JP5920919B2 - 頸部コルセット用カバー - Google Patents
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Description
頸部コルセットは、患者の頸部に装着されるのであるが、殆ど常時着用され、しかも長期間着用の必要があるため、煩わしいものである。その上、肌に直接接触する状態で着用されることが多く、肌に接触する部分は合成皮革等によって覆われているが、皮膚の弱い患者では接触部が炎症を起こし、当初は痒み、後には痛みを与える状態となる。また、使用に伴って汚れることを避け得ない。そのため、医療機関等においては、頸部コルセットにハンカチ,手拭等を被せることを推奨している。
そこで、本発明は、頸部コルセット本来の機能を損なうことなく、かつ、外見良く、容易に装着し得る頸部コルセット用のカバーを提供することを課題として為されたものである。
布地等により概して筒状に形成され、前記頚部コルセットの展開長よりやや短く、少なくとも前記第一端部に対応する部分の外周側部が、その第一端部の長手方向に沿って切り開かれた状態の切開部を有するカバー本体と、
前記切開部を閉じた状態と開いた状態とに選択的に保ち得る開閉手段と
を含むことを特徴とする頸部コルセット用カバー。
上記カバー本体は、平面的に所定の形状(頸部コルセットの展開形状に縫い代を付加した形状)に裁断された布地2枚が、それらの長手方向に延びる2側縁部同士が縫合されることにより筒状にされた2枚縫合型でもよく、上記2枚縫合型の布地2枚の各一方の縫い代が縫合された形状に裁断された布地1枚がそれの両側縁が縫合されることにより筒状にされた1枚縫合型でもよく、当初から頸部コルセットを覆う筒状に編まれたニット型でもよいが、布地等が伸縮性の乏しい平織やガーゼである場合は2枚縫合型が望ましく、1枚縫合型あるいは編織型には伸縮性に富んだニットあるいはニット地が適している。また、カバー本体を伸縮性に富んだ布地等製とすることは、頸部コルセット用カバーを頸部コルセットに装着する作業自体を容易にするのみならず、装着状態でしわが生じにくくする上でも有効である。
(2)前記布地等が、当該頸部コルセット用カバーの長手方向の伸縮可能率よりその長手方向に直角な方向の伸縮可能率の方が大きいものである(1)項に記載の頸部コルセット用カバー。
本項の要件を満たす布地等製の頸部コルセット用カバーは頸部コルセットへの装着が容易である利点がある。
(3)前記布地等が、当該頸部コルセット用カバーの長手方向に直角な方向において、自由状態の1.2倍以上に弾性的に伸長可能なものである(2)項に記載の頸部コルセット用カバー。
布地等は、不織布とすることも可能であるが、ニットあるいはニット地とすることが伸縮性の点で望ましい。また、ニットとする場合、頸部コルセット用カバーの長手方向にも伸縮可能なもとのすることも可能であるが、長手方向の伸縮可能率は、長手方向と直角な方向の伸縮可能率より小さいことが望ましく、頸部コルセット用カバーの頸部コルセットへの装着作業の容易さの観点からは実質的に伸縮不能とすることが望ましい。また、長手方向と直角な方向には、自由状態の1.2倍以上に伸長可能なものとすることが望ましく、1.3倍,1.4倍あるいは1.5倍以上とすることがさらに望ましい。
(4)前記布地等が、頸部コルセット用カバーの長手方向と、長手方向に直角な方向との両方において、自由状態の1.1倍以上に弾性的に伸長可能なものである(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の頸部コルセット用カバー。
この要件を満たす布地等製の頸部コルセット用カバーは頸部コルセットに装着した状態で頸部コルセット用カバーにしわが生じにくく、外見よく装着することが容易である利点がある。しわの発生を回避する観点からは、布地等の、頸部コルセット用カバーの長手方向に直角な方向における伸縮可能率を、1.2倍、1.3倍あるいは1.4倍以上とすることがさらに望ましい。
(5)前記開閉手段が、前記切開部の両縁にそれぞれ設けられた歯が互いに噛み合わされて前記切開部を閉じた状態に保つ線ファスナを含む(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の頸部コルセット用カバー。
開閉手段を、切開部の両縁の内面と外面とにそれぞれ設けられた、面ファスナや、2個1組の留め具(スナップ式のものや、一方の鉤部を他方の受部に掛ける掛け金式のもの等)とすることも可能であり、後者は切開部の両縁に沿って複数組設けることが望ましい。しかし、衣服等に一般的に使用されている線ファスナとすれば、頸部コルセット用カバーの外面側から操作部材を操作するのみで開閉することができ、開閉操作が容易である上、開閉操作に当たって頸部コルセット用カバーの内周面側へ指を入れる必要がないため、頸部コルセット用カバーを着用した頸部コルセットと頸部との間の隙間を適度な大きさとすることが容易であって特に好適である。
(6)前記カバー本体の、前記頚部コルセットの前記第一端部と前記第二端部との両方に対応する部分に、それら第一および第二端部の長手方向に沿って切り開かれた状態の第一切開部よび第二切開部が形成される一方、そのカバー本体の長手方向の中間部には切開部が形成されず、前記第一切開部と前記第二切開部との両方に前記開閉手段が設けられた(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の頸部コルセット用カバー。
頚部コルセットは、長手方向の中間部(背面側支持部)が最も幅が広く、両端部に向かって徐々に狭くされるため、頸部コルセット用カバーの太さもそれに応じたものとされることが望ましい。布地等が十分な伸縮性を有するものである場合には、頸部コルセット用カバーを、自由状態において太さが全長にわたって一定(例えば、両端部のうち幅が広い方の第一端部を丁度覆い得る太さ、あるいはやや伸長した状態で覆い得る太さ)のものとしても、頚部コルセットにしわのない状態で装着することができ、本項の構成を採用することは不可欠ではない。しかし、その場合でも、頚部コルセットの背面側支持部に対応する部分において、頸部コルセット用カバーの厚さが他の部分に比較して極端に薄くなることを回避するため等の理由で、本項の構成を採用することが望ましい場合が多い。
(7)前記カバー本体の、前記頚部コルセットの前記第二端部に対応する部分の内面に設けられ、前記第二端部に設けられた第一係合部と、少なくとも前記背面側支持部に接近する向きの移動不能に係合する第二係合部を含む(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の頸部コルセット用カバー。
本項に記載の態様とすれば、第一端部側の開閉手段を閉じる操作を行う際、先に第二係合部を第一係合部に係合させた状態としておけば、第二端部に対してカバーが移動してしまうことがなく、操作が容易となって、カバーを頚部コルセットに対して外見良く装着された状態に保つことが容易となる。
第一,第二係合部としては、開閉手段として採用可能な前述のものが採用可能であるが、面ファスナが特に好適である。
コルセット10は、図3に展開形状を示すように、長手形状のコルセット本体12を主体として構成されている。コルセット本体12は、詳細な説明は省略するが、第一本体部材と第二本体部材とが2重に重ね合わされた状態で、面ファスナにより固定されることにより、一体的なコルセット本体12として機能するものである。第一本体部材と第二本体部材とは、それぞれ合成樹脂製の強度部材と、それら強度部材を覆う網部とにより形成され、それら第一本体部材の上端縁と第二本体部材の下端縁とがそれぞれ合成皮革製の縁部材14,16に覆われており、両本体部材が上記のように2重に重ね合わされる際、互いに上下方向にずらされることにより、縁部材14,16の上下方向の間隔が、患者の頸部の長さに合わせて調整されるようになっている。このように構成されたコルセット本体12が、図2に示すように概して後方に傾斜した円筒状を成す状態に巻かれて着用される。コルセット本体12は、患者の頚部に、その頚部を囲む状態で装着されるのであり、頚部を背面側から支持する背面側支持部18の幅が最も広くされ、その背面側支持部18から遠ざかるにつれて徐々に幅が狭くされ、両端部の幅が最も狭くされている。以上の説明ならびに図2,図3に記載から明らかなように、コルセット10は顎支持部を備えない簡易型である。
なお、面ファスナ第一部材24と面ファスナ第二部材26との取付けを逆にすることも可能である。
Claims (7)
- 幅が最も広い背面側支持部により頸部を背面側から支持する状態で、頸部に一周巻かれた上、両端部が重なり合わされ、それら両端部が、それら両端部の一方である第一端部の外周面と他方である第二端部の内周面とにそれぞれ固定された面ファスナ部材により結合されて装着される頸部コルセットに被せて使用される頸部コルセット用カバーであって、 (a)ニット地を含む広義の布地またはニットにより概して筒状に形成され、前記頸部コルセットの展開長よりやや短く、少なくとも前記第一端部に対応する部分の外周側部がその第一端部の長手方向に沿って切り開かれた状態の切開部を有するカバー本体と、(b)前記切開部を閉じた状態と開いた状態とに選択的に保ち得る開閉手段とを含み、
頸部への装着前の前記頸部コルセットに、前記切開部の前記第一端部に対応する部分が前記開閉手段により開かれた状態で、その開かれた部分が前記第一端部の外周面に固定された面ファスナ部材に対向する一方、前記第二端部の内周面に固定された面ファスナ部材が当該頸部コルセット用カバーから長手方向に突出した状態に取り付け可能であり、
その頸部コルセット用カバーが取り付けられた頸部コルセットが頸部に一周巻かれ、前記第二端部の内周面に固定された面ファスナ部材が、前記切開部の前記開かれた部分を通って、前記第一端部の外周面に固定された面ファスナ部材に結合された後、
前記切開部の前記開かれた部分が前記開閉手段により閉じられることによって、前記面ファスナ部材の結合により互いに結合された前記第一端部および前記第二端部を内周側と外周側との両方から覆う状態となる
ことを特徴とする頸部コルセット用カバー。 - 前記カバー本体が、前記頸部コルセットの前記第一端部に対応する部分の外周側部が、その第一端部の長手方向に沿って切り開かれて前記切開部とされたものである請求項1に記載の頸部コルセット用カバー。
- 前記切開部が、前記カバー本体の外周側部が全長にわたって切り開かれたものであり、前記頸部コルセットの頸部への装着前に、前記切開部の前記第一端部に対応する部分以外の部分が前記開閉手段により閉じられる一方、前記第一端部に対応する部分が開かれた状態とすることが可能な請求項1に記載の頸部コルセット用カバー。
- 前記ニット地を含む広義の布地またはニットが、当該頸部コルセット用カバーの長手方向の伸縮可能率よりその長手方向に直角な方向の伸縮可能率の方が大きいものである請求項1ないし3のいずれかに記載の頸部コルセット用カバー。
- 前記ニット地を含む広義の布地またはニットが、当該頸部コルセット用カバーの長手方向と、長手方向に直角な方向との両方において、自由状態の1.1倍以上に弾性的に伸長可能なものである請求項1ないし4のいずれかに記載の頸部コルセット用カバー。
- 前記開閉手段が、前記切開部の両縁にそれぞれ設けられた歯が互いに噛み合わされて前記切開部を閉じた状態に保つ線ファスナを含む請求項1ないし5のいずれかに記載の頸部コルセット用カバー。
- 前記カバー本体の、前記頸部コルセットの前記第二端部に対応する部分の内面に設けられ、前記第二端部に設けられた第一係合部と少なくとも前記背面側支持部に接近する向きの移動不能に係合する第二係合部を含む請求項1ないし6のいずれかに記載の頸部コルセット用カバー。
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