JP5920054B2 - エレベータ用ブレーキ装置及びエレベータ - Google Patents

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Description

本発明は、ブレーキドラムに対しブレーキシューを押圧することにより制動力を得るエレベータ用ブレーキ装置及びこれを備えたエレベータに関するものである。
エレベータ用ブレーキ装置においては、エレベータのかごを昇降駆動する巻上モータに設けられたブレーキドラムと、ブレーキドラムに対して摺動することにより制動力を発生するブレーキシューと、ブレーキシューをブレーキドラムに押圧するばねと、ブレーキシューをばねの付勢力に抗して吸引し制動を解除するブレーキコイルによって構成されるものが広く知られている。
このようなエレベータ用ブレーキ装置では、ブレーキシューがばねの付勢力に抗してブレーキコイルに吸引される制動開放状態からブレーキシューがばねによりブレーキドラムに押圧される制動付加状態への移行時(以下、「ブレーキ制動移行時」と呼ぶ。)や、制動付加状態から制動開放状態への移行時(以下、「ブレーキ開放移行時」と呼ぶ。)に、ブレーキシューがブレーキドラムやブレーキコイルに衝突することにより、大きな動作音が生じることがあった。特に、ブレーキ制動移行時においては、ブレーキシューとブレーキドラムの接触面に緩衝部材などを設けることが困難であったため、大きな動作音の抑制が困難であった。
そこで、従来のエレベータ用ブレーキ装置では、ブレーキシューの移動速度を検出し、ブレーキシューの移動速度が理想的な速度パターンと一致するように、ブレーキコイルにコイル電圧を印加しコイル電流を流すことで、ブレーキシューがブレーキドラムに衝突するときの衝突速度を低減し、ブレーキの動作音を抑制している(例えば、特許文献1参照)。
特開2004-115203号公報
しかしながら、従来のエレベータ用ブレーキ装置にあっては、ブレーキシューの移動速度を検出し、これが理想速度パターンと一致するようにブレーキコイルにコイル電圧を印加することで、ブレーキコイルにコイル電流を流しているが、ブレーキコイルの吸引力はブレーキコイルとブレーキシューの間のギャップの2乗に反比例して減少するのに対し、ばねによる付勢力はギャップに対して線形に減少していく。そのため、ブレーキシューがブレーキドラムに接近しギャップが増大した場合に、ばねの付勢力に対抗するのに十分な吸引力を発生させるにはギャップが小さいときよりも非常に大きなコイル電流が必要となる。つまり、ブレーキコイルの吸引力特性(コイル電流に対するブレーキコイルの吸引力)が低下しているため、より大きなコイル電流が必要であり、すなわち、より大きなコイル電圧が必要となる。しかし、従来の制御方法では吸引力特性の低下に対応した制御が行われていないため、十分なコイル電圧が得られず、ブレーキシューの速度制御の追従性が低下し、ブレーキの動作音を十分に抑制することができないという課題が生じることがあった。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、ブレーキコイルの吸引力特性が低下してもブレーキシューの速度制御の追従性の低下を抑制することができ、ブレーキの動作音を十分に低減することができるエレベータ用ブレーキ装置の提供を目的とする。
本発明に係るエレベータ用ブレーキ装置は、エレベータのかごを昇降駆動する巻上機モータに設けられたブレーキドラム、ブレーキドラムに対して摺動することにより制動力を発生するブレーキシュー、ブレーキシューをブレーキドラムに押圧するばね、及びブレーキシューをばねの付勢力に抗して吸引するブレーキコイルから構成されるブレーキ部と、ブレーキシューがブレーキコイルからブレーキドラムの間を移動している際のブレーキ部の状態としてブレーキコイルに流れるコイル電流微分値を検出する状態検出部と、ブレーキコイルに印加するコイル電圧をブレーキコイルに出力するコイル電源部と、ブレーキ部の状態に基づいてコイル電圧の指令値となる制御電圧をコイル電源部に出力する制御部とを備え、制御部は、制御パラメータを用いて制御電圧を求め、制御パラメータを、コイル電流の微分値が増加するにしたがって増加させることを特徴とするものである。
本発明に係るエレベータ用ブレーキ装置によれば、ブレーキシューが移動している際のブレーキ部の状態をブレーキコイルに流れるコイル電流の微分値として状態検出部が検出し、制御部が制御パラメータを、コイル電流の微分値が増加するにしたがって増加させ、制御パラメータを用いて制御電圧を求めて、コイル電源部に出力するため、ブレーキコイルとブレーキシューのギャップが大きくなり吸引力特性が低下した場合にも、ブレーキコイルの吸引力特性に対応した制御が可能となり、ブレーキシューの速度制御の追従性の低下を抑制することができ、ブレーキの動作音を安定して抑制することができるエレベータ用ブレーキ装置を得ることができる。
実施の形態1に係るエレベータ用ブレーキ装置を含むエレベータ全体を示す構成図である。 実施の形態1に係るエレベータ用ブレーキ装置の制御部を周辺機器とともに示すブロック構成図である。 実施の形態1に係るエレベータ用ブレーキ装置の状態検出部を周辺機器とともに示すブロック構成図である。 実施の形態1に係るエレベータ用ブレーキ装置における制御部および状態検出部の動作を説明するためのタイミングチャートである。 実施の形態1に係るエレベータ用ブレーキ装置における制御パラメータの変更方法を説明するための図である。 実施の形態2に係るエレベータ用ブレーキ装置の状態検出部を周辺機器とともに示すブロック構成図である。 実施の形態3に係るエレベータ用ブレーキ装置の状態検出部を周辺機器とともに示すブロック構成図である。 実施の形態4に係るエレベータ用ブレーキ装置の制御部を周辺機器とともに示すブロック構成図である。 実施の形態5に係るエレベータ用ブレーキ装置の制御部を周辺機器とともに示すブロック構成図である。
以下、この発明に係るエレベータ用ブレーキ装置の実施の形態につき図面を用いて説明する。各図において同一、又は相当する部分については、同一符号を付して説明する。ここで、制御部11a、制御部11b、制御部11cはそれぞれ異なる構成の制御部11を示し、制御部11と記載する場合は、制御部11a、制御部11b、制御部11cのいずれの構成としても構わないものとする。さらに、状態検出部17a、状態検出部17b、状態検出部17cはそれぞれ異なる構成の状態検出部17を示し、状態検出部17と記載する場合は、状態検出部17a、状態検出部17b、状態検出部17cのいずれの構成としても構わないものとする。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベータ用ブレーキ装置を含むエレベータ全体を示す構成図であり、図2は、実施の形態1に係るエレベータ用ブレーキ装置の制御部11aを、ブレーキ部10及び状態検出部17aとともに示すブロック構成図であり、図3は、実施の形態1に係るエレベータ用ブレーキ装置の状態検出部17aを、ブレーキコイル9及び制御部11aとともに示すブロック構成図である。以下、ブレーキシュー8がブレーキコイル9に吸引されている制動開放状態から、ブレーキシュー8がブレーキドラム6に押圧される制動付加状態へ移行するブレーキ制動移行時についてのみ説明する。
図1において、エレベータのかご1は、巻上機のシーブ2に巻き掛けられた主索3により、他端側の釣合おもり4とともにつるべ式に吊持されており、巻上モータ5によって昇降駆動される。ここで、ブレーキドラム6、ばね7、ブレーキシュー8およびブレーキコイル9は、ブレーキ部10(図1では図示せず、図2にて示す。)を構成している。ブレーキドラム6は、巻上モータ5とシーブ2とを結合する軸上に設置されており、ばね7の付勢力によってブレーキシュー8がブレーキドラム6に押し付けられたときの摩擦力により、エレベータのかご1を制動する制動力を得るようになっている。
制動開放状態においては、コイル電源部16が直流電磁石を構成するブレーキコイル9にコイル電圧Eを印加することでブレーキコイル9にコイル電流iを流す。これにより、ブレーキコイル9がブレーキシュー8をばね7による付勢力(ブレーキシュー8のブレーキドラム6側への押圧力)に打ち勝って吸引することができる。一方、制動付加移行時においては、コイル電源部16がブレーキコイル9へのコイル電圧Eの出力を停止することで、ブレーキコイル9に流れるコイル電流iは、ブレーキコイル9の抵抗値およびインダクタンス値により定まる時定数に応じて減少する。これに伴ってブレーキコイル9の吸引力が減少し、ばね7の付勢力よりも小さくなると、ブレーキコイル9とブレーキシュー8とが離れ、ブレーキシュー8はばね7の付勢力によってブレーキドラム6側に移動する。そして、ブレーキシュー8がブレーキドラム6に接触し、ばね7の付勢力によってブレーキシュー8がブレーキドラム6に押圧されると制動付加状態となる。なお、コイル電源部16は、状態検出部17aの検出するブレーキ部10の状態に基づいて制御部11aが出力する制御電圧Edより、ブレーキコイル9にコイル電圧Eを出力するが、その詳細については後述する。
図2において、制御部11aは、速度検出器12、速度パターン発生器13、減算器14及び補償手段15を有しており、ブレーキシュー8がブレーキコイル9からブレーキドラム6の間を移動している際(以下、「ブレーキ動作中」と呼ぶ。)のブレーキ部10の状態を検出する状態検出部17aが接続されている。そして、制御部11aは、検出されたブレーキ部10の状態に基づいて、ブレーキコイル9に供給するコイル電圧Eの指令値である制御電圧Edをコイル電源部16に出力する。コイル電源部16は、制御部11aからの制御電圧Edに基づいて、コイル電圧Eをブレーキコイル9に出力する。
速度検出器12は、ブレーキシュー8の移動速度vを検出する。ここで、速度検出器12は、速度センサを用いてブレーキシュー8の移動速度vを検出してもよいし、変位センサからの変位情報を微分して移動速度vを求めてもよい。また、その他にも、速度検出器12は、ブレーキコイル9に流れるコイル電流iと印加されるコイル電圧Eとに基づいて、コイルモデルからブレーキシュー8の移動速度vを推定してもよい。速度パターン発生器13は、ブレーキシュー8がブレーキドラム6に衝突する際のブレーキシュー8の移動速度vを低減しブレーキの動作音を抑制するようなブレーキシュー8の速度パターンvdを生成する。すなわち、速度パターンvdは、ブレーキシュー8の移動速度vの指令値となる。減算器14は、速度パターンvdの値から移動速度vを減算し、速度偏差Δvを算出する。補償手段15は、状態検出部17aで検出されたブレーキ部10の状態に基づいて、速度偏差Δvからブレーキシュー8の移動速度vが速度パターンvdに一致するように補償された制御電圧Edをコイル電源部16に出力する。
図3において、状態検出部17aは、電流検出器18、判定部19aを有している。状態検出部17aはブレーキ動作中のブレーキ部10の状態を検出するが、より具体的には、電流検出器18がブレーキコイル9に流れるコイル電流iを検出し判定部19aに出力する。そして、判定部19aはコイル電流iの時間変化からブレーキ部10の状態としてコイル電流iの傾きdi(コイル電流iの時間に対する変化率)を検出する。そして、これに基づいて制御部11aの図2に示された補償手段15の制御パラメータKを変更する。補償手段15にP制御器(比例制御を行う制御器。)やPID制御器等を用いることが挙げられる。例えば、補償手段15にP制御器を用いた場合では、その比例ゲインを制御パラメータKとし、検出されたブレーキ部10の状態に基づいて、補償手段15の制御パラメータKが変更される。以下では、補償手段15にP制御器を用いて、制御パラメータKをP制御器の比例ゲインとして説明するが、本願発明はこれに限定されるものではない。
続いて、図1〜3とともに、図4のタイミングチャートを参照しながら、制御部11aおよび状態検出部17aの動作について説明する。図4は、ブレーキ制動移行時における各値のタイミングチャートであり、横軸は時間を示し、縦軸はブレーキコイル9に流れるコイル電流i、ブレーキコイル9とブレーキシュー8との間の距離であるギャップx、ブレーキシュー8の移動速度v、及び制御部11aの補償手段15の制御パラメータKを示している。また、図4において、時刻T1はブレーキ制動移行時の開始時を、時刻T2はブレーキシュー8の移動開始時を、時刻T3はコイル電流iの急激な増加開始時を、時刻T4は本実施の形態におけるブレーキシュー8とブレーキドラム6の衝突時を、時刻T5は従来のブレーキ装置におけるブレーキシュー8とブレーキドラム6の衝突時を示す。
時刻T1において、制御部11aはブレーキコイル9へのコイル電圧Eの指令値である制御電圧Edを瞬時に零に設定する。これにより、ブレーキコイル9に流れるコイル電流iがブレーキコイル9の抵抗値及びインダクタンス値により定まる時定数に応じて減少を開始しブレーキコイル9の吸引力も低下する。次に、時刻T2はブレーキシュー8の移動開始時であり、すなわちブレーキコイル9の吸引力がばね7の付勢力よりも小さくなる時を示している。時刻T2において、ブレーキシュー8はブレーキドラム6に向かって移動を開始する。制御部11aは、時刻T2において、速度検出器12からの移動速度vによりブレーキシュー8が動き出したことを検出すると、減算器14は、速度検出器12からの移動速度vと、速度パターン発生器13からの速度パターンvdとの速度偏差Δvを算出する。補償手段15は、制御パラメータKを用いて速度偏差ΔvをK倍し、速度偏差Δvを零となるように補償された制御電圧Edをコイル電源部16に出力する。その際、従来のブレーキ装置では一定の値に固定された制御パラメータKを用いていたところ、本実施の形態では状態検出部17aが検出したブレーキ部の状態に基づいて制御パラメータKを適宜変更する。そして、制御電圧Edからコイル電源部16がブレーキコイル9にコイル電圧Eを出力し、コイル電圧Eはブレーキシュー8がブレーキドラム6に衝突する時刻T4までブレーキコイル9に与えられる。
ここで、時刻T2から時刻T4までのブレーキシュー8の移動速度vの制御方法について、従来の制御方法とブレーキ部10の状態に基づいて制御する本実施の形態の制御方法を比較して説明する。図4において、従来の制御方法の場合の各値の変化を破線が示しており、本実施の形態の制御方法の場合の各値の変化を実線が示している。なお、実線と破線が重なっている部分は、便宜上実線で表しているが、実線とともに破線が存在していることは言うまでもない。
まず、従来の制御方法について、図4を用いて従来の制御方法の場合の各値の変化を示す破線に特に注目して具体的に説明する。時刻T2においてブレーキシュー8が動き出すと、ばね7による付勢力はブレーキシュー8とブレーキコイル9の間のギャップxに対し線形に減少する。一方、コイル電流iによって生じるブレーキコイル9の吸引力は、ギャップxの2乗に反比例して急激に減少していく。しかし、ギャップxが小さい時刻T2から時刻T3の期間では、わずかなコイル電流iでばね7の付勢力に対抗する吸引力が得られるため、補償手段15の制御パラメータKは小さい値でも、ブレーキシュー8の移動速度vを速度パターンvdに追従させることができる。また、ブレーキシュー8が動き出すと、ブレーキコイル9の磁束が変化し、ブレーキコイル9に逆起電力が発生するため、コイル電流iが増加することとなる。このとき発生する逆起電力の大きさはブレーキシュー8の移動速度vの大きさに比例する。
これに対して、ギャップxが増大する時刻T3から時刻T5の期間では、ばね7の付勢力に対抗する吸引力がギャップxの2乗に反比例して急激に低下するため、ばね7の付勢力に対抗するには非常に大きなコイル電流iが必要となる。つまり、ブレーキコイル9の吸引力特性(コイル電流iに対するブレーキコイル9の吸引力。以下、同じ。)が低下しているため、より大きなコイル電流iが必要となる。そして、大きなコイル電流iを得るためにコイル電圧Eの指令値である制御電圧Edを増大させなければならず、そのために必要な補償手段15の一定の値に固定された制御パラメータKも大きく設定する必要がある。従って、ギャップxが小さいときと同じ制御パラメータKでは、ギャップxが増大すると十分なコイル電流iが得られず、ブレーキコイル9の吸引力が急激に低下する。そのため、移動速度vを速度パターンvdに十分に追従させることができなくなり、ブレーキシュー8がブレーキドラム6に衝突するT5における移動速度vが増加してしまう。
なお、図4おいて、時刻T3から時刻T5の期間では、移動速度vの増加に伴いコイル電流iも増加しているため十分なコイル電流iが得られているとも考えられる。しかし、このコイル電流iの増加は移動速度vの増加によってブレーキコイル9に発生した逆起電力によるものであり、移動速度vが増加した結果としてコイル電流iが増加したものであるため、移動速度の追従性を向上させることはできない。つまり、より正確に言及すれば、移動速度vが増加し追従性が低下する前に十分なコイル電流iが必要となる。このように、ブレーキシュー8の移動はブレーキコイル9の吸引力が低下することで開始するが、吸引力特性の低下により吸引力が必要以上に低下すると移動速度vが急激に増加し衝突時の移動速度vが増加してしまう。その結果、従来の制御方法では、衝突時T5のブレーキシュー8の移動速度vが十分に低減することができず、動作音を抑制することが困難となることがあった。
次に、本実施の形態の制御方法について、従来の制御方法と比較して説明する。上述のように、ギャップxが増加しブレーキコイル9の吸引力特性が低下すると、移動速度vを速度パターンvdに十分に追従させることができなくなるため、吸引力特性に対応した制御を行う必要がある。そこで、本実施の形態では、時刻T2においてブレーキシュー8の動き出しを検出すると、状態検出部17aは、電流検出器18によってコイル電流iを検出し、判定部19aはコイル電流iを微分しコイル電流iの傾きdiをブレーキ部10の状態として検出する。そして、傾きdiから適切な制御パラメータKを求める。ギャップxが小さい時刻T2から時刻T3の期間では、従来の制御方法と同様に、補償手段15の制御パラメータKは小さい値でも、ブレーキシュー8の移動速度vを速度パターンvdに追従させることができる。このように、移動速度vが速度パターンvdに追従できているときは、ブレーキシュー8の移動速度vが小さいため、発生する逆起電力も小さくコイル電流iの傾きdiも低くなる。そのため、判定部19aは、ブレーキ部10の状態として検出した傾きdiからコイル電流iの増加が十分小さいことを判定し、補償手段15の制御パラメータKを後述する時刻T3から時刻T4の期間よりも小さい値とする。
一方、ギャップxが増大する時刻T3から時刻T4の期間では、補償手段15の制御パラメータKを小さい値のままとすると、ブレーキコイル9の吸引力特性が低下しているので、十分な制御電圧Edが得られず、ブレーキコイル9に十分なコイル電流iが流れないので、ブレーキコイルの吸引力が必要以上に低下してしまう。そのため、移動速度vを速度パターンvdに十分に追従させることができなくなり、移動速度vが増加する。ここで、移動速度vが増加すると、ブレーキコイル9に発生する逆起電力も大きくなるため、コイル電流iの傾きdiも大きくなり、コイル電流iが急激に増加し始める。そこで、本実施の形態の制御方法では、状態検出部17aにおいて、ブレーキ部10の状態としてコイル電流iの傾きdiを検出し、傾きdiから急激に増加する前のコイル電流iの増加を判定する。そして、この判定結果より判定部19aが制御パラメータKを変更し、ギャップxが小さい時刻T2から時刻T3の期間よりも制御パラメータKを大きくする。すなわち、制御パラメータKは、ブレーキ部10の状態に基づいて変更可能となっている。これにより、ブレーキコイル9の吸引力特性が低下しても、指令値である制御電圧Edが大きくなり、コイル電源部16がより大きなコイル電圧Eを出力するため、ブレーキコイル9に十分なコイル電流iが得られ、ばね7の付勢力に対抗する吸引力が必要以上に低下することがなくなる。その結果、移動速度vを速度パターンvdに十分に追従させることができるので、衝突時T4のブレーキシュー8の移動速度vを十分に低減することができ、ブレーキの動作音を抑制することができる。
ここで、補償手段15の制御パラメータKを、あらかじめ実験的に求めておく。以下、図5を用いて制御パラメータKの算出方法について説明する。図5は、横軸にコイル電流iの傾きdiを示し、縦軸にブレーキコイルの吸引力特性Fと制御パラメータKを示す。制御パラメータKの算出は、ギャップxの増加に伴い低下するブレーキコイル9の吸引力特性を補うように、コイル電流iの傾きdiと制御パラメータKとを関連付けたマップや関数を作成して行う。なお、図4においては、制御パラメータKを2段階で変更しているが、図5においては3段階まで変更可能な制御パラメータKの算出について説明する。
例えば、図5に示すように、補償手段15の制御パラメータKを、K=K(di)といった、コイル電流diを変数とする関数とすることができる。図5において、コイル電流iの傾きdiとブレーキコイル9の吸引力特性との関数f(di)、f(di)を離散化した関数fs(di)、及びコイル電流iの傾きdiと制御パラメータKの関数K(di)が示されている。ブレーキコイル9の吸引力特性はf(di)が示すように傾きdiの増加に伴い減少するため、f(di)を離散化したfs(di)も同様である。そこでfs(di)に対応するようにK(di)を作成することで、低下するブレーキコイル9の吸引力特性を補うように制御パラメータKを求めることができる。すなわち、検出されたブレーキ部10の状態である傾きdiがfs(di)の値が低下する点での値を超えると、制御パラメータKがより大きな値となるような関数K(di)を作成する。このようにして、あらかじめ制御パラメータKを求めておく。なお、上記では、離散化したfs(di)に対応するようにK(di)を作成したが、f(di)に対応するようにK(di)を作成してもよく、またK(di)も離散化した関数に限定されず、連続的な関数としてもよい。
以上のように、実施の形態1に係るエレベータ用ブレーキ装置によれば、状態検出部17aがブレーキ部10の状態を検出し、制御部11aが検出されたブレーキ部10の状態に基づいてブレーキコイル9に供給するコイル電圧Eを出力する。このとき、状態検出部17aの判定部19aは、ブレーキ部10の状態であるコイル電流iの傾きdiを検出し、これに基づいて補償手段15の制御パラメータKを変更する。これにより、制御部11aはブレーキコイル9の吸引力特性に応じて変更された制御パラメータKを用いてコイル電圧Eを出力するので、ブレーキコイル9の吸引力特性に対応した制御が可能となり、ギャップxによって吸引力特性が低下しても、安定した制御効果を得ることができる。その結果、ブレーキシュー8の移動量であるブレーキストロークによらず、ブレーキの動作音を安定して抑制することができるエレベータ用ブレーキ装置を得ることができる。
なお、本実施の形態によらず、ブレーキコイル9とブレーキドラム6の距離であるブレーキストロークを低減することで、ギャップxの増大を抑制し速度制御の追従性を確保するしブレーキ動作音の抑制をはかることも考えられる。しかし、ブレーキ装置の据付誤差の許容範囲は、ブレーキストロークに対する一定の比で決まるため、ブレーキストロークを小さくするとブレーキ装置の据付誤差の許容範囲が小さくなり、ブレーキ装置の据付をより高精度に行わなければならない。そのため、ブレーキ装置としての据付性が低下するという新たな問題が生じてしまう。それに対して、本実施の形態に係るエレベータ用ブレーキ装置によれば、ブレーキストロークによらず、ブレーキ動作音の抑制が図れるため、ブレーキストロークを小さくする必要がないので、ブレーキ装置の据付性とブレーキの動作音抑制を両立させることができる。
また、ブレーキコイル9の吸引力特性は温度などの環境変化によっても変動するが、ブレーキ動作中に吸引力特性に対応した制御パラメータKに変更するため、環境変化や経年変化が生じても、ブレーキシュー8がブレーキドラム6に衝突するときの移動速度vを低減できるので、安定してブレーキシュー8とブレーキドラム6との衝突により発生する動作音を抑制することができる。
なお、本実施の形態では、制御パラメータKを2段階に変更しているが、ブレーキストロークが大きくなった場合等には、3段階以上に変更することとしても構わない。これによりブレーキストロークが大きくギャップxの増加量がより大きいブレーキ装置においても、ブレーキの動作音の抑制を図ることができる。また、上記においてはブレーキ制動移行時においてのみ説明したが、ブレーキ開放移行時おいても同様の制御をすることで同様の作用効果が得られることは言うもでもない。ここで、ブレーキ開放移行時おいては、ブレーキコイル9に吸音材を取り付けることでブレーキ動作音の抑制を図ることもできるが、本実施の形態によれば吸音材を取り付けることなくブレーキ動作音の抑制が図れるので、吸音材を削減することができる。
さらに、状態検出部17aではコイル電流iの傾きdiの他にコイル電流iを2回微分しコイル電流iの傾き変化量を求め、コイル電流iの傾き変化量を用いて制御パラメータKを変更してもよい。この場合、補償手段15は制御パラメータKのコイル電流iの傾き変化量に対する関数やマップを作成し、これより制御パラメータKを変更することができる。このようにコイル電流iの傾き変化量を用いるとコイル電流iの傾きdiの変化を検知するため、傾きdiを用いるよりも早く吸引力特性の低下に対応することができる。
実施の形態2.
上記実施の形態1において、状態検出部17aがブレーキコイル9に流れるコイル電流iからブレーキ部10の状態としてその傾きdiを検出したが、これに限定されず、状態検出部17bはブレーキ部10の状態としてギャップxを検出してもよい。そこで、実施の形態2では、状態検出部17bがブレーキ部10の状態としてギャップxを検出する場合について説明する。なお、以下においては、本発明の実施の形態2が本発明の実施の形態1と相違する状態検出部17bの部分について説明し、それ以外の実施の形態1と同一または対応する部分についての説明は省略する。
図6は、実施の形態2に係るエレベータ用ブレーキ装置の状態検出部17bを制御部11aと速度検出器12とともに示すブロック線図である。図6において、状態検出部17bは積分器20及び判定部19bを有している。ブレーキコイル9の吸引力特性は、ギャップxの増加によって減少していく。そのため、ギャップxが大きくなると、ギャップxが小さいときに用いていた制御パラメータKでは移動速度vを速度パターンvdに十分に追従させることができなくなる。つまり、ギャップxが小さいときと大きいときでは、最適な制御パラメータKが異なる。そこで、ブレーキシュー8の動き出しを検出すると、積分器20は速度検出器12から検出されるブレーキシュー8の移動速度vを積分し、ブレーキシュー8とブレーキコイル9の間のギャップxをブレーキ部10の状態として検出する。そして、積分器11で検出されたギャップxに基づいて、判定部19bが制御部11aの制御パラメータKを変更する。
より具体的には、補償手段15にP制御器やPID制御器等を用いることとし、状態検出部17bが、ブレーキ部10の状態として検出したギャップxに基づいて補償手段15の制御パラメータKを変更する。例えば、補償手段15にP制御器を用いた場合では、その比例ゲインを制御パラメータKとし、制御パラメータKをあらかじめ実験的に求めておく。パラメータKの算出は、ギャップxの増加に伴い低下するブレーキコイル9の吸引力特性を補うように、ギャップxと制御パラメータKとを関連付けたマップや関数を作成して行う。例えば、補償手段15の制御パラメータKを、K=K(x)といった、ギャップxを変数とする関数とすることができる。ブレーキコイル9の吸引力特性はギャップxの増加に伴い減少するため、吸引力特性の低下に対応した制御パラメータKの関数K(x)を作成することで、低下するブレーキコイル9の吸引力特性を補うように制御パラメータKを求めることができる。これにより、ブレーキ部10の状態として検出したギャップxが一定の値を超えると、制御パラメータKをより大きな値に変更することができる。
以上のように、実施の形態2によれば、状態検出部17bはブレーキ部10の状態としてギャップxを検出し、制御部11aは検出されたブレーキ部10の状態に基づいてコイル電源部16に制御電圧Edを出力する。その結果、実施の形態2においても、実施の形態1と同様の作用効果が得られる。
実施の形態3.
上記実施の形態1において、状態検出部17aはブレーキコイル9に流れるコイル電流iからブレーキ部10の状態としてその傾きdiを検出したが、これに限定されず、状態検出部17cはブレーキシュー8の移動速度vからブレーキ部10の状態を検出してもよい。そこで、実施の形態3では、状態検出部17cがブレーキ部10の状態を移動速度vから検出する場合について説明する。なお、以下においては、本発明の実施の形態3が本発明の実施の形態1と相違する状態検出部17cの部分について説明し、それ以外の実施の形態1と同一または対応する部分についての説明は省略する。
図7は、実施の形態3に係るエレベータ用ブレーキ装置の状態検出部17cを制御部11aと速度検出器12とともに示すブロック線図である。図7において、状態検出部17cは基準速度パターン発生器21及び判定部19cを有している。上述しているように、ギャップxによって、最適な制御パラメータKが異なるので、ギャップxが大きくなると、ギャップxが小さいときに用いていた制御パラメータKでは移動速度vを速度パターンvdに十分に追従させることができなくなる。ここで、ブレーキシュー8の移動速度vと速度パターンvdとの間の差が大きいということは、ブレーキコイル9の吸引力特性が低下していると考えられる。そこで、ブレーキシュー8の移動速度vを用いて、ブレーキ部10の状態として移動速度vと基準速度パターンvhとの差分基準速度偏差Δvhを検出することで、同様の制御を行うことができる。
図7において、ブレーキシュー8の動き出しを検出すると、基準速度パターン発生器21は、ブレーキシュー8の移動速度vが速度パターンvdに追従しているか判定するための基準速度パターンvhを生成する。基準速度パターンvhは速度パターンvdと同じでもよいし、追従誤差を考慮して速度パターンvdにオフセットを足したパターンでもよい。また、移動速度vの増大を検出するような一定値でもよい。判定部19cは、速度検出器12で検出されたブレーキシュー8の移動速度vと、基準速度パターン発生器21より生成された基準速度パターンvhの差分である基準速度偏差Δvhをブレーキ部10の状態として検出する。ここで、基準速度偏差Δvhの大きさはブレーキシュー8の移動速度vが速度パターンvdに追従できているか否かを表している。そして、ブレーキ部10の状態として検出した基準速度偏差Δvhに基づいて制御部11aの制御パラメータKを変更する。
より具体的には、補償手段15にP制御器やPID制御器等を用いて、状態検出部17cが、ブレーキ部10の状態として検出した基準速度偏差Δvhに基づいて補償手段15の制御パラメータKを変更する。例えば、補償手段15にP制御器を用いた場合では、その比例ゲインを制御パラメータKとし、制御パラメータKをあらかじめ実験的に求めておく。パラメータKの算出は、ギャップxの増加に伴い低下するブレーキコイル9の吸引力特性を補うように、基準速度偏差Δvhと制御パラメータKとを関連付けたマップや関数を作成して行う。例えば、補償手段15の制御パラメータKを、K=K(Δvh)といった、基準速度偏差Δvhを変数とする関数とすることができる。ブレーキコイル9の吸引力特性はギャップxの増加に伴い減少するため、吸引力特性の低下に対応した制御パラメータKの関数K(Δvh)を作成することで、低下するブレーキコイル9の吸引力特性を補うように制御パラメータKを求めることができる。これにより、ブレーキ部10の状態として検出した基準速度偏差Δvhが一定の値を超えると、制御パラメータKをより大きな値に変更することができる。
また、その他にも、基準速度偏差Δvhが大きいということは、吸引力特性が低下し制御パラメータKが小さいということなので定数α、βを用いて、Δvh>α、ならば、Kk+1=K+β、として制御パラメータKを繰り返し更新して制御パラメータKを変更してもよい。ここで、Kはkステップでの制御パラメータKであり、Kk+1はk+1ステップでの制御パラメータKを表す。
以上のように、実施の形態3によれば、状態検出部17cがブレーキ部10の状態としてブレーキシューの移動速度vから基準速度偏差Δvhを検出し、制御部11aが検出された基準速度偏差Δvhに基づいてコイル電源部16に制御電圧Edを出力する。このとき、状態検出部17cは基準速度偏差Δvhに基づいて制御パラメータKを変更する。これにより、直接移動速度vからブレーキ部10の状態を検出することで、より正確に吸引力特性の低下を判断可能となる。そして、吸引力特性の低下に応じて制御部11aの制御パラメータKを変更するので、ブレーキコイル9の吸引力特性に対応した制御が可能となり、ギャップxの増大によって吸引力特性が低下しても、安定した制御効果を得ることができる。
また、状態検出部17cは、基準速度偏差Δvhを微分し、ブレーキ部10の状態として基準加速度偏差Δah(基準速度偏差Δvhの時間に対する変化率)を検出してよい。この場合、状態検出部17cは基準加速度偏差Δahに基づいて制御パラメータKを変更する。ブレーキシュー8の加速度aを用いるとブレーキシュー8の移動速度vの変化を検知できるため、移動速度vを用いるよりも早くブレーキ部10の吸引力特性が低下している状態を検出でき、より安定した制御効果を得ることができる。なお、基準加速度偏差Δahの検出にあたっては、ブレーキシュー8の移動速度vと基準速度パターンvhを微分しブレーキシュー8の加速度aと基準加速度パターンahを求め、基準加速度パターンahから加速度aを減算して検出してもよい。
実施の形態4.
上記実施の形態1ないし3において、状態検出部17は検出したブレーキ部10の状態に基づいて制御部11aの補償手段15の制御パラメータKを変更したが、これに限定されず、制御部11bがコイル電圧Eの指令値である制御電圧Edに補正を加えてもよい。そこで、実施の形態4では、制御部11bが制御電圧Edに補正を加える場合について説明する。なお、以下においては、本発明の実施の形態4が本発明の実施の形態1ないし3と相違する制御部11bの部分について説明し、それ以外の実施の形態1ないし3と同一または対応する部分についての説明は省略する。
図8は、実施の形態4に係るエレベータ用ブレーキ装置の制御部11bをブレーキ部10、コイル電源部16、状態検出部17とともに示すブロック線図である。図8において、制御部11bは速度検出器12、速度パターン発生器13、減算器14、補償手段15、電圧パターン発生器22、及び加算器23を有している。
電圧パターン発生器22は、コイル電圧Eの指令値である制御電圧Edを補正する電圧パターンEhを生成する。加算器23は補償手段15より出力された電圧値と電圧パターン発生器22より生成された電圧パターンEhを加算し、コイル電源部16に制御電圧Edを出力する。
ブレーキコイル9の吸引力特性は、ギャップxの増加によって低下していく。そのため、ギャップxが大きくなった場合、ギャップxが小さいとき同様に速度偏差Δvから制御電圧Edを出力していると、移動速度vを速度パターンvdに追従させることができなくなる。つまり、ギャップxが増加すると、補償手段15から出力される制御電圧Edは移動速度vが速度パターンvdに追従するのに十分な値よりも小さいことになる。そこで、ギャップxが大きくなり、ブレーキコイル9の吸引力特性が低下すると、電圧パターン発生器22は吸引力特性の低下分を補正する電圧パターンEhを出力し、加算器23は補償手段15で出力された電圧値に電圧パターンEhを加えてコイル電源部16に制御電圧Edを出力する。これにより、ブレーキコイル9の吸引力特性に対応した移動速度vの制御を行うことができる。
より具体的には、状態検出部17は、ブレーキコイル9に流れるコイル電流i、ブレーキシュー8とブレーキコイル9の間のギャップx、又はブレーキシュー8の移動速度vの少なくとも1つからブレーキ部10の状態を検出する。そして、検出したブレーキ部10の状態に基づいて、吸引力特性の低下に対応するように電圧パターン発生器22より生成される電圧パターンEhを変更する。例えば、電圧パターンEhとしては単純な定数Cが考えられるが、この定数Cを予め実験的に求めておいたギャップxに対して低下するブレーキコイル9の吸引力特性を補うように、状態検出部17で検出されたブレーキ部10の状態と定数Cとを関連つけたマップを用いて変更する。また、電圧パターンEhを、Eh=f(i,x,v)といった、検出されたブレーキ部10の状態である、コイル電流i、ギャップx、ブレーキシュー移動速度vを変数とする関数によって算出してもよい。
以上のように、実施の形態4によれば、制御部11bは、ブレーキ部10の状態に基づいて、ブレーキコイル9の吸引力特性の低下に対応するように、コイル電圧Eの指令値である制御電圧Edを補正して出力する。そのため、ギャップxが増加し吸引力特性が低下しても、ブレーキシュー8の移動速度vを速度パターンvdに追従させることができ、ブレーキシュー8がブレーキドラム6に衝突するときの衝突速度を低減できるので、ブレーキシュー8とブレーキドラム6との衝突により発生する動作音を抑制することができる。その結果、実施の形態4においても、実施の形態1ないし3と同様の作用効果が得られる。なお、本実施の形態では、状態検出部17の構成について言及していないが、状態検出部17は、実施の形態1ないし3で言及した、状態検出部17a、状態検出部17b、又は状態検出部17cのいずれの構成としても構わない。
実施の形態5.
上記実施の形態4では、制御部11bがコイル電圧Eの指令値である制御電圧Edに補正を加える構成としたが、その他にも、状態検出部17が制御部11cの速度パターン発生器13の速度パターンvdを変更してもよい。そこで、実施の形態5では、状態検出部17が速度パターンvdを変更する場合について説明する。なお、以下においては、本発明の実施の形態5が本発明の実施の形態1ないし4と相違する制御部11cの部分について説明し、それ以外の実施の形態1ないし4と同一または対応する部分についての説明は省略する。
図9は、実施の形態5に係るエレベータ用ブレーキ装置の制御部11cをブレーキ部10、コイル電源部16、状態検出部17とともに示すブロック線図である。図9において、制御部11cは速度検出器12、速度パターン発生器13、減算器14および補償手段15を有している。
速度パターン発生器13は、ブレーキ動作音を抑制するようなブレーキシュー8の速度パターンvdを生成するが、状態検出部17は推定したブレーキ部10の状態を検出し、これに基づいて速度パターン発生器13で生成される速度パターンvdを変更する。
上述のように、ギャップxが増加すると、補償手段15から出力される制御電圧Edは移動速度vが速度パターンvdに追従するのに十分な値よりも小さいことになる。そこで、ギャップxが大きくなり、ブレーキコイル9の吸引力特性が低下した場合、速度パターン発生器13から生成される速度パターンvdを小さくする。これにより、速度偏差Δvを大きくできるため、より大きな制御電圧Edを出力することができる。その結果、制御部11cは、ギャップxの増加によるブレーキコイル9の吸引力特性に対応してブレーキシュー8の移動速度vを制御することができる。
より具体的には、状態検出部17は、ブレーキコイル9に流れるコイル電流i、ブレーキシュー8とブレーキコイル9の間のギャップx、又はブレーキシュー8の移動速度vの少なくとも1つをブレーキ部10の状態として検出する。そして、検出したブレーキ部10の状態に基づいて、吸引力特性の低下に対応するように、速度パターン発生器13より生成される速度パターンvdを変更する。例えば、予め実験的に求めておいたギャップxに対して低下するブレーキコイル9の吸引力特性を補うようなオフセット量と状態検出部17が検出するブレーキ部10の状態とを関連つけたマップを備えておき、速度パターンvdに対応するオフセット量を減算する。また、速度パターンvdを、vd=f(i,x,v)といった、検出されたブレーキ部10の状態である、コイル電流i、ギャップx、移動速度vを変数とする関数としてもよい。
以上のように、実施の形態5によれば、状態検出部17はブレーキ部10の状態を検出し、検出されたブレーキ部10の状態に基づいて、速度パターン発生器13より生成される速度パターンvdを変更する。これにより、制御部11cがブレーキコイル9の吸引力特性に対応した制御電圧Edを出力することができるため、ブレーキコイル9の吸引力特性に合わせた制御が可能となり、ギャップxによって吸引力特性が低下しても、安定した移動速度vの制御を行うことができる。その結果、ブレーキシュー8がブレーキドラム6に衝突する際の移動速度vを低減することができ、ブレーキ動作音の抑制効果を得ることができる。なお、本実施の形態では、状態検出部17の構成について言及していないが、状態検出部17は、実施の形態1ないし3で言及した、状態検出部17a、状態検出部17b、又は状態検出部17cのいずれの構成としても構わない。
なお、本発明は、発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせることや、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
また、上述の実施の形態1ないし5に係るエレベータ用ブレーキ装置をエレベータに用いることで、ブレーキの動作音が少ないエレベータが得られる。
1 かご
2 シーブ
3 主索
4 釣合おもり
5 巻上機モータ
6 ブレーキドラム
7 ばね
8 ブレーキシュー
9 ブレーキコイル
10 ブレーキ部
11a、11b、11c 制御部
12 速度検出器
13 速度パターン発生器
14 減算器
15 補償手段
16 コイル電源部
17、17a、17b、17c 状態検出部
18 電流検出器
19a、19b、19c 判定部
20 積分器
21 基準速度パターン発生器
22 電圧パターン発生器
23 加算器

Claims (12)

  1. エレベータのかごを昇降駆動する巻上機モータに設けられたブレーキドラム、前記ブレーキドラムに対して摺動することにより制動力を発生するブレーキシュー、前記ブレーキシューを前記ブレーキドラムに押圧するばね、及び前記ブレーキシューを前記ばねの付勢力に抗して吸引するブレーキコイル、から構成されるブレーキ部と、
    前記ブレーキシューが前記ブレーキコイルから前記ブレーキドラムの間を移動している際の前記ブレーキ部の状態として前記ブレーキコイルに流れるコイル電流の微分値を検出する状態検出部と、
    前記ブレーキコイルに印加するコイル電圧を前記ブレーキコイルに出力するコイル電源部と、
    前記ブレーキ部の状態に基づいて前記コイル電圧の指令値となる制御電圧を前記コイル電源部に出力する制御部と
    を備え
    前記制御部は、
    制御パラメータを用いて前記制御電圧を求め、
    前記制御パラメータを、前記コイル電流の微分値が増加するにしたがって増加させること
    を特徴とするエレベータ用ブレーキ装置。
  2. 前記微分値は、2階の微分値であること
    を特徴とする請求項に記載のエレベータ用ブレーキ装置。
  3. 前記制御部は、
    前記ブレーキシューの移動速度を検出する速度検出器と、
    前記ブレーキシューの速度指令値である速度パターンを生成する速度パターン発生器と、
    前記移動速度と前記速度パターンとの速度偏差から補償された前記制御電圧を出力する補償手段と
    を備えることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載のエレベータ用ブレーキ装置。
  4. エレベータのかごを昇降駆動する巻上機モータに設けられたブレーキドラム、前記ブレーキドラムに対して摺動することにより制動力を発生するブレーキシュー、前記ブレーキシューを前記ブレーキドラムに押圧するばね、及び前記ブレーキシューを前記ばねの付勢力に抗して吸引するブレーキコイル、から構成されるブレーキ部と、
    前記ブレーキシューが前記ブレーキコイルから前記ブレーキドラムの間を移動している際の前記ブレーキ部の状態を検出する状態検出部と、
    前記ブレーキコイルに印加するコイル電圧を前記ブレーキコイルに出力するコイル電源部と、
    前記ブレーキ部の状態に基づいて前記コイル電圧の指令値となる制御電圧を前記コイル電源部に出力する制御部と
    を備え、
    前記制御部は、
    前記ブレーキシューの移動速度を検出する速度検出器を備えると共に、制御パラメータを用いて前記制御電圧を求め、
    前記状態検出部は、
    前記移動速度を積分することによって、前記ブレーキシューと前記ブレーキコイルとの間のギャップを検出する積分器を備え、
    前記制御パラメータは、前記ギャップの値が増加するにしたがって増加されること
    を特徴とするエレベータ用ブレーキ装置。
  5. エレベータのかごを昇降駆動する巻上機モータに設けられたブレーキドラム、前記ブレーキドラムに対して摺動することにより制動力を発生するブレーキシュー、前記ブレーキシューを前記ブレーキドラムに押圧するばね、及び前記ブレーキシューを前記ばねの付勢力に抗して吸引するブレーキコイル、から構成されるブレーキ部と、
    前記ブレーキシューが前記ブレーキコイルから前記ブレーキドラムの間を移動している際の前記ブレーキ部の状態を検出する状態検出部と、
    前記ブレーキコイルに印加するコイル電圧を前記ブレーキコイルに出力するコイル電源部と、
    前記ブレーキ部の状態に基づいて前記コイル電圧の指令値となる制御電圧を前記コイル電源部に出力する制御部と
    を備え、
    前記制御部は、
    前記ブレーキシューの移動速度を検出する速度検出器を備えると共に、制御パラメータを用いて前記制御電圧を求め、
    前記状態検出部は、
    前記ブレーキシューの基準速度パターンを生成する基準速度パターン発生器を備え、前記移動速度と前記基準速度パターンとの差分基準速度偏差を前記ブレーキ部の状態として検出し、
    前記制御パラメータは、前記差分基準速度偏差が増加するにしたがって増加されること
    を特徴とするエレベータ用ブレーキ装置。
  6. エレベータのかごを昇降駆動する巻上機モータに設けられたブレーキドラム、前記ブレーキドラムに対して摺動することにより制動力を発生するブレーキシュー、前記ブレーキシューを前記ブレーキドラムに押圧するばね、及び前記ブレーキシューを前記ばねの付勢力に抗して吸引するブレーキコイル、から構成されるブレーキ部と、
    前記ブレーキシューが前記ブレーキコイルから前記ブレーキドラムの間を移動している際の前記ブレーキ部の状態を検出する状態検出部と、
    前記ブレーキコイルに印加するコイル電圧を前記ブレーキコイルに出力するコイル電源部と、
    前記ブレーキ部の状態に基づいて前記コイル電圧の指令値となる制御電圧を前記コイル電源部に出力する制御部と
    を備え、
    前記制御部は、
    前記ブレーキシューの移動速度を検出する速度検出器を備えると共に、制御パラメータを用いて前記制御電圧を求め、
    前記状態検出部は、
    前記ブレーキシューの基準速度パターンを生成する基準速度パターン発生器を備え、前記移動速度と前記基準速度パターンとの差分基準速度偏差の微分値を前記ブレーキ部の状態として検出し、
    前記制御パラメータは、前記差分基準速度偏差の微分値が増加するにしたがって増加すること
    を特徴とするエレベータ用ブレーキ装置。
  7. 前記制御パラメータは、離散的に増加すること
    を特徴とする請求項1ないし6に記載のエレベータ用ブレーキ装置。
  8. 前記制御パラメータは、連続的に増加すること
    を特徴とする請求項1ないし6に記載のエレベータ用ブレーキ装置。
  9. 前記制御部は、
    前記ブレーキシューの速度指令値である速度パターンを生成する速度パターン発生器と
    を備えることを特徴とする請求項ないしのいずれか1項に記載のエレベータ用ブレーキ装置。
  10. 前記制御部は、
    前記制御電圧を補正する電圧パターンを生成する電圧パターン発生器を備えると共に、
    前記状態検出部は、
    前記ブレーキ部の状態に基づいて、前記電圧パターンを変更すること
    を特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載のエレベータ用ブレーキ装置。
  11. 前記状態検出部は、
    前記ブレーキ部の状態に基づいて、前記速度パターンを変更すること
    を特徴とする請求項またはに記載のエレベータ用ブレーキ装置。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載のエレベータ用ブレーキ装置を備えることを特徴とするエレベータ。
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