JP5918550B2 - 牡蠣の風味低下防止方法 - Google Patents

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Description

本発明は、殻から採取後の牡蠣の風味の低下を防止する方法に関する。詳細には、牡蠣の保存中に発生する臭いと苦味を抑制する方法に関する。
魚介類は漁獲直後の新鮮なものはほとんどにおいがしないが、加工、流通、保存等の時間の経過と共に徐々に種々の臭いにおいがでてくる。従来このような臭気を抑制するために、魚介類の種類に応じて、各種の工夫がされている。特許文献1には、青魚の冷凍変性抑制、臭気抑制のために、糖質とポリフェノールを用いることが記載されている。特許文献2には、鰯の鮮度保持のためにエピガロカテキンガラードを用いて臭気が抑制されることが記載されている。
非特許文献1には、牡蠣の冷凍保存中の脂質の劣化を抑制するために、保存温度、抗酸化剤(BHT0.02%、天然型ビタミンE+dlアラニン0.02%)、脱酸素剤の効果を確認したことが報告されている。この文献によれば、色と風味を評価する官能検査の結果、低温保存と脱酸素剤は有効であったが、BHTはさほど有効ではなく、天然型ビタミンE+dlアラニンは牡蠣の風味に影響を及ぼしたと記載されている。また、非特許文献2にもマガキの脂質酸化防止のために抗酸化剤(BHT0.01%、α-トコフェロール0.1%、アスコルビン酸ナトリウム0.2%)を添加したことが記載されている。4℃と−25℃保存下におけるTBA値を測定したところ、BHAがもっとも有効であり、トコフェロールは−25℃保存においてのみ効果が認められ、アスコルビン酸ナトリウムは4℃では酸化を促進し、−25℃でも保存期間が長くなると促進作用が認められたことが記載されている。
特開2009−195148 特開平10−179092
日本水産学会誌、56(12)、p.2083-2091、1990.「LipidDeterioration and Its Inhibition of Japanese Oyster Crassostrea gigas duringFrozen Storage.」 Journal of National Fisheries University、45(1)、p.29-37、1996.「不飽和脂質の酸化と防止」
魚介類の流通、保管方法として−20℃前後での冷凍保存が一般的に用いられている。しかし、牡蠣を−20℃で冷凍保存すると、牡蠣本来のあっさりとした風味から徐々に苦味、えぐみ、生臭みが強くなることがある。
魚介類の中で、魚類の主な喫食部分は筋肉部分、あるいは、魚卵などであるが、貝類、特に牡蠣はこれらとは異なり喫食部の大部分を内臓が占める。内臓中には蛋白分解酵素、脂質分解酵素、脂質酸化酵素などの酵素が多く存在する。冷凍保存中にこれらの酵素反応が進行することでペプチド、脂肪酸が増加し、苦味、えぐみが強くなると考えられる。
また、牡蠣のにおいにはジメチルスルフィドなどの含硫化合物が関与しているという報告があるが、本発明者らは、冷凍期間中に強くなる生臭みの原因物質が脂質酸化反応で発生するアルデヒド、ケトン類であることを確認し、本発明を完成させた。
本発明は保存中に発生する牡蠣の臭気を抑制し、かつ、苦味を低減する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、保存中の牡蠣の風味の低下を防止する方法を検討するなか、特定の添加物に非常に効果があること、さらに特定の組み合わせで用いることにより、効果が増強されることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の(1)〜(6)の方法、及び(7)〜(15)の牡蠣、その冷凍品、加工食品、及び牡蠣の風味低下防止剤を要旨とする。
(1)ポリフェノール及び/又はアスコルビン酸又はその塩を含む溶液により処理することを特徴とする牡蠣の風味低下防止方法。
(2)ポリフェノール及び/又はアスコルビン酸又はその塩を含む溶液による処理が、溶液に浸漬する、溶液を噴霧する、溶液を塗布する、溶液を添加する、のいずれかである(1)の方法。
(3)ポリフェノール及び/又はアスコルビン酸又はその塩を含む溶液がさらに有機酸又はその塩を含む溶液である(1)又は(2)の方法。
(4)ポリフェノールがカテキンであることを特徴とする(1)ないし(3)いずれかの方法。
(5)有機酸がリンゴ酸、クエン酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸、アジピン酸、フマル酸、コハク酸のいずれかである(3)又は(4)の方法。
(6)溶液中のポリフェノールの濃度が0.01〜0.5重量%、アスコルビン酸塩としての濃度が0.1〜1.0重量%、有機酸塩としての濃度が0.3〜2.0重量%である(1)ないし(5)いずれかの方法。
(7)(1)ないし(6)いずれかの方法で処理した牡蠣。
(8)(1)ないし(6)いずれかの方法で処理した牡蠣の冷凍品。
(9)(7)又は(8)の牡蠣の加工食品。
(10)(7)又は(8)の牡蠣の加工食品の冷凍品。
(11)ポリフェノール及び/又はアスコルビン酸又はその塩を含むことを特徴とする牡蠣の風味低下防止剤。
(12)ポリフェノール及び/又はアスコルビン酸又はその塩を含む溶液がさらに有機酸又はその塩を含むである(11)の牡蠣の風味低下防止剤。
(13)ポリフェノールがカテキンである(11)又は(12)の牡蠣の風味低下防止剤。
(14)有機酸がリンゴ酸、クエン酸、乳酸のいずれかである請求項12又は13の方法。(15)ポリフェノールを0.01〜0.5重量%、アスコルビン酸塩を0.1〜1.0重量%、有機酸塩を0.3〜2.0重量%、含有する請求項11ないし14いずれかの牡蠣の風味低下防止剤。
本発明の方法により、殻から採取した後の牡蠣の冷蔵保存、冷凍保存中の風味の劣化、あるいはこれらの牡蠣を加工して製造したカキフライなどの加工食品の冷凍食品の保存中の風味の劣化などを抑制することができる。
本発明の対象となる牡蠣とは、ウグイスガイ目イタボガキ科、あるいは、カキ目カキ上科に属する貝の総称であり、具体的には、マガキ属に属するマガキ(Crassostrea gigas)、イワガキ(Crassostrea nippona)、スミノエガキ(Crassostrea ariakesis)など、イタボガキ属に属するイタボガキ(Ostrea denselamellosa)、ヨーロッパヒラガキ(Ostrea edulis)などである。
本発明において牡蠣の風味低下とは、牡蠣を生あるいは加熱後に冷凍又は冷蔵保存する場合において、徐々に発生する生臭い臭いや苦味であって、新鮮な牡蠣にはない臭いや苦味が発生することによる風味の低下である。
本発明者らは、この風味の低下をポリフェノール及び/又はアスコルビン酸又はその塩を含む溶液で生の牡蠣を処理することにより抑制することができることを見出した。
臭いの原因については、臭いのする牡蠣に含まれる揮発性成分をガスクロマトグラフィ−オルファクトメータを用いたスニッフィングにより、嗅ぎ分け、アミン類や含硫化合物ではなく、脂質の酸化により発生するアルデヒド、ケトン類であることを見出した。この知見に基づき、各種抗酸化剤の中から、ポリフェノール、特にカテキンが優れた効果を有することを見出した。また、アスコルビン酸も一定の効果を示した。トコフェロールは、牡蠣をミンチ状にして添加した場合には一定の効果を示したものの牡蠣を丸ごと浸漬した場合には効果がなかった。
苦味の原因は、牡蠣の内臓に含まれる酵素によりタンパク質が分解することにより発生すると考えられる。これは抗酸化剤だけでも一定抑制することができるが、有機酸又はその塩を併用することにより、十分に抑制することが可能となる。
本発明の対象となる牡蠣は牡蠣の剥き身である。殻剥き当日〜3日目までの新鮮な状態の原料を用いるのが好ましい。通常、殻から採取した剥き身は洗浄後、冷蔵又は冷凍保存される。本発明のポリフェノール及び/又はアスコルビン酸塩等を含む溶液による処理は、剥き身の洗浄後に行うのが好ましい。ポリフェノール及び/又はアスコルビン酸塩等を溶解し、その溶液に剥き身を浸漬し、剥き身に有効成分が浸透するよう冷蔵保存するのが好ましい。有効成分の添加方法は特に制限されないが、牡蠣内部の組織に有効成分が浸透しすることが必要である。具体的な例としては、水溶液、可溶化液、乳化液に浸漬するか、破砕した牡蠣に水溶液、粉体を混ぜ込む方法が挙げられる。浸漬時間は身の大きさにもよるが、通常、1時間以上浸漬させることで効果が安定する。
本発明の溶液には約2%の食塩水を用いるのが好ましい。牡蠣の浸透圧と同程度の溶液を用いることにより、牡蠣から水分を奪ったり、牡蠣が水を吸収するのを抑制することができる。
牡蠣に対する溶液の使用量は、牡蠣1重量部に対して溶液0.5重量部以上用いるのが好ましい。溶液がそれよりも少ないと牡蠣の個体間に溶液が行き渡らず、浸漬の効果が均等に現れない。
浸漬後の牡蠣は通常の工程で処理を行えばよい。冷凍する場合、浸漬溶液から取り出して、IQF凍結(バラ凍結)、ブロック凍結などとしてもよいし、浸漬溶液ごと冷凍してもよい。
本発明において、牡蠣の加工食品とは、牡蠣フライを代表とする牡蠣の調理品であって、牡蠣フライのほか、牡蠣を具材として用いた煮物、揚げ物、焼き物、グラタンなどである。
牡蠣フライなどの加工食品とする場合も、漬け込み後の牡蠣をそのまま、あるいは、冷凍保存後、解凍して用いることができる。牡蠣、特にマガキは秋から冬が旬であり、その時期に採取し、牡蠣フライなどの原料として冷凍保存し、通年利用されることが多い。採取後に本発明の処理を行っておくことにより、冷凍保存した牡蠣を牡蠣フライなどの加工食品の原料として用いた場合に、異味、異臭などの発生を抑制することができる。
牡蠣の保存に適する冷凍温度は−18℃以下である。
本発明で用いるポリフェノールの種類は特に制限されないが、水溶性の高いものが好ましい。使用可能なポリフェノールの具体例としては、カテキン(茶抽出物)、タンニン酸、柿タンニン、オリーブ種子抽出物、ブドウ抽出物、ブドウ種子抽出物、コーヒー豆抽出物、ローズマリー抽出物などが挙げられる。その中でも色、味の面からカテキン(茶抽出物)が最も好ましい。その他のものは、素材自身に色や味があるため、色や味が影響しない用途に用いる場合、あるいは、他の成分と併用して添加量を少なくすれば、利用可能である。
カテキンとしては茶カテキンとして市販されている茶抽出物などが利用できる。
本発明においてカテキンとは茶などに含まれる、総カテキンとその他ポリフェノールの総和の事である。また、総カテキンとして(+)−カテキン、(−)−エピカテキン、(−)−ガロカテキン、(−)−カテキンガレート、(−)−エピカテキンガレート、(−)−ガロカテキンガレート、(−)−エピガロカテキンガレート、(−)−エピガロカテキンとそれらの誘導体、立体異性体等の非重合カテキン及びそれらの重合体、その他ポリフェノールとしてテアフラビンモノガレートA、テアフラビンモノガレートB、テアフラビンジガレート、遊離型テアフラビンを挙げる事ができる。本発明においてこれら茶ポリフェノールは単独でも、二種以上の混合物でも使用する事ができる。なお、緑茶由来の茶ポリフェノールの主成分は(−)−エピガロカテキンガレートである。また、茶抽出物中の総カテキンを測定するには、特に限定するものではないが、高速液体クロマトグラフィー法等、公知の方法を使用する事ができる。
本発明で用いるアスコルビン酸塩は、アスコルビン酸のナトリウム塩、カリウム塩などが使用できる。アスコルビン酸やアスコルビン酸エステルなどを使用することもできるが、水溶性が高いほうが、牡蠣への浸透がよいので、塩が好ましい。
本発明で用いる有機酸又はその塩の種類は食用に用いることができるものであれば、特に制限されないが、具体例としては、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸、アジピン酸、フマル酸、コハク酸などのナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。リンゴ酸、クエン酸、乳酸、グルコン酸が特に好ましい。
上記の有効成分を浸漬溶液として用いる場合、ポリフェノール0.01〜0.5重量%、アスコルビン酸塩0.1〜1.0重量%、有機酸塩0.3〜2.0重量%程度の濃度の溶液として用いるのが好ましい。
以下、本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。実施例中、%と記載されている場合、重量%を意味する。
実施例で使用した成分は以下の製品である。
カテキン:サンフェノンBG-5(太陽化学株式会社製)
柿タンニン:精製柿タンニンH-1(岩本亀太郎商店製)
コーヒー豆抽出物:カフェノールP-100(富士化学工業株式会社製)
ローズマリー抽出物:RMキーパーSF(三菱化学フーズ株式会社製)
トコフェロール:イーミックスE-30(小川香料株式会社製)
アスコルビン酸ナトリウム製剤:L-アスコルビン酸ナトリウム(扶桑化学工業株式会社製)
リンゴ酸ナトリウム製剤:DL-リンゴ酸ナトリウム1/2水塩(扶桑化学工業株式会社製)
乳酸ナトリウム製剤:乳酸ソーダ60F(株式会社武蔵野化学研究所製)
クエン酸ナトリウム製剤:精製クエン酸ナトリウム(扶桑化学工業株式会社製)
牡蠣剥き身をミンチ状にし、各種の成分を表1に記載の濃度で添加し撹拌した。4℃で24時間冷蔵保存した各サンプルをパウチに入れ、沸騰水中で10分ボイルした。放冷後、臭い、味(牡蠣の苦味、添加物由来の異味)について官能評価した。表1中の官能検査の結果は、×:強く感じられる、△:やや感じられる、○:感じられないで表した。食塩のみ添加したものを比較例1とした。
結果を表1に示した。カテキン、タンニン、コーヒー抽出物、ローズマリー抽出物、トコフェロール、アスコルビン酸ナトリウムはいずれも生臭みを抑制したが、苦味も抑制したのは、カテキン、トコフェロール、アスコルビン酸ナトリウムであった。タンニン、コーヒー抽出物、ローズマリー抽出物、トコフェロールはそれら成分自体に味があり、それが牡蠣の味としては異味として感じられ、好ましくなかった。
Figure 0005918550
実施例1では牡蠣剥き身をミンチにして各種成分を作用させたが、実施例2では、牡蠣の身を丸ごと浸漬する方法によって処理した。実施例1で一定の効果を有した成分について、適宜組み合わせて効果を確認した。牡蠣剥き身を表2に示した成分の溶液に浸漬し(牡蠣の重量:溶液重量=2:1)、4℃で1時間放置後、−10℃で4週間冷凍保存した。その後、これらサンプルをパウチに入れ、沸騰水中で10分ボイルした。放冷後、臭い、味(牡蠣の苦味、添加物由来の異味)について実施例1と同様の基準で官能評価した。結果を表2に示す。
配合1では生臭いにおいが抑制されたが、やや苦味が感じられた。配合2では生臭み、苦味ともに強く感じられた。実施例3では生臭い臭いがやや感じられたが、苦味や異味は感じられなかった。
これらの結果より、牡蠣剥き身に浸漬処理により作用させる場合には、カテキン、アスコルビン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウムが好ましいことが確認された。カテキン、アスコルビン酸ナトリウムは主に生臭みを抑制し、リンゴ酸ナトリウムは苦味を抑制することが確認された。
Figure 0005918550
(カテキン最適濃度の確認)
牡蠣剥き身100gを表3に示す各種濃度の浸漬液50mlに漬け、4℃で1時間放置した。放置後、2%食塩水で1回すすぎ、急速凍結した。凍結後、−5℃で冷凍保存した。−5℃で3日間冷凍保存したサンプルをパウチに入れ、沸騰水中で10分ボイルした。放冷後、臭い、味(牡蠣の苦味、添加物由来の異味)、着色の程度について実施例1と同様の基準で官能評価した。−5℃で3日間の苛酷な条件での冷凍保存は、−20℃であれば、6ヶ月以上の冷凍保存に相当する。
結果を表3に示す。カテキン0.005重量%では生臭みや苦味が感じられた。また、1.0重量%ではカテキン由来の苦味や着色があり、食感も悪くなった。したがって、臭い、味、着色、食感を総合的に考慮すると0.01〜0.5%の濃度で用いるのが好ましい。
Figure 0005918550
(アスコルビン酸最適濃度の設定)
牡蠣剥き身100gを表4に示す各種濃度の浸漬液50mlに漬け、4℃で1時間放置した。放置後、2%食塩水で1回すすぎ、急速凍結した。凍結後、−5℃で冷凍保存した。−5℃で3日間冷凍保存したサンプルをパウチに入れ、沸騰水中で10分ボイルした。放冷後、臭い、味(牡蠣の苦味、添加物由来の異味)について実施例1と同様の基準で官能評価した。
結果を表4に示す。アスコルビン酸ナトリウム0.05重量%では生臭みや苦味が感じられた。5.0重量%では生臭みは弱くなったが、アスコルビン酸ナトリウム由来の酸味が感じられた。また、実用面を考慮すると2%以上の添加は現実的でない。したがって、0.1〜1%の濃度で用いるのが好ましい。
Figure 0005918550
(リンゴ酸ナトリウム最適濃度の設定)
牡蠣剥き身100gを表5に示す各種濃度の浸漬液50mlに漬け、4℃で1時間放置した。放置後、2%食塩水で1回すすぎ、急速凍結した。凍結後、−5℃で冷凍保存した。−5℃で3日間冷凍保存したサンプルをパウチに入れ、沸騰水中で10分ボイルした。放冷後、臭い、味(牡蠣の苦味、添加物由来の異味)について実施例1と同様の基準で官能評価した。
結果を表5に示す。リンゴ酸ナトリウム0.1重量%では生臭みや苦味が感じられた。0.3%以上の濃度域では生臭みや苦味が弱くなり好ましかったが、食品に添加する量としては0.3〜2%までが現実的であり、好ましい。
Figure 0005918550
カテキン、アスコルビン酸ナトリウム、及び有機酸の濃度や組み合わせを変えて効果を確認した。濃度は実施例2〜4で最適と判断された濃度を採用した。
牡蠣剥き身300gを表6に示す各種の浸漬液150mlに漬け、4℃で1時間放置した。放置後、2%食塩水で1回すすぎ、急速凍結した。凍結後、−10℃で4週間、冷凍保存した。−10℃で4週間の苛酷条件化による保存は、−20℃で9ヶ月間の保存に相当する。
−10℃で4週間冷凍保存した冷凍牡蠣に打粉、バッター、パン粉の衣付けし、170〜180℃にて5分間油ちょうし、牡蠣フライを作成した。放冷後、味・臭いについて官能評価した。表6の官能評価の結果は、×:強く感じられる、△:やや感じられる、○:ほとんど感じられない、◎:感じられない、で表した。
結果を表6に示す。カテキン、アスコルビン酸ナトリウム、有機酸塩はいずれも単独で添加した場合には効果は弱く、濃度を高くしてもほとんど強くならなかったが、配合7〜12に示すようにカテキン、アスコルビン酸ナトリウム、有機酸塩を組み合わせると生臭み抑制、苦味抑制効果が高くなった。その中でもカテキン、アスコルビン酸ナトリウム、有機酸塩の3種類を組み合わせた場合が味、臭いの両方で極めて良好であった。
Figure 0005918550
本発明の方法により処理した牡蠣は保存中の風味の低下が抑制されるので、生食用、牡蠣フライ等の素材として広く利用することができる。特に冷凍食品用のした処理として優れている。

Claims (11)

  1. カテキン及び、有機酸又は有機酸の塩を含む溶液により処理することを特徴とする牡蠣の剥き身の風味低下防止方法。但し、有機酸は、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、グルコン酸、コハク酸のいずれかである。
  2. カテキン及び、有機酸又は有機酸の塩を含む溶液による処理が、溶液に浸漬する、溶液を噴霧する、溶液を塗布する、溶液を添加する、のいずれかである請求項1の方法。
  3. カテキン及び、有機酸又は有機酸の塩を含む溶液がさらにアスコルビン酸又はその塩を含む溶液である請求項1又は2の方法。
  4. 溶液中のカテキンの濃度が0.01〜0.5重量%、有機酸塩としての濃度が0.3〜2.0重量%、アスコルビン酸を含む場合、アスコルビン酸塩としての濃度が0.1〜1.0重量%である請求項1ないしいずれかの方法。
  5. カテキン及び、有機酸又は有機酸の塩を含有する生の牡蠣の剥き身。但し、有機酸は、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、グルコン酸、コハク酸のいずれかである。
  6. 請求項5の生の牡蠣の剥き身の冷凍品。
  7. カテキン及び、有機酸又は有機酸の塩を含有する牡蠣フライ。但し、有機酸は、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、グルコン酸、コハク酸のいずれかである。
  8. 請求項の牡蠣フライの冷凍品。
  9. カテキン及び、有機酸又は有機酸の塩を含むことを特徴とする牡蠣の剥き身の風味低下防止剤。但し、有機酸は、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、グルコン酸、コハク酸のいずれかである。
  10. カテキン及び、有機酸又は有機酸の塩を含む溶液がさらにアスコルビン酸又はその塩を含む請求項の牡蠣の剥き身の風味低下防止剤。
  11. カテキンを0.01〜0.5重量%、有機酸塩を0.3〜2.0重量%、アスコルビン酸を含む場合、アスコルビン酸塩を0.1〜1.0重量%含有する請求項9又は10の牡蠣の剥き身の風味低下防止剤。
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