JP5928568B2 - 非接触及び接触共用icカード - Google Patents
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Description
(1)被覆付導線やエッチング加工にて形成されたアンテナコイルが埋め込まれたカード基板を作製する。
なお、アンテナの両端部の端子は、ICチップ実装基板と安定的な接続を可能とするとともに、材料費を抑え、生産性をよくするために、一般的には、ICチップ実装基板に設けられたアンテナ接続用端子と略同一サイズの略プレート状にしている。また、被覆付導線アンテナの場合には、両端部を連続的に狭ピッチで折畳んで、略プレート状に形成する。このため、被覆付導線アンテナは、両端部の形成時間が長く、両端部の端子サイズを大きくすると線長が長くなるので、更に形成時間が長くなり、また高コストになる。これらを防止するために、被覆付導線アンテナは、端子サイズを極力小さなサイズにするのが技術常識である。
第2の発明は、第1の発明の非接触及び接触共用ICカードにおいて、前記導電プレート(33,34,233−1,234−1,233−2,234−2,533,534)は、このICカードの表面(2a)を法線方向から見たときに、設置領域が少なくとも前記ICチップ実装基板のコーナ部である基板コーナ部(12a,12b,12d,12e)に重複すること、を特徴とする非接触及び接触共用ICカードである。
第3の発明は、第1の発明の非接触及び接触共用ICカードにおいて、このICカードは、表面(2a)の法線方向から見たときに、外形が長方形であり、前記導電プレート(334−1,334−2d,334−2e,334−3d,334−3e)は、このICカードの表面を法線方向から見たときに、長辺方向内側(X2)の設置領域のみが、前記ICチップ実装基板のコーナ部である基板コーナ部(12d,12e)に重複すること、を特徴とする非接触及び接触共用ICカードである。
第4の発明は、第1の発明の非接触及び接触共用ICカードにおいて、このICカードは、表面(2a)を法線方向から見たときに、外形が長方形であり、導電プレート(433−1,434−1,433−2,434−2)は、このICカードの表面を法線方向から見たときに、短辺方向内側(Y1)の設置領域のみが、前記ICチップ実装基板のコーナ部である基板コーナ部(12b,12e)に重複すること、を特徴とする非接触及び接触共用ICカードである。
第7の発明は、第1から第6までのいずれかの発明の非接触及び接触共用ICカードにおいて、このICカードの表面(12a)を法線方向から見たときに、前記ICチップ実装基板(12)の外側の領域であって前記導電プレート及びカード基材からなる領域(A2)の剛性は、前記ICチップ実装基板が実装されている領域(A1)の剛性よりも低く、カード基材のみの領域(A3)の剛性よりも高いこと、を特徴とする非接触及び接触共用ICカードである。
第1の発明は、アンテナ側接続部に導電プレートが接続されているので、アンテナ側端部の断線を防止できる。すなわち、アンテナ端部を、従来のようなアンテナ端部の線材を複数回折り曲げた形態ではなく、断面積の大きいプレート(板材)で接続する形態にすることにより、アンテナ端部の剛性が高まり、仮に、屈曲等によってカード基材に亀裂が発生したとしても、断線(破断)を防止できる。また、導電プレートと基板側接続部とを導電性接続材料で接続することにより、アンテナ端部の接続面積が大きくなるため、接続信頼性を向上させることができる。更に、導電プレートを用いることにより、被覆付導線アンテナの両端部を略プレート状に形成する工程が不要となり、形成時間の短縮化が図れ、アンテナ形成コストが安価となる。
第2の発明は、導電プレートの設置領域が基板コーナ部に重複するので、基板コーナ部近傍のカード剛性を向上できる。これにより、外力等により屈曲等した場合の物理的耐久性を向上させ、カード基材のうち基板コーナ部近傍の損傷、アンテナの損傷、基板側接続部及びアンテナ側接続部の剥離等の発生を防止でき、信頼性の高いICカードを提供できる。
第3の発明は、導電プレートが長辺方向内側の基板コーナ部のみに重複するように形成されているので、長辺方向の屈曲によって力が加わりやすい長辺方向内側の基板コーナ部近傍のカード剛性を向上して、前述した損傷、剥離等の発生を防止できるとともに、長辺方向外側のアンテナ側接続部のサイズを小さくできるので、コスト増加を抑えることができる。
第5、第10の発明は、アンテナ側接続部を、板部材の切り欠きを跨ぐ範囲と、2つの板部材の端部から外側に出た2つの範囲との3箇所の範囲において下層に埋設し、埋設箇所同士の距離が短くなるので、製造時において、アンテナ側接続部が内側又は外側に撓むことを抑制し、アンテナ側接続部がICモジュール収容部に重なることによるアンテナ側接続部の損傷を抑制できるため、品質を向上できる。
第6の発明は、アンテナ側接続部の設置領域が、基板コーナ部に加えて、基板側接続部の外側の辺に重複するように形成されているので、この外側の辺近傍のカード剛性を向上できるため、この外側の辺近傍での前述した損傷、剥離等の発生を防止できる。
第8の発明は、導電プレートとアンテナとの接続部がICモジュール収容部よりも外側に形成されているので、ICモジュール収容部形成の際に導電性プレートとアンテナとの接続部に加わる力を低減できるため、接続故障を低減することができる。
第9の発明は、複数の導電プレートを有するICカードであっても、ICモジュール収容部を切削する工程を利用して、1つの板部材を複数の導電プレートに加工できるので、積層工程では、1つの板部材を積層すればよく、部品点数を削減でき、また工程を簡単にできる。
以下、図面等を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態のICカード1の平面図及び断面図である。
図1(a)は、ICカード1の平面図(上面2a(表面)を法線方向から見た図)である。
図1(b)は、ICカード1の断面図(図1(a)に示すB−B部矢視断面図)である。
図1(c)は、ICモジュール1近傍の拡大図(図1(a)に示すC部拡大図)である。
図1(d)は、ICモジュール1近傍の拡大図(図1(b)に示すD部拡大図)である。
なお、内部構成を説明するために、内部に収容された電気部品等は、適宜透視して示す。また、以下の説明において、ICカード1の外部接触端子14が設けられた面を上面2aとし、また、外部接触端子14を左側X1に配置したときの配置を基準に、左右方向X(長辺方向)、縦方向Y(短辺方向)、厚さ方向Z(積層方向)を規定する。
ICカード1は、カード基材2、ICモジュール10、アンテナ20、導電プレート33,34を備える。また、説明は省略するが、ICカード1は、必要に応じて、ホログラム、磁気ストライプ、エンボス情報部、サインパネル等が設けられる。
カード基材2は、上層3及び下層4から構成される。上層3及び下層4は、ICカード1の厚さ方向Zの上側Z2及び下側Z1に配置されたシート部材である。上層3及び下層4は、PET、PET−G、PVC等の樹脂シート材を用いることができる。上層3は、単一のシート材により形成された単層構造でも、複数のシート材を積層した多層構造であってもよい。同様に、下層4は、単層構造でも、多層構造でもよい。
ICチップ11は、外部接触端子14を介して外部機器との間で接触通信を行う機能と、アンテナ20を介して外部機器との間で非接触通信を行う機能とを備える非接触及び接触共用のものである。
接触通信の主な機能は、例えば、国内及び海外のクレジット会員情報、銀行口座情報等の記憶、及びこれらの情報の認証や書き換え等である。一方、非接触通信の主な機能は、例えば、交通機関での定期券等の情報の記憶、及び改札の出入時におけるこれらの情報の認証等である。
基板側接続部13は、実装基板12の下面に形成された導電性を有するプレートである。基板側接続部13は、金ワイヤ等の接続配線11aを介してICチップ11に接続されるとともに、導電性接着剤等を介してアンテナに接続されている。基板側接続部13は、平面形状において、左側X1及び右側X2の端部であって、縦方向Yのほぼ中心にそれぞれ設けられており、その形状が矩形である。
外部接触端子14は、例えば、銅板に金メッキを施したものであり、ICカード1の他の構成部品よりも剛性が高い。
アンテナ20は、導線の周囲を、絶縁体により形成された被覆によって覆った被覆付導線21により形成される。ICカード1は、被覆付導線21を用いることにより、形成加工費を例えばエッチング等に比較して安価にできる。アンテナ20は、下層4の上面4aに埋設されている。
コイル部22は、被覆付導線21がコイル状(渦巻き状)に巻かれ(図1の例では、約3巻)、実際に上記通信機能を奏する部分である。
導電プレート33,34とコイル部22の両端23,24とは、溶接によって接続されている。このため、導電プレート33は、溶接の加工性をよくするために、例えば、銅合金に銀メッキを加工して形成される。
導電プレート33とコイル端23との溶接箇所33a,33b(接続部)は、コイル端23の位置ずれを防止するために、縦方向Yの上下2箇所に設けられている。導電プレート34及びコイル端23も同様に、溶接箇所34a,34b(接続部)で溶接される。
また、溶接箇所33a,33b,34a,34bは、ICモジュール収容穴15を形成する際に力が加わらないように、ICモジュール収容穴15よりも外側に設けられる。
導電プレート33,34は、ICカード1の剛性向上の観点からカード基材2よりも剛性の高い材料により形成することが望ましく、銅の他には、例えばアルミニウム等の金属材料が望ましい。また、後述するように、導電プレート33,34が設置されている領域(後述する導電プレート設置領域A2)は、カード基材2の剛性を向上するように、構造設計されている。
図2は、第1実施形態のICモジュール10の製造工程を説明する平面図及び断面図である。
図2(a)において、図2(a−1)は、平面図であり、図2(a−1)は、断面図(図2(a)のA−A部矢視断面図)である。図2(b)から図2(d)も同様である。
ICカード1は、以下の工程に従って製造される。なお、以下の工程は、最も簡単な構成のICカード1を説明するものであり、磁気ストライプ、ホログラム等を設ける場合には、これらの設置工程を別途設ける。
アンテナ形成工程は、以下の工程に従う。
(1)平面形状がH型の導電性を有する板部材35を、上層3の下面に積層する(図2(a)参照)。板部材35は、後述するように、導電プレート33,34に加工される部材である。板部材35の両端部の縦部分35a,35bは、導電プレート33,34に対応する部分であり、導電プレート33,34に加工される部分である。板部材35は、縦部分35a,35bと、これらを連結する連結部35cとによって一体的に形成される。連結部35cの左右方向Xの長さは、下段凹部15b(図2(c)参照)とほぼ同じ大きさである。
この板部材35を、連結部35cが、ICモジュール10のICチップ11を埋設するICモジュール収容穴15の下段凹部15b(図2(c)参照)の予定形成範囲を、左右方向Xに横切るように配置する。
(2)抜き加工前の状態の上層3の下面に、コイル部22を熱圧着によって埋設する(図1参照)。なお、板部材35が設けられている領域では、コイル部22を、板部材35上に下側Z1から積層する。
(3)板部材35の縦部分35a,35bにコイル部22の両端23,24を溶接する。これにより、アンテナ20が形成される。
カード積層工程は、以下の工程に従う。
(1)アンテナ20が形成された上層3と下層4とを積層する。
(2)上層3と、下層4とを熱圧着により接着する。このとき、上層3の上面、下層4の下面に印刷保護シート(図示せず)を重ね合わせて、一体化させる。これにより、カード基材2(抜き加工前)が形成される。
アンテナ20を埋設したカード基材2を、打ち抜き加工によってカード形状に形成する。
図2(b)に示すように、カード基材2の上層3を切削して、ICモジュール収容穴15のうち実装基板12を収容する上段凹部15aを形成する。上段凹部15aは、12mm×13mm×深さ200μmである。
(下段凹部形成工程)
図2(c)に示すように、カード基材2を板部材35よりも深く切削して、ICモジュール収容穴15のうちICチップ11を収容する下段凹部15bを形成すると同時に、板部材35の連結部35cを一緒に切削して、板部材35を導電プレート33,34の形状に加工する。下段凹部15bは、8.5mm(縦方向Y)×8.5mm(左右方向X)×深さ650μmである。
図2(d)に示すように、上段凹部15aの底部を、カード基材2の上層3のうち基板側接続部13に対応する部分を板部材35まで切削して、導電プレート33,34の一部が厚さ方向Zの上側Z2に露出するように、切削凹部15cを切削加工する。切削凹部15cは、φ3mm、深さ400μmの半円状である。
なお、上記上段凹部形成工程から導電プレート露出工程までの順番は、最終的にICモジュール収容穴15が形成されるように、適宜入れ替えてもよい。例えば、下段凹部形成工程の次に、上段凹部形成工程を設けてもよい。
ICモジュール搭載工程は、以下の工程に従う。
(1)切削凹部15c内に露出した導電プレート33,34に導電性ペースト30を塗布する(図1(d)参照)。
(2)ICモジュール10に絶縁性接着剤を付着させてICモジュール収容穴15に収容し、ICモジュール10とカード基材2とを一体化する。なお、導電プレート33,34と基板側接続部13とは、導電性ペースト30によって接続される。
以上により、ICカード1を製造できる。
図3は、第1実施形態のICカード1及び従来のICカード100に外力が加わり屈曲した状態を説明する図である。
図3(a)は、ICカードに外力が加わり屈曲する状態を説明する斜視図である。
図3(b)は、第1実施形態のICカード1のICモジュール10近傍における屈曲状態を説明する断面図である。
図3(c)は、従来のICカード100のICモジュール近傍における屈曲状態を説明する断面図である。
実装基板領域A1:実装基板12つまりICモジュール10と、導電プレート33,34と、カード基材2とから形成される領域。
導電プレート設置領域A2:導電プレート33,34と、カード基材2とから形成される領域。
カード基材領域A3:カード基材2のみから形成される領域。
導電プレート設置領域A2は、導電プレート33,34がカード基材2に埋め込まれた状態になるため、カード基材2のみのカード基材領域A3よりも剛性が高くなる。なお、導電プレート33,34をカード基材2よりも剛性の高い材料により形成した場合には、導電プレート設置領域A2の剛性を、カード基材領域A3よりも剛性を確実に高くできる。また、導電プレート設置領域A2は、実装基板領域A1よりも剛性が低くなるようにバランスよく構造設計されている。
つまり、ICモジュール10近傍は、剛性が「実装基板領域A1>導電プレート設置領域A2>カード基材領域A3」となるように、構造設計されている。
このような、変形状態は、導電プレート33,34の設置領域が実装基板12の左辺12c、右辺12f及び四隅を覆っているので(図1参照)、左右方向XにおいてICモジュール10を含む全ての断面形状に当てはまる。つまり、図1(c)に示すように、領域A5を通る全ての左右方向Xの断面形状に当てはまる。これにより、カード基材2に発生するカード基材2自体の損傷、つまり内部、上面2a及び下面2bに発生する亀裂等を防止できる。特に、カード基材2のICモジュール10よりも左側X1の周辺及び右側X2の周辺における亀裂を防止でき、カード耐久性を向上できる。
このように、ICカード1は、外力が加わった場合のカード基材2及びアンテナ20の破損を防止できるので、外力に起因する物理的耐久性を向上できる。
また、従来のICカード100は、湾曲するときの角度θ100が大きいためアンテナ120に大きなストレスが加わる。さらに、亀裂100cが発生すると、その近傍でのアンテナ120に局部的により大きなストレスが加わる。これにより、従来のICカード100は、アンテナ120の損傷が発生しやすく、外部機器との安定した非接触通信をできない場合があった。
従来のICカード101,102と、本実施形態のICカード1の繰り返し屈曲試験について説明する。
図4は、比較試験に使用した従来のICカード101,102と、実施形態のICカード1の平面図である。
図5は、従来のICカード101,102と、実施形態のICカード1の繰り返し屈曲試験について説明する表である。
この試験では、従来のICカード101,102と、実施形態のICカード1の繰り返し屈曲試験を行い、カード基材2の表面及び下面の損傷と、アンテナ20の機能異常を確認した。
・厚さ300μmのポリエステル系基材シートに対して、被覆付導線(φ110μmの銅線)を加熱工法により略カード大サイズの約3回巻きのループ状になるように埋め込みを行った。
・アンテナ側接続部の形態及びサイズ:
・従来例1のICカード101(アンテナ側接続部小):図4(a)に示すように、各アンテナ側接続部123−1,124−1を縦5mm×横6mmの略プレート状になるように被覆付導線をピッチ0.3mmで計20回連続的に折り曲げた。
・従来例2のICカード102(アンテナ側接続部中):図4(b)に示すように、各アンテナ側接続部123−2,124−2を縦9mm×横6mmの略プレート状になるように被覆付導線をピッチ0.3mmで計20回連続的に折り曲げた。
・実施形態対応のICカード1(アンテナ側接続部大):図4(c)に示すように、各アンテナの両端23,24に縦16.5mm×横6mmの導電プレート33,34を溶接し、接続した。
図4(d)に示すように、ICカード1の左右端を保持して、カード中心に厚さ方向の上下方向に交互に負荷を加えた。片側の振幅を30mm、全幅60mmとして、各30枚について、屈曲回数3000回の折り曲げ試験を行った。
そして、500回毎にカード基材2のカード外観(上面及び下面)の損傷と、非接触での機能動作確認とを行った。
実施形態のICカード1は、図5の表1に示すように、3000回まで、カード基材に亀裂が発生せず、また、表2に示すように、3000回まで非接触での機能動作が可能であり、つまりアンテナ20の機能異常が発生しなかった。
一方、従来例1のICカード101は、表1に示すように、2500回で全てのカード基材に亀裂が発生した。また、従来例1のICカード101は、表2に示すように、2000回時点で68%のアンテナの機能異常が発生した。これは、アンテナ120−1が断線したか、基板側接続部113及びアンテナ側接続部123−1,124−1が剥離したためであると考えられる。なお、以降のアンテナ120の機能異常については、確認を省略した。
同様に、従来例2のICカード102は、表1に示すように、2500回で60%のカード基材に亀裂が発生した。また、従来例2のICカード102は、表2に示すように、3000回時点で40%のアンテナ120−2の機能異常が発生した。
また、実施形態のICカード1は、アンテナ20の端部を比較例のような被覆付導線を複数回折り曲げた形態ではなく、断面積の大きい導電プレート33,34で形態にすることにより、アンテナ端部の剛性が高まり、仮に、屈曲等によってカード基材に亀裂が発生したとしても、断線(破断)を防止できる。
さらに、ICカード1は、導電プレート33,34と基板側接続部13とを導電性接続材料で接続することにより、アンテナ端部の接続面積が大きいため、接続信頼性を向上させることができる。
更に、ICカード1は、導電プレート33,34を用いることにより、被覆付導線アンテナの両端部を略プレート状に形成する工程が不要となり、形成時間の短縮化が図れ、アンテナ形成コストが安価となる。
なお、ICカード1は、導電プレート33,34の外形を大きくすれば、カード基材全体の剛性を向上できるので、カード基材の亀裂発生の低減を期待できる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、第1実施形態から導電プレートの形状を変更したものである。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図6は、第2実施形態のICカード201−1,201−2の平面図(図2(c−1)に相当する図)である。
ICカード201−1は、製造時の下段凹部形成工程において、下段凹部15bを形成すると同時に、図6(a)に破線のハッチングで示すように、板部材235−1のうち下段凹部15bに重複する範囲を切削する。つまり、板部材235−1は、連結部235c−1と、縦部分235a−1,235b−1の下段凹部15bに重複する範囲とが切削され、図6(a)に実線のハッチングで示すように、導電プレート233−1,234−1に加工される。
板部材235−2は、製造時の下段凹部形成工程において、図6(b)に破線のハッチングで示すように、板部材235−2のうち下段凹部15bに重複する範囲を切削する。つまり、板部材235は、連結部235c−2の下段凹部15bに重複する範囲が切削され、縦部分235a−2,235b−2と、連結部235cの残存部分とからなる導電プレート233−2,234−2に加工される。
また、ICカード201−1,205−2は、第1実施形態と同様に、1枚の板部材235−1,235−2を積層すればよいので、積層工程を容易にでき、また、部品点数を削減できるので、低コストである。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図7は、第3実施形態のICカード301−1,301−2,301−3のICモジュール10周辺の平面図である。
図7(a)に示すように、ICカード301−1は、長辺方向内側つまり右側X2の導電プレート334−1のみが設けられ、導電プレート334−1の設置領域が、右側X2(カード内側)の基板コーナ部12d,12e,右辺12f(外側の辺)に重複する。
ここで、ICカード301−1の曲率は、内側に至る程大きくなる。例えば、図3に示すように、内側(右側X2)の導電プレート設置領域A2−2及びカード基材領域A3−2は、外側(左側X1)の導電プレート設置領域A2−1及びカード基材領域A3−1よりも曲率が大きくなる。
このため、ICカード301−1は、内側の導電プレート334−1のみを基板コーナ部12d,12e,右辺12fに重複するように形成することにより、屈曲によって力が加わりやすい内側の基板コーナ部12d,12e,右辺12f近傍の剛性を向上できる。これにより、ICカード301−1は、前述した損傷、剥離等の発生を防止できるとともに、コスト増加を抑えることができる。
ここで、基板コーナ部12d,12e近傍は、右辺12f中央よりも、屈曲によって力が加わりやすい。
このため、ICカード301−2は、屈曲によって力がより加わりやすい基板コーナ部12d,12e近傍の剛性を向上して、前述した損傷、剥離等の発生を防止できるとともに、コスト増加を一層抑えることができる。
ICカード301−3は、下段凹部形成工程において、第2実施形態と同様に、下段凹部15bを形成すると同時に、板部材345の連結部345cを切削できる。これにより、ICカード301−3は、導電プレート334−3d,334−3eが2つに分かれていても、第2実施形態と同様に、製造工程を簡単にでき、低コストである。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図8は、第4実施形態のICカード401−1,401−2のICモジュール10周辺の平面図である。
ここで、前述したように、ICカード401−1は、短辺方向よりも長辺方向に曲がりやすく、同一の力を加えた場合の変位は、短辺方向よりも長辺方向の方が大きい。しかし、同一の変位を加えた場合の曲率は、長辺方向よりも短辺方向の方が大きい。この場合には、実装基板12周辺に加わる力は、長辺方向よりも短辺方向の方が大きくなる。また、短辺方向において、実装基板12の外側のコーナ部12a,12d周辺よりも内側の基板コーナ部12b,12e周辺に対して、より大きな力がかかる。
従って、実装基板12の内側の基板コーナ部12b,12e周辺の剛性を向上することにより、ICカード401−1に力がかかりやすいこの領域の損傷、剥離等の発生を効果的に防止できるとともに、導電プレート433−1,434−1のサイズを小さくできるため、コスト増加を抑えることができる。
この場合にも、下段凹部形成工程において、第2実施形態と同様に、下段凹部15bを形成すると同時に、板部材435の連結部435cを切削できるので、製造工程を簡単にでき、低コストである。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図9は、第5実施形態のICカード501の製造工程、比較例のICカード105の製造工程を説明する図である。
なお、第5実施形態は、アンテナ520を下層4(アンテナ形成層)側に形成する例を示すが、前述した実施形態と同様に上層3(他の基材)側に形成してもよい。また、以下の説明において、主に、右側X2部分の構成、工程について説明するが、左側X1部分についても同様な構成、工程である。
図9(a)は、下層4に板部材535を積層した状態の図である。
図9(a−1)は、ICモジュール収容穴15の予定範囲近傍の平面図である。
図9(a−2)は、ICモジュール収容穴15の中央断面図(図9(a−1)のA2−A2部矢視断面図)である。
図9(a−3)は、板部材535の下端535aを通る断面図(図9(a−1)のA3−A3部矢視断面図)である。
図9(b)は、アンテナ520のアンテナ側接続部523,524を配置した状態の図である。
図9(c)は、ICモジュール収容穴15を形成した状態の図である(右側X2部分のみ示す)。
図9(b−1)から図9(b−3)及び図9(c−1)から図9(c−3)は、図9(a−1)から図9(a−3)に対応する範囲の平面図、断面図である。
図9(a−1)、図9(b−1)は、ICモジュール収容穴15の上段凹部15a、下段凹部15bを形成する予定線を破線で示す。
図9(d)は、比較例のアンテナ120−5のアンテナ側接続部124−5を配置した状態の図(図9(b−1)に対応する図)である。
板部材535は、矩形の外側の辺(縁部)をICモジュール収容穴15に向けて内側に切り欠いたような形状をしている。板部材535は、縦方向Yに対称である。このため、右側X2及び左側X1の板部材535は、表裏反転させるか、回転させることにより共通で用いることができるので、コストを削減できる。
導電プレート534は、下端535a及び上端535b(2つの端部)、端部接続部535cを備える。
下端535a及び上端535bは、板部材535の縦方向下側Y1の範囲、及び上側Y2の範囲を、形成する部分である。
端部接続部535cは、下端535a及び上端535bを接続する部分である。端部接続部535cは、外側(右側X2)の辺を切り欠く切り欠き535dが形成されている。端部接続部535cの外側(右側X2)の縁部535eは、ICモジュール収容穴15よりも外側(右側X2)に位置するような大きさである。切り欠き535dは、ICモジュール収容穴15には、重複しない程度の大きさである。
ICカード501の製造方法は、以下の工程に従う。
(板部材積層工程)
図9(a)に示すように、板部材535を、ICモジュール収容穴15の予定範囲の右側X2の縁部に重複するように、下層4に積層する。このICモジュール収容穴15は、ICチップ11(図1参照)及びICチップ実装基板12(図1参照)を有するICモジュール10(図1参照)を埋設する穴である。板部材535は、接着剤等により、下層に貼り付けされる。
図9(b)に示すように、アンテナ520のアンテナ側接続部524を、板部材535上に配置する。アンテナ側接続部524は、縦方向Yに平行に配置され、板部材535の上端535b及び下端535aを通って、切り欠き535dを跨ぐように配置される。アンテナ側接続部524の縦方向下側Y1の先端は、下端535aからはみ出るように配置される。
図9(b)に示すように、アンテナ側接続部524を加熱、加圧して、切り欠き535dを跨ぐ範囲と、上端535bから上側Y2に出た範囲、下端535aから下側Y1に出た範囲の3箇所の範囲で、下層4に埋設する。なお、この工程では、コイル部(図1に示すコイル部22参照)も同時に、下層4に埋設する。
図9(b−2)は、アンテナ側接続部524が切り欠き535dを跨ぐ範囲の断面図であるが、アンテナ側接続部524が下端535aから下側Y1に出た下端外側範囲Saと、アンテナ側接続部524が上端535bから上側Y2に出た上端外側範囲Sbについても、下層4に埋設される。
このため、下端535a上のアンテナ側接続部524は、縦方向下側Y1及び上側Y2の両側で保持されるような形態になる。つまり、下端535a上のアンテナ側接続部524は、切り欠き535d内及び下端外側範囲Saで保持されることになる。同様に、上端535b上のアンテナ側接続部524は、両側、つまり切り欠き535d内及び上端外側範囲Sbで保持されることになる。
これにより、下端535a上のアンテナ側接続部524、上端535b上のアンテナ側接続部524は、フリーな部分の距離が短くなり、撓みが抑制される。このため、アンテナ側接続部524は、外側(右側X2)や内側に撓むことが抑制される。
なお、アンテナ側接続部524の撓みは、板部材535の大きさが大きくなり、下端535a及び下端535aの縦方向Yの長さが大きくなる程、アンテナ側接続部524のうちフリーになる長さが大きくなるため、発生しやすくなる。この場合であっても、切り欠き535dの大きさを大きくして、下端535a及び上端535bの長さ縦方向Yの長さが小さくすれば、この撓みを抑制できる。
アンテナ側接続部524を、板部材535上に固定する。アンテナ側接続部524及び板部材535は、スポット溶接等によって板部材535に固定され、かつ、電気的に接続される。固定箇所は、下端535a上の範囲536a及び上端535b上の範囲536bの少なくとも2箇所である。なお、前述したように、アンテナ側接続部524の撓みが抑制されるので、作業者は、固定時の作業性を向上できる。
図9(c)に示すように、下層4に上層3を積層する。
カード積層工程は、第1実施形態とほぼ同様である。
図9(c)に示すように、ICモジュール収容部形成を形成する。
ICモジュール収容部形成工程は、第1実施形態の上段凹部形成工程、下段凹部形成工定、導電プレート露出工程と同様に行われる。
なお、下段凹部形成工程において、板部材535は、下段凹部15bに重複する範囲(図9(b−1)にハッチングで示す範囲)が同時に切削され、板部材535が導電プレート534の形状に加工される。
一方、図9(d)に示すように、比較例のアンテナ側接続部124-5のように、撓みによってICモジュール収容部の予定範囲に侵入してしまうと、アンテナ側接続部124-5は、上段凹部形成工程、下段凹部形成工程において切削されてしまう。この場合には、アンテナ側接続部124-5は、断線したり、板部材との固定部に機械的な力が加わることによる接続不良等の問題が発生する可能性がある。
本実施形態のアンテナ側接続部524は、ICモジュール収容部の予定線内に侵入することが抑制されるので、このような問題の発生を抑制できる。
なお、外側又は内側の板部材535は、第2実施形態と同様に、連結部235c−1,235c−2で連結してもよい。
また、板部材535は、第3実施形態と同様に、外側及び内側のいずれかに設けてもよい。
2 カード基材
3 上層
4 下層
10 ICモジュール
11 ICチップ
12 実装基板
13 基板側接続部
15 ICモジュール収容穴
15a 上段凹部
15b 下段凹部
15c 切削凹部
20 アンテナ
22 コイル部
23,24,523,524 アンテナ側接続部
33,34,233−1,234−1,233−2,234−2,334−1,334−2d,334−2e,334−3d,334−3e,433−1,434−1,433−2,434−2,533,534 導電プレート
235c−1,235c−2,345c,435c 連結部
235−1,235−2,345,435,535 板部材
A1 実装基板領域
A2 導電プレート設置領域
A3 カード基材領域
Claims (4)
- アンテナを用いて外部との間で無線通信、及び外部接触端子を用いて外部との間で接触通信を行うICチップを備える非接触及び接触共用ICカードであって、
前記アンテナは、被覆付導線により形成され、電気的な接続部であるアンテナ側接続部を備え、
前記ICチップが実装され、電気的な接続部である基板側接続部を有するICチップ実装基板と、
前記アンテナの少なくとも一端に設けられ、前記アンテナ側接続部に電気的に接続する導電プレートと、
前記導電プレートと前記基板側接続部とを電気的に接続する導電性接続材料とを備え、
前記導電プレートは、前記ICチップ実装基板の少なくとも1つの辺の両端部の基板コーナ部に重複し、
前記アンテナ側接続部は、前記導電プレートの両端部に接続され、
前記導電プレートは、2つに分かれており、前記ICチップ実装基板の前記少なくとも1つの辺の両端部にそれぞれ配置されていること、
を特徴とする非接触及び接触共用ICカード。 - アンテナを用いて外部との間で無線通信、及び外部接触端子を用いて外部との間で接触通信を行うICチップを備える非接触及び接触共用ICカードであって、
前記アンテナは、被覆付導線により形成され、電気的な接続部であるアンテナ側接続部を備え、
前記ICチップが実装され、電気的な接続部である基板側接続部を有するICチップ実装基板と、
前記アンテナの少なくとも一端に設けられ、長手方向の長さが前記ICチップ実装基板の少なくとも1つの辺の長さよりも大きく、前記アンテナ側接続部に電気的に接続する導電プレートと、
前記導電プレートと前記基板側接続部とを電気的に接続する導電性接続材料とを備え、
前記導電プレートは、前記ICチップ実装基板の前記少なくとも1つの辺の両端部の基板コーナ部に重複し、
前記アンテナ側接続部は、前記導電プレートの両端部に接続され、
前記アンテナの少なくとも一端は、前記ICチップ実装基板の少なくとも1つの辺に沿った方向に、前記導電プレートの全長に渡って配置されていること、
を特徴とする非接触及び接触共用ICカード。 - 請求項1又は請求項2に記載の非接触及び接触共用ICカードにおいて、
前記導電プレートと前記アンテナ側接続部との接続部は、前記ICチップ及び前記ICチップ実装基板を有するICモジュールを埋設するICモジュール収容部よりも外側に形成されていること、
を特徴とする非接触及び接触共用ICカード。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の非接触及び接触共用ICカードにおいて、
前記導電プレートは、前記ICチップ実装基板の対向する2組の辺にそれぞれ設けられ、
2組の前記導電プレートは、前記ICチップ実装基板の4隅の前記基板コーナ部を覆っていること、
を特徴とする非接触及び接触共用ICカード。
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