが、2‐(クロロメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾールに代えて2‐(クロロメチル)‐1‐メチル‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールを試薬として用いた。この場合、得られた最終産物はtert‐ブチル2‐(7‐((1‐メチル‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐2‐イル)メチル)‐8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物13)(収率50%)であった:H NMR(CDCl,300MHz):δppm9.04(d、J=2.1Hz,1H),9.02(d、J=2.1Hz,1H),7.74(dd、J=7.2Hz,1.2Hz,1H),7.35(ddd,J=7.2Hz,7.2Hz,1.2Hz,1H),7.29‐7.22(m,2H),5.77(s,2H),4.05(s,2H),3.97(s,3H),1.40(s,9H)。
実施例10:化合物14の調製
化合物4から化合物Aを得るために実施例1に記載したスキームを実施したが、化合物4は化合物13に代えた。この場合、得られた最終産物は2‐(7‐((1‐メチル‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐2‐イル)メチル)‐8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸(化合物14)(収率88%)であった:H NMR(DMSO‐d,300MHz):δppm9.26(d、J=2.1Hz,1H),9.21(d、J=2.1Hz,1H),7.70(d、J=8.4Hz,1H),7.61(d、J=8.1Hz,1H),7.37(dd、J=7.8Hz,7.8Hz,1H),7.29(dd、J=7.8Hz,7.8Hz,1H),5.81(s,2H),4.00(s,2H),3.97(s,3H)。
実施例11:化合物15の調製
CHCl4.0mL中の0.100g(0.427mmol)の2‐(クロロメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール溶液に順に0.103g(0.470mmol)の(Boc)O、0.010g(0.854μmol)のDMAPおよび71μL(0.512mmol)のTEAを加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を真空濃縮し、残渣をCHClと飽和NaHCO水溶液との間に分割した。層を分離し、有機物をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。粗残渣をさらに精製を行わずに用いた。
上記と同じモル比を用い、化合物4について記載した調製法を繰り返したが、2‐(クロロメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾールに代えて上記からの粗残渣を試薬として用いた。この場合、得られた最終産物はtert‐ブチル2‐((8‐(2‐(tert‐ブトキシ)‐2‐オキソエチル)‐5‐オキソピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐6(5H)‐イル)メチル)‐5‐(トリフルオロメチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐1‐カルボン酸塩(化合物15)(収率44%)の異性体の混合物であった:H NMR(CDCl,300MHz):δppm9.09‐9.06(m,4H),8.26(s,1H),8.03(m,1H),7.83(s,1H),7.64‐7.50(m,3H),5.96(s,4H),4.04(s,4H),1.76(s,18H),1.42(s,18H)。
実施例12:化合物16の調製
化合物4から化合物Aを得るための実施例1記載したスキームを実施したが、化合物4は化合物15に代えた。この場合、得られた最終産物は2‐(8‐オキソ‐7‐((5‐(トリフルオロメチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐2‐イル)メチル)‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸(化合物16)(収率68%)であった:H NMR(DMSO‐d,300MHz):δppm9.26(d、J=2.1Hz,1H),9.21(d、J=2.1Hz,1H),7.88(s,1H),7.69(d、J=8.4Hz,1H),7.49(d、J=8.4Hz,1H),5.67(s,2H),4.00(s,2H)。
実施例13:化合物17の調製
上記と同じモル比を用い、化合物4について記載した調製法を繰り返したが、2‐(クロロメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾールに代えてtert‐ブチル2‐(クロロメチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐1‐カルボン酸塩を試薬として用いた。この場合、得られた最終産物はtert‐ブチル2‐((8‐(2‐(tert‐ブトキシ)‐2‐オキソエチル)‐5‐オキソピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐6(5H)‐イル)メチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐1‐カルボン酸(化合物17)(収率81%)であった:H NMR(CDCl,300MHz):δppm9.08(d、J=2.1Hz,1H),9.04(d、J=2.1Hz,1H),7.92(d、J=8.7Hz,1H),7.54(d、J=7.5Hz,1H),7.33‐7.22(m,2H),5.95(s,2H),4.04(s,2H),1.74(s,9H),1.41(s,9H)。
実施例14:化合物18の調製
化合物4から化合物Aを得るための実施例1に記載のスキームを実施したが、化合物4は化合物17に代えた。この場合、得られた最終産物は2‐(7‐((1H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐2‐イル)メチル)‐8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸(化合物18)(収率69%)であった:H NMR(DMSO‐d,300MHz):δppm9.26(d、J=2.1Hz,1H),9.21(d、J=2.1Hz,1H),7.56‐7.53(m,2H),7.24‐7.20(m,2H),5.66(s,2H),4.00(s,2H)。
実施例15:化合物19の調製
上記と同じモル比を用い、化合物4について記載した調製法を繰り返したが、2‐(クロロメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾールに代えて3‐(ブロモメチル)‐5‐クロロベンゾ[b]チオフェンを試薬として用いた。この場合、得られた最終産物はtert‐ブチル2‐(7‐((5‐クロロベンゾ[b]チオフェン‐3‐イル)メチル)‐8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物19)(収率69%)であった。:H NMR(CDCl,300MHz):δppm9.02(s,1H),8.98(s,1H),8.19(d、J=1.8Hz,1H),7.73‐7.70(m,2H),7.30‐7.27(m,1H),5.63(s,2H),4.02(s,2H),1.40(s,9H)。
実施例16:化合物20の調製
化合物4から化合物Aを得るための実施例1に記載したスキームを実施したが、化合物4は化合物19に代えた。この場合、得られた最終産物は2‐(7‐((5‐クロロベンゾ[b]チオフェン‐3‐イル)メチル)‐8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸(化合物20)(収率80%)であった:H NMR(DMSO‐d,300MHz):δppm9.19(d、J=1.8Hz,1H),9.16(d、J=1.8Hz,1H),8.18(d、J=1.8Hz,1H),8.03(d、J=8.4Hz,1H),7.79(s,1H),7.41(dd、J=8.4Hz,1.8Hz,1H),5.59(s,2H),3.97(s,2H)。
実施例17:化合物21の調製
上記と同じモル比を用い、化合物4について記載した調製法を繰り返したが、2‐(クロロメチル)‐5‐(トリフルオロメチル)ベンゾ[d]チアゾールに代えて5‐クロロ‐2‐(クロロメチル)ベンゾフランを試薬として用いた。この場合、得られた最終産物はtert‐ブチル2‐(7‐((5‐クロロベンゾフラン‐2‐イル)メチル)‐8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸塩(化合物21)(収率60%)であった:H NMR(CDCl,300MHz):δppm9.06(s,1H),9.02(s,1H),7.48(d、J=2.1Hz,1H),7.33(d、J=8.7Hz,1H),7.19(dd、J=8.7Hz,2.1Hz,1H),6.76(s,1H),5.59(s,2H),4.03(s,2H),1.41(s,9H)。
実施例18:化合物22の調製
化合物4から化合物Aを得るための実施例1に記載したスキームを実施したが、化合物4は化合物21に代えた。この場合、得られた最終産物は2‐(7‐((5‐クロロベンゾフラン‐2‐イル)メチル)‐8‐オキソ‐7,8‐ジヒドロピラジノ[2,3‐d]ピリダジン‐5‐イル)酢酸(化合物22)(回収率74%)であった:H NMR(DMSO‐d,300MHz):δppm9.22(d、J=2.1Hz,1H),9.19(d、J=2.1Hz,1H),7.68(d、J=2.1Hz,1H),7.58(d、J=8.7Hz,1H),7.30(dd、J=8.7Hz,2.1Hz,1H),6.91(s,1H),5.56(s,2H),3.98(s,2H)。
実施例19:緩衝液中の化合物A対ゾポルレスタットの可溶性試験
化合物Aは、NaCl118、KCl4.7、CaCl2.5、MgCl1.2、NaHCO25、グルコース5、パルミチン酸0.4、ウシ血清アルブミン0.4(単位mM)およびインスリン70mU/Lを含有するKrebs‐Henseleit緩衝液に溶解したとき、ゾポルレスタット(以下に示す)よりも優れた溶解性を示した。
化合物AをKrebs‐Henseleit緩衝液に加えると、沈殿または混濁することなく溶解した。ゾポルレスタットの場合、加熱してゾポルレスタットをKrebs‐Henseleit緩衝液に溶解させた。これらの結果からは、ゾポルレスタットの溶解性よりも化合物Aの溶解性が改善したことがわかる。
実施例20:化合物A対ゾポルレスタットの水への溶解度試験
化合物Aおよびゾポルレスタットの各試料を別個に室温の水(MQW ultra nanopure)に入れ、3分間ボルテックスした。次いで、一定分量を緻密な綿栓(ピペットに設置)で濾過して残っている固体物を除去した。作製した化合物Aおよびゾポルレスタットの個々の溶液の試みた濃度は、0.05mg/mL、0.1mg/mL、0.5mg/mL、1.0mg/mL、5.0mg/mLおよび10.0mg/mLであった。使用した水のpHは7.1であった(Orion perpHect LogR Meter Model#370により電子的に測定)。
濾過した試料を二成分勾配(プログラム:5%‐100%MeCN、30分以上)でLC‐MS(島津製作所LCMS‐2010A液体クロマトグラフィ質量分析計、逆相カラム)にかけた。1回当たり各試料溶液5μLを注入した。各トレースは、個々の親イオンの質量を観察した場合の波長254nmで測定したピーク(化合物Aでは、T約14.070分;ゾポルレスタットでは、T約16.666分)を含んでいた。
作製した各水溶液中の化合物Aおよびゾポルレスタットに対応するピーク下の吸収面積(表1)を比較することによって、各化合物の溶解度曲線を生成した(図1)。測定データおよび生成した溶解度曲線から、化合物AはpH7.1の水ではいずれの濃度でも室温ではゾポルレスタットよりも溶解度が有意に高いことがわかる。
実施例21:化合物A対ゾポルレスタットのin vitro試験
Sato,S.(1992)の「Rat kidney aldose reductase and aldehyde reductase and polyolproduction in rat kidney」Am.J.Physiol.263,F799.F805(その全体を参照により本明細書に組み込む)に記載されているように、25℃で45分間NADPHを減少させることに従って、化合物Aおよびゾポルレスタットの還元酵素活性を分光光度法で試験した。
要約すると、反応混合物(全量1ml)は、pH6.2の0.1Mリン酸緩衝液中に0.1mM NADPH、100mM の基質(DL‐グリセルアルデヒドまたはL‐キシロース)およびヒト組換えアルドース還元酵素(100mU)を含んでいた。D‐グリセルアルデヒドおよびNADPHを用いて、AR阻害についてマイクロプレートアッセイで直接比較試験を行い、吸光度の変化を340nmでモニターし、ARIについて0.1nM〜100μMの範囲の濃度で阻害率(%)を算出した(表2および図2)。データは平均±標準偏差として示し、別個の5回の操作の平均である。前記反応は基質(グリセルアルデヒドまたはキシロース)および同じ反応混合物を添加することにより開始し、脱イオン水によって置換された基質を対照として用いた。1酵素単位(U)を25℃で1分間に1マイクロモルのNADPHを消費する活性として定義した。
結果から、化合物Aの阻害能力はゾポルレスタットよりも有意に高いことがわかる。in vitroでは化合物Aはアルドース還元酵素に対してゾポルレスタットよりも活性が約100倍高い。
実施例22:化合物Aのex vivo試験.
いずれのラット試験もコロンビア大学動物実験委員会(ニューヨーク州)の認可を受けて実施した。本試験は米国国立衛生研究所(NIH交付番号第85‐23号(1996年)(その全体を参照により本明細書に組み込む))発行の実験動物の管理と使用に関する指針(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)に従った。
Hwang YC,Sato S,Tsai JY,Yan S,Bakr S,Zhang H,Oates PJ,Ramasamy R(2002)の「Aldose reductase activation is a key component of myocardial response to ischemia」,Faseb J.16,243‐245およびRamasamy R,Hwang YC,Whang J,Bergmann SR(2001)の「Protection of ischemic hearts by high glucose is mediated,in part,by GLUT‐4」American Journal of Physiology.281,H290‐297(各々の全体を参照により本明細書に組み込む)に記載されているように、実験は同じ大きさの単離ラット心調製物を用いて行った。
雄ウィスター系ラット(300.350g、3〜4カ月齢)をケタミン(80mg/kg)とキシラジン(10mg/kg)との混合物により麻酔した。深麻酔が得られた後、心を迅速に切除し、氷冷生食水に入れ、12.5ml/分の速度で動脈を介して非再循環モードで37℃で逆行的に灌流した。NaCl118、KCl4.7、CaCl2.5、MgCl1.2、NaHCO25、グルコース5、パルミチン酸0.4、ウシ血清アルブミン0.4(単位mM)およびインスリン70mU/Lを含む修正したKrebs‐Henseleit緩衝液を用いて心を灌流した。灌流液を95%O/5%COの混合液で平衡化し(Po>600mmHgを維持し)た。ラテックス製の風船を左室に用いて最大左心室圧(LVDP)および左室拡張末期圧(LVEDP)を測定した。ADIレコーダーを用いてLVDP、心拍数および冠灌流圧を継続的に監視した。全ラット心を20分間の血流を完全に遮断した(zero flow)の虚血および60分間の再灌流(I/R)に供した。
アルドース還元酵素阻害剤の使用を含む試験では、最終濃度100nMで化合物A(以下に示す)を含む修正したKrebs‐Henseleit緩衝液で心を虚血前に10分間灌流し、灌流プロトコルを通して継続した。Hwang YC,Sato S,Tsai JY,Yan S,Bakr S,Zhang H,Oates PJ,Ramasamy R(2002)の「Aldose reductase activation is a key component of myocardial response to ischemia」Faseb J.16,243‐245およびRamasamy R,Hwang YC,Whang J,Bergmann SR(2001)の「Protection of ischemic hearts by high glucose is mediated,in part,by GLUT‐4」American journal of physiology.281,H290‐297(各々の全体を参照により本明細書に組み込む)に記載されているように、心筋I/R損傷のマーカーであるクレアチンキナーゼ(CK)の放出を測定した
化合物A
要約すると、単離した灌流後の心を虚血再灌流(I/R)障害に供し、心外傷および心機能の尺度を監視した。心虚血障害のマーカーである再灌流中のクレアチンキナーゼ(CK)放出量は治療していない心よりも化合物Aで治療したラット心では低下した(表3A)。I/R後、最大左心室圧(LVDP)は治療していない心と比較して化合物Aで治療したラットの心では回復が大きかったことから(表3B)、化合物Aで治療した心では機能回復が改善したことが示唆される。
本発明を上記実施形態において記載し説明してきたが、本開示内容は単なる例示として示したものであり、本発明の範囲および精神から逸脱しなければ、本発明の実施の詳細部には多数の変更が可能であり、これは添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることを理解されたい。開示の実施形態の特徴は、本発明の範囲および精神内であれば、種々の様式で組み合わせ可能であり、再構成可能である。

Claims (17)


  1. によって表される化合物、または薬学的に許容され得るその塩または溶媒和物。
  2. 請求項1に記載の化合物および薬学的に許容され得るキャリアを含む、医薬組成物。
  3. 当該組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することにより、対象のアルドース還元酵素活性を阻害するための、請求項に記載の医薬組成物。
  4. 前記対象が糖尿病患者である、請求項に記載の医薬組成物。
  5. 前記対象がヒトである、請求項またはに記載の医薬組成物。
  6. 当該組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することにより、対象の疾患を治療するための、請求項に記載の医薬組成物。
  7. 前記疾患がアテローム性動脈硬化症である、請求項に記載の医薬組成物。
  8. 前記疾患が糖尿病性腎症である、請求項に記載の医薬組成物。
  9. 前記疾患が糖尿病性神経障害である、請求項に記載の医薬組成物。
  10. 前記疾患が糖尿病性網膜症である、請求項に記載の医薬組成物。
  11. 前記疾患が循環器系疾患である、請求項に記載の医薬組成物。
  12. 前記疾患が末梢血管疾患である、請求項に記載の医薬組成物。
  13. 前記疾患が血管形成障害である、請求項に記載の医薬組成物。
  14. 前記疾患が組織障害である、請求項に記載の医薬組成物。
  15. 当該組成物の治療有効量を、それを必要とする対象の皮膚基質に塗布することにより、皮膚疾患を治療するか、皮膚の健康な老化を促進するための、請求項に記載の医薬組成物。
  16. 皮膚基質がヒト皮膚である、請求項15に記載の医薬組成物。
  17. 当該組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することにより、進行性心筋梗塞を有する対象を治療するための、請求項に記載の医薬組成物。
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