JP5927940B2 - 難燃性を有する空気清浄機用エアフィルター濾材および空気清浄機用エアフィルター - Google Patents

難燃性を有する空気清浄機用エアフィルター濾材および空気清浄機用エアフィルター Download PDF

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エアフィルター
家庭内における粉塵・臭気などを除去する目的で空気清浄機が使用されている。この空気清浄機には、粉塵を高い効率で捕集し、かつ臭気成分を除去する濾材からなるエアフィルターが搭載されているが、喫煙時に発生する火の粉などの高温な粉塵が捕集された際、そこにエアーが供給されることによって粉塵の燃焼が促進され、濾材が燃焼して火災事故となる恐れがあるため、フィルターへの難燃性の付与が課題となっている。

これらの課題を解決すべく、繊維シートの表面に無機粒子を含む脱臭剤とアミノ基を有する難燃剤を付着させた脱臭シートが提案されている。(特許文献1)
しかしながら、この方法では特定の臭気成分しか除去することができず、除去できなかった成分が異臭として再発生する。また、家庭用空気清浄機における低風量下にて、上記の理由による燃焼要因への対策としては不十分であるため好ましくない。
また、難燃性の補強シートとエレクトレットシートの積層品のエレクトレットシート側に、微粒子活性炭を含有したシートを更に積層した空気清浄フィルターシートが提案されている。(特許文献2)
しかしながら、この方法では微粒子活性炭シートに難燃性が無いため、エアーの上流側に使用することが出来ない。また、3層構造となるため濾材が厚くなり、フィルターに収納可能な面積が小さくなる欠点がある。
特開2009−28207号公報 特開平8−281030号公報
本発明は、かかる従来技術の欠点を解消し、空気清浄機用フィルター濾材において高い捕集効率と脱臭性能を有し、かつ難燃性を備えた濾材、および該濾材を使用した空気清浄機用エアフィルターユニットを提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次の(1)〜(3)のいずれかの手段を採用する。
(1)エアーの上流側に配置される不織布からなる支持層と、エアーの下流に配置されるエレクトレットメルトブロー不織布からなる捕集層の積層からなるエアフィルター濾材であって、該支持層は以下の条件をいずれも満たすことを特徴とする空気清浄機用エアフィルター濾材。
(a)活性炭を主体とした脱臭成分と、リン系および/またはホウ素系の難燃成分を含む。
(b)平均ポアサイズが100〜180μmの範囲にある。
(2)該不織布からなる支持層は平均繊維径が0.3〜2.0dtexの範囲にある短繊維が構成繊維全体の10〜30%であり、リン系難燃成分としてポリリン酸アンモニウム難燃剤の含有率が不織布全体の8〜15重量%であり、かつバインダー成分が不織布全体の10〜20重量%の範囲にあるケミカルボンド不織布を基材として構成されることを特徴とする上記(1)記載のエアフィルター濾材。
(3)上記(1)〜(2)のいずれかに記載のエアフィルター濾材をプリーツ加工し、その周囲を枠体で画設したことを特徴とする空気清浄機用エアフィルターユニット。
本発明の濾材によれば、臭気成分および微細塵を高効率で除去し、かつ高い自己消火性を有する。その結果、捕集ダストによる燃焼の恐れのない空気清浄機用エアフィルターユニットが得られる。
本発明は、前記課題、すなわち多様なガス成分、微細塵の高捕集性能を有しつつ、通風時の燃焼を抑制するエアフィルター濾材およびエアフィルターユニットを得る方法について鋭意検討した結果、到達したものである。以下、本発明について詳細に検討する。
まず、本発明における支持層とは、プリーツ加工など任意の方法で濾材を成型した際の形状の保持、および脱臭成分を添着するための基材として用いられるものであり、剛性と表面積を高くできる不織布が一般的に用いられる。不織布の素材としては特に限定されるものではなく、合成繊維、天然繊維、無機繊維、金属繊維などを用いることできる。
また、本発明における支持層は、活性炭を含有する脱臭成分およびリン系および/またはホウ素系の難燃成分を含む。脱臭成分とは、例えばアンモニアやアルデヒド類といった悪臭を有するガス成分を吸着、反応などにより除去する性質を有するものである。その種類としては活性炭、多孔質シリカ、ゼオライト、セピオライトなどの多孔質物質や、それらに複合して特有のガス成分との反応性を高める薬剤として、アジピン酸ジヒドラジド、コハク酸ヒドラジドなどのアミン系薬剤や、オルソリン酸などの酸系薬剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ系薬剤が挙げられる。中でも活性炭は細孔容積が大きく、かつ幅広い径の細孔を有しており様々なガスの除去が可能であるため、本発明における脱臭成分として必ず用いられる。
活性炭の配合量としては10〜50g/m2の範囲にあることにより、空気中のガス成分を吸着し、かつ濾材の難燃性を阻害しないため好ましい。配合量が少ないと、ガス成分の吸着効率が十分でなく、フィルターを通過する傾向があり、逆に多いと、活性炭の燃焼エネルギーが大きく、難燃剤による燃焼の抑制効果が著しく低下する傾向にある。
一方、難燃成分とは、燃焼に対し炭化作用や不燃ガスの発生によって燃焼を抑制するものである。本発明では、特に燃焼し易い活性炭の燃焼を抑える成分として、炭化作用の大きいリン系成分や、活性炭の表面上に皮膜を形成し、燃焼を遅らせることのできるホウ素系成分をそれぞれ単独もしくは併用して用いる。リン系成分としては、リン酸エステル、リン酸アンモニウム、リン酸グアニジン、リン酸メラミンなど公知の成分より任意に選択することができる。また、ホウ素系成分としてはホウ酸−ホウ砂や、ホウ酸亜鉛など公知の成分を用いることができる。
リン系および/又はホウ素系難燃成分の配合量としては、単独でも構わないが、合計6〜20g/m2の範囲にあることにより、活性炭の燃焼を抑えて目的とする難燃性が達成できるため好ましい。少ないと、活性炭の燃焼に対しその効果が十分でないため好ましくなく、逆に配合量が多いと、難燃性分による膜形成が起き、フィルターとしての通気性が著しく低下するため好ましくない。
さらに本発明のポイントは、支持層が、上記脱臭成分および難燃成分を含み、かつ平均ポアサイズが100〜180μmの範囲にある。このような支持層をエアーの上流側に配置することにより、多様なガス成分に対する脱臭性能を有し、さらに燃焼ダストが付着した際、支持層によって燃焼源を遮断し、下流側に燃焼が及ぶのを防止する効果を有するため好ましい。平均ポアサイズが大きいと、上記燃焼防止の効果が十分に得られない傾向がある。逆に小さいであると、エアフィルター濾材としての通気性が著しく低下するため傾向がある。
本発明のエアフィルター濾材に用いる支持層の難燃成分の配合量としては、支持層全体の6〜20質量%が好ましく、より好ましくは8〜15質量%である。少ないと、活性炭の赤熱による燃焼を抑える効果が十分でなくなる。逆に多いと、不織布上に皮膜を形成して通気度を著しく低下させるため傾向がある。
本発明のエアフィルター濾材に用いる支持層の難燃成分としては、リン系成分のものを支持層の8〜15質量用いることが活性炭を含む支持層への高い難燃性付与の面でより好ましく、特にリンの含有率が高いポリリン酸アンモニウムを用いることが好ましい。
本発明のエアフィルター濾材に用いる支持層の不織布構成としては、繊維径が0.3〜2.0dtexの範囲にある繊維を構成繊維全体の7〜40質量%含むことが好ましく、より好ましくは10〜30%である。当該太さの繊維の含有率が小さいと、不織布の目開きが大きくなり、燃焼源を遮断できず濾材としての難燃性が低下する。逆に含有率が大いいと、通気度が著しく低下する傾向になる。また、不織布を構成するこれ以外の繊維構成としては、剛性や通気性の面から6〜20dtexの繊維を用いることが好ましい。
また、該不織布は繊維をバインダー成分で結合するケミカルボンド不織布であることが好ましい。バインダー成分としては、アクリル酸エステル系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、などのアクリル系樹脂や、ウレタン樹脂などの耐熱性に優れるものを用いることが好ましく、汎用性の面でアクリル系樹脂がより好ましい。バインダー成分の使用量は、不織布全体の8〜25質量%が好ましく、より好ましくは10〜20質量%である。使用量が小さいと、支持層として十分な剛性が得られない傾向にある、逆に多いと、支持層として十分な難燃性が得られにくくなるため好ましくない。また、バインダー樹脂に上記難燃成分を配合してもよい。
本発明における集塵層とは、エアフィルター濾材において細菌や花粉などミクロンサイズのダストを捕集するために用いられるものであり、エレクトレットメルトブロー不織布が用いられる。エレクトレット加工の方法としては、特に指定されるものではなく、メルトブロー不織布シートにコロナ放電法、純水サクション法、摩擦帯電法といった公知の方法から任意に選択することができる。メルトブロー不織布としては、より高い捕集性能を得るため、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン等のポリオレフィン系合成高分子材料等の、高い電気抵抗率を有する材料が好ましく用いられる。また、上記と同じ高い捕集効率を得る目的で、不織布の平均繊維径は1.2〜4.5μmの範囲ものが好ましく用いられ、目付15〜50g/m2の範囲のものが好ましく用いられる。
本発明におけるエアフィルター濾材は、上記支持層、および集塵層の積層構造にて構成される。積層の方法としては特に限定されるものではなく、ポリエチレンやポリオレフィン系の熱融着の接着パウダーや経時硬化型のウレタンなどの接着剤を介しての積層接着、不織布の一部を熱によって溶融させ、積層接着させたものなど任意に選択できる。
本発明における濾材は、プリーツ加工を施し、さらに枠体に収納(すなわち画設)することにより、エアフィルターユニットとして使用することができる。得られるフィルターユニットは、上記した濾材と同様の効果を奏する。そのため、かかる濾材はプリーツ加工し周囲を枠体にて接合することにより、各種空気清浄機において好ましく利用される。なお、本発明における空気清浄機とは、主に一般住宅やホテルなどの居室内空気を清浄する目的に使用されるものである。なお、枠体との接合においては接着剤等を使用してもよい。また、必要により、その他の部材を配置する。なお、枠体やその他の部材については、公知の形状、素材のものを使用することができる。
以下、実施例によって本発明の作用効果をより具体的に示すが、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
[測定方法]
(1)平均ポアサイズ(μm)
支持層を電子顕微鏡にて撮影し、目開き部の最大長をポアサイズとし、ランダムに50箇所測定し、その平均値を算出した。
(2)フィルターユニット圧力損失(Pa)
測定対象物であるフィルターユニットを間口面積0.10m2のホルダーにセットし、処理風量6.5m/minで空気を通過させた時のフィルターユニット上下流の差圧をデジタルマノメーター(MODUS社製 MA2−04P)にて測定した。
(3)フィルターユニット捕集効率(%)
上述(2)の測定時に、フィルターユニット上流および下流の0.3〜0.5μmの大気塵粒子数をパーティクルカウンター(RION社製 KC−01D)で測定し、次式
捕集効率(η)=1−(下流粒子数/上流粒子数)×100
により算出した。
(4)フィルターユニット脱臭性能(%)
測定対象物であるフィルターユニットを、シャープ(株)製空気清浄機「KCZ65」に装着し、日本電機工業会が定める「JEM1467脱臭性能試験方法」に準じて風量6.5m/minにおける初期脱臭性能を測定した。
(5)フィルターユニット発炎時間(s)
測定対象物であるフィルターユニットを、シャープ(株)製空気清浄機「KCZ65」に装着し、エアーを流した状態で加熱部の巾4mm、長さ30mmの電気ヒーター(AC70V、加熱部温度800℃)をフィルター濾材に5秒間押し当て、ヒーターを離した後のフィルターの燃焼状態を目視判定し、燃焼が認められる場合その時間をストップウォッチで計測した。試験は風量6.5m/min(ターボ運転)時と0.8m/min(静音運転)それそれで実施した。
[実施例1]
支持層として、目付120g/m2のポリエステルスパンボンド不織布上に、脱臭成分として粉末活性炭(日本エンバイロケミカルズ(株)製 “白鷺”(登録商標)DO−2、)20g/m2、アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学(株)製“ケムキャッチ” (登録商標)H−6000HS)3g/mと、難燃成分としてリン酸メラミン10g/mをアクリル酸エステル樹脂バインダー7g/mとの混合材を添着加工した支持層を得た。この支持層の平均ポアサイズは110μmであった。この支持層にポリエチレン系熱接着パウダーを5g/m均一に散布し、加熱により接着パウダーを溶融させ、その表面に集塵層としてエレクトレット化ポリプロピレンメルトブロー不織布シート(平均繊維径3.5μm、目付25g/m2)を積層後、ニップロールによって加圧して貼り合せてエアフィルター濾材を得た。
さらにこの濾材をプリーツ加工し、タテ400mm、ヨコ247mm、厚み38mmの枠体に117山分を収納しフィルターユニットを得た。このユニットの圧力損失は81Pa、捕集効率は98%、脱臭性能は81%であった。また、燃焼試験によるフィルター発煙時間はターボ運転時0秒で、静音運転時が2秒であり、濾材に穴が開く前に消火した。
[実施例2]
実施例1と同様のポリエステルスパンボンド不織布および脱臭成分としての粉末活性炭に、難燃成分としてホウ酸亜鉛12g/mを使用し、実施例1と同様のアクリル酸エステル樹脂バインダーとの混合材を添着加工した支持層を得た。この支持層の平均ポアサイズは105μmであった。この支持層に実施例1と同様の接着剤で集塵層を積層してエアフィルター濾材を得た。
さらにこの濾材を実施例1と同様の条件でプリーツ加工、枠体に収納しフィルターユニットを得た。このユニットの圧力損失は85Pa、捕集効率は98%、脱臭性能は86%であった。また、燃焼試験によるフィルター燃焼時間はターボ運転時0秒で、静音運転時が3秒であり、濾材に穴が開く前に消火した。
[実施例3]
支持層として、平均繊維径が1.3dtexのポリエステルカットファイバー(繊維長10mm)を構成繊維中に7%含み、バインダー成分としてアクリル酸エステル樹脂を8g/m使用した目付32g/mのケミカルボンド不織布に、実施例1と同様の脱臭成分、難燃性分およびバインダー樹脂の混合材を添着加工して支持層を得た。この支持層の平均ポアサイズは176μmであった。この支持層に実施例1と同様の接着剤で集塵層を積層してエアフィルター濾材を得た。
さらにこの濾材を実施例1と同様の条件でプリーツ加工、枠体に収納しフィルターユニットを得た。このユニットの圧力損失は65Pa、捕集効率は98%、脱臭性能は78%であった。また、燃焼試験によるフィルター燃焼時間はターボ運転時0秒で、静音運転時が3秒であり、濾材に穴が開く前に消火した。
[実施例4]
支持層として、平均繊維径が0.8dtexのポリエステルカットファイバー(繊維長8mm)を構成繊維中16%含み、バインダー成分としてアクリル酸エステル樹脂を8g/m、難燃成分としてポリリン酸アンモニウムを4g/m使用した目付45g/mのケミカルボンド不織布に、実施例1と同様の脱臭成分、バインダー樹脂に、難燃成分としてポリリン酸アンモニウム2g/mを使用した混合材を添着した支持層を得た。この支持層の平均ポアサイズは155μmであった。この支持層に実施例1と同様の接着剤で集塵層を積層してエアフィルター濾材を得た。
さらにこの濾材を実施例1と同様の条件でプリーツ加工、枠体に収納しフィルターユニットを得た。このユニットの圧力損失は71Pa、捕集効率は98%、脱臭性能は80%であった。また、燃焼試験によるフィルター燃焼時間はターボ運転時0秒で、静音運転時が0秒であり、燃焼が起こらなかった。
[比較例1]
支持層として、実施例4と同様のポリエステルカットファイバーを構成繊維中2%含み、バインダー成分としてアクリル酸エステル樹脂を8g/m、難燃成分としてポリリン酸アンモニウムを4g/m使用した目付40g/mのケミカルボンド不織布に、実施例4と同様の脱臭成分、バインダー樹脂に、難燃成分の混合材を添着した支持層を得た。この支持層の平均ポアサイズは200μmであった。この支持層に実施例1と同様の接着剤で集塵層を積層してエアフィルター濾材を得た。
さらにこの濾材を実施例1と同様の条件でプリーツ加工、枠体に収納しフィルターユニットを得た。このユニットの圧力損失は57Pa、捕集効率は98%、脱臭性能は78%であった。また、燃焼試験によるフィルター燃焼時間はターボ運転時0秒で、静音運転時が12秒であり、燃焼によりフィルターに穴あきが発生した。
[比較例2]
支持層として、実施例4と同様のポリエステルカットファイバーを構成繊維中45%含み、バインダー成分としてアクリル酸エステル樹脂を8g/m、難燃成分としてポリリン酸アンモニウムを4g/m使用した目付60g/mのケミカルボンド不織布に、実施例4と同様の脱臭成分、バインダー樹脂に、難燃成分の混合材を添着した支持層を得た。この支持層の平均ポアサイズは85μmであった。さらにこの濾材を実施例1と同様の条件でプリーツ加工、枠体に収納しフィルターユニットを得た。このユニットの圧力損失は95Pa、捕集効率は98%、脱臭性能は82%であった。また、燃焼試験によるフィルター燃焼時間はターボ運転時2秒で、静音運転時が20秒であり、燃焼によりフィルターに穴あきが発生した。
[比較例3]
実施例4と同様のケミカルボンド不織布に、脱臭成分としてシリカ粒子(富士シリシア(株)製 サイリシア550N)20g/m、実施例1と同様のアジピン酸ジヒドラジドと実施例2と同様のホウ酸亜鉛の混合材を添着させた支持層を得た。この支持層の平均ポアサイズは143μmであった。この支持層に実施例1と同様の接着剤で集塵層を積層してエアフィルター濾材を得た。さらにこの濾材を実施例1と同様の条件でプリーツ加工、枠体に収納しフィルターユニットを得た。このユニットの圧力損失は73Pa、捕集効率は98%、脱臭性能は34%であった。また、燃焼試験によるフィルター燃焼時間はターボ運転時0秒で、静音運転時が13秒であり、燃焼によりフィルターに穴あきが発生した。
[比較例4]
支持層として、平均繊維径が0.8dtexのポリエステルカットファイバー(繊維長8mm)を構成繊維中16%含み、バインダー成分としてアクリル酸エステル樹脂を8g/m、難燃成分としてスルファミン酸グアニジンを4g/m使用した目付45g/mのケミカルボンド不織布に、実施例1と同様の脱臭成分、バインダー樹脂に、難燃成分としてスルファミン酸グアニジン2g/mの混合材を添着させた支持層を得た。この支持層の平均ポアサイズは152μmであった。この支持層に実施例1と同様の接着剤で集塵層を積層してエアフィルター濾材を得た。さらにこの濾材を実施例1と同様の条件でプリーツ加工、枠体に収納しフィルターユニットを得た。このユニットの圧力損失は72Pa、捕集効率は98%、脱臭性能は82%であった。また、燃焼試験によるフィルター燃焼時間はターボ運転時0秒で、静音運転時が25秒であり、燃焼によりフィルターに穴あきが発生した。
[比較例5]
実施例4と同様の構成の支持層(平均ポアサイズ155μm)に、実施例1と同様の接着剤で非エレクトレットポリプロピレンメルトブロー不織布(平均繊維径3.5μm、目付25g/m2)を積層後、ニップロールによって加圧して貼り合せてエアフィルター濾材を得た。
さらにこの濾材を実施例1と同様の条件でプリーツ加工、枠体に収納しフィルターユニットを得た。このユニットの圧力損失は72Pa、捕集効率は17%、脱臭性能は78%であった。また、燃焼試験によるフィルター燃焼時間はターボ運転時0秒で、静音運転時が0秒であり、燃焼が起こらなかった。
なお、実施例1〜4の結果を表1に、そして比較例1〜5の結果を表2にまとめて示す。
Figure 0005927940
Figure 0005927940
上で説明した事項から明らかなように、実施例は、フィルター基本性能であるダスト捕集性と脱臭性能に優れ、かつ支持層が加熱されても燃焼が短時間で収まるため、燃え広がる恐れの少ない空気清浄機用フィルターユニットが得られる。
各実施例に対し、比較例1は、支持層のポアサイズが大きく熱が遮断されないため、燃焼が集塵層に達しフィルター全体が燃え広がり易くなっていた。
比較例2は、支持層のポアサイズが小さく、目詰まりによる圧損上昇が発生しており、処理風量が小さいため、通風による活性炭の燃焼を抑える効果が小さくなっていた。比較例3は、脱臭成分として活性炭を用いていないため、脱臭性能が低く、またホウ酸亜鉛よる難燃性の向上が得られなくなっていた。比較例4は、活性炭の燃焼を抑えるのに有効なリン系および/またはホウ素系以外の難燃成分を用いたため、難燃性が得られなかった。比較例5は、エレクトレット素材を用いていないため、高い捕集効率が得られず空気清浄機用の集塵脱臭フィルターユニットへの適用に向かないものであった。
本発明によるエアフィルター濾材およびエアフィルターユニットは、主に家庭用空気清浄機エアフィルターの空気を清浄化するためのエアフィルター濾材およびエアフィルターユニットに使用される。

Claims (2)

  1. エアーの上流側に配置される不織布からなる支持層と、エアーの下流に配置されるエレクトレットメルトブロー不織布からなる捕集層との積層からなるエアフィルター濾材であって、
    前記支持層は、活性炭を含有する脱臭成分とリン系および/またはホウ素系の難燃成分とを含み、かつ平均ポアサイズが100〜180μmであり、かつケミカルボンド不織布を基材として構成され、
    前記ケミカルボンド不織布は、平均繊維径が0.3〜2.0dtexの範囲にある短繊維が構成繊維全体の10〜30%であり、リン系難燃成分としてポリリン酸アンモニウム難燃剤の含有率が不織布全体の8〜15質量%であり、かつバインダー成分が不織布全体の10〜20重量%の範囲にあることを特徴とする空気清浄機用エアフィルター濾材。
  2. 請求項1に記載のエアフィルター濾材をプリーツ加工し、その周囲を枠体で画設したことを特徴とする空気清浄機用エアフィルターユニット。
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