JP5925608B2 - コーティング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、医薬品、食品、農薬等の粉粒体のコーティング、混合、乾燥等を行なうコーティング装置に関し、特に、軸線回りに回転駆動される回転ドラムを備えたコーティング装置に関する。
医薬品、食品、農薬等の錠剤、ソフトカプセル、ペレット、顆粒、その他これらに類するもの(以下、これらを総称して粉粒体という。)にフィルムコーティングや糖衣コーティング等を施すために、回転ドラムを備えたコーティング装置が使用されている。
この種のコーティング装置は、例えば下記の特許文献1〜4に開示されている。
特許文献1は、水平な軸線回りに回転駆動される通気式の回転ドラムを備えたコーティング装置を開示している。回転ドラムの周壁部は多角形の横断面形状を有し、多角形の各辺に対応する周壁部の辺壁部は多孔部によって通気性が与えられている。そして、周壁部の各辺壁部の外周側にそれぞれジャケットが装着され、ジャケットと周壁部の各辺壁部との間にそれぞれ通気チャンネルが形成される。また、回転ドラムにおけるモータ等の回転駆動機構が設置されている側には、回転ドラムに対する乾燥エア等の処理気体の通気を制御する通気機構が配備されている。この通気機構は、回転ドラムの回転に伴って所定位置に来た通気チャンネルをそれぞれ給気ダクトと排気ダクトに連通させる機能を有する。
特許文献2、3は、いわゆるジャケットレス構造のコーティング装置を開示している。特許文献2の第1図に示されているコーティング装置の回転ドラムは、横断面形状が多角形の周壁部を備えている。回転ドラムの周壁部の各辺壁部は多孔部によって通気性が与えられている。多角形の周壁部の各頂部にはそれぞれ仕切板が設けられ、また、周壁部の軸方向両端部には摺動枠が設けられている。周壁部の各辺壁部と、仕切板及び摺動枠とによって、区画された通気空間が形成される。回転ドラムは外側ケーシングの内部に収容されており、外側ケーシングの上部側と下部側に給排気部が設けられている。下部側の排気部にはゴムや合成樹脂等で形成されたシール板が設けられており、回転ドラムの回転に伴い、周壁部の仕切板と摺動枠がシール板と摺接することにより、外側ケーシングの内部空間の空気が回転ドラム内の粉粒体の乾燥に寄与することなく排気されることを防止する。周壁部の上方部分は、外側ケーシングの内部空間に開放されている。上部側の給気部から外側ケーシングの内部空間に給気された乾燥気体は、周壁部の上方部分の多孔部を通って回転ドラム内に入り、回転ドラム内の粉粒体層を通過した後、回転ドラムの回転に伴い下部側の排気部の位置に来た通気空間を介して排気部に排気される。特許文献2の第2図に示されているコーティング装置の回転ドラムは、横断面形状が円形の周壁部を備えている。また、給気部と排気部の側にそれぞれ断面円弧状のシール板が設けられている。特許文献3も、特許文献2と同様の基本構造を有するジャケットレス構造のコーティング装置を開示している。
特許文献4は、水平線に対して所定角度をなした軸線回りに回転駆動される通気式の回転ドラムを備えたコーティング装置を開示している。このコーティング装置では、回転ドラムは、給気ダクトと排気ダクトが設けられたケーシング内に収容されている。回転ドラムは、その傾斜上方側に位置する一端には開口部が設けられ、傾斜下方側に位置する他端には、多孔部によって通気性が与えられているプレートが設けられている。そして、乾燥エア等の処理気体は、ケーシングの給気ダクトから回転ドラムの開口部を介して回転ドラム内に流入する。そして、この処理気体は、回転ドラム内の粉粒体層を通過した後、回転ドラムの他端のプレートを介してケーシングの排気ダクトに流出する。
特開2001−58125号公報 特公平7−63608号公報 特開2008−253910号公報 特開2004−148292号公報
ところで、これらのコーティング装置では、粉粒体層の撹拌混合効果を高めるために、回転ドラムの内側にいわゆるバッフル(撹拌羽根)が設けられている場合が多い。しかし、このようなバッフルが設けられた回転ドラムを備えたコーティング装置では、少量の粉粒体、例えば錠剤に対してコーティング処理を実施する場合に、次のような問題があった。
回転ドラムの回転に伴い、バッフルによって錠剤層の表面が波打つため、錠剤層の表面と、コーティング剤をスプレーするスプレー装置との距離が変動する。このため、コーティング処理で錠剤に形成される皮膜の膜厚の均一性が低下し、錠剤の皮膜性能(溶出性)や表面粗さにバラツキが生じ易い。
コーティング処理の実施中に、バッフルが錠剤層の表面から突出することが多いため、バッフルにコーティング剤がかかり易い。このバッフルにかかったコーティング液により、錠剤がバッフルに付着すると、その錠剤がバッフルに固着して回転ドラムから排出できなかったり、あるいは、その錠剤の皮膜に異常をきたしてその錠剤が不良品となったりするため、錠剤の歩留まりが低下する。また、バッフルにかかったコーティング液やバッフルに付着した錠剤を洗浄するのに時間を要するため、この分、コーティング装置の洗浄時間が不当に長くなる。
このような問題に対して、例えばバッフルを高さの低いものに取り換えることを考えた場合、回転ドラム内に人が入ってバッフルを交換する。このため、バッフルを交換した後に回転ドラム内の洗浄を実施しなければならず、この洗浄のための時間やコストが必要となる。
本発明は、上記事情に鑑み、バッフルが設けられた回転ドラムを備えたコーティング装置において、回転ドラム内に人が入ること無く、バッフルの高さを粉粒体量に対応させることを課題とする。
前記課題を解決するための本発明のコーティング装置は、処理すべき粉粒体が内部に収容され、その軸線回りに回転駆動される回転ドラムを備え、前記回転ドラムの壁部の内面に前記粉粒体を撹拌するバッフルが設けられたコーティング装置において、前記壁部の内面からの前記バッフルの高さを前記回転ドラムの外部から調整可能な高さ調整手段が設けられ、前記高さ調整手段が、高さ方向に沿って前記バッフルの位置を変更することによって、前記バッフルの高さを調整し、前記高さ調整手段が、前記回転ドラムの壁部に設けられた貫通孔を進退自在に貫通する高さ調整ピンを一対有し、該高さ調整ピンは、その一端が前記バッフルに着脱自在に装着され、他端が前記回転ドラムの外側に着脱自在に装着され、該高さ調整ピンを長さの異なる高さ調整ピンに交換することによって、高さ方向に沿って前記バッフルの位置を変更し、前記バッフルに、前記高さ調整ピンの前記一端が着脱自在なピン受け部が一対設けられ、前記ピン受け部が、前記高さ調整ピンの前記一端と着脱する際に、前記回転ドラムの前記貫通孔に嵌合可能であることを特徴とする。
この構成の装置では、壁部の内面からのバッフルの高さを回転ドラムの外部から調整することが可能である。従って、このバッフルの高さの調整によって、バッフルの高さを粉粒体量に対応させることができる。また、このバッフルの高さの調整は、回転ドラムの外部から実施することができるので、この調整のために人が回転ドラムの中に入る必要が無い。従って、バッフルの高さ調整のための作業が容易となり、一人でも作業ができ、また、作業時間を短いものとすることができる。また、バッフルの高さ調整のための作業の後に洗浄を行なう必要が無いので、この洗浄に要する時間やコストも不要となる。また、この構成であれば、高さ調整ピンを長さが大きく異なるものに交換することによって、バッフルの高さを大きく変更することが可能である。
上記の構成では、前記回転ドラムの前記貫通孔の外側の周縁に設けられ、外周に雄ネジが形成されたボスと、該ボスの雄ネジに螺合可能な雌ネジが内周に形成された有底筒状の固定ナットとを備え、前記高さ調整ピンの前記他端にはフランジが設けられ、該フランジが前記ボスの端面と前記固定ナットの底面との間で挟持固定されることによって、前記高さ調整ピンの前記他端が前記回転ドラムの壁部の外側に装着されてもよい。
本発明によれば、バッフルが設けられた回転ドラムを備えたコーティング装置において、回転ドラム内に人が入ること無く、バッフルの高さを粉粒体量に対応させることができる。
実施形態に係るコーティング装置が備える回転ドラムを構成する側壁部の内面側の概略展開図である。 図1のA−A線矢視断面図である。 実施形態に係る上段バッフル周辺を示す部分断面図(図2と同じ方向から見た図)である。 実施形態に係る高さ調整ピンを示す図で、(A)が図3で使用されている高さ調整ピン、(B)が交換のために用意されている高さ調整ピンを示す。 従来のコーティング装置の回転ドラム内での粉粒体の動きを示す径方向断面図である。 第1参考例に係るバッフル周辺を示す部分断面正面図である。 図6の右側から見た部分断面側面図である。 第1参考例に係る基板の平面図である。 第2参考例に係るバッフル周辺を示す部分断面正面図である。 第2参考例に係る取り付け部材を示す図で、(A)が正面図で、(B)が(A)の右側から見た側面図である。 第2参考例に係るバッフルの傾斜の状態を示す図9の右側から見た図で、(A)が傾斜していない(傾斜角度0°)状態、(B)が傾斜角度30°の状態、(C)が傾斜角度45°の状態、(D)が傾斜角度60°の状態を示す。 第3参考例に係るバッフル周辺を示す部分断面正面図である。 第3参考例に係る軸支持部を示す図で、図12の右側から見た側面図である。 第3参考例に係るバッフルの傾斜の状態を示す図12の右側から見た図で、(A)が傾斜していない(傾斜角度0°)状態、(B)が傾斜角度30°の状態、(C)が傾斜角度45°の状態、(D)が傾斜角度60°の状態を示す。 (A)が第4参考例に係るバッフル周辺を示す断面図で、(B)が交換のために用意されているバッフルを示す。
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づき説明する。
図1は、実施形態に係るコーティング装置が備える回転ドラムを構成する側壁部の内面側の概略展開図である。
本実施形態のコーティング装置は、いわゆるジャケットレス構造のパンコーティング装置で、処理すべき粉粒体が内部に収容され、水平な軸線回りに回転駆動される通気式の回転ドラムを備える。回転ドラムの軸線方向の一端には、回転ドラムに対して粉粒体の供給及び排出を行なう開口部が設けられ、他端には、底壁部が設けられ、この底壁部に回転ドラムを回転駆動させる駆動軸が取り付けられる。
図1に示すように、回転ドラムの側壁部1は、周壁部2と、端部3,4と、周壁部2と端部3,4とを接続する端壁部5,6とを主要な構成要素とする。端部3は、上述の回転ドラムの開口部を構成する。端部4には、上述の底壁部が設けられる。
周壁部2は、側壁部1の軸線方向中間に、周方向に沿って軸線に平行に形成される。本実施形態では、周壁部2は、その横断面形状が10角形であり、この10角形の各辺に対応する10の矩形平板状の辺壁部7で構成されている。そして、周壁部2の各辺壁部7は、多孔板で構成され、通気性を有する。そして、粉粒体層の撹拌混合効果を高めるために、周壁部2の内面には、上段バッフル8と下段バッフル9との2種類のバッフルが設けられている。周壁部2の内面は、端壁部5側のバッフルが設けられているバッフル設置領域R1と、端壁部6側のバッフルが設けられていないバッフル非設置領域R2の軸線方向(図1の縦方向)で2つの領域に区分される。本実施形態では、上段バッフル8は20枚設置されており全て同一形状及び同一寸法であり、下段バッフル9は5枚設置されており全て同一形状及び同一寸法である。本実施形態では、上段バッフル8と下段バッフル9は共に、平板状であり、辺壁部7に対して垂直になるように設けられている。後で詳述するが、上段バッフル8は、辺壁部7の内面からの高さが調整可能である。これに対して、下段バッフル9は、辺壁部7に対して固定されており、辺壁部7の内面からの高さは変更できない。
5枚の下段バッフル9は、周方向等間隔に設けられている。また、各下段バッフル9は、4つの辺壁部7に亘って、バッフル設置領域R1の端壁部5側端縁から端壁部6側端縁まで延在する。周方向に隣接する下段バッフル9は、その半分が同一の2つの辺壁部7に設けられている。そして、下段バッフル9の間のそれぞれに、4枚ずつ上段バッフル8が設けられている。下段バッフル9の間で、上段バッフル8のそれぞれは、別の辺壁部7に設けられている。各上段バッフル8は、辺壁部7内で、周方向一端側近傍から他端側近傍まで延在する。上段バッフル8と下段バッフル9は共に、その延在方向が、回転ドラムの周方向(図1の横方向)に対して同一角度で傾斜しているが、それらの傾斜の向きは相互に逆である。また、上段バッフル8の延在方向中央は、辺壁部7の周方向中央に位置する。下段バッフル9の延在方向中央は、4枚の辺壁部7における周方向中央側で隣接する辺壁部7の境界線上に位置する。また、バッフル設置領域R1を軸線方向(図1の縦方向)で4つに区画した場合、各領域に5枚の上段バッフル8が配置されるように、上段バッフル8は配設されている。
本実施形態では、端壁部5は、端壁部5の周壁部2側の端縁を底辺とする10の三角形状面と、端壁部5の端部3側の端縁を底辺とする10の三角形状面とで構成され、端壁部6は、端壁部6の周壁部2側の端縁を底辺とする10の三角形状面と、端壁部6の端部4側の端縁を底辺とする10の三角形状面とで構成される。端壁部5には、粉粒体を排出する際に粉粒体を案内する排出プレート10が、本実施形態では1枚設けられている。排出プレート10は、4つの三角形状面に亘って、端壁部5の周壁部2側の端縁から端壁部5の端部3側の端縁まで延在し、その延在方向は、回転ドラムの周方向(図1の横方向)に対して傾斜している。
本実施形態の回転ドラムは、粉粒体の処理中には、図1に白矢印で示す方向に回転する。上段バッフル8の延在方向と、下段バッフル9の延在方向とが異なるので、上段バッフル8により粉粒体が移動する方向と下段バッフル9により粉粒体が移動する方向が異なる。これによって、本実施形態の回転ドラムでは、バッフルの延在方向が1種類の場合と比較して、撹拌混合効率を良好とすることができる。
回転ドラムから粉粒体を排出する時には、図1の白矢印とは反対方向に回転ドラムは回転する。粉粒体は、下段バッフル9によって端壁部5に移動し、更に、端壁部5では、排出プレート10に案内されて端部3まで移動し、端部3に溜まった後、後続の粉粒体に押し出されて開口部から排出される。
図2に示すように、辺壁部7の内面からの上段バッフル8の上端8aの高さH1は、下段バッフル9の上端9aの高さH2より高い。なお、ここで高さの方向あるいは上下方向は、辺壁部7に対して垂直な方向である(特に説明の無い限り、以下同じ)。また、上と下は、図中での上下を意味し、回転ドラムの回転状態によって、実際の上下とは異なる(特に説明の無い限り、以下同じ)。図2で、上段バッフル8の存在領域は、下段バッフル9の存在領域とは重ならない。つまり、上段バッフル8の下端8bの高さH1’は、下段バッフル9の上端9aの高さH2より高い。本実施形態では、上段バッフル8の幅W1は、下段バッフル9の幅W2と同一である。
図3に示すように、上段バッフル8は、一対の側辺が上端8aに向かって漸次接近する略台形状の板状である。本発明のコーティング装置には、辺壁部7の内面からの上段バッフル8の上端8aの高さH1を回転ドラムの外部から調整可能な高さ調整手段11が設けられている。本実施形態では、高さ調整手段11で、高さ方向に沿って上段バッフル8の位置を変更することによって、上段バッフル8の高さH1を調整する。高さ調整手段11は、回転ドラムの辺壁部7を進退自在に貫通する高さ調整ピン12を有する。以下に詳述するように、高さ調整ピン12は、その一端部12aが上段バッフル8に着脱自在に装着され、他端部12bが回転ドラムの外側に着脱自在に装着され、該高さ調整ピン12を長さの異なる高さ調整ピンに交換することによって、高さ方向に沿って上段バッフル8の位置を変更する。
図4(A)に示すように、高さ調整ピン12は、一端部12aと、他端部12bと、一端部12aから他端部12bまで高さ方向に沿って延在する断面円形状の棒状の本体部12cから構成される。一端部12aには、雄ネジが形成されている。他端部12bには、本体部12cに対して径方向外側に突出した断面六角形状のフランジが設けられている。
図3に示すように、上段バッフル8の下端には、相互に離隔して、一対のピン受け部8cが設けられている。このピン受け部8cは断面円形状の棒状で、その上端側は上段バッフル8に例えば溶接等で固定されている。ピン受け部8cの下端には、高さ調整ピン12の一端部12aの雄ネジと螺合する雌ネジが内周面に形成されたネジ穴8dが設けられている。ピン受け部8cの外径と高さ調整ピン12の本体部12cの外径は同一である。
辺壁部7には、相互に離隔して一対の貫通孔7aが設けてあり、辺壁部7の外側における貫通孔7aの周縁には、取り付けボス13が例えば溶接等で固定されている。取り付けボス13の外周には雄ネジが形成されている。そして、取り付けボス13には、取り付けボス13の雄ネジが螺合する雌ネジがネジ孔に形成された断面六角形状の固定ナット14が取り付けられている。取り付けボス13の下端面と固定ナット14のネジ孔の底面との間に、高さ調整ピン12の他端部12bのフランジが挟持固定されている。貫通孔7aと取り付けボス13の内径は、高さ調整ピン12と上段バッフル8のピン受け部8cが辺壁部7に対して進退自在となるように、高さ調整ピン12と上段バッフル8のピン受け部8cの外径より少し大きく設定されている。
図4(A)に示す高さ調整ピン12に対して、その本体部12cの長さLが異なるもの、例えば、図4(B)に示すように本体部12cの長さLが0である(本体部12cを有さない)高さ調整ピン12’が別途用意されている。一対の高さ調整ピン12を、一対の高さ調整ピン12’に交換することによって、高さ方向に沿って上段バッフル8の位置は変更され、上段バッフル8の高さが調整される。ここでは、高さ調整ピン12を高さ調整ピン12’に交換することによって、上段バッフル8の高さH1を変更する場合を以下に説明する。
まず、図3に示す状態から、一対の固定ナット14の両方を、取り付けボス13から取り外す。次に、一対の高さ調整ピン12を、同時に外側に引き出すことによって、図3の二点鎖線で示すように、上段バッフル8を、その下端8bが辺壁部7に当接するまで下方に移動させる。この状態では、上段バッフル8の一対のピン受け部8cは、貫通孔7a及び取り付けボス13内に嵌合しており、ピン受け部8cの下端面と、取り付けボス13の下端面は同一の高さ方向位置となっている。
そして、高さ調整ピン12の他端部12bのフランジを六角レンチ等で回転させ、高さ調整ピン12の一端部12aの雄ネジと、上段バッフル8のピン受け部8cにおけるネジ穴8dの雌ねじとの螺合を解除することによって、高さ調整ピン12を上段バッフル8から取り外す。そして、この高さ調整ピン12を高さ調整ピン12’に交換して、この高さ調整ピン12’の他端部12bのフランジを六角レンチ等で回転させることによって、一端部12aの雄ネジをピン受け部8cの雌ネジに螺合させる。その後、固定ナット14を回転させて取り付けボス13に取り付けることで、上段バッフル8は図3に二点鎖線で示す下端8bが辺壁部7に当接した状態で固定される。この状態で、辺壁部7の内面からの上段バッフル8の上端8aの高さはH3である。これで、上段バッフル8の高さH1から高さH3への変更作業は完了する。なお、以上の説明と同様にして、本体部12cの長さLが高さ調整ピン12’とは別である高さ調整ピンに交換すれば、上段バッフル8を別の高さとすることができる。
上段バッフル8は、高さH1の状態でも高さH3の状態でも、辺壁面7に対して垂直な方向に沿っている。また、本実施形態では、上段バッフル8の幅W1が下段バッフル9の幅W2に等しいので、上段バッフル8の変更後の高さH3は、図2に示す下段バッフル9の高さH2に等しい。
なお、この上段バッフル8の高さH1から高さH3への変更作業の際には、対象となる上段バッフル8が取り付けられている辺壁部7が、回転ドラム全体の中で下方に位置し且つ水平になっていることが好ましい。この場合には、高さ調整ピン12を両方取り外した状態でも、ピン受け部8cが貫通孔7a及び取り付けボス13内に嵌合した状態となるので作業を実施し易い。
以上のように構成された本実施形態のコーティング装置の回転ドラムは、以下のような効果を享受できる。
辺壁部7の内面からの上段バッフル8の上端8aの高さを回転ドラムの外部から調整することが可能である。従って、この上段バッフル8の高さの調整によって、上段バッフル8の高さを粉粒体量に対応させることができる。また、この上段バッフル8の高さの調整は、回転ドラムの外部から実施することができるので、この調整のために人が回転ドラムの中に入る必要が無い。従って、上段バッフル8の高さ調整のための作業が容易となり、一人でも作業ができ、また、作業時間を短いものとすることができる。また、上段バッフル8の高さ調整のための作業の後に洗浄を行なう必要が無いので、この洗浄に要する時間やコストも不要となる。
また、本実施形態では、高さ調整ピン12を交換することによって、上段バッフル8の高さを調整するので、上段バッフル8の高さを大きく変更することが可能である。
また、従来のパンコーティング装置では、図5に示すように、回転ドラムDが白矢印Ah1で示す方向に回転した場合、粉粒体層Gでは、次のような領域が生じる。すなわち、回転ドラムDの回転によって回転ドラムDの内面近傍に形成され、矢印Ah2で示す方向に粉粒体が動く輸送領域と、重力によって粉粒体層Gの表面近傍に形成され、矢印Ah3で示す方向に粉粒体が動く転落領域と、輸送領域と転落領域との間(粉粒体層Gの中央付近)に形成され、粉粒体の動きが緩慢な停滞領域Rsである。この停滞領域Rsでは、粉粒体の動きが緩慢なので、粉粒体層G全体の混合が不十分となる可能性がある。これに対して、本実施形態の回転ドラムでは、図2で示すように、上段バッフル8の高さを高い状態とすることによって、バッフルを上段バッフル8と下段バッフル9の2段構成とすることが可能である。このバッフルが2段構成の状態で回転ドラムを回転すれば、上述の停滞領域Rsとなっている領域の粉粒体を動かすことが可能となり、粉粒体層G全体を最適に混合することが可能となる。
本発明は、上記実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、高さ調整手段11で高さ方向に沿って上段バッフル8の位置を変更することによって、上段バッフル8の高さを調整していたが、次に説明するように、高さ調整手段11でバッフルを高さ方向に対して傾斜させることによって、バッフルの高さを調整するようにしてもよい。
図6〜8に示す第1参考例でも、バッフル15は、平板状で、辺壁部7に対して垂直に配設されている。バッフル15の高さ調整手段11が、辺壁部7に揺動自在に支持される揺動軸16を有し、この揺動軸16にバッフル15を支持する一対の支持棒17が取り付けられている。詳述すれば、揺動軸16は、辺壁部7の一部として辺壁部7に固定された基板18の内側に設けられた凹部18aにその外周面が揺動自在に支持される。基板18の外側には、部分円柱状の取り付け部18bが設けられる。そして、支持棒17は、基板18とその取り付け部18bに形成された長孔の貫通孔18cを揺動自在に挿通し、その一端はバッフル15に固定される。支持棒17の他端には、雄ネジが形成され、この雄ネジにカバー部材19を介してナット20の雌ネジが螺合されることによって、支持棒17の他端が取り付け部18bの外周に着脱自在に装着される。
この参考例では、ナット20を緩め、図7に白矢印で示すように、バッフル15と支持棒17とを、揺動軸16を介して辺壁部7に対して回動させた後、ナット20を締めて、バッフル15を高さ方向に対して傾斜させる。これにより、辺壁部7の内面からのバッフル15の上端15aの高さが変更される。
次に、図9〜11に示す第2参考例では、図6〜8に示す第1参考例と主に次の点で異なる。揺動軸16は、辺壁部7の内側に固定された軸支持部21に設けられた凹部21aにその外周面が揺動自在に支持される。そして、支持棒17は、辺壁部7に形成された長孔の貫通孔7bを揺動自在に貫通し、その一端はバッフル15に固定される。支持棒17の他端には、雄ネジが形成され、この雄ネジにナット20の雌ネジが螺合されることによって、支持棒17の他端が辺壁部7の外側に着脱自在に装着される。図9では、バッフル15は、垂直方向に沿っており、図11(A)に示すように、高さ方向に対して傾斜していない。
この参考例では、バッフル15を高さ方向に対して傾斜させるために、辺壁部7や支持棒17に対して着脱自在な図10に示す取り付け部材22を使用する。この取り付け部材22には、辺壁部7に当接する取り付け面22aに対して所定の傾斜角度を有する一対の貫通孔22bと、貫通孔22bに対して垂直な面22cとが設けられている。この取り付け部材22の一対の貫通孔22bは、一対の支持棒17が挿通可能になるように設定されている。
この参考例では、次のように、バッフル15を高さ方向に対して傾斜させる。図11(A)に示す状態(バッフル傾斜角度0°)から、ナット20を取り外した後、取り付け部材22の貫通孔22bに支持棒17を挿通し、ナット20を取り付けて面22cに当接させる。これにより、バッフル15が高さ方向に対して傾斜させられ、図11(B)に示す状態(バッフル傾斜角度30°)となり、辺壁部7の内面からのバッフル15の上端の高さが変更される。取り付け面22aに対して異なる傾斜角度の貫通孔22bを有する取り付け部材22を使用すれば、図11(C)(バッフル傾斜角度45°),図11(D)
(バッフル傾斜角度60°)のように、バッフル15の傾斜角度を変更可能である。このように、バッフル15は傾斜角度が変更され、その上端15aの辺壁部7の内面からの高さが変更される。
図12〜14に示す第3参考例では、図6〜11に示す第1及び第2参考例と主に次の点で異なる。揺動軸16は、辺壁部7の外側に固定された一対の軸支持部21に設けられた凹部21bにその軸端が揺動自在に支持される。そして、支持棒17は、辺壁部7に形成された長孔の貫通孔7cを揺動自在に貫通し、その一端はバッフル15に固定され、他端は揺動軸16に固定される。揺動軸16の両端面には、片面ごとにネジ穴16a〜16cが設けられている(図14参照)。このネジ穴16a〜16cは、全て軸芯からの距離は同じで、相互に成す中心角は90°である。一方で、一対の軸支持部21のそれぞれには、貫通孔21c〜21fが設けられている。図12では軸支持部21の貫通孔21cを介してネジ穴16aにボルト23が螺合されている(図14(A)に示すバッフル傾斜角度0°の状態)。
この参考例では、バッフル15を高さ方向に対して傾斜させるために、ボルト23が挿通される軸支持部21の貫通孔21c〜21fと、ボルト23が螺合されるネジ穴16a〜16cを変更する。例えば、ボルト23を、貫通孔21dを介してネジ穴16bに螺合した場合、図14(B)に示すように、バッフル15は30°傾斜する。また、ボルト23を、貫通孔21eを介してネジ穴16cに螺合した場合、図14(C)に示すように、バッフル15は、45°傾斜する。更に、ボルト23を、貫通孔21fを介してネジ穴16aに螺合した場合、図14(D)に示すように、バッフル15は、60°傾斜する。このようにして、本参考例では、辺壁部7の内面からのバッフル15の上端15aの高さが変更される。
また、次に説明するように、高さ調整手段11が、一端が回転ドラムの外側に着脱自在に装着され、回転ドラムの壁部を進退自在に貫通するバッフルを有し、このバッフルを高さの異なるバッフルに交換することによって、バッフルの高さを調整してもよい。
図15(A)に示す第4参考例では、高さ調整手段11は、バッフル24を有する。辺壁部7には長穴の貫通孔25が設けられている。バッフル24は、この貫通孔25を介して、辺壁部7に進退自在である。バッフル24の一端には、取り付け部24aが設けられており、この取り付け部24aが、例えばボルト等の固定手段(図示省略)によって、辺壁部7の外面に固定される。
辺壁部7の内面からのバッフル24の上端24bの高さを変更する場合には、取り付け部24aの固定を解除して、バッフル24を辺壁部7から外す。次に、図15(B)に示す高さの異なるバッフル24を、辺壁部24の貫通孔25に挿通し、このバッフル24の取り付け部24aを辺壁部7の外面に固定する。このバッフル24の交換作業も、全て辺壁部7(回転ドラム)の外部から行なうことができる。
以上の説明では、本発明を、いわゆるジャケットレス構造のパンコーティング装置に適用したが、ジャケットが装着される回転ドラムを備えたコーティング装置に適用してもよい。また、軸線方向端部(底壁部)に通気部を有する回転ドラムを備えたコーティング装置に適用してもよいし、更には、通気部を有さない回転ドラムを備えたコーティング装置に適用してもよい。
1 側壁部
2 周壁部
7 辺壁部
8 上段バッフル
11 高さ調整手段
12 高さ調整ピン
12a 一端部
12b 他端部
12c 本体部
13 ボス
14 固定ナット
15,24 バッフル
H1,H3 上段バッフルの高さ

Claims (2)

  1. 処理すべき粉粒体が内部に収容され、その軸線回りに回転駆動される回転ドラムを備え、前記回転ドラムの壁部の内面に前記粉粒体を撹拌するバッフルが設けられたコーティング装置において、
    前記壁部の内面からの前記バッフルの高さを前記回転ドラムの外部から調整可能な高さ調整手段が設けられ
    前記高さ調整手段が、高さ方向に沿って前記バッフルの位置を変更することによって、前記バッフルの高さを調整し、
    前記高さ調整手段が、前記回転ドラムの壁部に設けられた貫通孔を進退自在に貫通する高さ調整ピンを一対有し、該高さ調整ピンは、その一端が前記バッフルに着脱自在に装着され、他端が前記回転ドラムの外側に着脱自在に装着され、該高さ調整ピンを長さの異なる高さ調整ピンに交換することによって、高さ方向に沿って前記バッフルの位置を変更し、 前記バッフルに、前記高さ調整ピンの前記一端が着脱自在なピン受け部が一対設けられ、 前記ピン受け部が、前記高さ調整ピンの前記一端と着脱する際に、前記回転ドラムの前記貫通孔に嵌合可能であることを特徴とするコーティング装置。
  2. 前記回転ドラムの前記貫通孔の外側の周縁に設けられ、外周に雄ネジが形成されたボスと、該ボスの雄ネジに螺合可能な雌ネジが内周に形成された有底筒状の固定ナットとを備え、
    前記高さ調整ピンの前記他端にはフランジが設けられ、該フランジが前記ボスの端面と前記固定ナットの底面との間で挟持固定されることによって、前記高さ調整ピンの前記他端が前記回転ドラムの壁部の外側に装着される請求項1に記載のコーティング装置。
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