JP5924477B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

硬化性樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP5924477B2
JP5924477B2 JP2011274401A JP2011274401A JP5924477B2 JP 5924477 B2 JP5924477 B2 JP 5924477B2 JP 2011274401 A JP2011274401 A JP 2011274401A JP 2011274401 A JP2011274401 A JP 2011274401A JP 5924477 B2 JP5924477 B2 JP 5924477B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
curable resin
resin composition
mass
parts
powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011274401A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013124315A (ja
Inventor
真理子 藤原
真理子 藤原
野村 幸弘
幸弘 野村
佐藤 明寛
明寛 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konishi Co Ltd
Original Assignee
Konishi Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konishi Co Ltd filed Critical Konishi Co Ltd
Priority to JP2011274401A priority Critical patent/JP5924477B2/ja
Publication of JP2013124315A publication Critical patent/JP2013124315A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5924477B2 publication Critical patent/JP5924477B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Description

本発明は、電気製品、精密機器の組立用等の接着、及び充填に際し、プラスチックの接着、シールを目的として使用するのに適した硬化性樹脂組成物に関する。
主鎖が有機重合体でありその分子内に架橋性シリル基を有する硬化性樹脂は、大気中の水分で加水分解し架橋する、いわゆる湿気硬化型ポリマーであり、シーリング材、接着剤、コーティング剤、塗料等の硬化性樹脂組成物のベースポリマーとして幅広く利用されている(特許文献1〜3)。建築用シーラント等のシーリング材として、湿気硬化性樹脂組成物を使用すると、混入した空気によって硬化後にクレーター状のへこみが発生する場合があり、これを防止するために、シリコーン系及び変成シリコーン系シーリング材にゼオライトを添加したものが提案されている(特許文献4)。また、長期保存性を確保するために、加熱減圧下において低レベルの水分値となるように調整された所定量のゼオライトを、変成シリコーン系ポリマーと、硬化触媒とともに配合した湿気硬化性樹脂組成物が提案されている(特許文献5)。湿気硬化性樹脂組成物は、建築用シーラント等のシーリング材のみならず、さまざまな市場、特に電気・電子材料分野で広く利用されている(特許文献6,7)。また、この電気・電子材料分野ではエンジニアリングプラスチックが広く使用されている。
特開昭52−73998号公報 特許第3030020号公報 特許第3343604号公報 特開平4−202563号公報 特開2005−281404号公報 特開2007−84633号公報 特開2010−285462号公報
これらの接着、シールを目的とした湿気硬化性樹脂組成物を、電気・電子材料の分野等において利用した場合、被着体の種類(例えば被着体がポリカーボネート等のプラスチックである場合)によっては、80℃以上の高温環境において、被着体と硬化後の硬化性樹脂組成物の間に浮きが発生し、接着強さが低下する問題がある。湿気硬化性樹脂組成物を、建築用シーラント等のシーリング材として利用した場合には、電気・電子材料分野において利用した場合のように80℃以上の高温環境におかれることはほとんどなく、被着体と硬化後の硬化性樹脂組成物の間の浮きが問題となる場合は少ない。電気・電子材料分野においては、高温環境における浮きを抑制するのみならず、耐熱性や、場合によっては難燃性も要求される。
本発明は、80℃以上、特に100℃以上の高温環境においても、被着体と硬化後の硬化性樹脂組成物との間の浮きを抑制し、接着強さを低下させないことを課題とする。
さらに、難燃性の要求を満たす硬化性樹脂組成物を提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成する硬化性樹脂組成物の開発を鋭意検討した結果、80℃以上の高温環境におかれた場合であっても、被着体と硬化後の硬化性樹脂組成物の間の浮きの発生を抑制し、接着強さの低下を防ぎ、難燃性の要求をも満たす硬化性樹脂組成物を見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は次の第1〜8の発明から構成される。
すなわち、第1の発明は、架橋性シリル基を有する硬化性樹脂(A)と、平均粒子径0.1〜200μmの金属水酸化物粉体(B)を硬化性樹脂(A)100質量部に対し30〜400質量部と、分子篩(C)を硬化性樹脂(A)100質量部に対し1〜50質量部を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物に関するものである。
第2の発明は、金属水酸化物粉体(B)が、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の粉体であることを特徴とする、第1の発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
第3の発明は、前記分子篩(C)が結晶性アルミノシリケートであることを特徴とする第1又は2のいずれかの発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
第4の発明は、前記分子篩(C)の有効細孔径が0.2〜1.5nmであることを特徴とする第1〜3のいずれかの発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
第5の発明は、炭酸カルシウム系粉体及びシリカ系充填材からなる群より選ばれる少なくとも1種の充填材を、硬化性樹脂(A)100質量部に対し3〜120質量部含有する、請求項1〜4のいずれかの発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
第6の発明は、前記金属水酸化物粉体(B)が、硬化性樹脂(A)100質量部に対し150〜350質量部を含有することを特徴とする、第1〜5のいずれかの発明に係る難燃性硬化性樹脂組成物に関するものである。
第7の発明は、第1〜6のいずれかの発明に係る硬化性樹脂組成物を用いて、難燃性を要求される製品の部品を接着することを特徴とする接着方法に関するものである。
第8の発明は、第7の発明に係る方法により接着されてなる電気・電子部品に関するものである。
本発明は、硬化後の硬化性樹脂組成物と被着体(例えばポリカーボネート等のプラスチック)の間の浮きを抑制し、接着強さの低下を防ぐことができる硬化性樹脂組成物、及びそれを用いた接着方法を提供することができる。本発明の硬化性樹脂組成物、及びそれを用いた接着方法によれば、80℃以上、特に100℃以上の高温環境下に置かれても、剥がれにくい部品を得ることができる。また一定量の金属水酸化物を配合することで、難燃効果を付与することができる。
以下、本発明を実施するための形態を、詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
[架橋性シリル基を有する硬化性樹脂(A)について]
本発明における硬化性樹脂(A)は、分子内に架橋性シリル基を有する湿気硬化性樹脂である。硬化性樹脂(A)中の架橋性シリル基としては、硬化性の観点では、従来公知の加水分解性基である、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基、ハロゲン基等を有する架橋性シリル基が利用できる。これらの中でも、高反応性及び低臭性等の点から、下記一般式(1)で表されるようなアルコキシ基を有する架橋性シリル基が好適に用いられ、特にメチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、トリエトキシシリル基が最も好適に用いられる。硬化性樹脂(A)は、所望の性能を得るために適宜選択すればよく、さらに1種単独又は2種以上合わせて使用してもよい。
−SiR 3−a(OR ・・・式(1)
(但し、R、Rは炭素数1〜6の炭化水素基を、aは1、2又は3を、それぞれ示す)
また、硬化性樹脂(A)中に含まれる架橋性シリル基は1種単独又は2種以上混合されていてもよく、架橋性シリル基中の加水分解性基の数は、各々の硬化性樹脂組成物に求められる性能によって適宜比率を調整すればよい。上述のアルコキシ基を有する架橋性シリル基を例に挙げると、速硬化性や高モジュラス性を付与したい場合には、トリアルコキシ(a=3)やジアルコキシ(a=2)の割合を高くすればよく、長い可使時間や低モジュラス性を付与したい場合には、ジアルコキシ(a=2)やモノアルコキシ(a=1)の割合を高くすればよい。
硬化性樹脂(A)の主鎖骨格としては、従来公知の有機重合体の主鎖骨格を用いることができる。例えば、ポリオキシアルキレン、ビニル重合体(例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等)、飽和炭化水素重合体、不飽和炭化水素重合体、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂及び変成シリコーン樹脂に一般的に用いられている主鎖骨格から選ばれる1種以上の骨格が採用できる。これらのなかでは、本質的にポリオキシアルキレン及び/又はポリ(メタ)アクリレートであることが、入手の容易さや硬化物の皮膜物性等の点から好ましい。ここで、「本質的に」とは、該構造が硬化性樹脂(A)の主鎖骨格である繰り返し単位の主要素であることを意味する。また、該構造は、硬化性樹脂(A)の中に単独で含まれていてもよいし、2種以上がブロックあるいはランダムに含まれていてもよい。
硬化性樹脂(A)の分子量は特に制限されないが、数平均分子量で1,000〜200,000が好ましく、1,500〜100,000がより好ましく、2,000〜40,000が特に好ましい。分子量が1,000を下回ると、硬化後の架橋密度が高くなり過ぎることから得られる硬化物が脆くなる場合があり、分子量が200,000を上回ると、粘度が高くなり作業性が悪くなるため溶剤や可塑剤が多量に必要になる等配合が制限される場合がある。数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値をいう。
また、本発明では、硬化性樹脂(A)として、分子内に架橋性シリル基を有し、かつ、分子内に(特に好ましくは主鎖骨格と架橋性シリル基との間に)特定の含窒素特性基を有する硬化性樹脂を好適に用いることができる。含窒素特性基としては、(チオ)ウレタン結合基、(チオ)尿素結合基、置換(チオ)尿素結合基、ウレタン結合基、尿素結合基、置換尿素結合基、アミド結合基、第一級アミノ基、第二級アミノ基及び第三級アミノ基等の含窒素極性基を有する結合基が好ましく、なかでもウレタン結合基(−NHCOO−)、尿素結合基(−NHCONH−)、置換尿素結合基(−NHCONR−;R=有機基)を有する結合基が最も好ましい。ここで上述の「(チオ)」とは、各結合基中の酸素原子のうち1個以上が硫黄原子となった基を意味する。一例を挙げると、「(チオ)ウレタン基」とは、ウレタン基[−NH−C(=O)O−]及びチオウレタン基[−NH−C(=S)O−、−NH−C(=O)S−又は−NH−C(=S)S−]の総称として表記している。また、上述の「N−置換」とは、各結合基中の窒素原子に結合する水素原子が他の有機基に置換されている基を意味する。一例を挙げると、「N−置換ウレタン基」とは、化学式−NR−C(=O)O−(ここでのRは有機基を意味する)という結合基を意味するものである。このような含窒素特性基が、分子内に(特に架橋性シリル基の近傍に)存在すると、硬化性樹脂自体の硬化能が高まるうえ、硬化物の凝集力が高まり、接着強さが向上するため好ましい。その理由としては、硬化性樹脂の分子内に存在する含窒素特性基同士がドメインを形成し、その結果、硬化性樹脂(A)の架橋性シリル基同士のカップリング反応がさらに促進されること、及び、該ドメイン形成により硬化性樹脂間の相互作用が強くなるためであると考えられる。
硬化性樹脂(A)は市販品を用いることができる。本発明の硬化性樹脂(A)として使用可能な市販品の具体例としては、シリコーン樹脂又は変成シリコーン樹脂として販売されているものであり、例えば、カネカ社製のサイリルシリーズ、カネカMSポリマーシリーズ、MAシリーズ、EPシリーズ、SAシリーズ、ORシリーズ、旭硝子社製のエクセスター(ES)シリーズ、Wacker Chemie AG製のGENIOSIL STP−E10、GENIOSIL STP−E30、デグサジャパン社製のシラン変性ポリアルファオレフィン、信越化学工業社製のKCシリーズ、KRシリーズ、X−40シリーズ、東亞合成社製のXPRシリーズ、綜研化学社製のアクトフローシリーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、分子内に架橋性シリル基を有し、かつ、分子内に含窒素特性基を有する硬化性樹脂は、従来公知の方法で合成することができる。例えば、特許第3030020号公報記載の方法や、特開2005−54174号公報、特開2005−139452号公報、特表2004−518801号公報、特表2004−536957号公報、特表2005−501146号公報等に記載の方法が挙げられる。
硬化性樹脂組成物中の硬化性樹脂(A)の配合量は、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物100質量%中、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは15〜70質量%、さらに好ましくは18〜68質量%である。硬化性樹脂組成物中の硬化性樹脂の配合量が10〜80質量%の範囲であると、浮きを抑制しつつ、所望の接着強さを確保することができる。硬化性樹脂組成物中の硬化性樹脂の配合量が10質量%未満であると、所望の接着強さを確保できない場合があり、80質量%を超えると、十分に浮きを抑制することができない場合がある。
[金属水酸化物粉体(B)について]
本発明における金属水酸化物粉体(B)とは、金属水酸化物を粉体状に成形したものを指す。金属水酸化物粉体(B)を構成する金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等が上げられる。これらの中でも、水酸化アルミニウム及び/又は水酸化マグネシウム等が好適に用いられる。水酸化アルミニウム及び/又は水酸化マグネシウムは、金属水酸化物のなかでも貯蔵安定性が良好であり、硬化性樹脂(A)との混合が容易である。金属水酸化物粉体(B)は表面処理をせずに使用してもよく、カップリング剤、脂肪酸及び樹脂酸等の処理剤で表面処理したものを用いてもよい。また、金属水酸化物粉体(B)は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
金属水酸化物粉体(B)の平均粒子径は0.1〜200μmであり、好ましくは0.3〜100μm、より好ましくは0.5〜50μm、さらに好ましくは1.0〜40μmである。金属水酸化物粉体(B)の平均粒子径が上記範囲内であると、作業性、貯蔵安定性が良好である。平均粒子径が0.1μm未満であると配合した際に粉体の増粘効果によって最終組成物粘度が著しく高くなって作業性が悪くなりやすく、平均粒子径が200μmを超えると、長期保管中に組成物中での粉体成分の沈降・分離がおこりやすくなり、貯蔵安定性が悪くなりやすい。また、大粒子径のものを用いると、塗布装置等の詰まりを生じやすいため、塗布装置や塗布条件に対する制約がつきやすくなる。金属水酸化物粉体(B)は、比較平均粒子径の大きい(例えば平均粒子径20μm以上)の金属水酸化物粉体(B1)と、比較的平均粒子径の小さい(例えば平均粒子径10μm以下)の金属水酸化物粉体(B2)のように、平均粒子径の異なる2種類以上の金属水酸化物粉体を併用してもよい。
なお、本願における「平均粒子径」は、レーザー回折・散乱法(マイクロトラック法)
により検出された粒度分布(体積分布)から算出された算術平均径を指すものである。
金属水酸化物粉体(B)の配合量は、硬化性樹脂(A)100質量部に対して30〜400質量部、好ましくは150〜350質量部、特に好ましくは200〜300質量部である。30質量部を下回ると、80℃以上の高温環境において、被着体(例えばプラスチック)に対する密着性が不足し、400質量部を超えると配合した際に粉体の増粘効果によって組成物粘度が高くなり、作業性が著しく悪くなりやすい。硬化性樹脂(A)100質量部に対する配合量が150質量部以上であると充分な難燃効果を付与することができる。
[分子篩(C)について]
分子篩とは、均一な細孔を持ち、その大きさ以下の分子を吸着するもので、各種の分子をふるい分ける作用を示す物質である。本発明における、分子篩(C)としては、結晶性アルミノシリケートからなる合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)、天然ゼオライト、シリカゲル、シリカ・マグネシアル、シリカ・アルミナゲル、活性炭、活性アルミナ等の1種ないしは数種の混合物として用いられる。この中でも、結晶性アルミノシリケートからなる合成ゼオライト(モレキュラーシーブ)であることが好ましい。結晶性アルミノシリケートからなる結晶性の合成ゼオライトは、入手し易く、硬化性樹脂(A)との混合が容易である。
結晶性アルミノシリケートからなる合成ゼオライトは、市販品を用いることができ、市販品としてはユニオン昭和製モレキュラーシーブ3A、4A、5A、13X、東洋ソーダ製合成ゼオライト、ゼオラム各種等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。分子篩(C)を配合することで、硬化性組成物を硬化させた後、被着体と硬化後の硬化性組成物(以下、「硬化体」とする)が、例えば80℃以上、特に100℃以上の高温環境におかれた場合であっても、被着体(例えばポリカーボネート等のプラスチック)と硬化体との間に発生する浮きを抑制することができ、浮きによる接着強さの低下を防止することができる。
分子篩(C)の配合量は、硬化性樹脂(A)100質量部に対し1〜50質量部、好ましくは3〜40質量部、より好ましくは5〜30質量部、さらに好ましくは5〜25質量部である。1質量部を下回ると、80℃以上の高温環境における被着体と硬化体との間の浮きを抑制できない場合があり、50質量部を超えると硬化性樹脂組成物の粘度が上がり、作業性が悪くなる場合がある。
分子篩の有効細孔径は、好ましくは0.2〜1.5nm、より好ましくは0.3〜1.0nm、さらに好ましくは0.4〜0.8nm、特に好ましくは0.4〜0.6nmである。分子篩の有効細孔径が0.2〜1.5nmの範囲であると、80℃以上の高温環境、特に100℃以上の高温環境におかれた場合に、理由は定かではないが、プラスチックと分子篩の相互作用により、被着体(プラスチック)に対する密着性を保持することができる。
分子篩の有効細孔径は、分子篩を構成するアルミノシリケートの結晶構造の違い等によって、分子篩の孔形状が不均整、非円形であるため、分子篩の実際の孔径ではなく、分子篩に吸着される分子の大きさの観点から、分子篩の孔径サイズを示すものである。なお、有効細孔径は、細孔内に保持される陽イオン(Ca2+、Na、K、Cs等)の種類や陽イオンの交換率によっても異なるが、合成ゼオライトの結晶構造から算出した理論値である。分子篩の有効細孔径よりも小さい分子であれば分子篩に吸着され、分子篩の有効細孔径よりも大きい分子であれば分子篩に吸着されない。例えば、有効細孔径が0.3nmである場合には、0.3nmよりも小さな分子は分子篩に吸着され、0.3nmを超える大きさの分子は分子篩に吸着されない。市販品であるユニオン昭和社製のモレキュラーシーブ3Aは有効細孔径0.3nmであり、モレキュラーシーブ4Aは有効細孔径0.4nmであり、モレキュラーシーブ5Aは有効細孔径0.5nmであり、モレキュラーシーブ13Xは有効細孔径1.0nmである。
[炭酸カルシウム系粉体、シリカ系充填材について]
本発明における炭酸カルシウム系粉体、シリカ系充填材は、金属水酸化物(B)等を均一に分散させることを目的に付与するものである。
炭酸カルシウム系粉体について、具体的には、重質炭酸カルシウム系粉体、沈降炭酸カルシウム系粉体(軽質炭酸カルシウム系粉体、半膠質炭酸カルシウム系粉体、膠質炭酸カルシウム系粉体等)及びそれらを表面処理した粉体等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。例えば、硬化性樹脂組成物の粘度を低くしたい場合は、粒径が比較的大きい重質炭酸カルシウム系粉体及びその表面処理粉体が好適に用いられ、配合物の粘度を上げてより揺変性を付与したい場合は、粒径が比較的小さい沈降炭酸カルシウム系粉体及びその表面処理粉体が好適に用いられる。
上記炭酸カルシウム系粉体は市販されており、本発明ではそれらを用いることができる。市販品としては、08重炭、R重炭、スーパーS、スーパー#1500、スーパー#2300、ナノックス30、カルテックス5(以上、丸尾カルシウム株式会社製商品名)、BF−300、ホワイトンB、ソフトン2200(以上、白石カルシウム株式会社製商品名)、SS#30、NN#500、NN#200、NS#100、NS#400、NS#2300、NITOREX30P、NITOREX#80(以上、日東粉化工業株式会社製商品名)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記表面処理炭酸カルシウム系粉体は市販されており、本発明ではそれらを用いることができる。市販品としては、カルファイン200、カルファイン200M、カルファインN−350、カルファイン500、カルファインN−40、シーレッツ200、MS−100M、ナノコートS−25、ナノコートS−30、MCコートS−10、MCコートP−10(以上、丸尾カルシウム社製商品名)や、VIGOT−10、VIGOT−15、白艶華CC、白艶華CC−R、白艶華CCR−B、白艶華CCR−S、白艶華CCR−S10、ビスコエクセル30、ビスコエクセル30−K、ホモカルD、ACTIFORT−700、SL−101、ライトンS−4(以上、白石カルシウム社製商品名)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
炭酸カルシウム系粉体の平均粒子径は、求められる性能に応じて適宜選択すれば良く特に限定されないが、1nm〜400μmが好ましく、10nm〜100μmがより好ましく、60nm〜50μmが特に好ましく、0.1μm〜20μmが最も好ましい。炭酸カルシウム系粉体の平均粒子径が1nmを下回ると、硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎる場合があり、400μmを上回ると、意匠性が損なわれる場合がある。また、平均粒子径の概念がない針状結晶状粉体や楕円球状粉体、扁平状粉体等の場合は、長辺の長さが、100nm〜4mmが好ましく、500nm〜2mmがより好ましく、0.1μm〜200μmが特に好ましく、1μm〜100μmが最も好ましい。
シリカ系充填材としては、親水性シリカ系粉体、疎水性シリカ系粉体、溶融石英ガラス系粉体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。疎水性シリカ系粉体としては、例えば、接着剤その他で揺変剤として多く用いられているヒュームドシリカ(煙霧質シリカ)やシリカエアロゲル等のシリカ系粉体を有機珪素化合物、例えばジメチルジクロルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルシロキサン、トリメトキシオクチルシラン等で処理し、疎水性としたものが使用できるが、特に煙霧質シリカをヘキサメチルジシラザンで処理したもの並びにシリカエアロゲルをジメチルシロキサン及び/又はヘキサメチルジシラザンで処理したものが好ましい。 疎水化処理は、シリカ系粉体と上記有機珪素化合物とを、100〜400℃程度の温度で高速攪拌することによりなされる。両者の接触を均一に行うために、有機溶媒等の媒体中で行うのが望ましい。シリカ系粉体と上記有機珪素化合物の配合割合は、通常シリカ系粉体100質量部あたり、上記有機珪素化合物3〜40質量部である。
シリカ系充填材の平均粒子径は、求められる性能に応じて適宜選択すれば良く特に限定されないが、1nm〜400μmが好ましく、10nm〜100μmがより好ましく、60nm〜50μmが特に好ましく、0.1μm〜20μmが最も好ましい。シリカ系充填材の平均粒子径が1nmを下回ると、硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎる場合があり、400μmを上回ると、意匠性が損なわれる場合がある。また、平均粒子径の概念がない針状結晶状粉体や楕円球状粉体、扁平状粉体等の場合は、長辺の長さが、100nm〜4mmが好ましく、500nm〜2mmがより好ましく、0.1μm〜200μmが特に好ましく、1μm〜100μmが最も好ましい。
炭酸カルシウム系粉体、シリカ系充填材の配合量は、その大きさあるいは形状等によって最適な配合量が変わるため、求められる性能に応じて適宜選択すれば良いが、硬化性樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは3〜120質量部、より好ましくは5〜110質量部、特に好ましくは8〜100質量部である。120質量部を上回ると、硬化物が脆くなったり作業性が悪化する場合がある。特に、平均粒子径が100nm以下の場合、配合量に対する粘度の増加が大きいことから比較的少量の配合量になり、また、平均粒子径が10μm以上の場合、配合量に対する粘度の増加が小さいことから比較的多量の配合量になる。その他、表面処理の有無によっても最適な配合量は影響を受ける。
[その他の成分について]
本発明の硬化性樹脂組成物中には、本発明にかかる効果を阻害しない範囲で従来公知の任意の化合物乃至物質を配合することができる。例えば、従来公知の硬化性樹脂(但し、架橋性シリル基を有する硬化性樹脂(A)を除く)、クレイ粉体、アクリル系等の有機系粉体、有機系・無機系のバルーン等の充填材、フェノール樹脂等の粘着付与剤、アマイドワックス等の揺変剤、酸化カルシウム等の脱水剤、希釈剤、可塑剤、難燃剤、機能性オリゴマー、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、3−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イルオキシ)プロピルトリエトキシシラン等の老化防止剤、ベンゾトリアゾール系化合物等の紫外線吸収剤、顔料、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、ブロックドポリイソシアネート等の耐水性向上剤、乾性油等を配合することができる。表面処理炭酸カルシウムの表面処理剤としては、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リシノール酸等の不飽和脂肪酸等を用いることができる。また、硬化性樹脂(A)の硬化触媒として、例えば有機酸化合物、有機塩基化合物、チタン系触媒、スズ系触媒、ジルコニウム系触媒、アルミニウム系触媒、ビスマス系触媒、三フッ化ホウ素及び/又はその錯体、フッ素化剤及びフッ素系無機酸のアルカリ金属塩よりなる群から選ばれたフッ素系化合物、等の従来公知のものを用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物中に、従来公知の化合物乃至物質を配合する場合には、従来公知の化合物乃至物質の性能を損なわない範囲の配合量を配合することが可能である。カップリング剤を配合する場合には、硬化性樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは2〜20質量部、さらに好ましくは3〜15質量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、水分の存在下で、架橋性シリル基同士が重縮合することによって硬化するものである。したがって、1液型として使用される場合は、保管乃至搬送中は、空気(空気中の水分)と接触しないよう、気密に密封した状態で取り扱われる。そして、使用時には開封して任意の箇所に適用すれば、空気中の水分と接触して硬化性樹脂組成物が硬化するのである。あるいは、本発明に係る硬化性樹脂組成者は、2液型としても使用することができる。この場合には本発明に係る硬化性樹脂(A)は反応性(硬化性)が高いため保管乃至搬送中に硬化しないような工夫が必要である。そして使用時に、硬化性樹脂(A)等を含む主剤に、硬化触媒等を含む硬化剤を混合し任意の箇所に適用すれば、空気中の水分や硬化性樹脂組成物内に含まれる水分と反応して硬化性樹脂組成物が硬化する。
[難燃性について]
本発明の硬化性樹脂組成物は、金属水酸化物(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等)を一定量配合することによって、硬化体において、UL94V−0(試料厚さ1.5mm)を満たす難燃性を発揮することができる。家電製品の難燃規制はアメリカのUL規格が基本になっており、多くの製品が規制対象となっている。ここでUL(Underwriters laboratories Inc.の略)は、アメリカ合衆国の民間団体であり、材料、製品、機器、システム等に関する安全規格開発機関、製品試験・認証機関である。UL94 規格は、プラスチック材料の難燃性を評価するものであり、その中でUL94V−0は最も難燃性の高いクラスとして、規定されている。
[硬化性樹脂組成物の製造方法について]
本発明の硬化性樹脂組成物は従来公知の製造方法によって調製すればよい。一例を示せば、撹拌機付きの密閉容器に硬化性樹脂(A)、金属水酸化物粉体(B)、分子篩(C)を仕込み、系に含まれる水分を除去するために混練しながら適宜加熱真空脱水を行った後、これを室温付近まで冷却し、硬化触媒やカップリング剤等のその他の添加剤を添加混合することで得ることができる。ただし、分子篩(C)を入れて加熱真空脱水を行うと、貯蔵安定性が悪くなる場合があるため、分子篩(C)は加熱真空脱水後に入れてもよい。
[接着方法について]
硬化性樹脂組成物を用いた接着方法としては、従来公知の接着方法を用いればよい。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、通常の接着用途のみならず、例えばポッティングやシーリング(封止)といった充填接着に供することもできる。このような接着方法は、電気・電子製品、電気・電子部品を得るのに特に好適である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、被着体としてポリカーボネート等のプラスチックが使用され、80℃以上の高温環境におかれる電気・電子部品の接着剤、シーリング剤として好適に使用することができる。さらに難燃性を要求される用途にも使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
〔各原料の準備〕
原料として以下のものを準備した。
〔硬化性樹脂(A1):ベースポリマー〕
(架橋性シラン化合物SE−1の準備)
反応容器内で、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(222.4質量部)を窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、アクリル酸メチル(172.2質量部、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランに対して2モル当量)を1時間かけて滴下し、さらに50℃で7日間反応させることで分子内にトリメトキシシリル基及び第二級アミノ基を有する架橋性シラン化合物SE−1を得た。
別の反応容器内で、PMLS4012(旭硝子株式会社製商品名、ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量約10,000、100質量部)、イソホロンジイソシアネート(4.83質量部)及びジオクチルスズジバーサテート(PMLS4012に対して50ppm)を仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で3時間反応させることで、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にイソシアネート基を有するウレタン系樹脂U−1を得た。
さらに上記シラン化合物SE−1(8.90質量部)を添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、上記ウレタン系樹脂U−1中のイソシアネート基と上記シラン化合物SE−1中の第二級アミノ基とを80℃で1時間反応させることで、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にウレタン結合、活性水素が1個置換されたウレア結合、及び、トリメトキシシリル基を有する硬化性樹脂(A1:数平均分子量約20,000(GPCにより測定))を得た。反応終了後、IR測定を行ったところイソシアネート基に帰属される特性吸収(2265cm−1)は観測されなかった。
〔硬化性樹脂(A2):ベースポリマー〕
反応容器に、上記硬化性シリコーン系樹脂A1(100質量部)を入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル37.5質量部、メタクリル酸ラウリル25質量部、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン3.0質量部、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン7.0質量部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.50質量部を混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.20質量部とメチルエチルケトン10質量部の混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.10質量部とメチルエチルケトン10質量部の混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で3時間反応させた後、メチルエチルケトンを減圧留去することで、硬化性シリコーン系樹脂A1と、分子内にトリメトキシシリル基を有するビニル重合体とを含有する硬化性シリコーン系樹脂A1の混合物である、硬化性シリコーン系樹脂A2(数平均分子量約4,000(GPCにより測定))を得た。
〔硬化性樹脂(A3)〕
硬化性樹脂(A3:数平均分子量約16,000(GPCにより測定))としてMSポリマーS203(カネカ社製商品名、メチルジメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン)を準備した。
〔硬化性樹脂(A4)〕
硬化性樹脂(A4:数平均分子量約30,000(GPCにより測定))としてSA310S(カネカ社製商品名、両末端反応型ポリアクリレート)を準備した。
〔金属水酸化物粉体(B)〕
金属水酸化物粉体として、ハイジライトH21(昭和電工社製商品名、平均粒子径25μmである水酸化アルミニウム粉体)、ハイジライトH42(昭和電工社製商品名、平均粒子径1.1μmである水酸化アルミニウム粉体)、ハイジライトH34HL(昭和電工社製商品名、平均粒子径4.0μmである水酸化アルミニウム粉体)、キスマ(登録商標)5A(協和化学工業社製、平均粒子径0.87μmである水酸化マグネシウム)を準備した。
〔分子篩(C)の準備〕
分子篩として、結晶性アルミノシリケートからなる合成ゼオライトである、モレキュラーシーブ3A(ユニオン昭和社製商品名、有効細孔径0.3nm)、モレキュラーシーブ4A(ユニオン昭和社製商品名、有効細孔径0.4nm)、モレキュラーシーブ5A(ユニオン昭和社製商品名、有効細孔径0.5nm)、モレキュラーシーブ13X(ユニオン昭和社製商品名、有効細孔径1nm)を準備した。
〔その他成分の準備〕
実施例及び比較例におけるその他成分、並びに比較例における配合材料として以下のものを準備した。
ナノックス30(丸尾カルシウム社製商品名、重質炭酸カルシウム、平均粒子径0.7μm)
白艶華CCR−B(白石カルシウム社製、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム、一次粒子径50nm(電子顕微鏡観察))
アエロジルRY200(日本アエロジル社製、疎水性シリカ、揺変性付与剤)
アエロジル200(日本アエロジル社製、親水性シリカ、揺変性付与剤)
KBM−603(信越化学工業社製、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、シランカップリング剤)
KBM−903(信越化学工業社製商品名、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、シランカップリング剤)
KBM−403(信越化学工業社製商品名、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、シランカップリング剤)
KBM−1003(信越化学工業社製商品名、ビニルトリメトキシシラン、シランカップリング剤)
NS−51(日東化成社製、ジオクチルスズ(ビスマレイン酸モノオクチルエステル)塩、硬化触媒)
三フッ化ホウ素ピペリジン錯体(硬化触媒)
ウンデカン(希釈剤)
[硬化性樹脂組成物の調製]
〔実施例1〕
表1に示す配合割合で、硬化性樹脂(A)金属水酸化物粉体(B)、分子篩(C)、他充填材を、撹拌機付きの密閉式反応容器に投入し、常温常圧で10分間混練りした。その後、60mmHg以下の減圧下、100〜120℃で加熱しながら、30分〜1時間撹拌混合することでペースト状スラリーを得た。その後、窒素気流下で、表1に示す配合割合(質量部)で、希釈剤、シランカップリング剤、触媒を添加し、湿気を遮断した密閉条件下で混練りすることで、硬化性樹脂組成物を得た。得られた硬化性樹脂組成物を湿気が遮断された透明な密閉容器に充填した。なお、表1〜3中、特に断りのない限り、数値は「質量部」を示す。
〔比較例1〕
表1に示す配合割合で、分子篩(C)を含まないこと以外は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。得られた硬化性樹脂組成物を実施例1と同様に密閉容器に充填した。
〔実施例2〜3〕
表1に示す配合割合で、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物を得て、得られた硬化性樹脂組成物を実施例1と同様に密閉容器に充填した。
〔比較例2〕
表1に示す配合割合で、金属水酸化物粉体(B)を含まないこと以外は、実施例3と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。得られた硬化性樹脂組成物を実施例3と同様に密閉容器に充填した。
〔評価方法と評価基準〕
JIS K6850:1999に準拠して、上記硬化性樹脂組成物と厚さ3mm×縦25mm×横100mmのポリカーボネート板で試験体を作製した。上記ポリカーボネートに接着剤を塗布し、接着剤厚みを0.2mm(ガラスビーズで調製)、接着面積を25mm×12.5mmになるようにポリカーボネートのせん断試験体を作成した。試験体を23℃50%RHで1日間、50℃95%RHで16時間養生し硬化させた。養生後、80、100、120℃のオーブンに24時間静置後に、硬化性樹脂組成物とポリカーボネートの間に生じた浮きの割合を目視で確認した。硬化性樹脂組成物とポリカーボネートの間に生じた浮きの割合が、0%〜20%未満:◎、20%〜30%未満:○、30%〜50%未満:△、50%〜100%:×とした。なお、各実施例1〜16及び比較例1〜9で得られた湿気硬化型接着剤組成物についてUL94V−0(試料厚さ1.5mm)相当試験を行い、難燃性を評価した。
Figure 0005924477
表1に示すように、実施例1の分子篩(C)を含む硬化性樹脂組成物を用いて作製した試験体は、80℃、100℃、120℃の高温環境のいずれにおいても、被着体(ポリカーボネート)と硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化体との間の浮きが20%未満に抑制されており、接着強さの低下が抑制されていた。一方、比較例1の分子篩(C)を含んでいない硬化性樹脂組成物を用いて作製した試験体は、80℃、100℃、120℃の高温環境のいずれにおいても、50%以上の浮きが発生し、温度が高くなるにつれて接着強さが低下した。また、実施例1及び比較例1の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂(A)100質量部に対して、金属水酸化物粉体(B)を150質量部以上配合しており、UL94V−0相当の難燃性を満たしていた。
実施例1の試験体を、JIS K6850:1999に準拠して接着強さを測定した結果、初期は0.97N/mm、100℃、120℃のオーブン静置後、それぞれ1.04N/mm、0.85N/mmであった(オートグラフ AG-50kNE 島津製作所社製)。強度保持率(加熱後の接着強さ/初期の接着強さ×100)は100℃、120℃のオーブン静置後、それぞれ、108%、88%であった。一方、比較例1の試験体を実施例1と同様にして、接着強さを測定した結果、初期は1.28N/mm、100℃、120℃のオーブン静置後、それぞれ0.60N/mm、0.23N/mmであった。強度保持率は、100℃、120℃のオーブン静置後、それぞれ、47%、18%であった。
また、表1に示すように、実施例2、3の金属酸化物粉体(B)を含む硬化性樹脂組成物を用いて作製した試験体は、80℃、100℃、120℃の高温環境のいずれにおいても、被着体(ポリカーボネート)と硬化体との間の浮きが20%未満となり、接着強さの低下が抑制されていた。一方、比較例2の金属水酸化物粉体(B)を含んでいない硬化性樹脂組成物を用いた作製した試験体は、80℃で30%以上の浮きが発生し、100℃、120℃で50%以上の浮きが発生した。
〔実施例4〜10及び比較例3〕
表2に示す配合割合に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物を得て、この硬化性樹脂組成物を実施例1と同様に密閉容器に充填した後、実施例1と同様にして試験体を作製し、浮きを測定した。また難燃試験を実施した。
Figure 0005924477
実施例4〜10の分子篩(C)を含み、硬化性樹脂(A2:ベースポリマー)を用いた硬化性樹脂組成物を用いて作製した試験体は、特に100℃の高温環境において、被着体(ポリカーボネート)と硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化体との間の浮きが30%未満に抑制されていた。一方、比較例3の分子篩(C)を含まない、硬化性樹脂組成物を用いて作製した試験体は、特に100℃の高温環境において、30%以上の浮きが発生していた。実施例4〜10及び比較例3の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂(A2)100質量部に対して、金属水酸化物粉体(B)を150質量部以上配合しており、UL94V−0相当の難燃性を満たしていた。
実施例4の試験体を、実施例1と同様にして、JIS K6850:1999に準拠して接着強さを測定した結果、初期は0.83N/mm、100℃、120℃のオーブン静置後、それぞれ1.11N/mm、0.95N/mmであった。実施例4の試験体の100℃、120℃のオーブン静置後の強度保持率は、それぞれ、134%、114%であった。一方、比較例3の試験体を、実施例1と同様にして、接着強さを測定した結果、初期は0.87N/mm、100℃、120℃のオーブン静置後、それぞれ0.42N/mm、0.22N/mmであった。比較例3の試験体の100℃、120℃のオーブン静置後の強度保持率は、それぞれ、49%、26%であった。
〔実施例11〜16及び比較例4〜9〕
表3に示す配合割合に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物を得て、この硬化性樹脂組成物を実施例1と同様に密閉容器に充填した後、実施例1と同様にして試験体を作製し、浮きを測定した。また難燃試験を実施した。
Figure 0005924477
実施例11〜16の分子篩(C)を含む硬化性樹脂組成物を用いて作製した試験体は、特に100℃の高温環境において、被着体(ポリカーボネート)と硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化体との間の浮きが20%未満に抑制されていた。また、硬化性樹脂(A2:ベースポリマー)を使用した実施例11、14〜15は、120℃の高温環境においても浮きが20%未満に抑制されていた。一方、分子篩(C)を含まないこと以外は、実施例11〜16の各々と同様の配合割合を有する比較例4〜9は、100℃において30%以上の浮きが発生し、120℃において50%以上の浮きが発生するものもあった。なお、実施例15及び比較例8を除く、表3に示す実施例及び比較例は、硬化性樹脂(A)100質量部に対して、金属水酸化物粉体(B)を150質量部以上配合しており、UL94V−0相当の難燃性を満たしていた。
実施例11の試験体を、実施例1と同様にして、JIS K6850:1999に準拠して接着強さを測定し、加熱後の接着強さと初期接着強さから、実施例1と同様にして、強度保持率を測定した結果、100℃、120℃のオーブン静置後(加熱後)の強度保持率は、それぞれ151%、136%であった。また、比較例4の試験体を、実施例11と同様にして測定した結果、100℃、120℃のオーブン静置後の強度保持率は、それぞれ、51%、26%であった。
実施例12の試験体を、実施例11と同様にして測定した結果、100℃、120℃のオーブン静置後の強度保持率は、それぞれ、57%、34%であった。また、比較例5の試験体を、実施例11と同様にして測定した結果、100℃、120℃のオーブン静置後の強度保持率は、それぞれ14%、13%であった。
実施例15の試験体を、実施例11と同様にして測定した結果、100℃、120℃のオーブン静置後の強度保持率は、それぞれ、184%、90%であった。また、比較例8の試験体を、実施例11と同様にして測定した結果、100℃、120℃のオーブン静置後の強度保持率は、それぞれ14%、16%であった。
本発明の硬化性樹脂組成物は、従来1液型又は多液型の硬化性樹脂組成物が用いられている全ての用途において使用することができる。例えば、接着剤、粘着剤、シーリング材、塗料、コーティング材、目止め材、注型材、被覆材等として用いることができる。特に、難燃性、耐熱性が要求される、電気・電子部品を構成するプラスチックの接着、シーリング用途に対して好適に用いられる

Claims (8)

  1. 主鎖骨格にポリオキシアルキレン及び/又はポリ(メタ)アクリレートを有し、架橋性シリル基を有する硬化性樹脂(A)と、平均粒子径0.1〜200μmの金属水酸化物粉体(B)を硬化性樹脂(A)100質量部に対し30〜400質量部と、分子篩(C)を硬化性樹脂(A)100質量部に対し1〜50質量部を含有することを特徴とする、湿気硬化性樹脂組成物。
  2. 金属水酸化物粉体(B)が、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の粉体であることを特徴とする、請求項1に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
  3. 前記分子篩(C)が結晶性アルミノシリケートであることを特徴とする請求項1又は2に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
  4. 前記分子篩(C)の有効細孔径が0.2〜1.5nmであることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
  5. 炭酸カルシウム系粉体及びシリカ系充填材からなる群より選ばれる少なくとも1種の充填材を、硬化性樹脂(A)100質量部に対し3〜120質量部含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
  6. 前記金属水酸化物粉体(B)が、硬化性樹脂(A)100質量部に対し150〜350質量部を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の湿気硬化性樹脂組成物を用いて、難燃性を要求される製品の部品を接着することを特徴とする接着方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の湿気硬化性樹脂組成物により、難燃性を要求される製品の部品が接着されている、電気・電子部品。
JP2011274401A 2011-12-15 2011-12-15 硬化性樹脂組成物 Active JP5924477B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011274401A JP5924477B2 (ja) 2011-12-15 2011-12-15 硬化性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011274401A JP5924477B2 (ja) 2011-12-15 2011-12-15 硬化性樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013124315A JP2013124315A (ja) 2013-06-24
JP5924477B2 true JP5924477B2 (ja) 2016-05-25

Family

ID=48775782

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011274401A Active JP5924477B2 (ja) 2011-12-15 2011-12-15 硬化性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5924477B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7255146B2 (ja) * 2018-11-22 2023-04-11 株式会社レゾナック フィルム状接着剤、接着シート、並びに半導体装置及びその製造方法
JP7490256B2 (ja) 2021-03-31 2024-05-27 積水フーラー株式会社 湿気硬化性組成物

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5273998A (en) * 1975-12-16 1977-06-21 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd Room temperature curing compositions
JPH04202563A (ja) * 1990-11-30 1992-07-23 Cemedine Co Ltd シーリング材
JP3343604B2 (ja) * 1997-03-03 2002-11-11 コニシ株式会社 シリコーン系樹脂組成物
JP3030020B1 (ja) * 1998-12-10 2000-04-10 コニシ株式会社 ウレタン系樹脂及びその製造方法
EP1113048A3 (en) * 1999-12-27 2002-01-30 General Electric Company Hydrophobicity imparting particulate
JP2005281404A (ja) * 2004-03-29 2005-10-13 Aica Kogyo Co Ltd 湿気硬化型樹脂組成物とその硬化促進方法
JPWO2006033380A1 (ja) * 2004-09-24 2008-05-15 旭硝子株式会社 封着材組成物、それを用いた気密容器および電子部品のオーバーコートならびにそれらの製造方法
JP4776315B2 (ja) * 2005-09-21 2011-09-21 セメダイン株式会社 難燃性湿気硬化型接着剤組成物
JP2010285462A (ja) * 2009-06-09 2010-12-24 Konishi Co Ltd 難燃性湿気硬化型接着剤組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013124315A (ja) 2013-06-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPWO2011089987A1 (ja) 難燃性湿気硬化型樹脂組成物、この組成物を含む難燃性湿気硬化型接着剤及びこの接着剤を用いた接着方法
KR101527231B1 (ko) 실온 경화성 오르가노폴리실록산 조성물
JP4948105B2 (ja) 多成分型室温硬化性シリコーンゴム組成物
JP2023505588A (ja) 熱伝導性ポリウレタン接着剤組成物
JP6732145B1 (ja) 熱伝導性樹脂組成物、熱伝導性シートおよび製造方法
US20150240057A1 (en) Room-temperature-curable polyorganosiloxane composition
EP3858941A1 (en) Fluidity modifier, composition containing same, and cured product of said composition
JP5924477B2 (ja) 硬化性樹脂組成物
JP5752661B2 (ja) オルガノポリシロキサン組成物
WO2000027910A1 (en) Oil resistant compositions
WO2010047249A1 (ja) 1液室温湿気硬化型硬化性樹脂組成物
JP7509329B2 (ja) 無機フィラー流動性改質剤、無機フィラー含有組成物および熱伝導性シリコーンシート
WO2022009759A1 (ja) 二成分型室温速硬化性オルガノポリシロキサン組成物、該組成物の硬化物及び物品
JP2010084063A (ja) 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物
JP2011178906A (ja) 硬化性樹脂組成物
JP4445584B2 (ja) 硬化性樹脂組成物
JP2014218558A (ja) 室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物
JP2008144042A (ja) 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物
JP2004123934A (ja) 硬化型樹脂用炭酸カルシウム填剤およびそれを配合してなる硬化型樹脂組成物
EP4303268A1 (en) Inorganic filler fluidity modifier, inorganic filler-containing resin composition and molded article of resin composition
US20230133719A1 (en) Inorganic filler dispersion stabilizer, inorganic filler-containing resin composition, molded article, and additive
JP2010285462A (ja) 難燃性湿気硬化型接着剤組成物
WO2011108415A1 (ja) 硬化性組成物
JP2010260910A (ja) 硬化性シリコーン系樹脂組成物
JP6820808B2 (ja) 硬化性組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141113

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20150316

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150818

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150819

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20151016

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160322

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160405

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5924477

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250