図1は画像形成装置としてのプリンタを示す全体構成図、図2はその作像部を示す拡大図、図3はそのトナー補給経路を示す概略図、図4はトナー補給装置の一部を示す斜視図である。図1に示すように、画像形成装置本体100の上方に設けられたトナー容器収容部31には、イエロ、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した4つのトナー容器32Y,32M,32C,32Kが着脱自在に配置されている。トナー容器収容部31の下方には中間転写ユニット15が配設されている。そして、中間転写ユニット15の中間転写ベルト8と対向するように、各色に対応した作像部6Y,6M,6C,6Kが並設されている。
図2に示すように、イエロに対応した作像部6Yは、感光体ドラム1Y、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電部4Y、現像装置5Y、クリーニング部2Y、図示しない除電部等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われ、感光体ドラム1Y上にイエロ画像が形成される。なお、他の3つの作像部6M,6C,6Kも使用されるトナーの色が異なる以外はイエロに対応した作像部6Yと同様に構成されており、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、3つの作像部6M,6C,6Kの説明を適宜省略して、イエロに対応した作像部6Yの説明のみを行う。
図2に示すように、感光体ドラム1Yは図示しない駆動モータによって時計回り方向に回転駆動され、帯電部4Yの位置で感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程)。その後、感光体ドラム1Yの表面は露光装置7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達し、この位置での露光走査によりイエロに対応した静電潜像が形成される(露光工程)。その後、感光体ドラム1Yの表面は現像装置5Yとの対向位置に達し、この位置で静電潜像が現像されてイエロのトナー像が形成される(現像工程)。そして、感光体ドラム1Yの表面は中間転写ベルト8及び第1転写バイアスローラ9Yとの対向位置に達し、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程)。このとき、感光体ドラム1Y上には僅かながら未転写トナーが残存する。その後、感光体ドラム1Yの表面はクリーニング部2Yとの対向位置に達し、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって回収される(クリーニング工程)。最後に、感光体ドラム1Yの表面は図示しない除電部との対向位置に達し、この位置で感光体ドラム1Y上の残留電位が除去される。このように、感光体ドラム1Y上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
上述の作像プロセスは、他の作像部6M,6C,6Kでもイエロ作像部6Yと同様に行われる。すなわち、作像部6の下方に配設された露光装置7から画像情報に基づいたレーザ光Lが各作像部6M,6C,6Kの感光体ドラム1上に向けて照射される。詳しくは、露光装置7は光源からレーザ光Lを発してそのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム1上に照射する。その後、現像工程を経て各感光体ドラム1上に形成した各色のトナー像を中間転写ベルト8上に重ねて転写する。これにより中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
図1に示すように、中間転写ユニット15は中間転写ベルト8、4個の1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9K、2次転写バックアップローラ12、クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14、中間転写クリーニング部10等で構成される。中間転写ベルト8は、3個のローラ12,13,14によって張架及び支持されると共に、2次転写バックアップローラ12の回転駆動により図1に矢印で示す方向に走行移動される。
各1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Kは、それぞれ中間転写ベルト8を各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成しており、1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Kにはトナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。そして、中間転写ベルト8は矢印方向に走行し、各1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Kの1次転写ニップを順次通過する。これにより各感光体ドラム1Y,1M,1C,1K上の各色トナー像が中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラ12が2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の被転写材P上に転写される。このとき中間転写ベルト8には、被転写材Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部10の位置に達する。そして、この位置で中間転写ベルト8上の未転写トナーが回収され、これにより中間転写ベルト8上でおこなわれる一連の転写プロセスが終了する。
ここで、2次転写ニップの位置に搬送された被転写材Pは、装置本体100の下方に配設された給紙部26から給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。詳しくは、給紙部26には転写紙等の被転写材Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1において反時計回り方向に回転駆動されると、一番上の被転写材Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
レジストローラ対28に搬送された被転写材Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ対28が回転駆動され、被転写材Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、被転写材P上に所望のカラー画像が転写される。その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された被転写材Pは定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が被転写材P上に定着される。その後、被転写材Pは排紙ローラ対29のローラ間を経て装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出された被転写Pは、出力画像としてスタック部30上に順次スタックされる。こうして、画像形成装置における一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、図2を用いて作像部における現像装置の構成及び動作についてさらに詳しく説明する。現像装置5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Y、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Y、現像剤収容部53Y、54Y内に配設された2つの搬送スクリュ55Y、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Y等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットやマグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部53Y,54Y内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤Gが収容されている。現像剤収容部54Yは、その上方に形成された開口を介してトナー搬送パイプ43Yに連通している。
このように構成された現像装置5Yは次のように動作する。現像ローラ51Yのスリーブは図2の矢印方向に回転しており、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gはスリーブの回転に伴い現像ローラ51Y上を移動する。ここで、現像装置5Y内の現像剤Gは、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置5Y内のトナー消費に応じてトナー容器32Yに収容されているトナーがトナー補給装置59(図3参照)を介して現像剤収容部54Y内に補給される。なお、トナー補給装置59及びトナー容器32Yの構成及び動作については後で詳しく説明する。
その後、現像剤収容部54Y内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって現像剤Gと共に混合及び撹拌されながら、2つの現像剤収容部53Y,54Yを循環する(図2の紙面垂直方向の移動)。そして、現像剤G中のトナーはキャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアと共に現像ローラ51Y上に担持される。現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、図2中の矢印方向に搬送されてドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤Gはこの位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤Gはスリーブの回転に伴い現像剤収容部53Yの上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
次に、図3を用いてトナー容器32Y内に収容されたトナーを現像装置5Yに導くトナー補給装置59について詳述する。なお、図3は理解を容易にするためにトナー容器32Y、トナー補給経路43Y,60,70,71、現像装置5Yの配置方向を変えて図示している。実際には、図3においてトナー容器32Yとトナー補給経路の一部との長手方向が紙面垂直方向になるように配設されている(図1参照)。
図4に示すように、装置本体100のトナー容器収容部31に設置された各トナー容器32Y,32M,32C,32K内のトナーは、各色の現像装置内のトナー消費に応じて、トナー色ごとに設けられたトナー補給経路を経て適宜に各現像装置内に補給される。4つのトナー補給経路は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造である。
しかしながら、凝集したトナーがトナー容器32Yから供給されると、現像装置5Yの中にトナーが1次粒子にならない状態で存在し、感光体1Yに凝集塊のまま付着されて周囲の表面に対して粒の大きいトナー凝集が凸状となるため、中間転写ベルト8に凸状のトナーが転写されることによるホタル画像(ポチ画像)あるいは凸状形状が感光体1Yに残ることによるホタル画像(白抜けあるいは白斑点画像)といった異常画像が発生する。
詳しくは、トナー容器32Yが装置本体100のトナー容器収容部31にセットされると、トナー容器32Yの被保持部34Yにトナー容器収容部31のノズル70が接続される。このとき、トナー容器32Yの口栓部材34d(開閉部材)は、ノズル70と爪部材76(付勢部材)とに挟まれた状態で被保持部34Yのトナー排出口を開放する。これにより、トナー容器32Yの容器本体33Y内に収容されたトナーが、トナー排出口を介してノズル70内に搬送されることになる。
一方、ノズル70の他端は搬送管としてのチューブ71の一端に接続されている。チューブ71は耐トナー性に優れたフレキシブルな材料からなり、その他端がトナー補給装置のスクリューポンプ60(モーノポンプ)に接続されている。搬送管としてのチューブ71は、その内径が4〜10mmになるように形成されている。チューブ71の材料としては、ポリウレタン、ニトリル、EPDM、シリコン等のゴム材料や、ポリエチレン、ナイロン等の樹脂材料を用いることができる。このようなフレキシブルなチューブ71を用いることで、トナー補給経路のレイアウトの自由度が増して、画像形成装置が小型化される。しかしながら、トナー容器内において保管・輸送時に凝集塊が生成されると、トナー容器32Yからスクリューポンプ60までの間において、凝集塊が原因となりトナー排出経路が閉塞してトナー補給不良が発生する。
スクリューポンプ60は、吸引型一軸偏心スクリューポンプであって、ロータ61、ステータ62、吸引口63、ユニバーサルジョイント64、モータ66、等で構成される。ロータ61、ステータ62、ユニバーサルジョイント64等は図示しないケース内に収納されている。ステータ62は、ゴム等の弾性材料からなる雌ねじ状部材であって、その内部にはダブルピッチの螺旋溝が形成されている。ロータ61は、金属等の剛性材料からなる軸が螺旋状にねじれて形成された雄ねじ状部材であって、ステータ62内に回動自在に嵌挿されている。ロータ61の一端は、ユニバーサルジョイント64を介してモータ66に回転自在に連結されている。なお、本実施形態ではロータ61の螺旋方向(巻き方向)及び回転方向がトナー容器32Yの容器本体33Yに形成された突起33bの螺旋方向(巻き方向)及び回転方向と一致するように設定されている。
このように構成されたスクリューポンプ60は、モータ66によってステータ62内のロータ61を所定方向(トナー搬送方向上流側からみて反時計回り方向)に回転駆動させることで、吸引口63に吸引力を発生させる(チューブ71内の空気を送出してチューブ71内に負圧を発生させる)。これによって、トナー容器32Y内のトナーが空気と共にチューブ71を介して吸引口63に吸引される。吸引口63まで吸引されたトナーは、ステータ62とロータ61との隙間に送入されてロータ61の回転に沿って他端側に送出される。送出されたトナーは、スクリューポンプ60の送出口67から排出されて、トナー搬送パイプ43Yを介して現像装置5Y内に補給される(図3に破線矢印で示す)。なお、本実施形態では、スクリューポンプ60のロータ61をトナー搬送方向上流側からみて反時計回り方向に回転させている。また、ロータ61の螺旋方向(巻き方向)を右方向に設定している。これにより、ロータ61の回転によってスクリューポンプ60内には右回りの渦気流が形成されることになる。
次に、図5〜図7を用いてトナー容器について説明する。先に図1及び図4で説明したように、トナー容器収容部31には4つのほぼ円筒状のトナー容器32Y,32M,32C,32K(トナーボトル)が着脱自在に設置されている。トナー容器32Y,32M,32C,32Kは、それぞれ寿命に達したとき(収容
するトナーがほとんどすべて消費されて空になったとき)に新品のものに交換される。そして、トナー容器32Y,32M,32C,32K内に収容された各色のトナーは、それぞれ図3で説明したトナー補給経路を経て各作像部6Y,6M,6C,6Kの現像装置に適宜補給される。
図5はトナー容器32Yを示す斜視図、図6はトナー容器32Yの頭部側(被保持部34Yが設置された側)を示す断面図、図7は図6のトナー容器32YをM視方向から見た図である。なお、他の3つのトナー容器32M,32C,32Kも収容されたトナーの色が異なることと凹部34m及び凸部34nの位置以外はイエロートナーを収容したトナー容器32Yとほぼ同様の構成となっている。以下、他の3つのトナー容器32M,32C,32Kの説明を適宜に省略して、イエロートナーを収容したトナー容器32Yのみの説明を行うこととする。
図5に示すように、トナー容器32Yは主として、容器本体33Yとその頭部に設けられた被保持部34Y(ボトルキャップ)とで構成される。容器本体33Yの頭部には、容器本体33Yと一体的に回転するギア33cと開口部Aとが設けられている(図6参照)。開口部Aは容器本体33Yの頭部(装着動作において先方となる位置)に設けられていて、容器本体33Y内に収容されたトナーを被保持部34Y内のスペース(空洞)に向けて排出するためのものである。
ギア33cは、装置本体100のトナー容器収容部31に設けられた駆動部の駆動ギア31gと噛合して、回転軸(図6中の一点鎖線)を中心に容器本体33Yを回転駆動させるためのものである。詳しくは、ギア33cは被保持部34Yに形成された切欠部34hから露呈して、図6及び図7に示す噛合位置Dで装置本体100の駆動ギア31gと噛合する。そして、駆動ギア31gからギア33cに駆動力が伝達されて、容器本体33Yが図7の反時計方向に回転することになる。なお、本実施形態において駆動ギア31g及びギア33cは平歯車である。
ここで、本実施形態において、駆動ギア31gが図7の矢印方向に回転駆動しているとき(主としてトナー補給時)に、駆動ギア31gからギア33cが受ける力によって被保持部34Y(または容器本体33Y)が下方に付勢されるように、トナー容器32Y及び装置本体100が構成されている。具体的には、図7を参照してギア33cと駆動ギア31gとの噛合位置Dが、ギア33cの最上部から1/4回転下流側までの範囲X(最上部と1/4回転位置を含まない)に設けられている。このような構成により、駆動ギア31gがギア33cの歯面に対して垂直に作用する力に鉛直方向下方に作用する分力が生じて、被保持部34Yが上下に大きく揺動することなく、トナー排出口Bに連通するノズル70に対するシール性が維持されて、トナー排出口B近傍からのトナー飛散が抑止される。
図5に示すように、容器本体33Yの後端部(底部)には、トナー容器32Yの着脱作業を行う際にユーザが把持するための把持部33dが設けられている。また容器本体33Yの内周面には、螺旋状の突起33bが設けられている(外周面側から見ると螺旋状の溝となっている)。この螺旋状の突起33bは、容器本体33Yを所定方向に回転駆動して開口部Aからトナーを排出するためのものである。このように構成された容器本体33Yは、その周面上に配設されるギア33cとともにブロー成形にて製造することができる。なお、本実施形態におけるトナー容器32Yは、容器本体33Yと共に回転する撹拌部材33fが開口部Aに設置されている。撹拌部材33fは、被保持部34Y内のスペースから容器本体33Y内に向けて延設されると共に、回転軸(図6中の一点鎖線)に対して斜めに配設された棒状部材である。容器本体33Yと共に撹拌部材33が回転することで、開口部Aからのトナー排出性が向上する。また本実施形態では、トナー容器32Yの容器本体33Yを、トナー搬送方向上流側から見て反時計回り方向に回転させている。また、容器本体33Yにおける突起33bの螺旋方向(巻き方向)を右方向に設定している。これにより、容器本体33Yの回転によってトナー容器32Y内には右回りの渦気流が形成されることになる(スクリューポン
プ60内に形成される渦気流の回転方向と同方向)。
図5及び図6に示すように、被保持部34Yは、キャップ34a、キャップカバー34b、ホルダ34c、開閉部材としての口栓部材34d、パッキン34e、IDチップ35等で構成されている。また、図5及び図7に示すように、被保持部34Yの両側面にはトナー容器収容部31の位置決め部材31cが係合する係合部34g(溝部)が設けられている。また被保持部34Yの端面には、トナー容器収容部31の嵌合部材31dが嵌合する凹部34mが設けられている。また被保持部34Yの周面には、トナー容器収容部31の別の図示しない嵌合部材が嵌合する凸部34nが設けられている。さらに被保持部34Yの上方には、ギア33cの一部が露呈する切欠部34hが設けられている。
被保持部34Yは、開口部Aを介して容器本体33Yに連通していて、開口部Aから排出されたトナーをトナー排出口Bから排出する(図6中の破線矢印方向の移動)。ここで本実施形態では、被保持部34Yの内部に形成された空洞(スペース)がほぼ円柱状に形成されている。さらに、被保持部34Yの内部に形成されたほぼ円柱状の空洞からトナー排出口Bに至るトナー排出経路(垂直経路)がすり鉢状に形成されている。これによって、容器本体33Yの回転によって容器本体33Y内に形成された渦気流が消失されることなく維持されて、トナー排出口Bに向けて効率よく受け渡されることになる。そのため、トナー排出口Bから排出されてチューブ71内を移動するトナーのトナー搬送性が向上する。
被保持部34Yは容器本体33Yの回転には連動せず、係合部34gが位置決め部材31cに係合した状態でトナー容器収容部31の保持部73(図4及び図8参照)に非回転で保持される。被保持部34Yのキャップカバー34bは、キャップ34aの周面に接着されている。キャップカバー34bの先端には爪34b1が設けられていて、この爪34b1が容器本体33Yの頭部に形成された係合部材に係合することで、容器本体33Yが被保持部34Yに対して相対的に回転可能に保持される。ここで、容器本体33Yの回転駆動をスムーズに行うために、被保持部34Yの爪34b1と容器本体33Yの係合部材とは適度なクリアランスを設けて係合されている。
また被保持部34Yは、容器本体33Yの開口部Aの周囲の先端面33aに対向する対向面にシール材37が貼着されている。シール材37は、開口部Aの周囲で容器本体33Y及び被保持部34Yの互いの対向面の隙間を封止するためのもので、発泡ポリウレタン等の弾性材料で形成されている。また、被保持部34Yの下方にはホルダ34cが設けられている。ホルダ34cには、トナー容器32Yの着脱動作に連動してトナー排出口Bを開閉する開閉部材としての口栓部材34d(シャッタ)が設置されている。詳しくは、ホルダ34cには滑動部34c1、34c2に囲まれるように、口栓部材34dが図6の左右方向に移動可能に内設されている。ホルダ34cの底面には、装置本体100の爪部材76が口栓部材34dに係合して、口栓部材34dが相対的に移動するためのスペース(凹部)が設けられている。口栓部材34dの両端には、口栓部材34d近傍からのトナーの漏出を抑止するためにGシール等のパッキン34eが設置されている。さらに、ホルダ34cとキャップ34aとの係合部には、双方の隙間からのトナーの漏出を抑止するためにOリング等のパッキンが設置されている。なお、トナー容器32Yをトナー容器収容部31にセットすると、口栓部材34dの右端にトナー排出口Bを閉鎖する方向に口栓部材34dを付勢する付勢部材としての爪部材76(図5、図12、図13等参照)が係合する。この爪部材76については後で詳しく説明する。
また被保持部34YのIDチップ35は、トナー容器収容部31に対するトナー容器32Yの装着動作に連動してトナー容器収容部31の通信回路74に対して所定距離離間して対向するように構成されている。詳しくは、IDチップ35はトナー容器収容部31への装着方向(図5の矢印方向)に突出する被保持部34Yの突出部34a1上であって装着方向に直交する面上に配設されている。そしてIDチップ35は、被保持部34Yがトナー容器収容部31に保持された状態で、装置本体の通信回路74との間で非接触通信(無線通信)を行う。
ここでIDチップ35には、トナー容器32Yに係わる種々の情報が予め記憶されている。一方、トナー容器収容部31の通信回路74は、トナー容器32Yがトナー容器収容部31にセットされた状態で、IDチップ35との間で無線にて情報を授受することになる。すなわち、IDチップ35に記憶された情報が通信回路74を介して装置本体100の制御部75(図5参照)に送信されたり、制御部75で取得した装置本体100の情報が通信回路74を介してIDチップ35に送信され記憶されたりすることになる。
なおIDチップ35には、トナー色、トナーの製造番号(製造ロット)、トナーの製造年月日等のトナーに係わる情報や、リサイクル回数、リサイクル年月日、リサイクルメーカ等のトナー容器32Yのリサイクルに係わる情報が記憶されている。そして、トナー容器32Yがトナー容器収容部31に設置されると、IDチップ35に記憶された情報が電子回路74を介して装置本体100の制御部75に送信される。そして、これらの情報に基いて装置本体100が最適に制御される。例えば、トナー色がトナー容器収容部に設置されるべきトナー色と異なる場合にはトナー補給装置の稼働を停止したり、製造番号やリサイクルメーカに応じて作像条件を変更したりすることができる。
また、被保持部34Yのホルダ34cには、トナー容器収容部31に対する着脱動作に連動してトナー容器収容部31を滑動する滑動部34c1、34c2が設けられている。詳しくは、第1の滑動部34c1はトナー容器収容部31の滑合面31a(上面であって図8参照)に対して平行になるように形成された平面部であって、着脱動作が行われる被保持部34Yの底部に配設されている。また、第2の滑動部34c2は、トナー容器収容部31の滑合面(側面)に対して平行になるように形成された平面部であって、着脱動作が行われる被保持部34Yの側部に配設されている。
また図5及び図7を参照して、被保持部34Yの端面であって突出部34a1の近傍には、トナー容器収容部31の嵌合部材31dに嵌合する凹部34mが設けられている。この凹部34mは、トナー容器収容部31への装着操作が正しいとき(トナー容器収容部31の正規位置へ装着されたとき)に、対応する嵌合部材31dに嵌合するように構成されている。具体的には、図7に示すように、トナー容器(容器本体)に収容されるトナーの色に応じて凹部34mの位置が異なる位置に配設されている。シアンに対応したトナー容器の凹部34m(C)とトナー容器収容部の図示しない嵌合部材とは最上方に配設され、マゼンタに対応したトナー容器の凹部34m(M)とトナー容器収容部の図示しない嵌合部材とは中段上方に配設され、イエロに対応したトナー容器の凹部34m(Y)とトナー容器収容部の嵌合部材31dとは中段下方に配設され、ブラックに対応したトナー容器の凹部34m(K)とトナー容器収容部の図示しない嵌合部材とは最下方に配設されている。このような構成によって、所定の色のトナー容器収容部(例えばシアンのトナー容器収容部)に異なる色のトナー容器(例えばイエロのトナー容器)がセットされて、所望のカラー画像が形成できなくなる不具合が抑止される。
同様に、図5及び図7を参照して、被保持部34Yの周面には、別の図示しない嵌合部材が嵌合する凸部34nが設けられている。この凸部34nは上述した凹部34mと同様に、トナー容器収容部31への装着操作が正しいときに対応する嵌合部材に対して嵌合するように構成されている。図示は省略するが、トナー容器(容器本体)に収容されるトナーの色に応じて凸部34nの位置が異なる位置に配設されている。このような構成により、上述した凹部34mと同様にトナー容器収容部へのトナー容器の誤セットが抑止される。
ここで、本実施形態ではトナー容器32Y,32M,32C,32K内に収容するトナーとして、体積平均粒径をDv(μm)として個数平均粒径をDn(μm)としたときに、
3≦Dv≦8 …(1)
1.00≦Dv/Dn≦1.40 …(2)
なる関係が成立するように形成されたものを用いている。これによって、現像工程時に画像パターンに応じたトナー粒子の選択が行われて良好な画質が維持されると共に、現像装置で長時間撹拌されても良好な現像性が維持される。さらには、チューブ71等のトナー補給経路が閉塞することなく、トナーが効率的かつ確実に搬送されることになる。なお、トナーの体積平均粒径及び個数平均粒径の測定は、代表的にはコールカウンタ式粒度分布測定器「コールターカウンターTA−2」(コールター社製)又は「コールターマルチサイザー2」(コールター社製)を用いて測定することができる。
さらに、本実施形態では、トナー容器32Y,32M,32C,32K内に収容するトナーとして、形状係数SF−1が100〜180の範囲であり、形状係数SF−2が100〜180の範囲となるように形成されたほぼ球形トナーを用いている。これにより、高い転写効率を維持しつつクリーニング性能の低下を抑止することができる。さらには、チューブ71等のトナー補給経路が閉塞することなく、トナーが効率的かつ確実に搬送されることになる。ここで、形状係数SF−1はトナー粒子の球形度を示すものであり、次式で求まる。
SF−1=(M2/S)×(100π/4)
上式において、Mはトナー粒子の投影面における最大粒径(まばらな粒径の中で最も大きな粒径)であり、Sはトナー粒子の投影面の面積である。従って、形状係数SF−1が100であるトナー粒子は真球であり、100から大きくなるほど球形度が低くなる。
また、形状係数SF−2はトナー粒子の凹凸度を示すものであり、次式で求まる。
SF−2=(N2/S)×(100/4π)
上式において、Nはトナー粒子の投影面における周長であり、Sはトナー粒子の投影面の面積である。従って、形状係数SF−2が100であるトナー粒子は凹凸がなく、100から大きくなるほど凹凸が大きくなる。なお、形状係数SF−1及び形状係数SF−2は、走査型電子顕微鏡「S−800」(日立製作所社製)にて撮影したトナー粒子の写真を画像解析装置「LUSEX3」(ニレコ社製)にて解析して求める。
次に、図8、図9等を参照して、トナー容器収容部31の構成について説明する。図8に示すように、トナー容器収容部31には4つのトナー容器32Y,32M,32C,32Kの被保持部の滑動部が滑動する滑合面31a、被保持部のホルダ34cの位置を定める保持部73、ノズル70、容器本体33Yに回転駆動力を伝達するための駆動部(駆動ギア31gが設置されている)、通信回路74、トナー容器32Yの装着動作に連動して被保持部34Yを保持部73に向けて付勢するアーム対90(付勢手段)、トナー容器32Yのトナー排出口Bを閉鎖する方向に口栓部材34dを付勢する爪部材(付勢部材)76、爪部材76の位置から下方に落下したトナーを受けるためのトナー受部77(図3、図13等参照)等が設置されている。
保持部73は、トナー容器32Y,32M,32C,32Kの被保持部をそれぞれ非回転で保持する。保持部73は、ホルダ34cに当接する滑合面やキャップカバー34bの一部に当接する当接面等で構成される。保持部73の滑合面(側面)には、被保持部34Yの装着動作に連動して位置決めを行う位置決め部材31cが設けられている(図5参照)。位置決め部材31cは、トナー容器32Yの着脱方向に沿って延設された凸部である。
また保持部73の滑合面(底面)には、被保持部34Yの離脱動作に連動してトナー排出口Bを閉鎖する方向に口栓部材34dを付勢する付勢部材としての爪部材76が設けられている(図5、図10〜図12参照)。爪部材76は、回転支軸76aを中心にして図5中の両矢印方向に回動可能にトナー容器収容部31に保持されている。具体的に爪部材76は、図示しない板ばね(第2付勢部材)によって被保持部34Yの着脱を妨げない退避位置から口栓部材34dに係合する位置に突出する方向に付勢されている(図11の矢印R2方向への付勢)。
さらに、保持部73の奥側の面上には、通信回路74や嵌合部材31dが配設されている。保持部73内には、図9に示すノズル70がトナー色ごとに設置されている。ノズル70には、トナー容器32Yの被保持部34Yに形成されたトナー排出口Bに連通するトナー補給口70aが設けられている。また、爪部材76の下方には、落下したトナーを回収するためのトナー受部77(トナー受け皿)が設置されている(図3、図13等参照)。
図10〜図12を参照して、トナー容器収容部31へのトナー容器32Yの着脱動作(着脱操作)について説明する。図10はイエロのトナー容器32Yがトナー容器収容部31に装着される状態(矢印Q方向の移動)を長手方向にみた概略図である。図11はトナー容器32Yの装着が進んだ状態(トナー排出口Bの開放が開始された状態)を長手方向にみた概略図である。図12はトナー容器32Yがトナー容器収容部31に装着された状態(トナー排出口Bの開放が完了した状態)を長手方向にみた概略図である。
トナー容器32Yを装置本体100のトナー容器収容部31に装着する場合は、先ず画像形成装置本体100の前面(図1の紙面手前側)に設けられた図示しない本体カバーを開放してトナー容器収容部31を前方に露出させる。その後、図10を参照して、トナー容器32Yをトナー容器収容部31内に向けて押し込む(矢印Q方向の移動)。すなわち、被保持部34Yが容器本体33Yに対して先方になるように、容器本体33Y(またはトナー容器32Y)の長手方向に沿ってトナー容器32Yがトナー容器収容部31に装着される。このとき、トナー容器32Yの先頭側で滑動部34c1がトナー容器収容部31の滑合面31aを滑りながら、トナー容器32Yの後端側で把持部33dを把持するユーザによってトナー容器32Yがトナー容器収容部31内にバランスよく押し込められることになる。
その後、トナー容器33Yのホルダ34cがトナー容器収容部31の保持部73に達すると、第1の滑動部34c1の滑合面31aの滑動に加えて、第2の滑動部34c2が滑合面(側面)を滑りながら被保持部34Yの位置決めが開始される。詳しくは、被保持部34Yの係合部34gとトナー容器収容部31の位置決め部材31cとの係合が開始される。このとき、アーム対90によってトナー容器32Yの被保持部34Yは保持部73に向けて付勢される(矢印Q方向への付勢)。さらにこのとき、トナー容器収容部31の保持部73に設置された爪部材76は、被保持部34Yの装着を妨げない位置に退避する(回転支軸76aを中心にした矢印R1方向の回転)。すなわち、爪部材76(爪部76b)は滑動部34c1によって第2付勢部材としての板ばねの付勢力に抗する方向に押し下げられる。
その後、さらにトナー容器32Yの装着動作が進められると、係合部34gと位置決め部材31cとが係合した状態で、口栓部材34dによるトナー排出口Bの開放が開始される(図11の状態)。すなわち、ノズル70の先端がホルダ34cの穴部に挿入されるのに伴い、口栓部材34dがノズル70に押動される。このとき、爪部材76(爪部76b)は図10の退避位置から口栓部材34dに係合する位置に突出する(回転支軸76aを中心にした矢印R2方向の回転)。すなわち爪部材76は、滑動部34c1による押動から開放されて、第2付勢部材としての板ばねの付勢力によってデフォルトポジションに押し上げられる。
ここで図11の状態は、口栓部材34dがノズル70と爪部材76とによって挟持されて、トナー容器収容部31(保持部73)における位置が固定された状態である。このとき、爪部材76の爪部76bが口栓部材34dに係合した状態になっている。そして、図11の状態からトナー容器32Yがさらに装着方向(矢印Q方向)に移動すると、保持部73における口栓部材34dの位置が固定された状態でトナー排出口Bの開放が行われる(相対的に口栓部材34dが移動)。
そして図12に示すように、ホルダ34cが保持部73に突き当たる位置(突き当て基準位置)で被保持部34Yの位置が定まり、それと同時に口栓部材34dがトナー排出口Bを完全に開放すると共に、トナー容器収容部31の駆動部の駆動ギア31gにトナー容器32Yのギア33cが噛合する。また、電子基板としてのIDチップ35が、通信回路74に対して無線通信ができる位置で対向する。さらに、トナー容器の非互換性を担保するための凹部34m及び凸部34nが装置本体の嵌合部材31d、31eと嵌合する。そして、トナー容器32Yのトナー排出口Bとノズル70のトナー補給口70aとが連通して、トナー容器32Yの装着動作が完了する。
他方、トナー容器32Yを装置本体100のトナー容器収容部31から取り出す(離脱する)場合には、上述の装着時の手順と逆の手順で操作がおこなわれる。先ず、トナー容器32Yが保持部73から離れる動作(離脱動作)に連動して、保持部73における口栓部材34dの位置がノズル70及び爪部材76によって固定された状態で、口栓部材34dが爪部材76に付勢されてトナー排出口Bの閉鎖がおこなわれる(図12の状態から図11の状態への移動)。このとき、口栓部材34dの端面(図11の左側端面)が被保持部34Yに形成された嵌合部に嵌合して、口栓部材34dによるトナー排出口Bの閉鎖が完了する。その後、図11の状態からトナー容器32Yがさらに離脱方向(矢印Qとは反対の方向)に移動すると、被保持部34Yの離脱を妨げない位置に爪部材76(爪部76b)が移動する(図10の状態)。そして、被保持部34Yが完全に離脱された後に、爪部材76は滑動部34c1による押動から開放されて、第2付勢部材としての板ばねの付勢力によってデフォルトポジションに戻ることになる。
ここで、爪部材76を退避位置から係合位置に付勢する第2付勢部材としての板ばねは、爪部材76が口栓部材34dを付勢する力が口栓部材34dの摺動抵抗(開閉動作に伴う摺動抵抗)よりも大きくなるように形成されている。これにより、トナー容器32Yの離脱動作時に口栓部材34dに押動されて爪部材76が退避位置に移動して、トナー排出口Bの閉鎖が完全に行われなくなる不具合を抑止することができる。すなわち、トナー容器32Yの離脱動作時に口栓部材34dによるトナー排出口Bの閉鎖が確実に行われることになる。
また本実施形態では、トナー容器収容部31における口栓部材34dの位置をノズル70と爪部材76とによって挟み込んで確実に固定しているため、装置本体100が稼動しているときでも口栓部材34dに位置ずれが生じることなく、トナー排出口B近傍からのトナー飛散を軽減することができる。
また本実施形態では、トナー排出口Bの開閉を行うときの口栓部材34dのストロークが、人動(例えば口栓部材を指で押し込む動作)によって移動可能なストロークよりも長くなるように設定されている。すなわち、トナー容器32Yの口栓部材34dをユーザが誤って触ってしまった場合等であってもトナー排出口Bが開放されないように、口栓部材34dのストロークが充分な長さに設定されている。具体的には、口栓部材34dの長さ(特にノズルが係合する端面位置からトナー排出口までの長さ)が充分に長くなるように形成されると共に、口栓部材34dの口径が人の指の大きさに対して充分に小さくなるように形成されている。これにより、本実施形態のようにトナー排出口Bを閉鎖する方向に口栓部材34dを付勢する付勢部材(爪部材76)をトナー容器32Yに設置しない場合であっても、ユーザの誤操作によるトナー排出口Bからのトナー飛散を防止することができる。なお、本実施形態では、口栓部材34dを付勢する付勢部材(爪部材76)を装置本体100に設置しているため、トナー容器32Yの部品数が低減されて部品コストやランニングコストを低くすることができる。
また本実施形態では、口栓部材34dが滑動部34c1,34c2に囲まれた位置に配設されている。すなわち、口栓部材34dが被保持部34Yに内設されている。これにより、滑動部34c1,34c2の滑動動作(着脱動作)が口栓部材34dによるトナー排出口Bの開閉動作を妨げることなく確実に行われることになる。すなわち、滑動部34c1,34c2が口栓部材34dの保護壁として機能することになる。
このように、本実施形態における画像形成装置では、トナー容器32Yの滑動部34c1が滑合面31a上を滑動する1つのアクション(本体ドアの開閉動作を除く)でトナー容器32Yの装着動作及び離脱動作が完了することになる。なお、本実施形態のトナー容器32Yは、トナー排出口Bが鉛直方向下方に向けて配設された被保持部34Yを備え、そのトナー排出口Bが開口部Aより鉛直方向下方に配設されると共に、装着動作に連動して口栓部材34dが確実に位置決めされた後にノズル70に押動されてパッキン34eで密封されたトナー排出口Bを開放するためにトナー排出口Bのトナー汚れが少なく、ユーザがトナー排出口Bに触れてもトナーで汚される不具合が軽減される。
また、トナー容器収容部31に対するトナー容器32Yの着脱動作は、滑動部34c1の滑動に伴う1つのアクションになるため、トナー容器32Yの交換時の操作性及び作業性が向上する。特に、被保持部34Yの底面に滑動部34c1を設けることで、滑動部34c1がトナー容器32Yを支持しながら滑合面31aを滑動することになる。さらに、トナー容器32Yの装着動作はユーザが把持部33dを直接的に把持した状態で滑動部34c1の滑動が開始されて、その後にアーム対90の付勢と共に被保持部34Yの位置決めが開始され、その後にノズル70の挿入が開始されて、滑動の終了と共に被保持部34Yの位置決めとノズル70の挿入と駆動部の連結とが終了するものである。これにより、ユーザは被保持部34Yの滑動(1アクションの装着動作)が進むのと同時に、被保持部34Yの位置決めによるクリック感を体感して、装着動作に誤操作が生じていないことを確信することになる。
またトナー容器32Yは、トナー容器収容部31(装置本体100)の上方から載置するのではなく、トナー容器収容部31(装置本体100)の前面から着脱されるため、トナー容器収容部31の上方のレイアウトの自由度が高まる。例えば、トナー補給装置の真上にスキャナ(原稿読込み部)が配設されている場合であっても、トナー容器32Yの着脱における操作性及び作業性は低下しない。さらに、トナー容器32Yのギア33cと装置本体100の駆動ギア31gとの噛合位置Dに対するレイアウトの自由度も高まる。また、トナー容器32Yはその長手方向を水平方向として装置本体100に設置されるため、画像形成装置100全体の高さ方向のレイアウトに影響を及ぼすことなく、トナー容器32Yのトナー容量を多くしてその交換頻度を少なくすることができる。
以下、本実施形態における画像形成装置100(トナー容器収容部31)における特徴的な構成及び動作について説明する。先に、図3、図10〜図12等を用いて説明したように、本実施形態における画像形成装置本体100(トナー容器収容部31)には、トナー容器32Yの離脱動作に連動して係合状態にある口栓部材34d(開閉部材)を付勢してトナー排出口Bを閉鎖するための爪部材76(付勢部材)が、トナー容器32Yが保持される位置の下方に設置されている。ここで、本実施形態における爪部材76(付勢部材)は、図13に示すように、回転支軸76a、一対の爪部76b、切欠76c等を有している。回転支軸76aは、爪部材76を上下方向に揺動するための支点となる部分であって、トナー容器収容部31の図示しない壁面に回動可能に保持されている。また、爪部76bは、口栓部材34dにおける離脱方向(図12の左方向)の端部に係合するものであって、着脱方向に直交する方向(図12の紙面垂直方向)に間隔をあけて2つ設けられている。回転支軸76aは、爪部76bに対して、トナー容器32Yの離脱方向における上流側(図12の右側)に位置するように形成されている。そして、爪部材76は、一対の爪部76bの間に切欠76cが形成されている。すなわち爪部材76を上方から見たときに、着脱方向に直交する方向(図12の紙面垂直方向)に間隔をあけて設けられている2つの爪部76bの間に、下方の空間が透いて見えるように切欠76cが設けられている。
ここで、本発明の第1の実施形態について説明する。本発明の特徴部である乾燥剤は被保持部材34Y内に収納されており、その収納位置はトナー容器33Yが画像形成装置100に装着される際にトナーと接触しない上部に設けられている。なお、第1の実施形態における乾燥剤の保持構成の詳細は後で説明する。
図14〜19を用いて、本発明の第2の実施形態について詳細に説明する。図14は、第2の実施形態における画像形成装置のトナー補給経路を示す概略図であり、上記実施形態の図3に相当する図である。また図15は、トナー容器が設置される状態のトナー容器収容部を示す斜視図である。
第2の実施形態における画像形成装置は、トナー容器32Yの被保持部34Y(トナー排出口B)が装着方向手前側の位置に配設されるのに伴い、トナー容器収容部31の爪部材76やトナー補給口70a(ノズル70)がユーザの操作方向手前側の位置に配設されている点が上記実施形態と相違している。
第2の実施形態におけるトナー容器32Yも上記実施形態のものと同様に、主として容器本体33Yと被保持部34Yとで構成されている。ここで、本実施形態におけるトナー容器32Yは、上記実施形態のものとは異なり、トナー排出口Bがトナー容器収容部31に対する装着方向に対して手前側の位置に形成されている。すなわち、図14、図15を参照して、トナー容器32Yは被保持部34Yが容器本体33Yに対して後方となるように、容器本体33Y(またはトナー容器32Y)の長手方向に沿って、トナー容器32Yがトナー容器収容部31に装着される(図14の白矢印方向または図15の矢印方向の移動)。そして、本実施形態における画像形成装置本体100(トナー容器収容部31)は、図14、図15に示すように、トナー容器32Yの被保持部34Y(トナー排出口B)の位置に合わせて、爪部材76やトナー補給口70a(ノズル70)がユーザの操作方向手前側の位置に配設されている。
ここで、本実施形態を図16〜図20に基づいて詳細に説明する。第1の実施形態においても記述したが、本発明では被保持部34Yに乾燥剤を設けている。図16に示す被保持部34は図17に示す部品構成となっており、キャップ34aに乾燥剤80cが装着されている。乾燥剤80cの材質はシリカゲル、ゼオライト、酸化マグネシウム等の水分吸着剤であり、特に限定はされない。乾燥剤80cのキャップ34aへの装着方法は、図18に示すように、キャップ34aには多孔穴80aが設けられており、ここに隔離部材である不織布80b(2層以上の多層構造が望ましい)を両面テープ等の粘着剤あるいは接着剤を使用してキャップ34aに貼付け、ここに乾燥剤80cを装着している。多孔孔80aと不織布80bとがトナーと乾燥剤80cとを離隔しており、キャップ34aはキャップカバー34bと図19記載の口栓部材34dと組み合わされ、被保持部34Yが形成される。この位置関係により、トナー容器32Yが画像形成装置100に装着される際に、トナー容器32Yの中にあるトナーの粉面よりも乾燥剤80cが上部に位置することで、乾燥剤80cがその機能を充分発揮する。また、不織布60bにて隔離することにより、振動や落下による乾燥剤の破れや剥がれが万が一発生した場合であってもトナー容器内側への乾燥剤80cの流出を防止することができる。これによりトナーを良好に乾燥させることでトナー粒子の凝集を防止でき、異常画像の発生を抑制して優れた補給性能と画像品質とを実現可能なトナー容器を提供することができる。
また本発明の各実施形態において、図16はトナーが充填された直後の状態を示しており、製品化する際に図19に示すように、防湿剤からなる防湿袋80dにて包装することにより保管及び輸送時におけるヒートサイクルの影響を大幅に軽減することができる。なお防湿袋80dの材質として、多層フイルム等で構成することにより(例として、PET層+PE+OPPあるいはPET+アルミ箔またはアルミ蒸着等)、単層のフイルムと比較すると大幅な防湿性能効果を得ることができる。
なお、本発明による実施例として、図21に示す実施例1及び図22に示す実施例2を挙げる。実施例1については、前述に記載した補給性能について乾燥剤の有無及び防湿袋の有無に関するものであり、トナー容器32Yに乾燥剤80cを装着して防湿袋80dにてトナー容器を製品化させることで、ヒートサイクルの影響を受けても、良好な排出性能が得られた。また実施例2については、上記同様の仕様での異常画像品質(ホタル画像)を評価したものである。こちらについてもトナー容器32Yに乾燥剤80cを装着し、防湿袋80dにてトナー容器を製品化させることで、ヒートサイクルの影響を受けても異常画像(ホタル)の発生はなく良好な画像品質が得られた。
なお、本発明が上述した各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において各実施の形態の中で示唆した以外にも、各実施形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は上記各実施形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることが可能である。