JP5914974B2 - 表面改質されたR−Fe−B系焼結磁石の製造方法 - Google Patents
表面改質されたR−Fe−B系焼結磁石の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5914974B2 JP5914974B2 JP2011067522A JP2011067522A JP5914974B2 JP 5914974 B2 JP5914974 B2 JP 5914974B2 JP 2011067522 A JP2011067522 A JP 2011067522A JP 2011067522 A JP2011067522 A JP 2011067522A JP 5914974 B2 JP5914974 B2 JP 5914974B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- magnet
- partial pressure
- heat treatment
- atmosphere
- oxygen
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)
- Powder Metallurgy (AREA)
- Hard Magnetic Materials (AREA)
Description
上記の通り、R−Fe−B系焼結磁石に対して耐食性を付与する方法としては、その表面に金属被膜や樹脂被膜などの耐食性被膜を形成する方法が代表的であるが、近年、酸化性雰囲気下での熱処理(酸化熱処理)を磁石に対して行うことによって磁石の表面を改質する方法が簡易耐食性向上技術として注目されている。例えば、特許文献1や特許文献2には、酸素を利用して酸化性雰囲気を形成して熱処理する方法が記載され、特許文献3〜特許文献6には、水蒸気を単独で利用して、或いは、水蒸気に酸素を組み合わせて酸化性雰囲気を形成して熱処理する方法が記載されている。しかしながら、これらの方法で磁石に対して表面改質を行っても、温度や湿度の管理がされていない輸送環境や保管環境などのような、温度や湿度が変動することで磁石の表面に微細な結露を繰り返し生じさせてしまう環境では必ずしも十分な耐食性が得られないこと、特許文献3〜特許文献6においては、水蒸気分圧は10hPa(1000Pa)以上が好適とされているが、このような水蒸気分圧が高い雰囲気下で熱処理を行うと、磁石の表面で起こる酸化反応によって水素が副産物として大量に生成し、磁石が生成した水素を吸蔵して脆化することで磁気特性が低下してしまうことが本発明者らの検討によって明らかになった。そこで本発明者らは、R−Fe−B系焼結磁石に対するより優れた表面改質方法として、酸素分圧と、特許文献3〜特許文献6において不適とされている10hPa未満の水蒸気分圧を適切に制御した酸化性雰囲気下での熱処理方法、具体的には、酸素分圧が1×102Pa〜1×105Paで水蒸気分圧が0.1Pa〜1000Pa(但し1000Paを除く)の雰囲気下、200℃〜600℃で熱処理を行う方法を特許文献7において提案した。
さらに、本発明者らは、特許文献7において提案したR−Fe−B系焼結磁石の表面改質方法を基礎として、磁石の酸素含有量に応じて適正な温度管理の下に熱処理を行う表面改質方法を特許文献8において提案した。特許文献8において本発明者らが提案した表面改質方法では、酸素含有量が0.3質量%未満の磁石に対する適正な熱処理温度を400℃〜600℃としている。これは熱処理温度が400℃未満の場合には磁気特性の劣化が認められることを理由とし(とりわけ350℃付近において顕著である)、このことは特許文献8の実施例において酸素含有量が0.13質量%の磁石と0.24質量%の磁石で確認している。
そこで本発明は、優れた耐食性を有するとともに、優れた磁気特性を有する表面改質されたR−Fe−B系焼結磁石の製造方法を提供することを目的とする。
25質量%〜40質量%の希土類元素Rと、0.6質量%〜1.6質量%のB(硼素)と、残部Feおよび不可避不純物とを包含する合金を用意する。ここで、Rは重希土類元素RHを含んでいてもよい。また、Bの一部はC(炭素)によって置換されていてもよいし、Feの一部(50質量%以下)は、他の遷移金属元素(例えば、CoまたはNi)によって置換されていてもよい。この合金は、種々の目的により、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Hf、Ta、W、Pb、およびBiからなる群から選択された少なくとも1種の添加元素Mを0.01質量%〜1.0質量%程度含有していてもよい。
上記の合金は、原料合金の溶湯を例えばストリップキャスト法によって急冷して好適に作製され得る。以下、ストリップキャスト法による急冷凝固合金の作製を説明する。
まず、上記組成を有する原料合金をアルゴン雰囲気中において高周波溶解によって溶解し、原料合金の溶湯を形成する。次に、この溶湯を1350℃程度に保持した後、単ロール法によって急冷し、例えば厚さ約0.3mmのフレーク状合金鋳塊を得る。こうして作製した合金鋳片を、次の水素粉砕処理前に例えば1〜10mmのフレーク状に粉砕する。なお、ストリップキャスト法による原料合金の製造方法は、例えば、米国特許第5、383、978号明細書に開示されている。
[粗粉砕工程]
上記のフレーク状に粗く粉砕された合金鋳片を水素炉の内部へ収容する。次に、水素炉の内部で水素脆化処理(以下、「水素粉砕処理」や単に「水素処理」と称する場合がある)工程を行う。水素粉砕処理後の粗粉砕粉を水素炉から取り出す際、粗粉砕粉が大気と接触しないように、不活性雰囲気下で取り出し動作を実行することが好ましい。そうすれば、粗粉砕粉が酸化・発熱することが防止され、磁石の磁気特性の低下が抑制できるからである。
水素粉砕処理によって、希土類合金は0.1mm〜数mm程度の大きさに粉砕され、その平均粒径は500μm以下となる。水素粉砕処理後、脆化した原料合金をより細かく解砕するとともに冷却することが好ましい。比較的高い温度状態のまま原料を取り出す場合は、冷却処理の時間を相対的に長くすればよい。
[微粉砕工程]
次に、粗粉砕粉に対してジェットミル粉砕装置を用いて微粉砕を実行する。本実施形態で使用するジェットミル粉砕装置にはサイクロン分級機が接続されている。ジェットミル粉砕装置は、粗粉砕工程で粗く粉砕された希土類合金(粗粉砕粉)の供給を受け、粉砕機内で粉砕する。粉砕機内で粉砕された粉末はサイクロン分級機を経て回収タンクに集められる。こうして、0.1〜20μm程度の微粉末を得ることができる。このような微粉砕に用いる粉砕装置は、ジェットミルに限定されず、アトライタやボールミルであってもよい。粉砕に際して、ステアリン酸亜鉛などの潤滑剤を粉砕助剤として用いてもよい。
[プレス成形]
本実施形態では、上記方法で作製された微粉砕粉末に対し、例えばロッキングミキサー内で潤滑剤を例えば0.3質量%添加・混合し、潤滑剤で微粉砕粉末粒子の表面を被覆する。次に、上述の方法で作製した微粉砕粉末を公知のプレス装置を用いて配向磁界中で成形する。印加する磁界の強度は、例えば1.0〜1.7テスラ(T)である。また、成形圧力は、成形体のグリーン密度が例えば4〜4.5g/cm3程度になるように設定される。
[焼結工程]
上記の粉末成形体に対して、例えば、1000〜1200℃の範囲内の温度で10〜240分間行う。650〜1000℃の範囲内の温度で10〜240分間保持する工程と、その後、上記の保持温度よりも高い温度(例えば、1000〜1200℃)で焼結を更に進める工程とを順次行ってもよい。焼結時、特に液相が生成されるとき(温度が650〜1000℃の範囲内にあるとき)、粒界相中のRリッチ相が融け始め、液相が形成される。その後、焼結が進行し、焼結磁石体が形成される。焼結工程の後、時効処理(400℃〜700℃)や寸法調整のための研削を行ってもよい。
Nd:18.6、Pr:5.5、Dy:7.1、B:0.98、Co:0.9、Cu:0.1、Al:0.2、Ga:0.1、残部:Fe(単位は質量%)の組成を有する厚さ0.2mm〜0.3mmの合金薄片をストリップキャスト法により作製した。
次に、この合金薄片を容器に充填し、水素処理装置内に収容した。そして、水素処理装置内を圧力500kPaの水素ガスで満たすことにより、室温で合金薄片に水素吸蔵させた後、放出させた。このような水素処理を行うことにより、合金薄片を脆化し、大きさ約0.15mm〜0.2mmの粗粉砕粉末を作製した。
上記の水素処理により作製した粗粉砕粉末に対し粉砕助剤として0.04質量%のステアリン酸亜鉛を添加し混合した後、ジェットミル装置による粉砕工程を行うことにより、粉末粒径が約3μmの微粉末を作製した。
こうして作製した微粉末をプレス装置により成形し、粉末成形体を作製した。具体的には、印加磁界中で粉末粒子を磁界配向した状態で圧縮し、プレス成形を行った。その後、成形体をプレス装置から抜き出し、真空炉により1050℃で4時間の焼結工程を行い、焼結体ブロックを得た。この焼結体ブロックの酸素含有量を酸素・窒素分析装置(EMGA−620W:HORIBA社製)で測定したところ、0.08質量%であった(熱処理を行うまでこの酸素含有量を維持)。
得られた焼結体ブロックを真空中にて490℃で2.5時間の時効処理を行った後、その表面に対し研削加工を行って寸法調整し、厚さ6mm×縦7mm×横7mmのR−Fe−B系焼結磁石(以下「磁石体試験片1」と称する)を得た。
Nd:16.2、Pr:4.5、Dy:9.1、B:0.93、Co:2.0、Cu:0.1、Al:0.15、Ga:0.07、残部:Fe(単位は質量%)の組成を有する厚さ0.2mm〜0.3mmの合金薄片をストリップキャスト法により作製し、製造例1と同様にして焼結体ブロックを得た。この焼結体ブロックの酸素含有量は0.06質量%であった(熱処理を行うまでこの酸素含有量を維持)。得られた焼結体ブロックから製造例1と同様にして厚さ6mm×縦7mm×横7mmのR−Fe−B系焼結磁石(以下「磁石体試験片2」と称する)を得た。
製造例1で得た磁石体試験片1を超音波水洗した後、図1に示した構成を有する連続処理炉を用いて表面改質を行った。熱処理工程は、露点0℃の大気(酸素分圧20000Pa,水蒸気分圧600Pa,酸素分圧/水蒸気分圧=33.3)の雰囲気下、240℃で120分間行った。熱処理領域(本発明における処理室に相当:容積0.64m3)内の雰囲気形成は、0.12m3/分の流量で露点0℃の大気を熱処理領域内に導入することで熱処理領域内が陽圧状態になるようにして行った(容積1m3あたりの酸素流量は0.037m3/分で全体流量は0.188m3/分。酸素流量は全体流量である大気流量の1/5として換算。大気流量は面積式流量計で制御。以下同じ)。なお、磁石体試験片1の常温(本実施例においては25℃を意味する。以下同じ)から熱処理を行う温度(240℃)までの昇温工程、熱処理工程を行った後の降温工程は、露点−40℃の大気(酸素分圧20000Pa,水蒸気分圧19Pa,酸素分圧/水蒸気分圧=1052)の雰囲気下で行った。磁石体試験片1の表面に形成された改質層の厚みはナノメートルオーダー(1μm未満)であった。なお、改質層の厚みは、表面改質された磁石体試験片1を樹脂埋め研磨後、イオンビーム断面加工装置(SM09010:日本電子社製)を用いて試料作製し、電界放出型走査電子顕微鏡(S−4300:日立ハイテクノロジー社製)を用いて断面観察を行うことによって測定した(以下同じ)。
熱処理工程を露点−40℃の大気(酸素分圧20000Pa,水蒸気分圧19Pa,酸素分圧/水蒸気分圧=1052)の雰囲気下で行ったこと以外は実施例1と同じ方法で磁石体試験片1の表面改質を行った。磁石体試験片1の表面に形成された改質層の厚みはナノメートルオーダー(1μm未満)であった。
製造例2で得た磁石体試験片2を用いたこと以外は実施例2と同じ方法で磁石体試験片2の表面改質を行った。磁石体試験片2の表面に形成された改質層の厚みはナノメートルオーダー(1μm未満)であった。
処理室内の容積が0.0034m3のバッチ式の熱処理炉を用い、処理室内の雰囲気形成を0.003m3/分の流量で露点−40℃の大気を処理室内に導入することで処理室内が陽圧状態になるようにして行ったことと(容積1m3あたりの酸素流量は0.176m3/分で全体流量は0.882m3/分)、熱処理工程を260℃で60分間行ったこと以外は実施例3と同じ方法で磁石体試験片2の表面改質を行った。磁石体試験片2の表面に形成された改質層の厚みはナノメートルオーダー(1μm未満)であった。
露点0℃の大気を用いたこと以外は実施例4と同じ方法で磁石体試験片2の表面改質を行った。磁石体試験片2の表面に形成された改質層の厚みはナノメートルオーダー(1μm未満)であった。
処理室内の雰囲気形成を0.01m3/分の流量で露点0℃の大気を処理室内に導入することで処理室内が陽圧状態になるようにして行ったことと(容積1m3あたりの酸素流量は0.588m3/分で全体流量は2.94m3/分)、熱処理工程を230℃で180分間行ったこと以外は実施例5と同じ方法で磁石体試験片2の表面改質を行った。磁石体試験片2の表面に形成された改質層の厚みはナノメートルオーダー(1μm未満)であった。
熱処理領域内の雰囲気形成を0.07m3/分の流量で露点0℃の大気を熱処理領域内に導入することで熱処理領域内が陽圧状態になるようにして行ったことと(容積1m3あたりの酸素流量は0.022m3/分で全体流量は0.109m3/分)、熱処理工程を400℃で20分間行ったこと以外は実施例1と同じ方法で磁石体試験片1の表面改質を行った。磁石体試験片1の表面に形成された改質層の厚みはナノメートルオーダー(1μm未満)であった。
熱処理工程を400℃で20分間行ったこと以外は実施例1と同じ方法で磁石体試験片1の表面改質を行った。磁石体試験片1の表面に形成された改質層の厚みはナノメートルオーダー(1μm未満)であった。
熱処理工程を265℃で60分間行ったこと以外は実施例5と同じ方法で磁石体試験片2の表面改質を行った。磁石体試験片2の表面に形成された改質層の厚みはナノメートルオーダー(1μm未満)であった。
熱処理工程を220℃で240分間行ったこと以外は実施例3と同じ方法で磁石体試験片2の表面改質を行った。磁石体試験片2の表面に形成された改質層の厚みはナノメートルオーダー(1μm未満)であった。
処理室内の雰囲気形成を0.015m3/分の流量で露点0℃の大気を処理室内に導入することで処理室内が陽圧状態になるようにして行ったこと(容積1m3あたりの酸素流量は0.882m3/分で全体流量は4.41m3/分)以外は実施例6と同じ方法で磁石体試験片2の表面改質を行った。磁石体試験片2の表面に形成された改質層の厚みはナノメートルオーダー(1μm未満)であった。
処理室内の雰囲気形成を0.0004m3/分の流量で露点0℃の大気を処理室内に導入することで処理室内が陽圧状態になるようにして行ったこと(容積1m3あたりの酸素流量は0.023m3/分で全体流量は0.118m3/分)以外は実施例6と同じ方法で磁石体試験片2の表面改質を行った。磁石体試験片2の表面に形成された改質層の厚みはナノメートルオーダー(1μm未満)であった。
実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例6のそれぞれにおいて表面改質を行った磁石体試験片の固有保磁力を、表面改質を行う前の磁石体試験片の固有保磁力と比較し、下記の数式で固有保磁力劣化率を算出した。実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例6のそれぞれの熱処理条件を表1に、算出した固有保磁力劣化率を表2に示す。なお、固有保磁力の測定は、磁気測定装置(SK−130:メトロン技研社製)を用いて行った。
固有保磁力劣化率(%)=((A−B)/A)×100
A:表面改質前の磁石体試験片の固有保磁力(20個の平均値)
B:表面改質後の磁石体試験片の固有保磁力(20個の平均値)
実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例6のそれぞれにおいて表面改質を行った磁石体試験片に対し、温度:60℃×相対湿度:90%の高温高湿条件下での耐食性試験を24時間行い、試験後の表面発錆の有無を外観観察により調べた。試験に供した各30個の磁石体試験片のうち表面発錆が認められた磁石体試験片の個数を表2に示す。また、温度:125℃×相対湿度:85%×圧力:2atmの条件下でのプレッシャークッカーテストを96時間行った後、テープにより脱粒している磁粉を取り除き、テスト前後の磁石体試験片の重量を測定することで磁粉の脱粒による重量減少量を表2に示す(試験に供した10個の平均値)。なお、表2には、磁石体試験片1に対して同様にして行った耐食性評価の結果をあわせて示す。
表1から明らかなように、処理室内を所定の酸化性雰囲気とする際、導入する雰囲気ガスとして用いる大気の流量を適正に調整することにより(本実施例において大気流量は本発明の全体流量に相当し酸素流量は自ずと定まる)、処理室内が適正な陽圧状態になるようにすることで、230℃〜260℃での熱処理で、磁気特性の劣化を引き起こすことなく、優れた耐食性を有する改質層を磁石体試験片の表面に効率的に形成することができた(実施例1〜実施例6)。これに対し、400℃での熱処理では、熱処理温度が高すぎることで3%を超える磁気特性の劣化が認められた(比較例1)。また、処理室内に導入する大気流量を適切に調整することで酸素流量を適切に調整しても結果は同じであった(比較例2)。処理室内に導入する大気流量を適正に調整しても、熱処理温度が265℃では1%の磁気特性の劣化が認められ(比較例3)、熱処理温度が220℃では無視できない磁粉の脱粒が認められた(比較例4)。熱処理温度を適正に調整しても、処理室内に導入する大気流量が多すぎると処理室内の温度分布のばらつきに起因して処理室内の全ての磁石に均一な表面改質を行うことができず、一部の磁石に無視できない磁粉の脱粒が認められ、その結果として重量減少量の増加を招いた(比較例5)。また、処理室内に導入する大気流量が少なすぎることで酸素流量が少なすぎても結果は同じであった(比較例6)。
製造例1で得た磁石体試験片1と製造例2で得た磁石体試験片2のそれぞれについて、240℃〜440℃の範囲の温度において真空中で2時間の熱処理を行った後の固有保磁力を磁気測定装置(TPM−2−10:東英工業社製)を用いて測定し、熱処理を行う前の固有保磁力と比較することで、酸素含有量が0.1質量%以下の磁石の固有保磁力に対して熱処理が及ぼす影響を調べた。結果を図2に示す。なお、図2の縦軸は固有保磁力の劣化率であり、下記の数式で求めたものである。
固有保磁力劣化率(%)=((A−B)/A)×100
A:熱処理前の固有保磁力,B:熱処理後の固有保磁力
図2から明らかなように、磁石体試験片1と磁石体試験片2とも、とりわけ350℃付近において熱処理を行った場合に顕著な固有保磁力の劣化が認められることは酸素含有量が0.3質量%未満の磁石に見られる現象として特許文献8に記載の通りであるが、酸素含有量が0.1質量%以下の磁石に対して特許文献8において推奨される400℃以上での熱処理を行うと2%〜3%の固有保磁力の劣化が認められた。従って、酸素含有量が0.1質量%以下の磁石に対しては400℃以上での熱処理は採用すべきでないことが裏付けられた。
Claims (1)
- 表面改質されたR−Fe−B系焼結磁石の製造方法であって、酸素分圧が1×103Pa〜1×105Paで水蒸気分圧が1000Pa未満であり、かつ、酸素分圧と水蒸気分圧の比率(酸素分圧/水蒸気分圧)が450〜20000の雰囲気を、処理室内の容積1m3あたりの雰囲気ガスの導入を酸素流量として0.028m3/分以上、かつ、全体流量として3m3/分以下の条件で行うことで処理室内が陽圧状態になるようにして形成し、酸素含有量が0.1質量%以下のR−Fe−B系焼結磁石に対し、230℃〜260℃で熱処理を行うことを特徴とする製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011067522A JP5914974B2 (ja) | 2011-03-25 | 2011-03-25 | 表面改質されたR−Fe−B系焼結磁石の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011067522A JP5914974B2 (ja) | 2011-03-25 | 2011-03-25 | 表面改質されたR−Fe−B系焼結磁石の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012204581A JP2012204581A (ja) | 2012-10-22 |
JP5914974B2 true JP5914974B2 (ja) | 2016-05-11 |
Family
ID=47185236
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011067522A Active JP5914974B2 (ja) | 2011-03-25 | 2011-03-25 | 表面改質されたR−Fe−B系焼結磁石の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5914974B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6314381B2 (ja) * | 2013-07-23 | 2018-04-25 | Tdk株式会社 | 希土類磁石、電動機、及び電動機を備える装置 |
CN112259359B (zh) * | 2020-12-22 | 2021-03-19 | 北京中科三环高技术股份有限公司 | 烧结钕铁硼磁体及其防腐蚀处理方法 |
CN114743783B (zh) * | 2022-04-11 | 2024-05-10 | 安徽省瀚海新材料股份有限公司 | 一种降低烧结钕铁硼磁体氧含量的方法 |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07297062A (ja) * | 1994-04-22 | 1995-11-10 | Citizen Watch Co Ltd | 異方性希土類磁石の製造方法およびその方法により製造される磁石 |
JPH08316076A (ja) * | 1995-05-18 | 1996-11-29 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | ネオジム系ボンド磁石の製造方法 |
DE19736514C5 (de) * | 1997-08-22 | 2004-11-25 | Messer Griesheim Gmbh | Verfahren zum gemeinsamen Oxidieren und Wärmebehandeln von Teilen |
JP4190743B2 (ja) * | 2000-05-31 | 2008-12-03 | 信越化学工業株式会社 | 希土類永久磁石の製造方法 |
US6746545B2 (en) * | 2000-05-31 | 2004-06-08 | Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. | Preparation of rare earth permanent magnets |
JP5262903B2 (ja) * | 2009-03-26 | 2013-08-14 | 日立金属株式会社 | 表面改質された希土類系焼結磁石の製造方法 |
JP5262902B2 (ja) * | 2009-03-26 | 2013-08-14 | 日立金属株式会社 | 表面改質された希土類系焼結磁石の製造方法 |
JP5691515B2 (ja) * | 2010-12-28 | 2015-04-01 | 日立金属株式会社 | 耐食性R−Fe−B系焼結磁石の製造方法 |
JP5786398B2 (ja) * | 2011-03-24 | 2015-09-30 | 日立金属株式会社 | 表面改質されたR−Fe−B系焼結磁石およびその製造方法 |
-
2011
- 2011-03-25 JP JP2011067522A patent/JP5914974B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2012204581A (ja) | 2012-10-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4636207B2 (ja) | 表面改質された希土類系焼結磁石の製造方法および表面改質された希土類系焼結磁石 | |
US11024448B2 (en) | Alloy for R-T-B-based rare earth sintered magnet, process of producing alloy for R-T-B-based rare earth sintered magnet, alloy material for R-T-B-based rare earth sintered magnet, R-T-B-based rare earth sintered magnet, process of producing R-T-B-based rare earth sintered magnet, and motor | |
WO2005105343A1 (ja) | 希土類磁石用原料合金および粉末ならびに焼結磁石の製造方法 | |
WO2006112403A1 (ja) | 希土類焼結磁石とその製造方法 | |
WO2007102391A1 (ja) | R-Fe-B系希土類焼結磁石およびその製造方法 | |
JP5900335B2 (ja) | 表面改質された希土類系焼結磁石の製造方法 | |
JP5760400B2 (ja) | R−Fe−B系焼結磁石の製造方法 | |
JP5691515B2 (ja) | 耐食性R−Fe−B系焼結磁石の製造方法 | |
JP5786398B2 (ja) | 表面改質されたR−Fe−B系焼結磁石およびその製造方法 | |
JP5914974B2 (ja) | 表面改質されたR−Fe−B系焼結磁石の製造方法 | |
JP2005150503A (ja) | 焼結磁石の製造方法 | |
JP5613856B1 (ja) | R−t−b系希土類焼結磁石用合金、r−t−b系希土類焼結磁石用合金の製造方法、r−t−b系希土類焼結磁石用合金材料、r−t−b系希土類焼結磁石、r−t−b系希土類焼結磁石の製造方法およびモーター | |
JP2019208013A (ja) | R−t−b系永久磁石およびその製造方法 | |
JP5262903B2 (ja) | 表面改質された希土類系焼結磁石の製造方法 | |
JP2018174314A (ja) | R−t−b系焼結磁石 | |
JP6037213B2 (ja) | 表面改質されたR−Fe−B系焼結磁石の製造方法 | |
JP5326746B2 (ja) | 表面改質されたR−Fe−B系焼結磁石の製造方法 | |
JP5326747B2 (ja) | R−Fe−B系焼結磁石の脱粒防止方法 | |
JP5609209B2 (ja) | 表面改質された希土類系焼結磁石の製造方法 | |
JP5262902B2 (ja) | 表面改質された希土類系焼結磁石の製造方法 | |
JP5445125B2 (ja) | 表面改質されたR−Fe−B系焼結磁石の製造方法 | |
JP2001288546A (ja) | 鉄基合金磁石およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20131218 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140908 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20141007 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20141208 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150804 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150908 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160308 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160321 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5914974 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |