以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、食品の製造ライン又は検査ライン(以下、「作業ライン」という。)におけるフィルム型培地を用いた衛生管理システムに対して、本発明に係る培地情報登録システム、プログラム、コロニー検出装置及び衛生管理システムを適用した場合の実施形態である。ただし、本発明は、その技術的思想を含む範囲内で以下の実施形態に限定されない。
[1]衛生管理システム
まず、図1を用いて本実施形態の衛生管理システムSについて説明する。なお、図1は、本実施形態の衛生管理システムSの構成を示す構成図である。
本実施形態の衛生管理システムSは、フィルム型の培地(すなわち、フィルム型培地)を用いるとともに、当該培地に関する情報(以下、「培地情報」という。)をデータ管理することによって、食品の製造上又は検査上の衛生状態を検査するためのシステムである。
また、本実施形態の衛生管理システムSは、加工中又は加工後の食品を製造する製造工程又は当該食品を検査する検査工程を有する作業ライン80において、製造中又は製造後の食品を検体として抽出し、フィルム型培地60で検体に発生している一般性菌又は大腸菌等の予め特定した菌を培養させた際の培養状況をデータ管理するシステムである。
そして、衛生管理システムSは、食品の衛生状態をデータ上で管理及び判定するために、食品の製造又は検査における作業に関する情報(以下、「作業情報」という。)と、当該抽出した検体に発生する菌(コロニー)を培養する前後において携帯用通信端末装置10によって取得されるフィルム型培地60の培地情報と、を対応付けてサーバ装置40(具体的には、データベース400)に登録することが可能な構成を有している。
特に、本実施形態の衛生管理システムSは、培養開始から所定の時間経過後に、フィルム型培地60が画像化された培地画像について、当該培地画像を構成する各ピクセルの輝度値等の色に関する特徴量を抽出するとともに、当該各ピクセルの特徴量に基づいて、一以上のピクセルによって構成されるコロニーの検出及びその計数を実行する構成を有している。そして、衛生管理システムSは、検出したコロニー数を少なくとも含む培地情報をデータベース400に記憶するための構成を有している。
このような構成を実現するために、本実施形態の衛生管理システムSは、図1に示すように、各フィルム型培地60に関する培地情報を登録する際に用いる複数の携帯用通信端末装置10と、当該衛生管理システムSを管理する管理者端末装置20と、ネットワーク30と、データベース400を有し、かつ、携帯用通信端末装置10又は管理者端末装置20と連動し、培地情報の登録管理を含む各種の処理を実行するサーバ装置40と、を有している。
本実施形態の作業情報は、製造工程又は検査工程に係わる各種の情報の他に、検体として製造工程又は検査工程から抽出された食品及び当該検体に発生するコロニーの培養に関する情報を含み、作業毎に、固有の識別情報(以下、「作業ID」という。)を用いてデータベース400に登録されるようになっている。具体的には、各作業情報には、
(1)作業IDと、
(2)検体を抽出すべき作業ライン80の識別情報(以下、「ラインID」という。)又は作業ライン80が複数の工程を有している場合には、ラインID及び工程の識別情報(以下、「工程ID71b」という。)と、
(3)検体としての食品の製品名、ロットの識別情報(以下、「ロットID」という。)及びロット名と、
(4)一般性菌又は大腸菌等の検体から検出する菌の種別(以下、「検査種別」という。)と、
(5)希釈倍率、希釈液の種別、培養温度、培養湿度及び培養時間等の検体の培養条件と、
(6)検体の培養開始時刻と、
(7)検体の培養開始から所定の時間経過後の時刻(以下、「培養検査時刻」ともいう。)と、
(8)インキュベータ番号及びインキュベータ内の段数等の位置等の検体の培養場所と、
(9)作業開始時刻及び終了時刻を示す作業日時と、
(10)作業者ID(社員ID)及び作業者名と、
が含まれる。そして、作業情報の各情報は、種別毎にかつ作業毎にデータベース400に登録されている。
携帯用通信端末装置10は、例えば、通信機能を有するデジタルカメラ、タブレット型情報端末装置、スマートフォン又は携帯用電話機等、静止画像等の撮像機能又は録画機能(以下、単に「カメラ機能」という。)を有し、かつ、作業者によって携帯可能な通信端末装置である。
特に、携帯用通信端末装置10は、カメラ機能によって、フィルム型培地60を画像化して画像データ(以下、「培地画像データ」という。)を生成するとともに、作業指示書70を画像化して指示書画像を生成することが可能な構成を有している。そして、携帯用通信端末装置10は、画像化された指示書画像のデータ(以下、「指示書画像データ」という。)及びフィルム型培地60の培地画像データから作業ID71及び培地ID66を取得し、当該取得した作業ID71及び培地ID66と、培地画像データと、当該培地画像データのメタデータと、を培地情報として、サーバ装置40のデータベース400に登録することが可能な構成を有している。
一方、携帯用通信端末装置10は、培地情報をサーバ装置40に送信する際には、BLUETOOTH(登録商標)、ワイヤレスLAN(WLAN:Wireless Local Area Network)又はワイヤレスPAN(WPAN:Wireless Personal Area Network)等の近距離無線用の通信規格を用いて直接若しくはアクセスポイント50を介してサーバ装置40に送信し、又は、図示しない移動基地局を介して公衆電話回線網を用いてサーバ装置40に送信する構成を有している。そして、携帯用通信端末装置10は、XML(eXtensible Markup Language)等のマークアップ言語によって構築されたブラウザ機能を有し、当該ブラウザ機能を用いて作業者の操作入力指示及び操作確認を実行するとともに、当該ブラウザ機能を介して培地情報をサーバ装置40に送信するようになっている。
管理者端末装置20は、例えば、タブレット型情報端末装置、スマートフォン、パーソナルコンピュータ又はワークステーション等の情報通信端末装置である。そして、管理者端末装置20は、管理者の識別情報(以下、「管理者ID」という。)と管理者のパスワード及び作業者の識別情報(以下、「作業者ID」という。)を管理し、サーバ装置40へのアクセス権限の管理、携帯用通信端末装置10の端末IDの管理、及び、登録された培地情報の修正その他の管理を行うことができる制御装置として機能する。
また、管理者端末装置20は、携帯用通信端末装置10と同様に、マークアップ言語によって構築されたブラウザ機能を有し、当該ブラウザ機能を用いてサーバ装置40とのデータの授受、報告書の閲覧等を実行することができる構成を有している。
なお、管理者端末装置20は、同一ロット内において、工程を実行する機械の故障その他によって各作業が中断した場合に、又は、作業者における培地情報の登録ミス等が発生した場合に、培地情報その他の情報を修正することができる構成を有している。
ネットワーク30は、例えば、携帯電話網を含む公衆電話回線網(以下、「長距離通信ネットワーク」という)、近距離無線ネットワーク等のIP(Internet Protocol)ネットワーク、又は、その双方が相互接続されて構成されている。ただし、当該ネットワーク30の構成は、これに限られない。
サーバ装置40は、携帯用通信端末装置10又は管理者端末装置20と連動し、ロット及び作業ライン80の衛生管理を行うための各データ処理を実行するために用いられるサーバ装置である。
特に、サーバ装置40は、携帯用通信端末装置10と連動し、データベース400に、培養開始前の各フィルム型培地60における培地情報の登録(以下、「初期登録」という。)、及び、培養開始後の登録(以下、「培養後登録」という。)を行うとともに、携帯用通信端末装置10から送信された培地情報を取得し、当該取得した培地情報に含まれる培地画像データによって形成される培地画像から、検体に発生して培養されたコロニーを検出する構成を有している。
基本的には、サーバ装置40は、コロニーを検出するために、
(1)フィルム型培地60が撮像されて画像化された培地画像を有する培地画像データを(携帯用通信端末装置10から)取得し、
(2)輝度値等の培地画像を構成する各ピクセルの色に関する特徴量を抽出し、
(3)抽出した各ピクセルの特徴量に基づいて、一以上のピクセルによって構成されるコロニー候補を検出し、
(4)検出された各コロニー候補について他のコロニー候補と同一のコロニーを構成するか否かを判定し、
(5)判定結果に基づいてコロニー数を計数し、
(6)計数されたコロニーの数を少なくとも含む培地に関する情報を培地情報としてデータベースに登録する
構成を有している。
そして、サーバ装置40は、(4)の処理については、特定されたコロニー候補毎に、
(A)該当するコロニー候補(以下、「第1コロニー候補」という。)の培地画像上の特徴位置(以下、「第1コロニー候補特徴位置」という。)を決定しつつ、当該第1コロニー候補に属するピクセルの特徴量に基づいて当該第1コロニー候補の特徴量(以下、「第1コロニー候補特徴量という」。)を決定し、
(B)当該第1コロニー候補とは異なるコロニー候補(以下、「第2コロニー候補」という。)について、培地画像上の特徴位置(以下、「第2コロニー候補特徴位置」という。)を決定しつつ、当該第2コロニー候補に属するピクセルの特徴量に基づいて当該第2コロニー候補の特徴量(以下、「第2コロニー候補特徴量という」。)を決定し、
(C)培地画像上における、第1特徴位置と第2特徴位置の位置(以下、「参考位置」という。)を決定しつつ、参考位置に隣接するピクセル及び当該参考位置を包含するピクセルの少なくともいずれかに属するピクセルの特徴量に基づいて当該参考位置の特徴量を参考特徴量として決定し、
(D)第1コロニー候補、第2コロニー候補及び参考位置の各特徴量に基づいて第1コロニー候補と第2コロニー候補が同一のコロニーを構成するか否かを判定する
構成を有している。
特に、本実施形態のサーバ装置40は、第1コロニー候補特徴量と第2コロニー候補特徴量に基づいて、参考位置の特徴量を算出特徴量として算出し、算出特徴量と参考特徴量の差に基づいて、第1コロニーと第2コロニーとが同一のコロニーを構成するか否かを判定する構成を有している。
また、本実施形態のサーバ装置40は、状況に応じて、参考位置として第1コロニー候補特徴位置と第2コロニー候補特徴位置との間に複数の位置を設定し、第1コロニー候補、前記第2コロニー候補及び複数の参考位置の各特徴量に基づいて第1コロニー候補と第2コロニー候補が同一のコロニーを構成するか否かを判定する構成を有している。そして、本実施形態のサーバ装置40は、第1コロニー候補特徴位置と前記第2コロニー候補特徴位置の培地画像上の距離に応じて使用する参考位置の数を変化させる構成を有している。
さらに、本実施形態のサーバ装置40は、第2コロニー候補が、第1コロニー候補に対して予め定められた条件を有し、また、参考位置が、第1コロニー候補特徴位置から第2コロニー候補特徴位置までの長さを2以上に均等分割するための培地画像上の位置となるように第2コロニー候補又は参考位置を決定する構成を有している。
なお、本実施形態においては、各コロニー候補の特徴位置としては、参考位置を用いて説明するが、当該特徴位置は、これに限らず、輝度値等の各ピクセルの特徴量を用いて規定される培地画像上の位置であって、コロニーの検出判定を実行する際に、個々のコロニーと他のコロニーとの連結結合の判定に用いる培地画像上の位置である。
このような構成により、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、2つのコロニー候補が同一のコロニーを構成するか否かを判定する際に、当該2つのコロニー候補の間に形成される位置であって、一のコロニー候補から他のコロニー候補への特徴量の変化が現れる培地画像上の位置(すなわち、参考位置)の特徴量を用いることができるので、参考位置における2つのコロニー候補との特徴量の関係性を参酌して当該判定を行うことができるようになっている。
すなわち、2つのコロニー候補が同一のコロニーを形成しているならば、2つのコロニー候補間の参考位置の特徴量と2つのコロニー候補の各特徴量とには線形関数等の所定の関連性を有することになるので、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、参考位置の特徴量を用いることによって、2つのコロニー候補が同一のコロニーを構成するか否かを的確に判定することができるようになっている。
したがって、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、近接して異なるコロニーが発生している場合、又は、複雑な形状を有するコロニーが発生している場合など、単に2つのコロニーの特徴量だけでは同一のコロニーを構成するか否かを判定することが困難な場合であっても、個々のコロニーを確実に検出することができるので、コロニー数の検出における正確性を向上させてコロニー数の誤検出を防止することができるとともに、コロニー数を含めた培地に関する情報を的確に登録することができる。
また、通常、2つのコロニー候補が同一のコロニーを形成しているならば、算出された算出特徴量と参考位置の培地画像上の特徴量は近似した値を示すことになるので、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、算出特徴量と培地画像上のピクセルの特徴量に基づいて決定した特徴量との差を用いることによって、2つのコロニー候補が同一のコロニーを構成するか否かを的確に判定することができるようになっている。
また、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、2つのコロニー候補と線形関数的な関連性を有する複数の参考位置の特徴量を用いることができるので、2つのコロニー候補が同一のコロニーを構成するか否かをより的確に判定することができるようになっている。
また、2つのコロニー候補の培地画像上の距離が長くなると、同一のコロニーを構成する可能性が低くなるので、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、例えば、第1コロニー候補と第2コロニー候補の距離が長くなるに従って使用する参考位置の数を増加させるとともに、2つのコロニー候補の距離が長い場合には多くの参考位置を用いることによって、又は、例えば、第1コロニー候補と第2コロニー候補の距離が一定の距離内にある場合などの条件を具備した場合に2つのコロニー候補が同一のコロニーを構成するか否かを判定することによって、同一のコロニーを構成する可能性が低い演算を抑制し、演算の処理負担の軽減を図ることができる。
また、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、参考位置が、第1特徴位置から第2特徴位置までの長さを2以上に均等分割するための培地画像上の位置であることによって、第1コロニー候補と第2コロニー候補とに対してより的確な参考位置を用いることができる。
そして、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、紙媒体などの物理的な資源を利用して種々のデータ解析及びその提供を行う場合に比べて省資源化をも図ることができるとともに、培地に関する培地情報をデータベースに登録させることによって登録ミスが著しく減少し、難しい培地の管理を容易にすることができるので、無駄に培地を消費すること無く省資源化を図ることができるようになっている。
[2]フィルム型培地
次に、図2を用いて本実施形態のフィルム型培地60について説明する。なお、図2は、本実施形態に用いるフィルム型培地60の一例である。
本実施形態に用いるフィルム型培地60は、フィルム又はシ−ト状の乾燥培地によって作業ライン80の各工程から検出した検体としての食品に発生した菌を培養するための培地である。例えば、フィルム型培地60は、一般生菌用、大腸菌群用及び黄色ブドウ球菌用を培養する培地として用いられる。なお、カビや酵母、リステリア菌、水質用微生物、乳酸菌、タンパク質等の各種の菌、物質又は微生物を培養する培地として用いてもよい。
また、フィルム型培地60は、例えば、図2に示すように、フィルムによって形成される基材シート61と、基材シート61の中心を基準に当該基材シート61上に形成される円形の枠(以下、「円形枠」という。)62と、該枠内に設けられる菌を培養する培養層63と、当該培養層63を被覆するカバーシート64と、基材シート61の左側に形成された培地ID66と、を有している。
例えば、培地ID66は、2次元バーコード等のバーコード又は英数字で形成されており、フィルム型培地60の撮像時に一緒に画像化され、携帯用通信端末装置10又はサーバ装置40において解析することによって認識可能になっている。
基材シート61は、フィルム状又はシート状の基材であれば特に限定されず、例えば、プラスチックフィルムや紙等を用いることができる。プラスチックフィルムの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート等の樹脂フィルムを好ましく挙げることができる。ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン系の合成紙等が好ましく挙げることができる。なお、ポリプロピレン系合成紙は、ポリプロピレンを主原料とするフィルム合成紙である。
なお、フィルム型培地60は、培地ID66を記憶させたICタグを有し、携帯用通信端末装置10が有する近距離無線通信インターフェース140(例えば、ICタグリーダ)によって当該携帯用通信端末装置10に培地ID66を取得させてもよい。
[3]作業指示書
次に、図3を用いて本実施形態の作業指示書70について説明する。なお、図3は、本実施形態に用いる作業指示書70の一例である。
本実施形態の作業指示書70は、同一条件によって製造又は検査された食品群毎、すなわち、ロット毎に、一以上の製造工程又は検査工程の作業名称及びその内容と、使用する作業ライン80と、製造又は検査される食品(加工食品)名称、数量その他の情報と、が記載された指示書である。
また、本実施形態の作業指示書70は、左上に印刷その他の方法によって形成された指示書ID71aと、所定の領域に印刷その他の方法によって形成された複数の工程ID71bを有している。指示書ID71a及び各工程ID71bは、作業ID71として用いられ、例えば、2次元バーコード等のバーコード又は英数字で形成されている。そして、指示書ID71a及び各工程ID71bは、フィルム型培地60の登録が実行される際に当該フィルム型培地60と同様に画像化され、携帯用通信端末装置10又はサーバ装置40において解析することによって認識される。
なお、作業指示書70は、フィルム型培地60と同様に、指示書ID71a又は工程ID71bの作業ID71を記憶させたICタグを有し、タグリーダなどの携帯用通信端末装置10が有するインターフェース(近距離無線通信インターフェース140)によって当該携帯用通信端末装置10に作業ID71を取得させてもよい。また、以下の説明においては、特別に言及しない場合には、作業ID71とは、指示書ID71a又は工程ID71bを示す。
[4]携帯用通信端末装置
[4.1]携帯用通信端末装置の構成
次に、図4を用いて本実施形態の携帯用通信端末装置10の構成について説明する。なお、図4は、本実施形態の携帯用通信端末装置10の構成を示すブロック図である。
本実施形態の携帯用通信端末装置10は、各種のプログラムが実行される際に用いられるメモリ機能を有するデータ記憶部100と、撮像機能を有し、フィルム型培地60の画像データその他の画像データを生成する画像データ生成部110と、サーバ装置40と連動して培地情報をサーバ装置40に初期登録及び培養後登録する処理(以下、「培地情報登録処理」という。)その他の処理を実行するアプリケーション制御部120と、を備えている。
また、携帯用通信端末装置10は、サーバ装置40及び他の通信装置と通信を行うネットワーク通信部130と、ICタグその他の通信用のインターフェースとデータの授受を行う近距離無線通信インターフェース140と、現在位置を検出する現在位置検出部150と、表示部160と、表示部160を制御する表示制御部161と、ユーザの操作を入力するための操作部170と、タイマー180と、装置全体を制御する携帯端末管理制御部190と、を有している。
そして、携帯用通信端末装置10は、例えば、電話機能及び電子メール等のメール機能を有する場合には、マイク、スピーカ及び電子メールの送受信機能等の種々の必要な部材を有している。さらに、上述の各部は、バス11によって互いに接続され、データの授受が実行される。
データ記憶部100は、各種のアプリケーションプログラムが記憶されるアプリケーション記憶部101と、画像データ生成部110によって撮像されて生成された画像データが記憶される画像データ記憶部102と、携帯用通信端末装置10の管理及び制御に関するプログラム、並びに、各プログラムの実行中にワークエリアとして用いられるとともに、携帯用通信端末装置10で実行される各処理において用いられるデータが記憶されるROM/RAM103と、を有している。
特に、アプリケーション記憶部101には、画像データ生成部110、操作部170、表示制御部161及び画像データ記憶部102と連動しつつ、アプリケーション制御部120によって実行されるアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」という。)が記録されている。また、アプリケーション記憶部101には、上述のブラウジング機能を実現するためのブラウザ用のプログラムも記録されている。
画像データ記憶部102には、撮像した培地画像データ及び指示書画像データと、各画像データを管理する画像IDと、撮像時刻等の各画像データに対応する各種のメタデータと、作業ID71と、培地ID66と、各種のフラグ情報と、が対応付けられて記憶される。なお、画像IDとは、各携帯用通信端末装置10において適宜付与される任意の識別情報である。
画像データ生成部110は、光学システムと、当該光学システムから入力された光学画像を電気信号に変換するCCDIセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)と、CCDIセンサにおいて生成された電気信号に基づいて画像データを生成する生成部と、を有する。
特に、画像データ生成部110は、作業指示書70を撮像した際に、当該撮像された作業指示書70を画像化し、指示書画像データを生成する。また、画像データ生成部110は、検体が培養される、又は、培養されたフィルム型培地60を撮像した際に、当該撮像されたフィルム型培地60を画像化し、当該フィルム型培地60の培地画像データを培地画像データとして生成する。
アプリケーション制御部120は、所定のアプリケーション(以下、単に「アプリ」ともいう。)によって培地情報登録処理を実現する。特に、アプリケーション制御部120は、アプリケーション記憶部101に記憶された培地登録アプリによって携帯用通信端末装置10の各部を制御するための各種制御プログラムを実行しつつ、ネットワーク通信部130、表示制御部161及び操作部170と連動して、又は、制御して各種の処理を実行する。
なお、アプリケーション制御部120は、実装上、携帯端末管理制御部190を構成するCPU(中央処理装置)が、アプリを実行した際の機能として実現されるものであってもよい。また、本実施形態のアプリケーション制御部120において実行される培地情報の登録処理の詳細については後述する。
ネットワーク通信部130は、アプリケーション制御部120及び携帯端末管理制御部190の制御の下、ネットワーク30に接続されるサーバ装置40との通信回線を構築し、培地画像データ等の種々のデータの授受を行う。
近距離無線通信インターフェース140は、アプリケーション制御部120及び携帯端末管理制御部190の制御の下、ICタグを用いた近距離無線通信を行う。
現在位置検出部150は、アプリケーション制御部120又は携帯端末管理制御部190の制御の下、ネットワーク30を介してGPS(Global Positioning System)衛星の位置を認識しつつ、当該GPS衛星から送信された衛星信号(GPS信号)を検出する。
そして、現在位置検出部150は、当該検出されたGPS信号に基づいて携帯用通信端末装置10の現在位置の緯度及び経度によって示される座標値を算出(すなわち、検出)する。また、この現在位置検出部150は、この算出された座標値を位置情報としてアプリケーション制御部120に提供する。
なお、携帯用通信端末装置10が、電話機能や近距離無線機能を有している場合には、電話や近距離無線に用いる電波を電話基地局等において受信した方角と電波強度に基づいて当該携帯用通信端末装置10の現在位置を算出(検出)してもよい。
表示部160は、所定のサイズ(例えば、5インチ、W480×H960ピクセル)の画像表示領域を有し、液晶素子又はEL(Electro Luminescence)素子のパネルによって構成され、表示制御部161において生成された表示データに基づいて所定の画像を表示するようになっている。特に、本実施形態では、表示部160は、培地登録アプリが実行されている際に、操作部170と連動しつつ、各種の表示及び撮像されて画像化された作業指示書70とフィルム型培地60との画像を表示する。
表示制御部161は、アプリケーション制御部120又は携帯端末管理制御部190の制御の下、表示部160に所定の画像を描画させるために必要な描画データを生成し、生成した描画データを当該表示部160に出力するようになっている。
操作部170は、各種の確認ボタン、各操作指令を入力する操作ボタン、テンキー等の多数のキー及び表示部160上に設けられたタッチセンサにより構成され、各操作を行う際に用いられるようになっている。具体的には、操作部170は、培地登録アプリの起動時に上述の各種の処理を実行するための操作を行う際に用いられるようになっている。
なお、本実施形態においては、操作部170は、培地ID66を直接手入力する際に用いることも可能である。
タイマー180は、画像データ生成部110がフィルム型培地を撮像するときの日付及び時刻をアプリケーション制御部120に提供する。
携帯端末管理制御部190は、主に中央演算処理装置(CPU)によって構成されるとともに、キー入力ポート、表示制御ポート等の各種入出力ポートを含み、携帯用通信端末装置10の全般的な機能及び情報提供プログラムを実行するための全般的な機能を総括的に制御するようになっている。
[4.2]アプリケーション制御部
次に、図5〜図7の各図を用いて本実施形態の携帯用通信端末装置10におけるアプリケーション制御部120の詳細について説明する。なお、図5は、本実施形態の携帯用通信端末装置10によって培地情報を登録する際に表示部160に表示される画像の一例であり、図6は、本実施形態の携帯用通信端末装置10によってフィルム型培地60を撮像する際の表示部160に表示される画像の一例である。また、図7は、本実施形態の携帯用通信端末装置10によって作業指示書70を撮像する際の表示部160に表示される画像の一例である。
アプリケーション制御部120は、アプリケーション記憶部101に記録された培地登録アプリを実行し、画像データ生成部110を制御して撮像されたフィルム型培地60の培地画像データを取得して画像データ記憶部102に記憶する。
そして、アプリケーション制御部120は、バーコード認識機能又はOCR(Optical Character Recognition)機能などの画像解析機能を用いて、画像化された培地画像データから培地ID66を取得し、当該取得した培地ID66とともに、培地画像データと当該培地画像データのメタデータと各種のフラグ情報を画像データ記憶部102に記憶する。なお、アプリケーション制御部120は、通信回線を介して他の通信装置又はデータベース400と連動してバーコード認識又はOCR認識を実行してもよい。
また、アプリケーション制御部120は、培地画像データの撮像後、又は、所定のタイミングによって、検体の培養開始時に培地情報をサーバ装置40に登録する初期登録及び当該検体の培養開始後に培地情報を登録する培養後登録を実行する。特に、アプリケーション制御部120は、作業者の指示に基づいて、初期登録か又は培養後登録かを特定し、当該いずれかの登録かを示す情報(フラグ情報)を培地情報に含めてサーバ装置40に送信する。
また、アプリケーション制御部120は、フィルム型培地60を撮像した際に、タイマー180から現在時刻を取得し、当該現在時刻を撮像時刻として所定の画像IDとともに培地画像データのメタデータとして画像データ記憶部102に記憶し、サーバ装置40に培地画像データを送信する際に一緒に送信する。
例えば、アプリケーション制御部120は、図5に示すように、選択ボタンA16及び選択ボタンB17の表示及び画像表示領域15の該当する領域のタッチ検出によって、初期登録か培養後登録かを培地情報の登録を行う作業者に選択させる。
また、アプリケーション制御部120は、培地ID66が2次元バーコードによって形成されている場合には、図6に示すように、作業者に撮像を促すために、表示部160の中央に、培地を画像化する領域(以下、「培地画像化領域」という。)17と、培地ID66を画像化する領域(以下、「培地ID画像化領域」という。)18と、を表示させる。そして、アプリケーション制御部120は、作業者の指示に基づいて(すなわち、撮像ボタン19へのタッチを検出して)画像データ生成部110に培地ID66を有する領域を撮像させる。
さらに、作業ID71として指示書ID71a又は工程ID71bが2次元バーコードによって形成されている作業指示書70のデータを取得する場合には、アプリケーション制御部120は、図7に示すように、作業者に撮像を促すために、指示書ID71a又は工程ID71bを画像化する領域(以下、「作業ID画像化領域」という。)12と、表示部160に作業指示書70を画像化する(以下、「指示書画像化領域」という。)13と、を表示させる。そして、アプリケーション制御部120は、作業者の指示に基づいて(すなわち、撮像ボタンへのタッチを検出して)画像データ生成部110に作業ID71を有する作業指示書70の画像を撮像させる。
また、アプリケーション制御部120は、指示書画像を取得すると、画像解析によって当該指示書画像から作業ID71を認識して培地画像データとともに画像データ記憶部102に記憶し、培地画像データの送信時に同時にサーバ装置40に送信する。
このとき、工程ID71bを作業ID71として取得する場合であって、複数の工程ID71bが形成されている場合には、アプリケーション制御部120は、いずれの工程ID71bを選択すべきか作業者に選択させつつ、該当する工程ID71bを取得する。ただし、アプリケーション制御部120は、サーバ装置40と連動してライン関連情報を作業者に参照させつつ、当該作業者の指示に基づいて取得すべき工程ID71bを取得するようにしてもよい。
なお、アプリケーション制御部120は、培地ID66と、指示書ID71a及び工程ID71bである作業ID71と、がICタグに記憶されている場合には、操作部170及び表示制御部161及び近距離無線通信インターフェース140と連動して培地ID66及び作業ID71を取得する。
また、アプリケーション制御部120は、サーバ装置40によって培地ID66及び作業ID71を培地画像データ及び指示書画像データから認識する場合には、培地情報として培地画像データの他に指示書画像データを送信する。
[5]サーバ装置
[5.1]サーバ装置の構成
次に、図8を用いて本実施形態のサーバ装置40の構成について説明する。なお、図8は、本実施形態のサーバ装置40の構成を示す構成図である。
本実施形態のサーバ装置40は、図8に示すように、作業情報及び培地情報等の各種の情報が記憶されるデータベース400と、携帯用通信端末装置10及び管理者端末装置20と通信を行う通信制御部410と、培地情報登録処理等の各種の処理を実行するデータ処理部420と、サーバ装置40の各部を制御するサーバ管理制御部430と、各部の制御に用いるROM/RAM440と、時刻管理を行うために用いるタイマー450と、を有する。なお、上述の各部は、バス41によって相互に接続され、各構成要素間におけるデータの転送が実行される。
通信制御部410は、所定のネットワークインターフェースであり、携帯用通信端末装置10又は管理者端末装置20と通信回線を構築し、携帯用通信端末装置10又は管理者端末装置20と種々のデータの授受を行う。
データベース400は、HDDにより構成され、培地情報データベース(以下、「培地情報DB」と略す。)401、ライン情報データベース(以下、「ライン情報DB」と略す。)402及びロット情報データベース(以下、「ロット情報DB」と略す。)403及び作業管理データベース(以下、「作業管理DB」と略す。)404を有する。なお、例えば、本実施形態の各DBは、本発明に係るデータベースを構成する。
培地情報DB401は、各作業ライン80の工程毎に抽出された検体のフィルム型培地60に関する培地情報が作業ID71及び培地ID66毎に格納されるデータベースである。例えば、培地情報DB401には、
(1)培地ID
(2)撮像された培地画像データ
(3)撮像時刻
(4)フラグ情報を含むその他の情報
(5)コロニー数
(6)培地判定結果
(7)作業ID
の7つデータが対応付けて記録される。
なお、抽出すべき検体が、同一のロットにおいて、常に同一の作業ライン80の同一の工程から抽出する場合には、作業IDは、ロットIDであればよく、抽出すべき検体が、同一のロットであっても異なる作業ライン80又は異なる工程から抽出する場合には、ラインID又は工程ID71bとなる。
また、各培地情報におけるコロニー数及び培地判定の結果は、培地情報が登録される際に登録されてもよいし、当該培地情報の登録タイミングと異なる所定のタイミングで登録されてもよい。
さらに、同一のフィルム型培地60の培地情報の撮像時刻が複数登録される場合には(すなわち、後述の培養検査時刻が複数の場合には)、同一の培地ID66において、培養検査時刻毎に培地画像、撮像時刻、コロニー数、培地判定の各培地情報が記憶される。
ライン情報DB402は、各作業ライン80に関するライン情報がラインID毎に格納されるデータベースである。例えば、ライン情報DB402には、
(1)ラインID
(2)作業ライン80が有する工程の工程ID71b及びその種別
の2つデータが対応付けて記録される。工程種別としては、材料投入、調合、充填、ボイル、包装、及び、梱包等の各工程を特定する名称が用いられる。
ロット情報DB403は、各ロットに関するロット情報がロットID毎に格納されるデータベースである。例えば、ロット情報DB403には、
(1)ロットID(指示書ID71a)
(2)ロットの製造又は検査に用いる作業ラインのラインID
(3)ロットの作業開始時刻
(4)ロットの作業終了時刻
(5)ロットの作業を実行する作業者の作業班
の5つデータが対応付けて記録される。
作業管理DB404は、作業内容に関する各種の情報が格納されるデータベースである。例えば、作業管理DB404には、
(1)作業ID
(2)検体を抽出すべき作業ラインのラインID(又はラインID及び工程ID71b)
(3)検体(食品)の種別(製品名、ロットID及び/又はロット名)
(4)検査種別(一般性菌又は大腸菌など検出する菌種)
(5)培養条件(希釈倍率、希釈液の種別、培養温度、培養湿度及び培養時間)
(6)培養開始時刻
(7)培養開始から所定の時間経過後の時刻(以下、「培養検査時刻」ともいう。)
(8)培養場所(例えば、インキュベータ番号及びインキュベータ内の段数等の位置)
(9)作業日時(作業開始時刻及び終了時刻)
(10)作業者ID(及び/又は作業者名)
の10つデータが対応付けて記録される。
なお、培養検査時刻には、単一の時刻(すなわち、検体の培養を終了させる終了時刻)だけが設定されてもよいし、培養開始時刻から法定された又は所定の時間経過後、例えば、培養開始時刻から24時間経過後、48時間経過後又は72時間経過後等の複数の時刻が設定されてもよい。
データ処理部420は、ROM/RAM440に記録されているアプリケーションに応じて各種データ処理を実行する。特に、データ処理部420は、所定のプログラムを実行することによって、
(1)通信制御部410の動作管理と、
(2)各携帯用通信端末装置10と連動して実行する培地登録処理と、
(3)培地画像を構成する各ピクセルの特徴量に基づいてコロニー及びその数を検出するコロニー検出判定処理と、
(4)登録した培地情報に基づいてロットの判定を行うロット判定処理と、
(5)判定結果を報告書形式で出力する報告処理と、
(6)データベース400の管理及び制御と、
を行う。具体的には、データ処理部420は、登録処理部421、コロニー検出判定部423、ロット判定処理部424及び報告処理部425を含む。
なお、例えば、本実施形態の登録処理部421は、本発明に係る取得手段及び登録手段を構成し、本実施形態のコロニー検出判定部423は、本発明の抽出手段、検出手段、判定手段及び計数手段を構成する。さらに、本実施形態の登録処理部421、コロニー検出判定部423、ロット判定処理部424及び報告処理部425の詳細については後述する。
サーバ管理制御部430は、主に中央演算処理装置(CPU)によって構成され、プログラムを実行することによって、サーバ装置40の各部を統合制御する。具体的には、サーバ管理制御部430は、ユーザの操作による携帯用通信端末装置10からのログイン要求に基づいて各ユーザのログイン処理、及び、その他の各種の制御を行う。
ROM/RAM440には、サーバ装置40の駆動に必要な各種のプログラムが記録されている。特に、ROM/RAM440には、各フィルム型培地60の培地判定(合否判定)、工程判定、ライン判定及びロット判定の各判定を実行する際に用いる判定基準の情報(以下、「培地判定基準情報」ともいう。)等のそれぞれの各情報が記憶される。また、ROM/RAM440は、各プログラムの実行中にワークエリアとして用いられる
タイマー450は、培地情報の登録処理及びロット判定処理を実行する際に必要な時刻を管理するために用いられる。
[5.2]登録処理部
次に、本実施形態のサーバ装置40における登録処理部421の詳細について説明する。
本実施形態の登録処理部421は、携帯用通信端末装置10と連動し、作業ID71に対応付けつつ、各培地情報を培地情報DB401に登録する培地情報登録処理を実行する。特に、登録処理部421は、培地情報に含まれる、初期登録か又は培養後登録かを示すフラグ情報に基づいて、異なる培地情報登録処理を実行する。
(初期登録)
登録処理部421は、初期登録を示すフラグ情報が携帯用通信端末装置10から送信された培地情報に含まれている場合には、初期登録に基づく培地情報登録処理を実行する。
具体的には、登録処理部421は、通信制御部410介して培地情報を取得すると、培地情報に含まれる培地ID66及び作業ID71を特定する。また、登録処理部421は、特定した作業ID71に基づいて、作業管理DB404を検索し、該当する作業情報を特定しつつ、当該特定した作業情報に対応付けて、取得した培地画像データ及び撮像時刻を培地情報DB401に登録する。
特に、登録処理部421は、取得した作業ID71に基づいて検体を抽出した作業ライン80が含まれるロットID、当該作業ライン80のラインID、当該検体を抽出した工程ID71bを特定するとともに、当該特定したロットID、ラインID及び工程ID71bに対応付けて、培地情報に含まれる培地画像データ及び撮像時刻を培地情報DB401に登録する。
そして、登録処理部421は、撮像時刻を培養開始時刻として培地情報DB401に登録する。なお、培養開始時刻は、当該時刻に培地情報の登録処理を実行することを前提に撮像時刻に代えて予め設定された時刻を用いてもよい。
(培養後登録)
登録処理部421は、培養後登録を示すフラグ情報が携帯用通信端末装置10から送信された培地情報に含まれている場合には、培養後登録に基づく登録処理を実行する。
具体的には、登録処理部421は、初期登録と同様に、通信制御部410を介し培地情報を取得すると、当該培地情報に含まれる培地ID66及び作業ID71を特定する。そして、登録処理部421は、特定した作業ID71に基づいて、作業管理DB404を検索し、該当する作業情報を特定しつつ、当該特定した作業情報に対応付けて、撮像時刻を培地情報DB401に登録する。なお、培養検査時刻は、培養開始時刻と同様に、当該時刻に培地情報の登録処理を実行することを前提に撮像時刻に代えて予め設定された時刻を用いてもよい。
一方、登録処理部421は、コロニー検出判定部423に、取得した培地画像データを画像解析させて培地画像の各ピクセルにおける特徴量を抽出させつつ、抽出させた各ピクセルの特徴量に基づいて、コロニーの検出及びその計数を実行させ、かつ、コロニー数に基づいて各フィルム型培地60の検体の合否判定をさせる。また、登録処理部421は検出させたコロニー数及び判定結果を含む培地情報を、特定した作業ID71に対応付けて培地情報DB401に登録する。
[5.3]コロニー検出判定部
[5.3.1]コロニー検出処理の原理
次に、図9〜図11の各図を用いて本実施形態のサーバ装置40におけるコロニー検出処理の原理について説明する。なお、図9及び図10は、本実施形態のサーバ装置40におけるコロニー検出処理の原理を説明するための図であり、図11は、本実施形態のサーバ装置40におけるコロニー検出処理の算出輝度値と参考輝度値の関係性を説明するための図である。
本実施形態のコロニー検出判定部423は、登録処理部421の制御の下、培地情報の培地情報DB401ベースへの登録時又は所定のタイミングにおいて、携帯用通信端末装置10から送信された培地情報に含まれる培地画像データから培地画像を取得するとともに、当該取得した培地画像を画像解析してコロニーの検出及びその数の計数を実行し、登録処理部421に提供する。
具体的には、コロニー検出判定部423は、取得した培地画像を構成する各ピクセルの特徴量として輝度値を抽出し、当該抽出した輝度値に基づいてコロニーを構成するピクセル(以下、「コロニーピクセル」という。)として抽出する。また、コロニー検出判定部423は、一以上のコロニーピクセルから構成される各コロニー候補について他のコロニー候補と同一のコロニーを構成するか否かを判定し、同一のコロニーを構成するコロニー候補については連結結合させて個々のコロニーを特定する。そして、コロニー検出判定部423は、特定した個々のコロニーに基づいてコロニー数を計数する。
特に、コロニー検出判定部423は、該当するコロニー候補の培地画像上の間に一以上の参考位置を定めるとともに、当該参考位置における培地画像を構成する各ピクセルの特徴量である輝度値に基づいて算出した参考輝度値と、この参考位置において該当するコロニー候補の各輝度値から所定の演算によって算出された算出輝度値と、を比較し、その差に基づいて(参考位置が複数の場合には、その差を積算した値に基づいて)、該当するコロニー候補が同一のコロニーを構成するか否かを判定する。
例えば、図9(A)に示すように多くのコロニーが発生したフィルム型培地等の培地であっては、当該培地の培地画像を、各ピクセルの特徴量(輝度値)に基づいて2値化し、隣接する複数のコロニーピクセルを同一のラベルでラベリングした場合には、図9(B)に示す図9(A)の一部の領域Gの画像においては、図9(C)に示すように、丸型又は矩形等の一般的なコロニーCとして2値化されていないコロニーラベル「4」のコロニーピクセル群については、複数のコロニーCとして検出されることも多い。
また、例えば、図9の例と同様に、図10(A)に示すように小さいコロニーが数多く発生したフィルム型培地等の培地であっては、当該培地の培地画像を、各ピクセルの特徴量(輝度値)に基づいて2値化し、隣接するコロニーピクセル同士を同一のラベルでラベリングした場合には、図10(B)に示す図10(A)の一部の領域Hの画像においては、図10(C)に示すように、コロニーラベル「2」及び「3」のコロニーCの培地画像上の距離が近いことから、これらのコロニーが同一のコロニーCとして検出されることも多い。
一方、通常、2つのコロニー(本実施形態上はコロニー候補)が同一のコロニーを構成する場合には、2つのコロニーの各輝度値Iは、同一のコロニーで形成されていることを想定すれば、図11に示すように、例えば、第一コロニーから第2コロニーへ直線的な関数Iaで表すことが可能である。したがって、2つのコロニー間の培地画像上の位置(すなわち、参考位置M1及びM2)における輝度値Im(M1)及びIm(M2)が、2つのコロニーの輝度値Ia(CA1)及びIa(CA2)に基づいて計算された輝度値(すなわち、計算輝度値Ia(M1)及びIa(M2))と同一又は近似的な値であれば、2つのコロニーが同一のコロニーを構成するものと判定することができる。
また、2つのコロニー間の培地画像上の距離が長くなるに従って、当該コロニーが同一のコロニーを形成する確率は低くなり、所定の距離以上になれば、その確率は著しく低くなる。したがって、2つのコロニー間の培地画像上の距離が長くなるに従って、当該コロニーが同一のコロニーを形成していないと判定させることも必要である。
そこで、本実施形態のコロニー検出判定部423は、例えば、図11に示すように、該当するコロニー候補の培地画像上の間に一以上の参考位置Mを定め、当該参考位置Mにおける培地画像を構成する各ピクセルの参考輝度値Im(M)と、この参考位置Mにおいて該当するコロニー候補の各輝度値Iaから所定の演算によって算出された計算輝度値Ia(M)と、を比較し、その差d(M)に基づいて(参考位置が複数の場合には、その差を積算した差分領域Dに基づいて)、該当するコロニー候補が同一のコロニーを構成するか否かを判定することができるようになっている。
[5.3.2]コロニー検出判定部の各処理
次に、本実施形態のサーバ装置40におけるコロニー検出判定部423の各処理の詳細について説明する。
具体的には、コロニー検出判定部423は、
(1)取得した培地画像を構成する各ピクセルの色に関する特徴量として輝度値を抽出する輝度値抽出処理、
(2)所定の閾値以上の輝度値を有するピクセルをコロニーピクセルとして抽出し、コロニーピクセルと培地を構成する培地ピクセルとに2値化する2値化処理、
(3)一以上のコロニーピクセルによって構成されるコロニー候補を決定するために、抽出したコロニーピクセルをコロニー候補として又は抽出したコロニーピクセルのうち隣接するコロニーピクセルがある場合には、隣接するコロニーピクセルを含めてコロニー候補としてラベリングするラベリング処理、
(4)同一ラベルの各コロニー候補において培地画像上の重心を算出して当該重心を各コロニー候補の特徴位置として決定する重心決定処理、
(5)各コロニー候補の重心位置と他のコロニー候補の重心位置とに基づいて培地画像上の距離を算出し、当該距離が閾値以下のコロニー候補の組み合わせを第1コロニー候補及び第2コロニー候補として特定する組み合わせ処理、
の各処理を実行する。
また、コロニー検出判定部423は、組み合わせ処理によって特定した第1コロニー候補及び第2コロニー候補の組み合わせ毎に、第1コロニー候補と第2コロニー候補が同一のコロニーを構成するか否かを判定する判定処理として、
(6)第1コロニー候補及び第2コロニー候補のそれぞれを構成するピクセルの輝度値(特徴量)に基づいて各コロニー候補の輝度値を算出する候補輝度値算出処理、
(7)コロニー候補の組み合わせを特定した際に用いた第1コロニー候補と第2コロニー候補の距離に基づいて第1コロニー候補特徴位置と第2コロニー候補特徴位置間の均等分割数を決定して当該分割数に従った培地画像上の分割位置を参考位置として決定する参考位置決定処理、
(8)各参考位置に隣接し、又は、各参考位置を包含するピクセルの輝度値(特徴量)に基づいて各参考位置の輝度値を参考輝度値(すなわち、参考特徴量)として算出する参考輝度値算出処理、
(9)第1コロニー候補及び第2コロニー候補の輝度値と決定した均等分割数に基づいて各参考位置における輝度値を計算輝度値として算出する計算輝度値算出処理、
(10)全ての参考位置における参考輝度値と計算輝度値の差を積算する積算処理、及び、
(11)積算した値が予め定められた閾値以下の場合には、第1コロニー候補と第2コロニー候補を連結して一のコロニーとして特定する連結処理、
の各処理を実行する。なお、(6)〜(10)の判定処理として実行される、候補輝度値算出処理、参考位置決定処理、参考輝度値算出処理、計算輝度値算出処理及び積算処理の詳細については後述する。
[5.3.3]判定処理の詳細
次に、図12を用いて本実施形態のサーバ装置40のコロニー検出判定部423における判定処理の詳細について説明する。なお、図12は、本実施形態のサーバ装置40のコロニー検出判定部423における判定処理について説明するための図である。
(候補輝度値算出処理)
コロニー検出判定部423は、候補輝度値算出処理としては、第1コロニー候補又は第2コロニー候補に属するピクセルの輝度値(特徴量)に基づいて、当該第1コロニー候補又は第2コロニー候補の輝度値を決定する。
具体的には、コロニー検出判定部423は、一のコロニーピクセルによってコロニー候補が構成されている場合には、コロニーピクセルの輝度値を当該コロニー候補の輝度値に決定し、隣接する複数のコロニーピクセルから当該コロニー候補が構成されている場合には、各コロニー候補の重心位置と各コロニーピクセルの輝度値とに基づいて候補輝度値を決定する。
特に、コロニー検出判定部423は、隣接する複数のコロニーピクセルからコロニー候補が構成されている場合には、重心位置が実数値であるため、一のコロニーピクセルの輝度値を直接用いることができないので、例えば、重心位置に隣接するコロニーピクセルの輝度値と重心位置及び隣接するコロニーピクセルの位置とに基づいて、バイリニア補完などの所定の演算処理を実行し、算出した値を各コロニー候補の輝度値に決定する。
例えば、コロニー検出判定部423は、図12(A)に示すように、重心位置P1が(Xs,Ys)によって定義される第1コロニー候補CA1と、重心位置P2が(Xe,Ye)によって定義される第2コロニー候補CA2と、について、上述のように、第1コロニー候補CA1の候補輝度値Ic(1)と、第2コロニー候補CA2の候補輝度値Ic(2)とを決定する。
(参考位置決定処理)
コロニー検出判定部423は、参考位置決定処理としては、第1コロニー候補の重心位置と第2コロニー候補の重心位置の培地画像上の間の参考位置を決定する。特に、コロニー検出判定部423は、参考位置として第1コロニー候補の重心位置と第2コロニー候補の重心位置との間に複数の位置を設定し、第1コロニー候補の重心位置と第2コロニー候補の重心位置の前記培地画像上の距離に応じて使用する参考位置の数を変化させる。
具体的には、コロニー検出判定部423は、第1コロニー候補の重心位置(第1コロニー候補特徴位置)と第2コロニー候補の重心位置(第2コロニー候補特徴位置)間の距離に基づいて、当該重心位置間の均等分割数を決定し、当該分割数に従った培地画像上の分割位置を参考位置として決定する。
例えば、上述のように、第1コロニー候補CA1の重心位置P1が(Xs,Ys)であり、第2コロニー候補CA2の重心位置P2が(Xe,Ye)である場合には、コロニー検出判定部423は、図12(B)に示すように、(式1)に基づいて、重心位置間の距離Lを算出し、(式2)に示すように、当該距離Lを切り上げた値を分割数Pとして決定する。ただし、距離Lが「2」より小さい場合には、コロニー検出判定部423は、均等分割数Pを「2」に決定する。
また、このような場合に、コロニー検出判定部423は、図12(C)に示すように、式(3)及び式(4)に基づいて、参考位置Mの座標値(Xn,Yn)を算出する。なお、式(3)及び式(4)における「n」は、参考位置Mの番号を示し、図12(C)は、分割数Pが「3」の場合の例を示す。
(参考輝度値算出処理)
コロニー検出判定部423は、参考輝度値算出処理としては、参考位置に隣接するピクセル及び当該参考位置を包含するピクセルの少なくともいずれかに属するピクセルの特徴量に基づいて当該参考位置の参考輝度値を決定する。
具体的には、コロニー検出判定部423は、参考位置が含まれるピクセルと当該参考位置に隣接するピクセルの所定数(例えば、4又は9)のピクセルの輝度値を、バイリニア補完を実行することによって算出して決定する。
例えば、コロニー検出判定部423は、参考位置M1の参考輝度値Im(1)及び参考位置M2の参考輝度値Im(2)を決定する。特に、図11に示すように、決定された参考位置M1の参考輝度値Im(1)及び参考位置M2の参考輝度値Im(2)は、参考輝度値曲線Im上に規定される。
(計算輝度値算出処理)
コロニー検出判定部423は、計算輝度値算出処理としては、第1コロニー候補の輝度値と第2コロニー候補の輝度値に基づいて、参考位置の輝度値を計算輝度値として算出する。特に、コロニー検出判定部423は、第1コロニー候補及び第2コロニー候補の参考輝度値と決定した均等分割数に基づいて、式(5)に従って、各参考位置における輝度値を計算輝度値として算出する。ただし、式(5)において、上述と同様に、「P」は、均等分割数を示し、「n」は、均等分割番号を示す。
例えば、コロニー検出判定部423は、参考位置M1の計算輝度値Ia(1)及び参考位置M2の計算輝度値Ia(2)を決定する。特に、図11に示すように、決定された参考位置M1の計算輝度値Ia(1)及び参考位置M2の計算輝度値Ia(2)は、計算輝度値直線Ia上に規定される。
(積算処理)
コロニー検出判定部423は、積算処理としては、一の第1コロニー候補及び第2コロニー候補の組み合わせの全てについて、参考位置における参考輝度値と当該参考輝度値に対応する計算輝度値の差を算出するとともに、算出した各値を積算し、該当する第1コロニー候補及び第2コロニー候補における接続コストDとして算出する。具体的には、コロニー検出判定部423は、式(5)に従って、組み合わせの全ての参考位置Mにおける参考輝度値Imと当該参考輝度値Imに対応する計算輝度値Iaの差dを算出するとともに、算出した各値dを積算して接続コストD(すなわち、図11の差分領域Dの(離散的な)面積)を算出する。
(応用例1)
上記の実施形態においては、輝度値をピクセルの特徴量として用いているが、彩度、RGBの色成分の階調値などの他の色に関する特徴量を用いてもよい。なお、上記においては、参考輝度値と算出輝度値との差分に基づいて第1コロニー候補と第2コロニー候補とが統一のコロニーを構成するか否かの判定処理を実行しているが、RGBの色成分その他の特徴量を用いる場合には、ユークリッド距離を用いてもよい。
(応用例2)
上記の実施形態においては、第1コロニー候補と第2コロニー候補との距離が長くなると積算される差分値が大きくなり、同一のコロニーを構成するとして判定しない方向に誘導しているが、分割数を一定にし、各差分値に対して距離成分を乗算してそれらを積算することによって、第1コロニー候補と第2コロニー候補との距離が長くなった場合に、同一のコロニーを構成するとして判定しない方向に誘導してもよい。
(応用例3)
上記の実施形態においては、算出輝度値を、線形補完を用いて算出したが、各コロニー候補の輝度値の平均値等の他の補完処理によって算出してもよい。ただし、各コロニー候補の輝度値に基づくものを使用する必要がある。
(応用例4)
上記の実施形態においては、各コロニー候補の重心座標及び各参考位置の参考輝度値を、バイリニア補完を用いて算出したが、ニアレストレイバー又はバイキュービック補完などの他の補完処理によって算出してもよい。
(応用例5)
上記の実施形態においては、各コロニー候補の培地画像上の重心座標を各コロニー候補の座標位置として用いているが、各コロニー候補の特徴量(輝度値)の最大値又は最小値を有するコロニーピクセルの位置、各ピクセルの特徴量(輝度値)を重みとして算出した重み付きの重心座標、又は、コロニー候補上において他方のコロニー候補に最も近いピクセルの座標などを各コロニー候補の座標位置として用いてもよい。
(応用例6)
上記の実施形態においては、参考位置を決定するための分割数については、演算結果に対して「切り上げ」を実行して決定しているが、演算結果に所定の計数を乗算し、又は、四捨五入するなど、その他の演算処理によって決定してもよい。ただし、本実施形態においては、分割数としては、2以上の実数値を用いる必要がある。
(応用例7)
上記の実施形態においては、参考輝度値及び計算輝度値の差及びその差の積算値を用いて各コロニー候補が同一のコロニーを構成するか否かを判定するようになっているが、参考輝度値及び計算輝度値の差の最大値、当該最大値と距離Lを演算するなど、参考輝度値及び計算輝度値の差を用いればその他の方法によって算出された値を用いて当該判定を実行する必要がある。
(応用例8)
上記の実施形態においては、各コロニー候補の2点を結ぶ直線に基づき参考位置を算出しているが、各コロニー候補間に形成される各ピクセルの特徴量(輝度値)を用いて動的計画法などの最適化処理によって各コロニー候補を結ぶ最適な線(すなわち、接続コストが最も低い線)を算出し、当該算出された線に基づいて参考位置を算出してもよい。この場合には、コロニーが円形または矩形以外の形状によってコロニーが形成される場合に有効となる。また、プレゼンハムの線分描画アルゴリズム等のように、実数座標値のみで直線を近似する座標を用いてもよい。この場合には、参考輝度値として該当ピクセルの特徴量(輝度値)を直接利用できるため、高速な処理が可能である。
[5.3.4]コロニー数の計数
コロニー検出判定部423は、連結されたコロニー候補群及び連結しなかったコロニー候補を一のコロニーとして認識しつつ、認識した各コロニーの座標数をコロニー数として計数する。
[5.3.5]検体の合否判定
コロニー検出判定部423は、各フィルム型培地60の検体が異常であるか正常であるかの培地判定(すなわち、検体の合否判定)を実行する。例えば、登録処理部421は、検体から検出すべき菌種によって予め設定された菌数の閾値(すなわち、判定基準)に基づいて、各検体の合否を判定し、その結果を登録処理部421に提供する。
特に、本実施形態においては、菌種や希釈倍率に基づいて判定基準は異なるので、登録処理部421は、検体を培養する際の基準及び菌種に基づいて培地判定基準情報をROM/RAM440から読み出して培地判定を実行する。
各判定基準情報は、培地ID66に対応付けて特定されるようになっている。すなわち、検体から検出する菌種毎にフィルム型培地60の種類が異なるので、培地ID66を特定すれば、検出すべき菌種を特定することができる。したがって、本実施形態においては、予め希釈倍率を定めておくことによって、培地ID66に基づいて特定される判定基準情報を読み出すことができるようになっている。
また、本実施形態において、工程判定、ライン判定、及び、ロット判定において各フィルム型培地60の合否判定を用いるので、これらの各判定と対応付けて培地判定が実行される。なお、工程判定、ライン判定、及び、ロット判定において各フィルム型培地60の合否判定の手法については後述する。
[5.4]ロット判定処理部
次に、図13〜図15の各図を用いて本実施形態のサーバ装置40におけるロット判定処理部424の詳細について説明する。なお、図13〜図15は、本実施形態のサーバ装置40における工程判定を説明するための図である。
本実施形態のロット判定処理部424は、管理者端末装置20に入力された管理者の指示に基づいて、指定されたロット、作業ライン80又は工程における衛生管理に関するデータ解析(すなわち、合否判定)を実行する。
具体的には、ロット判定処理部424は、各ロットについて、該当するロットに用いられる作業ライン80のライン情報と、該当する作業ライン80に対応付けられて登録された培地情報(少なくともコロニー数)と、に基づいて、同一条件によって製造又は検査された食品群が所定の条件を具備しているか否かを判定する。
また、ロット判定処理部424は、ロット判定が指示されると、該当するロットに含まれる作業ライン80及び当該作業ライン80に属する工程が衛生管理上において異常であるか正常であるかの作業ライン80のライン判定(すなわち、衛生管理上の合否の判定)及び各工程の工程判定(すなわち、衛生管理上の合否の判定)を実行し、工程判定及びライン判定を用いてロット判定を実行する。
特に、ロット判定処理部424は、ロット判定が指示された際に、例えば、培養開始後から24時間、48時間等の所定の培養検査時刻を経過した培地情報におけるフィルム型培地60のコロニー数や検体の合否判定の培地情報に基づいて当該工程の衛生管理上の合否を判定し、該当する作業ライン80に含まれる工程の合否判定に基づいて当該作業ライン80の衛生管理上の合否を判定し、該当するロットに含まれる作業ライン80の合否判定に基づいて当該ロットの衛生管理上の合否を判定する。
なお、本実施形態のロット判定処理部424は、ロット判定だけでなく、工程判定又はライン判定のみをデータ解析として実行してもよい。
(工程判定)
ロット判定処理部424は、同一タイミングの培養開始時刻、同一タイミングの培養検査時刻、予め設定された第1時刻から第2時刻までの時間内の時刻を有する培養開始時刻又は、予め設定された第1時刻から第2時刻までの時間内の時刻を有する培養検査時刻を有するなど、培養開始時刻又は培養検査時刻が所定の条件を有し、かつ、同一のロットの同一の工程に対応付けて登録された複数のフィルム型培地60の培地情報に基づいて、各工程判定を実行する。すなわち、ロット判定処理部424は、複数のフィルム型培地60の各培地判定の結果に基づく、総合判定によって各工程判定を実行する。
具体的には、ロット判定処理部424は、該当するフィルム型培地60の培地判定結果(すなわち、工程判定を実行すべき工程の工程ID71bを有する培地情報に登録されたすべての培地判定結果)を取得するとともに、判定結果の合否の数が所定の条件を具備している場合には、判定すべき工程の工程判定を合格と判定し、当該条件を具備していない場合には、判定すべき工程の工程判定を不合格と判定する。
例えば、図13に示すように、3つのフィルム型培地60が判定すべき工程の工程ID71bを有し、第1のフィルム型培地60のコロニー数が「20」、第2のフィルム型培地60のコロニー数が「30」及び第3のフィルム型培地60のコロニー数が「70」でコロニー数が「30」以下の場合に判定結果が合格とされる場合であって、所定の条件が「60%」の合格した培地情報を有している場合に、判定すべき工程の工程判定を合格する場合を想定する。この場合には、フィルム型培地60の3枚中2枚の判定結果が合格であるので、ロット判定処理部424は、当該工程を合格と判定する。
また、ロット判定処理部424は、上述の手法に代えて、工程判定を実行すべき工程の工程ID71bを有する培地情報に含まれるコロニー数に基づいて判定すべき工程の工程判定を実行してもよい。
例えば、図14に示すように、3つのフィルム型培地60が判定すべき工程の工程ID71bを有し、第1のフィルム型培地60のコロニー数が「20」、第2のフィルム型培地60のコロニー数が「30」及び第3のフィルム型培地60のコロニー数が「70」の上述と同様の場合であって、所定の条件がコロニー数の閾値「70」以上のコロニー数を有する培地情報がない場合に、判定すべき工程の工程判定を合格する場合を想定する。この場合には、第3のフィルム型培地60のコロニー数が「70」であるので、ロット判定処理部424は、当該工程を不合格と判定する。
一方、ロット判定処理部424は、上述のコロニー数の閾値を用いて工程判定する手法に代えて、工程判定を実行すべき工程の工程ID71bを有する全ての培地情報に含まれるコロニー数に基づいて判定すべき工程の工程判定を実行してもよい。
例えば、図15に示すように、3つのフィルム型培地60が判定すべき工程の工程ID71bを有し、第1のフィルム型培地60のコロニー数が「20」、第2のフィルム型培地60のコロニー数が「30」及び第3のフィルム型培地60のコロニー数が「70」の上述と同様の場合であって、所定の条件が全てのコロニー数の平均が閾値「30」以下の場合に、判定すべき工程の工程判定を合格する場合を想定する。この場合には、3つのフィルム型培地60のコロニー数の平均が「40」であるので、ロット判定処理部424は、当該工程を不合格と判定する。
他方、ロット判定処理部424は、工程判定のみ実行する際に、工程の位置又は役割に基づいて、所定の工程に重み付けを与え、当該重み付けを加味した上で、工程判定を実行してもよい。
具体的には、ロット判定処理部424は、最下流の工程(最終工程)等の工程位置についての判定結果の重みを高くし、ボイル又は焼く等の検出する菌が殺菌される工程についての判定結果の重みを高くする。
例えば、ロット判定処理部424は、上述の図13の場合には、最下流の工程におけるフィルム型培地60の合否判定結果を2倍にして工程判定を実行する。すなわち、この場合には、ロット判定処理部424は、第3のフィルム型培地において2枚検査し、同一の値を得たとみなし、4枚のフィルム型培地60において60%以上となる場合に、工程を合格と判定する。例えば、図13の場合には、ロット判定処理部424は、フィルム型培地60の4枚中2の判定結果が合格であるので、ロット判定処理部424は、当該工程を不合格と判定することになる。
また、ロット判定処理部424は、上述の図14の場合には、最下流の工程におけるフィルム型培地60の合否判定時の閾値を1/2に設定して工程判定を実行する。すなわち、この場合には、ロット判定処理部424は、第3のフィルム型培地において合否基準となるコロニー数の閾値が1/2となり、3枚のフィルム型培地60において全てが閾値以下となる場合に、工程を合格と判定する。例えば、図14の場合には、ロット判定処理部424は、第3のフィルム型培地60の閾値は「35」となり、コロニー数は閾値以上となるので、ロット判定処理部424は、当該工程を不合格と判定することになる。
さらに、ロット判定処理部424は、上述の図15の場合には、最下流の工程におけるフィルム型培地60の合否判定時のコロニー数を2倍に設定して工程判定を実行する。すなわち、この場合には、ロット判定処理部424は、第3のフィルム型培地において合否基準となるコロニー数が2倍となり、3枚のフィルム型培地60におけるコロニー数の平均が予め定められた値(例えば「30」)以下となる場合に、工程を合格と判定する。例えば、図15の場合には、ロット判定処理部424は、第3のフィルム型培地60のコロニー数は「70」となり、平均は「63.3」となるので、ロット判定処理部424は、当該工程を不合格と判定することになる。
なお、本実施形態のロット判定処理部424は、各工程に登録されている培地情報の数に基づいて上述の手法のいずれかを選択してもよいし、上述の手法の2つ又は3つを組み合わせて工程判定を実行するようにしてもよい。また、この所定の条件は、検体の種別、検出する菌種等によって変更可能となっており、管理者によって設定可能、又は、プログラムの一部として提供される。
(ライン判定)
ロット判定処理部424は、所定のタイミングで判定され、かつ、該当するライン情報に対応付けて登録された複数の工程の衛生管理上の合否判定に基づいて、各作業ライン80のライン判定を実行する。すなわち、ロット判定処理部424は、所定のタイミングで判定された同一ロットの複数の工程の各判定結果に基づく、総合判定によってライン判定を実行する。
具体的には、ロット判定処理部424は、同タイミング又は所定の条件を具備するタイミングに判定され、かつ、上述のように、ライン判定を実行すべき作業ライン80のラインIDを有する工程の工程判定の判定結果を取得するとともに、判定結果の合否の数が所定の条件を具備している場合には、判定すべき作業ライン80のライン判定を合格と判定し、当該条件を不具備の場合には、判定すべき作業ライン80のライン判定を不合格と判定する。
例えば、3つの工程が判定すべき作業ライン80のラインIDを有している場合であって、第1工程が「合格」、第2工程が「合格」及び第3工程が「不合格」で、所定の条件が「60%」の合格した工程から作業ライン80が構成されている場合には、ロット判定処理部424は、判定すべき作業ライン80のライン判定を合格する。
(ロット判定)
ロット判定処理部424は、所定のタイミングで判定され、かつ、該当するロット情報に対応付けて登録された複数の作業ライン80の衛生管理上の合否判定に基づいて、各ロットのロット判定を実行する。すなわち、ロット判定処理部424は、複数の作業ライン80の各判定結果に基づく総合判定によってロット判定を実行する。
具体的には、ロット判定処理部424は、ロット判定を実行すべきロットのロットIDを有する作業ライン80の衛生管理情報の所定のタイミングで判定された合否判定に基づいて判定すべきロットのロット判定を実行する。
例えば、所定の条件が「60%」の合格した作業ライン80からロットが構成されている場合に、ロット判定処理部424は、判定すべきロットのロット判定を合格とする場合であって、3つの作業ライン80が判定すべきロットのロットIDを有している場合を想定する。この場合において、第1作業ライン80が「合格」、第2作業ライン80が「合格」及び第3作業ライン80が「不合格」の場合には、ロット判定処理部424は、判定すべきロットのロット判定を合格と判定する。
なお、ロットの作業時間が長時間に及ぶ場合には、所定の時間(例えば8時間又は12時間)毎に時間を区切ってロットの判定を実行してもよい。この場合には、作業が中断している間のロット判定を実行する場合には、ダミーの結果を用いてもよいし、作業中断中
として判定してもよい。
(その他)
ロット判定処理部424は、培地情報、ライン情報、ロット情報及び作業管理DB404を用いて、上述以外の判定及びデータ解析を行うことができるとともに、報告処理部425を介して当該判定結果又はデータ解析結果を管理者が閲覧可能に管理者端末装置20に提供することができるようになっている。
具体的には、ロット判定処理部424は、各フィルム型培地60に培養された検体の信頼性を確認するために、すなわち、検査ミスが発生していない否かを確認するために、一の培地IDにおける培地情報を培養開始時時刻から培養の終了まで、時系列に培地情報又は培地画像データの所定の解析を実行する。
例えば、ロット判定処理部424は、管理者端末装置20を介して受信した管理者の指示に基づいて、特定の培地ID(同一の培地ID)66を有し、培養開始時刻から所定の時刻までの複数の培地情報を、培地画像データとともに抽出する。そして、ロット判定処理部424は、各培地情報及び各画像データについて所定の時系列に沿って所定の解析を実行し、又は、各培地情報及び各画像データを時系列に沿って集約する。また、ロット判定処理部424は、報告処理部425に、解析結果又は集約結果を所定のデータ形式を有する閲覧データに生成させ、当該生成させた閲覧データを管理者に閲覧可能に管理者端末装置20に提供させる。
なお、ロット判定処理部424は、報告処理部425と連動して、このとき、管理者端末装置20の指示に基づいて、法定された衛生管理の報告用に、一の培地ID66における各培地情報を個々に閲覧可能にさせてもよい。
また、ロット判定処理部424は、培地情報、ライン情報、ロット情報又は作業管理情報の検索機能を有していてもよい。具体的には、ロット判定処理部424は、ロットID(指示書ID71a)、作業ラインID、工程ID71b、作業ID71、培養開始時刻、ロットの作業日時、培地ID66、検体の種別などを検索キーとしてデータベース400を検索し、報告処理部425と連動し、該当する培地情報や各種の情報を管理者に閲覧可能なデータを生成してもよい。
なお、報告処理部425は、管理者端末装置20を介して受信した管理者の指示に基づいて、検索によって特定された培地情報(培地画像データ、コロニー数及び培地判定結果)、工程情報、ライン情報、又は、ロットに関する情報を所定の報告形式で提供することも可能である。すなわち、報告処理部425は、法定の検査報告その他の場合においてその証拠又は報告書として種々の情報を提供することができるように構成されている。
[5.5]報告処理部
次に、本実施形態のサーバ装置40における報告処理部425の詳細について説明する。
報告処理部425は、管理者端末装置20に入力された管理者の指示及び所定の報告書形式を有するテンプレートデータに基づいて、指定されたロット、作業ライン80又は工程における衛生管理に関するデータ解析の解析結果(すなわち、合否判定の判定結果)を報告書データとして生成し、生成した報告書データを、通信制御部410を介して管理者に閲覧可能に管理者端末装置20に提供する。
具体的には、報告処理部425は、培地画像のデータ、コロニー数又は培地判定結果等、培地情報、ライン情報及びロット情報から必要な情報を抽出するとともに、抽出した情報とロット判定処理部424によって得られた解析結果に基づいて、テンプレートデータに各情報を割り当てつつ、報告書データを生成する。そして、報告処理部425は、回転等の加工処理が実行されず、同一性が担保された培地の画像を有する報告書データを管理者端末装置20に提供する。
なお、報告処理部425は、上述したように、種々の解析又は検索に応じて所定の報告書データ又は閲覧データを生成し、管理者端末装置20に提供することができるように構成されている。すなわち、報告処理部425は、受信した管理者の指示に基づいて、検索によって特定された培地情報、工程情報、ライン情報、又は、ロットに関する情報を所定の報告形式で提供することも可能であるとともに、法定の検査報告その他の場合においてその証拠又は報告書として種々の情報を提供することができるように構成されている。
[6]衛生管理システムの動作処理
[6.1]培地情報登録処理
次に、図16〜図18の各図を用いて本実施形態の携帯用通信端末装置10及びサーバ装置40における培地情報登録処理の動作について説明する。なお、図16は、本実施形態の携帯用通信端末装置10における培地情報の登録処理動作を示すフローチャートであり、図17は、携帯用通信端末装置10において培地情報を送信する際に表示部160に表示される画像の一例である。また、図18は、本実施形態のサーバ装置40における培地情報の登録処理の動作を示すフローチャートである。
本動作においては、ライン情報DB402及びロット情報DB403には、既に作業指示書70に対応付けられた該当するロット情報及びライン情報が記憶されているものとする。また、フィルム型培地60及び作業指示書70には、2次元バーコードによって培地ID又は指示書IDが付されているものとする。さらに、本動作においては、各フィルム型培地60におけるコロニー数の検出は、培地情報のデータベース400への登録時に実行されるものとする。
まず、携帯用通信端末装置10において、アプリケーション制御部120は、操作部170を介して培地登録アプリの起動指示を検出すると(ステップS101)、アプリケーション記憶部101から培地登録アプリを読み出して起動する(ステップS102)。このとき、アプリケーション制御部120は、携帯端末管理制御部190の制御下、ワークメモリの初期化その他の必要な処理を実行する。
次いで、アプリケーション制御部120は、表示制御部161と連動し、フィルム型培地60の初期登録であるか、又は、培養開始から所定の時間経過した培養後登録であるか選択させるための画像を表示部160に表示させてその入力を待機する(ステップS103)。例えば、アプリケーション制御部120は、表示制御部161と連動して図5に示す画像を表示部160に表示させる。
次いで、アプリケーション制御部120は、操作部170による選択指示の入力を検出すると(ステップS104)、初期登録か培養後登録かを判断し、フラグ情報にその結果を設定する(ステップS105)。
次いで、アプリケーション制御部120は、フィルム型培地60の撮像を促す画面を表示部160に表示させ、操作部170と連動し、画像データ生成部110による撮像を待機する(ステップS106)。例えば、アプリケーション制御部120は、表示制御部161と連動して図6(A)に示す画像を表示部160に表示させる。
次いで、アプリケーション制御部120は、画像データ生成部110、表示制御部161及び操作部170と連動しつつ、画像データ生成部110による撮像を検出すると(ステップS107)、画像データ生成部110によって培地ID66とともに画像化されたフィルム型培地60の培地画像データを取得し、画像データ記憶部102に所定の画像IDを付与しつつ記憶する(ステップS108)。
次いで、アプリケーション制御部120は、タイマー180より現在時刻を培地画像データの撮像時刻として取得し、当該培地画像データに対応付けてメタデータとして画像データ記憶部102に記憶する(ステップS109)。
次いで、アプリケーション制御部120は、取得した画像化された培地画像データの所定の領域に形成された2次元バーコードを解析して培地ID66を取得し、当該培地画像データに対応付けて画像データ記憶部102に記憶する(ステップS110)。
次いで、アプリケーション制御部120は、表示制御部161と連動して指示書ID71及び工程ID71とともに指示書画像データを取得するための画面を表示部160に表示させ、指示書画像データの取得を待機する(ステップS111)。例えば、アプリケーション制御部120は、表示制御部161と連動して図7(A)に示す画像を表示部160に表示させる。
次いで、アプリケーション制御部120は、画像データ生成部110、表示制御部161及び操作部170と連動しつつ、画像データ生成部110による撮像を検出すると(ステップS112)、作業ID71が画像化された指示書画像データを取得し、ステップS108によって取得した培地画像データに対応付けて画像データ記憶部102に記憶する(ステップS113)。
なお、アプリケーション制御部120は、工程ID71bを作業ID71として取得する場合、又は、複数の工程ID71bから一の工程ID71を取得する場合には、表示制御部161及び操作部170と連動しつつ、ユーザに取得すべき工程ID71を選択させる表示をし、該当する工程ID71を取得する。
次いで、アプリケーション制御部120は、取画像化された指示書画像データ及び培地画像データの所定の領域に形成された2次元バーコードを解析して作業ID71を取得し、当該指示書画像データに対応付けて画像データ記憶部102に記憶する(ステップS114)。
次いで、アプリケーション制御部120は、タイマー180より現在時刻を培地画像データの撮像時刻として取得し、表示制御部161及び操作部170と連動して作業者に、取得した指示書画像データ。作業ID71、培地画像データ、培地ID66、及び、撮像時刻を確認させる(ステップS115)。
なお、アプリケーション制御部120は、取得した培地情報の作業者による確認時に、作業者の指示に基づいて、培地画像データの再取得を行っていてもよい。また、このとき、アプリケーション制御部120は、表示制御部161及び操作部170と連動して作業者によって培地画像データの補正を行うことができるようにしてもよい。
次いで、アプリケーション制御部120は、作業者の指示に基づいて、初期登録か培養後登録かを示すフラグ情報及び端末IDと作業ID71とともに、取得した培地画像データとそのメタデータ、及び、初期登録か培養後登録かを示すフラグ情報を培地情報として、ネットワーク通信部130を介してサーバ装置40に送信し(ステップS116)、携帯用通信端末装置10の登録処理を終了する。
このとき、表示制御部161は、表示部160は、図17に示す画像を表示させる。また、ネットワーク通信部130は、培地情報を送信する際に、端末IDや入力されたID及びパスワードに基づいてサーバ装置40へのアクセスをするためのログインを実行し、ログイン完了後にサーバ装置40との通信回線を確立し、培地情報を送信する。
なお、サーバ装置40は、送信された培地情報に基づく培地情報の登録処理については、別処理として以下の処理を実行する。
まず、サーバ装置40においては、通信制御部410が携帯用通信端末装置10から送信された培地情報を受信すると(ステップS200)、登録処理部421は、受信した培地情報に含まれるフラグ情報に基づいて、初期登録か培養後登録であるかを判定する(ステップS201)。このとき、登録処理部421は、初期登録と判定した場合には、ステップS202の処理に移行し、初期登録でないと判定した場合には、すなわち、培養後登録と判定した場合には、ステップS204の処理に移行する。
次いで、登録処理部421は、初期登録と判定した場合には、培地情報に含まれる作業ID71を抽出して特定する(ステップS202)。
次いで、登録処理部421は、特定した作業ID71に基づいて培地情報を培地情報DB401に登録し(ステップS203)、本動作を終了する。なお、培養開始時刻は作業管理DB404に予め記憶されているが、登録処理部421は、ステップS203の処理において、受信した培地情報に含まれる撮像時刻を培養開始時刻として作業管理DB404に登録してもよい。
一方、登録処理部421は、培養後登録と判定した場合には、培地情報に含まれる作業ID71を抽出して特定し(ステップS204)、培地情報に含まれる撮像時刻に基づいて培地情報を登録する培養検査時刻を特定する(ステップS205)。
なお、このとき、登録処理部421は、携帯用通信端末装置10と連動して培地情報を登録する培養検査時刻を指定させて登録してもよいし、受信した培地情報に含まれる撮像時刻を培養検査時刻としてそのまま登録してもよい。また、登録処理部421は、既に実行された培養検査時刻における培地登録を管理し、培地情報を受信したタイミング及び既に培地情報の登録に用いた培養検査時刻に基づいて、培養検査時刻を特定してもよい。すなわち、登録処理部421は、培地情報の登録を実行する毎に実行フラグを書き換え、当該フラグの情報を参照しつつ、受信した撮像時刻と比較して、培養検査時刻を特定してもよい。
次いで、登録処理部421は、コロニー検出判定部423に、受信した培地画像データに対して画像解析を実行し、培地画像を構成する各ピクセルの特徴量(輝度値)を抽出させるとともに(ステップS206)、当該培地画像を構成する各ピクセルの特徴量に基づいて画像化された検体に発生したコロニーを検出させつつ、その数を検出させるコロニーの検出処理を実行する(ステップS207)。なお、コロニー検出判定部423におけるコロニーの検出処理の動作については後述する。
次いで、コロニー検出判定部423は、作業ID71に基づいて特定された検体の種別及び検出する菌種に基づいて、培地判定基準を読み出しつつ、当該読み出した検体判定基準に基づいて、検出したコロニー数が所定の条件を具備するか否かを判定する(ステップS208)。すなわち、コロニー検出判定部423は、所定の条件を具備する場合には、合格(正常)と判定し、所定の条件を不具備な場合には、不合格(異常)と判定する。
なお、コロニー検出判定部423は、上述の自動登録に代えて、携帯用通信端末装置10と連動し、検出したコロニー数及び合否判定の結果を当該携帯用通信端末装置10の表示部160に表示させ、ユーザに閲覧及び確認させるようにしてもよい。
次いで、登録処理部421は、培地画像データ、認識した培地ID66、判定された合否、検出されたコロニーの数及び培地情報に含まれる撮像時刻を培養開始時刻とした培養開始時刻情報を、特定した作業ID71対応付けて培地情報DB401に登録し(ステップS209)、本動作を終了する。
なお、登録処理部421は、ライン情報及び登録すべき情報を携帯用通信端末装置10の表示部160に表示させ、当該携帯用通信端末装置10を介して入力されたユーザ指示に基づいて、培地情報等の登録をするようにしてもよい。
また、携帯用通信端末装置10から培地画像データが送信され、サーバ装置40によって各画像データを解析することによって培地ID66を認識する場合には、登録処理部421は、ステップS201の処理において、受信した培地画像データのそれぞれの所定の領域上に画像化された培地ID66を解析して当該培地ID66を認識して取得するようになる。同様に、指示書画像データにおける作業ID71についても、サーバ装置40において認識させる。
[6.2]コロニーの検出処理
次に、図19を用いて本実施形態のサーバ装置40におけるコロニーの検出処理の動作について説明する。なお、図19は、本実施形態のサーバ装置40における一コロニーの検出処理の動作を示すフローチャートである。
本動作は、図18に示す培地登録処理のステップS206の処理で登録処理部421の制御の下にコロニー検出判定部423において実行される処理である。また、本動作においては、特徴量として各ピクセルの輝度値を用いるものとする。
まず、コロニー検出判定部423は、培地画像データから取得した培地画像を構成する各ピクセルの輝度値を取得する輝度値抽出処理を実行する(ステップS501)。
次いで、コロニー検出判定部423は、所定の閾値以上の輝度値を有するピクセルをコロニーピクセルとして抽出して、コロニーピクセルと培地を構成する培地ピクセルとに2値化する2値化処理を実行する(ステップS502)。
次いで、コロニー検出判定部423は、抽出したコロニーピクセルをコロニー候補として又は抽出したコロニーピクセルのうち隣接するコロニーピクセルがある場合には、隣接するコロニーピクセルを含めてコロニー候補としてラベリングするラベリング処理を実行する(ステップS503)。
次いで、コロニー検出判定部423は、同一ラベルの各コロニー候補において培地画像上の重心を決定する重心決定処理を実行するとともに、各コロニー候補の重心位置と他のコロニー候補の重心位置とに基づいて培地画像上の距離を算出し、当該距離が閾値以下のコロニー候補の組み合わせを第1コロニー候補及び第2コロニー候補として特定する組み合わせ処理を実行する(ステップS504)。
次いで、コロニー検出判定部423は、第1コロニー候補及び第2コロニー候補の組み合わせ(以下、単に「候補の組み合わせ」という。)毎に、第1コロニー候補及び第2コロニー候補のそれぞれを構成するピクセルの輝度値(特徴量)に基づいて各コロニー候補の輝度値を算出する候補輝度値算出処理を実行する(ステップS505)。
次いで、コロニー検出判定部423は、候補の組み合わせ毎に、コロニー候補の組み合わせを特定した際に用いた第1コロニー候補と第2コロニー候補の距離に基づいて第1コロニー候補特徴位置と第2コロニー候補特徴位置間の均等分割数を決定しつつ、当該分割数に従った培地画像上の分割位置を参考位置として決定する参考位置決定処理を実行する(ステップS506)。
次いで、コロニー検出判定部423は、候補の組み合わせ毎に、各参考位置に隣接し、又は、各参考位置を包含するピクセルの輝度値に基づいて各参考位置の輝度値を参考輝度値として算出する参考輝度値算出処理を実行する(ステップS507)。
次いで、コロニー検出判定部423は、候補の組み合わせ毎に、第1コロニー候補及び第2コロニー候補の輝度値と決定した均等分割数に基づいて各参考位置における輝度値を計算輝度値として算出する計算輝度値算出処理を実行する(ステップS508)。
次いで、コロニー検出判定部423は、全ての参考位置における参考輝度値と計算輝度値の差を積算する積算処理を実行するとともに、積算した値が予め定められた閾値以下の場合には、第1コロニー候補と第2コロニー候補を連結して一のコロニーとして特定する連結処理を実行して(ステップS509)、本動作を終了させる。
[6.3]ロット判定処理
次に、図20を用いて本実施形態のサーバ装置40におけるロット判定処理の動作について説明する。なお、図20は、本実施形態のサーバ装置40におけるロット判定処理の動作を示すフローチャートである。
本動作においては、該当する培地情報が登録されているものとし、工程判定基準情報、ライン判定基準情報及びロット判定基準情報が予め登録されているものとする。
まず、サーバ装置40の通信制御部410が、管理者端末装置20から送信されたロット判定指示を受信すると(ステップS301)、ロット判定処理部424は、通信制御部410と連動し、ロット判定可能なロットIDを検索して当該ロット判定可能なロットID及びそれに対応するロット情報を、管理者に閲覧及び選択可能に管理者端末装置20に送信し、ロット判定処理を実行するロットIDの指示を待機する(ステップS302)。
なお、管理者端末装置20には、ロット判定可能なロットIDを管理者に閲覧及び選択可能に所定の表示画面に表示させる。
次いで、通信制御部410が、管理者によって特定されたロットIDを、管理者端末装置20を介して受信すると(ステップS303)、ロット判定処理部424は、該当するロットに属する工程の工程判定、ライン判定及びロット判定の条件を示す各判定基準情報をRAM/ROM440から読み出す(ステップS304)。
次いで、ロット判定処理部424は、該当するロットIDの各種のロット情報、ライン情報及び培地情報を読み出し(ステップS305)、読み出したロット情報、ライン情報及び培地情報に基づいて、工程判定及びライン判定を実行しつつ、ロット判定を行う(ステップS306)。具体的には、ロット判定処理部424は、ロット情報によって特定された各工程の工程判定を実行し、当該工程判定の工程判定結果に基づいて、ロット情報によって特定された各作業ライン80のライン判定を実行する。そして、ロット判定処理部424は、ライン判定結果に基づいてロット判定を実行する。
次いで、ロット判定処理部424は、判定の報告形式となる予め定めたテンプレート情報を読み出しつつ、ロット判定結果を、当該テンプレートに割り当てて、報告書データを生成する(ステップS307)。
最後に、ロット判定処理部424は、通信制御部410と連動して生成した報告書データを該当する管理者端末装置20に提供して(ステップS308)本動作を終了させる。
なお、管理者端末装置20は、報告書データを受信すると、管理者に閲覧可能に表示させる。ただし、ロット判定処理部424は、管理者端末装置20に報告書データを送信せずに、プリンタに印刷可能に印刷データとして送信してもよい。
[7]変形例
[7.1]変形例1
上述の実施形態においては、培地登録処理とコロニー検出判定処理を同タイミングで実行しているが、コロニー検出判定処理を任意のタイミングによって実行してもよい。
[7.2]変形例2
本実施形態において、タブレット型情報端末装置、スマートフォン又は携帯用電話機等の携帯用通信端末装置10を用いて培地情報の登録処理を実行している点に代えて、ラップトップ型又はデスクトップ型のパーソナルコンピュータと、スキャナ、デジタルカメラ又はスマートフォン等の画像入力装置と、によって当該培地情報の登録処理を実現してもよい。
この場合には、パーソナルコンピュータと画像入力装置とを所定の通信規格によって接続し、パーソナルコンピュータと画像入力装置とを一体的に用いて当該培地情報の登録処理を実現してもよいし、メモリカードその他の物理的なメモリに画像入力装置によって先に取得した培地画像データ及び指示書画像データを記憶させ、当該記憶させた各画像データをパーソナルコンピュータによって取り込みつつ、当該培地情報の登録処理を実現してもよい。
[7.3]変形例3
本実施形態においては、携帯用通信端末装置10、管理者端末装置20、サーバ装置40が同一敷地内で設置又は使用されてもよいし、それぞれが国外などの遠隔地に設置され、又は、遠隔地にて使用されて上述の各処理が実行されてもよい。ただし、携帯用通信端末装置10は、同一ロットにおいて使用させることが前提となる。
[7.4]変形例4
本実施形態においては、フィルム型培地60を用いて当該フィルム型培地60に培養された検体における培地情報の登録を実行しているが、寒天培地を用いて当該寒天培地に培養された検体における培地情報の登録を実行してもよい。
[7.5]変形例5
本実施形態において、画像データ生成部110によってフィルム型培地60を撮像して培地ID66を取得する点に代えて、作業者の操作入力によって培地ID66を入力させるようにしもよい。
この場合には、アプリケーション制御部120は、表示制御部161及び操作部170と連動し、作業者に培地ID66を操作部170を用いて直接手入力させる。
また、アプリケーション制御部120は、クリック又はタッチ選択等によって、プルダウンメニュー等の表示項目を選択させるように表示制御部161及び操作部170を制御させて、作業者に培地ID66を入力させる。
[7.6]変形例6
本実施形態にておいては、単一のサーバ装置40によって各種の処理を実行しているが、複数のサーバ装置40から構成されるサーバシステムによって各種の処理を実行するようにしてもよい。
以上本実施形態の衛生管理システムSにおいては、近接して異なるコロニーが発生している場合、又は、複雑な形状を有するコロニーが発生している場合など、単に2つのコロニーの特徴量だけでは同一のコロニーを構成するか否かを判定することが困難な場合であっても、個々のコロニーを確実に特定することができるので、コロニー数の検出における正確性を向上させてコロニー数の誤検出を防止することができるとともに、コロニー数を含めた培地に関する情報を的確に登録することができる。
特に、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、
(1)算出特徴量と培地画像上のピクセルの特徴量に基づいて決定した特徴量との差を用いることによって、2つのコロニーピクセルが同一のコロニーを構成するか否かを的確に判定すること、
(2)算出特徴量と参考特徴量の差に基づいて、第1コロニー候補と第2コロニー候補とが同一のコロニーを構成するか否かを判定すること及び第1コロニー候補の位置と第2コロニー候補の位置の培地画像上の距離に応じて使用する参考位置の数を変化させるによって、2つのコロニーが同一のコロニーを構成するか否かをより的確に判定すること、
(3)第1コロニー候補に対して予め定められた条件を有する第2コロニー候補を用いることによって、同一のコロニーを構成する可能性が低い演算を抑制し、演算の処理負担の軽減を図ること、並びに、
(4)第1コロニー候補の位置から第2コロニー候補の位置までの長さを2以上に均等分割するための培地画像上の位置を参考位置として用いることによって、第1コロニー候補と第2コロニー候補に対してより的確な参考位置を提供することができる。