JP5921569B2 - ヒドリドシランの製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハロゲン化シランからのヒドリドシランの製造法に関する。
ヒドリドシランまたはその混合物は、刊行物中にシリコン層を発生させるために考えられうる出発物質として記載されている。その際に、ヒドリドシランとは、主として単にシリコン原子および水素原子を含む化合物であると解釈できる。ヒドリドシランは、ガス状、液状または固体であってよく、かつ固体の場合には、主として溶剤中、例えばトルエンもしくはシクロヘキサン中、または液状シラン中、例えばシクロペンタシラン中で可溶性である。例として、モノシラン、ジシラン、トリシラン、シクロペンタシランおよびネオペンタシランが挙げられる。少なくとも3個または4個のシリコン原子を有するヒドリドシランは、Si−H結合を有する、直鎖状の分枝鎖状または(任意に二環式/多環式)の環式構造を有することができ、かつそれぞれ一般式Sin2n+2(直鎖状または分枝鎖状;nは、2以上である)、Sin2n(環式;nは、3以上である)またはSin2(n-i)(二環式または多環式;nは、4以上であり;iは、{環の数}−1である)によって記載することができる。
ヒドリドシランを製造するための数多くの方法は、低級ヒドリドシラン、殊にSiH4を形式的な脱H2下に高級シランへ脱水素重合反応させることに基づく。その際に、この脱水素重合反応は、1)熱的に実施されてよく(触媒を使用しない場合には、米国特許第6027705号明細書A)および/または2)触媒、例えばa)元素状遷移金属(不均一系触媒反応;白金族金属、すなわちRu、Rh、Pd、Os、Ir、Ptが使用される場合には、米国特許第6027705号明細書A;第3B族〜第7B族および第8族の金属、すなわちCu族およびZn族を含まない遷移金属/ランタニド系列についての米国特許第5700400号明細書A)、b)非金属酸化物(不均一系触媒反応;Al23またはSiO2を使用する場合の米国特許第6027705号明細書A)、c)スカンジウム、イットリウムまたは希土類の水素化物シクロペンタジエニル錯体(均一系触媒反応;米国特許第4965386号明細書A、米国特許第5252766号明細書A)、d)遷移金属錯体(均一系触媒反応;第3B族〜第7B族および第8族の金属、すなわちCu族およびZn族を含まない遷移金属/ランタニド系列についての米国特許第5700400号明細書A;特開平02−184513号公報)またはe)担体上に不動態化された、一定の遷移金属(不均一系触媒反応;担体、例えばSiO2上の白金族金属が使用される場合の米国特許第6027705号明細書A、炭素上、SiO2上またはAl23上で不動態化されたルテニウム、ロジウム、パラジウムまたは白金についての米国特許第5700400号明細書A)または遷移金属錯体(不均一系触媒反応;担体、例えばSiO2上の白金族金属錯体が使用される場合の米国特許第6027705号明細書A)を使用することによって実施されてよい。しかし、全ての前記方法は、使用される低級ヒドリドシラン自体が最初に費用をかけて製造されなければならないという欠点を有する。更に、前記方法には、当該方法が出発物質の自己発火性のために高い装置的費用が必要であることは、不利である。最後に、前記方法では、これまで十分に高い収率を実現することができなかった。更に、費用のかかる浄化が必要である。
ジハロシランが、任意にトリハロシランおよび/またはテトラハロシランと一緒に電気化学的経路で反応される、ヒドリドシランを製造するための別の方法は、例えば欧州特許出願公開第0673960号明細書A1に記載されている。しかし、この方法も、電気化学的反応の実施のために、高い装置的費用が必要であり、さらに高いエネルギー密度が必要であるという欠点を有する。最後に、ここでも前もって、それぞれジハロシランまたはトリハロシランを最初に費用をかけて製造すべきである。
それとは別に、高級ヒドリドシランは、脱ハロゲン化およびハロシランとアルカリ金属との重縮合によって製造されてもよい(英国特許第2077710号明細書A)。しかし、この方法も十分でない高さの収率を生じる。更に、これは、あまり選択的でない方法である。
A.Kaczmarczyk他、J.Inorg.Nucl.Chem.、1964、第26巻、421〜425またはG.Urry,J.Inorg.Nucl.Chem.、1964、第26巻、409〜414は、低級クロロシランからの高級クロロシランの触媒反応による増成、殊にペンタシリコンドデカクロリド(ネオペンタシラン、Si(SiH34のクロロ類似物)の増成を教示している。すなわち、A.Kaczmarczyk他、J.Inorg.Nucl.Chem.、1964、第26巻、421〜425は、テトラクロロシランの生成下でヘキサクロロジシランからのペンタシリコンドデカクロリドの合成を教示している。更に、前記引用箇所には、オクタクロロトリシランの相応する使用の際に、ペンタシリコンドデカクロリドおよびヘキサクロロジシランが生じることが記載されている。前記引用箇所で使用される触媒は、トリメチルアミンである。G.Urry,J.Inorg.Nucl.Chem.、1964、第26巻、409〜414は、テトラクロロシランの生成下でヘキサクロロジシランからのペンタシリコンドデカクロリドのトリメチルアミン触媒反応による合成が教示されているか、またはヘキサクロロジシランの生成下でオクタクロロトリシランからのペンタシリコンドデカクロリドのトリメチルアミン触媒反応による合成が教示されている。この引用箇所には、ヒドリドシランへの前記生成物の水素化は、記載されていない。更に、この方法によれば、高級ペルクロロシランの満足のいく収率は、達成されない。更に、オクタクロロトリシランを使用する合成の変法の場合に、生じる副生成物のヘキサクロロジシランがヘキサクロロジシランを基礎とする変法の場合に生じるテトラクロロシランと比較して室温および常圧で易揮発性ではなく、それゆえに排出されず、費用をかけて留去されなければならないという欠点を有する。
WO 2008/051328A1には、ネオペンタシラン含有の組成物を製造するために、式X3SiSiX3のヘキサハロジシランを、第三級アミン触媒でテトラキス(トリハロシリル)シラン(Si(SiX34)およびテトラハロシランを含む第1の混合物の形成下に変換することが教示されている。2つの主要成分のテトラキス(トリハロシリル)シランおよびテトラハロシランは、互いに分離されてよい。得られたテトラキス(トリハロシリル)シランは、ジイソブチルアルミニウムヒドリドでの水素化によってネオペンタシラン(Si(SiH34)へ変換されてよい。しかし、この方法も反応方程式(4Si2Cl6→Si5Cl12+3SiCl4)に基づいてなお満足のいく収率を生じない。
ドイツ連邦共和国特許第102009053804号明細書には、ヒドリドシラン、殊にネオペンタシランをより高い収率で製造するための方法が記載されている。この方法の場合、
a)i)(nが3以上であり、かつXがF、Cl、Brおよび/またはIである)一般式Sin2n+2の少なくとも1つのハロゲン化シランおよび
ii)一般式
NRR'aR''bc
〔式中、aは、0または1であり、bは、0または1であり、およびcは、0または1であり、かつ
Yは、
Figure 0005921569
であり、
上記式中、
aa)− R、R'および/またはR''は、−C1〜C12アルキル、−C1〜C12アリール、−C1〜C12アラルキル、−C1〜C12アミノアルキル、−C1〜C12アミノアリール、−C1〜C12アミノアラルキル、殊に有利に−Ph、−PhCH3、−PhC25、−PhC37、−CH2(C64)CH3、−CH2(C64)C25、−C24(C64)C25、−C24(C64)C37、−C36(C64)C37、−C62(CH33、−C63(CH32、−C87、−C86CH3
(R'''およびR''''が−C1〜C10アルキル、−C1〜C10アリールおよび/または−C1〜C10アラルキルである)−PhNR'''R''''、−PhCH2NR'''R''''、−PhC24NR'''R''''、−PhC36NR'''R''''、−CH2(C64)CH2NR'''R''''、−CH2(C64)C24NR'''R''''、−C24(C64)C24NR'''R''''、−C24(C64)C36NR'''R''''、−C36(C64)C36NR'''R''''、−CH2NR'''R''''、−C24NR'''R''''、−C36NR'''R''''、−C48NR'''R''''、−C510NR'''R''''、−C612NR'''R''''、−C714NR'''R''''、−C816NR'''R''''、−C918NR'''R''''および/または−C1020NR'''R''''であり、
および/または
− cが0である場合にR、R'およびR''の2個または3個の基は、一緒になってNを含む、環式または二環式のヘテロ脂肪族系またはヘテロ芳香族系を形成し、殊にその際に有利には、これらの環式または二環式のヘテロ脂肪族系またはヘテロ芳香族系は、ピロリジン環系、ピロール環系、ピペリジン環系、ピリジン環系、ヘキサメチレンイミン環系、アザトロピリデン環系またはキノリン環系であり、
− 但し、基R、R'またはR''の少なくとも1個は、−CH3ではないものとし、
および/または
bb)− (cが1である場合の)RおよびR'および/またはR''は、−C1〜C12アルキレン、−C1〜C12アリーレン、−C1〜C12アラルキレン、−C1〜C12ヘテロアルキレン、−C1〜C12ヘテロアリーレン、−C1〜C12ヘテロアラルキレンおよび/または−N=、
殊に有利に−CH2−、−C24−、−C36−、−C48−、−C510−、−C612−、−C714−、−C816−、−C918−、−C1020−、−Ph−、−PhCH2−、−PhC24−、−PhC36−、−CH2(C64)CH2−、−CH2(C64)C24−、−C24(C64)C24−、−C24(C64)C36−、−C36(C64)C36−、−C6H(CH33−、−C62(CH32−、−CH=、−CH=CH−、−N=、−N=CH−および/または−CH=N−であるか、
または
cc)− (a、b、cが0である場合に)Rは、(R'''が−C1〜C10アルキル、−C1〜C10アリールおよび/または−C1〜C10アラルキルである)≡C−R'''である〕の少なくとも1つの触媒は、
一般式(mがnより大きく、かつXがF、Cl、Brおよび/またはIである)Sim2m+2および(XがF、Cl、Brおよび/またはIである)SiX4の少なくとも1つのハロゲン化シランを含む混合物の形成下に反応され、
および
b)一般式Sim2m+2の少なくとも1つのハロゲン化シランは、一般式Sim2m+2のヒドリドシランの形成下に水素化される。
前記方法の欠点は、(mが3よりも大きい)一般式Sim2m+2の第一級反応生成物の記載にも拘わらず、前記一般式のヒドリドシランと(1<y<2m+1である)一般式Sim(2m+2-y)yの部分ハロゲン化されたヒドリドシランとの混合物が生じることである。この部分ハロゲン化されたヒドリドシランは、さらなる加工、殊に有利にオプトエレクトロニクスにおいて使用されるシリコン含有層の製造にとって不利である。それというのも、該層中の残留塩素の割合は、低減された電気的性質を生じるからである。
従って、本発明の課題は、ドイツ連邦共和国特許第102009053804号明細書中に記載された方法において、記載された欠点を回避するように最適化することである。
この課題は、本発明によれば、
a)i)(nが3以上であり、かつXがF、Cl、Brおよび/またはIである)一般式Sin2n+2の少なくとも1つのハロゲン化シランおよび
ii)一般式
NRR'aR''bc
〔式中、aは、0または1であり、bは、0または1であり、およびcは、0または1であり、かつ
Yは、
Figure 0005921569
であり、
上記式中、
aa)− R、R'および/またはR''は、−C1〜C12アルキル、−C1〜C12アリール、−C1〜C12アラルキル、−C1〜C12アミノアルキル、−C1〜C12アミノアリール、−C1〜C12アミノアラルキル、殊に有利に−Ph、−PhCH3、−PhC25、−PhC37、−CH2(C64)CH3、−CH2(C64)C25、−C24(C64)C25、−C24(C64)C37、−C36(C64)C37、−C62(CH33、−C63(CH32、−C87、−C86CH3
(R'''およびR''''が−C1〜C10アルキル、−C1〜C10アリールおよび/または−C1〜C10アラルキルである)−PhNR'''R''''、−PhCH2NR'''R''''、−PhC24NR'''R''''、−PhC36NR'''R''''、−CH2(C64)CH2NR'''R''''、−CH2(C64)C24NR'''R''''、−C24(C64)C24NR'''R''''、−C24(C64)C36NR'''R''''、−C36(C64)C36NR'''R''''、−CH2NR'''R''''、−C24NR'''R''''、−C36NR'''R''''、−C48NR'''R''''、−C510NR'''R''''、−C612NR'''R''''、−C714NR'''R''''、−C816NR'''R''''、−C918NR'''R''''および/または−C1020NR'''R''''であり、
および/または
− cが0である場合にR、R'およびR''の2個または3個の基は、一緒になってNを含む、環式または二環式のヘテロ脂肪族系またはヘテロ芳香族系を形成し、殊にその際に有利には、これらの環式または二環式のヘテロ脂肪族系またはヘテロ芳香族系は、ピロリジン環系、ピロール環系、ピペリジン環系、ピリジン環系、ヘキサメチレンイミン環系、アザトロピリデン環系またはキノリン環系であり、
− 但し、基R、R'またはR''の少なくとも1個は、−CH3ではないものとし、
および/または
bb)− (cが1である場合の)RおよびR'および/またはR''は、−C1〜C12アルキレン、−C1〜C12アリーレン、−C1〜C12アラルキレン、−C1〜C12ヘテロアルキレン、−C1〜C12ヘテロアリーレン、−C1〜C12ヘテロアラルキレンおよび/または−N=、
殊に有利に−CH2−、−C24−、−C36−、−C48−、−C510−、−C612−、−C714−、−C816−、−C918−、−C1020−、−Ph−、−PhCH2−、−PhC24−、−PhC36−、−CH2(C64)CH2−、−CH2(C64)C24−、−C24(C64)C24−、−C24(C64)C36−、−C36(C64)C36−、−C6H(CH33−、−C62(CH32−、−CH=、−CH=CH−、−N=、−N=CH−および/または−CH=N−であるか、
または
cc)− (a、b、cが0である場合に)Rは、(R'''が−C1〜C10アルキル、−C1〜C10アリールおよび/または−C1〜C10アラルキルである)≡C−R'''である〕の少なくとも1つの触媒は、
一般式(mがnより大きく、かつXがF、Cl、Brおよび/またはIである)Sim2m+2および(XがF、Cl、Brおよび/またはIである)SiX4の少なくとも1つのハロゲン化シランを含む混合物の形成下に反応され、
b)一般式Sim2m+2の少なくとも1つのハロゲン化シランは、一般式Sim2m+2のヒドリドシランの形成下に水素化され、
c)一般式Sim2m+2のヒドリドシランは、(1<y<2m+1である)一般式Sim(2m+2-y)yの部分ハロゲン化されたヒドリドシランと分離され、および
d)任意に、工程c)で分離された、(1<y<2m+1である)一般式Sim(2m+2-y)yの部分ハロゲン化されたヒドリドシランは、再び水素化される方法によって解決される。
本発明による方法の際に使用されるハロゲンシランは、主としてシリコン原子およびハロゲン原子(ハロゲン=フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)だけからなりかつ少なくとも3個のシリコン原子を有する化合物である。少なくとも3個または4個のシリコン原子を有する一般式Sin2n+2のハロゲン化シランは、直鎖状構造または分枝鎖状構造を有することができる。
直鎖状ハロゲン化シランは、特に良好に本発明による方法に使用可能である。
好ましくは、一般式Sin2n+2の少なくとも1つのハロゲン化シランは、オクタハロゲントリシランまたはデカハロゲンテトラシラン、すなわちXがF、Cl、Brおよび/またはIである一般式Si38またはSi410の化合物、または挙げられたシランからなる混合物の群から選択された化合物である。
オクタハロゲントリシランは、殊に好ましい。他方で、前記化合物の中で、オクタフルオロトリシラン、オクタクロロトリシラン、オクタブロモトリシランおよびオクタヨードトリシラン、すなわちXがF、Cl、BrまたはIである一般式Si38の化合物は、特に好ましい。オクタクロロトリシランの使用は、本発明による方法の場合に、第一級方法生成物(SiX4の他に)としてネオペンタシランが公知技術水準による別の方法による生成物よりもはるかにより高い収率およびはるかにより高い純度で製造されうるという利点を有する。本発明による方法にとってオクタクロロシランとデカクロロテトラシランとからなる混合物は、殊に有利に使用され、その際にオクタクロロトリシランの割合は、前記混合物に対して、たいてい少なくとも20質量%、有利に少なくとも80質量%である。
前記方法で使用される反応混合物に対する、少なくとも1つのハロゲン化シランの割合は、当該反応混合物の全質量に対して、特に少なくとも60質量%、有利に少なくとも80質量%である。殊に有利には、前記反応混合物は、少なくとも1つの触媒および単数または複数のハロゲン化シランだけを含有する。
本発明による方法の場合に使用可能な触媒は、一般式
NRR'aR''bc
〔式中、aは、0または1であり、bは、0または1であり、およびcは、0または1であり、かつ
Yは、
Figure 0005921569
であり、
上記式中、R、R'およびR''は、互いに独立にさまざまな一価基または二価基であってよく、これらの基は、窒素原子Nの置換基であるか、または任意に、存在する場合には、基Yを編入させながら窒素原子と共に(任意に、二環式または三環式の)環式構造を形成することができる〕の触媒である。
cが0でありかつaおよびbが1である場合には、触媒の一般式は、第三級(任意に、環式、二環式または三環式の)アミンまたは窒素原子含有のヘテロ芳香族化合物であってよい触媒の好ましい群を説明する。
特に有利には、a、bが1でありかつcが0である場合に、この場合の触媒は、第三級アミン、すなわち一般式
NRR'R''
〔式中、R、R'およびR''は、−Ph、−PhCH3、−PhC25、−PhC37、−CH2(C64)CH3、−CH2(C64)C25、−C24(C64)C25、−C24(C64)C37、−C36(C64)C37、−C62(CH33、−C63(CH32、−C87、−C86CH3、(R'''およびR''''が−C1〜C10アルキル、−C1〜C10アリールおよび/または−C1〜C10アラルキルである)−PhNR'''R''''、−PhCH2NR'''R''''、−PhC24NR'''R''''、−PhC36NR'''R''''、−CH2(C64)CH2NR'''R''''、−CH2(C64)C24NR'''R''''、−C24(C64)C24NR'''R''''、−C24(C64)C36NR'''R''''、−C36(C64)C36NR'''R''''、−CH2NR'''R''''、−C24NR'''R''''、−C36NR'''R''''、−C48NR'''R''''、−C510NR'''R''''、−C612NR'''R''''、−C714NR'''R''''、−C816NR'''R''''、−C918NR'''R''''および/または−C1020NR'''R''''であり、
但し、基R、R'またはR''の少なくとも1個は、−CH3ではないものとする〕の触媒である。
特に、cが0であり、かつaが1であり、かつbが0または1である場合の基R、R'またはR''の2個または3個は、一緒になってNを含む、環式または二環式のヘテロ脂肪族系またはヘテロ芳香族系を形成することができる。好ましくは、その際に生じる触媒は、環式または二環式のヘテロ脂肪族環系またはヘテロ芳香族環系、有利にピロリジン、ピロール、ピペリジン、ピリジン、ヘキサメチレンイミン、アザトロピリデンまたはキノリンである。
好ましくは、(a、b、cが0である場合の)Rは、(R'''が−C1〜C10アルキル、−C1〜C10アリールおよび/または−C1〜C10アラルキルである)=C−R'''であってもよい。相応する触媒は、アルキルニトリルである。
cが1である場合には、一般式NRR'aR''bcは、環式構造または二環式(任意に多環式の)環式構造を有する、少なくとも1個のさらなるヘテロ原子を有する様々な触媒を説明する。
好ましい単環式構造、例えばトリアゾール、オキサジンまたはピペラジンは、
Yが
Figure 0005921569
であり、かつ
相応する基R、R'またはR''の2個または3個が−C1〜C12アルキレン基、−C1〜C12アリーレン基、−C1〜C12アラルキレン基、−C1〜C12ヘテロアルキレン基、−C1〜C12ヘテロアリーレン基および−C1〜C12ヘテロアラルキレン基および/または−N=(有利に、−CH2−、−C24−、−C36−、−C48−、−C510−、−C612−、−C714−、−C816−、−C918−、−C1020−、−Ph−、−PhCH2−、−PhC24−、−PhC36−、−CH2(C64)CH2−、−CH2(C64)C24−、−C24(C64)C24−、−C24(C64)C36−、−C36(C64)C36−、−C6H(CH33−、−C62(CH32−、−CH=、−CH=CH−、−N=、−N=CH−および/または−CH=N−)からなる群から選択される場合に生じる。
更に、それぞれ任意に前記環の形成の際に関与しない基R、R'またはR''は、
−C1〜C12アルキル、−C1〜C12アリール、−C1〜C12アラルキル、−C1〜C12アミノアルキル、−C1〜C12アミノアリール、−C1〜C12アミノアラルキル、有利に−Ph、−PhCH3、−PhC25、−PhC37、−CH2(C64)CH3、−CH2(C64)C25、−C24(C64)C25、−C24(C64)C37、−C36(C64)C37、−C62(CH33、−C63(CH32、−C87、−C86CH3
(R'''およびR''''が−C1〜C10アルキル、−C1〜C10アリールおよび/または−C1〜C10アラルキルである)−PhNR'''R''''、−PhCH2NR'''R''''、−PhC24NR'''R''''、−PhC36NR'''R''''、−CH2(C64)CH2NR'''R''''、−CH2(C64)C24NR'''R''''、−C24(C64)C24NR'''R''''、−C24(C64)C36NR'''R''''、−C36(C64)C36NR'''R''''、−CH2NR'''R''''、−C24NR'''R''''、−C36NR'''R''''、−C48NR'''R''''、−C510NR'''R''''、−C612NR'''R''''、−C714NR'''R''''、−C816NR'''R''''、−C918NR'''R''''および/または−C1020NR'''R''''からなる群から選択されている。
殊に有利に、cが1である一般式NRR'aR''bcの触媒は、二環式または多環式のアミン化合物である。二環式または多環式のアミン化合物は、
Yが
Figure 0005921569
であり、かつ−C1〜C12アルキレン基、−C1〜C12アリーレン基、−C1〜C12アラルキレン基、−C1〜C12ヘテロアルキレン基、−C1〜C12ヘテロアリーレン基および−C1〜C12ヘテロアラルキレン基および/または−N=からなる群からの基R、R'またはR''の相応する選択が当てはまる場合に生じる。更に、好ましくは、基R、R'またはR''は、−CH2−、−C24−、−C36−、−C48−、−C510−、−C612−、−C714−、−C816−、−C918−、−C1020−、−Ph−、−PhCH2−、−PhC24−、−PhC36−、−CH2(C64)CH2−、−CH2(C64)C24−、−C24(C64)C24−、−C24(C64)C36−、−C36(C64)C36−、−C6H(CH33−、−C62(CH32−、−CH=、−CH=CH−、−N=、−N=CH−および/または−CH=N−からなる群から選択されている。殊に好ましい触媒は、アザビシクロアルカンおよびピペラジン、殊にジアザビシクロオクタンおよびN,N−1,4−ジメチルピペラジンである。
最もよい結果は、本発明による方法の場合に、さらなるヘテロ原子を有するかまたは有しない環式、二環式または多環式のアミンからなる化合物の群から選択された触媒を使用する場合に達成されうる。
なおさらに好ましくは、触媒として、ジアザビシクロオクタン、ピリジンおよびN,N−1,4−ジメチルピペラジンが使用されうる。前記の触媒は、オクタハロゲントリシラン、デカハロゲンテトラシランまたはこれらからなる混合物を相応するテトラキス(トリハロシリル)シラン(Si(SiX34)へ変換することを触媒反応により行なうために、特に良好に適している。
従って、同様に本発明の対象は、
a)i)XがF、Cl、Brおよび/またはIである一般式Si38の少なくとも1つのオクタハロゲントリシラン、XがF、Cl、Brおよび/またはIである一般式Si410のデカハロゲンテトラシラン、またはこれらからなる混合物を、
ii)ジアザビシクロオクタン、ピリジンおよびN,N−1,4−ジメチルピペラジンからなる群から選択された、少なくとも1つの触媒と、
一般式(XがF、Cl、Brおよび/またはIである)Si512および(XがF、Cl、Brおよび/またはIである)SiX4の少なくとも1つのハロゲン化シランを含む混合物の形成下に反応させ、
b)一般式Si512の少なくとも1つのハロゲン化シランを一般式Si512のネオペンタシランの形成下に水素化し、
c)一般式Si512のネオペンタシランを(1<y<11である)一般式Si512-yyの部分ハロゲン化されたヒドリドシランと分離し、かつ
d)任意に、工程c)で分離された、(1<y<11である)一般式Si512-yyの部分ハロゲン化されたヒドリドシランを、再び水素化する、ネオペンタシランを製造するための方法である。
クロロシランの使用された量に対する、少なくとも1つの触媒の割合は、ヒドリドシラン、殊にネオペンタシランを製造するための本発明による方法の際に、有利に0.001〜1質量%である。
その際に、前記触媒は、純粋な物質として使用されうるか、または溶剤中、例えばジエチルエーテル中の懸濁液として、有利に当該懸濁液の全質量に対して1〜25質量%の触媒の割合で使用されうる。
この反応は、溶剤の存在下または不在下で行なうことができる。好ましくは、本発明による方法は、溶剤なしで実施される。しかし、本発明による方法を溶剤の存在下で実施する場合には、好ましい溶剤として、18個までの炭素原子を有する直鎖状、分枝鎖状または環式の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素からなる群から選択された溶剤(任意に部分的または完全にハロゲン化された)、エーテル、ケトンおよびエステルが使用されてよい。特に、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン、テトヒドロナフタリン、デカヒドロナフタリン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、p−ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタンおよびクロロホルムが好ましい。特に良好に使用可能な溶剤は、炭化水素のn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレンである。前記溶剤は、全質量の0.01〜90質量%であることができる。
一般式Sin2n+2のハロゲン化シランの触媒により促進される変換は、有利に−78〜300℃の温度および1ミリバール〜5バールの圧力で行なわれる。
特に有利には、ハロゲン化シランの触媒により促進される変換は、10〜50℃および900〜1100ミリバールで行なわれる。
一般式(mがnより大きく、かつXがF、Cl、Brおよび/またはIである)Sim2m+2およびSiX4の少なくとも1つのハロゲン化シランを含む混合物の形成後に、前記混合物は、原理的にさらなる後精製なしに次の水素化に使用されてよい。
しかし、有利に、生じたテトラハロゲン化シランは、水素化前に一般式Sim2m+2の生じたハロゲン化シランと分離される。更に有利には、これは、SiX4の留去または抽出により、−30〜+100℃の温度および0.01〜1100ミリバールの圧力、有利に+30〜+60℃の温度および0.02〜1.0ミリバールの圧力で行なわれる。
一般式Sim2m+2の少なくとも1つのハロゲン化シランは、工程b)およびd)において、一般式Sim2m+2のヒドリドシランの形成下に水素化される。好ましくは、これは、第1主族〜第3主族の金属の金属水素化物の群(殊に、アルカリ金属水素化物またはアルカリ土類金属水素化物)またはLiAlH4、NaBH4、iBu2AlHからなる水素化物化合物の群から選択された、少なくとも1つの水素化剤を使用しながら行なわれる。特に有利には、水素化剤は、iBu2AlHである。
また、本発明による方法により製造可能なヒドリドシランとは、実質的に単にシリコン原子および水素原子を含む化合物であると解釈することができる。このヒドリドシランは、ガス状、液状または固体であってよく、かつ固体の場合には、実質的に溶剤中、例えばトルエンもしくはシクロヘキサン中、または液状シラン中、例えばシクロペンタシラン中で可溶性である。例として、ジシラン、トリシラン、シクロペンタシランおよびネオペンタシランが挙げられる。また、このヒドリドシランは、Si−H結合を有する直鎖状または分鎖状の構造を有していてよい。本発明による方法は、分枝鎖状ヒドリドシランの製造に特に良好に適している。殊に、ネオペンタシランの製造に適した出発物質を選択する場合には、特に良好に適している。
工程b)において、水素化剤は、特に良好な結果の達成のために、ハロゲン化シランの水素化すべきハロゲン原子に対して、1.0〜1.5、有利に1.05〜1.2のH当量の割合で使用される。
工程d)において、完全な水素化を達成するために、より僅かな割合の水素化剤を使用することができる。好ましくは、工程d)において、元来工程b)において水素化すべき、ハロゲン化シランのハロゲン原子に対して0.05〜0.5、有利に0.1〜0.3のH当量の割合が使用される。
また、前記水素化は、溶剤の存在下または不在下で行なうことができる。好ましくは、前記水素化は、溶剤の存在下で実施される。有利に使用可能な溶剤は、18個までの炭素原子を有する直鎖状、分枝鎖状または環式の、飽和、不飽和または芳香族の炭化水素およびエーテルからなる群から選択されてよい。特に、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン、テトヒドロナフタリン、デカヒドロナフタリン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、p−ジオキサン、アセトニトリルが好ましい。特に良好に使用可能な溶剤は、炭化水素のn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレンである。特に好ましい変法において、使用される水素化剤がi−Bu2AlHである場合には、水素化の際に生じる液状i−Bu2AlClは、溶剤として利用されうる。前記溶剤は、全質量の0.01〜90質量%であることができる。
一般式Sim2m+2のハロゲン化シランの水素化は、有利に−78〜300℃の温度および500ミリバール〜5バールの圧力で行なわれる。特に有利には、水素化は、−10〜30℃および900〜1100ミリバールで行なわれる。
工程b)の終結後に必要とされる、その際に存在するヒドリドシランと部分ハロゲン化されたヒドリドシラン(工程c))との分離は、原理的に任意に行なうことができる。
有利に、前記混合物の僅かな熱的負荷、ひいては低減された分解、さらなる反応または後続反応のために、蒸発器中での分離は、短い滞留時間およびより低い蒸発圧力で実施される。このために、薄膜蒸発器が使用されてよく、または、短路蒸発器、分子蒸留とも呼称される、が使用されてもよい。この場合、典型的な方法圧力は、5ミリバール未満である。蒸発器内の生成物温度は、生成物の分解を阻止するために、100℃を上廻るべきではなかった。これによって取得される留出物は、引続き精留プロセスにおいてさらに後精製される。塔底生成物は、前記反応のための溶剤としての再利用に供給されてよい。その際に生じる、冷却トラップ中で捕集される低沸点物は、価値のある生成物として使用されるか、または塩化物含量に依存して廃棄される。
蒸発の際に得られた留出物のさらなる後精製は、精留塔内で行なわれる。その際、連続的な実施が行なわれうるか、またはバッチ形式での実施が行なわれうる。精留は、50〜100℃の温度範囲内で、塔底部で行なわれるかまたは精留装置のバブルトレイ(Blase)で行なわれる。しかし、この精留は、150℃までに高められてもよい。その際に調節すべき精留圧力は、1〜100ミリバールの範囲内にある。
バッチ式精留の場合、価値のある生成物の引き取りは、分別して行なわれる。連続的な後処理の場合、少なくとも2個の塔が必要とされ、その際に第2の塔内の価値のある生成物は、留出物として引き取られる。
その際に、専ら生じる反応した水素化剤は、塔底部内に取り残され、および部分ハロゲン化されたヒドリドシランは、濃縮されて留出物中に生じる。
工程d)の終結後、前記反応混合物は、第2の水素化が行なわれた後に、有利に蒸留により後精製される。
特に純粋な生成物を達成させるために、蒸留による後精製に続いて精密浄化が行なわれうる。この精密浄化は、例えば適当な吸着法またはクロマトグラフィー法によって行なうことができる。
同様に、本発明の対象は、前記方法により製造可能なヒドリドシランである。
更に、本発明の対象は、殊に光起電力の用途のために、またはトランジスタにおいて、電子素子層または光電子素子層を製造するための、本発明による方法により製造可能なヒドリドシランの使用である。
同様に、本発明の対象は、シリコン含有層、特に元素状シリコン層を製造するための、本発明により製造可能なヒドリドシランの使用である。
次の実施例は、本発明の対象をさらに補足して説明するが、これに限定されるものではない。

実施例1:ハロゲン化シランからの高級ヒドリドシランの合成およびヒドリドシランの縮合(水素化剤のH当量の割合:1.2)
第1の工程において、20℃および1バールで保護ガス雰囲気下で液状ペルクロロシラン混合物304g(Si3Cl8 75質量%超、Si4Cl10 22質量%超)に、反応容器中で攪拌しながら、ジエチルエーテル7.1g中に溶解したヘキサン46.7gおよびジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.9gを添加する。この反応器内容物を氷冷却によって20℃未満の温度に温度調節する。この混合物は、40時間内で反応し、固体のSi5Cl12および副生成物のSiCl4になる。
前記反応工程後、低沸点物(ヘキサン、ジエチルエーテル)および副生成物SiCl4を50℃で真空(200〜1ミリバール)中で前記反応混合物から分離する。Si5Cl12 243.2gが得られる。
得られたSi5Cl12 42.7gを保護ガス雰囲気下にジイソブチルアルミニウムクロリド20.0g中に分散させる。その後に、水素化剤ジイソブチルアルミニウムヒドリド149gを順次に攪拌しながら添加する。反応の発熱のために、反応器を水素化の際に氷冷却によって温度調節し、したがって、反応器中の温度は、20℃を上廻らない。この反応混合物をさらに18時間氷冷却下に攪拌する。
その後に、20℃で常圧(1.013バール)下および保護ガス雰囲気下で揮発性成分、例えばSiH4を反応混合物から除去する。すぐ次の工程において、ヒドリドシランを20℃で真空(圧力1ミリバール未満)下で蒸発によって、分散剤のジイソブチルアルミニウムクロリドおよび未反応のジイソブチルアルミニウムヒドリドと分離する。前記縮合物は、ヒドリドシランを含有している。
前記縮合物中のヒドリドシランの定性分析による測定は、GC−MS分析により行なわれた。前記縮合物は、98.0面積%超の割合を有するヒドリドシランを含有している。
質量に対する収率(使用されたペルクロロシラン混合物1g当たりの縮合物としてのヒドリドシランのg数):20.8%(ヒドリドシラン11.1g/ペルクロロシラン混合物53.4g)
留出物として得られたヒドリドシランの塩化物含量:塩化物470ppm。
実施例2:ハロゲン化シランからの高級ヒドリドシランの合成および当該高級ヒドリドシランの熱的後精製(水素化剤のH当量の割合:1.1)
第1の工程において、20℃および1バールで保護ガス雰囲気下で液状ペルクロロシラン混合物1567g(Si3Cl8 75質量%超、Si4Cl10 22質量%超)に、反応容器中で攪拌しながら、ジエチルエーテル14.2g中に溶解したヘキサン225.7gおよびジアザビシクロ[2.2.2]オクタン1.85gを添加する。この反応器内容物を氷冷却によって20℃未満の温度に温度調節する。この混合物は、40時間内で反応し、固体のSi5Cl12および副生成物のSiCl4になる。この反応工程後、主にSi5Cl12を含有する混合物に分散剤としてのジイソブチルアルミニウムクロリド1015gを添加する。次に、低沸点物(ヘキサン、ジエチルエーテル)および副生成物SiCl4を真空(200〜1ミリバール)下に分離する。
ジイソブチルアルミニウムクロリド中に分散されたSi5Cl12に、保護雰囲気下に順次に攪拌しながら、水素化剤ジイソブチルアルミニウムヒドリド4137gを添加する。反応の発熱のために、反応器を水素化の際に氷冷却によって温度調節し、したがって、反応器中の温度は、20℃を上廻らない。この反応混合物をさらに18時間氷冷却下に攪拌する。
その後に、20℃で常圧(1.013バール)下および保護ガス雰囲気下で揮発性成分、例えばSiH4を反応混合物から除去する。短路蒸発器中で、真空(圧力1ミリバール未満)下に72℃でジイソブチルアルミニウムクロリドおよび塔底生成物としての未反応のジイソブチルアルミニウムヒドリドを分離する。短路蒸発器からの塔頂生成物(留出物)を精留工程においてバッチ式精留により10〜100ミリバールの圧力および95℃の蒸発器バブルトレイ中の温度でさらに後精製する。ヒドリドシランをバッチ式精留からの留出物として取り出す。
前記留出物中のヒドリドシランの定性分析による測定は、GC−MS分析により行なわれた。前記留出物は、99.0面積%超の割合を有するヒドリドシランを含有している。
質量に対する収率(使用されたペルクロロシラン混合物1g当たりの留出物としてのヒドリドシランのg数):14.6%(ヒドリドシラン228g/ペルクロロシラン混合物1567g)
留出物として得られたヒドリドシランの塩化物含量:塩化物41ppm。
実施例3:塩化物含量を減少させるための高級ヒドリドシランの後水素化および当該高級ヒドリドシランの熱的後精製
より高い塩化物値を有する例2からの留出物留分は、一つにまとめられ、前記混合物の塩化物値は、測定された。このヒドリドシラン混合物をここに記載された試験において、出発物質として使用する。
457ppmの塩化物含量を有するヒドリドシラン混合物185g(ヒドリドシラン99.0面積%超)に、保護ガス雰囲気下に順次に攪拌しながらジイソブチルアルミニウムヒドリド84gを添加する。反応の発熱のために、反応器を水素化の際に氷冷却によって温度調節し、したがって、反応器中の温度は、20℃を上廻らない。この反応混合物をさらに18時間氷冷却下に攪拌する。
水素化後に、20℃で常圧(1.013バール)下に揮発性成分、例えばSiH4を前記反応混合物から除去する。この反応混合物を精留工程においてバッチ式精留により10〜100ミリバールの圧力および95℃の蒸発器バブルトレイ中の温度でさらに後精製する。この留出物は、望ましいヒドリドシランを含有している。
質量に対する収率(使用されたヒドリドシラン混合物1g当たりの留出物としてのヒドリドシランのg数):87.3%(留出物としてのヒドリドシラン161.5g/ヒドリドシラン混合物185g)
留出物として得られたヒドリドシランの塩化物含量:塩化物16ppm。
前記留出物中のヒドリドシランの定性分析による測定は、GC−MS分析により行なわれた。前記留出物は、99.0面積%超の割合を有するヒドリドシランを含有している。

Claims (8)

  1. ハロゲン化シランからのヒドリドシランの製造法であって、
    a)i)(nが3以上であり、かつXがF、Cl、Brおよび/またはIである)一般式Sin2n+2の少なくとも1つのハロゲン化シランおよび
    ii)一般式
    NRR'aR''bc
    〔式中、aは、0または1であり、bは、0または1であり、およびcは、0または1であり、かつ
    Yは、
    Figure 0005921569
    であり、
    上記式中、
    aa)− R、R'および/またはR''は、−C1〜C12アルキル、−C1〜C12アリール、−C1〜C12アラルキル、−C1〜C12アミノアルキル、−C1〜C12アミノアリール、−C1〜C12アミノアラルキルであり、
    および/または
    − cが0である場合にR、R'およびR''の2個または3個の基は、一緒になってNを含む、環式または二環式のヘテロ脂肪族系またはヘテロ芳香族系を形成し、
    − 但し、基R、R'またはR''の少なくとも1個は、−CH3ではないものとし、
    および/または
    bb)− (cが1である場合の)RおよびR'および/またはR''は、−C1〜C12アルキレン、−C1〜C12アリーレン、−C1〜C12アラルキレン、−C1〜C12ヘテロアルキレン、−C1〜C12ヘテロアリーレン、−C1〜C12ヘテロアラルキレンおよび/または−N=であるか、
    または
    cc)− (a、b、cが0である場合に)Rは、(R'''が−C1〜C10アルキル、−C1〜C10アリールおよび/または−C1〜C10アラルキルである)≡C−R'''である〕の少なくとも1つの触媒を、
    一般式(mがnより大きく、かつXがF、Cl、Brおよび/またはIである)Sim2m+2および(XがF、Cl、Brおよび/またはIである)SiX4の少なくとも1つのハロゲン化シランを含む混合物の形成下に反応させ、
    および
    b)一般式Sim2m+2の少なくとも1つのハロゲン化シランを、一般式Sim2m+2のヒドリドシランの形成下に水素化し、
    c)一般式Sim2m+2のヒドリドシランを、(1<y<2m+1である)一般式Sim(2m+2-y)yの部分ハロゲン化されたヒドリドシランと分離し、および
    d)任意に、工程c)で分離された、(1<y<2m+1である)一般式Sim(2m+2-y)yの部分ハロゲン化されたヒドリドシランを、再び水素化することを特徴とする、前記製造法。
  2. 一般式Sin2n+2のハロゲン化シランは、直鎖状シランであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 少なくとも1つのハロゲン化シランは、XがF、Cl、Brおよび/またはIである一般式Si38および/またはSi410を有する化合物の群から選択された化合物であることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. 触媒は、さらなるヘテロ原子を有するかまたは有しない環式、二環式または多環式のアミンからなる化合物の群から選択されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
  5. 触媒は、ジアザビシクロオクタン、ピリジンまたはN,N−1,4−ジメチルピペラジンであることを特徴とする、請求項4記載の方法。
  6. 水素化前に一般式Sim2m+2の少なくとも1つのハロゲン化シランをSiX4と、SiX4の留去または抽出により、−30〜+100℃の温度および0.01〜1100ミリバールの圧力で分離することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
  7. 水素化を、第1主族〜第3主族の金属の金属水素化物の群またはLiAlH4、NaBH4、iBu2AlHからなる水素化物化合物の群から選択された、少なくとも1つの水素化剤を添加することによって行なうことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
  8. 工程b)およびd)における水素化を溶剤の存在下で実施することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
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