JP5919778B2 - 酸化物焼結体およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、スパッタリング法によりニッケル含有酸化亜鉛系薄膜を製造する際に用いられるターゲットに関する。詳しくは、スパッタリング中の異常放電やパーティクル等の異物発生が極めて少なく、さらにはスパッタリング時の熱衝撃等による割れの少ない高強度ニッケル含有酸化亜鉛系ターゲットに関する。
酸化亜鉛系の酸化物透明導電膜は、可視光域での高い透過率と高い導電性を有する材料として、幅広い用途で利用が進んでいる。特に酸化亜鉛にアルミニウム、ガリウム、ホウ素等の元素を添加した酸化亜鉛系薄膜においては、液晶表示素子や太陽電池等の各種受光素子の電極、さらには自動車用・建築材用の熱線反射膜・帯電防止膜への利用が進んでいる。また、酸化亜鉛の持つ圧電特性を応用したデバイスの開発も盛んである。中でも、酸化亜鉛にニッケルのような遷移金属を含有させた膜は薄膜の配向性を高める為、圧電結晶膜としての特性に優れることが知られており、この酸化亜鉛圧電結晶膜を表面波デバイスにおいて実用する等、今後のデバイス応用への期待がされている(特許文献1)。
このような圧電結晶膜としてのニッケル含有酸化亜鉛形薄膜を形成する方法としては、化学輸送法、CVD法またはスパッタ法等があるが、特にスパッタリング法によれば、より低温で、表面平坦性が優れかつ結晶的にも良質な膜を得ることができる。従来は小面積のスパッタリングが主流であったが、近年では量産効果の高い大面積のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法の採用が進んでいる。
しかしながら、このニッケル含有酸化亜鉛ターゲットによるスパッタリング成膜では、スパッタリング中の異常放電現象によるスパッタリング装置の稼働率の低下や、発生するパーティクルの影響による製品歩留まりの低下が激しいという問題がある。これは、ターゲットに含まれるNi凝集物が原因と考えられており、Ni凝集物部の導電性が低い為に、スパッタリング中に電荷が蓄積され易く、異常導電を引き起こすものと考えられる。特許文献2には、酸化亜鉛を主成分とし、さらにニッケルを含む酸化物焼結体について、含有するNi添加量の調整や焼結雰囲気を変更することによりターゲットの導電性を高める手段が報告されている(特許文献2)。しかしながらこれはDCスパッタリングを可能とする目的の範囲での低抵抗化手段に過ぎず、大型化の進んだ近年のスパッタリングにおいて、放電安定性の改善やパーティクル発生を抑制するための手段としては全く不十分である。まして、Ni凝集物の発生および制御に関する知見については、未だ示されたことがない。
また、ニッケル含有酸化亜鉛ターゲットによるスパッタリング成膜におけるもう一つの問題として、焼結体の強度が低いことが挙げられる。ここで言う強度とはターゲットの物理的強度のことで、測定値として抗折強度で表されるものである。ニッケル含有酸化亜鉛ターゲットは焼結過程において焼結体の結晶粒径が大きくなり易く、粒径が大きくなると、粒界での粒子相互の結合力が弱くなり、粒界部分で割れ、欠け、もげなどが発生し易くなる。スパッタリング中のターゲットの割れもパーティクル発生や異常放電の原因となり、製造歩留まりや膜品質に影響を与えることから、深刻な問題となっている。特に結晶的に優れたNi含有ZnO薄膜を得るには、成膜中に基板の温度を加熱する必要があり、ターゲットにかかる熱負荷も他のターゲットと比べて一般的に大きいことから、基板大型化に伴いターゲットの強度向上に対する要求も非常に大きくなっている。
しかしながら、例えば焼結体密度を向上させることにより強度改善を図ろうとした場合、一般的に焼結温度の上昇や焼成時間の延長という手段がとられるが、本組成においては更なる結晶粒径の増大を招き、焼結体強度をさらに低下させてしまう為、強度低下により実用的には全く使い物にならない。実際、これまでのニッケル含有酸化亜鉛系焼結体では、密度90%を超える高密度焼結体においては、結体強度が50MPa未満の極めて脆いターゲットしか得られておらず。焼成時の粒成長のメカニズムおよびその制御に対する知見はこれまで示されたことがなかった。
特開平6−216699号公報 特開2007−302508号公報
本発明の目的は、スパッタリング法によりニッケル含有酸化亜鉛系薄膜を製造する際に用いられるターゲットに関し、スパッタリング中の異常放電やパーティクル等の異物発生が極めて少なく、さらにはスパッタリング時の熱衝撃等による割れの少ない高強度ニッケル含有酸化亜鉛系ターゲットを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するためにニッケル含有酸化亜鉛系ターゲットの異常放電現象の解析とターゲット焼結機構の解析を進めた結果、上記課題を解決する高品質なニッケル含有酸化亜鉛系焼結体を得ることに成功した。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)亜鉛、ニッケル及び酸素から構成される複合酸化物焼結体であって、長軸径が15μm以上のニッケル凝集物の存在個数が、焼結体の任意の0.25mmの領域5ヶ所の平均で5個以下であり、かつ、焼結体の平均結晶粒子径が20μm以下であることを特徴とする複合酸物焼結体。
(2)3点曲げによる焼結体強度が50MPa以上である、(1)に記載の複合酸化物焼結体。
(3)CuのKα線を用いたX線回折によるZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度が、酸化亜鉛(002)回折ピーク強度の0.0015%以上3%以下である、請求項1または2に記載の複合酸化物焼結体。
(4)NiをNi/(Ni+Zn)の原子比で0.5〜5原子%含有する、請求項1〜3いずれかに記載の複合酸化物焼結体。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。本発明者らは、詳細な解析の結果、ニッケル含有酸化亜鉛ターゲットのスパッタリング時に問題となっていた異常放電やパーティクル発生の原因について解析を行い、焼結体中のニッケルの存在形態が大きく関係していることを突き止めた。即ち、本発明において、特にニッケル含有量が原子比で5原子%以下であるニッケル含有酸化亜鉛系焼結体は、ニッケルの殆どは焼成によって母相である酸化亜鉛結晶相内に固溶して存在する。これに対し従来の焼結体では、Ni凝集物は長軸径で15μm以上の大きな粒子として存在しており、この大きなニッケル凝集物がスパッタリング中に電化蓄積され、異常放電やパーティクル発生の原因となることが判った。そして、長軸径が15μm以上のニッケル凝集物の存在個数が、焼結体の任意の0.25mmの領域5ヶ所の平均で5個以下であると、異常放電やパーティクルの顕著な抑制効果があることを見出した。本願におけるニッケル凝集物とは、95原子%以上のNi原子を含有する塊であり、その外周部がZn主成分とする他の組成物によって囲まれており、組成的に独立していると認められる塊を指す。その長軸径とは、焼結体の任意の断面を研磨し、その表面をEPMA分析し、各ニッケル凝集物の最も長い部分を計測することにより得られるものである。
一方、スパッタリング中のターゲット割れの問題についてもパーティクル発生や異常放電の原因となることから、その改善に取り組んだ。前述の通り、ニッケル含有量が原子比で5原子%以下であるニッケル含有酸化亜鉛系焼結体においては、焼成工程でその大部分が母相である酸化亜鉛に固溶することから、焼成プロセスとしては実質的に酸化亜鉛単一相の成長となる為、焼成中の粒成長が起こり易いことが原因であることを突き止めた。換言すれば、粒成長を抑制する他の化合物相が存在しない為に、酸化亜鉛相が大きくなり易いことが判明した。そして、本発明では、適切なプロセス処理により結晶粒径を低減させ、平均粒子径で20μm以下の焼結体を得ることで焼結体の機械強度を飛躍的に向上させ、3点曲げによる焼結体強度が50MPa以上の焼結体を得ることができ、スパッタリング時にターゲット割れによるパーティクル発生や異常放電の極めて少ない高品質ターゲットを得ることに成功した。
つまり、本発明の意義は、ニッケルを原子比で5原子%以下含有するニッケル含有酸化亜鉛系焼結体において、適切な粉末物性制御及び焼成プロセスの制御によって焼成中のニッケルの拡散移動を飛躍的に促進させ、その分散状態を高めることでスパッタリング特性を改善させ、さらには母相となる酸化亜鉛粒子径の成長を抑制させることによる高強度性能を同時に実現させたことにある。
以下、本発明に係るニッケル含有酸化亜鉛ターゲットの製法について詳述する。
原料粉末としては、酸化亜鉛粉末およびニッケルの酸化物粉末を用いる。これらの粉末は、取扱性を考慮するとBET値が1.0〜18m/gであることが好ましく、より好ましくは2.0〜13.0m/gである。次に、これら原料粉末を混合する。Niの混合量は求める圧電膜の特性に拠るが、一般的にはNi/(Ni+Zn)の原子比で0.5〜5原子%が好ましく、2〜5原子%が更に好ましい。混合は原料の粉砕を兼ねて、3mmφ以下、好ましくは2mmφ以下のビーズを用いた湿式ビーズミルで行う。ビーズはジルコニア、アルミナ、ナイロン樹脂等のビーズを用いることが好ましい。混合に際しては、必要に応じて混合スラリー中に必要な添加物を共存させても良い。添加物は一般にバインダー、分散剤、可塑剤、消泡剤等と称される有機系添加剤が用いられる。添加量は、原料粉末に対して固形分換算で0.5重量%以下とする。スラリー中の固形分濃度は50重量%以上とすることが好ましい。これは混合の効率、原料粉末の取り扱い性に配慮したものである。混合後の粉末のBET値は1.0〜10m/g、好ましくは1.5〜8m/gとする。なお、混合前のBET値は原料粉末の重量組成比換算で求めた値を用い、混合後のBET値はスラリーを乾燥後に測定される。混合方法は必ずしも本記載の方法に限定されるものではなく、酸化亜鉛粉末中に酸化ニッケル微粉末を十分均一に混合させることが本発明の効果を得る為に特に重要である。
次に、湿式ビーズミルで均一混合されたスラリーを成形する。鋳込み成形等の湿式成形方法では、スラリーをそのまま用いることが可能であるが、乾式成形の場合には、濾過乾燥、流動層乾燥、噴霧乾燥等による乾燥プロセスが必要となる。中でもスプレードライヤーによる噴霧乾燥は、生産性が高いとともに、得られる造粒粉末の流動性が良好であることから、乾式成形を用いる場合には好適な乾燥方法である。
成形方法は、プレス成形法、鋳込み成形法等の乾式、湿式の成形方法が例示できる。成形圧力はクラック等の発生がなく、取り扱いが可能な成形体であれば特に限定されるものではない。成形密度をより高める為に冷間静水圧成形(CIP)等の方法を用いることも可能である。
続いて焼成工程を行なう。焼成方法は、常圧焼結、加圧焼結など様々な方法が用いる事が可能である。本研究の結果、焼成時に特定の温度領域で所定の雰囲気導入を行い、適切な昇温速度、保持条件を与えることにより、焼結体中のNi分散性が向上し、さらに焼結体の結晶粒径を小さくするという特異的効果を見出した。本発明者は、条件設定前にニッケル含有酸化亜鉛粉末の収縮挙動を調査し、粉末の収縮はおよそ600℃付近から始まり、1,200℃付近でほぼ終了することを確認した。そして収縮の開始する600℃より以前に炉内をアルゴンまたは窒素等の不活性雰囲気とすることにより、最終的に結晶粒子径を小さくする効果があることを見出した。このメカニズムの詳細は明らかではないが、収縮開始前に不活性雰囲気とすることにより、酸化物原料表面の一部の酸素が強制的に脱離されることにより活性化され、粒成長の基点となる核がより多く形成し、結果的に結晶粒径を小さくさせる効果があると推察される。
さらに、焼結体の結晶粒径は、特に収縮前半の600℃から1000℃の温度域において、雰囲気を窒素雰囲気に限定することにより、焼結体の結晶粒径がさらに小さく出来ることを見出した。このメカニズムについての詳細も未解明であるが、焼結体のX線解析評価によれば、ニッケル元素は最終的にはその大部分が母相である酸化亜鉛に固溶するものの、収縮前半の段階では一部のNi元素がZn0.6Ni0.4Oで記載される酸化物化合物相を形成していることが認められた。そして、特に前記温度域での焼成雰囲気を窒素雰囲気とすることで、この酸化物化合物相がより過剰に形成されることを見出した。窒素ガスに限定される特徴的な作用により、Ni元素の物質移動が活発化したことによるものと推察される。そしてこの酸化物化合物が酸化亜鉛母相の単一成長を抑制するピン止め効果として働き、粒成長の抑制をするものと考えられる。粒径抑制効果を十分得る為には上記温度域において酸化物化合物の形成を十分に行わせる必要があることから、昇温速度を75℃/h以下とすることが好ましく、さらに好ましくは55℃/h以下である。
最終的な保持温度は1250から1550℃とすることが好ましい。より好ましくは11280℃から1450℃である。約1200℃で酸化亜鉛母相内に固溶したNi元素は、この段階では母相内に凝集体として存在し、その粒径は最大径で20μmを超える状態で存在しているが、1250℃以上の温度で保持を加えることにより、Ni元素の急激な拡散が進み、Ni凝集物が拡散する。そしてこの保持工程においても雰囲気を窒素雰囲気とすることがより好ましいことを見出した。これは前述の通り、窒素雰囲気中でのニッケル元素の物質移動がより活発になる効果と思われる。また、通常Zn0.6Ni0.4Oで表される酸化物化合物の大部分はその後の昇温過程で大部分のNiが酸化亜鉛母相に固溶拡散する結果消滅するが、本発明では収縮初期過程でこの酸化物化合物を大量に形成させた結果、保持段階においても僅かに残存している。この酸化物化合物は高抵抗である為、スパッタリング中の異常放電の原因となることが予想されることから、保持中に固溶をさらに進める必要がある。この点においても窒素雰囲気下での焼成が有効な手段であり、本条件により当該酸化物化合物の存在量を極限まで低減させ、具体的には、CuのKα線を用いたX線回折により得られるZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度が、酸化亜鉛(002)の回折ピーク強度に対し、0.0015%以上3%以下である焼結体が得られる。保持時間は1〜10時間とし、特に好ましくは2〜6時間とする。これはニッケル元素の固溶拡散を促進させつつも、保持時間が長時間に渡ると、結晶粒径の粒成長が進行し、焼結体強度の低下を招くことから、十分な強度を確保するために必要な条件である。
導入ガスは、焼成中もフローを継続することが望ましい。流量は投入する成形体重量および炉内の容積に対応させて調整するが、流量/炉内容積で、0.2〜0.8ml/cm・minを目安とする。
冷却条件は特に限定されるものではないが、高価な不活性ガスの使用量を低減させる為に大気導入に切り替えても良い。通常、導電性の向上には、昇温時よりも冷却時の雰囲気を不活性状態とすることの効果が大きい為、焼結体の低抵抗化を狙う際には降温時も不活性ガスを導入するのがよい。これは昇温によって脱離した酸素が冷却時に再結合することを防ぐ為である。降温速度は、熱衝撃による割れのない程度の速度で適宜選択され、一般的な抵抗加熱式電気炉においては300℃/h以下の温度で冷却される。
このように、原料粉末調整および焼成条件の最適化を図ることにより、焼結体中のNi元素の凝集状態を緩和させ、さらに結晶粒径を小さくすることにより高強度特性を併せ持つ、高性能なニッケル含有酸化亜鉛焼結体を得ることが可能となる。
本発明によって得られる焼結体を用いることで、スパッタリング中の異常放電やパーティクル発生量が極めて少なく、また、大面積ターゲット使用時においても焼結体割れの発生が少ない高強度のニッケル含有酸化亜鉛系スパッタリングターゲットを得ることが出来る。
実施例1に係る焼結体のSEM像である。 実施例1に係る焼結体のEPMA像である。 比較例1に係る焼結体のSEM像である。 比較例1に係る焼結体のEPMA像である。
以下、本発明の実施例をもって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、EPMAによるNi凝集物の観測条件は以下の通りである。
装置:EPMA1610(島津製作所製)
加速電圧:15kV
照射電流:50nA
試料コート:C蒸着
(実施例1)
BET4m/g、純度99.8%の酸化亜鉛粉末とBET13m/g、純度99.99%の酸化ニッケル粉末をNi/(Ni+Zn)の原子比で2原子%となるように秤量し、0.5mmφのジルコニア製ビーズを用いた湿式ビーズミルで粉砕混合した。このとき、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩を原料粉末に対して固形分換算で0.5重量%添加し、スラリー中の固形分濃度を55重量%とした。粉砕混合後のBET値は7.9m/gであった。得られたスラリーをスプレードライヤーで噴霧乾燥した後、3.0ton/cmで直径150mm、厚さ12mmにCIP成形した。
作製した成形体を電気炉(容積70.5cm×45cm×20cm)にセットし、下記条件にて焼成を行った。
(焼成条件)
室温〜600℃:昇温速度150℃/h、窒素導入20L/min
600℃〜1000℃:昇温速度55℃/h、窒素導入20L/min
1000℃〜保持温度:昇温速度150℃/h、窒素導入20L/min
保持温度:1280℃、6h保持、窒素導入20L/min
保持温度〜室温:降温速度150℃/h、大気導入20L/min
得られた焼結体は割れのない焼結体であった。アルキメデス法により測定した焼成後の焼結体相対密度は97.5%であった。焼結体サンプルの一部を切出し、研磨後にSEM観察を行い(TE−9800、キーエンス社製)、結晶粒子径の観察を行った。得られたSEM像を図1に示す。粒径測定はコード法により実施し、平均結晶粒子径は14.3μmと非常に小さいことがわかった。また、三点曲げ強度を測定(オートグラフAG−IS 500N、島津製作所製)したところ、98MPaであった。
さらに、焼結体サンプルを一部切り出し、研磨後にEPMA測定を実施し、Ni凝集物の観察を行った。図2に研磨面のEPMA像を示す。図中、黒色部分がNi元素の存在を示すが、Ni凝集物はほとんど見られなかった。
また、長軸方向が15μm以上であるニッケル凝集物の存在個数を計測したところ、任意の5箇所の0.25mmの領域内において、平均で2.2個であった。また、X線回折により得られたZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度の酸化亜鉛(002)回折ピーク強度に対する比は2.47%であった。
その後、101.6mmφ×5mmtの形状に加工し、Cu製のバッキングプレート上にInハンダにより接合し、ニッケル含有酸化亜鉛系スパッタリングターゲットを得た。作製したターゲットを用いて以下の条件にて連続放電実験を行なった。異常放電については安定状態のスパッタリング電圧の1/2の電圧値まで電圧降下した回数を計測することにより評価した。
(スパッタリング条件)
放電方式:DCスパッタ
成膜装置:マグネトロンスパッタ装置
成膜圧力:0.5Pa
添加ガス:アルゴン+窒素
窒素分圧:50vol%
放電パワー:300W
基板:コーニング1737
基板サイズ:50mm×50mm×0.7mmt
基板温度:200℃
成膜時の膜厚:150nm
スパッタリング時間:100時間
その結果、スパッタリング中の異常放電は殆どなく、ライフエンド時点での積算異常放電回数5回であった。放電電流および電圧値もライフエンドまで非常に安定していた。成膜基板上の1ミクロン以上のパーティクル個数は1個であった。ライフエンドにて使用後のターゲット割れは発生していなかった。結果を図1に示す。
(実施例2)
BET2m/g、純度99.8%の酸化亜鉛粉末とBET11m/g、純度99.99%の酸化ニッケル粉末をNi/(Ni+Zn)の原子比で2原子%となるように秤量し、2.0mmφのジルコニア製ビーズを用いた湿式ビーズミルで粉砕混合した。このとき、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩を原料粉末に対して固形分換算で0.2重量%添加し、スラリー中の固形分濃度を60重量%とした。粉砕混合後のBET値は1.6m/gであった。得られたスラリーを実施例1と同様にして、噴霧乾燥し、CIP成形した後、焼成を行った。
得られた焼結体は割れのない焼結体であった。アルキメデス法により測定した焼成後の焼結体相対密度は96.1%、焼結体のコード法による平均結晶粒子径は15.3μm、三点曲げ強度を測定したところ93.2MPaであった。また、焼結体サンプルを一部切り出し、研磨後にEPMA測定を実施し、Ni凝集物の長軸方向が15μm以上であるニッケル凝集物の存在個数を計測したところ、任意の5箇所の0.25mmの領域内において、平均で3.2個であった。また、X線回折により得られたZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度の酸化亜鉛(002)回折ピーク強度に対する比は2.44%であった。
その後、得られた焼結体を用いて実施例1と同様にして、ターゲットを作製し、連続放電実験を行なった。その結果、スパッタリング中の異常放電は殆どなく、ライフエンド時点での積算異常放電回数7回であった。放電電流および電圧値もライフエンドまで非常に安定していた。成膜基板上の1ミクロン以上のパーティクル個数は2個であった。ライフエンドにて使用後のターゲット割れは発生していなかった。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1と同様にして、成形体を作製し、焼成を行った。但し、焼成時の室温〜600℃はアルゴンを導入した。
得られた焼結体は割れのない焼結体であった。アルキメデス法により測定した焼成後の焼結体相対密度は97.4%、焼結体のコード法による平均結晶粒子径は18.3μm、三点曲げ強度を測定したところ61.0MPaであった。また、焼結体サンプルを一部切り出し、研磨後にEPMA測定を実施し、Ni凝集物の長軸方向が15μm以上であるニッケル凝集物の存在個数を計測したところ、任意の5箇所の0.25mmの領域内において、平均で2.0個であった。またX線回折により得られたZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度の酸化亜鉛(002)回折ピーク強度に対する比は2.48%であった。
その後、得られた焼結体を用いて、実施例1と同様にしてターゲットを作製し、連続放電実験を行なった。その結果、スパッタリング中の異常放電は殆どなく、ライフエンド時点での積算異常放電回数は4回であった。放電電流および電圧値もライフエンドまで非常に安定していた。成膜基板上の1ミクロン以上のパーティクル個数は3個であった。ライフエンドにて使用後のターゲット割れは発生していなかった。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1と同様にして成形体を作製し、焼成を行った。但し、焼成時の600℃〜1000℃は昇温速度75℃/hとした。
得られた焼結体は割れのない焼結体であった。アルキメデス法により測定した焼成後の焼結体相対密度は96.7%、焼結体のコード法による平均結晶粒子径は19.3μm、三点曲げ強度を測定したところ52.3MPaであった。また、焼結体サンプルを一部切り出し、研磨後にEPMA測定を実施し、Ni凝集物の長軸方向が15μm以上であるニッケル凝集物の存在個数を計測したところ、任意の5箇所の0.25mmの領域内において、平均で3.0個であった。また、X線回折により得られたZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度の酸化亜鉛(002)回折ピーク強度に対する比は0.0015%であった。実施例4では、600℃〜1000℃域でのZn0.6Ni0.4O相の形成量が少ないため、ピン止め効果が小さく、結晶粒径が若干大きめとなる傾向が確認された。
その後、得られた焼結体を用いて実施例1と同様にして、ターゲットを作製し、連続放電実験を行なった。その結果、スパッタリング中の異常放電は殆どなく、ライフエンド時点での積算異常放電回数は26回であった。放電電流および電圧値もライフエンドまで非常に安定していた。成膜基板上の1ミクロン以上のパーティクル個数は30個であった。ライフエンドにて使用後のターゲット割れは発生していなかった。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1と同様にして成形体を作製し、焼成を行った。但し、焼成の保持温度は1450℃とした。
得られた焼結体は割れのない焼結体であった。アルキメデス法により測定した焼成後の焼結体相対密度は98.1%、焼結体のコード法による平均結晶粒子径は15.1μm、三点曲げ強度を測定したところ94.1MPaであった。また、焼結体サンプルを一部切り出し、研磨後にEPMA測定を実施し、Ni凝集物の長軸方向が15μm以上であるニッケル凝集物の存在個数を計測したところ、任意の5箇所の0.25mmの領域内において、平均で0.8個であった。また、X線回折により得られたZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度の酸化亜鉛(002)回折ピーク強度に対する比は2.41%であった。
その後、得られた焼結体を用いて、実施例1と同様にしてターゲットを作製し、連続放電実験を行なった。その結果、スパッタリング中の異常放電は殆どなく、ライフエンド時点での積算異常放電回数は4回であった。放電電流および電圧値もライフエンドまで非常に安定していた。成膜基板上の1ミクロン以上のパーティクル個数は1個であった。ライフエンドにて使用後のターゲット割れは発生していなかった。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1と同様にして成形体を作製し、焼成を行った。但し、焼成の保持温度は1550℃とした。
得られた焼結体は割れのない焼結体であった。アルキメデス法により測定した焼成後の焼結体相対密度は98.0%、焼結体のコード法による平均結晶粒子径は19.8μm、三点曲げ強度を測定したところ50.5MPaであった。また、焼結体サンプルを一部切り出し、研磨後にEPMA測定を実施し、Ni凝集物の長軸方向が15μm以上であるニッケル凝集物の存在個数を計測したところ、任意の5箇所の0.25mmの領域内において、平均で0個であった。また、X線回折により得られたZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度の酸化亜鉛(002)回折ピーク強度に対する比は1.58%であった。
その後、得られた焼結体を用いて、実施例1と同様にして、ターゲットを作製し、連続放電実験を行なった。その結果、スパッタリング中の異常放電は殆どなく、ライフエンド時点での積算異常放電回数は17回であった。放電電流および電圧値もライフエンドまで非常に安定していた。成膜基板上の1ミクロン以上のパーティクル個数は14個であった。ライフエンドにて使用後のターゲット割れは発生していなかった。結果を表2に示す。
(実施例7)
実施例1と同様にして成形体を作製し、焼成を行った。但し、焼成時の600℃〜1000℃の昇温速度は65℃/hとした。
得られた焼結体は割れのない焼結体であった。アルキメデス法により測定した焼成後の焼結体相対密度は96.8%、焼結体のコード法による平均結晶粒子径は19.0μm、三点曲げ強度を測定したところ56.5MPaであった。また、焼結体サンプルを一部切り出し、研磨後にEPMA測定を実施し、Ni凝集物の長軸方向が15μm以上であるニッケル凝集物の存在個数を計測したところ、任意の5箇所の0.25mmの領域内において、平均で2.8個であった。また、X線回折により得られたZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度の酸化亜鉛(002)回折ピーク強度に対する比は0.0018%であった。実施例4と同じく、600℃〜900℃域でのZn0.6Ni0.4O相の形成量が少なかったため、ピン止め効果が小さく、結晶粒径が若干大きめとなる傾向が確認された。
その後、得られた焼結体を用いて実施例1と同様にしてターゲットを作製し、連続放電実験を行なった。その結果、スパッタリング中の異常放電は殆どなく、ライフエンド時点での積算異常放電回数は15回であった。放電電流および電圧値もライフエンドまで非常に安定していた。成膜基板上の1ミクロン以上のパーティクル個数は11個であった。ライフエンドにて使用後のターゲット割れは発生していなかった。結果を表2に示す。
(実施例8)
実施例1と同様にして成形体を作製し、焼成を行った。但し、焼成時の保持温度では大気を導入した。
得られた焼結体は割れのない焼結体であった。アルキメデス法により測定した焼成後の焼結体相対密度は97.1%、焼結体のコード法による平均結晶粒子径は14.7μm、三点曲げ強度を測定したところ90.5MPaであった。また、焼結体サンプルを一部切り出し、研磨後にEPMA測定を実施し、Ni凝集物の長軸方向が15μm以上であるニッケル凝集物の存在個数を計測したところ、任意の5箇所の0.25mmの領域内において、平均で4.6個であった。また、X線回折により得られたZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度の酸化亜鉛(002)回折ピーク強度に対する比は2.98%であった。保持中の雰囲気を酸素雰囲気にすることにより、Niの拡散がやや小さくなる傾向が見られた。
その後、得られた焼結体を用いて実施例1と同様にしてターゲットを作製し、連続放電実験を行なった。その結果、スパッタリング中の異常放電が僅かに観察され、ライフエンド時点での積算異常放電回数は35回であった。放電電流および電圧値もライフエンドまで非常に安定していた。成膜基板上の1ミクロン以上のパーティクル個数は28個であった。ライフエンドにて使用後のターゲット割れは発生していなかった。結果を表2に示す。
(実施例9)
実施例1と同様にして成形体を作製し、焼成を行った。但し、焼成時の保持時間を10時間とした。
得られた焼結体は割れのない焼結体であった。アルキメデス法により測定した焼成後の焼結体相対密度は97.0%、焼結体のコード法による平均結晶粒子径は18.1μm、三点曲げ強度を測定したところ66.3MPaであった。また、焼結体サンプルを一部切り出し、研磨後にEPMA測定を実施し、Ni凝集物の長軸方向が15μm以上であるニッケル凝集物の存在個数を計測したところ、任意の5箇所の0.25mmの領域内において、平均で1.0個であった。また、X線回折により得られたZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度の酸化亜鉛(002)回折ピーク強度に対する比は1.62%であった。保持時間を長くすることにより、Niの移動拡散は促進されたが、結晶粒子径が大きくなる傾向が見られた。
その後、得られた焼結体を用いて実施例1と同様にしてターゲットを作製し、連続放電実験を行なった。その結果、スパッタリング中の異常放電が僅かに観察され、ライフエンド時点での積算異常放電回数は16回であった。放電電流および電圧値もライフエンドまで非常に安定していた。成膜基板上の1ミクロン以上のパーティクル個数は13個であった。ライフエンドにて使用後のターゲット割れは発生していなかった。結果を表2に示す。
(実施例10)
ニッケル粉末をNi/(Ni+Zn)の比で5%となるように秤量した以外は、実施例1と同様にして成形体を作製し、焼成を行った。
得られた焼結体は割れのない焼結体であった。アルキメデス法により測定した焼成後の焼結体相対密度は96.8%、焼結体のコード法による平均結晶粒子径は14.6μm、三点曲げ強度を測定したところ91.2MPaであった。また、焼結体サンプルを一部切り出し、研磨後にEPMA測定を実施し、Ni凝集物の長軸方向が15μm以上であるニッケル凝集物の存在個数を計測したところ、任意の5箇所の0.25mmの領域内において、平均で5.0個であった。またX線回折により得られたZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度の酸化亜鉛(002)回折ピーク強度に対する比は2.58%であった。
その後、得られた焼結体を用いて実施例1と同様にしてターゲットを作製し、連続放電実験を行なった。その結果、スパッタリング中の異常放電は殆どなく、ライフエンド時点での積算異常放電回数は7回であった。放電電流および電圧値もライフエンドまで非常に安定していた。成膜基板上の1ミクロン以上のパーティクル個数は2個であった。ライフエンドにて使用後のターゲット割れは発生していなかった。結果を表2に示す。
(比較例1)
BET4m/g、純度99.8%の酸化亜鉛粉末とBET13m/g、純度99.99%の酸化ニッケル粉末をNi/(Ni+Zn)の原子比で2原子%となるように秤量し、樹脂製ポットに入れ、水を溶媒として3.5mmφのジルコニアボールを用いて20時間粉砕混合した。このスラリーをエバポレーターにて溶媒を除き、乾燥オーブンにて200℃にて乾燥させた。この粉末を再び樹脂製ポットに入れ、10mmφのナイロン製ボールにて解砕処理した。この粉末を目開き500μmの篩に通した粉末を用い、実施例1と同様にして成形し、焼成を行った。
得られた焼結体は割れのない焼結体であった。アルキメデス法により測定した焼成後の焼結体相対密度は85.1%、焼結体のコード法による平均結晶粒子径は39.3μm、三点曲げ強度を測定したところ43.2MPaであった。また実施例1と同様にして得られたSEM像を図3に示す。焼結体の結晶粒子径が大きいことがわかる。また、焼結体サンプルを一部切り出し、研磨後にEPMA測定を実施し、結果を図4に示した。図中、黒色部分がNi元素の存在を示す。Ni凝集物の長軸方向が15μm以上であるニッケル凝集物の存在個数を計測したところ、任意の5箇所の0.25mmの領域内において、平均で17.2個であった。また、X線回折により得られたZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度の酸化亜鉛(002)回折ピーク強度に対する比は3.12%であった。これは原料粉末中のNi酸化物の均一混合が不十分な為、焼成時の条件調整にもかかわらず、Ni元素の移動拡散が阻害され、期待した効果が得られなかった為と推察される。
その後、得られた焼結体を用いて、実施例1と同様にしてターゲットを作製し、連続放電実験を行なった。
その結果、スパッタリング中に異常放電が多く発生し、ライフエンド時点での積算異常放電回数71回であった。成膜基板上の1ミクロン以上のパーティクル個数は133個であった。ライフエンドにて使用後のターゲットに割れが認められた。結果を表3に示す。
(比較例2)
実施例1と同様にして成形体を作製し、焼成を行った。但し、焼成時の600℃〜1000℃はアルゴンを導入した。
得られた焼結体に僅かなクラックが確認された。アルキメデス法により測定した焼成後の焼結体相対密度は95.1%、焼結体のコード法による平均結晶粒子径は37.7μm、三点曲げ強度を測定したところ39.1MPaあった。また、焼結体サンプルを一部切り出し、研磨後にEPMA測定を実施し、Ni凝集物の長軸方向が15μm以上であるニッケル凝集物の存在個数を計測したところ、任意の5箇所の0.25mmの領域内において、平均で3.4個であった。また、X線回折により得られたZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度の酸化亜鉛(002)回折ピーク強度に対する比は0.0001%であった。アルゴン導入により、Zn0.6Ni0.4O相が形成されず、目的の特性を得ることが出来なかった。
その後、得られた焼結体を用いて、実施例1と同様にターゲットを作製し、連続放電実験を行なった。その結果、スパッタリング中に異常放電が多く発生し、ライフエンド時点での積算異常放電回数55回であった。成膜基板上の1ミクロン以上のパーティクル個数は161個であった。ライフエンドにて使用後のターゲットに僅かな割れが認められた。結果を表3に示す。
(比較例3)
実施例1と同様にして成形体を作製し、焼成を行った。但し、焼成時の雰囲気はすべて大気とした。
得られた焼結体に僅かなクラックが確認された。アルキメデス法により測定した焼成後の焼結体相対密度は94.0%、焼結体のコード法による平均結晶粒子径は33.8μm、三点曲げ強度を測定したところ43.8MPaであった。また、焼結体サンプルを一部切り出し、研磨後にEPMA測定を実施し、Ni凝集物の長軸方向が15μm以上であるニッケル凝集物の存在個数を計測したところ、任意の5箇所の0.25mmの領域内において、平均で10.0個であった。また、X線回折により得られたZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度の酸化亜鉛(002)回折ピーク強度に対する比は0.0011%であった。
その後、得られた焼結体を用いて、実施例1と同様にしてターゲットを作製し、連続放電実験を行なった。その結果、スパッタリング中に異常放電が多く発生し、ライフエンド時点での積算異常放電回数52回であった。成膜基板上の1ミクロン以上のパーティクル個数は101個であった。ライフエンドにて使用後のターゲットに割れが認められた。結果を表3に示す。
(比較例4)
実施例1と同様にして成形体を作製し、焼成を行った。但し、焼成時の室温〜保持温度で保持する間は酸素を導入した。
得られた焼結体に僅かなクラックが確認された。アルキメデス法により測定した焼成後の焼結体相対密度は93.0%、焼結体のコード法による平均結晶粒子径は46.4μm、三点曲げ強度を測定したところ31.5MPaであった。また、焼結体サンプルを一部切り出し、研磨後にEPMA測定を実施し、Ni凝集物の長軸方向が15μm以上であるニッケル凝集物の存在個数を計測したところ、任意の5箇所の0.25mmの領域内において、平均で13.0個であった。また、X線回折により得られたZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度の酸化亜鉛(002)回折ピーク強度に対する比は0.0007%であった。
その後、得られた焼結体を用いて、実施例1と同様にしてターゲットを作製し、連続放電実験を行なった。その結果、スパッタリング中に異常放電が多く発生し、スパッタリング開始後25時間経過時点でターゲットに割れが認められた。ライフエンド時点での積算異常放電回数101回であった。成膜基板上の1ミクロン以上のパーティクル個数は205個であった。結果を表3に示す。
(比較例5)
実施例1と同様にして成形体を作製し、焼成を行った。但し、焼成時の600℃〜1000℃の昇温速度は80℃/hとした。
得られた焼結体に僅かなクラックが確認された。アルキメデス法により測定した焼成後の焼結体相対密度は95.5%、焼結体のコード法による平均結晶粒子径は31.5μm、三点曲げ強度を測定したところ39.3MPaあった。また、焼結体サンプルを一部切り出し、研磨後にEPMA測定を実施し、Ni凝集物の長軸方向が15μm以上であるニッケル凝集物の存在個数を計測したところ、任意の5箇所の0.25mmの領域内において、平均で1.8個であった。また、X線回折により得られたZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度の酸化亜鉛(002)回折ピーク強度に対する比は0.0012%であった。
その後、得られた焼結体を用いて、実施例1と同様にしてターゲットを作製し、連続放電実験を行なった。その結果、スパッタリング中に異常放電が多く発生し、ライフエンド時点での積算異常放電回数54回であった。成膜基板上の1ミクロン以上のパーティクル個数は116個であった。ライフエンドにて使用後のターゲットに僅かな割れが認められた。結果を表3に示す。
(比較例6)
実施例1と同様にして成形体を作製し、焼成を行った。但し、焼成時の保持温度は1600℃とした。
得られた焼結体に僅かなクラックが確認された。アルキメデス法により測定した焼成後の焼結体相対密度は98.2%、焼結体のコード法による平均結晶粒子径は49.2μm、三点曲げ強度を測定したところ31.2MPaあった。また、焼結体サンプルを一部切り出し、研磨後にEPMA測定を実施し、Ni凝集物の長軸方向が15μm以上であるニッケル凝集物0個であった。また、X線回折により得られたZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度の酸化亜鉛(002)回折ピーク強度に対する比は0.88%であった。
その後、得られた焼結体を用いて、実施例1と同様にしてターゲットを作製し、連続放電実験を行なった。その結果、スパッタリング中に異常放電が多く発生し、スパッタリング開始後20時間経過時点でターゲットに割れが認められた。ライフエンド時点での積算異常放電回数155回であった。成膜基板上の1ミクロン以上のパーティクル個数は241個であった。スパッタリング開始後20時間経過時点でターゲットに割れが認められた。結果を表3に示す。
(比較例7)
実施例1と同様にして成形体を作製し、焼成を行った。但し、焼成時の保持時間を12時間とした。
得られた焼結体に僅かなクラックが確認された。アルキメデス法により測定した焼成後の焼結体相対密度は97.1%、焼結体のコード法による平均結晶粒子径は26.3μm、三点曲げ強度を測定したところ48.3MPaあった。また、焼結体サンプルを一部切り出し、研磨後にEPMA測定を実施し、Ni凝集物の長軸方向が15μm以上であるニッケル凝集物の存在個数を計測したところ、任意の5箇所の0.25mmの領域内において、平均で1.4個であった。また、X線回折により得られたZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度の酸化亜鉛(002)回折ピーク強度に対する比は1.40%であった。
その後、得られた焼結体を用いて、実施例1と同様にしてターゲットを作製し、連続放電実験を行なった。その結果、スパッタリング中に異常放電が多く発生し、ライフエンド時点での積算異常放電回数58回であった。成膜基板上の1ミクロン以上のパーティクル個数は108個であった。ライフエンドにて使用後のターゲットに割れが認められた。結果を表3に示す。
Figure 0005919778
Figure 0005919778
Figure 0005919778

Claims (3)

  1. 亜鉛、ニッケル及び酸素から構成される複合酸化物焼結体であって、NiをNi/(Ni+Zn)の原子比で0.5〜5原子%含有する、長軸径が15μm以上のニッケル凝集物の存在個数が、焼結体の任意の0.25mmの領域5ヶ所の平均で5個以下であり、かつ、焼結体の平均結晶粒子径が20μm以下であることを特徴とする複合酸物焼結体。
  2. 3点曲げによる焼結体強度が50MPa以上である、請求項1に記載の複合酸化物焼結体。
  3. CuのKα線を用いたX線回折によるZn0.6Ni0.4O相の(200)回折ピーク強度が、酸化亜鉛(002)回折ピーク強度の0.0015%以上3%以下である、請求項1または2に記載の複合酸化物焼結体。
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