以下に添付図面を参照して、本発明に係る印刷装置および印刷装置の制御方法の実施形態を詳細に説明する。
本実施の形態の印刷装置は、印刷結果が保証できない障害が発生した場合は、ミシン目に関係なく即時停止し、印刷結果が保証できる障害が発生した場合は、印刷しかかり中の全ページの印刷が終了するまで用紙搬送を継続する機能を備える。印刷を制御する印刷制御部は、同時に印刷するページのみを印刷指示の対象とする。これにより、印刷制御部からプリンタエンジンに対する印刷キャンセル指示を不要とすることが可能となる。また、用紙搬送制御を印刷制御部で行い、印刷データの管理をプリンタエンジンで行うことで、印刷制御部での用紙へのトナー付着状態の管理を容易化できる。
先ず、理解を容易とするために、各実施形態による印刷システムが適用されるプロダクションプリンティングについて、概略的に説明する。プロダクションプリンティングでは、短時間に大量の印刷を行うことを基本的な考え方としている。そのために、プロダクションプリンティングでは、印刷の高速化を図ると共に、ジョブ管理や印刷データの管理などを効率的に行うために、印刷データの作成から印刷物の分配までの管理を行うワークフローのシステムを構築する。
各実施の形態による印刷システムは、プロダクションプリンティングのワークフローにおける、印刷を実行する部分に関わるもので、RIP(Raster Image Processor)処理と、RIP処理により得られたビットマップデータの印刷とを別の装置で行う。RIP処理は、印刷処理の中でも最も処理時間を要し、RIP処理を行う装置と、印刷処理を行う装置とを分離することで、印刷の高速化が可能となる。
(各実施形態に適用可能な印刷システムの概要)
図1は、本実施の形態に適用可能な印刷システムの一例の構成を示す。この印刷システムは、上位装置10と、画像形成装置としてのプリンタ装置13とが、複数のデータ線11と、制御線12とで接続されて構成される。ホスト装置5は、例えばコンピュータであって、印刷画像データと、印刷設定情報とを含む印刷ジョブデータを生成する。
印刷ジョブデータは、例えばページ記述言語(PDL)によるデータ(以下、PDLデータと呼ぶ)を含む。このPDLデータを解釈することで、印刷を行うビットマップイメージからなる印刷画像データと、印刷の際のページ情報、レイアウト情報、印刷部数を示す情報など、印刷の設定に関わる印刷設定情報とが生成される。
上位装置10は、ホスト装置5から供給される印刷ジョブデータに従ってRIP処理を行い、印刷画像データである各色毎のビットマップデータを作成する。それと共に、上位装置10は、当該印刷ジョブデータやホスト装置5からの情報などに基づき、印刷動作を制御するための制御情報を作成する。
上位装置10で作成された各色毎の印刷画像データは、複数のデータ線11をそれぞれ介してプリンタ装置13の図示されないプリンタエンジン部に供給される。また、上位装置10とプリンタコントローラ14との間で、制御線12を介して、印刷を制御するための制御情報の送受信が行われる。プリンタコントローラ14は、この制御情報の送受信に基づきプリンタエンジン部を制御して印刷媒体に対する画像形成を行い、印刷ジョブに従った印刷を実行する。なお、この制御情報の具体的な例については、図16〜図18を用いて後述する。
印刷方式は特に限定されないが、各実施形態では、印刷媒体として印刷用紙を用い、インクジェット方式により印刷用紙に対して印刷画像を形成する。これに限らず、各実施形態を、トナーを用いて印刷用紙に対して印刷画像を形成する印刷装置にも適用可能である。また、印刷用紙は、切断可能なミシン目が所定間隔で打たれた連続紙である連帳紙(連続帳票)を用いるものとする。プロダクションプリンティングでは、印刷用紙としてこの連帳紙を用いることが多い。勿論、これに限らず、A4サイズ、B4サイズなど、サイズが固定的とされたカット紙を印刷用紙として用いてもよい。なお、連帳紙において、ページは、例えば所定間隔で打たれたミシン目で挟まれる領域をいうものとする。
なお、各実施形態による印刷システムが印刷対象とする印刷媒体は、紙の印刷用紙に限定されない。すなわち、各実施形態に適用される印刷方式により印刷が可能で、且つ、ロールとして提供可能な印刷媒体であれば、他の印刷媒体を用いてもよい。例えば、プラスチックフィルムや布などを印刷媒体として用いてもよい。
(上位装置)
図2は、上位装置10の一例の構成を示す。バス100に対してCPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、ハードディスクドライブ(HDD)104が接続される。バス100に対して、さらに、外部I/F110、制御情報用I/F111および印刷画像データ用I/F112が接続される。バス100に接続されたこれら各部は、バス100を介して互いに通信可能とされている。
ROM102およびHDD104は、CPU101が動作するためのプログラムが予め格納される。RAM103は、CPU101のワークメモリとして用いられる。すなわち、CPU101は、ROM102およびHDD104に格納されるプログラムに従い、RAM103をワークメモリとして用いて、この上位装置10の全体の動作を制御する。
外部I/F110は、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に対応し、ホスト装置5との通信を制御する。制御情報用I/F111は、制御情報の通信を制御する。また、印刷画像データ用I/F112は、印刷画像データの通信を制御するもので、複数のチャネルを有する。例えば、上位装置10において作成された、色Y(Yellow)、C(Cyan)、M(Magenta)およびK(Black)による各色の印刷画像データは、これら複数のチャネルからそれぞれ出力される。印刷画像データ用I/F112は、高速な転送速度が要求されるため、例えばPCI Express(Peripheral Component Interconnect Bus Express)が用いられる。制御情報用I/F111の方式は特に限定されないが、ここでは、印刷画像データ用I/F112と同様に、PCI Expressを用いるものとする。
このような構成において、ホスト装置5から送信された印刷ジョブデータが、上位装置10の外部I/F110に受信され、CPU101を介してHDD104に格納される。CPU101は、HDD104から読み出した印刷ジョブデータに基づきRIP処理を行い、各色のビットマップデータを生成してRAM103にそれぞれ書き出す。例えば、CPU101は、RIP処理によりPDL(Page Description Language)データをレンダリングして各色のビットマップデータを生成してRAM103に書き出す。CPU101は、RAM103に書き出された各色のビットマップデータを圧縮符号化してHDD104に一旦格納する。
CPU101は、例えばプリンタ装置13において印刷動作が開始される際に、HDD104から圧縮符号化された各色のビットマップデータを読み出して圧縮符号を復号し、伸張された各色のビットマップデータをRAM103にそれぞれ書き込む。そして、CPU101は、RAM103からこれら各色のビットマップデータを読み出して、各色の印刷画像データとして印刷画像データ用I/F112の各チャネルからそれぞれ出力させ、プリンタ装置13に対して供給する。また、CPU101は、印刷動作の進行などに応じて、印刷を制御するための制御情報の送受信を、プリンタ装置13との間で制御情報用I/F111を介して行う。
図3は、上位装置10の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。上位装置10は、インターフェイス(I/F)120、123および125、RIP部121、記憶部122、ならびに、制御部124を含む。インターフェイス120、123および125は、それぞれ図2における外部I/F110、印刷画像データ用I/F112および制御情報用I/F111に対応する。RIP部121および制御部124は、図2におけるCPU101上で動作するプログラムにより構成される。また、記憶部122は、図2におけるRAM103またはHDD104のうち少なくとも一方に対応する。
ホスト装置5でPDLデータを含む印刷ジョブデータが作成され、上位装置10に対して送信される。この印刷ジョブデータは、インターフェイス120に受信されてRIP部121に供給される。RIP部121は、供給された印刷ジョブデータに含まれるPDLデータに基づきレンダリングを行い、Y、C、M、K各色のビットマップデータによる印刷画像データを生成する。RIP部121は、生成したY、C、M、K各色の印刷画像データを、記憶部122に順次格納する。
制御部124は、インターフェイス125を介してプリンタ装置13のプリンタコントローラ14と通信を行う。例えば、制御部124は、ホスト装置5からインターフェイス120を介して供給された印刷ジョブデータに基づき、プリンタ装置13における印刷を制御するための制御情報を生成する。この制御情報は、制御部124からインターフェイス125を介してプリンタコントローラ14に送信される。
インターフェイス123は、記憶部122に記憶されるY、C、M、K各色の印刷画像データにそれぞれ独立してアクセスできるようになっている。また、インターフェイス123は、Y、C、M、K各色に対応する複数のデータ線11を介してプリンタ装置13に接続され、この複数のデータ線11を介して、プリンタ装置13との間でY、C、M、K各色の印刷画像データ転送に関する制御情報のやりとりや、Y、C、M、K各色の印刷画像データの転送を行う。
(プリンタ装置)
図4は、プリンタ装置13の一例の構成を示す。プリンタ装置13は、プリンタコントローラ14およびプリンタエンジン15を有する。プリンタコントローラ14は、制御線12が接続され、上位装置10との間で制御線12を介して制御情報の送受信を行って印刷動作の制御を行う。プリンタエンジン15は、複数のデータ線11a、11b、11cおよび11dがそれぞれ接続され、プリンタコントローラ14の制御に従い、これらデータ線11a、11b、11cおよび11dをそれぞれ介して上位装置10から転送された各色の印刷画像データによる印刷処理を行う。
プリンタコントローラ14およびプリンタエンジン15について、より詳細に説明する。プリンタコントローラ14は、制御情報送受信部20、制御信号送受信部21、用紙搬送制御部22および制御部23を有する。
制御情報送受信部20は、上位装置10との間で、印刷を制御するための制御情報の送受信を制御線12を介して行う。制御信号送受信部21は、後述するデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのそれぞれと、エンジンI/F制御線40a、40b、40cおよび40dにより接続される。制御信号送受信部21は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dとの間で、それぞれ個別に制御信号の送受信を行う。用紙搬送制御部22は、後述する搬送制御部51と搬送制御線41により接続され、搬送制御部51との間で用紙搬送を制御するための制御信号の送受信を行う。
制御部23は、例えばCPU、ROMおよびRAMを有し、ROMに予め記憶されるプログラムに従い、RAMをワークメモリとして用いてプリンタコントローラ14の各部の制御を行う。また、制御部23は、上位装置10から送信され制御情報送受信部20により受信された制御情報を解釈して、制御信号送受信部21や用紙搬送制御部22に渡す。
なお、制御情報送受信部20、制御信号送受信部21および用紙搬送制御部22は、制御部23に制御されるハードウェアとして構成してもよいし、制御部23上で動作されるプログラムのモジュールとして構成してもよい。
図5は、プリンタコントローラ14の一例のハードウェア構成を示す。プリンタコントローラ14は、CPU321、インターフェイス(I/F)322、RAM323およびROM324を有し、これらCPU321、インターフェイス322、RAM323およびROM324が互いに通信可能にバス320に接続される。バス320には、図示されない通信I/Fを介して制御線12も接続される。CPU321は、ROM324に格納されるプログラムに従いRAM323をワークメモリとして用いて動作し、プリンタ装置13の全体の動作を制御する。インターフェイス322には、ハードウェア的に構成されたロジック回路が含まれ、プリンタコントローラ14と、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30d、ならびに、搬送制御部51との通信を制御する。
このような構成において、例えば、図4における制御信号送受信部21および用紙搬送制御部22の機能は、I/F322により実現される。制御部23の機能は、CPU321上で動作するプログラムにより実現される。また、制御情報送受信部20の機能は、図示されない通信I/Fおよびバス320により実現される。
図4の説明に戻り、プリンタエンジン15は、同一の構成による複数のデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを有すると共に、印刷画像データに基づく画像を用紙に出力し画像形成を行う画像出力部50と、印刷用紙の搬送を制御する搬送制御部51とを有する。
データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、それぞれデータ線11a、11b、11cおよび11dが接続される。また、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、それぞれメモリ31a、31b、31cおよび31dを含み、上位装置10から、データ線11a、11b、11cおよび11dを介して転送された各色の印刷画像データを、それぞれメモリ31a、31b、31cおよび31dに格納する。
これらメモリ31a、31b、31cおよび31dは、例えば同一のメモリ容量と、アドレス構成とを有する。また、メモリ31a、31b、31cおよび31dのそれぞれは、好ましくは少なくとも3ページ分の印刷画像データを格納可能な容量を有する。3ページ分の印刷画像データは、例えば、上位装置10から転送中のページの印刷画像データと、現在出力中のページの印刷画像データと、次のページの印刷画像データとに対応する。これに限らず、メモリ31a、31b、31cおよび31dのそれぞれは、2ページ分以下の印刷画像データを格納可能であってもよい。
さらに、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、それぞれエンジンI/F制御線40a、40b、40cおよび40dにより制御信号送受信部21と接続される。制御信号送受信部21は、これらエンジンI/F制御線40a、40b、40cおよび40dを介して、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dとの間でそれぞれ個別に制御信号の送受信を行うことができる。
図6は、データ転送制御部30aの一例の構成を概略的に示す。なお、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、共通の構成が適用されるので、図6では、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを代表してデータ転送制御部30aの構成を示す。
データ転送制御部30aは、メモリ31aおよびロジック回路32aを含む。ロジック回路32aに対して、エンジンI/F制御線40aおよびデータ線11aが接続される。ロジック回路32aは、制御信号送受信部21からエンジンI/F制御線40aを介して受け取った制御信号に従い、上位装置10からデータ線11aを介して転送された印刷画像データをメモリ31aに対して格納する。同様に、ロジック回路32aは、制御信号送受信部21からエンジンI/F制御線40aを介して受け取った制御信号に従い、メモリ31aから印刷画像データを読み出して、出力線33aを介して後述する画像出力部50に供給する。
なお、論理回路などの組み合わせによりハードウェア的に構成されたロジック回路32aによる制御は、プログラムに対する割り込みにより処理を分岐させる、CPUを用いた制御に対してより高速な処理が可能であるという利点がある。ロジック回路32aは、例えば、エンジンI/F制御線40aを介して受け取った、ビット列による制御信号に対して論理判定を行い、実行する処理を決定する。これに限らず、ロジック回路32aと同等の機能を、CPUを用いてソフトウェア的に実現してもよい。
データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dからそれぞれ出力された各色の印刷画像データは、画像出力部50に供給される。画像出力部50は、各色の印刷画像データによる印刷を実行する。なお、各実施形態では、印刷画像データによる印刷を、ヘッドに設けられたノズルからインクを射出して印刷を行う、インクジェット方式により行う。勿論、印刷方式はインクジェット方式に限られず、例えばレーザプリンタ方式などを用いてもよい。
図7は、データ転送制御部30aの一例の構成をより詳細に示す。なお、図7において、上述した図6と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。データ転送制御部30aは、メモリ31a、メモリコントローラ132a、データ転送DMA(Direct Memory Access)133aおよび134a、ならびに、データ転送制御部コントローラ135aを有する。これらのうち、メモリコントローラ132a、データ転送DMA(Direct Memory Access)133aおよび134a、ならびに、データ転送制御部コントローラ135aが、図6におけるロジック回路32aに含まれる。
メモリコントローラ132aは、メモリ31aに対するアクセスを制御する。データ転送DMA133aは、上位装置10から印刷画像データを受信し、メモリコントローラ132aを介してメモリ31aに書き込む。データ転送DMA134aは、メモリコントローラ132aを介してメモリ31aからデータを読み出し、出力線33aを介して画像出力部50に転送する。データ転送制御部コントローラ135aは、プリンタコントローラ14内の制御信号送受信部21からエンジンI/F制御線40aを介して送信される制御情報を受信し、受信した制御情報に従いデータ転送DMA133aおよび134aを制御する。
例えば、制御信号送受信部21から送信されたデータ転送の開始要求が、エンジンI/F制御線40aを介してデータ転送制御部コントローラ135aに受信されると、データ転送制御部コントローラ135aは、この要求に従い、データ転送DMA133aに対してデータ転送の開始を指示する。データ転送DMA133aは、この指示に従い、データ転送要求をデータ線11aを介して上位装置10に送信する。この要求に従い上位装置10から送信されたデータは、例えばデータ転送DMA133aに受信され、メモリコントローラ132aを介して、メモリ31aの所定のアドレスに書き込まれる。
また、制御信号送受信部21から送信された印刷指示が、エンジンI/F制御線40aを介してデータ転送制御部コントローラ135aに受信されると、データ転送制御部コントローラ135aは、データ転送DMA134aに対して、メモリ31aからのデータ読み出しを指示する。データ転送DMA134aは、この指示に応じて、メモリコントローラ132aを介してメモリ31aからデータを読み出す。そして、データ転送DMA134aは、読み出したデータを、出力線33aを介して画像出力部50に転送する。
図8は、画像出力部50の一例の構成を示す。画像出力部50は、出力制御部55と、色Y、C、MおよびK各色のヘッド56a、56b、56cおよび56dとを含む。なお、各色とヘッド56a、56b、56cおよび56dとの関係は、この例に限られない。出力制御部55は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dそれぞれの印刷画像データが出力される各出力線33a、33b、33cおよび33dと、ヘッド56a、56b、56cおよび56dとの接続を制御する。すなわち、出力制御部55は、各ヘッド56a、56b、56cおよび56dに対して、それぞれ各出力線33a、33b、33cおよび33dから1を選択して接続するように経路を設定することができる。
例えば、出力制御部55は、各出力線33a、33b、33cおよび33dと、各ヘッド56a、56b、56cおよび56dとを、1対1に接続するように設定できる。また例えば、出力線33aに対して、各ヘッド56a、56b、56cおよび56dを接続する、というように、出力線33a、33b、33cおよび33dと、ヘッド56a、56b、56cおよび56dとを、1対多に接続するように設定できる。
各出力線33a、33b、33cおよび33dと各ヘッド56a、56b、56cおよび56dとを接続する経路は、例えばディップスイッチなどを用いてユーザ操作により設定することができる。これに限らず、当該経路を、制御信号送受信部21からの制御信号により設定してもよい。
上述したように、各実施形態によるプリンタ装置13では、上位装置10からの印刷画像データの転送と、当該印刷画像データによる印刷を制御する制御信号の上位装置10とプリンタ装置13との間の送受信とが、異なる経路を介して行われる。また、上位装置10から、各色の印刷画像データがそれぞれ異なるデータ線11a、11b、11cおよび11dを介して転送されると共に、これらデータ線11a、11b、11cおよび11dを介して転送された各色の印刷画像データが、互いに独立して制御され、共通の構成を持つデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dにそれぞれ供給される。さらに、画像出力部50において、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの出力と各色のヘッド56a、56b、56cおよび56dとの接続経路をユーザ操作などにより設定可能とされている。
したがって、各実施形態によるプリンタ装置13は、印刷画像データの色数(Y、C、MおよびKの4色、または、K色のみ、など)や、画像出力部50において用いるヘッド数に応じて、プリンタエンジン15の構成を容易に変更することが可能である。このとき、プリンタエンジン15に対して、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのうち、要求される構成に応じて必要とされるものだけを設けるようにできる。
例えば、色Y、C、MおよびKの4色でフルカラーの印刷を行いたい場合は、プリンタエンジン15に対してデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを全て設け、出力制御部55において、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの各出力を、それぞれヘッド56a、56b、56cおよび56dに接続すればよい。また例えば、色Kの1色で印刷を行う場合において、装置コスト優先として、それぞれ1のデータ転送制御部30aおよびヘッド56aのみを設け、出力制御部55においてデータ転送制御部30aの出力をヘッド56aに接続することができる。さらに例えば、色Kの1色で印刷を行う場合において、印刷速度優先として、1のデータ転送制御部30aと4のヘッド56a、56b、56cおよび56dとを設け、出力制御部55においてデータ転送制御部30aの出力をヘッド56a、56b、56cおよび56dにそれぞれ接続することができる。この場合、同一色を複数回、重ねて印刷することになるため、例えば、各ヘッド56a、56b、56cおよび56dでのインクの噴出時間を通常の1/4とし、印刷用紙の搬送速度を通常の4倍として高速印刷を行うことが考えられる。
(印刷用紙の搬送系)
図4を参照し、搬送制御部51は、用紙搬送制御部22と搬送制御線41により接続され、画像出力部50により印刷画像データに基づく画像が形成される用紙の搬送を制御する。図9は、各実施形態に適用可能な、用紙の搬送系を含めたプリンタ装置200の一例の構造を概略的に示す。既に述べたように、各実施形態では、プリンタ装置200は、印刷用紙として連帳紙を用いる。
印刷用紙201は、印刷用紙補給部210から電源操作ボックス220を介して第1搬送部230に供給される。印刷用紙201は、第1搬送部230において、搬送制御部51の搬送制御により複数のローラなどを介して搬送されて位置合わせなどがなされ、上述のプリンタエンジン15に対応するプリンタエンジン部240および250に供給される。
プリンタエンジン部240および250は、上述の画像出力部50に対応する印刷部241において、第1搬送部230から供給された印刷用紙201に対して印刷画像データに従った印刷を行う。印刷が終了した印刷用紙201は、搬送制御部51の搬送制御によりプリンタエンジン部250から排出され、第2搬送部260に供給される。印刷後の印刷用紙201は、第2搬送部260の内部で所定に搬送されて排出され、裁断部270に供給される。印刷後の印刷用紙201は、裁断部270によりミシン目に従い裁断され各ページを分離される。
ここで、プリンタ装置200は、ページが連続した連続紙である印刷用紙201に印刷を行うため、プリンタエンジン部240および250における印刷用紙201への印刷後、当該印刷用紙201が第2搬送部260から排出されるまでの経路にも、印刷用紙201が絶えず存在することになる。
なお、第1搬送部230、プリンタエンジン部240および250、ならびに、第2搬送部260からなる構成をもう一組用意して、前側の第2搬送部260から排出された印刷後の印刷用紙201を表裏反転して後側の第1搬送部230に供給することで、印刷用紙201に対する両面印刷が可能となる。
(各実施形態に適用可能な印刷処理の詳細)
次に、各実施形態に適用可能な印刷処理について、より詳細に説明する。図10は、上位装置10とプリンタ装置13のプリンタコントローラ14との間で、制御線12を介して送受信される制御情報の一例を示す。なお、図10において、上位装置10をDFE(Digital Front End Processor)、プリンタコントローラ14をPCTLとして示している。制御情報は、大まかには、(1)ジョブ(JOB)情報と、(2)プリンタ状態および印刷プロセスを示す情報と、(3)印刷条件を示す情報と、(4)接続を示す情報とが含まれる。
(1)のジョブ情報は、ジョブ(JOB)開始とジョブ終了とを通知する。ジョブ開始は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対するジョブ開始の通知と、当該通知に対するプリンタ装置13から上位装置10への応答が含まれる。ジョブ終了は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対する、ジョブ開始により要求した全印刷プロセスの終了の通知と、当該通知に対するプリンタコントローラ14から上位装置10への応答が含まれる。これらジョブ開始およびジョブ終了における応答の際に、ジョブを識別するためのジョブ識別子(JOBID)がプリンタコントローラ14から上位装置10に対して送信される。
(2)のプリンタ状態および印刷プロセスを示す情報には、印刷プロセス受け付け開始と、プリンタ情報の要求および通知と、印刷プロセス開始と、印刷プロセス要求と、データ転送完了と、データ受信完了と、印刷プロセス完了と、プロセス状態報告と、SC(Service Control)通知と、エラー発生および解除とを通知する。
印刷プロセス受け付け開始は、プリンタコントローラ14が印刷プロセスの受け付けが可能となったことをプリンタ装置13から上位装置10に対して通知する。プリンタ情報の要求および通知は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対する必要なプリンタ情報の要求と、当該要求に対するプリンタコントローラ14から上位装置10に対する応答とが含まれる。
印刷プロセス開始は、印刷画像データの準備が完了した旨の上位装置10からプリンタコントローラ14に対する通知と、当該通知に対するプリンタ装置13から上位装置10に対する応答を含む。印刷画像データの準備完了通知は、印刷画像データの出力順およびページ(プロセス)単位に行われる。ページは、一連の印刷動作で印刷が行われる印刷単位であるといえる。
印刷プロセス要求は、プリンタコントローラ14から上位装置10に対する印刷プロセスの通知と、当該通知に対する上位装置10からプリンタコントローラ14に対する応答とが含まれる。プリンタコントローラ14は、この印刷プロセス要求により、印刷を行う色Y、C、MおよびKをそれぞれ示す色情報(Yellow, Cyan, Magenta or Black)、プロセス識別番号processIDおよびプレーン識別番号を上位装置10に対して通知する。なお、プレーンは、1ページに印刷される各色の印刷画像データによる画像それぞれに対応するものとする。プリンタコントローラ14は、プレーン単位およびエンジンすなわちデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの要求順に従い、これらの情報を通知する。すなわち、ビットマップデータからなる印刷画像データは、プリンタエンジン15側から上位装置10に取りに行くことになる。
データ転送完了は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対して要求されたプレーンの印刷画像データの転送完了が通知される。データ受信完了は、プリンタコントローラ14から上位装置10に対して、要求したプレーンの印刷画像データの受信完了が通知される。印刷プロセス完了は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対して、全ページ(プロセス)の印刷要求の完了が通知される。プロセス状態報告は、プリンタコントローラ14から上位装置10に対して、ページ(プロセス)の印刷状態が通知される。このとき、プリンタコントローラ14は、プリンタエンジン15から給紙、排紙および印刷開始に関する情報を取得し、取得したこれらの情報を当該通知に付加して上位装置10に送信する。
SC通知は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対してプリンタ装置13の障害情報の取得が要求されると共に、当該要求に対して取得された障害情報がプリンタコントローラ14から上位装置10に対して通知される。エラー発生および解除は、上位装置10側でのエラー発生および当該エラーの解除が上位装置10からプリンタコントローラ14に対して通知される。
(3)の印刷条件を示す情報は、印刷条件の設定、すなわち、上位装置10からプリンタコントローラ14に対する印刷条件の通知と、当該通知に対するプリンタコントローラ14の応答とを含む。印刷条件の例としては、印刷形態、印刷種別、給排紙情報、印刷面順、印刷用紙サイズ、印刷データサイズ、解像度および階調、ならびに、色情報などを含む。
印刷形態は、例えば印刷用紙201に対して両面印刷および片面印刷のうち何れを行うかを示す。印刷種別は、印刷画像データが存在しておりそれを印刷するのか、印刷画像データが存在しておらず白紙ページとするのかを示す。給排紙情報は、印刷用紙201の給紙元および排紙先のスタッカなどの識別情報を示す。印刷面順は、印刷用紙201に対して表面から裏面へと印刷するのか、裏面から表面へと印刷するのかを示す。印刷用紙サイズは、例えば印刷用紙201として連帳紙を用いる場合、印刷を行うページの印刷用紙201の搬送方向の長さを示す。印刷データサイズは、印刷画像データのデータサイズを示す。すなわち、印刷データサイズは、1ページ分の印刷画像データのサイズを示す。解像度および階調は、印刷画像データを印刷用紙201に印刷する際の解像度および階調を示す。また、色情報は、例えば印刷を色Y、C、MおよびK各色を用いたフルカラーで行うのか、色Kのみを用いた単色で行うかを示す。
(4)の接続を示す情報は、登録および解除を含み、上位装置10およびプリンタコントローラ14のそれぞれで、互いの情報の登録および登録された情報の解除を行う。
(印刷シーケンス)
次に、各実施形態に適用可能な印刷処理について説明する。図11は、各実施形態に適用可能な印刷処理を概念的に示す一例のシーケンス図である。ここでは、色Y、C、MおよびKの各色を用いたフルカラー印刷を行うものとする。プリンタコントローラ14は、上位装置10から制御情報として印刷用紙201に関する情報を受信したら(SEQ100)、受信した情報に基づき搬送制御部51に対して用紙送り長を設定する(SEQ110)。用紙送り長は、例えば搬送方向における1ページのサイズである。
プリンタコントローラ14は、上位装置10から1ページ目(ページ#1)のジョブ開始を示す制御情報を受信したら(SEQ101)、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのそれぞれに対して、色Y、C、MおよびK各色について1ページ目のデータ転送を開始するように要求する(SEQ110a、110b、110cおよび110d)。データ転送制御部30aは、この要求に従い、データ線11aを介して上位装置10に対して色Yの1ページ目の印刷画像データを要求し、この要求に応じて上位装置10から転送された色Yの1ページ目の印刷画像データをメモリ31aに格納する。
各データ転送制御部30b、30cおよび30dについても同様に、SEQ110b、110cおよび110dの要求に従い、データ線11b、11cおよび11dを介して上位装置10に対して各色C、MおよびKの1ページ目の印刷画像データをそれぞれ要求する。各データ転送制御部30b、30cおよび30dは、この要求に応じて上位装置10から転送された各色C、MおよびKの1ページ目の印刷画像データを、それぞれメモリ31b、31cおよび31dに格納する。
一方、この図11の例では、プリンタコントローラ14から各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して1ページ目のデータ転送が要求されている間に、プリンタコントローラ14は、上位装置10から送信された次の2ページ目のジョブ開始を示す制御情報を受信する(SEQ102)。受信された制御情報は、例えばRAM323に保持される。
各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、上位装置10からの各色の1ページ目の印刷画像データの転送が終了したら、それぞれ、その旨をプリンタコントローラ14に通知する(SEQ111a、111b、111cおよび111d)。プリンタコントローラ14は、当該通知にそれぞれ応答して、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対してそれぞれ2ページ目(ページ#2)のデータ転送を開始するように要求する(SEQ112a、112b、112cおよび112d)。
この要求に応じて、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、上位装置10に対して各色の2ページ目の印刷画像データをそれぞれ要求し、この要求に応じて上位装置10から転送された各色の2ページ目の印刷画像データを、それぞれメモリ31a、31b、31cおよび31dに格納する。
なお、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、転送された印刷画像データのデータ量に基づきデータ転送の終了を知ることができる。1ページ分の印刷画像のデータ量を示す情報は、例えば各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対するデータ転送開始時に、上位装置10が印刷画像データの先頭などに付加して送信する。また、印刷画像データを所定単位毎に転送する場合に、上位装置10が、1ページの最後の印刷画像データの転送単位に対して1ページ分の転送終了を示す終了情報を付加するようにしてもよい。さらに、上位装置10が、1ページ分の印刷画像データの転送直後などに、1ページ分の印刷画像データの転送終了を示す情報を印刷画像データとは別途に、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して送信することもできる。
一方、プリンタコントローラ14は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの全てから1ページ目のデータ転送終了の通知を受信したら、搬送制御部51に対して用紙搬送開始を要求する(SEQ113)。搬送制御部51は、この要求に応じて印刷用紙201の所定速度での搬送を開始する。また、プリンタコントローラ14は、搬送制御部51に対して用紙搬送開始の要求を行うと共に、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して、1ページ目の印刷の開始を指示する(SEQ114)。
搬送制御部51は、例えば印刷用紙201が所定位置に到達したら、印刷可能状態である旨をプリンタコントローラ14に対して通知する(SEQ117)。プリンタコントローラ14は、この搬送制御部51からの印刷可能状態報告に応じて、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して印刷の先頭位置を指示する(SEQ118)。
各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、印刷先頭指示に応じて印刷を開始する。この例では、印刷用紙201の搬送方向に沿って各色Y、C、MおよびKのヘッドがヘッド56a、56b、56c、56dの順に並べられているものとする。この場合、印刷用紙201における1ページ目の印刷の先頭位置がヘッド56aによる印刷位置に達したら、先ずデータ転送制御部30aにおいて、メモリ31aからの1ページ目の印刷画像データの読み出しが開始される。メモリ31aから読み出された色Yの印刷画像データは、画像出力部50に転送される。そして、印刷画像データが出力制御部55を介してヘッド56aに供給され、印刷用紙201に対する印刷が行われる(SEQ119a)。色Yの1ページ目の印刷が終了すると、その旨がプリンタコントローラ14に対して通知される(SEQ120a)。
続けて、印刷用紙201における1ページ目の印刷の先頭位置がヘッド56bによる印刷位置に達したら、データ転送制御部30bにおいて、メモリ31bからの1ページ目の印刷画像データの読み出しが開始される。メモリ31bから読み出された色Cの印刷画像データは、画像出力部50に転送される。そして、出力制御部55を介してヘッド56bに供給され、印刷用紙201に対する印刷が開始される(SEQ119b)。色Cの1ページ目の印刷が終了したら、その旨がプリンタコントローラ14に対して通知される(SEQ120b)。
以下同様にして、色MおよびKの印刷が順次開始され(SEQ119c、119d)、印刷が終了したら、その旨がプリンタコントローラ14に対して通知される(SEQ120cおよび120d)。
一方、上述のSEQ112a〜112dで開始された2ページ目の各色の印刷画像データの転送が終了すると、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、その旨をプリンタコントローラ14に対して通知する(SEQ115)。プリンタコントローラ14は、このデータ転送完了の通知に応じて、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して、2ページ目の印刷の開始をそれぞれ指示する(SEQ116)。
各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、1ページ目の印刷の終了後に、それぞれ2ページ目の印刷を開始する。例えば、データ転送制御部30aは、1ページ目の印刷が完了(SEQ120a)した後、印刷用紙201における2ページ目の印刷の先頭位置がヘッド56aによる印刷位置に達したら、メモリ31aから2ページ目の色Yの印刷画像データを読み出して画像出力部50に供給し、印刷用紙201に対する印刷を開始する(SEQ121a)。色Yの印刷が終了したら、その旨がプリンタコントローラ14に対して通知される(SEQ122a)。
各データ転送制御部30b、30cおよび30dにおいても、同様にして、2ページ目の先頭位置がヘッド56b、56cおよび56dによる印刷位置に達したら、メモリ31b、31cおよび31dから各色の印刷画像データを読み出し、印刷用紙201に対する印刷を開始する(SEQ121b〜121d)。各色の印刷が終了したら、その旨がプリンタコントローラ14に対してそれぞれ通知される(SEQ122b〜122d)。
プリンタコントローラ14は、2ページ目の色Kの印刷終了通知をデータ転送制御部30dから受け取ると、印刷ジョブによる最終ページの印刷が終了したとして、搬送制御部51に対して印刷用紙201の搬送の停止を要求する(SEQ123)。搬送制御部51は、この要求に応じて印刷用紙201の搬送を停止させ、その旨をプリンタコントローラ14に対して報告する(SEQ124)。これにより、一連の印刷処理が終了する。
(印刷処理の詳細)
次に、各実施形態に適用可能な印刷処理について、より具体的に説明する。各実施形態では、各データ転送制御部30a〜30dは、プリンタコントローラ14の制御に従い、印刷を制御するための制御情報を上位装置10から取得する。また、各データ転送制御部30a〜30dは、プリンタコントローラ14の制御に従い、上位装置10から転送された各色の印刷画像データを、それぞれメモリ31a〜31dに格納する。
各実施形態に適用可能な印刷画像データのデータ転送処理について、図12〜図15のフローチャートを用いて説明する。なお、以下において、データ線11a、11b、11cおよび11dは、それぞれ色Y、色C、色Mおよび色Kの印刷画像データが転送され、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、それぞれ色Y、色C、色Mおよび色Kの印刷画像データの転送を制御するものとする。
図12は、データ転送に係る上位装置10における処理の例を示すフローチャートである。上位装置10は、ホスト装置5からのジョブデータを受信すると、ステップS100で、ジョブ開始を示す制御情報をプリンタコントローラ14に対して制御線12を介して送信する。そして、当該制御信号に応答してプリンタコントローラ14から送信される、印刷プロセス受け付けを示す制御信号を待機する(ステップS101)。
上位装置10は、プリンタコントローラ14からの印刷プロセス受け付けを示す制御信号を受信すると、ステップS102で、ジョブデータに示される印刷条件を示す制御情報を、プリンタコントローラ14に対して制御線12を介して送信し、次のステップS103で、ページ番号をnとして、nページ目の印刷プロセス開始の制御信号をプリンタコントローラ14に対して制御線12を介して送信する。このステップS103からステップS112までの処理は、ページ単位の処理となる。
ステップS104〜ステップS110の処理は、Y、C、M、K各色について実行される処理となる。以下、色Yに関する処理を中心に説明する。上位装置10は、ステップS104で、プリンタコントローラ14からの、例えば色Yの印刷画像データの要求を待機する。上位装置10は、プリンタコントローラ14から制御線12を介して送信されたデータ要求を受信すると、ステップS105で、受け取ったデータ要求に対する応答をプリンタコントローラ14に返す。そして、次のステップS106で、データ転送制御部30aからデータ線11aを介して送信されるデータ転送要求を待機する。
上位装置10は、データ転送制御部30aからのデータ転送要求をデータ線11aを介して受信すると、ステップS107で、データ転送制御部30aに対する色Yの印刷画像データの転送を開始する。色Yの印刷画像データは、データ線11aを介してデータ転送制御部30aに転送される。このとき、上位装置10は、転送する色Yの印刷画像データに対して、当該印刷画像データのサイズを示す情報を付加する。
上位装置10は、ステップS108で、色Yの1ページ分のデータ転送が終了するのを待機する。図3を参照し、上位装置10は、例えば、制御部124が記憶部122およびインターフェイス123を監視し、Y、C、M、K各色について、1ページ分のデータ量の転送が行われたか否かをそれぞれ判定する。色Yの1ページ分のデータ転送が終了したと判定された場合、処理はステップS109に移行され、1ページ分のデータ転送が終了したことを示すデータ転送終了通知が制御線12を介してプリンタコントローラ14に対して送信される。そして、上位装置10は、次のステップS110で、プリンタコントローラ14からの色Yについてのデータ受信完了通知を待機する。
上位装置10は、ステップS111で、Y、C、M、Kの全色について、データ受信完了通知を受信したか否かを判定する。若し、受信していないと判定した場合、処理をステップS104に戻し、次の色について処理を実行する。
なお、図12では、ステップS104〜ステップS110の処理がY、C、M、K各色について順次実行されるように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、ステップS104〜ステップS110の処理を、Y、C、M、K各色について並列的に実行することも可能である。この場合、ステップS111は、Y、C、M、K各色の処理におけるステップS110でのデータ受信完了通知を待機することになる。
上位装置10は、ステップS111で、Y、C、M、Kの全色についてデータ受信完了通知を受信したと判定したら、処理をステップS112に移行させ、次のページの印刷処理を行うか否かを判定する。印刷を行うページ数は、ホスト装置5から受信した印刷ジョブデータから取得することができる。若し、次ページの印刷処理があると判定された場合、ページ番号n=n+1とされて処理がステップS103に戻される。
一方、印刷ジョブデータに示される全ページ分のデータ転送が終了したと判定された場合、処理がステップS113に移行され、上位装置10は、プリンタコントローラ14からの全ページの排紙報告が待機される。上位装置10は、プリンタコントローラ14からの全ページの排紙報告を受信した場合、処理をステップS114に移行させ、プリンタコントローラ14に対して、制御線12を介して全ての印刷ジョブが終了した旨を示すジョブ終了通知を送信する。
図13は、データ転送に係るプリンタコントローラ14における処理の例を示すフローチャートである。プリンタコントローラ14は、ステップS120で、制御線12を介して上位装置10から送信されるジョブ開始を示す制御情報を待機する。プリンタコントローラ14は、この制御情報を受信したら、次のステップS121で、上位装置10に対して、制御線12を介して応答を返す。さらに、プリンタコントローラ14は、このステップS121で、上位装置10に対して、制御線12を介して印刷プロセス受け付け開始を示す制御情報を送信する。そして、次のステップS122で、上位装置10から制御線12を介して送信された印刷条件を示す制御情報を受信する。
次のステップS123で、プリンタコントローラ14は、上位装置10から制御線12を介して送信される、nページ目の印刷プロセス開始を示す制御信号を受信したか否かを判定する。若し、受信していないと判定されたら、処理をステップS130に移行させ、上位装置10から制御線12を介してジョブ終了通知を受信したか否かを判定する。若し、ジョブ終了通知を受信していないと判定したら、処理をステップS123に戻す。一方、ステップS130でジョブ終了通知を受信したと判定したら、一連の印刷処理が終了される。
プリンタコントローラ14は、ステップS123で、上位装置10から制御線12を介して送信された印刷プロセス開始を示す制御信号を受信したと判定したら、処理をステップS124に移行させる。以下のステップS124〜ステップS128の処理は、Y、C、M、K各色の処理となる。ここでは、色Yの印刷画像データの転送処理について説明する。
ステップS124で、プリンタコントローラ14は、上位装置10に対して、制御線12を介して印刷画像データを要求し、次のステップS125で、この要求に対する上位装置10からの応答を待機する。プリンタコントローラ14は、上位装置10からの応答を受信したら、次のステップS126で、データ転送制御部30aに対して、エンジンI/F制御線40aを介してデータ転送の開始を要求する。
このとき、プリンタコントローラ14は、転送管理テーブルから、少なくとも、印刷を行うページ(nページ目)を示すページ識別子PBIDと、印刷画像データの転送元のアドレスを示す転送元アドレスとを抽出する。そして、プリンタコントローラ14は、抽出されたこれらページ識別子PBIDと転送元アドレスとを、データ転送の開始を要求するデータ転送開始要求に付加して、例えばデータ転送制御部30aに送信する。
次のステップS127で、プリンタコントローラ14は、上位装置10からのデータ転送終了通知と、データ転送制御部30aからのデータ転送終了通知とを待機する。プリンタコントローラ14は、これら上位装置10およびデータ転送制御部30aからそれぞれ制御線12およびエンジンI/F制御線40aを介してデータ転送終了通知を受信したら、処理をステップS128に移行させ、色Yについてのデータ受信完了通知を、上位装置10に対して制御線12を介して送信する。
プリンタコントローラ14は、ステップS129で、Y、C、M、Kの全色のデータ転送が終了したか否かを判定する。若し、終了していないと判定した場合、処理をステップS124に戻し、次の色について処理を実行する。一方、プリンタコントローラ14は、ステップS129でY、C、M、Kの全色のデータ転送が終了したと判定した場合、ページ番号n=n+1として処理をステップS123に戻す。
なお、図13は、ステップS124〜ステップS128の処理がY、C、M、K各色について順次実行されるように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、ステップS124〜ステップS128の処理を、Y、C、M、K各色について並列的に実行することも可能である。この場合、ステップS129は、Y、C、M、K各色の処理におけるステップS128でのデータ受信完了通知を待機することになる。
なお、プリンタコントローラ14は、データ転送制御部30a〜30dに対して、各エンジンI/F制御線40a〜40dを介して印刷指示を送信する。この印刷指示により、各データ転送制御部30a〜30dにおいてメモリ31a〜31dから印刷画像データが読み出され、印刷用紙に対する印刷画像データの印刷が実行される。
なお、プリンタコントローラ14から各データ転送制御部30a〜30dに対して送信される印刷指示は、例えば図10を用いて説明した制御情報のうち、印刷条件の設定の情報といった、印刷を行うために必要な情報によるテーブルとして作成することができる。プリンタコントローラ14は、こうして作成したテーブルを、各データ転送制御部30a〜30dに対して送信する。
図14は、このプリンタコントローラ14が印刷指示を行う際の一例の処理を示すフローチャートである。なお、このフローチャートの実行に先立って、プリンタコントローラ14が搬送制御部51に対して、既に印刷準備指示を送信しているものとする。
プリンタコントローラ14は、ステップS140で、上位装置10からジョブ終了通知が送信されたか否かを判定する。若し、送信されたと判定したら、一連の処理を終了する。上位装置10からジョブ終了通知が送信されていないと判定した場合、処理をステップS141に移行させる。
ステップS141では、プリンタコントローラ14は、Y、C、M、K各色について少なくとも1ページ分の印刷画像データの転送終了を待機する。プリンタコントローラ14は、1ページ分の印刷画像データの転送が終了したと判定したら、処理をステップS142に移行させ、搬送制御部51からの印刷準備完了を示す応答の受信が待機される。プリンタコントローラ14は、搬送制御部51から送信された印刷準備完了を示す応答を、搬送制御線41を介して受信すると、次にステップS143において、各データ転送制御部30a〜30dに対して、nページ目の印刷を指示する印刷指示を、エンジンI/F制御線40a〜40dを介して送信する。
図15は、データ転送に係る各データ転送制御部30a〜30dにおける処理の例を示すフローチャートである。ここでは、説明のため、色Y、データ転送制御部30aでの処理について説明する。データ転送制御部30aは、ステップS150で、プリンタコントローラ14からエンジンI/F制御線40aを介して送信されるデータ転送開始要求を待機する。
データ転送制御部30aは、データ転送開始要求を受信すると、次のステップS151で、上位装置10に対して、色Yの印刷画像データの転送を要求するデータ転送要求を、データ線11aを介して送信する。このデータ転送要求に応じて上位装置10からデータ線11aを介して転送される、色Yの印刷画像データを、データ転送制御部30aが受信する(ステップS152)。データ転送制御部30aは、データ転送DMA133aを制御して、受信した色Yの印刷画像データをメモリ31aの所定の領域に格納する(ステップS153)。
データ転送制御部30aは、ステップS154で、上位装置10からの色Yの印刷画像データの転送が終了したか否かを判定する。データ転送制御部30aは、例えば、転送される印刷画像データに付加されるサイズ情報に基づき、印刷画像データの転送が終了したか否かを判定することができる。若し、印刷画像データの転送が終了していないと判定した場合は、処理をステップS152に戻し、データの受信およびメモリ31aへの格納を継続する。一方、印刷画像データの転送が終了したと判定したら、処理をステップS155に移行させ、プリンタコントローラ14に対して、エンジンI/F制御線40aを介してデータ転送終了通知を送信する。そして、処理がステップS150に戻される。
図16〜図18は、上述した図12〜図15に示した各フローチャートに従って実行される、各実施形態に適用可能な印刷処理をより具体的に示す一例のシーケンス図である。なお、図16〜図18において、符号A〜Fは、異なる図面間で対応する符号に処理が移行することを示す。また、以下では、印刷ジョブは、全2ページの印刷を行うものであるとする。
図16を参照し、先ず、上位装置10からプリンタコントローラ14に対して制御線12を介してジョブ開始の制御情報が送信される(SEQ200)。プリンタコントローラ14は、この制御情報に対して、ジョブ識別子jobID=1を応答する制御情報を、制御線12を介して上位装置10に送信する(SEQ201)。それと共に、プリンタコントローラ14は、ジョブの開始に伴いジョブを実行するためのリソースを獲得する。そして、プリンタコントローラ14は、上位装置10に対して、印刷プロセス受け付け開始を示す制御情報を制御線12を介して送信する(SEQ202)。
次に、上位装置10は、プリンタコントローラ14に対して、印刷条件を設定する制御情報を制御線12を介して送信する(SEQ203)。プリンタコントローラ14に対して設定される印刷条件は、図10を用いて説明したように、印刷形態、印刷種別、給排紙情報、印刷面順、印刷用紙サイズ、印刷画像データのデータサイズ、解像度および階調、ならびに、色情報が含まれる。また、印刷を行うページ数の情報も、印刷条件に含ませることができる。この制御情報がプリンタコントローラ14に受信されると、受信した制御情報に含まれる各種の印刷条件が、例えばプリンタコントローラ14のレジスタなどに書き込まれ、印刷条件が設定される。
次に、上位装置10は、1ページ目の印刷プロセス開始の制御情報を、制御線12を介してプリンタコントローラ14に送信する(SEQ204)。この制御情報は、当該プロセスを識別するためのプロセス識別番号processID=1と、1ページ目を構成する画像を示す画像識別番号imageID=1とを含む。プリンタコントローラ14は、この印刷プロセス開始に対する応答である印刷プロセス開始の制御情報を上位装置10に返す(SEQ205)。
次に、プリンタコントローラ14は、上位装置10に対して、印刷プロセス要求の制御情報を送信し、印刷画像データを要求する。この印刷プロセス要求は、色Y、C、MおよびKの各色について、プリンタエンジン15における色の並び順に従って、順次行われる。この例では、印刷用紙201の搬送方向に沿って各色Y、C、MおよびKのヘッドがヘッド56a、56b、56c、56dの順に並べられているものとする。
先ず、プリンタコントローラ14は、色Yの印刷画像データを要求する印刷プロセス要求の制御情報を、上位装置10に対して制御線12を介して送信する(SEQ206)。この制御情報は、プロセスを指定するプロセス識別番号processID=1と、色Yを指定する色情報Yellowとが含まれる。上位装置10は、この制御情報に対する応答として、画像識別番号imageID=1を含む制御情報をプリンタコントローラ14に返す(SEQ207)。プリンタコントローラ14は、この制御情報を受信すると、色Yに対応するデータ転送制御部30aに対して印刷画像データの転送を開始するよう要求する(SEQ208)。このとき、プリンタコントローラ14は、例えば、転送の開始を要求する印刷画像データのデータサイズを、この要求と共にデータ転送制御部30aに送信する。
データ転送制御部30aは、この要求を受けて、データ線11aを介して上位装置10に対して色Yのプレーンの印刷画像データを要求し(SEQ209A)、この要求に応じて、上位装置10からデータ転送制御部30aに対して、色Yの印刷画像データが転送される(SEQ209)。転送された印刷画像データは、データ転送制御部30aのメモリ31aにおける、1ページ目の印刷画像データのために割り当てられた領域に格納される。
以下、他の各色C、MおよびKについても、上述のSEQ206、SEQ207、SEQ208、SEQ209AおよびSEQ209と同様の処理が繰り返され、各色の印刷画像データが上位装置10から各データ線11b、11cおよび11dを介してデータ転送制御部30b、30cおよび30dにそれぞれ転送され、メモリ31b、31cおよび31dそれぞれの、1ページ目の印刷画像データのために割り当てられた領域に格納される(SEQ210〜SEQ221)。
また、上位装置10は、1のプレーンの印刷画像データの転送が終了すると、データ転送完了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する。プリンタコントローラ14は、この制御情報に応じて、印刷画像データの受信完了の制御情報を上位装置10に送信する。
例えば、上位装置10は、色Yのプレーンの印刷画像データの転送が終了すると、画像識別番号imageID=1と色情報Yellowとを含むデータ転送完了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ222)。一方、データ転送制御部30aは、上位装置10からデータ線11aを介しての印刷画像データの転送が終了すると、その旨示す通知をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ223)。プリンタコントローラ14は、この通知に応じて、画像識別番号imageID=1と、色情報Yellowとを含むデータ受信完了の制御情報を上位装置10に対して送信する(SEQ224)。
以下、他の各色C、MおよびKについても、各印刷画像データの転送終了に伴い上述のSEQ222〜SEQ224と同様の処理が繰り返され、上位装置10に対してデータ受信完了の制御情報が送信される(SEQ225〜SEQ233)。
プリンタコントローラ14は、SEQ233で、1ページ目の最後の印刷画像データ(すなわち色Kの印刷画像データ)についてのデータ受信完了の制御情報を上位装置10に送信した後に、搬送制御部51に対して印刷の準備を指示する。搬送制御部51は、この指示に従い印刷用紙201の印刷位置への搬送を開始する。
説明は図17に移り、1ページ目の各色の印刷画像データの転送が完了すると、上位装置10は、2ページ目の印刷プロセス開始の制御情報を、制御線12を介してプリンタコントローラ14に送信する(SEQ234)。この制御情報は、当該2ページ目のプロセスを識別するプロセス識別番号processID=2と、2ページ目を構成する画像を示す画像識別番号imageID=2とを含む。プリンタコントローラ14は、この印刷プロセス開始に対する応答である印刷プロセス開始の制御情報を上位装置10に返す(SEQ235)。
例えば全2ページの印刷を行う場合には、このSEQ234およびSEQ235の処理で印刷プロセス開始要求が完了することになる。そのため、上位装置10は、SEQ235で2ページ目の印刷プロセス開始要求に対する応答を受け取ると、SEQ236で、ジョブ識別子jobID=1が指定されたプロセス開始要求完了の制御情報を、プリンタコントローラ14に対して送信する。
次に、上述したSEQ206〜SEQ221と同様にして、プリンタコントローラ14は、上位装置10に対して印刷プロセス要求の制御情報を送信し、印刷画像データを要求する。この印刷プロセス要求は、色Y、C、MおよびKの各色について、プリンタエンジン15における色の並び順に従って、順次行われる。
先ず、プリンタコントローラ14は、色Yの印刷画像データを要求する印刷プロセス要求の制御情報を、上位装置10に対して制御線12を介して送信する(SEQ237)。この制御情報は、プロセスを指定するプロセス識別番号processID=2と、色Yを指定する色情報Yellowとが含まれる。上位装置10は、この制御情報に対する応答として、画像識別番号imageID=2を含む制御情報をプリンタコントローラ14に返す(SEQ238)。プリンタコントローラ14は、この制御情報を受信すると、色Yに対応するデータ転送制御部30aに対して印刷画像データの転送を開始するよう要求する(SEQ239)。
データ転送制御部30aは、この要求を受けて、データ線11aを介して上位装置10に対して色Yのプレーンの印刷画像データを要求し(SEQ240A)、この要求に応じて、上位装置10からデータ転送制御部30aに対して、色Yの印刷画像データが転送される(SEQ240)。転送された印刷画像データは、データ転送制御部30aのメモリ31aにおける2ページ目の印刷画像データのために割り当てられた領域に格納される。
以下、他の各色C、MおよびKについても、上述のSEQ237、SEQ238、SEQ239、SEQ240AおよびSEQ240と同様の処理が繰り返され、各色の印刷画像データが上位装置10から各データ線11b、11cおよび11dを介してデータ転送制御部30b、30cおよび30dにそれぞれ転送され、メモリ31b、31cおよび31dそれぞれの2ページ目の印刷画像データのために割り当てられた領域に格納される(SEQ244〜SEQ251、SEQ255〜SEQ258)。
また、上述と同様に、上位装置10は、1のプレーンの印刷画像データの転送終了毎に、データ転送完了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する。プリンタコントローラ14は、この制御情報に応答して、印刷画像データの受信完了の制御情報を上位装置10に送信する。
図17の例では、上位装置10は、SEQ240で転送された色Yの印刷画像データの転送が終了されると、データ転送完了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ252)。データ転送制御部30aは、上位装置10からデータ線11aを介しての印刷画像データの転送が終了すると、その旨示す通知をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ253)。プリンタコントローラ14は、この通知に応答して、画像識別番号imageID=2と、色情報Yellowとを含むデータ受信完了の制御情報を上位装置10に対して送信する(SEQ254)。
以下、他の各色C、MおよびKについても、各印刷画像データの転送終了に伴い上述のSEQ252〜SEQ254と同様の処理が行われ、上位装置10に対してデータ受信完了の制御情報が送信される(SEQ259〜SEQ267)。
なお、図17の例では、上述したSEQ234の直前における搬送制御部51に対する印刷準備の指示に対する、搬送制御部51からの印刷準備が完了した旨の応答が、SEQ240の直後に、搬送制御部51からプリンタコントローラ14に対して通知されている。プリンタコントローラ14は、この通知を受信すると、それぞれプロセス識別番号processID=1およびプロセス識別番号processID=2とした、印刷プロセス開始の2の制御情報を、上位装置10に対して送信する(SEQ241、SEQ243)。これにより、上位装置10に対して、1ページ目および2ページ目の印刷が可能となった旨が通知される。
また、SEQ241の時点で、1ページ目の各色の印刷画像データのデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dへの転送が完了している。そのため、プリンタコントローラ14は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して、1ページ目の印刷を行う印刷指示をそれぞれ通知する(SEQ242)。この印刷指示は、例えば各データ転送制御部30a、30b,30cおよび30dにおいて、メモリ31a,31b,31cおよび31dにそれぞれ格納されるなどにより保持される。この印刷指示に従った実際の印刷動作は、後続するページの印刷動作などとタイミングを合わせて実行される。
さらに、図17の例では、プリンタコントローラ14において、SEQ241およびSEQ243の印刷プロセス開始の制御情報の送信により、2番目に転送が開始される色Cのプレーンの印刷画像データの上位装置10に対する要求が遅延している(SEQ244参照)。そして、この遅延に伴い、最初に転送が開始された色Yのプレーンの印刷画像データの転送が、色Kのプレーンの印刷画像データの転送が開始される前に完了してしまっている(SEQ253参照)。さらにまた、色Yのプレーンの印刷画像データの転送完了の通知処理(SEQ253)の後に、色Kのプレーンの印刷画像データの転送が開始されている(SEQ257、SEQ258)。
図16に示す1ページ目のデータ転送処理では、各色の印刷画像データの転送が各色の順序で行われ、印刷画像データの転送が終了した後に、データ転送の終了処理が各色の順序で行われている。これに対して、図17に示す2ページ目のデータ転送処理では、各色の印刷画像データの転送が終了しないうちに、データ転送の終了処理が開始してしまっている。
上述のように、各色Y、C、MおよびKのデータ転送を制御するデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dがそれぞれ独立した構成とされ、プリンタコントローラ14は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dとそれぞれ独立して通信を行うことができ、また、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、それぞれ独立して処理を実行する。そのため、このように、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dによる一連の処理の途中に他の処理が割り込んできても、それぞれの処理を変更する必要が無い。
SEQ267で、プリンタコントローラ14が上位装置10に対して色Kのプレーンの印刷画像データの転送が完了したことを通知すると、プリンタコントローラ14は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して2ページ目の印刷を行う印刷指示をそれぞれ通知する(SEQ268)。
説明は図18に移り、プリンタエンジン15においてSEQ242の印刷指示に従い1ページ目の印刷が実行され、印刷用紙201の給紙が開始される。プリンタエンジン15は、この1ページ目の給紙開始をプリンタコントローラ14に対して通知する(SEQ269)。プリンタコントローラ14は、この通知を受信すると、上位装置10に対して、プロセス識別番号processID=1として、1ページ目の給紙が開始されたことを示す制御情報を送信する(SEQ270)。それと共に、プリンタコントローラ14は、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して、互いに同期して印刷を実行するよう、印刷指示を送信する。この印刷指示に従い、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、各メモリ31a、31b、31cおよび31dから各色Y、C、MおよびKの印刷画像データをそれぞれ読み出し、印刷用紙201に対する1ページ目の各プレーンの印刷を順次行う。
同様に、プリンタエンジン15は、1ページ目の印刷が完了し、2ページ目の印刷に移行すると、2ページ目の給紙開始をプリンタコントローラ14に通知する(SEQ271)。プリンタコントローラ14は、この通知を受信すると、上位装置10に対して、プロセス識別番号processID=2として、2ページ目の給紙が開始されたことを示す制御情報を送信する(SEQ272)と共に、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対して、互いに同期して印刷を実行するよう、印刷指示を送信する。この印刷指示に従い、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、各メモリ31a、31b、31cおよび31dから各色Y、C、MおよびKの印刷画像データをそれぞれ読み出し、印刷用紙201に対する2ページ目の各プレーンの印刷を順次行う。
また、プリンタエンジン15は、1ページ目の各色の印刷が終了し印刷用紙201の1ページ目が排紙されると、その旨をプリンタコントローラ14に通知する(SEQ273)。プリンタコントローラ14は、この通知を受信すると、上位装置10に対して、プロセス識別番号processID=1として、1ページ目の印刷用紙201が排紙されたことを示す制御情報を送信する(SEQ274)。同様に、プリンタエンジン15は、2ページ目の各色の印刷が終了し、印刷用紙201の2ページ目が排紙されると、その旨をプリンタコントローラ14に通知し(SEQ275)、プリンタコントローラ14は、この通知に応じてプロセス識別番号processID=2として2ページ目の印刷用紙201が排紙されたことを示す制御情報を上位装置10に対して送信する(SEQ276)。
上位装置10は、プリンタコントローラ14から、例えばSEQ203で印刷条件の設定の制御情報に含まれる、印刷ページ数を示す情報に対応する排紙報告を受信したら、SEQ200で開始を通知したジョブによる印刷が終了したとして、ジョブ識別番号jobID=1としたジョブ終了の制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する(SEQ277)。プリンタコントローラ14は、この制御情報を受信すると、ジョブ識別番号jobID=1として、応答の制御情報を上位装置10に送信する(SEQ278)。これにより、一連の印刷処理が終了する。
上述したように、印刷画像データの上位装置10からの転送タイミングの制御や、上位装置10との間の制御情報のやりとりなど、従来、各色のデータ転送制御部がそれぞれ行っていた機能を、プリンタコントローラ14が一括して行うようにしている。また、各色に対応するデータ転送制御部(データ転送制御部30a〜30d)は、印刷画像データの受信および読み出しのみを行うようにしている。そのため、印刷画像データの転送処理を高速化することができる。
また、各色Y、C、MおよびKのデータ転送を制御するデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dがそれぞれ独立した構成とされている。それと共に、プリンタコントローラ14と各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dとがエンジンI/F制御線40a、40b、40cおよび40dでそれぞれ接続され、プリンタコントローラ14と各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dとの間の通信は、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dそれぞれで独立して行われる。また、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、それぞれ独立して処理を実行する。
そのため、上述の例えばSEQ237〜SEQ266のように、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dによる一連の処理の途中に他の処理が割り込んできても、それぞれの処理を変更する必要が無い。また、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの処理が独立しているため、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの追加や削除を容易に行うことができ、システム構成の様々なバリエーションを共通の構成で提供することができる。
(データ転送処理の別の例)
次に、上述したデータ転送処理の別の例について説明する。上述では、各色の印刷画像データの転送処理に際して、上位装置10は、各色のデータ転送制御部30a〜30dから各データ線11a〜11dを介して送信されたデータ転送要求に応じて、各色の印刷画像データを転送していた。これに対して、本例では、データ転送制御部30a〜30dから上位装置10に対してデータ転送要求を送信しない。上位装置10は、プリンタコントローラ14からのデータ要求に応答した後、直接的に、データ転送制御部30a〜30dに対してデータ線11a〜11dを介して各色の印刷画像データを転送する。
データ転送処理の別の例による印刷画像データのデータ転送処理について、図19および図20のフローチャートを用いて説明する。図19は、本例による、データ転送に係る上位装置10における処理の例を示すフローチャートである。なお、図19において、上述した図12と共通する処理には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図19のフローチャートに示されるように、上位装置10の処理は、ステップS100のジョブ開始を示す制御情報の送信から、ステップS105の、プリンタコントローラ14からのデータ要求に対する応答をプリンタコントローラ14に返すまでの処理は、図12で説明した処理と同一であるので、ここでの説明を省略する。
本例では、上位装置10は、ステップS105でプリンタコントローラ14からのデータ要求に対する応答をプリンタコントローラ14に制御線12を介して送信した後、処理をステップS160に移行させる。ステップS160で、上位装置10は、例えば色Yの印刷画像データを、データ線11aを介してデータ転送制御部30aに送信し、データ転送制御部30a内のメモリ31aに格納する。このとき、上位装置10は、例えば、送信する印刷画像データに対してメモリ31aのアドレス情報を付加してデータ転送制御部30aに送信する。データ転送制御部30aは、印刷画像データに付加されたアドレス情報に従い、当該印刷画像データをメモリ31aに格納する。
上位装置10は、ステップS160による印刷画像データの転送処理を、所定量、例えば1ページ分の印刷画像データの転送が終了するまで行う。上位装置10は、ステップS108で、印刷画像データの転送が終了したと判定したら、ステップS109でデータ転送終了通知をプリンタコントローラ14に対して制御線12を介して送信し、ステップS110で、この通知に対するプリンタコントローラ14からの応答を待機する。以降は、上述した図12で説明した処理と同一であるので、ここでの説明を省略する。
本例において、プリンタコントローラ14におけるデータ転送処理および印刷指示処理は、図13および図14を用いて説明した処理と何ら変わるところが無いので、ここでの説明は省略する。
図20は、本例による、データ転送に係るデータ転送制御部30aにおける処理の別の例を示すフローチャートである。なお、図20において、上述した図15と共通する処理には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
ステップS150で、データ転送制御部30aは、プリンタコントローラ14からエンジンI/F制御線40aを介して送信されるデータ転送開始要求を待機する。データ転送制御部30aは、プリンタコントローラ14からのデータ転送開始要求を受信すると、処理をステップS161に移行させ、上位装置10からデータ線11aを介して転送される色Yの印刷画像データを受信する。そして、データ転送制御部30aは、当該印刷画像データに付加されるアドレス情報に従い、当該印刷画像データをメモリ31aに格納する。
データ転送制御部30aは、ステップS154で、上位装置10からの色Yの印刷画像データの転送が終了したか否かを判定する。データ転送制御部30aは、例えば、上位装置10が転送する印刷画像データに付加したサイズ情報に基づき、印刷画像データの転送が終了したか否かを判定する。上位装置10が印刷画像データ転送の終了時に、その旨示す情報をデータ転送制御部30aに送信してもよい。若し、印刷画像データの転送が終了していないと判定した場合は、処理をステップS161に戻し、データの受信およびメモリ31aへの格納を継続する。
一方、印刷画像データの転送が終了したと判定したら、処理をステップS155に移行させ、プリンタコントローラ14に対して、エンジンI/F制御線40aを介してデータ転送終了通知を送信する。そして、処理がステップS150に戻される。
このように、データ転送制御部30a〜30dから上位装置10に対してデータ転送要求を送信せずに、上位装置10がプリンタコントローラ14からのデータ要求に応答した後、直接的に、データ転送制御部30a〜30dに対してデータ線11a〜11dを介して各色の印刷画像データを転送する方式を用いることも可能である。
次に、本実施の形態の特徴的な構成について説明する。本実施形態では、障害が発生したときに、障害の種類を判定し、印刷結果が保証できない障害が発生した場合は、ミシン目に関係なく即時停止し、印刷結果が保証できる障害が発生した場合は、印刷しかかり中の全ページの印刷が終了するまで用紙搬送を継続する。
例えば、プリンタコントローラ14の制御信号送受信部21が、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dから障害情報を受信した場合に、プリンタコントローラ14の制御部23は、発生した障害が、障害発生後に印刷を継続しても印刷結果が保証できる障害として予め定められた特定障害であるか否かを、障害テーブルを参照して判定する。
障害テーブルは、プリンタコントローラ14のROM324またはRAM323等の記憶部に保存されており、障害に関する情報を登録したテーブルである。障害テーブルは、例えば、発生した障害を識別するための障害識別情報と、障害の内容と、障害が上記特定障害であるか、特定障害以外の通常障害であるかを示す種類と、を対応付けている。
ここで、特定障害には、例えば、印刷画像データの用紙サイズが印刷用紙と一致しない用紙サイズエラー、および、排紙部分でのジャムなどが含まれる。これらのエラーは、少なくともミシン目まで印刷する印刷結果の内容は正常であることを保証できるためである。また、特定障害以外の通常障害としては、例えば、給紙部分でのジャムなどがある。
図21は、障害テーブルの一例を示す説明図である。図21に示すように、障害テーブルには、障害識別情報と、障害の内容と、種類が対応付けられて登録されている。また、用紙サイズエラー、排紙部分でのジャムを特定障害とし、給紙部分でのジャムを通常障害として登録した例を示している。
なお、障害テーブルは、特定障害か否かを判断可能なものであればよく、図21の例に限定されるものではない。例えば、障害テーブルに、特定障害のみの障害を登録するように構成してもよい。この場合には、障害テーブルに登録されている障害が特定障害であるため、種類の項目の登録が不要となる。
また、特定障害、通常障害としては、図21に示した障害は一例であり、これらに限定されるものではない。
次に、本実施形態による障害発生時の印刷処理について説明する。図22は、プリンタコントローラ14による障害発生時の処理の手順を示すフローチャートである。障害が発生した場合、プリンタコントローラ14の処理において割り込みが入り、これにより図22の処理が実行される。
まず、プリンタコントローラ14の制御信号送受信部21は、データ転送制御部30等から発生した障害の障害識別情報を受信する(ステップS2201)。そして、プリンタコントローラ14の制御部23は、ROM324またはRAM323に記憶されている障害テーブルを参照し(ステップS2202)、障害テーブルにおいて、制御信号送受信部21で受信した障害識別情報に対応する種類が特定障害であるか否かを判断する(ステップS2203)。
そして、発生した障害が特定障害である場合(ステップS2203:Yes)、制御部23は、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのいずれかにより、対応するヘッド56a、56b、56cおよび56dから印刷中のページに対する印刷が完了したか否かを判断する(ステップS2204)。かかる判断は、制御信号送受信部21がデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのいずれかからページ#n印刷終了の通知(図11のSEQ120a〜SEQ120d、SEQ122a〜SEQ122d等)を受信したか否かにより判断する。
印刷中(印刷しかかり中)のページとは、いずれかの色の印刷画像データの印刷を開始したが、すべての色の印刷画像データの印刷が終了していないページをいう。
そして、印刷中のページに対する印刷が完了した後に(ステップS2204:Yes)、プリンタコントローラ14の用紙搬送制御部22は、印刷用紙の搬送の停止を搬送制御部51に指示する(ステップS2206)。
一方、ステップS2203において、発生した障害が特定障害以外の場合には(ステップS2203:No)、用紙搬送制御部22は、印刷中のページに対する印刷が完了する前に、印刷用紙201の搬送の停止を搬送制御部51に指示する(ステップS2206)。
図23および図24は、4ページ分の印刷データを上位装置10から受け取り、1ページ目のトナー付着までが完了し、2ページ目のトナー付着中に印刷結果が保証できる障害が発生した時の印刷処理の一例を説明するための図である。
上位装置10は、4ページ分の印刷データの印刷を制御するための制御情報2204をプリンタコントローラ14に送信する。プリンタコントローラ14の制御信号送受信部21は、ページ印刷指示2203(図11のページ#n印刷指示)を、1ページ目〜4ページ目までプリンタエンジン15のデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに送信する。なお、図23では、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを、それぞれY302、C303、M304、およびK305で表している。プリンタコントローラ14は、ページ印刷指示がまだないページ2202の5ページ目を保存している。ページ印刷指示2203を受信したデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、上位装置10から印刷データ2301を受信し、印刷を行う。
図23に示すように、1ページ目のページ2309は、Y、C、MおよびKのすべてのトナーが付着済みである。2ページ目のページ2308は、Y、C、Mのみのトナーが付着済みである。3ページ目のページ2307は、Y、Cのみのトナーが付着済みである。4ページ目のページ2306は、Yのみのトナーが付着済みである。このような状態の時に、印刷が停止する障害が発生した場合は、印刷しかかり中の4ページ目2306までのページに対して、すべての色のトナーが付着するまで用紙を搬送する。これにより、例えば2ページ目のページ2308は、図24のページ2408に示すように全色トナーが付着した状態となる。同じように、3ページ目のページ2307および4ページ目のページ2306は、それぞれ図24のページ2407およびページ2406に示すように全色トナーが付着した状態となる。
このように、印刷結果が保証できる特定障害が発生した場合には、プリンタコントローラ14から印刷を指示したすべてのデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dで、トナーの付着が完了するまで用紙の搬送を継続し、完了後に用紙の搬送を停止する。これにより、プリンタコントローラ14でトナーの付着状況まで管理し印刷をキャンセルする必要がなくなる。すなわち、印刷データ2301を上位装置10から直接データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dで受け取ることにより高速データ転送を可能とするシステムのように、用紙搬送制御と印刷データ管理とが独立したシステムであっても、重複印刷などの不当な印刷を抑止することが可能となる。
図25および図26は、本実施形態による障害発生時の印刷処理を概念的に示す一例のシーケンス図である。ここでは、図23および図24と同様に、4ページのうち2ページ目のトナー付着中に印刷結果が保証できる特定障害が発生した場合を例に説明する。なお、図25および図26では、説明の便宜上、図11の各ステップのうち、印刷先頭指示(SEQ118等)、印刷(SEQ119等)、および、ページ印刷終了(SEQ120等)に対応する処理以外の処理は省略している。
先ず、例えば図11のSEQ117のように印刷可能状態である旨が通知されたとき、制御信号送受信部21は、データ転送制御部30aに対して色Yの1ページ目の印刷画像データを印刷する先頭位置を指示する(SEQ131−1a)。これにより、印刷先頭指示に応じて印刷が開始される。すなわち、データ転送制御部30aは、メモリ31aからの1ページ目の色Yの印刷画像データの読み出しを開始し、読み出した印刷画像データを画像出力部50の出力制御部55に転送する(SEQ132−1a)。そして、印刷画像データは、出力制御部55からヘッド56aに供給され、ヘッド56aにより印刷用紙に対して印刷される(SEQ134−1a)。色Yの1ページ目の印刷が終了すると、その旨が、画像出力部50の出力制御部55からデータ転送制御部30aに通知され(SEQ135−1a)、データ転送制御部30aからプリンタコントローラ14の制御信号送受信部21に対して、ページ#1印刷完了が通知される(SEQ133−1a)。
この間、印刷用紙の搬送は継続されている。印刷用紙が1ページ分搬送され、搬送制御部51から印刷可能状態である旨がさらに通知されると、制御信号送受信部21は、データ転送制御部30bに対して色Cの1ページ目の印刷画像データを印刷する先頭位置を指示する(SEQ131−1b)。また、制御信号送受信部21は、データ転送制御部30aに対して色Yの2ページ目の印刷画像データを印刷する先頭位置を指示する(SEQ131−2a)。データ転送制御部30bおよび30aは、それぞれの印刷先頭指示に応じて、それぞれメモリ31b、31aからの1ページ目の色C、2ページ目の色Yの印刷画像データの読み出しを開始し、読み出した印刷画像データを画像出力部50の出力制御部55に転送する(SEQ132−1b、SEQ132−2a)。そして、それぞれヘッド56b、56aにより印刷される(SEQ134−1b、SEQ134−2a)。印刷が終了すると、その旨がデータ転送制御部30b、30aへ通知され(SEQ135−1b、SEQ135−2a)、さらに、データ転送制御部30b、30aからプリンタコントローラ14の制御信号送受信部21に対して通知される(SEQ133−1b、SEQ133−2a)。
以下、同様にして1ページ目の色M、2ページ目の色C、および3ページ目の色Yの印刷が実行される(SEQ131−1c、SEQ131−2b、SEQ131−3a、SEQ132−1c、SEQ132−2b、SEQ132−3a、SEQ134−1c、SEQ134−2b、SEQ134−3a、SEQ135−1c、SEQ135−2b、SEQ135−3a、SEQ133−1c、SEQ133−2b、SEQ133−3a)。
また、同様にして1ページ目の色K、2ページ目の色M、3ページ目の色C、および4ページ目の色Yの印刷が実行される(SEQ131−1d、SEQ131−2c、SEQ131−3b、SEQ131−4a、SEQ132−1d、SEQ132−2c、SEQ132−3b、SEQ132−4a、SEQ134−1d、SEQ134−2c、SEQ134−3b、SEQ134−4a、SEQ135−1d、SEQ135−2c、SEQ135−3b、SEQ135−4a、SEQ133−1d、SEQ133−2c、SEQ133−3b、SEQ133−4a)。
ここまでの印刷処理により、1ページ目についてはY、C、M、Kの全色の印刷が完了している。一方、2ページ目から4ページ目については、4色のうち一部の色の印刷しか完了しておらず、印刷中の状態である。
ここで、搬送制御部51から、障害の発生が通知されたとする(SEQ141)。なお、障害情報は搬送制御部51から通知されるものに限られるものではなく、上位装置10などの他の装置または構成部から通知される場合にも適用できる。プリンタコントローラ14の制御部23は、上述のとおり、障害テーブルを参照し、発生した障害が印刷結果を保証できる特定障害であるかを判定する。この例では、発生した障害が特定障害であったものとして説明する。
この場合、制御部23、用紙搬送制御部22は、直ちに印刷を停止するキャンセル動作を行わない。制御部23は、既にページ印刷指示2203を通知しているページを把握しているため、当該ページについての印刷の指示を継続する。そして、当該ページについての印刷終了がデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dから通知されてから、印刷処理を終了する。
例えば障害発生の直後では、2ページ目の色K、3ページ目の色M、および4ページ目の色Cの印刷が実行される(SEQ131−2d、SEQ131−3c、SEQ131−4b、SEQ132−2d、SEQ132−3c、SEQ132−4b、SEQ134−2d、SEQ134−3c、SEQ134−4b、SEQ135−2d、SEQ135−3c、SEQ135−4b、SEQ133−2d、SEQ133−3c、SEQ133−4b)。このように、障害発生後には、新たなページ(例えば5ページ目)について、最初の色Yの印刷は指示されない。
この後、同様にして、3ページ目の色K、および4ページ目の色Mの印刷が実行される(SEQ131−3d、SEQ131−4c、SEQ132−3d、SEQ132−4c、SEQ134−3d、SEQ134−4c、SEQ135−3d、SEQ135−4c、SEQ133−3d、SEQ133−4c)。また、最後に4ページ目の色Kの印刷が実行される(SEQ131−4d、SEQ132−4d、SEQ134−4d、SEQ135−4d、SEQ133−4d)。
ここまでの印刷処理により、2〜4ページ目についても、Y、C、M、Kの全色の印刷が完了する。用紙搬送制御部22は、搬送制御部51に対して印刷用紙の搬送の停止を要求する(SEQ142)。
以上のように、本実施形態によれば、各色Y、C、MおよびKのデータ転送を制御するデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dが、それぞれ独立した構成とされている。それと共に、プリンタコントローラ14と各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dとが、エンジンI/F制御線40a、40b、40cおよび40dでそれぞれ接続され、プリンタコントローラ14と各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dとの間の通信は、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dそれぞれで独立して行われる。また、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、それぞれ独立して処理を実行する。
これにより、用紙搬送制御(プリンタコントローラ)と印刷データ管理(データ転送制御部)とが独立したシステムを構築することができる。それにより印刷データを、上位装置から直接プリンタ装置に転送できるため、高速データ転送を実現したシステムを構築できる。
そして、本実施形態では、このような構成のシステムで印刷結果が保証できる障害が発生した場合に、印刷中の全ページの印刷が終了するまで用紙搬送を継続する機能を備えている。これにより、従来のように制御部(プリンタコントローラ)による用紙へのトナー付着状態の管理を要することなく、重複印刷などの不当な印刷を抑止することができる。また、障害回復後の印刷再開速度を向上させることができるという効果も得られる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本発明の実施態様は、以上に説明したような特定の実施の形態に限定されるものではない。よって、特許請求の範囲およびその均等物の発明の概念を超えない範囲で様々な変更が可能である。