以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.画像処理印刷システムの全体構成]
図1に示すように、第1の実施の形態による画像処理印刷システム1は、コンピュータ2及びプリンタ3により構成されている。
コンピュータ2及びプリンタ3の間は、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルにより接続されている。因みにコンピュータ2及びプリンタ3の間は、このUSBケーブルに限らず、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3u/abやIEEE802.11a/b/g/n等の規格に準じた有線又は無線のLAN(Local Area Network)等、他の通信手段を介して接続されていても良い。
コンピュータ2は、図2にブロック構成を示すように、CPU(Central Processing Unit)11を中心に構成されている。CPU11は、バス10を介してRAM(Random Access Memory)12及び外部記憶装置インタフェース(I/F)13と接続されている。
外部記憶装置インタフェース13には、ハードディスクドライブ(HDD)14が接続されている。このハードディスクドライブ14には、OS(Operating System)や画像処理プログラム等の各種プログラム並びに画像データ等の各種データが記憶されている。
CPU11は、外部記憶装置インタフェース13を介してハードディスクドライブ14から画像処理プログラム等の各種プログラムを読み出し、これをRAM12に展開して実行することにより、画像処理や印刷処理のような種々の処理を実行するようになされている。
またバス10には、入力装置インタフェース15、表示装置インタフェース16、プリンタインタフェース17及び通信インタフェース18が接続されている。
入力装置インタフェース15は、キーボード21及びマウス22が接続されており、ユーザの操作に応じてキーボード21及びマウス22から送信される入力信号を取得すると共に、これらをバス10経由でCPU11へ送出するようになされている。
表示装置インタフェース16は、モニタ23が接続されており、CPU11からバス10を介して送出される表示画面データを取得し、これをモニタ23へ送出することにより表示画面データに基づいた表示画面を表示させるようになされている。
プリンタインタフェース17は、例えばUSBインタフェースでなり、上述したUSBケーブルを介してプリンタ3に接続されている。このプリンタインタフェース17は、CPU11からバス10を介して送出される印刷データをプリンタ3へ伝送する。
プリンタ3は、コンピュータ2から印刷データを受信すると、当該印刷データに基づいた印刷処理を実行することにより、当該印刷データに基づいた画像を紙に印刷する。
通信インタフェース18は、いわゆるUSBメモリのような記憶装置やディジタルカメラのような撮像装置(以下これらをまとめて外部機器と呼ぶ)、或いはインターネットのようなネットワークと接続されている。この通信インタフェース18は、外部機器或いはネットワークから送信される画像データを受信し、これをバス10経由でCPU11へ送出し、或いは外部記憶装置インタフェース13を介してハードディスクドライブ14へ送出し格納させるようになされている。
かかる構成により画像処理印刷システム1では、画像を印刷する処理(以下これを画像印刷処理と呼ぶ)を実行する際、まずコンピュータ2において画像データをハードディスクドライブ14から読み出し、或いは通信インタフェース18を介して画像データを取得し、これらの画像データを印刷に適した画像データに調整する画像調整処理を施す。
続いて画像処理印刷システム1は、コンピュータ2において画像データを印刷に適した印刷データに変換し、これをプリンタ3へ伝送することにより、当該プリンタ3において元の画像データに基づいた画像を紙に印刷するようになされている。
[1−2.画像印刷処理]
ところで画像処理印刷システム1のコンピュータ2は、キーボード21及びマウス22等を介したユーザの操作により、ファイル管理プログラムや画像編集プログラム等の各種アプリケーションから画像データを印刷する指示を受け付けるようになされている。
このときコンピュータ2のCPU11は、ハードディスクドライブ14(図2)から画像印刷プログラムを読み出して実行することにより、図3に示す画像印刷処理手順RT1を開始してステップSP1へ移る。因みにこの画像印刷プログラムは、いわゆるプリンタドライバとして動作するようになされている。
またコンピュータ2は、この画像印刷処理手順RT1を実行することにより、図4に示すような各機能ブロックを内部で実現するようになされている。
ステップSP1においてCPU11は、画像データ入力部31(図4)によりアプリケーションから画像データD1を受信し、これを明度・彩度・色相調整部32へ受け渡して次のステップSP2へ移る。
ここで画像データD1は、例えばレッド(R)、グリーン(G)及びブルー(B)の3原色がそれぞれ8ビットで表されることにより、RGB色空間の画像を表すデータ(以下これをRGB画像データとも呼ぶ)となっている。
因みに画像データD1は、コンピュータ2のモニタ23(図2)等に最適化されたデバイス依存のsRGB色空間(IEC 61966−2−1:1999)の画像データであるが、これに限らず、例えばRGBの各値をそれぞれ反転させたCMY色空間の画像を表すデータであっても良い。
ステップSP2においてCPU11は、明度・彩度・色相調整部32(図4)により画像データD1に対し明度、彩度及び色相を調整することにより調整済画像データD2を生成し(詳しくは後述する)、これを印刷データ作成部33へ受け渡して次のステップSP3へ移る。
因みにこの画像印刷処理手順RT1では、この明度・彩度・色相調整部32については、単一の機能ブロックとして取り扱うようになされている。
ステップSP3においてCPU11は、印刷データ作成部33(図4)により調整済画像データD2を基に印刷用の印刷データD3を作成し、これを印刷データ送信部34(図4)へ受け渡して次のステップSP4へ移る。
ここで印刷データD3は、例えば調整済画像データD2をRGB色空間からシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)により表されるCMYK色空間の画像データ(以下これをCMYK画像データとも呼ぶ)に変換し、このCMYKの各色について公知のハーフトーン処理を施し、さらにデータ圧縮することにより生成される。
ステップSP4においてCPU11は、印刷データ送信部34(図4)により印刷データD3をプリンタ3へ送信することにより、次のステップSP5において当該プリンタ3に当該印刷データD3に基づいた画像、すなわち調整済画像データD2により表される画像を印刷させた後、ステップSP6へ移って画像印刷処理手順RT1を終了する。
このようにCPU11は、印刷する指示を受けた画像データD1に画像調整処理を施して調整済画像データD2とし、さらに印刷データD3に変換してプリンタ3へ送信することにより当該プリンタ3に印刷させるようになされている。
[1−3.明度・彩度・色相調整処理]
次に、画像印刷処理手順RT1(図3)のステップSP2において、明度・彩度・色相調整部32により行われる明度・彩度・色相の調整処理について説明する。
因みに明度・彩度・色相調整部32は、画像データD1を構成するそれぞれの画素について、以下の明度・彩度・色相調整処理をそれぞれ実行するようになされている。
コンピュータ2のCPU11は、画像印刷処理手順RT1においてステップSP2へ移ると、ハードディスクドライブ14(図2)から明度・彩度・色相調整プログラムを読み出して実行することにより、図5に示す明度・彩度・色相調整処理手順RT2をサブルーチンとして開始し、ステップSP11へ移る。
このときコンピュータ2は、この明度・彩度・色相調整処理手順RT2を実行することにより、図4に明度・彩度・色相調整部32として破線で囲まれた部分に示した各機能ブロックを内部で実現するようになされている。
[1−3−1.画像データの色変換]
ステップSP11においてCPU11は、色変換部41(図4)により、画像データ入力部31から取得した画像データD1を色変換して画像データD11を生成し、これを色相調整部44及び明度・彩度調整部46へ供給し、次のステップSP12へ移る。
このとき色変換部41は、デバイス依存のsRGB色空間の画像データである画像データD1を基に、デバイス非依存の色要素である明度・彩度・色相により表されるCIELab色空間を極座標として表したLCh色空間の画像データD11を生成するようになされている。
説明の都合上、ここでは画像データD1のRGB値を(R,G,B)とし、それぞれの最大値をU(例えば8ビット符号無し整数であれば「255」)とする。
色変換部41は、まずsRGB色空間の値である画像データD1のRGB値(R,G,B)を基に、次の(1)式、(2)式及び(3)式によりガンマ値を補正したRGB値であるRS、GS及びBSをそれぞれ算出する。
続いて色変換部41は、次の(4)式によりRGB色空間の値であるRS、GS及びBSをCIEXYZ色空間の値である(X,Y,Z)に変換する。
また、RGB値が全て最大値の色は白色であるが、この白色のCIEXYZ色空間における値を(Xn,Yn,Zn)とし、上述した(1)式〜(4)式により算出する。
次に、CIEXYZ色空間の値である(X,Y,Z)を、次の(5)〜(7)式によりCIELab色空間の値(L,a,b)に変換する。
ただし(5)〜(7)式の関数fは、次の(8)式により定義される。
さらに、CIELab色空間の値(L,a,b)を、次の(9)式及び(10)式により極座標系のLCh色空間の値(L,C,h)に変換し、この値を画像データD11とする。因みに、明度を表す値Lについては、CIELab色空間の値Lをそのまま用いる。
このように色変換部41は、ステップSP11において、第1色空間としてのsRGB色空間の画像データD1を上述した(1)〜(10)式に従って演算することにより、第2色空間としてのLCh色空間の画像データD11に変換するようになされている。
[1−3−2.ガマットデータの色変換]
ステップSP12においてCPU11は、ガマットデバイスカラー記憶部42(図4)に記憶されているガマットデータT1のRGB値を色変換部43によって色変換することにより、ガマットデータT2を生成して色相調整部44へ供給し、次のステップSP13へ移る。
ここでガマットデータT1とは、図6に示すように、3次元の座標軸を用いてRGB色空間を表したときの、画像データD1の各画素が取り得る色の範囲(いわゆるガマット、色域ともいう)を表す立方体の表面に含まれる複数の点を表すデータである。以下、この立方体を3次元色立体CCと呼ぶ。
ガマットデータT1は、大きく分けてガマット表面データとグレー軸データとにより構成されている。
ガマット表面データは、図6に大きな黒丸、黒四角及び白丸により示したように、3次元色立体CCの各頂点に相当する色点の座標と、図6に小さな黒丸により示したように、3次元色立体CCの各表面をグリッド数N(例えば6)により格子状に均等に分割した場合の交点の座標により構成される。以下、これらの頂点及び交点をグリッド点と呼ぶ。ガマット表面データが表すグリッド点は、RGB値により表され、いずれも3次元色立体CCの表面に位置することになる。
3次元色立体CCの各頂点を表す各色点のRGB値(R,G,B)は、ブラックの色点K(0,0,0)、レッドの色点R(U,0,0)、グリーンの色点G(0,U,0)、ブルーの色点B(0,0,U)、シアンの色点C(0,U,U)、マゼンダの色点M(U,0,U)、イエローの色点Y(U,U,0)及びホワイトの色点W(U,U,U)となる。
説明の都合上、以下ではレッド(R)、グリーン(G)及びブルー(B)をまとめて1次飽和色と呼び、シアン(C)、マゼンダ(M)及びイエロー(Y)をまとめて2次飽和色と呼び、さらにこれらの6色をまとめて1・2次飽和色と呼ぶ。
グリッド点は、グリッド数Nが6であれば、例えば3次元色立体CCの一表面を構成する色点K(0,0,0)、色点R(U,0,0)、色点M(U,0,U)及び色点B(0,0,U)の4頂点に囲まれる平面(すなわち正方形)において、4辺それぞれについて両端を含む6点により5等分するように均等な間隔で配置される。
またグリッド点は、4辺の各グリッド点を通りR軸及びB軸にそれぞれ平行な直線(図中細線で示す、以下これをグリッド線と呼ぶ)同士の各交点にもそれぞれ配置される。さらにグリッド点は、3次元色立体CCの表面を構成する他の5個の平面においても同様に配置される。
すなわちグリッド点は、3次元色立体CCの各表面を構成する各正方形の各辺をそれぞれN−1等分(ただしNは3以上の整数)するN本ずつのグリッド線同士の各交点に配置されていることになる。因みにグリッド点は、グリッド数Nが6の場合、3次元色立体CC全体で152個配置される。
他の観点から見れば、ガマット表面データの各グリッド点は、RGB空間の色域(ガマット)を表す3次元色立体CCの各表面に、比較的均等に離散された座標(すなわち色)を表すことになる。
ところで、図6に示した3次元色立体CCの表面を構成する6個の正方形状の平面のうち、色点K(0,0,0)を頂点とする3個の平面について、当該色点K(0,0,0)を中心としてR軸、G軸及びB軸を互いに120度ずつ相違させた2次元の座標軸に合わせるように展開すると、図7(A)のように表すことができる。
図7(A)において、ガマット表面データの各頂点及び各グリッド点は、図6と同様に大小の黒丸及び黒四角により表されている。因みに図7(A)の破線は、図6におけるグリッド線と対応するものである。
また図7(A)では、色点Kを中心とした5個、すなわち(N−1)個の同心状の多角形(六角形)を描くように、各グリッド点を線で結ぶことができる。この多角形は、Kからの距離がおおむね等しいグリッド点同士を結んだものとなり、いわば彩度が比較的近い色同士を結んだ線となる。
このためこれらの多角形は、中心の色点Kに近いほど彩度が低く、反対に外側にある1・2次飽和色の色点R、G、B、C、M及びYに近いほど彩度が高いことを表している。
一方、図7(A)と対応する図7(B)に示すように、3次元色立体CC(図6)の表面のうち色点W(U,U,U)を頂点とする3個の平面についても、同様にR軸、G軸及びB軸を互いに120度ずつ相違させた2次元の座標軸に合わせるように展開することができる。
この図7(B)においても、色点Wを中心とした5個の同心状の多角形(六角形)を描くように、各グリッド点を太線で結ぶことができる。これらの多角形は、図7(A)の場合と同様、やはり中心の色点Wに近いほど彩度が低く、反対に外側にある1・2次飽和色の色点R、G、B、C、M及びYに近いほど彩度が高いことを表している。
ここで、色点Kを中心とした2次元の座標系と色点Wを中心とした2次元の座標系とにおいて、1・2次飽和色の色点R、G、B、C、M及びYを含む最も外側の多角形は、互いに同等の多角形と見なし得るため、合計9個の多角形(六角形)が存在することになる。
さらに、色点K及び色点Wの2点をそれぞれグリッド数が1の多角形として見なすと、ガマット表面データ全体としては11個、すなわち(2N−1)個の多角形が存在することになる。以下、これらの多角形を表す線をそれぞれ近彩度線NCLと呼ぶ。
この近彩度線NCLを構成するガマット表面データは、ガマットデータT1の一部として、ガマットデバイスカラー記憶部42(図4)に予め記憶されている。
ガマットデバイスカラー記憶部42には、ガマット表面データとして、近彩度線NCLごとに、且つ色点Wから最大彩度へ順次遷移し、さらに最大彩度から色点Kへ順次遷移するような順序で、各近彩度線NCLを構成する各グリッド点が記憶されている。
一方、グレー軸データは、図6と対応する図8に黒三角印により示すように、3次元色立体CCにおいて、色点K(0,0,0)と色点W(U,U,U)とを結ぶグレー軸XR0を(M−1)等分するような、両端を含む合計M個の座標、すなわちRGB値である。便宜上、これらの各座標についてもグリッド点と呼ぶ。
ここでM=2N−1となっており、ガマット表面データを構成する近彩度線NCLの個数(色点K及びWも含む)と同数となる。例えばN=6の場合、M=11となる。
このグレー軸データも、ガマットデータT1の一部として、ガマット表面データと共にガマットデバイスカラー記憶部42に予め記憶されている。グレー軸データは、色点Wから色点Kへ遷移する順序で、各グリッド点が記憶されている。
ところで色変換部43(図4)は、色変換部41と同様に構成されており、ガマットデバイスカラー記憶部42から読み出したガマットデータT1の各グリッド点について、それぞれ(1)〜(10)式に従って演算することにより、LCh色空間のガマットデータT2に変換する。
ここでガマット表面データの各グリッド点がそれぞれLCh色空間に変換されることにより、図6に示した3次元色立体CCは、図9に示すように、CIELab色空間上において歪んだ立体となる。以下これを3次元ガマットGMと呼ぶ。
このCIELab色空間は、色点Kが位置する原点からの高さ、すなわち上方向への距離が明度を表し、またab平面が極座標となっており、色点Kが位置する原点からの距離が彩度を表しており、またa軸の正方向に対する反時計方向への回転角度が色相hを表している。
また、図7(A)に示した色点Kを中心としたガマット表面データの各グリッド点及び6個(色点Kを含む)の多角形を描く近彩度線NCLは、CIELab色空間のab平面に投影した場合、図10に示すように、色点Kを中心とした6個(色点Kを含む)の同心状の歪んだ多角形となる。以下、この歪んだ多角形もそれぞれ近彩度線NCLと呼ぶ。
この図10において、最も外側の歪んだ多角形、すなわち1・2次飽和色の色点R、G、B、C、M及びYを通る近彩度線NCLは、画像データD11の各画素が取り得る彩度及び色相hの範囲を表している。
これと同様に、図7(B)に示した色点Wを中心としたガマット表面データの各グリッド点及び6個(色点Wを含む)の近彩度線NCLについても、CIELab色空間のab平面に投影した場合、図11に示すように、色点Wを中心とした6個(色点Wを含む)の同心状の歪んだ多角形となる。
このように色変換部43(図4)は、RGB色空間において3次元色立体CCの表面及びグレー軸XR0上のグリッド点を表すガマットデータT1をガマットデバイスカラー記憶部42から読み出してLCh色空間へ色変換することにより、ab平面上で近彩度線NCLを表すガマットデータT2を生成するようになされている。
[1−3−3.色相の調整]
ステップSP13においてCPU11は、色相調整部44(図4)によって、色相調整量記憶部45に記憶されている色相調整量dh及びガマットデータT2に基づき画像データD11の色相を調整することにより画像データD12を生成し、これを明度・彩度調整部46及び色逆変換部47へ供給し、次のステップSP14へ移る。
ところでLCh色空間では、図10に示したように、a軸の正方向を基準として反時計方向への回転角度により色相hが表わされており、原点である色点Kから見て、1・2次飽和色の色点R、G、B、C、M及びYがそれぞれ異なる方向を向いている。
すなわちLCh色空間において、任意の色相hは、原点である色点Kから見て、1・2次飽和色の色点R、G、B、C、M及びYそれぞれの色相である色相hR、hG、hB、hC、hM及びhYのうち、いずれかの互いに隣接する2の色相hの間に存在することになり、さらにこの2の色相hの割合、すなわち2の色相hそれぞれからの相対角度の比率により表すことができる。
そこで色相調整部44は、まず画像データD11の注目画素の色相h1が1・2次飽和色の色相hR、hG、hB、hC、hM及びhYのうちいずれの間に位置し、且つどのような割合であるかを算出する。
例えば、注目画素の色相h1が色相hR及びhYの間に位置しているものとし、また算出された割合をratio(0≦ratio≦1)とすると、注目画素の色相h1は、次の(11)式のように表すことができる。
一方、色相調整量記憶部45は、1・2次飽和色の各色相についての色相調整量dhとして、色相調整量dhR、dhG、dhB、dhC、dhM及びdhYを予め記憶している。
この色相調整量dhR、dhG、dhB、dhC、dhM及びdhYは、LCh色空間のab平面上における1・2次飽和色の色点R、G、B、C、M及びYそれぞれの回転角度を表すことになる。
そこで色相調整部44は、1・2次飽和色のうち注目画素の色相h1が挟まれている2の色相に関する色相調整量dh、例えば色相調整量dhR及びdhYを色相調整量記憶部45から読み出し、これらを用いて次の(12)式により調整後の色相h2を算出する。
色相調整部44は、このようにして算出された色相h2を画像データD12の色相成分とする。
他の観点から見ると、色相調整量記憶部45は、LCh色空間における全ての色相hについて調整量を記憶するのではなく、代表的な色である1・2次飽和色の色点R、G、B、C、M及びYについてのみ色相調整量dhを記憶している。
このため色相調整部44は、画像データD11の注目画素の色相h1を1・2次飽和色の色相hR、hG、hB、hC、hM及びhYを用いた中間的な値として表した上で、1・2次飽和色の色相hにそれぞれの色相調整量dhを加算することにより、適切に色相を調整するようになされている。
このように色相調整部44は、画像データD11の注目画素の色相h1を1・2次飽和色の色相hR、hG、hB、hC、hM及びhYを用いて表した上で、色相調整量記憶部45に記憶されている色相調整量dhを用いて色相h2に調整することにより、色相が調整された画像データD12を生成するようになされている。
[1−3−4.明度・彩度の調整及び色逆変換]
ステップSP14においてCPU11は、明度・彩度調整部46(図4)によって画像データD12の明度及び彩度を調整することにより調整済画像データD13を生成し(詳しくは後述する)、これを色逆変換部47へ供給して次のステップSP15へ移る。
ステップSP15においてCPU11は、色逆変換部47(図4)によって、LCh色空間の調整済画像データD13を色逆変換することによりRGB色空間の調整済画像データD2を生成する。
このとき色逆変換部47は、調整済画像データD2に対し、LCh色空間からCIELab色空間への変換処理と、CIELab色空間からCIEXYZ色空間への変換処理と、CIEXYZ色空間からsRGB色空間への変換処理とを順次実行する。
これらの変換処理は、色変換部41及び43において段階的に行われる各変換処理の逆変換処理として、それぞれ実行されるようになされている。
その後CPU11は、色逆変換部47により生成した調整済画像データD2を印刷データ作成部33(図4)へ供給した後、次のステップSP16へ移って明度・彩度・色相調整処理手順RT2を終了する。このときCPU11は、元の画像印刷処理手順RT1(図3)へ処理を戻し、ステップSP3以降の処理を継続するようになされている。
[1−4.明度・彩度の調整]
次に、明度・彩度・色相調整処理手順RT2(図5)のステップSP14において、明度・彩度調整部46により行われる明度・彩度の調整処理について説明する。
コンピュータ2のCPU11は、明度・彩度・色相調整処理手順RT2においてステップSP14へ移ると、ハードディスクドライブ14(図2)から明度・彩度調整プログラムを読み出して実行することにより、図12に示す明度・彩度調整処理手順RT3をサブルーチンとして開始し、ステップSP21へ移る。
[1−4−1.調整前の色相断面の算出]
ステップSP21においてCPU11は、明度・彩度パラメータ算出部51によって、3次元ガマットGM(図9)のうち調整前の色相、すなわち画像データD11の注目画素の色相h1における断面である色相断面Sh1を算出し、次のステップSP22へ移る。
調整前断面としての色相断面Sh1は、図13に示すように、全体として直線及び曲線により囲まれた三角形状となっている。因みに図13では、縦軸が明度を表し、横軸が彩度を表している。
色相断面Sh1の三角形は、明度及び彩度がいずれも最小となる色点Kと、明度が最大となり彩度が最小となる色点Wと、色相h1において彩度が最大となる最大彩度点Q1とをそれぞれ頂点としている。
この色相断面Sh1を構成する各辺のうち、色点K及び色点Wを通る直線は、LCh色空間におけるグレー軸XRを表している。このグレー軸XR上は、RGB色空間におけるグレー軸XR0(図8)が色変換されたものである。
このため色相断面Sh1のグレー軸XR上には、RGB色空間のグレー軸XR0上に等間隔に配置された合計11個(色点K及び色点Wを含む)のグリッド点がそれぞれ色変換された11個の制御点PRが位置している。
以下では、説明の都合上、グレー軸XRを色点Wから色点Kへ辿る順に出現する制御点PRを、それぞれ制御点PR0、PR1、…、PR10と呼ぶ。因みに制御点PR0及びPR10は、それぞれ色点W及び色点Kと一致する。
また色相断面Sh1を構成する各辺のうち、色点Wと最大彩度点Q1とを結ぶ曲線及び最大彩度点Q1と色点Kを結ぶ曲線は、3次元ガマットGM(図9)の表面に位置する点の集合である。以下、両者を併せてガマット曲線CM1と呼ぶ。
ここで色相断面Sh1は、図10のab平面において、色点K及び色相h1を通る直線VL1として表される。この直線VL1は、図10のab平面上に描かれた6個(色点Kを含む)の近彩度線NCLとそれぞれ交差している。因みに、直線VLと最も外側の近彩度線NCLとの交点は、図12における最大彩度点Q1に相当する。
以下、色相断面Sh1と図10のab平面上に描かれた6本の近彩度線NCL(色点Kを含む)との交点を制御点PMと呼ぶ。この制御点PMは、図13においてガマット曲線CM1のうち最大彩度点Q1と色点Kとを結ぶ部分に、離散的に位置することになる。
また色相断面Sh1は、図11のab平面に描かれた色点Wを中心とした6個の近彩度線NCL(色点Wを含む)とも交差している。これらの交点についても同様に制御点PMと呼ぶ。この制御点PMは、図13においてガマット曲線CM1のうち色点Wと最大彩度点Q1とを結ぶ部分に、離散的に位置することになる。
すなわちガマット曲線CM1上には、色点W、色点K及び最大彩度点Q1を含む合計11個の制御点PMが離散的に位置している。
以下では、説明の都合上、ガマット曲線CM1を色点Wから最大彩度点Q1を経て色点Kへ辿る順に出現する制御点PMを、それぞれ制御点PM0、PM1、…、PM10と呼ぶ。因みに制御点PM0及びPM10は、それぞれ色点W及び色点Kと一致する。
このように明度・彩度パラメータ算出部51は、調整前の色相h1について色相断面Sh1を算出すると共に、当該色相断面Sh1を構成するグレー軸XR上に位置する11個の制御点PR及びガマット曲線CM1上に位置する11個の制御点PMを算出するようになされている。
[1−4−2.明度・彩度パラメータの算出]
ステップSP22(図12)においてCPU11は、明度・彩度パラメータ算出部51によって、明度及び彩度の調整に用いる明度・彩度パラメータを算出し、次のステップSP23へ移る。
具体的に明度・彩度パラメータ算出部51は、まず色相断面Sh1において、グレー軸XR上の制御点PR1〜PR9と、ガマット曲線CM1上の制御点PM1〜PM9とを、色点Wからグレー軸XR及びガマット曲線CM1をそれぞれ辿ったときに出現する順序が同一の制御点同士(例えば制御点PR3及びPM3)をそれぞれ結ぶ分割直線により、合計10個の領域idx1〜idx10に分割する。
ここで調整前領域としての領域idx1〜idx10は、明度の高い方から低い方へ順に並んでいる。因みに領域idx1及びidx10は、いずれも三角形となる。また領域idx2〜idx9は、いずれも四角形となる。
次に明度・彩度パラメータ算出部51は、画像データD11の注目画素を表す調整前カラー値としての注目カラー値U1が含まれる領域idx(以下これを注目領域idxAと呼ぶ)を特定する。図13は、一例として注目カラー値U1が明度の高い方から4番目の領域idx4に含まれる場合、すなわち領域idx4が調整前注目領域としての注目領域idxAである場合を表している。
図14は、注目領域idxAを拡大して示したものであり、色相断面Sh1(図13)と同様、図の縦方向の位置が明度のおおよその大きさを表し、図の横方向の位置が彩度のおおよその大きさを表す。
この注目領域idxAでは、グレー軸XR上の制御点P0及びP1と、ガマット曲線CM1上の制御点P2及びP3とにより囲まれているものとする。
明度・彩度パラメータ算出部51は、注目領域idxAにおける注目カラー値U1の位置、すなわち明度及び彩度のおおよその相対値を、内分比により表す。
明度・彩度パラメータ算出部51は、まずパラメータt(0<t<1)を用いて、グレー軸XR上で制御点P0及びP1の間をt:(1−t)に内分するグレー軸内分点VRと、ガマット曲線CM1上で制御点P2及びP3の間をt:(1−t)に内分するガマット曲線内分点VMとを規定する。
その上で明度・彩度パラメータ算出部51は、グレー軸内分点VRとガマット曲線内分点VMとを結ぶ線分LVが注目カラー値U1を通過するようなパラメータtを求める。
このパラメータtは、注目領域idxAにおける注目カラー値U1の相対的な明度を比率により表した値となる。
さらに明度・彩度パラメータ算出部51は、パラメータs(0<s<1)を用いて、線分LV上において注目カラー値U1がグレー軸内分点VRとガマット曲線内分点VMとの間をs:(1−s)に内分すると見なした場合のパラメータsを求める。
このパラメータsは、注目領域idxAにおける注目カラー値U1の相対的な彩度を比率により表した値となる。
ここで、注目カラー値U1、制御点P0、P1、P2及びP3をそれぞれ位置を表すベクトル値と見なした場合、当該注目カラー値U1は、さらにパラメータs及びtを用いて次の(13)式のように表すことができる。
さらに、明度及び彩度をそれぞれ変数x及びyにより表すものとし、注目カラー値U1を(xU,yU)、制御点P0を(x0,y0)、制御点P1を(x1,y1)、制御点P2を(x2,y2)、制御点P3を(x3,y3)とする。
これにより(13)式は、パラメータs及びtについての2本の連立方程式により表すことができる。これをパラメータsについて整理すると、中間的な値a、b及びcを用いて、次の(14)〜(17)式により算出することができる。
またパラメータtについては、パラメータsを用いて、次の(18)式により算出することができる。なお(18)式は、変数x及びyのいずれを用いても良い。
このように明度・彩度パラメータ算出部51は、注目カラー値U1が含まれる注目領域idxAを特定した上で、当該注目カラー値U1の相対的な明度及び彩度をそれぞれ表す調整前カラー値としてのパラメータt及びsを算出するようになされている。
[1−4−3.調整後の色相断面の算出]
ステップSP23(図12)においてCPU11は、明度・彩度パラメータ算出部51によって、3次元ガマットGM(図9)のうち調整後の色相、すなわち画像データD12の注目画素の色相h2における断面である色相断面Sh2を算出し、次のステップSP24へ移る。
明度・彩度パラメータ算出部51は、ステップSP21と同様の演算処理により色相断面Sh2を算出するようになされている。
算出される色相断面Sh2は、図13と対応する図15に示すように、色相断面Sh1と類似した三角形状となっており、色点K及び色点Wと、色相h2において彩度が最大となる最大彩度点Q2とをそれぞれ頂点としている。
この色相断面Sh2において、色点W及び色点Kを結ぶ直線は、色相断面Sh1の場合と同様にグレー軸XRとなっている。このグレー軸XR上には、やはり色相断面Sh1の場合と同様、色点W及び色点Kを含む合計11個の制御点PRが等間隔に配置されている。
また色相断面Sh2を構成する各辺のうち、色点Wと最大彩度点Q2とを結ぶ曲線及び最大彩度点Q2と色点Kを結ぶ曲線は、ガマット曲線CM1(図13)と同様に、3次元ガマットGM(図9)の表面に位置する点の集合となっている。以下、両者を併せてガマット曲線CM2と呼ぶ。
色相断面Sh2は、色相断面Sh1の場合と同様、図10のab平面において、色点K及び色相h2を通る直線VL2として表される。この直線VL2は、直線VL1と同様、図10のab平面上に描かれた6本の近彩度線NCL(色点Kを含む)とそれぞれ交差している。また色相断面Sh2は、図11のab平面に描かれた色点Wを中心とした6本の近彩度線NCL(色点Wを含む)とも交差している。
これらの交点は、色相断面Sh1の場合と同様、合計11個の制御点PMとして、ガマット曲線CM2上に離散的に位置することになる。
このように明度・彩度パラメータ算出部51は、色相断面Sh1の場合と同様に、調整後の色相h2について色相断面Sh2を算出すると共に、当該色相断面Sh2を構成するグレー軸XR上に位置する11個の制御点PR及びガマット曲線CM2上に位置する11個の制御点PMを算出するようになされている。
[1−4−4.制御点による明度調整]
ステップSP24(図12)においてCPU11は、明度・彩度演算部52によって色相断面Sh2のグレー軸XR上で各制御点PRの位置を調整すると共に、ガマット曲線CM2上で各制御点PMの位置を調整し、次のステップSP25へ移る。
このとき明度・彩度演算部52は、明度の調整量を表す明度調整トーンカーブに従って各制御点PR及びPMの位置を調整するようになされている。
明度調整トーンカーブは、図16に示すように、横軸が入力を表し、縦軸が出力を表しており、いずれも0.0から1.0範囲に正規化されている。この明度調整トーンカーブは、グレー軸及び1・2次飽和色の色相hR、hG、hB、hC、hM及びhYにそれぞれ対応した7種類が、明度・彩度調整量記憶部53に予め記憶されている。
明度・彩度演算部52は、グレー軸XR上で各制御点PRの位置を調整する場合、まず明度・彩度調整量記憶部53からグレー軸用の明度調整トーンカーブを読み出す。
次に明度・彩度演算部52は、色相断面Sh2のグレー軸XR上にある各制御点PRの明度を、色点Wが値「1」となり色点Kが値「0」となるように正規化し、この値を入力値として明度調整トーンカーブに従った出力値を得る。例えば、正規化後の値が「0.4」であれば、図16の明度調整トーンカーブに従い、出力値が「0.2」となる。
その後明度・彩度演算部52は、明度調整トーンカーブの出力値に対し正規化と逆の処理を行うことにより明度に変換し、グレー軸XR上において変換後の明度に応じた位置を制御点PRの調整後の位置とする。
また明度・彩度演算部52は、ガマット曲線CM2上で各制御点PMの位置を調整する場合、まず調整後の色相h2について、色相調整部44(図4)において調整前の色相h1について算出した場合と同様に、1・2次飽和色の色相hR、hG、hB、hC、hM及びhYのうちいずれの間に位置し、且つどのような割合であるかを算出する。これらの情報は、色相h2の色相割合情報として明度・彩度調整量記憶部53に記憶される。
ここでは、例えば色相h2が色相hR及びhYの間に位置しているものとし、また算出された割合をratio2(0≦ratio2≦1)とする。
次に明度・彩度演算部52は、色相h2が挟まれている色相hR及びhYそれぞれの明度調整トーンカーブを明度・彩度調整量記憶部53から読み出し、上述した(11)式の関係を利用することにより、色相h2に合わせて補間された明度調整トーンカーブを生成する(以下これを補間明度調整トーンカーブと呼ぶ)。
さらに明度・彩度演算部52は、色相断面Sh2のガマット曲線CM2上において、色点Wから最大彩度点Q2を経て色点Kに到達するまでの経路長を「1」とするように正規化したときの、色点Wから制御点PMまでの経路長を入力値として、補間明度調整トーンカーブに従った出力値を得る。
その後明度・彩度演算部52は、ガマット曲線CM2上で出力値が色点Wから各制御点PMまでの経路長となるような位置を調整後の制御点PMの位置とする。
この結果、図15と対応する図17に示すように、制御点PR及びPMの明度が調整された色相断面Sh2Lが算出される。
このように明度・彩度演算部52は、明度・彩度調整量記憶部53から読み出した明度調整トーンカーブに基づいて色相断面Sh2の制御点PR及びPMの位置を調整することにより、調整後断面としての色相断面Sh2Lを算出するようになされている。
[1−4−5.明度・彩度の算出]
ステップSP25(図12)においてCPU11は、明度・彩度演算部52(図4)によって色相断面Sh2L(図17)を用いて注目カラー値U1の明度及び彩度を調整することにより、調整後の注目カラー値U2を算出する。
ステップSP24において算出した色相断面Sh2Lは、色相断面Sh2(図15)と比較して、グレー軸XR及びガマット曲線CM2が不変であり、色点W、色点K及び最大彩度点Q2の位置も不変であるものの、制御点PR及びPMの位置が相違している。
また色相断面Sh2Lは、色相断面Sh1(図13)と同様、グレー軸XR上の制御点PRと、ガマット曲線CM2上の制御点PMとを、色点Wからグレー軸XR及びガマット曲線CM2をそれぞれ辿ったときに出現する順序が同一の制御点同士をそれぞれ結ぶ分割直線により、合計10個の調整後領域としての領域idxL1〜idxL10に分割することができる。
ここで色相断面Sh2Lを色相断面Sh1(図13)と比較すると、最大彩度点Q1及びQ2の位置の違いに伴って全体形状が互いに相違しており、またグレー軸XR上における各制御点PRの位置が相違しており、さらにガマット曲線CM2がガマット曲線CM1と相違しているために各制御点PMの位置も相違している。
このため色相断面Sh2Lの領域idxL1〜idxL10は、色相断面Sh1の領域idx1〜idx10とそれぞれ比較すると、互いに形状が相違している。
しかしながら領域idxL1及びidxL10は、領域idx1及びidx10と同様に三角形状であり、領域idxL2〜idxL9は、領域idx2〜idx9と同様に四角形状である。また領域idxL1〜idxL10は、領域idx1〜idx10と同様に、おおむね明度軸に沿って色点W側から色点K側へ向かうように順次並んでいる。
このため色相断面Sh2Lの領域idxL1〜idxL10は、色相断面Sh1の領域idx1〜idx10とそれぞれ対応関係にあるとみなすことができる。
そこで明度・彩度演算部52は、色相断面Sh1の各領域idx(図13)と色相断面Sh2Lの各領域idxLとの対応関係を利用して、上述したパラメータs及びtを基に、画像データの明度及び彩度を調整するようになされている。
まず明度・彩度演算部52は、彩度の調整処理として、ステップSP22において算出したパラメータsをパラメータs2に変換するようになされている。
明度・彩度調整量記憶部53(図4)には、上述した明度調整トーンカーブ(図16)に加えて、1・2次飽和色の色相hR、hG、hB、hC、hM及びhYにそれぞれ対応した6種類の彩度調整トーンカーブが記憶されている。この彩度調整トーンカーブは、明度調整トーンカーブと同様、入力値と出力値との対応が表されたものである。
明度・彩度演算部52は、明度・彩度調整量記憶部53から色相h2の色相割合情報、すなわち当該色相h2が1・2次飽和色の色相hR、hG、hB、hC、hM及びhYのうちいずれの間に位置し、且つどのような割合であるかを読み出す。ここでは、引き続き色相h2が色相hR及びhYの間に位置しているものとし、また割合をratio2とする。
続いて明度・彩度演算部52は、補間明度調整トーンカーブを生成した場合と同様に、色相h2が挟まれている色相hR及びhYそれぞれの彩度調整トーンカーブを明度・彩度調整量記憶部53から読み出す。そして明度・彩度演算部52は、上述した(11)式の関係及びratio2を利用することにより、色相h2に合わせて補間された彩度調整トーンカーブを生成する(以下これを補間彩度調整トーンカーブと呼ぶ)。
さらに明度・彩度演算部52は、ステップSP22において算出したパラメータsを入力値として補間彩度調整トーンカーブから得られる出力値をパラメータs2とする。このパラメータs2は、補間彩度調整トーンカーブにより調整された彩度を、比率により表した値となる。
次に明度・彩度演算部52は、ステップSP22において特定した色相断面Sh1の注目領域idxAと対応する色相断面Sh2Lの領域idxLを特定し、これを調整後注目領域としての注目領域idxA2とする。
具体的に注目領域idxA2は、色相断面Sh1及び色相断面Sh2Lそれぞれにおいて明度の軸に沿って色点W側から色点K側へ順次並んだ領域idx及びidxLのうち、色点W側からの順序が注目領域idxAと同一の領域idxL、例えば色点W側から4番目の領域idxL4となる。
続いて明度・彩度演算部52は、注目領域idxA2において、パラメータt及びs2をそれぞれ明度方向及び彩度方向の内分比とするような点を算出し、これを調整後の注目カラー値U2とする。
具体的に明度・彩度演算部52は、上述した(13)式の制御点P0〜P3として注目領域idxA2の各制御点の座標値を代入し、またパラメータsに代えてパラメータs2を用いることにより、調整前の注目カラー値U1に代わる調整後の注目カラー値U2を算出する。
そして明度・彩度演算部52は、このようにして算出した注目カラー値U2を、調整済画像データD13として色逆変換部47(図4)へ供給すると、次のステップSP26(図12)へ移って明度・彩度調整処理手順RT3を終了する。このときCPU11は、元の明度・彩度・色相調整処理手順RT2(図5)へ処理を戻し、ステップSP15以降の処理を継続するようになされている。
[1−5.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態によるコンピュータ2は、画像データD1をプリンタ3により印刷する際、CPU11によって画像印刷プログラムを実行することにより図4に示した各機能ブロックを内部に構成し、明度・彩度・色相調整部32において画像データD1の画像調整処理として明度・彩度・色相を調整する。
このとき明度・彩度・色相調整部32の色変換部43は、3次元色立体CC(図6)の表面における比較的均等に分散されたグリッド点を表すガマットデータT1をLCh色空間に変換することにより、3次元ガマットGM(図9)を表すガマットデータT2を生成する。
また色変換部43は、色点K及び色点Wをそれぞれ中心としてR軸、G軸及びB軸を互いに120度ずつ相違させた2次元の座標軸上で、色点K及び色点Wからそれぞれおおむね等距離にあるグリッド点同士を結んで6本の同心状の近彩度線NCL(色点K又はWを含む)をそれぞれ構成し(図7(A)及び(B))、これをLCh色空間へ変換する(図10及び図11)。
そして明度・彩度・色相調整部32の色相調整部44は、(11)式のように色相h1を1・2次飽和色の色相hR、hG、hB、hC、hM及びhYのうち互いに隣接する2つ及びその割合ratioにより表し、(12)式のように色相ごとに予め記憶された色相調整量dhをそれぞれ加算することにより調整後の色相h2を算出する。
次に明度・彩度・色相調整部32の明度・彩度パラメータ算出部51は、調整前の色相h1における色相断面Sh1を算出し、グレー軸XR上の制御点PR及び近彩度線NCLとの交点に相当する制御点PMを結ぶ分割直線により複数の領域idxに分割する。
続いて明度・彩度パラメータ算出部51は、領域idxのうち注目カラー値U1が含まれる注目領域idxAを特定すると共に、当該注目領域idxA内での注目カラー値U1の位置を明度方向及び彩度方向の内分比として表すパラメータt及びsをそれぞれ算出する。
また明度・彩度パラメータ算出部51は、調整後の色相h2における色相断面Sh2を算出し、グレー軸XR上の制御点PR及び近彩度線NCLとの交点に相当する制御点PMの位置を、明度調整トーンカーブを用いてグレー軸XR及びガマット曲線CM2上でそれぞれ調整することにより、領域単位で明度が調整された色相断面Sh2Lとした上で、分割直線により複数の領域idxLに分割する。
そして明度・彩度パラメータ算出部51は、彩度調整トーンカーブを用いてパラメータsをパラメータs2に変換することにより彩度を調整した上で、色相断面Sh2Lの領域idxLのうち注目領域idxAと対応する注目領域idxA2において、パラメータt及びs2を明度方向及び彩度方向の内分比とする点を調整後の注目カラー値U2とし、これを調整済画像データD13とする。
すなわち明度・彩度・色相調整部32は、3次元ガマットGM(図9)を算出し、その色相による断面である色相断面Sh2L内で調整後の注目カラー値U2を算出するようにした。
このため明度・彩度・色相調整部32は、画像調整処理により調整後の画像データが3次元ガマットGMの外部に位置してしまうことが無く、RGB色空間により表現可能な色に調整することができる。
また明度・彩度・色相調整部32は、調整前の色相h1における色相断面Sh1を複数の領域idxに分割し、調整後の色相h2における色相断面Sh2Lをこれと同数の領域idxLに分割して、互いを対応付けるようにした。
このため明度・彩度・色相調整部32は、調整前の注目カラー値U1が属する注目領域idxAに応じて、調整後に取り得る明度及び彩度の範囲を注目領域idxA2の範囲内に限定することができるので、画像調整により明度及び彩度が想定外の値となってしまうことを未然に防止できる。
さらに明度・彩度・色相調整部32は、色相断面Sh1及び色相断面Sh2Lにおいて、グレー軸XR上に配置された複数の制御点PRをそれぞれ通る分割直線により、それぞれ複数の領域idx1〜idx10及び領域idxL1〜idxL10に分割するようにした。
すなわち、色相断面Sh1では領域idx1から領域idx10へ向けて明度の値が順次低下することになり、また色相断面Sh2Lでは領域idxL1から領域idxL10へ向けて明度の値が順次低下することになる。さらに色相断面Sh2Lの領域idxL1〜idxL10は、その順序を崩すことなく色相断面Sh1の領域idx1〜idx10とそれぞれ対応付けられている。
これにより明度・彩度・色相調整部32は、画像調整の前後において、領域単位で明度の大小関係を維持することができるので、いわば明度の階調性を保持することができる。
また明度・彩度・色相調整部32は、色相断面Sh2の制御点PR及びPMをグレー軸XR及びガマット曲線CM2上でそれぞれ移動させることにより、色相断面Sh2Lを算出するようにした。
これにより明度・彩度・色相調整部32は、調整前の色相断面Sh1の各領域idxと対応すべき各領域idxLの位置を色相断面Sh2内でそれぞれ調整することができるので、調整後の明度を領域単位で調整することができる。
さらに明度・彩度・色相調整部32は、色相断面Sh1及び色相断面Sh2Lのいずれにおいても、色点W及び色点Kをそれぞれ明度方向の最大値及び最小値として、複数の領域idx及びidxLに分割するようにした。
これにより明度・彩度・色相調整部32は、画像調整の前後で明度の最大値及び最小値を保つことができ、その変動幅、すなわちダイナミックレンジの広さを維持することができる。
さらに明度・彩度・色相調整部32は、注目領域idxAにおける明度方向及び彩度方向の内分比であるパラメータt及びsを用いて注目カラー値U1の位置を表し(図14)、色相調整後の注目領域idxALにおいて、パラメータt及び変換後のパラメータs2を用いて調整後の注目カラー値U2を定めるようにした。
色相調整後の色相断面Sh2Lにおける注目領域idxALは、色相調整前の色相断面Sh1における注目領域idxAと比較して、各辺の長さや形状が必ずしも一致しないものの、四角形状又は三角形状といったおおよその形状が一致する。
このため明度・彩度・色相調整部32は、パラメータt及びs(s2)を用いることにより、調整前の注目領域idxA内の全範囲と、調整後の注目領域idxAL内の全範囲とを、過不足無く対応させることができる。
さらに明度・彩度・色相調整部32は、パラメータt及びs(s2)を用いることにより、注目領域idxA内における明度及び彩度の相対的な大きさを、調整後の注目領域idxAL内における明度及び彩度の相対的な大きさに反映させることができる。
これにより明度・彩度・色相調整部32は、注目領域idxA内と調整後の注目領域idxALとの間で明度及び彩度の階調性を保ったまま、注目カラー値U1を注目カラー値U2に調整することができる。
また明度・彩度・色相調整部32は、注目画素の色相h1が1・2次飽和色の色相hR、hG、hB、hC、hM及びhYのうちいずれの間に位置するかを算出し、且つその割合ratioを算出して、(12)式により色相調整量dhを用いて調整後の色相h2を算出するようにした。
このため明度・彩度・色相調整部32は、全色相について調整量を記憶する場合と比較して、必要な記憶容量を大幅に削減しながら、色相h1に応じた適切な調整量だけ調整した色相h2を算出することができる。
さらに明度・彩度・色相調整部32は、1・2次飽和色の色相hR、hG、hB、hC、hM及びhYにそれぞれ対応した6種類の明度調整トーンカーブ及び6種類の彩度調整トーンカーブを予め用意した。
このため明度・彩度・色相調整部32は、全色相について明度調整トーンカーブ及び彩度調整トーンカーブを記憶する場合と比較して、必要な記憶容量を大幅に削減しながら、色相ごとに明度及び彩度をきめ細かく調整することができる。
そのうえ明度・彩度・色相調整部32は、色相については(12)式により色相h1から調整後の色相h2を算出し、明度については制御点PR及びPMをグレー軸XR及びガマット曲線CM2上でそれぞれ移動させることにより領域idxLを移動させ、彩度についてはパラメータsをパラメータs2へ変換することにより調整するようにした。
このため明度・彩度・色相調整部32は、色相、明度及び彩度をそれぞれ互いにほぼ独立に調整することができ、その際に調整後の注目カラー値U2を確実に色相断面Sh2L内、すなわち3次元ガマットGM(図9)内に位置させることができ、いわゆる色の破綻をきたすことが無い。
以上の構成によれば、第1の実施の形態によるコンピュータ2は、ガマットデータT1をLCh色空間に変換してab平面上で近彩度線NCLを表すガマットデータT2を生成し、色相h1を基に調整後の色相h2を算出する。またコンピュータ2は、色相断面Sh1を、制御点PR及びPMを結ぶ分割直線により複数の領域idxに分割し、注目カラー値U1が含まれる注目領域idxA内での当該注目カラー値U1の位置を表すパラメータt及びsを算出する。さらにコンピュータ2は、色相断面Sh2の制御点PR及びPMの位置を調整して明度を領域単位で調整した色相断面Sh2Lとし、パラメータsをパラメータs2に変換して彩度を調整した上で、色相断面Sh2の注目領域idxA2において、パラメータt及びs2を内分比とする点を調整後の注目カラー値U2とすることにより、階調性を保持したまま画像を調整することができる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による画像処理印刷システム101(図1)は、コンピュータ2に代わるコンピュータ102及びプリンタ3により構成されている。
コンピュータ102は、第1の実施の形態によるコンピュータ2と比較して、同様のブロック構成(図2)となっている一方、画像データを印刷する際の画像印刷処理手順が一部相違している。
[2−1.画像印刷処理手順]
コンピュータ102のCPU11は、画像データを印刷する指示を受け付けると、ハードディスクドライブ14(図2)から画像印刷プログラムを読み出して実行することにより、図3と対応する図18に示す画像印刷処理手順RT4を開始する。
このときコンピュータ102は、この画像印刷処理手順RT4を実行することにより、図4の一部と対応する図19に示すような各機能ブロックを内部で実現するようになされている。
画像印刷処理手順RT4のステップSP31、SP33、SP34、SP35及びSP36は、それぞれ画像印刷処理手順RT1のステップSP1、SP3、SP4、SP5及びSP6とそれぞれ同様の処理が行われる。
一方、ステップSP32においてCPU11は、明度・彩度・色相調整部132により画像データD1に対し明度、彩度及び色相を調整することにより調整済画像データD2を生成し(詳しくは後述する)、これを印刷データ作成部33(図19)へ受け渡して次のステップSP33へ移る。
このとき明度・彩度・色相調整部132は、明度・彩度・色相調整ルックアップテーブル(LUT)記憶部140に予め記憶されている対応テーブルとしての明度・彩度・色相調整ルックアップテーブルLUT1を参照する。
そして明度・彩度・色相調整部132は、画像データD1のRGB値が記憶されていればそのRGB値に応じた出力値を調整済画像データD2とし、記憶されていなければ近傍の複数のRGB値を用いてRGB空間内の距離に応じた重み付けで補間することにより調整済画像データD2を生成するようになされている。
[2−2.LUTの作成処理]
次に、明度・彩度・色相調整ルックアップテーブルLUT1の作成処理について説明する。コンピュータ102のCPU11は、画像データの印刷処理を行う前に、事前の処理として、図20に示すルックアップテーブル作成処理手順RT5を実行するようになされている。
このときコンピュータ102のCPU11は、ハードディスクドライブ14(図2)からルックアップテーブル作成プログラムを読み出して実行することにより、ルックアップテーブル作成処理手順RT5を開始してステップSP41へ移る。
またコンピュータ102は、このルックアップテーブル作成処理手順RT5を実行することにより、図4の一部と対応する図21に示すような各機能ブロックを内部で実現するようになされている。
ステップSP41においてCPU11は、LUTグリッド作成部131により、複数の色データとしてのLUTグリッドデータD21を作成し、これを順次明度・彩度・色相調整部32及びLUT作成部133へ供給し、次のステップSP42へ移る。
ここでLUTグリッドデータD21とは、RGB色空間内の離散的な複数の点(グリッド)を表すものであり、明度・彩度・色相調整ルックアップテーブルLUT1の入力値を表すものである。すなわち第2の実施の形態では、具体的な画像データD1のRGB値ではなく、RGB空間内の離散的な点(グリッド)に対し明度・彩度・色相を調整することになる。
ステップSP42においてCPU11は、明度・彩度・色相調整部32においてLUTグリッドデータD21に対し第1の実施の形態と同様の処理を行うことにより、当該LUTグリッドデータD21の明度・彩度・色相を調整した調整済LUTグリッドデータD22を生成し、これをLUT作成部133へ供給して次のステップSP43へ移る。
ステップSP43においてCPU11は、LUT作成部133により、LUTグリッドデータD21と調整済LUTグリッドデータD22とを対応付けた明度・彩度・色相調整ルックアップテーブルLUT1を作成し、これを明度・彩度・色相調整ルックアップテーブル記憶部140へ供給して記憶させた後、ステップSP44へ移ってルックアップテーブル作成処理手順RT5を終了する。
[2−3.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態によるコンピュータ102は、画像データD1をプリンタ3により印刷する際、CPU11によって画像印刷プログラムを実行することにより図19に示した各機能ブロックを内部に構成し、明度・彩度・色相調整部132において画像データD1の画像調整処理として明度・彩度・色相を調整する。
このとき明度・彩度・色相調整部132は、予め作際された明度・彩度・色相調整ルックアップテーブルLUT1を参照して、画素ごとに画像データD1を調整済画像データD2へ変換することにより、明度・彩度・色相の調整処理を行う。
このためコンピュータ102は、第1の実施の形態のように、画像データD1を構成する全ての画素について明度・彩度・色相調整部32(図4、図21)による一連の演算処理を実行する場合と比較して、その演算量を大幅に削減でき、演算処理に要する時間を大幅に短縮することができる。
またコンピュータ102は、明度・彩度・色相調整ルックアップテーブルLUT1を作成する際、RGB色空間における離散的なRGB値、すなわち一部のRGB値のみをLUTグリッドデータD21とした。
このためコンピュータ102は、RGB色空間における全てのRGB値をLUTグリッドデータD21とする場合と比較して、明度・彩度・色相調整ルックアップテーブルLUT1に格納するLUTグリッドデータD21及び調整済LUTグリッドデータD22の数を大幅に削減でき、必要な記憶容量を極めて小さく抑えることができる。
さらに第2の実施の形態によるコンピュータ102は、明度・彩度・色相調整ルックアップテーブルLUT1の作成に関し、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第2の実施の形態によるコンピュータ102は、RGB色空間における離散的なRGB値をLUTグリッドデータD21として、明度・彩度・色相調整部32により調整済LUTグリッドデータD22を生成し、これらを格納した明度・彩度・色相調整ルックアップテーブルLUT1を予め作成しておく。そしてコンピュータ102は、画像データD1をプリンタ3により印刷する際、画像印刷プログラムを実行し、明度・彩度・色相調整部132により明度・彩度・色相調整ルックアップテーブルLUT1を参照して画素ごとに画像データD1を調整済画像データD2へ変換することにより、明度・彩度・色相を調整する。これによりコンピュータ102は、明度・彩度・色相の調整に伴う演算量を大幅に削減できると共に、必要な記憶容量を極めて小さく抑えることができる。
[3.第3の実施の形態]
第3の実施の形態による画像処理印刷システム201(図1)は、コンピュータ2に代わるコンピュータ202及びプリンタ3により構成されている。
コンピュータ202は、第1の実施の形態によるコンピュータ2と比較して、同様のブロック構成(図2)となっている一方、画像データを印刷する際の画像印刷処理手順RT1(図3)のうち、ステップSP2における画像データの明度・彩度・色相を調整する処理が一部相違している。
[3−1.明度・彩度・色相の調整]
コンピュータ202のCPU11は、画像印刷処理手順RT1のステップSP2において、ハードディスクドライブ14(図2)から明度・彩度・色相調整プログラムを読み出して実行することにより、図5と対応する図22に示す明度・彩度・色相調整処理手順RT6をサブルーチンとして開始し、ステップSP51へ移る。
このときコンピュータ202は、この明度・彩度・色相調整処理手順RT6を実行することにより、図4と対応する図23に明度・彩度・色相調整部232として破線で囲まれた部分に示した各機能ブロックを内部で実現するようになされている。
明度・彩度・色相調整処理手順RT6のステップSP51、SP52、SP55及びSP56は、それぞれ明度・彩度・色相調整処理手順RT2のステップSP11、SP12、SP15及びSP16とそれぞれ同様の処理が行われる。
一方、ステップSP53においてCPU11は、明度・彩度調整部244(図23)によって画像データD11の明度及び彩度を調整することにより画像データD32を生成し(詳しくは後述する)、これを色相調整部246へ供給して次のステップSP54へ移るようになされている。
またステップSP54においてCPU11は、色相調整部246(図23)によって、色相調整量記憶部45に記憶されている色相調整量dhに基づき画像データD32の色相を調整することにより調整済画像データD33を生成し(詳しくは後述する)、これを色逆変換部47へ供給し、次のステップSP55へ移るようになされている。
[3−2.明度・彩度の調整]
次に、明度・彩度・色相調整処理手順RT6(図22)のステップSP53において、明度・彩度調整部244により行われる明度・彩度の調整処理について説明する。
コンピュータ2のCPU11は、明度・彩度・色相調整処理手順RT6においてステップSP53へ移ると、ハードディスクドライブ14(図2)から明度・彩度調整プログラムを読み出して実行することにより、図12と対応する図24に示す明度・彩度調整処理手順RT7をサブルーチンとして開始し、ステップSP61へ移る。
明度・彩度調整処理手順RT7のステップSP61、SP62及びSP65は、それぞれ明度・彩度調整処理手順RT3のステップSP21、SP22及びSP26とそれぞれ同様の処理が行われる。
[3−2−1.制御点による明度調整]
ステップSP63においてCPU11は、明度・彩度調整処理手順RT3(図12)のステップSP24と同様の制御点PR及びPMを移動させる処理を、調整前の色相h1について行うようになされている。
すなわちCPU11は、明度・彩度演算部252によって色相断面Sh1(図13)のグレー軸XR上で各制御点PRの位置を調整すると共に、ガマット曲線CM1上で各制御点PMの位置を調整し、次のステップSP25へ移る。
明度・彩度演算部252は、グレー軸XR上で各制御点PRの位置を調整する場合、まず明度・彩度調整量記憶部53からグレー軸用の明度調整トーンカーブ(図16)を読み出す。
次に明度・彩度演算部252は、色相断面Sh1のグレー軸XR上にある各制御点PRの明度を、色点Wが値「1」となり色点Kが値「0」となるように正規化し、この値を入力値として明度調整トーンカーブに従った出力値を得る。
その後明度・彩度演算部252は、明度調整トーンカーブの出力値に対し正規化と逆の処理を行うことにより明度に変換し、グレー軸XR上において変換後の明度に応じた位置を制御点PRの調整後の位置とする。
また明度・彩度演算部252は、ガマット曲線CM1上で各制御点PMの位置を調整する場合、1・2次飽和色の色相hR、hG、hB、hC、hM及びhYのうち色相h1が挟まれている2の色相の明度調整トーンカーブを明度・彩度調整量記憶部53から読み出し、上述した(11)式を利用することにより、色相h1に合わせて補間された明度調整トーンカーブ、すなわち補間明度調整トーンカーブを生成する。
さらに明度・彩度演算部252は、色相断面Sh1のガマット曲線CM1上において、色点Wから最大彩度点Q1を経て色点Kに到達するまでの経路長を「1」とするように正規化したときの、色点Wから制御点PMまでの経路長を入力値として、補間明度調整トーンカーブに従った出力値を得る。
その後明度・彩度演算部252は、ガマット曲線CM1上で出力値が色点Wから各制御点PMまでの経路長となるような位置を調整後の制御点PMの位置とする。
この結果、図13と対応する図25に示すように、制御点PR及びPMの明度が調整された色相断面Sh1Mが算出される。
[3−2−2.明度・彩度の算出]
ステップSP64(図24)においてCPU11は、明度・彩度調整処理手順RT3(図12)のステップSP25と同様の調整後の明度及び彩度を演算する処理を、調整前の色相h1における明度調整後の色相断面Sh1M(図25)について行うようになされている。
色相断面Sh1Mは、色相断面Sh1(図13)と同様、グレー軸XR上の制御点PRと、ガマット曲線CM1上の制御点PMとを、色点Wからグレー軸XR及びガマット曲線CM1をそれぞれ辿ったときに出現する順序が同一の制御点同士をそれぞれ結ぶ分割直線により、合計10個の領域idxM1〜idxM10に分割される。
まず明度・彩度演算部252は、彩度の調整処理として、ステップSP62においてステップSP22と同様に算出したパラメータsをパラメータs3に変換する。
具体的に明度・彩度演算部252は、ステップSP62においてステップSP22と同様に算出した色相h1の色相割合情報、すなわち1・2次飽和色の色相hR、hG、hB、hC、hM及びhYのうち当該色相h1が挟まれる2の色相及びその割合ratioを利用する。
明度・彩度演算部252は、色相h1が挟まれる2の色相それぞれの彩度調整トーンカーブを明度・彩度調整量記憶部53から読み出し、上述した(11)式を利用することにより、色相h1に合わせて補間された彩度調整トーンカーブ、すなわち補間彩度調整トーンカーブを生成する。
そして明度・彩度演算部252は、ステップSP62において算出したパラメータsを入力値として補間彩度調整トーンカーブから得られる出力値をパラメータs3とする。
次に明度・彩度演算部252は、ステップSP62において特定した色相断面Sh1の注目領域idxAと対応する色相断面Sh1Mの領域idxM、すなわち色点W側からの順序が注目領域idxAと同一の領域idxMを特定し、これを注目領域idxA3とする。
続いて明度・彩度演算部252は、注目領域idxA3において、パラメータt及びs3をそれぞれ明度方向及び彩度方向の内分比とするような点を算出し、これを調整後の注目カラー値U3とする。
具体的に明度・彩度演算部252は、上述した(13)式の制御点P0〜P3として注目領域idxA3の各制御点の座標値を代入し、またパラメータsに代えてパラメータs3を用いることにより、調整前の注目カラー値U1に代わる調整後の注目カラー値U3を算出する。
そして明度・彩度演算部252は、このようにして算出した注目カラー値U3を、画像データD32として色相調整部246及び色逆変換部47へ供給すると、次のステップSP65(図24)へ移って明度・彩度調整処理手順RT7を終了する。
[3−3.色相の調整]
次に、明度・彩度・色相調整処理手順RT6(図23)のステップSP54において、色相調整部246により行われる色相の調整処理について説明する。
コンピュータ2のCPU11は、明度・彩度・色相調整処理手順RT6においてステップSP54へ移ると、ハードディスクドライブ14(図2)から色相調整プログラムを読み出して実行することにより、図12と一部対応する図26に示す色相調整処理手順RT8をサブルーチンとして開始し、ステップSP71へ移る。
色相調整処理手順RT8のステップSP71及びSP76は、それぞれ明度・彩度調整処理手順RT3のステップSP21及びSP26とそれぞれ同様の処理が行われる。
[3−3−1.明度・彩度パラメータの算出]
ステップSP72においてCPU11は、色相調整部246によって、明度・彩度調整処理手順RT3(図12)のステップSP22と同様の明度・彩度パラメータを算出する処理を、色相断面Sh1上で注目カラー値U3について行い、次のステップSP73へ移る。
色相断面Sh1については、図27に示すように、ステップSP22(図12)と同様のステップSP62において、既に領域idx1〜idx10に分割されている。
まず色相調整部246は、明度・彩度調整処理手順RT7により明度及び彩度が調整された注目カラー値U3が含まれる領域idx(以下これを注目領域idxA4と呼ぶ)を特定する。
すなわち色相調整部246は、注目カラー値U3を算出した際に用いた明度調整後の色相断面Sh1Lでは無く、明度調整前の色相断面Sh1において、当該注目カラー値U3が含まれる注目領域idxA4を特定する。
次に色相調整部246は、ステップSP22(図12)と同様の手法により、注目領域idxA4内における注目カラー値U3の位置を内分比により表すパラメータt4及びs4をそれぞれ算出する。
このようにして算出されたパラメータt4及びs4は、第1の実施の形態におけるパラメータt及びsと同様、注目領域idxA4内における注目カラー値U3の相対的な明度及び彩度をそれぞれ表す値となっている。
[3−3−2.色相の調整]
ステップSP73においてCPU11は、色相調整部246によって、明度・彩度・色相調整処理手順RT2(図5)のステップSP13と同様の手法により調整後の色相h2を算出し、次のステップSP74へ移る。
すなわち色相調整部246は、1・2次飽和色の色相hR、hG、hB、hC、hM及びhYのうち調整前の色相h1が挟まれている2の色相及びその割合ratioを算出する。
次に色相調整部246は、色相調整量記憶部45に予め記憶されている1・2次飽和色の色相調整量dhR、dhG、dhB、dhC、dhM及びdhYのうち、注目画素の色相h1が挟まれている2の色相に関する色相調整量dhを読み出し、これらを用いて上述した(12)式により調整後の色相h2を算出する。
[3−3−3.調整後の色相における注目カラー値の算出]
ステップSP74においてCPU11は、色相調整部246によって、調整後の色相h2についてステップSP71と同様の手法により色相断面Sh2を算出し、次のステップSP75へ移る。
ステップSP75においてCPU11は、色相調整部246によって、色相断面Sh1の注目カラー値U3と対応する色相断面Sh2上の座標を算出することにより、当該注目カラー値U3の色相を色相h2に調整した注目カラー値U4を算出する。
具体的に色相調整部246は、まず色相断面Sh1の注目カラー値U3が含まれる注目領域idxA4と対応する色相断面Sh2の注目領域idxA5を特定する。
続いて色相調整部246は、注目領域idxA5において、パラメータt4及びs4をそれぞれ明度方向及び彩度方向の内分比とするような点を算出し、これを調整後の注目カラー値U4とする。
そして色相調整部246は、このようにして算出した注目カラー値U4を、調整済画像データD33として色逆変換部47へ供給すると、次のステップSP76(図26)へ移って色相調整処理手順RT8を終了する。このときCPU11は、元の明度・彩度・色相調整処理手順RT6(図22)へ処理を戻し、ステップSP55以降の処理を継続するようになされている。
[3−4.動作及び効果]
以上の構成において、第3の実施の形態によるコンピュータ202は、画像データD1をプリンタ3により印刷する際、CPU11によって画像印刷プログラムを実行することにより、図23に示した各機能ブロックを内部に構成し、明度・彩度・色相調整部232において画像データD1の画像調整処理として明度・彩度・色相を調整する。
このとき明度・彩度・色相調整部232は、まず調整前の色相h1において注目カラー値U1の明度及び彩度を内分比により表すパラメータt及びsを算出する。
次に明度・彩度・色相調整部232は、調整前の色相h1において色相断面Sh1の制御点PR及びPMを移動させて明度を調整した色相断面Sh1Mを作成し、さらにパラメータsをパラメータs3に変換することにより、注目カラー値U1の明度及び彩度をそれぞれ調整した注目カラー値U3を算出する。
さらに明度・彩度・色相調整部232は、明度調整前の色相断面Sh1において注目カラー値U3が含まれる注目領域idxA4を特定し、当該注目カラー値U3を表すパラメータt4及びs4を算出する。
そして明度・彩度・色相調整部232は、調整後の色相h2における色相断面Sh2の注目領域idxA5において、パラメータt4及びs4を内分比とする点を、明度及び彩度に加えて色相を調整した注目カラー値U4とし、これを調整済画像データD33とする。
すなわち第3の実施の形態におけるコンピュータ202は、明度・彩度・色相の調整順序に関し、第1の実施の形態における「色相、明度及び彩度」の順と異なり、「明度、彩度及び色相」の順に各項目を調整した。
この場合であっても、コンピュータ202は、第1の実施の形態と同様に、調整後の色(カラー値)が3次元ガマットGM(図9)内に収めることができ、且つ明度・彩度・色相の調整時に階調性を保持することができる。
その他の点においても、第3の実施の形態におけるコンピュータ202は、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第3の実施の形態によるコンピュータ202は、ガマットデータT1をLCh色空間に変換してab平面上で近彩度線NCLを表すガマットデータT2を生成し、色相h1の色相断面Sh1において注目カラー値U1が含まれる注目領域idxAにおいて当該注目カラー値U1を表すパラメータt及びsを算出する。またコンピュータ202は、色相断面Sh1の制御点PR及びPMの位置を調整して明度を領域単位で調整した色相断面Sh1Mとし、パラメータsをパラメータs3に変換して彩度を調整して注目カラー値U3とする。さらにコンピュータ202は、色相断面Sh1において注目カラー値U3が含まれる注目領域idxA4でパラメータt4及びs4を算出し、調整後の色相h2における色相断面Sh2の注目領域idxA5において、パラメータt4及びs4を内分比とする点を調整後の注目カラー値U4とすることにより、階調性を保持したまま画像を調整することができる。
[4.他の実施の形態]
なお上述した第1及び第2の実施の形態においては、LCh色空間の画像データD11に対し、色相を調整した後に明度及び彩度を調整し、第3の実施の形態においては、画像データD11に対し、明度及び彩度を調整した後に色相を調整するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれらに限らず、LCh色空間の画像データD11に対し、明度・彩度・色相を任意の順に調整するようにしても良い。
また上述した第1の実施の形態においては、色変換部41(図4)において、デバイス依存のsRGB色空間の画像データD1を、デバイス非依存のLCh色空間の画像データD11に変換するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、変換後の画像データの色空間を、例えばCIECAM02のJCh色空間など、デバイス非依存の明度・彩度・色相により表される種々の色空間としても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、例えば色相断面Sh1(図13)において、グレー軸XR上の制御点PRとガマット曲線CM1上の制御点PMとを結ぶ分割直線により、10個の領域idx1〜idx10を明度の軸方向に沿って並べるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図29に示すように、ガマット曲線CM1上の制御点PM同士を縦方向に結ぶような、すなわち最大彩度点Q1から色点W及び色点Kへそれぞれ向かうガマット曲線CM1上に出現する順序が等しい制御点PM同士を結ぶような分割直線により、複数の領域を彩度の軸方向に沿って並べるようにしても良い。
この場合、制御点PMを移動させることにより、彩度を領域単位で調整することができる。またこの場合、色相を調整し且つ制御点PMを移動させた後の色相断面Sh2Lにおいて、パラメータtを変換することにより、明度を調整することができる。
また例えば図30に示すように、図13に示した分割線及び図29に示した分割線の双方を用いることにより、色相断面Sh1を格子状の多数の領域に分割するようにしても良い。この場合、調整前後の色相において色相断面同士で領域の分割数及び分割された各領域の形状(三角形状や四角形状)を一致させることにより、対応する注目領域同士でパラメータt及びs等を用いて注目カラー値U1から注目カラー値U2を算出することができれば良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、明度・彩度パラメータ算出部51(図4)において注目カラー値U1を表すパラメータt及びs(図14)を算出する際、まずグレー軸XR上及びガマット曲線CM1でパラメータtを内分比とするグレー軸内分点VR及びガマット曲線内分点VMをそれぞれ求め、次に両者を結ぶ線分LV上で注目カラー値U1の内分比をパラメータsとするようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばまず当該領域の上下の分割直線上でパラメータsを内分比とする内分点をそれぞれ求め、次に両者を結ぶ線分上で注目カラー値U1の内分比をパラメータtとするようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、明度・彩度・色相調整部32において明度・彩度・色相の全てを調整するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、明度・彩度・色相の少なくとも1つを調整すれば良い。例えば明度を調整しないようにしても良く、この場合、調整後の色相h2における色相断面Sh2において、制御点PR及びPMを移動させないようにすれば良い。また、彩度を調整しないようにしても良く、この場合、パラメータsをパラメータs2に変換することなくそのまま用いれば良い。さらに、色相を調整しないようにしても良く、この場合、第3の実施の形態と同様に、色相断面Sh1において制御点PR及びPMを移動させて明度を調整し、またパラメータsを変換して彩度を調整すれば良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、3次元色立体CC(図6)のグリッド数Nを6とすることにより、当該3次元色立体CCの各辺及び各グリッド線をそれぞれ5等分するような箇所にグリッド点を配置し、CIELab色空間のab平面上に色点W及びKを含む合計11個(2N−1)の近彩度線NCL(図7、図10、図11)を描くようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、グリッド数Nを4以下や6以上としても良い。ただし、グリッド数Nは3以上とすることにより、ホワイト及びブラック並びに1次・2次飽和色の色点以外にグリッド点を配置することが望ましい。この場合、3次元色立体CCのグレー軸XR0(図8)については、両端の色点W及びKを含んでM=2N−1個のグリッド点を等間隔で配置すれば良い。
この場合、グリッド数Nを増加させることにより、色相断面Sh1等における領域idxの分割数(2N−2)も増加するため、明度をきめ細かく調整することができる。反対にグリッド数Nを削減することにより、グリッド点のRGB色空間からCIEXYZ色空間への変換時や制御点PR及びPMの移動時等における演算量を削減することができる。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、色相調整量記憶部45(図4)に1・2次飽和色の各色相についての色相調整量dhを記憶しておき、色相調整部44によって、1・2次飽和色のうち注目画素の色相h1が挟まれる色相及びその割合ratioに応じて、(12)式により調整後の色相h2を算出するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば1・2次飽和色の一部又は全部の色相について、共通の色相調整量dhを用いるようにしても良い。また、例えば1・2次飽和色に加えて、他の色、例えばR(U,0,0)とM(U,0,U)の中間色(U,0,U/2)についても色相調整量dhを予め記憶しておき、色相調整部44によって、1・2次飽和色及び他の色のうち注目画素の色相h1が挟まれる色相及びその割合ratioに応じて、調整後の色相h2を算出するようにしても良い。この場合、他の色の色相調整量dhを用いることにより、色相調整量記憶部45への記憶容量が増加するものの、調整後の色相h2をより精密に算出することができる。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、明度・彩度調整量記憶部53(図4)に1・2次飽和色の各色相の明度調整トーンカーブを記憶しておき、明度・彩度演算部52によって、1・2次飽和色のうち色相h2が挟まれる色相及びその割合ratio2に応じて補間明度調整トーンカーブを作成し、ガマット曲線CM2上で制御点PMを移動させるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば調整トーンカーブに代えて、所定の関数やテーブル等を用いることにより、調整前の値を基に調整後の値を得るようにしても良い。また、1・2次飽和色の一部又は全部について、さらにはグレー軸XRについても、共通の明度調整トーンカーブを用いるようにしても良い。
さらには、上述した色相調整量dhの場合と同様、1・2次飽和色に加えて他の色についても明度調整トーンカーブを予め記憶しておき、色相調整部44によって、1・2次飽和色及び他の色のうち色相h2が挟まれる色相及びその割合ratio2に応じて、補間明度調整トーンカーブを作成するようにしても良い。これらは彩度調整トーンカーブについても同様であり、また第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第2の実施の形態においては、コンピュータ102により明度・彩度・色相調整ルックアップテーブルLUT1を作成して明度・彩度・色相調整ルックアップテーブル記憶部140(図21)に記憶させ、当該コンピュータ102によりこの明度・彩度・色相調整ルックアップテーブルLUT1を参照して画像データD1に対し画像調整処理を行うようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば他のコンピュータ等において作成された明度・彩度・色相調整ルックアップテーブルLUT1をコンピュータ102が取得して明度・彩度・色相調整ルックアップテーブル記憶部140(図21)に記憶させ、当該コンピュータ102によりこの明度・彩度・色相調整ルックアップテーブルLUT1を参照して画像データD1に対し画像調整処理を行うようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、コンピュータ2において画像データをプリンタ3によって印刷する際に、印刷の前処理として画像調整処理を行う場合に本発明を適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばファクシミリや複写機等のような画像データを印刷する種々の電子機器において、印刷する画像データに対し画像調整処理を行う場合に適用するようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
また本発明は、プリンタ3等により画像データを印刷する場合に限らず、コンピュータ2等において画像データに対し何らかの画像調整処理をする場合に適用するようにしても良い。この場合、画像調整処理の内容に応じた色相調整量dh、明度調整トーンカーブ及び彩度調整トーンカーブをそれぞれ用いれば良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、明度・彩度・色相を調整した調整済画像データD13について、色逆変換部47(図4)によりLCh色空間からRGB色空間へ逆変換するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば印刷データ作成部35(図4)においてLCh色空間の画像データを受け取ることができる場合に、色逆変換部47を省略してLCh色空間の調整済画像データD13をそのまま当該印刷データ作成部35へ供給するようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、CPU11が画像印刷プログラム等の各種プログラムを実行することにより、ソフトウェアにより図4に示した各種機能ブロックを実現するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばハードウェア回路やDSP(Digital Signal Processor)のような専用の信号処理回路等により図4の一部又は全部の機能ブロックを実現するようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、画像印刷プログラム等の各種プログラムを予めハードディスクドライブ14(図2)に記憶しておき、CPU11によりこれを読み出して実行するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば通信インタフェース18を介してインターネット等を介して接続された外部のサーバ等から各種プログラムをダウンロードし、これをCPU11により実行するようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、色変換部としての色変換部41及び43と、調整前領域算出部及びパラメータ算出部としての明度・彩度パラメータ算出部51と、調整後領域算出部及び調整後画像データ算出部としての色相調整部44及び明度・彩度演算部52とによって画像処理装置としてのコンピュータ2を構成する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる色変換部と、調整前領域算出部と、パラメータ算出部と、調整後領域算出部と、調整後画像データ算出部とによって画像処理装置を構成するようにしても良い。