JP3922365B2 - 粒子状態検出装置および粒子状態検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、凝集処理工程からサンプリングされたフロックを含む凝集処理水(検水)中における粒子の状態を求めるに好適な粒子状態検出装置および粒子状態検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上水や工業用水、あるいは下水や排水等の浄化処理(水質改善処理)は、例えば被処理水に凝集剤を投入して該被処理水中の懸濁物質を凝集処理した後、凝集したフロックを沈殿分離、加圧浮上分離、遠心分離、砂ろ過、膜分離等の手法を用いて固液分離することにより実現される。しかしながらフロックを含む凝集処理水(検水)中における懸濁物質の凝集状態は、被処理水の水質(pHや懸濁物質の濃度)、更には凝集処理工程における凝集剤の添加量やその撹拌条件等によって変化することが否めない。ちなみに凝集処理条件が適切に設定されない場合には、その後の固液分離処理に悪影響を及ぼしたり、固液分離後における処理水の水質が悪化する等の要因となる。
【0003】
そこで従来は、検水中に光を照射したときに該検水により生じる散乱光の強度から上記検水の濁度を測定し、この濁度に基づいて検水中における懸濁物質の凝集状態をリアルタイムに評価して凝集処理工程における凝集条件を最適化することが提唱されている(例えば、特許文献1参照)。この場合、流速が一定値以下の安定した条件下であれば、細かな粒子による反射信号のレベルは濁度に比例したレベルを示す。これは、処理水の流量が遅い場合、大きなフロックの出現頻度が、微細粒子の出現頻度に比べて十分に小さくなるという特性があるためである。したがって、検出領域に単位時間あたりに出現する微細粒子の頻度(面積比率)は、懸濁物濃度に比例することになる。
【0004】
そこで、被処理水の凝集処理時に形成されたフロックの沈降性やフロックが沈降した後の濁度(残留濁度)および形成されたフロックの粒径等を計測し、この情報に基づいて凝集条件を最適化することが従来から行われている。
具体的には、凝集槽等に設けた検査容器中の検水をポンプによって濁度計に導入して濁度を計測し、検査容器に導入された検水濁度が一定値以下になるまでの時間を計測して、凝集状態を評価する方法が提唱されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
この方法は、開口部を設けた検査容器を凝集槽内に設置し、この検査容器に取り込まれた検水を濁度計に導入して計測を行うものである。このため、ポンプやサンプリング手段が必要である。また検査容器内の検水を入れ替えるためエアー供給手段も必要となる。更に濁度計を洗浄するための洗浄水を別に用意する必要がある等、装置が複雑になるという問題もある。そして、この公報に開示されている検査方法は、濁度が一定値以下になるまでの時間、換言すれば沈降速度の測定を行っているだけである。つまり、凝集性を評価するための有効な評価情報である濁度やフロック粒径についての計測は行えない。
【0006】
或いは別の手段として、廃水処理の凝集制御に流動電流計を用いた方法が提唱されている(例えば、特許文献3参照)。
この方法は、凝集状態を流動電流によって計測して、無機凝集剤による電荷中和状態を検出するため、シリンダ内にピストン動作によって検水を引き込み、このときに発生する荷電粒子の移動による微弱電流を流動電流計で計測するものである。そのため、ピストン動作を行わせる機構が必要となる他、荷電粒子の移動に伴う電流が微弱であるためノイズの影響を受けやすいという問題がある。更に、計測対象が流動電流という間接現象を捉えているため、フロック径や濁度等の凝集状態を直接評価できないという問題がある。
【0007】
そこで本出願人は、検水中にレーザ光を照射し、このレーザ光の上記検水中の粒子への衝突により発生する散乱光を微小な計測領域において検出することで、凝集物および未凝集物による各散乱光成分を互いに区別して検水中の粒子の状態を精度良く検出する凝集モニタリング装置を提唱した(例えば、特許文献4参照)。この装置においては、レーザ光を導いてその端面から射出する第1の光ファイバと、端面から導入する散乱光を光電変換素子に導く第2の光ファイバの各端面を互いに近接させ、且つ各光ファイバの端面における中心軸が交差するように支持部材に取り付けることで、光ファイバの端面近傍に微小な計測領域を設定したプローブを構成するものとなっている。そしてこのプローブを検水中に浸漬することで、上記微小な計測領域における粒子の状態(粒子数および粒子径)を検出するよう構成されている。
【0008】
【特許文献1】
特表平5−505026号公報
【特許文献2】
特開平10−71304号公報
【特許文献3】
特開平7−256008号公報
【特許文献4】
特開2002−195947号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、流水状態における検水中の粒子の状態を測定する場合、検水の流速による撹拌作用によって、プローブの計測領域に大きなフロックの出現頻度が増加する。つまり、プローブの計測領域におけるフロックの出現時間が長くなることを意味する。ちなみに上記散乱光は、検水中における懸濁物質の粒子数に比例するとともに、その粒子径の4〜6乗に比例する。すなわち、このフロックにより受光部に与えられる散乱光強度が増加することになる。
【0010】
しかしながら、上述した凝集モニタリング装置にあっては、検出レベルの平均値を取って検水中の粒子の状態をモニタするものであるので、前述したフロックの影響が大きくなり、その凝集状態を適切に把握できないと言う問題がある。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、検水中にレーザ光を照射し、このレーザ光の上記検水中の粒子への衝突により発生する散乱光またはこの検水中を透過するレーザ光を検出する粒子状態検出用プローブを用いて、特に検水の流速が速いことに起因するフロックの影響による測定誤差を排除することができ、安定した凝集特性を計測可能な簡易な構成の粒子状態検出装置および粒子状態検出方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するべく本発明に係る粒子状態検出装置は、例えば、検水中にレーザ光を照射する投光部と、この投光部の近傍に設けられて前記レーザ光の照射により生じた散乱光または前記レーザ光の照射により前記検水中を透過した透過光を受光する受光部と、前記投光部による前記レーザ光の照射領域と前記受光部による前記散乱光の受光領域とが重なる状態に前記投光部と前記受光部とをそれぞれ支持して前記検水中における粒子状態の計測領域を規定する支持部材と、前記計測領域の外囲に設けられて前記検水が出入り可能なカバー体とを備えた粒子状態検出用プローブを用いて構成される。
【0012】
より詳しくは本発明に係る粒子状態検出装置は、所定のレーザ光を受光してその受光量に応じた所定の検出信号を生成する検出部と、検水中に所定の光源から発せられたレーザ光を導いてその端面から射出する第1の光ファイバと、この第1の光ファイバの近傍に設けられて前記レーザ光の照射により生じた散乱光または前記レーザ光の照射により前記検水中を透過した透過光をその端面にて受光して前記検出部に導く第2の光ファイバと、前記第1の光ファイバによる前記レーザ光の照射領域と前記第2の光ファイバによる前記散乱光の受光領域または前記透過光の受光領域とが重なる状態に前記第1の光ファイバおよび前記第2の光ファイバをそれぞれ支持して前記検水中における粒子状態の計測領域を規定する支持部材と、前記計測領域の外囲に設けられてその上端部を閉止し前記検水が出入り可能な計測用フードと、この計測用フードに穿たれて外部から供給される洗浄用空気を導き、前記支持部材が規定する計測領域の近傍から前記洗浄用空気を噴出する空気導入口と、この空気導入口に設けられて洗浄用空気の流入を許可する洗浄空気弁と、前記計測用フードの内側に保持された空気を該計測用フードの外側に放出する排気弁と、上記洗浄用空気弁および前記排気弁のそれぞれの弁開度を制御して前記計測用フード内に満たされる前記洗浄用空気の量を調整する弁制御部とを備えて提供される。
【0013】
また、上述した本発明に係る粒子状態検出方法は、前述した粒子状態検出装置を用いた粒子状態検出方法であって、
特に前記検出部は、前記弁制御部により前記洗浄空気弁が開放されて前記計測用フード内が洗浄用空気で満たされた後、前記洗浄空気弁を閉じるとともに前記排気弁が開放された際、所定の受光面までに前記検水が到達するまでの時間から前記検水に含まれるフロックの粒径を算出することを特徴としている。
【0014】
好ましくは前記検出部は、前記計測用フード内の所定の受光面まで前記検水が満たされたとき、前記検出信号の平均値から前記検水に含まれるフロックの平均濁度を求めることが望ましい。
より好ましくは前記検出部は、前記計測用フード内の所定の受光面まで前記検水が満たされた後、前記平均濁度になるまでの時間から前記検水に含まれるフロックの沈降速度を計測することが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る粒子状態検出装置およびそれを用いた粒子状態検出方法について説明する。
この粒子状態検出装置は、例えば凝集処理に供された検水中にレーザ光を照射し、このレーザ光の上記検水中の粒子への衝突により発生する散乱光またはこの検水中を透過する透過光を検出することで、上記検水中に含まれる粒子の状態を計測するように構成される。
【0016】
まず第1の実施形態として散乱光を検出するプローブは、概略的には図1に示すように、所定の周波数で振幅変調したレーザ光を検水中に照射する為の第1の光ファイバ1と、上記レーザ光が検水中に含まれる粒子と衝突することにより発生する散乱光を受光する為の第2の光ファイバ2とを、そのファイバ端面を近接させて所定の台座(支持部材)3に固定した構造を有している。
【0017】
詳しくは、第1の光ファイバ1から送出されるレーザ光の光軸に対して側方に予め定めた距離を隔てて第2の光ファイバ2が前記台座3に固定される。すなわち、第2の光ファイバ2の端面(受光面)が、第1の光ファイバ1の端面の近傍に湾曲して設けられる。そして光ファイバ1,2における各端面の中心軸が交差する部位での0.2〜0.4mm径程度の微小な領域Sにレーザ光を照射し、当該領域Sに生じた散乱光を受光するように構成される。また前記台座3は、プローブ5の上方から入り込む外来光(自然光)の前記領域Sへの到達を遮る役割も担う。
【0018】
ここに上記光ファイバ1,2としては、そのコア径が0.1mm程度のものが用いられ、プローブ5は、例えば全体的には10〜20mm程度の大きさのものから構成される。
さて基本的には上述した構造の粒子状態検出用プローブ5において、この発明が特徴とするところは、図1にその形状を示すように粒子状態検出用プローブ5の外囲にその両端が開放されたカバー体9を設けた点にある。そして、このカバー体9は、検水の流速により粒子状態検出用プローブ5の横方向から受ける微小領域S周辺の検水の流速を大幅に緩和させる役割を担う。
【0019】
つまり、ほとんどの検水はプローブ5に対して横方向に流れるが、カバー体9により、プローブ5の微小領域S近傍の流れを極めて緩やかにすることができる。
また、カバー体9の内部に侵入した検水中に含まれるフロックは、その自重によって下方向に落下する。つまり、プローブ5の微小領域S近傍は、カバー体9にその外周を囲まれているので、流水の影響を受けることがない。つまり、検水の流速による撹拌作用によりプローブの計測領域に大きなフロックが出現することを効果的に抑えることができる。このため、粒子状態検出用プローブ5は、フロックに取り込まれなかった懸濁物のみを計測することができる。
【0020】
このような構造のプローブ5を用いた粒子状態検出装置による検水中の懸濁物質(微小コロイド粒子)や、その凝集により生じたフロックからなる粒子の状態の検出は、図2にその計測概念を示すように例えば所定の周波数で振幅変調したレーザ光Lを発光部10が出力して、前記プローブ5における第1の光ファイバ1を介して検水中に照射し、検水中に含まれる粒子に上記レーザ光が衝突した際に発生する散乱光を前記プローブにおける第2の光ファイバ2を介して検出部20にて受光することによりなされる。
【0021】
上記発光部10は、例えば波長が630nmのレーザ光Lを発振出力するレーザダイオード等のレーザ発振器11と、このレーザ発振器11が発振出力する上記レーザ光Lを70〜150kHz(例えば95kHz)で電気的に振幅変調(AM変調)するファンクションジェネレータ等の振幅変調器12とを備えて構成される。また前記検出部20は、散乱光Sの受光量(受光強度)に応じた電気信号を発生するフォトトランジスタ等の光電変換器21と、その光電変換出力から前述したように振幅変調した周波数成分だけを抽出する帯域通過フィルタ(BPF)22と、この帯域通過フィルタ22の出力を増幅器23を介して増幅した前記振幅変調周波数成分の信号Fを検波して、その包絡線成分Eを求める検波器24とを備えて構成される。
【0022】
尚、上記レーザ光Lの振幅変調は、検水中へのレーザ光Lの照射によって生じる散乱光を変調させることで、検水中に混入する自然光等の外来光とを区別する役割を担っている。従って前記光電変換器21の出力を帯域通過フィルタ22を介してフィルタリングすることで、上記振幅変調の周波数成分として前記検水中に照射したレーザ光Lによる散乱光の成分だけを抽出することが可能となる。
【0023】
また、本発明の別の実施形態に係る粒子状態検出装置は、図3にその実施形態を示すように、粒子状態検出用プローブ5の外囲に設けられたカバー体9の上端部を閉止した計測用フード30を備えている。この計測用フード30には、外部の空気供給源(図示せず)から供給される空気を前記光ファイバ1,2の各端面および上記微小領域S近傍に噴出する空気導入孔6と、該計測用フード内の空気を外部に排出する排気孔41およびこの排気を制御する排気弁42が設けられている。
【0024】
この空気導入孔6は、前記計測用フード30に穿たれ、空気を噴出する噴出口7を前記光ファイバ1,2の各端面に近接させて設けたもので、チューブ等の空気供給路45を介して前記空気供給源に連結される。また、この空気供給路45には、計測用フード30に流入する空気を後述するように制御する給気弁46を有している。特に計測用フード30に設けられた噴出口7は、光ファイバ1,2の各端面に対して空気を噴出するように設定されており、空気の噴出流にて光ファイバ1,2の各端面に付着した汚れを除去する役割も担っている。
【0025】
このように構成された粒子状態検出用プローブを図2に示す粒子状態検出装置に適用して、例えば凝集槽内の処理水を測定する場合は、まず前記空気供給源から空気導入孔6を介して供給される空気を噴出口7から噴出させる。すると、その空気は検水を押し退けて光ファイバ1,2の各端面および上記微小領域Sに到達し、粒子状態検出用プローブの投光部2aと受光部1aとが洗浄される。そして、噴出口7から計測用フード30内に流入した空気によって、該フード30内の検水はすべてフード30外へ排出される。
【0026】
好ましくは、空気供給源から供給される空気量は、計測用フード30内に存在する検水を全て排出するのに十分な時間とすることが望ましい。
そして、弁制御部40は、計測用フード30に蓄えられた検水をフード30外に排出した後、給気弁46を閉止する。次に弁制御部40は、排気弁42を開放する。すると、計測用フード30の下端から凝集槽内の処理水が流入する。この処理水は、やがて計測用フード内に設けられた粒子状態検出用プローブ5に到達する。このとき検出部20は、このプローブ5の受光信号の変化を捉えることができるので、この時点から前述した粒子状態検出装置と同様に処理水(検水)中の懸濁物質(微小コロイド粒子)や、その凝集により生じたフロックからなる粒子の状態の検出を開始する。
【0027】
また、計測用フード30の下端から受光面2aまでの高さ[h]が予め設定されているので、排気弁42の開放から受光面2aに処理水が到着するまでの時間[t]を計測することによって、処理水のプローブ5内での上昇速度[v]を求めることができる(v=h/t)。この上昇速度[v]を基にプローブ5が検出したフロック信号から、フロックの粒径を算出することが可能となる。
【0028】
すなわち、プローブ5の微小領域Sに処理水が到来してから、該微小領域Sをフロックが通過するまでの時間[t1]より、フロックのプローブ5内での上昇速度[v1]を求めることができ、[v]と[v1]との差からおよそのフロックの粒径を求めることができる。
その後、計測用フード30内の上限位置まで処理水が流入する。この上限位置までの処理水の流入を見込んだ十分な時間経過後、弁制御部40は排気弁42を閉止する。
【0029】
ところで、計測用フード内の上限位置まで処理水が流入すると、前述したカバー体を設けた粒子状態検出用プローブ5と同様に、計測用フード30内の処理水とその部位以外の凝集槽内の処理水との入れ替わりが少なくなる。このため、計測用フード30内に含まれる沈降性の高い、即ち大きく成長しているフロックから沈降を始める。そして、しばらくすると計測用フード30内には、沈下しにくい細かな懸濁物や小さなフロックが残留することになる。このとき検出部20は、プローブ5の検出信号の平均を取ることによって、フロックの影響を排除した微小コロイドの粒子数、即ち未凝集のコロイドの粒子数に比例した散乱光強度を測定することができる。また、排気弁42閉鎖時から、この平均濁度の状態になるまでの時間を検出部20が計測することで、フロックの沈降速度を計測することが可能となる。
【0030】
このような手順で計測を繰り返し行うことで、凝集槽内の処理水の処理状況をリアルタイムで把握することが可能となる。
また、上述した実施形態は、計測用フード30の一端が検水面より上方に位置する場合を例示しているが、本発明に係る粒子状態検出装置は、検水中に浸した状態でも計測することが可能である。この場合は、検水が計測用フード30内水位が予め定められた一定水位または完全に検水で満たした状態になったときに排気弁42を閉鎖するよう構成すればよい。
【0031】
かくして上述した如く構成された粒子状態検出用プローブを用いた粒子状態検出装置によれば、カバー体9または計測用フード30がプローブ5の外囲に設けられているので、例えば凝集槽内の処理水の測定において、流水の影響を受けることなく、検水の散乱光強度を検出することができる。更には、粒子状態検出装置は、フロックの沈降速度や粒径の計測も可能となる。
【0032】
このため、凝集槽の凝集性を評価する特性値の計測を正しく行うことが可能となる。また、計測用フード30内の検水の出入は、空気弁(42、46)の開閉で行うことができるので、従来のようなピストン駆動機構などを用いることなく行うことができる。
更には、噴出口7から噴出させる空気を用いて光ファイバ1,2の各端面を清掃し、端面に付着した汚れを除去することも可能となる。したがってプローブを清浄な状態に保つことができ、メンテナンスの容易化を図ることが可能となる等の実用上多大なる効果が奏せられる。
【0033】
次に、第2の実施形態として透過光を検出する粒子状態検出用プローブを説明する。このプローブは、概略的には図4に示すように、レーザ光を検水中に照射する為の第1の光ファイバ1と、上記レーザ光が検水中を透過する透過光を受光する為の第2の光ファイバ2とをそのファイバ端面を近接対峙させて所定の台座(支持部材)3に固定した構成をとる。
【0034】
概略的には図4(a)に示すように、光ファイバ1,2は、各ファイバ端面での中心軸が一致するようにそれぞれ湾曲されて対峙して前記台座3に固定される。そして、光ファイバ1,2における各端面の中心軸近傍の0.2〜0.4mm径程度の微小な領域Sにレーザ光を照射し、当該領域Sを透過する透過光を受光するように構成される。また前記台座3は、プローブ5の上方から入り込む外来光(自然光)の前記領域Sへの到達を遮る役割も担う。
【0035】
或いは、図4(b)に示すように、受光部側の光ファイバ2を湾曲させて、光ファイバ1の端面と、その中心軸が一致するように対峙して、前記台座3に固定される。そして、微小領域Sを透過する透過光を受光するように構成される。
この図4(a)または図4(b)に示す光ファイバの湾曲部の曲率半径を小さくすることができずプローブの小型化困難である場合には、図4(c)に示すように例えば湾曲部にプリズム7などを用いて透過光を得るように構成してもよい。
【0036】
このように上述した透過光を用いる粒子状態検出用プローブにおいても、前述した散乱光を用いたプローブと同様に、その微小領域Sを含むプローブの外囲にカバー体9(図4に図示せず)を設けたことを特徴としている。つまり、このカバー体9が微小領域Sの近傍に設けられていることから、透過光を利用したプローブであっても、検水の流速に左右されることなく処理水におけるフロックの沈降速度、粒度分布、未凝集コロイド粒子の濁度を安定して計測することが可能となる。
【0037】
上述した実施形態においては、凝集処理について例示したが、生物処理槽(ばっ気槽)への適用も勿論可能である。この場合、ばっ気槽中の汚泥に関して、沈降速度等の計測を安定して行うことが可能となる。
その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、プローブの検出領域の外囲にカバー体または計測用フードが設けられているので、検水の流速の影響を受けることなく検水の濁度およびフロックの沈降速度や粒径を計測することが可能となる。また、計測用フード内の検水の出入は、空気弁の開閉で簡易に行うことができる。
【0039】
更には、プローブ先端近傍に噴出する空気によりファイバ端面を洗浄する役割を持たせることで、ファイバ端面に付着した汚れを落としながら検水中の粒子の状態を信頼性良く確実に検出することができる。したがってその計測精度を容易に高め得る等の実用上多大なる効果が奏せられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る粒子状態検出用プローブであり、懸濁物質(微小コロイド粒子)の凝集に伴う、微小領域Sにおける散乱光を検出する粒子状態検出用プローブの概略構成図。
【図2】本発明に係る粒子状態検出用プローブを用いた粒子状態検出装置を示す概略構成図。
【図3】本発明に係る粒子状態検出用プローブを用いた別の実施形態の粒子状態検出装置を示す概略構成図。
【図4】本発明の別の実施形態に係る透過光を検出する粒子状態検出用プローブの概略構成図。
【符号の説明】
1 第1の光ファイバ(投光部)
2 第2の光ファイバ(受光部)
3 台座(支持部材)
5 プローブ
9 カバー体
10 発光部
20 検出部
30 計測用フード
40 弁制御部
41 排気孔
42 排気弁
45 空気供給路
46 給気弁
Claims (4)
- 所定のレーザ光を受光してその受光量に応じた所定の検出信号を生成する検出部と、
検水中に所定の光源から発せられたレーザ光を導いてその端面から射出する第1の光ファイバと、
この第1の光ファイバの近傍に設けられて前記レーザ光の照射により生じた散乱光または前記レーザ光の照射により前記検水中を透過した透過光をその端面にて受光して前記検出部に導く第2の光ファイバと、
前記第1の光ファイバによる前記レーザ光の照射領域と前記第2の光ファイバによる前記散乱光の受光領域または前記透過光の受光領域とが重なる状態に前記第1の光ファイバおよび前記第2の光ファイバをそれぞれ支持して前記検水中における粒子状態の計測領域を規定する支持部材と、
前記計測領域の外囲に設けられてその上端部を閉止し前記検水が出入り可能な計測用フードと、
この計測用フードに穿たれて外部から供給される洗浄用空気を導き、前記支持部材が規定する計測領域の近傍から前記洗浄用空気を噴出する空気導入口と、
この空気導入口に設けられて洗浄用空気の流入を許可する洗浄空気弁と、
前記計測用フードの内側に保持された空気を該計測用フードの外側に放出する排気弁と、
上記洗浄用空気弁および前記排気弁のそれぞれの弁開度を制御して前記計測用フード内に満たされる前記洗浄用空気の量を調整する弁制御部と
を備えることを特徴とする粒子状態検出装置。 - 請求項1に記載の粒子状態検出装置を用いた粒子状態検出方法であって、
前記検出部は、前記弁制御部により前記洗浄空気弁が開放されて前記計測用フード内が洗浄用空気で満たされた後、前記洗浄空気弁を閉じるとともに前記排気弁が開放された際、所定の受光面までに前記検水が到達するまでの時間から前記検水に含まれるフロックの粒径を算出することを特徴とする粒子状態検出方法。 - 請求項1に記載の粒子状態検出装置を用いた粒子状態検出方法であって、
前記検出部は、前記計測用フード内の所定の受光面まで前記検水が満たされたとき、前記検出信号の平均値から前記検水に含まれるフロックの平均濁度を求めることを特徴とする粒子状態検出方法。 - 請求項1に記載の粒子状態検出装置を用いた粒子状態検出方法であって、
前記検出部は、前記計測用フード内の所定の受光面まで前記検水が満たされた後、前記平均濁度になるまでの時間から前記検水に含まれるフロックの沈降速度を計測することを特徴とする粒子状態検出方法。
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