以下、この発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という)について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態1]
図1及び図2は、実施の形態1に係る画像形成装置を示すものである。図1はその画像形成装置の全体の概要を示し、図2はその画像形成装置における要部(作像装置など)を拡大して示している。
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。この画像形成装置1は、現像剤4を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的に被記録材の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置50と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。
この画像形成装置1は、例えば、記録用紙5に形成すべき原稿画像を入力する画像入力装置60を追加して装備させた場合にはカラー複写機として構成することができる。図中の1aは画像形成装置の筐体を示し、この筐体1aは支持構造部材、外装カバー等で形成されている。また、図中の一点鎖線は、筐体1a内において記録用紙5が搬送される主な搬送経路を示す。
<画像形成装置の要部の構成>
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像と特別色S1,S2の2種類のトナー像とをそれぞれ専用に形成する6つの作像装置10Y,10M,10C,10K,10S1,10S2で構成されている。この6つの作像装置10(S1,S2,Y,M,C,K)は、筐体1aの内部空間において1列に並べた状態となるよう配置されている。上記特別色(S1,S2)の現像剤4(S1,S2)としては、例えば、上記4色では表現が困難又は不可能であった色材等で構成されるものが使用され、具体的には、上記4色以外の色のトナー、上記4色のトナーと同一の色であって彩度が異なるトナー、光沢を向上させる透明トナー、点字用の発泡性トナー、蛍光色トナー等である。また、各作像装置10(S1,S2,Y,M,C,K)は、扱う現像剤の種類が異なる点を除けば、以下に示すようにほぼ共通した構成のものである。
各作像装置10(S1,S2,Y,M,C,K)は、図1や図2に示されるように、回転する感光ドラム11を備えており、この感光ドラム11の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光LBを照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光装置13と、その静電潜像を対応する色(S1,S2,Y,M,C,K)の現像剤4のトナーで現像してトナー像にする現像装置14(S1,S2,Y,M,C,K)と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写装置15と、一次転写後における感光ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を帯電させる清掃前帯電装置16と、その再帯電された付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置17、感光ドラム11の清掃後における像保持面を除電する除電器18等である。
感光ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光ドラム11は、図示しない回転駆動装置から動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するように支持されている。
帯電装置12は、感光ドラム11に接触しない状態で配置されるコロナ放電器等の非接触型の帯電装置で構成される。帯電装置12は、その放電部材に対して帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、その現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。
露光装置13は、画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成される光(矢付き点線)LBを、帯電された後の感光ドラム11の周面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置13には、潜像形成時になると画像形成装置1に任意の手段で入力される画像の情報(信号)が送信される。
現像装置14(S1,S2,Y,M,C,K)はいずれも、図2に示されるように、開口部と現像剤4の収容室が形成された筐体140の内部に、現像剤4を保持して感光ドラム11と向き合う2箇所の現像領域までそれぞれ搬送する2つの現像ロール141,142と、現像剤4を攪拌しながら現像ロール142を通過させるよう搬送する2つのスクリューオーガー等の攪拌搬送部材143,144と、現像ロール142に保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材145などを配置して構成されたものである。この現像装置14には、その現像ロール141,142と感光ドラム11の間に現像用電圧が図示しない電源装置から供給される。また、現像ロール141,142や攪拌搬送部材143,144は、図示しない回転駆動装置からの動力が伝達されて所要の方向に回転する。さらに、上記4色の現像剤4(Y,M,C,K)と前記2つの特別色の現像剤4(S1,S2)としては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。
一次転写装置15は、感光ドラム11の周面に接触して回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
ドラム清掃装置17は、図2に示されるように、一部が開口する容器状の本体170と、一次転写後の感光ドラム11の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板171と、清掃板171よりも感光ドラム11の回転方向上流側で感光ドラムの周面に接触して回転するよう配置される回転ブラシロール172と、清掃板171で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材173等で構成されている。清掃板171としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばブレード)が使用される。
中間転写装置20は、図1に示されるように、各作像装置10(S1,S2,Y,M,C,K)の下方の位置に存在するように配置される。この中間転写装置20は、感光ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22〜27と、ベルト支持ロール26に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置28とで主に構成されている。
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23,25,27は中間転写ベルト21の走行位置などを保持する従動ロールとして構成され、ベルト支持ロール24は張力付与ロールとして構成され、ベルト支持ロール26は二次転写のバックアップロールとして構成されている。
二次転写装置30は、図1に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール26に支持されている中間転写ベルト31の外周面部分である二次転写位置を通過しながら矢印Cで示す方向に回転する二次転写ベルト31と、二次転写ベルト31をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数の支持ロール32〜36とで構成されている。二次転写ベルト31としては、例えば前述した中間転写ベルト21とほぼ同じ構成で製作される無端状のベルトが使用される。ベルト支持ロール32は、ベルト支持ロール26に支持されている中間転写ベルト21の外周面に対して二次転写ベルト31を所要の圧力で押し当てるように配置される。ベルト支持ロール32は駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール36は張力付与ロールとして構成されている。また、二次転写装置30のベルト支持ロール32又は中間転写装置20の支持ロール26には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として供給される。
定着装置40は、記録用紙5の導入口及び排出口が形成された筐体41の内部に、矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるよう加熱手段によって加熱される定着ベルトを備えた加熱回転体42と、この加熱回転体42の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して従動回転するドラム形態の加圧用回転体43などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱回転体42と加圧用回転体43が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部になる。
給紙装置50は、中間転写装置20及び二次転写装置30の下方側の位置に存在するように配置される。この給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体51と、用紙収容体51から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置52とで主に構成されている。用紙収容体51は、例えば、筐体1aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられている。
給紙装置50と二次転写装置30との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙5を二次転写位置まで搬送する複数の用紙搬送ロール対53〜57や図示しない搬送ガイド材で構成される給紙搬送路が設けられている。給紙搬送路において二次転写位置の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対57は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。また、二次転写装置30と定着装置40との間には、二次転写装置30の二次転写ベルト31から送り出される二次転写後の記録用紙5を定着装置40まで搬送するためのベルト形態等の用紙搬送装置58が設けられている。さらに、筐体1aに形成される用紙の排出口に近い部分には、定着装置40から送り出される定着後の記録用紙5を筐体1aの外部に排出するための用紙排出ロール対59が設けられている。
なお、前述したカラー複写機として構成する場合において装備される画像入力装置60は、プリント対象の画像情報を有する原稿の画像を読み取る画像読取装置であり、例えば、図1に示されるように筐体1aの上部に配置される。この画像入力装置60は、読み込むべき画像の情報を有する原稿6を載せる透明ガラス板等からなる原稿載せ板(プラテンガラス)61と、原稿載せ板61上に置かれた原稿6を移動しながら照明する光源62と、光源62と共に移動しながら原稿6からの反射光を受光して所定の方向に反射させる反射ミラー63と、反射ミラー63に対して所定の速度でかつ所定の距離を移動する第1反射ミラー64及び第2反射ミラー65と、原稿6からの反射光を受光して読み取って電気信号に変換するCCD等からなる画像読取素子66と、画像読取素子66に反射光を結像させる結像レンズ67等で主に構成されている。図1中の符号68は、原稿載せ板61を塞ぐ開閉カバーである。
また、画像入力装置60で読み取られて入力される原稿の画像情報は、画像処理装置70により必要な画像処理が施される。まず、画像入力装置60では、読み取った原稿の画像情報を例えば赤(R)、緑(G)及び青(B)の3色の画像データ(例えば、各8bitのデータ)として画像処理装置70に送信する。一方、画像処理装置70は、画像入力装置60から送信された画像データについて、シェーディング補正、位置ずれ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠けし、色/移動編集等の予め定められた画像処理を施す。また、画像処理装置70では、画像処理した画像信号を前記4色(Y,M,C,K)の各画像信号にそれぞれ変更した後、露光装置13に送信する。また、画像処理装置40では、前記2つの特別色(S1,S2)のための画像信号も生成する。
<画像形成装置の全体及び要部の動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
ここでは、最初に、前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するときの画像形成動作を代表して説明する。
画像形成装置1は、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40等が始動する。
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、まず各感光ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光LBを照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
続いて、各現像装置14(Y,M,C,K)が、感光ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーを現像ロール141,142からそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わせるような状態で一次転写させる。
また、一次転写が終了した各作像装置10では、清掃前帯電装置16が一次転写後の感光ドラム11の表面に残留するトナー等の付着物を再帯電した後、ドラム清掃装置17が再帯電された付着物を掻き取るように除去して感光ドラム11の表面を清掃し、最後に、除電器18が清掃後の感光ドラム11の表面を除電する。これにより、各作像装置10は次の作像動作が可能な状態にされる。
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路に送り出す。給紙搬送路では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対57が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
二次転写位置においては、二次転写装置30が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した中間転写装置20では、ベルト清掃装置28が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21と二次転写ベルト31から剥離された後に搬送装置58により定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する加熱回転体42と加圧回転体43との間の接触部に二次転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を用紙5に定着させる。最後に、定着が終了した後の記録用紙5は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、用紙排出ロール対59により、例えば筐体100の外部に設置される図示しない排出収容部にむけて排出される。
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された記録用紙9が出力される。
次に、画像形成装置1において、例えば上記した通常の画像形成を行う際に、前記特別色S1,S2の現像剤で構成される特別色トナー像を併せて形成するときの動作について説明する。
この場合は、まず、作像装置10S1,10S2において前述した作像装置10(Y,M,C,K)の場合と同様の作像動作が行われ、これにより作像装置10S1,10S2における各感光ドラム11に特別色トナー像(S1,S2)がそれぞれ形成される。続いて、作像装置10S1,10S2で形成された各特別色トナー像は、前述した4色のトナー像に関する画像形成動作の場合と同様に、中間転写装置20の中間転写ベルト21に一次転写された後に、二次転写装置30により中間転写ベルト21から記録用紙9に(他の色のトナー像と併せて)二次転写される。最後に、特別色トナー像と他の色のトナー像が二次転写された記録用紙5は、定着装置40において定着処理がなされた後、筐体1aの外部に排出される。
以上の動作により、前述した4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像の全面又は一部に対して2つの特別色トナー像が重なり合って存在するように形成された記録用紙5が出力される。
この他、画像形成装置1が画像入力装置60を装備するカラー複写機である場合は、その基本的な画像形成動作が次のように行われる。
すなわち、この場合は、画像入力装置60に原稿6がセットされ、その画像形成動作(コピー)の要求の指令情報を受けると、画像入力装置60において原稿6の原稿画像が読み取られた後、その読み取られた原稿画像の情報が画像処理装置70において前述したような画像処理を施されて画像の信号として生成され、しかる後、その画像の信号が各作像装置10(S1,S2,Y,M,C,K)における露光装置13に送信される。これにより、各作像装置10では、その原稿6の画像情報に基づいた静電潜像の形成とトナー像の形成がそれぞれ行われる。それ以後は、前述した画像形成動作(プリント)の場合と同様の動作が行われ、最終的に、そのトナー像からなる画像が記録用紙5に形成されて出力される。
<感光ドラムの具体的な構成>
ところで、この実施の形態に係る画像形成装置では、感光ドラム11の接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に形成される感光材料からなる光導電性層(感光層)として、末端基の少なくとも一部が水酸基である化合物を脱水縮合反応させることによって得られる表面層を有する感光層が用いられている。
上記感光ドラム11は、図3に示すように、アルミニウム等の金属を含む導電性を有する材料によって円筒形状に形成された基体111と、基体111の表面に積層された帯電で発生するカウンター電荷の注入を阻止する下引層112と、光電変換によって正極性及び負極性の電荷を発生する電荷発生層113と、電荷発生層113で発生した正極性及び負極性の電荷のうち、正極性の電荷を輸送し、表面に帯電された負極性の電荷を中和することで静電潜像を形成する電荷輸送層114と、電荷輸送層114と同様に正極性の電荷を輸送し、表面に帯電された負極性の電荷を中和することで静電潜像を形成するとともに、有機感光体層の表面を保護する電荷輸送性の表面層としての表面保護層115とから構成されている。
このような構造を有する感光ドラム11は、例えば、次のようにして製造される。
・下引層112
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100重量部をトルエン500重量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603:信越化学社製)1.25重量部を添加し、2時間混合した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤にて酸化亜鉛に表面処理を施した。
前記表面処理を施した酸化亜鉛100部を500部のテトラヒロドフランと攪拌混合し、アリザリン1部を50部のテトラヒロドフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行いアリザリン付与亜鉛顔料を得た。
このアリザリン付与亜鉛顔料60部と硬化剤ブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5部とブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15部をメチルエチルケトン85部に溶解した溶液38部と、メチルエチルケトン25部とを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)40部を添加し、170℃、40分の乾燥硬化を行い、下引層用塗布液を得た。この下引層用塗布液を浸漬塗布法にて直径84mm、長さ347mm、肉厚1mmのアルミニウム基材111を浸漬塗布し、厚さ21μmの下引層112を得た。
・電荷発生層113
次いで、電荷発生物質としてX線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°、28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニン結晶1部を、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)1部とともに酢酸ブチル100部を加え、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散させて、電荷発生層用塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を前記下引層112の表面に浸漬塗布し、100℃にて10分間加熱乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層113を得た。
・電荷輸送層114
下記式で示される電荷輸送材料(第1の電荷輸送材料)2部、下記構造式で示される高分子化合物(粘度平均分子量:39,000)3部を、テトラヒドロフラン10部およびトルエン5部に溶解して電荷輸送層用塗布液を得た。この電荷輸送層用塗布液を前記電荷発生層113表面に浸漬塗布し、135℃にて35分加熱乾燥して、膜厚22μmの電荷輸送層114を形成し、この感光体を下地感光体とした。
・表面保護層115
4フッ化エチレン樹脂粒子としてルブロンL−2(ダイキン工業社製)4部、および下記構造式2で表わされる繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体(重量平均分子量50,000。l:m=1:1、s=1、n=60)0.2部を、シクロペンタノン16部に十分に攪拌混合して、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を作成した。
次に、下記の構造式Aの電荷輸送材料:94部、ベンゾグアナミン樹脂1部をシクロペンタノン220部に加えて、十分に溶解混合した後、前記4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を加えて攪拌混合し、微細な流路をもつ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興業製、YSNM−1500AR)を用いて700kgf/cm
2まで昇圧しての分散処理を30回繰返した。その後、ジメチルポリシロキサン(グラノール450、共栄化学社製)を0.9部、NACURE5225(キングインダストリー社製)を0.1部加え、表面保護層形成用塗布液を調製した。この表面保護層形成用塗布液を浸漬塗布法で、前述の下地感光体の上に塗布し155℃で40分乾燥し、膜厚6μmの表面保護層115を形成し、この感光体を感光体Aとした。
このようにして製造される感光体は、表面保護層115として構造式Aの電荷輸送材料を含有しており、末端の少なくとも一部がOH基(水酸基)である電荷輸送材料を、ジメチルポリシロキサンを用いて脱水縮合反応させることによって、図4に示すように、表面保護層115を得ている。
そのため、上記構造式Aの電荷輸送材料のOH基(水酸基)は、すべてが脱水縮合反応に寄与するわけではなく、構造式Aの電荷輸送材料の一部のOH基(水酸基)は、図4に示すように、脱水縮合反応に寄与せずに、そのまま表面保護層115中に残ることとなる。
<トナーの具体的な構成>
一方、この実施の形態に係る画像形成装置で用いられる現像剤4としてのトナーは、例えば、次のようにして製造したものが用いられる。
トナーは、凝集工程を2段階にした湿式トナー作成方法によって作成した。
トナーの構成材料の分散粒子の分散径は、母体凝集に用いる場合も、追加粒子に用いる場合も1ミクロン以下であることが望ましく、それ以上である場合には最終的に生成するトナーの粒径の分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能低下や信頼性低下の原因となりやすい。
追加する粒子分散液の量は、含まれる粒子の体積分率に依存し、追加粒子の量として最終的に生成する体積で凝集粒子の50%以内であることが望ましい。
それ以上である場合は、母体粒子への凝集ではなく、新たに擬似粒子が生成することにより組成の分布や粒径の分布が著しくなり、所望の性能が得難くなる。
また、粒子の追加を段階的に分割して行ったり、徐々に連続的に行うことにより、新たな微小な凝集粒子の発生を抑制し、粒度分布をシャープにすることができる。
さらに、添加の段階毎に母体凝集粒子または追加粒子のガラス転移温度以下の範囲で温度を上昇させることにより、遊離粒子の発生を抑制することができる。
本実施の形態に使用するトナー用樹脂として用いられる熱可塑性結着樹脂となる重合体の例としては、
スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン樹脂、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類、アクリルニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類などの単量体などの重合体またはこれらを2種以上組み合わせて得られる共重合体またはこれらの混合物、さらにはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、あるいはこれらと前記ビニル系樹脂との混合物やこれらの共存下でビニル系単量体を重合する際に得られるグラフト重合体等を挙げることができる。
離型剤の例としては、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量オレフィン類、
加熱により軟化点を有するシリコーン類、オイレイ酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用できる。
着色剤については、種々の顔料、染料などを1種もしくは複数種類を併せて使用することができる。
以下に、この実施の形態で使用したトナーの作製方法について説明する。
樹脂分散液1の作成
スチレン 370g
nブチルアクリレート 30g
アクリル酸 6g
ドデカンチオール 24g
4臭化炭素 4g
以上を混合溶解しものを非イオン系界面活性剤ノニポール400 6g、アニオン性界面活性剤ネオゲンSC10gをイオン交換水550gに溶解したものにフラスコ中で分散、乳化し10分ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム4gを溶解したイオン交換水50gを投入し、窒素置換をおこなった。そののちフラスコを攪拌しながらオイルバスで内容物が70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。
これにより、中心径150nm、ガラス転移点59℃、Mw12000のアニオン性樹脂分散液を得た。
樹脂分散液2の作成
スチレン 280g
nブチルアクリレート 120g
アクリル酸 8g
以上を混合溶解しものを非イオン系界面活性剤ノニポール400 6g、アニオン性界面活性剤ネオゲンSC12gをイオン交換水550gに溶解したものにフラスコ中で分散、乳化し10分ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム3gを溶解したイオン交換水50gを投入し、窒素置換をおこなった。そののちフラスコを攪拌しながらオイルバスで内容物が70℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。
これにより、中心径105nm、ガラス転移点53℃、Mw550000のアニオン性樹脂分散液を得た。
顔料分散液の作成
カーボンブラック モーガルL(キャボット)50g
非イオン系界面活性剤ノニポール400 5g
イオン交換水 200g
以上を混合溶解し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)により10分間分散し、中心粒子径250nmのカーボンブラック分散液を得た。
離型剤分散液の作成
パラフィンワックスHNP0190(融点85℃ 日本蜜蝋)50g
カチオ系界面活性剤サニゾールB50(花王) 5g
イオン交換水 200g
以上を95℃に加熱して、IKAウルトラタラックスT50にて分散後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、中心粒子径550nmのワックス分散液を得た。
凝集粒子の作成
樹脂分散液1 120g
樹脂分散液2 80g
顔料分散液 30g
離型剤分散液 40g
サニゾールB50 1.5g
以上を丸型ステンレス製フラスコ中でウルトラタラックスT50で混合分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら48℃まで加熱した。48℃で30分保持した後、光学顕微鏡にて観察すると約5ミクロンの凝集粒子が生成していることが確認された。ここに樹脂分散液1を緩やかに60g追加し、さらに加熱用オイルバスの温度を上げて50℃で1時間保持した。光学顕微鏡にて観察すると約5.7ミクロンの凝集粒子が生成していることが確認された。
その後、ここにネオゲンSC3gを追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら105℃まで加熱し、3時間保持した。
冷却後、ろ過し、イオン交換水で十分洗浄後、コールターカウンターで粒径を測定すると、5.6ミクロンであった。
上記凝集微粒子100重量部に対して平均粒径12nmのシリカ粒子を0.5重量部および平均粒径40nmのシリカ粒子を1.0重量部ヘンシェルミキサーにて混合してトナー1を調製した。トナー1に帯電制御剤である無機粒子を外添し、ポリメチルメタクリレートをコートした平均粒径50ミクロンのフェライトキャリアと混合することにより現像剤Aを得た。
また、上記凝集微粒子100重量部に対して平均粒径12nmのシリカ粒子を0.5重量部および平均粒径40nmのシリカ粒子を1.0重量部、PTFE粒子(ルブロンL−2)0.3重量部をヘンシェルミキサーにて混合してトナー2を調製した。トナー2に帯電制御剤である無機粒子を外添し、ポリメチルメタクリレートをコートした平均粒径50ミクロンのフェライトキャリアと混合することにより現像剤Bを得た。
ところで、本発明者の研究によれば、上記の如く構成される感光ドラム11と、上記の如く構成されるトナーを用いた画像形成装置において画像を形成した場合に、図5に示すように、例えば、記録用紙5上に中間調の一様な濃度のベタ画像を形成すると、画像の一部5aの濃度が帯状に薄くなる画像欠陥が生じる場合があることが判った。
この画像の一部が帯状に薄くなる画像欠陥は、次のようなメカニズムによって発生すると考えられる。
上記画像形成装置で用いられるトナーは、上述したように、トナーの構成材料をイオン交換水中に分散させて微粒子とした後に微粒子を凝集させた凝集粒子を元に作成される。そのため、製品として製造されたトナー中には、極微量であるものの、製造工程で用いられた水分(H2O)が残留する場合がある。
一方、上記画像形成装置で用いられる感光ドラム11は、表面保護層115として末端の少なくとも一部がOH基である化合物を脱水縮合反応させることによって得られる表面層を用いている。しかし、末端の少なくとも一部がOH基である化合物のすべてのOH基が脱水縮合反応に寄与する訳ではなく、図4に示すように、化合物のOH基の一部が未反応のまま残留することとなる。
すると、上記画像形成装置では、感光ドラム11の表面にトナーが付着したままの状態である程度の時間にわたって放置されると、図4に示すように、トナー中に極微量に残留する場合がある水分(H2O)が、感光ドラム11の表面保護層115を構成する化合物の残留したOH基と水素結合により反応し、水素結合による双極子80が形成される場合がある。
このように、上記画像形成装置において、感光ドラム11の表面にトナーが付着したままの状態である程度の時間にわたって放置される箇所としては、図2に示すように、感光ドラム11の表面に残留したトナーを清掃するドラム清掃装置17の清掃板171(クリーニングブレード)のエッジ部分が挙げられる。上記ドラム清掃装置17の内部は、回収したトナーが外部に漏れるのを防止するために、ドラム清掃装置17の感光ドラム11の回転方向上流側の端部に位置する間隙は、シール部材175によって密閉されているとともに、ドラム清掃装置17の感光ドラム11の回転方向下流側の端部に位置する間隙は、クリーニングブレード171によって密閉されており、密閉された空間となっている。
そのため、上記画像形成装置では、特に、画像密度の高い画像を連続して形成した後に、画像形成動作の休止時間が長時間続く場合などに、感光ドラム11の表面にトナーが付着したままの状態である程度の時間にわたって放置される状態となる。その結果、上述したように、トナー中に極微量に残留する場合がある水分(H2O)が、図4に示すように、感光ドラム11の表面保護層115を構成する化合物の残留したOH基と水素結合により反応し、水素結合による双極子80が形成され易い。ただし、画像密度の高い画像を連続して形成した後に、画像形成動作の休止時間が長時間続く場合は、例示であって、これに限定されるものではない。
このように、上記画像形成装置では、感光ドラム11の表面保護層115に水素結合による双極子80が形成されると、長時間休止後の最初の画像形成時などに、感光ドラム11の表面を帯電装置12によって一様な負極性の電位に帯電すると、図6に示すように、表面保護層中115の水素結合による双極子80が一次帯電による電界によって分極する。
すると、感光ドラム11の表面は、図7に示すように、一次帯電後に画像露光が施されると、画像露光によって電荷が移動する電荷輸送層114及び表面保護層115の作用によって、感光ドラム11表面の画像露光部は、電荷が移動して電位が所謂露光部で電位VLまで低下する。しかし、感光ドラム11の表面保護層115に水素結合による双極子80が存在すると、画像露光部の電荷が移動しようとしても、水素結合による双極子80の分だけ感光ドラム11の表面には、図6に示すように、負極性の電荷81が残留してしまい、予め定められた露光部電位VLまで電位が低下せず、図7に示すように、予め定められた露光部電位VLよりも低いVL’までしか電位が低下しない領域82(図6参照)が存在することになる。
そのため、一様な濃度の中間調画像などを現像すると、図5に示すように、ドラム清掃装置17のシール部材175と清掃板171との間の長さに対応した領域に、感光ドラム11の軸方向に沿って帯状に濃度が低下した画像欠陥5aが発生する場合があることが、本発明者の研究によって明らかとなった。
<強制排出動作実行手段の構成>
そこで、この実施の形態では、画像形成動作終了直後であって予め定められた条件を満たすときに、前記清掃手段で清掃した転写残トナーを強制的に排出する強制排出動作を実行する強制排出動作実行手段を備えている。
図8は上記の如く構成される画像形成装置を制御する制御装置を示すブロック図である。
図8において、符号90は画像形成装置の動作を制御する制御手段及び強制排出動作実行手段としてのCPUを示すものであり、このCPU90は、ROM91に記憶された制御プログラムやRAM92に記憶された実施条件等のデータに基づいて、画像形成動作を制御するとともに、画像形成動作終了直後であって予め定められた条件を満たすか否かを判別し、画像形成動作終了直後であって予め定められた条件を満たしたときに、ドラム清掃装置17の内部に回収した転写残トナーを強制的に外部に排出する強制排出動作を実行する。
上記ドラム清掃装置17は、図2に示すように、回転ブラシロール172の表面に固形のステアリン酸亜鉛(ZnSt)等からなる潤滑剤174が接触するように配置されており、回転ブラシロール172の回転に伴って潤滑剤174が徐々に削られて感光ドラム11の表面へと供給される。なお、図2中、符号176は送出部材173を回転駆動することにより、ドラム清掃装置17の本体170内に回収された転写残トナーをドラム清掃装置17の外部に排出する駆動モーターを示している。この駆動モーター176は、他の部材を駆動するモーターと兼用されるものであっても良い。
93はCPU90からの信号に基づいてドラム清掃装置17の送出部材173を回転駆動する駆動モーター176の回転速度を変化させることが可能なモーター駆動回路を示しており、94はCPU90からの信号に基づいて回転ブラシロール172にクリーニングバイアス電圧を印加する高圧電源回路を示している。
さらに、上記CPU90は、ドラム清掃装置17によって清掃された転写残トナーの量を算出する。CPU90は、例えば、画像形成装置1の電源投入時などの基準となる時点から、作像装置10において感光ドラム11上に形成された各画像のエリアカバレッジAC(%)と、記録用紙5のプリント枚数PVと、感光ドラム11の表面の単位面積当たりのトナー像量(DMA)と、感光ドラム11から中間転写ベルト21への転写効率(例えば、約90%)に基づいて、次の式に基づいてドラム清掃装置17によって清掃された転写残トナーの総量を演算する。ここで、エリアカバレッジAC(%)は、例えば、A4サイズの記録用紙5の全体の何%の面積を対応する色のトナー像が覆っていたかを示す値である。
転写残トナーの総量={Σ(AC×PV)×DMA×(1−転写効率)}
尚、Σはプリントした記録用紙5の1枚目から最後のN枚目まで求められる。
また、ドラム清掃装置17からは、送出部材173によって回収トナーが排出されるため、送出部材173による単位時間あたりの排出量である排出RATEは既知の値である。
したがって、CPU90では、ドラム清掃装置17の転写残トナーの総量を、排出RATEで除算することにより、ドラム清掃装置17内に回収されたトナーをすべて外部に強制排出するために必要とする時間が求められる。
ただし、感光ドラム11上に形成されるトナー像としては、通常の画像以外に、非画像領域に形成されるトナーバンド、画質や画像濃度を調整するためのパッチと呼ばれるトナー像など種々のものが存在する。
したがって、CPU90は、通常の画像以外に、これらのトナーバンド、画質や画像濃度を調整するためのパッチと呼ばれるトナー像などの量をも考慮して、ドラム清掃装置17の転写残トナーの総量を求めるのが望ましい。
なお、上記トナーバンドは、中間転写ベルト21上に一次転写されたり、中間転写ベルト21上に転写されることなくそのままドラム清掃装置17によって回収される場合などがあり、CPU90は、一次転写装置15に供給される一次転写バイアス電圧又は電流をモニターしながら、転写残トナーの総量を演算する。
<強制排出動作実行手段の動作>
CPU90は、基本的に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像と特別色S1、S2の2種類のトナー像とをそれぞれ専用に形成する6つの作像装置10Y,10M,10C,10K,10S1,10S2で作像動作が実行されたときのジョブエンド(終了直後)に強制排出動作を実行する。
この強制排出動作は、例えば、一次転写ロール15及び中間転写ベルト21を感光ドラム11の表面から離間させた状態で実行されるが、必ずしも一次転写ロール15及び中間転写ベルト21を感光ドラム11の表面から離間させずに実行しても良い。強制排出動作は、図8に示すように、モーター駆動回路93を介してドラム清掃装置17のスクリューオーガー等の送出部材173の回転速度を、通常の清掃時よりも例えば、1.5〜2倍程度速い測度に切り替えて実行される。また、回転ブラシロール172に高圧電源回路94を介してAC1Kv程度の交流電圧を印加することにより、回転ブラシロール172に付着したプラス帯電及びマイナス帯電のトナーを静電的な反発力かつ物理的な遠心力によって効果的に除去することができる。そのため、回転ブラシロール172に付着したトナーが画像形成装置の停止時に感光ドラム11に影響を与えるのを防止乃至抑制することができる。なお、回転ブラシロール172の回転時間は、後述するように、ドラム清掃装置17の転写残トナーの総量を考慮して決定されるが、予め定められた値に設定しても良い。
また、強制排出動作には、図2に示すように、回転ブラシロール172を介して感光ドラム11の表面に潤滑剤174の粉末を塗布することによって、感光ドラム11の表面保護層115が水分の影響を受けて双極子分極が発生するのを抑制する効果も期待される。
CPU90は、次の式に基づいて、ドラム清掃装置17によって清掃された転写残トナーの総量を演算し、ドラム清掃装置17の転写残トナーの総量を、排出RATEで除算することで決定された時間だけ、ドラム清掃装置17のスクリューオーガー等の送出部材173を強制的に駆動する。
転写残トナーの総量={Σ(AC×PV)×DMA×(1−転写効率)}
さらに、CPU90は、強制排出動作を実行中に、プリントジョブ信号が入力された場合には、強制排出動作を直ちに中止して、プリントジョブを開始する。そして、プリントジョブが終了した直後に、それ以前の残りの強制排出動作を実行するとともに、プリントジョブによって新たに発生した回収トナーを強制的に外部に排出する。
また、CPU90は、画像形成装置1が一定時間使用されないため、省電力のため待機モードに移行する場合や、画像形成装置1の電源がオフ操作された場合には、強制排出動作を実行した後に、待機モードへ移行したり、画像形成装置1の電源が最終的にオフされる。
[実施の形態2]
図9は、実施の形態2に係る画像形成装置を示すものである。
<強制排出動作実行手段の構成及び動作>
この実施の形態2に係る画像形成装置では、図9に示すように、画像形成装置本体1内の少なくとも湿度(この実施の形態では温度及び湿度)を検出する環境センサー95を備えている。
CPU90は、環境センサー95によって画像形成装置本体1内の湿度(相対湿度)を常時モニターしており、環境センサー95によって検出された湿度が湿度閾値(例えば、70%)を超えているか否かを判別する。
CPU90は、環境センサー95によって検出された湿度が湿度閾値を超えていると判別した場合、ドラム清掃装置17によって実行する強制排出動作の実行時間を、上述した式に基づいて演算された時間よりも長い時間だけ、例えば、環境センサー95によって検出された湿度が70%を超えている場合には、ドラム清掃装置17によって実行する強制排出動作の実行時間を、1.5倍程度延長して実行する。
このように、高湿環境下においては、図9に示すように、ドラム清掃装置17の本体17内部において転写残トナーと感光ドラム11の表面保護層115とが接触することによって双極子80が発生し易い。そのため、ドラム清掃装置17によって実行する強制排出動作の実行時間を延長して実行することにより、ドラム清掃装置17の内部に回収された転写残トナーを強制的に排出させることができ、双極子80の発生を未然に防止乃至抑制することが可能となる。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
なお、前記実施の形態では、感光ドラム11上に形成されたトナー像を中間転写装置3を介して被記録材としての記録用紙5に転写する場合について説明したが、感光ドラム11上に形成されたトナー像を直接被記録材としての記録用紙5に転写するように構成しても良く、この場合には、感光ドラム11を1つのみ備えたモノクロの画像形成装置や、複数の感光ドラム上に形成された互いに色の異なるトナー像を、搬送ベルトによって搬送される記録用紙上に直接多重に転写するように構成しても良い。