以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、食品の製造ライン又は検査ライン(以下、「作業ライン」という。)におけるフィルム型培地を用いた衛生管理システムに対して、本発明に係る培地情報登録システム、プログラム、コロニー検出装置及び衛生管理システムを適用した場合の実施形態である。ただし、本発明は、その技術的思想を含む範囲内で以下の実施形態に限定されない。
[1]衛生管理システム
まず、図1を用いて本実施形態の衛生管理システムSについて説明する。なお、図1は、本実施形態の衛生管理システムSの構成を示す構成図である。
本実施形態の衛生管理システムSは、フィルム型の培地(すなわち、フィルム型培地)を用いるとともに、当該培地に関する情報(以下、「培地情報」という。)をデータ管理することによって、食品の製造上又は検査上の衛生状態を検査するためのシステムである。
特に、本実施形態の衛生管理システムSは、加工中又は加工後の食品を製造する製造工程又は当該食品を検査する検査工程を有する作業ライン80において、加工中又は加工後の食品を検体として抽出し、フィルム型培地60で検体に発生している一般性菌又は大腸菌等の予め特定した菌を培養させた際の培養状況をデータ管理するシステムである。
本実施形態の衛生管理システムSは、食品の衛生状態をデータ上で管理及び判定するために、食品の製造又は検査における作業に関する情報(以下、「作業情報」という。)と、当該抽出した検体に発生する菌(コロニー)を培養する前後において携帯用通信端末装置10によって取得されるフィルム型培地60の培地情報と、を対応付けてサーバ装置40(具体的には、データベース400)に登録することが可能な構成を有している。
具体的には、本実施形態の衛生管理システムSは、
(1)フィルム型培地60が画像化した培地画像のデータ(以下、「培地画像データ」という。)の培地画像を構成する各ピクセルの色特徴量に基づいて、コロニーの候補(以下、「コロニー候補」という。)を特定しつつ、当該コロニー候補の境界に属するピクセルの変化量を算出し、
(2)当該算出したピクセルの変化量に基づいて、当該各ピクセルが前記コロニーの画像を構成するピクセル(以下、「コロニーピクセル」という。)か否かを判定するための判定条件を設定し、
(3)設定した判定条件に基づいてコロニーピクセルを特定しつつ、特定したコロニーピクセルに基づいてコロニーの検出及び当該コロニーの計数を実行する、
構成を有している。
このような構成を実現するために、本実施形態の衛生管理システムSは、図1に示すように、各フィルム型培地60に関する培地情報を登録する際に用いる複数の携帯用通信端末装置10と、当該衛生管理システムSを管理する管理者端末装置20と、ネットワーク30と、データベース400を有し、かつ、携帯用通信端末装置10又は管理者端末装置20と連動し、培地情報の登録管理を含む各種の処理を実行するサーバ装置40と、を有している。
本実施形態の作業情報は、製造工程又は検査工程に係わる各種の情報の他に、検体として製造工程又は検査工程から抽出された食品及び当該検体に発生するコロニーの培養に関する情報を含み、作業毎に、固有の識別情報(以下、「作業ID」という。)を用いてデータベース400に登録されるようになっている。
具体的には、各作業情報には、
(1)作業IDと、
(2)検体を抽出すべき作業ライン80の識別情報(以下、「ラインID」という。)又は作業ライン80が複数の工程を有している場合には、ラインID及び工程の識別情報(以下、「工程ID」という。)71bと、
(3)検体としての食品の製品名、ロットの識別情報(以下、「ロットID」という。)及びロット名と、
(4)一般性菌又は大腸菌等の検体から検出する菌の種別(以下、「検査種別」という。)と、
(5)希釈倍率、希釈液の種別、培養温度、培養湿度及び培養時間等の検体の培養条件と、
(6)検体の培養開始時刻と、
(7)検体の培養開始から所定の時間経過後の時刻(以下、「培養検査時刻」ともいう。)と、
(8)インキュベータ番号及びインキュベータ内の段数等の検体の培養場所と、
(9)作業開始時刻及び終了時刻を示す作業日時と、
(10)作業者ID(社員ID)及び作業者名と、
が含まれる。そして、作業情報の各情報は、種別毎にかつ作業毎にデータベース400に登録されている。
携帯用通信端末装置10は、例えば、通信機能を有するデジタルカメラ、タブレット型情報端末装置、スマートフォン又は携帯用電話機等、静止画像等の撮像機能又は録画機能(以下、単に「カメラ機能」という。)を有し、かつ、作業者によって携帯可能な通信端末装置である。
特に、携帯用通信端末装置10は、カメラ機能によって、フィルム型培地60を画像化して画像データ(以下、「培地画像データ」という。)を生成するとともに、作業指示書70を画像化して指示書画像を生成することが可能な構成を有している。
そして、携帯用通信端末装置10は、画像化された指示書画像のデータ(以下、「指示書画像データ」という。)及びフィルム型培地60の培地画像データから作業ID71及び培地ID66を取得し、当該取得した作業ID71及び培地ID66と、培地画像データと、当該培地画像データのメタデータと、を培地情報として、サーバ装置40のデータベース400に登録することが可能な構成を有している。
一方、携帯用通信端末装置10は、培地情報をサーバ装置40に送信する際には、BLUETOOTH(登録商標)、ワイヤレスLAN(WLAN:Wireless Local Area Network)又はワイヤレスPAN(WPAN:Wireless Personal Area Network)等の近距離無線用の通信規格を用いて直接若しくはアクセスポイント50を介してサーバ装置40に送信し、又は、図示しない移動基地局を介して公衆電話回線網を用いてサーバ装置40に送信する構成を有している。
そして、携帯用通信端末装置10は、XML(eXtensible Markup Language)等のマークアップ言語によって構築されたブラウザ機能を有し、当該ブラウザ機能を用いて作業者の操作入力指示及び操作確認を実行するとともに、当該ブラウザ機能を介して培地情報をサーバ装置40に送信するようになっている。
管理者端末装置20は、例えば、タブレット型情報端末装置、スマートフォン、パーソナルコンピュータ又はワークステーション等の情報通信端末装置である。そして、管理者端末装置20は、管理者の識別情報(以下、「管理者ID」という。)と管理者のパスワード及び作業者の識別情報(以下、「作業者ID」という。)を管理し、サーバ装置40へのアクセス権限の管理、携帯用通信端末装置10の端末IDの管理、及び、登録された培地情報の修正その他の管理を行うことができる制御装置として機能する。
また、管理者端末装置20は、携帯用通信端末装置10と同様に、マークアップ言語によって構築されたブラウザ機能を有し、当該ブラウザ機能を用いてサーバ装置40とのデータの授受、報告書の閲覧等を実行することができる構成を有している。
なお、管理者端末装置20は、同一ロット内において、工程を実行する機械の故障その他によって各作業が中断した場合に、又は、作業者における培地情報の登録ミス等が発生した場合に、培地情報その他の情報を修正することができる構成を有している。
ネットワーク30は、例えば、携帯電話網を含む公衆電話回線網(以下、「長距離通信ネットワーク」という)、近距離無線ネットワーク等のIP(Internet Protocol)ネットワーク、又は、その双方が相互接続されて構成されている。ただし、当該ネットワーク30の構成は、これに限られない。
サーバ装置40は、携帯用通信端末装置10又は管理者端末装置20と連動し、ロット及び作業ライン80の衛生管理を行うための各データ処理を実行するために用いられるサーバ装置である。
そして、サーバ装置40は、携帯用通信端末装置10と連動し、データベース400に、培養開始前の各フィルム型培地60における培地情報の登録(以下、「初期登録」という。)、及び、培養開始後の登録(以下、「培養後登録」という。)を行うとともに、携帯用通信端末装置10から送信された培地情報を取得し、当該取得した培地情報の培地画像データによって形成される培地画像から、検体に発生して培養されたコロニーを検出する構成を有している。
具体的には、サーバ装置40は、
(1)携帯用通信端末装置10から培地画像データを取得し、
(2)取得した培地画像データの培地画像を構成する各ピクセルの色に関する色特徴量を抽出し、
(3)抽出した各ピクセルの色特徴量に基づいて、当該各ピクセルがコロニーピクセルか否かを判定するための判定条件を設定し、
(4)設定した判定条件に基づいてコロニーピクセルを特定し、
(5)特定したコロニーピクセルに基づいてコロニーの検出及び当該コロニーの計数を実行し、
(6)検出したコロニーに関する情報を培地情報としてデータベースに登録する、
構成を有している。
そして、サーバ装置40は、(3)の処理においては、
(3A)抽出した色特徴量が予め定められた特定条件を具備するピクセルを特定ピクセルとして特定しつつ、当該特定ピクセルに基づいて、1以上のコロニー候補を特定し、
(3B)当該特定したコロニー候補毎の境界を構成するピクセルと当該ピクセルの周辺のピクセルとの色特徴量に基づいて、当該特定したコロニー候補毎の境界におけるピクセルの色特徴量の変化量を算出し、
(3C)算出した各色特徴量の変化量に基づいて、判定条件を設定する、
構成を有している。
特に、サーバ装置40は、(3A)の処理としては、培地画像上にて隣接して連結可能な特定ピクセルの数及び当該連結可能な特定ピクセルの色特徴量の分散値に基づいて、前記コロニー候補を特定するようになっている。
なお、サーバ装置40は、変化量として、当該色特徴量の勾配強度を算出するようになっており、例えば、該当するコロニー候補の境界に属するピクセルを挟持して前記培地画像上配列されたピクセルの色特徴量の変化を算出するようになっている。
また、サーバ装置40は、特定した各コロニー候補における算出した色特徴量の変化量の平均を算出しつつ、当該算出した各平均値に基づいて判定条件を設定するようになっている。
このような構成により、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、フィルム型培地60毎に、当該フィルム型培地60の各ピクセルの色特徴量に応じて、コロニーを構成するコロニーピクセルの判定基準を変化させることができるので、コロニーの形成状況、コロニーの培養条件又はコロニーを画像化する際の撮像条件など、フィルム型培地60毎にコロニーの発色状態及び形成状態が異なっている場合であっても、コロニーを画像化する際に用いられるコロニーピクセルを、それぞれのフィルム型培地60に合わせて検出することができるようになっている。
したがって、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、コロニーの検出及びその計数を的確に実行することができるとともに、的確に検出されたコロニー及びその数に関する情報を含む培地情報をデータベースに登録することができるようになっている。
また、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、紙媒体などの物理的な資源を利用して種々のデータ解析及びその提供を行う場合に比べて省資源化をも図ることができるとともに、培地に関する培地情報をデータベース400に登録させることによって登録ミスが著しく減少し、難しい培地の管理を容易にすることができるので、無駄に培地を消費すること無く省資源化を図ることができる。
なお、以下の実施形態においては、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、
(1)培地画像データの培地画像を構成する各ピクセルの色特徴量に基づいてコロニーの候補となるコロニー候補を特定し、
(2)各コロニー候補に属する各ピクセルの色特徴量及び当該コロニー候補に属するピクセル数に基づいて、コロニー候補を、明らかにコロニー(発色強度が高いコロニー)と検出することが可能な第1コロニー候補とにじみ領域を含む第2コロニー候補に分類し、
(3)当該分類されたコロニー候補の種別毎に異なるコロニーを検出するための基準(以下、「コロニー検出基準」という。)を用いてコロニーを検出しつつ、当該コロニーの数を検出する、
実施形態を例に説明する。
[2]フィルム型培地
次に、図2を用いて本実施形態のフィルム型培地60について説明する。なお、図2は、本実施形態に用いるフィルム型培地60の一例である。
本実施形態に用いるフィルム型培地60は、フィルム又はシ−ト状の乾燥培地によって作業ライン80の各工程から検出した検体としての食品に発生した菌を培養するための培地である。例えば、フィルム型培地60は、一般生菌、大腸菌用及び黄色ブドウ球用を培養する培地として用いられる。なお、カビや酵母、リステリア菌、水質用微生物、乳酸菌、タンパク質等の各種の菌、物質又は微生物を培養する培地として用いてもよい。
また、フィルム型培地60は、例えば、図2に示すように、フィルムによって形成される基材シート61と、基材シート61の中心を基準に当該基材シート61上に形成される円形の枠(以下、「円形枠」という。)62と、当該枠内に設けられる菌を培養する培養層63と、当該培養層63を被覆するカバーシート64と、基材シート61の左側に形成された培地ID66と、を有している。
例えば、培地ID66は、2次元バーコード等のバーコード又は英数字で形成されており、フィルム型培地60の撮像時に一緒に画像化され、バーコード認識機能又はOCR(Optical Character Recognition)機能などの画像解析機能を用いて、携帯用通信端末装置10又はサーバ装置40において取得される。
基材シート61は、フィルム状又はシート状の基材であれば特に限定されず、例えば、プラスチックフィルムや紙等を用いることができる。プラスチックフィルムの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート等の樹脂フィルムを好ましく挙げることができる。ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン系の合成紙等が好ましく挙げることができる。なお、ポリプロピレン系合成紙は、ポリプロピレンを主原料とするフィルム合成紙である。
なお、フィルム型培地60は、培地ID66を記憶させたICタグを有し、携帯用通信端末装置10が有する近距離無線通信インターフェース140(例えば、ICタグリーダ)によって当該携帯用通信端末装置10に培地ID66を取得させてもよい。
[3]作業指示書
次に、図3を用いて本実施形態の作業指示書70について説明する。なお、図3は、本実施形態に用いる作業指示書70の一例である。
本実施形態の作業指示書70は、同一条件によって製造又は検査された食品群毎、すなわち、ロット毎に、一以上の製造工程又は検査工程の作業名称及びその内容と、使用する作業ライン80と、製造又は検査される食品(加工食品)名称、数量その他の情報と、が記載された指示書である。
また、本実施形態の作業指示書70は、左上に印刷その他の方法によって形成された指示書ID71aと、所定の領域に印刷その他の方法によって形成された複数の工程ID71bと、を有している。指示書ID71a及び各工程ID71bは、作業ID71として用いられ、例えば、2次元バーコード等のバーコード又は英数字で形成されている。そして、指示書ID71a及び各工程ID71bは、フィルム型培地60の登録が実行される際に当該フィルム型培地60と同様に画像化され、携帯用通信端末装置10又はサーバ装置40において解析することによって認識される。
なお、作業指示書70は、フィルム型培地60と同様に、指示書ID71a又は工程ID71bの作業ID71を記憶させたICタグを有し、タグリーダなどの携帯用通信端末装置10が有するインターフェース(近距離無線通信インターフェース140)によって当該携帯用通信端末装置10に作業ID71を取得させてもよい。また、以下の説明においては、特別に言及しない場合には、作業ID71とは、指示書ID71a又は工程ID71bを示す。
[4]携帯用通信端末装置
次に、図4を用いて本実施形態の携帯用通信端末装置10の構成について説明する。なお、図4は、本実施形態の携帯用通信端末装置10の構成を示すブロック図である。
本実施形態の携帯用通信端末装置10は、各種のプログラムが実行される際に用いられるメモリ機能を有するデータ記憶部100と、撮像機能を有し、フィルム型培地60の画像データその他の画像データを生成する画像データ生成部110と、サーバ装置40と連動して培地情報をサーバ装置40に初期登録及び培養直後を含む培養後登録する処理(以下、「培地情報登録処理」という。)その他の処理を実行するアプリケーション制御部120と、を備えている。
また、携帯用通信端末装置10は、サーバ装置40及び他の通信装置と通信を行うネットワーク通信部130と、ICタグその他の通信用のインターフェースとデータの授受を行う近距離無線通信インターフェース140と、現在位置を検出する現在位置検出部150と、表示部160と、表示部160を制御する表示制御部161と、ユーザの操作を入力するための操作部170と、タイマー180と、装置全体を制御する携帯端末管理制御部190と、を有している。
そして、携帯用通信端末装置10は、例えば、電話機能及び電子メール等のメール機能を有する場合には、マイク、スピーカ及び電子メールの送受信機能等の種々の必要な部材を有している。さらに、上述の各部は、バス11によって互いに接続され、データの授受が実行される。
データ記憶部100は、各種のアプリケーションプログラムが記憶されるアプリケーション記憶部101と、画像データ生成部110によって撮像されて生成された画像データが記憶される画像データ記憶部102と、携帯用通信端末装置10の管理及び制御に関するプログラム、並びに、各プログラムの実行中にワークエリアとして用いられるとともに、携帯用通信端末装置10で実行される各処理において用いられるデータが記憶されるROM/RAM103と、を有している。
特に、アプリケーション記憶部101には、画像データ生成部110、操作部170、表示制御部161及び画像データ記憶部102と連動しつつ、アプリケーション制御部120によって実行されるアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」という。)が記録されている。また、アプリケーション記憶部101には、上述のブラウジング機能を実現するためのブラウザ用のプログラムも記録されている。
画像データ記憶部102には、撮像した培地画像データ及び指示書画像データと、各画像データを管理するための画像IDと、撮像時刻等の各画像データに対応する各種のメタデータと、作業ID71と、培地ID66と、各種のフラグ情報と、が対応付けられて記憶される。なお、画像IDとは、各携帯用通信端末装置10において適宜付与される任意の識別情報である。
画像データ生成部110は、光学システムと、当該光学システムから入力された光学画像を電気信号に変換するCCDIセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)と、CCDIセンサにおいて生成された電気信号に基づいて画像データを生成する生成部と、を有する。
特に、画像データ生成部110は、作業指示書70を撮像した際に、当該撮像された作業指示書70を画像化し、指示書画像データを生成する。また、画像データ生成部110は、検体に発生した菌が培養される、又は、培養されたフィルム型培地60を撮像した際に、当該撮像されたフィルム型培地60を画像化し、当該フィルム型培地60の培地画像データを培地画像データとして生成する。
アプリケーション制御部120は、所定のアプリによって培地情報登録処理を実現する。特に、アプリケーション制御部120は、アプリケーション記憶部101に記憶された培地登録アプリによって携帯用通信端末装置10の各部を制御するための各種制御プログラムを実行しつつ、ネットワーク通信部130、表示制御部161及び操作部170と連動して、又は、制御して各種の処理を実行する。
具体的には、アプリケーション制御部120は、アプリケーション記憶部101に記録された培地登録アプリを実行し、画像データ生成部110を制御して撮像されたフィルム型培地60の培地画像データを取得して画像データ記憶部102に記憶する。
そして、アプリケーション制御部120は、画像化された培地画像データから培地ID66を取得し、当該取得した培地ID66とともに、培地画像データと当該培地画像データのメタデータと各種のフラグ情報とを画像データ記憶部102に記憶する。なお、アプリケーション制御部120は、通信回線を介して他の通信装置又はデータベース400と連動してバーコード認識又はOCR認識を実行してもよい。
また、アプリケーション制御部120は、培地画像データの撮像後、又は、所定のタイミングによって、検体の培養開始時に培地情報をサーバ装置40に登録する初期登録及び当該検体の培養開始後に培地情報を登録する培養後登録を実行する。特に、アプリケーション制御部120は、作業者の指示に基づいて、初期登録か又は培養後登録かを特定し、いずれかの登録かを示す情報(フラグ情報)を培地情報に含めてサーバ装置40に送信する。
また、アプリケーション制御部120は、フィルム型培地60を撮像した際に、タイマー180から現在時刻を取得し、当該現在時刻を撮像時刻として所定の画像IDとともに培地画像データのメタデータとして画像データ記憶部102に記憶し、サーバ装置40に培地画像データを送信する際に一緒に送信する。
なお、アプリケーション制御部120は、培地ID66と、指示書ID71a及び工程ID71bである作業ID71と、がICタグに記憶されている場合には、操作部170及び表示制御部161及び近距離無線通信インターフェース140と連動して培地ID66及び作業ID71を取得する。
また、アプリケーション制御部120は、サーバ装置40によって培地ID66及び作業ID71を培地画像データ及び指示書画像データから認識する場合には、培地情報として培地画像データの他に指示書画像データを送信する。
さらに、アプリケーション制御部120は、実装上、携帯端末管理制御部190を構成するCPU(中央演算処理装置)が、アプリを実行した際の機能として実現されるものであってもよい。
ネットワーク通信部130は、アプリケーション制御部120及び携帯端末管理制御部190の制御の下、ネットワーク30に接続されるサーバ装置40との通信回線を構築し、培地画像データ等の種々のデータの授受を行う。
近距離無線通信インターフェース140は、アプリケーション制御部120及び携帯端末管理制御部190の制御の下、ICタグを用いた近距離無線通信を行う。
現在位置検出部150は、アプリケーション制御部120又は携帯端末管理制御部190の制御の下、ネットワーク30を介してGPS(Global Positioning System)衛星の位置を認識しつつ、当該GPS衛星から送信された衛星信号(GPS信号)を検出する。
そして、現在位置検出部150は、当該検出されたGPS信号に基づいて携帯用通信端末装置10の現在位置の緯度及び経度によって示される座標値を算出(すなわち、検出)する。また、この現在位置検出部150は、この算出された座標値を位置情報としてアプリケーション制御部120に提供する。
なお、携帯用通信端末装置10が、電話機能や近距離無線機能を有している場合には、電話や近距離無線に用いる電波を電話基地局等において受信した方角と電波強度に基づいて当該携帯用通信端末装置10の現在位置を算出(検出)してもよい。
表示部160は、所定のサイズ(例えば、5インチ、W480×H960ピクセル)の画像表示領域を有し、液晶素子又はEL(Electro Luminescence)素子のパネルによって構成され、表示制御部161において生成された表示データに基づいて所定の画像を表示するようになっている。特に、本実施形態では、表示部160は、培地登録アプリが実行されている際に、操作部170と連動しつつ、各種の表示及び撮像されて画像化された作業指示書70とフィルム型培地60との画像を表示する。
表示制御部161は、アプリケーション制御部120又は携帯端末管理制御部190の制御の下、表示部160に所定の画像を描画させるために必要な描画データを生成し、生成した描画データを当該表示部160に出力するようになっている。
操作部170は、各種の確認ボタン、各操作指令を入力する操作ボタン、テンキー等の多数のキー及び表示部160上に設けられたタッチセンサにより構成され、各操作を行う際に用いられるようになっている。具体的には、操作部170は、培地登録アプリの起動時に上述の各種の処理を実行するための操作を行う際に用いられるようになっている。
なお、本実施形態においては、操作部170は、培地ID66を直接手入力する際に用いることも可能である。
タイマー180は、画像データ生成部110がフィルム型培地を撮像するときの日付及び時刻をアプリケーション制御部120に提供する。
携帯端末管理制御部190は、主に中央演算処理装置(CPU)によって構成されるとともに、キー入力ポート、表示制御ポート等の各種入出力ポートを含み、携帯用通信端末装置10の全般的な機能及び情報提供プログラムを実行するための全般的な機能を総括的に制御するようになっている。
[5]サーバ装置
[5.1]サーバ装置の構成
次に、図5を用いて本実施形態のサーバ装置40の構成について説明する。なお、図5は、本実施形態のサーバ装置40の構成を示す構成図である。
本実施形態のサーバ装置40は、図5に示すように、作業情報及び培地情報等の各種の情報が記憶されるデータベース400と、携帯用通信端末装置10及び管理者端末装置20と通信を行う通信制御部410と、培地情報登録処理等の各種の処理を実行するデータ処理部420と、サーバ装置40の各部を制御するサーバ管理制御部430と、各部の制御に用いるROM/RAM440と、時刻管理を行うために用いるタイマー450と、を有する。なお、上述の各部は、バス41によって相互に接続され、各構成要素間におけるデータの転送が実行される。
通信制御部410は、所定のネットワークインターフェースであり、携帯用通信端末装置10又は管理者端末装置20と通信回線を構築し、携帯用通信端末装置10又は管理者端末装置20と種々のデータの授受を行う。
データベース400は、HDD又はSSDにより構成され、培地情報データベース(以下、「培地情報DB」と略す。)401、ライン情報データベース(以下、「ライン情報DB」と略す。)402及びロット情報データベース(以下、「ロット情報DB」と略す。)403及び作業管理データベース(以下、「作業管理DB」と略す。)404を有する。なお、例えば、本実施形態の各DBは、本発明に係るデータベースを構成する。
培地情報DB401は、各作業ライン80の工程毎に抽出された検体のフィルム型培地60に関する培地情報が作業ID71及び培地ID66毎に格納されるデータベースである。例えば、培地情報DB401には、
(1)培地ID
(2)撮像された培地画像データ
(3)撮像時刻
(4)フラグ情報を含むその他の情報
(5)各コロニー候補の色に関する特徴量を含むコロニー候補の特定情報
(6)コロニー候補を画像化するために用いる検出ピクセルの特徴量及びフィルム型培地60の座標位置等を含む各コロニー候補の情報(以下、「コロニー候補情報」という。)
(7)コロニーとなる各コロニー候補のID(ラベリングされた際のID)及びコロニー数
(8)コロニー数に基づいてフィルム型培地60(すなわち、検体)が正常であるか異常であるかを判定する培地判定の結果
(9)作業ID
の9つデータが対応付けて記録される。
なお、抽出すべき検体が、同一のロットにおいて、常に同一の作業ライン80の同一の工程から抽出する場合には、作業IDは、ロットIDであればよく、抽出すべき検体が、同一のロットであっても異なる作業ライン80又は異なる工程から抽出する場合には、ラインID又は工程ID71bとなる。
また、各培地情報におけるコロニー数及び培地判定の結果は、培地情報が登録される際に登録されてもよいし、当該培地情報の登録タイミングと異なる所定のタイミングで登録されてもよい。
さらに、同一のフィルム型培地60の培地情報の撮像時刻が複数登録される場合には(すなわち、後述の培養検査時刻が複数の場合には)、同一の培地ID66において、培養検査時刻毎に培地画像、撮像時刻、コロニー数、培地判定の各培地情報が記憶される。
ライン情報DB402は、各作業ライン80に関するライン情報がラインID毎に格納されるデータベースである。例えば、ライン情報DB402には、
(1)ラインID
(2)作業ライン80が有する工程の工程ID71b及びその種別
の2つデータが対応付けて記録される。工程種別としては、材料投入、調合、充填、ボイル、包装、及び、梱包等の各工程を特定する名称が用いられる。
ロット情報DB403は、各ロットに関するロット情報がロットID毎に格納されるデータベースである。例えば、ロット情報DB403には、
(1)ロットID(指示書ID71a)
(2)ロットの製造又は検査に用いる作業ラインのラインID
(3)ロットの作業開始時刻
(4)ロットの作業終了時刻
(5)ロットの作業を実行する作業者の作業班
の5つデータが対応付けて記録される。
作業管理DB404は、作業内容に関する各種の情報が格納されるデータベースである。例えば、作業管理DB404には、
(1)作業ID
(2)検体を抽出すべき作業ラインのラインID(又はラインID及び工程ID71b)
(3)検体(食品)の種別(製品名、ロットID及び/又はロット名)
(4)検査種別(一般性菌又は大腸菌など検出する菌種)
(5)培養条件(希釈倍率、希釈液の種別、培養温度、培養湿度及び培養時間)
(6)培養開始時刻
(7)培養開始から所定の時間経過後の時刻(以下、「培養検査時刻」ともいう。)
(8)培養場所(例えば、インキュベータ番号及びインキュベータ内の段数等の位置)
(9)作業日時(作業開始時刻及び終了時刻)
(10)作業者ID(及び/又は作業者名)
の10つデータが対応付けて記録される。
なお、培養検査時刻には、単一の時刻(すなわち、検体の培養を終了させる終了時刻)だけが設定されてもよいし、培養開始時刻から法定された又は所定の時間経過後、例えば、培養開始時刻から24時間経過後、48時間経過後又は72時間経過後等の複数の時刻が設定されてもよい。
データ処理部420は、ROM/RAM440に記録されているアプリケーションに応じて各種データ処理を実行する。特に、データ処理部420は、所定のプログラムを実行することによって、
(1)通信制御部410の動作管理と、
(2)各携帯用通信端末装置10と連動しつつ各種の培地情報を取得してデータベース400に登録する培地情報登録処理と、
(3)培地情報登録処理中に又は培地情報登録処理後の所定のタイミングにおいて、各フィルム型培地60の各培地画像からコロニーを検出し、そのコロニーを計数し、かつ、当該コロニー数に基づく培地判定を実行するコロニー検出判定処理と、
(4)登録した培地情報に基づいてロットの判定を行うロット判定処理と、
(5)判定結果を報告書形式で出力する報告処理と、
(6)データベース400の管理及び制御と、
を行う。
特に、データ処理部420は、コロニー検出判定処理においては、培地画像データの培地画像を構成する各ピクセルの色特徴量に基づいてコロニー候補を特定するとともに、各コロニー候補に属する各ピクセルの色特徴量及び当該コロニー候補に属するピクセル数に基づいて、コロニー候補を第1コロニー候補(後述する通常コロニー領域として検出可能なコロニー候補)と第2コロニー候補(にじみ領域を有すると想定されるコロニー候補)に分類し、コロニー候補の種別毎に異なるコロニー検出基準を用いて各コロニー候補からコロニーを検出しつつ、当該コロニーの数を検出する。
また、データ処理部420は、第1コロニー候補についてコロニー検出及びその計数を実行する第1特定処理、及び、第2コロニー候補についてコロニー検出及びその計数を実行する第2特定処理を実行する。
そして、データ処理部420は、第1特定処理としては、
(1A)第1コロニー候補の境界に属するピクセルの変化量を算出し、
(1B)当該算出したピクセルの変化量に基づいて、当該第1コロニー候補に属するピクセル(以下、「コロニー候補ピクセル」という。)がコロニーの画像を構成するピクセル(以下、「コロニーピクセル」という。)か否かを判定するための判定条件を設定し、
(1C)設定した判定条件に基づいて第1コロニー候補に属するコロニー候補ピクセルからコロニーピクセルを特定しつつ、特定したコロニーピクセルに基づいてコロニーの検出及び当該コロニーの数の計数を実行する、
構成を有している。
さらに、データ処理部420は、第2特定処理としては、
(2A)第2コロニー候補に属するコロニー候補ピクセルの色特徴量に対して、異なるパラメータによって2以上の平滑化処理を実行し、
(2B)実行した各平滑化処理によって得られた平滑化画像毎に、予め定められた検索条件を具備する色特徴量を有するコロニー候補ピクセルを対象ピクセルとして特定しつつ、当該平滑化画像毎の対象ピクセルに基づいて、コロニーピクセルを特定し、
(2C)特定したコロニーピクセルに基づいてコロニーの検出及び当該コロニーの数の計数を実行する。
具体的には、データ処理部420は、データベース400の管理及び制御を含めて培地情報登録処理を実行する登録処理部421と、第1特定処理及び第2特定処理を含むコロニー検出判定処理を実行するコロニー検出判定部422と、ロット判定処理を実行するロット判定処理部424と、報告処理を実行する報告処理部425と、を含む。
なお、例えば、本実施形態の登録処理部421は、本発明に係る取得手段及び登録手段を構成し、本実施形態のコロニー検出判定部422は、本発明の抽出手段、設定手段、特定手段及び検出手段を構成する。また、さらに、本実施形態の登録処理部421、コロニー検出判定部422、ロット判定処理部424及び報告処理部425の詳細については後述する。
サーバ管理制御部430は、主に中央演算処理装置(CPU)によって構成され、プログラムを実行することによって、サーバ装置40の各部を統合制御する。具体的には、サーバ管理制御部430は、ユーザの操作による携帯用通信端末装置10からのログイン要求に基づいて各ユーザのログイン処理、及び、その他の各種の制御を行う。
ROM/RAM440には、サーバ装置40の駆動に必要な各種のプログラムが記録されている。特に、ROM/RAM440には、基準特性を規定するための情報、各フィルム型培地60の培地判定(合否判定)、工程判定、ライン判定及びロット判定の各判定を実行する際に用いる判定基準の情報(以下、「培地判定基準情報」ともいう。)等のそれぞれの各情報が記憶される。また、ROM/RAM440は、各プログラムの実行中にワークエリアとして用いられる。
タイマー450は、培地情報の登録処理及びロット判定処理を実行する際に必要な時刻
を管理するために用いられる。
[5.2]登録処理部
次に、本実施形態のサーバ装置40における登録処理部421の詳細について説明する。
本実施形態の登録処理部421は、携帯用通信端末装置10と連動し、作業ID71に対応付けつつ、各培地情報を培地情報DB401に登録する培地情報登録処理を実行する。特に、登録処理部421は、培地情報に含まれる、初期登録か又は培養後登録かを示すフラグ情報に基づいて、異なる培地情報登録処理を実行する。
(初期登録)
登録処理部421は、初期登録を示すフラグ情報が携帯用通信端末装置10から送信された培地情報に含まれている場合には、初期登録に基づく培地情報登録処理を実行する。
具体的には、登録処理部421は、通信制御部410介して培地情報を取得すると、培地情報に含まれる培地ID66及び作業ID71を特定する。また、登録処理部421は、特定した作業ID71に基づいて、作業管理DB404を検索し、該当する作業情報を特定しつつ、当該特定した作業情報に対応付けて、取得した培地画像データ及び撮像時刻を培地情報DB401に登録する。
特に、登録処理部421は、取得した作業ID71に基づいて検体を抽出した作業ライン80が含まれるロットID、当該作業ライン80のラインID、当該検体を抽出した工程ID71bを特定するとともに、当該特定したロットID、ラインID及び工程ID71bに対応付けて、培地情報に含まれる培地画像データ及び撮像時刻を培地情報DB401に登録する。
そして、登録処理部421は、撮像時刻を培養開始時刻として培地情報DB401に登録する。なお、培養開始時刻は、当該時刻に培地情報の登録処理を実行することを前提に撮像時刻に代えて予め設定された時刻を用いてもよい。
(培養後登録)
登録処理部421は、培養後登録を示すフラグ情報が携帯用通信端末装置10から送信された培地情報に含まれている場合には、培養後登録に基づく登録処理を実行する。
具体的には、登録処理部421は、初期登録と同様に、通信制御部410を介し培地情報を取得すると、当該培地情報に含まれる培地ID66及び作業ID71を特定する。そして、登録処理部421は、特定した作業ID71に基づいて、作業管理DB404を検索し、該当する作業情報を特定しつつ、当該特定した作業情報に対応付けて、撮像時刻を培地情報DB401に登録する。なお、培養検査時刻は、培養開始時刻と同様に、当該時刻に培地情報の登録処理を実行することを前提に撮像時刻に代えて予め設定された時刻を用いてもよい。
一方、登録処理部421は、取得した培地画像データを、コロニー検出判定部422に画像解析させつつ、解析結果とともに、又は、解析せずに直接、培地情報DB401に登録する。なお、コロニー検出判定部422は、画像解析によって、コロニーの検出、コロニー数の計数及び培地判定を実行するようになっており、当該画像解析の詳細については後述する。
[5.3]コロニー検出判定部
[5.3.1]コロニー検出判定部の動作原理
次に、本実施形態のサーバ装置40におけるコロニー検出判定部422の動作原理について説明する。
通常、コロニーの形成状況、コロニーの培養条件又はコロニーを画像化する際の撮像条件など、フィルム型培地60毎に異なる状況又は条件になることがほとんどであり、コロニーの検出及びその計数を的確に実行するためには、フィルム型培地60毎にこれらの状況及び条件を判断してパラメータを変化させつつ画像解析を行うことが望ましい。
特に、検出すべきコロニーの色とは同一系統の色成分を有し、当該検出すべきコロニーとは発色強度が異なる(低い)領域(以下、「にじみ領域」という。)又はにじみ領域と同様に当該検出すべきコロニーとは発色強度が異なる(低い)領域であって気泡などの菌から発生したガスの影響がある領域(以下、「気泡領域」という。)を少なくとも含む領域(以下、単に「にじみ領域」ともいう。)とは異なり、所定の色特徴量以上のピクセルを所定数以上有しており、当該色特徴量の成分の含有範囲が狭い明らかにコロニーと検出することが可能な領域(以下、「通常コロニー領域」という。)については、コロニー候補の境界を認識することができれば、確実に当該領域をコロニーとして検出することができる。
そこで、本実施形態のコロニー検出判定部422は、第1特定処理としては、コロニー候補の境界を認識して画像化されたコロニーを形成するコロニーピクセルを特定しつつ、当該特定したコロニーピクセルに基づいてコロニーの検出及びその計数を実行するようになっている。なお、以下に、コロニー検出判定部422の各処理の詳細を説明する。
[5.3.2]コロニー検出判定部の各処理の詳細
次に、図6〜図13を用いて本実施形態のサーバ装置40におけるコロニー検出判定部422の各処理の詳細について説明する。
なお、図6は、本実施形態のサーバ装置40のコロニー検出判定部422において設定される分類条件を説明するための図であり、図7は、本実施形態のサーバ装置40のコロニー検出判定部422においてヒストグラムを生成する際に用いる境界ピクセルを説明するための図である。また、図8は、本実施形態のサーバ装置40のコロニー検出判定部422において生成されるヒストグラムを説明するための図であり、図9及び図10は、本実施形態のサーバ装置40のコロニー検出判定部422において実行される第1特定処理を説明するための図である。さらに、図11〜図13は、本実施形態のサーバ装置40のコロニー検出判定部422において実行される第2特定処理を説明するための図である。
コロニー検出判定部422は、登録処理部421の制御の下、培地情報の培地情報DB401への登録時又は所定のタイミングにおいて、携帯用通信端末装置10から送信された培地情報に含まれる培地画像データから培地画像を取得する。
そして、コロニー検出判定部422は、
(1)RGBの階調値、輝度値又は彩度などの取得した培地画像を構成する各ピクセルの色特徴量を抽出するとともに、抽出した各ピクセルの色特徴量を予め定められた2値化して一方の値を具備するピクセルを特定しつつ、隣接する特定したピクセル同士を連結させてコロニー候補を特定する処理(以下、「コロニー候補特定処理」という。)、
(2)特定したコロニー候補に属する各ピクセルの色特徴量のヒストグラムを生成し、生成したヒストグラムからコロニー候補を分類するための条件(以下、「分類条件」という。)を決定しつつ、決定した分類条件に基づいてコロニー候補を第1コロニー候補と第2コロニー候補に分類する処理(以下、「コロニー候補分類処理」という。)、
(3)第1コロニー候補についてコロニー検出及びその計数を実行する第1特定処理、及び、
(4)第2コロニー候補についてコロニー検出及びその計数を実行する第2特定処理
を実行する。
(コロニー候補特定処理)
コロニー検出判定部422は、培地ID66の位置などによって培地画像から処理対象の領域(培養層63の領域)を特定しつつ、当該領域を構成するピクセル毎に、輝度値、明度、彩度又はサブピクセル(RGB)の階調値などの予め設定された色特徴量を抽出する。例えば、輝度値を用いる場合には、コロニー検出判定部422は、培地画像を構成する各ピクセルの輝度値を抽出しつつ、予め定められた閾値に基づいて、抽出した各輝度値を2値化して所定の条件を具備するピクセルを抽出する。
すなわち、コロニー検出判定部422は、培地の色が白の場合には、各輝度値を予め定められた値を基準に黒か白に2値化して黒の階調値を示すピクセルをコロニー候補ピクセルとして抽出する。
そして、コロニー検出判定部422は、画像フィルタノイズを低減させるための画像フィルタ処理を実行し、隣接するコロニー候補ピクセルを連結してラベリングを実行して1以上のコロニー候補ピクセルから構成されるコロニー候補を特定する。
特に、コロニー検出判定部422は、画像フィルタ処理としては、各コロニー候補ピクセルに隣接して他のコロニー候補ピクセルが存在する場合に、コロニー候補ピクセルに隣接する全てのピクセルをコロニー候補ピクセルに置き換える膨張処理、及び、コロニー候補ピクセルに隣接してコロニー候補ピクセルでないピクセル(以下、「非コロニーピクセル」という。)が存在する場合に隣接するピクセルを全て非コロニーピクセルに置き換える収縮処理を実行しつつ、コロニー候補を特定する。
(コロニー候補分類処理)
本実施形態のコロニー検出判定部422は、特定したコロニー候補に属する各ピクセル(すなわち、コロニー候補ピクセル)の色特徴量のヒストグラムを生成し、生成したヒストグラムから統計的演算を実行することによって、ピクセル数とともに、2つの種類に分類するための色特徴量としての閾値を、第1コロニー候補と第2コロニー候補とを分類するための分類条件として決定する。
具体的には、コロニー検出判定部422は、色特徴量として輝度値を用いる場合には、コロニー候補ピクセルにおける最大の輝度値から最小の輝度値まで輝度値(クラス分けを想定した仮の基準値となる輝度値)を変化させつつ、変化させた輝度値毎にコロニー候補が分類された場合のクラス間分散分のクラス内分散の値を算出し、当該値が最大となる輝度値を第1コロニー候補と第2コロニー候補とを分類するための分類条件として決定する。
例えば、図6に示すように、コロニー検出判定部422は、コロニー候補ピクセルのヒストグラムにおいて最大の輝度値から最小の輝度値まで輝度値pn毎に第1クラス(すなわち、黒クラス)及び第2クラス(すなわち、白クラス)の(式1)のクラス間分散σwと(式2)のクラス内分散σbを算出し、(式3)によってクラス間分散分のクラス内分散の値Zの演算を実行しつつ、各輝度値における値Zpnの最大値Zmaxを算出し、当該最大値Zmaxとなる輝度値を分類条件として決定する。
なお、「ω1」、「ω2」及び「ωt」は、それぞれ、輝度値pnにおいて分類された場合の第1クラス、第2クラス及び全体画像それぞれの画素数を示し、「m1」、「m2」及び「mt」は、それぞれ、輝度値pnにおいて分類された場合の第1クラス、第2クラス及び全体画像それぞれの平均を示す。また、「σ1」、「σ2」及び「σt」は、それぞれ、輝度値pnにおいて分類された場合の第1クラス、第2クラス及び全体画像それぞれの分散を示す。
一方、コロニー検出判定部422は、分類条件が決定すると、コロニー候補毎に、コロニー候補の大きさ(コロニー候補ピクセルのピクセル数)が一定以上か否かを判定しつつ、当該大きさが一定以上について、分類条件(閾値値t)に基づく該当するコロニー候補のコロニー候補ピクセルにおけるクラス内分散分のクラス間分散を算出し、その結果に基づいて、第1コロニー候補か第2コロニー候補かに分類する。
すなわち、通常コロニー領域は、色特徴量の分散が少なく、にじみ領域や気泡領域などを含むコロニーは、色特徴量の分散が大きくなるので、通常コロニー領域におけるクラス内分散は、小さくなるとともに、クラス間分散は、大きくなり、その一方、にじみ領域や気泡領域などを含むコロニーは、クラス内分散は、大きくなるとともに、クラス間分散は、小さくなる。
そこで、コロニー検出判定部422は、分類条件に基づく該当するコロニー候補のコロニー候補ピクセルにおけるクラス内分散分のクラス間分散を算出し、その値が一定値以上の場合に第1コロニー候補に分類し、当該一定値より小さい場合には第2コロニー候補に分類する。
なお、分類条件には、ピクセル数も含まれ、コロニー検出判定部422は、コロニー候補ピクセル数が一定数以下(分類条件)の場合には、クラス内分散分のクラス間分散の演算をするまでもなく、当該コロニー候補を通常コロニー領域に分類する。
(第1特定処理)
コロニー検出判定部422は、第1特定処理としては、第1コロニー候補の境界におけるピクセル(以下、「境界ピクセル」という。)を中心とした色特徴量の勾配強度を用いて変化量を算出し、当該算出した勾配強度に基づいて、コロニーピクセルを特定するための判定条件を設定しつつ、当該判定条件に基づいて特定したコロニーピクセルを用いてコロニーの検出及びその計数を実行するようになっている。
すなわち、コロニー検出判定部422は、
(1)第1コロニー候補毎の境界を構成するピクセルと当該ピクセルの周辺のピクセルとの色特徴量(例えば、輝度値)に基づいて、当該特定したコロニー候補毎の境界ピクセルの色特徴量の変化量としてその勾配強度を算出し、
(2)算出した各色特徴量の勾配強度に基づいて、判定条件を設定し、
(3)設定した判定条件に基づいて第1コロニー候補の中からコロニーピクセルを特定し、
(4)特定したコロニーピクセルに基づいてコロニーの検出及び当該コロニーの数の計数を実行する。
具体的には、コロニー検出判定部422は、図7(A)に示すように、培地画像領域の一部の領域(例えば、任意の3×3の領域)において、当該領域の中心部分にコロニー候補ピクセルがある場合であって、当該領域内のその他の領域に非コロニーピクセルがある場合には、当該中心部分のピクセルを境界ピクセルに設定し、図7(B)及び(C)に示すように、当該中心部分がコロニー候補ピクセルに囲まれている場合、又は、当該中心部分が非コロニーピクセルに囲まれている場合には、当該中心部分のピクセルについては境界ピクセルに設定しない。
また、コロニー検出判定部422は、第1コロニー候補毎の境界を構成する境界ピクセルの色特徴量における勾配強度を(式4)に基づいて算出し、図8に例示するような、色特徴量の勾配強度の色特徴量毎の平均値(以下、「平均勾配強度」という。)を示すヒストグラムを生成する。
なお、「m」は、各第1コロニー候補における「勾配強度」を示し、「x」及び「y」は、境界ピクセルの培地画像上の座標位置を示す。また、fx及びfyは、(式5)及び(式6)によって示され、(式5)及び(式6)中の「L」は境界ピクセルの色特徴量を示す。また、図8は、色特徴量が輝度の場合のヒストグラムである。
そして、コロニー検出判定部422は、生成したヒストグラムにおける勾配強度が最大となる色特徴量(図8のポイントA)を判定条件としての閾値に設定し、設定した閾値以上の第1コロニー候補の各コロニー候補ピクセルをコロニーピクセルとして特定する。
さらに、コロニー検出判定部422は、画像フィルタノイズを低減させるための膨張処理及び縮小処理を含む画像フィルタ処理を実行し、隣接するコロニーピクセルを連結してラベリングを実行して1以上のコロニーピクセルから構成されるコロニーを特定する。
なお、コロニー検出判定部422は、検出したコロニー毎に、
(1)各コロニーに含まれるコロニーピクセルの位置、色に関する特徴量、及び、培地画像上の配列位置などコロニーに含まれるコロニーピクセルの各種の情報、及び、
(2)各コロニーの培地画像上の重心位置又は色特徴量(平均)などコロニー関する情報
を特定する。
そして、コロニー検出判定部422は、コロニー数を含め各種の情報を第2特定処理に基づく結果とともに登録処理部421に提供する。
なお、図9及び図10には、判定条件となる閾値に基づく培地画像におけるコロニー検出結果を示す。具体的には、図9(A)に示す入力された培地画像に対して図に示すヒストグラムによって定まる判定条件となる閾値に、勾配強度が最大となる色特徴量を設定した場合(ポイントA:図9(B))、勾配強度が最大となる色特徴量の勾配強度より低く、かつ、輝度値が低い色特徴量を設定した場合(ポイントB:図10(A))、及び、勾配強度が最大となる色特徴量の勾配強度より低く、かつ、輝度値が高い色特徴量を設定した場合(ポイントC:図10(B))のそれぞれを示す。そして、図12及び図13に示すように、ポイントBでは、コロニーの検出漏れやコロニーの分割が発生し、ポイントCでは、ノイズなどが過検出となっている。その一方、ポイントAでは、判定条件となる閾値に、勾配強度が最大となる色特徴量を設定した場合に適切にコロニーが検出できていることがわかる。ただし、図9及び図10は、コロニー候補を分類せずに、第1特定処理を実行した場合の結果である。
また、コロニー検出判定部422は、生成したヒストグラムにおける勾配強度が最大値でなく、最大値付近の色特徴量を判定条件としての閾値に設定してもよい。例えば、コロニー検出判定部422は、勾配強度が最大値となる色特徴量に一定値を加えた値又は一定値を引いた値を判定条件として閾値に設定してもよい。
この場合に、勾配強度が最大値となる色特徴量に一定値を加えた値が判定条件としての閾値に設定された場合には、コロニーの誤検出が少なくなり、勾配強度が最大値となる色特徴量に一定値を引いた値が判定条件としての閾値に設定された場合には、コロニーの未検出が少なくなる。ただし、最大値に加算又は減算する一定値は、経験則的に定められ、例えば、最大勾配強度から10%低い勾配強度となる色特徴量を用いることができる。
(第2特定処理)
コロニー検出判定部422は、第2特定処理としては、パラメータとして平滑化度(すなわち、ウィンドウサイズ)を用いるとともに、平滑化度の弱い平滑化処理から平滑化度の強い平滑化処理の複数の平滑化処理を実行し、それらの結果を足し合わせることによってコロニーピクセルを特定するようになっている。
すなわち、コロニー検出判定部422は、
(1)第2コロニー候補に含まれるコロニー候補ピクセルの各色特徴量に対して異なるパラメータ(ウィンドウサイズ)によって複数の平滑化処理を実行し、
(2)各平滑化処理によって得られた平滑化画像毎に、各平滑化画像に属するコロニー候補ピクセルの中から、予め定められた検索条件である対象ピクセル検索条件を具備するコロニー候補ピクセルを対象ピクセルとして特定し、
(3)当該平滑化画像毎の対象ピクセルに基づいて、第2コロニー候補内におけるコロニーピクセルを特定し、
(4)特定したコロニーピクセルに基づいてコロニーの検出及び当該コロニーの計数を実行する。
具体的には、コロニー検出判定部422は、ウィンドウサイズを変化させたそれぞれのガウシアンフィルタを用いて第2コロニー候補における平滑化処理を実行する。
例えば、コロニー検出判定部422は、平滑化度の弱い1×1ピクセルから平滑化度の強い64×64ピクセルまでのウィンドウサイズを変化させたガウシアンフィルタによって64回の平滑化処理を実行し、図11に例示するようなそれぞれの64の平滑化画像(図11は例示3つ)を取得する。なお、コロニー検出判定部422は、移動平均フィルタ又はメディアンフィルタなどガウシアンフィルタ以外のフィルタを用いてもよい。
そして、コロニー検出判定部422は、複数の平滑化処理を実行すると、取得した平滑化画像毎に、各平滑化画像に属するコロニー候補ピクセル毎に対象ピクセル検索条件を具備する否か、すなわち、各コロニー候補ピクセルにおいて所定の領域内(各コロニー候補ピクセルを中心にした3×3〜64×64のウィンドウ)内で極値であるか否かを判定し、当該極値であるコロニー候補ピクセルを対象ピクセルとして特定する。
すなわち、コロニー検出判定部422は、各コロニー候補ピクセルを中心にした3×3のウィンドウ内において、図12(A)に示すように、中心ピクセルのみ最大値、すなわち、極値の場合には、当該中心ピクセルを対象ピクセルと特定する一方、図12(B)に示すように、中心ピクセルが最大値でない場合、及び、図12(C)に示すように、中心ピクセルが最大値であるが他のピクセルも同値を有する場合には、中心ピクセルを極値としては判定しない。なお、図12において、3×3のウィンドウ内の数字は、色特徴量(例えば、輝度値)の成分値(階調値)を示す。
また、コロニー検出判定部422は、各平滑化画像の各第2コロニー候補におけるコロニー候補ピクセルにおいて、対象ピクセルの判定が終了すると、図13に示すように、平滑化画像毎の対象ピクセルを培地画像上の位置毎に集計し、対象ピクセルの数が所定のピクセル数(例えば、10)以上となる培地画像上のピクセルをコロニーピクセルと特定する。
なお、図13は、3つの平滑化画像において、培地画像上の第1位置となるピクセルの対象ピクセル数が「3」であり、培地画像上の第2位置となるピクセルの対象ピクセル数が「2」であり、かつ、培地画像上の第3位置となるピクセルの対象ピクセル数が「1」である。また、図16においては、対象ピクセルの合計が「3」以上の場合には、培地画像上におけるコロニーピクセルと特定されていることを示す。
そして、コロニー検出判定部422は、コロニーピクセルを特定すると、画像フィルタノイズを低減させるための膨張処理及び縮小処理を含む画像フィルタ処理を実行し、隣接するコロニーピクセルを連結してラベリングを実行して1以上のコロニーピクセルから構成されるコロニーを特定する。
なお、コロニー検出判定部422は、第1特定処理と同様に、検出したコロニー毎に、
(1)各コロニーに含まれるコロニーピクセルの位置、色に関する特徴量、及び、培地画像上の配列位置などコロニーに含まれるコロニーピクセルの各種の情報、及び、
(2)各コロニーの培地画像上の重心位置又は色特徴量(平均)などコロニー関する情報
を特定する。
そして、コロニー検出判定部422は、コロニー数を含め各種の情報を第1特定処理に基づく結果とともに集計して登録処理部421に提供する。
(検体の合否判定)
コロニー検出判定部422は、各フィルム型培地60の検体が異常であるか正常であるかの培地判定(すなわち、検体の合否判定)を実行する。例えば、コロニー検出判定部422は、検体から検出すべき菌種によって予め設定された菌数の閾値(すなわち、判定基準)に基づいて、各検体の合否を判定し、その結果を登録処理部421に提供する。
特に、本実施形態においては、菌種や希釈倍率に基づいて判定基準は異なるので、登録処理部421は、検体を培養する際の基準及び菌種に基づいて培地判定基準情報をROM/RAM440から読み出して培地判定を実行する。
各判定基準情報は、培地ID66に対応付けて特定されるようになっている。すなわち、検体から検出する菌種毎にフィルム型培地60の種類が異なるので、培地ID66を特定すれば、検出すべき菌種を特定することができる。したがって、本実施形態においては、予め希釈倍率等を定めておくことによって、培地ID66に基づいて特定される判定基準情報を読み出すことができるようになっている。
また、本実施形態において、工程判定、ライン判定、及び、ロット判定において各フィルム型培地60の合否判定を用いるので、これらの各判定と対応付けて培地判定が実行される。なお、工程判定、ライン判定、及び、ロット判定において各フィルム型培地60の合否判定の手法については後述する。
[5.4]ロット判定処理部
次に、本実施形態のサーバ装置40におけるロット判定処理部424の詳細について説明する。
本実施形態のロット判定処理部424は、管理者端末装置20に入力された管理者の指示に基づいて、指定されたロット、作業ライン80又は工程における衛生管理に関するデータ解析(すなわち、合否判定)を実行する。
具体的には、ロット判定処理部424は、各ロットについて、該当するロットに用いられる作業ライン80のライン情報と、該当する作業ライン80に対応付けられて登録された培地情報(少なくともコロニー数)と、に基づいて、同一条件によって製造又は検査された食品群が所定の条件を具備しているか否かを判定する。
また、ロット判定処理部424は、ロット判定が指示されると、該当するロットに含まれる作業ライン80及び当該作業ライン80に属する工程が衛生管理上において異常であるか正常であるかの作業ライン80のライン判定(すなわち、衛生管理上の合否の判定)及び各工程の工程判定(すなわち、衛生管理上の合否の判定)を実行し、工程判定及びライン判定を用いてロット判定を実行する。
特に、ロット判定処理部424は、ロット判定が指示された際に、例えば、培養開始後から24時間、48時間等の所定の培養検査時刻を経過した培地情報におけるフィルム型培地60のコロニー数や検体の合否判定の培地情報に基づいて当該工程の衛生管理上の合否を判定し、該当する作業ライン80に含まれる工程の合否判定に基づいて当該作業ライン80の衛生管理上の合否を判定し、該当するロットに含まれる作業ライン80の合否判定に基づいて当該ロットの衛生管理上の合否を判定する。
なお、本実施形態のロット判定処理部424は、ロット判定だけでなく、工程判定又はライン判定のみをデータ解析として実行してもよい。
(工程判定)
ロット判定処理部424は、同一タイミングの培養開始時刻、同一タイミングの培養検査時刻、予め設定された第1時刻から第2時刻までの時間内の時刻を有する培養開始時刻又は、予め設定された第1時刻から第2時刻までの時間内の時刻を有する培養検査時刻を有するなど、培養開始時刻又は培養検査時刻が所定の条件を有し、かつ、同一のロットの同一の工程に対応付けて登録された複数のフィルム型培地60の培地情報に基づいて、各工程判定を実行する。すなわち、ロット判定処理部424は、複数のフィルム型培地60の各培地判定の結果に基づく、総合判定によって各工程判定を実行する。
具体的には、ロット判定処理部424は、該当するフィルム型培地60の培地判定結果(すなわち、工程判定を実行すべき工程の工程ID71bを有する培地情報に登録されたすべての培地判定結果)を取得するとともに、判定結果の合否の数が所定の条件を具備している場合には、判定すべき工程の工程判定を合格と判定し、当該条件を具備していない場合には、判定すべき工程の工程判定を不合格と判定する。
例えば、ロット判定処理部424は、該当する工程における個々のフィルム型培地60において、合格のフィルム型培地60が所定の割合(60%)以上の場合、全てのフィルム型培地60が該当する条件(コロニー数が一定数以下)を具備している場合、又は、各フィルム型培地60のコロニー数が該当する条件(単一のフィルム型培地60の平均コロニー数が一定数以下)を具備している場合に、該当する工程を合格と判定する。
なお、本実施形態のロット判定処理部424は、検体の種別、検出する菌種等によって条件を変更することが可能となっており、管理者によって設定可能、又は、プログラムの一部として提供される。
(ライン判定)
ロット判定処理部424は、所定のタイミングで判定され、かつ、該当するライン情報に対応付けて登録された複数の工程の衛生管理上の合否判定に基づいて、各作業ライン80のライン判定を実行する。すなわち、ロット判定処理部424は、所定のタイミングで判定された同一ロットの複数の工程の各判定結果に基づく、総合判定によってライン判定を実行する。
具体的には、ロット判定処理部424は、同タイミング又は所定の条件を具備するタイミングに判定され、かつ、上述のように、ライン判定を実行すべき作業ライン80のラインIDを有する工程の工程判定の判定結果を取得するとともに、判定結果の合否の数が所定の条件を具備している場合には、判定すべき作業ライン80のライン判定を合格と判定し、当該条件を不具備の場合には、判定すべき作業ライン80のライン判定を不合格と判定する。
例えば、3つの工程が判定すべき作業ライン80のラインIDを有している場合であって、第1工程が「合格」、第2工程が「合格」及び第3工程が「不合格」で、所定の条件が「60%」の合格した工程から作業ライン80が構成されている場合には、ロット判定処理部424は、判定すべき作業ライン80のライン判定を合格と判定する。
(ロット判定)
ロット判定処理部424は、所定のタイミングで判定され、かつ、該当するロット情報に対応付けて登録された複数の作業ライン80の衛生管理上の合否判定に基づいて、各ロットのロット判定を実行する。すなわち、ロット判定処理部424は、複数の作業ライン80の各判定結果に基づく総合判定によってロット判定を実行する。
具体的には、ロット判定処理部424は、ロット判定を実行すべきロットのロットIDを有する作業ライン80における合否判定に基づいて、ロット判定を実行する。
例えば、ロット判定処理部424は、ロットIDを有する作業ライン80の60%においてライン判定が合格の場合に、判定すべきロットのロット判定を合格とし、3つの作業ライン80が判定すべきロットのロットIDを有している場合を想定する。この場合において、第1作業ライン80が「合格」、第2作業ライン80が「合格」及び第3作業ライン80が「不合格」の場合には、ロット判定処理部424は、判定すべきロットのロット判定を合格と判定する。
なお、ロットの作業時間が長時間に及ぶ場合には、所定の時間(例えば8時間又は12時間)毎に時間を区切ってロットの判定を実行してもよい。この場合には、作業が中断している間のロット判定を実行する場合には、ダミーの結果を用いてもよいし、作業中断中として判定してもよい。
(その他)
ロット判定処理部424は、培地情報、ライン情報、ロット情報及び作業管理DB404を用いて、上述以外の判定及びデータ解析を行うことができるとともに、報告処理部425を介して当該判定結果又はデータ解析結果を管理者が閲覧可能に管理者端末装置20に提供することができるようになっている。
具体的には、ロット判定処理部424は、各フィルム型培地60に培養された検体の信頼性を確認するために、すなわち、検査ミスが発生していない否かを確認するために、一の培地IDにおける培地情報を培養開始時時刻から培養の終了まで、時系列に培地情報又は培地画像データの所定の解析を実行する。
例えば、ロット判定処理部424は、管理者端末装置20を介して受信した管理者の指示に基づいて、特定の培地ID(同一の培地ID)66を有し、培養開始時刻から所定の時刻までの複数の培地情報を、培地画像データとともに抽出する。そして、ロット判定処理部424は、各培地情報及び各画像データについて所定の時系列に沿って所定の解析を実行し、又は、各培地情報及び各画像データを時系列に沿って集約する。また、ロット判定処理部424は、報告処理部425に、解析結果又は集約結果を所定のデータ形式を有する閲覧データに生成させ、当該生成させた閲覧データを管理者に閲覧可能に管理者端末装置20に提供させる。
なお、ロット判定処理部424は、報告処理部425と連動して、このとき、管理者端末装置20の指示に基づいて、法定された衛生管理の報告用に、一の培地ID66における各培地情報を個々に閲覧可能にさせてもよい。
また、ロット判定処理部424は、培地情報、ライン情報、ロット情報又は作業管理情報の検索機能を有していてもよい。具体的には、ロット判定処理部424は、ロットID(指示書ID71a)、作業ラインID、工程ID71b、作業ID71、培養開始時刻、ロットの作業日時、培地ID66、検体の種別などを検索キーとしてデータベース400を検索し、報告処理部425と連動し、該当する培地情報や各種の情報を管理者に閲覧可能なデータを生成してもよい。
なお、報告処理部425は、管理者端末装置20を介して受信した管理者の指示に基づいて、検索によって特定された培地情報(培地画像データ、コロニー数及び培地判定結果)、工程情報、ライン情報、又は、ロットに関する情報を所定の報告形式で提供することも可能である。すなわち、報告処理部425は、法定の検査報告その他の場合においてその証拠又は報告書として種々の情報を提供することができるように構成されている。
[5.5]報告処理部
次に、本実施形態のサーバ装置40における報告処理部425の詳細について説明する。
報告処理部425は、管理者端末装置20に入力された管理者の指示及び所定の報告書形式を有するテンプレートデータに基づいて、指定されたロット、作業ライン80又は工程における衛生管理に関するデータ解析の解析結果(すなわち、合否判定の判定結果)を報告書データとして生成し、生成した報告書データを、通信制御部410を介して管理者に閲覧可能に管理者端末装置20に提供する。
具体的には、報告処理部425は、培地画像のデータ、コロニー数又は培地判定結果等、培地情報、ライン情報及びロット情報から必要な情報を抽出するとともに、抽出した情報とロット判定処理部424によって得られた解析結果に基づいて、テンプレートデータに各情報を割り当てつつ、報告書データを生成する。そして、報告処理部425は、回転等の加工処理が実行されず、同一性が担保された培地の画像を有する報告書データを管理者端末装置20に提供する。
なお、報告処理部425は、上述したように、種々の解析又は検索に応じて所定の報告書データ又は閲覧データを生成し、管理者端末装置20に提供することができるように構成されている。すなわち、報告処理部425は、受信した管理者の指示に基づいて、検索によって特定された培地情報、工程情報、ライン情報、又は、ロットに関する情報を所定の報告形式で提供することも可能であるとともに、法定の検査報告その他の場合においてその証拠又は報告書として種々の情報を提供することができるように構成されている。
[6]衛生管理システムの動作処理
[6.1]培地情報登録処理(携帯用通信端末装置)
次に、図14を用いて本実施形態の携帯用通信端末装置10における培地情報登録処理の動作について説明する。なお、図14は、本実施形態の携帯用通信端末装置10における培地情報の登録処理動作を示すフローチャートである。
本動作においては、ライン情報DB402及びロット情報DB403には、既に作業指示書70に対応付けられた該当するロット情報及びライン情報が記憶されているものとする。
また、フィルム型培地60及び作業指示書70には、2次元バーコードによって培地ID66又は指示書ID71aが付されているものとする。
さらに、本動作においては、各フィルム型培地60におけるコロニー数の検出は、培地情報のデータベース400への登録時に実行されるものとし、携帯用通信端末装置10においては培地画像を撮像するためのRGBの階調値又は輝度値に対するキャリブレーションが実行されているものとする。
まず、携帯用通信端末装置10において、アプリケーション制御部120は、操作部170を介して培地登録アプリの起動指示を検出すると(ステップS101)、アプリケーション記憶部101から培地登録アプリを読み出して起動する(ステップS102)。このとき、アプリケーション制御部120は、携帯端末管理制御部190の制御下、ワークメモリの初期化その他の必要な処理を実行する。
次いで、アプリケーション制御部120は、表示制御部161と連動し、フィルム型培地60の初期登録であるか、又は、培養開始から所定の時間経過した培養後登録であるか選択させるための画像を表示部160に表示させてその入力を待機する(ステップS103)。
次いで、アプリケーション制御部120は、操作部170による選択指示の入力を検出すると(ステップS104)、初期登録か培養後登録かを判断し、フラグ情報にその結果を設定する(ステップS105)。
次いで、アプリケーション制御部120は、フィルム型培地60の撮像を促す画面を表示部160に表示させるとともに、操作部170と連動し、画像データ生成部110による撮像を待機する(ステップS106)。なお、このとき、アプリケーション制御部120は、取得すべき培地画像の位置合わせするために所定の画像を表示部160に重畳表示させる。
次いで、アプリケーション制御部120は、画像データ生成部110、表示制御部161及び操作部170と連動しつつ、画像データ生成部110による撮像を検出すると(ステップS107)、画像データ生成部110によって培地ID66とともに画像化されたフィルム型培地60の培地画像データを取得し、画像データ記憶部102に所定の画像IDを付与しつつ記憶する(ステップS108)。
次いで、アプリケーション制御部120は、タイマー180より現在時刻を培地画像データの撮像時刻として取得し、当該培地画像データに対応付けてメタデータとして画像データ記憶部102に記憶する(ステップS109)。
次いで、アプリケーション制御部120は、取得した画像化された培地画像データの所定の領域に形成された2次元バーコードを解析して培地ID66を取得し、当該培地画像データに対応付けて画像データ記憶部102に記憶する(ステップS110)。
次いで、アプリケーション制御部120は、表示制御部161と連動して指示書ID71a及び工程ID71bとともに指示書画像データを取得するための画面を表示部160に表示させ、指示書画像データの取得を待機する(ステップS111)。
次いで、アプリケーション制御部120は、画像データ生成部110、表示制御部161及び操作部170と連動しつつ、画像データ生成部110による撮像を検出すると(ステップS112)、作業ID71が画像化された指示書画像データを取得し、ステップS108によって取得した培地画像データに対応付けて画像データ記憶部102に記憶する(ステップS113)。
なお、アプリケーション制御部120は、工程ID71bを作業ID71として取得する場合、又は、複数の工程ID71bから一の工程ID71bを取得する場合には、表示制御部161及び操作部170と連動しつつ、ユーザに取得すべき工程ID71bを選択させる表示をし、該当する工程ID71bを取得する。
次いで、アプリケーション制御部120は、画像化された指示書画像データ及び培地画像データの所定の領域に形成された2次元バーコードを解析して作業ID71を取得し、当該指示書画像データに対応付けて画像データ記憶部102に記憶する(ステップS114)。
次いで、アプリケーション制御部120は、タイマー180より現在時刻を培地画像データの撮像時刻として取得し、表示制御部161及び操作部170と連動して作業者に、取得した指示書画像データ、作業ID71、培地画像データ、培地ID66、及び、撮像時刻を確認させる(ステップS115)。
なお、アプリケーション制御部120は、取得した培地情報の作業者による確認時に、作業者の指示に基づいて、培地画像データの再取得を行っていてもよい。また、このとき、アプリケーション制御部120は、表示制御部161及び操作部170と連動して作業者によって培地画像データの補正を行うことができるようにしてもよい。
次いで、アプリケーション制御部120は、作業者の指示に基づいて、初期登録か培養後登録かを示すフラグ情報及び端末IDと作業ID71とともに、取得した培地画像データとそのメタデータ、及び、初期登録か培養後登録かを示すフラグ情報を培地情報として、ネットワーク通信部130を介してサーバ装置40に送信し(ステップS116)、携帯用通信端末装置10の登録処理を終了する。
このとき、ネットワーク通信部130は、培地情報を送信する際に、端末IDや入力されたID及びパスワードに基づいてサーバ装置40へのアクセスをするためのログインを実行し、ログイン完了後にサーバ装置40との通信回線を確立し、培地情報を送信する。
[6.2]培地情報登録処理(サーバ装置)
次に、図15を用いて本実施形態のサーバ装置40における培地情報の登録処理動作について説明する。なお、図15は、本実施形態のサーバ装置40における培地情報の登録処理動作を示すフローチャートである。
なお、本動作は、携帯用通信端末装置10によって実行された培地情報登録処理と連動して実行される処理であり、サーバ装置40は、携帯用通信端末装置10から送信された培地情報に基づいて以下の処理を実行する。
まず、サーバ装置40においては、通信制御部410が携帯用通信端末装置10から送信された培地情報を受信すると(ステップS300)、登録処理部421は、受信した培地情報に含まれるフラグ情報に基づいて、初期登録か培養後登録であるかを判定する(ステップS301)。
このとき、登録処理部421は、初期登録と判定した場合には、ステップS302の処理に移行し、初期登録でないと判定した場合には、すなわち、培養後登録と判定した場合には、ステップS304の処理に移行する。
次いで、登録処理部421は、初期登録と判定した場合には、培地情報に含まれる作業ID71を抽出して特定する(ステップS302)。
次いで、登録処理部421は、特定した作業ID71に基づいて培地情報を培地情報DB401に登録し(ステップS303)、本動作を終了する。なお、培養開始時刻は作業管理DB404に予め記憶されているが、登録処理部421は、ステップS303の処理において、受信した培地情報に含まれる撮像時刻を培養開始時刻として作業管理DB404に登録してもよい。
一方、登録処理部421は、培養後登録と判定した場合には、培地情報に含まれる作業ID71を抽出して特定し(ステップS304)、培地情報に含まれる撮像時刻に基づいて培地情報を登録する培養検査時刻を特定する(ステップS305)。
なお、このとき、登録処理部421は、携帯用通信端末装置10と連動して培地情報を登録する培養検査時刻を指定させて登録してもよいし、受信した培地情報に含まれる撮像時刻を培養検査時刻としてそのまま登録してもよい。また、登録処理部421は、既に実行された培養検査時刻における培地登録を管理し、培地情報を受信したタイミング及び既に培地情報の登録に用いた培養検査時刻に基づいて、培養検査時刻を特定してもよい。すなわち、登録処理部421は、培地情報の登録を実行する毎に実行フラグを書き換え、当該フラグの情報を参照しつつ、受信した撮像時刻と比較して、培養検査時刻を特定してもよい。
次いで、登録処理部421は、コロニー検出判定部422に、受信した培地画像データに対して画像解析を実行し、培地画像内の培養層63の領域を構成する各ピクセルの特徴量(輝度値)を抽出させるとともに、当該培養層63の領域を構成する各ピクセルの特徴量に基づいて画像化された検体に発生したコロニーを特定させつつ、その数を計数する(ステップS307)。
なお、ステップS307の処理におけるコロニーの特定及びその計数の処理の詳細については、後述する。
次いで、コロニー検出判定部422は、作業ID71に基づいて特定された検体の種別及び検出する菌種に基づいて、培地判定基準を読み出しつつ、当該読み出した検体判定基準に基づいて、検出したコロニー数が所定の条件を具備するか否かを判定する(ステップS308)。すなわち、コロニー検出判定部422は、所定の条件を具備する場合には、合格(正常)と判定し、所定の条件を不具備な場合には、不合格(異常)と判定する。
なお、コロニー検出判定部422は、上述の自動登録に代えて、携帯用通信端末装置10と連動し、検出したコロニー数及び合否判定の結果を当該携帯用通信端末装置10の表示部160に表示させ、ユーザに閲覧及び確認させるようにしてもよい。
次いで、登録処理部421は、培地画像データ、認識した培地ID66、判定された合否、検出されたコロニーの数及び培地情報に含まれる撮像時刻を培養開始時刻とした培養開始時刻情報を、特定した作業ID71に対応付けて培地情報DB401に登録し(ステップS309)、本動作を終了する。
なお、登録処理部421は、ライン情報及び登録すべき情報を携帯用通信端末装置10の表示部160に表示させ、当該携帯用通信端末装置10を介して入力されたユーザ指示に基づいて、培地情報等の登録をするようにしてもよい。
また、携帯用通信端末装置10から培地画像データが送信され、サーバ装置40によって各画像データを解析することによって培地ID66を認識する場合には、登録処理部421は、ステップS301の処理において、受信した培地画像データのそれぞれの所定の領域上に画像化された培地ID66を解析して当該培地ID66を認識して取得するようになる。同様に、指示書画像データにおける作業ID71についても、サーバ装置40において認識させる。
[6.3]コロニーの検出処理
次に、図16を用いて本実施形態のサーバ装置40におけるコロニーの検出処理の動作について説明する。なお、図16は、本実施形態のサーバ装置40におけるコロニーの検出処理の動作を示すフローチャートである。
本動作は、図19に示す培地登録処理のステップS307の処理で登録処理部421の制御の下にコロニー検出判定部422において実行される処理である。
まず、コロニー検出判定部422は、培地画像データから取得した培地画像を構成する各ピクセルの色特徴量(例えば、輝度値)を抽出する色特徴量抽出処理を実行する(ステップS401)。
次いで、コロニー検出判定部422は、予め定められた閾値に基づいて、抽出した各色特徴量を2値化して所定の条件を具備するピクセルをコロニー候補ピクセルとして抽出するとともに(ステップS402)、隣接するコロニー候補ピクセルを連結してラベリングを実行し、1以上のコロニー候補ピクセルから構成されるコロニー候補を特定する(ステップS403)。
次いで、コロニー検出判定部422は、特定したコロニー候補に属するコロニー候補ピクセルの色特徴量に基づいて、ヒストグラムを生成し、第1コロニー候補と第2コロニー候補とを分類するための分類条件を決定する(ステップS404)。
具体的には、コロニー検出判定部422は、上述のように、コロニー候補ピクセルのヒストグラムにおいて最大の輝度値から最小の輝度値まで輝度値毎に(式1)のクラス間分散σwと(式2)のクラス内分散σbを算出し、(式3)によってクラス間分散分のクラス内分散の値Zの演算を実行しつつ、各輝度値における値Zpnの最大値Zmaxを算出し、当該最大値Zmaxとなる輝度値を分類条件として決定する。
次いで、コロニー検出判定部422は、コロニー候補毎に以下のステップS410〜S41の各処理を実行する。
まず、コロニー検出判定部422は、該当するコロニー候補を抽出する(ステップS410)。例えば、コロニー検出判定部422は、コロニー候補を抽出する際に付与されたID順にコロニー候補の未分類のコロニー候補を抽出する。
次いで、コロニー検出判定部422は、特定したコロニー候補のピクセル数が一定数以上か否かを判定する(ステップS411)。このとき、コロニー検出判定部422は、特定したコロニー候補のピクセル数が一定数以上でないと判定した場合には、該当するコロニー候補を第1コロニー候補に分類して(ステップS412)ステップS421の処理に移行する。
次いで、コロニー検出判定部422は、該当するコロニー候補ピクセルのピクセル数が一定数以上であると判定した場合には、該当するコロニー候補のコロニー候補ピクセルにおけるクラス内分散分のクラス間分散を算出する(ステップS413)。
次いで、コロニー検出判定部422は、該当するコロニー候補のコロニー候補ピクセルにおけるクラス間分散分のクラス内分散の値が一定以上であるか否かを判定する(ステップS414)。
このとき、コロニー検出判定部422は、該当するコロニー候補のコロニー候補ピクセルにおけるクラス内分散分のクラス間分散の値が一定以上でないと判定した場合には、該当するコロニー候補を第2コロニー候補に分類して(ステップS415)ステップS421の処理に移行し、該当するコロニー候補のコロニー候補ピクセルにおけるクラス内分散分のクラス間分散の値が一定以上である判定した場合には、該当するコロニー候補を第1コロニー候補に分類して(ステップS412)ステップS421の処理に移行する。
次いで、コロニー検出判定部422は、全てのコロニー候補を分類したか否かを判定し(ステップS421)、未だ分類していないコロニー候補があると判定した場合には、ステップS411の処理に移行し、全てのコロニー候補を分類したと判定した場合には、ステップS431の処理に移行する。
次いで、コロニー検出判定部422は、各第1コロニー候補については第1特定処理をそれぞれ実行して各第1コロニー候補におけるコロニーの検出及びその計数を実行する(ステップS431)。なお、本実施形態における第1特定処理の詳細については後述する。
次いで、コロニー検出判定部422は、各第2コロニー候補についてはそれぞれ第2特定処理を実行して各第2コロニー候補におけるコロニーの検出及びその計数を実行する(ステップS432)。なお、本実施形態における第2特定処理の詳細については後述する。
次いで、コロニー検出判定部422は、第1候補コロニー及び第2候補コロニーのコロニー数を合算して(ステップS433)、本動作を終了させる。
[6.4]第1特定処理
次に、図17を用いて本実施形態のサーバ装置40における第1特定処理の動作について説明する。なお、図17は、本実施形態のサーバ装置40における第1特定処理の動作を示すフローチャートである。
本動作は、図16に示すコロニー検出処理のステップS431の処理でコロニー検出判定部422において実行される処理である。
まず、コロニー検出判定部422は、各第1コロニー候補の境界ピクセルを特定し(ステップS501)、特定した各境界ピクセルと当該境界ピクセルの周辺のピクセルとの色特徴量(例えば、輝度値)に基づいて、当該特定した第1コロニー候補毎の境界ピクセルの色特徴量の変化量としてその勾配強度を算出する(ステップS502)。
次いで、コロニー検出判定部422は、第1コロニー毎に、それぞれの第1コロニー候補において算出した各境界ピクセルの色特徴量の勾配強度における平均を算出する(ステップS503)。
次いで、コロニー検出判定部422は、算出した各第1コロニー候補の勾配強度の平均値に基づいて、各色特徴量の階調値の平均勾配強度のピクセル数を積算してヒストグラムを生成する(ステップS504)。
次いで、コロニー検出判定部422は、生成したヒストグラムにおける勾配強度が最大となる色特徴量を判定条件としての閾値に設定するとともに(ステップS505)、当該
設定した閾値以上の第1コロニー候補の各コロニー候補ピクセルをコロニーピクセルとして特定する(ステップS506)。
最後に、コロニー検出判定部422は、特定したコロニーピクセルに基づいてコロニーを検出しつつ、その計数を実行して(ステップS507)本動作を終了させる。
[6.5]第2特定処理
次に、図18を用いて本実施形態のサーバ装置40における第2特定処理の動作について説明する。なお、図18は、本実施形態のサーバ装置40における第2特定処理の動作を示すフローチャートである。
本動作は、図16に示すコロニー検出処理のステップS432の処理でコロニー検出判定部422において実行される処理である。
まず、コロニー検出判定部422は、第2コロニー候補に含まれるコロニー候補ピクセルの各色特徴量に対して第1のパラメータ〜第64のパラメータの各パラメータ(ウィンドウサイズ)に基づいてそれぞれ平滑化処理を実行する(ステップS601)。
次いで、コロニー検出判定部422は、各平滑化処理によって得られた平滑化画像毎に、平滑化画像に属する各コロニー候補ピクセルについて対象ピクセル検索条件を具備するか否かを判定しつつ、対象ピクセル検索条件を具備するコロニー候補ピクセルを対象ピクセルに特定する(ステップS602)。
次いで、コロニー検出判定部422は、各平滑化画像の対象ピクセルを培地画像上の位置に基づいて集計し(ステップS603)、所定の条件(例えば、集計結果が10以上の条件)を具備する対象ピクセルをコロニーピクセルに特定する(ステップS604)。
最後に、コロニー検出判定部422は、特定したコロニーピクセルに基づいてコロニーの検出及び当該コロニーの数の計数を実行して(ステップS605)本動作を終了させる。
[7]変形例
[7.1]変形例1
上述の実施形態においては、培地情報登録処理とコロニー検出判定処理を同タイミングで実行しているが、コロニー検出判定処理を任意のタイミングによって実行してもよい。
[7.2]変形例2
本実施形態において、タブレット型情報端末装置、スマートフォン又は携帯用電話機等の携帯用通信端末装置10を用いて培地情報の登録処理を実行している点に代えて、ラップトップ型又はデスクトップ型のパーソナルコンピュータと、スキャナ、デジタルカメラ又はスマートフォン等の画像入力装置と、によって当該培地情報の登録処理を実現してもよい。
この場合には、パーソナルコンピュータと画像入力装置とを所定の通信規格によって接続し、パーソナルコンピュータと画像入力装置とを一体的に用いて当該培地情報の登録処理を実現してもよいし、メモリカードその他の物理的なメモリに画像入力装置によって先に取得した培地画像データ及び指示書画像データを記憶させ、当該記憶させた各画像データをパーソナルコンピュータによって取り込みつつ、当該培地情報の登録処理を実現してもよい。
[7.3]変形例3
本実施形態においては、携帯用通信端末装置10、管理者端末装置20、サーバ装置40が同一敷地内で設置又は使用されてもよいし、それぞれが国外などの遠隔地に設置され、又は、遠隔地にて使用されて上述の各処理が実行されてもよい。ただし、携帯用通信端末装置10は、同一ロットにおいて使用させることが前提となる。
[7.4]変形例4
本実施形態においては、フィルム型培地60を用いて当該フィルム型培地60に培養された検体における培地情報の登録を実行しているが、寒天培地を用いて当該寒天培地に培養された検体における培地情報の登録を実行してもよい。
[7.5]変形例5
本実施形態において、画像データ生成部110によってフィルム型培地60を撮像して培地ID66を取得する点に代えて、作業者の操作入力によって培地ID66を入力させるようにしもよい。
この場合には、アプリケーション制御部120は、表示制御部161及び操作部170と連動し、作業者に培地ID66を、操作部170を用いて直接手入力させる。
また、アプリケーション制御部120は、クリック又はタッチ選択等によって、プルダウンメニュー等の表示項目を選択させるように表示制御部161及び操作部170を制御させて、作業者に培地ID66を入力させる。
[7.6]変形例6
本実施形態においては、単一のサーバ装置40によって各種の処理を実行しているが、複数のサーバ装置40から構成されるサーバシステムによって各種の処理を実行するようにしてもよい。
[7.7]変形例7
本実施形態においては、コロニー検出判定部422は、第1特定処理及び第2特定処理をそれぞれ第1コロニー候補又は第2コロニー候補に対して実行しているが、第1特定処理又は第2特定処理の一方を全てのコロニー候補に対して実行してもよいし、培地画像を中央付近又は周辺部など複数の領域に分割し、第1特定処理のみ、第2特定処理のみ、又は、コロニー候補を分類して第1コロニー候補と第2コロニー候補にそれぞれ第1特定処理又は第2特定処理を実行するようにしてもよい。
以上、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、フィルム型培地60毎にコロニーが形成されていない部分のピクセルの色特徴量(すなわち、培地そのもの色特徴量)を特定しつつ、当該培地自体のピクセルの色の特徴量に基づいてコロニーを構成するコロニーピクセルを特定することができるので、コロニーを培養するフィルム型培地60の色の個体差、当該フィルム型培地60を画像化する際の撮像環境の影響、及び、コロニーの培養後のフィルム型培地60の色がコロニーの発生状況によって異なる場合など、フィルム型培地60の色が変動する場合であっても、その変動に応じてコロニーピクセルを検出することができる。
したがって、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、何なる状況においてもコロニーを的確に検出すること、及び、的確に検出されたコロニーに関する情報を含む培地情報をデータベースに登録することができる。
また、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、紙媒体などの物理的な資源を利用して種々のデータ解析及びその提供を行う場合に比べて省資源化をも図ることができるとともに、培地に関する培地情報をデータベースに登録させることによって登録ミスが著しく減少し、難しい培地の管理を容易にすることができるので、無駄に培地を消費すること無く省資源化を図ることができる。
なお、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、食品を用いて説明したが、当該食品に限らず、薬品や薬剤の人体をはじめとする生物全般に提供される生産品について適用することができる。