JP2014004528A - コーティング装置 - Google Patents

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浩司 長谷川
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太郎 遠藤
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和宏 内田
Yosuke Tomita
陽介 富田
Hitoshi Kamata
人志 鎌田
Yasuhiro Hotta
泰宏 堀田
Shuichiro FUKUDA
秀一郎 福田
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Abstract

【課題】バッフルが設けられた回転ドラムを備えたコーティング装置において、粉粒体に対する混合性能を向上させること。
【解決手段】コーティング装置は、水平の軸線回りに回転駆動される回転ドラムを備える。周壁部2に上段バッフル8と下段バッフル9が配置される。上段バッフル8と下段バッフル9の延在方向は、回転ドラムの周方向に対して相互に逆向きに傾斜している。上段バッフル8の下端の高さが、下段バッフル9の上端の高さ以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、医薬品、食品、農薬等の粉粒体のコーティング、混合、乾燥等を行なうコーティング装置に関し、特に、軸線回りに回転駆動される回転ドラムを備えたコーティング装置に関する。
医薬品、食品、農薬等の錠剤、ソフトカプセル、ペレット、顆粒、その他これらに類するもの(以下、これらを総称して粉粒体という。)にフィルムコーティングや糖衣コーティング等を施すために、回転ドラムを備えたコーティング装置が使用されている。
この種のコーティング装置は、例えば下記の特許文献1〜4に開示されている。
特許文献1は、水平な軸線回りに回転駆動される通気式の回転ドラムを備えたコーティング装置を開示している。回転ドラムの周壁部は多角形の横断面形状を有し、多角形の各辺に対応する周壁部の辺壁部は多孔部によって通気性が与えられている。そして、周壁部の各辺壁部の外周側にそれぞれジャケットが装着され、ジャケットと周壁部の各辺壁部との間にそれぞれ通気チャンネルが形成される。また、回転ドラムにおけるモータ等の回転駆動機構が設置されている側には、回転ドラムに対する乾燥エア等の処理気体の通気を制御する通気機構が配備されている。この通気機構は、回転ドラムの回転に伴って所定位置に来た通気チャンネルをそれぞれ給気ダクトと排気ダクトに連通させる機能を有する。
特許文献2、3は、いわゆるジャケットレス構造のコーティング装置を開示している。特許文献2の第1図に示されているコーティング装置の回転ドラムは、横断面形状が多角形の周壁部を備えている。回転ドラムの周壁部の各辺壁部は多孔部によって通気性が与えられている。多角形の周壁部の各頂部にはそれぞれ仕切板が設けられ、また、周壁部の軸線方向両端部には摺動枠が設けられている。周壁部の各辺壁部と、仕切板及び摺動枠とによって、区画された通気空間が形成される。回転ドラムは外側ケーシングの内部に収容されており、外側ケーシングの上部側と下部側に給排気部が設けられている。下部側の排気部にはゴムや合成樹脂等で形成されたシール板が設けられており、回転ドラムの回転に伴い、周壁部の仕切板と摺動枠がシール板と摺接することにより、外側ケーシングの内部空間の空気が回転ドラム内の粉粒体の乾燥に寄与することなく排気されることを防止する。周壁部の上方部分は、外側ケーシングの内部空間に開放されている。上部側の給気部から外側ケーシングの内部空間に給気された乾燥気体は、周壁部の上方部分の多孔部を通って回転ドラム内に入り、回転ドラム内の粉粒体層を通過した後、回転ドラムの回転に伴い下部側の排気部の位置に来た通気空間を介して排気部に排気される。特許文献2の第2図に示されているコーティング装置の回転ドラムは、横断面形状が円形の周壁部を備えている。また、給気部と排気部の側にそれぞれ断面円弧状のシール板が設けられている。特許文献3も、特許文献2と同様の基本構造を有するジャケットレス構造のコーティング装置を開示している。
特許文献4は、水平線に対して所定角度をなした軸線回りに回転駆動される通気式の回転ドラムを備えたコーティング装置を開示している。このコーティング装置では、回転ドラムは、給気ダクトと排気ダクトが設けられたケーシング内に収容されている。回転ドラムは、その傾斜上方側に位置する一端には開口部が設けられ、傾斜下方側に位置する他端には、多孔部によって通気性が与えられているプレートが設けられている。そして、乾燥エア等の処理気体は、ケーシングの給気ダクトから回転ドラムの開口部を介して回転ドラム内に流入する。そして、この処理気体は、回転ドラム内の粉粒体層を通過した後、回転ドラムの他端のプレートを介してケーシングの排気ダクトに流出する。
特開2001−58125号公報 特公平7−63608号公報 特開2008−253910号公報 特開2004−148292号公報
ところで、これらのコーティング装置では、粉粒体層の撹拌混合効果を高めるために、回転ドラムの内側にいわゆるバッフル(撹拌羽根)が設けられている場合が多い。このようなバッフルを内側に設けた回転ドラムを備えたコーティング装置は、既に様々なものが開発されているが、その粉粒体に対する混合性能には、まだ改良の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑み、バッフルが設けられた回転ドラムを備えたコーティング装置において、粉粒体に対する混合性能を向上させることを課題とする。
前記課題を解決するために創案された本発明のコーティング装置は、処理すべき粉粒体が内部に収容され、その水平の軸線回りに回転駆動される回転ドラムを備え、前記回転ドラムの周壁部の内面に前記粉粒体を撹拌する板状のバッフルが設けられたコーティング装置において、前記バッフルは、前記回転ドラムの周方向に所定間隔で配置された複数の上段バッフルと下段バッフルで構成され、前記上段バッフルと下段バッフルの延在方向が、前記回転ドラムの周方向に対して相互に逆向きに傾斜しており、前記上段バッフルの下端の高さが、前記下段バッフルの上端の高さ以上であることを特徴とする。
ここで、バッフルやその上端、下端の高さは、周壁部の内面からの高さである(以下同じ)。
この構成では、上段と下段の2段のバッフルが配置されている。下段バッフルによって、粉粒体の転動層の停滞領域を撹拌し、粉粒体を移動させることができる。そして、上段バッフルにより、粉粒体の表層エリアを撹拌し、粉粒体の転動(粉粒体の1個ごと反転や回転)を促進し、且つ、粉粒体を移動させることができる。従って、粉粒体層全体を最適に撹拌混合することが可能となる。
また、この構成では、上段バッフルと下段バッフルの延在方向が、回転ドラムの周方向に対して相互に逆向きに傾斜している。このため、上段バッフルと下段バッフルのそれぞれによって粉粒体が逆向きに移動され、粉粒体の転動層の上層部と下層部との間にせん断力が与えられ、粉粒体1個毎の入れ替わりを促進することができる。
そして、この構成では、上段バッフルの下端の高さが、下段バッフルの上端の高さ以上である。これによって、上段バッフルと下段バッフルのそれぞれによる粉粒体の移動方向やその他の粉粒体に対する作用に明確な差異を生じさせることができる。すなわち、上段バッフルと下段バッフルのそれぞれの混合機能を明確に分離することができる。これによって、粉粒体層を効率的に撹拌混合することが可能となる。
このような理由により、この構成のコーティング装置では、粉粒体層の混合性能を向上させることが可能である。
上記の構成において、前記上段バッフルの総面積が、前記下段バッフルの総面積より小さくてもよい。
上段バッフルの方が下段バッフルより混合性能が高いことが実験で分かっているので、上段バッフルの総面積が下段バッフルの総面積より小さければ、バッフル全体の混合性能を最適にすることが可能である。このようにバッフル全体の混合性能を最適にするためには、下段バッフルの総面積に対する上段バッフルの総面積の比率は、1/3.0〜1/4.0であることが好ましい。
上段バッフルの総面積と下段バッフルの総面積がこのような関係をなすために、下段バッフルの延在方向長さが上段バッフルの延在方向長さより長いことや上段バッフルと下段バッフルの幅が相互に同一であることが考えられる。
特に、粉粒体層の表層側では粉粒体が移動させ易く、これに対して下層側では、粉粒体が粉粒体層の圧力によって移動させ難いため、下段バッフルの延在方向長さが上段バッフルの延在方向長さより長いことが好ましい。
上記の構成において、前記周壁部における前記バッフルが配置された領域を、周方向に沿って分割することによって軸線方向の長さが相互に等しい複数の区画とした場合、前記区画に存在する上段バッフルと下段バッフルの数が前記区画間で相互に同一であってもよい。このようになっていれば、区画の間で粉粒体の混合性が同等となり、混合性を均質化させることができる。
上記の構成において、前記上段バッフルの先端部が、前記粉粒体が処理される時の前記回転ドラムの回転方向後方に傾斜していてもよい。このようになっていれば、処理中の粉粒体がバッフルの先端部に垂直に衝突することを抑制でき、これにより粉粒体の割れや欠けを抑制できる。
上記の構成において、前記上段バッフルが回転ドラムの外部から高さ調整可能であってもよい。
この構成であれば、処理すべき粉粒体の量が増減した場合に、上段バッフルの高さを変更することで対応することができる。しかも、上段バッフルの下端の高さが、下段バッフルの上端の高さ以上であるので上段バッフルと下段バッフルの機能が分離されている。従って、上段バッフルの下端の高さが、下段バッフルの上端の高さ以上であるという条件で、上段バッフルの高さを変更しても、上段バッフルの混合性能に対する下段バッフルの影響は少なく、上段バッフルの混合性能の変化が少ない。従って、粉粒体の混合に関するその他の条件を調整する必要が少なく、その結果、粉粒体量の増減に対する許容幅を大きくすることができる。
また、このバッフルの高さの調整は、回転ドラムの外部から実施することができるので、この調整のために人が回転ドラムの中に入る必要が無い。従って、バッフルの高さ調整のための作業が容易となり、一人でも作業ができ、また、作業時間を短いものとすることができる。また、バッフルの高さ調整のための作業の後に洗浄を行なう必要が無いので、この洗浄に要する時間やコストも不要となる。
また、上段バッフルと下段バッフルと2段のバッフル構成であるので、上段バッフルのみを高さ調整可能とすれば、下段バッフルの高さを調整する必要が無い。従って、高さ調整手段を全てのバッフルに設けなくても良く、また、高さ調整作業を全てのバッフルに対して実施する必要がなくなるので、コスト削減や作業効率向上が可能である。
上記の構成において、前記周壁部に、前記バッフルを配置した周方向に延びる単位領域が軸線方向に複数配列されてもよい。
ここで、各単位領域におけるバッフルの配置、形状及び寸法は、単位領域の間で相互に同一である。そして、このバッフルの配置とは、少なくとも、位置、向き、数を含む概念である。
この構成では、単位領域の周壁部における軸線方向の配列数を変更することによって回転ドラムをスケールアップ又はスケールダウンすることができる。このように、単位領域の軸線方向の配列数を変更すれば、単位領域の配列数に比例して回転ドラムの処理容量を増加又は減少させることができる。これに対して、回転ドラムの径方向寸法を変更しなければ、単位領域で混合される粉粒体量はほとんど変化しないので、粉粒体の混合性はほとんど変化しない。すなわち、この設計方法によれば、混合性が変化することを抑制しつつ回転ドラムをスケールアップ又はスケールダウンすることができる。
本発明によれば、バッフルが設けられた回転ドラムを備えたコーティング装置において、粉粒体に対する混合性能を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る回転ドラムにおける側壁部の内面側の概略展開図である。 図1のA−A線矢視断面図である。 上段バッフル周辺を示す部分断面図(図2と同じ方向から見た図)である。 高さ調整ピンを示す図で、(A)が図3で使用されている高さ調整ピン、(B)が交換のために用意されている高さ調整ピンを示す。 従来の回転ドラム内での粉粒体の動きを示す径方向断面図である。 上段バッフルの他例を示す図で、(A)が側面図、(B)が正面図である。 スケールアップした回転ドラムにおける側壁部の内面側の概略展開図である。 スケールアップした回転ドラムの運転状態を模式的に示す軸線方向断面図である。 スケールアップした回転ドラムの変形例における側壁部の内面側の概略展開図である。 第1変形例に係るバッフル周辺を示す部分断面正面図である。 図10の右側から見た部分断面側面図である。 第1変形例に係る基板の平面図である。 第2変形例に係るバッフル周辺を示す部分断面正面図である。 第2変形例に係る取り付け部材を示す図で、(A)が正面図で、(B)が(A)の右側から見た側面図である。 第2変形例に係るバッフルの傾斜の状態を示す図13の右側から見た図で、(A)が傾斜していない(傾斜角度0°)状態、(B)が傾斜角度30°の状態、(C)が傾斜角度45°の状態、(D)が傾斜角度60°の状態を示す。 第3変形例に係るバッフル周辺を示す部分断面正面図である。 第3変形例に係る軸支持部を示す図で、図16の右側から見た側面図である。 第3変形例に係るバッフルの傾斜の状態を示す図16の右側から見た図で、(A)が傾斜していない(傾斜角度0°)状態、(B)が傾斜角度30°の状態、(C)が傾斜角度45°の状態、(D)が傾斜角度60°の状態を示す。 (A)が第4変形例に係るバッフル周辺を示す断面図で、(B)が交換のために用意されているバッフルを示す。
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る回転ドラムにおける側壁部の内面側の概略展開図である。
本実施形態のコーティング装置は、いわゆるジャケットレス構造のパンコーティング装置で、処理すべき粉粒体が内部に収容され、水平な軸線回りに回転駆動される通気式の回転ドラムを備える。回転ドラムの軸線方向の一端には、回転ドラムに対して粉粒体の供給及び排出を行なう開口部が設けられ、他端には、底壁部が設けられ、この底壁部に回転ドラムを回転駆動させる駆動軸が取り付けられる。
図1に示すように、回転ドラムの側壁部1は、周壁部2と、端部3,4と、周壁部2と端部3,4とを接続する端壁部5,6とを主要な構成要素とする。端部3は、上述の回転ドラムの開口部を構成する。端部4には、上述の底壁部が設けられる。
周壁部2は、側壁部1の軸線方向中間に、周方向に沿って軸線に平行に形成される。周壁部2の内面には、粉粒体層の撹拌混合効果を高めるために、本実施形態では、周壁部の内面からの高さが相対的に高い上段バッフル8と低い下段バッフル9との2種類のバッフルが設けられている(図2参照)。周壁部2は、バッフル8,9が配置されている単位領域Uと、単位領域Uの軸線方向両側に存在するバッフル8,9が配置されていない領域Xとに周方向に沿って区分される。
本実施形態では、周壁部2は、その横断面形状が12角形であり、この12角形の各辺に対応する12の矩形平板状の辺壁部7で構成されている。そして、周壁部2の各辺壁部7は、多孔板で構成され、通気性を有する。
図示例では、周壁部2に、上段バッフル8は、8枚設置されており全て同一形状及び同一寸法であり、下段バッフル9は、4枚設置されており全て同一形状及び同一寸法である。本実施形態では、上段バッフル8と下段バッフル9は共に、平板状であり、辺壁部7に対して垂直になるように設けられている。上段バッフル8は、一対の側辺が上端8aに向かって漸次接近する略台形状の板状である(図2参照)。後で詳述するが、上段バッフル8は、辺壁部7の内面からの高さが調整可能である。これに対して、下段バッフル9は、辺壁部7に対して固定されており、辺壁部7の内面からの高さは変更できない。
周壁部2において、4枚の下段バッフル9は、周方向等間隔に設けられている。また、各下段バッフル9は、4つの辺壁部7に亘って、周壁部2の端壁部5側端縁近傍から端壁部6側の端縁近傍まで延在する。周方向に隣接する下段バッフル9の端部は、同一の辺壁部7に設けられている。そして、下段バッフル9の間のそれぞれに、2枚ずつ上段バッフル8が設けられている。上段バッフル8のそれぞれは、別の辺壁部7に設けられている。各上段バッフル8は、辺壁部7内で、周方向一端側近傍から他端側近傍に延在する。
上段バッフル8と下段バッフル9は共に、その延在方向が、回転ドラムの周方向(図1の横方向)に対して同一角度で傾斜しているが、それらの傾斜の向きは相互に逆である。この延在方向の周方向に対する傾斜角度は、例えば15〜25°である。また、上段バッフル8の延在方向中央は、辺壁部7の周方向中央に位置する。下段バッフル9の延在方向中央は、4つの辺壁部7における周方向中央側で隣接する辺壁部7の境界線上に位置する。
周壁部2における単位領域Uを、図1に2点鎖線で示すように周方向に沿って分割することによって軸線方向の長さが相互に等しい複数(図1では4つ)の区画Sとした場合、区画Sに存在する上段バッフル8と下段バッフル9の数が区画Sの間で相互に同一である。図1では、各区画Sには、2枚の上段バッフル8と4枚の下段バッフル9とが存在している。
本実施形態では、端壁部5は、端壁部5の周壁部2側の端縁を底辺とする12の三角形状面と、端壁部5の端部3側の端縁を底辺とする12の三角形状面とで構成される。端壁部6は、端壁部6の周壁部2側の端縁を底辺とする12の三角形状面と、端壁部6の端部4側の端縁を底辺とする12の三角形状面とで構成される。端壁部5には、粉粒体を排出する際に粉粒体を案内する排出プレート10が、本実施形態では4枚設けられている。これら4枚の排出プレート10は周方向等間隔に設けられている。各排出プレート10は、4つの三角形状面に亘って、端壁部5の周壁部2側の端縁から端壁部5の端部3側の端縁まで延在し、その延在方向は、回転ドラムの周方向(図1の横方向)に対して傾斜している。排出プレート10の回転ドラムの周方向に対する傾斜の向きは、下段バッフル9の傾斜の向きと同じである。
本実施形態の回転ドラムは、粉粒体の処理中には、図1に白矢印で示す方向に回転する。この時、上段バッフル8と下段バッフル9の延在方向が、回転ドラムの周方向に対して相互に逆向きに傾斜しているため、次のような効果が得られる。上段バッフル8と下段バッフル9のそれぞれによって粉粒体が逆向きに移動され、粉粒体の転動層の上層部と下層部との間にせん断力が与えられ、粉粒体1個毎の入れ替わりを促進することができる。
回転ドラムから粉粒体を排出する時には、図1の白矢印とは反対方向に回転ドラムは回転する。粉粒体は、下段バッフル9によって端壁部5に移動し、更に、端壁部5では、排出プレート10に案内されて端部3まで移動し、端部3に溜まった後、後続の粉粒体に押し出されて開口部から排出される。
次に、上段バッフル8と下段バッフル9について、更に詳述する。
図2に示すように、辺壁部7の内面からの上段バッフル8の上端8aの高さH1は、下段バッフル9の上端9aの高さH2より高い。そして、上段バッフル8は、辺壁部7の内面に、高さ調整ピン12等を介して固定され、辺壁部7の内面との間に隙間を有する(図3参照)。一方、下段バッフル9は、その下端が辺壁部7の内面に直接固定され、辺壁部7の内面との間に隙間を有さない。なお、ここで高さの方向あるいは上下方向は、辺壁部7に対して垂直な方向である(特に説明の無い限り、以下同じ)。また、上と下は、図中での上下を意味し、回転ドラムの回転状態によって、実際の上下とは異なる(特に説明の無い限り、以下同じ)。
また、上段バッフル8の下端8bの高さH1’は、下段バッフル9の上端9aの高さH2以上であり、本実施形態では、下端8bの高さH1’は上端9aの高さH2より高い。また、本実施形態では、上段バッフル8の幅W1は、下段バッフル9の幅W2と同一である。
本実施形態では、上段バッフル8の総面積は、下段バッフル9の総面積より小さく、下段バッフル9の総面積に対する上段バッフル8の総面積の比率は、1/3.0〜1/4.0であることが好ましい。
図3に示すように、本発明のコーティング装置には、辺壁部7の内面からの上段バッフル8の上端8aの高さH1を回転ドラムの外部から調整可能な高さ調整手段11が設けられている。本実施形態では、高さ調整手段11で、高さ方向に沿って上段バッフル8の位置を変更することによって、上段バッフル8の高さH1を調整する。高さ調整手段11は、回転ドラムの辺壁部7を進退自在に貫通する高さ調整ピン12を有する。以下に詳述するように、高さ調整ピン12は、その一端部12aが上段バッフル8に着脱自在に装着され、他端部12bが回転ドラムの外側に着脱自在に装着され、該高さ調整ピン12を長さの異なる高さ調整ピンに交換することによって、高さ方向に沿って上段バッフル8の位置を変更する。
図4(A)に示すように、高さ調整ピン12は、一端部12aと、他端部12bと、一端部12aから他端部12bまで高さ方向に沿って延在する断面円形状の棒状の本体部12cから構成される。一端部12aには、雄ネジが形成されている。他端部12bには、本体部12cに対して径方向外側に突出した断面六角形状のフランジが設けられている。
図3に示すように、上段バッフル8の下端には、相互に離隔して、一対のピン受け部8cが設けられている。このピン受け部8cは断面円形状の棒状で、その上端側は上段バッフル8に例えば溶接等で固定されている。ピン受け部8cの下端には、高さ調整ピン12の一端部12aの雄ネジと螺合する雌ネジが内周面に形成されたネジ穴8dが設けられている。ピン受け部8cの外径と高さ調整ピン12の本体部12cの外径は同一である。
辺壁部7には、相互に離隔して一対の貫通孔7aが設けてあり、辺壁部7の外側における貫通孔7aの周縁には、取り付けボス13が例えば溶接等で固定されている。取り付けボス13の外周には雄ネジが形成されている。そして、取り付けボス13には、取り付けボス13の雄ネジが螺合する雌ネジがネジ孔に形成された断面六角形状の固定ナット14が取り付けられている。取り付けボス13の下端面と固定ナット14のネジ孔の底面との間に、高さ調整ピン12の他端部12bのフランジが挟持固定されている。貫通孔7aと取り付けボス13の内径は、高さ調整ピン12と上段バッフル8のピン受け部8cが辺壁部7に対して進退自在となるように、高さ調整ピン12と上段バッフル8のピン受け部8cの外径より少し大きく設定されている。
図4(A)に示す高さ調整ピン12に対して、その本体部12cの長さLが異なるもの、例えば、図4(B)に示すように本体部12cの長さLが0である(本体部12cを有さない)高さ調整ピン12’が別途用意されている。一対の高さ調整ピン12を、一対の高さ調整ピン12’に交換することによって、高さ方向に沿って上段バッフル8の位置は変更され、上段バッフル8の高さが調整される。ここでは、高さ調整ピン12を高さ調整ピン12’に交換することによって、上段バッフル8の高さH1を変更する場合を以下に説明する。
まず、図3に示す状態から、一対の固定ナット14の両方を、取り付けボス13から取り外す。次に、一対の高さ調整ピン12を、同時に外側に引き出すことによって、図3の二点鎖線で示すように、上段バッフル8を、その下端8bが辺壁部7に当接するまで下方に移動させる。この状態では、上段バッフル8の一対のピン受け部8cは、貫通孔7a及び取り付けボス13内に嵌合しており、ピン受け部8cの下端面と、取り付けボス13の下端面は同一の高さ方向位置となっている。
そして、高さ調整ピン12の他端部12bのフランジを六角レンチ等で回転させ、高さ調整ピン12の一端部12aの雄ネジと、上段バッフル8のピン受け部8cにおけるネジ穴8dの雌ねじとの螺合を解除することによって、高さ調整ピン12を上段バッフル8から取り外す。そして、この高さ調整ピン12を高さ調整ピン12’に交換して、この高さ調整ピン12’の他端部12bのフランジを六角レンチ等で回転させることによって、一端部12aの雄ネジをピン受け部8cの雌ネジに螺合させる。その後、固定ナット14を回転させて取り付けボス13に取り付けることで、上段バッフル8は図3に二点鎖線で示す下端8bが辺壁部7に当接した状態で固定される。この状態で、辺壁部7の内面からの上段バッフル8の上端8aの高さはH3である。これで、上段バッフル8の高さH1から高さH3への変更作業は完了する。なお、以上の説明と同様にして、本体部12cの長さLが高さ調整ピン12’とは異なる高さ調整ピンに交換すれば、上段バッフル8を異なる高さとすることができる。
上段バッフル8は、高さH1の状態でも高さH3の状態でも、辺壁部7に対して垂直な方向に沿っている。また、本実施形態では、上段バッフル8の幅W1が下段バッフル9の幅W2に等しいので、上段バッフル8の変更後の高さH3は、図2に示す下段バッフル9の高さH2に等しい。
なお、この上段バッフル8の高さH1から高さH3への変更作業の際には、対象となる上段バッフル8が取り付けられている辺壁部7が、回転ドラム全体の中で下方に位置し且つ水平になっていることが好ましい。この場合には、高さ調整ピン12を両方取り外した状態でも、ピン受け部8cが貫通孔7a及び取り付けボス13内に嵌合した状態となるので作業を実施し易い。
以上のように構成された本実施形態のコーティング装置の回転ドラムでは、次のような効果を享受できる。
従来のパンコーティング装置では、図5に示すように、回転ドラムDが白矢印Ah1で示す方向に回転した場合、粉粒体層Gでは、次のような領域が生じる。すなわち、回転ドラムDの回転によって回転ドラムDの内面近傍に形成され、矢印Ah2で示す方向に粉粒体が動く輸送領域と、粉粒体層Gの表面近傍に形成され、矢印Ah3で示す方向に重力によって粉粒体が動く転落領域と、輸送領域と転落領域との間(粉粒体層Gの中央付近)に形成され、粉粒体の動きが緩慢な停滞領域Rsである。この停滞領域Rsでは、粉粒体の動きが緩慢なので、粉粒体層G全体の混合が不十分となる可能性がある。
これに対して、本実施形態の回転ドラムでは、図2で示すように、上段バッフル8の高さを高い状態とすることによって、バッフルを上段バッフル8と下段バッフル9の2段構成とすることが可能である。下段バッフル9によって、粉粒体層G(粉粒体の転動層)の停滞領域Rsを撹拌し、粉粒体を移動させることができる。そして、上段バッフル8により、粉粒体の転落領域(表層エリア)を撹拌し、粉粒体の転動(粉粒体の1個ごと反転や回転)を促進し、且つ、粉粒体を移動させることができる。従って、粉粒体層G全体を最適に撹拌混合することが可能となる。
そして、上段バッフル8の上端8aの高さH1は、下段バッフル9の上端9aの高さH2以上である。これによって、上段バッフル8と下段バッフル9のそれぞれによる粉粒体の移動方向やその他の粉粒体に対する作用に明確な差異を生じさせることができる。すなわち、上段バッフル8と下段バッフル9のそれぞれの混合機能を明確に分離することができる。これによって、粉粒体層を効率的に撹拌混合することが可能となる。
また、上段バッフル8の方が下段バッフル9より混合性能が高いことが実験で分かっているので、上述のように、上段バッフル8の総面積が下段バッフル9の総面積より小さければ、バッフル全体の混合性能を最適にすることが可能である。これにより、極めて均一な混合性が得ることが可能である。
なお、上段バッフル8の形状は、図6に示すように、先端部8eが、その他の部分に対して傾斜していてもよい。この傾斜の向きは、粉粒体が処理される時の回転ドラムの回転方向とは反対側(回転方向後方)である。この傾斜角度は、好ましくは25〜45°、更に好ましくは30〜45°である。この上段バッフル8の他の部分については、図3で説明したものと同様なので説明を省略する。
このように先端部8eが傾斜した上段バッフル8を使用すると、処理中の粉粒体が先端部8eに垂直に衝突することを抑制し、粉粒体が割れたり欠けたりすることを抑制することができる。しかし、先端部8eの傾斜角度が25°より小さい場合、或いは傾斜角度が45°より大きい場合には、この効果が十分に得られない可能性がある。
また、先端部8eが傾斜した上段バッフル8を使用すると、粉粒体の排出時(回転ドラムの逆回転時)に、この先端部8eが粉粒体をすくう作用をなす。この作用により、先端部8eが、効率良く下段バッフル9の基端部側に粉粒体を案内するので、時間当たりの粉粒体の排出量が増加し、排出工程時間の短縮につながる。しかし、先端部8eの傾斜角度が30°より小さい場合には、このすくう作用が十分に得られない可能性がある。
また、本実施形態のコーティング装置の回転ドラムでは、辺壁部7の内面からの上段バッフル8の上端8aの高さを回転ドラムの外部から調整することが可能である。従って、この上段バッフル8の高さの調整によって、上段バッフル8の高さを粉粒体量に対応させることができる。これにより、粉粒体の仕込み量に拘わらず、最適な混合性を実現することができる。
また、上段バッフル8の下端8bの高さが、下段バッフル9の上端9aの高さ以上であるので上段バッフル8と下段バッフル9の機能が分離されている。従って、上段バッフル8の下端8bの高さが、下段バッフル9の上端9aの高さ以上であるという条件で、上段バッフル8の高さを変更しても、上段バッフル8の混合性能に対する下段バッフル9の影響は少なく、上段バッフル8の混合性能の変化が少ない。従って、粉粒体の混合に関するその他の条件を調整する必要が少なく、その結果、粉粒体量の増減に対する許容幅を大きくすることができる。
また、この上段バッフル8の高さの調整は、回転ドラムの外部から実施することができるので、この調整のために人が回転ドラムの中に入る必要が無い。従って、上段バッフル8の高さ調整のための作業が容易となり、一人でも作業ができ、また、作業時間を短いものとすることができる。また、上段バッフル8の高さ調整のための作業の後に洗浄を行なう必要が無いので、この洗浄に要する時間やコストも不要となる。
また、上段バッフル8と下段バッフル9の2段のバッフル構成であるので、上段バッフル8のみを高さ調整可能とすれば、下段バッフル9の高さを調整する必要が無い。従って、高さ調整手段11を全てのバッフル8、9に設けなくても良く、また、高さ調整作業を全てのバッフル8,9に対して実施する必要がなくなるので、コスト削減や作業効率向上が可能である。
また、本実施形態では、高さ調整ピン12を交換することによって、上段バッフル8の高さを調整するので、上段バッフル8の高さを大きく変更することが可能である。
以上のように構成された回転ドラムをスケールアップする設計方法としては、例えば、図7に示すように回転ドラムの周壁部2をその軸線方向に拡張する設計方法を適用することができる。図7に例示する周壁部2には、周方向に全周に亘って延びる単位領域Uが軸線方向に3個配列されている。各単位領域Uにおけるバッフル(上段バッフル8、下段バッフル9)の配置、形状及び寸法が、単位領域Uの間で相互に同一である。ここで、配置とは、少なくとも、位置、向き、数を含む概念である(以下、同じ)。
ただし、本実施形態では、単位領域Uは、軸線方向の一端の単位領域Uから他端の単位領域Uに移行するに従って、順次、周方向の一方に等距離でずれている。例えば、図7に点線で示すように、一番上の単位領域Uの周方向位置Eに対して、真ん中の単位領域Uにおける対応する周方向位置Eは、左に辺壁部7の4つ分ずれており、一番下の単位領域における対応する周方向位置Eは、真ん中の単位領域Uの周方向位置Eより更に左に辺壁部7の4つ分ずれている。なお、本実施形態では、単位領域Uが、軸線方向に連続して配列されているが、バッフルが配置されていない領域を介して配列されてもよい。
そして、図7の周壁部2の単位領域Uにおけるバッフル(上段バッフル8、下段バッフル9)の配置、形状及び寸法は、図1に示す周壁部2の単位領域Uと同一である。つまり、図7に示す回転ドラムは、図1に示す周壁部2を単位領域Uとして、単位領域Uの周壁部2における軸線方向配列の数を1つから3つに変更することによって、図1に示す回転ドラムをスケールアップしたものである。この回転ドラムのスケールアップによって、周壁部2は、軸線方向に3倍にスケールアップし、これに伴い、回転ドラムの処理容量は約3倍となる。
このように、単位領域Uを有する回転ドラムでは、この単位領域Uの軸線方向の配列数を増加することによってスケールアップをする設計方法を適用できる。この設計方法では、単位領域Uの配列数に比例して回転ドラムの処理容量を増加させることができる。一方で、単位領域Uで混合される粉粒体量はほとんど変化しないので、粉粒体の混合性は略同一となる。すなわち、この設計方法によれば、混合性が変化することを抑制しつつ回転ドラムをスケールアップすることができる。
従来採用されていた回転ドラムを相似形で寸法を拡大してスケールアップする設計方法では、混合性が低下し、これによりコーティングむらが発生することがあった。また、圧密増加による摩損等が発生することもあった。本発明の設計方法では、このような諸問題を起こさず、極めて容易にスケールアップが可能である。
また、図8に示すように、スケールアップ後における単位領域U当りのスプレーノズルNの数(図示例では1つ)を、単位領域Uの間で同一とし、且つ、このスプレーノズルNの数を、スケールアップ前における単位領域U当りのスプレーノズルNの数と同一とすることが好ましい。これにより、単位領域U当りのスプレー面積を、スケールアップの前後で略同じとすることが可能となり、スプレーノズルNの設計変更等を不要とすることができる。また、同様に、単位領域Uに対するスプレーノズルNの噴霧方向や噴霧位置も、スケールアップ前後で同一とすることが更に好ましい。
また、上述のように単位領域Uが周方向にずれて配列されているため、図7に示すように、下段バッフル9は、単位領域Uの間で、連続している。また、例えば二点差線で囲んで示すように、下段バッフル9を挟んで配設された一対の上段バッフル8が、下段バッフル9に沿って、等間隔に並んでいる。仮に、単位領域Uを更に追加して、同様にずらして配列させても、下段バッフル9は連続し、下段バッフル9に沿って、一対の上段バッフルが等間隔に並ぶ。このように、本実施形態の単位領域Uを使用したスケールアップ方法では、軸線方向に同一の態様のバッフル配置が連続的に繰り返される。別の観点では、下段バッフル9を基準にみた場合、上段バッフル8と下段バッフル9は、軸線方向に螺旋状に連続的に配設されている。
従って、図7に示すスケールアップした回転ドラムは、周方向で見た場合にも、軸線方向で見た場合にも略均一のバッフル8,9の配置となっている。このため、スケールアップ後の回転ドラムにおいて、混合性を良好とするために、奥行き方向(軸線方向)に、粉粒体を循環させたり、移動させたりすることが重要(必要)でなくなる。従って、上段バッフル8と下段バッフル9のそれぞれの構造は、微小なエリアで個々の粉粒体を混合したり転動したりすることを重視したものとすることができる。また、回転ドラムの奥行き方向全体での粉粒体の大循環や大移動が不要になることで、粉粒体に大循環や大移動のためのエネルギーを付与する必要が無くなり、微小なエリア内の粉粒体の混合及び転動のためにエネルギーを有効に利用することができる。換言すれば、混合力向上のためにエネルギーをより多く付与する必要がなくなるため、粉粒体に余分なストレスを与えずに済む。
また、下段バッフル9が、単位領域の間で、連続しているので、回転ドラムから粉粒体を排出する時に、回転ドラムの軸線方向の奥側(底壁部側)の粉粒体が下段バッフル9によってスムーズに排出プレート10まで移動する。従って、回転ドラムからの粉粒体の排出時間を短縮できる。
ここでは、回転ドラムをスケールアップする場合を説明したが、単位領域Uの軸線方向の配列数を減少させることによって、例えば図7に示す回転ドラムを図1に示す回転ドラムにスケールダウンさせてもよい。
ところで、図7において、周壁部2における軸線方向の両端の領域Y(最も軸辺方向両端側の上段バッフル8と端壁部5,6との間の領域)では、端壁部5,6との干渉を回避するため、下段バッフル9における領域Yに存在する部分を省略することがある。この場合には、単位領域Uの軸線方向両端から領域Yと同等の領域を除いた単位領域U’が、軸線方向に3つ配列されているとみなすことができる。各単位領域U’におけるバッフル(上段バッフル8、下段バッフル9)の配置、形状及び寸法は、単位領域U’の間で相互に同一である。
また、図9に示すように、周壁部2を、単位領域Uを軸線方向に2.5個分配列することによって構成することも考えられる。この場合、一番上の単位領域Uの周方向位置Eに対して、一番下の単位領域における対応する周方向位置Eは、左に辺壁部7の6つ分ずれている。そして、この場合、単位領域Uを軸線方向中央で2分割することによって形成される単位領域U”が、軸線方向に5つ配列されているとみなすことができる。各単位領域U”におけるバッフル(上段バッフル8、下段バッフル9)の配置、形状及び寸法は、単位領域U”の間で相互に同一である。そして、単位領域U”は、軸線方向の一端の単位領域U”から他端の単位領域U”に移行するに従って、順次、周方向の一方に辺壁部7の2つ分ずれている。
本発明は、上記実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、高さ調整手段11で高さ方向に沿って上段バッフル8の位置を変更することによって、上段バッフル8の高さを調整していたが、次に説明するように、高さ調整手段11でバッフルを高さ方向に対して傾斜させることによって、バッフルの高さを調整するようにしてもよい。
図10〜12に示す第1変形例でも、バッフル15は、平板状で、辺壁部7に対して垂直に配設されている。バッフル15の高さ調整手段11が、辺壁部7に揺動自在に支持される揺動軸16を有し、この揺動軸16にバッフル15を支持する一対の支持棒17が取り付けられている。詳述すれば、揺動軸16は、辺壁部7の一部として辺壁部7に固定された基板18の内側に設けられた凹部18aにその外周面が揺動自在に支持される。基板18の外側には、部分円柱状の取り付け部18bが設けられる。そして、支持棒17は、基板18とその取り付け部18bに形成された長孔の貫通孔18cを揺動自在に挿通し、その一端はバッフル15に固定される。支持棒17の他端には、雄ネジが形成され、この雄ネジにカバー部材19を介してナット20の雌ネジが螺合されることによって、支持棒17の他端が取り付け部18bの外周に着脱自在に装着される。
この変形例では、ナット20を緩め、図11に白矢印で示すように、バッフル15と支持棒17とを、揺動軸16を介して辺壁部7に対して回動させた後、ナット20を締めて、バッフル15を高さ方向に対して傾斜させる。これにより、辺壁部7の内面からのバッフル15の上端15aの高さが変更される。
次に、図13〜15に示す第2変形例では、図10〜12に示す第1変形例と主に次の点で異なる。揺動軸16は、辺壁部7の内側に固定された軸支持部21に設けられた凹部21aにその外周面が揺動自在に支持される。そして、支持棒17は、辺壁部7に形成された長孔の貫通孔7bを揺動自在に貫通し、その一端はバッフル15に固定される。支持棒17の他端には、雄ネジが形成され、この雄ネジにナット20の雌ネジが螺合されることによって、支持棒17の他端が辺壁部7の外側に着脱自在に装着される。図13では、バッフル15は、垂直方向に沿っており、図15(A)に示すように、高さ方向に対して傾斜していない。
この変形例では、バッフル15を高さ方向に対して傾斜させるために、辺壁部7や支持棒17に対して着脱自在な図14に示す取り付け部材22を使用する。この取り付け部材22には、辺壁部7に当接する取り付け面22aに対して所定の傾斜角度を有する一対の貫通孔22bと、貫通孔22bに対して垂直な面22cとが設けられている。この取り付け部材22の一対の貫通孔22bは、一対の支持棒17が挿通可能になるように設定されている。
この変形例では、次のように、バッフル15を高さ方向に対して傾斜させる。図15(A)に示す状態(バッフル傾斜角度0°)から、ナット20を取り外した後、取り付け部材22の貫通孔22bに支持棒17を挿通し、ナット20を取り付けて面22cに当接させる。これにより、バッフル15が高さ方向に対して傾斜させられ、図15(B)に示す状態(バッフル傾斜角度30°)となり、辺壁部7の内面からのバッフル15の上端の高さが変更される。取り付け面22aに対して異なる傾斜角度の貫通孔22bを有する取り付け部材22を使用すれば、図15(C)(バッフル傾斜角度45°),図15(D)(バッフル傾斜角度60°)のように、バッフル15の傾斜角度を変更可能である。このように、バッフル15は傾斜角度が変更され、その上端15aの辺壁部7の内面からの高さが変更される。
図16〜18に示す第3変形例では、図10〜15に示す第1,第2変形例と主に次の点で異なる。揺動軸16は、辺壁部7の外側に固定された一対の軸支持部21に設けられた凹部21bにその軸端が揺動自在に支持される。そして、支持棒17は、辺壁部7に形成された長孔の貫通孔7cを揺動自在に貫通し、その一端はバッフル15に固定され、他端は揺動軸16に固定される。揺動軸16の両端面には、片面ごとにネジ穴16a〜16cが設けられている(図18参照)。このネジ穴16a〜16cは、全て軸芯からの距離は同じで、相互に成す中心角は90°である。一方で、一対の軸支持部21のそれぞれには、貫通孔21c〜21fが設けられている。図16では軸支持部21の貫通孔21cを介してネジ穴16aにボルト23が螺合されている(図18(A)に示すバッフル傾斜角度0°の状態)。
この変形例では、バッフル15を高さ方向に対して傾斜させるために、ボルト23が挿通される軸支持部21の貫通孔21c〜21fと、ボルト23が螺合されるネジ穴16a〜16cを変更する。例えば、ボルト23を、貫通孔21dを介してネジ穴16bに螺合した場合、図18(B)に示すように、バッフル15は30°傾斜する。また、ボルト23を、貫通孔21eを介してネジ穴16cに螺合した場合、図18(C)に示すように、バッフル15は、45°傾斜する。更に、ボルト23を、貫通孔21fを介してネジ穴16aに螺合した場合、図18(D)に示すように、バッフル15は、60°傾斜する。このようにして、本変形例では、辺壁部7の内面からのバッフル15の上端15aの高さが変更される。
更に、本発明では、次に説明するように、高さ調整手段11が、一端が回転ドラムの外側に着脱自在に装着され、回転ドラムの壁部を進退自在に貫通するバッフルを有し、このバッフルを高さの異なるバッフルに交換することによって、バッフルの高さを調整してもよい。
図19(A)に示す第4変形例では、高さ調整手段11は、バッフル24を有する。
辺壁部7には長穴の貫通孔25が設けられている。バッフル24は、この貫通孔25を介して、辺壁部7に進退自在である。バッフル24の一端には、取り付け部24aが設けられており、この取り付け部24aが、例えばボルト等の固定手段(図示省略)によって、辺壁部7の外面に固定される。
辺壁部7の内面からのバッフル24の上端24bの高さを変更する場合には、取り付け部24aの固定を解除して、バッフル24を辺壁部7から外す。次に、図19(B)に示す高さの異なるバッフル24を、辺壁部24の貫通孔25に挿通し、このバッフル24の取り付け部24aを辺壁部7の外面に固定する。このバッフル24の交換作業も、全て辺壁部7(回転ドラム)の外部から行なうことができる。
以上の説明では、本発明を、いわゆるジャケットレス構造のパンコーティング装置に適用したが、これに限定されるものでなく、回転ドラムが水平の軸線回りに回転駆動されるコーティング装置であればよい。例えば、ジャケットが装着される回転ドラムを備えたコーティング装置に適用してもよい。
1 側壁部
2 周壁部
7 辺壁部
8 上段バッフル
15,24 バッフル
U 単位領域

Claims (9)

  1. 処理すべき粉粒体が内部に収容され、その水平の軸線回りに回転駆動される回転ドラムを備え、前記回転ドラムの周壁部の内面に前記粉粒体を撹拌する板状のバッフルが設けられたコーティング装置において、
    前記バッフルは、前記回転ドラムの周方向に所定間隔で配置された複数の上段バッフルと下段バッフルで構成され、
    前記上段バッフルと下段バッフルの延在方向が、前記回転ドラムの周方向に対して相互に逆向きに傾斜しており、
    前記上段バッフルの下端の高さが、前記下段バッフルの上端の高さ以上であることを特徴とするコーティング装置。
  2. 前記上段バッフルの総面積が、前記下段バッフルの総面積より小さい請求項1に記載のコーティング装置。
  3. 前記下段バッフルの総面積に対する前記上段バッフルの総面積の比率が、1/3.0〜1/4.0である請求項2に記載のコーティング装置。
  4. 前記下段バッフルの延在方向長さが上段バッフルの延在方向長さより長い請求項3に記載のコーティング装置。
  5. 前記上段バッフルと下段バッフルの幅が相互に同一である請求項4に記載のコーティング装置。
  6. 前記周壁部における前記バッフルが配置された領域を、周方向に沿って分割することによって軸線方向の長さが相互に等しい複数の区画とした場合、前記区画に存在する上段バッフルと下段バッフルの数が前記区画間で相互に同一である請求項1〜5の何れか1項に記載のコーティング装置。
  7. 前記上段バッフルの先端部が、前記粉粒体が処理される時の前記回転ドラムの回転方向後方に傾斜している請求項1〜6の何れか1項に記載のコーティング装置。
  8. 前記上段バッフルが回転ドラムの外部から高さ調整可能である請求項1〜7の何れか1項に記載のコーティング装置。
  9. 前記周壁部に、前記バッフルを配置した周方向に延びる単位領域が軸線方向に複数配列された請求項1〜8の何れか1項に記載のコーティング装置。
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