JP5924750B2 - Cd82陽性心筋前駆細胞 - Google Patents

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Description

本発明は、CD73、CD44、CD105、CD121a、CD18、及びCD120aから選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陰性である、心筋前駆細胞として使用するためのCD82陽性細胞や、かかるCD82陽性細胞を含む心疾患治療剤や、上記CD82陽性細胞の調製方法や、かかる調製方法により得られた、心筋前駆細胞として使用するためのCD82陽性細胞に関する。
心疾患は、先進諸国において死因の上位を占めており、例えば、2011〜2013年の厚生労働省の死因統計資料によると、日本における死因は心疾患が2番目に高いことが報告されている。
狭心症及び心筋梗塞の虚血性心疾患は、冠動脈の中が狭くなったり、冠動脈に血栓が詰まったりすることで心筋への血流が滞ることが原因で発症する。この虚血性心疾患を治療するために、カテーテルを用いて血流を改善させるインターベンション治療が行われているが、一旦壊死に陥った心筋は、インターベンション治療により再生することはできない。このため、虚血解除後の生存心筋の減少によりもたらされる重症心不全といった病態や、虚血を原因としないが慢性進行性に心筋細胞が徐々に失われ心不全へ移行する病態等の心疾患において、有効な治療法がないことが臨床的な問題とされている。
多能性幹細胞は、生体に存在する全ての細胞へと分化できる能力を有する細胞であり、胚性幹細胞(ES細胞)はその代表例である。ヒトES細胞はこの性質を利用して心筋再生医療等の再生医療への応用が期待されているが、分化させたES細胞の移植により、拒絶反応が惹起してしまうという問題がある。
近年、山中らのグループにより、マウス体細胞を用いて4因子(Oct3/4、Sox2、Klf4、及びc−myc)の発現により脱分化を誘導し、ES細胞に近い多能性や増殖能を有する誘導多能性幹細胞、いわゆるiPS細胞(Induced pluripotent stem cell)の開発が報告され(非特許文献1)、その後、ヒトの分化細胞からもiPS細胞を作製できることが報告されている(非特許文献2)。かかるヒトiPS細胞は、治療対象となる患者由来の細胞を用いて作製できることから、拒絶反応のない心筋組織調製のためのツールとして期待される。このため、一日も早いヒトiPS細胞を用いた心筋再生療法の確立が望まれている。
ヒトiPS細胞を用いた心筋再生療法において、供給源となる細胞は、ヒトiPS細胞から分化誘導した心筋細胞と、その分化前段階にあたる心筋前駆細胞が候補として考えられる。
ヒトiPS細胞から分化誘導した心筋細胞を用いて心筋再生療法を行う場合、心筋細胞はほとんど増殖せず、また、レシピエントの心臓への生着効率も低いため、移植に十分な数の心筋細胞をヒトiPS細胞から分化誘導し、心臓への生着効率を高めた心筋細胞シートを作製した後、投与することが考えられる。
他方、心筋前駆細胞を用いて心筋再生療法を行う場合、まずは心筋に特異的に分化する前駆細胞を単離することが鍵となる。心筋前駆細胞として、例えば、Gordon KellerらによりKDR陽性PDGFRα陽性細胞が報告されている(非特許文献3、4)。しかし、KDR及びPDGFRαは、早期の中胚葉においても発現が認められることから、心筋特異的分化能を有した細胞群を特定できる細胞表面マーカーとはいえない。また最近では、Irving L.WeissmanらによりCD13及びROR2が心筋及び血管の前駆細胞(心血管前駆細胞)の細胞表面マーカーとして報告されている(非特許文献5)。確かに、CD13陽性ROR2陽性細胞には、心筋に分化しうる細胞は含まれるものの、心筋以外の血管内皮や血管壁にも分化しうる細胞も含まれる。また、原始線条(primitive streak)期の早期の中胚葉においてもCD13及びROR2の発現が認められることから、CD13及びROR2は心筋特異的分化能を有した細胞群を特定できる細胞表面マーカーとはいえない。その他、Nkx2.5、islet1、Tbx5、Tbx20、GATA4、MEF2C等が心筋前駆細胞のマーカーとして報告されているが(非特許文献6)、これらはいずれも細胞表面マーカーではなく、転写因子であることから、これら転写因子が発現する心筋前駆細胞を単離する場合、遺伝子改変等が必要となり、そのままの状態の心筋前駆細胞を単離することができない。また、心筋組織を採取し、その中に含まれる心筋細胞への分化能に優れた多能性幹細胞を直接選択・単離する方法が報告されているが(特許文献1)、心筋組織を供給源としている点で、治療に十分な細胞数が得られる保証はなく、臨床応用できるか疑問である上に、心筋組織のドナーを得る必要がある点で汎用性に優れているとはいい難い。このため、心筋特異的分化能を有する心筋前駆細胞の細胞表面マーカーを同定することが必要とされていた。
国際公開第2006/093276号パンフレット
Takahashi, K. et al., Cell 126: 663-676 (2006) Takahashi, K. et al., Cell 131: 861-872 (2007) Abbott, G.W. et al., Nature 453: 524-528 (2008) Kattman, S.J. et al., Cell Stem Cell 8: 228-240 (2011) Ardehali, R. et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 110: 3405-3410 (2013) Burridge, P.W. et al., Cell Stem Cell 10: 16-28 (2012)
本発明の課題は、心筋細胞へ特異的に分化誘導される心筋前駆細胞や、かかる心筋前駆細胞を調製する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を続けている。その過程において、ヒトiPS細胞から心筋細胞への分化誘導処理後、4日目から5日目にかけて、心筋細胞に特異的に分化する心筋前駆細胞が出現し始めることを見いだした。また、かかる心筋前駆細胞がCD82陽性細胞であることも見いだした。さらに、かかるCD82陽性細胞は、インビトロ及びインビボでの解析により、様々な培養条件や組織・臓器への移植においても常に効率よく心筋細胞に分化誘導されることを確認した。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、(1)以下の[細胞表面マーカーA群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陰性である、心筋前駆細胞として使用するためのCD82陽性細胞に関する。
[細胞表面マーカーA群]
CD73、CD44、CD105、CD121a、CD18、CD120a
また本発明は、(2)単離された上記(1)記載のCD82陽性細胞や、(3)以下の[細胞表面マーカーB群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陰性、及び/又は、以下の[細胞表面マーカーC群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陽性である、上記(1)又は(2)記載のCD82陽性細胞に関する。
[細胞表面マーカーB群]
CD7、CD37、CD43、CD144、STRO−1、CD177、CD163
[細胞表面マーカーC群]
CD137L、CD140b、CD180、CD252、CD344、CD118、CD99R
また本発明は、(4)以下の[細胞表面マーカーD群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陰性、及び/又は、以下の[細胞表面マーカーE群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陽性である、上記(1)〜(3)のいずれか記載のCD82陽性細胞に関する。
[細胞表面マーカーD群]
CD49a、CD117、CD31、CD106、CD45、CD14、HLA−DR、CD38、CD121b、CD122、CD124、CD126、CD127、CD11a、CD104、CD62e、CD62l、CD62p、CD120b、CD34、CD4
[細胞表面マーカーE群]
CD166、CD304、CD90
また本発明は、(5)以下の[細胞表面マーカーF群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陽性である、上記(1)〜(4)のいずれか記載のCD82陽性細胞に関する。
[細胞表面マーカーF群]
ROR2、CD13、PDGFRα、KDR
また本発明は、(6)凍結保存された上記(1)〜(5)のいずれか記載のCD82陽性細胞に関する。
また本発明は、(7)上記(1)〜(6)のいずれか記載のCD82陽性細胞を含む心疾患治療剤に関する。
また本発明は、(8)以下の工程(a)〜(c)を備えたCD82陽性細胞の調製方法に関する。
(a)幹細胞を取得する工程;
(b)幹細胞に対して心血管系細胞への分化誘導処理を行う工程;
(c)工程(b)で分化誘導処理した幹細胞の中から、以下の[細胞表面マーカーA群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陰性であるCD82陽性細胞を分離する工程;
[細胞表面マーカーA群]
CD73、CD44、CD105、CD121a、CD18、CD120a
また本発明は、(9)幹細胞がヒト多能性幹細胞である上記(8)記載の調製方法や、(10)ヒト多能性幹細胞がヒト誘導多能性幹細胞である上記(9)記載の調製方法や、(11)心血管系細胞への分化誘導処理が心筋前駆細胞への分化誘導処理である上記(8)〜(10)のいずれか記載の調製方法や、(12)CD82陽性細胞が、以下の[細胞表面マーカーB群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陰性、及び/又は、以下の[細胞表面マーカーC群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陽性である、上記(8)〜(11)のいずれか記載の調製方法に関する。
[細胞表面マーカーB群]
CD7、CD37、CD43、CD144、STRO−1、CD177、CD163
[細胞表面マーカーC群]
CD137L、CD140b、CD180、CD252、CD344、CD118、CD99R
また本発明は、(13)CD82陽性細胞が、以下の[細胞表面マーカーD群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陰性、及び/又は、以下の[細胞表面マーカーE群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陽性である、上記(8)〜(12)のいずれか記載の調製方法に関する。
[細胞表面マーカーD群]
CD49a、CD117、CD31、CD106、CD45、CD14、HLA−DR、CD38、CD121b、CD122、CD124、CD126、CD127、CD11a、CD104、CD62e、CD62l、CD62p、CD120b、CD34、CD4
[細胞表面マーカーE群]
CD166、CD304、CD90
また本発明は、(14)CD82陽性細胞が、以下の[細胞表面マーカーF群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陽性である、上記(8)〜(13)のいずれか記載の調製方法に関する。
[細胞表面マーカーF群]
ROR2、CD13、PDGFRα、KDR
また本発明は、(15)工程(c)において、工程(b)で分化誘導処理後4〜8日目にCD82陽性細胞を分離する上記(8)〜(14)のいずれか記載の調製方法に関する。
また本発明は、(16)上記(8)〜(15)のいずれか記載の調製方法により得られた、心筋前駆細胞として使用するためのCD82陽性細胞に関する。
また本発明の実施の他の形態として、上記CD82陽性細胞からなる心筋前駆細胞、上記CD82陽性細胞を含む心筋前駆細胞含有組成物の他、上記心疾患治療剤を、心疾患患者に投与することにより、心疾患を治療する方法や、心疾患の治療において使用するための上記CD82陽性細胞や、心疾患を治療するための医薬を製造するための上記CD82陽性細胞の使用を挙げることができる。
また本発明の実施の他の形態として、蛍光物質で標識した抗CD82抗体と、蛍光物質で標識した、上記[細胞表面マーカーA群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーに対する抗体とを用いた蛍光活性化セルソーター(FACS)、或いは、標識物質で標識した抗CD82抗体と、標識物質で標識した、上記[細胞表面マーカーA群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーに対する抗体と、前記標識物質に対する抗体とMACSビーズ(磁性ビーズ)とのコンジュゲート抗体とを用いた自動磁気細胞分離装置(autoMACS)により、細胞集団の中から上記CD82陽性細胞を単離することを含む、CD82陽性細胞の調製方法を挙げることができる。
本発明の心筋前駆細胞として使用するための、CD73陰性、CD44陰性、CD105陰性、CD121a陰性、CD18陰性、又はCD120a陰性で、かつCD82陽性細胞(以下「調製心筋前駆細胞」ということがある)は、心筋細胞に特異的に分化誘導されるため、肥大型閉塞性心筋症、肥大型非閉塞性心筋症、拘束型心筋症、不整脈原性右室異形成症、分類不能型心筋症、特発性心筋症、拡張型心筋症、拡張型心筋症様病態を呈する虚血性心筋症、高血圧性心筋症、弁膜症性心筋症、肥大型心筋症拡張相、膠原病や自己免疫性疾患に関連する心サルコイドーシスやアミロイド―シス、遺伝性心筋症、後天性心筋症、心筋炎、心筋炎後心筋症、薬剤や中毒性に引き起こされる薬剤誘発性心筋症、アルコール性心筋症、放射線性心筋症、左室緻密化障害、筋ジストロフィーに伴う心筋症、ミトコンドリア心筋症、代謝異常により起因する心筋症、産褥性心筋症等の心筋症や、急性心筋梗塞、慢性心筋梗塞、亜急性期心筋梗塞、難治性狭心症などの虚血性心疾患・心筋梗塞、慢性心不全、急性心不全、重症心不全、先天性心疾患に起因する心不全などの心不全、先天性心疾患、心室性不整脈、上室性不整脈、頻脈性不整脈、徐脈性不整脈、致死性不整脈などの不整脈等の心疾患の治療に有用である。例えば、心筋細胞を用いた心疾患治療の場合、心筋細胞はほとんど増殖せず、また心臓への生着効率が低いため、通常移植に十分な数の心筋細胞を確保するとともに、心臓への生着効率を高めた心筋細胞シートを作製する必要があるが、本発明の調製心筋前駆細胞は、高い自己増殖能と高い心筋分化能と高い心筋への生着効率を有するため、細胞シートや細胞懸濁液として移植する際、必要な細胞数を少なく抑えることができ、また、本発明の調製心筋前駆細胞を細胞懸濁液として移植する場合、心筋細胞シートを作製する必要はなく、費用対効果や時間対効果の面で優れている上に、心疾患患者の患部(心臓)にカテーテルを利用して注入する方法を用いて調製心筋前駆細胞を投与できるため、低侵襲で繰り返し投与が可能な心疾患治療への貢献が期待される。
また本発明によると、調製心筋前駆細胞は、凍結・融解処理を行った後でも高い生存率と、心筋細胞への高い分化能を有するため、凍結保存することができる。
図1Aは、改良DDプロトコール(Modified DD protocol)を模式的に示した図である。図1Bは、Modified DD protocolをさらに改変した本実施例で使用のプロトコール(以下、「本件プロトコール」という)を模式的に示した図である。 ヒトiPS細胞(Induced pluripotent stem cell)を心筋細胞へ分化誘導後4日目及び5日目にKDR陽性PDGFRα陽性細胞を、蛍光活性化セルソーター(FACS)を用いて純化し、血清存在下で培養したときの心筋細胞(cTnT[Cardiac toroponin T]陽性細胞)への分化効率を解析した結果を示す図である。縦軸は全細胞に対する心筋細胞(cTnT陽性細胞)の割合(%)を示す(平均値±標準偏差、[n=4])。また、図中「*」は、統計的に有意差(P<0.0001)があることを示す。 ヒトiPS細胞を心筋細胞へ分化誘導後3〜11日目にCD82(縦軸)とPDGFRα(横軸)の発現をフローサイトメーターで解析した結果を示す図である。図中の四角で囲った「Q1」、「Q2」、「Q3」、及び「Q4」の領域は、それぞれ「CD82陽性PDGFRα陰性細胞群(集団)」、「CD82陽性PDGFRα陽性細胞群」、「CD82陰性PDGFRα陰性細胞群」、及び「CD82陰性PDGFRα陽性細胞群」を示し、これら4種細胞群の全細胞数に対する各細胞群の細胞数の割合(%)をそれぞれの領域に示す。 ヒトiPS細胞を心筋細胞へ分化誘導後4〜6日目にCD82(横軸)とCD13(縦軸)の発現をフローサイトメーターで解析した結果を示す図である。図中の四角で囲った「Q1」、「Q2」、「Q3」、及び「Q4」の領域は、それぞれ「CD82陰性CD13陽性細胞群」、「CD82陽性CD13陽性細胞群」、「CD82陰性CD13陰性細胞群」、及び「CD82陽性CD13陰性細胞群」を示し、これら4種細胞群の全細胞数に対する各細胞群の細胞数の割合(%)をそれぞれの領域に示す。 ヒトiPS細胞を心筋細胞へ分化誘導後9日目及び15日目にCD82(横軸)とcTnT(縦軸)の発現をフローサイトメーターで解析した結果を示す図である。図中の四角で囲った「Q1」、「Q2」、「Q3」、及び「Q4」の領域は、それぞれ「CD82陰性cTnT陽性細胞群」、「CD82陽性cTnT陽性細胞群」、「CD82陰性cTnT陰性細胞群」、及び「CD82陽性cTnT陰性細胞群」を示し、これら4種細胞群の全細胞数に対する各細胞群の細胞数の割合(%)をそれぞれの領域に示す。 ヒトiPS細胞を心筋細胞へ分化誘導後5日目にCD82陽性CD13陽性細胞(図中、「CD82陽性細胞」)及びCD82陰性CD13陽性細胞(図中、「CD82陰性細胞」)をそれぞれ純化し、血清存在下で培養したときの心筋細胞(cTnT陽性細胞[cTnT陽性VCAM1陰性細胞+cTnT陽性VCAM1陽性細胞])への分化効率を解析した結果を示す図である。図中の四角で囲った「Q1」、「Q2」、「Q3」、及び「Q4」の領域は、それぞれ「cTnT陽性VCAM1陰性細胞群」、「cTnT陽性VCAM1陽性細胞群」、「cTnT陰性VCAM1陰性細胞群」、及び「cTnT陰性VCAM1陽性細胞群」を示し、これら4種細胞群の全細胞数に対する各細胞群の細胞数の割合(%)をそれぞれの領域に示す。図中の、82.6%及び26.4%は、それぞれCD82陽性細胞及びCD82陰性細胞を血清存在下で培養したときの、cTnT陽性細胞(cTnT陽性VCAM1陽性細胞群とcTnT陽性VCAM1陰性細胞群を合わせたもの)を示す。 ヒトiPS細胞を心筋細胞へ分化誘導後6日目にCD82陽性細胞を単離し、重度複合免疫不全様C.B-17/lcr-scid/scidJcl(日本クレア社製)(SCID;Sevefe Combined ImmunoDeficiency)マウスの腎被膜下に移植後2週間目に腎被膜の組織切片を作製し、免疫組織染色法を用いた解析を行った結果を示す図である。(a)DAPI(細胞核)染色画像、(b)HNA(Human Nuclear Antigen)(移植したCD82陽性細胞由来の細胞)染色画像、(c)cTnT(心筋細胞)染色画像、(d)DAPI染色画像とHNA染色画像とを重ねた画像、及び(e)DAPI染色画像と、HNA染色画像と、cTnT染色画像とを重ねた画像を示す。 ヒトiPS細胞を心筋細胞へ分化誘導後6日目にCD82陽性細胞(CD82陽性CD13陽性PDGFRα陽性細胞)を単離し、心筋梗塞モデルラットF344 N-Jcl rnu/rnuの心臓に移植後4週間目に心臓の組織切片を作製し、免疫組織染色法を用いた解析を行った結果を示す図である。図8Bは、梗塞を起こした領域(Infarcted Area)の位相差画像を示し、図8Aは、図8Bの四角で囲った領域におけるcTnT及びHoechst33258染色画像を示す。 凍結保存したCD82陽性細胞を、血清存在下で培養したときの心筋細胞(cTnT陽性細胞[cTnT陽性VCAM1陰性細胞+cTnT陽性VCAM1陽性細胞])への分化効率を解析した結果を示す図である。図中の四角で囲った「Q1」、「Q2」、「Q3」、及び「Q4」の領域は、それぞれ「cTnT陽性VCAM1陰性細胞群」、「cTnT陽性VCAM1陽性細胞群」、「cTnT陰性VCAM1陰性細胞群」、及び「cTnT陰性VCAM1陽性細胞群」を示し、これら4種細胞群の全細胞数に対する各細胞群の細胞数の割合(%)をそれぞれの領域に示す。図中の、94.4%は、凍結保存したCD82陽性細胞を血清存在下で培養した時のcTnT陽性細胞(cTnT陽性VCAM1陽性細胞群とcTnT陽性VCAM1陰性細胞群を合わせたもの)を示す。 ヒトiPS細胞を心筋細胞へ分化誘導後4日目及び6.5日目にPDGFRα(縦軸)と、9種類の細胞表面マーカー(CD105、CD121a、CD18、CD120a、CD45、CD14、CD31、HLA−DR、及びCD38)(横軸)の発現をフローサイトメーターで解析した結果を示す図である。図中の四角で囲った「Q1」、「Q2」、「Q3」、及び「Q4」の領域は、それぞれ「各種細胞表面マーカー陰性PDGFRα陽性細胞群」、「各種細胞表面マーカー陽性PDGFRα陽性細胞群」、「各種細胞表面マーカー陰性PDGFRα陰性細胞群」、及び「各種細胞表面マーカー陽性PDGFRα陰性細胞群」を示し、これら4種細胞群の全細胞数に対する各細胞群の細胞数の割合(%)をそれぞれの領域に示す。 ヒトiPS細胞を心筋細胞へ分化誘導後4日目及び6.5日目にPDGFRα(縦軸)と、9種類の細胞表面マーカー(CD121b、CD122、CD124、CD126、CD127、CD11a、CD104、CD62e、及びCD62l)(横軸)の発現をフローサイトメーターで解析した結果を示す図である。図中の四角で囲った「Q1」、「Q2」、「Q3」、及び「Q4」の領域は、それぞれ「各種細胞表面マーカー陰性PDGFRα陽性細胞群」、「各種細胞表面マーカー陽性PDGFRα陽性細胞群」、「各種細胞表面マーカー陰性PDGFRα陰性細胞群」、及び「各種細胞表面マーカー陽性PDGFRα陰性細胞群」を示し、これら4種細胞群の全細胞数に対する各細胞群の細胞数の割合(%)をそれぞれの領域に示す。 ヒトiPS細胞を心筋細胞へ分化誘導後4日目及び6.5日目にPDGFRα(縦軸)と、4種類の細胞表面マーカー(CD62p、CD120b、CD34、及びCD4)(横軸)の発現をフローサイトメーターで解析した結果を示す図である。図中の四角で囲った「Q1」、「Q2」、「Q3」、及び「Q4」の領域は、それぞれ「各種細胞表面マーカー陰性PDGFRα陽性細胞群」、「各種細胞表面マーカー陽性PDGFRα陽性細胞群」、「各種細胞表面マーカー陰性PDGFRα陰性細胞群」、及び「各種細胞表面マーカー陽性PDGFRα陰性細胞群」を示し、これら4種細胞群の全細胞数に対する各細胞群の細胞数の割合(%)をそれぞれの領域に示す。 ヒトiPS細胞を心筋細胞へ分化誘導後6日目にCD82と、15種類の細胞表面マーカー(CD7、CD37、CD43、CD49a、CD18、CD105、CD144、STRO−1、CD177、CD73、CD44、CD117[c-kit]、CD163、CD31、及びCD106)の発現をフローサイトメーターで解析した結果を示す図である。図中の上から1及び2段落目と、3段目の左から1〜3番目において、四角で囲った「Q1」、「Q2」、「Q3」、及び「Q4」の領域は、それぞれ「各種細胞表面マーカー陰性CD82陽性細胞群」、「各種細胞表面マーカー陽性CD82陽性細胞群」、「各種細胞表面マーカー陰性CD82陰性細胞群」、及び「各種細胞表面マーカー陽性CD82陰性細胞群」を示し、これら4種細胞群の全細胞数に対する各細胞群の細胞数の割合(%)をそれぞれの領域に示す。また、図中の上から3段目の右から1及び2番目において、四角で囲った「Q1」、「Q2」、「Q3」、及び「Q4」の領域は、それぞれ「CD82陰性各種細胞表面マーカー陽性細胞群」、「CD82陽性各種細胞表面マーカー陽性細胞群」、「CD82陰性各種細胞表面マーカー陰性細胞群」、及び「CD82陽性各種細胞表面マーカー陰性細胞群」を示し、これら4種細胞群の全細胞数に対する各細胞群の細胞数の割合(%)をそれぞれの領域に示す。 ヒトiPS細胞を心筋細胞へ分化誘導後6日目にCD82(縦軸)と、11種類の細胞表面マーカー(ROR2、CD137L、CD140b[PDGFRb]、CD166[ALCAM]、CD180、CD252[OX40L]、CD344[Frizzled4]、CD304[Neurophilin-1]、CD118[LIF−R]、CD99R、及びCD90)(横軸)の発現をフローサイトメーターで解析した結果を示す図である。図中の四角で囲った「Q1」、「Q2」、「Q3」、及び「Q4」の領域は、それぞれ「各種細胞表面マーカー陰性CD82陽性細胞群」、「各種細胞表面マーカー陽性CD82陽性細胞群」、「各種細胞表面マーカー陰性CD82陰性細胞群」、及び「各種細胞表面マーカー陽性CD82陰性細胞群」を示し、これら4種細胞群の全細胞数に対する各細胞群の細胞数の割合(%)をそれぞれの領域に示す。
本発明の調製心筋前駆細胞は、「心筋前駆細胞として用いるため」という用途が限定されたCD73陰性、CD44陰性、CD105陰性、CD121a陰性、CD18陰性、又はCD120a陰性で、かつCD82陽性細胞であり、ここで「CD82陽性」とは、CD(cluster of differentiation)82抗原を細胞表面上に発現することを意味する。CD82の発現は、定量RT−PCR(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction)法、RT−PCR法、サザンブロティング法等のCD82遺伝子のmRNAの発現を解析する方法や、ウエスタンブロッティング法、フローサイトメトリー、ELISA法、EIA法、RIA法等のCD82タンパク質の発現を解析する方法を用いて確認することができる。
本発明において、「心筋前駆細胞」とは、様々な培養条件や組織・臓器への移植において、心筋細胞に特異的に分化する細胞を意味する。
上記[細胞表面マーカーA群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陰性であるCD82陽性細胞としては、具体的には、CD73が陰性であるCD82陽性細胞、CD44が陰性であるCD82陽性細胞、CD105が陰性であるCD82陽性細胞、CD121aが陰性であるCD82陽性細胞、CD18が陰性であるCD82陽性細胞、CD120aが陰性であるCD82陽性細胞、CD73及びCD44が陰性であるCD82陽性細胞、CD73及びCD105が陰性であるCD82陽性細胞、CD73及びCD121aが陰性であるCD82陽性細胞、CD73及びCD18が陰性であるCD82陽性細胞、CD73及びCD120aが陰性であるCD82陽性細胞、CD44及びCD105が陰性であるCD82陽性細胞、CD44及びCD121aが陰性であるCD82陽性細胞、CD44及びCD18が陰性であるCD82陽性細胞、CD44及びCD120aが陰性であるCD82陽性細胞、CD105及びCD121aが陰性であるCD82陽性細胞、CD105及びCD18が陰性であるCD82陽性細胞、CD105及びCD120aが陰性であるCD82陽性細胞、CD121a及びCD18が陰性であるCD82陽性細胞、CD121a及びCD120aが陰性であるCD82陽性細胞、CD18及びCD120aが陰性であるCD82陽性細胞、CD73、CD44、及びCD105が陰性であるCD82陽性細胞、CD73、CD44、及びCD121aが陰性であるCD82陽性細胞、CD73、CD44、及びCD18が陰性であるCD82陽性細胞、CD73、CD44、及びCD120aが陰性であるCD82陽性細胞、CD44、CD105、及びCD121aが陰性であるCD82陽性細胞、CD44、CD105、及びCD18が陰性であるCD82陽性細胞、CD44、CD105、及びCD120aが陰性であるCD82陽性細胞、CD105、CD121a、及びCD18が陰性であるCD82陽性細胞、CD105、CD121a、及びCD120aが陰性であるCD82陽性細胞、CD121a、CD18、及びCD120aが陰性であるCD82陽性細胞、CD73、CD44、CD105、及びCD121aが陰性であるCD82陽性細胞、CD73、CD44、CD105、及びCD18が陰性であるCD82陽性細胞、CD73、CD44、CD105、及びCD120aが陰性であるCD82陽性細胞、CD44、CD105、CD121a、及びCD18が陰性であるCD82陽性細胞、CD44、CD105、CD121a、及びCD120aが陰性であるCD82陽性細胞、CD105、CD121a、CD18、及びCD120aが陰性であるCD82陽性細胞、CD73、CD44、CD105、CD121a、及びCD18が陰性であるCD82陽性細胞、CD73、CD44、CD105、CD121a、及びCD120aが陰性であるCD82陽性細胞、CD44、CD105、CD121a、CD18、及びCD120aが陰性であるCD82陽性細胞、並びにCD73、CD44、CD105、CD121a、CD18、及びCD120aが陰性であるCD82陽性細胞を挙げることができる。
本発明の調製心筋前駆細胞は、CD73陰性、CD44陰性、CD105陰性、CD121a陰性、CD18陰性、又はCD120a陰性で、かつCD82陽性細胞が、CD82陰性細胞等の他の細胞集団中に含まれた状態のものであってもよく、ここで他の細胞集団中に含まれる調製心筋前駆細胞の割合としては、少なくとも4%、少なくとも10%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも98%等を挙げることができる。
本発明の調製心筋前駆細胞を用いて高純度な心筋細胞集団を調製する場合、単離処理が施された“CD73陰性、CD44陰性、CD105陰性、CD121a陰性、CD18陰性、又はCD120a陰性で、かつCD82陽性細胞”、すなわち高純度な調製心筋前駆細胞を用いることが好ましい。上記「高純度な心筋細胞集団」又は「高純度な調製心筋前駆細胞」とは、細胞集団中に含まれる心筋細胞又は調製心筋前駆細胞数の割合が少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも88%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも93%、特に好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%であることを意味する。
調製心筋前駆細胞は、蛍光物質で標識した抗CD82抗体を用いた蛍光活性化セルソーター(FACS)や、蛍光物質やビオチン、アビジン等の標識物質で標識した抗CD82抗体と、かかる標識物質に対する抗体とMACSビーズ(磁性ビーズ)とのコンジュゲート抗体とを用いた自動磁気細胞分離装置(autoMACS)により単離処理を施すことができる。上記蛍光物質としては、アロフィコシアニン(APC)、フィコエリトリン(PE)、FITC(fluorescein isothiocyanate)、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 700、PE−Texas Red、PE−Cy5、PE−Cy7等を挙げることができる。
調製心筋前駆細胞の純度は、上記蛍光物質で標識した抗CD82抗体を用いてCD82陽性細胞を染色し、Hoechst 33342、Hoechst 33258等の細胞核染色蛍光物質を用いて生細胞の染色、又はDAPI(4',6-diamidino-2-phenylindole)、TO-PRO-3 Iodide Quinolinium, 4-[3-(3-methyl-2(3H)-benzothiazolylidene)-1-propenyl]-1-[3-(trimethylammonio)propyl]-, diiodide、LIVE/DEAD Fixable Dead Cell Stain(Life Technology社製)等の細胞核染色蛍光物質を用いて死細胞の染色を行い、FACS解析により生細胞数とCD82陽性細胞数を解析し、生細胞数とCD82陽性細胞の比として算出することができる。
本発明の調製心筋前駆細胞は、上記[細胞表面マーカーB群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陰性、及び/又は、上記[細胞表面マーカーC群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陽性であることや、上記[細胞表面マーカーD群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陰性、及び/又は、上記[細胞表面マーカーE群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陽性であることや、上記[細胞表面マーカーF群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陽性であることにより、より特徴付けられる。
上記[細胞表面マーカーA群]、[細胞表面マーカーB群]、[細胞表面マーカーC群]、[細胞表面マーカーD群]、[細胞表面マーカーE群]、及び[細胞表面マーカーF群]に含まれる細胞表面マーカーの発現は、定量RT−PCR法、RT−PCR法、サザンブロティング法等のmRNAの発現を解析する方法や、ウエスタンブロッティング法、フローサイトメトリー、ELISA法、EIA法、RIA法等のタンパク質の発現を解析する方法を用いて検出することにより、確認することができる。
本発明の調製心筋前駆細胞は、通常液体中に存在させた状態又は液体で湿った(濡れた)状態で使用する。かかる液体としては、CD82陽性細胞が生存・維持できるものであれば特に制限されず、血清含有又は無血清培養液、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水、トリス緩衝化生理食塩水、HEPES緩衝化生理食塩水、リンゲル液(乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、重炭酸リンゲル液等)、5%グルコース水溶液等の生理的水溶液が含まれる。上記血清含有培養液としては、0.1〜30(v/v)%の血清(ウシ胎児血清[Fetal bovine serum;FBS]、子牛血清[Calf bovine serum;CS]等)を含有する動物細胞培養用培養液(DMEM、EMEM、IMDM、RPMI1640、αMEM、F−12、F−10、M−199、AIM−V等)を挙げることができ、また、上記無血清培養液としては、市販のB27サプリメント(−インスリン)(Life Technologies社製)、N2サプリメント(Life Technologies社製)、B27サプリメント(Life Technologies社製)、Knockout Serum Replacement(Invitrogen社製)等の血清代替物を適量(例えば、1〜30%)添加した上記動物細胞培養用培養液などを挙げることができる。
また、上記血清含有又は無血清培養液には、例えば、還元剤(例えば、2−メルカプトエタノール、ジチオトレイトール[dithiothreitol;DTT]等)、細胞増殖因子(例えば、インスリン、上皮成長因子[EGF;Epidermal growth factor]、インスリン様成長因子[IGF;Insulin-like growth factor]、塩基性線維芽細胞増殖因子[bFGF;basic fibroblast growth factor]、血小板由来成長因子[PDGF;Platelet-derived growth factor]、血管内皮細胞増殖因子[VEGF;Vesicular endothelial growthfactor]、肝細胞増殖因子[HGF;Hepatocyte growth factor]、FGF9、骨形成タンパク質4[BMP4;bone morphogenetic protein 4]、BMP5、アクチビンA、幹細胞因子[SCF]、Dkk1[Dickkopf-1]、Wnt阻害剤[XAV、IWP4等]、Wnt活性化剤[CHIR、Kenpaullone等]、白血病抑制因子[LIF;Leukemia Inhibitory Factor]、Wnt、TGF−β等)、鉄源(例えば、トランスフェリン等)、ミネラル(例えば、亜セレン酸ナトリウム)、アミノ酸(例えば、グルタミン、アラニン、アスパラギン、セリン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、プロリン、チロシン等の非必須アミノ酸)、ビタミン類(例えば、塩化コリン、パントテン酸、葉酸、ニコチンアミド、塩酸ピリドキサル、リボフラビン、塩酸チアミン、アスコルビン酸、ビオチン、イノシトール等)、糖類(例えば、グルコース等)、有機アミン類(例えば、プトレシン等)、ステロイド(例えば、プロゲステロン、β-エストラジオール等)、抗生物質(例えば、ペニシリン、ストレプトマイシン等)、インターロイキン類(例えば、IL−1、IL−2、IL−3、IL−6等)、接着因子(例えば、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コラーゲン、フィブロネクチン等)、有機酸(例えば、ピルビン酸、コハク酸、乳酸等)若しくはその塩、緩衝剤(例えば、HEPES等)及びこれらの組合せを必要に応じて適宜補充してもよい。
本発明の調製心筋前駆細胞は、凍結・融解処理を行った後でも高い生存率と、心筋細胞への高い分化能を有する。このため、本発明の調製心筋前駆細胞を長期保存する場合、凍結保存することが好ましい。通常凍結保存液中に凍結保存されるが、かかる凍結保存液としては、グリセロール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ケラチン加水分解物、加水分解ゼラチン、血清、血清アルブミン等の凍結保護剤を含む上記生理的水溶液を挙げることができる。また、上記凍結保存液として、セルバンカー1、セルバンカー1プラス、セルバンカー2、セルバンカー3(すべて十慈フィールド社製)、TCプロテクター(DSファーマバイオメディカル社製)、バンバンカーhRM(日本ジェネティックス社製)、Freezing Medium for human ES/iPS Cells(リプロセル社製)、クライオスカーレスDMSOフリー(バイオベルデ社製)、ステムセルキープ(バイオベルデ社製)等の市販品を挙げることもできる。
本発明の調製心筋前駆細胞は、コーティング剤で処理された培養容器に接着した状態や、上記生理的水溶液中又は上記凍結保存液中に懸濁された状態や、細胞ペレットの状態や、単層又は多層(例えば2〜300層、20〜300層)のCD82陽性細胞シートの状態で用いることができる。上記コーティング剤としては、例えば、マトリゲル、I型コラーゲン、IV型コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、エンタクチン、フィブロネクチン、温度応答性ポリマー(PIPAAm)及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
本発明の心疾患治療剤は、本発明の調製心筋前駆細胞、すなわち、様々な培養条件や組織・臓器への移植において、心筋細胞に特異的に分化する細胞を有効成分として含む、好ましくは高純度で含むものであり、心筋症や心疾患を治療又は予防する作用を有する。かかる心筋症や心疾患には、遺伝性や炎症やストレス等の後天的要因の負荷による、又はその混合する要因で起こる様々な心筋症や心疾患が含まれ、心筋症としては、例えば、肥大型閉塞性心筋症、肥大型非閉塞性心筋症、拘束型心筋症、不整脈原性右室異形成症、分類不能型心筋症、特発性心筋症、拡張型心筋症、拡張型心筋症様病態を呈する虚血性心筋症、高血圧性心筋症、弁膜症性心筋症、肥大型心筋症拡張相、膠原病や自己免疫性疾患に関連する心サルコイドーシスやアミロイド―シス、遺伝性心筋症、後天性心筋症、心筋炎、心筋炎後心筋症、薬剤や中毒性に引き起こされる薬剤誘発性心筋症、アルコール性心筋症、放射線性心筋症、左室緻密化障害、筋ジストロフィーに伴う心筋症、ミトコンドリア心筋症、代謝異常により起因する心筋症、産褥性心筋症を挙げることができ、心疾患としては、例えば、急性心筋梗塞、慢性心筋梗塞、亜急性期心筋梗塞、難治性狭心症などの虚血性心疾患・心筋梗塞、慢性心不全、急性心不全、重症心不全、先天性心疾患に起因する心不全などの心不全、先天性心疾患、心室性不整脈、上室性不整脈、頻脈性不整脈、徐脈性不整脈、致死性不整脈などの不整脈を挙げることができる。調製心筋前駆細胞は、高い自己増殖能と高い心筋分化能と高い心筋への生着効率を有する。したがって、調製心筋前駆細胞を有効成分として含有する本発明の心疾患治療剤は、特に重症(難治性)心疾患の治療又は予防に有利に用いることができる。
本発明の心疾患治療剤に含まれる本発明の調製心筋前駆細胞の細胞数としては、心疾患による心筋細胞の損傷レベルや、本発明の調製心筋前駆細胞の形態により異なるため、一概に特定することはできないが、通常1×10〜1×10であり、好ましくは1×10〜1×10であり、より好ましくは1×10〜1×10である。
本発明の心疾患治療剤を上記心疾患に罹患した患者に投与する方法としては、本発明の心疾患治療剤に含まれる調製心筋前駆細胞の形態を考慮し適宜選択することができ、例えば、本発明の心疾患治療剤に含まれる調製心筋前駆細胞の使用形態が細胞シートである場合、外科的処理により、かかる細胞シートを心外膜面に貼付することにより、上記患者の心臓に移植する方法を挙げることができ、また、本発明の心疾患治療剤に含まれる調製心筋前駆細胞の使用形態がコーティング剤で処理された培養容器に接着した状態である場合、細胞分散液(トリプシン、リシルエンドペプチダーゼ、プロナーゼ、ペプシン、エラスターゼ、コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ等)で処理することにより細胞を培養容器から剥離させ、上記生理的水溶液中に再懸濁し、カテーテルを用いて挿入する、冠動静脈内や直接心臓へ注入する、静脈に注射する等の方法により、上記患者に投与する方法を挙げることができ、また、本発明の心疾患治療剤に含まれる調製心筋前駆細胞の使用形態が細胞ペレットの状態である場合、上記生理的水溶液中に懸濁し、カテーテルを用いて挿入する、冠動静脈内や直接心臓へ注入する、静脈に注射する等の方法により、上記患者に投与する方法を挙げることができ、また、本発明の心疾患治療剤に含まれる調製心筋前駆細胞の使用形態が上記凍結保存液中に凍結保存された状態である場合、35〜38℃の恒温槽内で細胞を凍結融解した後、上記生理的水溶液中に再懸濁し、カテーテルを用いて挿入する、冠動静脈内や直接心臓へ注入する、静脈に注射する等の方法により、上記患者に投与する方法を挙げることができ、また、本発明の心疾患治療剤に含まれる調製心筋前駆細胞の使用形態が上記生理的水溶液中に懸濁された状態である場合、必要に応じて上記生理的水溶液中に再懸濁し、カテーテルを用いて挿入する、冠動静脈内や直接心臓へ注入する、静脈に注射する等の方法により、上記患者に投与する方法を挙げることができる。
なお、本発明の調製心筋前駆細胞は、心疾患治療剤の他、心筋モデル細胞を作製するための材料として用いることもできる。
本発明の調製心筋前駆細胞は、以下の手順にしたがって調製することができる。まず、幹細胞を取得する。かかる幹細胞の生物種としては、特に制限されず、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等のげっ歯類、ウサギ等のウサギ目、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ等の有蹄目、イヌ、ネコ等のネコ目、ヒト、サル、アカゲザル、カニクイザル、マーモセット、オランウータン、チンパンジー等の霊長類を挙げることができ、これらの中でもマウス、ブタ、又はヒトが好ましく、本発明の調製心筋前駆細胞を心疾患治療に用いる場合、特にヒトを好適に例示することができる。
上記幹細胞には、分化能力に応じて、多能性幹細胞(pluripotent stem ce11)、複能性幹細胞(multipotent stem ce11)等の亜集団が含まれる。多能性幹細胞とは、それ自体では個体になることができないが、生体を構成する全ての組織や細胞へ分化し得る能力を有する細胞を意味する。複能性幹細胞とは、全ての種類ではないが、複数種の組織や細胞へ分化し得る能力を有する細胞を意味する。
多能性幹細胞としては、初期胚より単離される胚性幹細胞(embryonic stem cells:ES細胞)や、胎児期の始原生殖細胞から単離される胚性生殖細胞(embryonic germ cells:EG細胞)(例えばProc Natl Acad Sci U S A. 1998, 95:13726-31参照)や、出生直後の精巣から単離される生殖細胞系列幹細胞(germline stem cells:GS細胞)(例えば、Nature. 2008, 456:344-9参照)や、腸骨骨髄、顎骨骨髄等の骨髄由来の幹細胞や、脂肪組織由来の幹細胞などの間葉系幹細胞や、リンパ球等の体細胞に細胞刺激を与えることで、体細胞の脱分化を誘導し、ES細胞同様の多能性を有する体細胞由来の刺激惹起性多能性獲得細胞(STAP細胞;Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency cells)や、皮膚、骨髄等の間葉系組織から選択して得られた多能性を有する細胞(Muse細胞[Multi-lineage differentiating Stress Enduring cell])や、皮膚細胞等の体細胞に複数の遺伝子を導入することで、被検体自身の体細胞の脱分化を誘導し、ES細胞同様の多能性を有する体細胞由来の誘導多能性幹細胞(iPS;induced pluripotent stemcell)を挙げることができ、これらの中でもiPS細胞が好ましく、本発明の調製心筋前駆細胞を心疾患治療に用いる場合、移植による拒絶反応のリスクを考慮すると、心疾患に罹患した患者由来の体細胞から得られたiPS細胞や、心疾患に罹患した患者とヒト白血球抗原(HLA;Human leukocyte antigen)遺伝子型が同一又は実質的に同一である対象(ヒト)由来の体細胞から得られたiPS細胞を好適に例示することができる。ここで「HLA遺伝子型が実質的に同一」とは、移植した細胞に対して免疫抑制剤により免疫反応が抑制できる程度にHLA遺伝子型が一致していることを意味する。したがって、上記HLA遺伝子型が実質的に同一である対象(ヒト)由来の体細胞としては、具体的には、HLA−A、HLA−B及びHLA−DRのHLA遺伝子型3種、或いはかかるHLA遺伝子型3種にHLA−Cを加えたHLA遺伝子型4種が一致するHLA遺伝子型が同一である対象(ヒト)由来の体細胞を挙げることができる。
ES細胞は、内部細胞塊を、マイトマイシンC処理済のマウス胎仔由来の初代線維芽細胞[MEF]、STO細胞、SNL細胞等のフィーダー細胞上で上記血清含有又は無血清培養液中に培養することにより製造することができる。ES細胞の製造方法は、例えば、WO96/22362、WO02/101057、US5,843,780、US6,200,806、US6,280,718等に記載されている。EG細胞は、始原生殖細胞をmSCF、LIF及びbFGFを含む上記血清含有又は無血清培養液中で培養することにより製造することができる(例えば、Ce11. 1992, 70:841-847参照)。STAP細胞は、体細胞(例えば、リンパ球等)を酸性溶液(pH4.5〜6.0)で処理することにより製造することができる(国際公開第2013/163296号パンフレット、Obokata,H. et al., Nature 505: 676-680 (2014))。Muse細胞は、皮膚、骨髄等の間葉系組織を、トリプシンや低酸素処理などのストレスを与えることによりストレス耐性の細胞を選択したり、あるいは多能性幹細胞の表面抗原であるSSEA−3の発現を指標として細胞を選択し、さらに単一細胞の状態で浮遊培養を重ねることにより、細胞を単離することにより製造することができる(特許第5185443号公報、Proc Natl Acad Sci U S A. 2010, 107: 8639-8643)。iPS細胞は、体細胞(例えば線維芽細胞、皮膚細胞等)にOct3/4、Sox2及びKlf4(必要に応じて更にc−Myc又はn−Myc)等のリプログラミング因子を導入することにより製造することができる(例えば、Ce11. 2006, 126:663-676、Nature. 2007, 448:313-317、Nat Biotechno1. 2008, 26;101-106、Cel1. 2007, 131:861‐872、Science. 2007, 318:1917-1920、Ce11 Stem Cells. 2007, 1:55-70、Nat Biotechnol. 2007, 25:1177-1181、Nature. 2007, 448:318-324、Cell Stem Cells. 2008, 2:10-12、Nature. 2008, 451:141-146、Science. 2007, 318:1917-1920参照)。体細胞の核を核移植することによって作製された初期胚を培養することによって樹立した幹細胞も、多能性幹細胞としてまた好ましい(例えば、Nature. 1997, 385:810-813、Science. 1998, 280:1256-1258、Nature Biotechnology. 1999, 17:456-461、Nature. 1998, 394:369-374、Nature Genetics. 1999, 22:127-128、Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 1999, 96:14984-14989参照)、Rideout IIIら(NatureGenetics. 2000, 24:109-110)。多能性幹細胞としては、具体的に、ヒトES細胞H9株(WA09)、ヒトES細胞H1(WA01)株(National Stem Cell bank、WISC Bank)や、KhES−1、KhES−2及びKhES−3(いずれも京大再生研付属幹細胞医学研究センター)や、HES3、HES4、及びHES6(National Stem Cell bank、モナッシュ大学)等のヒトES細胞や、Oct3/4遺伝子、Klf4遺伝子、C−Myc遺伝子及びSox2遺伝子を導入することによって得られるiPS細胞(理研バイオリソースセンター、京都大学)や、Tic(JCRB1331株)、Dotcom(JCRB1327株)、Squeaky(JCRB1329株)、及びToe(JCRB1338株)、 Lollipop(JCRB1336株)(以上成育医療センター、医薬基盤研究所難病・疾患資源研究部・JCRB細胞バンク)や、UTA−1株及びUTA−1−SF−2−2株(いずれも東京大学)や、Oct3/4遺伝子、Klf4遺伝子及びSox2遺伝子を導入することによって得られるiPS細胞(Nat Biotechnol. 2008, 26: 101-106)等のiPS細胞を例示することができる。
複能性幹細胞としては、例えば、脂肪細胞、骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞等の細胞に分化可能な間葉系幹細胞、白血球、赤血球、血小板等の血球系細胞に分化可能な造血系幹細胞、ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイト等の細胞に分化可能な神経系幹細胞等の体性幹細胞を挙げることができる。複能性幹細胞は、自体公知の方法により、生体から単離することができる。例えば、間葉系幹細胞は、哺乳動物の骨髄、脂肪組織、末梢血、臍帯血等から公知の一般的な方法で採取することができる。例えば、骨髄穿刺後の造血幹細胞等の培養、継代によりヒト間葉系幹細胞を単離することができる(Journal ofAutoimmunity,30(2008)163-171)。また、造血系幹細胞は、骨髄、臍帯血、脾臓、肝臓、末梢血等の生体試料から、細胞分離装置(フローサイトメトリー等)と、造血系幹細胞表面抗原(例えば、CD34)に対する抗体とを用いて単離することができる。また、上記複能性幹細胞は、上記多能性幹細胞を適切な誘導条件下で培養することによっても得ることができる。なお、本発明の幹細胞には、本願出願後に新たな方法により作製された幹細胞も含まれる。
続いて、取得した幹細胞に対して心血管系細胞への分化誘導処理を行う。ここで心血管系細胞への分化誘導処理する方法としては、少なくとも心筋前駆細胞へ分化誘導できれば特に制限されず、心筋前駆細胞へ分化誘導処理する方法の他、心筋前駆細胞へ分化誘導した後、さらにVEGFを含有する培養液で培養することにより、心筋前駆細胞、内皮細胞及び壁細胞から構成される混合細胞を調製する方法(国際公開第2013/137491号パンフレット)も含まれる。
具体的には、例えば、文献(Yamashita, J. et al., Nature 408: 92-96 (2000)、Yamashita, J.K. et al., FASEB J. 19: 1534-1536 (2005)、Narazaki, G., Circulation 118: 498-506 (2008))に記載の方法に従って、幹細胞をコラーゲンIVコーティングディッシュ(LIF不含、フィーダー細胞無し)上で培養することにより、中胚葉前駆細胞であるFlk1(血管内皮増殖因子受容体−2[VEGFR2]とも呼ばれる)陽性細胞へ分化誘導し、さらに、Flk1陽性細胞を、シクロスポリン−A(CSA)を含有する培養液中で培養することにより、心筋前駆細胞へ分化誘導する方法(特表2011−515064号公報)や、幹細胞をEGF及びbFGFを含有する培養液中で浮遊培養させることにより、心筋前駆細胞へ分化誘導する方法(国際公開第2006/093276号パンフレット)や、幹細胞をノギン、コーディン等のBMPアンタゴニストを含有する培養液中で接着培養又は浮遊培養させることにより、心筋前駆細胞へ分化誘導する方法(国際公開第2005/033298号パンフレット)や、幹細胞を、Wnt−1、Wnt−3a若しくはWnt−5a、GSK3β阻害剤、又はアミノピリミジン誘導体であるWntアゴニストを含有する培養液中で培養することにより、Wntシグナル経路を活性化させ、心筋前駆細胞へ分化誘導する方法(国際公開第2007/126077号パンフレット)や、幹細胞を、アクチビンAを含有する培養液中で培養後、BMP4を含有する培養液中で培養させることにより、心筋前駆細胞へ分化誘導する方法(特開2013−215206号公報、Laflamme, M.A. et al., Nat Biotechnol, 25: 1015-1024 (2007))や、幹細胞を上記コーティング剤(好ましくは、マトリゲル)で処理された培養容器上で接着培養させ、さらに上記コーティング剤(好ましくは、マトリゲル)を添加することで、幹細胞全体を上記コーティング剤でコーティング(マトリゲルサンドイッチ処理)し、アクチビンAを含有する培養液中で培養後、BMP4及びbFGFを含有する培養液中で培養させることにより、心筋前駆細胞へ分化誘導する方法(国際公開第2013/137491号パンフレット)や、幹細胞を上記コーティング剤(好ましくは、マトリゲル)で処理された培養容器上で接着培養させ、さらに上記コーティング剤(好ましくは、マトリゲル)を添加することで、幹細胞全体を上記コーティング剤でコーティング(マトリゲルサンドイッチ処理)し、アクチビンAを含有する培養液中で培養後、BMP4及びbFGFを含有する培養液中で培養し、さらにDkk1を含有する培養液中で培養させることにより、心筋前駆細胞へ分化誘導する方法(Uosaki H, et al, PLoS One 2011; 6: e23657、以下の実施例に示す[本件プロトコール])を挙げることができる。
幹細胞の培養は、上記コーティング剤で処理された培養容器上や、上記フィーダー細胞を接着させた培養容器上で接着培養することにより行うことができる。幹細胞の培養に用いる培養液としては、0.1〜30(v/v)%の血清(FBS、CS等)を含有する動物細胞培養用培養液(DMEM、EMEM、IMDM、RPMI1640、αMEM、F−12、F−10、M−199、AIM−V等)や、市販のB27サプリメント(−インスリン)(Life Technologies社製)、N2サプリメント(Life Technologies社製)、B27サプリメント(Life Technologies社製)、Knockout Serum Replacement(Invitrogen社製)等の血清代替物を適量(例えば、1〜30%)添加した上記動物細胞培養用培養液や、これら培養液にさらにLIF、bFGF、SCF等の分化抑制因子を添加したものなどを挙げることができる。
幹細胞の培養に用いる培養液には、還元剤(例えば、2−メルカプトエタノール、ジチオトレイトール[dithiothreitol;DTT]等)、鉄源(例えば、トランスフェリン等)、ミネラル(例えば、亜セレン酸ナトリウム)、アミノ酸(例えば、グルタミン、アラニン、アスパラギン、セリン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グリシン、プロリン、チロシン等の非必須アミノ酸)、ビタミン類(例えば、塩化コリン、パントテン酸、葉酸、ニコチンアミド、塩酸ピリドキサル、リボフラビン、塩酸チアミン、アスコルビン酸、ビオチン、イノシトール等)、糖類(例えば、グルコース等)、有機アミン類(例えば、プトレシン等)、ステロイド(例えば、プロゲステロン、β-エストラジオール等)、抗生物質(例えば、ペニシリン、ストレプトマイシン等)、インターロイキン類(例えば、IL−1、IL−2、IL−3、IL−6等)、接着因子(例えば、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コラーゲン、フィブロネクチン等)、有機酸(例えば、ピルビン酸、コハク酸、乳酸等)若しくはその塩、緩衝剤(例えば、HEPES等)などの添加物を必要に応じて適宜補充してもよい。
幹細胞の培養温度は、通常約30〜40℃の範囲内であり、好ましくは37℃である。培養時のCO濃度は、通常約1〜10%の範囲内であり、好ましくは約5%である。また、培養時の湿度は、通常約70〜100%の範囲内であり、好ましくは約95〜100%の範囲内である。また、培養時のO2濃度は、正常酸素濃度(18〜22%O)であっても、低酸素濃度(0〜10%O)であってもよい。
次いで、心筋前駆細胞への分化誘導処理した幹細胞の中からCD82陽性細胞を分離する。ここで、「分離」とは、CD82陽性細胞を培養容器から物理的に取り出すことを意味する。CD82陽性細胞が接着培養している場合、20〜37℃の範囲内の温度条件下で上記細胞分散液による処理を行うことによりCD82陽性細胞を培養容器から剥離させ、培養容器からCD82陽性細胞を含む培養液を、デカンテーションで別の容器へ分離したり、ピペットやピペットマンを用いて別の容器へ分離することができ、また、CD82陽性細胞が培養液中に浮遊培養している場合、培養容器からCD82陽性細胞を含む培養液を、デカンテーションで別の容器へ分離したり、ピペットマンを用いて別の容器へ分離することができる。
分離したCD82陽性細胞について、上記[細胞表面マーカーA群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陰性であることや、上記[細胞表面マーカーB群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陰性、及び/又は上記[細胞表面マーカーC群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陽性であるであることや、上記[細胞表面マーカーD群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陰性、及び/又は、上記[細胞表面マーカーE群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陽性であることや、上記[細胞表面マーカーF群]から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーが陽性であることを確認する。分離したCD82陽性細胞における、上記[細胞表面マーカーA群]、[細胞表面マーカーB群]及び[細胞表面マーカーC群]に含まれる細胞表面マーカーの発現は、定量RT−PCR法、RT−PCR法、サザンブロティング法等のmRNAの発現を解析する方法や、ウエスタンブロッティング法、フローサイトメトリー、ELISA法、EIA法、RIA法等のタンパク質の発現を解析する方法を用いて検出することにより、確認することができる。
かかる分離したCD82陽性細胞を用いて高純度な心筋細胞を調製する場合、高純度なCD82陽性細胞として単離処理を施したCD82陽性細胞を用いることが好ましい。CD82陽性細胞の単離は、前述したように、蛍光物質で標識した抗CD82抗体を用いたFACSや、蛍光物質やビオチン、アビジン等の標識物質で標識した抗CD82抗体と、かかる標識物質に対する抗体とMACSビーズ(磁性ビーズ)とのコンジュゲート抗体とを用いた自動磁気細胞分離装置(autoMACS)により行うことができる。上記蛍光物質としては、APC、PE、FITC、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 700、PE−Texas Red、PE−Cy5、PE−Cy7等を挙げることができる。
幹細胞がCD82陽性細胞へ分化誘導される時期は、分化誘導後の各時間の細胞サンプルを、上記CD82遺伝子のmRNAの発現を解析する方法や、上記CD82タンパク質の発現を解析する方法を用いて、CD82陽性細胞を検出することにより確認することができる。
分化誘導処理した幹細胞の中からCD82陽性細胞を分離する時期としては、分化誘導処理方法や培養条件により異なるため、一概に特定することはできないが、通常分化誘導処理後1〜20日目であり、好ましくは2〜14日目であり、より好ましくは3〜11日目であり、さらに好ましくは4〜11日目であり、さらにより好ましくは4〜8日目である。
分離したCD82陽性細胞(調製心筋前駆細胞)が心筋細胞へ分化誘導されることは、インビトロ又はインビボでの実験によりCD82陽性細胞を心筋細胞へ分化誘導し、心筋細胞特異的マーカー(cTnT、αMHC等)の発現を、定量RT−PCR法、RT−PCR法、サザンブロティング法等の心筋細胞特異的マーカー遺伝子のmRNAの発現を解析する方法や、ウエスタンブロッティング法、フローサイトメトリー、ELISA法、EIA法、RIA法等の心筋細胞特異的マーカータンパク質の発現を解析する方法を用いて検出することにより、確認することができる。
CD82陽性細胞を調製する方法における各工程は、埃や細菌等の混入(コンタミネーション)を避けるため、クリーンベンチ等を用いて無菌的に行うことが好ましい。
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[ヒトiPS細胞の継代培養]
ヒトiPS細胞(201B6)(京都大学山中教授より分与)の継代培養は、4ng/mL bFGF(basic fibroblast growth factor)(WAKO社製)を含有するマウス胚性線維芽細胞馴化培養液(MEF−CM;Mouse embryonic fibroblast-conditioned medium)(Knockout SR[Gibco社製]と2−ME[Gibco社製]を含有するKnockout DMEM[Gibco社製])(以下、「本件MEF馴化培養液」という)中で、マトリゲル(1:60希釈、Invitrogen社製)でコートした培養皿(10cmディッシュ[Falcon社製])に接着させ、37℃、5%CO条件下で行った。
[本件プロトコール]
1)心筋細胞への分化誘導は、Modified DD protocol(Uosaki H, et al, PLoS One 2011; 6: e23657)(図1A)をさらに改変した本件プロトコール(図1B)を用いて行った。本件プロトコールの詳細を、以下の2)〜5)に示す。
2)接着培養したヒトiPS細胞を、細胞分散液(Versene[Invitrogen社製])を用いて37℃で3〜5分間インキュベーションすることで培養皿から剥離し、マトリゲルでコートした6ウェルプレート(Growth Factor Reduced Matrigel、BD Biosciences社製)へ1×10cells/cmの濃度で播種し、約100%コンフルエントとなるまで本件MEF馴化培養液中で2〜3日間培養した。
3)マトリゲル(1:60希釈、Invitrogen社製)を培養液に添加し(マトリゲルサンドイッチ処理)、24時間培養した後、培養液を100ng/mL アクチビンA(R&D Systems社製)を含有する「RPMI+B27−インスリン」(2mM L−グルタミン及びB27サプリメント[インスリン不含][Life Technologies社製]を含有するRPMI1640[Life Technologies社製];以下、「本件無血清培養液(A)」という)培養液と交換し、心筋細胞への分化誘導を行った。なお、アクチビンAを含有する本件無血清培養液へ培養液を交換した時点を、分化誘導後0日(時間)とした。
4)24時間培養後、培養液を10ng/mLヒトbFGF(hbFGF)(WAKO社製)及び10ng/mL ヒトBMP4(hBMP4;Human bone morphogenetic protein 4)(R&D Systems社製)を含有する本件無血清培養液(A)と交換し、分化誘導後5日目まで培養を行った。
5)分化誘導後5日目に、培養液を100ng/mL Dkk1(R&D Systems社製)を含有する「RPMI+B27」(2mM L−グルタミン及びB27サプリメント[Life Technologies社製]を含有するRPMI1640[Life Technologies社製];以下、「本件無血清培養液(B)」という)培養液に交換し、さらに48時間(分化誘導後7日目まで)培養した。
[セルソーティング及びフローサイトメトリー解析]
細胞を、細胞分散液(AccuMax[Innovative Cell Technologies社製])を用いて37℃で3〜5分間インキュベーションすることで培養皿から剥離し、5% FBS及び5mM EDTAを含むPBS溶液中に細胞を懸濁した後、標識物質で標識した5種類の細胞表面マーカー(KDR、PDGFRα、CD82、CD13、及びVCAM1)に対する抗体(表1参照)を用いて30分間、4℃条件下で抗原抗体反応を行った。また、細胞質に発現するTnTに関しては、4%PFA溶液を用いて15分間固定化処理し、界面活性剤(0.75%サポニン溶液[Sigma社製])で処理した後、抗cTnT抗体(1次抗体)(表1参照)と、蛍光物質で標識した2次抗体(表1参照)とのコンジュゲートを上記細胞懸濁液に加え、30分間、4℃条件下で抗原抗体反応を行った。それぞれの細胞は、FACS(FACS Aria II[BD biosciences社製])を用いて上記抗体で検出される細胞の純化(選別)を行った。また、上記抗体で検出される細胞表面マーカーの発現は、フローサイトメーター(FACS Aria II[BD biosciences社製])を用いて解析した。
[インビトロでの心筋細胞への分化能の評価法]
上記[セルソーティング及びフローサイトメトリー解析]の項目に記載の方法にしたがって細胞を純化した後、マトリゲルでコートした6ウェルプレート(Growth Factor Reduced Matrigel、BD Biosciences社製)へ1〜1.5×10cells/cmの濃度で播種し、10%FBSを含有する「RPMI」(2mM L−グルタミン及びB27サプリメント[Life Technologies社製]を含有するRPMI1640[Life Technologies社製])培養液(以下、「本件血清含有培養液」という)中で培養した。なお、ここで血清を含む本件血清含有培養液存在下で細胞を培養することにより、心筋細胞以外の細胞へも分化し得る条件下で培養し、心筋細胞へ特異的に分化するかどうかを検討した。また、播種後48時間までは、播種後の細胞死を防ぐために、Rho結合リン酸化酵素(Rho-associated protein kinase:ROCK)阻害剤であるY−27632(Wako社製)存在下で培養した。培養液は、2日毎新しい本件血清含有培養液に交換した。本件血清含有培養液中で培養を行ってから2週間後に、上記[セルソーティング及びフローサイトメトリー解析]の項目に記載の方法にしたがってフローサイトメトリー解析を行い、心筋細胞(cTnT陽性細胞)の割合を解析した。なお、心筋細胞の表面マーカーとして我々のグループが同定したVCAM1(CD106)陽性細胞(Uosaki H, et al, PLoS One 2011; 6: e23657)の割合も解析した。
[RNAマイクロアレイ解析]
上記[本件プロトコール]の項目に記載の方法にしたがってヒトiPS細胞から心筋細胞への分化誘導を行い、分化誘導後4日目及び5日目に、上記[セルソーティング及びフローサイトメトリー解析]の項目に記載の方法にしたがって中胚葉由来の細胞(KDR陽性PDGFRα陽性細胞)を純化・単離し、RNeasy Mini kit(QIAGEN社製)を用いて全RNAの精製を行った後、Superscript II Reverse Transcriptase(Lifetechnology社製)を用いてcDNAを合成した。合成したcDNAを、Bioarray HighYield RNA transcript labeling kit(T7)(Enzo Life Science社製)を用いてCy3で蛍光標識した後、蛍光標識したcDNAをHuman Genome U133 Plus2.0 Array(Affymetrix社製)にハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションは、GeneChip Hybridization Control Kit(Affymetrix社製)及びGeneChip Fluidics Station 450(Affymetrix社製)を用いて45℃にて16時間の条件下で行った。蛍光シグナルのスキャニングは、GeneChip Scanner 3000 7G(Affymetrix社製)を用いて行い、取得した蛍光シグナルの画像解析は、GeneChip Operating Software(Affymetrix社製)を用いて行った。その後の統計学的解析は、GeneSpring GX(アジレント・テクノロジー社製)を用いてRMA法にて行った。選択基準(Fold-change>2.0、P値<0.05)を基に、分化誘導後4日目から5日目にかけて発現の増減が認められる細胞表面マーカーを同定した。
[インビボでの心筋細胞への分化能の評価法1]
上記[本件プロトコール]の項目に記載の方法にしたがってヒトiPS細胞から心筋細胞への分化誘導を行い、分化誘導後6日目に細胞を、細胞分散液(AccuMax[Innovative Cell Technologies社製])を用いて37℃で3〜5分間インキュベーションすることで培養皿から剥離し、1% PBS、5mM EDTA及び5% FBSを含む溶液中に懸濁した後、抗CD82−PE抗体(Biolegend社製)を加えて、室温で30分間インキュベートした。続いて、抗PE−MACSビーズ(Miltenyi Biotec社製)を加えて、4℃で20分間インキュベートした。1% PBS、5mM EDTA及び5% FBSを含む溶液で2回洗浄後、自動磁気細胞分離装置(autoMACS[Miltenyi Biotec社製])を用いてCD82陽性細胞を単離した。なお、コントロールとして用いるために、CD13陽性細胞及びDGFRα陽性細胞を単離した。単離したCD82陽性細胞約5×10個を、本件血清含有培養液10μLとマトリゲル(1:60希釈、Invitrogen社製)10μLとの混合液中に懸濁し、C.B-17/lcr-scid/scidJclマウス(日本クレア社より入手)の腎被膜下に移植した。ここで、移植を心臓ではなく、腎被膜下に行うことにより、心臓とは関係のない環境下でも心筋細胞へ分化し得るかどうかを検討した。移植後2週間目に、マウスを安楽死させ、腎臓を切断して4% PFAにて固定し、30% スクロースにて脱水処理を行った後、OCT化合物(Sakura Finetek社製)に包埋し、クリオスタット(Carl Zeiss社製)を用いて厚さ6μmの腎被膜凍結切片を作製した。作製した腎被膜凍結切片を、0.1% TritonX-100/PBS溶液で透過処理を行った後、2%スキムミルクでブロッキング処理を行った。続いて、1次抗体(抗cTnT抗体[abcam社製]にて室温で1時間又は一晩抗原抗体反応処理を行った後、2次抗体(Alexa Fluor 488抗マウスIgG抗体)にて室温で1時間抗体反応処理を行い、その後、抗ヒト核抗原[HNA;Human Nuclear Antigen]抗体[stem cells社製])と、Zenon Alexa Fluor 564(Life Technologies社製)とのコンジュゲート抗体にて室温で2.5時間抗体反応処理を行い、細胞核を、10μg/mL DAPI(Life Technologies社製)で染色した。共焦点蛍光画像は、Zeiss LSM 710 laser scanning microscope(Carl Zeiss社製)を用いて取得した。
[インビボでの心筋細胞への分化能の評価法2]
上記[本件プロトコール]の項目に記載の方法にしたがってヒトiPS細胞から心筋細胞への分化誘導を行い、分化誘導後6日目に細胞を、細胞分散液(AccuMax[Innovative Cell Technologies社製])を用いて37℃で10〜15分間インキュベーションすることで培養皿から剥離し、1% PBS、5mM EDTA及び5% FBSを含む溶液中に懸濁した後、抗CD82−PE抗体(Biolegend社製)、抗CD13−FITC抗体(abcam社製)、及び抗PDGFRα−APC抗体(R&D Systems社製)を加えて、室温で30分間インキュベートした。1% PBS、5mM EDTA及び5% FBSを含む溶液で2回洗浄後、セルソーターを用いてCD82陽性細胞(CD82陽性CD13陽性PDGFRα陽性細胞)を単離し、約3×10個の細胞にHoechst33258(Invitrogen社製)を加えて37℃15分インキュベートし、細胞核の染色を行った後、冠動脈結紮した心筋梗塞モデルラットF344 N-Jcl rnu/rnuの心臓に移植した。移植後4週間目に、ラットを安楽死させ、心臓を切断して4% PFAにて固定し、30% スクロースにて脱水処理を行った後、OCT化合物(Sakura Finetek社製)に包埋し、クリオスタット(Carl Zeiss社製)を用いて厚さ6〜10μmの心臓凍結切片を作製した。作製した心臓凍結切片を、0.2% Tween20/PBS溶液で透過処理を行った後、2% スキムミルクでブロッキング処理を行った。続いて、1次抗体(抗cTnT抗体[abcam社製]にて室温で1時間又は一晩抗原抗体反応処理を行った後、2次抗体(Alexa Fluor 488抗マウスIgG抗体)にて室温で1時間抗体反応処理を行いで染色した。画像は、BIOREVO BZ-9000(KEYENCE社製)を用いて取得した。
[凍結保存したCD82陽性細胞の心筋細胞への分化能の評価法]
上記[インビボでの心筋細胞への分化能の評価法1]の項目に記載の方法にしたがって、CD82陽性細胞を単離し、細胞凍結保存液(セルバンカー3[十慈フィールド社製])を1.0×10細胞/mLとなるように加え、CryoELITE Cyogenic vials(WHEATON社製、W985866)に1.0×10細胞/チューブとなるように分注した。Cryo Box(Thermo社製、5025-0505)に入れ、−80℃フリーザーに保存した。その後、凍結したチューブを液体窒素中に移して保存した。CD82陽性細胞ストックを液体窒素から取り出し、37℃の湯浴器中で迅速に融解し、遠心処理により上清(細胞凍結保存液)を除き、細胞をPBSで洗浄した後、マトリゲルでコートした6ウェルプレート(Growth Factor Reduced Matrigel、BD Biosciences社製)へ1〜1.5×10cells/cmの濃度で播種し、上記[インビトロでの心筋細胞への分化能の評価法]の項目に記載の方法にしたがって、心筋細胞への分化能を評価した。
[結果1:心筋前駆細胞が誘導される時期の特定]
ヒトiPS細胞から心筋細胞への分化誘導過程において、心筋細胞への分化能を有する細胞、すなわち心筋前駆細胞が誘導される時期を特定するために、上記[本件プロトコール]の項目に記載の方法にしたがってヒトiPS細胞から心筋細胞への分化誘導を行い、分化誘導後4日目及び5日目に、上記[セルソーティング及びフローサイトメトリー解析]の項目に記載の方法にしたがって中胚葉由来の細胞(KDR陽性PDGFRα陽性細胞)を純化し、上記[インビトロでの心筋細胞への分化能の評価法]の項目に記載の方法にしたがって心筋細胞(cTnT陽性細胞)の割合を解析した(図2参照)。
その結果、分化誘導後4日目のKDR陽性PDGFRα陽性細胞のcTnT陽性細胞への分化効率は、2.6%であったのに対して、分化誘導後5日目のKDR陽性PDGFRα陽性細胞のcTnT陽性細胞への分化効率は、69.0%と27倍も高いことが明らかとなった(図2参照)。この結果は、種々の条件においても心筋細胞にのみ分化する、分化運命が心筋へと決定された特異的な前駆細胞(以下、「心筋特異的前駆細胞」ということがある)が誘導されることを示している。
[結果2:心筋前駆細胞が誘導される時期に発現が増加するCD82の同定]
上記結果1により、ヒトiPS細胞から心筋細胞への分化誘導後4日目から5日目にかけて、心筋特異的前駆細胞が誘導されることが示されたので、かかる時期で発現の増減が認められる細胞表面マーカーを有する細胞が、心筋特異的前駆細胞である可能性が高いと考えた。そこで、分化誘導後4日目から5日目にかけて、発現の増減が認められる細胞表面マーカーを探索するために、上記[RNAマイクロアレイ解析]の項目に記載の方法にしたがって分化誘導後4日目から5日目にかけて発現の増減が認められる細胞表面マーカーを解析した。その結果、CD82が同定された。この結果は、CD82を発現する細胞、すなわちCD82陽性細胞は心筋特異的前駆細胞であることを示唆している。
[結果3:心筋細胞への分化誘導過程におけるCD82陽性細胞の継持的変化]
上記結果2により、ヒトiPS細胞から心筋細胞への分化誘導後4日目から5日目にかけて、CD82陽性細胞が誘導されることが示されたので、分化誘導後のCD82陽性細胞の継持的変化を解析した。上記[本件プロトコール]の項目に記載の方法にしたがってヒトiPS細胞から心筋細胞への分化誘導を行い、分化誘導後3〜11日目に、上記[セルソーティング及びフローサイトメトリー解析]の項目に記載の方法にしたがってCD82及びPDGFRαの発現を、フローサイトメーターを用いて解析した(図3参照)。
その結果、CD82陽性細胞は、分化誘導後4日目にPDGFRα陽性細胞群(集団)から誘導され始め、その数を増やし、6日目でPDGFRα陽性細胞群の約80%がCD82陽性細胞となり、7日目でCD82陽性細胞数がピーク(全細胞数に対して62.2%)となり、その後急速に(9日目で全細胞数に対して22.2%、11日目で全細胞数に対して5.25%)CD82陽性細胞数が減少することが示された(図3参照)。
また、分化誘導後4〜6日目のCD82及びCD13の発現についても同様に、フローサイトメーターを用いて解析したところ、CD82陽性細胞は、分化誘導後4日目にPDGFRα陽性細胞群(集団)から誘導され始めることが示された(図4参照)。
これらの結果は、CD82陽性細胞はこれまで報告されていた心血管前駆細胞群であるPDGFRα陽性細胞やCD13陽性細胞よりも心筋細胞への分化が進行した細胞であることを示している。
さらに、分化誘導後9日目及び15日目のCD82及びcTnTの発現についても同様に、フローサイトメーターを用いて解析したところ、9日目のCD82陽性細胞ではcTnTの発現は検出されず(図5の左図参照)、また、15日目のcTnT陽性細胞ではCD82は検出されなかった(図5の右図参照)。
この結果は、CD82は心筋細胞(cTnT陽性細胞)へ分化が完了すると発現しないことを示している。
[結果4:インビトロでのCD82陽性細胞の心筋細胞へ分化能の評価]
上記結果2及び3より、CD82陽性細胞は心筋特異的前駆細胞であることが示唆されたので、CD82陽性細胞が心筋細胞へ特異的に分化するかどうかを解析した。上記[本件プロトコール]の項目に記載の方法にしたがってヒトiPS細胞から心筋細胞への分化誘導を行い、分化誘導後5日目に、上記[セルソーティング及びフローサイトメトリー解析]の項目に記載の方法にしたがってCD82陽性CD13陽性細胞及びCD82陰性CD13陽性細胞をそれぞれ純化し、上記[インビトロでの心筋細胞への分化能の評価法]の項目に記載の方法にしたがって心筋細胞(cTnT陽性細胞)の割合を解析した(図6参照)。
その結果、CD82陰性CD13陽性細胞の血清存在下におけるcTnT陽性細胞への分化効率は、26.4%であったのに対して、CD82陽性CD13陽性細胞のcTnT陽性細胞への分化効率は、82.8%と3.1倍も高いことが明らかとなった(図6参照)。この結果により、CD82陽性細胞は、心筋細胞(cTnT陽性細胞)へ特異的に分化誘導する心筋前駆細胞、すなわち心筋特異的前駆細胞であることがインビトロでの実験により示された。
[結果5:インビボでのCD82陽性細胞の心筋細胞へ分化能の評価]
上記結果4により、CD82陽性細胞は、心筋細胞へ特異的に分化誘導する心筋前駆細胞であることがインビトロでの実験により示されたので、インビボでも同様に心筋細胞へ特異的に分化誘導するかどうかを検討した。上記[インビボでの心筋細胞への分化能の評価法1]の項目に記載の方法にしたがってCD82陽性細胞をマウスの腎被膜下に移植したところ、移植したCD82陽性細胞に由来するHNA陽性細胞のうち、ほぼすべての細胞(95%以上)がcTnT陽性細胞(心筋細胞)であることが明らかとなった(図7参照)。他方、CD13陽性細胞やPDGFRα陽性細胞をマウスの腎被膜下に移植した場合、腎被膜下での生着は認められなかった。
さらに、上記[インビボでの心筋細胞への分化能の評価法2]の項目に記載の方法にしたがってCD82陽性細胞(CD82陽性CD13陽性PDGFRα陽性細胞)を、心筋梗塞モデルラットの心臓に移植したところ、移植したCD82陽性細胞に由来するHoechst33258陽性細胞のうち、ほぼすべての細胞(95%以上)がcTnT陽性細胞(心筋細胞)であることが明らかとなった(図8参照)。
これらの結果は、上記インビトロの結果を支持するとともに、CD82陽性細胞は、これまで報告のあるCD13陽性細胞やPDGFRα陽性細胞等の心血管前駆細胞群よりも、心臓へ効果的に生着でき、かつ心臓において特異的に心筋細胞へ分化できる心筋前駆細胞であることを示している。
[結果6:CD82陽性細胞の凍結保存の評価]
上記結果5により、心筋細胞へ特異的に分化誘導する心筋前駆細胞を治療に用いるにあたり、CD82陽性細胞を凍結保存可能かどうかについて検討した。上記[凍結保存したCD82陽性細胞の心筋細胞への分化能の評価法]の項目に記載の方法にしたがって、凍結保存したCD82陽性細胞の心筋細胞への分化能の評価を行ったところ、cTnT陽性細胞(心筋細胞)の割合は94.4%と高いことが明らかとなった(図9参照)。この結果は、CD82陽性細胞は、凍結・融解処理を行った後でも心筋細胞への高い分化能を有することを示しており、凍結保存が可能であることを示している。
[結果7:細胞表面マーカーの発現解析]
上記[本件プロトコール]の項目に記載の方法にしたがってヒトiPS細胞から心筋細胞への分化誘導を行い、分化誘導後4日目及び6.5日目に、上記[セルソーティング及びフローサイトメトリー解析]の項目に記載の方法にしたがって、細胞を培養皿から剥離し、human PDGFRα-PE(PRa292、R&D Systems社製)を用いて30分間、4℃条件下で反応させた。その後、細胞表面マーカーの発現を網羅的に解析するために、抗体ライブラリー(BD Lyoplate Screening Panels、BD biosciences社製)を用いて30分間、4℃条件下で反応させた。検出される細胞表面マーカーの発現は、フローサイトメーター(BD LSRFortessa セルアナライザー[BD biosciences社製])を用いて解析した。
その結果、分化誘導後6.5日目のPDGFRα陽性細胞において、22種類の細胞表面マーカー(CD105、CD121a、CD18、CD120a、CD45、CD14、CD31、HLA−DR、CD38、CD121b、CD122、CD124、CD126、CD127、CD11a、CD104、CD62e、CD62l、CD62p、CD120b、CD34、及びCD4)は陰性であることが明らかとなった(図10〜12参照)。この結果と、分化誘導後6日目のPDGFRα陽性細胞の約50%はCD82陽性細胞であること示す図3の結果とを総合すると、CD82陽性細胞における上記22種類の細胞表面マーカーは陰性であることを示している。
さらに、上記[本件プロトコール]の項目に記載の方法にしたがってヒトiPS細胞から心筋細胞への分化誘導を行い、分化誘導後6日目に、上記[セルソーティング及びフローサイトメトリー解析]の項目に記載の方法にしたがって、細胞を培養皿から剥離し、human CD82-PE(ASL-24、Biolegend社製)又はhuman CD82-APC(ASL-24、Biolegend社製)を用いて30分間、4℃条件下で反応させた。その後、26種類の細胞表面マーカー(CD7、CD37、CD43、CD49a、CD18、CD105、CD144、STRO−1、CD177、CD73、CD44、CD117[c-kit]、CD163、CD31、CD106、ROR2、CD137L、CD140b[PDGFRb]、CD166[ALCAM]、CD180、CD252[OX40L]、CD344[Frizzled4]、CD304[Neurophilin-1]、CD118[LIF−R]、CD99R、及びCD90)に対する抗体(表2参照)を用いて30分間、4℃条件下で反応させた。検出される細胞表面マーカーの発現は、フローサイトメーター(FACS(FACS Aria II[BD biosciences社製]))を用いて解析した。
その結果、CD82陽性細胞における、15種類の細胞表面マーカー(CD7、CD37、CD43、CD49a、CD18、CD105、CD144、STRO−1、CD177、CD73、CD44、CD117、CD163、CD31、及びCD106)は陰性であり(図13参照)、11種類の細胞表面マーカー(ROR2、CD137L、CD140b、CD166、CD180、CD252、CD344、CD304、CD118、CD99R、及びCD90)は陽性であることが示された(図14参照)。
本発明によると、心筋特異的分化能を有し、且つ、高い自己増殖能と高い心筋への生着効率を有する心筋前駆細胞を調製できるため、心疾患の治療、特に低侵襲の心疾患治療に資するものである。

Claims (16)

  1. CD105陰性かつCD82陽性であり、さらに、PDGFRα陽性及び/又はCD13陽性である心筋前駆細胞。
  2. CD31陰性及び/又はCD45陰性である、請求項1記載の心筋前駆細胞。
  3. 幹細胞から心血管系細胞への分化誘導過程の細胞集団中に含まれる、請求項1又は2記載の心筋前駆細胞。
  4. 幹細胞がヒト多能性幹細胞である、請求項3記載の心筋前駆細胞。
  5. 細胞集団中に少なくとも40%の割合で含まれる、請求項1〜4のいずれか記載の心筋前駆細胞。
  6. 単離処理が施された請求項1〜5のいずれか記載の心筋前駆細胞
  7. 細胞集団中に少なくとも80%の割合で含まれる、請求項6記載の心筋前駆細胞。
  8. 凍結保存された請求項1〜のいずれか記載の心筋前駆細胞
  9. 請求項1〜のいずれか記載の心筋前駆細胞を含む心疾患治療剤。
  10. 以下の工程(a)及び(b)を備えた心筋前駆細胞の調製方法。
    (a)幹細胞に対して心血管系細胞への分化誘導処理を行う工程;
    (b)工程(a)で分化誘導処理した幹細胞の中から、CD105陰性かつCD82陽性であり、さらに、PDGFRα陽性及び/又はCD13陽性である心筋前駆細胞を含む細胞集団を得る工程
  11. 工程(b)において、細胞集団中に少なくとも40%の割合で心筋前駆細胞が含まれるように細胞集団を得る請求項10記載の調製方法。
  12. 心筋前駆細胞が、CD31陰性及び/又はCD45陰性である、請求項10又は11記載の調製方法。
  13. 幹細胞がヒト多能性幹細胞である請求項10〜12のいずれか記載の調製方法。
  14. 工程()において、工程()で分化誘導処理後CD82陽性細胞が表れる時期心筋前駆細胞に対して単離処理を施す請求項1013のいずれか記載の調製方法。
  15. 工程(b)において、CD82陽性であることを指標として心筋前駆細胞に対して単離処理 を施す請求項10〜14のいずれか記載の調製方法。
  16. 工程(b)において、心筋前駆細胞に対して、細胞集団中に少なくとも80%の割合で含まれるように単離処理を施す請求項10〜15のいずれか記載の調製方法。
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