JP5922279B2 - 車椅子用安全器具 - Google Patents
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Description
従来の車椅子用ブレーキとしては、例えば、特許文献1に示すようなものがある。
このことは、脳梗塞等、体の自由が利かない使用者においては車椅子使用上の重大な問題となっている。
このような問題に対して、本件実用新案登録出願人は、特許文献2、特許文献3に示すような車椅子用安全器具を出願している。
また、使用者が車椅子に着座した際には、上記ピストンロッドが引っ張られ、それによって、車輪の回転の規制ひいては車椅子の移動の規制が解除されるようになっている。
特許文献2、特許文献3に記載された車椅子用安全器具によっても、次のような問題があった。
特許文献2、特許文献3に記載された車椅子用安全器具によると、使用者が起立した状態では、車輪の前方側への回転と後方側への回転の両方が規制されてしまう。そのため、起立した使用者が車椅子を引き寄せる、介護者が車椅子を前方(使用者側)に移動させるといった操作が行い難いという問題があった。
ちなみに、上記特許文献2、特許文献3に記載された車椅子用安全器具の場合は、起立した使用者が車椅子を引き寄せる、介護者が車椅子を前方(使用者側)に移動させるためには、ピストンロッドを手で引っ張って回転させ、別途設けられた係合部に係合させてその引っ張った状態を保持し、それによって、車輪の回転規制を解除しなければならない。
また、再び、車椅子用安全器具を動作させるためには、ピストンロッドを逆方向に回転させて元の状態に戻さなければならない。
又、請求項2による車椅子用安全器具は、請求項1記載の車椅子用安全器具において、上記ブレーキ押圧体は上記ブレーキロッドの先端にワンウェイクラッチを介して一方向にのみ回転可能に取り付けられていることを特徴とするものである。
又、請求項3による車椅子用安全器具は、請求項1又は請求項2記載の車椅子用安全器具において、上記ブレーキ押圧体はローラでありその表面には凹凸が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項4による車椅子用安全器具は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の車椅子用安全器具において、上記ベルトの着座部から下方への屈曲部にはベルトを張設するための張設具が設置されていて、この張設具はベルトを通す貫通部を備えた筒体と、この筒体内に収容された芯材とから構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項2による車椅子用安全器具によると、請求項1記載の車椅子用安全器具において、上記ブレーキ押圧体は上記ブレーキロッドの先端にワンウェイクラッチを介して一方向にのみ回転可能に取り付けられているため、簡単な構成で所望の機能を備えた車椅子用安全器具を得ることができる。
また、請求項3による車椅子用安全器具によると、請求項1又は請求項2記載の車椅子用安全器具において、上記ブレーキ押圧体はローラでありその表面には凹凸が設けられているため、上記車輪と上記ブレーキ押圧体との間の摩擦力を増加させ、上記車輪の回転の規制を確実に行うことができる。
また、請求項4による車椅子用安全器具によると、請求項1〜請求項3の何れかに記載の車椅子用安全器具において、上記ブレーキユニット駆動手段は1本のベルトを備えていて、上記ベルトを上記車椅子の着座部を通して設置するとともにその端を上記ブレーキロッドの後端に連結し、使用者が着座して上記ブレーキロッドを上記弾性部材の付勢力に抗して引っ張ることにより、上記ブレーキ押圧体の上記車輪に対する押圧を解除するものであるため、簡易な構成により、上記使用者が上記車椅子に着座するだけ上記ブレーキ押圧体の上記車輪に対する押圧を解除する機構を実現できる。
また、請求項5による車椅子用安全器具は、請求項4記載の車椅子用安全器具において、上記シリンダには上記ベルトのねじれを防止するねじれ防止機構が設けられているため、上記ベルトのねじれを防止し、上記車椅子用安全器具の確実な動作を担保することができる。
また、請求項6による車椅子用安全器具によると、請求項4又は請求項5記載の車椅子用安全器具において、上記着座部には上記ベルトを張設するための張設具が設置されているため、簡易な構成により、上記車椅子用安全器具が確実に動作するようにできる。
また、請求項7による車椅子用安全器具は、請求項6記載の車椅子用安全器具において、上記張設具は、上記ベルトが着座部から下方に屈曲・延長される際、その屈曲部に設置されているものであるため、上記ベルトを上記着座部より上方側に浮かせた状態で張設することができ、使用者が車椅子に着座した際に上記車椅子用安全器具を確実に動作させることができる。
また、請求項8による車椅子用安全器具によると、請求項1〜請求項7の何れかに記載の車椅子用安全器具において、上記ブレーキユニットは上記車椅子の左右両輪にそれぞれ取り付けられているため、上記車椅子の左右両輪について回転の規制を行うことができる。
本実施の形態による車椅子用安全器具1は、図1乃至図4に示すように、車椅子3に取り付けられている。
まず、車椅子3の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、上記車椅子3には、上記車椅子3全体の骨格を構成するフレーム5がある。このフレーム5の幅方向両側(図1中左上から右下に向かう方向の両側)には、それぞれ大径の車輪7、7が水平回転軸8、8(図1中左上から右下に向かう方向の回転軸)を中心に回転可能に取り付けられている。この車輪7の反フレーム5側(図1中左上側又は右下側)にはハンドリム9が設けられている。このハンドリム9は、使用者11が上記車椅子3に着座した状態で上記車輪7を回転させ、上記車椅子3を走行させる際に用いられる。
また、上記補助輪13、13の上方(図1中上側)の上記フレーム5にはレッグレスト23が設置されている。また、上記フレーム5の先端(図1中左下端)には、フットレスト25、25が設置されている。このフットレスト25、25は、上記車椅子3の前後方向に延長された軸を中心に回動可能に設置されており、図1に示すような水平状態や図示しない垂直状態(図1中上側に指向させた状態)にすることができる。
以上が、車椅子3の構成についての説明である。
上記車椅子用安全器具1は、図5に示すように、ブレーキユニット39、39と、これらブレーキユニット39、39がその両端に接続されたブレーキユニット駆動手段としてのベルト41と、このベルト41に取り付けられたベルト張設具43、43とから構成されている。
同様に、上記止め具47は挟持部材49、51によって構成されていて、この挟持部材49、51の一端側は回動可能に連結されているとともに、他端側にはボルト53が上記挟持部材49、51を貫通して設けられている。上記ボルト53はナット55に螺合されている。
また、上記止め具45の一方の挟持部材51には、上記止め具47の一方の挟持部材49が固着されている。上記止め具47の挟持部材49、51間には、上記フレーム5の下側(図3中下側)の幅方向両側(図3中左右方向両側)を構成するパイプ57が介挿されていて、上記止め具47のボルト55をナット55に螺合することによって、上記フレーム5に上記止め具47が固定されている。
ブレーキユニット39は、このような構成により、止め具45、47を介してフレーム5の所定位置に着脱可能に取り付けられている。
なお、ブレーキユニット39、39は、同一の構成を成しているので、図中同一部分には同一の符号を付して示す。
上記ブレーキユニット39、39には、図6や図7に示すように、略円筒形状のシリンダ69がある。このシリンダ69の後端側(図6中右側)は絞られて小径となっており、図7に示すように、その内部側にはバネ受け部71が形成されている。また、上記シリンダ69の後端面(図6中右側端面)の径方向両側(図6中紙面垂直方向両側)には、図6に示すように、切欠部73、73が形成されている。また、上記シリンダ69の先端側(図6中左側)の外周面には、貫通孔75が穿孔されている。
また、上記ブレーキロッド77の先端面(図7中左側端面)には、図7(a)に示すように、雌ネジ部83が形成されている。また、上記ブレーキロッド77には、上記雌ネジ部83に直交する抜け止めねじ用雌ネジ部85、85が形成されている。
また、既に述べたブレーキロッド77が上記コイルバネ87の弾性力によって先端側(図7中左側)いっぱいまで付勢されている場合も、上記ブレーキロッド77が上記ベルト41によって引っ張られている場合も、上記引き戻し部材89のフック93は、既に述べたシリンダ69の切欠部73、73に係合された状態となっている。そして、上記切欠部73、73により常に上記引き戻し部材89や上記ブレーキロッド77の回転が規制され、これにより、上記ベルト41のねじれが防止される。すなわち、上記切欠部73、73とフック93が上記ベルト41のねじれを防止するねじれ防止機構として作用するものである。
なお、この抜止ネジ95、95の抜け止めねじ用雌ネジ部81、81への螺合は、上記シリンダ69の貫通孔75に図示しない工具を差し込むことにより行われる。
また、上記ブレーキロッド77の抜け止めねじ用雌ネジ部85、85内には、抜け止めネジ104、104が螺合されている。この抜け止めネジ104、104の先端によって上記ボルト97の雄ネジ部103が押圧され、それによって、上記ボルト97の不用意な緩みを防止するようになっている。
なお、ワンウェイクラッチとしては、図示した構成のものに限定されるものではなく、公知の様々な構成のワンウェイクラッチの使用が考えられる。
また、上記ブレーキ押圧体113の先端側(図7中左側)には面取り部117が形成されている。また、上記ブレーキ押圧体113の外周面には複数の滑り止め用溝119が形成されている。
以上が、ブレーキユニット39の構成についての説明である。
図2、図4に示すように、着座している使用者11が車椅子3から起立した状態では、ベルト41が緩み、ブレーキユニット39、39の引き戻し部材89を引っ張っていない状態となっている。このとき、上記ブレーキユニット39、39は、図7(a)に示すような状態となっており、コイルバネ87の弾性力により、上記車椅子用安全器具1のブレーキロッド77、ひいては、ブレーキ押圧体113が、先端側(図7中左側)に付勢されている。
このとき、起立した使用者11は、上記車椅子3を前方側へと引き寄せることができ、また、介助者が上記車椅子3を使用者11側に前進させることもできる。
なお、ブレーキロッド77が上記コイルバネ87の弾性力によって先端側(図7中左側)いっぱいまで付勢されている場合であっても、上記ブレーキロッド77が上記ベルト41によって引っ張られている場合であっても、上記引き戻し部材89のフック93は、既に述べたシリンダ69の切欠部73、73に係合された状態となっている。そのため、上記切欠部73により常に上記引き戻し部材89の回転が規制され、これにより、上記ベルト41のねじれが防止されている。
また、上記ベルト41の長さや上記ベルト41の端部の平面ファスナ65に対する平面ファスナ67の押し付け位置、及び、上記車椅子3に対するブレーキユニット39、39の取付位置や取付角度等は、使用者11が車椅子3に着座した際、上記ベルト41によって上記引き戻し部材89やブレーキロッド77が引っ張られても上記フック93が上記切欠部73から外れないように設定されている。
まず、着座している使用者11が車椅子3から起立した状態では、ブレーキユニット39、39は機能することになるが、車椅子3の後方への移動のみが規制され、前方への移動は許容された状態にあるので、上記車椅子3の取り扱いが容易になる。具体的には、上記起立している使用者11が車椅子3を自ら引き寄せるために前方側へと移動させたり、図示しない介助者が上記使用者11側へ移動させたりすることができる。
これは、ワンウェイクラッチ105によって、ブレーキ押圧体113の一方向側への回転が許容されていて、車椅子3の車輪7の前方側への回転が許容されていることによる。
これは、上記使用者11は上記車椅子3から起立した状態では、ベルト41が緩んだ状態となっており、ブレーキロッド77が引き戻し部材69を介して上記ベルト41によって引っ張られておらず、コイルバネ87の弾性力によって上記ブレーキロッド77ひいては上記ブレーキ押圧体113が車輪7側に押圧されており、上記使用者11が上記車椅子3に着座した状態では上記ベルト41が引っ張られることにより上記コイルバネ87の弾性力に抗して上記ブレーキロッド77が引っ張られ、上記ブレーキ押圧体113の上記車輪7に対する押圧が解除されるからである。
また、ブレーキ押圧体113の外周面には滑り止め用溝119が形成されているため、上記車輪7と上記ブレーキ押圧体113との間の摩擦力を増加させ、上記ブレーキ押圧体113による上記車輪7の回転の規制を確実に行うことができる。
また、上記使用者11が着座した際、ブレーキユニット駆動手段としてのベルト41が引っ張られることで、ブレーキロッド77が移動され、上記ブレーキ押圧体113と上記車輪7との当接が解除されるようになっているため、簡易な構成により、上記使用者11が着座しただけで上記車輪7の後方への回転規制が解除される機構を実現できる。
また、常に、シリンダ69の切欠部73に引き戻し部材89のフック93が係合された状態となっているため、上記ベルト41のねじれを防止することができ、上記車椅子用安全器具1の確実な動作を担保することができる。
なお、ブレーキユニット39、39が上記車椅子3の幅方向両側(図3中左右方向両側)に取り付けられているので、上記車椅子3の両方の車輪7、7について回転の規制を選択的に行うことができることは勿論である。
前述した一実施の形態においては、上記ベルト41は座面シート17の図3中下側で交差されているが、上記ベルト41を交差させずに上記座面シート17の左右両側から真っ直ぐ下に降ろしたような構成とすることも考えられる。この場合、上記ベルト41の端部がブレーキユニット39に接続される直前の部分に、例えば、ローラ状の部材を設置し、上記ブレーキユニット39の引き戻し部材89、ひいては、ブレーキロッド77やブレーキ押圧体113を、上記ベルト41によって引っ張ることができるような構成とする必要がある。
また、使用者11が着座した際にベルト41が引っ張られることを利用してブレーキユニット39のブレーキロッド77及びブレーキ押圧体113が引っ張られる構成になっているが、上記使用者11の着座をセンサによって感知し、ソレノイド等の動力を用いて上記ブレーキロッド77及びブレーキ押圧体113を引っ張る構成とすることも考えられる。
その他、本発明は、図示した構成に限定されず、様々な変形が考えられる。
3 車椅子
39 ブレーキユニット
39 ブレーキユニット
41 ベルト(ブレーキユニット駆動手段の一部)
43 ベルト張設具(ブレーキユニット駆動手段の一部)
69 シリンダ
73 切欠部(ねじれ防止機構の一部)
77 ブレーキロッド
87 コイルバネ(弾性部材)
89 引き戻し部材(ブレーキユニット駆動手段の一部)
93 フック(ねじれ防止機構の一部)
105 ワンウェイクラッチ
113 ブレーキ押圧体
119 滑り止め用溝(凹凸)
Claims (4)
- 車椅子に取り付けられたシリンダと、上記シリンダに移動可能に配置されたブレーキロッドと、上記ブレーキロッドとシリンダとの間に介装されその付勢力により上記ブレーキロッドを上記車椅子の車輪側に付勢する弾性部材と、上記ブレーキロッドの先端に取り付けられ上記弾性部材の付勢力により上記ブレーキロッドが上記車椅子の車輪側に付勢されることにより上記車輪に押圧され上記車輪の後方への回転のみを規制するブレーキ押圧体と、からなるブレーキユニットと、
上記車椅子に上記ブレーキロッドに関係した状態で取り付けられ、使用者が上記車椅子に着座することにより上記ブレーキロッドを上記弾性部材の付勢力に抗して引き戻し、上記ブレーキ押圧体の上記車輪に対する押圧を解除し、使用者が上記車椅子から起立することにより上記ブレーキロッドの上記弾性部材による付勢ひいては上記ブレーキ押圧体の上記車輪への押圧を許容するブレーキユニット駆動手段と、
を具備し、
上記ブレーキユニットは上記車椅子の着座部の下方であって上記車椅子の左右両輪に対応する位置にそれぞれ取り付けられていて、
上記ブレーキユニット駆動手段は1本のベルトを備えていて、上記ベルトは上記車椅子の着座部を通って着座部の下方で交差するように設置され、その両端は上記それぞれのブレーキユニットのブレーキロッドの後端に連結されていて、
上記ベルトの両端には上記ブレーキロッドに連結されたフックが取り付けられていて、上記シリンダには切欠部が設けられていて、上記フックが上記切欠部に係合することにより上記フックひいては上記ベルトのねじれが防止されるように構成されていることを特徴とする車椅子用安全器具。 - 請求項1記載の車椅子用安全器具において、
上記ブレーキ押圧体は上記ブレーキロッドの先端にワンウェイクラッチを介して一方向にのみ回転可能に取り付けられていることを特徴とする車椅子用安全器具。 - 請求項1又は請求項2記載の車椅子用安全器具において、
上記ブレーキ押圧体はローラでありその表面には凹凸が設けられていることを特徴とする車椅子用安全器具。 - 請求項1〜請求項3の何れかに記載の車椅子用安全器具において、
上記ベルトの着座部から下方への屈曲部にはベルトを張設するための張設具が設置されていて、この張設具はベルトを通す貫通部を備えた筒体と、この筒体内に収容された芯材とから構成されていることを特徴とする車椅子用安全器具。
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