JP2013510582A - 間葉幹細胞の球状集合体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、哺乳類における炎症を減少させる方法及び組成を含む。本発明は、抗炎症性、抗アポトーシス、免疫調節及び抗腫瘍性を有する間葉幹細胞の一群を含む。

Description

本発明は、間葉ストローマ細胞(MSC)が新規の治療特性を有するように培養でき、所望の病気の治療に有益である発見に関する。
骨髄は少なくとも2種類の幹細胞を含む。すなわち、造血幹細胞並びに間葉幹細胞又はストローマ細胞(MSC)又は骨髄ストローマ細胞(BMSC)などと呼ばれる非造血組織の幹細胞を含む。本明細書では、これらの術語を同じ意味として用いる。MSCは、骨髄の少量の吸引液又は他の間葉幹細胞から簡単に分離でき且つ単一細胞由来のコロニーを生成するので、興味深い。骨髄細胞は腸骨稜、大腿、頸骨、背骨、肋骨、膝又は他の間葉幹細胞から得られる。MSCは、胚卵黄嚢、胎盤、臍帯、皮膚、脂肪、関節の滑膜組織及び血液からも得られる。モノクローナル抗体を特定の細胞表面マーカとすることにより、培養コロニーにおけるMSCの存在が確認される(特許文献1及び2を参照)。単一細胞由来のコロニーは、約10週内に50倍まで拡大し、造骨細胞、脂肪細胞、軟骨細胞(非特許文献1〜4)、筋細胞(非特許文献5)、星状膠細胞、乏突起膠細胞及び神経細胞(非特許文献6〜9)に分化する。稀には、細胞が全ての3つの生殖細胞系列に分化することもある。このように、MSCは、骨、軟骨、靭帯、腱、脂肪、筋、心臓組織、基質、真皮及び他の結合組織を含む多重間葉細胞系列の前駆体としての役割を果たす(特許文献3、4参照)。このため、近年、MSCは、ヒトの病気の細胞及び遺伝子治療への可能性を試験するようになった(非特許文献10、11)。
MSCは、多能性幹細胞の別の源泉を構成する。生理学的条件下では、MSCは骨髄の構造を維持し、異なった細胞接着分子及びサイトカインの分泌の助けにより造血を調節する(非特許文献12、13)。組織培養樹脂の選択的付加装置により骨髄から成長したMSCを、効率的に膨張させ(非特許文献6)遺伝子的に操作することができる(非特許文献14)。
MSCは骨(非特許文献3)、軟骨(非特許文献15)、脂肪(非特許文献3)及び筋肉(非特許文献5)を含む多数の中胚葉組織へと分化できるので、間葉幹細胞とも称される。更に、MSCが胚葉に拘束されないことを示唆する神経細胞標識を発現する神経細胞に似た細胞への分化も報告されている(非特許文献9、16、17)。
骨髄の移植の概念は別に研究されている。例えば、Azizi等はヒトの骨髄ストローマ細胞(hBMSC)をシロネズミ(Albino rat)の脳に移植した(非特許文献6)。hBMSCは、ネズミの星状膠細胞と同様に移植、移動及び生存が観察された。更に、骨髄細胞は、成体マウスの脳に移植されるとミクログリア乾燥大膠細胞に分化できることが明らかとなった(非特許文献18)。
米国特許第5486359号明細書 米国特許第7153500号明細書 米国特許第6387369号明細書 米国特許第7101704号明細書
Friedenstein et al., 1970 Cell Tissue Kinet. 3:393-403 Castro-Malaspina et al., 1980 Blood 56:289-301 Beresford et al., 1992 J. Cell Sci. 102:341-351 Prockop, 1997 Science 276:71-74 Wakitani et al., 1995 Muscle Nerve 18:1417-1426 Azizi et al., 1998 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:3908-3913 Kopen et al., 1999 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:10711-10716 Chopp et al., 2000 Neuroreprot II:3001-3005 Woodbury et al., 2000 Neuroscience Res. 61:364-370 Horwitz et al., 1999 Nat. Med. 5:309-313 Caplan et al., 2000 Clin. Orthoped. 379:567-570 Clark and Keating, 1995 Ann. NY Acad. Sci. 770:70-78 Colter et al., 2000 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:3213-3218 Schwartz et al., 1999 Hum. Gene Ther. 10:2539-2549 Lermon et al., 1995 Exp. Cell Res. 219:211-222 Sanchez-Ramos et al., 2000 Exp. Neurol 164:247-256 Deng et al., 2001 Biochem. Biophs. Res. Commun. 282:148-152 Eglitis et al., 1997 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:4080-4085
本発明は病気の治療において、MSCによる治療効果を追加するのに必要なデータを提供することを目的としている。
本発明によれば、球状集合体の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞が提供される。この間葉幹細胞は、単層として培養された間葉幹細胞と比較すると少なくとも1つの治療タンパク質へと大量に発現する。
非限定的な実施例では、少なくとも1つの治療タンパク質は、球状集合体の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞により、単層として培養された間葉幹細胞よりも少なくとも20%大きく発現される。別の非限定的な実施例では、少なくとも1つの治療タンパク質は、球状集合体の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞により、単層として培養された間葉幹細胞よりも少なくとも3倍大きく発現される。更に別の非限定的実施例では、少なくとも1つの治療タンパク質は、球状集合体の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞により、単層として培養された間葉幹細胞よりも少なくとも10倍大きく発現される。更に限定的な実施例によっては、少なくとも1つの治療タンパクは、球状集合体の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞により、単層として培養された間葉幹細胞よりも少なくとも50倍大きく発現される。また、別の非限定的な実施例では、少なくとも1つの治療タンパク質は、球状集合体の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞により、単層として培養された間葉幹細胞よりも少なくとも500倍大きく発現される。また更に、別の非限定的な実施例では、少なくとも1つの治療タンパク質は、球状集合体の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞により、単層として培養された間葉幹細胞よりも少なくとも1000倍大きく発現される。
非限定的な実施例では、少なくとも1つの治療タンパク質は、抗炎症性タンパク質、抗アポトーシスタンパク質、細胞の成長及び発生を調節するタンパク質、免疫応答を調節するタンパク質、造血を調節するタンパク質、腫瘍の成長を阻害、防止又は破壊するタンパク質、細胞のホーミングを調節するタンパク質、細胞接着及び/又は細胞シグナルに関与するタンパク質、血管形成を増進させるタンパク質及び前記タンパク質の組合せから成る群から選択されたものである。
例えば、非限定的な実施例では、MSCは、炎症、細胞のアポトーシス、自己免疫疾患を含む免疫異常調節、癌を含む腫瘍など(これらには限定されないが)を含む疾患を治療するのに使用できる。このことは、本発明によるMSCは、抗炎症性タンパク質、抗アポトーシスタンパク質、造血を調節するタンパク質、腫瘍細胞及び/又は癌細胞を死滅させるタンパク質、免疫応答を調節するタンパク質、細胞のホーミングを調節するタンパク質、細胞接着及び/又は細胞シグナルに関与するタンパク質、血管形成を増進させるタンパク質など及び前記タンパク質の組合せ(これらには限定されないが)を含んだ、発現の結果として増量された1つ以上の治療タンパク質の特徴を有するように操作されるためである。
本発明の非限定的実施例では、MSCが抗炎症性治療への使用に提供される。別の非限定的な実施例では、MSCが酸素の欠損(虚血及び低酸素症)及び細胞及び組織の種々の損傷に関連するプログラム細胞死(アポトーシス)を減少ことへの使用に提供される。別の非限定的な実施例では、MSCは抗腫瘍治療、すなわち癌性腫瘍を含む腫瘍の成長の阻害、防止又は破壊への使用に提供される。別の非限定的な実施例では、MSCは、自己免疫疾患の治療(これには限定されないが)を含む免疫の調節への使用に提供される。
本発明は、懸滴又は非付着性皿においてMSCを成長させると迅速に球状体へと集合するとの発見に関する。このようなMSCは、ここでは「MSCの球状集合体」または「MSC球状体」と称する。非限定的な実施例では、このようなMSC球状体は高い生存率を示し、治療タンパク質用に高水準の1つ以上の一連の遺伝子を発現する。このようなタンパク質の例として(下記には限定されないが)、TNF−αに刺激された遺伝子タンパク質6(TSG−6)、抗炎症性タンパク質:増殖分化因子−15(GDF−15)、抗炎症性タンパク質:stanniocalcin−1(STC−1)、抗アポトーシス及び抗炎症性タンパク質:白血病阻害因子(LIF)、細胞の成長及び発育を調節するタンパク質(IL−11)、造血を調節するタンパク質:リガンドを誘発するアポトーシスに関するTNF−α(TNFSF10、TRAILとしても知られている)、ある種の癌細胞を死滅させ免疫応答を調節するタンパク質(IL−24)、ある種の癌細胞を死滅させるタンパク質:CD82、癌細胞を死滅させ転移を抑制するタンパク質:CXCケモカイン受容体4(CXCR4)、細胞のホーミングを調整するタンパク質:ITGA2(インテグリンα2又はCD94bとしても知られている)、細胞接着及び細胞シグナルに関与するタンパク質:IL−8及び血管形成を増進させるタンパク質が含まれる。
本発明は、MSCが、ヒト及びヒト以外の動物へ投与する前に、(下記に限定されないが)抗炎症性タンパク質、抗アポトーシスタンパク質、免疫変調タンパク質、抗腫瘍性タンパク質など1つ以上の治療に有益なタンパク質へと発現するようにプレプログラミング(pre−programming)する方法を提供する。
hMSC球状体の生成及び間葉表面の特徴を維持する球状体由来の細胞の獲得の方法を示す一連の図であって、表面マーカPODXLの発現の減少及び表面マーカCD49bの発現の増加により標準的な単層培養したMSCとは区別される。 hMSC球状体の生成及び間葉表面の特徴を維持する球状体由来の細胞の獲得の方法を示す一連の図であって、表面マーカPODXLの発現の減少及び表面マーカCD49bの発現の増加により標準的な単層培養したMSCとは区別される。 培養球状体由来のMSCの緩慢であるが生存可能な拡散を示す一連の図 球状体由来のMSC細胞は、単層培養したMSCより際立って小さいことを示す一連の図 球状体由来のMSC細胞は、単層培養したMSCより際立って小さいことを示す一連の図 懸滴培養されたMSC球状体は一連の治療遺伝子の単層から培養されたMSCよりも発現のレベルが高いことを示す図であって、一連の治療遺伝子は、TNF−α刺激遺伝子タンパク質6(TSG−6、抗炎症性タンパク質);stanniocalcin 1(STC−1、抗アポトーシスタンパク質);白血病抑制因子(LIF);細胞の成長及び発育を調節するタンパク質;IL−11(造血を調節するタンパク質);リガンドを含むアポトーシスに関連するTNF−α(TNFSF10、TRAILとしても知られる、ある種の癌細胞を死滅させ免疫応答を調節するタンパク質);IL−24(ある種の癌細胞を死滅させるタンパク質);CXCケモカイン受容体4(CXCR4、細胞のホーミングを調節するタンパク質);ITGA2(インテグリンα2としても知られる細胞の接着及び信号伝達に関与するタンパク質);IL−8(血管形成を向上させるタンパク質)。本図は、MSC球状体由来の細胞は、球状体として成長したヒト皮膚繊維芽細胞(hDF)、肺上皮癌細胞系(A549)及びヒト神経前駆体細胞の三種の細胞よりも遥かに高い水準の発現をすることも示している。 懸滴培養されたMSC球状体は一連の治療遺伝子の単層から培養されたMSCよりも発現のレベルが高いことを示す図であって、一連の治療遺伝子は、TNF−α刺激遺伝子タンパク質6(TSG−6、抗炎症性タンパク質);stanniocalcin 1(STC−1、抗アポトーシスタンパク質);白血病抑制因子(LIF);細胞の成長及び発育を調節するタンパク質;IL−11(造血を調節するタンパク質);リガンドを含むアポトーシスに関連するTNF−α(TNFSF10、TRAILとしても知られる、ある種の癌細胞を死滅させ免疫応答を調節するタンパク質);IL−24(ある種の癌細胞を死滅させるタンパク質);CXCケモカイン受容体4(CXCR4、細胞のホーミングを調節するタンパク質);ITGA2(インテグリンα2としても知られる細胞の接着及び信号伝達に関与するタンパク質);IL−8(血管形成を向上させるタンパク質)。本図は、MSC球状体由来の細胞は、球状体として成長したヒト皮膚繊維芽細胞(hDF)、肺上皮癌細胞系(A549)及びヒト神経前駆体細胞の三種の細胞よりも遥かに高い水準の発現をすることも示している。 懸滴培養由来のMSC球状体中において、抗炎症性タンパク質(TSG−6)、抗アポトーシスタンパク質(STC−1)及び細胞調節タンパク質(LIF)の生成が著しいことを示す一連の図 MSC由来の細胞により、LPS刺激マクロファージから生成されたTNFαの量が著しく減少することを示す一連の図。MSC球状体由来の細胞の効果は、単層培養のMSC球状体由来の細胞よりも遥かに大きい。 MSC球状体由来の細胞は生体内において抗炎症効果があることを示す図。実験では、マウスに刺激薬ザイモサンを注射することにより、腹膜炎が誘発され、次いでMSC球状体由来の細胞を腹腔に注射した。炎症のマーカである血清中のプラスミンの活量が減少することから、MSC球状体由来の細胞が炎症を減少させること示される。 hMSCを懸滴又は無癒着性表面において成長させると、迅速に球状体へと集合することを示す一連の図 小さな球状体におけるhMSCが高い生存率を示す一連の図 小さな球状体におけるhMSCが高い生存率を示す一連の図 hMSC球状体が高水準の抗炎症性分子TSG−6を発現することを示す一連の図 マイクロアレイの解析から得られた、細胞周期及び細胞体質遺伝子を下方制御する間に、hMSC球状体は高水準の一連のサイトカイン及び細胞接着分子に発現することを示す図。データは、hMSC球状体において発現された遺伝子のプロファイルは、単層培養されたhMSCにおいて発現された遺伝子のプロファイルと著しく異なっていることを示している。 hMSC球状体が高度の治療効果を有する分子に発現することを示す一連の図;TSG−6(抗炎症性タンパク質);STC−1、(抗アポトーシスタンパク質);LIF(細胞の成長及び発育を調節するタンパク質);IL−24(ある種の癌細胞を死滅させるタンパク質);TRAIL(ある種の癌細胞を死滅させ免疫系を調節するタンパク質) hMSC球状体が高度の治療効果を有する分子に発現することを示す一連の図;TSG−6(抗炎症性タンパク質);STC−1、(抗アポトーシスタンパク質);LIF(細胞の成長及び発育を調節するタンパク質);IL−24(ある種の癌細胞を死滅させるタンパク質);TRAIL(ある種の癌細胞を死滅させ免疫系を調節するタンパク質) hMSC球状体が多量のタンパク質TSG−6、STC−1及びLIFを分泌することを示す一連の図 hMSC球状体と共に培養されるとLPS刺激マクロファージの分泌するTNF−αが少なくなることを示す一連の図。単層培養されたMSCは効果が薄い。 マウスの腹膜炎において、hSMC球状体はhMSC球状体由来の細胞(図6)と同じ抗炎症効果を現すことを示す図 懸滴においてhMSCが球状体に集合するに従い、TSG−6の発現が増大することを示す図。A:懸滴において、時間経過と共に25000のhMSCが集合して球状体となることを示す位相差顕微鏡像(サイズ:500μm)。B:H&E染色した懸滴において3日培養したhMSCの断面(上から順位球状体の表面、中心部、中心部を示す、サイズ:50μm)。 懸滴においてhMSCが球状体に集合するに従い、TSG−6の発現が増大することを示す図。C:Adh Low試料(n=3)と対比してTSG−6のhMSCへの発現を即時RT−PCR法で測定した結果。D:高密度において3日間成長さるか又は異なった密度(n=4)における懸滴として成長させたhMSCから分泌されるTSG−6を24時間ELISA法で測定した結果。E:懸滴にて3日間成長させた2つの供与体からのhMSCにより生成された球状体の大きさを示す図であって、大きさは転移球状体(n=7−13)の画像を測定した。F:低密度において成長させたhMSC(n=3)と対比して高密度において、又は懸滴内(滴当たりの細胞数25000)において1−4日間成長させたTSG−6のhMSCへの発現を即時RT−PCR法で測定した結果。図には平均値±標準偏差を示す。図中の略号は、RQ:相対量、Adh Low:平板へhMSCを100細胞/cmの密度で塗布し、7−8間で70%の集約率となる密度、Adh High:Adh Lowから採取したhMSCを5,000細胞/cmの密度で塗布し3日間培養した密度、Sph 10k−250k:Adh Lowから採取したhMSCを塗布して3日間培養した密度が10,000−250,000細胞/cmである。 hMSC球状体の生存率を示す図。PI摂取及びアネキシンV−FITCの標識をフローサイトメトリーによりhMSCの生存率を測定した結果。球状体はトリプシン/EDTAで解離させた。代表的な蛍光ドットの記録とデータの要約が示されている。図の値は、平均値±標準偏差(n=3)である。 hMSC球状体の生存率を示す図。PI摂取及びアネキシンV−FITCの標識をフローサイトメトリーによりhMSCの生存率を測定した結果。球状体はトリプシン/EDTAで解離させた。代表的な蛍光ドットの記録とデータの要約が示されている。図の値は、平均値±標準偏差(n=3)である。1d−4dは図16−2のFと同様に培養日数を示す。 大きさの分析及びhMSC球状体の静脈への注入を示す図。A:フローサイトメトリーによる細胞の大きさの分析結果であって、hMSCの大きさは既知の径(3、7、15及び25μm)のビーズと比較して生存群(calcein AM/7AAD)が前方散乱(挿入図)する性質から推定した。B:細胞の大きさを示す顕微鏡像を示す図。C:静脈に注入したhMSCの相対的な組織分布を示す図。NOD/scidマウスの静脈に10単層又は球状体由来のhMSCを注入し、ヒトのAlu及びGAPDHに対するPCR法によりゲノムDNA及びhMSCの組織分布を測定するために15分後に試料を採取し(n=4−5)、Adh Highと比較して示した。図において*は確率<0.05、**は確率<0.01及び***は確率<0.001で有意でないことを意味する。値は平均値±標準偏差を示す。略号は図16−2と同じである。 球状体hMSCが付着培養からのhMSCの性質を保持していることを示す図。A:骨形成培地(Osteo Dif)と比較培地(Osteo Con)におけるhMSCの分化を示す図。培地は15日後にアリザリン赤で染色した(サイズ:200μm)。B:脂肪成培地(Adipo Dif)と比較培地(Adipo Con)におけるhMSCの分化を示す図。培地は15日後にオイル赤Oで染色した(サイズ:200μm)。C:高密度及び懸滴培培養を平板に低密度(細胞数;5500/板)で塗布し7日毎に継代したhMSC(供与体2)の単層としての成長を示す図(n=4)。継代毎の集団倍加(PD)が示されている(挿入図)。略号は図16−2と同じ。 球状体hMSCが付着培養からのhMSCの性質を保持していることを示す図。D:hHSC(供与体2)のCFU−Fアッセイを平板に塗布(83細胞/平板)し14日間培養した結果を示す図。19E:hMSC上の表面タンパク質の発現のフローサイトメトリーの結果を示す図。略号は図16−2と同じ。 2つの供与体からのhMSCのマイクロアッセイの結果を示す図。A:分化発現した遺伝子の階層的クラスタリングを示す図。少なくとも付着培養(Adh Low及びAdh High)の2倍の、上方制御された(236遺伝子)又は下方制御された(230遺伝子)球状の一方の遺伝子(Sph 25k)が階層クラスタリングに使用された。重要な遺伝子群(gene ontology)の用語はヒートマップの横に示した。B:分化発現した表面エピトープ、すなわち、CD82(転移の抑圧に関連するタンパク質)及びCD49b並びにhMSC上のMCAMの下方制御(CD146)、ALCAMの下方制御(CD166))の発現結果を示す図。略号は図16−2と同じ。 高水準の抗炎症性及び抗腫瘍分子を発現する球状hMSCを示す図。A:2つの供与体の抗炎症性遺伝子(TSG−6、STC−1及びLIF)、抗腫瘍遺伝子(IL−24及びTRAIL)、MSCホーミング受容体遺伝子(CXCR4)及びWnt信号阻害遺伝子(DKKI)の即時RT−PCR測定結果を示す図。測定値は、三組のアッセイの平均RQ(Adh Low試料に対する)±95%の有意幅を示す。B:転移して表面への付着(Adh)又は非付着(Nonadh)24時間後の高密度単層(Ahh High)、球状体(Sph 25k)及びhMSC由来の球状体(Sph 25k DC)の画像を示す図。培養は1.5mlのCCM、並びに高密度培養からの200,000のMSC、8つの球状体又は球状体から解離した200,000のMSCのいずれか含む6ウェル・プレートにて行った。24時間後、培地をELISA用に回収し細胞はタンパク質アッセイ用に溶解した結果を示す図(サイズ:200μm)。 高水準の抗炎症性及び抗腫瘍分子を発現する球状hMSCを示す図。C:全細胞性タンパク質へ標準化された培地上のTSG−6ELISAの結果を示す図。D:全細胞性タンパク質へ標準化された培地上のSTC−1のELISAの結果を示す図。E:全細胞性タンパク質へ標準化された培地上のLIFのELISAの結果を示す図。値は平均値±標準偏差(n=3)で示す。略号は図16と同じであるが、更に、NDは検出せず、Sph 25k DC−AdhはSphから解離したMSCを平板に付着させたことを意味する。 MSC球状体の試験管及び生体における増進された抗炎症効果を示す図。A:マウス・マクロファージ(mMΦ)アッセイの模式図。mMΦは、転移井戸の上部チャンバに播種されLPSで90分間刺激してLPSを除去し、チャンバは単層(Adh)、球状体(Sph)又は球状体由来のhMSC(Sph DC)が同一の細胞密度に塗付されたsix−well皿に転送される。MΦ:hMSC(2:1)。ELISAのため5時間後に培地を採集した。B:共存培養からの培地におけるmTNFαに対するELSIAの結果を示す図(n=3)。C:腹膜炎のマウスにおけるhMSCの抗炎症活性を示す図。炎症を誘発させるためにC57BL/6マウスの腹腔内にザイモサンを注入した。15分後に1.5×10の単層hMSC、60の球状体又は1.5×10の球状体由来細胞をマウスの腹腔内に注入した。6時間後腹腔洗浄液を回収し、ELISA法を用いてmTNFαの量を測定した。洗浄液内の全分子の量を図示した(n=4〜8)。24時間後血液を回収して血清中のプラスミン活性を測定した(n=3〜6)。値は平均値±標準偏差。図において、無印は確率≧0.05、*は確率<0.05、**は確率<0.01、***は確率<0.001でそれぞれが有意でないことを意味する。その他の略号は図16〜21と同じ。 MSC球状体の試験管及び生体における増進された抗炎症効果を示す図。D:図22−1のCと同様の操作によりELISA法を用いてmMPOを測定した。E:図22−1のpCと同様の操作によりELISA法を用いてPGEを測定した。値は平均値±標準偏差。図において、無印は確率≧0.05、*は確率<0.05、**は確率<0.01、***は確率<0.001でそれぞれが有意でないことを意味する。その他の略号は図16〜21と同じ 球状体hMSCは、動物由来の製品を含まない培地において培養した後凍結すると高い生存率を維持することを示す図。球状体は、市販の異物の無い培地で培養した。3日後トリプシン/EDTAを用いて球状体を解離させ、DSMOにおいて凍結した。細胞を解凍し、フローサイトメトリーによりPI摂取及びアネキシンV−FITC細胞表面標識を測定することにより生存率を決定した。標識の無い細胞は生存していると見なした。図中のCCM:完全培地(17%のFBSを含むαMEM)、HuSA:ヒトの血清アルブミン(Baxter Helthcare社)、Stpro.:StemPro Xeno−free培地(Gibeo社)、Mes.:Mesencult Xeno−free培地(Stem Cell Technologies社)。 動物由来の製品を含まない培地において培養した球状体hMSCの大きさの分布を示す図。市販の異物の無い培地で3日間培養した球状体をフローサイトメトリーにより測定した。球状体を解離させて得たhMSCをDSMOにおいて凍結した。少なくとも1週間後に、細胞を解凍し、死んだ細胞を測定対象から除くために、生存染料カルセインAM及び7AADで標識を付した。生存する細胞の線状分布が図示されている。細胞の前方散乱の性質と既知の径(3、7、15、25μm)を有するビーズとを比較して大きさを定量した。ビーズの大きさに対応する位置の縦線を加えた(I:0、J:3、K:7、L:15、M:25μm)。その他の略号は図23と同じ 動物由来の製品を含まない培地において球状体として培養したhMSCにより発現した治療遺伝子の解析結果を示す図。球状体は、上記培地において3日間培養した。抗炎症性遺伝子TSG−6、STC−1及びGDF−15を即時RT−PCRにより解析し、それぞれの結果を25A,25B及び25Cに示す。値は、Adh Lowの試料と比較したRQの平均値±標準偏差(n=3)。その他の略号は図23と同じ。 動物由来の製品を含まない培地において球状体として培養したhMSCの抗炎症性を示す図。球状体は上記培地において3日間培養した。球状体によりならされた調整培地(CM)は回収され、50倍に希釈されLPS存在下(100ng/ml)でマウスのマクロファージ上に添加された。LPSの存在下で培養したマクロファージ(sMO)又はLPS無しに培養したマクロファージ(MO)並びにLPS存在下での非調整培地は比較の対象とした。18時間後、マクロファージ培地は採取され、ELISA法によりmTNFαが分析された。値は平均値±標準偏差(n=3)。その他の略号は図23と同じ。
〔用語の定義〕
本明細書においては、用語を以下のように意味で用いられる。
不定冠詞″a″及び″an″は、1つ又は1つよりも多い意味で用いる。
「約(about)」は当業者には自明であり、文脈により意味がやや変動する。
「自己由来(autologous)」は、同じ個体に由来する物質で、また同じ個体に再導入される。
「生体適合格子(biocompatible lattice)」は組織発育を伝達する三次元構造へ形成を促進することが可能な基盤を意味する。例えば、細胞は細胞外マトリックス、合成高分子、サイトカイン、増殖因子などの生体適合格子上にて培養又は播種することができる。組織の発育を促進するように、格子は所望の形状に形成できる。また、少なくとも細胞を培養する初期段階においては、培地及び/又は基盤に適切な組織型及び構造への発育を促進する因子(例えば、増殖因子、サイトカイン、細胞外マトリックスなど)を付加することができる。
「骨髄ストローマ細胞」、「ストローマ細胞」「間葉幹細胞」又は「MSC」は、互いに入替わって用いられ、骨髄(非特許文献4)、末梢血(Kuznetsov et al., 2001)、脂肪組織(Guilak et al., 2004)、臍帯血(Rosada et al., 2003)、滑膜(De Bari et al., 2001)及び歯根膜(Seo et al.,2005)、胚性卵黄嚢、胎盤、臍帯、皮膚及び血液(特許文献1、2)、脂肪及び滑液由来の細胞を意味する。MSCは、可塑性の組織培地表面に付着するとの特徴(Friedenstein et al.; reviewed in Friedenstein, 1988)及び造血幹細胞の効率的な支持細胞層であると特徴(Evans et al., 2001)がある。更に、MSCは培養及び生体内においても、骨芽細胞及び軟骨細胞へと分化、脂肪細胞、筋肉細胞(非特許文献5)及び心筋細胞(Fukuda and Yuasa, 2006)へと分化、神経前駆体(非特許文献9、15、Kim et al., 2006、Maresehi et al., 2006、Krampera et al., 2007)へと分化し、骨、軟骨、靭帯、腱、脂肪、筋肉、心臓組織、ストローマ、真皮及びその他の結合組織を含む間葉細胞系列の前駆体として働く(特許文献3、4)。
間葉幹細胞(MSC)は、既存の方法により精製することもできる(非特許文献5、Fukuda and Yuasa, 2006、非特許文献9、15、Kim et al., 2006、Maresehi et al., 2006、Krampera et al., 2007)。
「移植片(graft)」は、細胞、組織、臓器又はその他移植用の生体適合格子を意味する。
「同種(allogenic)」は、同じ種の別の動物由来の移植片を意味する。
「異種(xenogenic)」は、別の種の動物由来の移植片を意味する。
「移植組織(transplant)」は、移植されるべき生体適合格子又は供与者の組織、臓器又は細胞を意味する。例えば、移植組織には、(下記に限定されないが)皮膚細胞又は組織、骨髄、並びに心臓、膵臓、腎臓、肺及び肝臓など固形の臓器が含まれる。ある実施例では、移植組織はヒトの神経幹細胞である。
ここで定義したように、「同種(allogenic)の骨髄ストローマ細胞(BMSC)」は、受容者と同じ種の異なった個体から得られる。
「供与者の抗原(donor antigen)」は、受容者へ移植すべき供与者の組織により発現される抗原を意味する。
「アロ抗原(alloantigen)」は、受容者により発現される抗原とは異なった抗原を意味する。
「エフェクター細胞(effector cell)」は、抗原に対する免疫応答を仲介する細胞を意味する。受容者に移植が為された状況においては、エフェクター細胞は供与者の移植組織に在る抗原に対する免疫応答を惹起する受容者自身の細胞である。別の状況では、エフェクター細胞は、移植組織の一部であり、受容者に移植細胞を導入すると、移植組織中に在るエフェクター細胞が受容者の移植組織に対する免疫応答を惹起する結果となる。
「治療に効果的な量」とは、BMSCを投与する被検者に有効な効果を与えるのに十分な量のBMSCを意味する。
「内生(endogenous)」とは、生体、細胞又は系統(system)から又は内部で生成された物質を意味する。
「外生(exogenous)」とは、生体、細胞又は系統(system)外からの物質又は外部で生成された物質を意味する。
「符号化(encoding)」とは、ヌクレオチド(すなわち、rRNA、tRNA及びmRNA)の定義された配列又はアミノ酸の定義された配列及びそれに伴う生物学的性質のいずれかを有する、他の高分子及び巨大分子を合成する鋳型として働く遺伝子、cDNA又はmRNAのようなポリヌクレオチドにおけるヌクレオチドの特有な配列の固有の性質を意味する。mRNAの転写及び翻訳が、細胞又は他の生体系(biological system)において遺伝子の生成するタンパク質に相当する場合、その遺伝子には該タンパク質の配列が符号化されていることになる。mRNA配列と同一で通常配列リストに提供されているヌクレオチド配列であるコード鎖、並びに遺伝子又はcDNAの転写用鋳型として用いられる非コード鎖の双方とも、タンパク質、又はその遺伝子又はcDNAの他の生成物が符号化されていることを意味する。
特に規定しない場合には、「アミノ酸の配列が符号化されたヌクレオチド配列(nucleotide sequence encoding an amino acid sequence)」は、互いが退化型であり同一のアミノ酸並列を符号化している全てのヌクレオチド配列を含む。タンパク質及びRNAが符号化されたヌクレオチド配列は、イントロンを含んでもよい。
「分離された核酸(isolated nucleic acid)」は、通常の状態では配列の側面にある配列から分離された核酸部分又は断片を意味し、例えば、DNA断片は通常は隣接した配列から除去されたものである、例えば通常はゲノム内において配列は断片に隣接している。この用語は、通常核酸を伴っている例えばRNA又はDNAから精製された核酸にも当てはまる。従って、この用語は、例えばベクター、自律複製プラスミド又はウィルス、又は原核生物又は真核生物のゲノムDNAに組込まれた組換えDNA、又は他の配列に依存しないで分離している分子(例えば、cDNA又はゲノム、又はPCR又は制限酵素消化により生成されたcDNA段片)。また、用語は、付加的なポリペプチド配列を符号化している雑種遺伝子の一部である組換えDNAも含む。
本発明の記載においては、核酸塩基には次の略号を用いている。「A」はアデノシン、「C」はシトシン、「G」はグアノシン、「T」はチミジン、「U」はウリジンを意味する。
「ベクター(vector)」は、分離された核酸を含み、分離された核酸を細胞の内部へ運搬する物質の組成を意味する。多数のベクターが知られており、下記に限定されないが、線状ポリヌクレオチド、イオン性又は親水性化合物に関連するポリヌクレオチド、プラスミド及びウィルスが含まれる。従って、この用語は、自律複製プラスミド又はウィルスを含む。この用語は、例えば、ポリリシン化合物、リプソームなど核酸の細胞内への伝達を促進する、非プラスミド及び非ウィルス化合物も含むと見なすべきである。
「発現ベクター(expression vector)」は、発現すべきヌクレオチド配列に連鎖した発現調整配列を含む組換えポリプクレオチドを含むベクターを意味する。発現ベクターは、発現するのに十分なシス作用領域を含む。発現するのに必要な他の領域は宿主細胞又はインビトロ 発現系より供給される。発現ベクターは、既知のコスミド、(例えば、裸又はリポソームに包まれた)プラスミド及び組換えポリヌクレオチドに組込まれたウィルスなどを含む。
本発明は、MSC、特にヒトのMSC(hMSC)が球状体へと集合すると、hMSC球状体及びhMSC球状体から得られた細胞は1つ以上の遺伝子符号化治療タンパク質を高水準で発現するとの発見に関する。そのような治療タンパク質は、抗炎症薬、抗アポトーシス薬、免疫応答を調節するタンパク質、造血を調節するタンパク質、腫瘍の成長を阻害、防止及び破壊する薬剤、細胞のホーミングを調節するタンパク質、細胞接着及び細胞シグナルに関与するタンパク質及び血管形成を増進するタンパク質並びにこれらの組合わせを含むが、これらに限定されるものではない。このようなタンパク質には、TSG−6(抗炎症性タンパク質)、増殖分化因子15又はGDF−15(抗炎症性タンパク質)、STC(抗アポトーシス及び抗炎症性タンパク質);LIF(細胞の成長及び発育を調節するタンパク質);IL−11(造血を調節するタンパク質);リガンドを含むアポトーシスに関するTNF−α又はTNFSF−10、TRAILとしても知られる(ある種の癌細胞を死滅させ免疫系を調節するタンパク質);IL−24(ある種の癌細胞を死滅させるタンパク質);CD82(癌細胞を死滅させ転移を抑制するタンパク質);CXCケモカイン受容体4又はCXCR4(細胞のホーミングを調節するタンパク質);ITGA2、インテグリンα2又はCD49bとしても知られる(細胞接着及び信号伝達に関与するタンパク質)及びIL−8(血管形成を向上させるタンパク質)があるが、これらに限定されるものではない。本明細書では、hMSC球状体及びhMSC球状体からのhMSCはインビトロの炎症アッセイにおいて抗炎症効果を示し且つインビボの腹膜炎のマウスにおいて抗炎症性である。従って、hMSC球状体及びhMSC球状体からのhMSCは、多くの疾患における抗炎症治療に有用である。幾つかの例では、hMSC球状体及びhMSC球状体からのhMSCは、多くの癌において抗腫瘍治療に有用である。
本発明は、哺乳類の炎症の減少又は阻害に有効なMSC球状体又はhMSC球状体から得られた細胞を用いて、哺乳類を治療することにより、炎症反応を減少させ且つ/又は消滅させる方法及び組成を含む。
本発明は、治療タンパク質が増大して発現するように、MSCを投与又は移植する前に、予めプログラムする方法を提供する。このような治療タンパク質には、抗炎症性、抗アポトーシス、免疫調節及び抗腫瘍性タンパク質がふくまれるが、これに限定されるものではない。患者に投与した際に、抗炎症性、抗アポトーシス、免疫調節及び/又は抗腫瘍性タンパク質が極大に発現するように、本発明の方法には、MSCの活性化及びMSCの投与が含まれる。
〔炎症を抑制する治療及び/又は抗腫瘍治療〕
本発明は、MSC球状体又はhMSC球状体から得られた細胞を用いて炎症を抑制又は調節する治療を含む。本発明は、MSCが集合すると迅速に球状体を形成するとの発見に基づいている。hMSC球状体は、高い生存率を示し、高水準の抗炎症、抗アポトーシス、免疫調節及び/又は抗腫瘍性タンパク質を発現する。hMSC球状体又はhMSC球状体から得られた細胞は、高水準の抗炎症性タンパク質を分泌する。hMSC球状体又はhMSC球状体から得られた細胞は、インビトロの炎症アッセイ及びインビボの腹膜炎のマウスにおいても抗炎症効果を示す。
当業者であれば、ここに提供された開示に基づき、hMSC球状体又はhMSC球状体から得られた細胞の炎症を抑制する能力は抗炎症治療の手段を提供すると評価する。
ここに提供された開示に基づき、MSCは、どのような原料からも得られることがわかる。受容者に対しては、MSCは自己由来(同一の宿主からえられた)であるか又は同種である。更に、MSCは受容者に対して異種移植(異種の動物から得られた)のこともある。例えば、ヒトの炎症を抑制するのにネズミMSCが使われることがある。
別の実施例では、MSCが、(下記に限定されないが)ヒト、マウス、ネズミ、サル、テナガザル、ウシなどの骨髄から分離されている。非限定的な実施例では、MSCが、ヒト、マウス又はネズミ(の骨髄)から分離されている。別の非限定的な実施例では、MSCが、ヒト(の骨髄)から分離されている。
本願の開示に基づき、ここで述べられた方法に用いるのに十分な数の細胞を得るために、MSCが集合を促進し球状体を形成するように、MSCが分離されてインビトロの培地に展開される。例えば、ヒトの骨髄からMSCが分離されて完全培地(4mMのグルタミン、10%PBS及び1%のペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEM低グルコース)、懸滴又は非接着性皿において培養されるが、分離法又は培地は上記に限定してされるものではない。むしろ、MSCが集合を促進し球状体を形成するようにMSCを培養できる、分離方法及び培地は全て本発明に含まれると考えてよい。
インビトロにおいてMSCを支援できる培地は、MSCを培養するのに用いられる。MSCの増殖を支援できる調整された培地には、ダルベッコ(Dulbecco)により修正されたイーグル(Eagle)の培地(DMEM)、α修正した最少必須培地(αMEM)及びRoswell Park Memorial Institute培地1640(RPMI培地1640)などがあるが、これに限定されるものではない。MSCの増殖を支援するために、20%までのウシ胎仔血清(PBS)又は1−20%のウマ血清が上記培地に添加されることが多い。しかしながら、MSCの培養に必要な増殖因子であるサイトカイン及び成長ホルモンが培地に適切な濃度で提供される場合には、上記に定義した培地のまま用いられる。本発明の方法に有用な培地は、MSCの培養に有用な抗生物質、分裂促進化合物又は分化促進化合物などの興味深い化合物を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。非限定的な実施例では、細胞は27℃〜40℃で、別の実施例では31℃〜37℃で、更に別の実施例では湿度調整されたインキュベータにおいて増殖する。炭酸ガス濃度は2%〜10%、酸素濃度1%〜22%に保たれる。しかし、本発明は、MSCを分離、培養する1つの方法に限定されるものではない。むしろ、MSCを分離、培養する全てに方法が本発明に含まれると考えてよい。
培地に添加する抗生物質には、ペニシリン及びストレプトマイシンを含むが、これに限定されるものではない。培地のペニシリン濃度は約10〜200単位/mlであり、ストレプトマイシン濃度は約10〜200μg/mlである。
一般に、間葉幹細胞は、上記の培地において、間葉幹細胞が球状体へと集合し、治療タンパク質へ最適に発現する条件下で培養される。
非限定的な実施例においては、間葉幹細胞は、例えば上記の1つ以上の治療タンパク質を上方制御するのに有効な量の血清を含んだ完全培地(CCM)のような培地において培養される。例えば、培地は20%までのウシ胎仔血清を含んでもよい。非限定的な実施例においては、ウシ胎仔血清の量は17%である。間葉幹細胞は、更に培養できるのに十分な数の細胞が提供できる条件下及び期間(例えば7又は8日間)培養される。培地は、上記の1つ以上の治療タンパク質を上方制御するように、血清以外又は血清に加えて増殖因子を含んでもよい。
細胞は、球状集合体の形成を促進する条件下において培養される。非限定的な実施例では、細胞は懸滴において培養される。各懸滴は、少なくとも1つの治療タンパク質が最適な発現する量の間葉幹細胞を含む。非限定的な実施例では、細胞の懸滴は、20%までのウシ胎仔血清を含む完全培地のような培地で培養される。非限定的な実施例においては、ウシ胎仔血清の量は17%である。
別の非限定的な実施例では、各懸滴には、約10,000〜500,000個の細胞が含まれている。別の非限定的な実施例では、約10,000〜250,000個の細胞が含まれている。更に別の非限定的実施例では、約10,000〜25,000個の細胞が含まれている。また、別の非限定的な実施例では、約25,000の細胞が含まれている。
間葉幹細胞の懸滴は、間葉細胞の球状体集合が形成されるのに十分な期間培養される。一般に、細胞の懸滴は4日まで培養される。
間葉幹細胞の球状集合体が形成されたから、必要ならば、間葉幹細胞は例えばトリプシン及び/又はEDTのような解離剤の存在下で定温度培養することにより球状体から解離してもよい。
間葉幹細胞の球状集合体又は球状集合体由来の間葉幹細胞は、所望の治療効果を提供するように動物に投与される。動物は、ヒト及びヒト以外の霊長類を含む哺乳類であるが、これらに限定はされない。
本発明の実施例には、移植の受容者へのMSCの投与も含まれる。MSCは、移植片即ち、移植すべき生体適合格子又は供与者の組織、臓器又は細胞の配置に適した経路により投与される。MSCは、非経口的に静脈注射によるか又は骨髄のような特定の組織又は臓器を目標として投与してもよい。MSCは、皮下移植によるか又は例えば筋肉のような結合組織に注入することにより投与してもよい。
MSCは、適切な薬物担体又は希釈剤に懸濁させてもよい。注入液に適当な賦形剤は、MSC及び受容者に生体的にも生理的にも適合する、緩衝塩溶液又は他の賦形剤である。投与する組成は、適当な不稔及び安定性に適合する標準的な方法に従って、調整、製造及び貯蔵することができる。
MSCの投与量は、広範囲に変化し、個々の場合の要求により調整される。使用される細胞数は、年齢、体重、性別並びに受容者の状況、投与の回数及び/又は頻度、治療中の疾患又は障害及びその疾患の程度又は発病度並びに他の変動要因によって変わる。
〔MSCを用いる利点〕
本明細書の開示によれば、本発明によるMSCは、最近の方法と共に、例えば抗炎症治療、炎症に関連する疾患、障害又は状況の治療に使用できることを予想している。抗炎症剤の代わり又は抗炎症剤と共にMSCを使用する利点は、受容者の炎症の発病度を改善するために、本発明の方法を用いることにより、使用される抗炎症剤の量及び/又は抗炎症剤の投与の頻度を減少させることができることである。抗炎症剤の使用量が減少すると、抗炎症剤による副作用が軽減されるとの利点がある。本発明の細胞は、炎症を治療するのに受容者へ一回の投与で済むように意図している。MSCの受容者への一回の投与により、慢性的な抗炎症治療の必要性が無くなる。必要ならば、複数回のMSCの投与を採用することもできる。
炎症の防止、処置又は改善するために、予防又は治療に効果的な量のMSCを投与することによる炎症の防止又は治療方法も本発明に含まれる。MSCの効果的な量は、投与に先立っての炎症の程度を投与後の程度と比較することにより決められる。受容者にMSCを用いての炎症の減少又は増大しないことは、投与したMSCの数が治療に効果的な量であることを示している。
本明細書の開示によれば、本発明によるMSCは、最近の方法と共に、例えば抗腫瘍治療、癌の治療に使用できることを予想している。本発明による間葉幹細胞によって治療される癌には、肺癌、カポシ肉腫、直腸癌、グリオーマ、転移を含む乳癌、転移を含む黒色腫、肝癌、膵臓癌及び骨肉腫が含まれるが、これに限定されるものではない。MSCを抗腫瘍剤の代わり又は抗腫瘍剤と共に用いる利点は、受容者の腫瘍の発病度を改善するために、本発明の方法を用いることにより、使用される抗腫瘍剤の量及び/又は抗腫瘍剤の投与の頻度を減少させることができることである。抗腫瘍剤の使用量が減少すると、抗腫瘍剤による副作用が軽減されるとの利点がある。
本発明の細胞は、癌を治療するのに受容者へ一回の投与で済むように意図している。MSCの受容者への一回の投与により、慢性的な抗腫瘍治療の必要性が無くなる。必要ならば、複数回のMSCの投与を採用することもできる。
癌の防止、処置又は改善するために、予防又は治療に効果的な量のMSCを投与することによる炎症の防止又は治療方法も本発明に含まれる。MSCの効果的な量は、投与に先立っての癌の程度を投与後の程度と比較することにより決められる。受容者にMSCを用いての癌の減少又は増大しないことは、投与したMSCの数が治療に効果的な量であることを示している。
移植で使用する場合、間葉幹細胞は全身に移動が可能であり、腫瘍は形成する傾向はなく、ドナーのミスマッチを横断した免疫応答を寛容化するように見える。本明細書の開示によれば、本発明によるMSCは、最近の方法と共に、例えば、移植による拒絶の処置又は防止をするために骨髄又は臓器の移植に続く移植片対宿主病、又は糖尿病I型、慢性関節リウマチ、甲状腺炎及び乾癬及び自己増殖性疾患のような狼瘡及び自己免疫に関連した自己免疫疾患に対する免疫調整治療への使用を予想している。
本明細書の開示に基づいて、本発明のMSCは、最近の方法と共に、例えば、酸素欠乏(虚血又は低酸素症)又はアルツハイマー病、パーキンソン症候群及びその他神経退化性疾患並びに発作、脳損傷又は振とう症のような疾患による組織の損傷に続くプログラム細胞死を制限するための治療への使用を予想している。
本発明の範囲において、球状集合体中の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞は、上記の治療に加えて別の治療において上述した1つ以上の治療タンパク質が増量されて発現するとの利点もある。例えば、本発明の間葉幹細胞が所望の細胞型に分化し且つ/又は動物に所望の組織を生成又は再生するように、間葉幹細胞を動物に投与してもよい。例えば、本発明の間葉幹細胞が骨細胞、脂肪細胞、軟骨細胞、筋細胞、星状膠細胞、乏突起膠細胞、神経細胞のような細胞に分化し且つ/又は骨、軟骨、靭帯、腱、脂肪組織、筋肉、心臓組織、ストローマ、皮膚組織及び/又は他の結合組織を生成するように、動物に投与してもよい。従って、本発明の間葉幹細胞は、動物に上記の治療タンパク質を提供して、動物内に所望の細胞型を提供し且つ/又は所望の組織を生成又は再生するのに用いてもよい。
例えば、球状集合体内の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞は、軟骨形成、膝及び関節の修復を含む骨、腱、及び/又は軟骨が修復又は再生するように動物に投与するか又はタンパク質の生成及び免疫の仲介による補助的治療に用いてもよい。球状集合体内の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞は、同時移植された造血幹細胞を支持するようにサイトカインのインビボ生成及び動物モデルのリソソーム蓄積障害において欠乏する酵素を生成するのに用いてもよい。
更に、球状集合体内の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞は、心筋梗塞後の心臓組織の再生及び/又は効果的な心臓組織の血管再生、並びに椎間板の欠損の修復及び脊椎の治療、発作により損傷した組織又は血管の修復、てんかんの治療及び骨格組織の修復に用いてもよい。
球状集合体内の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞は、創傷の治療に用いてもよい。球状集合体内の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞は、体系的に投与するか又は創傷に局所的に用いてもよい。球状集合体内の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞は創傷に入り込むと、パラクリン機構を通して他の創傷細胞と相互に作用し、血管内皮細胞への相互作用及び免疫調節が創傷の治癒を速め、形成される傷痕が小さくなる。
他の非限定的な実施例では、球状集合体内の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞は、肺の疾患又は障害の治療に用いてもよい。本発明の範囲は理論的な根拠に限定されるものではないが、間葉幹細胞は、肺組織の損傷域又は疾患域に向かい、そこで損傷部又は疾患部を更新するか又は修復すると信じられている。球状集合体内の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞により治療できる肺の疾患又は損傷には、肺癌、嚢胞性繊維症、α1アンチトリプシン欠損症及び特発性肺芽繊維症(IPF)が含まれるが、これに限定されるものではない。
別の非限定的な実施例では、球状集合体内の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞は、脳の損傷又は障害の治療及び脳組織の修復及び/又は再生、並びに脳内の血管の修復及び/又は再生、又は脳の血管形成を促進させるのに用いてもよい。例えば、球状集合体内の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞は、発作又は振とうにより損傷した脳組織及び/又は脳内の血管の修復及び/又は再生に用いてもよい。
更に、球状集合体内の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞は、投与した際、肺への閉じ込めを逃れ、それによって、癌及び上述の他の疾患又は障害を含む末端器官の疾患を治療できるとの利点が生じる。
更に、間葉幹細胞を球状集合体として培養することにより、間葉幹細胞は、「予備活性化(pre−activated)」され、すなわち球状集合体内の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞は、動物に投与されると直ちにインビボにおいて1つ以上の治療タンパク質を多量に発現する。一方球状集合体でない間葉幹細胞又は球状集合体から得られていない間葉幹細胞は、投与されてから約10〜24時間後に遅延して治療タンパク質を発現する。
非限定的な実施例では、球状集合体内の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞は、単独か又は治療に供する既知の薬剤と組合せて投与される。
別の非限定的な実施例では、球状集合体内の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞は、外生ポリヌクレオチド符号化治療剤と共に、遺伝子的に操作されてもよい。そのようなポリヌクレオチドは、上述したような適切な発現ベクター含んでもよく、そのようなベクターは当業者には周知の手段により間葉幹細胞内に導入される。このように、遺伝子的に操作された間葉幹細胞は1つ以上の治療剤を多量に発現するとの特徴があるので、遺伝子治療に用いてもよい。
出願人は、球状集合体が培養された培地が上述のような治療効果を提供することも発見した。このように、本発明の別の面は、間葉幹細胞の球状集合体が培養された培地を含む組成を動物に投与することも含めた動物へ治療効果をもたらす方法を提供することである。前記組成には、動物に治療効果をもたらすのに有効な量の培地も含まれている。治療効果には、抗炎症効果、抗腫瘍効果又は免疫応答の調節が含まれるが、これに限定されるものではない。
非限定的な実施例では、そのような培地は、間葉幹細胞の球状体の集合及び形成を促進し且つ間葉幹細胞の球状集合体の形成を促進する培地において、上述した条件下及び期間に渉って間葉幹細胞を培養することにより調整される。間葉幹細胞の球状集合体が形成されると、間葉幹細胞は球状体から解離され培地から分離される。
調整された培地とも称される培地は、所望の治療効果をもたらす量を動物に投与される。非限定的な実施例では、調整された培地は、例えば緩衝塩溶液又は上述した他の賦形剤などの薬剤の担体又は希釈剤と共に投与される。組成は、適当な不稔及び安定性に適合する標準的な方法に従って、調整、製造及び貯蔵することができる。
調整された培地の投与量は、広範囲に変化し、個々の場合の要求により調整される。投与される培地の量は、年齢、体重、性別並びに受容者の状況、投与の回数及び/又は頻度、治療中の疾患又は障害及びその疾患の程度又は発病度並びに他の変動要因によって変わる。
以下、本発明の利点、特徴及び詳細について、図面を用いて実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、開示から明白である変形も含まれる。
〔多細胞球状培地由来のヒト間葉幹細胞の独特な特性〕
ヒト間葉ストローマ細胞(hMSC)は、損傷されて機能不全となった組織の修復に大きな期待を示す。我々の予備試験では、懸滴として培養されたhMSCは、抗炎症性の性向を有した球状体へと集合することが示された。最近は、hMSC単層培養及び別の細胞型由来の球状体とは異なった、球状体由来細胞(SDC)の独特の特性を探し求めている。SDCは、球状体をトリプシン/EDTAで解離させ、遠心分離により細胞を摘出している。顕微鏡で測定したSDCの径は、単層hMSCの約1/2で、容積は約1/4であった。興味深いことには、SDCの大きさは、懸滴内の初期の細胞数、すなわち球状体の大きさには依存しない。SDCの生存率が高いことも、トリパンブルー及びアネキシン/PIを用いて顕微鏡並びにフローサイトメトリーにより確認された。更に、フローサイトメトリー(CD73+、CD90+、CD105+)及びCFU−Fアッセイにより、SDCが間葉細胞の特性を維持していることを確認した。しかし、CD49bのSDC発現は増大する一方で、PODXL,CD49d及びCD49fは減少した。驚いたことには、hMSC球状体は成長せずまた細胞も、神経細胞球体及び癌細胞球体とは異なり、繊維芽細胞と同様な集合内においては殆んど分裂しない(S期では3%以下)ことがわかった。抗腫瘍遺伝子(TRAIL及びIL−24)及び抗炎症性遺伝子(TSG−6、STC−1及びLIF)は、他の球体型とは異なってhMSC球状体内において上方制御される。ELISA法により、hMSCのSDCにおいては抗炎症性因子の分泌が高いことが測定され、LPSで活性化されたマクロファージを用いて腹膜炎のマウス内における共存培養により、抗炎症特性が明らかになった。結論として、形態、表現型、成長、生存率及び抗炎症性に関して、hMSCのSDCの際立った特徴を確認した。この結果は、SDCは、再生治療において有益な効果を示す独特の予備活性化された細胞であることを示唆している。
〔hMSC球状体の生成する方法及び間葉表面特性を維持する球状体由来の細胞の獲得〕
hMSCを得るには、有核細胞が骨髄の吸引物から密度勾配遠心分離法により分離されて、完全培地(CCM:αーMEM、17%FBS、ペニシリン/ストレプトマイシン、L−グルタミン)に再懸濁させた。有核細胞は平板に塗布され、24時間後に非付着細胞は廃棄される。付着細胞は約70%集約的になるまで展開されてトリプシン/EDTAにより得られ、50細胞/cmの密度で平板に再塗布される。細胞は70%集約的になるまで展開されてから継代I細胞として凍結される。継代IMSCの凍結バイアルは解凍されて平板に100細胞/cmの密度で塗付され7日間展開されてから凍結される。この研究においては、継代I又はIIの凍結MSCが得られて、100細胞/cmの密度になるように、種々のアッセイ用に得られまで7、8日間(Adh St)成長させる。多細胞球状体が生成されるように、培養皿の縁に懸滴として25,000細胞/滴(25k Drop)の濃度のMSCが塗付され35μlのCCM中で3日間培養される(図1−1のA)。球状体由来の細胞(SDC)が得られるように、MSC球状体は擦取って収穫され、5〜10分間トリプシン/EDTAにより解離され(図1−1のB)、SDC及び1細胞/cm2の密度で塗付されCCM中で14日間培養された付着単層由来のMSC(Adh)への分析が行われる。細胞はメタノール中に固定されクリスタルバイオレットにより5分間標識付けされる。Bio−Rad VersaDoc 画像システムにより画像が取込まれる。フローサイトメトリー分析のため、SDCは室温において、20〜30分間抗体で標識付けされる。細胞は、PBS中で洗浄されてBeckman Coulter FC500 ベンチトップアナライザーにより表面標識が測定された。目盛は50μmである(図1−2のC)。
〔培養された球状体由来のMSCは緩慢に増殖するが生存率は高く維持される〕
付着細胞の増殖率及び生存率を球状体由来の細胞(SDC)と比較するために、MSCを平板に単層として100細胞/cmで6日間(Adh 6)、5,000細胞/cmで3日間(Adh)並びに懸滴として25,000細胞/滴で3日間培養した。付着MSCはトリプシン/EDTAを用いて収穫した。SDCを得るために、球状体が収集されてトリプシン/EDTAを用いて解離される。細胞周期を解析するためMSCは70%エタノールで固定され、PBS中で洗浄され、RNアーゼを用いて培養してからヨウ化プロジウム(PI)で夜通し染色した(図2のA)。Beckman CoulterのフローサイトメータによりDNA量が測定され、MultiCycle (Phoenix Flow Systems社)によりデータ解析された。トリパンブルーを用いて顕微鏡により且つSDCをアネキシンV−FITC及びPIで標識つけてフローサイトメトリーにより、単層由来のMSC(Adh)及び培養スフェレオイド(SDC)の生存率が決定された(図2のB)。
〔球状体由来のMSCは単層培養のMSCよりも著しく小さい〕
顕微鏡及びフローサイトメトリー(FCM)により、単層及び球状体として懸滴中で3日間培養されたMSCの大きさが決定された。付着単層培養由来の細胞(Adh)及び球状体(SDC)が血球計数器に移されて分析された。画像はニコン社のEclipse Ti−S倒立顕微鏡により撮影した(図3−1のA)。NIS−Elements AR30(ソフトウェア)を用いて、細胞の径(50細胞以上)を算出し図示した。SDCの大きさは、球状体の解離により得られた細胞をその濃度を:10,000個/滴(Drop−10k)、25,000個/滴(Drop−25k)、100,000個/滴(Drop−100k)、250,000個/滴(Drop−250k)変えて懸滴中に3日間懸濁してから測定して得られた(図3−1のB)。Ahd細胞及びSDCを平板に塗布して24時間後でもSDCの径が小さかった(目盛=50μm)。フローサイトメトリーの前に、200,000個のAdh細胞及びSDCを染料calcine AM (生存細胞)及び7AAD(脂肪細胞)と共に室温で10〜20分間培養した(図3−2のC)。既知の大きさのビーズ(3、7、15、25μm)を用いて、生存している(Calcine+/7AAD)細胞数から前方散乱の特性を解析することにより細胞の大きさを推定した(図3−2のD)。図に示されるようにビーズの大きさに相当する位置に縦線を付した。ビーズの大きさに基づいて、Adh及びSDCを5群(<3μm、3〜5μm、7〜15μm、15〜25μm、25μm>)に分類した(図3−2のE)。
〔懸滴内で培養したMSCは、抗炎症性、抗アポトーシス、免疫調節及び抗腫瘍性へと独特の発現を示す〕
ヒトMSC(hMSC)、ヒト皮膚繊維芽細胞(hDF)、A549肺癌種細胞(A549)及びヒト神経細胞前駆体(hNPC)は、球状体への成長を促進させるため懸滴として培養した(25,000細胞/滴)。3日後、マイクロアレイ用にRNAを遊離するために、生成された球状体を収穫した。試料は、Human Exon 1.0 ST array上で雑種形成されてPartek Genomics 6.4を用いて遺伝子水準の解析を行った。選択された遺伝子を図示した。数値は、単層と比較したフォールドの変化を示す(図4−1のA)。TSG−6,STC−1及びLIFのマイクロアレイの結果を、18Sを内生調節として用い即時RT−PCRを3回行って検証した。結果は、単層培養(Adh)と比較した量(RT)として図示した(図4−2のB、目盛=50μm)。
〔懸滴培養由来のMSC中においては抗炎症性タンパク質TSG−6及びSTC−1の生成が極めて増大する〕
懸滴内にMSCを懸濁(25,000細胞/滴)させることにより生成された多細胞球状体は、トリプシン/EDTA用いて解離される。得られた細胞(SDC)は、6ウェル・プレートの15mlのCCM中に200,000細胞/ウェルの密度で塗付された。24時間後に調整された培地が収穫されELISAに用いられた。得られた結果は、容積当たり同じ密度で種付けして24時間培養した単層培地由来のMSC(Adh)と比較した。TSG−6、STC−1及びLIFの分泌量(pg/ml)の平均値を図示する(図5)。実験は3回行った。
〔MSC球状体由来の細胞によりLPS刺激マクロファージから生成されたTNF−αの水準は著しく減少する〕
トランスウェル(transwell、4.67cm2の成長域、0.4μmの孔径)の上室に400,000細胞/wellの密度で種付けされたマウスマクロファージ(mMΦ)は、0.1μg/mlのLPSで90分間刺激された。LPSを除いてから、付着単層由来のMSC(Adh)及び懸滴法による生成されたスフェレオイド由来のMSC(SDC)はトランスウェルの下方に200,000細胞/ウェルの密度で塗付された。5時間後mMΦで調整された培地は、mTNF−α・ELISA用に収集された(図6のA)。次いで、RT−PCRにより発現レベルを計量するために、細胞はRNA用に収穫された(図6のB)。値は平均値±標準偏差(1グループ当たりのn=3)で、有意性の水準(***P<0.001)を評価するために分散分析を行った。
〔MSC球状体由来の細胞はインビボにおいて抗炎症効果を示す〕
炎症を誘発するようにC5713L/6マウスに1%のザイモサンを伴うIPを注入した。15分後に付着単層由来の1.5×10個MSC(Adh)及び懸滴由来の1.5×10個のMSC(SDC)を腹腔に投与した。24時間後に右心室から血液が採取され、血清を分離するために凝固させた。炎症の状態の指標である、時間に依存する基質クロモザイムPLの4−ニトロアニリンへの分解(405nmにおける吸光度)を測定することにより、血清のプラスミン活性を確認した。1分間の吸光度の差が、プラスミン活性(U/ml)を算定するのに用いられた。各群は、4〜6の動物により構成された。統計的有意性は、分散分析により決められた(図7)。
得られ結果は以下の通りである。高密度で懸滴中に懸濁されたhMSCは、集合して密集した多細胞球状体を形成する;間葉的な表面特性及び成長特性は維持され且つ/又は多細胞球状体由来のhMSCの大部分がそれらの特性を再獲得する;懸滴中で多細胞球状体として培養されたhMSCは、低い増殖率を示すが、生存率は高い;hMSC球状体由来の細胞は、付着皿上で培養されたMSCよりも著しく小さいことは、SDCは血管系に注入された後に移動度が増大することを示唆している。ヒトの繊維芽細胞、癌細胞及び神経細胞前駆体が集合とは対照的に、hMSC球状体は、多数の抗炎症性遺伝子(例えばTSG−6、STC−1、LIF)及び抗腫瘍性遺伝子(例えばIL−11、TNFSF10、IL−24)の発現において活発な上方制御を示すことが観察された。ホーミング受容体CXCR4及び原始血管形成因子IL−8の著しい上方制御もMSC球状体限られている。hMSC球状体由来の細胞は、マウスのマクロファージから分泌されたTNF−αを減少させ、マウスの腹膜炎モデルにザイモサンによって誘発された炎症反応を弱毒化させることが観察された。特定の理論に拘束される必要もなく、ここに示された結果は、移植に先立って、MSCが、治療に有益な抗炎症性タンパク質、抗アポトーシスタンパク質、免疫調節性タンパク質及び抗腫瘍性タンパク質へと発現をするように、予め設定されるのに懸滴法が有用であることを示している。
〔ヒト間葉幹細胞の3次元多細胞球状体への集合はその抗炎症性特性を高める〕
最近の研究により、マウスの肺に閉じ込められたヒト間葉幹細胞(hMSC)が、心筋梗塞を快方に導く有効な抗炎症性分子、TSG−6を分泌することが明らかになった。更に、懸滴培養では、hMSCが3次元の球状体へと集合し、原始血管形成因子を分泌することも明らかになった。更に、我々は最近、抗炎症性特性に注目し、hMSCが懸滴中又は低付着性皿上で迅速に集合して、TSG−6の発現を増大させる球状体を形成するhMSC球状体培養の詳細な研究を試みた。72〜96時間後に懸滴中のTSG−6の発現は頂点に達し、単層の1000倍以上であったが、72時間後には球状体由来の細胞の生存率は著しく低下した。球状体及び単層のマイクロアレイ分析により、球状体において抗炎症性分子及び細胞付着分子の発現が高くなる一方、細胞周期遺伝子の発現は下方制御されることが明らかになった。球状体中におけるTSG−6、LIF及びSTC−1の発現は、即時RT−PCRにより確認された。タンパク質に特定されたELISAを用いて、細胞当たりのこれら抗炎症性タンパク質の生成は、球状体中においては、単層培養と比較して著しく高められることが明らかになった。更に、我々は、単層hMSCではなく、hMSC球状体が抗炎症性能力を有していることを示す、共存存培養系においてLPSで刺激されたマクロファージによるmTNF−αの分泌を著しく抑制することを明らかにした。更に、hMSC球状体は、腹膜炎のマウスモデルにおいては抗炎症性であった。以上をまとめると、我々は、化学的誘導なしに、hMSCを懸滴中又は球状体として低付着皿上で培養することにより、hMSCは多量の抗炎症性サイトカインを分泌するように活性化することができることを明らかにした。これらの結果は、hMSC球状体が、多くの疾患において抗炎症治療に使用できることを示唆している。
〔hMSCは懸滴中又は非付着性表面上で成長すると急速に3次元の球状体へと集合する〕
ヒトMSCは、通常の大人の提供者の腸骨稜から取出された1−4mlの骨髄の吸引物から分離された。有核細胞は、密度勾配遠心分離法により分離されて、完全培地(CCM:αーMEM、17%FBS、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、2mMのL−グルタミン)に再懸濁させた。有核細胞は175cm2の培養フラスコに塗布され、37℃、5%CO2雰囲気で培養された。24時間後に非付着細胞は廃棄された。付着細胞は約70%集約的になるまで4〜11日間培養され、0.25%トリプシン及び1mMEDTAにより5分間、37℃で収穫され、50細胞/cmの密度で培養フラスコの内部連結系(intercommunicating system)に再塗布される。細胞は70%集約的になるまで7〜12日間培養されて、トリプシン/EDTAを用いて収穫されて、継代I細胞として5%DMSO及び30%FBS中に凍結される。継代IMSC(提供者1又は2)の凍結バイアルは解凍されて、CCM中の145cmの培養皿に塗付された。24時間培養されてから付着細胞はトリプシン/ETDAを用いて収穫され、100細胞/cmの密度で塗付され、凍結前に7日間展開される。この研究においては、継代I又はIIの凍結MSCが回収され、収穫され且つ100細胞/cmの密度になるように、種々のアッセイ用に7、8日間成長させる。画像用の球状体が生成されるように、培養皿の縁の35μmのCCM中に懸滴としてMSCを塗付する(25,000細胞/滴)か、又は非付着表面にMSCを塗付して(200,000細胞/ml)で3日間まで培養される。hMSCは、懸滴又は非付着性表面において成長させると、急速に3次元の球状体に集合することが観察された(図8)。目盛は100μmである。
〔より小さな球状hMSCが高い生存率を示す〕
二人の提供者からのMSCを平板に単層として100細胞/cm塗布し7、8日間成長させ収穫し(Adh−St)、アネキシン(Anx)及びヨウ化プロジウム(PI)用いて染色しFACSにより生存率分析を行った。収穫された細胞は、付着皿に5,000細胞/cmの密度で塗付され(Adh)、非付着皿に200,000細胞/mlの密度で塗付され(Non−adh)また懸滴(Drop)として種々の濃度、10,000細胞/滴(10k)、25,000細胞/滴(25k)、100,000細胞/滴(100k)及び250,000細胞/滴(250k)に調整された。このように調整された細胞は、第3日に収穫されて生存率の分析を行った。単層培養の細胞(Adh)及び25k球状体培養(25k Drop)の第1日(1d)、第2日(2d)、第3日(4d)及び第4日(4d)の生存率の分析も行った。より小さな球状hMSCが高い生存率を示すことが観察された(図9−1、2)。
〔hMSC球状体は高水準の抗炎症性分子TSG−6を発現する〕
二人の提供者からのMSCを平板に単層として100細胞/cm塗布し7、8日間成長させRNA用(Adh−St)及び以後の培養用に収穫した。収穫した細胞は、付着皿に5,000細胞/cmの密度で塗付され(Adh)、非付着皿に200,000細胞/mlの密度で塗付され(Non−adh)また懸滴(Drop)として種々の濃度、10,000細胞/滴(10k)、25,000細胞/滴(25k)、100,000細胞/滴(100k)及び250,000細胞/滴(250k)に調整された。細胞はRNA用に、第1日(1d)、第2日(2d)、第3日(3d)及び第4日(4d)に収穫された。内生調節としての18Sと共にTaqMan Gene Expression Assayを用いてTSG−6に対する即時RT−PCRが3回実行された。結果はAdh−St試料に対する相対量(RQ)として図示されている(図10)。図には、95%の信頼範囲もI状の線で示されている。
〔細胞周期及び細胞骨格遺伝子の発現が下向きに調節されている間はhMSC球状体は高水準の幾つかのサイトカイン及び細胞付着分子を発現する〕
二人の提供者からのMSCを平板に単層として100細胞/cm塗布し7日間成長させRNA用(Adh−St)及び以後の培養用に収穫した。収穫した細胞は、付着皿に5,000細胞/cmの密度で塗付され(Adh)、非付着皿に200,000細胞/mlの密度で塗付され(Non−adh)また懸滴(Drop)として濃度、25,000細胞/滴(25k)に調整された。細胞はRNA用に、第3日(3d)に収穫され、Whole Transcript Sense Target Labeling Assayを用いたマイクロアレイ用に調整された。標識付けされ且つ断片化された試料はHuman Exon 1.0 STアレイ上で雑種形成され、Partek GenomicsSuite 6.4を用いて遺伝子水準が解析された。球状体中で上方制御した遺伝子並びに下方制御した遺伝子(25k−Drop 3d)少なくとも2フォールドを単層の場合(Adh−St及びAdh−3d)と比較して、階層クラスタリングされた。上向き及び下方制御された遺伝子の最も重要な遺伝子群(Gene Ontology)の用語は図11のヒートマップに隣接して示されている。
〔hMSC球状体は高水準の抗炎症性分子及び抗腫瘍性分子を発現する〕
幾つかの抗炎症性分子(TSG−6,STC−1及びLIF)及び抗腫瘍性分子(IL−24及びTRAIL)並びにWntシグナル阻害剤(DKKI)に対するマイクロアレイの結果は、即時RT−PCRを用いて確認された(図12−1、2)。図の値は、100細胞/cmの密度で付着皿に塗布し7日間成長させたMSC(Adh St)に対する相対量(RQ)で示した。18Sを内生調節として用い、MSCを付着皿上で5,000細胞/cmの密度で3日間(Adh 3d)、非付着皿上で200,000細胞/mlの濃度で3日間(Non−adh 3d)並びに懸滴として25,00細胞/滴の濃度で3日間(25k−Drop 3d)成長させた。図には、3回繰り返した結果の95%の信頼範囲もI状の線で示されている。
〔hMSC球状体は多量の抗炎症性サイトカインを分泌する〕
MSCを平板に単層として100細胞/cm塗布し7日間成長させた。細胞は収穫され、付着皿上に5,000細胞/cmの密度で塗布し、また懸滴として25,000細胞/滴の密度で培養した。3日後に単層培養は収穫され、200,000細胞/15mlCCMウェルの濃度で3つの付着皿に塗付した。3日間成長させた球状体を、8球状体/15mlCCMウェルの濃度でそれぞれ3つの付着皿(25k−Adh)並びに非付着皿(25k−Non Adh)に塗布した。24時間後に、調整された培地が回収され、細胞物質が取除かれてELISAに用いられた。全細胞タンパク質を測定して転移中のロスを把握するために、細胞は分解された。図13には、CCMに起因する信号を差し引いた後分泌されたTSG−6、STC−1又はLIFの量(μg/ml)、又は細胞タンパク質当たり分泌されたTSG−6、STC−1又はLIFの量(μg)が示されている。図には、3回繰り返した結果の95%の信頼範囲もI状の線で示されている。
〔hMSC球状体と共存培養した場合LPSに刺激されたマクロファージは少量のTNF−αを分泌する〕
マウスマクロファージ(mMΦ)をトランスウェル(transwell、0.4μm)の上部チャンバに400,000細胞/ウェルの密度で塗付した。10%FBS及びペニシリン/ストレプトマイシンで補強したDMEM中の0.1μg/mlのLPSにより、塗付された細胞を刺激した。90分後にLPSを取除き、新しい培地と置換え、MSCをトランスウェルの底部チャンバに200,000細胞/ウェル(Adh)又は8球状体/ウェル(25k)の密度で塗付した。5時間後に、RNA及びそれに続くTNF−αに対する即時RT−PCRのためにmMΦが収穫された。更に、調整されたTNF−αELISA用に収穫された(図14)。図には、3回繰り返した結果の95%の信頼範囲もI状の線で示されている。分散分析により有意水準を算定した。
〔hMSCは腹膜炎のマウスモデルにおいて抗炎症効果を示す〕
C57BL/6マウスの腹腔内に1%のザイモサンを含む1mlのHBSSを注射した。15分後に、全体で1.5×10個の単層MSC(Adh)又は60個の球状体(25k)を含む160μlのHBSSを腹腔内に注射した。24時間後に右心室から血液が採集され血清が分離された。クロモザイムPLの分解反応により血清のプラスミン活性を測定した(図15)。I状の線は、1群当たり4〜6個体の動物の標準偏差を示す。分散分析により有意水準を算定した。
本実施例から次のことが明らかとなった。hMSCを懸滴内又は非付着皿上で成長させると、急速に球状体へと集合する;hMSC球状体は、高い生存率を示し、hMSC球状体を小さな球状体(25k)として3日間成長させるとTSG−6を発現する;hMSC球状体は、高水準の抗炎症性分子(TSG−6、STC−1及びLIF)及び抗腫瘍性分子(IL−24及びTRAIL)を発現し且つ高水準の抗炎症性タンパク質を分泌する;球状体は、インビトロの炎症アッセイにおいては抗炎症効果を示し且つマウスモデルの腹膜炎では抗炎症性である;これらの結果は、hMSC球状体が多くの疾患における抗炎症治療に有用であることを示唆している。
[素材及び方法]
<hMSC細胞培養> 骨髄からの継代1のhMSCの凍結バイアルは、Center for the Preparation and Distribution of Adult Stem Cells (http://Medicine.tamhsc.edu/irm/msc−distribution.html) から入手した。24時間の回復後、hMSCは低密度(100細胞/cm)で播種され17%のFBSを含む完全培地(CCM)において70%の集約率になるまで7〜8日間培養した。同一条件下で3継代を経たhMSCのみがアッセイに使用される。
<球状体の生成及び分離> hMSCは、10,000〜250,000個の細胞含まれるように、CCMを含んだ35μlの懸滴にhMSCを塗付し、4日間まで培養した。球状体由来の細胞を得るために、球状体はトリプシン/EDTAと共に(球状体の大きさに応じて)5〜30分間培養しながら、2〜3分毎にピペットで試料採取した。
<hMSCの静脈への注入及びAlu−PCR法> オスのNOD/scidマウスに10の単層又は球状体由来のhMSCに静脈注射して、15分後に組織を採集した。ゲノムDNAが分離され、即時にPCRを用いてヒトAlu及びGAPDH並びにマウスGAPDHを測定して各組織中のヒトDNAの相対量を決定した(Lee et al., Cell Stem Cell Vol.5, pgs. 54−63 (2009); Lee et al., Blood, Vol.113, pgs. 816−826 (2009); McBride et al., Cytotherapy, Vol.5, pgs. 7−18 (2003))。
<腹膜炎のマウスモデル及び炎症の測定> オスのC578L/6Jの腹腔に1.5×10個の単層hMSC、1.5×10個の球状体由来の細胞又は60個の球状体の何れかを注射してから15分後に、ザイモサン溶液を投与して腹腔に炎症を誘発させた。6時間後に腹腔洗滌により炎症浸出物を収集し、細胞の無い上澄み液を、全タンパク質、好中球活性度(分泌されたmMPO)及び炎症誘発分子であるmTNFα、mIL−1β、mCXCL2/MIP−2及びPGE2のレベルを測定した。細胞を注射してから24時間後に、右心室から血液が収集され、血清からマウスのプラスミン活性度が測定された。
[結果]
<懸滴内のhMSCの球状体への集合> 我々は懸滴プロトコルを用いてhMSCを集合させた。時間差顕微鏡により、懸滴中で培養したhMSCは最初に緩い網状組織、次いで多数の小さな集合を形成し、それらの集合が懸滴の下表面に沿って徐々に1つの中心球状体へと合体していくことが、時間差顕微鏡により明らかとなった(図16−1のA)。一旦集合すると、球状体は、その大きさは増大せず、48〜96時間の間に徐々に緊密になっていった。断面をH&E染色することにより、球状体は、中実であり小さな円形の細胞が均一に分散して基質に埋込まれていることが明らかとなった(図16−1のB)。球状体の表面は、より細長く平らな上皮に似た細胞の層を有していた。予想通り、球状体の大きさは、懸滴中に懸濁されたhMSCの数に依存した(図16−2のE)。高密度又は低密度の単層培養と比較して、全ての大きさのhMSCが、高水準の抗炎症性分子であるTSG−6を発現及び分泌したが、その内25,000細胞の球状体(Sph 25k)が最も高いTSG−6の発現及び分泌であった(図16−2のC及びD)。更に、25,000の球状体は、時間の経過と共にTSG−6の発現が増大し且つ付着hSMCの標準培養よりも常に高水準であった(図16−2のF)。
<球状体中のhMSCの生存率> 球状体中のhMSCは、栄養分に接近し難いので、細胞が生存可能であるかどうかを実証することに関心があった。ヨウ化プロジウム(PI)の摂取及びアネキシンV−FITCで標識付けることにより、3日間培養した10,000又は25,000のhMSCの球状体から収穫した90%に近い細胞が生存していることが確認された(図17−1のA)。100,000又は250,000hMSCから調整した球状体において、アポトーシス細胞又は壊死細胞の数が大きかった(図17−1のA)。また、培養期間を3日から4日に延長すると、アポトーシス細胞又は壊死細胞の数が僅かに増大した(図17−2のB)。
<インビトロでの球状体hMSCの大きさの解析及び静脈注射後の相対的な組織分布> 細胞組織の記載(図16−1のB)において示唆したように、球状体中のhMSCは、標準的な単層培養からのhMSCよりも小さく見えた。フローサイトメトリー(図18のA)及び顕微鏡図(図18のB)から明らかなように、トリプシン処理により球状体から放出された細胞は、付着培養由来のhMSCの径のほぼ半分であり、体積は1/4であった。
球状体から解離された小さなhMSCが肺の微小筋系を通過させて他の組織へ効率的に分配されるか否かの試験を行うため、NOD/scidマウスの尾の静脈に、単層hMSC及び球状体hMSCを注射した。注入15分後、即時のPCRによる肺におけるヒトAlu配列は、捕獲された細胞の数が球状体由来のhMSCでは、単層hMSCを用いた場合よりも約25%少ないことを示唆した。同時に、注入された球状体hMSCの大部分が肝臓、脾臓、腎臓及び心臓において回収されることが判った(図18のC)。
<球状体から解離されたhMSCは付着hMSCの特性を保持する> 球状体から解離されたhMSCは、石灰化細胞及び脂肪細胞へと分化する能力を保持した(図19−1のA、B)。ほぼ同じ集団倍加数において、初期の継代では解離された細胞は付着hMSCより緩やかに展開し,次いで老化に達するまえの4継代を通して付着hMSCよりもより迅速に展開した(図19−1のC)。更に、解離された細胞は、クローン密度(clonal density)に塗付されると簡単にコロニー(CFU)を生成した(図19−2のD)。増殖率のデータ(図19の19C)と同様に、球状体からのCFUの数は、初期においては付着培養からのCFUの数より少ないが、後の継代では多くなっている(図19−2のD)。トリプシンを用いて同じ条件下(10mm、37℃)で解離された場合には、球状体から解離されたhMSCの表面エピトープは付着単層からのhMSCの表面エピトープと類似していた。解離された細胞は、細胞の小さいため、造血マーカに対しては陰性であり、CD73、CD90及びCD105に対してはやや陽性であった(図19−2のE)。
<球状体hMSCにおけるトランスクリプトーム変化> マイクロアレイ・アッセイを用いての観察により、球状体細胞は、付着単層からのhMSCとの比較において、236の遺伝子が上方制御され、230の遺伝子が下方制御されていることが明らかとなった(図20のA)。extracellular region, regulation of cell adhesion, receptor binding, cell communication, extracellular matrix 及びnegative regulation of cell proliferation に対する遺伝子群には増加があった(図20のA)。また、cytoskeleton organization and biogenesis, mitosis, cell cycle 及びextracellular matrix に対する遺伝子群には減少があった(図20のA)。特に興味深いのは、response to wounding及びinflammatory responseに対する遺伝子群が増加していることであった(図20のA)。即時RT−PCRアッセイにより、抗炎症性タンパク質/坑アポトーシス性タンパク質であるTSG−6、stanniocalein−1(STC−1);成長及び発生に対するサイトカインである白血病抑制因子(LIF);腫瘍抑制タンパク質であるIL−24;ある種の癌細胞を選択的に死滅させるタンパク質であるリガンド(TRAIL)を含むTNF−αに関したアポトーシス及びMSCホーミングに関与する受容体であるCXCケモカイン受容子4(CXCR4)における発現に著しい増加があることが明らかになった(図21−1のA)。MSC増殖の賦活効果(Gregory et al., J. Bio. Chem., Vol.278, pgs. 28067−28078 (2003))から予想されたように、Wntシグナルの阻害剤であるdickkopf 1(DKK1)の発現は減少した。
<細胞表面タンパク質発現における変化及びhMSCにおける細胞周期分布> フローサイトメトリーによるアッセイにより、坑細胞接着タンパク質であるポドカルシキンの特徴を有するタンパク質(PODXL)及びリンパ球ホーミング関連するインテグリン・サブユニットであるα4−インテグリン(CD49d)の発現が減少することが明らかになった。内皮細胞及び周皮細胞のマーカとして用いる黒色腫細胞接着分子(MCAM又はCD146)及び接着分子であるALCAM(CD166)には部分的に下方制御が認められた(図20のB)。同時に、細胞接着用のインテグリン・サブユニット(CD49bのα2−インテグリン)及び転移の抑制に関連するタンパク質(CD82)には発現の増加が認められた(図20の20B)。マイクロアッセイの結果から予想されたように、フローサイトメトリーによる分析からも、単層hMSCと比較してS期における球状体hSMCの減少が明らかとなった。
<球状体hMSCは坑炎症性タンパク質を分泌する> 付着培養表面に塗布されたhMSCの球状体は、徐々に紡錘体形状の細胞を生成し、その細胞は球状体から離れていった(図21−1のB)。非付着性表面に塗布した球状体には移動は見られなかった(図21−1のB)。ELISAによって、球状のhMSC又は球状体から解離されたhMSCのいずれも、培養皿に24時間塗布しておくと、TSG−6、STC−1及びLIFを分泌し続けることが明らかになった(図21−2のC〜E)。いずれの分泌水準とも付着単層hMSCの場合よりも遥かに高かった。付着(Adh)又は非付着(Non−adh)のいずれの培養でもSTC−1及びLIFの分泌量は同じ水準(図21−2のD、E;pg/mg)であったが、非付着(Non−adh)皿上で培養された球状体は遥かに多量のTSG−6を分泌した(図21−2のC;pg/μg)。hMSCが球状体から解離されて付着平板上で培養した場合には、TSG−6、STC−1及びLIFの分泌量が減少した(図21の21C〜21E;Sph 25k DC Adh)が、付着性単層の場合よりは遥かに高い水準を保った(図21−2のC〜E;Adh High)。
<球状体hMSCはインビトロのマクロファージ活性並びにインビボの炎症活性を減少させる> 球状体hMSCにより坑炎症性分子であるTSG−6及びSTC−1の分泌が増加することから、炎症性応答の減少において細胞の方がhMSCの付着単層培養よりもより効果的であることが示唆された。この示唆を検証するために、マウスのマクロファージがトランスウェルの上部チャンバにおいてLPSで予備活性化され、テストウェルのチャンバに移送された(図22−1のA)。実験条件下では、接着単層からのhMSCのテストウェルが在っても、刺激されたマクロファージによるTNFαの発現又は分泌に対して有意な効果はなかった(図22−1のB)。それに反して、無傷の球状体又は球状体から解離されたhMSCのテストウェル存在下では、TNFαの発現及び分泌は著しく減少した(図22−1のB)。従って、これらの結果は、球状体由来のhSMCは、より効果的な坑炎症性因子を分泌することを明らかにした。
更に、STC−1も反応性酸素類又はROS(reactive oxygen species)を減少させるので、STC−1の発現が増大することは重要である。ROSは、炎症及び高水準におけるアポトーシスの初期の引き金である。従って、STC−1は坑炎症性及び坑アポトーシス性である。
インビボにおいて球状体hMSCの炎症に対する効果を検証するために、ザイモサン誘発腹膜炎のマウスモデルが用いられた(Schwab et al., Nature, Vol.447, pgs. 869−874 (2007))。単層、球状体又は球状体由来のhMSCを腹腔に投与して6時間後に、炎症性浸出物が収集され、炎症の水準を推定するのに用いられた。分泌されたミエロペルオキシダーゼ(MPO)により分析の結果、hMSC球状体は、洗浄液のタンパク質の含有量及び容量、好球中活性度(図22−2のD)、促炎症性分子であるTNFα(図22−2のE)、IL−1β、CXCL2/MIP−2及びPGE(図22−2のE)の水準を著しく減少させることが明らかなった。更に、hSMC球状体により、プラスミン活性度の血清の水準、TSG−6により阻害されるプロテアーゼに関連した炎症(Wisniewski et al., Cytokine Growth Factor, Vol.15, pgs.129−146 (2004))は著しく減少させられることが明らかとなった(図22−2のF)。血清プラスミン活性度は、ほぼ、球状体を注射してから24時間後の非炎症性対照動物の水準まで減少することが明らかとなった(図22−2のF)。無傷の球状体ほどではないが、球状体由来のhMSCは、検証に用いられた炎症性マーカの水準をかなり減少させることが明らかとなった(図22の22C−22F)。更に、炎症の阻害においては、hMSC球状体は接着単層hMSCよりも遥かに効果的であった(図22−1のC、図22−2のD〜F)。
[考察]
hMSCは、付着単層培養として伝統的な方法で分離、展開されていたが、マイクロペッレット又は大きな集合形成するのに、細胞の遠心分離が、数週間に渉って起こる軟骨形成の分化を大いに促進することが認められた(Arufe et al., J. Cell Biochem., Vol.148, pgs.145−155 (2009); Johnstone et al., Exp. Cell Res., Vol.238, pgs.265−272 (1998))。しかしながら、最近の幾つかの発表では、内皮細胞への付着又はIL−24の付着を促進するCXCR4のような、増大した遺伝子の発現により、短時間の3次元又は球状体としてのMSC培養の治療潜在能力が改善されることが明らかになった(Potopova et al., J. Biochem., Vol.283, pgs.13100−13107 (2008); Frith et al., Tissue Eng. Part C Methods, Vol.16, No.4, pgs.735−749 (2010); Wang, et al., Stem Cells, Vol.27, pgs.724−732 (2009))。ここで述べた実験は、hMSCが静脈に注入された後に肺において、心筋梗塞のマウスにおいて有益な効果を発揮する抗炎症性タンパク質であるTSG−6を最大に発現するように球状体としてのhMSCを調整するために設定されたものであった(Lee, Cell Stem Cell, 2009)。
この結果、球状体として培養されたhMSCの特性は、実験条件に大きく依存することが明らかになった。懸滴内では、細胞は最初にネットワークを形成してから大部分の細胞が単一の球状体へと集合した。径が約500μmの球状体を3日間培養して、TSG−6の発現の最適な水準が観察された。発現の水準は高く保たれるが、球状体が大きいほどその水準が低く、球状体が大きいほど、より多くの細胞が枯死(apoptotic)又は壊死(necrotic)した。また、培養時間が長いほど、より多くの細胞が枯死又は壊死した。球状体中の細胞は、付着培養からのhMSCの表面エピトープの大部分を保持していた。球状体から解離されたhMSCも石灰化細胞と脂肪細胞に分化する潜在能力を保持していた。1継代を経た後は、このhMSCも、付着単層培養からのhMSCと同様の速度で展開した。更に、球状体から解離されたhMSCは、高いクローン形成能を維持した。
大きな球状体(Potopova et al., Stem Cells, Vol.25, pgs. 1761−1768 (2007))及び3次元培養のhMSC(Frith、2010)で観察されたように、mRNA/cDNAマイクロアレイを用いた調査により、付着培養からのhMSCと比べてトランスクリプトームにおいて著しい差異があることが明らかになった。定量分析により、重要な差異の幾つかが確認された。予想されたように、抗細胞接着タンパク質PODXL(Lee, Blood, 2009)が著しく減少し、細胞周期に減少が在った。差異の幾つかは、hMSCの治療への使用の可能性の示唆していることは、特に留意すべきことであった。抗炎症性タンパク質TSG−6の発現の水準は、hMSCの予備培養で観察されたTNFα(Lee, Cell Stem Cell 2009)よりも高かった。抗炎症性並びに抗アポトーシスタンパク質STC−1の発現の水準も高かった(Block et al., Stem Cells, Vol.27, pgs.670−681 (2009); Huang, et al., Am. J. Patol. Vol.174, pgs.1368−1378 (2009))。細胞が球状体から解離されてから少なくとも1日間は、TSG−6とSTC−1の双方の発現は高い水準を保った。従って、この結果は、炎症性反合を調節するのに、球状体及び球状体由来のhMSCは、付着培養からのhMSCよりも遥かに効果的であることを示唆している。このことは、球状体及び球状体由来のhMSCは、LPSに刺激された培養マクロファージによるTNFαの生成を抑制するのに、より効果的であるとの実証により確認された。更に、インビボのザイモサンに誘発された腹膜炎に対しては、球状体及び球状体由来のhMSCが炎症を抑制するのにより効果的であった。以前に、スピナーフラスコ及び回転壁容器バイオリアクターを用いて調整した3次元培養のhMSCを用いた観察(Frith, 2010)において、球状体hSMCが、腫瘍抑制タンパク質IL−24に対して、高水準のトランスクリプトを発現したことは特に興味深い。更に、TSG−6を発現するように最適化して調整した球状体MSCも、ある種の癌細胞の死滅に効果的なTRAILに対して(Mahmood et al., Exp. Cell Res. Vol.316, pgs.887−899 (2010); Mellier et al., Mol. Aspects Med. Vol.31, pgs.93−112 (2010))並びにある種の転移を抑制するCD82に対して(Smith, et al., Nat. Rev. Cancer, Vol.9, pgs.253−264 (2009))高水準のトランスクリプトを発現した。臨床試験において、細胞の表面に発現されたTRAILは、癌細胞を死滅させるのに、可溶性のタンパク質よりも遥かに効果的であったので、球状体由来のhMSCの表面にTRAILの発現が増大することは重要である。従って、球状体及び球状体由来のhMSCは、ある種の癌への補助治療、特にアスピリン又はステロイドのような抗炎症性薬剤に敏感な癌の治療に特に効果的であると思われる(Grivennikov et al., Cell, Vol,140, pgs.883−889 (2010))。更に、球状体hMSCは、付着培養からのhMSCの容積の1/4よりも小さいとの利点がある。そのため、静脈注射後、極めて少量が肺に捕捉され、大部分は種々の組織内に見出された(Lee, Cell Stem Cell, 2009; Lee, Blood, 2009)。
hMSCにおける抗炎症性及び抗腫瘍性遺伝子の発現を増大させる分子力が球状体へと集合させることは、興味をそそるが、明確ではない。球状体中の細胞は、互いに密接に会合し、単に一部の細胞が他の細胞と接触して、互いに確実に連絡を保つには多量の分子の分泌を必要とする単層培養中よりも、遥かに簡単にシグナルを出し合っていると思われる。球状体を形成するようなhMSCにおける変化は、懸滴の非付着培養条件、高い培養密度、養分欠乏、気−液界面及び微小重力の結果であると思われる。hMSCが球状体へと集合する際のhMSCの変化をより深く理解するには、上記条件及び考えられる他の要因の詳細な検討を行う必要がある。
上述の結果から、hMSCが懸滴内おいて非化学的に活性化されて、多量の抗炎症性タンパク質を分泌し且つ抗腫瘍性分子を発現することが明らかとなった。従って、hMSCは、多くの治療に適用できると思われる。更に、球状体から解離されたhMSCは、極めて小さな活性化された細胞を提供するので、静脈への投与に好都合である。
ヒト間葉幹細胞の球状体を、17%FBSを伴うα−MEM、ヒト血清アルブミン(HuSA)を含む完全培地(Baxter Healthcare)、Stem Pro Xeno−free培地(Stpro)(Gibeo)、又はMesencult Xeno−free培地(Stem Cell technologies)、又はMesにおいて培養した。3日後に、トリプシン/EDTAを用いて球状体を解離してからジメチルスルホキシド(DMSO)中で凍結した。次いで、細胞を解凍しフローサイトメトリーにより、PI摂取及び細胞表面のアネキシンV−FITCの標識を測定して細胞の生存率を決定した。標識の無い細胞を生存していると見なした。図23に示すように、ヒト間葉幹細胞の球状体培養は、培地が異なっても細胞の生存率に影響を及ぼさなかった。
ヒト間葉幹細胞の球状体を、実施例4において述べたように、完全培地又は商業的に入手可能な種々の Xeno−free培地において3日間培養した。トリプシン/EDTAを用いて球状体を解離してからジメチルスルホキシド(DMSO)中で凍結した。最短で1週間後、細胞を解凍して、死滅した細胞を分析の対象から除外するために、染料カルサインAM及び7AADで標識を付した。フローサイトメトリーにより決定された生存細胞の線状に散乱した分布の代表例を図24に示した。細胞の大きさは、細胞の前方散乱を既知の径(3、7、15及び25μm)を有するビーズと比較して、細胞の大きさを決定した。分布図には、対応する大きさの位置を縦線(I=0、J=3、K=7、L=15、M=25μm)で示した。図24に示されるように、完全培地(CCM)に見られるウシ胎仔血清(FCS)を含まない培地において球状体が培養されると、大きな前方散乱光(FS Lin)で示されるように、球状体から解離された間葉幹細胞はより大きくなる。
ヒト間葉幹細胞の球状体を、実施例4において述べたように、完全培地又は商業的に入手可能な種々の Xeno−free培地において3日間培養した。抗炎症性タンパク質TSG−6、STC−1をコード化している遺伝子及び増殖分化因子15(GDF−15)の発現を即時RT−PCRにより分析した。分析結果は、Ahh Lowとの相対値±標準偏差(n=3)である。
図25に示すように、球状体をウシ胎仔血清が含まれない培地において培養すると、治療タンパク質TSG−6,STC−1及びGDF−15は発現されないが、ヒトの血清アルブミン(HuSA)を添加するとそれらタンパク質の発現が増大した。
ヒト間葉幹細胞の球状体を、実施例4において述べたように、商業的に入手可能な種々の Xeno−free培地において3日間培養した。球状体により調整された培地(CM)が収集されて1/50に希釈されてから、100ng/mlのLPSが存在するマウスのマクロファージに添加された。比較用にLPSを用いて培養したマクロファージ(sMO)又はLPSを用いない培養(MO)を用意した。18時間後にマクロファージ培地は収穫され、ELISAによりmTNFαが分析された。分析値は、平均値±標準偏差(n=3)である。
図26の右側6つの棒グラフが示すように、ウシ胎仔血清が含まれる培地(例えばCCM)において球状体により調整された培地(CM)は、TNFαの生成を抑制するのに著しく効果的であった。他の球状体により調整された培地はTNFαの抑制に効果的であるが、その程度が低く、変化程度が大きかった。
ここに引用したそれぞれの特許、特許出願及び出版物の開示は全体として、参考文献に組込んだ。
本発明は、特定の実施例に関連して開示したが、発明の真の精神及び範囲を逸脱することなく、他の実施例及び本発明の変形が、この技術分野に知識を有する他者により考案されることは明らかである。添付した請求項には、そのような実施例及びその変形も含まれるものと解釈する。従って、記載したように発明が実施されなくても、発明は添付した請求項の範囲内である。

Claims (36)

  1. 球状集合体中の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞であって、
    前記間葉幹細胞は、単層として培養された間葉幹細胞と比較して、少なくとも1つの治療タンパク質の発現量が増大することを特徴とする間葉幹細胞。
  2. 前記タンパク質は、抗炎症性タンパク質、抗アポトーシスタンパク質、細胞の成長及び発生を調節するタンパク質、免疫応答を調節するタンパク質、造血を調節するタンパク質、腫瘍の成長を阻害、防止又は破壊するタンパク質、細胞のホーミングを調節するタンパク質、細胞接着及び細胞シグナルに関与するタンパク質、血管形成を増進させるタンパク質並びに前記タンパク質の組合せから成る群から選択されたタンパク質であることを特徴とする請求項1に記載の間葉幹細胞。
  3. 前記タンパク質は、抗炎症性タンパク質であることを特徴とする請求項2に記載の間葉幹細胞。
  4. 前記タンパク質は、TSG−6であることを特徴とする請求項3に記載の間葉幹細胞。
  5. 前記タンパク質は、抗アポトーシスタンパク質であることを特徴とする請求項2に記載の間葉幹細胞。
  6. 前記タンパク質は、STC−1であることを特徴とする請求項5に記載の間葉幹細胞。
  7. 前記タンパク質は、細胞の成長及び発生を調節するタンパク質であることを特徴とする請求項2に記載の間葉幹細胞。
  8. 前記タンパク質は、LIFであることを特徴とする請求項7に記載の間葉幹細胞。
  9. 前記タンパク質は、造血を調節するタンパク質であることを特徴とする請求項2に記載の間葉幹細胞。
  10. 前記タンパク質は、IL−11であることを特徴とする請求項9に記載の間葉幹細胞。
  11. 前記タンパク質は、腫瘍の成長を阻害、防止又は破壊するタンパク質であることを特徴とする請求項2に記載の間葉幹細胞。
  12. 前記タンパク質は、リガンドを誘発するアポトーシスに関するTNF−αであることを特徴とする請求項11に記載の間葉幹細胞。
  13. 前記タンパク質は、IL−24であることを特徴とする請求項11に記載の間葉幹細胞。
  14. 前記タンパク質は、CD82であることを特徴とする請求項11に記載の間葉幹細胞。
  15. 前記タンパク質は、細胞のホーミングを調節するタンパク質であることを特徴とする請求項2に記載の間葉幹細胞。
  16. 前記タンパク質は、CXCR4であることを特徴とする請求項15に記載の間葉幹細胞。
  17. 前記タンパク質は、細胞接着及び細胞シグナルに関与するタンパク質であることを特徴とする請求項2に記載の間葉幹細胞。
  18. 前記タンパク質は、ITGA2であることを特徴とする請求項17に記載の間葉幹細胞。
  19. 前記タンパク質は、血管形成を増進させるタンパク質であることを特徴とする請求項2に記載の間葉幹細胞。
  20. 前記タンパク質は、IL−8であることを特徴とする請求項19に記載の間葉幹細胞。
  21. 患者の炎症を治療する方法であって、
    球状集合体中の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞を投与する段階を含み、
    前記間葉幹細胞は、単層として培養された間葉幹細胞と比較して、抗炎症性タンパク質の発現量を増大させ、
    前記患者の炎症の治療に効果的な量の間葉幹細胞を投与することを特徴とする方法。
  22. 前記抗炎症性タンパク質は、TSG−6であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
  23. 患者の腫瘍を治療する方法であって、
    球状集合体中の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞を投与する段階を含み、
    前記間葉幹細胞は、単層として培養された間葉幹細胞と比較して、腫瘍の成長を阻害、防止又は破壊するタンパク質の発現量を増大させ、
    前記患者の腫瘍を腫瘍の成長を阻害、防止又は破壊するのに効果的な量の間葉幹細胞を投与することを特徴とする方法。
  24. 前記腫瘍の成長を阻害、防止又は破壊するタンパク質は、リガンドを誘発するアポトーシスに関するTNF−αであることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  25. 前記腫瘍の成長を阻害、防止又は破壊するタンパク質は、IL−24であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
  26. 患者の免疫応答を調節する方法であって、
    球状集合体中の間葉幹細胞又は球状集合体から得られた間葉幹細胞を投与する段階を含み、
    前記間葉幹細胞は、単層として培養された間葉幹細胞と比較して、免疫応答を調節するタンパク質の発現量を増大させ、
    前記患者の免疫応答を調節するのに効果的な量の間葉幹細胞を投与することを特徴とする方法。
  27. 間葉幹細胞の球状集合体を生成する方法であって、
    前記間葉幹細胞が、ウシ胎仔血清及びウマ血清から成る群から選択された血清を含む培地において培養される工程を含むことを特徴とする方法。
  28. 前記血清は、ウシ胎仔血清であることを特徴とする請求項27に記載の方法。
  29. 前記培地中に、20%の量までの前記ウシ胎仔血清が存在することを特徴とする請求項28に記載の方法。
  30. 前記培地中に、17%の量の前記ウシ胎仔血清が存在することを特徴とする請求項29に記載の方法。
  31. 前記間葉幹細胞は、間葉幹細胞の懸滴としての培地中で培養されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
  32. 前記間葉幹細胞の懸滴には、10,000〜500,000個の細胞が含まれていることを特徴とする請求項31に記載の方法。
  33. 前記間葉幹細胞の懸滴には、10,000〜250,000個の細胞が含まれていることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  34. 前記間葉幹細胞の懸滴には、10,000〜25,000個の細胞が含まれていることを特徴とする請求項33に記載の方法。
  35. 前記間葉幹細胞の懸滴には、25,000個の細胞が含まれていることを特徴とする請求項34に記載の方法。
  36. 動物中に治療効果を提供する方法であって、
    間葉幹細胞の球状集合体を培養した培地含む組成を動物に投与する段階を含み、
    前記培地は動物に治療効果を与えるのに効果的な量であることを特徴とする方法。
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