JP5916010B2 - シリコンからのホウ素除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池用のシリコンの原料を製造する際に必要とされる、シリコンからのホウ素除去方法に関するものである。
クリーンエネルギーの代表である太陽光発電の普及が進み、太陽電池の需要が急速に高まっている。太陽電池を構成する材料としては、主に結晶シリコンが用いられている。この場合の結晶シリコンは、一般に99.9999%以上の純度であることが求められ、結晶シリコン中に含まれるホウ素、リン等の不純物の除去を行って精製する必要がある。結晶シリコンを精製する従来の方法としては、シーメンス法などの気相反応法や、凝固精製法、真空精製法、酸化精製法、フラックス精製法、酸浸出法、NEDO溶融精製法などが挙げられるが、太陽電池用の結晶シリコンは主に、気相反応法で製造されている(非特許文献1)。しかし、太陽電池用シリコンを大量かつ安価に供給するうえでは、より低コストの製造法が求められている。
酸化精製法は、シリコン浴へ酸化ガスを供給してホウ素を揮発除去する方法である。プラズマを用いた酸化精製法によれば、結晶シリコン中のホウ素の濃度を10〜0.1[ppmw]まで低下させることができ、特にp型シリコンスクラップの高純度化に応用されている。ただし、この方法は、1500[℃]以上かつ数時間のプロセスを必要とするため、コストが嵩むことが課題とされている。
上述した精製方法とは別に、スラグを用いた精錬法も提案されている。この方法によれば、使用するスラグの組成を調整することにより、結晶シリコンに含まれるホウ素の濃度を低減することができる。例えば、特許文献1に記載される技術によれば、初期ホウ素濃度20[ppmw]から0.072[ppmw]までの低減が可能とされている。ただし、当該技術による結果は、溶融シリコンに対して、スラグの投入、反応、排出の一連の作業を10回行って得られたものである。これは、シリコンとスラグの間のホウ素の分配比(濃度比)が、一般には一桁程度であることによる。スラグによりホウ素を十分に低減するためには、大量のスラグの投入あるいは複数回のスラグの投入と排出が必要であるとされている。
一方、本発明者らは、シリコンとアルミニウムからなる溶媒(Si−Al溶媒)を用いた、低温凝固精製法を提案している(非特許文献1)。低温凝固精製法は、低い共晶温度を有する溶媒(例えばSi−Al溶媒)からシリコンを凝固析出させることにより、高い凝固偏析効果が得られることを利用した方法である。Si−Al溶媒を用いた低温凝固精製法は、シリコンを溶融合金化することにより、上述した気相反応法を用いる場合に比べて低い温度にて行うことができ、結果として、ホウ素の濃度を0.71〜1.90[ppmw]まで下げられることが確認されている(非特許文献1、2)。ただし、太陽電池用のシリコンの原料としては、含有されるホウ素の濃度は、安定して0.30[ppmw]以下であることが理想とされており、精製方法のさらなる改良が求められている。
森田一樹、 吉川健、 太陽エネルギー有効利用最前線、p.35−46 ISIJ International,Vol.49(2009),No.6
特開2007−210859号公報
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものであり、太陽電池に用いるシリコンの原料からホウ素を効率的に除去し、原料に含まれるホウ素の濃度を安定して0.30[ppmw]以下に抑えることを可能とする、シリコンからのホウ素除去方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係るシリコンからのホウ素除去方法は、ホウ素を含むシリコンからなる第一部材およびスズからなる第二部材を坩堝に収容し、該坩堝内において両者を加熱して溶融させ、所望の合金を作製する第一工程と、前記第一工程を経た坩堝内にスラグを加え、該スラグにより前記合金の表層部が覆われた状態として、該スラグと前記合金とを加熱して反応させ、該合金から該スラグへ前記ホウ素を移動させる第二工程と、前記第二工程後に、前記坩堝から前記スラグを取り除き、該坩堝内を合金のみとする第三工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の請求項に係るシリコンからのホウ素除去方法は、請求項1において、前記第二部材が、前記第一部材に対して、モル数で0.3〜3倍量となるように調合されることを特徴とする。
本発明の請求項に係るシリコンからのホウ素除去方法は、請求項1または2のいずれかにおいて、前記スラグとして、酸素が含まれた材料を用いることを特徴とする。
本発明の請求項に係るシリコンからのホウ素除去方法は、請求項1乃至のいずれか一項において、前記第一工程および前記第二工程が、大気圧下にて行われることを特徴とする。
本発明の請求項に係るシリコンからのホウ素除去方法は、請求項1乃至のいずれか一項において、前記第一工程および前記第二工程が、減圧下にて行われることを特徴とする。
本発明の請求項に係るシリコンからのホウ素除去方法は、請求項1乃至のいずれか一項において、前記第一工程および前記第二工程が、不活性ガスを含む雰囲気中にて行われることを特徴とする。
本発明の請求項に係るシリコンからのホウ素除去方法は、請求項において、前記合金の表層部を覆う前記スラグ上の空間内において、前記不活性ガスを流通させることを特徴とする。
本発明に係るシリコンからのホウ素除去方法によれば、第一工程において、合金を作製する際に低融点金属が添加されることにより、シリコン中に含まれるホウ素の反応活性を高めることができる。そして、第二工程において、合金の表面を覆うようにスラグを配して加熱することにより、反応活性の高められたホウ素が、スラグを構成する元素と反応してスラグ中に移動するため、シリコン中のホウ素濃度を安定して0.30[ppmw]以下に低減させることができる。
(a)〜(c)本発明に係るホウ素除去に必要な工程図および工程一覧表である。 スズのモル濃度とホウ素の蒸気圧との関係を示すグラフである。 スラグを構成する元素のモル濃度とホウ素の分配比との関係を示すグラフである。 スラグを構成する元素のモル濃度とホウ素の蒸気圧との関係を示すグラフである。 光学的塩基度とホウ酸容量との関係を示すグラフである。 スズのモル濃度とホウ素の分配比との関係を示すグラフである。
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態に係る、シリコンからのホウ素除去方法について、図1を用いて説明する。図1(a)〜(f)は、シリコン(Si)の原料からホウ素(B)を除去する際に行う、各工程処理について説明する図である。図1の工程一覧表は、図1(a)〜(f)を用いて説明する各工程処理中における、坩堝、シリコンまたはシリコン合金、スラグの温度、および坩堝周囲の雰囲気についてまとめたものである。
初めに、二つのステップからなる第一工程の処理を行う。まず、第一工程の一つ目のステップとして、図1(a)に示すように、ホウ素を含むシリコンからなる第一部材と、低融点金属からなる第二部材との混合物102aを、坩堝(反応容器)101に収容する。坩堝101は大気圧下に配され、坩堝101およびシリコンの混合物102aの温度は、いずれも室温であるとする。
坩堝101としては、例えば、アルミナ、シリカ、マグネシア、グラファイト製のものが用いられるが、コストを低く抑えることが可能な、グラファイト製のものが特に望ましい。第一部材(シリコン)は、ホウ素以外の不純物元素を含んでいてもよい。第二部材(低融点金属)は、第一部材に対してモル数で0.3〜3倍量となるように調合するのが望ましい。
第二部材としては、シリコン系の溶媒中においてホウ素の反応活性を高めるものであって、例えば、スズ、インジウム、ビスマス、鉛などが含まれる材料を用いる。スズ、インジウムは、ホウ素の溶解度が極めて小さく、シリコンと混和する性質を有するため、これらを含む材料は、シリコンからのホウ素除去を行う上で、特に好適である。
続いて、第一工程の二つ目のステップとして、図1(b)に示すように、坩堝101を加熱炉100内に配し、坩堝101を介して、坩堝101内に収容された混合物102aを加熱して溶融させ、所望の組成を有するシリコンの合金102bを作製する。混合物102aの加熱は、混合物102が溶融可能な温度、例えば1200〜1500[℃]の温度範囲にて行う。加熱炉100の内部は減圧下とする。
次に、加熱炉100内にて、二つのステップからなる第二工程の処理を行う。加熱炉100内の雰囲気は、第一工程を経た状態に保たれ、坩堝101および合金102bは、第一工程における溶融温度のままとなっている。まず、第二工程の一つ目のステップとして、図1(c)に示すように、加熱炉100内において、第一工程を経た坩堝101内にスラグ103を加え、合金102bの表層部が、スラグ103によって覆われた状態とする。
スラグ103aとしては、少なくとも酸素が含まれた材料であって、例えば、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化バリウム(BaO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)フッ化カルシウム(CaF)、酸化シリコン(SiO)酸化アルミニウム(Al)のうち、2種類以上を主成分として含む材料を用いる。
続いて、第二工程の二つ目のステップとして、図1(d)に示すように、スラグ103と合金102bとを、ともに加熱することにより、合金102b中に含まれるホウ素を、スラグ103を構成する元素と反応させ、合金102b中からスラグ103中へホウ素を移動させる。スラグ103と合金102bの加熱は、例えば1300〜1600[℃]の温度範囲にて行う。加熱炉100の内部は減圧下とする。
ここでの反応は、ルシャトリエの原理により、第一工程において反応活性が高められたホウ素が、スラグ中の酸素等の元素と化合しやすくなることを利用したものであり、例えば次の式(1)によって示される。
Figure 0005916010
式(1)は、スラグ103として、酸素の化合物(SiO)が含まれた材料を用いた場合の反応式の一例である。式(1)によれば、ホウ素(B)は、酸素との化合物(B)として除去される。
なお、スラグ103と合金102bとの接触面の面積が大きいほど、ホウ素を速やかにスラグ103側に移動させることができる。したがって、図2(b)においては、スラグ103が、合金102bの露出面102Aのみと接触する場合の例について示しているが、スラグ103は、合金102bの露出面102A以外の表面とも接触していることが望ましい。
また、合金102bを構成するシリコンは酸化しやすく、スラグ103への酸化損失を抑えるため、第一工程および第二工程の反応雰囲気中に酸素が混入するのを防ぐ必要がある。そこで、第一工程および第二工程は、真空排気するなどして坩堝101内を減圧下とし、そこに反応ガスを導入した雰囲気中にて行われることが望ましい。導入する反応ガスとしては、酸化性分子の水蒸気、二酸化炭素、酸素の除去を施した、アルゴンやヘリウムなどの不活性ガスを用いることが望ましい。
また、合金102bの表層部(露出面)を覆うスラグ上の空間内において、不活性ガスを流通させることにより、不活性ガスを、坩堝101外に存在する不純物元素が反応雰囲気中に進入する上での障壁として機能させることができる。すなわち、不活性ガスを利用することにより、坩堝101外の酸素が反応雰囲気中に混入するのを防ぐことができるため、第一工程および第二工程を大気圧下にて行うことが可能となる。
次に、第三工程として、図1(e)に示すように、第二工程を経た坩堝101からスラグ103を取り除き、図1(f)に示すように、坩堝101内を合金102cのみとする。第二工程を経た上でも、なお合金102c中にホウ素が残留している場合には、新たなスラグ103を用いて再び第二工程を行うことにより、残留するホウ素の量をさらに減らすことができる。第二工程を複数回行うことにより、合金102c中のホウ素濃度が所望の値となるように、調整することができる。なお、スラグ103を取り除く処理について、高温(溶融温度)に保持した状態にて行うことが困難な場合には、一端冷却した状態にて行ってもよい。また、図1(e)、(f)においては、第三工程の処理を、第二工程と同様に加熱炉内にて行う場合を例として示しているが、状況に応じて、加熱炉外にて行ってもよい。
本発明の第一実施形態に係るシリコンからのホウ素除去方法によれば、第一工程において、合金を作製する際に低融点金属が添加されることにより、シリコン中に含まれるホウ素の反応活性を高めることができる。そして、第二工程において、合金102bの表面を覆うようにスラグ103を配して加熱することにより、反応活性の高められたホウ素が、スラグ103を構成する元素と反応してスラグ103中に移動するため、シリコン中のホウ素濃度を安定して0.30[ppmw]以下に低減させることができる。
以下、第一実施形態に該当する実施例1、2を用いて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明が適用可能な実施例は、実施例1、2に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1について、説明する。まず、抵抗加熱炉を1400[℃]に加熱制御し、炉心管内にアルゴンガスを200[ml/min]のレートにて流通させた。
アルゴンガスを流通させて約20分以上経過した後に、第一工程として、第一部材と第二部材との混合物を収容した黒鉛の坩堝を炉内の所定位置に備え、アルゴン雰囲気下にて約10分以上保持した。ここで、坩堝に収容した第一部材は、ホウ素90[ppmw]を含む粒状のシリコン約1[g]からなる。また、坩堝に収容した第二部材は、粒状のスズ約9[g]からなる。そして、坩堝内に収容された第一部材と第二部材との混合物を、1400[℃]に加熱して溶融させ、モル濃度が30[mol%]のシリコンと70[mol%]のスズとが均質に混合されてなる合金を作製した。
次に、第二工程として、坩堝内にスラグを加え、第一工程において作製した合金の表層部が、このスラグによって覆われた状態とした。スラグとしては、酸化カルシウム(CaO)、酸化シリコン(SiO)、フッ化カルシウム(CaF)が、それぞれ36[%]、34[%]、30[%]のモル濃度で組成されたものを、10[g]用いた。この状態にて約3時間保持し、アルゴン雰囲気下において、坩堝内に収容された合金とスラグとを、1400[℃]に加熱して反応させた。
次に、第三工程として、坩堝から第二工程を経たスラグを取り除き、坩堝内には第二工程を経た合金のみが収容されている状態とした。なお、実施例1においては、炉内にて高温に保持した状態の坩堝から直接スラグを取り除くことが難しく、第二工程後に、坩堝を外部に搬出して常温まで冷却する処理を行った。
第三工程後の合金、スラグに含まれるホウ素の濃度について、ICP発光分光分析を行って定量した。その結果、合金中に含まれたホウ素の濃度は、0.3[ppmw]となっていた。すなわち、第三工程後の合金に含まれているホウ素の濃度は、第一部材中に含まれていたホウ素の濃度(初期濃度)90[ppmw]に対して、約300分の1まで低下していた。
一方のスラグに含まれたホウ素の濃度は、第三工程前には0[ppmw]であったのに対し、第三工程後には32[ppmw]となっていた。これらの結果から、第一、第二、第三工程を経ることによって、合金中のホウ素の大部分が取り除かれて、スラグ中に移動したことが分かった。スラグによるホウ素除去の指標として定義される分配比、すなわち、((スラグ中のホウ素濃度)/(合金中のホウ素濃度))は、約100の値を示した。
[実施例2]
実施例2について、説明する。まず、抵抗加熱炉を1400[℃]に加熱制御し、炉心管内にアルゴンガスを200[ml/min]のレートにて流通させた。
アルゴンガスを流通させて約20分以上経過した後に、第一工程として、第一部材と第二部材との混合物を収容した黒鉛の坩堝を炉内の所定位置に備え、アルゴン雰囲気下にて約10分以上保持した。ここで、坩堝に収容した第一部材は、ホウ素37[ppmw]を含む粒状のシリコン約2[g]からなる。また、坩堝に収容した第二部材は、粒状のスズ約1[g]からなる。そして、坩堝内に収容された第一部材と第二部材との混合物を、1400[℃]に加熱して溶融させ、モル濃度が70[mol%]のシリコンと30[mol%]のスズとが均質に混合されてなる合金を作製した。
次に、第二工程として、坩堝内にスラグを加え、第一工程において作製した合金の表層部が、このスラグによって覆われた状態とした。スラグとしては、酸化カルシウム(CaO)、酸化シリコン(SiO)、フッ化カルシウム(CaF)が、それぞれ36[%]、34[%]、30[%]のモル濃度で組成されたものを、9[g]用いた。この状態にて約20時間保持し、アルゴン雰囲気下において、坩堝内に収容された合金とスラグとの混合物を、1400[℃]に加熱して反応させた。
次に、第三工程として、坩堝から第二工程を経たスラグを取り除き、坩堝内には第二工程を経た合金のみが収容されている状態とした。なお、実施例2においては、炉内にて高温に保持した状態の坩堝から直接スラグを取り除くことが難しく、第二工程後に、坩堝を外部に搬出して常温まで冷却する処理を行った。
第三工程後の合金、スラグに含まれるホウ素の濃度について、ICP発光分光分析を行って定量した。その結果、合金中に含まれたホウ素の濃度は、0.3[ppmw]となっていた。すなわち、第三工程後の合金に含まれているホウ素の濃度は、第一部材中に含まれていたホウ素の濃度(初期濃度)37[ppmw]に対して、約100分の1まで低下していた。
一方のスラグに含まれたホウ素の濃度は、第三工程前には0[ppmw]であったのに対し、第三工程後には4.3[ppmw]となっていた。これらの結果から、第一、第二、第三工程を経ることによって、合金中のホウ素の大部分が取り除かれて、スラグ中に移動したことが分かった。スラグによるホウ素除去の指標として定義される分配比は、約15の値を示した。
以下、第一実施形態に関する実験例1〜3について、図2〜6を用いて説明する。
[実験例1]
合金に対するスズの含有量と、ホウ素の除去しやすさとの関係を調べるために行った、実験例1について図2を用いて説明する。図2は、合金に含まれたスズのモル濃度と、合金中に含まれたホウ素の蒸気圧との関係を示したグラフである。グラフの縦軸は、ホウ素の蒸気圧の対数log(P)を示し、グラフの横軸はスズのモル濃度を示している。
図2のグラフによれば、ホウ素の蒸気圧は、スズのモル濃度(添加量)に比例して、劇的に増加する傾向が見られる。また、合金の大部分をスズが占める場合(mol%Sn≒100)の蒸気圧は、合金の大部分をシリコンが占める場合(mol%Sn≒0)の蒸気圧に比べて、約3桁も大きくなり、合金中のホウ素の反応活性が高くなることが分かる。これらの結果に示されるように、合金中に含ませるスズの量を多くするほど、ホウ素の反応活性が高まるため、(1)式に従ってホウ素の酸化が促進され、合金からのホウ素の除去が容易になる。
[実験例2]
ホウ素の分配比((スラグ中のホウ素濃度)/(シリコン中のホウ素濃度))に対して、スラグの組成が与える影響を調べるために行った、実験例2について図3〜5を用いて説明する。
図3は、ホウ素の分配比(Partition ratio、L)と、スラグを構成する酸化カルシウムの酸化シリコンに対する組成比(スラグの組成比(CaO/SiO))との関係を示したグラフである。グラフの縦軸はホウ素の分配比Lを示し、グラフの横軸はスラグの組成比(CaO/SiO)を示している。
図3のグラフには、本発明者らによる実験の結果(四角形のプロットで表示)と、Teixeiraらによる実験(L.A.V.Teixeira and K.Morita,ISIJ International,49(2009)783−787参照)の結果(円形、三角形のプロットで表示)が示されている。
本発明者らの実験においては、ホウ素を含むサンプルとして、シリコン(Si)に対して30[mol%]のモル濃度で、スズ(Sn)を添加してなるシリコン合金が用いられた。また、このシリコン合金と反応させたスラグには、酸化カルシウム(CaO)、酸化シリコン(SiO)とともに、24[mol%]のモル濃度でフッ化カルシウム(CaF)が含まれていた。
一方、Teixeiraらの実験においては、ホウ素を含むサンプルとして単体のシリコンが用いられた。また、この単体のシリコンと反応させたスラグには、酸化カルシウム、酸化シリコンとともに、20[mol%]あるいは33[mol%]のモル濃度でフッ化カルシウムが含まれていた。
図3のグラフから、いずれの実験結果においても、スラグの組成比(CaO/SiO)が増加するほど、ホウ素の分配比も増加する傾向が見られた。ただし、増加率については、本発明者らの実験結果が、Teixeiraらによる何れの実験結果よりも大きく上回っていた。これは、スラグと反応させるシリコンに対してスズを添加したことにより、ホウ素の反応活性が高くなるとともにシリコンの反応活性が低くなったためと考えられる。
図4は、合金に含まれるホウ素の反応活性と、スラグを構成する酸化カルシウムの酸化シリコンに対する組成比(スラグの組成比(CaO/SiO))との関係を示したグラフである。グラフの縦軸は、酸化ホウ素(BO1.5)(BO1.5について、以下Xと表記する)の反応活性を示す活量係数γの対数を示し、グラフの横軸はスラグの組成比(CaO/SiO)を示している。
図4のグラフには、本発明者らによる実験の結果(四角形のプロットで表示)と、Teixeiraらによる実験(L.A.V.Teixeira and K.Morita,ISIJ International,49(2009)783−787参照)の結果(円形、三角形のプロットで表示)が示されている。
スラグの組成比(CaO/SiO)を大きくするにつれて、酸化ホウ素の活量係数γは、本発明者らの実験結果、Teixeiraらによる実験結果ともに、ほぼ一致した減少傾向を示している。スラグの組成比(CaO/SiO)を増加させることにより、酸化ホウ素の活性が下がるため、スラグ中に酸化ホウ素を安定して存在させることができ、合金あるいはシリコンからスラグにホウ素を移行させやすくなる。
図5は、光学的塩基度(optical basicity)とホウ酸容量(borate capacity)との関係を示したグラフである。グラフの縦軸は、ホウ酸容量CBOの対数を示し、グラフの横軸は光学的塩基度Λを示している。
図5のグラフには、本発明者らによる実験の結果(四角形のプロットで表示)と、Teixeiraらによる実験(L.A.V.Teixeira and K.Morita,ISIJ International,49(2009)783−787参照)の結果(円形、三角形のプロットで表示)が示されている。
光学的塩基度が大きくするにつれて、ホウ酸容量CBOは、本発明者らの実験結果、Teixeiraらによる実験結果ともに、ほぼ一致した増加傾向を示した。ホウ酸容量CBOは、スラグが、金属ホウ素からどの程度の量のホウ素を、酸化ホウ素として取り込むかの指標となる。したがって、ホウ酸容量CBOが大きいほど、ホウ素のスラグへの除去効果が高まることになる。すなわち、ホウ素を除去する上で、スラグとしては、光学的塩基度の大きいものを用いることが望ましい。
[実験例3]
合金に含まれるホウ素の分配比に対して、スズの含有量が与える影響を調べるために行った、実験例3について図6を用いて説明する。
図6は、合金中のスズのモル濃度とホウ素の分配比との関係を示したグラフである。グラフの縦軸はホウ素の分配比Lを示し、グラフの横軸はスズのモル濃度[mol%]を示している。
図6のグラフには、スズのモル濃度を3.5〜82.5[mol%]の範囲において変化させた際に生じる、ホウ素の分配比の変化の様子が示されている。なお、実験例3のスラグとしては、酸化シリコン(SiO)、酸化カルシウム(CaO)、フッ化カルシウム(CaF)を、それぞれ36[mol%]、40[mol%]、24[mol%]のモル濃度で含むものを用いた。
図6のグラフによれば、スズのモル濃度を増加させるにつれて、ホウ素の分配比Lの顕著に増加する傾向が見られた。スズのモル濃度を82.5[mol%]よりさらに大きくした場合には、ホウ素の分配比は160を超えた高い値になると推察される。この結果は、スズを添加していないシリコンをスラグと反応させた場合に得られる、ホウ素の分配比(1.0〜3.0)をはるかに上回っている。
また、この結果は、図2に示したように、ホウ素を含むシリコンに対して、スズを82.5[mol%]以上のモル濃度で加えることにより、シリコン中のホウ素の蒸気圧が2桁以上大きくなることに起因している。
本発明のシリコンからのホウ素除去方法は、太陽電池等に用いる高純度のシリコンを得るために、シリコンの原料からホウ素を除去する際に広く利用することが可能である。
101・・・坩堝、102a・・・混合物、102b・・・合金、103・・・スラグ。

Claims (7)

  1. ホウ素を含むシリコンからなる第一部材およびスズからなる第二部材を坩堝に収容し、該坩堝内において両者を加熱して溶融させ、所望の合金を作製する第一工程と、
    前記第一工程を経た坩堝内にスラグを加え、該スラグにより前記合金の表層部が覆われた状態として、該スラグと前記合金とを加熱して反応させ、該合金から該スラグへ前記ホウ素を移動させる第二工程と、
    前記第二工程後に、前記坩堝から前記スラグを取り除き、該坩堝内を合金のみとする第三工程と、を含むことを特徴とするシリコンからのホウ素除去方法。
  2. 前記第二部材が、前記第一部材に対して、モル数で0.3〜3倍量となるように調合されることを特徴とする請求項1に記載のシリコンからのホウ素除去方法。
  3. 前記スラグとして、酸素が含まれた材料を用いることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のシリコンからのホウ素除去方法。
  4. 前記第一工程および前記第二工程が、大気圧下にて行われることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のシリコンからのホウ素除去方法。
  5. 前記第一工程および前記第二工程が、減圧下にて行われることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のシリコンからのホウ素除去方法。
  6. 前記第一工程および前記第二工程が、不活性ガスを含む雰囲気中にて行われることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のシリコンからのホウ素除去方法。
  7. 前記合金の表層部を覆う前記スラグ上の空間内において、
    前記不活性ガスを流通させることを特徴とする請求項に記載のシリコンからのホウ素除去方法。
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