[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1〜図7を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の給湯システムAは、入水路51と給湯路52との間に並列に接続された複数台の給湯器1,1,……を備える。
入水路51は、各給湯器1に供給する水を流す流路として、全ての給湯器1に対して共通の流路である。この入水路51の上流側は、図示しない給水源の配管に接続され、該給水源から入水路51に水が供給される。そして、入水路51から各給湯器1に水を分配供給するために、該入水路51から各給湯器1毎の給水路33が導出されている。
給湯路52は、各給湯器1で加熱された湯を流す流路として、全ての給湯器1に対して共通の流路である。この給湯路52には、各給湯器1で加熱された湯を該給湯路52に流入させるために、各給湯器1毎の出湯路34が接続されている。そして、給湯路52の下流部には、図示しない給湯栓、シャワー栓等が各々設けられた複数箇所の給湯口が接続されている。
なお、給湯路52は、その下流側に流れた湯を、循環ポンプにより入水路51の上流部に還流させるように構成されていてもよい。
各給湯器1は、本実施形態では、例えば図2及び図3に示す如く構成されている。具体的には、各給湯器1は、屋外に設置される本体ケース2を有する。本体ケース2には、燃焼空間を形成する燃焼筐3が収容されている。そして、この燃焼筐3の内部の下部にバーナ4が配置されている。
バーナ4は、本実施形態ではガスバーナである。このバーナ4は、燃焼面積が互いに異なる第1バーナ4a及び第2バーナ4bにより構成されている。
バーナ4に燃料ガスを供給するための構成要素として、第1バーナ4a及び第2バーナ4bで共用される主ガス供給路5が本体ケース2に外部から導入されている。主ガス供給路5の上流側は、本体ケース2の外部で図示しないガス供給源の配管に接続される。
主ガス供給路5は、本体ケース2の内部において、第1バーナ4a用の第1副ガス供給路6aと第2バーナ4b用の第2副ガス供給路6bとに分岐されている。第1副ガス供給路6aは、第1バーナ4aに燃料ガスを供給すべく燃焼筐3の内部に導入され、第2副ガス供給路6bは、第2バーナ4bに燃料ガスを供給すべく燃焼筐3の内部に導入されている。
また、主ガス供給路5には、これを開閉する電磁弁により構成されたガス元弁7と、バーナ4への燃料ガスの供給量を調整するためのガス量調整弁としてのガス比例弁8とが介装されている。また、第1副ガス供給路6a及び第2副ガス供給路6bには、それぞれを開閉する電磁弁により構成された切替弁9a,9bが各々介装されている。
従って、ガス元弁7を開弁した状態で、切替弁9a,9bのそれぞれの開閉状態の組み合わせを切替えることにより、燃料ガスの供給対象のバーナ(燃焼運転を行わせるバーナ)を、第1バーナ4a及び第2バーナ4bのいずれか一方又は両方に切替えることが可能となっている。また、ガス比例弁8を制御することで、バーナ4(第1バーナ4a及び第2バーナ4bの一方又は両方)への燃料ガスの供給量が制御される。
これによりバーナ4は、幅広い範囲の燃焼量での燃焼運転を行うことが可能となっている。
ただし、バーナ4は、単一の燃焼面積のバーナであってもよい。その場合には、切替弁9a,9bは不要である。
バーナ4に燃焼用空気を供給するために、燃焼筐3には、図示しない電動モータにより回転駆動される燃焼ファン10が取り付けられている。この燃焼ファン10の吸込み口側は、図3に示すように本体ケース2の下部に開設された複数の給気口21に連通している。そして、燃焼ファン10の送風口側は、図2に示す如く第1バーナ4a側の給気通路11a及び第2バーナ4b側の給気通路11bを介して燃焼筐3の下部に連通している。
従って、燃焼ファン10を回転駆動することで、該燃焼ファン10により、本体ケース2の給気口21から燃焼用空気としての外気が吸引される。そして、燃焼ファン10は、吸引した燃焼用空気を給気通路11a,11bを介して燃焼筐3内のバーナ4に供給する。このとき、燃焼ファン10の回転数(回転速度)を制御することで、バーナ4への燃焼用空気の供給量が制御される。
なお、燃焼ファン10には、その電動モータの通電電流(以降、ファン電流という)を検出する電流センサ12(図4に示す)が付設されている。
また、燃焼筐3の上部には、バーナ4の燃焼排ガスを外部に排出するための排気口3aが開設されている。この排気口3aは、図3に示すように本体ケース2の上部に開設された排気口22に連通されている。
さらに、燃焼筐3の側壁部にはバーナ4に点火するための火花放電を発生する点火電極13と、バーナ4の燃焼炎の有無を検知するための炎検知センサとしてのフレームロッド14とが取り付けられている。なお、炎検知センサは、フレームロッド14に限らず、熱電対等の他の炎検知センサであってもよい。
以上が各給湯器1のバーナ4の燃焼に係る機構的な構成である。
次に、各給湯器1の通水に係る機構的な構成を説明する。
燃焼筐3の内部には、バーナ4の燃焼熱により加熱される熱交換器31がバーナ4の上方に配置されている。そして、この熱交換器31を経由して通水路32が配設されている。
通水路32は、前記本体ケース2の内部に外部から導入された給水路33と、本体ケース2の内部から導出された出湯路34とを有し、給水路33が熱交換器31の通水路31aを介して出湯路34に連接されている。
給水路33の上流端が、本体ケース2の外部において、前記入水路51に接続され、出湯路34の下流端が、本体ケース2の外部において、前記給湯路52に接続されている。
熱交換器31の通水路31aには、本体ケース2の内部において、バイパス路35が並列に接続されている。該バイパス路35は、熱交換器31の上流側で給水路33から分岐され、熱交換器31の下流側で出湯路34に合流されている。
従って、給水路33を上流側から流れてくる水の一部を熱交換器31を経由せずに、バイパス路35を介して出湯路34に流すことが可能となっている。
そして、バイパス路35の上流端部(給水路33からの分岐箇所)には、熱交換器31の通水路31aの通水流量とバイパス路35の通水流量との比率(以下、バイパス比という)を調整するためのバイパス比調整弁36が介装されている。該バイパス比調整弁36は、例えば電動式の三方弁により構成される。
なお、給水路33からのバイパス路35の分岐箇所に三方弁を備える代わりに、熱交換器31の通水路31aとバイパス路35との両方もしくは一方に、バイパス比調整弁としての流量調整弁を備えるようにしてもよい。
また、各給湯器1の通水系は、バイパス路35を備えないように構成されていてもよい。その場合には、バイパス比調整弁36は不要である。
また、給水路33には、該給水路33の通水流量(以降、給水流量という)を調整するための電動式の水量サーボ弁37と、給水流量を検出する水量センサ38とが介装されている。また、出湯路34には、バイパス路35の合流部の下流側の箇所と該合流部の上流側の箇所とでそれぞれ湯水の温度を検出する温度センサ39,40が装着されている。
温度センサ39が検出する温度は、換言すれば、出湯路34から前記給湯路52に流入する湯水の温度、すなわち給湯温度である。また、温度センサ40が検出する温度は、換言すれば、熱交換器31から出湯する湯水の温度(以降、熱交換器出湯温度という)である。
なお、水量サーボ弁37は、給水路33を遮断する状態(すなわち、給水流量がゼロとなる状態)に動作することも可能である。従って、水量サーボ弁37は、給水路33を開閉する制御弁としての機能も有する。
以上が各給湯器1の通水に係る機構的な構成である。
次に、給湯システムAの運転制御に係る構成を説明する。
本実施形態では、個々の給湯器1の運転制御を含めて、給湯システムAの運転制御を行うために、図2に示す如く各給湯器1の本体ケース2に各々搭載された制御装置61を備える。各給湯器1の制御装置61は、図示しないCPU、RAM、ROM等を含む電子回路ユニットにより構成されると共に、相互に通信可能に接続されている。
なお、本発明における運転制御手段は、これらの制御装置61の全体により構成される。
各給湯器1の制御装置61には、該給湯器1の燃焼ファン10に付設された電流センサ12の検出信号、フレームロッド14の検出信号、水量センサ38の検出信号、及び温度センサ39,40の検出信号が入力される。また、各給湯器1の制御装置61には、他の給湯器1の制御装置61との通信によって、他の給湯器1の運転状態等を示す情報データが与えられる。
そして、各給湯器1の制御装置61は、実装されるプログラム、あるいは、ハードウェア構成により実現される機能として、図4に示す如く、給湯システムAの統括的な運転制御を担う統括運転制御部62と、該制御装置61が搭載された給湯器1の運転制御を担う個別運転制御部63とを備える。
ただし、本実施形態の給湯システムAでは、各給湯器1に備えられたディップスイッチ等の操作によって、あらかじめ、いずれか1つの給湯器1の制御装置61がマスター制御装置(以降、参照符号61mを付する)、他の給湯器1の制御装置61がスレーブ制御装置(以降、参照符号61sを付する)として設定される。そして、上記統括運転制御部62の制御処理は、マスター制御装置61mだけが実行する制御処理である。
マスター制御装置61mの統括運転制御部62は、給湯システムAの各給湯器1の運転優先順位を決定する処理、給湯口への給湯を行うためにいずれの給湯器1の給湯運転(バーナ4の燃焼運転により通水を加熱する運転)を行うかを決定する処理等、給湯システムAの全体の運転に関する統括的な制御処理を実行する。
そして、統括運転制御部62は、決定した運転優先順位を示すデータ、実際に給湯運転を行わせる給湯器1(以降、運転対象給湯器1という)を示すデータ等により構成される運転指令データを生成し、その運転指令データをマスター制御装置61mから他の各制御装置61(スレーブ制御装置61s)に送信する。
上記運転優先順位は、運転対象給湯器1を選定するために利用されるものである。この運転優先順位は、例えば、あらかじめ定められたローテーションスケジュールに従って、あるいは、個々の給湯器1の累積的な給湯運転時間等の運転履歴に基づいて決定される。そして、運転優先順位が相対的に高い給湯器1は、運転優先順位が相対的に低い給湯器1よりも優先的に、運転対象給湯器1として選定される。
また、各給湯器1の制御装置61の個別運転制御部63は、該給湯器1が運転対象給湯器1として選定された場合に、該給湯器1の給湯運転を制御する。この制御では、各給湯器1のバーナ4の燃焼系の機器(ガス元弁7、ガス比例弁8、切替弁9a,9b、燃焼ファン10、点火電極13)と、通水系の機器(バイパス比調整弁36、水量サーボ弁37)とを制御することで、該給湯器1から給湯路52に供給する湯の温調制御が行われる。
さらに、各給湯器1の制御装置61は、該給湯器1の運転要求の有無を判断する運転要求判断部64と、該給湯器1のバーナ4の失火の発生を検知する失火検知部65と、給湯器1の本体ケース2の周辺の環境状態が、該本体ケース2の給気口21及び排気口22の少なくともいずれか一方に外風が作用する有風状態であるか、有風状態でないか(無風状態もしくはそれに近い状態であるか)を判断する処理を実行する有風判断部66とを備える。
上記運転要求判断部64及び失火検知部65は、それぞれ本発明における運転要求判断手段、失火検知手段に相当する。また、上記有風判断部66は、本発明における失火後有風判断手段としての機能と、失火直前有風判断手段としての機能とを併せ持つものである。
補足すると、統括運転制御部62の制御処理を行う制御装置を、各給湯器1の制御装置61とは別に備えるようにしてもよい。
次に、各給湯器1の制御装置61の制御処理の詳細を含めて、本実施形態の給湯システムAの作動を説明する。
まず、各給湯器1の給湯運転を正常に行い得る状態(通常状態)での基本的な作動を説明する。給湯システムAに含まれる給湯器1のうち、マスター制御装置61mの統括運転制御部62により最も高い運転優先順位(第1順位)が設定された給湯器1の制御装置61は、該給湯器1の水量サーボ弁37を、開弁状態に維持する。そして、マスター制御装置61mの統括運転制御部62は、各給湯器1の水量センサ38の検出信号により示される給水流量(各給湯器1毎の給水流量)の検出値を逐次取得し、それらの検出値を加え合わせることにより、給湯路52のトータルの通水流量(以降、総給湯流量という)を逐次認識する。
なお、マスター制御装置61mが搭載された給湯器1以外の給湯器1、すなわち、スレーブ制御装置61sが搭載された給湯器1における給水流量の検出値は、該スレーブ制御装置61sからマスター制御装置61mに送信される。
給湯路52に接続されているいずれかの給湯口の給湯栓の開栓等によって、該給湯路52の通水(詳しくは、所定流量以上の通水)が行われると、その通水が、上記総給湯流量の値に基づいて、マスター制御装置61mの統括運転制御部62により検知される。
そして、統括運転制御部62は、給湯路52の通水を検知した状態では、運転優先順位が最も高い給湯器1を少なくとも含む1台以上の給湯器1を運転対象給湯器1として選定する。
この場合、例えば、給湯路52の総給湯流量が大きいほど、運転対象給湯器1の台数が多くなり、且つ、運転優先順位がより高い給湯器1が運転対象給湯器1となるように、総給湯流量及び運転優先順位に応じて1台以上の運転対象給湯器1が選定される。
なお、例えば、給湯路52の総給湯流量と、図示しないリモコン等によりあらかじめ設定された目標給湯温度と、入水路51に供給される水の温度である入水温度の検出値(又は推定値)とに基づいて、総給湯流量の水を、入水温度の検出値(又は推定値)から目標給湯温度に昇温させるために必要な総熱量(単位時間当たりの熱量)を演算し、その総熱量に応じて、あるいは、該総熱量と総給湯流量とに応じて、運転対象給湯器1の台数を決定するようにしてもよい。
統括運転制御部62は、上記の如く選定した運転対象給湯器1を示すデータを含む運転指令データを、マスター制御装置61mから各スレーブ制御装置62sに送信する。
一方、各給湯器1の制御装置61は、運転要求判断部64により該給湯器1の運転要求の有無を逐次判断する。その判断は、統括運転制御部62により生成された運転指令データに基づいて行われる。すなわち、各給湯器1の制御装置61の運転要求判断部64は、該給湯器1が運転対象給湯器1として選定されている場合には、該給湯器1の運転要求が有ると判断し、該給湯器1が運転対象給湯器1として選定されていない場合には、該給湯器1の運転要求が無いと判断する。
そして、運転要求が無いと判断された給湯器1(運転対象給湯器1として選定されていない給湯器1)では、該給湯器1の制御装置61の個別運転制御部63は、ガス元弁7を閉弁状態に維持すると共に、水量サーボ弁37を閉弁状態に維持する。従って、運転対象給湯器1として選定されていない給湯器1では、バーナ4が消火状態に維持されると共に、入水路51から該給湯器1への給水(ひいては、該給湯器1から給湯路52への通水)が遮断された状態に維持される。
また、運転要求判断部64により運転要求が有ると判断された給湯器1(運転対象給湯器1として選定された給湯器1)では、該給湯器1の制御装置61の個別運転制御部63の制御処理によって、該給湯器1の給湯運転が制御される。
具体的には、運転対象給湯器1として選定された各給湯器1の制御装置61の個別運転制御部63は、該給湯器1のバーナ4が消火状態であった場合(該給湯器1が新たに運転対象給湯器1として選定された場合)には、まず、該給湯器1のバーナ4を点火させる制御処理(点火制御処理)を実行して、該バーナ4の燃焼運転を開始させる。
この点火制御処理では、個別運転制御部63は、第1バーナ4a及び第2バーナ4bの一方、例えば第2バーナ4bに所定量の燃料ガスを供給させるように、ガス元弁7及び切替弁9bを開弁制御すると共に、ガス比例弁8の開度を制御する。併せて、個別運転制御部63は、第2バーナ4bへの燃料ガスの供給量に対応する所定量の燃焼用空気を該第2バーナ4bに供給すべく、燃焼ファン10の回転数を所定の回転数に制御する。これにより、第2バーナ4bを点火させるための所定量の燃料ガスと燃焼用空気とが該第2バーナ4bに供給される。
さらに、個別運転制御部63は、上記のように第2バーナ4bに燃料ガス及び燃焼用空気を供給しつつ、点火電極13に、既定の一定時間、図示しないイグナイタを介して火花放電を発生させる。これにより、バーナ4の点火が行われる。
そして、個別運転制御部63は、バーナ4が着火したことをフレームロッド14の検出信号により検知すると、点火電極13の駆動を停止する。
このようにしてバーナ4の燃焼運転が開始した後は、個別運転制御部63は、以下の如く、バーナ4の燃焼量を制御する。
すなわち、個別運転制御部63は、該給湯器1の温度センサ39,40及び水量センサ38の検出信号からそれぞれ認識される給湯温度、熱交換器出湯温度及び給水流量の検出値と、目標給湯温度とを用いて、所定の演算処理(プログラム処理)を実行することで、温度センサ39による給湯温度の検出値を目標給湯温度に収束させるために必要なバーナ4の燃焼量(目標燃焼量)と、バイパス比の目標値と、給水流量の目標値とをそれぞれ逐次決定する。
さらに、個別運転制御部63は、バーナ4の目標燃焼量に応じて、その目標燃焼量に対応する量の燃焼用空気をバーナ4に供給するための燃焼ファン10の目標回転数を決定する。そして、個別運転制御部63は、図示しない回転速度センサにより検出される燃焼ファン10の実際の回転数を、決定した目標回転数に一致させるように、燃焼ファン10の電動モータに通電するファン電流を制御する。
また、個別運転制御部63は、バーナ4の目標燃焼量に応じて、第1バーナ4a及び第2バーナ4bのいずれの燃焼運転を行うかを決定し、決定した第1バーナ4a及び第2バーナ4bの一方又は両方に燃料ガスを供給すべく切替弁9a,9bの開閉を制御する。
さらに個別運転制御部63は、バーナ4の目標燃焼量に応じて(又は燃焼ファン10の回転数の検出値に応じて)、バーナ4への燃料ガスの供給量を決定して、該供給量に応じてガス比例弁8の開度を制御する。
上記の如くバーナ4の燃焼系の機器を制御することで、目標燃焼量でのバーナ4の燃焼運転が行われように、バーナ4への燃焼用空気の供給量と燃料ガスの供給量とが制御される。
また、個別運転制御部63は、実際のバイパス比を、決定した目標値に一致させるようにバイパス比調整弁36を制御する。さらに、個別運転制御部63は、実際の給水流量を決定した目標値に一致させるように水量サーボ弁37を制御する。
以上の如く、各運転対象給湯器1の制御装置61の個別運転制御部63の制御処理が実行されることで、温度センサ39により検出される実際の給湯温度が目標給湯温度に収束するように温調制御がなされる。
また、運転対象給湯器1としてバーナ4の燃焼運転を行っていた給湯器1の制御装置61の個別運転制御部63は、該給湯器1が運転対象給湯器1から除外される(該給湯器1の運転要求が無くなる)と、該給湯器1のガス元弁7を閉弁制御することで、バーナ4への燃料ガスの供給を遮断すると共に、該給湯器1の水量サーボ弁37を閉弁させる。
これにより、運転対象給湯器1から除外された給湯器1のバーナ4が消火されると共に、入水路51から該給湯器1への給水(ひいては、該給湯器1から給湯路52への通水)が遮断される。
以上が給湯システムAの基本的な作動である。
ところで、運転対象給湯器1として選定された各給湯器1において、バーナ4の燃焼運転の開始後、本体ケース2の給気口21及び排気口22の一方又は両方に作用する外風の影響、あるいは、燃焼系の機器の故障もしくは動作不良等のなんらかの原因によって、バーナ4の失火が発生する場合がある。
この場合、バーナ4の失火が発生した給湯器1を運転対象給湯器1から除外しても、他の給湯器1の給湯運転によって、給湯路52から給湯口への給湯を続行することができる。
そして、給湯器1のバーナ4の失火の発生が、外風の影響に起因するものである場合には、その失火が発生した給湯器1自体は、正常に運転を行うことができる。また、当該外風の影響は一時的なものである場合が多い。従って、該給湯器1は、少なくとも外風の影響が解消した状態では、支障なく運転対象給湯器1として給湯運転を再開することができる。
一方、給湯器1のバーナ4の失火が、外風以外の原因で発生した場合には、燃焼系の機器の故障もしくは動作不良がバーナ4の失火の原因となっている可能性がある。あるいは、給湯器1の保守、点検作業等において、業者が意図的に本体ケース2の給気口21もしくは排気口22を閉塞させることに起因して、あるいは、給気口21もしくは排気口22がゴミ等の異物により閉塞されることに起因して、バーナ4の失火が発生する場合もある。
このような場合には。当該給湯器1は、以後、運転対象給湯器1として使用することは望ましくない。
そこで、本実施形態では、バーナ4の失火が発生した給湯器1の制御装置61は、その後、有風判断部66の処理を適宜実行し、その判断結果を反映させて、該給湯器1の給湯運転を禁止したり、あるいは、該給湯運転を再開させる制御処理を実行する。
以下に、この制御処理について図5〜図7を参照して説明する。
運転対象給湯器1として選定された給湯器1の制御装置61は、バーナ4の燃焼運転の開始後、図5のフローチャートに示す処理を実行する。
STEP1において、制御装置61は、フレームロッド14の検出信号に基づいて、バーナ4の失火が発生したか否かを検知する。このSTEP1の検知処理が前記失火検知部65による処理である。
STEP1において、バーナ4の失火の発生が検知されない場合(バーナ4の燃焼運転が継続している場合)には、制御装置61は、STEP1の判断処理を継続する。
また、STEP1において、バーナ4の失火の発生が検知された場合には、当該失火が発生した給湯器1(以降、失火発生給湯器1という)の制御装置61は、STEP2の制御処理を実行する。
このSTEP2では、制御装置61は、水量サーボ弁37を閉弁制御する。併せて、制御装置61は、ガス元弁7を閉弁制御すると共に、燃焼ファン10の回転駆動を停止させる。これにより、失火発生給湯器1への給水が遮断されると共に、該失火発生給湯器1のバーナ4への燃料ガス及び燃焼用空気の供給が停止される。
なお、失火発生給湯器1の制御装置61は、失火の発生により該給湯器1の給湯運転を停止する旨を示すデータを他の制御装置61に送信する。このとき、マスター制御装置61mの統括運転制御部62は、失火発生給湯器1の代わりの給湯器1を新たな運転対象給湯器1として選定し、新たな運転対象給湯器1の給湯運転を開始させる。
ただし、失火発生給湯器1を除いた残りの運転対象給湯器1により、総給湯流量の通水を目標給湯温度まで昇温させることができる場合には、当該残りの運転対象給湯器1だけの給湯運転を継続するようにしてもよい。
失火発生給湯器1の制御装置61は、次に、有風判断部66により、STEP3,4の処理を実行することで、バーナ4の失火直前における環境状態(失火発生給湯器1の本体ケース2の周辺の環境状態)が有風状態であるか否かを判定する。
STEP3では、有風判断部66は、バーナ4の失火の発生の直前の所定期間分のファン電流の検出値を取得する。
ここで、本実施形態では、各給湯器1の制御装置61は、燃焼ファン10の運転中において、制御処理周期毎に、現在時刻から所定時間(例えば10秒)前までの所定期間分のファン電流の検出値(制御装置61の制御処理周期毎に電流センサ12に検出信号により認識されるサンプリング値)の時系列を、図示しないメモリに逐次更新しつつ、記憶保持するようにしている。
そして、STEP3では、有風判断部66は、現在時刻(失火の発生の検知時刻)から所定時間前までの所定期間分のファン電流の検出値の時系列をメモリから読みだす。これにより、有風判断部66は、バーナ4の失火の発生の直前の所定期間におけるファン電流の検出値の時系列を取得する。
次いで、STEP4では、有風判断部66は、取得したファン電流の検出値に基づき有風状態であるか否かを判定する有風判定処理を実行する。
この有風判定処理は、具体的には、図6のフローチャートに示す如く実行される。
すなわち、有風判断部66は、まず、取得したファン電流の検出値に基づき有風状態であるか否かを判定するために用いる有風判定用範囲(ファン電流の値の範囲)をSTEP21において設定する。
具体的には、有風判断部66は、STEP3で取得した所定期間分のファン電流の検出値の平均値を、有風判定用範囲の中心値として算出する。そして、有風判断部66は、該中心値の所定割合(例えば3%)の大きさδだけ、当該中心値よりも大きい値(=中心値+δ)と、当該中心値よりもδだけ小さい値(=中心値−δ)とを、それぞれ有風判定用範囲の上限値、下限値として、該有風判定用範囲を設定する。
ここで、本体ケース2の給気口21及び排気口22の一方又は両方に外風が作用する有風状態におけるファン電流の変動形態と、無風状態もしくはこれに近い状態におけるファン電流の変動形態との相違について説明しておく。
本体ケース2の給気口21及び排気口22の一方又は両方に外風が作用する有風状態では、一般に、給気口21からバーナ4に供給される燃焼用空気と、排気口22から排出される燃焼排ガスとの差圧が、比較的大きな変動幅で素早く増加(又は減少)し、さらに、比較的大きな変動幅で素早く減少(又は増加)するという特有の現象(以降、有風時差圧変動現象という)が発生する。
そして、上記差圧が変動すると、燃焼ファン10の負荷が変動することとなるため、燃焼ファン10の回転数が一定であっても、上記差圧の変動と同様の形態(波形パターン)でファン電流が変動する。
従って、有風状態でのファン電流は、上記有風時差圧変動現象に起因して、図7の実線のグラフで例示する如く、比較的大きな変動幅で素早く増加することと、比較的大きな変動幅で素早く減少することとの両方の変化を生じるように変動する。
一方、環境状態が有風状態でない場合、すなわち、無風状態もしくはこれに近い状態では、上記差圧の変動幅は、微小なものに留まると共に、該差圧の時間的な変化も比較的緩やかなもの留まる。このため、無風状態もしくはこれに近い状態でのファン電流は、燃焼ファン10の回転数が一定である場合、図7の破線のグラフで例示する如く、該ファン電流の変動幅が微小なものに留まると共に、該ファン電流の時間的な変化も緩やかなものに留まる。
なお、図7における上限側強弱判定閾値及び下限値側強弱判定閾値は、後述の第3実施形態に関するものである。
本実施形態では、有風時差圧変動現象が発生する有風状態でのファン電流の変動形態と、無風状態もしくはこれに近い状態でのファン電流の変動形態との上記の如き相違に着目し、これらの変動形態を区別し得るように有風判定用範囲が設定される。
すなわち、有風時差圧変動現象が発生する有風状態では、前記所定期間(所定時間の期間)におけるファン電流の検出値の時系列のうちの少なくとも1つの極大値が、有風判定用範囲の上限値よりも大きくなり、且つ、少なくとも1つの極小値が、有風判定用範囲の下限値よりも小さくなるという条件と、無風状態もしくはこれに近い状態では、前記所定期間におけるファン電流の検出値の時系列が有風判定用範囲内に収まるという条件とが満たされるように、有風判定用範囲が設定される。
この場合、有風判定用範囲の中心値(所定期間におけるファン電流の検出値の平均値)に対する該有風判定用範囲の幅(=2δ)の割合を、あらあじめ実験等に基づいて適切に設定しておくことで、上記の如く有風判定用範囲を設定できる。
一例として、STEP3(又は後述のSTEP8)で取得した所定期間分のファン電流の検出値が、図7の実線のグラフ又は破線のグラフで示す如く変動した場合、有風判定用範囲は図示の如く設定される。
次にSTEP22において、有風判断部66は、STEP3で取得した所定期間分のファン電流の検出値が、有風判定用範囲を上限値側に逸脱した回数Nu(詳しくは、ファン電流の検出値が有風判定用範囲内の値から上限値よりも大きい値に変化した回数)と、下限値側に逸脱した回数Nd(詳しくは、ファン電流の検出値が有風判定用範囲内の値から下限値よりも小さい値に変化した回数)とをカウントする。
ここで、STEP3で取得した所定期間分のファン電流の検出値が、有風状態での検出値である場合、該ファン電流の検出値が有風時差圧変動現象に応じて変動するので、上記回数Nu及びNdは、いずれも1回以上となる。例えば、有風状態に対応する図7の実線のグラフで示す如くファン電流の検出値が変動した場合、Nu=3、Nd=2となる。
また、STEP3で取得した所定期間分のファン電流の検出値が、無風状態もしくはこれに近い状態での検出値である場合、上記回数Nu及びNdは、いずれも0回となる。例えば無風状態もしくはこれに近い状態に対応する図7の破線のグラフで示す如くファン電流の検出値が変動した場合、Nu=Nd=0となる。
次にSTEP23において、有風判断部66は、STEP22で求めた回数Nu,Ndがいずれも1以上であるという判定条件が成立するか否かを判断する。
このとき、STEP3で取得した所定期間分のファン電流の検出値が、有風状態での検出値である場合には、STEP23の判断結果が肯定的となる。これにより、バーナ4の失火の発生の直前の所定期間において、有風時差圧変動現象が発生したことが検知される。
また、STEP3で取得した所定期間分のファン電流の検出値が、無風状態もしくはこれに近い状態での検出値である場合には、STEP23の判断結果が否定的となる。この場合には、バーナ4の失火の発生の直前の所定期間において、有風時差圧変動現象が発生していないこととなる。
そこで、有風判断部66は、STEP23の判断結果が肯定的である場合には、STEP24において、バーナ4の失火の発生の直前の環境状態が有風状態であったか無風状態であったかの判定結果を、有風状態とする。
また、有風判断部66は、STEP23の判断結果が否定的である場合には、STEP25において、バーナ4の失火の発生の直前の環境状態が有風状態であったか無風状態であったかの判定結果を、無風状態(これに近い状態を含む)とする。
以上がSTEP4の有風判定処理の詳細である。なお、有風判断部66によるSTEP3,4の処理が、本発明における失火直前有風判断手段の処理に相当するものである。
図5に戻って、制御装置61は、上記の如くSTEP4の有風判定処理を実行した後、次に、STEP5からの処理を実行する。
STEP5では、制御装置61は、有風判断部66により判定されたバーナ4の失火の発生の直前の環境状態が、有風状態であるか否かを判断する。
このSTEP5の判断結果が否定的である場合(有風判定処理での判定結果が無風状態である場合)には、燃焼系の機器の故障もしくは動作不良等、外風以外の原因に起因してバーナ4の失火が発生した可能性があることから、制御装置61は、STEP15において、失火発生給湯器1の異常が発生したことを示す報知を行う。この報知は、例えば図示しない表示器でのエラー表示、あるいは、図示しない警報ランプの点灯もしくは点滅等により視覚的に行われる。なお、スピーカもしくはブザーによる聴覚的な報知(音声又は警報音の発生)を行うようにしてもよい。
また、STEP15では、制御装置61は、失火発生給湯器1を運転禁止状態にする。該運転禁止状態は、ガス元弁7と水量サーボ弁37が閉弁状態に保持され、該失火発生給湯器1の給湯運転を行うことが禁止される状態である。
なお、失火発生給湯器1を運転禁止状態にする場合、該失火発生給湯器1の制御装置61は、運転禁止フラグをオンにし、そのことを示すデータを他の制御装置61に送信する。
そして、この場合には、マスター制御装置61mの統括運転制御部62は、以後、運転対象給湯器1を選定する場合に、運転禁止状態の給湯器1を除外して、運転対象給湯器1を選定する。
一方、STEP5の判断結果が肯定的である場合(有風判定処理での判定結果が有風状態である場合)には、制御装置61は、STEP6において、失火発生給湯器1の運転要求が有るか否かを運転要求判断部64により判断する。
ここで、STEP5の判断結果が肯定的である場合に、失火発生給湯器1は、運転禁止状態となっていない(換言すれば、運転許可状態となっている)ので、該失火発生給湯器1の給湯運転が失火の発生によって停止した後、給湯路52に総通水流量の変化等に応じて、マスター制御装置61mの統括運転制御部62が、失火発生給湯器1を再び、運転対象給湯器1として選定する場合がある。
例えば、失火発生給湯器1の給湯運転の停止後、給湯路52の通水が一旦停止され、その後、該通水が再開された場合等に、失火発生給湯器1が再び運転対象給湯器1として選定される場合がある。
このように失火発生給湯器1が再び運転対象給湯器1として選定された場合に、STEP6の判断結果が肯定的となる。
また、失火発生給湯器1の失火の発生に応じた給湯運転の停止後、該失火発生給湯器1が運転対象給湯器1として選定されていない状態では、STEP6の判断結果が否定的となる。この場合には、失火発生給湯器1の制御装置61は、運転要求判断部64によりSTEP6の判断処理を継続する。
STEP6の判断結果が肯定的になった場合には、失火発生給湯器1の制御装置61は、次に、有風判断部66により、STEP7,8,9の処理を実行することで、失火発生給湯器1の本体ケース2の周辺の現在の環境状態が有風状態であるか否かを判定する。
この場合、STEP7では、有風判断部66は、ファン電流の検出値を取得するために、燃焼ファン10をあらかじめ定めれた所定の回転数(一定回転数)で回転駆動する。
このように燃焼ファン10を回転駆動した状態で、有風判断部66は、STEP8において、所定期間分のファン電流の検出値を取得する。
すなわち、有風判断部66は、燃焼ファン10の回転駆動の開始後、所定時間(例えば10秒)の期間において、制御処理周期毎に、電流センサ12に検出信号により認識されるファン電流の検出値を図示しないメモリに時系列的に記憶保持する。そして、有風判断部66は、メモリに記憶保持したファン電流の検出値の時系列が、所定時間の期間分の個数に達すると、該ファン電流の検出値の時系列をメモリから読みだす。これにより、有風判断部66は、現在の環境状態(詳しくは、現在時刻の直前の環境状態)での所定期間分のファン電流の検出値の時系列を取得する。
次いで、STEP9において、有風判断部66は、上記の如く取得した所定期間分のファン電流の検出値の時系列を用いて、現在の環境状態が有風状態であるか否かを判定する有風判定処理を実行する。
STEP9の有風判定処理は、前記STEP4の判定処理と同じ仕方で、図6のフローチャートの処理により実行される。これにより、現在の環境状態が有風状態であるか否かの判定がなされる。なお、有風判断部66によるSTEP7〜9の処理が、本発明における失火後有風判断手段の処理に相当するものである。
上記の如くSTEP9の有風判定処理を実行した後、制御装置61は、次に、STEP10からの処理を実行する。
STEP10では、制御装置61は、有風判断部66により判定された現在の環境状態が、有風状態であるか否かを判断する。
このSTEP10の判断結果が否定的である場合(STEP9の有風判定処理での判定結果が無風状態である場合)には、制御装置61は、STEP11において、再点火処理を実行する。この再点火処理は、給湯システムAの基本的な作動に関して前記した点火制御処理と同じ仕方で行われる。
次いで、STEP12において、制御装置61は、バーナ4の再点火が失敗したか否かを判断する。この場合、図示しないイグナイタによる点火電極13の駆動を所定時間以上、実行しても、フレームロッド14の検出信号によりバーナ4の着火が検知されない場合に、バーナ4の再点火が失敗したと判断される。
また、上記所定時間内に、バーナ4の着火が検知された場合には、バーナ4の再点火が成功したと判断される。
そして、バーナ4の再点火が成功した場合(STEP12の判断結果が否定的となった場合)には、制御装置61は、STEP1からの処理を繰り返す。
また、バーナ4の再点火が失敗した場合(STEP12の判断結果が肯定的となった場合)は、有風状態でないのに、バーナ4の点火を正常に行うことができない状況である。このような状況では、失火発生給湯器1の燃焼系の機器の故障もしくは動作不良等が発生している虞れがある。
そこで、この場合には、制御装置61は、前記STEP15の処理を実行する。これにより、失火発生給湯器1の異常が発生したことを示す報知がなされると共に、失火発生給湯器1が運転禁止状態とされる。
一方、STEP10の判断結果が肯定的である場合(STEP9の有風判定処理での判定結果が有風状態である場合)には、失火発生給湯器1の本体ケース2の給気口21及び排気口22の一方又は両方に作用している外風の影響で、バーナ4を点火させることができないか、あるいは、該バーナ4が一旦着火しても、失火が発生しやすいと考えられる。
そこで、この場合には、制御装置61は、STEP13において、燃焼ファン10の回転駆動を停止させた上で、STEP14において、あらかじめ定めれた一定時間(例えば3分)、失火発生給湯器1を待機状態にする。この待機状態では、失火発生給湯器1は、当該一定時間が経過するまで、運転禁止状態とされる。この運転禁止状態は、STEP15の運転禁止状態と同様の状態であり、失火発生給湯器1の給湯運転を行うことが禁止される。
なお、上記一定時間は、該一定時間の期間で、有風状態が継続するか、もしくは頻繁に発生する可能性が高いことが予測される時間である。
そして、当該一定時間が経過した後は、制御装置61は、失火発生給湯器1の待機状態(運転禁止状態)を解除し、STEP6からの処理を改めて実行する。
なお、失火発生給湯器1が待機状態である旨は、該失火発生給湯器1の制御装置61から他の給湯器1の制御装置61に送信される。そして、マスター制御装置61mの統括運転制御部62は、失火発生給湯器1が待機状態となっている期間は、該失火発生給湯器1を除外して、運転対象給湯器1を選定する。
以上が、本実施形態の給湯システムAの作動の詳細である。
かかる本実施形態の給湯システムAによれば、運転対象給湯器1の給湯運転中に、該給湯器1の本体ケース2の給気口21及び排気口22の一方又は両方に作用する外風の影響でバーナ4の失火が発生した場合には、その後、該給湯器1の運転要求が発生した場合(該給湯器1が運転対象給湯器1として選定された場合)に、該給湯器1の本体ケース2の周辺の環境状態が有風状態あるか否かが有風判断部66により判断される。
そして、有風判断部66により有風状態でないと判断された場合に、すなわち、外風の影響でバーナ4の失火が発生する虞れがない場合に、失火発生給湯器1の再点火処理が実行される。
従って、外風の影響でバーナ4の失火が発生した失火発生給湯器1の給湯運転を円滑に再開することができる。
また、外風の影響でバーナ4の失火が発生した失火発生給湯器1の運転要求が発生した場合に、有風判断部66により有風状態である判断される状況では、該有風状態が継続するか、もしくは頻繁に発生する可能性が高いことが予測される一定時間は、該失火発生給湯器1が待機状態とされ、該失火発生給湯器1の給湯運転が禁止される。
このため、当該一定時間の期間、すなわち、有風判断部66の処理を仮に実行しても、有風状態であると判断される可能性が高く、ひいては、失火発生給湯器1についての再点火処理を実行しないこととなる可能性が高い期間では、失火発生給湯器1が運転対象給湯器1として選定されないこととなって、有風判断部66による有風判定処理が実行されない。ひいては、該有風判定処理のために、燃焼ファン10を作動させることも行われない。
従って、有風判断部66の処理、ひいては、有風判定処理のために燃焼ファン10を回転駆動することを必要以上に頻繁に実行することとなるのを防止できる。このため、有風判断部66(ひいては、制御装置61)の演算処理負荷を軽減できると共に、燃焼ファン10の回転駆動のための電力消費を軽減することができる。
また、失火発生給湯器1の失火の発生の直前における環境状態が有風状態でないと判断された場合、すなわち、燃焼用機器の故障もしくは動作不良等、外風以外の原因でバーナ4の失火が発生した場合には、該失火発生給湯器1が以後、運転禁止状態とされる。このため、正常な給湯運転を行うことができない可能性が高い失火発生給湯器1について、有風判定処理を無駄に行ったり、該失火発生給湯器1についての無駄な再点火処理(ひいてはバーナ4への燃料ガスの供給)を行うのを防止できる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図8及び図9を参照して説明する。なお、本実施形態は、図5のSTEP4及びSTEP9の有風判定処理だけが、第1実施形態と相違するものである。このため、本実施形態の説明は、第1実施形態と相違する事項を中心に行い、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
本実施形態では、STEP4及びSTEP9の有風判定処理では、失火発生給湯器1の制御装置61の有風判断部66は、メモリに記憶保持した所定期間分のファン電流の検出値の瞬時変化率(制御装置61の制御処理周期毎の時間的変化率)に基づいて、有風状態であるか否かを判定する。
具体的には、本実施形態における有風判定処理は、図8のフローチャートに示す如く実行される。
以下説明すると、有風判断部66は、STEP3又は8で取得した所定期間分のファン電流の検出値の時系列を用いて、制御装置61の制御処理周期毎のファン電流の時間的変化率を、ファン電流の瞬時変化率として算出する処理をSTEP31で実行する。
ここで、第1実施形態で説明したように、有風状態でのファン電流は、有風時差圧変動現象に起因して、比較的大きな変動幅で素早く増加することと、比較的大きな変動幅で素早く増加することとの両方の変化を生じるように変動する。
一方、無風状態もしくはこれに近い状態でのファン電流は、ファン電流の変動幅が微小なものに留まると共に、該ファン電流の時間的な変化も緩やかなものに留まる。
従って、前記所定期間におけるファン電流の瞬時変化率に着目した場合、有風状態でのファン電流の瞬時変化率は、図9の実線のグラフで例示する如く、比較的大きな変動幅で増加及び減少するように変動する。
また、無風状態もしくはこれに近い状態での、ファン電流の瞬時変化率は、図9の破線のグラフで例示する如く、その値の電動幅が比較的小さなものに留まる。
そこで、本実施形態では、有風判断部66は、失火発生給湯器1の本体ケース2の周辺の環境状態(STEP4では、バーナ4の失火発生の直前の環境状態、STEP9では、現在時刻の直前の環境状態)が有風状態であるか否かを判定するために、STEP32において、ファン電流の瞬時変化率の有風判定用範囲を設定する。
この有風判定用範囲は、有風時差圧変動現象が発生する有風状態でのファン電流の瞬時変化率の変動形態と、無風状態もしくはこれに近い状態でのファン電流の瞬時変化率の変動形態とを区別し得るように設定される。
すなわち、有風時差圧変動現象が発生する有風状態では、前記所定期間(所定時間の期間)におけるファン電流の検出値の瞬時変化率の時系列のうちの少なくとも1つの極大値が、有風判定用範囲の上限値よりも大きくなり、且つ、少なくとも1つの極小値が、有風判定用範囲の下限値よりも小さくなるという条件と、無風状態もしくはこれに近い状態では、前記所定期間におけるファン電流の検出値の瞬時変化率の時系列が有風判定用範囲内に収まるという条件とが満たされるように、有風判定用範囲が設定される。
この有風判定用範囲は、本実施形態では、ゼロを中心値とする所定の一定幅の範囲である。この場合、有風判定用範囲の幅を、あらあじめ実験等に基づいて適切に設定しておくことで、上記の如く有風判定用範囲を設定できる。該有風判定用範囲は例えば図9に示す如く設定される。
なお、図9における上限側強弱判定閾値及び下限側強弱判定閾値は、後述の第4実施形態に関するものである。
次にSTEP33において、有風判断部66は、STEP31で算出した所定期間分のファン電流の瞬時変化率が、有風判定用範囲を上限値側に逸脱した回数Nu(ファン電流の瞬時変化率が有風判定用範囲内の値から上限値よりも大きい値に変化した回数)と、下限値側に逸脱した回数Nd(ファン電流の瞬時変化率が有風判定用範囲内の値から下限値よりも小さい値に変化した回数)とをカウントする。
STEP3又は8で取得した所定期間分のファン電流の検出値が、有風状態での検出値である場合、ファン電流の瞬時変化率の変動幅が比較的大きいので、上記回数Nu及びNdは、いずれも1回以上となる。例えば、有風状態に対応する図9の実線のグラフで示す如くファン電流の瞬時変化率が変動した場合、Nu=6、Nd=7となる。
また、STEP3又は8で取得した所定期間分のファン電流の検出値が、無風状態もしくはこれに近い状態での検出値である場合、ファン電流の瞬時変化率の変動幅が小さいので、上記回数Nu及びNdは、いずれも0回となる。例えば無風状態もしくはこれに近い状態に対応する図9の破線のグラフで示す如くファン電流の瞬時変化率が変動した場合、Nu=Nd=0となる。
次にSTEP34において、有風判断部66は、STEP33で求めた回数Nu,Ndがいずれも1以上であるという判定条件が成立するか否かを判断する。
このとき、STEP3又は8で取得した所定期間分のファン電流の検出値が、有風状態での検出値である場合には、STEP34の判断結果が肯定的となる。これにより、前記所定期間において、有風時差圧変動現象が発生したことが検知される。
また、STEP3又は8で取得した所定期間分のファン電流の検出値が、無風状態もしくはこれに近い状態での検出値である場合には、STEP34の判断結果が否定的となる。この場合には、前記所定期間において、有風時差圧変動現象が発生していないこととなる。
そこで、有風判断部66は、STEP34の判断結果が肯定的である場合には、STEP35において、前記所定期間における環境状態が有風状態であるか無風状態であるかの判定結果を、有風状態とする。
また、有風判断部66は、STEP34の判断結果が否定的である場合には、STEP36において、前記所定期間における環境状態が有風状態であるか無風状態であるかの判定結果を、無風状態(これに近い状態を含む)とする。
以上が本実施形態における有風判定処理の詳細である。
本実施形態は、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同じである。
以上説明した本実施形態は、STEP4,9の有風判定処理だけが第1実施形態と相違するものである。従って、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図10及び図11を参照して説明する。なお、本実施形態は、失火発生給湯器1に関する一部の制御処理だけが第1実施形態と相違するものである。従って、本実施形態の説明は、第1実施形態と相違する事項を中心に行い、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
図10を参照して、本実施形態では、失火発生給湯器1に関する制御処理のうち、STEP41〜48及びSTEP57の処理は、それぞれ、第1実施形態における図5のSTEP1〜8、15の処理と同じである。
そして、本実施形態では、STEP49からの制御処理が第1実施形態と相違している。
この場合、STEP49の有風判定処理、すなわち、失火発生給湯器1の失火発生後の運転停止状態で、該失火発生給湯器1の運転要求があった場合に制御装置61の有風判断部66が実行する有風判定処理(本発明における失火後有風判定手段の処理に相当する処理)は、図11のフローチャートに示す如く実行される。
この有風判定処理では、有風判断部66は、まず、STEP61〜65において、第1実施形態における図6のSTEP21〜25と同じ処理を実行することで、現在の環境状態(失火発生給湯器1の本体ケース2の周辺の環境状態)が有風状態であるか否かの判定を行う。
このとき、STEP65で無風状態である(有風状態でない)と判定された場合には、STEP49の有風判定処理は終了する。
一方、STEP64で有風状態であると判定された場合には、有風判断部66は、さらにSTEP66からの処理によって、本体ケース2の給気口21及び排気口22の一方又は両方に作用する外風の強弱を判定する。この判定は、外風の強さが、バーナ4への燃料ガス及び燃焼用空気の供給量を通常よりも増量させることでバーナ4の点火を行い得る程度の強さであるか否かを判定するためのものである。
具体的には、有風判断部66は、STEP66において、所定期間分のファン電流の検出値(図10のSTEP48で取得した検出値)のうちの最大値と最小値とを求める。
ここで、本願発明者の各種実験、検討によれば、本体ケース2の給気口21及び排気口22の一方又は両方に作用する外風が強い(風速が大きい)ほど、上記最大値がより大きくなり、あるいは、上記最小値がより小さくなる傾向がある。
そこで、有風判断部66は、ファン電流の検出値の最大値が、所定の上限側強弱判定閾値より大きいか、又は、ファン電流の検出値の最小値が所定の下限側強弱判定閾値よりも小さいという判定条件が成立するか否かをSTEP67で判断する。
この場合、上記上限側判定閾値は、STEP61で設定する有風判定用範囲の上限値よりもあらかじめ定めた所定量だけ大きい値に設定される。また、下限側判定閾値は、STEP61で設定される有風判定用範囲の下限値よりもあらかじめ定めた所定量だけ大きい値に設定される。
例えば、有風判定用範囲の中心値の3%だけ該中心値よりも大きい値と、該中心値の3%だけ該中心値よりも小さい値とが、それぞれ該有風判定用範囲の上限値、下限値であるとした場合、有風判定用範囲の中心値の15%だけ該中心値よりも大きい値と、該中心値15%だけ該中心値よりも小さい値とが、それぞれ上限側強弱判定閾値、下限側強弱判定閾値として設定される。このように設定される上限側強弱判定閾値、下限側強弱判定閾値の例が、図7に示されている。
そして、有風判断部66は、STEP67の判断結果が肯定的である場合(最大値>上限側強弱判定閾値、又は、最小値<下限側強弱判定閾値である場合)には、STEP68で外風の強弱が強いと判定する。また、STEP67の判断結果が否定的である場合(最大値≦上限側強弱判定閾値、且つ、最小値≧下限側強弱判定閾値である場合)には、有風判断部66は、STEP69で外風の強弱が弱いと判定する。例えば、ファン電流の検出値が図7の実線のグラフで示すように変化した場合には、外風の強弱が弱いと判定される。
この場合、外風の強弱が弱いと判定される状況は、失火発生給湯器1が正常であれば、バーナ4に供給する燃料ガス及び燃料用空気の量を通常よりも多めにすることで、バーナ4の点火を正常に行い得る可能性が高い状況である。
また、外風の強弱が強いと判定される状況は、バーナ4に供給する燃料ガス及び燃料用空気の量を通常よりも多めにしても、バーナ4の点火を正常に行うことができない可能性が高い状況である。
本実施形態では、以上如くSTEP49の有風判定処理が実行される。これにより、有風状態であると判定される場合には、さらに外風の強弱が判定される。
補足すると、本実施形態では、STEP43,44の処理が、本発明における失火直前有風判断手段の処理に相当し、STEP47〜49の処理が、本発明における失火後有風判断手段に相当する。
図10の説明に戻って、失火発生給湯器1の制御装置61は、STEP49の有風判定処理を実行した後、STEP50からの処理を実行する。
STEP50では、制御装置61は、有風判断部66により判定された現在の環境状態が、有風状態であるか否かを判断する。
このSTEP50の判断結果が否定的である場合(STEP49の有風判定処理での判定結果が無風状態である場合)には、制御装置61は、STEP51において、再点火処理を実行する。さらに、STEP52において、制御装置61は、バーナ4の再点火が失敗したか否かを判断する。これらのSTEP51,52の処理は、第1実施形態における図5のSTEP11,12の処理と同じである。
そして、制御装置61は、バーナ4の再点火が成功した場合(STEP52の判断結果が否定的となった場合)には、STEP41からの処理を繰り返す。
また、バーナ4の再点火が失敗した場合(STEP52の判断結果が肯定的となった場合)は、第1実施形態における図5のSTEP15と同じ処理をSTEP57で実行する。
一方、STEP50の判断結果が肯定的である場合(STEP49の有風判定処理での判定結果が有風状態である場合)には、制御装置61は、STEP49の有風判定処理での外風の強弱の判定結果をSTEP53で判断する。
そして、STEP53において、外風の強弱の判定結果が弱である場合(STEP53の判断結果が肯定的である場合)には、制御装置61は、STEP54において、再点火処理を実行し、さらに、前記STEP52において、バーナ4の再点火が失敗したか否かを判断する。
この場合、STEP54の再点火処理では、制御装置61は、バーナ4への燃料ガス及び燃焼用空気の供給量を、STEP51で再点火処理を実行する場合(無風状態であると判定された状況下で、再点火処理を実行する場合)よりも、所定量だけ増量させるようにガス比例弁8の開度と、燃焼ファン10の回転数とを制御する。
このとき、失火発生給湯器1の本体ケース2の給気口21及び排気口22の一方又は両方に外風が作用しているものの、その外風は比較的弱いものであり、また、再点火処理におけるバーナ4への燃料ガス及び燃焼用空気の供給量が増量される。このため、失火発生給湯器1が正常であれば、バーナ4の燃焼運転を円滑に再開させることができる。
また、STEP53において、外風の強弱の判定結果が強である場合(STEP53の判断結果が否定的である場合)には、制御装置61は、STEP55において、燃焼ファン10の回転駆動を停止させた上で、STEP56において、あらかじめ定めれた一定時間(例えば3分)、失火発生給湯器1を待機状態にする。このSTEP56の処理は、第1実施形態における図5のSTEP14の処理を同じである。そして、制御装置61は、失火発生給湯器1を一定時間、待機状態とした後に、失火発生給湯器1の待機状態(運転禁止状態)を解除し、STEP46からの処理を改めて実行する。
本実施形態は、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同じである。
かかる本実施形態の給湯システムAによれば、運転対象給湯器1の給湯運転中に、該給湯器1の本体ケース2の給気口21及び排気口22の一方又は両方に作用する外風の影響でバーナ4の失火が発生した場合には、その後、該給湯器1の運転要求が発生した場合(該給湯器1が運転対象給湯器1として選定された場合)に、該給湯器1の本体ケース2の周辺の環境状態が有風状態あるか否かが有風判断部66により判定される。
さらに、有風状態であると判定される場合には、外風の強弱も有風判断部66により判定される。
そして、有風判断部66により有風状態でないと判断された場合に、第1実施形態と同様に失火発生給湯器1の再点火処理が実行される。
さらには、有風判断部66により有風状態であり、且つ、外風が弱いと判断された場合にも、失火発生給湯器1の再点火処理が実行される。ただし、この再点火処理では、バーナ4を点火させるために該バーナ4に供給する燃料ガス及び燃焼用空気の量が、有風状態でない場合よりも増量される。
従って、有風判断部66により有風状態でないと判断された場合はもちろん、有風状態であり、且つ、外風が弱いと判断された場合にも、失火発生給湯器1のバーナ4の再点火を円滑に行って、該失火発生給湯器1の給湯運転を円滑に再開することができる。
また、外風の影響でバーナ4の失火が発生した失火発生給湯器1の運転要求が発生した場合に、有風判断部66により有風状態であって、且つ、外風が強いと判断される状況では、該強風の有風状態が継続するか、もしくは頻繁に発生する可能性が高いことが予測される一定時間は、該失火発生給湯器1が待機状態とされ、該失火発生給湯器1の給湯運転が禁止される。
このため、当該一定時間の期間、すなわち、有風判断部66の処理を仮に実行しても、有風状態であって、且つ外風が強いと判断される可能性が高く、ひいては、失火発生給湯器1についての再点火処理を実行しないこととなる可能性が高い期間では、失火発生給湯器1が運転対象給湯器1として選定されないこととなって、有風判断部66による有風判定処理が実行されない。ひいては、該有風判定処理のために、燃焼ファン10を作動させることも行われない。
従って、第1実施形態と同様に、有風判断部66の処理、ひいては、有風判定処理のために燃焼ファン10を回転駆動することを必要以上に頻繁に実行することとなるのを防止できる。このため、有風判断部66(ひいては、制御装置61)の演算処理負荷を軽減できると共に、燃焼ファン10の回転駆動のための電力消費を軽減することができる。
また、失火発生給湯器1の失火の発生の直前における環境状態が有風状態でないと判断された場合、すなわち、燃焼用機器の故障もしくは動作不良等、外風以外の原因でバーナ4の失火が発生した場合には、該失火発生給湯器1が以後、運転禁止状態とされる。このため、第1実施形態と同様に、正常な給湯運転を行うことができない可能性が高い失火発生給湯器1について、有風判定処理を無駄に行ったり、該失火発生給湯器1についての無駄な再点火処理(ひいてはバーナ4への燃料ガスの供給)を行うのを防止できる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を図12を参照して説明する。なお、本実施形態は、図10のSTEP44及びSTEP49の有風判定処理だけが、第3実施形態と相違するものである。このため、本実施形態の説明は、第3実施形態と相違する事項を中心に行い、第3実施形態と同一の事項については説明を省略する。
本実施形態では、STEP44の有風判定処理では、前記第2実施形態におけるSTEP4の有風判定処理と同じ処理を実行することで、ファン電流の瞬時変化率を用いて、バーナ4の失火発生の直前の環境状態が有風状態であるか否かが判定される。
また、本実施形態におけるSTEP49の有風判定処理は、すなわち、失火発生給湯器1の失火発生後の運転停止状態で、該失火発生給湯器1の運転要求があった場合に制御装置61の有風判断部66が実行する有風判定処理は、図12のフローチャートに示す如く実行される。
この有風判定処理では、有風判断部66は、まず、STEP71〜76において、第2実施形態における図8のSTEP31〜36と同じ処理を実行することで、現在の環境状態が有風状態であるか否かの判定を行う。
このとき、STEP76で無風状態である(有風状態でない)と判定された場合には、STEP49の有風判定処理は終了する。
一方、STEP75で有風状態であると判定された場合には、有風判断部66は、さらにSTEP77からの処理によって、本体ケース2の給気口21又は排気口22に作用する外風の強弱を判定する。
具体的には、有風判断部66は、STEP77において、所定期間分のファン電流の瞬時変化率(STEP71で算出した瞬時変化率)のうちの最大値と最小値とを求める。
ここで、本願発明者の各種実験、検討によれば、ファン電流の瞬時変化率についても、本体ケース2の給気口21及び排気口22の一方又は両方に作用する外風が強い(風速が大きい)ほど、上記最大値がより大きくなり、あるいは、上記最小値がより小さくなる傾向がある。
そこで、有風判断部66は、ファン電流の瞬時変化率の最大値が、所定の上限側強弱判定閾値より大きいか、又は、ファン電流の検出値の最小値が所定の下限側強弱判定閾値よりも小さいという判定条件が成立するか否かをSTEP78で判断する。
この場合、上記上限側強弱判定閾値は、STEP72で設定する有風判定用範囲の上限値よりもあらかじめ定めた所定量だけ大きい値に設定される。また、下限側強弱判定閾値は、STEP72で設定される有風判定用範囲の下限値よりもあらかじめ定めた所定量だけ大きい値に設定される。このように設定される上限側強弱判定閾値、下限側強弱判定閾値の例が、図9に示されている。
そして、有風判断部66は、STEP78の判断結果が肯定的である場合(最大値>上限側強弱判定閾値、又は、最小値<下限側強弱判定閾値である場合)には、STEP79で外風の強弱が強いと判定する。また、STEP79の判断結果が否定的である場合(最大値≦上限側強弱判定閾値、且つ、最小値≧下限側強弱判定閾値である場合)には、有風判断部66は、STEP80で外風の強弱が弱いと判定する。例えば、ファン電流の瞬時変化率が図9の実線のグラフで示すように変化した場合には、外風の強弱が弱いと判定される。
なお、第3実施形態の場合と同様に、本実施形態においても、外風の強弱が弱いと判定される状況は、失火発生給湯器1が正常であれば、バーナ4に供給する燃料ガス及び燃料用空気の量を通常よりも多めにすることで、バーナ4の点火を正常に行い得る可能性が高い状況である。
また、外風の強弱が強いと判定される状況は、バーナ4に供給する燃料ガス及び燃料用空気の量を通常よりも多めにしても、バーナ4の点火を正常に行うことができない可能性が高い状況である。
本実施形態では、以上如くSTEP49の有風判定処理が実行される。これにより、第3実施形態と同様に、有風状態であると判定される場合には、さらに外風の強弱が判定される。
本実施形態は、以上説明した事項以外は、第3実施形態と同じである。
以上説明した本実施形態は、STEP44,49の有風判定処理だけが第3実施形態と相違するものである。従って、第3実施形態と同様の効果を奏することができる。
[変形態様]
次に、以上説明した第1〜第4実施形態に関する変形態様をいくつか説明する。
前記第1〜第4実施形態では、給気口21からバーナ4に供給される燃焼用空気と、排気口22から排出される燃焼排ガスとの差圧の変化に応じた信号を出力する差圧応動信号出力手段として、ファン電流を検出する電流センサ12を使用した。ただし、差圧応動信号出力手段として、給気口21からバーナ4に供給される燃焼用空気と排気口22から排出される燃焼排ガスとの差圧を直接的に検出する圧力センサを使用してもよい。
あるいは、例えば、燃焼排ガス中のCO(一酸化炭素)の濃度を検出するように燃焼筐3内に配置したCOセンサを差圧応動信号出力手段として使用することも可能である。この場合、給気口21あるいは排気口22に外風が作用すると、バーナ4に供給される燃焼用空気量が変動することで、結果的に、COセンサの検出信号が上記差圧と同様の形態で変動する。
このように、電流センサ12に限らず、上記差圧応動信号出力手段を備えることで、該差圧応動信号出力手段の出力に基づいて、本体ケース2の周辺の環境状態が有風状態であるか否か、さらには、有風状態である場合の外風の強弱を判定できる。
さらに、有風状態であるか否かや、外風の強弱を判断する手法は、差圧応動信号出力手段の出力に基づく手法に限らず、他の手法を採用してもよい。例えば、失火後有風判断手段は、風速センサ等を用いて有風状態であるか否かや、外風の強弱を判断するようようにしてもよい。
また、前記第1実施形態又は第3実施形態では、有風状態であるか否かを判定するための有風判定用範囲の中心値として、所定期間(所定時間の期間)におけるファン電流の検出値の平均値を使用した。
ただし、所定期間におけるファン電流の検出値を線形近似することにより得られる線形関数(一次関数)における各時刻の値(制御処理周期毎の値)を、その時刻での中心値として、有風判定用範囲を設定するようにしてもよい。
この場合、上記線形関数は、例えば最小二乗法により求めることができる。あるいは、例えば前記所定期間の開始時及び終了時におけるファン電流の検出値から、それらの検出値に対応する2つの点を結ぶ直線の式を、線形関数として得るようにしてもよい。
また、前記第1実施形態及び第2実施形態では、STEP4及び9の有風判定処理を同じ処理としたが、互いに異なる処理であってもよい。例えば、第1実施形態におけるSTEP4,9のいずれか一方の有風判定処理を、第2実施形態における有風判定処理に変更したり、第2実施形態におけるSTEP4,9のいずれか一方の有風判定処理を、第1実施形態における有風判定処理に変更してもよい。
同様に、例えば第3実施形態におけるSTEP44の有風判定処理を、第4実施形態におけるSTEP49の有風判定処理に変更したり、あるいは、第3実施形態におけるSTEP49の有風判定処理を、第4実施形態におけるSTEP44の有風判定処理に変更してもよい。
また、前記第1〜第4実形態では、失火発生給湯器1の失火が発生した場合に、その失火の発生の直前の環境状態が有風状態であるか否かを判定するようにした。ただし、その処理を省略するようにしてもよい。すなわち、第1実施形態及び第2実施形態におけるSTEP3〜5の処理を省略したり、第3実施形態及び第4実施形態におけるSTEP43〜45の処理を省略してもよい。
また、前記第1〜第4実形態では、失火発生給湯器1の失火の発生後、該失火発生給湯器1の運転要求があった場合に、有風判断部66による処理を実行するようにした。ただし、例えば失火発生給湯器1の失火の発生後、運転要求の有無によらずに、連続的もしくは間欠的に有風判断部66の処理を実行しておき、失火発生給湯器1の運転要求が発生した時点もしくはその直前における有風判断部66の判定結果を反映させて、失火発生給湯器1の再点火処理等を実行するようにしてもよい。