JP5933696B2 - 金属溶解炉及び金属溶解炉における溶湯生成方法 - Google Patents

金属溶解炉及び金属溶解炉における溶湯生成方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属溶解炉及び金属溶解炉における溶湯生成方法に関する。
地球温暖化防止の観点から二酸化炭素の排出削減を促進する技術は様々な分野で提案されている。金属を溶解して溶湯を生成する金属溶解炉においても、ガスなどの化石燃料の使用を極力抑えるために、電気エネルギーを併用するいわゆるハイブリッド型の金属溶解炉が存在する(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に開示されている金属溶解炉は、金属の溶解には熱効率の高いガスバーナーを用い、溶解によって生成された溶湯の保温には電気ヒーターを用いるハイブリッド型の金属溶解炉である。
図11は、特許文献1に開示されている金属溶解炉900を説明するために示す図である。特許文献1に開示されている金属溶解炉900(以下では、単に「金属溶解炉900」という場合もある。)は、本発明の出願人によって出願されたものであって、図11に示すように、溶湯保温装置910と、燃焼装置930とを有している。溶湯保温装置910は、坩堝911と、坩堝911を収納する坩堝収納筐体912とを有している。
坩堝収納筐体912は、耐熱性部材でなる耐熱壁913と断熱性部材でなる断熱壁914とによる2重壁構造となっている。また、耐熱壁913の内壁面には、当該内壁面を一周するように帯状のヒーター(電気ヒーターとする。)915が複数本設けられている。
また、坩堝収納筐体912の上端部には、蓋体916が、坩堝911における開口部側の端部の外周を取り囲むように設けられている。この蓋体916は、保温室917の密閉性を保持する機能を有する。このような蓋体916を設けることによって、保温室917の保温効果を高めることができるとともに、燃焼装置930のバーナー934が作動している際に、バーナー934による燃焼熱及び燃焼ガスが保温室917に流入するのを防止することができる。
燃焼装置930は、燃焼装置筐体931と、燃焼装置筐体931の上端部に設けられたバーナー934とを有し、当該燃焼装置930は、溶湯保温装置910に対して着脱自在となっている。
燃焼装置筐体931は、耐熱性部材でなる耐熱壁932と断熱性部材でなる断熱壁933とによる2重壁構造を有している。そして、燃焼装置930が溶湯保温装置910に装着された状態(図11に示す状態)となると、耐熱壁932と坩堝911の開口部と間には燃焼室935が形成される。
バーナー934は、坩堝110内に入れられたアルミニウムなどの被溶解金属950を直火で溶解するものであり、化石燃料として例えばLPG(液化プロパンガス)を燃料供給パイプ936から取り込むとともに燃焼に必要な空気を空気取り込み口937から取り込んでノズル938から火炎を発射する。
また、燃焼装置筐体931と坩堝収納筐体912との間には断熱材でなる耐熱性シール材940が設けられる。この耐熱性シール材940は、燃焼装置930を溶湯保温装置910に装着した状態としたときに、燃焼装置930を坩堝収納筐体912に設けられている蓋体916に密着させるためのものである。
このような耐熱性シール材940を設けることによって、燃焼装置930の燃焼室935の密閉性を高めることができる。これにより、バーナー934の燃焼熱を外部に逃さないようにすることができるので、被溶解金属950を溶解する際の熱効率を高めることができる。また、バーナー934の燃焼熱及び燃焼ガスが保温室917に流入するのを防止する効果をより高めることができる。
このように構成された金属溶解炉900は、被溶解金属950の溶解には熱効率の高いバーナー934を用い、生成された溶湯の保温には電気ヒーター915を用いたハイブリッド型の金属溶解炉であるため、ガスバーナーだけを用いて溶解と保温とを行う金属溶解炉に比べれば二酸化炭素の排出量を大幅に削減することができる。また、金属溶解炉900は、「坩堝」を用いたいわゆる坩堝式溶解炉である。坩堝式溶解炉は、連続式溶解炉とは異なり、坩堝の中に被溶解金属を入れて、坩堝を加熱することによって溶湯を生成するものである。このため、連続式溶解炉のような大量生産向きではないが、不純物除去装置などによる不純物除去作業を適切に行うことができ、高品質、多品種、少量生産に適した金属溶解炉である。
また、金属溶解炉900は、ガスだけを用いた金属溶解炉に比べて、溶解効率が高いという特徴もある。すなわち、ガスだけを用いた金属溶解炉は、被溶解金属950を溶解する際の溶解初期においては、ガスの炎が各被溶解金属950の隙間に入り込んで行き、被溶解金属950は効率よく溶解して行くが、溶解が進んで溶湯が生成された状態となったときには、ガスの炎は溶湯の表面にしか当たらないこととなり、坩堝911の内部には熱が伝わりにくくなってしまうという課題がある。
これに対して、金属溶解炉900は、坩堝911を電気ヒーター915によって加熱しているため、溶解効率が高いものとなる。これは、電気ヒーター915が溶湯を一定温度に保持するという機能だけでなく、溶解を早める機能をも有しているからである。また、坩堝911を保温するための熱源として電気ヒーター915を用いることにより、高精度な温度制御が可能となり、溶湯の温度を常に適切に保持できるという効果がある。
特開2011−117640号公報
上記したように、金属溶解炉900は、優れた特徴を有するものであるが、さらなる改善を行うことによって、より優れた金属溶解炉とすることができる。
例えば、金属溶解炉900は、図11に示すように、大きく分けると、坩堝911を有する溶湯保温装置910と、バーナー934を有する燃焼装置930との2つ構造体からなり、これら溶湯保温装置910と燃焼装置930とが分割可能となっており、溶湯保温装置910に燃焼装置930を載置した状態で、坩堝911内の被溶解金属950を溶解させる構造となっている。
また、このような構造の金属溶解炉900においては、燃焼装置930の重量が、坩堝911にも加わっている構造となっている。このような構造であると、坩堝911を損傷させてしまう場合もあり得る。すなわち、坩堝911は、黒鉛を圧縮焼成したいわゆる焼き物であるのが一般的であるため、損傷しやすいものであり、坩堝911に大きな重量が直接加わらないような構造とすることが好ましい。
また、金属溶解炉900においては、燃焼装置930は高温にさらされる箇所であるため、当該燃焼装置930は十分な耐熱構造となっているが、燃焼装置930においても、溶解前の被溶解金属950の上端部(坩堝911からはみ出ている部分)には、バーナー934の炎が直接当たる。このため、燃焼装置930においてバーナー934のノズル938周辺は、特に高温となりやすく、熱による破損が進み易い個所であり、破損が進んだ状態となると、部分的に補修が必要となる場合もある。
金属溶解炉900においては、溶湯保温装置910と燃焼装置930とは分割可能となっているが、燃焼装置930は1つの構造体である。このため、仮に、燃焼装置930のごく狭い範囲が熱によって破損した場合でも、燃焼装置930全体を取り外して補修したり、状況によっては、燃焼装置930全体を新規に作り直さなければならない場合もある。燃焼装置930全体を作り直すとなると、多くの日数や費用を要し、その間、操業停止となるといった事態にもなり兼ねない。
また、金属溶解炉900が、上記したように、坩堝911を有する溶湯保温装置910とバーナー934を有する燃焼装置930との2つの構成要素からなっているため、溶解を行う際の溶解準備工程においては、燃焼装置930を溶湯保温装置910から取り外した状態として、坩堝911内に被溶解金属950を収納することとなる。
このとき、溶湯の生産効率を高くするために、1回の溶解作業において、より多くの溶湯を生成しようとすると、被溶解金属950を坩堝911の上部開口部からはみ出るほど収納するのが一般的である。このとき、被溶解金属950の垂直方向(z軸に沿った方向)へのはみ出しは、ある程度許容されるが、水平方向(xy平面に沿った方向)へのはみ出しは大きく規制される。
これは、坩堝911に被溶解金属950を収納した状態で、燃焼装置930を溶湯保温装置910に載置しようとする際に、仮に、被溶解金属950が坩堝911の開口部から水平方向(xy平面に沿った方向)に所定量以上、はみ出していると、はみ出している部分が邪魔となって、燃焼装置930を溶湯保温装置910に載置できなくなってしまうからである。
したがって、被溶解金属950を坩堝911に収納する作業は、「燃焼装置930が溶湯保温装置910に載置できるように被溶解金属950を坩堝911に収納する」ということを常に念頭において、被溶解金属950を坩堝911に収納する必要がある。このため、被溶解金属950を収納する際の作業業性が悪く、結局は、被溶解金属950の収納量を坩堝911の容量に対して少なめにせざるを得ないといった課題がある。このため、坩堝911の容量を十分に生かすことできず、溶湯の生産性の低下につながってしまうこととなる。
そこで本発明は、メンテナンス性の向上及び高寿命化を図るとともに、溶解効率の向上と溶湯の生産性向上を図ることができる金属溶解炉及び金属溶解炉における溶湯生成方法を提供することを目的とする。
[1]本発明の金属溶解炉は、被溶解金属が投入されるとともに前記被溶解金属が溶解された溶湯を保温した状態で保持する坩堝を備える金属溶解炉であって、上下方向において所定の高さの有底容器状をなす第1炉壁と、当該第1炉壁の内壁面に設けられて前記溶湯を保温可能とするヒーターとを有し、前記坩堝を当該坩堝の開口側外壁面が前記第1炉壁の上面から所定量だけ露出するように収納する溶湯保温装置と、前記溶湯保温装置に着脱自在に載置可能なリング形状の第2炉壁を有し、前記溶湯保温装置に載置された状態においては、前記第2炉壁の内壁面が前記坩堝の開口側外壁面の外周に沿って圧接状態で支持することにより前記坩堝を固定する坩堝固定リングと、前記坩堝固定リングに着脱自在に載置可能なリング形状の第3炉壁を有し、当該第3炉壁の内径が前記坩堝の開口側端部の外径と同じかわずかに大きい内径を有する補助リングと、前記補助リングに着脱自在に載置可能であって、上下方向において前記第1炉壁の高さよりも低い高さを有し、中央部に所定の空間部を有する第4炉壁と、前記空間部に設けられて前記坩堝に投入された被溶解金属を直火で溶解するためのバーナーとを有する燃焼装置と、をさらに備えることを特徴とする。
本発明の金属溶解炉は、溶湯保温装置、坩堝固定リング、補助リング及び燃焼装置の各構造体を積み重ねた4層構造となっており、かつ、これら各構造体は、それぞれが分離可能な構造となっている。このように、本発明の金属溶解炉は、特許文献1に開示されている金属溶解炉900に比べると、より細分化された構造となっている。このため、仮に、これらの構造体のうちの、ある構造体に補修又は交換する必要が生じた場合における補修又は交換作業をし易くすることができる。
なお、第1炉壁、第2炉壁、第3炉壁及び第4炉壁はそれぞれ耐熱及び断熱性部材で形成されている(詳細は後述の実施形態参照。)。
特に、この種の金属溶解炉においては、燃焼装置周辺は、高温に晒されるため、熱による破損が進み易い個所である。本発明の金属溶解炉においては、高温に晒され易い箇所は、燃焼装置と補助リングとの2つの構造体とし、これらを個々に分割可能となっている。このため、熱による破損が進んで、補修又は交換が必要となった場合、補修又は交換が必要な構造体のみを取り出して、補修又は交換を行うことができる。例えば、補助リングが損傷した場合には、補助リングのみを補修又は交換すればよいため、メンテナンス性を向上させることができる。
このように、金属溶解炉を細分化することにより、個々の構造体の代わりを用意しておくことも比較的容易であり、それによって、長期間に渡って操業停止する必要がなくなるため、生産に支障をきたすことが無くなる。
また、本発明の金属溶解炉は、ハイブリッド型の金属溶解炉である。このため、本発明の金属溶解炉によれば、被溶解金属の溶解を行う際は、バーナーによる直火により被溶解金属の溶解を行い、溶解によって生成された溶湯の保温はヒーターによって行うことができる。また、ヒーターは溶湯を保温するという機能だけでなく、溶解を早める機能をも有しているため、効率のよい溶湯生成を可能としながらも二酸化炭素の排出削減が可能となる。
また、本発明の金属溶解炉は、燃焼室と保温室とが同じではなく、それぞれが独立した空間であるので、ヒーターがバーナーの燃焼熱や燃焼ガスに晒されることがなく、燃焼熱や燃焼ガスによるヒーターの劣化を防止することができ、ヒーターの長寿命化が可能となるといった効果も得られる。
また、本発明の金属溶解炉においては、補助リングにおける第3炉壁の内径は、坩堝の開口側上端部の外径と同じかわずかに大きい内径を有している。補助リングをこのような構造とすることにより、補助リングを坩堝固定リングに載置した状態としたときに、補助リングの重量が坩堝に加わることがなくなる。すなわち、坩堝固定リングは、坩堝の開口側外壁面を当該開口側外壁面の外周に沿って圧接状態で支持することによって前記坩堝を固定するものであるため、当該坩堝固定リングに補助リングを載置したとしても、補助リングの重量が坩堝に加わることがない。これによって、坩堝に大きな重量が加わることによる坩堝の損傷を防止することができ、坩堝を長寿命とすることができる。
このように、本発明によれば、メンテナンス性の向上及び高寿命化を図るとともに、溶解効率の向上と溶湯の生産性向上を図ることができる金属溶解炉とすることができる。
[2]本発明の金属溶解炉によれば、前記坩堝固定リングにおける第2炉壁の内壁面と前記坩堝の開口側外壁面との間には、所定の隙間が形成され、当該隙間には耐熱性部材でなる坩堝固定シールが前記坩堝の開口側外壁面を一周するように埋め込まれていることが好ましい。
このような構造となっているため、坩堝の開口側外壁面は、坩堝固定シールを介して坩堝固定リングにより確実に支持された状態となる。このため、保温室にバーナーの燃焼熱や燃焼ガスが入り込むのを防ぐことができる。それによって、ヒーターがバーナーの燃焼熱や燃焼ガスに晒されることがなくなり、燃焼熱や燃焼ガスによるヒーターの劣化を防止することができ、ヒーターの長寿命化が可能となる。
[3]本発明の金属溶解炉においては、記第2炉壁の内壁面は、前記隙間が当該第2炉壁の上面から下面に向かうにしたがって狭くなるような傾斜面となっていることが好ましい。
このような構造となっているため、坩堝の開口側外壁面との間に形成される隙間に埋め込まれる坩堝固定シールの断面形状は、下部が狭小の「くさび型」となる。これにより、坩堝固定リングに載置される補助リング及び燃焼装置の重量によって、坩堝固定シールが下方向に移動しようとすることによる水平方向への押圧力(坩堝の開口側外壁面を押圧する力)が働くため、前記坩堝固定リングと坩堝との密着性をより高めることができる。それによって、保温室にバーナーの燃焼熱や燃焼ガスが入り込むのを防ぐ効果をより高めることができる。
[4]本発明の金属溶解炉においては、前記坩堝固定リングにおける前記第2炉壁の下面と前記溶湯保温装置における前記第1炉壁の上面との間には、耐熱性部材でなるリング形状の溶湯保温装置シールが敷設されており、当該溶湯保温装置シールは、前記第1炉壁の上面において当該上面の全周に渡って敷設されていることが好ましい。
このような構造とすることにより、坩堝固定リングと溶湯保温装置とを密着させることができるため、保温室の密閉度を高めることができる。すなわち、このような溶湯保温装置シールを第1炉壁の上面に敷設した状態で、坩堝固定リングを載置すると、溶湯保温装置シールは坩堝固定リングの重量によって押圧された状態となるため、坩堝固定リングにおける第2炉壁及び溶湯保温装置における第1炉壁の上面が鏡面ではなく多少の「ざらつき」を有したり、多少の凹凸を有したりしていても、これら「ざらつき」や凹凸を吸収して坩堝固定リングと溶湯保温装置とを密着状態とすることができる。
[5]本発明の金属溶解炉においては、前記第1炉壁は、金属ケースに収納され、前記第1炉壁を前記金属ケースに収納した状態としたときに、当該金属ケースの上端辺が前記第1炉壁の上面よりもわずかに突出することによる突出壁が形成され、前記溶湯保温装置シールは、当該溶湯保温装置シールの外周が前記突出壁に沿うように前記第1炉壁の上面に敷設されていることが好ましい。
このような構造とすることにより、金属ケースの突出壁が溶湯保温装置シールの敷設をガイドする役目と、敷設したあとの位置ずれを防止する役目とをなすため、溶湯保温装置シールを敷設する際の位置決めを適切に行うことができるとともに、溶湯保温装置シールが第1炉壁上で水平方向にずれることを防止できる。すなわち、溶湯保温装置シールを第1炉壁の上面に敷設したときに、当該溶湯保温装置シールの外周面が金属ケースの突出壁における内周面に当接した状態となるため、溶湯保温装置シールは、水平方向への動きが規制され、それによって、溶湯保温装置シールが水平方向にずれないようにすることができる。
[6]本発明の金属溶解炉においては、前記坩堝固定リングにおける前記第2炉壁の上面と前記補助リングにおける前記第3炉壁の下面との間には、耐熱性部材でなるリング形状の補助リングシールが敷設されており、当該補助リングシールは、前記第2炉壁の上面の全周に渡って敷設されていることが好ましい。
このような構造とすることにより、坩堝固定リングと補助リングとを密着させることができるため、補助リングで囲まれる空間(燃焼室)の密閉度を高めることができる。この場合も、補助リングシールを坩堝固定リングの上面に敷設した状態で、補助リングを載置すると、補助リングシールは補助リングの重量によって押圧された状態となるため、坩堝固定リングの上面及び補助リングの下面が鏡面ではなく多少の「ざらつき」を有したり、多少の凹凸を有したりしていても、これら「ざらつき」や凹凸を吸収して坩堝固定リングと補助リングとを密着状態とすることができる。
[7]本発明の金属溶解炉においては、前記坩堝固定リングにおける前記第2炉壁の上面と前記補助リングにおける前記第3炉壁の下面との間には、前記補助リングシールの外径と同等の内径を有する開口部が形成されたリング状の補助リングシール受け板が敷設されており、前記補助リングシール受け板の前記開口部の縁部には、前記補助リングシールの敷設をガイドするための補助リングシールガイド壁が前記開口部の縁部に沿うように形成され、当該補助リングシールガイド壁は、前記補助リングシールの厚み寸法よりも低い高さを有し、前記補助リングシールは、当該補助リングシールの外周が前記補助リングシールガイド壁の内周に沿うように前記坩堝固定リングにおける第2炉壁の上面に敷設されていることが好ましい。
このような補助リングシール受け板を設けることにより、当該補助リングシール受け板が補助リングシールの敷設をガイドする役目と、敷設したあとの位置ずれを防止する役目とをなすため、補助リングシールを敷設する際の位置決めを適切に行うことができるとともに、補助リングシールが坩堝固定リング上で水平方向にずれることを防止できる。
[8]本発明の金属溶解炉においては、前記補助リングにおける前記第3炉壁の上面と前記燃焼装置における前記第4炉壁の下面との間には、耐熱性部材でなるリング形状の燃焼装置シールが敷設されており、当該燃焼装置シールは、前記第3炉壁の上面の全周に渡って敷設されていることが好ましい。
このような構造とすることにより、補助リングと燃焼装置とを密着させることができるため、補助リングで囲まれる空間(燃焼室)の密閉度を高めることができる。この場合も、燃焼補助リングシールを補助リングの上面に敷設した状態で、燃焼装置を載置すると、補助リングシールは燃焼装置の重量によって押圧された状態となるため、補助リングの上面及び燃焼装置の下面に多少の「ざらつき」を有したり、多少の凹凸を有したりしていても、これら「ざらつき」や凹凸を吸収して補助リングと燃焼装置とを密着状態とすることができる。
[9]本発明の金属溶解炉においては、前記補助リングにおける第3炉壁の上面と前記燃焼装置における前記第4炉壁の下面との間には、前記燃焼装置シールの外径と同等の内径を有する開口部が形成されたリング状の燃焼装置シール受け板が敷設されており、前記燃焼装置シール受け板の前記開口部の縁部には、前記燃焼装置シールの敷設をガイドするための燃焼装置シールガイド壁が前記開口部の縁部に沿うように形成され、当該燃焼装置シールガイド壁は、前記燃焼装置シールの厚み寸法よりも低い高さを有し、前記燃焼装置シールは、当該燃焼装置シールの外周が前記燃焼装置シールガイド壁の内周に沿うように前記第3炉壁の上面に敷設されていることが好ましい。
このような燃焼装置シール受け板を設けることにより、当該燃焼装置シール受け板が燃焼装置シールの敷設をガイドする役目と、敷設したあとの位置ずれを防止する役目とをなすため、燃焼装置シールを敷設する際の位置決めを適切に行うことができるとともに、燃焼装置シールが補助リング上で水平方向にずれることを防止できる。
[10]本発明の金属溶解炉においては、前記坩堝の開口側外壁面の温度を検出する坩堝上部温度センサーを有することが好ましい。
これにより、坩堝の外壁面における上部(開口側外壁面)の温度を測定することができる。この場合、坩堝の内部の溶湯の温度を直接計測するものではないが、当該坩堝上部温度センサーによる計測結果に基づいて坩堝内における上部の溶湯の温度を推測することができ、当該計測結果に基づいて、ヒーターなどの制御を行うことにより、溶湯の温度管理などを適切に行うことができる。
[11]本発明の金属溶解炉においては、前記坩堝の底部外壁面の温度を検出する坩堝底部温度センサーを有することを特徴とする金属溶解炉。
これにより、坩堝の底部外壁面の温度を測定することができる。この場合も、坩堝の内部の溶湯の温度を直接計測するものではないが、当該坩堝底部温度センサーによる計測結果に基づいて坩堝内における下部の溶湯の温度を推測することができ、当該計測結果に基づいて、ヒーターなどの制御を行うことにより、溶湯の温度管理などを適切に行うことができる。なお、当該坩堝底部温度センサーによる計測結果と坩堝上部温度センサーによる計測結果に基づいて、ヒーターなどの制御を行うことにより、溶湯の温度管理などをより適切に行うことができる。
[12]本発明の金属溶解炉においては、前記坩堝に保持されている溶湯の温度を検出する溶湯温度センサーを有することが好ましい。
これにより、坩堝に保持されている溶湯の温度を直接計測することができ、当該溶湯温度センサーによる計測結果に基づいて、坩堝内の被溶解金属の溶解の度合いなどを適切に知ることができる。
[13]本発明の金属溶解炉においては、前記ヒーターは、電気ヒーターであることが好ましい。
ヒーターを電気ヒーターとすることにより、溶湯を加熱・保温する場合、電気ヒーターが二酸化炭素の直接の排出源とはならないため、二酸化炭素の排出削減に大きく寄与できる。また、電気ヒーターは制御が容易であり、かつ、微調整も可能であるため、溶湯の加熱・保温を行う際に、溶湯の温度制御を高精度に行うことができる。
[14]本発明の金属溶解炉においては、前記燃焼装置及び前記補助リングのうちの少なくとも燃焼装置が取り外された状態で前記坩堝に保持されている溶湯に浸漬可能な不純物除去装置をさらに有することが好ましい。
このような不純物除去装置を設けることにより、坩堝内の溶湯に含まれる水素ガスなどの不純物を除去することができ、溶湯を高品質なものとすることができる。また、要求される品質基準に達するまで不純物除去処理を繰り返し行うこともできる。これにより、溶湯中の不純物を確実に除去することができる。
[15]本発明の金属溶解炉においては、前記不純物除去装置は、先端部に回転体を有し、当該回転体が前記溶湯の中で回転しながらマイクロバブル化した不活性ガスを発生する回転式の脱ガス装置であることが好ましい。
この不純物除去装置は、回転体が回転しながらマイクロバブル化した不活性ガスを溶湯中に発生させて、不純物をマイクロバブルに付着させて浮上させるものである。このような不純物除去装置を用いることにより、水素ガスなどの不純物を効率的に除去することができるため、高品質な溶湯を生成することができる。
[16]本発明の金属溶解炉における溶湯生成方法は、[1]〜[15]のいずれかに記載の金属溶解炉を用いた金属溶解炉における溶湯生成方法であって、前記被溶解金属を前記坩堝に投入する被溶解金属投入工程と、前記燃焼装置のバーナーによって直火で前記被溶解金属を溶解させる溶解工程と、前記坩堝の内部における溶湯を前記ヒーターによって所定温度に保温した状態で保持する溶湯保温工程と、を有することを特徴とする。
このように、本発明の金属溶解炉における溶湯生成方法は、[1]〜[15]のいずれかに記載の金属溶解炉を用いて溶湯生成を行うものである。このような金属溶解炉を用いて溶湯生成を行う際は、被溶解金属投入工程と、燃焼装置を溶湯保温装置に装着して被溶解金属を溶解させる溶解工程と、坩堝内における溶湯を保温した状態で保持する溶湯保温工程とをこの順序で行う。このような工程を行うによって、効率のよい溶湯生成を可能とする。また、[1]〜[15]のいずれかに記載の金属溶解炉を用いているため、[1]〜[15]のいずれかに記載の金属溶解炉が有する効果と同様の効果を有する。
[17]本発明の金属溶解炉における溶湯生成方法においては、前記溶解工程には、前記バーナーによって直火で前記被溶解金属を溶解させながら前記ヒーターによって加熱する「バーナー・ヒーター併用の溶解・加熱工程」が含まれ、前記坩堝の所定部分の温度が第1設定温度に達したら、前記「バーナー・ヒーター併用の溶解・加熱工程」に移行し、当該「バーナー・ヒーター併用の溶解・加熱工程」において前記坩堝の所定部分の温度が前記第1設定温度よりも高い第2設定温度に達すると、当該「バーナー・ヒーター併用の溶解・加熱工程」から前記溶湯保温工程に移行することが好ましい。
このような工程を行うことにより、被溶解金属を溶解させて溶湯するまでに必要な燃料消費量及び溶解時間を大幅に抑制することができる。
[18]本発明の金属溶解炉における溶湯生成方法においては、前記溶湯に含まれる不純物を除去する不純物除去工程をさらに有することが好ましい。
このような不純物除去工程を設けることにより、溶湯内に含まれる水素ガスなどの不純物を除去することができ、溶湯を高品質なものとすることができる。
[19]本発明の金属溶解炉における溶湯生成方法においては、前記溶湯保温装置に前記坩堝固定リングを載置した状態の坩堝固定リング付き溶湯保温装置をn(nは2以上の整数)台準備するとともに、前記補助リング及び燃焼装置をそれぞれ1台ずつ準備して、前記n台の坩堝固定リング付き溶湯保温装置を第1〜第nの坩堝固定リング付き溶湯保温装置としたとき、前記第1〜第nの坩堝固定リング付きの溶湯保温装置のうちの第1の坩堝固定リング付き溶湯保温装置に前記補助助リング及び燃焼装置を載置して、当該第1の坩堝固定リング付き溶湯保温装置において前記被溶解金属投入工程と、前記溶解工程と、前記溶湯保温工程とを行い、これを第nの坩堝固定リング付き溶湯保温装置まで順番に行ことが好ましい。
このようにすることにより、本発明のような坩堝式溶解炉においても、連続溶解炉と同様に連続的な溶湯の生成作業と溶湯の汲み出し作業とを行うことが可能となり、連続溶解炉と遜色のない高い生産性を得ることができる。
実施形態に係る金属溶解炉10の外観を示す斜視図である。 図1における金属溶解炉10のA−A線矢視断面図である。 坩堝固定リング200の一部と坩堝110の開口側上端部を拡大して示す図である。 補助リングシール受け板360を取り出して示す図である。 実施形態に係る金属溶解炉10を用いて溶湯を生成する際の溶湯生成方法の各工程を説明するために示す図である。 実施形態に係る金属溶解炉10を用いて溶湯を生成する際の溶湯生成方法の各工程を説明するために示す図である。 実施形態に係る金属溶解炉10を用いて溶湯を生成する際の溶湯生成方法の各工程を説明するために示す図である。 実施形態に係る金属溶解炉10を用いて実際に被溶解金属600の溶解作業を行った場合の溶解効率を説明するために示す図である。 実施形態に係る金属溶解炉10における溶湯生成方法の他の例を示す図である。 溶湯の温度測定を行うための温度センサー挿入孔340の設置箇所の変形例について説明するために示す図である。 特許文献1に開示されている金属溶解炉900を説明するために示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る金属溶解炉の外観を示す斜視図である。実施形態に係る金属溶解炉10は、溶湯保温装置100と、坩堝固定リング200と、補助リング300と、燃焼装置400と、回転脱ガス装置500とを有している。
なお、実施形態に係る金属溶解炉10においては、溶湯保温装置100、坩堝固定リング200、補助リング300、燃焼装置400及び回転脱ガス装置500を含めて「金属溶解炉10」としているが、回転脱ガス装置500を除く溶湯保温装置100、坩堝固定リング200、補助リング300及び燃焼装置400の4つの構成要素について説明する場合には、これらをひとまとめとして「溶解炉本体10A」として説明する。
図2は、図1における溶解炉本体10AのA−A線矢視断面図である。図1及び図2 により実施形態に係る金属溶解炉10の構成を詳細に説明する。
溶湯保温装置100は、坩堝110と、耐熱及び断熱部材でなる第1炉壁120と、第1炉壁120を取り囲む金属ケース130とを有している。
第1炉壁120は、上下方向において所定の高さを有する有底容器形状をなしており、耐熱壁121と当該耐熱壁121の外側に設けられている断熱壁122とからなる。耐熱壁121は、耐熱レンガなどの耐熱性部材でなり、断熱壁122は、セラミックなどの断熱性部材でなる。
このように構成された第1炉壁120の内部には、坩堝110が収納され、第1炉壁120の内壁面すなわち耐熱壁121の内壁面と坩堝110との間には保温室150が形成される。また、耐熱壁121の内壁面における底面中央部には坩堝110を載置するための坩堝設置台160が設けられている。
坩堝110は黒鉛を圧縮焼成したいわゆる焼き物である。この坩堝110は坩堝設置台160にセラミックブランケットなどの耐熱性シート170を介して設置されている。また、坩堝110の底部外壁面には、坩堝110の底部外壁面の温度を測定可能な温度センサー(坩堝底部温度センサーという。)TS1が設けられている。
坩堝底部温度センサーTS1は、溶湯保温装置100の外部から耐熱壁121の底面に沿って配設されたのち、中途部が90度の角度で折り曲げられて、坩堝設置台160の側面に沿うように配設され、その後、先端部が90度の角度で折り曲げられて、当該折り曲げられた先端部(先端折り曲げ部P1という)が坩堝設置台160の上面に沿うように配置される。そして、坩堝底部温度センサーTS1の先端折り曲げ部P1は、耐熱性シート170と坩堝110の下面側外壁面との間に挟まれるように配設されている。なお、坩堝底部温度センサーTS1の先端折り曲げ部P1の折り曲げ長さは、数10mm程度としている。
このように、坩堝底部温度センサーTS1の先端折り曲げ部P1が、坩堝110の下面側外壁面と耐熱性シート170との間に挟まれた状態となるため、先端折り曲げ部P1は坩堝110の下面側外壁面に密着状態となり、坩堝110の下面側外壁面の温度を高精度に測定可能となる。
ところで、溶湯保温装置100における耐熱壁121の上面と断熱壁122の上面とによって形成される面(この面のことを第1炉壁120の上面という場合もある。)は、全体的には同一平面となっているが、鏡面ではなく耐熱壁121及び断熱壁122のザラツキなどにより多少の凹凸も存在する。そして、坩堝110は、当該坩堝110の開口側外壁面が所定量だけ露出するように当該坩堝110の開口側端部110aが第1炉壁120の上面よりも、坩堝固定リング200の上下方向の高さ(z軸に沿った方向の高さ)h1に相当する分だけ上方に突出した状態で、溶湯保温装置100内に設置されている。
また、第1炉壁120の内壁面すなわち耐熱壁121の内壁面には、当該内壁面に沿って一周するように帯状のヒーター(電気ヒーターとする。)180が設けられている。この電気ヒーター180は、坩堝110全体を均等に加熱・保温できるように耐熱壁121の内壁面における上下方向に所定間隔を置いて複数本設けられている。実施形態に係る金属溶解炉10においては4本の電気ヒーター180が設けられている。
電気ヒーター180は、輻射熱により坩堝110内の溶湯を加熱・保温するものであるため、坩堝110と電気ヒーター180とが接触しない程度に、限りなく坩堝110に接近した状態で設けられることが熱効率という点で好ましい。ただし、坩堝110の交換時などにおいて、坩堝110を溶湯保温装置100から取り出す際に坩堝110が電気ヒーター180に接触しない程度の間隔を設けることも必要である。
金属ケース130は、鉄などによって形成されており、外観形状は有底円筒形状をなしている。この金属ケース130は、外周面の上端部に、水平方向に突出する鍔部131が当該金属ケース130の外周に沿って形成されている。また、鍔部131にはガイドピンGPを挿入するためのガイドピン挿入孔(図示せず。)が例えば4箇所に均等間隔で設けられている。
また、金属ケース130の外周面には、溶湯保温装置100をクレーンなどによって吊り上げる際に用いるフック133(図1参照。)が例えば4箇所に均等間隔で設けられている。
また、第1炉壁120の上面には、リング状の溶湯保温装置シール190が設けられている。溶湯保温装置シール190は、坩堝固定リング200を溶湯保温装置100に載置したときに、坩堝固定リング200と溶湯保温装置100とを密着させるためのものであり、その外径は、金属ケース130の内径とほぼ同じとする。なお、溶湯保温装置シール190の材質は、耐熱性、気密性及びクッション性に優れた材質であれば特に限定されるものではないが、セラミックロープなどを好ましく用いることができる。
また、金属ケース130の上端部(鍔部131の上面)と第1炉壁120の上面との間には、溶湯保温装置シール190の厚みの寸法よりもわずかに低い段差が設けられている。このような段差を設けることにより、金属ケース130の上端部が突出壁となるため、この突出壁が溶湯保温装置シールの敷設をガイドする役目と、敷設したあとの位置ずれを防止する役目とをなす。
このような段差を設けることにより、溶湯保温装置シール190を敷設する際の位置決めを適切に行うことができるとともに、溶湯保温装置シール190が第1炉壁120上で水平方向にずれることを防止できる。すなわち、溶湯保温装置シール190を第1炉壁120の上面に敷設したときに、当該溶湯保温装置シール190の外周面が金属ケース130の突出壁における内周面に当接した状態となるため、溶湯保温装置シール190は、xy平面上での動きが規制され、それによって、溶湯保温装置シール190がxy平面上でずれないようにすることができる。
このように、溶湯保温装置シール190を第1炉壁120の上面に敷設した状態で、坩堝固定リング200を溶湯保温装置100に載置すると、溶湯保温装置シール190は坩堝固定リング200の重量によって押圧された状態となる。このため、第1炉壁120の上面(耐熱壁121及び断熱壁122の上面)及び坩堝固定リング200における下面がそれぞれ鏡面ではなく、多少の「ざらつき」を有したり、多少の凹凸を有したりしていても、これら「ざらつき」や凹凸を吸収して、溶湯保温装置100と坩堝固定リング200とを密着状態とすることができる。
次に、坩堝固定リング200及び補助リング300について説明する。
坩堝固定リング200は、外観的にはリング形状をなし、その外径は溶湯保温装置100と同じ外径を有しているが、上下方向においては第1炉壁120の高さよりも低い高さを有し、かつ、両端部が開口となっている。なお、坩堝固定リング200の上下方向の高さ(z軸に沿った方向の高さ)は、前述したように「h1」であり、これは、溶湯保温装置100の第1炉壁120から坩堝110が突出している高さに相当している(図2参照。)。
このような坩堝固定リング200は、耐熱及び断熱部材でなる第2炉壁210と、第2炉壁210を取り囲む坩堝固定リング金属枠230とを有している。
第2炉壁210は、耐熱壁211と当該耐熱壁211の外側に設けられている断熱壁212とからなる。耐熱壁211は、耐熱レンガなどの耐熱性部材でなり、断熱壁212は、セラミックなどの断熱性部材でなる。
坩堝固定リング金属枠230の外周面の下端部には、水平方向に突出する鍔部231(下端側鍔部231という)が坩堝固定リング金属枠230の外周に沿って形成されているとともに、坩堝固定リング金属枠230の外周面の上端部には、水平方向に突出する鍔部232(上端側鍔部232という)が坩堝固定リング金属枠230の外周に沿って形成されている。
これら下端側鍔部231及び上端側鍔部232にはそれぞれガイドピンGPを挿入するためのガイドピン挿入孔(図示せず。)が例えば4箇所に均等間隔でそれぞれ設けられている。また、坩堝固定リング金属枠230の外周面には、坩堝固定リング200をクレーンなどによって吊り上げる際に用いるフック233(図1参照。)が例えば4箇所に均等間隔で設けられている。
ところで、坩堝固定リング200においては、耐熱壁211及び断熱壁212と、坩堝固定リング金属枠230とは、坩堝固定リング金属枠230の内周面から中心方向(半径方向)に向かって突出している鉄製の棒(図示せず。)によって連結されている。
すなわち、坩堝固定リング200の耐熱壁211及び断熱壁212は、坩堝固定リング金属枠230の内周面の側にそれぞれ型枠成型によって形成されるものである。具体的には、坩堝固定リング金属枠230の内周面に、当該坩堝固定リング金属枠230の中心方向に突出している複数本(例えば6本)の鉄製の棒(アンカーボルトという。)を周方向に沿って所定間隔(例えば60度の角度)ごとに溶接によって固定しておく。
そして、このような坩堝固定リング金属枠230の内周面の側に、耐熱壁211及び断熱壁212をそれぞれ型枠成型によって形成する。なお、坩堝固定リング200の大きさや重量などによっては、アンカーボルトは垂直方向(坩堝固定リング200の高さ方向)において複数段(例えば2段)に設けるようにしてもよい。
坩堝固定リング200がこのような構造となっているため、耐熱壁211及び断熱壁212と坩堝固定リング金属枠230とは確実に連結された状態となる。このため、坩堝固定リング金属枠230のフック233にワイヤーを引っ掛けてクレーンなどで吊り上げた場合、坩堝固定リング200全体を吊り上げることができる。
また、坩堝固定リング200の内壁面すなわち耐熱壁211の内壁面は、坩堝110の開口側外壁との間に坩堝固定シール250を埋め込むための隙間(シール埋め込み用隙間260という。)が形成されている。なお、坩堝固定シール250の材質は、耐熱性、気密性及びクッション性に優れた材質であれば特に限定されるものではないが、セラミックロープなどを好ましく用いることができる。
図3は、坩堝固定リング200の一部と坩堝110の上端部を拡大して示す図である。図3に示すように、シール埋め込み用隙間260における坩堝固定リング200における第2炉壁210の内壁面すなわち耐熱壁211の内壁面211aは、シール埋め込み用隙間260が当該第2炉壁210の上面から下面に向かうにしたがって狭くなるような傾斜面となっている。なお、以下、内壁面211aを「傾斜面211a」という場合もある。当該傾斜面211aのz軸(垂直軸)に対する傾斜角度(θ1とする。)は、坩堝110の開口側外壁面のz軸(垂直軸)に対する傾斜角度(θ2とする。)よりも大きな角度としている。
実施形態に係る金属溶解炉10においては、傾斜面211aの傾斜角度θ1は、坩堝110の開口側外壁面の傾斜角度θ2に5度を加えた傾斜角度(θ1=θ2+5度)としているが、傾斜角度θ2に加える角度は5度に限られるものではなく、適宜最適な値を設定することができる。
なお、シール埋め込み用隙間260に埋め込まれる坩堝固定シール250は、図3に示すように、断面がくさび型となるため、坩堝固定シール250を「くさび型シール250」という場合もある。
坩堝固定リング200がこのような構造となっているため、当該坩堝固定リング200が溶湯保温装置100に載置された状態においては、坩堝110の開口側外壁面を当該開口側外壁面の外周に沿って圧接状態で支持することとなり、それによって坩堝110を確実に固定することができる。
図1に説明が戻る。坩堝固定リング200には、坩堝110の開口側外壁面の温度を測定可能な温度センサーTS2(坩堝上部温度センサーTS2という。)が設けられている。坩堝上部温度センサーTS2は、坩堝固定リング200の外部から坩堝固定リング200の上面に沿って配設され、先端部が坩堝110の開口側外壁面に沿うような角度で折り曲げられている。
なお、坩堝上部温度センサーTS2において、坩堝110の開口側外壁面に沿うような角度で折り曲げられている部分を「先端折り曲げ部P2」という。また、坩堝上部温度センサーTS2の先端折り曲げ部P2は、坩堝110の開口側外壁面とくさび型シール250との間に挟まれた状態となるため、先端折り曲げ部P2は坩堝110の開口側外壁面に密着状態となり、坩堝110の開口側外壁面の温度を高精度に測定可能となる。
このように構成された坩堝固定リング200には補助リング300が載置される。このとき、坩堝固定リング200と補助リング300との間には補助リングシール270が敷設されている。
補助リング300は、外観的にはリング形状をなし、その外径は溶湯保温装置100と同じ外径を有しているが、上下方向においては第1炉壁120の高さよりも低い高さを有し、かつ、両端部が開口となっている。
このような坩堝固定リング200は、耐熱及び断熱部材でなる第3炉壁310と、第3炉壁310を取り囲む補助リング金属枠330とを有している。
第3炉壁310は、耐熱壁311と当該耐熱壁311の外側に設けられている断熱壁312とからなる。耐熱壁311は、耐熱レンガなどの耐熱性部材でなり、断熱壁312は、セラミックなどの断熱性部材でなる。
また、補助リング300の内径(耐熱壁311で囲まれる空間部の径D1)は、坩堝110の開口側端部110aの外径と同じか、坩堝110の開口側端部110aの外径よりもわずかに大きく設定されている。このようにすることにより、当該補助リング300を坩堝固定リング200に載置した状態としたとき、補助リング300の重量が坩堝110に直接加わることがない。さらには、補助リング300に後述する燃焼装置400を載置した状態としたときにも、補助リング300及び燃焼装置400の重量が坩堝110に直接加わることがない。
坩堝110は、上記したように、黒鉛を圧縮焼成したいわゆる焼き物であり、破損しやすいものである。このため、坩堝110に大きな重量が直接加わるような構造とすることは坩堝110を損傷させることにもなるが、上記したように、坩堝110よりも上方に設置される構造物の重量が坩堝110に対して直接加わらないような構造とすることによって坩堝110の損傷を防ぐことができ、坩堝110を長寿命化することができる。
また、補助リング金属枠330の外周面の下端部には、水平方向に突出する鍔部331(下端側鍔部331という)が補助リング金属枠330の外周に沿って形成されているとともに、補助リング金属枠330の外周面の上端部には、水平方向に突出する鍔部332(上端側鍔部332という)が補助リング金属枠330の外周に沿って形成されている。また、下端側鍔部331及び上端側鍔部332にはそれぞれガイドピンGPを挿入するためのガイドピン挿入孔(図示せず。)が例えば4箇所に均等間隔でそれぞれ設けられている。また、補助リング金属枠330の外周面には、補助リング300をクレーンなどによって吊り上げる際に用いるフック333(図1参照。)が例えば4箇所に均等間隔で設けられている。
なお、補助リング300の耐熱壁311及び断熱壁312と、補助リング金属枠330とは、坩堝固定リング200の場合と同様の構造によって連結されている。このため、補助リング300においても、坩堝固定リング200と同様に、補助リング金属枠330のフック333にワイヤーを引っ掛けてクレーンなどでも吊り上げた場合、補助リング300全体を吊り上げることができる。
また、補助リング300には、溶解作業中における坩堝110内の温度を測定するための溶湯温度センサーTS3(図6(b)参照。)の挿入が可能な温度センサー挿入孔340が設けられている。この温度センサー挿入孔340は、温度センサー挿入孔340を塞ぐための栓340a(図6(a)参照。)の着脱が可能となっており、温度測定を行わない場合には、当該栓340aによって温度センサー挿入孔340を塞ぐようにする。
また、補助リング300と坩堝固定リング200との間には上記したように補助リングシール270が敷設されている。なお、補助リングシール270は、具体的には、補助リング300における第3炉壁310と坩堝固定リング200における第2炉壁210との間に敷設されている。このとき、補助リングシール270は、金属(例えば鉄)製の補助リングシール受け板360によって位置決めされている。
図4は、補助リングシール受け板360を取り出して示す図である。補助リングシール受け板360は、図4に示すように、坩堝固定リング金属枠230の鍔部231,232又は補助リング金属枠330の鍔部331,332を含めた外径と同じ径を有する円盤形状をなし、中央部には、坩堝110の開口側端部110aの外径(補助リング300の内径D1)よりも十分大きな径を有する開口部361が形成されている。なお、補助リングシール270の内径は、補助リング300の内径D1と同様の径を有している。
そして、開口部361の縁部には、補助リングシール270の敷設をガイドするための補助リングシールガイド壁362が開口部の縁部に沿うように形成されている。この補助リングシールガイド壁362の高さh2は、補助リングシールの厚み寸法t1よりも低い高さを有している。そして、補助リングシール270は、当該補助リングシール270の外周が補助リングシールガイド壁362の内周に沿うように坩堝固定リング200における第2炉壁210の上面に敷設されている。
また、補助リングシール受け板360には、4箇所のガイドピン通し孔363が形成されている。これら各ガイドピン通し孔363は、坩堝固定リング金属枠230の鍔部231,232又は補助リング金属枠330の鍔部331,332に形成されているガイドピン挿入孔(図示せず。)と同じ位置に形成されている。なお、補助リングシール受け板360は、坩堝固定リング200と補助リング300との間に設置される。
次に、燃焼装置400について説明する。燃焼装置400は、補助リング300に載置されるものであり、中央部に所定の空間部を有し、耐熱及び断熱部材でなる第4炉壁410と、第4炉壁410を取り囲む燃焼装置金属枠430と、第4炉壁410の空間部に設けられているバーナー440とを有している。なお、燃焼装置金属枠430の外周面には、燃焼装置400をクレーンなどによって吊り上げる際に用いるフック431が例えば4箇所に均等間隔で設けられている。
第4炉壁410は、耐熱壁411と当該耐熱壁411の外側に設けられている断熱壁412とからなる。なお、燃焼装置400は坩堝固定リング200及び補助リング300よりもさらに高温になるため、断熱壁412は、断熱性だけでなく耐熱性においても、より優れた部材を用いることが好ましい。
バーナー440は、坩堝110内に入れられた被溶解金属を直火で溶解するものであり、化石燃料として例えばLPG(液化プロパンガス)を燃料供給パイプ441から取り込むとともに、燃焼に必要な空気を空気取り込み口442から取り込んでノズル443から火炎を発射する。なお、実施形態に係る金属溶解炉10において用いるバーナー440は、空気取り込み口442から取り込まれる空気を排気ガスで予熱する熱交換型のバーナーであるとする。このため、空気取り込み口442から入った空気は、排気ガスによって暖められるので、燃焼効率がよく、空気取り込み口442及び排気口444を小さくすることができる。
また、バーナー440には、燃焼状態を制御するための燃焼制御装置(図示せず。)が設けられている。この燃焼制御装置は、最適な燃焼状態となるように空気の量と燃焼の量とを調整するものである。なお、燃焼装置400と補助リング300の耐熱壁311で囲まれる空間とによって、燃焼室450が形成される。
なお、燃焼装置400における耐熱壁411及び断熱壁412と、燃焼装置金属枠430とは、坩堝固定リング200及び補助リング300とほぼ同様の構造によって連結されている。このため、燃焼装置400においても、坩堝固定リング200及び補助リング300と同様に、燃焼装置金属枠430のフック431にワイヤーを引っ掛けてクレーンなどで吊り上げた場合、燃焼装置400全体を吊り上げることができる。
また、燃焼装置400と補助リング300との間には燃焼装置シール380が敷設される。なお、燃焼装置シール380は、具体的には、燃焼装置400における第4炉壁410と補助リング300における第3炉壁310との間に敷設されている。このとき、燃焼装置シール380は、燃焼装置シール受け板460によって位置決めされている。
燃焼装置シールシール受け板460は、図4で示した補助リングシール受け板360とほぼ同様の構成となっているため、同一部分の説明は省略する。なお、燃焼装置シール受け板460が補助リングシール受け板360と異なるのは、燃焼装置400を補助リング300に載置する際に燃焼装置400の位置決めを行うための燃焼装置位置決め用突出部469(図2参照。)が設けられている点である。
燃焼装置位置決め用突出部469は、燃焼装置400の燃焼装置金属枠430の下端部外周に沿うようなリング状の突出部である。このため、燃焼装置400を補助リング300に載置する際には、燃焼装置400を燃焼装置位置決め用突出部469に沿うように補助リング300上に載置することによって、燃焼装置400を補助リング300において適切な位置に載置することができる。
次に、回転脱ガス装置500(図1参照。)について説明する。回転脱ガス装置500は、被溶解金属が溶解されて、溶湯の状態となった際に、坩堝110内の溶湯に含まれる水素ガスなどの不純物を除去するものであり、回転軸510と、回転軸510の先端部に設けられた円盤状の回転体520とを有する構成となっている。
このように構成された回転脱ガス装置500は、例えば、xy平面上での移動と垂直方向(z軸に沿った方向)の移動が可能となるように設置されており、必要に応じて、坩堝110内の溶湯に浸漬できるようになっている。例えば、溶解工程が終了して燃焼装置400、補助リング300などを取り外した後に、回転脱ガス装置500を下降させることによって、回転体520を坩堝110の溶湯内に浸漬させことができる。そして、回転体520を溶湯の中に浸漬させた状態で回転体520を回転させて、回転体520からマイクロバブル化したアルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガスを溶湯中に発生させることができるようになっている。
実施形態に係る金属溶解炉10は、上記したように、溶解炉本体10A(溶湯保温装置100、坩堝固定リング200、補助リング300及び燃焼装置400)と、回転脱ガス装置500を有しており、溶解炉本体10Aは、溶湯保温装置100、坩堝固定リング200、補助リング300及び燃焼装置400の4つの構造体を積み重ねた4層構造となっている。そして、これら各構造体は、それぞれが分離可能な構造となっている。
実施形態に係る金属溶解炉10における溶解炉本体10Aがこのような構造となっているため、仮に、溶解炉本体10Aを構成する構造体のうちの、ある構造体を補修又は交換する必要が生じた場合、補修又は交換すべき構造体のみを取り出して、補修又は交換作業を行うことができる。この場合、個々の構造体の代わりを容易しておけば、長期間に渡って操業停止する必要がなくなるため、生産に支障をきたすことが無くなる。
すなわち、実施形態に係る金属溶解炉10は、特許文献1に開示されている金属溶解炉900に比べると、溶解炉本体10Aがより細分化された構造となっているため、仮に、これらの構造体のうちの、ある構造体に補修又は交換する必要が生じた場合における補修又は交換作業をし易くすることができる。
特に、この種の金属溶解炉においては、燃焼装置400の周辺は、高温に晒されるため、熱による破損が進み易い個所である。実施形態に係る金属溶解炉10においては、高温に晒され易い箇所は、燃焼装置400と補助リング300との2つの構造体とし、これらを個々に分割可能としている。このため、熱による破損が進んで、補修又は交換が必要となった場合、補修又は交換が必要な構造体のみを取り出して、補修又は交換を行うことができる。例えば、補助リング300が損傷した場合には、補助リング300のみを補修又は交換すればよいため、メンテナンス性を向上させることができる。
次に、実施形態に係る金属溶解炉10における溶解炉本体10Aの組み立て手順について説明する溶解炉本体10Aを図1及び図2に示すように組み立てる際は、まず、坩堝110が収納されている溶湯保温装置100における耐熱壁121及び断熱壁122の上面(第1炉壁120の上面)にリング状の溶湯保温装置シール190を敷設する。この溶湯保温装置シール190は、その外周面が金属ケース130の内側面に沿うように敷設する。これにより、溶湯保温装置シール190は、金属ケース130の内周面によって位置決めされるため、水平方向のずれを防止することができる。
このように、溶湯保温装置シール190が敷設された状態で、坩堝固定リング200を載置する。このとき、金属ケース130の鍔部131に形成されている各ガイドピン差し込み孔(図示せず。)と坩堝固定リング金属枠230の下端側鍔部231に形成されている各ガイドピン差し込み孔(図示せず。)とそれぞれが一致するように、坩堝固定リング200を載置する。そして、ガイドピンGPを各ガイドピン差し込み孔に挿し込む。これによって、坩堝固定リング200を溶湯保温装置100に取り付けることができる。
このようにして、坩堝固定リング200を溶湯保温装置100に取り付けることにより、溶湯保温装置100における第1炉壁120と坩堝固定リング200における第2炉壁210との間に敷設されている溶湯保温装置シール190は、坩堝固定リング200の重量によって押圧された状態となり、溶湯保温装置100と坩堝固定リング200とが密着状態となる。
そして、坩堝110の開口側外壁面と坩堝固定リング200における耐熱壁211の内壁面211a(傾斜面211a)との間に形成されている「シール埋め込み用隙間260」に、くさび型シール250を埋設する。このとき、くさび型シール250の上端を坩堝固定リング200の上面よりもわずかに上方に突出させた状態としておく。これよって、坩堝110は坩堝固定リング200によって確実に固定された状態となる。すなわち、くさび型シール250には、補助リング300及び燃焼装置400の重量が加わり、それによって、くさび型シール250がz軸に沿って下方向に移動しようとすることによる水平方向への押圧力(坩堝110の外壁を押圧する力)が働く。これにより、坩堝110を確実に固定することができる。
続いて、坩堝固定リング200に補助リング300を載置する。このとき、まずは、坩堝固定リング200における第2炉壁210の上面に補助リングシール受け板360を載置し、当該補助リングシール受け板360に補助リングシール270を敷設して、その上に補助リング300を載置する。このとき、坩堝固定リング金属枠230の上端側鍔部232に形成されているガイドピン差し込み孔(図示せず。)と、補助リングシール受け板360に形成されているガイドピン差し込み孔363と、補助リング金属枠330の下端側鍔部331に形成されている各ガイドピン差し込み孔(図示せず。)とがそれぞれ一致するように、シール受け板と360補助リング300とを坩堝固定リング200に載置する。そして、ガイドピンGPを各ガイドピン差し込み孔に挿し込む。これによって、補助リング300を坩堝固定リング200に取り付けることができる。
なお、補助リングシール270は、その外周面がシール受け板360に形成されている補助リングシールガイド壁362の内周面に沿うように配設する。これによって、補助リングシール270は、補助リングシールガイド壁362によって位置決めされるため、水平方向のずれを防止することができる。
このようにして補助リング300を坩堝固定リング200に取り付けることにより、補助リング300と坩堝固定リング200との間に敷設されている補助リングシール270は、補助リング300の重量によって押圧された状態となり、補助リング300と坩堝固定リング200とが密着状態となる。
続いて、燃焼装置400を補助リング300に載置する。このとき、まずは補助リング300における第3炉壁310の上面に燃焼装置シール受け板460を載置する。この場合、補助リング金属枠330の上端側鍔部332に形成されているガイドピン差し込み孔(図示せず。)と、燃焼装置シール受け板460に形成されているガイドピン差し込み孔(図示せず。)とがそれぞれ一致するように、補助リング300に燃焼装置シール受け板460を載置する。
そして、ガイドピンを各ガイドピン差し込み孔に挿し込む。このように、燃焼装置シール受け板460を補助リング300の上面に取り付けたのち、当該燃焼装置シール受け板460に燃焼装置シール380を敷設する。燃焼装置シール380は、補助リングシール270と同様の敷設の仕方で燃焼装置シール受け板460に敷設する。
このような状態において、燃焼装置400を当該燃焼装置シール受け板460に載置する。このとき、燃焼装置400は、燃焼装置シール受け板460に設けられている燃焼装置位置決め用突出部469をガイドとしてシール受け板460に載置する。このようにして燃焼装置400を補助リング300に載置することにより、燃焼装置400と補助リング300との間に敷設されている燃焼装置シール380は、燃焼装置400の重量によって押圧された状態となり、燃焼装置400と補助リング300とは密着状態となる。
以上説明したような手順によって、溶解炉本体10Aを組み立てることができる(図1及び図2参照。)。このようにして組み立てられた溶解炉本体10Aは、個々の構造体の殆どが100kg以上の重量を有しているため、容易に、位置ずれしたりすることはない。
また、このような重量を有しているため、各シール(溶湯保温装置シール190、補助リングシール270、燃焼装置シール380)には大きな押圧力が加わり、各構造体間は密着状態となる。このため、燃焼室450の溶解炉本体10A外部に対する密閉度を高くすることができるとともに、保温室150の溶解炉本体10A外部に対する密閉度を高くすることができる。これにより、バーナー440の燃焼熱及び電気ヒーターによる熱を外部に逃さないようにすることができるため、被溶解金属を溶解する際の熱効率及び溶湯を保温する際の保温力を高めることができる。
また、燃焼室450と保温室150との間の密閉度も高くすることができる。これにより、バーナー440の燃焼熱及び燃焼ガスが保温室150に流入するのを防止する効果を高めることができる。なお、バーナー440の燃焼熱は1300℃以上にも達するため、そのような高熱が保温室に流入することを防止することにより、電気ヒーター180などに与える悪影響を抑制することができる。
また、坩堝固定リング200と坩堝110との間には、くさび型シール250が埋設されているため、バーナー440の燃焼熱及び燃焼ガスが保温室150に流入するのを防止する効果を、より高めることができる。なお、くさび型シール250には、補助リング300及び燃焼装置400の重量が加わり、それによって、くさび型シール250がz軸に沿って下方向に移動しようとすることによる水平方向への押圧力(坩堝110の開口側外壁面を押圧する力)が働く。それによって、保温室150の密閉度はより高いものとなり、バーナー440の燃焼熱及び燃焼ガスが保温室150に流入するのを防止する効果をより高めることができる。
次に、実施形態に係る金属溶解炉10を用いて溶湯を生成する際の溶湯生成方法について説明する。
図5、図6及び図7は、実施形態に係る金属溶解炉10を用いて溶湯を生成する際の溶湯生成方法の各工程を説明するために示す図である。図5(a)〜図5(c)は、溶湯生成工程における溶解準備工程を説明するために示す図である。また、図6(a)及び図6(b)は、溶湯生成工程における溶解工程及び溶湯保温工程を説明するために示す図である。また、図7(a)及び図7(b)は、溶湯生成工程における不純物除去工程を説明するために示す図である。なお、図5〜図7においては、図面を簡素化するために、符号が一部省略されている。
1.溶解準備工程
まず、図5(a)に示すように、燃焼装置400を取り外して、溶湯保温装置100に坩堝固定リング200と補助リング300とが載置されている状態とする。このとき、補助リング300の上面には、燃焼装置シール受け板460と燃焼装置シール380が敷設されたままの状態となっている。なお、燃焼装置シール380にはシール保護カバー(図示せず。)で覆った状態としておくことが好ましい。
このような状態で、図5(b)に示すように、被溶解金属600を坩堝110に投入する。坩堝110に投入する被溶解金属600の量は、坩堝110の容量を考慮して決める。被溶解金属600としては、アルミインゴットと前回の鋳造作業によって生成された鋳造製品から切り離された鋳造残材(湯口に対応する鋳造部分、湯道に対応する鋳造部分、押湯に対応する鋳造部分など)が含まれる。
なお、被溶解金属600を坩堝110に投入する際、坩堝110に投入した被溶解金属600が補助リング300よりも上方にはみ出さないように坩堝に投入すればよい。
すなわち、実施形態に係る金属溶解炉10においては、補助リング300の上に燃焼装置400を載置する構造となっているため、坩堝110に投入した被溶解金属600が補助リング300よりも上方にはみ出さないように坩堝に投入すれば、燃焼装置400は補助リング300に載置することができる。
換言すれば、実施形態に係る金属溶解炉10においては、補助リング300の存在により、被溶解金属600の水平方向(xy平面に沿った方向)へのはみ出しは補助リング300によって始めから規制されているため、被溶解金属600が水平方向(xy平面に沿った方向)に「はみ出す」ことを気に掛けることなく、被溶解金属600を坩堝110に投入できるということである。このため、被溶解金属600を坩堝110に投入する際の作業業性が高くすることができるとともに、坩堝110の容量に対する被溶解金属600の投入量を最大限に設定することができ、坩堝110の容量を十分に生かすことできる。これにより、溶湯の生産性を向上させることができる。
そして、図5(b)の状態から、燃焼装置シール380のシール保護カバー(図示せず。)を外し、燃焼装置400を補助リング300に載置する(図5(c)参照。)。
2.溶解工程及び溶湯保温工程
続いて、図6(a)に示すように、燃焼装置400のバーナー440から火炎445を被溶解金属600に当てて溶解を開始する。このとき、溶湯温度センサーTS3の挿入が可能な温度センサー挿入孔340を栓340aで塞ぐ。これは、燃焼装置400のバーナー440によって被溶解金属600を溶解させる際に、燃焼熱が外部に逃げないようにするためである。
なお、被溶解金属600であるアルミニウムの酸化防止のため燃焼は還元炎で行い、燃焼室450内を酸欠状態とする。このとき、燃焼室450内に空気が侵入すると、アルミニウムは酸化して消耗するが、実施形態に係る金属溶解炉10においては、各部のシール(溶湯保温装置シール190、くさび型シール250、補助リングシール270、燃焼装置シール380)などが高いシール性を有し、燃焼室450の密閉性が保持されているため、アルミニウムが酸化して消耗することを抑制し、また、燃費の向上が図れる。特に、補助リングシール270及び燃焼装置シール380は、それぞれシール受け板360,460によって位置決めされていることにより、高い位置精度を有するため、高い密閉性を長期間保持できる。
このようにしてバーナー440の炎により溶解を行っている際に、所定のタイミングで電気ヒーター180に通電させ、バーナー440による燃焼と電気ヒーター180による加熱を併用した溶解・加熱工程すなわち「バーナー・ヒーター併用の溶解・加熱工程」を行う。なお、電気ヒーター180に通電を開始させる通電開始タイミングは、燃費と溶解効率に影響を与える。本発明の発明者が行った実験によれば、被溶解金属600が溶解し始め、かつ、坩堝110の底部外壁面の温度が550℃(坩堝底部温度センサーTS1による計測温度が550℃)となった時点を電気ヒーター180の通電開始タイミングとすることが好ましいということがわかった。
そして、電気ヒーター180の通電を開始した時点から、しばらくの間、バーナー440と電気ヒーター180とを併用した「バーナー・ヒーター併用の溶解・加熱工程」を行い、坩堝底部温度センサーTS1による計測温度が630℃近傍を示したら、バーナー440の作動を一旦停止させ、溶湯温度センサーTS3を温度センサー挿入孔340に挿入して(図6(b)参照。)、坩堝110内の温度を監視するとともに、坩堝110内の溶解状況を監視する。
この時点においては、坩堝110内において、上部60%程度が液体の状態となっており、坩堝110内の下部は個体と液体とが混合している状態である。ここで、バーナー440の作動を停止させて、電気ヒーター180によって加熱して昇温させて、被溶解金属600を溶解させて溶湯の状態とする。その後、坩堝110内の溶湯が鋳造作業に適した温度を保持するように電気ヒーター180によって溶湯の保温を行う「溶湯保温工程」に移行する。
なお、坩堝110内の上部60%程度が液体の状態で、坩堝110内の下部は個体と液体とが混合している状態となったら、バーナー440の作動を停止させて電気ヒーター180によって加熱を行うのは、下記の理由からである。
すなわち、被溶解金属600が固体の場合は、バーナー440からの炎による溶解効率は高いが、坩堝110内の上部表面が液体化した状態になると、液体化した金属(この場合、アルミニウム)が表面を覆うようになるため、バーナー440からの炎による燃焼熱が坩堝110内の奥の部分(液体化されていない個体のままの被溶解金属600が存在する部分)にまで伝わりにくくなって、坩堝110内の被溶解金属600全体が溶解して溶湯となるまでには、多くの時間とエネルギーが必要となるからである。
そこで、坩堝110内の上部60%程度が液体状態となり、坩堝110内の下部は個体と液体とが混合している状態となったら、バーナー440の作動を停止して、電気ヒーター180のみで加熱して昇温させることにより、被溶解金属600を効率的に溶解させて溶湯700の状態にすることができ、その後も、溶湯700を鋳造作業に適した温度に保持することができる。なお、電気ヒーター180による保温は、温度制御を高精度に行うことができるため、溶湯700の温度を鋳造作業に適した温度に適切に保持することができる。
電気ヒーター180の制御は、電気ヒーター制御部(図示せず。)によって行うことができる。すなわち、電気ヒーター制御部は、坩堝110内の溶湯700の温度に基づいて溶湯700の温度が所定温度に保持されるように電気ヒーター180を制御する。これにより、坩堝110内の溶湯700を常に鋳造作業に適した温度に保持することができる。
3.不純物除去工程
坩堝110内の溶湯700が鋳造作業に適した温度となったら、燃焼装置400を取り外すととともに補助リング300を取り外す(図7(a)参照。)。燃焼装置400及び補助リング300の取り外しは、図示しないクレーンによって行う。なお、補助リング300を取り外す際には、ガイドピンGPを引き抜いた状態で行う。
そして、図7(a)に示すように燃焼装置400及び補助リング300が取り外された状態となったら、不純物除去装置としての回転脱ガス装置500の回転体520を溶湯700内に浸漬させて、不純物除去作業を行う。このとき、坩堝固定リング200上の補助リングシール270にはシール保護カバー(図示せず。)で覆うことが好ましい。
不純物除去作業は、図7(b)に示すように、回転脱ガス装置500の回転体520を坩堝110内の溶湯700に浸漬させて、回転体520を回転させながらマイクロバブル化したアルゴンガスを発生させることによって溶湯700に含まれている水素ガスなどの不純物を浮上させて除去する。このようにして不純物が除去されることにより、坩堝110内の溶湯700は高品質なものとなる。このような不純物除去工程における不純物除去作業を行う際、要求される品質基準に達するまで、繰り返し不純物除去作業を行うことも可能である。
このようにして、要求される品質基準に達した高品質な溶湯が生成されたら、図7(c)に示すように、回転脱ガス装置500を取り外して、溶湯温度制御用の温度センサーTS4を溶湯700内に入れて、溶湯温度を測定し、その測定結果に基づいて、溶湯700が鋳造に適した温度に保持されるよう電気ヒーター180を制御する。なお、溶湯温度制御用の温度センサーTS4は、図6(b)において用いた溶湯温度センサーTS3と同じものであってもよい。
なお、図7(c)の状態においては、補助リング300が存在せず、坩堝110の開口部が坩堝固定リング200の上面と同一平面となっているため、坩堝110内に存在する溶湯700の液面までの距離が坩堝固定リング200の上面から短い。このため、溶湯700の汲み出し作業が容易となり、鋳造作業を効率よく行うことができる。
図8は、実施形態に係る金属溶解炉10を用いて実際に被溶解金属600(アルミニウムとする。)の溶解作業を行った場合の溶解効率を説明するために示す図である。図8(a)は溶解作業を行った際の各種条件を示す図であり、図8(b)は図8(a)に示すような条件に基づいて、実施形態に係る金属溶解炉10(ハイブリッド型の金属溶解炉)による溶解効率とLPGガスのみの金属溶解炉による溶解効率を比較して示す図である。また、図8は、実施形態に係る金属溶解炉10を溶解のみに使用し、保温などは他の坩堝を用いた場合の溶解効率を示している。
なお、図8(b)において、白抜きの四角形は、実施形態に係る金属溶解炉10による溶解効率を表しており、太い実線は、LPG(Liquefied Petroleum Gas)のみの金属溶解炉による溶解効率を示している。また、図8(b)において、横軸は溶解作業を行った日(溶解実施日)を示し、縦軸は各溶解実施日(1日〜5日)における溶解効率(%)を示している。
また、図8(b)における溶解効率は、この場合、アルミニウムの理論溶解熱量に対する使用熱量比(%)であるとする。ここで、アルミニウムの理論溶解熱量をαとし、実際のガスの使用量をアルミニウム1Kg当たりに熱量換算した値βで表し、実際の電気の使用量をアルミニウム1Kg当たりに熱量換算した値γで表すとすれば、実施形態に係る金属溶解炉10による溶解効率(A1とする。)は、
A1(%)=α/(β+γ)×100
で表わされ、LPGガスのみの金属溶解炉による溶解効率(A2とする。)は、
A2(%)=α/β×100
で表わされる。
なお、アルミニウムの理論溶解熱量αは、アルミニウムの重量が1Kgの場合、
α=アルミニウム重量×比熱×(溶解作業温度−雰囲気温度)+アルミウイウム重量×溶解潜熱=271.6Kcal/Kg
と求められる。
図8(b)に示すように、LPGガスのみの金属溶解炉による溶解効率は、各溶解作業実施日において、せいぜい10数%程度である。一方、実施形態に係る金属溶解炉(ハイブリッド金属溶解炉)による溶解効率は、25〜30数%となり、LPGガスのみの金属溶解炉に比べて高い溶解効率が得られることがわかった。
図9は、実施形態に係る金属溶解炉10における溶湯生成方法の他の例を示す図である。図9に示す溶湯生成方法は、溶湯保温装置100に坩堝固定リング200を設置した状態のもの(坩堝固定リング付きの溶湯保温装置という)を2台(第1坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100A及び第2坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100Bとする。)用意するとともに、補助リング300及び燃焼装置400をそれぞれ1台ずつ用意しておき、第1坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100A及び第2坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100Bと、1台の補助リング300及び1台の燃焼装置400とを用いて効率的に溶湯の生成を行うものである。
図9において、第1坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100Aにおいては、図5〜図7で説明した手順によって、不純物の除去された高品質な溶湯700が生成されているものとする。なお、溶湯700の生成が終了した第1坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100Aは、電気ヒーター180によって、坩堝110内の溶湯700は鋳造作業に適した温度に保持されており、溶湯700の汲み出し作業を行うことができる状態となっている。
このように、一方の溶湯保温装置(第1坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100A)において溶湯の生成が終了したら、当該第1坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100Aから取り外した補助リング300及び燃焼装置400を第2坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100Bに取り付ける。そして、当該第2坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100Bに被溶解金属600を入れて、当該第2坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100Bにおいて溶湯の生成を行う。この場合の溶湯生成手順は、図5〜図7に示す各工程の順で行うことができる。
なお、第2坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100Bにおいて溶湯の生成を行っている間に、第1坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100Aにおいては、溶湯の汲み出し作業を行う。なお、溶湯の汲み出し作業は、坩堝110に入っている溶湯すべてを汲み出すのではなく、坩堝110に入っている溶湯の全体量のうちの1/3程度を残すのが一般的である。
そして、第2坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100Bにおいて溶湯の生成が終了すると、今度は、燃焼装置400及び補助リング300を第2坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100Bから取り外して、取り外した燃焼装置400及び補助リング300を第1坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100Aに取り付ける。そして、当該第1坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100Aに被溶解金属600を入れて、当該第1坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100Aにおいて溶湯の生成を行う。第1坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100Aにおいて溶湯の生成を行っている間に、第2坩堝固定リング付きの溶湯保温装置100Bにおいては、溶湯の汲み出し作業を行う。このような操作を必要な量の溶湯が生成されるまで順次繰り返す。
図9に示すように、溶湯の生成作業と溶湯の汲み出し作業とを交互に行うことで、実施形態に係る金属溶解炉10のような坩堝式溶解炉においても、連続溶解炉と同様に連続的な溶湯の生成作業と溶湯の汲み出し作業とを行うことが可能となり、連続溶解炉と遜色のない高い生産性を得ることができる。
なお、図9においては、2台の坩堝固定リング付き溶湯保温装置を用いて溶解と汲み出しとを交互に行うようにしたが、坩堝固定リング付き溶湯保温装置を3台以上用いることも可能であり、坩堝固定リング付き溶湯保温装置を3台以上とすることにより、溶湯生成作業と溶湯の汲み出し作業とを、より効率的に行うことができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で例えば下記に示すような変形実施も可能となる。
(1)上記実施形態においては溶解工程における溶湯の温度測定を行うための温度センサー挿入孔340は、補助リング300に設けるような構造としたが、これに限られるものではなく、燃焼装置400に設けるようにしてもよい。
図10は、溶湯の温度測定を行うための温度センサー挿入孔340の設置箇所の変形例について説明するために示す図である。図10に示すように、温度センサー挿入孔340は、燃焼装置400に設けることによっても、溶解工程における溶湯の温度測定を行うことが可能である。なお、補助リング300に設けるか、燃焼装置400に設けるかは、作業性などを考慮して決めることが可能である。また、温度センサー挿入孔340を補助リング300と燃焼装置400との両方に設けておき、適宜選択的に用いるようにしてもよい。この場合、使用しない度センサー挿入孔には、熱の流出を防ぐために栓で塞ぐようにすることが好ましい。
(2)上記実施形態においては、バーナー440はLPGを燃料とするバーナーを例示したが、LPGに限られるものではなく、他の化石燃料を用いるバーナーであってもよい。また、バーナー440は熱交換型のバーナーとしており、このような熱交換型のバーナーとすることによって、燃焼効率の向上を可能としているが、溶解状況に応じて燃料の供給量及び空気の供給量を制御することにより、燃焼効率をより向上させることができ、それによって燃費をより削減することができる。
これを実現するためには、図示は省略するが、バーナー440の排気口444から排気される排気ガスの排気温度を測定する排気温度センサーを設けるとともに、当該排気ガス温度センサーから出力される排気温度情報に基づいて、燃料供給パイプ441に供給される燃料(LPGガス)の供給量及び空気取り込み口442から取り込まれる空気の取り込み量を制御するバーナー制御機構を設ける。このように、排気温度に基づいて燃料(LPGガス)の供給量及び空気取り込み量を制御することにより、燃焼効率をより向上させることができる。これは、排気温度と燃焼効率とが相関しているからである。
すなわち、溶解工程における溶解初期においては、図5(c)に示すように、被溶解金属600が坩堝110内及び燃焼室450にほぼ満杯の状態となっており、この状態では、高温の燃焼ガスの密度が高くなっており、燃焼室450内の圧力が上昇することによる被溶解金属600や燃焼空気への熱交換が不十分な燃焼ガスが1000℃程度の高温のまま排気口444から排気される。
一方、被溶解金属600の溶解が進むと、燃焼室450の空間が広くるため、燃焼ガスの密度が下がることにより、燃焼ガスの温度が600℃程度に低下して排気口444から排気される。
このような観点から、溶解初期においては、燃料(LPGガス)の供給量及び空気取り込み量を削減するように燃料の供給量及び空気の供給量を制御することにより、燃焼効率をより向上させることができ、それによって。燃費をより削減することができる。このような制御は、排気ガス温度センサーから出力される排気温度情報に基づいて、燃料(LPGガス)の供給量及び空気取り込み量の制御を行うようにすることで実現可能である。
(3)上記実施形態においては、溶湯保温装置100に用いる電気ヒーター180は、耐熱壁121の内壁面を一周するような帯状の電気ヒーター180を用いた場合を例示したが、電気ヒーター180は帯状であることに限られるものではなく、例えば、耐熱壁121の底面を含めた内壁面全体を覆うような電気ヒーターであってもよい。
(4)上記実施形態においては、溶湯保温装置100、坩堝固定リング200、補助リング300及び燃焼装置400の構造は、それぞれ耐熱性部材でなる耐熱壁と断熱性部材でなる断熱壁とによる2重壁構造としたが、必ずしもこのような構造とすることに限られるものではなく、耐熱性及び断熱性が確保可能で、かつ、安全性及び耐久性が確保可能であれば、他の構造を有するものであってもよい。
10・・・金属溶解炉、10A・・・溶解炉本体、100・・・溶湯保温装置、110・・・坩堝、110a・・・開口側端部、120・・・第1炉壁、121・・・耐熱壁、122・・・断熱壁、130・・・金属ケース、131・・・下端側鍔部、132・・・上端側鍔部、180・・・ヒーター(電気ヒーター)、190・・・溶湯保温装置シール、200・・・坩堝固定リング、210・・・第2炉壁、211a・・・傾斜面、230・・・坩堝固定リング金属枠、250・・・坩堝固定シール(くさび型シール)、260・・・隙間(シール埋め込み用隙間)、270・・・補助リングシール、300・・・補助リング、310・・・第3炉壁、330・・・補助リング金属枠、360・・・補助リングシール受け板、362・・・補助リングシールガイド壁、380・・・燃焼装置シール、400・・・燃焼装置、410・・・第4炉壁、430・・・燃焼装置金属枠、440・・・バーナー、500・・・回転脱ガス装置、600・・・被溶解金属、700・・・溶湯、TS1・・・坩堝底部温度センサー、TS2・・・坩堝上部温度センサー、TS3・・・溶湯温度センサー

Claims (18)

  1. 被溶解金属が投入されるとともに前記被溶解金属が溶解された溶湯を保温した状態で保持する坩堝を備える金属溶解炉であって、
    上下方向において所定の高さを有する有底容器形状をなす第1炉壁と、当該第1炉壁の内壁面に設けられて前記溶湯を保温可能とするヒーターとを有し、前記坩堝を当該坩堝の開口側外壁面が前記第1炉壁の上面から所定量だけ露出するように収納する溶湯保温装置と、
    前記溶湯保温装置に着脱自在に載置可能なリング形状の第2炉壁を有し、前記溶湯保温装置に載置された状態においては、前記第2炉壁の内壁面と前記坩堝の開口側外壁面との間には、所定の隙間が形成され、当該隙間には耐熱性部材でなる坩堝固定シールが前記坩堝の開口側外壁面を一周するように埋め込まれており、前記第2炉壁の内壁面が前記坩堝の開口側外壁面の外周に沿って前記坩堝固定シールを介して圧接状態で支持することにより前記坩堝を固定する坩堝固定リングと、
    前記坩堝固定リングに着脱自在に載置可能な第3炉壁を有し、当該第3炉壁の内径が前記坩堝の開口側端部の外径と同じかわずかに大きい内径を有する補助リングと、
    前記補助リングに着脱自在に載置可能であって、中央部に所定の空間部を有する第4炉壁と、前記空間部に設けられて前記坩堝に投入された被溶解金属を直火で溶解するためのバーナーとを有する燃焼装置と、
    をさらに備えることを特徴とする金属溶解炉。
  2. 請求項1に記載の金属溶解炉において、
    前記第2炉壁の内壁面は、前記隙間が当該第2炉壁の上面から下面に向かうにしたがって狭くなるような傾斜面となっていることを特徴とする金属溶解炉。
  3. 請求項1又は2に記載の金属溶解炉において、
    前記坩堝固定リングにおける前記第2炉壁の下面と前記溶湯保温装置における前記第1炉壁の上面との間には、耐熱性部材でなるリング形状の溶湯保温装置シールが敷設されており、当該溶湯保温装置シールは、前記第1炉壁の上面において当該上面の全周に渡って敷設されていることを特徴とする金属溶解炉。
  4. 請求項3に記載の金属溶解炉において、
    前記第1炉壁は、金属ケースに収納され、
    前記第1炉壁を前記金属ケースに収納した状態としたときに、当該金属ケースの上端辺が前記第1炉壁の上面よりもわずかに突出することによる突出壁が形成され、
    前記溶湯保温装置シールは、当該溶湯保温装置シールの外周が前記突出壁に沿うように前記第1炉壁の上面に敷設されていることを特徴とする金属溶解炉。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の金属溶解炉において、
    前記坩堝固定リングにおける前記第2炉壁の上面と前記補助リングにおける前記第3炉壁の下面との間には、耐熱性部材でなるリング形状の補助リングシールが敷設されており、当該補助リングシールは、前記第2炉壁の上面の全周に渡って敷設されていることを特徴とする金属溶解炉。
  6. 請求項5に記載の金属溶解炉において、
    前記坩堝固定リングにおける前記第2炉壁の上面と前記補助リングにおける前記第3炉壁の下面との間には、前記補助リングシールの外径と同等の内径を有する開口部が形成されたリング状の補助リングシール受け板が敷設されており、
    前記補助リングシール受け板の前記開口部の縁部には、前記補助リングシールの敷設をガイドするための補助リングシールガイド壁が前記開口部の縁部に沿うように形成され、当該補助リングシールガイド壁は、前記補助リングシールの厚み寸法よりも低い高さを有し、
    前記補助リングシールは、当該補助リングシールの外周が前記補助リングシールガイド壁の内周に沿うように前記坩堝固定リングにおける第2炉壁の上面に敷設されていることを特徴とする金属溶解炉。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の金属溶解炉において、
    前記補助リングにおける前記第3炉壁の上面と前記燃焼装置における前記第4炉壁の下面との間には、耐熱性部材でなるリング形状の燃焼装置シールが敷設されており、当該燃焼装置シールは、前記第3炉壁の上面の全周に渡って敷設されていることを特徴とする金属溶解炉。
  8. 請求項7に記載の金属溶解炉において、
    前記補助リングにおける第3炉壁の上面と前記燃焼装置における前記第4炉壁の下面との間には、前記燃焼装置シールの外径と同等の内径を有する開口部が形成されたリング状の燃焼装置シール受け板が敷設されており、
    前記燃焼装置シール受け板の前記開口部の縁部には、前記燃焼装置シールの敷設をガイドするための燃焼装置シールガイド壁が前記開口部の縁部に沿うように形成され、当該燃焼装置シールガイド壁は、前記燃焼装置シールの厚み寸法よりも低い高さを有し、
    前記燃焼装置シールは、当該燃焼装置シールの外周が前記燃焼装置シールガイド壁の内周に沿うように前記第3炉壁の上面に敷設されていることを特徴とする金属溶解炉。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の金属溶解炉において、
    前記坩堝の開口側外壁面の温度を検出する坩堝上部温度センサーを有することを特徴とする金属溶解炉。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の金属溶解炉において、
    前記坩堝の底部外壁面の温度を検出する坩堝底部温度センサーを有することを特徴とする金属溶解炉。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の金属溶解炉において、
    前記坩堝に保持されている溶湯の温度を検出する溶湯温度センサーを有することを特徴とする金属溶解炉。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の金属溶解炉において、
    前記ヒーターは、電気ヒーターであることを特徴とする金属溶解炉。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の金属溶解炉において、
    前記燃焼装置及び前記補助リングのうちの少なくとも燃焼装置が取り外された状態で前記坩堝に保持されている溶湯に浸漬可能な不純物除去装置をさらに有することを特徴とする金属溶解炉。
  14. 請求項13に記載の金属溶解炉において、
    前記不純物除去装置は、先端部に回転体を有し、当該回転体が前記溶湯の中で回転しながらマイクロバブル化した不活性ガスを発生する回転式の脱ガス装置であることを特徴とする金属溶解炉。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の金属溶解炉を用いた金属溶解炉における溶湯生成方法であって、
    前記被溶解金属を前記坩堝に投入する被溶解金属投入工程と、
    前記燃焼装置のバーナーによって直火で前記被溶解金属を溶解させる溶解工程と、
    前記坩堝に保持されている溶湯を前記ヒーターによって所定温度に保温した状態で保持する溶湯保温工程と、
    を有することを特徴とする金属溶解炉における溶湯生成方法。
  16. 請求項15に記載の金属溶解炉における溶湯生成方法において、
    前記溶解工程には、前記バーナーによって直火で前記被溶解金属を溶解させながら前記ヒーターによって加熱する「バーナー・ヒーター併用の溶解・加熱工程」が含まれ、
    前記坩堝の所定部分の温度が第1設定温度に達したら、前記「バーナー・ヒーター併用の溶解・加熱工程」に移行し、当該「バーナー・ヒーター併用の溶解・加熱工程」において前記坩堝の所定部分の温度が前記第1設定温度よりも高い第2設定温度に達すると、当該「バーナー・ヒーター併用の溶解・加熱工程」から前記溶湯保温工程に移行することを特徴とする金属溶解炉における溶湯生成方法。
  17. 請求項13又は14に記載の金属溶解炉を用いた金属溶解炉における溶湯生成方法であって、
    前記被溶解金属を前記坩堝に投入する被溶解金属投入工程と、
    前記燃焼装置のバーナーによって直火で前記被溶解金属を溶解させる溶解工程と、
    前記坩堝に保持されている溶湯を前記ヒーターによって所定温度に保温した状態で保持する溶湯保温工程と、
    前記不純物除去装置によって、前記溶湯に含まれる不純物を除去する不純物除去工程とを有することを特徴とする金属溶解炉における溶湯生成方法。
  18. 請求項15〜17のいずれかに記載の金属溶解炉における溶湯生成方法において、
    前記溶湯保温装置に前記坩堝固定リングを載置した状態の坩堝固定リング付き溶湯保温装置をn(nは2以上の整数)台準備するとともに、前記補助リング及び燃焼装置をそれぞれ1台ずつ準備して、
    前記n台の坩堝固定リング付き溶湯保温装置を第1〜第nの坩堝固定リング付き溶湯保温装置としたとき、
    前記第1〜第nの坩堝固定リング付きの溶湯保温装置のうちの第1の坩堝固定リング付き溶湯保温装置に前記補助リング及び燃焼装置を載置して、当該第1の坩堝固定リング付き溶湯保温装置において前記被溶解金属投入工程と、前記溶解工程と、前記溶湯保温工程とを行い、これを第nの坩堝固定リング付き溶湯保温装置まで順番に行うことを特徴とする金属溶解炉における溶湯生成方法。
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