JP5911270B2 - 砒素含有水の処理方法 - Google Patents
砒素含有水の処理方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5911270B2 JP5911270B2 JP2011250295A JP2011250295A JP5911270B2 JP 5911270 B2 JP5911270 B2 JP 5911270B2 JP 2011250295 A JP2011250295 A JP 2011250295A JP 2011250295 A JP2011250295 A JP 2011250295A JP 5911270 B2 JP5911270 B2 JP 5911270B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- arsenic
- containing water
- amount
- added
- alkali
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Removal Of Specific Substances (AREA)
- Treatment Of Water By Oxidation Or Reduction (AREA)
Description
砒素含有水から砒素を除去する方法としては、例えば、砒素含有水に3価鉄を添加し、殿物と共沈させる水酸化鉄共沈法、砒酸鉄(FeAsO4)又は砒酸カルシウム(CaFeAsO4)として固定することにより除去する方法などが知られている。
しかし、この提案では、砒素濃度が0.05mg/L〜5mg/Lの砒素含有水を処理対象としており、10mg/L以上の砒素濃度の砒素含有水に適応すると、装置が大型化し、薬剤コストが高価になってしまう。そこで、非鉄製錬業の工程から発生する高濃度に砒素を含有し、更に亜硫酸等の強還元性物質を含有する排水から砒素を十分に除去できる方法の提供が望まれている。
<1> 砒素含有水に8g/L以下の添加量でポリ硫酸第二鉄を添加した後、アルカリを加えてpH9以上とし、pH9以上の状態を保持しながら酸化剤を添加し、固液分離することを特徴とする砒素含有水の処理方法である。
<2> 砒素含有水に8g/L以下の添加量でポリ硫酸第二鉄を添加した後、アルカリを加えてpH9以上とし、pH9以上の状態を保持しながら酸化剤を添加し、固液分離する工程を2回以上繰り返す前記<1>に記載の砒素含有水の処理方法である。
<3> 酸化剤が、次亜塩素酸塩である前記<1>から<2>のいずれかに記載の砒素含有水の処理方法である。
<4> アルカリがカルシウム系アルカリ剤である前記<1>から<3>のいずれかに記載の砒素含有水の処理方法である。
<5> 砒素含有水が、砒素含有量が10mg/L以上である非鉄製錬における砒素を含有する排水である前記<1>から<4>のいずれかに記載の砒素含有水の処理方法である。
本発明の砒素含有水の処理方法は、砒素含有水に8g/L以下の添加量でポリ硫酸第二鉄を添加した後、アルカリを加えてpH9以上とし、pH9以上の状態を保持しながら酸化剤を添加し、固液分離する工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記砒素含有水としては、砒素を含有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、自然環境に存在する各種の水(例えば、河川水、湖沼水、温泉排水、地熱水、又は鉱山跡地からの排水)、産業排水(例えば、農薬工場、薬品工場、硫酸精錬工場、木材防腐処理施設、ガラス製造工場、金属製錬工場、非鉄精錬工場、電子部品製造施設、ゴミ処理施設、又は地熱発電所からの産業排水)、化学実験室、生物実験室などで生成される砒素含有排水などが挙げられる。これらの中でも、10mg/L以上の高濃度に砒素を含有している点から、非鉄製錬における砒素を含有する排水が好適である。
前記砒素含有水における砒素の含有量は、砒素含有水の入手先、砒素含有水の種類などにより異なり一概には規定できないが、10mg/L以上であっても処理可能であり、100mg/L以上であってもよく、500mg/L程度までは処理可能である。なお、砒素の含有量が、10mg/L未満であっても勿論処理可能である。
本発明においては、上述したように、砒素含有水にポリ硫酸第二鉄を添加した後、アルカリを加えてpH9以上とし、pH9以上の状態を保持しながら酸化剤を加え固液分離する一連の工程を2回以上繰り返す多段処理が可能であるため、前記砒素含有水における砒素の含有量が、高濃度であっても処理可能である。
前記砒素含有水には、砒素以外に硫黄、セレン、重金属などを含んでいてもよい。前記重金属としては、例えば、銅、鉛、鉄、亜鉛、マンガン、カドミウム、アンチモン、ウラニウムなどが挙げられる。前記セレン、重金属の少なくとも一部は、砒素の除去と一緒に砒素含有水から除去される。
前記ポリ硫酸第二鉄は、式:[Fe2(OH)n(SO4)3−n/2]m〔ただし、式中、n<2であり、m>10である。〕で表される化合物である。
前記ポリ硫酸第二鉄としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、ポリテツ R(日鉄鉱業株式会社製)、バイオフェリック(卯根倉鉱業株式会社製)などが挙げられる。
前記ポリ硫酸第二鉄は、前記砒素含有水に対し、液体状、溶液状、及び固体状の少なくともいずれかの形態で添加することができる。
前記砒素含有水にポリ硫酸第二鉄を添加すると、水酸化第二鉄が析出し、この析出した水酸化第二鉄が凝縮して沈降する。この水酸化第二鉄が析出して凝縮する際に、砒素含有水中の砒素イオン及び砒素化合物を捕捉するものと考えられる。
前記アルカリとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、苛性ソーダ(NaOH)、苛性カリ(KOH);石灰、生石灰(CaO)、消石灰(Ca(OH)2)、炭酸カルシウム等のカルシウム(Ca)系アルカリ剤;酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等のマグネシウム(Mg)系アルカリ剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルシウム系アルカリ剤がpHの調整が容易であり、かつ砒素の除去をより効果的にする点から特に好ましい。
前記アルカリとしてカルシウム系アルカリ剤を用いた場合には、前記アルカリの添加量がカルシウム濃度で100mg/L以上であることが好ましい。
前記アルカリは、前記砒素含有水に対し、アルカリ剤、及びアルカリ水溶液の少なくともいずれの形態で添加することができる。
前記砒素含有水にポリ硫酸第二鉄を添加した後、前記アルカリを加えてpH9以上、好ましくはpH10以上に調整する。このpH9以上の状態を保持しながら酸化剤を添加する。
前記pHが、9未満であると、砒素の除去能力が低下してしまうことがあり、pHが11以上では発生殿物の量が徐々に増加し、pHが11.5以上になると殿物の発生量が急激に増加するので、pH10〜11がより好ましい。前記pHが、前記より好ましい範囲であると、砒素の除去効果及び重金属の除去の観点から有利である。
前記pHは、例えば、市販のpHメーターにより測定することができる。
前記酸化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、次亜塩素酸塩、過酸化水素、空気、酸素ガス、オゾンガス、オゾン水などが挙げられる。これらの中でも、酸化効率の観点から、次亜塩素酸塩が特に好ましい。なお、酸素ガス、オゾンガス、又は空気を用いる場合には、バブリングを行うのが好ましい。
前記次亜塩素酸塩としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウムなどが挙げられ、次亜塩素酸ナトリウムが特に好ましい。
前記酸化剤の添加量は、還元物質が含まれる場合、砒素の含有量とその還元物質の濃度の総和以上であれば特に制限はない。
前記固液分離処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、膜濾過、吸引濾過、加圧濾過、沈降分離、遠心分離などが挙げられる。
前記固液分離処理では、発生殿物と濾液とを分離することができる。
得られた濾液の砒素含有量を、高周波誘導結合プラズマ(ICP)質量分析装置などで測定することにより、砒素の除去効果を確認することができる。
前記その他の工程としては、必要に応じて、例えば、撹拌工程、洗浄工程、乾燥工程などが挙げられる。
また、図2は、本発明の砒素含有水の処理方法の他の一例を示す工程図である。この図2は、図1に示す一連の処理工程を2回繰り返して処理するものである。これにより、砒素含有量が10g/L以上の高濃度であっても、排水基準の0.1mg/L以下にまで除去することができる。
砒素含有水として非鉄製錬の工程で発生した排水を用いた。この砒素含有排水は、220mg/Lの砒素(As)を含み、更に銅、鉛、鉄、セレン及び硫黄をそれぞれ1mg/L〜5mg/L含んでおり、pHは1以下であった。
砒素含有排水1Lに28℃でポリ硫酸第二鉄(バイオフェリック、卯根倉鉱業株式会社製)を1g/L添加した。ポリ硫酸第二鉄を含む排水を撹拌し、次いで、石灰を添加しながら、pHを10とした。pH10を保持しながら、酸化剤としての次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度5%)を2,000mg/L添加した。pHは、pHメーター(株式会社堀場製作所製、HORIBA 9625−10D)を用いて測定した。
その後、得られた処理液をNo.5Cろ紙とブフナロートを用いて減圧濾過により濾過して、殿物と濾液とに分離した。得られた濾液の残砒素濃度を高周波誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS Agilent 7500)で測定したところ、0.4mg/Lであった。この時、セレン濃度は0.04mg/Lであった。
発生殿物量は2.5kg・dry/m3であった。ここで、発生殿物量は、処理した水量(m3)に対する、発生した沈殿物の乾燥質量(kg・dry)である。
実施例1において、得られた濾液を砒素含有水として用い、実施例1と同じ条件で処理を行った。その結果、残砒素濃度は0.01mg/Lであり、0.1mg/L以下の排水基準以下となり、排出できる液成分となった。この時、セレン濃度は0.01mg/Lであった。なお、他の成分も排水基準を満たしていた。また、発生殿物量は5.5kg・dry/m3と少量であった。
実施例1において、石灰の添加を調整してpH10をpH5とし、このpH5を保持しながら酸化剤としての次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度5%)を2,000mg/L添加した以外は、実施例1と同様にして処理を行った。その結果、残砒素濃度は119mg/Lとなり、砒素が十分に除去できないことがわかった。
実施例1において、ポリ硫酸第二鉄の添加量を10g/Lとした以外は、実施例1と同様にして処理を行った。その結果、残砒素濃度は0.4mg/Lと実施例1と同レベルの良好な結果が得られたが、発生殿物量が20kg・dry/m3と多く発生した。
実施例1において、ポリ硫酸第二鉄の添加量を10g/Lとし、石灰の添加を調整してpH10をpH5とし、このpH5を保持しながら酸化剤としての次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度5%)を2,000mg/L添加した以外は、実施例1と同様にして処理を行った。その結果、残砒素濃度は0.23mg/Lとなり、発生殿物量は20kg・dry/m3と多く生じた。
実施例1において、ポリ硫酸第二鉄の添加量を10g/Lとし、酸化剤としての次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度5%)の添加量を10,000mg/Lとした以外は、実施例1と同様にして処理を行った。その結果、残砒素濃度は1.2mg/Lであり、発生殿物量が20kg・dry/m3と多く発生した。
実施例2において、酸化剤としての次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度5%)を添加しなかった以外は、実施例2と同様にして処理を行った。その結果、残砒素濃度は、0.55mg/Lであり、発生殿物量は、5.8kg・dry/m3となった。
比較例5は、実施例2と比較して、残砒素濃度の減少効果が得られず、発生殿物量も多く生じた。
Claims (5)
- 砒素含有量が10mg/L以上である非鉄製錬における排水である砒素含有水に、8g/L以下の添加量でポリ硫酸第二鉄を添加した後、アルカリを加えてpH10以上11以下とし、pH10以上11以下の状態を保持しながら酸化剤を添加し、固液分離することを特徴とする砒素含有水の処理方法。
- 砒素含有水に8g/L以下の添加量でポリ硫酸第二鉄を添加した後、アルカリを加えてpH10以上11以下とし、pH10以上11以下の状態を保持しながら酸化剤を添加し、固液分離する工程を2回以上繰り返す請求項1に記載の砒素含有水の処理方法。
- 酸化剤が、次亜塩素酸塩である請求項1から2のいずれかに記載の砒素含有水の処理方法。
- アルカリがカルシウム系アルカリ剤である請求項1から3のいずれかに記載の砒素含有水の処理方法。
- ポリ硫酸第二鉄の添加量が、0.5g/L以上8g/L以下である請求項1から4のいずれかに記載の砒素含有水の処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011250295A JP5911270B2 (ja) | 2011-11-16 | 2011-11-16 | 砒素含有水の処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011250295A JP5911270B2 (ja) | 2011-11-16 | 2011-11-16 | 砒素含有水の処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013103203A JP2013103203A (ja) | 2013-05-30 |
JP5911270B2 true JP5911270B2 (ja) | 2016-04-27 |
Family
ID=48623185
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011250295A Expired - Fee Related JP5911270B2 (ja) | 2011-11-16 | 2011-11-16 | 砒素含有水の処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5911270B2 (ja) |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4591641B2 (ja) * | 2000-12-05 | 2010-12-01 | Necファシリティーズ株式会社 | 濃厚無機成分含有排水の水酸化鉄凝集沈澱処理方法 |
JP2004290777A (ja) * | 2003-03-26 | 2004-10-21 | Nittetsu Mining Co Ltd | ヒ素含有水の処理方法 |
JP4614093B2 (ja) * | 2006-02-03 | 2011-01-19 | Dowaメタルマイン株式会社 | 砒素含有排水の処理方法 |
-
2011
- 2011-11-16 JP JP2011250295A patent/JP5911270B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013103203A (ja) | 2013-05-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
RU2766116C2 (ru) | Получение фосфатных соединений из материалов, содержащих фосфор и по меньшей мере один металл, выбранный из железа и алюминия | |
JP5943176B2 (ja) | 有害物質含有水の処理方法および処理装置。 | |
JP5717883B2 (ja) | 難溶性カルシウム−ヒ素化合物の生産方法 | |
CN108128917B (zh) | 利用拜耳法赤泥去除铜冶炼污酸中多种污染物的方法 | |
JP2020104115A (ja) | シアン含有廃水の処理方法 | |
WO2015042990A1 (zh) | 一种深度去除水体中持久性有机污染物和重金属的方法 | |
JP5685456B2 (ja) | ポリ硫酸第二鉄の製造方法 | |
JP2013075260A (ja) | フッ素および有害物質を除去する処理方法と処理装置 | |
JP4954131B2 (ja) | ホウフッ化物含有水の処理方法 | |
JP5118572B2 (ja) | 下水処理方法 | |
JP5915834B2 (ja) | 浄化処理材の製造方法 | |
CN112978994A (zh) | 一种不锈钢酸洗废水处理及同步合成次生铁矿物的方法 | |
JP5206453B2 (ja) | セメントキルン抽気ダストの処理方法 | |
JP2006116468A (ja) | 鉱山廃水の処理方法 | |
JP4670004B2 (ja) | セレン含有水の処理方法 | |
KR101559852B1 (ko) | 식각공정에서 발생하는 붕불산 폐수의 처리방법 | |
JP5911270B2 (ja) | 砒素含有水の処理方法 | |
JP2018083172A (ja) | 排水処理方法、排水処理装置およびそれを備えた石炭ガス化発電設備 | |
JP2007203239A (ja) | 砒素含有排水の処理方法 | |
JP2006346618A (ja) | セレン含有排水の処理方法 | |
AU2017221284B2 (en) | Process for reduction of sulfide from water and wastewater | |
JP2010075849A (ja) | 塩素含有微粉状廃棄物の処理方法 | |
JP6517570B2 (ja) | 重金属個別分離回収装置及び重金属個別分離回収方法 | |
JP4756415B2 (ja) | ガスの処理方法 | |
UA125671C2 (uk) | Спосіб обробки стічних вод |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140912 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150617 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150707 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150904 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160301 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160329 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5911270 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |