以下、図面を参照して本発明の第1の放射線被曝量取得装置の一実施の形態を用いた放射線画像撮影システムの一実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態の放射線画像撮影システム全体の概略構成を示すブロック図である。
本実施の形態の放射線画像撮影システムは、図1に示すように、患者の透視画像(動画)を撮影する放射線画像撮影装置10と、放射線画像撮影装置10によって撮影された透視画像を表示する放射線画像表示装置20と、患者の血管やリンパ管などに対して造影剤を注入する造影剤注入装置30と、放射線画像撮影装置10によって撮影された透視画像の画像信号に基づいて、患者の被曝量を取得する放射線被曝量取得装置40と、放射線被曝量取得装置40によって取得された患者毎の被曝量を記憶して管理する放射線被曝量管理装置50と、放射線画像撮影システム全体の制御を行うシステム制御装置60とを備えている。
放射線画像撮影装置10は、図1に示すように、X線管球や絞りなどを備え、X線管球から射出されて絞りを透過した放射線を患者に照射する放射線照射部11と、患者を透過した放射線を検出して患者の放射線画像を表す放射線画像信号を出力する放射線画像検出器12と、放射線画像検出器12から出力された放射線画像信号を記憶する放射線画像記憶部13と、放射線画像撮影装置10全体を制御する制御部14とを備えている。
放射線画像検出器12は、放射線画像の記録と読出しを繰り返して行うことができるものであり、放射線の照射を直接受けて電荷を発生して蓄積することによって放射線画像の記録が行われる、いわゆる直接型の放射線画像検出器を用いてもよいし、放射線を一旦可視光に変換し、その可視光を電荷に変換して蓄積することによって放射線画像の記録が行われる、いわゆる間接型の放射線画像検出器を用いるようにしてもよい。また、上述したようにして電荷を蓄積することによって記録された放射線画像の読出方式としては、TFT(thin film transistor)スイッチがオン・オフされることによって放射線画像信号が読みだされる、いわゆるTFT読出方式のものや、読取光を照射することによって放射線画像信号が読み出される、いわゆる光読出方式のものを用いることができるが、これに限らずその他のものを用いるようにしてもよい。
そして、本実施の形態の放射線画像撮影装置10は、造影剤注入装置30によって造影剤が注入される患者の透視画像(動画)の撮影を行うものであり、制御部14は、この透視画像の撮影が行われるように放射線照射部11と放射線画像検出器12とを制御するものである。具体的には、制御部14は、所定のフレームレートで放射線照射部11から放射線を照射させるとともに、その放射線の照射によって放射線画像の記録と読出しが行われるように放射線画像検出器12を制御するものである。そして、放射線画像検出器12から出力されたフレーム毎の放射線画像信号を放射線画像記憶部13に順次記憶するものである。さらに、本実施の形態の制御部14は、フレーム毎の放射線画像信号を放射線画像記憶部13に記憶する際、そのフレーム毎の放射線画像信号内に造影剤の像を表す画像信号が含まれるか否かを示す情報を付加するものであるが、その作用については後で詳述する。
なお、放射線画像撮影装置10の構成としては、患者を立位状態で撮影する構成でもよいし、患者を臥位状態で撮影する構成でもよい。また、患者を立位状態および臥位状態との両方で撮影可能な構成でもよい。
放射線画像表示装置20は、放射線画像撮影装置10の放射線画像記憶部13から読み出されたフレーム毎の放射線画像信号に対して所定の処理を施して表示制御信号を生成し、その表示制御信号に基づいてモニタに患者の透視画像を表示させるものである。
造影剤注入装置30は、使用者による指示入力に基づいて、もしくは予め設定された造影剤注入開始タイミングに基づいて造影剤を患者の血管内などに自動的に注入するものである。具体的には、例えば注射器などから構成され、造影剤を患者の血管内などに注入する造影剤注入部31と、造影剤注入部31の造影剤注入動作を駆動する注入駆動部32と、注入駆動部32の動作などを制御する制御部33と、造影剤注入装置30から患者の血管内などへ造影剤が注入中であるか否かを検出する造影剤注入検出センサ部34とを備えている。
注入駆動部32は、例えば造影剤注入部31の注射器のピストンを動かすものであり、空気圧やモータや油圧などの動力手段によって構成されるものである。
造影剤注入検出センサ部34は、造影剤注入部31から造影剤が吐出されたことを検出するセンサを有するものである。そして、造影剤注入検出センサ部34は、その造影剤検出信号を放射線画像撮影装置10の制御部14に出力するものである。
放射線被曝量取得装置40は、放射線画像撮影装置10の放射線画像記憶部13から読み出されたフレーム毎の放射線画像信号が表す画像中において患者の人体部位に対応した領域を1つまたは複数設定する領域設定部41と、フレーム毎の放射線画像信号のうち、造影剤の像の画像信号を含むフレームの放射線画像信号を造影剤フレームとして特定する造影剤フレーム特定部42と、フレーム毎の放射線画像信号に基づいて、領域設定部41において設定された領域毎に、患者の放射線被曝量を取得する放射線被曝量取得部43とを備えている。なお、領域設定部41、造影剤フレーム特定部42および放射線被曝量取得部43の作用については、後で詳述する。
放射線被曝量管理装置50は、放射線被曝量取得装置40において取得された患者の放射線被曝量を記憶し、患者毎の放射線被曝量を管理するものである。
システム制御装置60は、上述した放射線画像撮影装置10、放射線画像表示装置20、造影剤注入装置30、放射線被曝量取得装置40および放射線被曝量管理装置50に制御信号を出力してこれらの動作を制御するとともに、これらの装置間の信号の入出力の制御を行うものである。また、システム制御装置60には入力部70が設けられており、この入力部70によって使用者による所定の指示入力や、撮影条件や患者のID情報などの入力が受け付けられる。入力部70において受け付けられた入力情報は、システム制御装置60によって必要に応じて各装置に出力される。
次に、本実施の形態の放射線画像撮影システムの作用について、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、放射線画像撮影装置10に設けられた撮影台などの上に被写体である患者が設置され、患者のポジショニングが行われる(S10)。
次に、使用者によって入力部70を用いて撮影対象の患者のID情報と所定の撮影条件とが入力され、患者のID情報については放射線被曝量管理装置50に登録され、撮影条件については放射線画像撮影装置10の制御部14に設定される(S12)。なお、撮影条件としては、患者の撮影部位に対して適切な線量の放射線を照射するための管電圧、管電流、照射時間や、透視画像の撮影のフレームレートなどがある。透視画像の撮影のフレームレートとしては、例えば5fps〜60fpsのフレームレートが設定される。
次に、使用者によって入力部70を用いて患者の透視画像の撮影の開始指示が入力され、この入力に応じてシステム制御装置60から放射線画像撮影装置10に対して透視画像の撮影を行うよう制御信号が出力され、放射線画像撮影装置10は、入力された制御信号に応じて透視画像の撮影を開始する(S14)。
具体的には、入力された撮影条件に基づいて放射線照射部11のX線管球が制御され、所定の線量の放射線が所定のフレームレートで間欠的に患者に向けて照射される。
そして、患者を透過した放射線は放射線画像検出器12に照射され、放射線画像検出器12において光電変換されて電荷信号として蓄積される。
そして、各フレームの放射線の照射が終了する毎に、放射線画像検出器12に蓄積された電荷信号は制御部14によって読み出され、A/D変換器(図示省略)によってデジタル信号に変換された後、放射線画像記憶部13に記憶される。
図3は、放射線照射部11のX線管球からの放射線の照射タイミングと放射線画像検出器12における電荷蓄積タイミングとを示すタイミングチャートである。なお、放射線画像検出器12の電荷の蓄積が行われていない期間(蓄積OFFの期間)は、放射線画像検出器12からの電荷信号の読出期間である。
上記のようにしてX線管球による放射線の照射と放射線画像検出器12における放射線画像の記録および読出しとが所定のフレームレートで繰り返して行われることによって、放射線画像記憶部13にフレーム毎の放射線画像信号が順次記憶される。
そして、放射線画像記憶部13に記憶されたフレーム毎の放射線画像信号は順次読み出されて放射線画像表示装置20に出力される。放射線画像表示装置20は、入力されたフレーム毎の放射線画像信号に基づいて表示制御信号を順次生成し、その表示制御信号をモニタに順次出力して患者の透視画像を動画としてモニタに表示させる(S16)。なお、放射線画像記憶部13に記憶されたフレーム毎の放射線画像信号は、読み出された後も消去されることなく放射線画像記憶部13に残っているものとする。
ここで、上述したように透視画像の撮影および表示を行っている間において、使用者が血管などの造影剤画像を観察したいと考えた場合には、入力部70を用いて造影剤注入指示が入力される(S18)。
入力部70において造影剤注入指示が入力されると、システム制御装置60から造影剤注入装置30に制御信号が出力される。造影剤注入装置30は、入力された制御信号に基づいて造影剤の注入を開始する。具体的には、注入駆動部32によって造影剤注入部31が駆動されて造影剤注入部31から所定量の造影剤が吐出される。
そして、このとき造影剤注入装置30に設けられた造影剤注入検出センサ部34によって造影剤が吐出されたことが検出され、その検出信号は放射線画像撮影装置10の制御部14に出力される(S20)。放射線画像撮影装置10の制御部14は、上記造影剤検出信号が入力されると、その造影剤検出信号が入力されている間に撮影されたフレームの放射線画像信号に対して、造影剤の像を表す画像信号を含むものであることを示す情報(以下、造影剤フレーム情報という)をヘッダー情報として付加し、その放射線画像信号をヘッダー情報とともに放射線画像記憶部13に記憶する(S22)。より具体的には、図3に示すようなタイミングで造影剤検出信号が放射線画像撮影装置10に入力された場合には、造影剤注入中に撮影されたフレームF1とフレームF2の放射線画像信号に対して造影剤フレーム情報が付加されて放射線画像記憶部13に記憶される。
そして、造影剤注入中に撮影された放射線画像信号についても放射線画像記憶部13から読み出されて放射線画像表示装置20に順次出力され、放射線画像表示装置20は、入力された放射線画像信号に基づいて表示制御信号を順次生成し、その表示制御信号に基づいてモニタに造影剤画像を含む放射線画像を表示する(S24)。
次いで、造影剤注入装置30から所定量の造影剤の吐出が終了し、造影剤注入検出センサ部34において造影剤検出信号が検出されなくなった後は、撮影された放射線画像信号に対して造影剤フレーム情報が付加されることなく放射線画像記憶部13に記憶され、上記と同様にして放射線画像記憶部13からフレーム毎の放射線画像信号が読み出され、放射線画像表示装置20において透視画像が表示される。
そして、使用者によって入力部70を用いて透視画像の撮影終了指示が入力されると、システム制御装置60は、透視画像の撮影を終了するように放射線画像撮影装置10に制御信号を出力し、放射線画像撮影装置10は、入力された制御信号に応じて透視画像の撮影を終了する(S26)。
次に、上述したような透視画像の撮影が終了すると、システム制御装置60は放射線画像撮影装置10の放射線画像記憶部13に記憶された全フレームの放射線画像信号を読み出し、放射線被曝量取得装置40に入力させる。
そして、まず領域設定部41が、各フレームの放射線画像信号が表す画像中において患者の人体部位に対応した領域を設定する(S28)。具体的には、図3に示すように放射線画像信号が表す画像をマス目状に9つの区分領域に区分するとともに、各区分領域と患者の人体部位とを対応付けする。図3に示す画像を例に説明すると、区分領域1〜6を胸部領域とし、区分領域7〜9を腰部領域として分割する。
なお、各区分領域と患者の人体部位とを対応付ける方法については、使用者から対応付け指示を受け付けて任意に各区分領域と患者の人体部位とを対応付けできるようにしてもよいし、患者のID情報、撮影部位、撮影条件などの情報から自動的に各区分領域と患者の人体部位とを対応付けするようにしてもよい。また、区分領域の大きさ、形状、数についても上記に限定されるものではなく、例えば厳密な管理が要求される場合には、区分領域の大きさを小さくするとともに、区分領域の数を増やすなどしてもよい。
他にも、放射線画像信号が表す画像を予め複数の区分領域に区分するのではなく、放射線画像信号が表す画像中において被写体の部位に対応した領域を公知の画像認識処理技術を用いて直接的に特定し、特定した領域と被写体の部位とを対応付けするようにしてもよい。一例として、図5に示す画像の場合には、画像中から胸部に対応した領域Acと腰部に対応した領域Alを公知の画像認識処理技術を用いて特定し、領域Acを胸部領域、領域Alを腰部領域として処理すればよい。また、これ以外にもどのような態様としてもよい。
次に、造影剤フレーム特定部42において、領域設定部41において区分された区分領域毎に、造影剤の像を表す画像信号が含まれているフレームを造影剤フレームとして特定するとともに(S30)、放射線被曝量取得部43において、領域設定部41において区分された区分領域毎に、各フレームの放射線画像信号に基づいて、透視画像の各フレームの撮影中に患者が受けた放射線被曝量を算出する(S32)。
具体的には、まず、区分領域毎に各フレームの放射線画像信号に基づいてE.I.(Exposure Index)を信号評価値として算出し、このE.I.に基づいて放射線被曝量を取得する。
このE.I.の算出方法については、まず、各区分領域の放射線画像内に、所定の計算領域を設定する。この計算領域としては、例えば放射線画像の全領域や、使用者が任意に設定した領域や、撮影部位の情報に基づいて規定された領域や、放射線画像の中心から画像サイズの10%の範囲の領域などを採用することができる。または、例えば放射線画像のヒストグラムに基づいて求められる、いわゆる素抜け領域を除く領域や、放射線画像の中心濃度から全濃度幅の90%の領域などを採用することができる。もしくは、上述した条件を組み合わせて特定の計算領域を設定するようにしてもよい。
次に、上記で設定した計算領域の代表値Vを算出する。代表値Vとしては、放射線画像の濃度値そのものや、濃度値そのものに対して、全濃度値の平均値、中央値、最頻値またはトリム平均値を加味した統計的特徴値などを採用することができる。そして、この代表値Vに基づいて、下式によりフレーム毎のE.I.を算出する。
E.I.= C0 × g(V)
g(V):逆校正関数
C0:100・Gy(定数)
なお、g(V)は、RQA5の線質にて得られる放射線画像に基づいて規定される関数である。代表値Vは、放射線画像検出器におけるシンチレータの違いなどに起因する感度の違いや、上述した計算領域の設定方法または代表値Vの算出方法の違いによってその大きさが異なるものとなるが、g(V)はその違いを正規化する関数である。つまり、いかなる放射線画像検出器の種類であっても、RQA5の線質で同一の線量を受けた場合、E.I.はほぼ同一の値となることになる。
上述したようにして、放射線被曝量取得部43において、各区分領域の放射線画像信号に基づいて算出されたE.I.を用いて、各フレームの撮影中に各区分領域において患者が受けた放射線被曝量を取得する。なお、E.I.を用いて放射線被曝量を取得する方法としては、例えば、これらの関係を規定した関数や、ルックアップテーブルなどを予め設定しておくようにすればよい。
ここで、上述したように透視画像の撮影の途中で造影剤を注入して造影剤画像を撮影した場合、患者に照射された放射線は放射線画像検出器12に到達する前に造影剤によって吸収されるため、造影剤フレームの放射線画像信号に基づいて放射線被曝量を算出した場合、実際に患者が受けた放射線被曝量よりも小さい値となってしまう。
図4の右側のグラフは、上述したようにして取得された各区分領域におけるフレーム毎の放射線被曝量を線で結んだものであり、グラフの横軸は撮影開始から何枚目のフレームであるかを示すものである。例えば、図4の右側の一番上のグラフに示す放射線画像信号に基づいて放射線被曝量を算出した場合、造影剤が写っている領域(グラフ中の谷の領域)では本来の数値(グラフ中の点線で示す推定値)よりも小さい値となってしまう。
さらに、人体に注入された造影剤は、図4左側の図において点線で示すように時間の経過とともに移動することがある。この場合、図4の右側のグラフに示すように、造影剤の影響を受けて放射線被曝量が小さい値となる部分の時間や長さは区分領域毎に異なるため、区分領域毎に造影剤フレーム特定部42において造影剤の像を表す画像信号が含まれているフレームを造影剤フレームとして特定し、放射線被曝量取得部43において造影剤フレームの分の放射線被曝量について、放射線被曝量を本来の数値に近づけるための補正を行う。
本実施の形態では、造影剤フレームの特定については、グラフ全体の放射線被曝量の平均に対して放射線被曝量が所定値以上落ちているフレームを造影剤フレームとして特定する。また、放射線被曝量の補正については、区分領域毎に造影剤フレームの直前の造影剤フレーム以外のフレームの放射線被曝量と造影剤フレームの直後の造影剤フレーム以外のフレームの放射線被曝量とを用いた直線補間により補正した値とする。
そして、放射線被曝量取得部43は、区分領域毎に全フレームの放射線被曝量を加算することによって連続的な放射線撮影全体を通しての被写体の区分領域毎の放射線被曝量を算出し、これに基づいて患者の人体部位毎の総放射線被曝量を算出する。具体的には、本実施の形態では区分領域1〜6を胸部領域とし、区分領域7〜9を腰部領域としているため、区分領域1〜6の放射線被曝量の合計を胸部領域の総放射線被曝量とし、区分領域7〜9の放射線被曝量の合計を腰部領域の総放射線被曝量とする。
放射線被曝量取得部43において取得された患者の人体部位毎の総放射線被曝量は放射線被曝量管理装置50に入力され、放射線被曝量管理装置50は、予め設定入力された患者のID情報とともに患者の人体部位毎の総放射線被曝量を登録する(S34)。そして、放射線被曝量管理装置50は、登録した患者の人体部位毎の総放射線被曝量を患者のID情報とともに必要に応じて表示したり、また、所定の患者について過去からの累積総放射線被曝量を算出し、その値が予め設定された規定値よりも大きくなった場合に警告メッセージを表示したりする。
なお、患者の人体部位毎の総放射線被曝量の保存は、標準的な形式で保存すると利便性が高い。医療画像装置での標準的なプロトコルはDICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)であるから、DICOM形式に沿った形式での保存が望ましい。しかしながら、透視画像撮影での放射線量に関わる保存形式はワーキンググループによって検討と提案がされているが、患者の人体部位を対応付けしての保存形式は検討されていない。そこで、ワーキンググループが提案する保存形式に、患者の人体部位を紐付けしての保存を加味した形式の一例を以下に記載する。
図6は、現時点の透視画像の放射線量に関わるDICOMでの保存形式を示したものである。ただし図6での実線はワーキンググループによって提案されている内容であり、破線は本実施の形態にて患者の人体部位を紐付けしての保存を加味した内容である。透視画像撮影での放射線量に関わる保存形式は階層構造となっており、蓄積線量(放射線画像検出器での検出放射線量)の保存と、照射線量(放射線照射部での照射放射線量)の保存とが提案されている。図6においては、n回の蓄積がなされたとして、1回の蓄積毎に対応する蓄積線量を保存する形を示しているが、複数回の蓄積毎に対応する複数回の蓄積線量の総和を保存する形式でも良いとしている。なお、照射線量についても同様である。
本実施の形態における放射線被曝量は蓄積線量に相当するから、「TID (10004) Accumulated Projection X-Ray Dose(蓄積線量)」の階層下に保存するとともに、患者の人体部位も対応付けして保存する。人体部位の保存形式は、腹部であれば「abdomen」とテキスト形式で保存すればよい。また、複数回の蓄積に対して、複数回の蓄積線量の総和を保存する場合は、患者の人体部位も複数部位に及ぶ可能性が高く、例えば胸部と腹部であれば「chest
and abdomen」のように、「and」で複数の部位を羅列した形式で保存すればよい。
なお、照射線量を計測する手段が放射線照射部に無い場合には、「TID (10003) Irradiation Event X-Ray Data(照射線量)」の階層下に保存するデータが無く、以降の処理に不都合を生じることが考えられるため、照射線量の代わりに放射線被曝量(蓄積線量)を「TID (10003) Irradiation Event X-Ray Data(照射線量)」の階層下に保存するようにしてもよい。この場合も、上記蓄積線量の保存形式と同様に保存すればよい。
本実施の形態の放射線画像撮影システムによれば、被写体を連続的に放射線撮影することによって放射線画像検出器により検出されたフレーム毎の放射線画像信号に基づいて、連続的な放射線撮影による被写体の放射線被曝量を取得する際、放射線画像信号が表す画像中において被写体の部位に対応した領域を1つまたは複数設定し、設定した領域毎に放射線被曝量を取得するようにしたので、患者に対する疾患のリスクの管理をする際に、人体の部位毎に異なる放射線の影響度を考慮したより適切な管理を行うことができる。
以上、本発明の第1の放射線被曝量取得装置の好ましい実施の形態について説明したが、本発明の第1の放射線被曝量取得装置は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば造影剤フレームの特定については、上述の方法以外にも、造影剤フレーム情報を利用して、例えば造影剤フレーム情報が付加されたフレームを造影剤フレームとして特定したり、造影剤が人体内で移動する時間を考慮して、造影剤フレーム情報が付加されたフレームから所定時間経過したフレームを造影剤フレームとして特定するなど、どのような方法を用いてもよい。
また、上記実施の形態の放射線画像撮影システムにおいては、造影剤フレームの直前および直後のフレームの放射線画像信号に基づいて算出された放射線被曝量を直線補間することによって造影剤フレームが撮影されている間の患者の放射線被曝量を取得するようにしたが、このような方法に限らず、例えば直前または直後のフレームの放射線画像信号に基づいて算出された放射線被曝量をそのまま造影剤フレームが撮影されている間の放射線被曝量として採用するようにしてもよいし、その他の造影剤フレーム以外のフレームの放射線画像信号に基づいて算出された放射線被曝量を採用するようにしてもよい。もしくは、造影剤フレームの放射線画像信号に基づいて算出された放射線被曝量に対して、予め設定された所定の放射線被曝量を加算することによって補正するようにしてもよいし、造影剤フレームの放射線画像信号に基づいて算出された放射線被曝量に対して、予め設定された1より大きい所定の係数を掛け合わせることによって補正するなど、どのような方法を用いてもよい。
また、上記実施の形態では放射線被曝量取得装置を独立した装置として構成しているが、放射線画像撮影装置などの他の装置の一部として組み込むなど、どのような態様としてもよい。具体的には、システム制御装置60を含むコンソールに設けるようにしてもよいし、放射線画像撮影装置10に設けるようにしてもよい。また、放射線画像検出器12が可搬型の電子カセッテに収容されたものであり、その電子カセッテ内にLSI(Large Scale Integration)などの電子回路や、PLD(Programmable Logic Device)・FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプログラマブルな電子回路などのハードウェアが設けられている場合には、そのようなハードウェアによって造影剤フレームの特定や放射線被曝量の取得を行わせるようにしてもよい。このような構成を採用することによってよりリアルタイム性を追求することができる。
次に、図面を参照して本発明の第2の放射線被曝量取得装置の一実施の形態を用いた放射線画像撮影システムの一実施の形態について説明する。図7は、本実施の形態の放射線画像撮影システム全体の概略構成を示すブロック図である。
本実施の形態の放射線画像撮影システムは、図7に示すように、患者の透視画像(動画)を撮影する放射線画像撮影装置110と、放射線画像撮影装置110によって撮影された透視画像を表示する放射線画像表示装置120と、患者の血管やリンパ管などに対して造影剤を注入する造影剤注入装置130と、放射線画像撮影装置110によって撮影された透視画像の画像信号に基づいて、患者の被曝量を取得する放射線被曝量取得装置140と、放射線被曝量取得装置140によって取得された患者毎の被曝量を記憶して管理する放射線被曝量管理装置150と、放射線画像撮影システム全体の制御を行うシステム制御装置160とを備えている。
放射線画像撮影装置110は、図7に示すように、X線管球や絞りなどを備え、X線管球から射出されて絞りを透過した放射線を患者に照射する放射線照射部111と、患者を透過した放射線を検出して患者の放射線画像を表す放射線画像信号を出力する放射線画像検出器112と、放射線画像検出器112から出力された放射線画像信号を記憶する放射線画像記憶部113と、放射線画像撮影装置110全体を制御する制御部114とを備えている。
放射線画像検出器112は、放射線画像の記録と読出しを繰り返して行うことができるものであり、放射線の照射を直接受けて電荷を発生して蓄積することによって放射線画像の記録が行われる、いわゆる直接型の放射線画像検出器を用いてもよいし、放射線を一旦可視光に変換し、その可視光を電荷に変換して蓄積することによって放射線画像の記録が行われる、いわゆる間接型の放射線画像検出器を用いるようにしてもよい。また、上述したようにして電荷を蓄積することによって記録された放射線画像の読出方式としては、TFT(thin film transistor)スイッチがオン・オフされることによって放射線画像信号が読みだされる、いわゆるTFT読出方式のものや、読取光を照射することによって放射線画像信号が読み出される、いわゆる光読出方式のものを用いることができるが、これに限らずその他のものを用いるようにしてもよい。
そして、本実施の形態の放射線画像撮影装置110は、造影剤注入装置130によって造影剤が注入される患者の透視画像(動画)の撮影を行うものであり、制御部114は、この透視画像の撮影が行われるように放射線照射部111と放射線画像検出器112とを制御するものである。具体的には、制御部114は、所定のフレームレートで放射線照射部111から放射線を照射させるとともに、その放射線の照射によって放射線画像の記録と読出しが行われるように放射線画像検出器112を制御するものである。そして、放射線画像検出器112から出力されたフレーム毎の放射線画像信号を放射線画像記憶部113に順次記憶するものである。さらに、本実施の形態の制御部114は、フレーム毎の放射線画像信号を放射線画像記憶部113に記憶する際、そのフレーム毎の放射線画像信号内に造影剤の像を表す画像信号が含まれるか否かを示す情報を付加するものであるが、その作用については後で詳述する。
なお、放射線画像撮影装置110の構成としては、患者を立位状態で撮影する構成でもよいし、患者を臥位状態で撮影する構成でもよい。また、患者を立位状態および臥位状態との両方で撮影可能な構成でもよい。
放射線画像表示装置120は、放射線画像撮影装置110の放射線画像記憶部113から読み出されたフレーム毎の放射線画像信号に対して所定の処理を施して表示制御信号を生成し、その表示制御信号に基づいてモニタに患者の透視画像を表示させるものである。
造影剤注入装置130は、使用者による指示入力に基づいて、もしくは予め設定された造影剤注入開始タイミングに基づいて造影剤を患者の血管内などに自動的に注入するものである。具体的には、例えば注射器などから構成され、造影剤を患者の血管内などに注入する造影剤注入部131と、造影剤注入部131の造影剤注入動作を駆動する注入駆動部132と、注入駆動部132の動作などを制御する制御部133と、造影剤注入装置130から患者の血管内などへ造影剤が注入中であるか否かを検出する造影剤注入検出センサ部134とを備えている。
注入駆動部132は、例えば造影剤注入部131の注射器のピストンを動かすものであり、空気圧やモータや油圧などの動力手段によって構成されるものである。
造影剤注入検出センサ部134は、造影剤注入部31から造影剤が吐出されたことを検出するセンサを有するものである。そして、造影剤注入検出センサ部134は、その造影剤検出信号を放射線画像撮影装置110の制御部114に出力するものである。
放射線被曝量取得装置140は、放射線画像撮影装置110の放射線画像記憶部113から読み出されたフレーム毎の放射線画像信号の集合である放射線動画信号に基づいて、患者の放射線被曝量を取得する放射線被曝量取得部142を備えている。この放射線被曝量取得部142の作用については、後で詳述する。
放射線被曝量管理装置150は、放射線被曝量取得装置140において取得された患者の放射線被曝量を記憶し、患者毎の放射線被曝量を管理するものである。
システム制御装置160は、上述した放射線画像撮影装置110、放射線画像表示装置120、造影剤注入装置130、放射線被曝量取得装置140および放射線被曝量管理装置150に制御信号を出力してこれらの動作を制御するとともに、これらの装置間の信号の入出力の制御を行うものである。また、システム制御装置160には入力部170が設けられており、この入力部170によって使用者による所定の指示入力や、撮影条件や患者のID情報などの入力が受け付けられる。入力部170において受け付けられた入力情報は、システム制御装置160によって必要に応じて各装置に出力される。
次に、本実施の形態の放射線画像撮影システムの作用について、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、放射線画像撮影装置110に設けられた撮影台などの上に被写体である患者が設置され、患者のポジショニングが行われる(S110)。
次に、使用者によって入力部170を用いて撮影対象の患者のID情報と所定の撮影条件とが入力され、患者のID情報については放射線被曝量管理装置150に登録され、撮影条件については放射線画像撮影装置110の制御部114に設定される(S112)。なお、撮影条件としては、患者の撮影部位に対して適切な線量の放射線を照射するための管電圧、管電流、照射時間や、透視画像の撮影のフレームレートなどがある。透視画像の撮影のフレームレートとしては、例えば5fps〜60fpsのフレームレートが設定される。
次に、使用者によって入力部170を用いて患者の透視画像の撮影の開始指示が入力され、この入力に応じてシステム制御装置160から放射線画像撮影装置110に対して透視画像の撮影を行うよう制御信号が出力され、放射線画像撮影装置110は、入力された制御信号に応じて透視画像の撮影を開始する(S114)。
具体的には、入力された撮影条件に基づいて放射線照射部111のX線管球が制御され、所定の線量の放射線が所定のフレームレートで間欠的に患者に向けて照射される。
そして、患者を透過した放射線は放射線画像検出器112に照射され、放射線画像検出器112において光電変換されて電荷信号として蓄積される。
そして、各フレームの放射線の照射が終了する毎に、放射線画像検出器112に蓄積された電荷信号は制御部114によって読み出され、A/D変換器(図示省略)によってデジタル信号に変換された後、放射線画像記憶部113に記憶される。
図9は、放射線照射部111のX線管球からの放射線の照射タイミングと放射線画像検出器112における電荷蓄積タイミングとを示すタイミングチャートである。なお、放射線画像検出器112の電荷の蓄積が行われていない期間(蓄積OFFの期間)は、放射線画像検出器112からの電荷信号の読出期間である。
上記のようにしてX線管球による放射線の照射と放射線画像検出器112における放射線画像の記録および読出しとが所定のフレームレートで繰り返して行われることによって、放射線画像記憶部113にフレーム毎の放射線画像信号が順次記憶される。
そして、放射線画像記憶部113に記憶されたフレーム毎の放射線画像信号は順次読み出されて放射線画像表示装置120に出力される。放射線画像表示装置120は、入力されたフレーム毎の放射線画像信号に基づいて表示制御信号を順次生成し、その表示制御信号をモニタに順次出力して患者の透視画像を動画としてモニタに表示させる(S116)。なお、放射線画像記憶部113に記憶されたフレーム毎の放射線画像信号は、読み出された後も消去されることなく放射線画像記憶部113に残っているものとする。
ここで、上述したように透視画像の撮影および表示を行っている間において、使用者が血管などの造影剤画像を観察したいと考えた場合には、入力部170を用いて造影剤注入指示が入力される(S118)。
入力部170において造影剤注入指示が入力されると、システム制御装置160から造影剤注入装置130に制御信号が出力される。造影剤注入装置130は、入力された制御信号に基づいて造影剤の注入を開始する。具体的には、注入駆動部132によって造影剤注入部131が駆動されて造影剤注入部131から所定量の造影剤が吐出される。
そして、このとき造影剤注入装置130に設けられた造影剤注入検出センサ部134によって造影剤が吐出されたことが検出され、その検出信号は放射線画像撮影装置110の制御部114に出力される(S120)。放射線画像撮影装置110の制御部114は、上記造影剤検出信号が入力されると、その造影剤検出信号が入力されている間に撮影されたフレームの放射線画像信号に対して、造影剤の像を表す画像信号を含むものであることを示す情報(以下、造影剤フレーム情報という)をヘッダー情報として付加し、その放射線画像信号をヘッダー情報とともに放射線画像記憶部113に記憶する(S122)。より具体的には、図9に示すようなタイミングで造影剤検出信号が放射線画像撮影装置110に入力された場合には、造影剤注入中に撮影されたフレームF1とフレームF2の放射線画像信号に対して造影剤フレーム情報が付加されて放射線画像記憶部113に記憶される。
そして、造影剤注入中に撮影された放射線画像信号についても放射線画像記憶部113から読み出されて放射線画像表示装置120に順次出力され、放射線画像表示装置120は、入力された放射線画像信号に基づいて表示制御信号を順次生成し、その表示制御信号に基づいてモニタに造影剤画像を含む放射線画像を表示する(S124)。
次いで、造影剤注入装置130から所定量の造影剤の吐出が終了し、造影剤注入検出センサ部134において造影剤検出信号が検出されなくなった後は、撮影された放射線画像信号に対して造影剤フレーム情報が付加されることなく放射線画像記憶部113に記憶され、上記と同様にして放射線画像記憶部113からフレーム毎の放射線画像信号が読み出され、放射線画像表示装置120において透視画像が表示される。
そして、使用者によって入力部170を用いて透視画像の撮影終了指示が入力されると、システム制御装置160は、透視画像の撮影を終了するように放射線画像撮影装置110に制御信号を出力し、放射線画像撮影装置110は、入力された制御信号に応じて透視画像の撮影を終了する(S126)。
次に、上述したような透視画像の撮影が終了すると、システム制御装置160は放射線画像撮影装置110の放射線画像記憶部113に記憶された全フレームの放射線画像信号、すなわち放射線動画信号を読み出し、放射線被曝量取得装置140に入力させる。
そして、まず、造影剤フレーム特定部141が、放射線動画信号の中から造影剤フレーム情報が付加されたフレームの放射線画像信号を特定し、そのフレームを造影剤フレームとして特定する(S128)。
次に、放射線被曝量取得部142において、各フレームの放射線画像信号に基づいて、透視画像の撮影中に患者が受けた放射線被曝量を算出する(S130)。
具体的には、まず、放射線動画信号の最初のフレームの放射線画像信号に基づいてE.I.(Exposure Index)を信号評価値Rfとして算出する。
このE.I.の算出方法については、まず、各フレームの放射線画像内に、所定の計算領域を設定する。この計算領域としては、例えば放射線画像の全領域や、使用者が任意に設定した領域や、撮影部位の情報に基づいて規定された領域や、放射線画像の中心から画像サイズの10%の範囲の領域などを採用することができる。または、例えば放射線画像のヒストグラムに基づいて求められる、いわゆる素抜け領域を除く領域や、放射線画像の中心濃度から全濃度幅の90%の領域などを採用することができる。もしくは、上述した条件を組み合わせて特定の計算領域を設定するようにしてもよい。
次に、上記で設定した計算領域の代表値Vを算出する。代表値Vとしては、放射線画像の濃度値そのものや、濃度値そのものに対して、全濃度値の平均値、中央値、最頻値またはトリム平均値を加味した統計的特徴値などを採用することができる。そして、この代表値Vに基づいて、下式によりフレーム毎のE.I.を算出する。
E.I.= C0 × g(V)
g(V):逆校正関数
C0:100・Gy(定数)
なお、g(V)は、RQA5の線質にて得られる放射線画像に基づいて規定される関数である。代表値Vは、放射線画像検出器におけるシンチレータの違いなどに起因する感度の違いや、上述した計算領域の設定方法または代表値Vの算出方法の違いによってその大きさが異なるものとなるが、g(V)はその違いを正規化する関数である。つまり、いかなる放射線画像検出器の種類であっても、RQA5の線質で同一の線量を受けた場合、E.I.はほぼ同一の値となることになる。
次に、(1)式により放射線動画信号(フレーム毎の放射線画像信号の集合)のE.I.を算出し、算出した放射線動画信号のE.I.に基づいて連続的な放射線撮影による被写体の放射線被曝量を取得する。なお、E.I.を用いて放射線被曝量を取得する方法としては、例えば、これらの関係を規定した関数や、ルックアップテーブルなどを予め設定しておくようにすればよい。
Rm=Rf×N ・・(1)
ただし、
Rm:放射線動画信号全体のE.I.(放射線動画信号全体の信号評価値)
N:放射線動画信号全体のフレーム数
Rf:放射線動画信号の最初のフレームの放射線画像信号のE.I.
上述したように透視画像の撮影の途中で造影剤を注入して造影剤画像を撮影した場合、図9の一番下のグラフに示すように、患者に照射された放射線は放射線画像検出器112に到達する前に造影剤によって吸収されるため、単純に、フレーム毎に各フレームの放射線画像信号に基づいて放射線被曝量を取得し、動画中のフレームの放射線被曝量を全て加算して動画全体における放射線被曝量(連続的な放射線撮影による被写体の放射線被曝量)を取得すると、実際に患者が受けた放射線被曝量よりも小さい値となってしまう。
ここで、図9の一番下のグラフは、フレーム毎の放射線被曝量を線で結んだものであり、グラフの横軸は撮影開始から何枚目のフレームであるかを示すものである。具体的には、図9に示す造影剤が写っていると見做されるフレームF1,F2の放射線画像信号に基づいて放射線被曝量を算出した場合、本来の数値(図9のグラフ中の一点鎖線で示す推定値)よりも小さい値となってしまう。
また、フレームF1,F2より後の造影剤が写っていないと見做されるフレームでも、被写体内における造影剤の残留の影響により画像全体の信号値が僅かに変動し、造影剤が写っていると見做されるフレームF1,F2程ではないものの、上記フレームF1,F2と同様の理由により本来の数値(図9のグラフ中の一点鎖線で示す推定値)よりも小さい値となってしまう。なお、グラフの形状については、変化の特性を明示するために、実際の変化量よりも誇張して示している。
しかしながら、本実施の形態では上記の通り誤差要因を含むフレームの情報を用いずに算出可能な(1)式により放射線動画信号全体のE.I.を算出し、算出した放射線動画信号全体のE.I.に基づいて連続的な放射線撮影全体を通しての被写体の放射線被曝量を取得するようにしたので、正確な被写体の放射線被曝量を取得することができる。また、非常に簡単な計算で済むため処理の負荷を軽減させることもできる。
上記のようにして放射線被曝量取得部142において取得された総放射線被曝量は放射線被曝量管理装置150に入力され、放射線被曝量管理装置150は、予め設定入力された患者のID情報とともに総放射線被曝量を登録する(S132)。そして、放射線被曝量管理装置150は、登録した総放射線被曝量を患者のID情報とともに必要に応じて表示したり、また、所定の患者について過去からの累積総放射線被曝量を算出し、その値が予め設定された規定値よりも大きくなった場合に警告メッセージを表示したりする。
以上、本発明の第2の放射線被曝量取得装置の好ましい実施の形態について説明したが、本発明の第2の放射線被曝量取得装置は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、(1)式の計算に必要な放射線動画信号中の所定の1フレーム分の放射線画像信号の信号評価値Rfについては、上記実施の形態において説明した放射線動画信号の最初のフレームの放射線画像信号の信号評価値に限らず、放射線画像撮影装置10に付図示の線量測定スイッチを設け、連続撮影中において線量測定スイッチが押された直後のフレームの放射線画像信号を放射線画像記憶部13に記憶する際、そのフレームの放射線画像信号内に放射線被曝量計算時の基準フレームであることを示す情報を付加し、この情報が付加されたフレームの放射線画像信号に基づいて算出された信号評価値としてもよいし、これ以外にも、放射線画像信号毎に信号評価値を算出した中の最大の信号評価値、上述の造影剤のような誤差要因を含まない特定の1つのフレームの放射線画像信号の信号評価値、もしくは、誤差要因を含まない複数のフレームの放射線画像信号の信号評価値の平均値等、誤差要因を含まないと考えられる1フレーム分の放射線画像信号の信号評価値であればどのような態様としてもよい。
また、上記実施の形態では放射線被曝量取得装置を独立した装置として構成しているが、放射線画像撮影装置などの他の装置の一部として組み込むなど、どのような態様としてもよい。具体的には、システム制御装置60を含むコンソールに設けるようにしてもよいし、放射線画像撮影装置10に設けるようにしてもよい。また、放射線画像検出器12が可搬型の電子カセッテに収容されたものであり、その電子カセッテ内にLSI(Large Scale Integration)などの電子回路や、PLD(Programmable Logic Device)・FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプログラマブルな電子回路などのハードウェアが設けられている場合には、そのようなハードウェアによって造影剤フレームの特定や放射線被曝量の取得を行わせるようにしてもよい。このような構成を採用することによってよりリアルタイム性を追求することができる。
次に、図面を参照して本発明の第3の放射線被曝量取得装置の一実施の形態を用いた放射線画像撮影システムの一実施の形態について説明する。図10は、本実施の形態の放射線画像撮影システム全体の概略構成を示すブロック図である。
本実施の形態の放射線画像撮影システムは、図10に示すように、患者の透視画像(動画)を撮影する放射線画像撮影装置210と、放射線画像撮影装置210によって撮影された透視画像を表示する放射線画像表示装置220と、患者の血管やリンパ管などに対して造影剤を注入する造影剤注入装置230と、放射線画像撮影装置210によって撮影された透視画像の画像信号に基づいて、患者の被曝量を取得する放射線被曝量取得装置240と、放射線被曝量取得装置240によって取得された患者毎の被曝量を記憶して管理する放射線被曝量管理装置250と、放射線画像撮影システム全体の制御を行うシステム制御装置260とを備えている。
放射線画像撮影装置210は、図10に示すように、X線管球や絞りなどを備え、X線管球から射出されて絞りを透過した放射線を患者に照射する放射線照射部211と、患者を透過した放射線を検出して患者の放射線画像を表す放射線画像信号を出力する放射線画像検出器212と、放射線画像検出器212から出力された放射線画像信号を記憶する放射線画像記憶部213と、放射線画像撮影装置210全体を制御する制御部214とを備えている。
放射線画像検出器212は、放射線画像の記録と読出しを繰り返して行うことができるものであり、放射線の照射を直接受けて電荷を発生して蓄積することによって放射線画像の記録が行われる、いわゆる直接型の放射線画像検出器を用いてもよいし、放射線を一旦可視光に変換し、その可視光を電荷に変換して蓄積することによって放射線画像の記録が行われる、いわゆる間接型の放射線画像検出器を用いるようにしてもよい。また、上述したようにして電荷を蓄積することによって記録された放射線画像の読出方式としては、TFT(thin film transistor)スイッチがオン・オフされることによって放射線画像信号が読みだされる、いわゆるTFT読出方式のものや、読取光を照射することによって放射線画像信号が読み出される、いわゆる光読出方式のものを用いることができるが、これに限らずその他のものを用いるようにしてもよい。
そして、本実施の形態の放射線画像撮影装置210は、造影剤注入装置230によって造影剤が注入される患者の透視画像(動画)の撮影を行うものであり、制御部214は、この透視画像の撮影が行われるように放射線照射部211と放射線画像検出器212とを制御するものである。具体的には、制御部214は、所定のフレームレートで放射線照射部211から放射線を照射させるとともに、その放射線の照射によって放射線画像の記録と読出しが行われるように放射線画像検出器212を制御するものである。そして、放射線画像検出器212から出力されたフレーム毎の放射線画像信号を放射線画像記憶部213に順次記憶するものである。さらに、本実施の形態の制御部214は、フレーム毎の放射線画像信号を放射線画像記憶部213に記憶する際、そのフレーム毎の放射線画像信号内に造影剤の像を表す画像信号が含まれるか否かを示す情報を付加するものであるが、その作用については後で詳述する。
なお、放射線画像撮影装置210の構成としては、患者を立位状態で撮影する構成でもよいし、患者を臥位状態で撮影する構成でもよい。また、患者を立位状態および臥位状態との両方で撮影可能な構成でもよい。
放射線画像表示装置220は、放射線画像撮影装置210の放射線画像記憶部213から読み出されたフレーム毎の放射線画像信号に対して所定の処理を施して表示制御信号を生成し、その表示制御信号に基づいてモニタに患者の透視画像を表示させるものである。
造影剤注入装置230は、使用者による指示入力に基づいて、もしくは予め設定された造影剤注入開始タイミングに基づいて造影剤を患者の血管内などに自動的に注入するものである。具体的には、例えば注射器などから構成され、造影剤を患者の血管内などに注入する造影剤注入部231と、造影剤注入部231の造影剤注入動作を駆動する注入駆動部232と、注入駆動部232の動作などを制御する制御部233と、造影剤注入装置230から患者の血管内などへ造影剤が注入中であるか否かを検出する造影剤注入検出センサ部234とを備えている。
注入駆動部232は、例えば造影剤注入部231の注射器のピストンを動かすものであり、空気圧やモータや油圧などの動力手段によって構成されるものである。
造影剤注入検出センサ部234は、造影剤注入部231から造影剤が吐出されたことを検出するセンサを有するものである。そして、造影剤注入検出センサ部234は、その造影剤検出信号を放射線画像撮影装置210の制御部214に出力するものである。
放射線被曝量取得装置240は、放射線画像撮影装置210の放射線画像記憶部213から読み出されたフレーム毎の放射線画像信号のうち、造影剤の像の画像信号を含むフレームの放射線画像信号を造影剤フレームとして特定する造影剤フレーム特定部241と、放射線画像撮影装置210の放射線画像記憶部213から読み出されたフレーム毎の放射線画像信号の集合である放射線動画信号に基づいて、患者の放射線被曝量を取得する放射線被曝量取得部242とを備えている。なお、造影剤フレーム特定部241と放射線被曝量取得部242の作用については、後で詳述する。
放射線被曝量管理装置250は、放射線被曝量取得装置240において取得された患者の放射線被曝量を記憶し、患者毎の放射線被曝量を管理するものである。
システム制御装置260は、上述した放射線画像撮影装置210、放射線画像表示装置220、造影剤注入装置230、放射線被曝量取得装置240および放射線被曝量管理装置250に制御信号を出力してこれらの動作を制御するとともに、これらの装置間の信号の入出力の制御を行うものである。また、システム制御装置260には入力部270が設けられており、この入力部270によって使用者による所定の指示入力や、撮影条件や患者のID情報などの入力が受け付けられる。入力部270において受け付けられた入力情報は、システム制御装置260によって必要に応じて各装置に出力される。
次に、本実施の形態の放射線画像撮影システムの作用について、図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、放射線画像撮影装置210に設けられた撮影台などの上に被写体である患者が設置され、患者のポジショニングが行われる(S210)。
次に、使用者によって入力部270を用いて撮影対象の患者のID情報と所定の撮影条件とが入力され、患者のID情報については放射線被曝量管理装置250に登録され、撮影条件については放射線画像撮影装置210の制御部214に設定される(S212)。なお、撮影条件としては、患者の撮影部位に対して適切な線量の放射線を照射するための管電圧、管電流、照射時間や、透視画像の撮影のフレームレートなどがある。透視画像の撮影のフレームレートとしては、例えば5fps〜60fpsのフレームレートが設定される。
次に、使用者によって入力部270を用いて患者の透視画像の撮影の開始指示が入力され、この入力に応じてシステム制御装置260から放射線画像撮影装置210に対して透視画像の撮影を行うよう制御信号が出力され、放射線画像撮影装置210は、入力された制御信号に応じて透視画像の撮影を開始する(S214)。
具体的には、入力された撮影条件に基づいて放射線照射部211のX線管球が制御され、所定の線量の放射線が所定のフレームレートで間欠的に患者に向けて照射される。
そして、患者を透過した放射線は放射線画像検出器212に照射され、放射線画像検出器212において光電変換されて電荷信号として蓄積される。
そして、各フレームの放射線の照射が終了する毎に、放射線画像検出器212に蓄積された電荷信号は制御部214によって読み出され、A/D変換器(図示省略)によってデジタル信号に変換された後、放射線画像記憶部213に記憶される。
図12は、放射線照射部211のX線管球からの放射線の照射タイミングと放射線画像検出器212における電荷蓄積タイミングとを示すタイミングチャートである。なお、放射線画像検出器212の電荷の蓄積が行われていない期間(蓄積OFFの期間)は、放射線画像検出器212からの電荷信号の読出期間である。
上記のようにしてX線管球による放射線の照射と放射線画像検出器212における放射線画像の記録および読出しとが所定のフレームレートで繰り返して行われることによって、放射線画像記憶部213にフレーム毎の放射線画像信号が順次記憶される。
そして、放射線画像記憶部213に記憶されたフレーム毎の放射線画像信号は順次読み出されて放射線画像表示装置220に出力される。放射線画像表示装置220は、入力されたフレーム毎の放射線画像信号に基づいて表示制御信号を順次生成し、その表示制御信号をモニタに順次出力して患者の透視画像を動画としてモニタに表示させる(S216)。なお、放射線画像記憶部213に記憶されたフレーム毎の放射線画像信号は、読み出された後も消去されることなく放射線画像記憶部213に残っているものとする。
ここで、上述したように透視画像の撮影および表示を行っている間において、使用者が血管などの造影剤画像を観察したいと考えた場合には、入力部270を用いて造影剤注入指示が入力される(S218)。
入力部270において造影剤注入指示が入力されると、システム制御装置260から造影剤注入装置230に制御信号が出力される。造影剤注入装置230は、入力された制御信号に基づいて造影剤の注入を開始する。具体的には、注入駆動部232によって造影剤注入部231が駆動されて造影剤注入部231から所定量の造影剤が吐出される。
そして、このとき造影剤注入装置230に設けられた造影剤注入検出センサ部234によって造影剤が吐出されたことが検出され、その検出信号は放射線画像撮影装置210の制御部214に出力される(S220)。放射線画像撮影装置210の制御部214は、上記造影剤検出信号が入力されると、その造影剤検出信号が入力されている間に撮影されたフレームの放射線画像信号に対して、造影剤の像を表す画像信号を含むものであることを示す情報(以下、造影剤フレーム情報という)をヘッダー情報として付加し、その放射線画像信号をヘッダー情報とともに放射線画像記憶部213に記憶する(S222)。より具体的には、図12に示すようなタイミングで造影剤検出信号が放射線画像撮影装置210に入力された場合には、造影剤注入中に撮影されたフレームF1とフレームF2の放射線画像信号に対して造影剤フレーム情報が付加されて放射線画像記憶部213に記憶される。
そして、造影剤注入中に撮影された放射線画像信号についても放射線画像記憶部213から読み出されて放射線画像表示装置220に順次出力され、放射線画像表示装置220は、入力された放射線画像信号に基づいて表示制御信号を順次生成し、その表示制御信号に基づいてモニタに造影剤画像を含む放射線画像を表示する(S224)。
次いで、造影剤注入装置230から所定量の造影剤の吐出が終了し、造影剤注入検出センサ部234において造影剤検出信号が検出されなくなった後は、撮影された放射線画像信号に対して造影剤フレーム情報が付加されることなく放射線画像記憶部213に記憶され、上記と同様にして放射線画像記憶部213からフレーム毎の放射線画像信号が読み出され、放射線画像表示装置220において透視画像が表示される。
そして、使用者によって入力部270を用いて透視画像の撮影終了指示が入力されると、システム制御装置260は、透視画像の撮影を終了するように放射線画像撮影装置210に制御信号を出力し、放射線画像撮影装置210は、入力された制御信号に応じて透視画像の撮影を終了する(S226)。
次に、上述したような透視画像の撮影が終了すると、システム制御装置260は放射線画像撮影装置210の放射線画像記憶部213に記憶された全フレームの放射線画像信号、すなわち放射線動画信号を読み出し、放射線被曝量取得装置240に入力させる。
そして、まず、造影剤フレーム特定部241が、放射線動画信号の中から造影剤フレーム情報が付加されたフレームの放射線画像信号を特定し、そのフレームを造影剤フレームとして特定する(S228)。
次に、放射線被曝量取得部242において、各フレームの放射線画像信号に基づいて、透視画像の撮影中に患者が受けた放射線被曝量を算出する(S230)。
具体的には、まず、造影剤フレームを除いたフレームについて、フレーム毎に各フレームの放射線画像信号に基づいてE.I.(Exposure Index)を信号評価値として算出する。
このE.I.の算出方法については、まず、各フレームの放射線画像内に、所定の計算領域を設定する。この計算領域としては、例えば放射線画像の全領域や、使用者が任意に設定した領域や、撮影部位の情報に基づいて規定された領域や、放射線画像の中心から画像サイズの10%の範囲の領域などを採用することができる。または、例えば放射線画像のヒストグラムに基づいて求められる、いわゆる素抜け領域を除く領域や、放射線画像の中心濃度から全濃度幅の90%の領域などを採用することができる。もしくは、上述した条件を組み合わせて特定の計算領域を設定するようにしてもよい。
次に、上記で設定した計算領域の代表値Vを算出する。代表値Vとしては、放射線画像の濃度値そのものや、濃度値そのものに対して、全濃度値の平均値、中央値、最頻値またはトリム平均値を加味した統計的特徴値などを採用することができる。そして、この代表値Vに基づいて、下式によりフレーム毎のE.I.を算出する。
E.I.= C0 × g(V)
g(V):逆校正関数
C0:100・Gy(定数)
なお、g(V)は、RQA5の線質にて得られる放射線画像に基づいて規定される関数である。代表値Vは、放射線画像検出器におけるシンチレータの違いなどに起因する感度の違いや、上述した計算領域の設定方法または代表値Vの算出方法の違いによってその大きさが異なるものとなるが、g(V)はその違いを正規化する関数である。つまり、いかなる放射線画像検出器の種類であっても、RQA5の線質で同一の線量を受けた場合、E.I.はほぼ同一の値となることになる。
上述の通り、フレーム毎にE.I.を算出した後、放射線動画信号(フレーム毎の放射線画像信号の集合)のE.I.を算出し、算出した放射線動画信号のE.I.に基づいて連続的な放射線撮影による被写体の放射線被曝量を取得するが、上述したように透視画像の撮影の途中で造影剤を注入して造影剤画像を撮影した場合、図12の一番下のグラフに示すように、患者に照射された放射線は放射線画像検出器212に到達する前に造影剤によって吸収されるため、造影剤フレームの放射線画像信号に基づいて放射線被曝量を算出すると、実際に患者が受けた放射線被曝量よりも小さい値となってしまう。
ここで、図12の一番下のグラフは、フレーム毎の放射線被曝量を線で結んだものであり、グラフの横軸は撮影開始から何枚目のフレームであるかを示すものである。具体的には、図12に示す造影剤フレームF1,F2の放射線画像信号に基づいて放射線被曝量を算出した場合、図12のグラフの点線で示すように実際の値(造影剤画像を含むフレームF1,F2の直前と直後に撮影されたフレームを結ぶ線上付近と推定される)よりも小さい値となってしまう。
そこで、本実施の形態においては、(11)式により放射線動画信号(フレーム毎の放射線画像信号の集合)のE.I.を算出し、算出した放射線動画信号のE.I.に基づいて連続的な放射線撮影による被写体の放射線被曝量を取得する。なお、(13)式でも同じ値を算出することができる。
Rm=Rs×N/(N−M) ・・(11)
Rm=Ra×N ・・(13)
ただし、
Rm:放射線動画信号全体のE.I.(放射線動画信号全体の信号評価値)
N:放射線動画信号全体のフレーム数
M:放射線動画信号中の造影剤フレーム数
Rs:放射線動画信号中の造影剤フレームを除いたフレーム毎の放射線画像信号のE.I.の総和
Ra:放射線動画信号中の造影剤フレームを除いたフレーム毎の放射線画像信号のE.I.の平均値
上記(11),(13)式は、造影剤フレームのE.I.を用いずに、造影剤フレームの分のE.I.については、造影剤フレームを除いたフレームのE.I.を用いて補間して、放射線動画信号全体のE.I.を算出するものである。
そして、上記の通り算出した放射線動画信号全体のE.I.を用いて、連続的な放射線撮影による被写体の放射線被曝量を取得する。なお、E.I.を用いて放射線被曝量を取得する方法としては、例えば、これらの関係を規定した関数や、ルックアップテーブルなどを予め設定しておくようにすればよい。
そして、放射線被曝量取得部242において取得された総放射線被曝量は放射線被曝量管理装置250に入力され、放射線被曝量管理装置250は、予め設定入力された患者のID情報とともに総放射線被曝量を登録する(S232)。そして、放射線被曝量管理装置250は、登録した総放射線被曝量を患者のID情報とともに必要に応じて表示したり、また、所定の患者について過去からの累積総放射線被曝量を算出し、その値が予め設定された規定値よりも大きくなった場合に警告メッセージを表示したりする。
本実施の形態の放射線画像撮影システムによれば、フレーム毎の放射線画像信号のうち、造影剤の画像を表す画像信号が含まれているフレームを造影剤フレームとして特定し、造影剤フレームの情報を用いない(11)式または(13)式により放射線動画信号の信号評価値を算出し、算出した放射線動画信号の信号評価値に基づいて連続的な放射線撮影全体を通しての被写体の放射線被曝量を取得するようにしたので、造影剤の放射線画像への写り込みも考慮したより正確な被写体の放射線被曝量を取得することができる。
以上、本発明の第3の放射線被曝量取得装置の好ましい実施の形態について説明したが、本発明の第3の放射線被曝量取得装置は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば造影剤フレームの特定については、上述の造影剤注入検出センサを用いた特定以外にも、造影剤注入時刻取得部を設け、この造影剤注入時刻取得部によって造影剤の注入が開始された時刻と造影剤の注入が終了した時刻とを取得し、この時刻情報に基づいて造影剤フレームの特定を行うようにしてもよいし、これらのようなセンサを用いずに各フレームの信号評価値が造影剤フレーム以外のフレームの信号評価値とは異なる所定の範囲の値である場合に造影剤フレームと特定するようにする等、どのような方法を用いてもよい。
また、上記実施の形態では放射線被曝量取得装置を独立した装置として構成しているが、放射線画像撮影装置などの他の装置の一部として組み込むなど、どのような態様としてもよい。具体的には、システム制御装置260を含むコンソールに設けるようにしてもよいし、放射線画像撮影装置210に設けるようにしてもよい。また、放射線画像検出器212が可搬型の電子カセッテに収容されたものであり、その電子カセッテ内にLSI(Large Scale Integration)などの電子回路や、PLD(Programmable Logic Device)・FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプログラマブルな電子回路などのハードウェアが設けられている場合には、そのようなハードウェアによって造影剤フレームの特定や放射線被曝量の取得を行わせるようにしてもよい。このような構成を採用することによってよりリアルタイム性を追求することができる。
以下、図面を参照して本発明の第4の放射線被曝量取得装置の一実施の形態を用いた放射線画像撮影システムの一実施の形態について説明する。図13は、本実施の形態の放射線画像撮影システム全体の概略構成を示すブロック図である。
本実施の形態の放射線画像撮影システムは、図13に示すように、患者の透視画像(動画)を撮影する放射線画像撮影装置310と、放射線画像撮影装置310によって撮影された透視画像を表示する放射線画像表示装置320と、患者の血管やリンパ管などに対して造影剤を注入する造影剤注入装置330と、放射線画像撮影装置310によって撮影された透視画像の画像信号に基づいて、患者の被曝量を取得する放射線被曝量取得装置340と、放射線被曝量取得装置340によって取得された患者毎の被曝量を記憶して管理する放射線被曝量管理装置350と、放射線画像撮影システム全体の制御を行うシステム制御装置360とを備えている。
放射線画像撮影装置310は、図13に示すように、X線管球や絞りなどを備え、X線管球から射出されて絞りを透過した放射線を患者に照射する放射線照射部311と、患者を透過した放射線を検出して患者の放射線画像を表す放射線画像信号を出力する放射線画像検出器312と、放射線画像検出器312から出力された放射線画像信号を記憶する放射線画像記憶部313と、放射線画像撮影装置310全体を制御する制御部314とを備えている。
放射線画像検出器312は、放射線画像の記録と読出しを繰り返して行うことができるものであり、放射線の照射を直接受けて電荷を発生して蓄積することによって放射線画像の記録が行われる、いわゆる直接型の放射線画像検出器を用いてもよいし、放射線を一旦可視光に変換し、その可視光を電荷に変換して蓄積することによって放射線画像の記録が行われる、いわゆる間接型の放射線画像検出器を用いるようにしてもよい。また、上述したようにして電荷を蓄積することによって記録された放射線画像の読出方式としては、TFT(thin film transistor)スイッチがオン・オフされることによって放射線画像信号が読みだされる、いわゆるTFT読出方式のものや、読取光を照射することによって放射線画像信号が読み出される、いわゆる光読出方式のものを用いることができるが、これに限らずその他のものを用いるようにしてもよい。
そして、本実施の形態の放射線画像撮影装置310は、造影剤注入装置330によって造影剤が注入される患者の透視画像(動画)の撮影を行うものであり、制御部314は、この透視画像の撮影が行われるように放射線照射部311と放射線画像検出器312とを制御するものである。具体的には、制御部314は、所定のフレームレートで放射線照射部311から放射線を照射させるとともに、その放射線の照射によって放射線画像の記録と読出しが行われるように放射線画像検出器312を制御するものである。そして、放射線画像検出器312から出力されたフレーム毎の放射線画像信号を放射線画像記憶部313に順次記憶するものである。さらに、本実施の形態の制御部314は、フレーム毎の放射線画像信号を放射線画像記憶部313に記憶する際、そのフレーム毎の放射線画像信号内に造影剤の像を表す画像信号が含まれるか否かを示す情報を付加するものであるが、その作用については後で詳述する。
なお、放射線画像撮影装置310の構成としては、患者を立位状態で撮影する構成でもよいし、患者を臥位状態で撮影する構成でもよい。また、患者を立位状態および臥位状態との両方で撮影可能な構成でもよい。
放射線画像表示装置320は、放射線画像撮影装置310の放射線画像記憶部313から読み出されたフレーム毎の放射線画像信号に対して所定の処理を施して表示制御信号を生成し、その表示制御信号に基づいてモニタに患者の透視画像を表示させるものである。
造影剤注入装置330は、使用者による指示入力に基づいて、もしくは予め設定された造影剤注入開始タイミングに基づいて造影剤を患者の血管内などに自動的に注入するものである。具体的には、例えば注射器などから構成され、造影剤を患者の血管内などに注入する造影剤注入部331と、造影剤注入部331の造影剤注入動作を駆動する注入駆動部332と、注入駆動部332の動作などを制御する制御部333と、造影剤注入装置330から患者の血管内などへ造影剤が注入中であるか否かを検出する造影剤注入検出センサ部334とを備えている。
注入駆動部332は、例えば造影剤注入部331の注射器のピストンを動かすものであり、空気圧やモータや油圧などの動力手段によって構成されるものである。
造影剤注入検出センサ部334は、造影剤注入部331から造影剤が吐出されたことを検出するセンサを有するものである。そして、造影剤注入検出センサ部334は、その造影剤検出信号を放射線画像撮影装置310の制御部314に出力するものである。
放射線被曝量取得装置340は、放射線画像撮影装置310の放射線画像記憶部313から読み出されたフレーム毎の放射線画像信号のうち、造影剤の像の画像信号を含むフレームの放射線画像信号を造影剤フレームとして特定する造影剤フレーム特定部341と、放射線画像撮影装置310の放射線画像記憶部313から読み出されたフレーム毎の放射線画像信号の信号評価値に基づいて、患者の放射線被曝量を取得する放射線被曝量取得部342とを備えている。なお、造影剤フレーム特定部341と放射線被曝量取得部342の作用については、後で詳述する。
放射線被曝量管理装置350は、放射線被曝量取得装置340において取得された患者の放射線被曝量を記憶し、患者毎の放射線被曝量を管理するものである。
システム制御装置360は、上述した放射線画像撮影装置310、放射線画像表示装置320、造影剤注入装置330、放射線被曝量取得装置340および放射線被曝量管理装置350に制御信号を出力してこれらの動作を制御するとともに、これらの装置間の信号の入出力の制御を行うものである。また、システム制御装置360には入力部370が設けられており、この入力部370によって使用者による所定の指示入力や、撮影条件や患者のID情報などの入力が受け付けられる。入力部370において受け付けられた入力情報は、システム制御装置360によって必要に応じて各装置に出力される。
次に、本実施の形態の放射線画像撮影システムの作用について、図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、放射線画像撮影装置310に設けられた撮影台などの上に被写体である患者が設置され、患者のポジショニングが行われる(S310)。
次に、使用者によって入力部370を用いて撮影対象の患者のID情報と所定の撮影条件とが入力され、患者のID情報については放射線被曝量管理装置350に登録され、撮影条件については放射線画像撮影装置310の制御部314に設定される(S312)。なお、撮影条件としては、患者の撮影部位に対して適切な線量の放射線を照射するための管電圧、管電流、照射時間や、透視画像の撮影のフレームレートなどがある。透視画像の撮影のフレームレートとしては、例えば5fps〜60fpsのフレームレートが設定される。
次に、使用者によって入力部370を用いて患者の透視画像の撮影の開始指示が入力され、この入力に応じてシステム制御装置360から放射線画像撮影装置310に対して透視画像の撮影を行うよう制御信号が出力され、放射線画像撮影装置310は、入力された制御信号に応じて透視画像の撮影を開始する(S314)。
具体的には、入力された撮影条件に基づいて放射線照射部311のX線管球が制御され、所定の線量の放射線が所定のフレームレートで間欠的に患者に向けて照射される。
そして、患者を透過した放射線は放射線画像検出器312に照射され、放射線画像検出器312において光電変換されて電荷信号として蓄積される。
そして、各フレームの放射線の照射が終了する毎に、放射線画像検出器312に蓄積された電荷信号は制御部314によって読み出され、A/D変換器(図示省略)によってデジタル信号に変換された後、放射線画像記憶部313に記憶される。
図15は、放射線照射部311のX線管球からの放射線の照射タイミングと放射線画像検出器312における電荷蓄積タイミングとを示すタイミングチャートである。なお、放射線画像検出器312の電荷の蓄積が行われていない期間(蓄積OFFの期間)は、放射線画像検出器312からの電荷信号の読出期間である。
上記のようにしてX線管球による放射線の照射と放射線画像検出器312における放射線画像の記録および読出しとが所定のフレームレートで繰り返して行われることによって、放射線画像記憶部313にフレーム毎の放射線画像信号が順次記憶される。
そして、放射線画像記憶部313に記憶されたフレーム毎の放射線画像信号は順次読み出されて放射線画像表示装置320に出力される。放射線画像表示装置320は、入力されたフレーム毎の放射線画像信号に基づいて表示制御信号を順次生成し、その表示制御信号をモニタに順次出力して患者の透視画像を動画としてモニタに表示させる(S316)。なお、放射線画像記憶部313に記憶されたフレーム毎の放射線画像信号は、読み出された後も消去されることなく放射線画像記憶部313に残っているものとする。
ここで、上述したように透視画像の撮影および表示を行っている間において、使用者が血管などの造影剤画像を観察したいと考えた場合には、入力部370を用いて造影剤注入指示が入力される(S318)。
入力部370において造影剤注入指示が入力されると、システム制御装置360から造影剤注入装置330に制御信号が出力される。造影剤注入装置330は、入力された制御信号に基づいて造影剤の注入を開始する。具体的には、注入駆動部332によって造影剤注入部331が駆動されて造影剤注入部331から所定量の造影剤が吐出される。
そして、このとき造影剤注入装置330に設けられた造影剤注入検出センサ部334によって造影剤が吐出されたことが検出され、その検出信号は放射線画像撮影装置310の制御部314に出力される(S320)。放射線画像撮影装置310の制御部314は、上記造影剤検出信号が入力されると、その造影剤検出信号が入力されている間に撮影されたフレームの放射線画像信号に対して、造影剤の像を表す画像信号を含むものであることを示す情報(以下、造影剤フレーム情報という)をヘッダー情報として付加し、その放射線画像信号をヘッダー情報とともに放射線画像記憶部313に記憶する(S322)。より具体的には、図15に示すようなタイミングで造影剤検出信号が放射線画像撮影装置310に入力された場合には、造影剤注入中に撮影されたフレームF1とフレームF2の放射線画像信号に対して造影剤フレーム情報が付加されて放射線画像記憶部313に記憶される。
そして、造影剤注入中に撮影された放射線画像信号についても放射線画像記憶部313から読み出されて放射線画像表示装置320に順次出力され、放射線画像表示装置320は、入力された放射線画像信号に基づいて表示制御信号を順次生成し、その表示制御信号に基づいてモニタに造影剤画像を含む放射線画像を表示する(S324)。
次いで、造影剤注入装置330から所定量の造影剤の吐出が終了し、造影剤注入検出センサ部334において造影剤検出信号が検出されなくなった後は、撮影された放射線画像信号に対して造影剤フレーム情報が付加されることなく放射線画像記憶部313に記憶され、上記と同様にして放射線画像記憶部313からフレーム毎の放射線画像信号が読み出され、放射線画像表示装置320において透視画像が表示される。
そして、使用者によって入力部370を用いて透視画像の撮影終了指示が入力されると、システム制御装置360は、透視画像の撮影を終了するように放射線画像撮影装置310に制御信号を出力し、放射線画像撮影装置310は、入力された制御信号に応じて透視画像の撮影を終了する(S326)。
次に、上述したような透視画像の撮影が終了すると、システム制御装置360は放射線画像撮影装置310の放射線画像記憶部313に記憶された全フレームの放射線画像信号を読み出し、放射線被曝量取得装置340に入力させる。
そして、まず、造影剤フレーム特定部341が、全フレームの放射線画像信号の中から造影剤フレーム情報が付加されたフレームの放射線画像信号を特定し、そのフレームを造影剤フレームとして特定する(S328)。
次に、放射線被曝量取得部342において、各フレームの放射線画像信号に基づいて、透視画像の各フレームの撮影中に患者が受けた放射線被曝量を算出する(S330)。具体的には、本実施の形態においては、まず、各フレームの放射線画像信号に基づいてE.I.(Exposure Index)を信号評価値として算出し、このE.I.に基づいて放射線被曝量を取得する。
このE.I.の算出方法については、まず、各フレームの放射線画像内に、所定の計算領域を設定する。この計算領域としては、たとえば放射線画像の全領域や、使用者が任意に設定した領域や、撮影部位の情報に基づいて規定された領域や、放射線画像の中心から画像サイズの10%の範囲の領域などを採用することができる。または、たとえば放射線画像のヒストグラムに基づいて求められる、いわゆる素抜け領域を除く領域や、放射線画像の中心濃度から全濃度幅の90%の領域などを採用することができる。もしくは、上述した条件を組み合わせて特定の計算領域を設定するようにしてもよい。
次に、上記で設定した計算領域の代表値Vを算出する。代表値Vとしては、放射線画像の濃度値そのものや、濃度値そのものに対して、全濃度値の平均値、中央値、最頻値またはトリム平均値を加味した統計的特徴値などを採用することができる。そして、この代表値Vに基づいて、下式によりフレーム毎のE.I.を算出する。
(ア)
E.I.= C0 × g(V)
(イ)
g(V):逆校正関数
(ウ)
C0:100・Gy(定数)
なお、g(V)は、RQA5の線質にて得られる放射線画像に基づいて規定される関数である。代表値Vは、放射線画像検出器におけるシンチレータの違いなどに起因する感度の違いや、上述した計算領域の設定方法または代表値Vの算出方法の違いによってその大きさが異なるものとなるが、g(V)はその違いを正規化する関数である。つまり、いかなる放射線画像検出器の種類であっても、RQA5の線質で同一の線量を受けた場合、E.I.はほぼ同一の値となることになる。
上述したようにして、放射線被曝量取得部342において、各フレームの放射線画像信号に基づいて算出されたE.I.を用いて、各フレームの撮影中に患者が受けた放射線被曝量を取得する。なお、E.I.を用いて放射線被曝量を取得する方法としては、たとえば、これらの関係を規定した関数や、ルックアップテーブルなどを予め設定しておくようにすればよい。
図15の一番下のグラフは、上述したようにして取得されたフレーム毎の放射線被曝量を線で結んだものである。なお、図15のグラフの横軸は、撮影開始から何枚目のフレームであるかを示すものである。
ここで、上述したように透視画像の撮影の途中で造影剤を注入して造影剤画像を撮影した場合、患者に照射された放射線は放射線画像検出器312に到達する前に造影剤によって吸収されるため、造影剤フレームの放射線画像信号に基づいて放射線被曝量を算出した場合、実際に患者が受けた放射線被曝量よりも小さい値となってしまう。具体的には、図15に示す造影剤フレームF1,F2の放射線画像信号に基づいて放射線被曝量を算出した場合、図15のグラフの点線で示すように実際の値(造影剤画像を含むフレームF1,F2の直前と直後に撮影されたフレームを結ぶ線上付近と推定される)よりも小さい値となってしまう。
そこで、本実施の形態においては、造影剤フレームの放射線被曝量については、造影剤フレームの直前の造影剤フレーム以外のフレームの放射線被曝量と造影剤フレームの直後の造影剤フレーム以外のフレームの放射線被曝量とを用いた直線補間により補正した値とする。具体的には、図15のグラフに示すように、造影剤画像を含むフレームF1,F2の直前と直後に撮影されたフレームの放射線画像信号に基づいて算出された放射線被曝量を用いて直線補間を行い、この直線上における造影剤フレームF1,F2の撮影タイミングの時点の放射線被曝量を取得することによって、造影剤フレームF1,F2が撮影されている間の患者の放射線被曝量を取得する。
そして、放射線被曝量取得部342は、全フレームの放射線被曝量を加算することによって連続的な放射線撮影全体を通しての被写体の総放射線被曝量を算出する。
放射線被曝量取得部342において取得された総放射線被曝量は放射線被曝量管理装置350に入力され、放射線被曝量管理装置350は、予め設定入力された患者のID情報とともに総放射線被曝量を登録する(S332)。そして、放射線被曝量管理装置350は、登録した総放射線被曝量を患者のID情報とともに必要に応じて表示したり、また、所定の患者について過去からの累積総放射線被曝量を算出し、その値が予め設定された規定値よりも大きくなった場合に警告メッセージを表示したりする。
本実施の形態の放射線画像撮影システムによれば、フレーム毎の放射線画像信号のうち、造影剤の画像を表す画像信号が含まれているフレームを造影剤フレームとして特定し、造影剤フレームの放射線被曝量については造影剤フレームの直前の造影剤フレーム以外のフレームの放射線被曝量と造影剤フレームの直後の造影剤フレーム以外のフレームの放射線被曝量とを用いた直線補間により補正した値とするようにしたので、造影剤の放射線画像への写り込みも考慮したより正確な被写体の放射線被曝量を取得することができる。
以上、本発明の第4の放射線被曝量取得装置の好ましい実施の形態について説明したが、本発明の第4の放射線被曝量取得装置は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば造影剤フレームの特定については、上述の造影剤注入検出センサを用いた特定以外にも、造影剤注入時刻取得部を設け、この造影剤注入時刻取得部によって造影剤の注入が開始された時刻と造影剤の注入が終了した時刻とを取得し、この時刻情報に基づいて造影剤フレームの特定を行うようにしてもよいし、これらのようなセンサを用いずに各フレームの信号評価値が造影剤フレーム以外のフレームの信号評価値とは異なる所定の範囲の値である場合に造影剤フレームと特定するようにする等、どのような方法を用いてもよい。
また、上記実施の形態では放射線被曝量取得装置を独立した装置として構成しているが、放射線画像撮影装置などの他の装置の一部として組み込むなど、どのような態様としてもよい。具体的には、システム制御装置360を含むコンソールに設けるようにしてもよいし、放射線画像撮影装置310に設けるようにしてもよい。また、放射線画像検出器312が可搬型の電子カセッテに収容されたものであり、その電子カセッテ内にLSI(Large Scale Integration)などの電子回路や、PLD(Programmable Logic Device)・FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプログラマブルな電子回路などのハードウェアが設けられている場合には、そのようなハードウェアによって造影剤フレームの特定や放射線被曝量の取得を行わせるようにしてもよい。このような構成を採用することによってよりリアルタイム性を追求することができる。
さらに上記第1から第4の実施の形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行なってもよいのは勿論である。