JP5918619B2 - 鮪延縄冷凍漁船 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば鮪延縄冷凍漁船に搭載されて好適な二元冷凍装置付き冷凍漁船に関する。
遠洋鮪延縄漁船では、鮮度を保つため、漁獲した鮪を−60℃で凍結及び保冷している。そのため、凍結庫及び魚倉とも−60℃の超低温に冷却されている。鮪延縄漁船で凍結された鮪を冷凍運搬船に転載し、冷凍運搬船で−55℃に保冷し、消費地まで運搬している。鮪延縄漁船及び冷凍運搬船の冷凍装置の冷媒は、従来、超低温域で優れた特性をもつフロンR22が使用されていた。従来、鮪の冷凍保存に用いられていた冷凍装置を図4及び図5で説明する。
図4に、二段圧縮機を備えた冷凍装置を示す。この冷凍装置200は、フロンR22が循環する冷媒循環路202に二段圧縮機204及び凝縮器206が設けられている。二段圧縮機204で加圧されたフロンR22は、凝縮器206で冷却され液化される。冷媒循環路202は、凝縮器206の下流側で分岐し、複数の魚倉210a及び210bに接続されている。魚倉210a、210bの上流側に膨張弁208a、208bが設けられ、魚倉210a、210bには、冷媒循環路202に連通した冷媒蒸発管(図示省略)が設けられている。
さらに、二段圧縮機204の低段圧縮機と高段圧縮機との間の中間冷媒路と、冷媒循環路202の凝縮器206より下流側部位とを接続する冷媒路212と、冷媒循環路202の冷媒路212との分岐部より下流側部位と、冷媒路212とに跨って設けられた液冷却器214と、冷媒路212の液冷却器214より上流側部位に設けられた膨張弁216とを備えている。凝縮器206の下流側でR22の一部を冷媒路212に導入し、膨張弁216で減圧して液冷却器214に供給する。液冷却器214で、減圧したR22を蒸発させ、この蒸発潜熱で冷媒循環路202のR22を冷却することで、COPを向上させる。冷媒路212の気化したR22は、二段圧縮機204の中間冷媒路に戻す。
膨張弁208a、208bで減圧されたフロンR22は、魚倉210a、210bに設けられた冷媒蒸発管で蒸発し、魚倉210a、210bを冷却する。冷媒蒸発管は、例えば、魚倉の天井、側壁、床に配置されたエロフィン付きヘアピンコイルで構成されているか、あるいは漁獲物を載置する管棚(冷媒蒸発管を棚状に組み立てたもの)が形成されている。冷凍装置200は、魚倉210a、210bを−60℃の超低温にすることが可能であり、かつ装置構成を低コスト化できる。
陸上では、鮪を−60℃の超低温域で保管するため、高元側冷凍機と低元側冷凍機とを組み合わせた二元冷凍装置が用いられている。高元側冷凍機の冷媒は、これまでR22、R404A、NH3が使用されており、低元側冷凍機の冷媒は、超低温域で優れた特性をもつR23が使用されていた。この二元冷凍装置の構成を図5で説明する。
図5において、二元冷凍装置300の高元側冷凍機310は、フロンR22等を冷媒とし、高元側冷媒循環路312に、高元側圧縮機314、凝縮器316、膨張弁318及びカスケードコンデンサ320が設けられている。一方、低元側冷凍機330は、フロンR23を冷媒とし、低元側冷媒循環路332には、低元側圧縮機334及び膨張タンク336が設けられ、カスケードコンデンサ320に接続されている。低元側冷媒循環路332は、カスケードコンデンサ320の下流側で分岐し、複数の魚倉340a及び340bに接続されている。魚倉340a、340bの上流側に、膨張弁338a、338bが設けられている。魚倉340a、340bには、低元側冷媒循環路332に連通した冷媒蒸発管(図示省略)が設けられている。該冷媒蒸発管は、図4の魚倉210a、210bと同様に、ヘアピンコイルや管棚で構成されている。
二元冷凍装置300では、カスケードコンデンサ320で、フロンR22等がフロンR23から熱を吸収する。熱を吸収されて冷却され液状になったフロンR23は、魚倉340a、340bに配置された冷媒蒸発管で蒸発し、魚倉340a、340bを冷却する。運転停止中、昇温して気化したフロンR23は膨張タンク336に回収され、低元側冷媒循環路332の高圧化を防止する。かかる二元冷凍装置は、魚倉340a、340bを−60℃の超低温に冷却できる。
特許文献1には、NH3を冷媒とし、二段圧縮機を備え、魚倉内を−60℃以下の超低温に冷却できる冷凍装置が開示されている。また、特許文献2には、魚船の魚倉に設けられて好適な冷却器が開示されている。この冷却器は、ケーシングと、該ケーシングの内部に設けられた冷媒蒸発管と、該ケーシングの内部に魚倉内空気の流れを形成する送風機とを有する冷風発生装置を備えている。これによって、冷媒蒸発管を流れる冷媒と送風機で形成された気流とを熱交換させ、魚倉を冷却している。この冷却器は、ヘアピンコイル方式や管棚方式と比べて、冷媒蒸発管に供給する冷媒量を大幅に低減でき消費動力を低減できるという利点がある。
特開2006−214611号公報 特開2006−29713号公報
フロンR22に代表されるHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)冷媒は、2020年までに全廃することとなったため、これに代わる冷媒を開発する必要が生じた。そこで、フロンR22の代替冷媒として、フロンR404Aに代表されるHFC(ハイドロフルオロカーボン)冷媒が近年開発された。フロンR404Aは、フロンR22と同様に超低温域で優れた特性をもっている。しかし、R404Aは地球温暖化係数(GWP)が3300と高いという問題がある。
冷媒単価は、フロンR404AはNH3の約10倍と高価である。例えば、400トン級鮪延縄漁船に搭載された冷凍装置でフロンR404Aを使用すると、1隻当たり約3,000kgのフロンR404Aが必要となり、漁業経営者にとって大きな負担となってくる。
フロンR23はHFC冷媒であり、地球温暖化係数(GWP)も高く、その単価はNH3の約15倍で、フロンR404Aの約1.5倍と高価である。また、フロンR23は、−70℃の飽和圧力は0.19MPaであり、25℃の飽和圧力は4.72MPaと高圧になる。そのため、冷凍装置が停止している時、冷媒循環路に設けられた配管機器類に非常に高い圧力がかかり、これを防ぐため大きな容量の膨張タンクが必要となる。例えば、約3,000kgのフロンR23を使用した冷凍装置では、30mもの容量をもつ膨張タンクが必要となる。そのため、機械室のスペースが限られている船舶への搭載は困難となる。
また、図4に示す冷凍装置200及び図5に示す二元冷凍装置300の場合、各機器や、魚倉に配置された冷媒蒸発管に冷凍機油が溜まり、伝熱効率を低下させるという問題がある。そのため、入渠時に各機器の油抜きを行うと共に、魚倉に配置された冷媒蒸発管に穴を開けて、油抜きをしなければならなかった。この問題は、特許文献1に開示された冷凍装置も同様に発生する。
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、自然冷媒であり、かつ安価なNH3を使用すると共に、低元側冷媒としてフロンR23を用いた二元冷凍装置において、低コスト化を可能にし、かつ膨張タンクの容量を低減して、船舶に搭載可能にすると共に、魚倉に配置された冷却管の油抜きを不要にする二元冷凍装置付き鮪延縄冷凍漁船を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明の二元冷凍装置付き冷凍漁船は、NH3からなる高元側冷媒を循環させる高元側冷媒循環路に設けられる高元側冷凍サイクル構成機器を有する高元側冷凍装置と、フロンR23からなる低元側冷媒を循環させる低元側冷媒循環路に夫々設けられる冷凍サイクル構成機器、及び運転停止時に気化したフロンR23を回収する膨張タンクを有する低元側冷凍装置と、前記高元側冷媒循環路と前記低元側冷媒循環路とに跨って設けられ、前記高元側冷媒と前記低元側冷媒との間で熱交換を許容するカスケードコンデンサと、NH3からなるブラインを循環させるブライン循環路とを備え、前記低元側冷凍装置の低元側冷媒を超低温域に冷却可能に構成した冷凍装置を備えた鮪延縄冷凍漁船において、前記ブライン循環路は、低圧受液器(64)とともに、NH3ブラインを循環する液ポンプ(62)及び流量調整弁を介して夫々魚倉(68a〜c)に接続されている循環路と前記低圧受液器(64)よりブライン液化器(52)を介して循環可能に構成するとともに、該ブライン液化器(52)は、低元側冷媒の膨張弁(50)下流の低元側冷媒循環路42の部位と、ブライン循環路(61)とに跨って設けられているブライン循環路(61)とを備えることを特徴とする。
かかる発明によれば、前記低圧受液器64内のNH3ガスは、ブライン循環路(61)を通ってブライン液化器(52)に流入したNH3ガスは、ブライン液化器52で冷却液化され、ブライン循環路(61)を通って低圧受液器(64)に戻る。
一方低元側圧縮機(44)から吐出した高圧のフロンR23は、カスケードコンデンサ(30)で、高元側冷媒であるNH3で冷却されて凝縮する。凝縮したフロンR23は、膨張弁(50)で減圧され、ブライン液化器(52)で、NH3ブラインと熱交換し、NH3ブラインを冷却すると共に、自身は蒸発する。蒸発したフロンR23は低元側圧縮機44に戻る。二元冷凍装置10Aの運転が停止した時、開閉弁48を開け、昇温して気化したフロンR23を膨張タンク46に収容し、フロンR23が高圧となるのを防止する。
一方ブライン液化器52で、フロンR23によって冷却され液化したNH3ブラインは、一旦低圧受液器64に貯留される。低圧受液器64に貯留したNH3ブライン液は、液ポンプ62によって魚倉68a〜cに送られる。NH3ブライン液は流量調整弁66a〜cを通り、各魚倉68a〜cに設けられたブライン蒸発管を流れ、該ブライン蒸発管で一部が蒸発し、該魚倉を冷却する。該魚倉を出た気液二相流のNH3ブラインは、低圧受液器64に戻る。
従って本発明によれば、高元側冷媒として、自然冷媒であり、かつ安価なNH3を用いることで、低コスト化できる。また、低元側冷媒としてフロンR23を用いるが、ブライン循環路を循環するNH3ブラインで魚倉を冷却するので、高価なフロンR23の使用量を大幅に低減できる。そのため、低コスト化が可能になると共に、地球温暖化に対する影響を抑制できる。また、フロンR23の使用量を大幅低減できるので、低元側冷媒循環路に設けられた膨張タンクの容量を大幅に低減でき、これによって、二元冷凍装置の船舶への搭載が可能になる。また、ブライン循環路には、高元側冷凍装置及び低元側冷凍装置から冷凍機油が混入しない。そのため、ブライン循環路及び魚倉に配置されたブライン熱交換器から油抜きを行う必要がなくなり、メンテナンスが容易になる。
本発明において、高元側冷凍サイクル構成機器の一つである凝縮器よりも下流の高元側冷媒循環路の部位と、カスケードコンデンサよりも下流の高元側冷媒循環路の部位との間をカスケードコンデンサを迂回して接続可能なバイパス路と、該バイパス路とブライン循環路とに跨って設けられ、高元側冷媒とブラインとの間で熱交換を許容する熱交換器とを更に備えているとよい。
これによって、高元側冷媒で、低元側冷凍装置を介することなく、前記熱交換器を介してNH3ブラインを冷却できる。魚倉を−60℃まで冷却する必要がない時、例えば、漁船が魚倉に餌を積んで漁場に向かう時は、魚倉を−20℃〜−40℃程度に冷却すればよい。この時、高元側冷媒でNH3ブラインを冷却することで、魚倉を−20℃〜−40℃程度に冷却できる。そのため、低元側冷凍装置を作動させる必要がないので、駆動動力を低減でき、低コストで運転できる。
本発明において、魚倉内に設けられ、ブライン熱交換器として箱形に形成され、蒸発管の間に隙間が形成されたブライン蒸発管と、送風機を含み、該ブライン蒸発管を通る空気流を形成する手段とを更に備えているとよい。これによって、ブライン蒸発管を通る空気流を形成することで、NH3ブラインと魚倉内空気との伝熱効率を向上できる。そのため、ヘアピンコイル方式又は管棚方式と比べて、ブライン蒸発管の容量及び長さを低減できるので、NH3ブラインの供給量を低減できると共に、魚倉の構成を低コスト化できる。
従来の二元冷凍装置では、例えば、400トン級の鮪延縄漁船に搭載する場合、約3,000kgのフロンR23を必要とし、そのため、30mもの容量の膨張タンクを必要とした。これに対し、本発明の二元冷凍装置を鮪延縄漁船に搭載した場合、フロンR23の使用量を50〜500kgに抑えることができ、そのため、膨張タンクの容量を0.5〜5.0mに低減できる。従って、前記鮪延縄冷凍漁船への膨張タンクの容量の抑制が可能になる。
本発明によれば、−60℃までの超低温域に冷却可能であると共に、自然冷媒で安価なNH3を用い、かつ高価で地球温暖化係数(GWP)が大きいフロンR23の使用量を大幅に低減できるので、低コスト化できると共に、温室効果に対する影響を抑制できる。また、特に低元側冷媒循環路に設けられる膨張タンクの容量を大幅に低減できるので、船舶への搭載可能になると共に、メンテナンス時にブライン熱交換器での油抜き作業を不要とする。
本発明の第1実施形態に係る二元冷凍装置の系統図である。 前記第1実施形態の魚倉の正面視断面図である。 本発明の第2実施形態に係る二元冷凍装置の系統図である。 従来の二段圧縮機を備えた冷凍装置の系統図である。 従来の二元冷凍装置の系統図である。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
(実施形態1)
本発明装置の第1実施形態を図1に基づいて説明する。本実施形態は、鮪延縄漁船に搭載した二元冷凍装置に係る。図1において、本実施形態の二元冷凍装置10Aは、高元側冷凍機20と、低元側冷凍機40と、ブライン循環路60及び61に設けられた機器とで構成されている。高元側冷凍機20は、NH3冷媒が循環する高元側冷媒循環路22に、高元側圧縮機24と、凝縮器26と、膨張弁28とが設けられている。低元側冷凍機40は、フロンR23が循環する低元側冷媒循環路42に、低元側圧縮機44と、膨張タンク46と、膨張弁50とが設けられている。
カスケードコンデンサ30は、膨張弁28の下流の高元側冷媒循環路22の部位と、低元側圧縮機44の下流の低元側冷媒循環路42の部位とに跨って設けられている。高元側圧縮機24から吐出した高圧のNH3冷媒は、凝縮器26で凝縮される。その後、NH3冷媒は、膨張弁28で減圧され、カスケードコンデンサ30で、低元側冷媒であるフロンR23から熱を吸収して蒸発し、その後、高元側圧縮機24に戻る。
ブライン循環路60には、NH3ブラインを循環する液ポンプ62及び低圧受液器64が設けられている。ブライン循環路60は、液ポンプ62の下流側で分岐路60a〜cに分岐している。分岐路60a〜cには夫々流量調整弁66a〜cが設けられ、流量調整弁66a〜cの下流側で夫々魚倉68a〜cに接続されている。低圧受液器64にはブライン循環路60とは別にブライン循環路61が接続されている。ブライン液化器52は、膨張弁50の下流の低元側冷媒循環路42の部位と、ブライン循環路61とに跨って設けられている。
低圧受液器64内のNH3ガスは、ブライン循環路61を通ってブライン液化器52に流入する。ブライン液化器52に流入したNH3ガスは、ブライン液化器52で冷却液化され、ブライン循環路61を通って低圧受液器64に戻る。
低元側圧縮機44から吐出した高圧のフロンR23は、カスケードコンデンサ30で、高元側冷媒であるNH3で冷却されて凝縮する。凝縮したフロンR23は、膨張弁50で減圧され、ブライン液化器52で、NH3ブラインと熱交換し、NH3ブラインを冷却すると共に、自身は蒸発する。蒸発したフロンR23は低元側圧縮機44に戻る。二元冷凍装置10Aの運転が停止した時、開閉弁48を開け、昇温して気化したフロンR23を膨張タンク46に収容し、フロンR23が高圧となるのを防止する。
ブライン液化器52で、フロンR23によって冷却され液化したNH3ブラインは、一旦低圧受液器64に貯留される。低圧受液器64に貯留したNH3ブライン液は、液ポンプ62によって魚倉68a〜cに送られる。NH3ブライン液は流量調整弁66a〜cを通り、各魚倉68a〜cに設けられたブライン蒸発管を流れ、該ブライン蒸発管で一部が蒸発し、該魚倉を冷却する。該魚倉を出た気液二相流のNH3ブラインは、低圧受液器64に戻る。
次に、魚倉68a〜cの構成を図2で説明する。図2において、魚倉68aは、甲板70の下側に配設され、断熱壁72を有し、この断熱壁72によって断熱空間部が規定されている。魚倉68aの内部に保冷室74が規定され、保冷室74の周囲には、冷風循環空間76が規定されている。保冷室74は、熱良導体金属(例えば、アルミニウム)からなる遮断壁体78で囲まれ、この遮断壁体78と断熱壁72との間に、冷風循環空間76が規定されている。
遮断壁体78の上壁側には、甲板70に開口した出入口80が突設形成されており、この出入口80は、冷風循環空間76とは遮断され、保冷室74に開口している。出入口80の上面には、開閉自在の密閉蓋82が取り付けられている。冷風循環空間76の一端側(図2において左側)には、他の部分より広いスペースが設けられ、この空間部76aに、冷風発生装置84が設けられている。冷風発生装置84は、空間部76aに設けられたケーシング84aと、ケーシング84aの内部に収納され、NH3ブライン循環路60に接続されたブライン蒸発管84bと、ケーシング84aの上部に設けられた送風機84cとで構成されている。
分岐路60aは、流量調整弁66aの下流側で、ブライン蒸発管84bに接続されている。漁獲されて凍結された鮪を出入口80から保冷室74に投入し、その後、密閉蓋82で出入口80を遮蔽する。ケーシング84aは上下面に開口を有し、空気流は下部開口から入り、冷却されて上部開口から出る。冷風発生装置84の運転によって、送風機84cが稼働し、冷風循環空間76を空気が上下方向に循環する。NH3ブライン液は、ブライン蒸発管84bで冷風循環空間76を循環する空気を冷却し、一部が気化したNH3ブラインの二相流は、分岐路60aを介してブライン循環路60に戻る。この冷却された空気で保冷室74は天井壁、側壁、床面から冷却される。(冷風発生装置84を備えた魚倉の詳細は特許文献2を参照)。
魚倉68b及び68cの断熱壁72、甲板70に開口した出入口80及び密閉蓋82の構成は、魚倉68aと同一である。魚倉68bでは、流量調整弁66bの下流側で、分岐路60bが、ブライン蒸発管としての多数のヘアピンコイル86に分岐している。各ヘアピンコイル86の入口には流量調整弁88が設けられている。ヘアピンコイル86は、魚倉68bの天井、床及び側壁に配設されている。NH3ブライン液は、ヘアピンコイル86で魚倉68bを冷却した後、合流管90に合流し、その後、分岐路60bを介してブライン循環路60に戻る。魚倉68aと同様に、ヘアピンコイル86で冷却される魚倉68bも漁獲されて凍結された鮪を保管する。
魚倉68cでは、ヘッダー92a及び92bが上下方向に設けられ、ヘッダー92a、92b間に、ブライン蒸発管としての多数の管棚(棚板とNH3ブラインが流れる裸管で構成されている。)94が水平方向に配置され、両ヘッダー間に接続されている。各管棚94には流量調整弁96が設けられている。管棚94には漁獲され内蔵等を処理された鮪を載置して凍結する。魚倉68cの上部空間にはヘアピンコイル100が配置され、ヘアピンコイル100はヘッダー92a、92bに接続されている。ヘアピンコイル100の入口には流量調整弁102が設けられている。
分岐路60cからヘッダー92aに流入したNH3ブライン液は、管棚94及びヘアピンコイル100を矢印方向に流れ、ここで一部が蒸発して魚倉68cを−60℃の温度に冷却する。気液二相流となったNH3ブラインは、ヘッダー92bで合流し、分岐路60cを介してブライン循環路60に戻る。
本実施形態の鮪延縄冷凍漁船10Aによれば、鮪を鮮度良く凍結及び冷凍保存できる−60℃の超低温域に魚倉68a〜cを冷却できると共に、高元側冷媒として自然冷媒であり、安価なNH3を用いることで、温室効果に対する影響をなくすと共に、低コストにできる。また、ブライン循環路60を設け、NH3ブラインで魚倉68a、68bを冷却することで、低元側冷媒として用いられるフロンR23の使用量を大幅に低減できる。これによって、膨張タンク46の容量を大幅に低減し、二元冷凍装置10Aを鮪延縄漁船に搭載できる大きさにすることができる。
例えば、400トン級鮪延縄漁船では、従来の二元冷凍装置では、約3,000kgのフロンR23を必要とし、30mの容量を有する膨張タンクが必要であった。これに対し、本実施形態では、フロンR23の使用量を50〜200kgに低減でき、これによって、膨張タンク46の容量を0.5〜5.0mに低減できる。また、膨張タンク46を46´のように複数で構成してもよい。これによって、個々の膨張タンクをさらに小型化できるので、膨張タンクを船内の複数の狭いスペースに分散配置できる。
また、ブライン循環路60には冷凍機油が混入しないので、入渠時に、魚倉68a〜cに設けられたブライン蒸発管(魚倉68aのブライン蒸発管84b、魚倉68bのヘアピンコイル86、及び魚倉68cの管棚94及びヘアピンコイル100)から冷凍機油を抜く作業が不要になる。さらに、魚倉68aで、冷風循環空間76に冷風発生装置84を設け、ブライン蒸発管84bを通る空気流を形成するようにしたので、魚倉68bのヘアピンコイル方式や魚倉68cの管棚方式と比べて、熱伝達効果を向上できる。そのため、魚倉68aに配設するブライン蒸発管84bの容量及び長さを大幅に低減できる。従って、冷風発生装置84をユニット状に形成できるので、低コスト化が可能になると共に、ブラインの使用量を低減できる。
(実施形態2)
次に、本発明装置の第2実施形態を図3により説明する。本実施形態の二元冷凍装置10Bは、前記第1実施形態の構成に加えて、高元側冷媒循環路22では、凝縮器26より下流のバイパス路104の分岐部の部位と、カスケードコンデンサ30より下流の高元側冷媒循環路22の部位とを、膨張弁28及びカスケードコンデンサ30を迂回して接続されたバイパス路104が設けられている。バイパス路104の分岐部には、NH3冷媒を高元側冷媒循環路22又は分岐循環路104に切り替え供給可能にする三方弁106が設けられている。
バイパス路104と、ブライン液化器52より上流のブライン循環路61とに跨って熱交換器108が設けられている。バイパス路104の熱交換器108より上流側部位には膨張弁110が設けられている。熱交換器108によって高元側冷媒とNH3ブラインとの間で熱交換を可能にしている。本実施形態のその他の構成は第1実施形態と同一である。
本実施形態では、魚倉68a〜cを−60℃まで冷却する必要がない時、例えば、鮪延縄漁船が魚倉68a〜cに餌を入れて漁場に向かう時は、魚倉68a〜cを−20℃〜−40℃程度に冷却すればよい。このとき、低元側冷凍機40の運転を停止し、三方弁106を切り替え、高元側冷媒をバイパス路104に供給する。これによって、熱交換器108で、高元側冷媒とNH3ブラインとを熱交換させ、高元側冷媒でNH3ブラインを冷却する。これによって、魚倉68a〜cを−20℃〜−40℃程度に冷却できる。
本実施形態によれば、前記第1実施形態で得られる作用効果に加えて、魚倉68a〜cを−20℃〜−40℃程度に冷却する場合、低元側冷凍機40を作動させる必要がないので、低コストで運転できる。なお、本実施形態では、バイパス路104の分岐部を、膨張弁28の上流側の高元側冷媒循環路22に設けているが、代わりに、膨張弁28とカスケードコンデンサ30との間の高元側冷媒循環路22に設けるようにしてもよい。
本発明によれば、−60℃の超低温域まで冷却可能で、船舶への搭載が可能なようにコンパクト化でき、特に低元側冷媒循環路に設けられる膨張タンクの容量を大幅に低減できるので、低コスト化した二元冷凍装置付き冷凍漁船を実現できる。
10A,10B、300 二元冷凍装置
20,310 高元側冷凍機
22,312 高元側冷媒循環路
24,314 高元側圧縮機
26,206,316 凝縮器
28、50、110、208a、208b、216、338a、338b 膨張弁
30,320 カスケードコンデンサ
40,330 低元側冷凍機
42,332 低元側冷媒循環路
44,334 低元側圧縮機
46、46´、336 膨張タンク
48 開閉弁
52 ブライン液化器
60、61 ブライン循環路
60a〜c 分岐路
62 液ポンプ
64 低圧受液器
66a〜c、88、96,102 流量調整弁
68a〜c、210a、20b、340a、340b 魚倉
70 甲板
72 断熱壁
74 保冷室
76 冷風循環空間
76a 空間部
78 遮断壁体(空気流形成手段)
78a 床面
80 出入口
82 密閉蓋
84 冷風発生装置
84a ケーシング
84b ブライン蒸発管
84c 送風機(空気流形成手段)
86,100 ヘアピンコイル
90 合流管
92a、92b ヘッダー
94 管棚
104 バイパス路
106 三方弁
108 熱交換器
200 冷凍装置
202 冷媒循環路
204 二段圧縮機
212 冷媒路
214 液冷却器

Claims (4)

  1. NH3からなる高元側冷媒を循環させる高元側冷媒循環路に設けられる高元側冷凍サイクル構成機器を有する高元側冷凍装置と、
    フロンR23からなる低元側冷媒を循環させる低元側冷媒循環路に夫々設けられる冷凍サイクル構成機器、及び運転停止時に気化したフロンR23を回収する膨張タンクを有する低元側冷凍装置と、
    前記高元側冷媒循環路と前記低元側冷媒循環路とに跨って設けられ、前記高元側冷媒と前記低元側冷媒との間で熱交換を許容するカスケードコンデンサと、NH3からなるブラインを循環させるブライン循環路とを備え、前記低元側冷凍装置の低元側冷媒で魚倉内を超低温域に冷却可能に構成した冷凍装置を備えた鮪延縄冷凍漁船において、
    前記ブライン循環路は、低圧受液器(64)とともに、NH3ブラインを循環する液ポンプ(62)及び流量調整弁を介して夫々魚倉(68a〜c)に接続されている一のブライン循環路と、
    前記低圧受液器(64)よりブライン液化器(52)を介して循環可能に構成するとともに、該ブライン液化器(52)は、低元側冷媒の膨張弁(50)下流の低元側冷媒循環路42の部位と、ブライン循環路(61)とに跨って設けられている他のブライン循環路(61)とを備えることを特徴とする鮪延縄冷凍漁船。
  2. 前記二元冷凍装置付き鮪延縄冷凍漁船が400トン級の鮪延縄漁船である場合、前記膨張タンクに搭載するフロンR23の使用量を0.5〜5.0m に抑えたことを特徴とする請求項1記載の鮪延縄冷凍漁船。
  3. 冷媒としてNH3を用いた高元側冷凍サイクル構成機器の一つである凝縮器よりも下流の前記高元側冷媒循環路の部位と、前記カスケードコンデンサよりも下流の前記高元側冷媒循環路の部位との間を前記カスケードコンデンサを迂回して接続可能なバイパス路と、
    前記バイパス路と前記ブライン循環路とに跨って設けられ、前記高元側冷媒と前記ブラインとの間で熱交換を許容する熱交換器とを更に備えて、NH3からなる高元側冷媒で、フロンR23からなる低元側冷媒の冷凍装置を介することなく、前記熱交換器を介してNH3ブラインを冷却することを特徴とする請求項1記載の鮪延縄冷凍漁船。
  4. 鮪延縄冷凍漁船は、該漁船が魚倉に餌を積んで漁場に向かう時は、魚倉を−NH3ブラインを利用して低元側冷凍装置を作動させずに前記魚倉を−20℃〜−40℃に冷却運転することを特徴とする請求項3に記載の鮪延縄冷凍漁船
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