JP2010285462A - 難燃性湿気硬化型接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルコキシシリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体(A)、平均粒子径0.1〜200μmである金属水酸化物粉体(B)、平均粒子径0.1〜10μmである重質炭酸カルシウム(C)、アマイドワックス(D)を必須成分として含有することを特徴とする、難燃性湿気硬化型接着剤組成物を用いる。
【選択図】なし
Description
本発明におけるアルコキシシリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体(A)(以下、単に「重合体(A)」と記載することがある)は、分子内に下記一般式(1)で表されるアルコキシシリル基を有するとともに、その主鎖骨格が実質的にポリオキシアルキレン系重合体である重合体である。
−SiR1 n(OR2)3−n ・・・式(1)
また、式(1)で示されるアルコキシシリル基は主鎖骨格に結合している。重合体(A)の主鎖骨格は、ポリオキシアルキレン重合体である。ポリオキシアルキレン系重合体としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン及びこれらのブロック又はランダム共重合体であることが好ましい。
アルコキシシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体(E)(以下、単に「重合体(E)」と記載することがある)としては、従来公知のものを用いることができる。
本願における金属水酸化物粉体(B)とは、金属水酸化物を粉体状に成形したものを指す。金属水酸化物粉体(B)を構成する金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム及び/又は水酸化マグネシウムが好適に用いられる。金属水酸化物粉体(B)は表面処理せずに使用してもよく、カップリング剤、脂肪酸及び樹脂酸等の処理剤で表面処理したものを用いてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明における重質炭酸カルシウム(C)とは、石灰石を粉砕して粉状にした炭酸カルシウムの粉体を指す。本発明において、重質炭酸カルシウム(C)は、難燃性湿気硬化型接着剤組成物に適切な作業性(より詳しくは粘性)を付与すると同時に、長期保存後に金属水酸化物粉体(B)が沈降するのを防止するために配合される。重質炭酸カルシウム(C)は表面処理せずに使用してもよく、カップリング剤、脂肪酸及び樹脂酸等の処理剤で表面処理したものを用いてもよいが、表面処理しないものであるほうが粘度の点から好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明におけるアマイドワックス(D)とは、脂肪酸(ステアリン酸、リシノール酸、オレイン酸、オキシステアリン酸、エルカ酸、ラウリン酸、エチレンビスステアリン酸、エチレンビスオレイン酸、アルカン酸等)とアミン類(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンポリアミン等)との縮合反応により製造される反応生成物を指す。本発明において、アマイドワックス(D)は、難燃性湿気硬化型接着剤組成物に適切な作業性(より詳しくは粘性)を付与するために配合される。
本発明の難燃性湿気硬化型接着剤組成物中には、難燃性能を妨げない範囲において、従来公知の任意の化合物乃至物質を配合することができる。例えば、従来公知の硬化性樹脂、親水性又は疎水性シリカ系粉体、クレイ粉体、アクリル系等の有機系粉体、有機系・無機系のバルーン等の充填材、フェノール樹脂等の粘着付与剤、酸化カルシウム等の脱水剤、希釈剤、可塑剤、難燃剤、機能性オリゴマー、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、3−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イルオキシ)プロピルトリエトキシシラン等の老化防止剤、ベンゾトリアゾール系化合物等の紫外線吸収剤、顔料、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、ブロックドポリイソシアネート等の耐水性向上剤、乾性油等を配合することができる。また、重合体(A)及び/又は重合体(E)の硬化触媒として、例えばチタン系触媒、スズ系触媒、ジルコニウム系触媒、アルミニウム系触媒、ビスマス系触媒、三フッ化ホウ素及び/又はその錯体、フッ素化剤及びフッ素系無機酸のアルカリ金属塩よりなる群から選ばれたフッ素系化合物、等の従来公知のものを用いることができる。
本発明の難燃性湿気硬化型接着剤組成物は、UL94V−0(試料厚さ1.5mm)相当の難燃性を発揮することを前提とするものである。
家電製品の難燃規制はアメリカのUL規格が基本になっており、多くの製品が規制対象となっている。ここでUL(Underwriters laboratories Inc.の略)は、アメリカ合衆国の民間団体であり、材料、製品、機器、システムなどに関する安全規格開発機関、製品試験・認証機関である。UL94規格は、プラスチック材料の難燃性を評価するものであり、その中でUL94V−0は最も難燃性の高いクラスとして、規定されている。
本発明の難燃性湿気硬化型接着剤組成物は従来公知の製造方法によって調製すればよい。一例を示せば、撹拌機付きの密閉容器に重合体(A)、金属水酸化物粉体(B)、重質炭酸カルシウム(C)、アマイドワックス(D)、(配合する場合は)重合体(E)を仕込み、系に含まれる水分を除去するために混練しながら適宜加熱真空脱水を行った後、これを室温付近まで冷却し、さらに硬化触媒やカップリング剤などのその他の添加剤を添加混合することで得ることができる。なお、アマイドワックスについては、樹脂中で加温することにより強固な膨潤構造が形成されて粘性が付与されるものであるため、何らかの加熱工程が必要である。
難燃性湿気硬化型接着剤組成物を用いて難燃性を要求される製品の部品を接着する接着方法としては、従来公知の接着方法を用いればよい。また、本発明の接着剤組成物は、通常の接着用途のみならず、例えばポッティングやシーリング(封止)といった充填接着に供することもできる。このような接着方法は、難燃性が要求される電気・電子製品、電気・電子部品を得るのに特に好適である。
硬化性樹脂A1として、MSポリマーS203(カネカ社製商品名、メチルジメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン)を準備した。
硬化性樹脂A2として、サイリルMA440(カネカ社製商品名、アクリル変性されたメチルジメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン)を準備した。
硬化性樹脂A3として、トリメトキシシリル基を有するポリオキシアルキレンを以下の要領で合成し、準備した。反応容器内で、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(222.4質量部)を窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、アクリル酸メチル(172.2質量部、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランに対して2モル当量)を1時間かけて滴下し、さらに50℃で7日間反応させることで、分子内にトリメトキシシリル基及び第二級アミノ基を有するシラン化合物SE-1を得た。別の反応容器内で、PMLS4012(旭硝子株式会社製商品名、ポリオキシプロピレンポリオール、平均分子量10,000、100質量部)、イソホロンジイソシアネート(4.75質量部)及びジオクチルスズジバーサテート(PMLS4012に対して50ppm)を仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で3時間反応させて、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にイソシアネート基を有するウレタン系樹脂U1を得た。さらに上記シラン化合物SE-1(8.86質量部)を添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で1時間反応させることで、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にウレタン結合、活性水素が置換されたウレア結合、トリメトキシシリル基を有する硬化性樹脂A3を得た。反応終了後、IR測定を行ったところイソシアネート基に帰属される特性吸収(2265cm−1)は観測されなかった。
硬化性樹脂A4として、硬化性樹脂A3と、分子内にメチルジメトキシシリル基を有するビニル重合体(重合体(E)に相当する)とを有する硬化性樹脂との混合物を以下の要領で合成し、準備した。反応容器に、上記硬化性樹脂A3(100質量部)を入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル37.5質量部、アクリル酸ブチル25質量部、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン3.0質量部、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン7.0質量部、および2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.48質量部を混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.16質量部とメチルエチルケトン10質量部の混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.08質量部とメチルエチルケトン10質量部の混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で3時間反応させた後、未反応の諸成分を減圧留去することで、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にウレタン結合、活性水素が置換されたウレア結合、トリメトキシシリル基を有する硬化性樹脂と、分子内にメチルジメトキシシリル基を有するビニル重合体との混成体である硬化性樹脂A4を得た。
金属水酸化物粉体として、ハイジライトH21(昭和電工社製商品名、平均粒子径25μmである水酸化アルミニウム粉体)、ハイジライトH42(昭和電工社製商品名、平均粒子径1.1μmである水酸化アルミニウム粉体)を準備した。
重質炭酸カルシウムとして、ナノックス#30(丸尾カルシウム社製商品名、平均粒子径0.9μmである重質炭酸カルシウム)、NS#400(日東粉化工業社製商品名、平均粒子径1.7μmである重質炭酸カルシウム)を用意した。
アマイドワックスとして、ディスパロン#6500(楠本化成社製、脂肪酸アマイドワックスを微粉末状にしたもの)を準備した。
実施例及び比較例におけるその他成分、並びに比較例における配合材料として以下のものを準備した。
ビスコエクセル30(白石カルシウム社製、平均粒子径0.03μmである植物系脂肪酸表面処理炭酸カルシウム)
白艶華CCR−B(白石カルシウム社製、平均粒子径0.08μmである脂肪酸表面処理炭酸カルシウム)
アエロジルRY200(日本アエロジル社製、親水性シリカ、揺変性付与剤)
ネオスタンU220H(日東化成社製商品名、有機錫化合物、硬化触媒)
アイソパーH(エクソンモービル社製、主として炭素数11〜13の分岐鎖飽和炭化水素を含有するパラフィン系炭化水素、希釈剤)
KBM603(信越化学工業社製、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、シランカップリング剤)
(実施例1)
3Lのプラネタリーミキサーに、硬化性樹脂A1(70質量部)、硬化性樹脂A2(30質量部)、ハイジライトH21(150質量部)、ハイジライトH42(100質量部)、ナノックス#30(10質量部)、ディスパロン#6500(1質量部)を仕込み、系に含まれる水分を除去するために均一となるまで混練しながら、120℃で3時間加熱真空脱水を行った。その後、内容物を室温付近まで冷却し、さらにネオスタンU220H(1質量部)、アイソパーH(7.5質量部)、KBM603(3質量部)を添加後均一になるまで混練し、湿気硬化型接着剤組成物1を得た。得られた湿気硬化型接着剤組成物1は容量120mlのラミネートチューブに小分け充填し、チューブ内に空隙が生じないように端部をヒートシールして封止した。これを以下の試験に必要な本数用意した。
ナノックス#30の配合量を20質量部、ディスパロン#6500の配合量を0.5質量部とした他は実施例1と同様にして、湿気硬化型接着剤組成物2を得、これを充填したチューブを作成した。
ナノックス#30をNS#400に変えた他は実施例2と同様にして、湿気硬化型接着剤組成物3を得、これを充填したチューブを作成した。
ハイジライトH21の配合量を300質量部、ナノックス#30の配合量を30質量部とし、ハイジライトH42を配合しなかった他は実施例2と同様にして、湿気硬化型接着剤組成物4を得、これを充填したチューブを作成した。
硬化性樹脂A1と硬化性樹脂A2を配合せず、代わりに硬化性樹脂A3(50質量部)と硬化性樹脂A4(50質量部)に変えた他は実施例2と同様にして、湿気硬化型接着剤組成物5を得、これを充填したチューブを作成した。
ナノックス#30をビスコエクセル30(配合量15質量部)に変え、ディスパロン#6500を配合しなかった他は実施例1と同様にして、湿気硬化型接着剤組成物6を得、これを充填したチューブを作成した。
硬化性樹脂A1を配合せず、代わりに硬化性樹脂A2(100質量部)とするとともに、ビスコエクセル30を白艶華CCR−B(配合量5質量部)に変えた他は比較例1と同様にして、湿気硬化型接着剤組成物7を得、これを充填したチューブを作成した。
ハイジライトH21の配合量を250質量部としてハイジライトH42を配合せず、ビスコエクセル30を白艶華CCR−B(配合量5質量部)に変え、さらにアエロジルRY200(5質量部)を配合した他は比較例1と同様にして、湿気硬化型接着剤組成物8を得、これを充填したチューブを作成した。
ハイジライトH42の配合量を200質量部とし、ハイジライトH21を配合せず、ビスコエクセル30を白艶華CCR−B(配合量5質量部)に変えた他は比較例1と同様にして、湿気硬化型接着剤組成物9を得、これを充填したチューブを作成した。
白艶華CCR−Bを配合しなかった他は比較例2と同様にして、湿気硬化型接着剤組成物10を得、これを充填したチューブを作成した。
上記で得られた湿気硬化型接着剤組成物又はこれを充填したチューブを用いて以下の各種試験を行った。
B型回転粘度計を用いて各湿気硬化型接着剤組成物の粘度(23℃/10rpm)を測定した。なお、B型回転粘度計には測定可能範囲があるため、低粘度のものについてはBH型(測定可能範囲:測定可能範囲:4〜400Pa・s)を、高粘度のものについてはBS型(測定可能範囲:12〜1,200Pa・s)を用い、使用するローターは適宜最適なものを選択して測定した。
120mlラミネートチューブからの押出性で、各湿気硬化型接着剤組成物の作業性を以下の評価基準で評価した。
○ : 比較的軽い力で押し出せ、押出性は良好である
× : 押し出すためにはかなり力が必要であり、押出性はよくない
湿気硬化型接着剤組成物を充填した120mlラミネートチューブを、チューブの吐出口が上向きになるように23℃又は50℃にて60日間静置して保存した。60日後、チューブから湿気硬化型接着剤組成物を吐出し、各湿気硬化型接着剤組成物における液状成分の分離状態を目視で観察し、貯蔵安定性を以下の評価基準で評価した。
○ : 目視で分離が観察されず、貯蔵安定性は良好である
× : 目視で分離が観察され、貯蔵安定性はよくない
実施例1〜5及び比較例1〜5の各湿気硬化型接着剤組成物の配合及び各種試験結果を表1に示す。なお、実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた湿気硬化型接着剤組成物についてUL94V−0(試料厚さ1.5mm)相当試験を行ったところ、いずれの湿気硬化型接着剤組成物から得られた硬化皮膜もこの試験に合格するものであった。
Claims (5)
- アルコキシシリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体(A)、平均粒子径0.1〜200μmである金属水酸化物粉体(B)、平均粒子径0.1〜10μmである重質炭酸カルシウム(C)、アマイドワックス(D)を必須成分として含有することを特徴とする、難燃性湿気硬化型接着剤組成物。
- さらに、アルコキシシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体(E)を含有することを特徴とする、請求項1に記載の難燃性湿気硬化型接着剤組成物。
- 金属水酸化物粉体(C)が、水酸化アルミニウム粉体及び/又は水酸化マグネシウム粉体であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の難燃性湿気硬化型接着剤組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃性湿気硬化型接着剤組成物を用いて難燃性を要求される製品の部品を接着することを特徴とする接着方法。
- 請求項4に記載の方法により接着されてなる電気・電子材料。
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