JP2004195080A - 異常陰影検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】異常陰影検出装置において、個人差や画像差によるばらつきを無くして、無駄な異常陰影を検出しないようにする。
【解決手段】被写体を撮影して得られた医用画像データに基づいて異常陰影の候補を検出し、検出した異常陰影の候補の異常の程度を表す評価値を算出する。異常陰影の候補の評価値を所定の基準値と比較して異常陰影の候補が異常であるか否かを判定し、異常と判定された前記異常陰影の候補の数が所定の数Mを越えた場合には、異常と判定された異常陰影の候補のうち評価値の異常を表す値が上位のものから所定の数N(N≦M)までを異常と判定する。
【選択図】 図1
【解決手段】被写体を撮影して得られた医用画像データに基づいて異常陰影の候補を検出し、検出した異常陰影の候補の異常の程度を表す評価値を算出する。異常陰影の候補の評価値を所定の基準値と比較して異常陰影の候補が異常であるか否かを判定し、異常と判定された前記異常陰影の候補の数が所定の数Mを越えた場合には、異常と判定された異常陰影の候補のうち評価値の異常を表す値が上位のものから所定の数N(N≦M)までを異常と判定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写体を撮影して得た医用画像データに基づいて画像中の異常陰影を検出し、その異常陰影を表示して診断に供するコンピュータ支援画像診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、種々の画像取得方法により得られた画像に対して、階調処理や周波数処理等の画像処理を施し、画像の観察読影性能を向上させることが行われている。特に人体を被写体とした放射線画像のような医用画像の分野においては、医師等の専門家が、得られた画像に基づいて患者の疾病や傷害の有無を的確に診断する必要があり、その画像の読影性能を向上させる画像処理は不可欠なものとなっている。そのため、このような画像処理を用いることで、観察者の経験や画像読影能力の高低によって左右されず客観的に腫瘤陰影を判断できるように様々な方法が提案されている。
【0003】
放射線画像等に撮影された癌化した部分の腫瘤陰影は、おおむね丸味をおびた輪郭を持ち、かつ、画像上では周囲に比べて画素値が大きな領域として観測される。このような腫瘤陰影は、半球状で同じ濃度が同心円状に広がる形状の領域(以降、円形凸領域と呼ぶ)で、濃度値の分布が周縁部から中心部に向かうにしたがって濃度値が低くなるという濃度値の勾配が認められる。その勾配線は腫瘤の中心方向に向かって集中するもので、濃度値の勾配を勾配ベクトルとして算出し、その勾配ベクトルの集中度から腫瘤陰影を検出することができることが知られている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0004】
具体的には、勾配ベクトルの集中度を次のようにして求める。
まず、勾配ベクトルは計算対象となる画像を構成する全ての画素について、下記式(1)に示す計算式に基づいた画像データの勾配ベクトルの向きφを求める。
【0005】
【数1】
ここでf11 〜f55は、図5に示すように、その画素jを中心とした縦5画素×横5画素のマスクの外周上の画素に対応した画素値(画像データ)である。
【0006】
そこで、対象となる画像を構成する全ての画素について、勾配ベクトルの集中度Cを式(2)にしたがって算出する。
【0007】
【数2】
ここで、Nは注目画素を中心に半径lの円内に存在する画素の数、θj は、注目画素とその円内の各画素jとを結ぶ直線と、その各画素jにおける上記式(1)で算出された勾配ベクトルとがなす角である(図6参照)。したがって上記式(2)で表される集中度Cは、各画素jの勾配ベクトルの向きが集中する画素で大きな値をとる。
【0008】
つまり、腫瘤陰影近傍の各画素jの勾配ベクトルは、腫瘤陰影のコントラストの大小に拘らず、その腫瘤陰影の略中心部に向くため、上記集中度Cが大きな値を採る画素は、腫瘤陰影の中心部の画素ということができる。一方、血管などの線状パターンの陰影は勾配ベクトルの向きが一定方向に偏るため集中度Cの値は小さい。したがって、画像を構成する全ての画素についてそれぞれ注目画素に対する上記集中度Cの値を算出し、その集中度Cの値が予め設定された閾値を上回るか否かを評価することによって、腫瘤陰影を検出することができる。
【0009】
また、このような集中度を評価するものの中には、腫瘤の大きさや形状に左右されない検出力を達成するために、フィルタの大きさと形状に工夫をしたものがあり、代表的なものとして、アイリスフィルタが挙げられる。
【0010】
アイリスフィルタは、フィルタサイズが腫瘤に適応して変化するフィルタで、図7に示すように、注目画素を中心に2π/M度毎のM種類の方向(図7においては、25 度ごとの16方向を例示)の放射状の線上の画素のみで上記集中度の評価を行うものである。
【0011】
アイリスフィルタにおける1つの半直線での集中度は式(3)で与えられる。
【0012】
【数3】
ここで、cjは、式(2)の集中度であり、N1とN0はそれぞれ注目画素から数えた半直線上の最小画素数および最大画素数である。このときアイリスフィルタの出力は式(4)のようになる。
【0013】
【数4】
フィルタの定義式からもわかるように、アイリスフィルタのサポート領域は注目画素毎に変動し、その概念図は図8に示すように、注目画素の出力はM本の半直線の集中度で表し、一つの半直線におけるフィルタの計算範囲は式(3)が最大になるところ(点線の範囲)まで及んでいる(例えば、特許文献1、非特許文献2参照)。
【0014】
さらに、アイリスフィルタ等で異常陰影の候補領域を検出し、検出された異常陰影の候補領域に基づいて候補領域内部の濃度ヒストグラムを求め、このヒストグラムに基づく複数の特徴量、すなわち分散値、コントラスト、角モーメント等を算出し、さらに各特徴量を所定の重み付け関数で定義して新たな評価値を算出し、算出された評価値に基づいて候補領域が悪性陰影であるか否かを判定し、悪性陰影のみを異常陰影候補として検出する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0015】
この特徴量には上記の他、候補領域の辺縁の特徴を表すエッジ情報の、分散値、偏り、相関値、モーメント、エントロピーなどを用いることができる。
【0016】
また、この評価値にはマハラノビス距離を用いることができる。マハラノビス距離とは下記式(6)で定義されるDmiを意味し、悪性陰影と良性陰影の特徴量の分布の中心から共分散行列Σで表される超楕円体の重み付けで測る距離である。
【0017】
【数5】
式(7)に従って、予め実験的に得られている良性陰影を示すパターンクラス(i=1)とのマハラノビス距離Dm1、悪性陰影を示すパターンクラス(i=2)とのマハラノビス距離Dm2を算出し、Dm1とDm2とを比較して候補領域が悪性であるか否かを判定する。すなわち、良性陰影を示すパターンクラスとのマハラノビス距離Dm1が悪性陰影を示すパターンクラスとのマハラノビス距離Dm2より近い場合、すなわちDm1<Dm2の場合は良性陰影であり、良性陰影を示すパターンクラスとのマハラノビス距離Dm1より悪性陰影を示すパターンクラスとのマハラノビス距離Dm2が近い場合、すなわちDm1>Dm2の場合は悪性陰影であると判定し、悪性陰影と判定されたものだけを検出する(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【0018】
【特許文献1】
特開平8−294479号公報
【0019】
【特許文献2】
特開平9−167238号公報
【0020】
【特許文献3】
特開2002−74325号公報
【0021】
【非特許文献1】
魏 軍、荻原 義裕、清水 明伸、小畑 秀文、“こう配ベクトルの点集中性フィルタの特性解析”、電子情報通信学会論文誌(D-II) Vol.J84-D-IINo.7,pp.1289-1298,2001.
【0022】
【非特許文献2】
魏 軍、荻原 義裕、小畑 秀文、“がん陰影候補抽出のための勾配ベクトル集中フィルタ”、電子情報通信学会論文誌(D-II) Vol.J83-D-II No.1,pp.118-125,Jan.2000.
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、異常陰影の候補を抽出するためには、様々な手法が提案されている。しかしながら、乳房画像のように乳腺の分布の違いにより個人差によって画像差が現れるような画像では、全ての画像に同等の評価を行なっても正当性が疑わしい場合がある。具体的には、乳房画像は脂肪性乳房、乳腺散在型乳房、不均一高濃度型乳房、高濃度乳房の4つの乳房に分類され、その中でも不均一高濃度型乳房は、ゴツゴツとした局所的な高輝度な領域が多数存在し異常陰影の候補が多数検出されるが、実際に異常陰影に該当するものは限られている。
【0024】
そこで、本発明はこの課題に鑑みて、個人差や画像差によるばらつきを無くして、無駄な異常陰影を検出しないような異常陰影検出装置を提供することを目的とするものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明の異常陰影検出装置は、被写体を撮影して得られた医用画像データに基づいて異常陰影の候補を検出する異常陰影候補検出手段と、該異常陰影候補検出手段により検出した異常陰影の候補の異常の程度を表す評価値を算出する評価値算出手段とを備えた異常陰影検出装置において、
前記異常陰影の候補の前記評価値を所定の基準値と比較して異常陰影の候補が異常であるか否かを判定する第1の判定手段と、
該第1の判定手段により異常と判定された前記異常陰影の候補の数が所定の数Mを越えた場合には、前記第1の判定手段により異常と判定された異常陰影の候補のうち前記評価値の異常を表す値が上位のものから所定の数N(N≦M)までを異常と判定する第2の判定手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0026】
ここで「異常陰影」とは、例えば医療用のX線画像やマンモグラム等においては、血管等の正常な陰影では認められない、腫瘍、腫瘤、癌等種々の症状を示す陰影をいい、乳房や乳腺上や胸部等の様々な部位で観察されるものである。また、真の異常陰影のみならず、異常陰影であるか否かが明確でなく最終的には読影者による判断が必要な異常陰影に類似した陰影をも含む意味である。
【0027】
一般に医用画像の異常陰影は中心方向に集中する濃度値の勾配が認められるが、「異常陰影の候補」は、この勾配ベクトルの集中度を用いて評価することができ、集中度が大きくなるところを異常陰影の候補として採用することができる。例えば、アイリスフィルタ等を用いて検出することができる。
【0028】
また「評価値」とは、異常陰影の候補が、異常であるか正常であるかの程度を表す値である。
【0029】
さらに、前記評価値は、異常陰影の候補領域の特徴量に基づき算出した異常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離と正常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離の尤度比であることが望ましい。
【0030】
「異常を表すパターンクラス」とは、複数の特徴量を用いて候補領域を異常か正常かの2つのクラスターに分類するとき、複数の特徴量の表すパターンから異常と思われる候補領域の分布で、「異常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離」は、異常と思われる候補領域の分布からどの位の位置にあるかによって、異常の程度を表すものである。
【0031】
また、「正常を表すパターンクラス」とは、複数の特徴量を用いて候補領域を異常か正常かの2つのクラスターに分類するとき、複数の特徴量の表すパターンから候補領域が正常と思われる候補領域の分布で、「正常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離」は、正常と思われる候補領域の分布からどの位の位置にあるかによって、正常の程度を表すものである。
【0032】
また、「マハラノビス距離の尤度比」とは、異常の程度の評価を値として示すもので、異常を表すパターンクラスのマハラノビス距離をDm2とし、正常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離をDm1としたときに、Dm1/Dm2あるいはDm2/Dm1で表される値である。
【0033】
【発明の効果】
被写体を撮影して得られた医用画像データに異常陰影の候補を検出し、検出された異常陰影の候補の数が所定の数を越えた場合には、異常陰影の異常の程度を表す評価値が上位のものから所定の数までを最終候補とすることにより、必要以上に異常陰影の候補を検出しないで個人差や画像差によるばらつきをなくし、医師等が診断するときに尤も可能性の高い候補に絞って診断することができる。
【0034】
また、マハラノビス距離の尤度比を用いることで、異常判定の精度を高めることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の異常陰影検出装置1について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の異常陰影検出装置1の概要を示す図である。
【0036】
異常陰影検出装置1は、被写体を撮影した医用画像データSに基づいて異常陰影の候補を検出する異常陰影候補検出手段2と、検出した異常陰影の候補の異常の程度を表す評価値を算出する評価値算出手段3と、評価値を所定の基準値と比較して異常陰影の候補が異常であるか否かを判定する第1の判定手段4と、第1の判定手段で異常と判定された前記異常陰影の候補の数が所定の数Mを越えた場合には、評価値の異常を表す値が上位のものから所定の数N(N≦M)までを異常と判定する第2の判定手段5から構成される。
【0037】
異常陰影候補検出手段2は、濃度の勾配ベクトル等を用いて医用画像データSから異常陰影の候補Pを検出する。例えば、前述したアイリスフィルタを用いて、入力された医用画像データSの全体にわたって各画素における医用画像データSに基づいて勾配ベクトルを求め、この勾配ベクトルの集中度を(4)式で算出し勾配ベクトルの分布を評価する。これにより、図2に示すような、異常陰影の候補Pを検出することができる。アイリスフィルタに限らず、他の方法を用いて勾配ベクトルの集中度を評価してもよい。
【0038】
評価値算出手段3では、異常陰影候補検出手段2で検出した異常陰影の候補Pが異常であるか正常であるかを評価した評価値を算出する。ここでは、マハラノビス距離の手法を用いて算出する方法について説明する。異常陰影の候補を対象として、異常陰影の候補領域内部や候補領域の辺縁の濃度のヒストグラムを求め、さらに、このヒストグラムに基づくヒストグラム情報を求めて、得られたヒストグラム情報等を特徴量として異常を表すパターンクラスと正常を表すパターンクラスとに分類し、正常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離Dm1と異常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離Dm2を求める。図3は、2つの特徴量x1、x2を用いて異常と正常のクラスターに分類したときの異常陰影の候補の分布を表した例で、「×」は正常な候補の分布を表し、「△」は異常な候補の分布を表わす。このとき、正常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離Dm1と、異常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離Dm2は各分布の中心から評価する候補Pまでの距離(所定の重み付けをした距離)として表される。図3は、2つの特徴量x1、x2に基づいて分類する場合に対応するもので2次元で表したが、特徴量がn個ある場合には各分布はn次元の超楕円体に近似した形となり、その中心から測った距離として表される。
【0039】
具体的に、特徴量として用いられる候補領域内部のヒストグラム情報としては、式(7)で示されるヒストグラムの分散var、式(8)で示される濃度のコントラストconおよび式(9)で示される濃度の角モーメントasm等があげられる。
【0040】
【数6】
他の特徴量として、候補領域の円形度や、候補領域の辺縁の特徴量である分散値、偏り、相関値、モーメント、エントロピー等があげられる(詳細は、特許文献2または特許文献3を参照)。なお、この他にも種々の特徴量が設定してもよい。
【0041】
以上挙げた特徴量を、式(6)の各特徴量(つまり、x1、x2、x3・・・)に用いて異常を表す正常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離Dm1とパターンクラスからのマハラノビス距離Dm2を算出する。そこで、異常陰影の候補が異常の程度を表す評価値として尤度比Dm1/Dm2を求める。
【0042】
そこで、第1の判定手段4では、評価値算出手段3で求めた評価値を所定の基準値と比較して異常陰影の候補が異常陰影であるかを判定する。評価値算出手段3のマハラノビス距離に基づく判定手法では、評価値(尤度比)が、例えば、10.0以上であれば異常(悪性)の可能性が非常に高い場合には、基準値を10.0として、異常陰影の候補が異常であるかの判定をする。
【0043】
次に、第2の評価手段5では、前記異常陰影の候補の数が所定の数Mを越えた場合には、第1の判定手段4により異常と判定された異常陰影の候補のうち前記評価値の異常を表すものから所定の数N(N≦M)までを異常と判定する。
【0044】
例えば、乳房画像は、脂肪性乳房、乳腺散在型乳房、不均一高濃度型乳房、高濃度乳房の4つの乳房に分類できるが、不均一高濃度型乳房では、ゴツゴツとした局所的な高輝度な領域が多数存在し異常陰影の候補が多数検出されるが、実際に異常陰影に該当するものは限られている。そこで、第1の評価手段4で異常陰影の候補が、例えば2個以上(=M)あった場合には、最終的な異常陰影の候補を2個(=N)に絞るようにする。つまり、第1の評価手段4で異常と判断された異常陰影の候補が5個あった場合(2個(=M)を超えている)には、値の大きいものから2個抽出して最終的な異常陰影の候補とする。ここでは、N=Mの場合について説明した。最終的に抽出される異常陰影の候補数が連続的に変化するという点ではN=Mが好ましいが、N<M(例えば、N=2、M=3)となってもよい。
【0045】
ここでは、評価値に用いる尤度比をDm1/Dm2として説明したが、尤度比をDm2/Dm1としてもよい。このとき所定の値以下であれば異常(悪性)である可能性が非常に高いと判定することができる。
【0046】
あるいは、異常を表すパターンクラスのマハラノビス距離Dm2(あるいは、正常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離Dm1)を評価値として用いることもできる。
【0047】
次の異常陰影検出装置1の動作について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0048】
まず、異常陰影候補検出手段2で、図2に示すような異常陰影の候補Pを検出する(S100)。評価値算出手段3では、異常陰影候補検出手段2で検出した異常陰影の候補Pをマハラノビス距離の手法を用いて、異常陰影の候補が異常であるか正常であるかを評価するための評価値を算出する(S101)。
【0049】
つぎに、第1の判定手段4で、評価値算出手段3で求めた評価値が基準値と比較して異常陰影の候補が異常であるかを判定する(S102)。
【0050】
さらに、第2の評価手段5では、第1の判定手段4で異常と判定された異常陰影の候補の数が所定の数Mを越えた場合には(S103)、第1の判定手段4により異常と判定された異常陰影の候補のうち評価値が異常を表すものから所定の数N(N≦M)個を異常なものとする(S104)。
【0051】
以上マハラノビス距離を評価値として用いる場合について説明したが、評価値としてアイリスフィルタの出力値を用いることもできる。
【0052】
異常陰影の候補を評価する別の方法として、階層型ニューラルネットワーク(以下、NNとする)による判定方法(「乳房X線画像における微小石灰化クラスターの良悪性鑑別」医用画像工学研究会 JAMIT Frontier '99 講演論文集 P.89 〜93)を用いて評価値を算出することもできる。NNは、例えば、マハラノビス距離で挙げた特徴量を学習用データとして学習を行い、その学習結果に基づいて判定を行う。具体的には、NNの出力値(0.0から1.0 の間の実数値)が、1.0 に近づくほど異常度が高くなるように学習させ、この出力値を評価値として用いてもよい。
【0053】
以上詳細に説明したように、異常陰影の候補から異常である可能性が高い候補のみを評価により判定して絞り出すことで、必要以上に異常陰影を検出することがなく医師等が診断する時の負担を著しく軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】異常陰影検出装置1の概要を示す図
【図2】医用画像データの一例
【図3】マハラノビス距離を説明するための図
【図4】異常陰影検出装置1の動作を説明するための図
【図5】勾配ベクトルを表す図
【図6】勾配ベクトルの集中度を表す図
【図7】アイリスフィルタを説明するための図
【図8】アイリスフィルタのサポート領域の概念図
【符号の説明】
1 異常陰影検出装置
2 異常陰影候補検出手段
3 評価値算出手段
4 第1の判定手段
5 第2の判定手段
S 医用画像データ
P 異常陰影の候補
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写体を撮影して得た医用画像データに基づいて画像中の異常陰影を検出し、その異常陰影を表示して診断に供するコンピュータ支援画像診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、種々の画像取得方法により得られた画像に対して、階調処理や周波数処理等の画像処理を施し、画像の観察読影性能を向上させることが行われている。特に人体を被写体とした放射線画像のような医用画像の分野においては、医師等の専門家が、得られた画像に基づいて患者の疾病や傷害の有無を的確に診断する必要があり、その画像の読影性能を向上させる画像処理は不可欠なものとなっている。そのため、このような画像処理を用いることで、観察者の経験や画像読影能力の高低によって左右されず客観的に腫瘤陰影を判断できるように様々な方法が提案されている。
【0003】
放射線画像等に撮影された癌化した部分の腫瘤陰影は、おおむね丸味をおびた輪郭を持ち、かつ、画像上では周囲に比べて画素値が大きな領域として観測される。このような腫瘤陰影は、半球状で同じ濃度が同心円状に広がる形状の領域(以降、円形凸領域と呼ぶ)で、濃度値の分布が周縁部から中心部に向かうにしたがって濃度値が低くなるという濃度値の勾配が認められる。その勾配線は腫瘤の中心方向に向かって集中するもので、濃度値の勾配を勾配ベクトルとして算出し、その勾配ベクトルの集中度から腫瘤陰影を検出することができることが知られている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0004】
具体的には、勾配ベクトルの集中度を次のようにして求める。
まず、勾配ベクトルは計算対象となる画像を構成する全ての画素について、下記式(1)に示す計算式に基づいた画像データの勾配ベクトルの向きφを求める。
【0005】
【数1】
ここでf11 〜f55は、図5に示すように、その画素jを中心とした縦5画素×横5画素のマスクの外周上の画素に対応した画素値(画像データ)である。
【0006】
そこで、対象となる画像を構成する全ての画素について、勾配ベクトルの集中度Cを式(2)にしたがって算出する。
【0007】
【数2】
ここで、Nは注目画素を中心に半径lの円内に存在する画素の数、θj は、注目画素とその円内の各画素jとを結ぶ直線と、その各画素jにおける上記式(1)で算出された勾配ベクトルとがなす角である(図6参照)。したがって上記式(2)で表される集中度Cは、各画素jの勾配ベクトルの向きが集中する画素で大きな値をとる。
【0008】
つまり、腫瘤陰影近傍の各画素jの勾配ベクトルは、腫瘤陰影のコントラストの大小に拘らず、その腫瘤陰影の略中心部に向くため、上記集中度Cが大きな値を採る画素は、腫瘤陰影の中心部の画素ということができる。一方、血管などの線状パターンの陰影は勾配ベクトルの向きが一定方向に偏るため集中度Cの値は小さい。したがって、画像を構成する全ての画素についてそれぞれ注目画素に対する上記集中度Cの値を算出し、その集中度Cの値が予め設定された閾値を上回るか否かを評価することによって、腫瘤陰影を検出することができる。
【0009】
また、このような集中度を評価するものの中には、腫瘤の大きさや形状に左右されない検出力を達成するために、フィルタの大きさと形状に工夫をしたものがあり、代表的なものとして、アイリスフィルタが挙げられる。
【0010】
アイリスフィルタは、フィルタサイズが腫瘤に適応して変化するフィルタで、図7に示すように、注目画素を中心に2π/M度毎のM種類の方向(図7においては、25 度ごとの16方向を例示)の放射状の線上の画素のみで上記集中度の評価を行うものである。
【0011】
アイリスフィルタにおける1つの半直線での集中度は式(3)で与えられる。
【0012】
【数3】
ここで、cjは、式(2)の集中度であり、N1とN0はそれぞれ注目画素から数えた半直線上の最小画素数および最大画素数である。このときアイリスフィルタの出力は式(4)のようになる。
【0013】
【数4】
フィルタの定義式からもわかるように、アイリスフィルタのサポート領域は注目画素毎に変動し、その概念図は図8に示すように、注目画素の出力はM本の半直線の集中度で表し、一つの半直線におけるフィルタの計算範囲は式(3)が最大になるところ(点線の範囲)まで及んでいる(例えば、特許文献1、非特許文献2参照)。
【0014】
さらに、アイリスフィルタ等で異常陰影の候補領域を検出し、検出された異常陰影の候補領域に基づいて候補領域内部の濃度ヒストグラムを求め、このヒストグラムに基づく複数の特徴量、すなわち分散値、コントラスト、角モーメント等を算出し、さらに各特徴量を所定の重み付け関数で定義して新たな評価値を算出し、算出された評価値に基づいて候補領域が悪性陰影であるか否かを判定し、悪性陰影のみを異常陰影候補として検出する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0015】
この特徴量には上記の他、候補領域の辺縁の特徴を表すエッジ情報の、分散値、偏り、相関値、モーメント、エントロピーなどを用いることができる。
【0016】
また、この評価値にはマハラノビス距離を用いることができる。マハラノビス距離とは下記式(6)で定義されるDmiを意味し、悪性陰影と良性陰影の特徴量の分布の中心から共分散行列Σで表される超楕円体の重み付けで測る距離である。
【0017】
【数5】
式(7)に従って、予め実験的に得られている良性陰影を示すパターンクラス(i=1)とのマハラノビス距離Dm1、悪性陰影を示すパターンクラス(i=2)とのマハラノビス距離Dm2を算出し、Dm1とDm2とを比較して候補領域が悪性であるか否かを判定する。すなわち、良性陰影を示すパターンクラスとのマハラノビス距離Dm1が悪性陰影を示すパターンクラスとのマハラノビス距離Dm2より近い場合、すなわちDm1<Dm2の場合は良性陰影であり、良性陰影を示すパターンクラスとのマハラノビス距離Dm1より悪性陰影を示すパターンクラスとのマハラノビス距離Dm2が近い場合、すなわちDm1>Dm2の場合は悪性陰影であると判定し、悪性陰影と判定されたものだけを検出する(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【0018】
【特許文献1】
特開平8−294479号公報
【0019】
【特許文献2】
特開平9−167238号公報
【0020】
【特許文献3】
特開2002−74325号公報
【0021】
【非特許文献1】
魏 軍、荻原 義裕、清水 明伸、小畑 秀文、“こう配ベクトルの点集中性フィルタの特性解析”、電子情報通信学会論文誌(D-II) Vol.J84-D-IINo.7,pp.1289-1298,2001.
【0022】
【非特許文献2】
魏 軍、荻原 義裕、小畑 秀文、“がん陰影候補抽出のための勾配ベクトル集中フィルタ”、電子情報通信学会論文誌(D-II) Vol.J83-D-II No.1,pp.118-125,Jan.2000.
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、異常陰影の候補を抽出するためには、様々な手法が提案されている。しかしながら、乳房画像のように乳腺の分布の違いにより個人差によって画像差が現れるような画像では、全ての画像に同等の評価を行なっても正当性が疑わしい場合がある。具体的には、乳房画像は脂肪性乳房、乳腺散在型乳房、不均一高濃度型乳房、高濃度乳房の4つの乳房に分類され、その中でも不均一高濃度型乳房は、ゴツゴツとした局所的な高輝度な領域が多数存在し異常陰影の候補が多数検出されるが、実際に異常陰影に該当するものは限られている。
【0024】
そこで、本発明はこの課題に鑑みて、個人差や画像差によるばらつきを無くして、無駄な異常陰影を検出しないような異常陰影検出装置を提供することを目的とするものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明の異常陰影検出装置は、被写体を撮影して得られた医用画像データに基づいて異常陰影の候補を検出する異常陰影候補検出手段と、該異常陰影候補検出手段により検出した異常陰影の候補の異常の程度を表す評価値を算出する評価値算出手段とを備えた異常陰影検出装置において、
前記異常陰影の候補の前記評価値を所定の基準値と比較して異常陰影の候補が異常であるか否かを判定する第1の判定手段と、
該第1の判定手段により異常と判定された前記異常陰影の候補の数が所定の数Mを越えた場合には、前記第1の判定手段により異常と判定された異常陰影の候補のうち前記評価値の異常を表す値が上位のものから所定の数N(N≦M)までを異常と判定する第2の判定手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0026】
ここで「異常陰影」とは、例えば医療用のX線画像やマンモグラム等においては、血管等の正常な陰影では認められない、腫瘍、腫瘤、癌等種々の症状を示す陰影をいい、乳房や乳腺上や胸部等の様々な部位で観察されるものである。また、真の異常陰影のみならず、異常陰影であるか否かが明確でなく最終的には読影者による判断が必要な異常陰影に類似した陰影をも含む意味である。
【0027】
一般に医用画像の異常陰影は中心方向に集中する濃度値の勾配が認められるが、「異常陰影の候補」は、この勾配ベクトルの集中度を用いて評価することができ、集中度が大きくなるところを異常陰影の候補として採用することができる。例えば、アイリスフィルタ等を用いて検出することができる。
【0028】
また「評価値」とは、異常陰影の候補が、異常であるか正常であるかの程度を表す値である。
【0029】
さらに、前記評価値は、異常陰影の候補領域の特徴量に基づき算出した異常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離と正常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離の尤度比であることが望ましい。
【0030】
「異常を表すパターンクラス」とは、複数の特徴量を用いて候補領域を異常か正常かの2つのクラスターに分類するとき、複数の特徴量の表すパターンから異常と思われる候補領域の分布で、「異常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離」は、異常と思われる候補領域の分布からどの位の位置にあるかによって、異常の程度を表すものである。
【0031】
また、「正常を表すパターンクラス」とは、複数の特徴量を用いて候補領域を異常か正常かの2つのクラスターに分類するとき、複数の特徴量の表すパターンから候補領域が正常と思われる候補領域の分布で、「正常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離」は、正常と思われる候補領域の分布からどの位の位置にあるかによって、正常の程度を表すものである。
【0032】
また、「マハラノビス距離の尤度比」とは、異常の程度の評価を値として示すもので、異常を表すパターンクラスのマハラノビス距離をDm2とし、正常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離をDm1としたときに、Dm1/Dm2あるいはDm2/Dm1で表される値である。
【0033】
【発明の効果】
被写体を撮影して得られた医用画像データに異常陰影の候補を検出し、検出された異常陰影の候補の数が所定の数を越えた場合には、異常陰影の異常の程度を表す評価値が上位のものから所定の数までを最終候補とすることにより、必要以上に異常陰影の候補を検出しないで個人差や画像差によるばらつきをなくし、医師等が診断するときに尤も可能性の高い候補に絞って診断することができる。
【0034】
また、マハラノビス距離の尤度比を用いることで、異常判定の精度を高めることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の異常陰影検出装置1について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の異常陰影検出装置1の概要を示す図である。
【0036】
異常陰影検出装置1は、被写体を撮影した医用画像データSに基づいて異常陰影の候補を検出する異常陰影候補検出手段2と、検出した異常陰影の候補の異常の程度を表す評価値を算出する評価値算出手段3と、評価値を所定の基準値と比較して異常陰影の候補が異常であるか否かを判定する第1の判定手段4と、第1の判定手段で異常と判定された前記異常陰影の候補の数が所定の数Mを越えた場合には、評価値の異常を表す値が上位のものから所定の数N(N≦M)までを異常と判定する第2の判定手段5から構成される。
【0037】
異常陰影候補検出手段2は、濃度の勾配ベクトル等を用いて医用画像データSから異常陰影の候補Pを検出する。例えば、前述したアイリスフィルタを用いて、入力された医用画像データSの全体にわたって各画素における医用画像データSに基づいて勾配ベクトルを求め、この勾配ベクトルの集中度を(4)式で算出し勾配ベクトルの分布を評価する。これにより、図2に示すような、異常陰影の候補Pを検出することができる。アイリスフィルタに限らず、他の方法を用いて勾配ベクトルの集中度を評価してもよい。
【0038】
評価値算出手段3では、異常陰影候補検出手段2で検出した異常陰影の候補Pが異常であるか正常であるかを評価した評価値を算出する。ここでは、マハラノビス距離の手法を用いて算出する方法について説明する。異常陰影の候補を対象として、異常陰影の候補領域内部や候補領域の辺縁の濃度のヒストグラムを求め、さらに、このヒストグラムに基づくヒストグラム情報を求めて、得られたヒストグラム情報等を特徴量として異常を表すパターンクラスと正常を表すパターンクラスとに分類し、正常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離Dm1と異常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離Dm2を求める。図3は、2つの特徴量x1、x2を用いて異常と正常のクラスターに分類したときの異常陰影の候補の分布を表した例で、「×」は正常な候補の分布を表し、「△」は異常な候補の分布を表わす。このとき、正常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離Dm1と、異常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離Dm2は各分布の中心から評価する候補Pまでの距離(所定の重み付けをした距離)として表される。図3は、2つの特徴量x1、x2に基づいて分類する場合に対応するもので2次元で表したが、特徴量がn個ある場合には各分布はn次元の超楕円体に近似した形となり、その中心から測った距離として表される。
【0039】
具体的に、特徴量として用いられる候補領域内部のヒストグラム情報としては、式(7)で示されるヒストグラムの分散var、式(8)で示される濃度のコントラストconおよび式(9)で示される濃度の角モーメントasm等があげられる。
【0040】
【数6】
他の特徴量として、候補領域の円形度や、候補領域の辺縁の特徴量である分散値、偏り、相関値、モーメント、エントロピー等があげられる(詳細は、特許文献2または特許文献3を参照)。なお、この他にも種々の特徴量が設定してもよい。
【0041】
以上挙げた特徴量を、式(6)の各特徴量(つまり、x1、x2、x3・・・)に用いて異常を表す正常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離Dm1とパターンクラスからのマハラノビス距離Dm2を算出する。そこで、異常陰影の候補が異常の程度を表す評価値として尤度比Dm1/Dm2を求める。
【0042】
そこで、第1の判定手段4では、評価値算出手段3で求めた評価値を所定の基準値と比較して異常陰影の候補が異常陰影であるかを判定する。評価値算出手段3のマハラノビス距離に基づく判定手法では、評価値(尤度比)が、例えば、10.0以上であれば異常(悪性)の可能性が非常に高い場合には、基準値を10.0として、異常陰影の候補が異常であるかの判定をする。
【0043】
次に、第2の評価手段5では、前記異常陰影の候補の数が所定の数Mを越えた場合には、第1の判定手段4により異常と判定された異常陰影の候補のうち前記評価値の異常を表すものから所定の数N(N≦M)までを異常と判定する。
【0044】
例えば、乳房画像は、脂肪性乳房、乳腺散在型乳房、不均一高濃度型乳房、高濃度乳房の4つの乳房に分類できるが、不均一高濃度型乳房では、ゴツゴツとした局所的な高輝度な領域が多数存在し異常陰影の候補が多数検出されるが、実際に異常陰影に該当するものは限られている。そこで、第1の評価手段4で異常陰影の候補が、例えば2個以上(=M)あった場合には、最終的な異常陰影の候補を2個(=N)に絞るようにする。つまり、第1の評価手段4で異常と判断された異常陰影の候補が5個あった場合(2個(=M)を超えている)には、値の大きいものから2個抽出して最終的な異常陰影の候補とする。ここでは、N=Mの場合について説明した。最終的に抽出される異常陰影の候補数が連続的に変化するという点ではN=Mが好ましいが、N<M(例えば、N=2、M=3)となってもよい。
【0045】
ここでは、評価値に用いる尤度比をDm1/Dm2として説明したが、尤度比をDm2/Dm1としてもよい。このとき所定の値以下であれば異常(悪性)である可能性が非常に高いと判定することができる。
【0046】
あるいは、異常を表すパターンクラスのマハラノビス距離Dm2(あるいは、正常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離Dm1)を評価値として用いることもできる。
【0047】
次の異常陰影検出装置1の動作について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0048】
まず、異常陰影候補検出手段2で、図2に示すような異常陰影の候補Pを検出する(S100)。評価値算出手段3では、異常陰影候補検出手段2で検出した異常陰影の候補Pをマハラノビス距離の手法を用いて、異常陰影の候補が異常であるか正常であるかを評価するための評価値を算出する(S101)。
【0049】
つぎに、第1の判定手段4で、評価値算出手段3で求めた評価値が基準値と比較して異常陰影の候補が異常であるかを判定する(S102)。
【0050】
さらに、第2の評価手段5では、第1の判定手段4で異常と判定された異常陰影の候補の数が所定の数Mを越えた場合には(S103)、第1の判定手段4により異常と判定された異常陰影の候補のうち評価値が異常を表すものから所定の数N(N≦M)個を異常なものとする(S104)。
【0051】
以上マハラノビス距離を評価値として用いる場合について説明したが、評価値としてアイリスフィルタの出力値を用いることもできる。
【0052】
異常陰影の候補を評価する別の方法として、階層型ニューラルネットワーク(以下、NNとする)による判定方法(「乳房X線画像における微小石灰化クラスターの良悪性鑑別」医用画像工学研究会 JAMIT Frontier '99 講演論文集 P.89 〜93)を用いて評価値を算出することもできる。NNは、例えば、マハラノビス距離で挙げた特徴量を学習用データとして学習を行い、その学習結果に基づいて判定を行う。具体的には、NNの出力値(0.0から1.0 の間の実数値)が、1.0 に近づくほど異常度が高くなるように学習させ、この出力値を評価値として用いてもよい。
【0053】
以上詳細に説明したように、異常陰影の候補から異常である可能性が高い候補のみを評価により判定して絞り出すことで、必要以上に異常陰影を検出することがなく医師等が診断する時の負担を著しく軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】異常陰影検出装置1の概要を示す図
【図2】医用画像データの一例
【図3】マハラノビス距離を説明するための図
【図4】異常陰影検出装置1の動作を説明するための図
【図5】勾配ベクトルを表す図
【図6】勾配ベクトルの集中度を表す図
【図7】アイリスフィルタを説明するための図
【図8】アイリスフィルタのサポート領域の概念図
【符号の説明】
1 異常陰影検出装置
2 異常陰影候補検出手段
3 評価値算出手段
4 第1の判定手段
5 第2の判定手段
S 医用画像データ
P 異常陰影の候補
Claims (2)
- 被写体を撮影して得られた医用画像データに基づいて異常陰影の候補を検出する異常陰影候補検出手段と、該異常陰影候補検出手段により検出した異常陰影の候補の異常の程度を表す評価値を算出する評価値算出手段とを備えた異常陰影検出装置において、
前記異常陰影の候補の前記評価値を所定の基準値と比較して異常陰影の候補が異常であるか否かを判定する第1の判定手段と、
該第1の判定手段により異常と判定された前記異常陰影の候補の数が所定の数Mを越えた場合には、前記第1の判定手段により異常と判定された異常陰影の候補のうち前記評価値の異常を表す値が上位のものから所定の数N(N≦M)までを異常と判定する第2の判定手段とを備えたことを特徴とする異常陰影検出装置。 - 前記評価値は、異常陰影の候補領域の特徴量に基づき算出した異常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離と正常を表すパターンクラスからのマハラノビス距離の尤度比であることを特徴とする請求項1記載の異常陰影検出装置。
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