JP5922186B2 - 保護カバー - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、柱体外側面に施設された合成樹脂管などの管状体に取り付けられて、この管状体によっては保護しきれない接地抵抗測定端子の受口部分を保護するためや、前記管状体の破損部分を補修するために有用な保護カバーに関する。
電気事業法に基づき制定されている電気設備技術基準によれば、「電気設備の必要な箇所には、異常時の電位上昇、高電圧の侵入等による感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件への損傷を与えるおそれがないよう、接地その他の適切な措置を講じなければならない」とされている。
このため、電柱においては、電柱側面や電柱内(以降,柱体内)に接地線を施設することにより、避雷器や変圧器などの接地必要箇所の接地を行うようにしている。
また、「接地線の地下75cmから地表上2mまでの部分は、電気用品安全法の適用を受ける合成樹脂管(厚さ2mm未満の合成樹脂製管及びCD管を除く)又はこれと同等以上の絶縁効力及び強さのあるもので覆うこと」とされている。
このため、接地線を電柱側面に施設する場合には、この基準により電柱側面に合成樹脂管を施設し、その内側に接地線を施設するようにしている。
そして、このような接地は、その種類により定められた接地抵抗値があり,定期的に接地抵抗値の測定を行い保守しているが,その測定を行うために,地上2m以上の箇所に接地抵抗測定用の接地測定端子を設け、接地線はこの設置測定端子を間に介在させる形で大地と各機器等とをつなぐようにしている。
ところで、接地線を柱体内に施設する場合には、柱体外に取り付けられる接地測定端子を接地線の途中に接続する必要があるため、柱体内から接地線を柱体外に一旦引き出し、接地測定端子に接続する必要がある。このため、電柱には、接地線を引き出すための接地抵抗測定端子受口が設けられている。
この接地抵抗測定端子受口から柱体外に引き出された接地線においても前記基準に基づき合成樹脂管によって覆う作業が必要となるが、接地抵抗測定端子受口の付近においては、合成樹脂管では覆い切れず、接地線が表出された状態となる。
このため、従来においては、合成樹脂管101の端部を、図12に示されるように、接地抵抗測定端子受口105の前面まで延設させ、接地抵抗測定端子受口105と対峙する一部分の周壁部分を切り欠いて残存した部分101aで接地抵抗測定端子受口105の付近を覆ったり、合成樹脂管と同等以上の絶縁効力および強さを持ち,かつ一定の柔軟性をもつポリエチレン製の板材を強く湾曲させて接地抵抗測定端子受口付近を覆うように取り付けて保護するようにしている。
また、合成樹脂管に破損が生じた場合には、特許文献1で示されるように、既存の合成樹脂管と略同径の内径及び可撓性を有すると共に長さ方向に切込みが形成された保守管を合成樹脂管の周囲に回し付けたりすることで保守することなどが考えられている。
特開2007−174717号公報
しかしながら、接地抵抗測定端子受口付近を保護するために、合成樹脂管や板材等の既存の材料を加工して電気設備技術基準に適合する設備を構築する場合には、施工までに時間を要し、相当の労力を要するものであった。
また、合成樹脂管の破損箇所を保守する場合には、前述した保守管を用いることは有用であるが、保守管を合成樹脂管に回し付けなければならないものであり、合成樹脂管は通常電柱に接触させるように沿わせて取付バンド(ステンレスバンド等)でしっかり取り付けられているため、合成樹脂管に回し付けることが困難となる場合もあり、また、接地抵抗測定端子受口付近を保護する場合と合成樹脂管を保守する場合とで共通した部材を用いて対応することは行いにくいものであった。
このため、上記部材を用いて容易に施工できない箇所(多数の接地があり,材料の加工だけでは保護しきれない箇所)にあっては、使用上問題の無い柱体内の接地用電線を破棄し,新規に柱体外(電柱の外側)に接地用電線を施設することにより,電気設備技術基準に適合する設備を構築する必要があるため、余分な労力や費用が必要になる。
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、既存の合成樹脂管や柔軟性のある板材を加工して接地抵抗測定端子受口付近に取り付けたり、可撓性を有する保護管を合成樹脂管に巻き付けて保守したりする煩わしさを解消し、共通した部材をもって接地抵抗測定端子受口付近を保護すると共に合成樹脂管を保守することを容易に行うことが可能な保護カバーを提供することを主たる課題としている。
上記課題を達成するために、本発明に係る保護カバーは、管状体に取り付けられる保護カバーであって、頂壁部及びこの頂壁部の両側縁から略垂直に立設された対をなす側壁部により断面コ字状に形成され、内部に前記管状体が収容される収容空間が形成されたカバー本体と、前記対をなすそれぞれの側壁部の一部に該側壁部の他の部分よりも相対的に脆弱に形成された側壁用脆弱部と、前記カバー本体の延設方向の一端部を閉塞するように設けられ、前記側壁用脆弱部と同等に禰弱に形成された端部用脆弱部と、少なくとも前記頂壁部に設けられ、前記カバー本体を固定する固定具を取り付け可能な固定具取付部と、を具備することを特徴としている。
したがって、保護カバーを管状体を収容する収容空間を備えた断面コ字状のカバー本体で構成し、このカバー本体の一対の側壁部に側壁用脆弱部を設け、また、カバー本体の一端部に端部用脆弱部を設け、カバー本体の頂壁部に固定具取付部を設けたので、覆いたい箇所の状況に合わせて脆弱部を必要により除去することで、管状体自体やその周辺を覆うことが可能となる。
すなわち、管状体では覆うことができない接地抵抗測定端子受口付近においては、管状体の端部にそこからさらに延設するようにカバー本体を取り付け、その状態で固定具を固定具取付部に取り付けることで、この管状体の端部から突出したカバー本体によって接地抵抗測定端子受口付近を覆うことが可能となり、また、管状体の破損部分を上から覆うようにカバー本体を管状体に取り付け、その状態で固定具を固定具取付部に取り付けることで、この管状体の破損部分を覆うことが可能となり、既存の材料を加工することなく、必要箇所を簡単に保護または保守することが可能となる。
また、上記構成においては、前記側壁部の頂壁部とは反対側の側縁に設けられ、内側に向けて突設された突条をさらに具備するようにしてもよい。
このような構成を採用することにより、カバー本体を合成樹脂管の上から被せた場合に、側壁部の頂壁部とは反対側の側縁に内側へ突出する突条が設けられているので、この突条によってカバー本体が管状体から外れる不都合を抑えることが可能となる。
なお、前記脆弱部(側壁用脆弱部と端部用脆弱部)は、その厚みを周囲の厚みよりも薄く形成した薄肉部で構成され、又は、少なくとも除去可能となる部分の外縁に沿って溝を形成して構成されるようにするとよい。
このような構成を採用することで、必要に応じて必要箇所の脆弱部を除去することで、カバー本体を並設させる場合でも筒状体から表出する線材(接地線など)をカバー本体の外側に表出させることなく線材を隣接するカバー本体内へ引き回すことが可能となり、また、管状体の所望の箇所にカバー本体を取り付けることが可能となる。
ここで、前記固定具を、取付バンドにより構成し、前記固定具取付部を、前記取付バンドを挿通させる通孔を備えたバンド挿通部を頂壁部に形成して構成するようにしても、また、前記固定具を、前記管状体を把持可能な対をなす把持片を有したクリップにより構成し、前記固定具取付部を、前記クリップの対をなす把持片を挿通させると共に、間に前記カバー本体を前記クリップに対して位置決め固定するためのブリッジ部を備えた対をなすクリップ装着用スリットを前記頂壁部から前記側壁部にかけて形成して構成するようにしてもよい。
以上述べたように、本発明に係る保護カバーによれば、内部に前記管状体が収容される収容空間が形成された断面コ字状のカバー本体と、対をなすそれぞれの側壁部の設けられた側壁用脆弱部と、カバー本体の延設方向の一端部を閉塞するように設けられた端部用脆弱部と、少なくとも頂壁部に設けられてカバー本体を固定する固定具を取り付けるための固定具取付部とを有して構成されるので、既存の合成樹脂管や柔軟性をもつポリエチレン製のカバーを加工して電気設備技術基準に適合する設備を構築する必要がなく、合成樹脂管の上から被せるだけで簡単に取り付けることができ、作業者の労力を軽減することができるとともに,作業時間を短縮して、業務効率を高めることが可能となる。
また、既存の合成樹脂管の上から取り付けできるものであるため汎用性が高く,既設の設備を廃棄することなく継続使用して,必要最低限の作業・費用にて工事を行うことが可能となる。
しかも、接地が複数極ある場合でも,本保護カバーを複数個使用することにより容易に対応することができるため,接地極数に左右されずに容易に改修することが可能となる。
さらに、本保護カバーの一端部、及び、側壁部に、ペンチ等で除去できる脆弱部を設けたので、接地抵抗測定端子受口の保護のみならず、合成樹脂管の破損した部分の改修にも流用することが可能となる。
図1は、本発明に係る保護カバーの構成例を示す図であり、(a)はその正面図、(b)はその左側面図(右側面図は左側面図と対称形状)、(c)はその背面図、(d)はその平面図、(e)はその底面図である。 図2は、図1の保護カバーを示す斜視図であり、(a)は平面側を斜め上方から見た図、(b)は底面側を斜め上方から見た図である。 図3は、図1に示す保護カバーを管状体に取り付けて取付バンドで固定した状態を示す図であり、(a)はその斜視図、(b)はその平面図である。 図4は、電柱に沿って施設された管状体(合成樹脂管)の破損部分を補修するために破損した管状体の部分に本保護カバーを取り付ける状態を説明する図であり、(a)は保護カバーを合成樹脂管に取り付ける前の状態を示す図、(b)は保護カバーを合成樹脂管に取り付けた状態を示す図である。 図5は、電柱に設けられた接地抵抗測定端子受口付近を本保護カバーを用いて保護する状態を説明する図であり、接地線が1極の場合を示す図であり、(a)は保護カバーを合成樹脂管に取り付ける前の状態を示す図、(b)は保護カバーを合成樹脂管に取り付けた状態を示す図である。 図6は、電柱に設けられた接地抵抗測定端子受口付近を本保護カバーを用いて保護する状態を説明する図であり、接地線が2極の場合を示す。 図7は、本発明に係る保護カバーの他の構成例を示す図であり、(a)はその正面図、(b)はその左側面図(右側面図は左側面図と対称形状)、(c)は背面図、(d)は平面図、(e)はその底面図である。 図8(a)は、図7の保護カバーとこの保護カバーを管状体に固定するクリップを示す斜視図であり、平面側を斜め上方から見た図、(b)は保護カバーの底面側を斜め上方から見た図である。 図9は、図7に示す保護カバーを管状体に取り付けて固定する状態を示す図であり、(a)はクリップを用いて管状体に固定した状態を示す斜視図、(b)は取付バンドを用いて管状体に固定した状態を示す斜視図である。 図10は、図7及び図8で示す保護カバーの変形例を示す斜視図である。 図11は、図10に示す保護カバーを用いて接地抵抗測定端子受口付近を保護する状態を示す図である。 図12は、管状体(合成樹脂管)を加工して、接地抵抗測定端子受口を覆うように形成した従来の保護状態を示す図である。
以下、本発明に係る保護カバー及びこれを用いた使用方法について、添付図面を参照しながら説明する。
図1及び図2において、保護カバー1は、絶縁性素材である硬質の合成樹脂により形成されているもので、頂壁部2とこの頂壁部2の両側縁から略垂直に立設された対をなす側壁部3,3とにより断面コ字状に形成されたカバー本体4を有している。
このカバー本体4は、内部に管状体としての合成樹脂管が収容される収容空間5が形成されているもので、図3に示されるように、対をなす側壁部3,3の間隔W1は、合成樹脂管101の外径Rとほぼ同等の寸法に形成され、また、側壁部3の頂壁部2からの突出量Hは、合成樹脂管101の外径Rとほぼ等しいか若干短く形成されている。
また、カバー本体4の長さは、特に限定されるものではないが、5〜20cm程度の長さが実用的である。
対をなす側壁部3の頂壁部2とは反対側の側縁(以下、底縁という)には、内側に向けて突設された突条6が一体に形成されている。この突条6は、カバー本体4の長手方向に沿って後述する側壁用脆弱部7を除いて連続的に一方の端部から他方の端部にかけて形成されるものであっても、間欠的に形成される(例えば、各側壁部3の底縁の両端部、すなわちカバー本体4の四隅に形成される)ものであってもよい。また、突条6は、突条間の間隔W2がカバー本体内に収容される管状体101の外径Rよりも幾分小さくなるように形成され、数mm程度の突出量に形成されている。
カバー本体4の対をなすそれぞれの側壁部3の一部には、中程から底縁(頂壁部2とは反対側の側縁)にかけて、側壁部3の他の部分よりも相対的に脆弱に形成されて除去可能な側壁用脆弱部7が形成されている。
この例では、側壁用脆弱部7は、それぞれの側壁部3のカバー本体4の長手方向の中央部分に形成され、全体として矩形状に形成されている。したがって、複数のカバー本体4を側壁部同士を突き合わせて並設させた場合に、隣り合う側壁用脆弱部7同士がカバー本体4の長手方向でずれることなく整合した位置となるように形成されている。
また、カバー本体4の延設方向の一端部には、そこを閉塞するように設けられ、前記側壁用脆弱部7と同等に脆弱に形成されて除去可能な端部用脆弱部8が形成されている。
この例では、端部用脆弱部8は、カバー本体4の一端部の全面を閉塞するように矩形状に形成されている。
これら脆弱部(側壁用脆弱部7、端部用脆弱部8)は、その厚みを他の部分よりも薄く形成した薄肉部とすることで構成するようにしても、脆弱部7,8とその周囲との境界部分に(除去可能となる部分の外縁に沿って)肉薄となる溝7a,8aを形成して(脆弱部7,8を画成する周縁の3辺に薄肉の溝7a,8aを形成して)構成するようにしてもよい。この例では、厚みを他の部分よりも薄くすると共に、除去可能となる部分の外縁(境界)に溝7a,8aを形成することで脆弱部7,8が構成されている。
なお、この例では、脆弱部7,8にその中央部分で交差する十字の溝7b,8bをさらに追加形成して破壊しやすく(除去しやすく)構成されている。
また、頂壁部2には、カバー本体4を固定する固定具を取り付けるための固定具取付部10が設けられている。この例において、固定具は、ステンレスバンド等の取付バンド102で構成され、固定具取付部10は、カバー本体4の長手方向の中間部に一方の側壁部3から他方の側壁部3にかけて頂壁部2を凹ませてバンド取付用溝部11を延設し、このバンド取付用溝部11の略中央部分に該バンド取付用溝部11の底部との間で取付バンド102を挿通可能とするブリッジ部12を設けて構成されている。
この例では、カバー本体4の頂面(頂壁部2の表面)とブリッジ部12の上面は、同一面となるように(ブリッジ部12が頂壁部2から突設しないように)形成されている。また、バンド取付用溝部11は、カバー本体4の長手方向の中央となる位置に形成され、複数のカバー本体4を側壁部同士を突き合せて並設させた場合に、バンド取付用溝部11が直線的に連接されるようになっている。
さらに、この例においては、頂壁部2の長手方向に沿った両側縁(頂壁部から側壁部に移行する部分)には、側壁部3へ移行する部分に面取り13が施され、安全性を確保すると共にカバー本体の強度を高めている。
以上の構成において、電柱100に沿って施設された合成樹脂管101の一部が破損して孔101aが形成されている場合に、その部分を保守する場合には、カバー本体4の端部用脆弱部8をペンチ等で除去した上で、保護カバー1の両側壁部3を頂面部側から指で摘んで、図4(a)に示されるように、保護カバー1の背面側(収容空間5の突条間の開放側)を合成樹脂管101の破損箇所に近づけ、保護カバー1の長手方向を合成樹脂管101の長手方向と一致させて、破損箇所の上から覆い被せる。すると、側壁部3の底縁に設けられた突条6が合成樹脂管の外周面に当接し、そのままカバー本体4を合成樹脂管101に向かって押し込むと、突条6が合成樹脂管101の表面を摺接しつつ両側壁部3が弾性変形して幾分広げられ、合成樹脂管101が収容空間5へ導かれる。
そして、合成樹脂管101が収容空間5に導かれた後は、側壁部3の復元力により、突条6間の距離W2が合成樹脂管101の外径Rよりも狭められ、カバー本体4が合成樹脂管101から外れる不都合が抑制される。
その状態で、カバー本体4を軽く押えつつ、取付具としての取付バンド102をバンド取付用溝部11にブリッジ部12の下側を通すように施設し、この取付バンド102を、図4(b)に示されるように、電柱100に回し付けて保護カバー1を電柱100に固定すれば、取付作業は終了する。
したがって、上述の構成によれば、既設の合成樹脂管を浮かせて保護管を巻き付ける煩わしさがなくなり、保護カバー1を補修必要箇所に容易かつ短時間で取り付けることが可能となる。
また、接地線104が電柱の柱体内から柱体外に接地抵抗測定端子受口105を介して引き出されている場合において、接地抵抗測定端子受口105の近くまで合成樹脂管101が施設されているものの、接地抵抗測定端子受口105の周囲で接地線104が露出するような場合には、図5に示されるように、一極の接地線104a,104bに対して2つの保護カバー1a,1bを用意し、それぞれの保護カバー1a,1bにおいて、端部用脆弱部8を取り除かずにそのままとし、保護カバー1a,1bを互いに並設した際に隣接する側壁用脆弱部7をペンチ等で除去して側壁用開口3aを形成しておく。
そして、一方の保護カバー1aで接地線104aと接地抵抗測定端子受口105を覆うように、この保護カバー1aを接地抵抗測定端子受口105の直上に設けられた一方の合成樹脂管101aの端部に一部が重なるように取り付け、接地抵抗測定端子受口105と他方の合成樹脂管101bとの間に配される接地線104bを一方の保護カバー1aの側壁用開口3aを通してこの保護カバー1aの外側へ引き出した状態とする。
その後、他方の保護カバー1bを、一方の合成樹脂管101aと隣接する他方の合成樹脂管101bの延長上に配置すると共に一方の保護カバー1aに隣接するように設け、一方の保護カバー1aの側壁用開口3aから引き出された接地線104bを他方の保護カバー1bの側壁用開口3aを介して内側に引き入れ、接地線104bが両保護カバー1a,1bの外側に表出されない状態とする。
そして、その状態で、2つのカバー本体4を軽く押えつつ、取付バンドを2つの保護カバーのバンド取付用溝部11にそれぞれのブリッジ部12の下側を通すように施設し、この取付バンド102を、図5(b)に示されるように、電柱100に回し付けて保護カバーを電柱100に固定すれば、取付作業は終了する。
したがって、このような構成によれば、既存の合成樹脂管や柔軟性のある板材を加工して電気設備技術基準に適合する設備を構築する必要がなく(接地抵抗測定端子受口付近を覆う必要がなく)、また、既設の合成樹脂管を少し浮かせて保護管を巻き付ける煩わしさもなくなり、保護カバー1a,1bを合成樹脂管101a,101bの上から被せて取り付けるだけで、接地抵抗測定端子受口105を覆うことができると共に、合成樹脂管101a,101bと接地抵抗測定端子受口105との間に表出する接地線104a,104bを覆うことができるので、接地抵抗測定端子受口付近を容易かつ短時間で保護することが可能となる。
また、既存の合成樹脂管の上から取り付けできるので、既設の設備を廃棄することなく継続使用することができ、必要最低限の作業・費用にて工事を行うことが可能となる。さらに、本保護カバーの一端部、及び、側壁部の脆弱部をペンチ等で除去できる構造にしたので、共通の保護カバー1を用いて、接地抵抗測定端子受口の保護のみならず、合成樹脂管の破損した部分の改修にも流用することが可能となる。
なお、上述においては、接地線が一極である場合の例を示したが、2極(表出する接地線数は4本)の場合や、3極(表出する接地線数は6本)の場合でも、本保護カバー1を4つ、又は、6つ並設することで対応することができ、例えば、2極の場合には、図6に示されるように、4本の合成樹脂管の端部のそれぞれに保護カバー1を取り付けるようにするとよい。
例えば、図6において、図中右から2本目の合成樹脂管の延長上に接地抵抗測定端子受口105が設けられている場合には、図中右側の合成樹脂管から順次、第1の合成樹脂管101a、第2の合成樹脂管101b、第3の合成樹脂管101c、第4の合成樹脂管101dとし、また、それぞれの合成樹脂管に取り付けられる保護カバーを、図中右側から順次第1の保護カバー1a、第2の保護カバー1b、第3の保護カバー1c、第4の保護カバー1dとすると、第1の保護カバー1aは、第2の保護カバー1bと対峙する側壁用脆弱部をペンチ等で除去し、第2の保護カバー1bと第3の保護カバー1cは、両側壁用脆弱部を除去し、第4の保護カバー1dは、第3の保護カバー1cと対峙する側壁用脆弱部を除去し、接地抵抗測定端子受口105と第1の合成樹脂管101aとの間に表出される接地線104aを第1の保護カバー1aと第2の保護カバー1bの互いに接触する側面部に形成された側壁用開口を通して第1の保護カバー1aと第2の保護カバー1bの内側に配置し、接地抵抗測定端子受口105と第2の合成樹脂管101bとの間に表出される接地線104bを第2の保護カバー1bの内側のみに配置し、接地抵抗測定端子受口105と第3の合成樹脂管101cとの間に表出される接地線104cを第2の保護カバー1bと第3の保護カバー1cの互いに接触する側壁部に形成された側壁用開口を通して第2の保護カバー1bと第3の保護カバー1cの内側に配置し、接地抵抗測定端子受口105と第4の合成樹脂管101dとの間に表出される接地線104dを第2の保護カバー1bと第3の保護カバー1cの互いに接触する側壁部に形成された側壁用開口と、第3の保護カバー1cと第4の保護カバー1dの互いに接触する側壁部に形成された側壁用開口とを通して第2の保護カバー1b、第3の保護カバー1c、及び第4の保護カバー1dの内側に配置するようにするとよい。
したがって、接地が複数極ある場合でも,本保護カバーを複数個使用することで容易に対応することができるため,接地極数に左右されずに容易に改修することが可能となる。
図7及び図8において、保護カバー1の他の構成例が示されており、この保護カバー1は、断面コ字状のカバー本体4を有し、このカバー本体4の両側壁部3の中央に側壁用脆弱部7を、一方の端部に端部用脆弱部8を設けた構成、及び、側壁部3の頂壁部2とは反対側の側縁(底縁)に、内側に向けて突設された突条6を有する点は前記構成例と同様であるが、カバー本体4を固定する固定具を取り付け可能な固定具取付部10の構成が異なっている。
この例において、固定具は、合成樹脂管を把持可能なクリップ20で構成されているもので、クリップ20は、合成樹脂管を把持可能な対をなす把持片21と、この把持片21に続いて形成された対をなすつまみ片22とを備え、対をなすつまみ片22は、把持片21と反対側の端部が互いに連接されている。このクリップ20は、その全体が金属や合成樹脂などを加工して一体に形成されているもので、対をなす把持片21やつまみ片22は、互いに所定の間隔に維持されるように形状が設定されており、離反する方向に弾性変形するようになっている。
保護カバー1の固定具取付部10は、クリップ20を取り付けるためのもので、クリップ20の対をなす把持片21,21を挿通させると共に、カバー本体4をクリップ20に対して位置決め固定するためのブリッジ部12を間に備えた対をなすクリップ装着用スリット15をカバー本体4に形成して構成されている。このクリップ装着用スリット15は、側壁用脆弱部7の両側(カバー本体の長手方向において側壁用脆弱部の前後)の2箇所に設けられており、頂壁部2から側壁部3にかけて形成されている。
対をなすつまみ片22の間隔は、前記ブリッジ部12の幅に略等しく形成され、対をなすつまみ片22の間にブリッジ部12を配置させることで、カバー本体4をクリップ20に対して位置決め固定できるようにしている。
なお、他の構成は前記構成例と同様であるので、同一箇所に同一符号を付して説明を省略する。
このような保護カバー1を合成樹脂管101に取り付けるには、カバー本体4の端部用脆弱部8をペンチ等で除去した上で、図9(a)に示されるように、保護カバー1の収容空間5に合成樹脂管101を配置し、その状態でクリップ20の対をなす把持片21をクリップ装着用スリット15に挿入して、この対をなす把持片21で合成樹脂管101の側面を把持し、それと同時に、クリップ20の対をなすつまみ片22間にカバー本体4のブリッジ部12を挿入する。すると、クリップ20は、対をなす把持片21の把持力で合成樹脂管101の側面に固定され、また、保護カバー1は、クリップ20により合成樹脂管101の軸方向の位置が規制され、また、保護カバー1のブリッジ部12がクリップ20の対をなすつまみ片22間に挿入されているので、保護カバー1は、合成樹脂管101を中心として回転することがなく、クリップ20によって位置決め保持されて合成樹脂管101の所望箇所に固定される。
なお、図9(a)の構成において、一点鎖線で示されるように、クリップ20を装着した上で、更にカバー本体4のクリップ装着用スリット15とクリップ装着用スリット15との間に取付バンド102を回し付け、電柱等に固定するようにしてもよい。このような構成にすれば、より強固な取付状態が形成され、クリップ20が誤って外れた場合でもカバー本体の脱落を防止することが可能となる。
また、図7の保護カバーによれば、合成樹脂管に固定する際にクリップがないような場合でも、図9(b)に示されるように、取付バンド102をブリッジ部12の上からその両脇のクリップ装着用スリット15を通すように係止させて電柱等に固定するようにしてもよい。
したがって、このような構成においても、既存の合成樹脂管や柔軟性のある板材を加工して電気設備技術基準に適合する設備を構築する必要がなく、また、既設の合成樹脂管を浮かせて保護管を巻き付ける煩わしさもなくなり、合成樹脂管の上から被せるだけで簡単に取り付けることができ、作業者の労力を軽減することができるとともに,作業時間を短縮して、業務効率を高めることが可能となる。
図7及び図8に示す保護カバーの変形例として、図10に示すような構成としてもよい。図7及び図8で示す保護カバー1においては、カバー本体4に設けられる2つのクリップ装着用スリット15を、カバー本体4の長手方向において、側壁用脆弱部7の両側に設けた例を示したが、この変形例においては、カバー本体4の長手方向において、側壁用脆弱部7に対して端部用脆弱部8が設けられた側とは反対側に2つのクリップ装着用スリット15を間隔をあけて設けるようにしている。
即ち、端部用脆弱部8が設けられたカバー本体4の端部からこれに近いクリップ装着用スリット15までの距離を、端部用脆弱部8が設けられていないカバー本体の端部からこれに近いクリップ装着用スリット15までの距離より大きくしている。
なお、他の構成は、図7,8の構成と同様であるので、同一箇所に同一符号を付けて説明を省略する。
このような構成によれば、図5(a)に示されるように、接地線104が電柱の柱体内から柱体外に接地抵抗測定端子受口105を介して引き出されている場合において、接地抵抗測定端子受口105の近くまで合成樹脂管101が施設されているものの、接地抵抗測定端子受口105の周囲で接地線104が露出するような場合において、合成樹脂管101の端部に保護カバー1を取り付けるにあたり、図11に示されるように、接地抵抗測定端子受口105を覆うように保護カバー1a,を合成樹脂管の端部からずらして取り付けた場合でも、2箇所のクリップ装着用スリット15を介して挿入されたそれぞれのクリップ20を合成樹脂管101a,101bに装着させることが可能となり、保護カバー1の合成樹脂管101a,101bへの装着状態を強固にすることが可能となる。
1 保護カバー
2 頂壁部
3 側壁部
4 カバー本体
5 収容空間
6 突条
7 側壁用脆弱部
8 端部用脆弱部
10 固定具取付部
11 バンド取付用溝部
12 ブリッジ部
15 クリップ装着用スリット
20 クリップ
21 把持片
101 合成樹脂管
102 取付バンド

Claims (5)

  1. 管状体に取り付けられる保護カバーであって、
    頂壁部及びこの頂壁部の両側縁から略垂直に立設された対をなす側壁部により断面コ字状をなして延設され、内部に前記管状体が収容される収容空間が形成されたカバー本体と、
    前記対をなすそれぞれの側壁部の一部に該側壁部の他の部分よりも相対的に脆弱に形成されて除去可能な側壁用脆弱部と、
    前記カバー本体の延設方向の一端部を閉塞するように設けられ、前記側壁用脆弱部と同等に禰弱に形成されて除去可能な端部用脆弱部と、
    少なくとも前記頂壁部に設けられ、前記カバー本体を固定する固定具を取り付け可能な固定具取付部と、
    を具備することを特徴とする保護カバー。
  2. 前記側壁部の前記頂壁部とは反対側の側縁に設けられ、内側に向けて突設された突条をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の保護カバー。
  3. 前記側壁用脆弱部と前記端部用脆弱部とは、その厚みを周囲の厚みよりも薄く形成した薄肉部で構成され、又は、少なくとも除去可能となる部分の外縁に沿って溝を形成して構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の保護カバー。
  4. 前記固定具は、取付バンドにより構成され、
    前記固定具取付部は、前記取付バンドを挿通させる通孔を備えたバンド挿通部を頂壁部に形成して構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の保護カバー。
  5. 前記固定具は、前記管状体を把持可能な対をなす把持片を有したクリップにより構成され、
    前記固定具取付部は、前記クリップの対をなす把持片を挿通させると共に、間に前記カバー本体を前記クリップに対して位置決め固定するためのブリッジ部を備えた対をなすクリップ装着用スリットを前記頂壁部から前記側壁部にかけて形成して構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の保護カバー。


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