JP5919569B2 - 熱可塑性マルチフィラメント糸の加工方法および熱可塑性マルチフィラメント糸を有する合成繊維布帛の加工方法 - Google Patents

熱可塑性マルチフィラメント糸の加工方法および熱可塑性マルチフィラメント糸を有する合成繊維布帛の加工方法 Download PDF

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Description

ソフトな風合いが得られてその効果を長く持続できる熱可塑性マルチフィラメント糸の加工方法および熱可塑性マルチフィラメント糸を有する合成繊維布帛の加工方法に関する。
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートは、多くの優れた特性を有しているため、特に繊維やフィルムとして広く利用されている。ポリエチレンテレフタレート(PET)糸を用いた布帛(特に織物)に対しては、減量加工を行わないと風合いが良好なもの(柔らかく膨らみ感のあるもの)は得られにくいことが知られている。
そこで、ポリエステル長繊維(フィラメント)を用いた合成繊維布帛に対し、柔らかく膨らみ感のある風合い作るには、アルカリ減量加工法とフィラメント糸(長繊維糸)をスパンライクにするタスランノズルを用いて風合いを形成する方法がある(特許文献1)。
また、フィラメント糸に仮撚り加工を行なって風合いを形成する方法がある(特許文献2、3)。
上記特許文献1〜3に記載の技術は、収縮差の糸もしくは芯糸と浮糸2本の糸を用いて風合いを出す加工法である。
上記従来のシルク並びにPET糸を用いた布帛は、風合いを良くする為、アルカリ減量加工方法を用い25%余り繊維を溶かして細くしている。シルク布は金属石鹸での温浴での精練(練加工)、ポリエステル布はアルカリ(苛性ソーダ等)の温浴(85℃〜130℃)での加水分解によるアルカリ減量加工を行う。このようなアルカリ減量加工では、布(糸、繊維)の溶解に時間・薬剤並びに溶解廃液での排水処理費用が必要である。
また、アルカリ減量加工では苛性ソーダなどの強アルカリの水溶液を使用しているため、トリアセテート等のアルカリに弱い繊維を混繊した合成繊維布帛または交織した合成繊維布帛では、アルカリ減量加工ができない為、風合い調整が難しかった。
アルカリ減量加工は、エステル化合物は、アルカリ剤で分解することで減量加工が可能である。PETの減量加工は、昭和40年代になり盛んに加工されるようになった。アルカリ剤は、NaOH,KOHが一般的である。アンモニア水ではポリエステルの部分脆化が大きく強力が低下しやすく使用が難しい。KOHはNaOHよりコストが高く、加水分解反応は優良だが使えない。ただし、NaOHより減量加工での強力低下を起こし難い。
アルカリ減量加工の手法としては(1)吊加工法、(2)液流染色機での減量が挙げられる。
吊加工法は、生地はアンドン状に反巻して、プール状の容器に沸騰状態の3%NaOH液にて生地を吊るして30分〜45分程度時間をかけて減量する方法である。
液流染色機での減量は、加工温度が120℃〜130℃とし、NaOHの量を、減量するPET 1当量に対して2当量入れて加工を行い、加工時間は30分以上60分までの間で加工する方法である。
また、従来からノズルでのエアー混繊加工法(タスラン加工)がある。この手法では加工された糸を用いた合成繊維布帛を染色仕上げ加工(リラックス精練→熱セット固定→染色・乾燥→セット)した際、ファスナー現象(生地と生地が毛羽で付着する状態)が発生することが知られている。
また、前記のエアー加工した加工糸を用いた合成繊維布帛を織物や編物に形成後、液流染色機を用いリラックス精練加工するとファスナー現象(生地同士が表面毛羽で引っかかる現象)が起こる為、タスランノズルを利用し、芯糸と浮糸の糸収縮差を利用したタスラン加工糸で合成繊維布帛を作成することが一般的に行われている。これは、収縮差の糸もしくは芯糸と浮糸2本の糸を用いて風合いを出す方法である。しかしながら、このようなタスラン加工では、目的とするソフトな風合いを出せないという欠点を有している。
図40と図41は、アルカリ減量加工方法を用い25%余り繊維を溶かして細くしているシルク14中糸の加工例である。これらは、石川県工業試験場にて電子顕微鏡で撮影された画像であり、約200倍に拡大された断面写真となっている。図40は精練前原糸であり、図40は、精練後の糸を示している。絹練条件は、ケイ酸ソーダ(65ボーメ)0.5mL/L、マルセル石鹸1.5g/Lのボイル浴で45分浸漬後、水洗し乾燥を行った。
特開2001−159042号公報 特開昭54−160844号公報 特開2003−20534号公報
上述のとおり、アルカリ減量加工では、薬剤・時間・原材料の喪失と廃水処理などの廃棄物処理が必要であり、トリアセテートのようにアルカリ耐性の低い糸をPET糸と複合して用いることができない問題を有する。また、主に毛羽を生じさせる従来の加工や、前記タスラン加工や仮撚り加工では、目的とするソフトな風合い(従来のポリエステルマルチフィラメントのシルクライク以上の風合い)が出せなかった。すなわち、タスラン加工は、芯糸、浮糸より送られた糸をエアーの力によって嵩高く、ループ状に強く結束させる手法であり、糸の送り量は通常芯側よりも浮側を多く設定して、芯糸、浮糸がタスランボックス内に取り付けられたノズル内を通過するときに、エアーの力で撹乱しフィラメント同士が結束し、タスラン加工糸になる。しかしながら、エアーの力によって嵩高く、ループ状に強く結束させると、ソフトな風合いを生じさせる妨げとなることが実験により明らかになった。
そこで本発明の目的は、アルカリ減量加工を用いない環境対応に配慮した熱可塑性マルチフィラメント糸の加工方法と、シルクの練加工と同様な効果か、或いは、それ以上のソフトな風合いが得られてその効果を長く持続できる熱可塑性マルチフィラメント糸の加工方法と、エアー加工機を用いて得られた加工糸を用いて得られた合成繊維布帛で発生するリラックス、染色加工時のファスナー現象を抑制することができる用いた熱可塑性マルチフィラメント糸を有する合成繊維布帛の加工方法を提供するものである。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を有する。
(1)本発明の熱可塑性マルチフィラメント糸の加工方法は、全体を揃えるようにしてマルチフィラメント糸を筒状のエアー加工機に通過させて、エアー加工機によるエアーを送ることにより、複数の単繊維と単繊維との間に単繊維が入り込むように過剰に送り込み、これにより糸状間空隙を生じさせることを特徴とする。また、本発明は、全体を揃えるようにしてマルチフィラメント糸を筒状のエアー加工機に通過させて、エアー加工機によるエアーを送ることにより、複数のフィラメントとフィラメントの間にフィラメントが入り込むように過剰に送り込み、これにより糸状間空隙を生じさせることを特徴とする。
ここでは、エアー加工を行わない熱可塑性マルチフィラメント糸に比べ糸の見かけ太さを5〜15%以上太くすることが好ましい。糸の太さは、肉眼による見かけ状態での測定により、従来の糸よりも少なくとも見かけ太さを5〜15%以上太くする。上の本発明の熱可塑性マルチフィラメント糸としては、主にポリエステル、ナイロンであるが、熱可塑性高分子化合物マルチフィラメント糸であれば、これらに限定されるものではない。供給される熱可塑性フィラメントは、延伸糸(FDY)でも未延伸糸(POY)でも良い。
本発明によれば、いわゆる押し込みエアー加工であり、嵩の高い熱可塑性マルチフィラメント糸になるが、所定の糸状間空隙が形成される(フィラメントとフィラメントの間隔が所定間隔で揃えられた状態になる)。この熱可塑性マルチフィラメント糸を精練加工すると、アルカリ減量加工を行なわずとも、アルカリ減量加工によるシルクライクの風合いの加工か、それ以上のソフトな風合いの加工が可能である。
前記エアー加工は、糸状間空隙を生じさせることを目的としており、従来の毛羽を生じさせるタスラン加工とは異なる。本発明の熱可塑性マルチフィラメント糸に糸状間空隙を生じさせる加工方法と、従来のタスラン加工と比較すると、タスラン加工では芯糸と浮糸の2本を絡ませるが、本願発明では複数本の熱可塑性フィラメント糸のみで糸状空間と絡みを生じさせる点が大きく異なる。
本発明としては、前記エアー加工機では、前記エアー加工機では、その筒状通路に複数本の熱可塑性フィラメントの送り込み方向にエアーを吹き付けるとともに、前記筒状通路の排出側に前記送り込み量を引き出し量よりも多くするために滞留させる拡開部が設けられていることを特徴とする。熱可塑性フィラメントを筒状部材に通過させその送り込み方向にエアノズルからエアーを送り込むと、所定の糸状間空隙を形成する上で有効である。また、上記エアー加工では、上記径が次第に大きくなる拡開部で熱可塑性フィラメントが嵩高に絡まるようになる。
前記エアー加工では、熱可塑性フィラメントに水を含ませ糸を送り込むとともに、筒状部材に複数本の熱可塑性フィラメントを通過させ、その送り込み方向に高圧エアーを吹き付けることが好ましい。そて、上記拡開部で糸を滞留状態(その送り込み量を引き出し量よりも少なくする)におく。
(2)次に、本発明は、熱可塑性マルチフィラメント糸の加工糸に仮撚り加工を行うことを特徴とする。さらに、加熱ヒータにより熱セットすることが好ましい。
本発明によれば、上記加工糸の太さ斑をなくし平均的な太さにするが、均一な太さにすると同時に捲縮性を与えるために仮撚り加工を行う。
(3)前記仮撚り加工の仮撚り回数は1500回/m以上であることが好ましく、更に好ましくは、前記仮撚り加工の仮撚り回数は3000回/m以上であるとよい。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかの方法で製造されたマルチフィラメント糸の加工方法で製造された加工糸を用いて合成繊維布帛を作り、前記糸状間空隙を形成したことによりアルカリ減量加工を省いた精練加工を行うことを特徴とする。
また、前記(1)〜(3)のいずれかの方法で製造された加工糸を用いた合成繊維布帛を精練加工、具体的にはリラックス精練時に毛羽立ちを防止する為、液流染色機、ワッシャ機、ウインス機、エアーフロー染色機等を用いた加工時の加工温度を80℃〜115℃の範囲でリラックス精練を行う。このリラックス精練により、糸状間の収縮で、毛羽立ちを抑制し、かつ、ソフトな風合の良好な合成繊維布帛を得る。
(5)前記リラックス精練をロープ状で行い、リラックス精練時の合成繊維布帛の加工布速度は、250m/分以下で行ったが、好ましくは120m/分程度の低速度で生地に衝撃(揉み応力か少ない)が少ない条件を選定するとよい。
(6)前記リラックス精練後の合成繊維布帛のセット温度を185℃以下で行なうことが好ましい。
上記のように製造すると、毛羽立ちが抑制されたソフトな風合いの合成繊維布帛が製造できる。
本発明によれば、複数本の熱可塑性フィラメントを押し込みエアー加工により所定の糸状間空隙を形成することにより、糸状間空隙が形成されたソフトな風合いで嵩の高い熱可塑性マルチフィラメント糸が製造可能である。また、上記エアー加工後に行う仮撚りにより、均一な糸状間空隙が形成されたソフトな風合いの熱可塑性マルチフィラメント糸が製造可能である。そして、この熱可塑性マルチフィラメント糸にアルカリ処理を省いた精練加工を行ったり、又は、この熱可塑性マルチフィラメント糸を用いて得られた合成繊維布帛を精練すると、アルカリ減量加工を用いずに、柔らかく膨らみ感のある良好な風合いを長期間付与することができ、環境負荷の軽減が図られる。また、均一な糸状間空隙が形成されているために、精練で発生するリラックス、染色加工時のファスナー現象を抑制することができる。
本発明の一実施の形態のエアー加工工程と仮撚り工程を説明する図である。 上記実施の形態のエアー加工工程と仮撚り工程を説明する図である。 上記実施の形態のエアー加工機を説明する断面図である。 本発明の一実施の形態の製造工程を説明する図である。 本発明の一実施の形態の製造工程を説明する図である。 上記実施の形態の仮撚り機の例を説明する側面図である。 上記実施の形態の仮撚り機の例を説明する側面図である。 本発明の一実施の形態の製造設備を説明する図である。 本発明の実施の形態によって得られた糸の加工の状態を示す側面図である。 本発明の実施の形態によって得られた糸の加工の状態を示す側面図である。 本発明の実施の形態によって得られた糸の加工の状態を示す図である。 本発明の実施の形態によって得られた糸の加工の状態を示す図である。 本発明の実施の形態によって得られた糸の加工の状態を示す図である。 本発明の実施の形態によって得られた糸の加工の状態を示す図である。 本発明の実施の形態によって得られた糸の加工の状態を示す図である。 糸の加工の状態を示す図である。 糸の加工の状態を示す図である。 糸の加工の状態を示す図である。 糸の加工の状態を示す図である。 上記実施の形態の熱可塑性マルチフィラメント糸の原糸生機における原糸の表面を撮影した図である。 上記実施の形態の熱可塑性マルチフィラメント糸の原糸生機における精練後の糸の表面を撮影した図である。 上記実施の形態の熱可塑性マルチフィラメント糸の原糸生機における原糸の断面を撮影した図である。 上記実施の形態の熱可塑性マルチフィラメント糸の原糸生機における精練後の糸の断面を撮影した図である。 上記実施の形態の加工糸生機における原糸の表面を撮影した図である。 上記実施の形態の加工糸生機における精練後の糸の表面を撮影した図である。 上記実施の形態の加工糸生機における原糸の断面を撮影した図である。 上記実施の形態の加工糸生機における精練後の糸の断面を撮影した図である。 上記実施の形態の加工糸における染色後の糸を撮影した図である。 従来例の加工糸における染色後の糸を撮影した図である。 上記実施の形態の加工糸の断面を撮影した図である。 上記実施の形態の加工糸の断面を撮影した図である。 上記実施の形態の加工糸の断面を撮影した図である。 上記実施の形態の加工糸の断面を撮影した図である。 上記実施の形態の加工糸の断面を撮影した図である。 上記実施の形態の加工糸の断面を撮影した図である。 上記実施の形態の加工糸を用いた織物の断面を撮影した図である。 上記実施の形態の加工糸を用いた織物の断面を撮影した図である。 上記実施の形態の加工糸を用いた織物の断面を撮影した図である。 上記実施の形態の加工糸と、従来の加工糸を比較して示す外観図である。 アルカリ減量加工方法を用い25%余り繊維を溶かして細くしているシルク中糸の加工例であり、精練前原糸を示す図である。 アルカリ減量加工方法を用い25%余り繊維を溶かして細くしているシルク中糸の加工例であり、精練後の糸を示す図である。
本発明の実施の形態を以下に詳述する。
(本発明の加工方法)
本発明は、複数本の熱可塑性マルチフィラメントYをエアー加工S1の送り込み方向に供給し、エアー加工S1を行わない熱可塑性マルチフィラメント糸に比べ糸の見かけ太さを5〜15%以上太くした糸状間空隙を形成するとともに、送り込み方向に生じる複数本の絡み合いにより1本の熱可塑性マルチフィラメント糸Y2を製造する(図4、図5)。熱可塑性高分子化合物マルチフィラメント糸Y2とは、熱可塑性高分子化合物を用いて得られたフィラメント糸をいい、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ビニロン、ウレタンなどの熱可塑性を有する合成繊維をいう。ただし、これらに限定されず、本発明は、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ビニロン、ウレタンなどの熱可塑性を有する合成繊維に適用可能である。ポリエステルは、ほとんど水を吸収せず、熱に強いという特徴と、熱可塑性にも優れて、高温で熱プレスすると折り目が消え難くしわもつきにくく、Yシャツなどの素材に用いられる。また、アクリル繊維は、天然繊維の羊毛に似ているが、保湿性に優れて、セーターや毛布に用いられるほか、炭素繊維の原料にもなる。
本実施の形態では、エアー加工機(エアー加工工程S1)1で熱可塑性高分子化合物フィラメント糸Y1を複数本を送り込みを繊維長(長繊維の繊維長)に対して送り込み絡ませ、エアー加工S1を行ない(押し込みエアー加工)、その後、仮撚り加工S2を行う(図5)。その後は、アルカリ処理を省いた精練加工を行うが、仮撚り工程S2を行なわずに、アルカリ処理を省いた精練加工を行っても良い(図4)。なお、エアー加工工程S1の後や仮撚り加工S2の後、従来と同じように、アルカリ処理による精練加工を行うことも可能である。
エアー加工S1では、エアー加工機1に送り込まれた糸(単繊維の集合)Y1は、エアー加工機1の内部で圧縮空気によって生じる乱流により、糸としてのマルチフィラメント糸を構成する繊維が交絡または混繊される。エアー加工時の空気圧を7kg/cm2から4kg/cm2程度の低いものでも良い。
図3は、エアー加工機1の例を示す。筒状部材(ノズル)2に複数本のフィラメントYを通過させ、エアー吹き付け口2aからエアーを供給する。エアー供給は、単繊維Y1の送り込み方向である。ここで、水供給手段5により水を含ませ糸を送り込むとともに、筒状部材2に複数本の単繊維Y1を通過させ、その送り込み方向に高圧エアーを吹き付ける。すなわち、エアー加工機1としては、筒状部材2にエアー吹き付け口2aが送り込まれる単繊維Y1に対してその糸長さ方向、つまりエアーを排出口に向けてエアーを吹き付けることでことが好ましい。
筒状部材2の排出側には、径が次第に大きくなる拡開部6が形成され(内面が円錐形状)、エアー供給すると、拡開部6において単繊維Y1が絡まるように送り込まれる(オーバーフィードがかけられ、る)。排出側にはストッパ5が配置され、垂直に折り曲げられて、上方に引き出される。水付着バー7で単繊維Y1に水を含ませオーバーフィードして送り込みノズル(筒状部材)2の通過時に吹き付け口2aから高圧エアーを吹き付けることで単繊維Y1が絡みバルキー性を発現する。単糸フィラメントの収束体の空隙が大きくなる物理的な力で作ったものであり、熱固定していないので空隙の維持は不安定で以後の更なる張力や熱で変化させることができる。
エアー加工のメカニズムとしては、上述の特許文献2と3に記載されている従来方法が知られている。これは、芯糸と浮糸2本以上の糸を用いて行なうものである。従来方法は、芯糸、浮糸より送られた糸をエアーの力によって嵩高く、ループ状に強く結束させる手法である。すなわち、ローラーの回転によって送られた芯糸、浮糸がタスランボックス内に取り付けられたノズル内を通過するときに、エアーの力で撹乱しローラーの回転によって送られた芯糸、浮糸がタスランボックス内に取り付けられたノズル内を通過するときに、エアーの力で撹乱しフィラメント同士が結束し、タスラン糸になる。芯糸はタスラン糸の芯となる糸で、その周りに浮糸が密に絡み付く。ローラーによる供給糸の送り量は通常芯側よりも浮側を多く設定する。ノズル2は主にハウジングとコアから出来ており、コア内部にあるオリフィスと呼ばれる穴からエアーが噴出し、結束させる。
これに対して、本発明では、芯糸、浮糸の2種類の糸を用いるものではなく、複数の単繊維を揃えるようにしてエアー加工機に供給する。
従来のエアー加工は、合成繊維を芯側と浮側にセットし糸の送り量を設定し、エアーの力によって結束を得る加工方法であり、嵩高性(毛羽感)を高める目的で使用される。
これに対して、本発明では、シルクライク性を高めることを目的とし、エアーの力によって糸状間空隙を形成する点が大きく相違する。糸状間空隙を形成するためには、糸の送り込み方向にエアーを当てる(複数の単繊維と単繊維との間に空気が入り込むように当てる)ものである。単繊維と単繊維の絡み合いは、エアーの送り込み方向の絡み合いにだけに任せる。ノズル2の排出側には、糸を滞留させる拡開部6が設けられており、エアーの乱流により複数本の熱可塑性フィラメントの絡み合いを生じさせる。
次に、上記エアー加工機1で作った糸状間空隙を安定に保持するために仮撚り機11にかける。糸の交絡や混繊の状態が凸凹状となり太さが不均一で、ファスナー現象が出やすくスパンライクな風合いになるので、均一太さにすると同時に捲縮性を与えるために仮撚り加工S2を行う。仮撚り加工S2の仮撚り回数は1500回/m以上であり、3000回/m以上であり、4500回/m以上であると更に良い。
図1は、エアー加工機1と仮撚り機11が連続的かつ一体的に配置されるものであり、エアー加工機1により糸状空間が形成された加工糸が引き続き仮撚り機11に掛けられる。図2は、仮撚り機11の概念図であり、上方と下方のより戻りストッパ15の間で仮撚りがかけられる。上方と下方のより戻りストッパ15の間には、加熱するヒータボックス12が配置され、その筒状の空間部を経由してか熱される構造である。エアー加工機1により糸状空間が形成された加工糸を一旦巻き取ってから仮撚り機11にかけられる。例えば、図6に示すように、フリクションディスク17を使用して摩擦仮撚りするものがある。また例えば、図7に示すように、2列式、3列式等のディスクを収容するためのスピンドル18を使用して、仮撚りを行なってもよい。
上述のように従来手法は毛羽立ちを強調するためのものである。
これに対して、本実施の形態では、前記加工糸を用い織物や編物などの合成繊維布帛に形成後、更にリラックス精練時、毛羽立ち、加工糸特有のファスナー現象防止と目的とする糸状間空隙(目的とする風合いは、繊維材料により異なるが、好ましくは15〜30%)を得るため、温浴を115℃以下とし、ソフトなリラックス条件をとる。下限は、特に限定されないがリラックス精練効果の観点より80℃〜115℃の範囲が好ましい。
リラックス精練は、液流染色機、ワッシャ機、ウインス機、エアーフロー染色機等を用いることができる。これらの装置を用い加工温度を80℃〜115℃の範囲でリラックス精練を行うことで、糸状間の収縮で風合の良好な合成繊維布帛を得ることができる。
リラックス精練とは、精練リラックスともいわれ、糸に付着している糊剤等を除去する精練と糸のリラックス工程を同時に行うものをいうが、あらかじめ精練を行なっておいてもよい。
ここで、繊維生地(合成繊維布帛)は、通常染色準備工程,染色,仕上げの工程を経て製造される。精練は、準備工程の一つで、染色や仕上げの作業に支障を与えたり製品の仕上がりを害したりする要因を取り除く目的で行われる。繊維に付着している脂肪質,油質,油剤,ペクチン質,のり剤などを除去する工程である。繊維の種類により異なるが、一般的にはアルカリ水溶液に精練時間を短縮する目的で適当な界面活性剤を加え、繊維とともに加熱する方法がとられる。本実施の形態では、上記染色準備工程で精練するが、本発明は上記染色・仕上げ工程でアルカリ水溶液を使用しないもので適用可能である。
前記リラックス精練は合成繊維布帛をロープ状として行なうことが好ましい。リラックス精練は合成繊維布帛をロープ状として行なうと、ファスナー現象の抑制とソフトな風合いが出せる点より好ましい。
リラックス精練時のロープ状の合成繊維布帛の加工布速度は、250m/分以下で行うことが好ましく、より好ましくは120m/分程度の低速度で、生地に衝撃(揉み応力が少ない)が少ない条件を選定する。
また、前記リラックス精練後の合成繊維布帛のセット温度は、糸の風合い硬化を防止するとの観点より185℃以下で行なうよい。セットはテンターなどを用いて行えばよい。
次に、ポリエチレンテレフタレート(PET)糸を基準にして説明する。ただし、本願発明は下記に限定されるものではない。
PET糸のアルカリ減量加工を行わずに、糸状間空隙を形成する為、糸加工法と染色仕上げ加工の併用でエコロジーな風合い良好な合成繊維布帛を形成する方法である。
糸(繊維)の間隙(糸状間空隙)を、シルクの練加工(ねり加工)と同様な間隔とすることにより、合成繊維布帛の風合いに対し柔らかく膨らみ感のある同様の効果を得ることができる。PET糸でのアルカリ減量加工法の効果を、アルカリ減量加工を行わずに得ることができる。また、エアー加工機1を用いて得られた糸を用いて製造された合成繊維布帛にも関わらず、通常のリラックスや染色加工などの工程で合成繊維布帛のファスナー現象が発生しやすいという問題点をも改善できる。
PET糸の糸状間空隙をアルカリ減量加工での間隙にする為、エアー加工機1で、糸長さに対して15〜28%(29%以上でも可)を送り込み(筒状部材2に過剰に送り込み)、糸のふくらみを形成する。従来のタスラン加工では、糸のふくらみ部が、凸凹状で、風合いがスパンライク調になることと(シルクライクにならない)、得られる合成繊維布帛にファスナー現象が発生しやすく、アルカリ減量加工と同じような糸状間空隙が得難い。その結果、ソフトな風合いを長期間維持することができない。
これに対して、本発明では、フィラメント糸を細くし糸状間空隙を5〜15%以上とする。
上記のように製造すると、従来のポリエステル糸やナイロン等の熱可塑性(合成高分子)マルチフィラメント糸をアルカリ減量加工を用いて25%減量加工した合成繊維布帛と同じか、或いは、それ以上のソフトな風合いを得ることができる。
次に、仮撚り加工S2を行う。仮撚り加工S2には、仮撚り加工機11を使用するが、ここではフリクションディスク17を使用して摩擦仮撚りするものと(図6)、2列式、3列式等のディスクを収容するためのスピンドル18を使用してもよい(図7)。
仮撚り加工機11では、メートル間1500回から4500回程度(最大まで)の仮撚りをかけることで、糸の凸凹の修正と糸条間のカラミを発生させると共に、捲縮を発生させて糸状間空隙を大きくすることにより、スパンライクな風合いの改善、ファスナー現象の改善、アルカリ減量加工と同じような糸状間空隙が得られやすくなる。捲縮により、嵩高性と伸縮性が付与される(図8を参照)。
本実施形態によって得られた糸の加工の状態を図9と図10に示す。これらは、石川県工業試験場にて電子顕微鏡で撮影された画像であり、側面写真となっている。
図9において、符号X1で示す糸は、ポリエステル単繊維 82T(デシテックス)=75デニール、144f(フィラメント)
2中水準1:エアー加工後 エアー加工時のエアー圧5.0kg/m2
3中水準2:エアー加工後 エアー加工時のエアー圧7.0kg/m2
4 3の仮撚り加工後の加工糸、である。
図9において、符号X2で示す糸は、上記加工糸Y1にエアー加工した糸である。
図9において、符号X3で示す糸は、上記加工糸Y1にエアー加工した糸である。
図9において、符号X4で示す糸は、上記加工糸Y2に仮撚り加工した糸である。
次に、新規加工糸での仮撚り撚糸回数の試験及び概観評価を行なった。
エアー加工後の適正撚糸回数は1500回以上としていたが、撚糸回数を2000回から3800回の間で行なった。結果を図10に示す。
図10において、符号X11で示す糸は、上記加工機21で、2000回/m 行なった糸である。
図10において、符号X12で示す糸は、上記加工機21で、2500回/m 行なった糸である。
図10において、符号X13で示す糸は、上記加工機21で、3000回/m 行なった糸である。
図10において、符号X14で示す糸は、上記加工機21で、3500回/m 行なった糸である。
図10において、符号X15で示す糸は、上記加工機21で、3800回/m 行なった糸である。
これらを、まとめたのが次の表1である。
エアー加工後の撚糸回数と糸断面間隙(糸状間空隙)について
符号X11に示す撚糸回数2000回/mにおける糸状間空隙は、符号X12〜X15のものよりも少なかった。符号X12に示す撚糸回数2500回/mにおける糸状間空隙は、符号X11のものよりも大きくなり風合い改善が良くなっていると判断できる。
図10に示すように、全水準1〜5において、糸状間空隙はみられるが、精練加工後、糸収縮での影響で2000回/mでは糸間隙は少なくなるが、その他ではその傾向は見られなかった。すなわち、ここでは2500回/m以上の仮撚りが良いと言える。
図11から図15は、本実施の形態によって得られた糸の加工の状態を示す図である。これらは、石川県工業試験場にて撮影された画像であり、約200倍に拡大された断面写真となっている。
図11は、符号X11で示す糸であり、温度が110℃精練後の状態を示す図である。
図12は、符号X12で示す糸であり、温度が110℃精練後の状態を示す図である。
図13は、符号X13で示す糸であり、温度が110℃精練後の状態を示す図である。
図14は、符号X14で示す糸であり、温度が110℃精練後の状態を示す図である。
図15は、符号X15で示す糸であり、温度が110℃精練後の状態を示す図である。
(実施例)
拡布状で加工する連続精練機21とロープ状で加工する液流染色機を用いたリラックス精練の比較実験を用いながら、以下に説明する。
上記実施例の加工糸を用いて、合成繊維布帛を製造後、
(連続精練)→リラックス精練(ロープ状での精練)→乾燥→中間セット→染色→乾燥→最終セットの順で加工した。結果をまとめたのが次の表2と表3である。
実施例1
液流染色機 日阪製作所製 CUT−SRT
水温〜100℃(ボイル)迄昇温してリラックス
ノズル圧1.2kg/cm2
リール速度120m/min
実施例2
液流染色機 日阪製作所製 RZ
水温〜100℃迄昇温してリラックス
ノズル圧1.4kg/cm2
リール速度150m/min
実施例3
ワッシャー
水温〜85℃迄昇温 回/min
実施例4
液流染色機 日阪製作所製 CUT−SRT
水温〜90℃迄昇温してリラックス
エアー加工機1における糸追込みでの糸状間空隙の形成は、従来のアルカリ減量加工法での12%程度であるが、凸凹糸状態で欠点発生を抑える為、仮撚り撚糸機11での嵩高かつ糸条間のカラミを付与して精練リラックス後、捲縮させて目的のソフトな風合いの合成繊維布帛を作る。
ここで、リラックス温度を115℃以上の120℃で行うと、合成繊維布帛の糸収縮が進み、糸状間空隙が少なくなる。更にセッターを用い生地幅を広げて熱セット後、染色するとファスナー現象が発生する。
図16から図19は、糸の加工の状態を示す図である。これらは、石川県工業試験場にて電子顕微鏡で撮影された画像であり、約150倍に拡大された写真となっている。
図16は、ファスナー現象無しの表面状態を示す図であり、上から見た図である。
図17は、ファスナー現象有りの表面状態を示す図であり、上から見た図である。
図18は、ファスナー現象無しの表面状態を示す図であり、斜め上から見た図である。
図19は、ファスナー現象有りの表面状態を示す図であり、斜め上から見た図である。
そこで、エアー加工工程S1→仮撚り加工工程S2の2段階(2工程)で行う場合、糸品質面、作業性の面で問題点が多いので一連の連続加工機21が望ましい(図8を参照)。
上記連続加工機21で、単繊維→送りローラー使用で15%以上過剰に送り込む→エアー加工機1→仮撚り機11→ヒータボックス12を通過させ巻き取りを行なう。図2に示す例では、エアー加工機1から直接引き出して仮撚り機11にかけ、2箇所の撚り戻りストッパー15の中間でスピナー13で糸をひねると、スピナー13の前後で加撚りと解撚りの逆方向の撚りをかけることとなり、全体で実際の撚り数はゼロとなるが、ヒータボックス12の内部で激しくひねられた糸が熱でセットされ(熱可塑性が実現され)、直線的で平板であった合繊糸がウールのような捲縮(凹凸感)を持つ状態になり、これを巻取り装置14で巻き取られる。
前記加工糸を用いて織り編みされた合成繊維布帛を精練加工(リラックス精練)を行う。このリラックス精練をロープ状で行い、リラックス精練時の合成繊維布帛のセット温度を185℃以下として、加工布速度は120m/分程度の低速度で生地に衝撃(揉み応力か少ない)が少ない条件を選定して行なう。
連続精練剤処方としては、下記が使用可能である。
TS−1010 0.3g/リットル(北広ケミカル株製品)
NaOH(フレーク)1.5g/リットル
セレツシュ900 0.5g/リットル(北広ケミカル株製品)
バッチ精練剤処方としては、下記が使用可能である。
TS−1010 0.3g/リットル(北広ケミカル株製品)
NaOH(フレーク)0.5g/リットル
セレツシュ900 0.5g/リットル(北広ケミカル株製品)
前記加工後の熱可塑性マルチフィラメント糸を製織して合成繊維布帛を作り比較を行った。
図20は、本実施の形態の熱可塑性マルチフィラメント糸の原糸生機における原糸の表面を撮影した図であり、約150倍に拡大して示す図である。
図21は、本実施の形態の熱可塑性マルチフィラメント糸の原糸生機における精練後の糸の表面を撮影した図であり、約150倍に拡大して示す図である。
図22は、本実施の形態の熱可塑性マルチフィラメント糸の原糸生機における原糸の断面を撮影した図であり、約500倍に拡大して示す図である。
図23は、本実施の形態の熱可塑性マルチフィラメント糸の原糸生機における精練後の糸の断面を撮影した図であり、約500倍に拡大して示す図である。
図24は、本実施の形態の加工糸生機における原糸の表面を撮影した図であり、約150倍に拡大して示す図である。
図25は、本実施の形態の加工糸生機における精練後の糸の表面を撮影した図であり、約150倍に拡大して示す図である。
図26は、本実施の形態の加工糸生機における原糸の断面を撮影した図であり、約500倍に拡大して示す図である。
図27は、本実施の形態の加工糸生機における精練後の糸の断面を撮影した図であり、約500倍に拡大して示す図である。
図20から図27から明らかなように、実施例1の精練後の加工糸では、糸条間の間隙(繊維間空隙)は、広くなっていることが確認できる。
図28は、本実施形態の加工糸における、染色後の糸を撮影した図である。新規加工糸は、75デニールであり、繊維本数は144本である。
図29は、従来例の加工糸における、染色後の糸を撮影した図である。
実施例2−1
次に、応用合成繊維布帛例(染色工程を行なった例)を示す。
応用合成繊維布帛に用いた糸は、28%程度、筒状部材2に過剰に送り込み(オーバーフィード率20〜30%)、仮撚り2800T/m(T/m:糸1メートルあたりの撚りの回数)で加工した糸を用いて織り上げた。
生地組織 シホンGC 縦 強撚SZ2500T/m(2:2)66T48f 緯 縦に同じ
試験で、75d144f(d:デニール、f:繊維本数)の当加工した物を、ワッシャもしくはCUT−SRT(日阪製作所製)にて加工した。加工温度105℃以上では、風合い固く上がり、評価が低い。シホンGC生地より生地厚だが、良好な風合が得られた。その際の仕上げ後の糸断面を表示する。
図30は、本実施の形態のワッシャ加工をリラックス85℃で行った加工糸の断面を撮影した図であり、約500倍に拡大して示す図である。
図31は、本実施の形態のシホンGC減量加工とワッシャ加工をリラックス85℃で行った加工糸の断面を撮影した図であり、約500倍に拡大して示す図である。
図32は、本実施の形態のCUT−SRT加工をリラックス95℃で行った加工糸の断面を撮影した図であり、約500倍に拡大して示す図である。
図33は、本実施の形態のCUT−SRT加工をリラックス90℃で行った加工糸の断面を撮影した図であり、約500倍に拡大して示す図である。
実施例3
経糸 10dmono-f(デシテックスモノフィラメント)に緯糸(同密度)に試験織
30d72f 緯 :原糸 生地幅146cm
リラックス110℃温度→セット→染色加工→セット
染め仕上げ 120cm
図34は、上記実施の形態の加工糸の断面を撮影した図であり、約500倍に拡大して示す図である。
経糸 10dmono-f(デシテックスモノフィラメント)緯密度は、上の生地に同じ
生機幅146cm織
緯に30d72fCDP糸(カチオン可染ポリエステル)の新規加工糸 染色後断面図
リラックス110℃温度→セット→染色加工→セット
仕上げ後の上がり幅102cmの合成繊維布帛
図35は、上記実施の形態の加工糸の断面を撮影した図であり、約500倍に拡大して示す図である。
評価: 捲縮高く表面目ずら良好で、伸縮性が付与されており生地として評価高い。
原糸では、捲縮が少なく、目ずら不良、伸縮性なし。ここで、75d24f(68分割)糸は、1fに68部分の島成分つまり68fに増える。24×68の糸になる。海成分は、CDPタイプ糸(カチオン可染ポリエステル)を示す。
図36は、上記実施の形態の加工糸を用いた織物の断面を撮影した図であり、約500倍に拡大して示す図である。経糸は10dmono-熱可塑性マルチフィラメントにて、その緯糸を20d12fと75d24f(68分割)を20%送り込みエアー加工した後、仮撚り撚糸(2000T/m) で加工した糸を用いて織り上げた。
図36より明らかに糸は分かれている点が確認できる。
図37は、上記実施の形態の加工糸を用いた織物の断面を撮影した図であり、約500倍に拡大して示す図である。経糸は10dmono−熱可塑性マルチフィラメントにて、その緯糸を75d24f(68分割)使用して、110℃リラックス時、NaOHにて海島糸部を分割したもと比較して示す。海島分割糸+20d12fでの当加工糸は分離して風合い良好で嵩高くなって極細糸特有のぬめり感が強い。
図37より明らかに糸は分かれている点が確認できる。
実施例4
経 50d48f 緯 150d96fのAT仮撚り糸織物
図38は、上記実施の形態の加工糸を用いた織物の断面を撮影した図であり、約500倍に拡大して示す図である。50d96fの加工糸を緯糸に織上げ 110℃リラックス→セット品の断面写真である。
次に、生地の伸縮度測定の様子を示す。図39は、本実施の形態の加工糸が従来のものよりも約6%捲縮されている様子を示す。
ここで、従来の風合いの良好なシルクは、糸外面のセシリンを溶解することで(アルカリ減量加工を用いて25%減量加工)して作られる。合繊織物(PET)織物では、シルクと同じ染色で25%あまり分解溶解して風合いを作っている(アルカリ減量加工)。しかし、これではポリエステルを所定量廃棄し、アルカリ(苛性ソーダ:フレーク)を使用して、廃液処理費用が必要になる。これを試算すると、1kg当たり100円以上の費用がかかる。
これに対して、本発明では、フィラメント糸を細くし糸状間空隙を5%〜15%以上として、仮撚り加工後、アルカリ溶液を使用しないリラックス精練により、上記従来の25%減量加工に相当する合成繊維布帛を1kgが50円程度で製造できる。また、エアー加工時の空気圧を7kg/cmから4kg/cm程度の低いものでも良く、この場合は、更に費用を低減できる。
以上、本実施の形態では、ポリエステル糸を使用して、エアー加工を行い、仮撚り加工S2を行った後、アルカリ処理を省いた精練加工を行なう例で説明したが、ナイロン糸の場合は、エアー加工S1を行った後、アルカリ処理を省いた精練加工を行なう製造方法でも適用可能である。
1 エアー加工機、
2 筒状部材(ノズル)、2a エアー供給口、
6 径が次第に大きくなる拡開部、
11 仮撚り機、
21 連続加工機、
Y1 熱可塑性マルチフィラメント糸(エアー加工前)、
Y2 熱可塑性マルチフィラメント糸(エアー加工後:加工糸)、
S1 エアー加工工程、
S2 仮撚り工程

Claims (6)

  1. 全体を揃えるようにしてマルチフィラメント糸を筒状のエアー加工機に通過させて、エアー加工機によるエアーを送ることにより、複数の単繊維と単繊維との間に単繊維が入り込むように過剰に送り込み、これにより糸状間空隙を生じさせることを特徴とするマルチフィラメント糸の加工方法。
  2. 全体を揃えるようにしてマルチフィラメント糸を筒状のエアー加工機に通過させて、エアー加工機によるエアーを送ることにより、複数のフィラメントとフィラメントの間にフィラメントが入り込むように過剰に送り込み、これにより糸状間空隙を生じさせることを特徴とするマルチフィラメント糸の加工方法。
  3. 前記筒状のエアー加工機では、その筒状通路においてマルチフィラメントの送り込み方向にエアーを吹き付けるとともに、前記筒状通路への送り込み量を排出側において引き出し量よりも多くすることを特徴とする請求項1又は2記載のマルチフィラメント糸の加工方法。
  4. 前記筒状のエアー加工機では、水付着バーで水を含ませて送り込み、その筒状通路にマルチフィラメントの送り込み方向にエアーを吹き付けることを特徴とする請求項1又は2記載のマルチフィラメント糸の加工方法。
  5. 請求項1ない4のいずれか1項記載のマルチフィラメント糸に仮撚り加工を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載のマルチフィラメント糸の加工方法。
  6. 請求項1ないし4のいずれか1項記載のマルチフィラメント糸の加工方法で製造された加工糸を用いて合成繊維布帛を作り、前記糸状間空隙を形成したことによりアルカリ減量加工を省いた精練加工を行うことを特徴とするマルチフィラメント糸を有する合成繊維布帛の加工方法。
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