JP5920409B2 - 凝集モニタリング装置、凝集モニタリング方法および凝集システム - Google Patents

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Description

本発明はたとえば、浄水、工業用水、排水などの被処理水の凝集処理のモニタリング技術およびその利用技術に関する。
浄水、工業用水、排水などの被処理水の凝集処理ではたとえば、無機凝集剤または有機凝集剤などによって被処理水中のSS(Suspended Solid :懸濁物質)を凝集処理した後に、沈殿分離、加圧浮上分離、遠心分離、砂ろ過、膜分離などの固液分離が行われる。SSの凝集状態はpH、凝集剤薬注量、攪拌条件などで変動し、適切な条件下で凝集処理を行わなければ、被処理水の水質悪化を招き、次工程の固液分離処理に悪影響を及ぼすことがある。
このような凝集処理には室内試験で凝集条件を設定する方法があるが、実際の凝集処理では凝集条件の設定に時間を要すると、被処理水の水質が変動し、SSの凝集状態を正確に把握できない場合がある。そこで、pH、凝集剤薬注量、攪拌条件などの最適な凝集条件を設定するには凝集処理中の被処理水の処理状態をリアルタイムで監視し、SSの凝集状態をモニタリングすることが重要である。
この凝集モニタリングに関し、被処理水にレーザ光を照射して被処理水中の粒子による散乱光を受光し、その受光信号にAM(Amplitude Modulation:振幅変調)検波を施した後、信号強度の最低値を求め、この最低値から凝集剤薬注量を求めることが知られている(たとえば、特許文献1)。この凝集モニタリングでは、散乱光の信号強度の最低値を求めることで、被処理水中の凝集物による散乱光から未凝集の懸濁物による散乱光を区別して検出している。
また、この凝集モニタリングに用いられるレーザ光について、レーザダイオードを間欠的に駆動することにより、所定の時間間隔で発光するレーザ光を用いることが知られている(たとえば、特許文献2)。この発光時間を短縮する発光形態によって、レーザ発光素子の使用時間を延長している。
特開2002−195947号公報 特開2005−241338号公報
ところで、被処理水の凝集処理では、発生するフロック(floc)に取り込まれていないSSの濃度を計測し、この計測値に基づいて凝集剤の薬注量を制御する薬注システムが用いられている。SSの濃度計測には、被処理水の計測領域にレーザ光を照射し、計測領域からの散乱光を受光し、この散乱光を光電変換した信号レベルからSS濃度を表す計測値を得ている。
この薬注システムでは薬注量に上限値を規定し、既述の信号レベルの一定期間における最低値を保持することにより凝集状態を評価している。この方法ではSS量や薬注量に上限値を規定しているので、形成されるフロック量が抑えられる場合には安定した計測が可能である。
しかしながら、被処理水によっては多量の凝集剤を必要とし、形成されるフロック量が多量となる場合がある。この場合、フロックの発生量が増加し、フロックが成長すると、フロックの影響によりフロック間のSS量の計測タイミングが減少することになる。そのため、計測値の最低値を一定時間保持するとともに、一定時間毎に、被処理水の計測値の最低値を更新し、この最低値をフロック間に残るSS量とすることにより薬注量を決定する。
このように計測値の最低値を保持し、この最低値を一定時間毎に更新する場合、発生するフロック量が多くなれば、その計測値の保持時間を長くする必要がある。計測値の保持時間が長くなれば、処理中の被処理水を凝集槽で計測することで補償されている制御系の遅れ時間の短縮効果が低減される。計測値の最低値に基づく薬注制御は、一般的なPID(Proposional Integral Derivative)制御を想定すると、薬注制御に用いられる計測値が、フロック間に残るSSに相関する計測値でなければならない。つまり、フロック量の増加、フロック間のSSによる濁度計測の機会が減少すると、一定の時間間隔で計測値の最低値を更新しなければならないが、計測値を更新する時間間隔が長くなれば、薬注システムにおける制御遅れの補償性能が失われるという課題がある。
計測値の保持時間について、被処理水の処理状況に応じて計測値の保持時間を逐次調整し、保持時間を最適化することは理論的には可能である。しかし、食品製造工場など、短期間で排水種が変更される場合の凝集処理では、処理状態の監視に困難を伴うという課題がある。
レーザ発光素子にレーザダイオードを用いた場合、その発光寿命が数千時間と短く、長時間の使用ができないので、一定の時間間隔で発光するレーザ光を用いることは、レーザ発光素子の延命策としては有効である。しかし、発光時間や発光タイミングを制限すると、フロック量が多い場合にはフロック間のSS量の計測タイミングが損なわれ、正確な計測が困難になるという課題がある。
斯かる要求や課題について、特許文献1、2にはその開示や示唆はなく、それを解決する構成等についての開示や示唆はない。
そこで、本発明の目的は上記課題に鑑み、多量のフロックが形成されてもそのフロックの影響を受けることなく、被処理水の未凝集のSS濁度を安定して計測できる凝集モニタリング装置または凝集モニタリング方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記の凝集モニタリング装置または凝集モニタリング方法を用いることにより、フロックの影響を受けることなく、薬注制御が持つ補償性能を維持し、信頼性のある凝集処理が得られる凝集システムを実現することにある。
上記目的を達成するため、本発明の凝集モニタリング装置では、凝集処理される被処理水の処理状態を監視する凝集モニタリング装置であって、所定の時間間隔で発光しかつ所定周波数で振幅変調が施されたレーザ光を前記被処理水の計測領域に照射するレーザ光照射部と、前記計測領域にある前記被処理水の粒子による散乱光を受光する散乱光受光部と、前記散乱光受光部に得られる受光信号から前記散乱光の強度を表す計測値を取り出す信号処理部と、連続または不連続に前記計測値のn個(n=2以上)を1セットとするmセット(m=2以上)からなる複数の計測値を取り込み、セット毎に低い値から順に複数の計測値を抽出し、これら複数の計測値から最も低い計測値を除いた複数の計測値から平均計測値を算出する計測値演算部とが備えられる。
上記凝集モニタリング装置において、さらに、前記レーザ光を発光するレーザ発光部を備え、該レーザ発光部が所定の時間間隔の間欠するタイミング信号に所定周波数で変化する振幅を持つ変調信号で振幅変調を施した発光信号で発光するレーザ発光素子を備えもよい。
上記目的を達成するため、本発明の凝集モニタリング方法では、凝集処理される被処理水の処理状態を監視する凝集モニタリング方法であって、所定の時間間隔で発光しかつ所定周波数で振幅変調が施されたレーザ光を前記被処理水の計測領域に照射するレーザ光照射工程と、前記計測領域にある前記被処理水の粒子による散乱光を受光する散乱光受光工程と、前記散乱光受光工程で得られる受光信号から前記散乱光の強度を表す計測値を取り出す信号処理工程と、連続または不連続に前記計測値のn個(n=2以上)を1セットとするmセット(m=2以上)からなる複数の計測値を取り込み、セット毎に低い値から順に複数の計測値を抽出し、これら複数の計測値から最も低い計測値を除いた複数の計測値から平均計測値を算出する計測値演算工程とが含まれる。
上記目的を達成するため、本発明の凝集システムでは、被処理水を凝集処理する凝集システムであって、前記被処理水を凝集処理する凝集槽と、前記凝集槽の前記被処理水の処理状態を監視する凝集モニタリング手段と、前記被処理水に前記処理状態に応じた薬注量の凝集剤を注入する薬注手段とが備えられ、前記モニタリング手段には、所定の時間間隔で発光しかつ所定周波数で振幅変調が施されたレーザ光を前記被処理水の計測領域に照射するレーザ光照射部と、前記計測領域にある前記被処理水の粒子による散乱光を受光する散乱光受光部と、前記散乱光受光部に得られる受光信号から前記散乱光の強度を表す計測値を取り出す信号処理部と、連続または不連続に前記計測値のn個(n=2以上)を1セットとするmセット(m=2以上)からなる複数の計測値を取り込み、セット毎に低い値から順に複数の計測値を抽出し、これら複数の計測値から最も低い計測値を除いた複数の計測値を平均し、前記薬注量を求めるための平均計測値を算出する計測値演算部とが含まれる。
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
<凝集モニタリング装置または凝集モニタリング方法>
(1) 凝集中の被処理水に多量のフロックが発生し、フロック密度が高くなっても、フロックによる影響を回避でき、被処理水のSS濁度の計測を安定して行うことができる。
(2) 微弱な散乱光に対するフロックの影響や、フロックによる遮光の影響を軽減ないし回避でき、凝集中の被処理水の処理状態をリアルタイムでしかも短い計測時間で正確に把握することができる。これにより、その処理状態に応じた凝集剤の薬注量を選択することが可能となる。
<凝集システム>
(1) 被処理水のSS濁度の計測を安定して行い、凝集処理中の被処理水の処理状態をリアルタイムで把握でき、これに基づき、被処理水の凝集条件や凝集剤の薬注量を求めることができる。
(2) 被処理水に対する薬注量の適正化とともに、安定した凝集処理が行え、凝集効率を高めることができる。
そして、本発明の他の目的、特徴および利点は、添付図面および各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
第1の実施の形態に係る凝集モニタリング装置の一例を示すブロック図である。 最低値検出回路の一例を示すブロック図である。 動作波形の一例を示す図である。 計測値テーブルおよび平均計測値算出を示す図である。 凝集モニタリングの処理手順を示すフローチャートである。 第2の実施の形態に係る凝集システムの一例を示す図である。 凝集剤算出テーブルの一例を示す図である。 凝集処理の処理手順を示すフローチャートである。
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る凝集モニタリング装置を示している。図1に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明の凝集モニタリング装置、凝集モニタリング方法または凝集システムが限定されるものではない。
この凝集モニタリング装置2はセンサ部4を備える。このセンサ部4は一例として、凝集槽6の被処理水8に水没状態に維持する。このセンサ部4にはレーザ光照射部10および散乱光受光部12が備えられる。レーザ光照射部10は、レーザ光を導く第1の光ファイバ14−1の出光端部で形成される。散乱光受光部12は、散乱光を導く第2の光ファイバ14−2の入光端部で形成される。
レーザ光照射部10と散乱光受光部12の間には遮蔽部材16を介在させて計測領域18が設定されている。この計測領域18にはレーザ光発光部20で発光したレーザ光がレーザ光照射部10から照射される。この計測領域18はレーザ光の被処理水8における照射領域の一例である。この計測領域18にレーザ光が照射されると、被処理水8中の粒子によりレーザ光が散乱し、散乱光を生じる。したがって、散乱光受光部12は、この散乱光を計測領域18から受光する。この場合、計測領域18にフロックが存在すれば、そのフロックが散乱光に影響を与える。
遮蔽部材16は各光ファイバ14−1、14−2の固定および支持手段であるとともに、計測領域18に対する自然光の遮断手段である。この遮蔽部材16では一例として、光ファイバ14−1を固定、支持する第1の支持部22−1と、光ファイバ14−2を支持する第2の支持部22−2とが一定角度を持つ頂角部24を備える。この頂角部24の角度はたとえば、90度が好ましいが、それ以外の角度であってもよい。この頂角部24は、計測領域18に対向させるとともに、レーザ光照射部10と散乱光受光部12との間に介在させている。これにより、レーザ光照射部10からのレーザ光が散乱光受光部12に入射するのを回避でき、散乱光受光部12には計測領域18にある粒子側の散乱光を受光できる。
レーザ光発光部20にはレーザ発光素子26および発光回路28が備えられる。レーザ発光素子26はレーザ光を発光するレーザ光源の一例である。このレーザ光源にはレーザダイオードが好ましいが、レーザ光が得られる素子または装置であればよく、たとえば、発光ダイオードを用いてもよい。
発光回路28はレーザ発光素子26の駆動手段の一例である。この発光回路28には一例として、AM(Amplitude Modulation:振幅変調)変調回路30、タイミング回路32およびファンクションジェネレータ34が備えられる。AM変調回路30は、タイミング信号Tsに所定の周波数fを持つ変調信号Msで振幅変調(AM変調)を行い、所定の周波数fの振幅を持ちかつ所定の時間間隔で断続する発光信号Drを出力する。この発光信号Drを受け、レーザ発光素子26は変調信号Msで変化しかつタイミング信号Tsによる所定の時間間隔で発光、非発光を繰り返す。これにより、凝集モニタリングのためのレーザ発光素子26の発光時間が短縮される。レーザ発光素子26にレーザダイオードを用いた場合、このレーザダイオードの連続点灯による劣化を防止できるとともに、数千時間と短い発光寿命に対し使用時間が延長される。
タイミング回路32はタイミング信号Tsを発生する。このタイミング信号Tsはたとえば、一定周期で断続するパルス信号であればよい。このタイミング信号Tsは、最低平均値の演算処理の同期情報として用いられる。
ファンクションジェネレータ34は変調信号Msを発振する発振器の一例である。この変調信号Msは、レーザ光に対する自然光の影響を回避可能な周波数fが好ましくたとえば、f=70〜150〔kHz〕を用いればよい。信号形態は同一振幅の周期信号であればよく、波形形態は正弦波、三角波、矩形波などのいずれでもよい。
このようなレーザ光発光部20で得られるレーザ光が計測領域18に照射されると、この計測領域18に存在する微小コロイド粒子で散乱した散乱光が散乱光受光部12に入射する。この場合、微小コロイド粒子は未凝集のコロイド粒子である。この微小コロイド粒子により得られる散乱光は、レーザ光照射部10から照射されるレーザ光と同様の周波数を持ち、一定の周期で間欠する態様となる。
散乱光受光部12の受光出力は、光ファイバ14−2により信号処理部36に導かれる。この信号処理部36は光電変換、ノイズ成分の除去、散乱光の強度を表すレベル信号、このレベル信号から散乱光の強度を表す計測値を取り出す。この信号処理部36には一例として、光電変換回路38および検波回路40が備えられている。
光電変換回路38は、フォトディテクタ42、バンドパスフィルタ44および増幅器46が備えられる。フォトディテクタ42は、光ファイバ14−2で導かれた散乱光を受け、電気信号Eiに変換する。バンドパスフィルタ44は電気信号Eiからノイズ成分をカットし、変調信号Msの信号成分を取り出す。バンドパスフィルタ44のカットオフ周波数を設定することにより、不要な変動成分を取り除き、変調信号Msの信号成分を出力する。増幅器46は、散乱光における変調信号Msの信号成分を増幅し、散乱光に応じた振幅レベルを持つ受光信号Eoを出力する。この光電変換回路38において、フォトディテクタ42に代えてフォトダイオードを用いてもよいし、バンドパスフィルタ44に代えてローパスフィルタを用いてもよい。
検波回路40は受光信号EoからAM検波(包絡線検波)により出力信号Doを検出する。この出力信号Doは、受光信号Eoの直流成分のレベルを表す。このレベルが微小コロイド粒子を含む被処理水における粒子による散乱光レベルを表している。つまり、微小コロイド粒子以外の散乱光であるノイズ成分やフロックによる反射成分が含まれる。
この検波回路40の出力は最低値検出回路48に加えられる。この最低値検出回路48は計測値演算部の一例である。この最低値検出回路48では、出力信号Doのレベル(信号強度)からSS濁度を表す計測値dを求め、演算処理により散乱光の最低計測値を算出する。この最低値検出回路48には出力信号Doのアナログ・ディジタル変換(A/D)、計測値の比較、計測値の記録、平均計測値davの演算などの処理が行われる。
<最低値検出回路48>
この最低値検出回路48はたとえば、図2に示すように、マイクロプロセッサなどのコンピュータを含む回路によって実現される。この最低値検出回路48にはアナログ・ディジタル変換器(A/D)50、プロセッサ52およびメモリ部54が備えられる。A/D50は出力信号Doをディジタル信号である計測値dに変換する。
プロセッサ52は計測値の平均計測値を演算する演算回路の一例である。このプロセッサ52ではメモリ部54にあるOS(Operating System)および凝集プログラムの実行により、計測値の比較、計測値の記録、平均計測値(最低計測値)などの演算を行う。
メモリ部54は記録部の一例であり、プログラム記憶部56、データ記録部58およびRAM(Random-Access Memory)60を備える。プログラム記憶部56にはプログラムとしてOSや既述の凝集プログラムなどのプログラムが格納されている。データ記録部58には平均計測値の演算に用いられる複数の計測値テーブルが格納されている。RAM60は情報処理のワークエリアに用いられる。
プロセッサ52の演算の結果はプロセッサ52から表示部62に出力される。この表示部62にはたとえば、液晶ディスプレィ(LCD)が用いられる。この表示部62にはプロセッサ52の演算に用いられる計測値や、演算結果である最低計測値などの各種データが表示される。
<凝集処理の計測原理>
凝集槽6内の被処理水8では凝集剤の薬注および攪拌によって凝集処理が促進する。この攪拌に伴い、計測領域18に微小コロイド粒子が移動すると、微小コロイド粒子からの散乱光が変動する。この変動周期は、計測領域18を粒子と見做して微小コロイド粒子との間に生じる衝突回数から想定し、概算することができる。ここで、計測領域18を半径Rの球体、微小コロイド粒子を半径rの球体で近似すれば、衝突断面積Qoは、
Qo=π(R+r)2 ・・・(1)
で表すことができる。この式から明らかなように、衝突断面積Qoは半径Rと半径rの加算値の二乗に比例する。
つまり、半径Rの計測領域18に一定方向から平均速度v〔m/s〕でコロイド粒子密度N〔個/m3〕の平均半径rの粒子が通過していく際の流れに垂直な断面積を想定すれば、微小コロイド粒子が単位時間当たり計測領域18に入る回数νは、
ν=NQov ・・・(2)
で表すことができる。微小コロイド粒子が計測領域18から出る場合にも同様に、変動を生じ、散乱光強度を微分した値の周期は、回数νの2倍の値となる。
そして、散乱光強度が微小コロイド粒子の粒径のn乗に比例すると仮定すれば、多重散乱を無視した場合、微小コロイド粒子の1個の移動に伴う散乱光強度の変動Aは、
A=Aorn ・・・(3)
となる。なお、Aoは、測定系に依存する定数であり、標準試料を用いて校正される値である。
ここで、凝集前の微小コロイド粒子は、半径rが小さく、粒子密度Nが大きいので、散乱光の微小な変動が短い周期で生じることとなる。
したがって、検波回路40で変調周波数成分の検波を行えば、その出力波形はバンドパスフィルタ44またはローパスフィルタを通過するのと等価な信号処理を行える。つまり、バンドパスフィルタ44のカットオフ周波数を適当に選べば、この変調周波数成分による変動成分が取り除かれた出力信号Doを検出できる。
ところで、被処理水8から凝集したコロイド(凝集コロイド)では、計測領域18に出入りする際の変動が大きく、この変動の平均周期が長くなる。そして、凝集コロイドの密度と計測領域18の体積との積が1より小さい場合には、検波回路40の検波後の出力波形の最低値が未凝集コロイドの散乱に対応することになる。
検波回路40で得られる出力信号Doには、未凝集コロイドの散乱光とこれ以外の散乱光とによる信号が含まれており、これらは信号振幅レベルによって被処理水8中の凝集コロイドによる散乱光と未凝集コロイドによる散乱光とを区別することができる。したがって、この出力信号Doから未凝集コロイドによる散乱光に対応する振幅レベルの信号成分を取り出し、被処理水8の処理状態であるコロイドの凝集状態を検出することが可能であり、コロイドの凝集状態を把握することができる。
<信号処理および計測値の信号処理>
図3は、散乱光からSS濁度の計測値を取り出す信号処理を示している。この信号処理は、複数の計測値から平均計測値を算出するため、連続または不連続に計測値dのn個(たとえば、n=2以上)を1セットとするmセット(たとえば、m=2以上)からなる複数の計測値を取り込む処理を含んでいる。
この信号処理ではたとえば、1セット=8個の計測値dを想定し、2セットSI、SIIの計測値の取込みを示している。説明の都合上、セットSIでは計測値d11、d12、d13・・・、セットSIIでは計測値d21、d22、d23・・・が取り込まれている。
この信号処理において、タイミング信号Tsは、図3のAに示すように、一定時間Tの間隔(周期)で一定のパルス幅twを持つパルス信号である。この場合、Hレベル区間(=パルス幅tw)がレーザ光の発光時間であり、Lレベル区間(=T−tw)がレーザ光の非発光時間である。一例として、T=2〔秒〕、tw=0.2〔秒〕に設定される。この場合、T−tw=2〔秒〕に設定してもよい。
変調信号Msは、図3のBに示すように、一定の周波数fおよび同一振幅の周期信号である。周波数fは、70〜150〔kHz〕のいずれかを選択すればよい。
発光信号Drは、図3のCに示すように、変調信号Msでタイミング信号Tsを変調するAM変調回路30の出力信号である。つまり、この発光信号Drは、タイミング信号TsのHレベル区間のパルス幅twに変調信号Msを重畳した周期信号である。つまり、発光信号Drは、パルス幅twが変調信号Msの振幅で変化し、タイミング信号Tsで間欠する周期信号である。
このような発光信号Drを用いれば、レーザ発光素子26から発光信号Drによる発光態様を持つレーザ光が得られる。
このレーザ光をレーザ光照射部10から計測領域18に照射すると、計測領域18に滞在する被処理水8中の粒子から散乱光が得られる。この散乱光が散乱光受光部12に受光される。
そして、光電変換回路38の光電変換、フィルタ処理および増幅を経て、増幅器46の出力側には図3のDに示すように、受光信号Eoが得られる。この受光信号Eoは、タイミング信号Tsで間欠し、変調信号Msの周波数を持ち、散乱光の強度に応じたレベルの振幅を持っている。
この受光信号Eoを検波回路40で検波すると、図3のEに示すように、タイミング信号Tsで間欠し、散乱光の強度に応じた直流レベルを持つ出力信号Doが得られる。この受光信号Eoの信号処理ではたとえば、バンドパスフィルタ44の出力を半波整流して検波した後、その検波出力のボトムピークをピークホールドして出力信号Doが得られる。
したがって、最低値検出回路48では、出力信号DoからA/D変換を経て、既述の計測値d11、d12、d13・・・、d21、d22、d23・・・が検出される。
<計測値の演算処理>
最低値検出回路48では複数の計測値dのセット毎の記録、抽出された複数の計測値dのセット毎のソート、計測値dの抽出、平均計測値の演算が実行される。
(1) 計測値dの保存(記録)
図4のAは、計測値テーブル64の一例である。この計測値テーブル64はデータ記録部58に設定されている。この実施の形態では、計測値テーブル64に一例としてセットSIに対応するセットテーブル64−1、セットSIIに対応するセットテーブル64−2が設定されている。各セットテーブル64−1、64−2には、セット毎に識別番号Noおよび計測値dが計測順に格納される。識別番号Noは計測値dの計測順および計測値dの特定情報を示している。各計測値dは、図3のFの計測値dを示している。この実施の形態では、1セット8個、2セット分の計測値dが取り込まれ、保存される。
(2) 計測値dのソート
各計測値dは、ソート処理により低い値から順に並び換えが行われる。このソートにはソートテーブル66が用いられる。
図4のBは、ソートテーブル66の一例である。このソートテーブル66はデータ記録部58に設定されている。このソートテーブル66には一例としてセットSIに対応するソートテーブル66−1、セットSIIに対応するソートテーブル66−2が設定されている。
ソート処理は、セットSI、SII毎にプロセッサ52により処理される。この実施の形態では、セットSI側の計測値d11、d12・・・d18の値がd16<d12・・・d13、セットSII側の計測値d21、d22・・・d28の値がd23<d28・・・d22の場合を示している。この場合、ソートテーブル66−1には図4のBに示すように、低い順に下側から上側に向かって計測値d16、d12、d17・・・d13がソートされている。ソートテーブル66−2には、低い順に下側から上側に向かって計測値d23、d28、d24・・・d22がソートされている。
(3) 計測値dの第1の抽出
この第1の抽出では、セット毎に取り込まれた複数の計測値dの低い値から順に複数番たとえば、2番目までの計測値dを抽出する。
この計測値dの抽出には、第1の計測値抽出テーブル68が用いられる。この計測値抽出テーブル68には、図4のCに示すように、セットSIから低い値の計測値d12、d16、セットSIIから低い値の計測値d23、d28が抽出されて保存されている。
(4) 計測値dの第2の抽出
この第2の抽出では、第1の抽出で第1の計測値抽出テーブル68から最も低い計測値dを除き、平均値を求めるための計測値dを計測値抽出テーブル70に保存する。
この処理には、第2の計測値抽出テーブル70が用いられる。この計測値抽出テーブル70には、計測値抽出テーブル68から最も低い計測値dを除いた複数の計測値dが格納される。この実施の形態では、計測値の大小関係が一例として、d16<d23<d12<d28であることから、計測値d16が削除されている。この場合、計測値抽出テーブル70は、計測値抽出テーブル68を兼用してもよい。
(5) 平均計測値davの演算
平均計測値davの演算では、最も低い計測値dが除かれた複数の計測値dを用いて平均値を算出する。この実施の形態では、3組の低い値の計測値d23、d12、d28が用いられ、複数の計測値dを計測値数Ntで除すたとえば、加算平均{(d23+d12+d28)/3}により平均計測値davが得られる。平均計測値davの演算方法は、加算平均以外の算出方法を用いてもよい。
<凝集モニタリングの処理手順>
図5は、凝集モニタリングの処理手順の一例を示している。この処理手順は、本発明の凝集モニタリング方法の一例である。この処理手順は、最低値検出回路48に含まれるプロセッサ52およびメモリ部54を含むコンピューティング処理(情報処理)によって実行される。
この処理手順では、条件設定工程において、凝集モニタリングの条件設定を行う(S1)。この条件設定ではたとえば、計測値dを取り込むセット数SN、各セットの計測値数を設定する。この実施の形態では一例として、1セット8個の計測値dとし、2セットの複数の計測値dを保存し、平均計測値を求める。
この条件設定の後、凝集モニタリングの開始か否かを判断する(S2)。モニタリングを開始すると(S2のYES)、レーザ発光工程に移行してレーザ発光素子26を駆動し(S3)、レーザ光照射工程に移行する(S4)。レーザ光照射工程では既述したように、計測領域18にレーザ光を照射する。
散乱光受光工程(S5)では既述したように、計測領域18から散乱光を受光し、散乱光の強度を表すレベルを持つ受光信号に変換する。
信号処理工程(S6)では既述したように、検波回路40が出力する出力信号Doから順次に計測値dを最低値検出回路48に取り込む。
この場合、設定条件に従いたとえば、1セット8個の計測値dが取り込まれる(S7)。この計測値dの取込み数が所定数に到達したか否かが判断される(S8)。この実施の形態では、1セット8個の計測値dに到達したか否かを判断する。
この計測値数が所定数に到達していなければ(S8のNO)、計測値dの取得を継続して行う。この計測値数が所定数に到達すれば(S8のYES)、セット数が所定数に達したか否かを判断する(S9)。セット数が所定数に達していなければ(S9のNO)、セット数が所定数に到達するまで、計測値dの取込みを継続して行う。この実施の形態では、1セット8個の計測値dの2セット分が計測値テーブル64に保存される。
所定のセット数に到達すれば(S9のYES)、各セットの計測値dに対し、既述のソートを行う(S10)。このソートでは、セット毎に低い値から順に計測値dを並び換え、ソートテーブル66に保存する。
セット毎に計測値dから複数の低い値の計測値を抽出して保存する(S11)。この実施の形態では、既述したように、セット毎に2個ずつの低い計測値dが抽出され、第1の計測値抽出テーブル68に保存される。
計測値抽出テーブル68に保存されている複数の計測値dから最も低い計測値dが除かれた後の計測値dが計測値抽出テーブル70に保存される(S12)。
そして、最も低い計測値dが除かれた複数の計測値dを平均し、平均計測値davを算出する(S13)。
<第1の実施の形態の作用および効果>
この第1の実施の形態によれば、次のような作用および効果が得られる。
(1) 最低値検出回路48では演算回路の一例であるプロセッサ52と、演算結果を記録する記録部の一例であるメモリ部54のデータ記録部58とを含むことにより、凝集状態を表す最低値である平均計測値davをディジタル処理による高速処理で得ることができる。
(2) プロセッサ52の演算処理では、特定の間隔で一定回数以上の計測値dを取込み、複数の計測値dの低い値からn番目までの計測値dをメモリ部54のデータ記録部58に保存する。続いて再度同様の方法で計測値dをサンプリング処理し、メモリ部54のデータ記録部58に保持する。この演算処理を予め指定した回数(2回以上の回数)だけ繰り返し、その後、メモリ部54に保存されている複数の計測値dを用いて低い値からソート(並べ替え)を行い、任意の低い計測値dから予め指定したm番目までの計測値dを抽出し、これら複数の計測値dの平均を取り平均計測値davを算出する。つまり、この平均計測値davは最低値の平均値である。
(3) レーザ発光素子26では、光時間を短くすることで延命効果を得るため、たとえば、一定時間T=2〔秒〕の間隔で、発光時間t=0.2〔秒〕間の発光によりレーザ光を得ている。既述したように凝集剤薬注量が多く、フロック密度が高い凝集処理では、フロック間のSS濁度を1分間当たり数回またはそれ以下でしか計測できない場合がある。散乱光受光部12の前面にフロックが存在すると、このフロックが計測すべき微弱な散乱光を遮光し、その散乱光の受光が阻害される場合があり、このような事態が多発すると、実際の散乱光強度よりも低い値を計測することが予想される。上記実施の形態のように、一定時間T=2〔秒〕の間隔で、発光時間t=0.2〔秒〕間の発光であれば、1分間で30回の計測が行え、斯かる不都合を回避できるとともに、短時間で安定したSS濁度の計測が可能である。
(4) 上記実施の形態では、一定時間T=2〔秒〕の間隔で、発光時間t=0.2〔秒〕間のレーザ光を用いた計測頻度において、たとえば、1セット8回の計測値dを用いて2セットの計測値dの最低値をサンプリングし、各セットの複数の計測値dから低い値の2番目までの計測値dをピックアップする。これにより、2セット、4個の計測値dから最小値の計測値dを削除し、残り3個の計測値dの平均値である平均計測値が求められる。これにより、未凝集のコロイド粒子による散乱光に対し、高い発生頻度が予想されるフロックによる影響を軽減でき、フロックによる遮光の影響を排除することができる。微弱な散乱光のフロックによる受光妨害を回避でき、計測タイミングの増加とともにリアルタイムで処理状況を把握でき、計測精度を向上させることができる。この結果、被処理水8の処理状態の安定した計測ができ、計測精度が高められる。
(5) 上記実施の形態では一例として、1セット8回の計測値を2セットを使用することにより、2〔秒〕間隔で0.2〔秒〕間の発光および受光であれば、36〔秒〕間に16個の計測値が得られ、この計測値から1セット2個ずつの低い側の4個の計測値を抽出し、そのうちの最低値を除いた3個の計測値で平均を取る。これにより、1〔分〕間の計測タイミングが増加するとともに、フロックの影響を回避でき、最小値である計測値を除いて計測値の平均を取っているので、フロックによる散乱光の遮断や、微弱な散乱光の受光妨害を避けることができ、上記課題を解決することができる。以て、計測タイミングを増加させ、リアルタイムで処理状況を把握でき、計測精度を向上させることができる。
(6) 上記実施の形態では、一例として、8個の計測値の2セットを用いて、各セットの最低値から2個の計測値dを抽出し、合計4個の計測値から1個の最低値である計測値dを排除しているが、これらの1セット中の計測値数やセット数などのサンプリング数を変更しても凝集モニタリング処理が損なわれることはなく、むしろ排水など被処理水8の性質や種類に応じて調整でき、また、所望のサンプリング条件を設定すればよい。
(7) タイミング信号Tsを変調信号Msで振幅変調を施して得られる発光信号Drでレーザ発光素子26を駆動し、これにより得られるレーザ光を計測領域18に照射し、この計測領域18から得られる散乱光を受光し、その受光信号レベルにより得られる複数の計測値の低い値を平均して凝集処理の状態を表す平均計測値としている。
斯かる計測および演算処理について言及すれば、平均的な散乱光強度の測定では、被処理水8における凝集物による散乱光と、未凝集物による散乱光とを区別できず、未凝集物であるSSのみの状態の把握は難しい。一般に散乱光の強度は、被処理水8中の粒子数に比例するとともに粒子径の4〜6乗に比例する。SSの凝集が進めば、被処理水8中の粒子数が減少し、散乱光の強度が低下する。凝集物の粒子径が大きくなると、その粒子1つ当たりの散乱光の強度が増加することになる。このため、平均的な散乱光の強度測定では、凝集物および未凝集物の散乱光が含まれるので、凝集状態を適切に把握できない。
上記実施の形態の散乱光の計測、受光信号の処理および計測値の演算処理では、検波回路40が散乱光の強度変化を検出するが、検波回路40の前段で電気信号を所定の周波数fでAM検波により散乱光の信号成分を抽出しており、検波回路40の検波後の信号がピーク変動しているとき、この信号を最低値検出回路48に取り込んでA/D変換し、最低値の信号強度を被処理水8における未凝集の懸濁物により散乱した散乱光強度としており、被処理水8中の凝集物による散乱光と区別して検出している。つまり、散乱光から得られる信号強度の最低値の変化を被処理水8における未凝集のコロイド粒子数の変化として検出する。
この最低値検出回路48における信号処理をさらに言及すると、出力信号Doから最低値の信号強度を検出する。この最低値の検出は、図3のDに示す波形の低振幅部を計測する。つまり、低振幅部以外の部分が凝集されたコロイド粒子および未凝集の微小コロイドが計測領域18に滞在している場合であり、低振幅部が、計測領域18から凝集コロイド粒子が他の領域に遷移した場合である。したがって、最低値検出回路48が信号強度の最低値を検出するので、微小コロイド粒子(未凝集のコロイド粒子)のみが計測領域18に存在する場合の散乱光の強度、すなわち微小コロイド粒子数の計測が可能となっている。この場合、計測値の最低値の減少は、計測領域18における微小コロイド粒子の減少を示し、その増大は、微小コロイド粒子の増大を示している。
図3に例示された計測値dのうち、図示しない計測値d11、d13、d22、d23は、凝集されたコロイド粒子を含む値であり、計測値d12、d14、d21は、未凝集のコロイド粒子を含む値である。これにより、明らかに微小コロイド粒子(未凝集のコロイド粒子)のみが計測領域18に存在する場合の散乱光の強度、すなわち微小コロイド粒子数の計測が可能になっていることが理解されよう。
したがって、最低値検出回路48では、低い値の計測値d16を除かれた複数の計測値d11、d13、d22、d23から平均計測値davを算出しているので、凝集されたコロイド粒子の影響を排除でき、未凝集の微小コロイド粒子の濁度を計測することができる。
〔第2の実施の形態〕
図6は、第2の実施の形態に係る凝集システムを示している。この凝集システム72は、第1の実施の形態に係る凝集モニタリング装置2を用いた凝集処理システムの一例である。図6において、図1と同一部分には同一符号を付し、その説明を割愛する。
凝集モニタリング装置2では、凝集槽6で凝集処理が行われている被処理水8のSS濁度を表す平均計測値davが算出され、制御部74に提供される。この平均計測値davは、凝集槽6内で凝集処理される被処理水8の処理状態から得られた値を示している。
この制御部74は凝集剤の薬注量や攪拌制御などの凝集槽6における被処理水8の凝集処理を制御する。凝集槽6の被処理水8には薬注部76から凝集剤が注入される。凝集槽6に設置された攪拌器78は駆動部80によって駆動され、この駆動が制御部74によって制御される。
制御部74はたとえば、コンピュータによって構成され、凝集モニタリング装置2から提供される平均計測値davを用いて凝集剤の薬注量が算出される。
図7は、薬注量の選定に用いられる凝集剤薬注量テーブル82を示している。この凝集剤薬注量テーブル82では、平均計測値davに対応する凝集条件のひとつである凝集剤の薬注量Yが格納されている。この凝集剤薬注量テーブル82を用いれば、平均計測値davが算出されると、この平均計測値davに対応する薬注量Yを選択することができる。
<凝集システムの凝集処理>
図8は、凝集処理の処理手順の一例を示している。この処理手順では、凝集処理の開始か否かを判断し(S11)、その判断結果に応じて凝集処理を開始する。凝集処理を開始すると(S11のYES)、凝集槽6の被処理水8の処理状態について凝集モニタリングを実施する(S12)。この凝集モニタリングは凝集モニタリング装置2によって実施される。この処理内容の詳細は割愛する。この凝集モニタリング装置2では被処理水8の処理状態を表す平均計測値davが算出され(S13)、凝集システム72の制御部74に提供される。
平均計測値davの提供を受けると、制御部74では凝集条件のひとつとして、凝集剤薬注量テーブル82から凝集剤薬注量が選定される(S14)。これにより、薬注部76から凝集剤の薬注が行われる(S15)。
この凝集処理を終了するか否かを監視し(S16)、凝集処理を終了しない場合には(S16のNO)、S12に戻り、S12〜S16の処理により継続した凝集処理が実施される。
そして、凝集処理を終了する場合には(S16のYES)、凝集モニタリングを終了し(S17)、凝集処理を終了する。
<第2の実施の形態の作用および効果>
この第2の実施の形態によれば、次のような機能および効果が得られる。
(1) 凝集処理の状態がリアルタイムで把握され、フロックの影響を回避ないし軽減した散乱光の計測値から平均計測値davを薬注制御に採用するので、安定した薬注制御が実現される。
(2) 被処理水の凝集条件や凝集剤の薬注量が求められる。
(3) 被処理水に対する薬注量の適正化とともに、安定した凝集処理が行え、凝集効率を高められる。
(4) 凝集槽6の処理状態の測定に基づく凝集システムの補償機能を維持することができ、過剰な凝集剤の投与を防止して環境負荷への影響を回避でき、信頼性の高い凝集処理を実現できる。これにより、被処理水の凝集処理にたとえば、既述のPID制御を適用しても、このPID制御に必要な補償機能を維持することができ、処理の信頼性を維持することができる。
(5) 食品製造工場の排水など、排水種が頻繁に変化する被処理水にあっても、その排水種に対応した的確な凝集処理を行うことができ、環境負荷への影響を回避できる。
〔他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、所定の時間間隔で発光しかつ所定周波数で振幅変調が施されたレーザ光を用いているが、レーザ発光素子の寿命を考慮することなく、濁度の計測を優先する場合には所定周波数で振幅変調が施されたレーザ光を用いてもよい。この場合、複数の最低レベルの信号を連続した受光信号から所定のタイミングで抽出すればよい。
(2) 上記実施の形態において、バンドパスフィルタ44および増幅器46はディジタル処理で実現してもよい。
(3) 上記実施の形態では、凝集モニタリング装置2で処理状態をモニタリングする被処理水8として浄水、工業用水、排水などを例示しているが、この被処理水8には果汁などの飲用液体であってもよい。
以上説明したように、本発明の凝集モニタリング装置、凝集モニタリング方法および凝集システムの最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
本発明によれば、浄水、工業用水、排水などの被処理水の凝集処理の処理状況を安定して的確に把握でき、効率的な凝集処理に寄与することができる。
2 凝集モニタリング装置
4 センサ部
6 凝集槽
8 被処理水
10 レーザ光照射部
12 散乱光受光部
14−1 第1の光ファイバ
14−2 第2の光ファイバ
16 遮蔽部材
18 計測領域
20 レーザ光発光部
22−1 第1の支持部
22−2 第2の支持部
24 頂角部
26 レーザ発光素子
28 発光回路
30 AM変調回路
32 タイミング回路
34 ファンクションジェネレータ
36 信号処理部
38 光電変換回路
40 検波回路
42 フォトディテクタ
44 バンドパスフィルタ
46 増幅器
48 最低値検出回路
50 A/D
52 プロセッサ
54 メモリ部
56 プログラム記憶部
58 データ記録部
60 RAM
62 表示部
64、64−1、64−2 計測値テーブル
66、66−1、66−2 ソートテーブル
68 第1の計測値抽出テーブル
70 第2の計測値抽出テーブル
72 凝集システム
74 制御部
76 薬注部
78 攪拌器
80 駆動部

Claims (4)

  1. 凝集処理される被処理水の処理状態を監視する凝集モニタリング装置であって、
    少なくとも所定の時間間隔で発光しかつ所定周波数で振幅変調が施されたレーザ光を前記被処理水の計測領域に照射するレーザ光照射部と、
    前記計測領域にある前記被処理水の粒子による散乱光を受光する散乱光受光部と、
    前記散乱光受光部に得られる受光信号から前記散乱光の強度を表す計測値を取り出す信号処理部と、
    連続または不連続に前記計測値のn個(n=2以上)を1セットとするmセット(m=2以上)からなる複数の計測値を取り込み、セット毎に低い値から順に複数の計測値を抽出し、これら複数の計測値から最も低い計測値を除いた複数の計測値から平均計測値を算出する計測値演算部と、
    を備えることを特徴とする凝集モニタリング装置。
  2. さらに、前記レーザ光を発光するレーザ発光部を備え、該レーザ発光部が所定の時間間隔の間欠するタイミング信号に所定周波数で変化する振幅を持つ変調信号で振幅変調を施した発光信号で発光するレーザ発光素子を備えることを特徴とする請求項1に記載の凝集モニタリング装置。
  3. 凝集処理される被処理水の処理状態を監視する凝集モニタリング方法であって、
    少なくとも所定の時間間隔で発光しかつ所定周波数で振幅変調が施されたレーザ光を前記被処理水の計測領域に照射するレーザ光照射工程と、
    前記計測領域にある前記被処理水の粒子による散乱光を受光する散乱光受光工程と、
    前記散乱光受光工程で得られる受光信号から前記散乱光の強度を表す計測値を取り出す信号処理工程と、
    連続または不連続に前記計測値のn個(n=2以上)を1セットとするmセット(m=2以上)からなる複数の計測値を取り込み、セット毎に低い値から順に複数の計測値を抽出し、これら複数の計測値から最も低い計測値を除いた複数の計測値から平均計測値を算出する計測値演算工程と、
    を含むことを特徴とする凝集モニタリング方法。
  4. 被処理水を凝集処理する凝集システムであって、
    前記被処理水を凝集処理する凝集槽と、
    前記凝集槽の前記被処理水の処理状態を監視する凝集モニタリング手段と、
    前記被処理水に前記処理状態に応じた薬注量の凝集剤を注入する薬注手段と、
    を備え、前記モニタリング手段が、
    少なくとも所定の時間間隔で発光しかつ所定周波数で振幅変調が施されたレーザ光を前記被処理水の計測領域に照射するレーザ光照射部と、
    前記計測領域にある前記被処理水の粒子による散乱光を受光する散乱光受光部と、
    前記散乱光受光部に得られる受光信号から前記散乱光の強度を表す計測値を取り出す信号処理部と、
    連続または不連続に前記計測値のn個(n=2以上)を1セットとするmセット(m=2以上)からなる複数の計測値を取り込み、セット毎に低い値から順に複数の計測値を抽出し、これら複数の計測値から最も低い計測値を除いた複数の計測値を平均し、前記薬注量を求めるための平均計測値を算出する計測値演算部と、
    を含むことを特徴とする凝集システム。

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