しかし、上記の保持機構によれば、スライドバーの先端を開口に差し通しても差込量が不十分となる虞があり、これによればスライドバーが金具から外れやすくなり、ひいては壁部材が倒れる可能性があった。また、スライドバーを奥まで確実に差し通した場合でも、スライドバーは水平方向に摺動自在であるため、ボックスパレットに対して収容物を出し入れする際、スライドバーに解除方向の力が加わると、摺動して金具の開口から抜けてしまう可能性もあった。
なお、上記とは別の保持機構として、金具の開口を上面が開放された切欠状に形成するとともに、スライドバーを水平方向(摺動方向)が軸方向となるように回動可能に支持し、さらにスライドバーの形状を金具に引掛け可能なL字形またはロ字形に形成したものも提案されている。つまり、解除位置からロック位置に移動させる場合は、スライドバーが金具に当たらないように開口に差し通し、ロック位置に達した後、スライドバーを半回転させることでスライドバーの先端部分を金具に引掛け、解除位置への摺動を規制するものである。これによれば、スライドバーが自然に外れることを防止でき、安全性を高めることが可能となる。しかしながら、この保持機構を採用した場合には、壁部材を保持する場合もその保持状態を解除する場合も、スライドバーに対し水平方向への摺動と周方向への回転とを組み合わせた操作が必要となり、作業が煩雑となっていた。
また、従来のボックスパレットでは、いずれも、スライドバー及びそれを支持する支持具が、壁部材の外側面に取付けられており、壁部材を立設させた状態で外側からスライドバーを操作することが可能になっている。しかしながら、この構成を採用した場合、スライドバー及び支持具が壁部材の外側面から外側に突出した形態となり、例えば、ボックスパレットの搬送中、スライドバーまたは支持具を通路の壁等に引掛けたり衝突させたりする虞があった。また、スライドバー及び支持具が突出して形成されると、壁部材が嵩張ってしまい、複数枚の壁部材を積み重ねることが困難となっていた。なお、スライドバー及び支持具を小型化すれば、壁部材からの突出量を比較的小さく抑えることができるが、これによれば、スライドバーが金具から一層外れやすくなるとともに、スライドバーの操作性が悪くなるという問題が生じる。
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、支柱に対して壁部材を確実に且つ簡単に保持させることができ、またそのように保持させる機構を備えた場合でも、支障となることなく、複数枚の壁部材をコンパクトに積み重ねることができるボックスパレットを提供することを課題とするものである。
本発明にかかるボックスパレットは、「床面を形成するパレット床材と、該パレット床材の少なくとも四隅に立設された複数本の支柱と、互いに対向する前記支柱の間に配置され該支柱の間を閉鎖する閉鎖位置、及び前記支柱から分離され前記支柱の間を開放する開放位置の間で変位可能な複数枚の壁部材と、夫々の該壁部材を前記閉鎖位置で前記支柱に保持する保持機構とを備え、前記保持機構は、前記支柱に設けられた係止孔部と、前記壁部材の内部に配置され、前記係止孔部に係止されるロック位置、及び前記係止孔部に係止されない解除位置、の間で水平方向に摺動可能に設けられたスライドバーと、前記壁部材の内部に配置され、前記スライドバーを前記ロック位置側に付勢するバネ部材と、前記壁部材の内部に配置され、前記バネ部材の弾性力に抗し手動操作により前記スライドバーを前記ロック位置側から前記解除位置側に移動させるためのハンドルとを備え、前記壁部材は、該壁部材の内部に配置され、前記スライドバーを摺動可能に支持する支持ベースと、該支持ベースから前記支柱側に突出して設けられ、内部または前記支持ベースとの間に空隙を有する突設部とをさらに備え、前記支柱は、前記壁部材が前記開放位置から前記閉鎖位置に変位した際、前記突設部に当接し前記壁部材の位置決めを行う位置決め板と、該位置決め板の先端から直角方向に延設され、前記壁部材が前記閉鎖位置の際、前記空隙に挿入される挿入板とをさらに備え、前記係止孔部が前記挿入板に穿設され、前記突設部には、前記スライドバーが嵌挿可能なガイド孔部が形成され、前記支柱には、前記壁部材が前記閉鎖位置の際に前記突設部と対向する面に、前記スライドバーの先端が挿入可能な第二の係止孔部が形成されている」ことを特徴とするものである。
ここで、「パレット床材」及び「壁部材」は、網状(メッシュ状)の部材で形成してもよく、板状の部材で形成してもよい。なお、網状の部材で形成した場合には、ボックスパレットはカゴ状の構造となる。
また、「支柱」は、パレット床材に対し、取外し可能に設けてもよく折畳み可能に設けてもよい。また、パレット床材が比較的大きな場合には、パレット床材の四隅以外の箇所に支柱を立設させてもよい。
また、「壁部材」は、パレット床材に対し、取外し可能に設けてもよく折畳み可能に設けてもよい。また、壁部材の「開放位置」とは、壁部材が支柱の間から離されることで互いに対向する支柱の間が開放された状態となる位置であり、例えば壁部材をパレット床材に取外し可能に設けたものでは、取外した位置が開放位置となり、一方、壁部材をパレット床材に折畳み可能に設けたものでは、折畳んだ位置が開放位置となる。つまり、「閉鎖位置」がボックスパレットの組立状態(使用可能状態)に対応し、「開放位置」がボックスパレットの不使用状態に対応する。なお、壁部材の一部を開閉可能な開閉扉として構成してもよく、この場合には、組立状態であっても、収容物を出し入れするために壁部材を開放位置に変位させる場合がある。
また、「壁部材の内部に配置され」とは、壁部材の壁面から外部に突出しないように配置されることであり、例えば壁の一部に配置スペースを設け、その配置スペース内に収容されるようにしてもよく、あるいは壁部材の内部に埋込むようにしてもよい。なお、どちらの場合も外部から操作できるように、ハンドルは露呈された状態で配置される。
本発明のボックスパレットによれば、壁部材を開放位置から閉鎖位置へ変位させると、壁部材は互いに対向する一対の支柱の間に配置される。壁部材の内部には、壁部材を支柱に保持するための保持機構として、スライドバーと、スライドバーをロック位置側に付勢するバネ部材と、手動操作可能なハンドルとが設けられている。壁部材を立設された状態で保持する際は、ハンドルの操作によってスライドバーを一旦ロック位置側から解除位置側へ移動させた後、スライドバーの先端を支柱に設けられた係止孔部に対向させ、ハンドルから手を離す。すると、スライドバーはバネ部材に付勢されてロック位置側へ移動し、その先端が係止孔部に差し込まれる。これにより、スライドバーが係止孔部に係止され、壁部材は支柱に保持された状態となる。なお、スライドバーをロック位置側へ移動させる際、ハンドルから手を離すことなく、バネ部材の弾性力に従ってゆっくりと移動させるようにしてもよい。
一方、壁部材を閉鎖位置(保持された状態)から開放位置に変位させるには、ハンドルの操作によってスライドバーをロック位置側から解除位置側へ移動させた後、スライドバーの先端が係止孔部に対向しなくなるまで壁部材を開放位置側へ変位させる。すると、その後はハンドルから手を離しても(スライドバーがロック位置側へ移動しても)、係止孔部に係止されないため、壁部材を開放位置まで変位させることが可能となる。
このように、本発明では、バネ部材によってスライドバーをロック位置側に付勢することにより、スライドバーを係止孔部に確実に差し通すことが可能となる。また、スライドバーは、バネ部材の弾性力によって常にロック位置側に付勢されているため、収容物を出し入れする際または搬送する際に、スライドバーを解除位置側へ移動させる外力が作用しても、スライドバーの先端が係止孔部から抜けることを防止でき、壁部材の保持状態を保つことが可能となる。また、壁部材を組立てる際にスライドバーをロック位置側へ移動させ忘れること(すなわちロックし忘れること)がなくなり、安全性を高めることができる。
また、保持機構を構成するスライドバー、バネ部材、及びハンドルは、いずれも壁部材の内部に配置されており、壁部材の外側面から外側に突出していない。このため、複数枚の壁部材を積み重ねる際でも保持機構が障害とならず、コンパクトに積み重ねることが可能となる。
ここで、「突設部」の形状は特に限定されるものではないが、ロ字状、もしくはコ字状またはL字状とすることができる。
本発明のボックスパレットによれば、壁部材には、スライドバーを摺動可能に支持する支持ベースと、支持ベースから支柱側に突出した突設部とが設けられており、壁部材が開放位置から閉鎖位置に変位すると、突設部は位置決め板に当接し、壁部材は定位置(閉鎖位置)に位置決めされる。
また、位置決め板の先端には挿入板が直角方向に延設されており、壁部材が閉鎖位置へ移動すると、挿入板は、突設部の内部、または突設部と支持ベースとの間に形成された空隙に挿入される。ここで、挿入板には係止孔部が設けられているため、スライドバーが解除位置からロック位置に移動すると、挿入板の係止孔部に差し通され、係止された状態となる。このように、壁部材を閉鎖位置に位置決めする位置決め板と、係止孔部を有する挿入板とが、一体的に形成されているため、壁部材を位置決め板に当接させるだけで、スライドバーの先端を係止孔部に正確に対向させることが可能となり、スライドバーを係止孔部に差し通す作業が極めて容易となる。
本発明のボックスパレットによれば、壁部材が閉鎖位置の際に、スライドバーが解除位置からロック位置へ移動すると、スライドバーの先端は、挿入板に形成された係止孔部、突設部に形成されたガイド孔部、及び支柱の側面に形成された第二の係止孔部に順に挿入される。このようにスライドバーが複数の係止孔部に差し通されることで、壁部材の保持状態が一層安定するとともに、スライドバーに加わる力を分散させ、スライドバーの変形等を抑制することができる。
このように、本発明によれば、支柱に対して壁部材を確実に且つ簡単に保持することができ、組立の際の作業性、及び使用時の安全性を高めることができる。また、ボックスパレットを使用しない場合には、複数枚の壁部材を、保持機構が支障となることなくコンパクトに積み重ねることができる。
以下、本発明の実施形態であるボックスパレット1について図1乃至図5に基づき説明する。図1に示すように、本実施形態のボックスパレット1は、略直方体形状の収容空間を有するカゴ形のパレットであり、横幅が奥行の約四倍の大きさとなっている。このボックスパレット1は、床面を形成するパレット床板2と、パレット床板2の四隅に立設された四本のサイド支柱3と、横幅方向を区画するようにサイド支柱3の間に立設された四本のセンター支柱4と、横幅方向の左右両側においてそれぞれ平面視コ形に配置された三枚(合計六枚)の第一壁ユニット5と、横幅方向の中央において左右の第一壁ユニット5を繋ぐように配置された二枚の第二壁ユニット6とを備えて構成されている。つまり、奥行方向においては、一対のサイド支柱3の間に配置された第一壁ユニット5によって一対のサイド支柱3の間(すなわち収容空間の側面)が閉鎖され、横幅方向においては、サイド支柱3及びセンター支柱4の間に配置された第一壁ユニット5と、一対のセンター支柱4の間に配置された第二壁ユニット6とによって、収容空間の側面が閉鎖されている。なお、第二壁ユニット6は、第一壁ユニット5と比べ、高さは等しいが横幅が約二倍の大きさとなっている。ここで、サイド支柱3及びセンター支柱4が本発明の支柱に相当し、第一壁ユニット5及び第二壁ユニット6が本発明の壁部材に相当する。
また、ボックスパレット1の上部には、奥行方向に並んだセンター支柱4同士を繋ぐ二つの補強部材7が横設されており、クレーン等で吊り上げられた際の撓みを防止している。また、パレット床板2の下面には、複数のキャスター8が設けられており、ボックスパレット1を移動させることが可能になっている。
また、図2に示すように、このボックスパレット1は、コンパクトに折畳み可能に構成されている。具体的に説明すると、サイド支柱3はパレット床板2に対して取外し可能に設けられ、センター支柱4はパレット床板2に対して折畳み可能に設けられ、第一壁ユニット5及び第二壁ユニット6はパレット床板2に対して分離可能(サイド支柱3及びセンター支柱4に対して取外し可能)で且つ高さ方向において折畳み可能に設けられている。そして、これらの部材をパレット床板2から取外したり折畳んだりした後、パレット床板2上に積み重ねられるようになっている。なお、パレット床板2から分離され収容空間の側面を開放する第一壁ユニット5及び第二壁ユニット6の位置を、以下「開放位置」という。
ところで、このようにサイド支柱3及びセンター支柱4と、第一壁ユニット5及び第二壁ユニット6とを分離可能に構成したものでは、図1のように組立てる際、すなわち第一壁ユニット5及び第二壁ユニット6によって収容空間の側面を閉鎖する際(以下、この位置を「閉鎖位置」という)、第一壁ユニット5及び第二壁ユニット6が立設した状態で支持されるように、サイド支柱3及びセンター支柱4に対して保持させる必要がある。そこで、本実施形態のボックスパレット1では、夫々の第一壁ユニット5及び第二壁ユニット6と、それらに対向するサイド支柱3及びセンター支柱4とに、保持機構9を備えている。
以下、ボックスパレット1における各部の構成について詳細に説明する。
図1に示すように、パレット床板2は、金属製であり、外郭が横長矩形である枠状のフレーム11と、フレーム11の内側に横設された横設部材(図示しない)と、フレーム11の内側で横設部材の上側に張られた金網状のメッシュ部12とを備えて構成されている。また、図2に示すように、フレーム11の上面四隅には、サイド支柱3の下部が挿脱可能に嵌合される四角筒状のサイド支柱受部13が設けられ、サイド支柱3を立設された状態で支持することが可能になっている。また、フレーム11の横幅方向における中央部分には、センター支柱4の下部が挿入されたセンター支柱受部14が設けられ、センター支柱4を立設された状態で支持するとともに、センター支柱4を立設された状態で持ち上げることにより、夫々のセンター支柱4を横幅方向の中心側に向って回動させること(すなわち折畳むこと)が可能になっている。
図3に示すように、サイド支柱3は、角パイプ17aと、第一壁ユニット5に対向する側面に溶接された平面コ字状の縦部材17bとからなる金属製の支柱本体17を備え、縦部材17bの側面には、高さ方向の中央部分に配置された円筒状の筒状受部19と、筒状受部19の上方及び下方に夫々配置された上側係止金具20及び下側係止金具21とが設けられている。上側係止金具20及び下側係止金具21は、互いに同一の構成であり、縦部材17bの側面に溶接された受板25と、受板25の一端側から延出された位置決め板22と、位置決め板22の先端から直角方向に延出された挿入板23とからなり、平面視コ字形に形成されている。また、挿入板23には、スライドバー42(後述する)が差し通される第一係止孔部24が設けられ、受板25には、スライドバー42の先端が挿入される第二係止孔部26が設けられている。ここで、第一係止孔部24が本発明の係止孔部に相当し、第二係止孔部26が本発明の第二の係止孔部に相当する。
センター支柱4(図1参照)は、サイド支柱3と略同様の構成であるため、ここでは詳細な説明を省略するが、第二壁ユニット6に対向する支柱本体の側面においては、筒状受部(図示しない)が下端近傍に配置され、下側係止金具(図示しない)が高さ方向の略中央部分に配置されている。
図4に示すように、第一壁ユニット5は、金属製であり、収容空間の側面のうち上側半分を閉鎖する上側パネル31と、下側半分を閉鎖する下側パネル32と、下側パネル32に対して上側パネル31を外側に折畳み可能に連結する一対のパネルヒンジ部33とを備えて構成されている。つまり、収容物を出し入れする際には、上側パネル31を外側に傾動させる(開閉扉として開く)ことにより、収容空間の上側半分のみを開放させることができ、一方、ボックスパレット1を使用しない場合には、第一壁ユニット5を折畳むことにより、パレット床板2上に寝かした状態で載置させることが可能になっている。
上側パネル31は、最上部に横設された上部横桟35と、その下側にスペースを介して配置された枠状のパネル枠36と、上側パネル31全体を覆うように上部横桟35及びパネル枠36における収容空間側の面に張られた金網状のメッシュ部37と、上部横桟35及びパネル枠36の間のスペースの両側に夫々配置された一対のロックユニット39とを備えている。
夫々のロックユニット39は、保持機構9として機能するものであり、図4に拡大して示したように、上部横桟35及びパネル枠36を繋ぐ支持ベース40と、支持ベース40の外側面上部からサイド支柱3(図3参照)側に突出して設けられ上側パネル31の内側及び外側に向って開口した空隙41aを有するコ字形の突設部41と、支持ベース40及び突設部41によって支持され、第一係止孔部24及び第二係止孔部26に係止されるロック位置(図5(a)参照)、及び第一係止孔部24及び第二係止孔部26に係止されない解除位置(図5(b)参照)の間で水平方向に摺動可能に設けられたスライドバー42とを備えている。
ここで、支持ベース40は、収容空間を閉塞する背面部46と、背面部46の両端から上側パネル31の内部に向って延出された一対の側面部47とからなり、一対の側面部47にはスライドバー42が挿通する孔部47aが形成されている。また、突設部41は、支持ベース40に対して一体的に形成され、スライドバー42がロック位置に移動した際、スライドバー42が挿通するガイド孔部48が形成されている。また、突設部41の空隙41aは、上述した挿入板23が挿入されるように形成されており、突設部41が上述した位置決め板22に当接すると、挿入板23に形成された第一係止孔部24とガイド孔部48とが対向するようになっている。
また、スライドバー42は直線状の金属棒からなり、長さ方向の中央部分には、スライドバー42を解除位置側へ摺動させた際に、内側の側面部47に当接することで、スライドバー42の摺動を規制する摺動規制部49が突設されている。また、スライドバー42の基部側(内側)にはL形のハンドル44が垂設されており、ハンドル44を握ってスライドバー42を摺動させることが可能になっている。さらに、ハンドル44は内側の側面部47を貫通し支持ベース40の内部まで延びており、その先端部分には円板状のバネ止め部50が一体的に設けられている。そして、内側の側面部47とバネ止め部50との間にコイル状のバネ部材43が介装されており、これによりスライドバー42がロック位置側に付勢されている。
下側パネル32は、枠状のパネル枠53と、パネル枠53の下側にスペースを介して配置され最下部に横設された下部横桟54と、下側パネル32全体を覆うようにパネル枠53及び下部横桟54における収容空間側の面に張られた金網状のメッシュ部55と、パネル枠53及び下部横桟54の間のスペース、特にそのスペースの両側に夫々配置された一対のロックユニット56とを備えている。なお、ロックユニット56は、上側パネル31のロックユニット39の天地を反転させた形状となっているが、基本的な構成は同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、下側パネル32では、サイド支柱3またはセンター支柱4と対向するパネル枠53の側面上部に丸棒状の引掛部57が設けられており、サイド支柱3またはセンター支柱4に形成された上述の筒状受部19(図3参照)に上方から挿入されるようになっている。つまり、下側パネル32は、下部側がロックユニット56によって支持され、上部側が引掛部57によって支持されている。
一方、第二壁ユニット6(図1参照)は、第一壁ユニット5と殆ど同じ構成であるため詳細な説明を省略するが、下側パネル6aにおいては、ロックユニット39と同一構成のロックユニット(図示しない)が下側パネル6a上部側面に配置され、引掛部57と同一構成の引掛部(図示しない)が下部側面に配置されている。
次に、本実施形態のボックスパレット1の組立方法、特に保持機構9の作用について説明する。ボックスパレット1を不使用状態(図2参照)から使用可能状態(図1参照)に組立てるには、まず、パレット床板2上に載置された各部材を取出し、四本のセンター支柱4を引き起こして立てる。また、四本のサイド支柱3をサイド支柱受部13に差込み、サイド支柱3を立設させる。
その後、六枚の第一壁ユニット5を夫々組立てる。詳しくは、一対のサイド支柱3の間、またはサイド支柱3及びセンター支柱4の間に、各第一壁ユニット5を折り畳まれた状態で上側から挿入し、下側パネル32の側面に形成された引掛部57を筒状受部19に挿入する。次に、上側パネル31を引き起こすとともに、上側パネル31の上部側をロックユニット39によって固定し、下側パネル32の下部側をロックユニット56によって固定する。
具体的には、図5に示すように、ハンドル44の操作によってスライドバー42を一旦解除位置側(図5(b)参照)へ摺動させた後、突設部41を位置決め板22に当接させる。これにより、スライドバー42の先端を挿入板23の第一係止孔部24に対向させることが可能となる。そこで、ハンドル44から手を離す(またはバネ部材43に抗する手の力を徐々にゆるめる)。すると、図5(a)に示すように、スライドバー42はバネ部材43に付勢されてロック位置側へ移動し、その先端が挿入板23の第一係止孔部24、及び突設部41のガイド孔部48に差し通され、受板25の第二係止孔部26に差し込まれる。これにより、スライドバー42が第一係止孔部24及び第二係止孔部26に係止され、第一壁ユニット5はサイド支柱3またはセンター支柱4に対して保持された状態となる。
その後、第一壁ユニット5の場合と同様の方法で、二枚の第二壁ユニット6を組立て、最後に二本の補強部材7をセンター支柱4に取付ける。
なお、使用可能状態(図1参照)のボックスパレット1を不使用状態(図2参照)に折畳むには、上記の組立方法と逆の手順で分解または解除すればよい。例えば、第一壁ユニット5を閉鎖位置(保持状態)から開放位置に変位させるには、ロックユニット39及びロックユニット56において、ハンドル44を操作しスライドバー42をロック位置側(図5(a)参照)から解除位置側(図5(b)参照)へ移動させ、上側パネル31を下側パネル32側に折畳むとともに、第一壁ユニット5を持ち上げる。これにより、スライドバー42の先端が第一係止孔部24に対向しなくなり、且つ引掛部57が筒状受部19から外れ、サイド支柱3またはセンター支柱4に対する第一壁ユニット5の保持状態が解除される。
このように、本実施形態のボックスパレット1によれば、バネ部材43によってスライドバー42をロック位置側に付勢するため、スライドバー42を第一係止孔部24に確実に差し通すことができる。また、スライドバー42は、バネ部材43の弾性力によって常にロック位置側に付勢されているため、収容物を出し入れする際または搬送する際に、スライドバー42を解除位置側へ移動させる外力が作用しても、スライドバー42の先端が第一係止孔部24から抜けることを防止でき、第一壁ユニット5及び第二壁ユニット6の保持状態を保つことができる。また、第一壁ユニット5及び第二壁ユニット6を組立てる際にスライドバー42をロックし忘れることがなくなり、安全性を高めることができる。
また、本実施形態のボックスパレット1によれば、保持機構9を構成する各部材(すなわち支持ベース40、スライドバー42、バネ部材43、及びハンドル44)は、いずれも第一壁ユニット5及び第二壁ユニット6の内部に配置されているため、複数枚の第一壁ユニット5または第二壁ユニット6を積み重ねる際でも保持機構9が障害とならず、コンパクトに積み重ねることができる。
また、本実施形態のボックスパレット1によれば、第一壁ユニット5及び第二壁ユニット6を閉鎖位置に位置決めする位置決め板22と、第一係止孔部24を有する挿入板23とが、一体的に形成されているため、第一壁ユニット5または第二壁ユニット6を位置決め板22に当接させるだけで、スライドバー42の先端を第一係止孔部24に正確に対向させることが可能となり、極めて容易に、スライドバー42を第一係止孔部24に差し通すことができる。
さらに、本実施形態のボックスパレット1によれば、スライドバー42が受板25の第二係止孔部26にも挿入されるため、第一壁ユニット5及び第二壁ユニット6の保持状態を一層安定させることができ、しかもスライドバー42に加わる力が分散されることから、スライドバー42の変形等を抑制することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記実施形態では、第一壁ユニット5及び第二壁ユニット6を、パレット床板2に対して取外し可能に設けるものを示したが、パレット床板2に対して折畳み可能に設けるようにしてもよい。また、第一壁ユニット5及び第二壁ユニット6を、上側パネル31及び下側パネル32から構成し、パネルヒンジ部33を介して折畳み可能としたものを示したが、折畳む必要がない場合には一枚のパネルで構成してもよい。
さらに、上記実施形態では、ハンドル44から延出された軸にバネ止め部50を形成し、バネ部材43をバネ止め部50と側面部47との間に設けるものを示したが、スライドバー42にバネ止め部を形成し、そのバネ止め部と側面部47との間にバネ部材43を配置するようにしてもよい。