JP5914896B2 - 原水の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、河川水、下水道水、浚渫等により発生する汚濁水、特に水道水を得るための河川から分取した取水等を処理する方法に関する。
従来、上水道を得るための河川水、下水道水、浚渫等により発生する汚濁水等の原水は、一般的に凝集剤を用いて原水中の汚濁物質をフロック化させて除去する方法が採用されている。
このような凝集剤を用いて処理する場合、通常は、原水中に直接凝集剤溶液を添加する方法が採用されている。そして凝集剤の添加量は、原水変動により汚濁物質を可及的に除去するために、過剰量的に使用されているのが現状である。
しかしながら、従来法は、大量の原水中に凝集剤溶液を添加するが、希薄な凝集剤注入となり、物理的にも過激な凝集がのぞめない。また原水中の汚濁物質のフロック化が充分に行われないと凝集不良になり、処理された水中に例えば凝集剤に基因するアルミニウムイオンが残存する等の新たな問題も生じていた。さらに上水道の処理において凝集攪拌効率を高めるため、急速攪拌速度を上げる、攪拌機の馬力数を高める研究がなされ、水処理業界誌に発表されているが、初期攪拌の重要性がエネルギーを過大に消費する事となっている。
そこで本発明者は、攪拌機の馬力をより小さく減速させ、更に少量の凝集剤で、良好なフロックを形成する方法により、原水中の汚濁物質を効率よく除去する方法について種々研究を重ねた結果本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、原水の処理において、原水流入部近傍に、小区画の滞留域部を設け、該滞留域部に原水と凝集剤溶液または少量のスラリーに凝集剤を添加し模擬フロック化した模擬凝集体を水流混合せしめ、良好なフロックを形成して、省エネルギー技術で原水を処理する方法にある。
本発明方法によれば、小区画内の原水に所定の凝集剤を添加すると高濃度となり、過激な凝集反応がおこる。
凝集剤の使用量は従来の様に過剰でなくても適量でよいことになる。また、事前に高濃度凝集を行えば、凝集剤添加後における急速攪拌速度を低減させる事ができる。即ち、可動させる攪拌電力を節減することができる。
凝集の効果は、小規模の原水に高濃度の凝集剤を混合させることが最重要である。
次に本発明の処理装置を用いる場合を例にとり説明する。
一般に処理装置は、正方形または長方形の構造を有する槽を有し、この一端から原水を流入させ、該流入口近傍に凝集剤を添加し、急速攪拌を行った後、次のゾーンで緩速攪拌を行って原水中の汚濁物質をフロック化させた後、沈澱処理装置で固液分離され、上澄水を集・排水されている。
本発明は、このような処理装置において、原水の流入口近傍に、小区画の滞留域部を設ける。滞留域部を設ける手段としては、円筒、箱、カゴ、布製容器、金網製容器、鋼製容器、木製容器、合成樹脂製容器、コンクリート製容器等種々の物品が用いられる。このような物品類を原水流入部近傍に設けることによって、処理装置内の原水の動き(流れ)に対し、滞留域部の原水の動き(流れ)を大きく設定することができる。物品の設定位置は、装置内の水槽の上層部、中層部、下層部のいずれの位置にも設置可能であるが、好ましくは上層部に設けることが最適である。
この滞留域部とする物品の規模としては、処理装置の大きさ、処理する原水の量にもよるが、一般的には、容量換算で毎分当たり原水処理量(L/min)の1000分の1L〜10分の1L、好ましくは200分の1L〜20分の1Lのものが最適である。
これらの物品を必要により一つ以上使用することによって好適に原水の処理が行われる。
処理装置内に設けられた物品(小区画の滞留域部)には、該物品の開放部、穴部、隙間部等から原水が水勢を伴って流入し、原水と凝集剤が初期混合される状態になっており、逐次物品外に流出し、常に除々に原水が入れ換る状態にある。
本発明は、この小区画の滞留域部に凝集剤溶液を添加する。添加された凝集剤溶液は、該滞留域部の原水と混合攪拌され、高密度な凝集が促進される状況下にある。逐次攪拌槽に流出し、滞留域外の原水と混合攪拌されフロック化(成長)し、原水中の汚濁粒子を接触・付着・吸着・肥大化する。
また他の方法として小区画の滞留域部に予めフロックを含有する凝集剤溶液を添加すると一層フロック化を促進させることができる。
フロックを含有する凝集剤溶液の調整方法としては、少量のスラリーに凝集剤を添加し模擬フロック化して小区画の滞留域部に添加させる方法、あるいは沈澱処理装置で処理されたスラリーまたは固形粒子が混入する少量スラリーを小区画の滞留域部で凝集剤と混合し、高密度とする方法などで、凝集剤等を短時間内で良好なフロックを形成し沈澱池で他で固・液分離し清澄水を得ることができる。
少量のスラリーとは、一般的に原水処理量(L/min)に対して1000分の1L/min〜200分の1L/min程度、SS濃度としては、原水のSS濃度が、5mg/L〜100mg/L好ましくは10mg/L〜50mg/L増加する程度が好ましい。
本発明方法のように、原水中に比較的小規模の滞留域部を設け、該滞留域部に凝集剤を添加し、高密度の凝集を段階的に行うことによって、最適な処理を行う事が出来きるとともに、水処理運転操作の簡略化、薬注量の削減、装置のコンパクト化、および消費電力の節減を行うことができる。

Claims (2)

  1. 原水の処理において、原水流入部、急速撹拌ゾーンおよび緩速撹拌ゾーンを有する処理装置を用い、該処理装置の原水流入部の流入口近傍の原水中に、容量換算で毎分当たり原水処理量(L/min)の200分の1L〜20分の1Lの規模の小区画の滞留部を設け、該滞留部に凝集剤溶液を添加することを特徴とする原水の処理方法。
  2. 凝集剤溶液が予めフロックを含有したものである請求項1記載の原水の処理方法。
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