JP5605529B1 - 培地検査装置、培地情報登録システム、衛生管理システム、及びプログラム - Google Patents

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Abstract

培地に対する検査を実行する際の当該コロニーの培養環境に関する条件が変化する場合であっても、的確に検査を実行すること、及び、その結果、培地情報としての検査結果を的確に登録することが可能な培地情報登録システム等を提供する。衛生管理システムSは、フィルム型培地60が撮像されて画像化された培地画像を有する培地画像データを取得して所定の検査を実行する際に、フィルム型培地60に培養されるコロニーの培養環境に関する検査条件を示す検査条件情報を取得し、取得した検査条件情報に基づいて、当該フィルム型培地60に培養されるコロニーのコロニー検出基準を特定するとともに、当該特定したコロニー検出基準に基づいて培地画像を解析することによって所定の検査を実行し、所定の検査結果をデータベース400に登録する構成を有している。

Description

本発明は、食品用の衛生管理システム等に関する。
近年、ファーストフードその他の外食産業の成長や手軽な加工食品の増加により、他人が調理した食品を食する機会が著しく増加している。その一方で、加工食材や加工食品等の食品に毒物又は微生物等の危険なものが混入すると、人体に直接影響を与えるため、加工食品を取り扱う場合には、原材料の安全性だけでなく、製造工程の衛生面を厳しく管理し、食品の生産加工の全般に渡る食品の安全性が求められている。
特に、各地で発生して問題となっている食中毒事件を発端に、食品の一層の安全性を図ることが命題となっており、食品衛生法を遵守するだけでなく、「HACCP(Hazard Analysis CriticalControl Point System」や「FSSC(Food Safety System Certification22000」を導入する企業も増加している。
このような加工食品に混入する微生物を検出するシステムとしては、フィルム型培地を用いるとともに、当該フィルム型培地において培養された検体に発生するコロニーを画像によってカウントするものが知られている。
一方、コロニーが画像化された画像の特性は、コロニーの種別(菌種)又は検体の種別によって異なるため、このようなシステムにおいては、作業者が各種のパラメータを調節し、コロニーが画像化された画像特性に適した状態でコロニーをカウントするものも登場している。
そこで、最近では、上述のようなパラメータの設定など作業者の煩雑な作業を軽減させるシステムとして、画像化した培地の画像に適するプロファイルを特定し、特定したプロファイルによってコロニーをカウントするものが知られている(例えば、特許文献1)。
特開2010−227118号公報
しかしながら、上述の特許文献1にあっては、培地の種別毎に培地に適したプロファイルを用いることによってコロニーの検出を行うことができるものの、例えば、同一種の培地を用いて異なる培地に関する検査を実行することは難しい。
例えば、同一の培地であって培養開始から培養時間が異なる場合、又は、希釈倍率や検体の抽出条件に代表されるように培養条件が異なる場合、そもそも検体が異なる場合など、同一種の培地を用いて異なる培地に関する検査を実行することは難しい。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、培地に培養されたコロニーの検出などの培地に対する検査を実行する際の当該コロニーの培養環境に関する条件が変化する場合であっても、的確に検査を実行すること、及び、その結果、培地情報としての検査結果を的確に登録することが可能な培地情報登録システム等を提供することにある。
上述した課題を解決するため、本発明に係る培地情報登録システム等は、培地が画像化された培地画像を用いて当該培地に対する所定の検査を実行し、当該検査の結果を培地情報として登録する培地情報登録システムであって、前記所定の検査を実行する際に用いた培地の培地画像を有する培地画像データと、当該検査を実行する際の当該培地に培養されるコロニーの培養環境に関する条件を示す条件情報と、を取得する取得手段と、前記取得された条件情報に基づいて、前記条件情報と前記コロニーを検出する検査基準を示す検査基準情報とが少なくとも対応付けられて記憶された第1データベースを検索し、前記撮像された培地におけるコロニーを検出するための検査基準を特定する検索手段と、前記取得された培地画像データの培地画像を構成する各ピクセルの色に関する特徴量を検出する検出手段と、前記取得された培地画像データの培地画像、前記検出された特徴量、及び、前記特定された検出基準に基づいて、前記培地画像に画像化された培地に対する前記所定の検査を実行する検査手段と、前記所定の検査の結果を少なくとも含む情報を培地情報として第2データベースに登録する登録手段と、を備える構成を有している。
本発明に係る培地情報登録システム等は、例えば、コロニーを検査するタイミング(培養開始から検査時刻までの培養時間)によって変動する条件、培地に載置される検体の種別など検体に基づいて定まる条件、又は、検査に用いる希釈液若しくは検体を抽出して培地に載置する際のフィルタの有無を示す培養条件など、検査を実行する際に培地に培養されるコロニーの培養環境が異なる場合であっても、培地に培養されるコロニーの検出基準を的確に特定し、当該特定したコロニーの検出基準に基づいてコロニーの検出、その計数又は培地の異常性の判定などの培地の検査を行うことができる。
したがって、本発明に係る培地情報登録システム等は、培養されるコロニーの培養環境が異なる場合であっても、的確な検査を実行することができるとともに、その結果、培地情報としての検査結果を的確に登録することができる。
そして、本発明に係る培地情報登録システムは、培地情報をデータベースに登録することによって電子化することができるので、無駄に培地を消費すること無く省資源化を図ることができる。
本発明に係る衛生管理システムの一実施形態の構成を示す構成図である。 一実施形態の衛生管理システムに用いるフィルム型培地の一例である。 一実施形態の衛生管理システムに用いる作業指示書の一例である。 一実施形態の衛生管理システムに用いる携帯用通信端末装置の構成を示すブロック図である。 一実施形態の衛生管理システムに用いるサーバ装置の構成を示すブロック図である。 一実施形態の携帯用通信端末装置における培地情報の登録処理の動作を示すフローチャートである。 一実施形態のサーバ装置における培地情報の登録処理の動作を示すフローチャートである。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、食品の製造ライン又は検査ライン(以下、「作業ライン」という。)におけるフィルム型培地を用いた衛生管理システムに対して、本発明に係る培地情報登録システム、プログラム、コロニー検出装置及び衛生管理システムを適用した場合の実施形態である。ただし、本発明は、その技術的思想を含む範囲内で以下の実施形態に限定されない。
[1]衛生管理システム
まず、図1を用いて本実施形態の衛生管理システムSについて説明する。なお、図1は、本実施形態の衛生管理システムSの構成を示す構成図である。
本実施形態の衛生管理システムSは、フィルム型の培地(すなわち、フィルム型培地)を用いるとともに、当該培地に関する情報(以下、「培地情報」という。)をデータ管理することによって、食品の製造上又は検査上の衛生状態を検査するためのシステムである。
具体的には、本実施形態の衛生管理システムSは、加工中又は加工後の食品を製造する製造工程又は当該食品を検査する検査工程を有する作業ライン80において、製造中又は製造後の食品を検体として抽出し、フィルム型培地60で検体に発生した一般性菌又は大腸菌等の予め特定した菌を培養させた際の培養状況をデータ管理するシステムである。
本実施形態の衛生管理システムSは、食品の衛生状態をデータ上で管理及び判定するために、食品の製造又は検査における作業に関する情報(以下、「作業情報」という。)と、当該抽出した検体を培養する前後において携帯用通信端末装置10によって取得されるフィルム型培地60の培地情報と、を対応付けてサーバ装置40(具体的には、データベース400)に登録することが可能な構成を有している。
特に、本実施形態の衛生管理システムSは、フィルム型培地60において、
(1)フィルム型培地60が撮像されて画像化された培地画像を有する培地画像データを取得して所定の検査を実行する際に、フィルム型培地60に培養されるコロニーの培養環境に関する条件(すなわち、フィルム型培地60に発生するコロニーを検査する際の検査条件)を示す条件情報(以下、「検査条件情報」という。)を取得し、
(2)取得した検査条件情報に基づいて、当該フィルム型培地60に培養されるコロニーの検出基準(以下、「コロニー検出基準」という。)を特定するとともに、当該特定したコロニー検出基準に基づいて培地画像を解析することによって所定の検査を実行し、
(3)所定の検査結果をデータベース400に登録する
ための構成を有している。
このような構成を実現するために、本実施形態の衛生管理システムSは、図1に示すように、各フィルム型培地60に関する培地情報を登録する際に用いる複数の携帯用通信端末装置10と、当該衛生管理システムSを管理する管理者端末装置20と、ネットワーク30と、データベース400を有し、かつ、携帯用通信端末装置10又は管理者端末装置20と連動し、培地情報の登録管理を含む各種の処理を実行するサーバ装置40と、を有している。
本実施形態の作業情報は、製造工程又は検査工程に係わる各種の情報の他に、検体として製造工程又は検査工程から抽出された食品及び当該検体の培養に関する情報を含み、作業毎に、固有の識別情報(以下、「作業ID」という。)を用いてデータベース400に登録されるようになっている。具体的には、各作業情報には、
(1)作業IDと、
(2)検体を抽出すべき作業ライン80の識別情報(以下、「ラインID」という。)又は作業ライン80が複数の工程を有している場合には、ラインID及び工程の識別情報(以下、「工程ID」という。)71bと、
(3)検体としての食品の製品名、ロットの識別情報(以下、「ロットID」という。)及びロット名と、
(4)作業開始時刻及び終了時刻を示す作業日時と、
(5)作業者ID(社員ID)及び作業者名と、
が含まれる。そして、作業情報の各情報は、種別毎にかつ作業毎にデータベース400に登録されている。
携帯用通信端末装置10は、例えば、通信機能を有するデジタルカメラ、タブレット型情報端末装置、スマートフォン又は携帯用電話機等、静止画像等の撮像機能又は録画機能(以下、単に「カメラ機能」という。)を有し、かつ、作業者によって携帯可能な通信端末装置である。
特に、携帯用通信端末装置10は、カメラ機能によって、フィルム型培地60を画像化して培地画像データを生成すること、及び、作業指示書70を画像化して指示書画像データを生成することが可能な構成を有している。そして、携帯用通信端末装置10は、作業IDと、フィルム型培地60の培地画像データと、当該培地画像データのメタデータと、を培地情報として、サーバ装置40のデータベース400に登録することが可能な構成を有している。
一方、携帯用通信端末装置10は、培地情報をサーバ装置40に送信する際には、BLUETOOTH(登録商標)、ワイヤレスLAN(WLAN:Wireless Local Area Network)又はワイヤレスPAN(WPAN:Wireless Personal Area Network)等の近距離無線用の通信規格を用いて直接若しくはアクセスポイント50を介してサーバ装置40に送信し、又は、図示しない移動基地局を介して公衆電話網回線を用いてサーバ装置40に送信する構成を有している。そして、携帯用通信端末装置10は、XML(eXtensible Markup Language)等のマークアップ言語によって構築されたブラウザ機能を有し、当該ブラウザ機能を用いて作業者の操作入力指示及び操作確認を実行するとともに、当該ブラウザ機能を介して培地情報をサーバ装置40に送信するようになっている。
管理者端末装置20は、例えば、タブレット型情報端末装置、スマートフォン、パーソナルコンピュータ又はワークステーション等の情報通信端末装置である。
また、管理者端末装置20は、管理者の識別情報(以下、「管理者ID」という。)と管理者のパスワード及び作業者の識別情報(以下、「作業者ID」という。)を管理し、サーバ装置40へのアクセス権限の管理、携帯用通信端末装置10の端末IDの管理、及び、登録された培地情報の修正その他の管理を行うことができる制御装置として機能する。
そして、管理者端末装置20は、携帯用通信端末装置10と同様に、マークアップ言語によって構築されたブラウザ機能を有し、当該ブラウザ機能を用いてサーバ装置40とのデータの授受、報告書の閲覧等を実行することができる構成を有している。
なお、管理者端末装置20は、同一ロット内において、工程を実行する機械の故障その他によって各作業が中断した場合、作業者における培地情報の登録ミス等が発生した場合に、培地情報その他の情報を修正することができる構成を有している。
ネットワーク30は、例えば、携帯電話網を含む公衆電話回線網(以下、「長距離通信ネットワーク」という)、近距離無線ネットワーク等のIP(Internet Protocol)ネットワーク、又は、その双方が相互接続されて構成されている。ただし、当該ネットワーク30の構成は、これに限られない。
サーバ装置40は、携帯用通信端末装置10又は管理者端末装置20と連動し、ロット及び作業ライン80の衛生管理を行うための各データ処理及び培地情報の登録を実行するために用いられるサーバ装置である。
特に、サーバ装置40は、培養開始から所定の時間経過後に、
(1)検査を実行する際に用いたフィルム型培地60が撮像されて画像化された培地画像を有する培地画像データと、所定の検査を実行する際の当該フィルム型培地60に培養されるコロニーの培養環境に関する条件(検査条件)を示す条件情報(検査条件情報)と、を取得し、
(2)取得した検査条件情報に基づいてデータベース400を検索し、フィルム型培地60に培養されるコロニーのコロニー検出基準を特定し、
(3)培地画像を構成する各ピクセルの色に関する特徴量を検出し、
(4)取得した培地画像データの培地画像、検出した特徴量、及び、特定したコロニー検出基準に基づいて、培地画像に画像化されたフィルム型培地60に対する所定の検査を実行し、
(5)所定の検査の結果を少なくとも含む情報を培地情報としてデータベース400に登録する構成を有している。
そして、サーバ装置40は、(1)においては、培地画像データに画像化されたフィルム型培地60を特定する特定情報を培地画像データとともに取得し、当該取得した特定情報に基づいて、フィルム型培地60毎に検査条件情報が記憶されたデータベース400を検索し、特定情報によって特定した培地に対応する検査条件情報を取得する、構成を有している。
また、サーバ装置40は、(4)においては、所定の検査として、
(4A)フィルム型培地60上のコロニーの検出、
(4B)当該検出したコロニーの数(以下、「コロニー数」ともいう。)、及び、
(4C)当該コロニー数に基づいて培地に載置された検体が正常か否か(合否)を判定する培地判定、
の少なくともいずれか一方の検査を実行する構成を有している。ただし、本実施形態のサーバ装置40は、(4A)〜(4C)の各検査を実行する。
本実施形態の検査条件情報には、フィルム型培地60が画像化されて検査されるタイミングで変動する変動条件を含み、例えば、変動条件は、フィルム型培地60におけるコロニーの培養開始から所定の時間経過後までの培養時間となる。
また、検査条件情報には、フィルム型培地60載置される検体に基づいて定まる条件(以下、「検体条件」という。)、及び、コロニーを培養する際に定まる培養条件の少なくともいずれか一方の条件が含まれる。例えば、検体条件には、検体の種別、検体を抽出した工程の種別、及び、フィルタの有無などの検体を抽出する際の抽出方法が含まれ、培養条件には、希釈液の種別、希釈倍率、培養温度及び培養湿度が含まれる。
さらに、特定情報には、フィルム型培地60毎に付与された固有の識別情報(すなわち、培地ID66)、及び、フィルム型培地60の種別の少なくともいずれか一方が含まれる。
このような構成を有することによって、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、コロニーを検査するタイミング(培養開始から検査時刻までの培養時間)によって変動する条件、培地に載置される検体の種別など検体に基づいて定まる条件、又は、検査に用いる希釈液若しくは検体を抽出して培地に載置する際のフィルタの有無を示す培養条件など、検査を実行する際に培地に培養されるコロニーの培養環境が異なる場合であっても、培地に培養されるコロニー検出基準を的確に特定し、当該特定したコロニー検出基準に基づいてコロニーの検出、その計数又は培地に載置された検体の異常性の判定などの培地の検査を行うことができる。
したがって、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、培養されるコロニーの培養環境が異なる場合であっても、的確な検査を実行することができるとともに、その結果、培地情報としての検査結果を的確に登録することができる。
また、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、コロニー数を培地情報のデータとして登録することができるので、フィルム型培地60を用いて食品に関する衛生管理を、電子的なデータによって解析可能となるとともに、その解析結果の提供をも電子的に実行することができる。
したがって、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、紙媒体などの物理的な資源を利用して種々のデータ解析及びその提供を行う場合に比べて省資源化をも図ることができるとともに、培地に関する培地情報をデータベースに登録させることによって登録ミスが著しく減少し、難しい培地の管理を容易にすることができるので、無駄に培地を消費すること無く省資源化を図ることができるようになっている。
[2]フィルム型培地
次に、図2を用いて本実施形態のフィルム型培地60について説明する。なお、図2は、本実施形態に用いるフィルム型培地60の一例である。
本実施形態に用いるフィルム型培地60は、フィルム又はシ−ト状の乾燥培地によって作業ライン80の各工程から検出した検体としての食品に発生した菌を培養するための培地である。例えば、フィルム型培地60は、一般生菌用、大腸菌群用及び黄色ブドウ球菌用を培養する培地として用いられる。なお、カビや酵母、リステリア菌、水質用微生物、乳酸菌、タンパク質等の各種の菌、物質又は微生物を培養する培地として用いてもよい。
また、フィルム型培地60は、例えば、図2に示すように、フィルムによって形成される基材シート61と、基材シート61の中心を基準に当該基材シート61上に形成される円形の枠(以下、「円形枠」という。)62と、該枠内に設けられる菌を培養する培養層63と、当該培養層63を被覆するカバーシート64と、基材シート61の左側に形成された培地ID66と、を有している。
例えば、培地ID66は、2次元バーコード等のバーコード又は英数字で形成されており、フィルム型培地60の撮像時に一緒に画像化され、バーコード認識機能又はOCR(Optical Character Recognition)機能などの画像解析機能を用いて、携帯用通信端末装置10又はサーバ装置40において取得される。
基材シート61は、フィルム状又はシート状の基材であれば特に限定されず、例えば、プラスチックフィルムや紙等を用いることができる。プラスチックフィルムの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート等の樹脂フィルムを好ましく挙げることができる。ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン系の合成紙等が好ましく挙げることができる。なお、ポリプロピレン系合成紙は、ポリプロピレンを主原料とするフィルム合成紙である。
なお、フィルム型培地60は、培地ID66を記憶させたICタグを有し、携帯用通信端末装置10が有する近距離無線通信インターフェース140(例えば、ICタグリーダ)によって当該携帯用通信端末装置10に培地ID66を取得させてもよい。
[3]作業指示書
次に、図3を用いて本実施形態の作業指示書70について説明する。なお、図3は、本実施形態に用いる作業指示書70の一例である。
本実施形態の作業指示書70は、同一条件によって製造又は検査された食品群毎、すなわち、ロット毎に、一以上の製造工程又は検査工程の作業名称及びその内容と、使用する作業ライン80と、製造又は検査される食品(加工食品)名称、数量その他の情報と、が記載された指示書である。
また、本実施形態の作業指示書70は、右上に印刷その他の方法によって形成された指示書ID71aと、所定の領域に印刷その他の方法によって形成された複数の工程ID71bと、を有している。指示書ID71a及び各工程ID71bは、作業ID71として用いられ、例えば、2次元バーコード等のバーコード又は英数字で形成されている。そして、指示書ID71a及び各工程ID71bは、フィルム型培地60の登録が実行される際に当該フィルム型培地60と同様に画像化され、携帯用通信端末装置10又はサーバ装置40において解析することによって認識される。
なお、作業指示書70は、フィルム型培地60と同様に、指示書ID71a又は工程ID71bの作業ID71を記憶させたICタグを有し、タグリーダなどの携帯用通信端末装置10が有するインターフェース(近距離無線通信インターフェース140)によって当該携帯用通信端末装置10に作業ID71を取得させてもよい。また、以下の説明においては、特別に言及しない場合には、作業ID71とは、指示書ID71a又は工程ID71bを示す。
[4]携帯用通信端末装置
次に、図4を用いて本実施形態の携帯用通信端末装置10の構成について説明する。なお、図4は、本実施形態の携帯用通信端末装置10の構成を示すブロック図である。
本実施形態の携帯用通信端末装置10は、各種のプログラムが実行される際に用いられるメモリ機能を有するデータ記憶部100と、撮像機能を有し、フィルム型培地60の画像データその他の画像データを生成する画像データ生成部110と、サーバ装置40と連動して培地情報をサーバ装置40に初期登録及び培養直後を含む培養後登録する処理(以下、「培地情報登録処理」という。)その他の処理を実行するアプリケーション制御部120と、を備えている。
また、携帯用通信端末装置10は、サーバ装置40及び他の通信装置と通信を行うネットワーク通信部130と、ICタグその他の通信用のインターフェースとデータの授受を行う近距離無線通信インターフェース140と、現在位置を検出する現在位置検出部150と、表示部160と、表示部160を制御する表示制御部161と、ユーザの操作を入力するための操作部170と、タイマー180と、装置全体を制御する携帯端末管理制御部190と、を有している。
そして、携帯用通信端末装置10は、例えば、電話機能及び電子メール等のメール機能を有する場合には、マイク、スピーカ及び電子メールの送受信機能等の種々の必要な部材を有している。さらに、上述の各部は、バス11によって互いに接続され、データの授受が実行される。
データ記憶部100は、各種のアプリケーションプログラムが記憶されるアプリケーション記憶部101と、画像データ生成部110によって撮像されて生成された画像データが記憶される画像データ記憶部102と、携帯用通信端末装置10の管理及び制御に関するプログラム、並びに、各プログラムの実行中にワークエリアとして用いられるとともに、携帯用通信端末装置10で実行される各処理において用いられるデータが記憶されるROM/RAM103と、を有している。
特に、アプリケーション記憶部101には、画像データ生成部110、操作部170、表示制御部161及び画像データ記憶部102と連動しつつ、アプリケーション制御部120によって実行されるアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」という。)が記録されている。また、アプリケーション記憶部101には、上述のブラウジング機能を実現するためのブラウザ用のプログラムも記録されている。
画像データ記憶部102には、撮像した培地画像データ及び指示書画像データと、各画像データを管理するための画像IDと、撮像時刻等の各画像データに対応する各種のメタデータと、作業ID71と、培地ID66と、各種のフラグ情報と、が対応付けられて記憶される。なお、画像IDとは、各携帯用通信端末装置10において適宜付与される任意の識別情報である。
画像データ生成部110は、光学システムと、当該光学システムから入力された光学画像を電気信号に変換するCCDIセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)と、CCDIセンサにおいて生成された電気信号に基づいて画像データを生成する生成部と、を有する。
特に、画像データ生成部110は、作業指示書70を撮像した際に、当該撮像された作業指示書70を画像化し、指示書画像データを生成する。また、画像データ生成部110は、検体に発生した菌が培養される、又は、培養されたフィルム型培地60を撮像した際に、当該撮像されたフィルム型培地60を画像化し、当該フィルム型培地60の培地画像データを培地画像データとして生成する。
アプリケーション制御部120は、所定のアプリによって培地情報登録処理を実現する。特に、アプリケーション制御部120は、アプリケーション記憶部101に記憶された培地登録アプリによって携帯用通信端末装置10の各部を制御するための各種制御プログラムを実行しつつ、ネットワーク通信部130、表示制御部161及び操作部170と連動して、又は、制御して各種の処理を実行する。
アプリケーション制御部120は、アプリケーション記憶部101に記録された培地登録アプリを実行し、画像データ生成部110を制御して撮像されたフィルム型培地60の培地画像データを取得して画像データ記憶部102に記憶する。
そして、アプリケーション制御部120は、画像化された培地画像データから培地ID66を取得し、当該取得した培地ID66とともに、培地画像データと当該培地画像データのメタデータと各種のフラグ情報を画像データ記憶部102に記憶する。なお、アプリケーション制御部120は、通信回線を介して他の通信装置又はデータベース400と連動してバーコード認識又はOCR認識を実行してもよい。
また、アプリケーション制御部120は、培地画像データの撮像後、又は、所定のタイミングによって、検体の培養開始時に培地情報をサーバ装置40に登録する初期登録及び当該検体の培養開始後に培地情報を登録する培養後登録を実行する。特に、アプリケーション制御部120は、作業者の指示に基づいて、初期登録か又は培養後登録かを特定し、いずれかの登録かを示す情報(フラグ情報)を培地情報に含めてサーバ装置40に送信する。
また、アプリケーション制御部120は、フィルム型培地60を撮像した際に、タイマー180から現在時刻を取得し、当該現在時刻を撮像時刻として所定の画像IDとともに培地画像データのメタデータとして画像データ記憶部102に記憶し、サーバ装置40に培地画像データを送信する際に一緒に送信する。
なお、アプリケーション制御部120は、培地ID66と、指示書ID71a及び工程ID71bである作業ID71と、がICタグに記憶されている場合には、操作部170及び表示制御部161及び近距離無線通信インターフェース140と連動して培地ID66及び作業ID71を取得する。
また、アプリケーション制御部120は、サーバ装置40によって培地ID66及び作業ID71を培地画像データ及び指示書画像データから認識する場合には、培地情報として培地画像データの他に指示書画像データを送信する。
さらに、アプリケーション制御部120は、実装上、携帯端末管理制御部190を構成するCPU(中央処理装置)が、アプリを実行した際の機能として実現されるものであってもよい。
ネットワーク通信部130は、アプリケーション制御部120及び携帯端末管理制御部190の制御の下、ネットワーク30に接続されるサーバ装置40との通信回線を構築し、培地画像データ等の種々のデータの授受を行う。
近距離無線通信インターフェース140は、アプリケーション制御部120及び携帯端末管理制御部190の制御の下、ICタグを用いた近距離無線通信を行う。
現在位置検出部150は、アプリケーション制御部120又は携帯端末管理制御部190の制御の下、ネットワーク30を介してGPS(Global Positioning System)衛生の位置を認識しつつ、当該GPS衛星から送信された衛星信号(GPS信号)を検出する。
そして、現在位置検出部150は、当該検出されたGPS信号に基づいて携帯用通信端末装置10の現在位置の緯度及び経度によって示される座標値を算出(すなわち、検出)する。また、この現在位置検出部150は、この算出された座標値を位置情報としてアプリケーション制御部120に提供する。
なお、携帯用通信端末装置10が、電話機能や近距離無線機能を有している場合には、電話や近距離無線に用いる電波を電話基地局等において受信した方角と電波強度に基づいて当該携帯用通信端末装置10の現在位置を算出(検出)してもよい。
表示部160は、所定のサイズ(例えば、5インチ、W480×H960ピクセル)の画像表示領域を有し、液晶素子又はEL(Electro Luminescence)素子のパネルによって構成され、表示制御部161において生成された表示データに基づいて所定の画像を表示するようになっている。特に、本実施形態では、表示部160は、培地登録アプリが実行されている際に、操作部170と連動しつつ、各種の表示及び撮像されて画像化された作業指示書70とフィルム型培地60との画像を表示する。
表示制御部161は、アプリケーション制御部120又は携帯端末管理制御部190の制御の下、表示部160に所定の画像を描画させるために必要な描画データを生成し、生成した描画データを当該表示部160に出力するようになっている。
操作部170は、各種の確認ボタン、各操作指令を入力する操作ボタン、テンキー等の多数のキー及び表示部160上に設けられたタッチセンサにより構成され、各操作を行う際に用いられるようになっている。具体的には、操作部170は、培地登録アプリの起動時に上述の各種の処理を実行するための操作を行う際に用いられるようになっている。
なお、本実施形態においては、操作部170は、培地ID66を直接手入力する際に用いることも可能である。
タイマー180は、画像データ生成部110がフィルム型培地を撮像するときの日付及び時刻をアプリケーション制御部120に提供する。
携帯端末管理制御部190は、主に中央演算処理装置(CPU)によって構成されるとともに、キー入力ポート、表示制御ポート等の各種入出力ポートを含み、携帯用通信端末装置10の全般的な機能及び情報提供プログラムを実行するための全般的な機能を総括的に制御するようになっている。
[5]サーバ装置
[5.1]サーバ装置の構成
次に、図5を用いて本実施形態のサーバ装置40の構成について説明する。なお、図5は、本実施形態のサーバ装置40の構成を示す構成図である。
本実施形態のサーバ装置40は、図8に示すように、作業情報及び培地情報等の各種の情報が記憶されるデータベース400と、携帯用通信端末装置10及び管理者端末装置20と通信を行う通信制御部410と、培地情報登録処理等の各種の処理を実行するデータ処理部420と、サーバ装置40の各部を制御するサーバ管理制御部430と、各部の制御に用いるROM/RAM440と、時刻管理を行うために用いるタイマー450と、を有する。なお、上述の各部は、バス41によって相互に接続され、各構成要素間におけるデータの転送が実行される。
通信制御部410は、所定のネットワークインターフェースであり、携帯用通信端末装置10又は管理者端末装置20と通信回線を構築し、携帯用通信端末装置10又は管理者端末装置20と種々のデータの授受を行う。
データベース400は、HDDにより構成され、培地情報データベース(以下、「培地情報DB」と略す。)401、ライン情報データベース(以下、「ライン情報DB」と略す。)402、ロット情報データベース(以下、「ロット情報DB」と略す。)403、作業管理データベース(以下、「作業管理DB」と略す。)404及び所定の検査を行う際に用いられるコロニー検査基準を規定するプロファイル情報が記憶されたプロファイルDB405を有する。
なお、例えば、本実施形態の培地情報DB401は、本発明の第2データベースを構成し、プロファイルDB405は、本発明の第1データベースを構成する。また、例えば、本実施形態の作業管理DB404は、本発明の第3データベースを構成する。
培地情報DB401は、各作業ライン80の工程毎に抽出され、かつ、携帯用通信端末装置10によって撮像されて取得した検体のフィルム型培地60に関する培地情報が作業ID毎に、登録時に培地IDを付与しつつ、格納されるデータベースである。例えば、培地情報DB401には、
(1)培地ID
(2)作業ID
(3)撮像された培地画像データ
(4)撮像時刻
(5)フラグ情報を含むその他の情報
(6)コロニー数
(7)培地判定結果
(8)サイズ(ピクセル数)、重心位置、各ピクセルの特徴量など検出された各コロニーに関する情報(以下、「コロニー情報」という。)
(9)コロニー検出時に用いたプロファイル情報の種別(プロファイルID)
の9つデータが対応付けて記録される。
なお、各培地情報における、コロニー情報、コロニー数及び培地判定としては、データ処理部420によって判定された結果が記憶される。また、各培地情報におけるコロニー情報、コロニー数及び培地判定は、培地情報が登録される際に登録されてもよいし、当該培地情報の登録タイミングと異なる所定のタイミングで登録されてもよい。
また、抽出すべき検体が、同一のロットにおいて、常に同一の作業ライン80の同一の工程から抽出する場合には、作業IDは、ロットIDであればよく、抽出すべき検体が、同一のロットであっても異なる作業ライン80又は異なる工程から抽出する場合には、ラインID又は工程ID71bとなる。
さらに、同一のフィルム型培地60の培地情報の撮像時刻が複数登録される場合には(すなわち、培養検査時刻が複数の場合には)、同一の培地ID66において、培養検査時刻毎に培地画像、撮像時刻、コロニー数、培地判定の各培地情報が記憶される。
ライン情報DB402は、各作業ライン80に関するライン情報がラインID毎に格納されるデータベースである。例えば、ライン情報DB402には、
(1)ラインID
(2)作業ライン80が有する工程の工程ID71b及びその種別
の2つデータが対応付けて記録される。なお、工程種別としては、材料投入、調合、充填、ボイル、包装、及び、梱包等の各工程を特定する名称が用いられる。
ロット情報DB403は、各ロットに関するロット情報がロットID毎に格納されるデータベースである。例えば、ロット情報DB403には、
(1)ロットID
(2)ロットの製造又は検査に用いる作業ラインのラインID
(3)ロットの作業開始時刻
(4)ロットの作業終了時刻
(5)ロットの作業を実行する作業者の作業班
の5つデータが対応付けて記録される。
作業管理DB404は、作業内容に関する各種の情報が格納されるデータベースである。例えば、作業管理DB404には、
(1)作業ID
(2)検体を抽出すべき作業ラインのラインID(又はラインID及び工程ID71b)(3)検体(食品)の種別(製品名、ロットID及び/又はロット名)
(4)検査種別(一般性菌又は大腸菌など検出する菌種)及びフィルム型培地60上に発生する際の色(発色)情報(RGB階調値又はその範囲)
(5)培養条件(希釈倍率、希釈液の種別、培養温度及び培養湿度)
(6)培養開始時刻
(7)培養開始から所定の時間経過後までの培養時間
(8)培養場所(例えば、インキュベータ番号及びインキュベータ内の段数等の位置)
(9)ゴミなどの余分な固形物を除去するために検体を抽出した際にフィルタを使用した否か(以下、単に「フィルタ使用の有無」という。)を示す情報(以下、「フィルタ情報」という。)
(10)作業日時(作業開始時刻及び終了時刻)
(11)作業者ID(及び/又は作業者名)
の11つデータが対応付けて記録される。
なお、培養検査時刻には、単一の時刻(すなわち、検体における菌の培養を終了させる終了時刻)だけが設定されてもよいし、培養開始時刻から法定された又は所定の時間経過後、例えば、培養開始時刻から24時間経過後、48時間経過後又は72時間経過後等の複数の時刻が設定されてもよい。
プロファイルDB405は、コロニーを検出する際に用いるコロニーの検出基準を示すプロファイル情報(以下、「検査基準情報」ともいう。)が格納されるデータベースである。具体的には、プロファイルDB405には、プロファイルID毎に、検体の種別、菌種、培養時間及び培養条件毎に、フィルタの使用の有無に対応付けて
(1)RGB、輝度又は彩度など、培地画像から画像化されたコロニーを検出するために用いる当該培地画像の各ピクセルにおける色に関する特徴量の種別
(2)(1)の種別に基づいてコロニーを検出するための検出手法及び当該検出を実行するためのパラメータ、及び、
(3)培地判定の合否における閾値、
が記録される。
データ処理部420は、ROM/RAM440に記録されているアプリケーションに応じて各種データ処理を実行する。特に、データ処理部420は、所定のプログラムを実行することによって、
(1)通信制御部410の動作管理と、
(2)各携帯用通信端末装置10と連動して実行する培地情報登録処理と、
(3)培地情報登録処理時に取得した培地ID66及び作業IDに基づいて作業情報DB404を検索して検査条件情報を取得する検査条件情報取得処理と、
(4)取得した検査条件情報に基づいて、プロファイルDB405を検索し、培地画像に画像化されているコロニーのコロニー検出基準(すなわち、プロファイル)を特定するプロファイル特定処理と、
(5)特定したプロファイルに基づいて培地画像に画像化されたコロニーを検出しつつ、検出したコロニー数の計数及び当該コロニー数に基づく培地判定を実行するコロニー検出判定処理と、
(6)登録した培地情報に基づいてロットの判定を行うロット判定処理と、
(7)判定結果を報告書形式で出力する報告処理と、
(8)データベース400の管理及び制御と、
を行う。具体的には、データ処理部420は、登録処理部421、コロニー検出判定部423、ロット判定処理部424及び報告処理部425を含む。
なお、例えば、本実施形態の登録処理部421は、本発明に係る取得手段及び登録手段を構成し、コロニー検出判定部423は、検索手段、検出手段及び検査手段を構成する。さらに、本実施形態の登録処理部421、コロニー検出判定部423、ロット判定処理部424及び報告処理部425の詳細については後述する。
サーバ管理制御部430は、主に中央演算処理装置(CPU)によって構成され、プログラムを実行することによって、サーバ装置40の各部を統合制御する。具体的には、サーバ管理制御部430は、ユーザの操作による携帯用通信端末装置10からのログイン要求に基づいて各ユーザのログイン処理、及び、その他の各種の制御を行う。
ROM/RAM440には、サーバ装置40の駆動に必要な各種のプログラムが記録されている。特に、ROM/RAM440には、コロニー特定処理の際に用いるクラスタリング用の学習データ、各フィルム型培地60の培地判定(合否判定)、工程判定、ライン判定及びロット判定の各判定を実行する際に用いる判定基準の情報(以下、「培地判定基準情報」ともいう。)等のそれぞれの各情報が記憶される。また、ROM/RAM440は、各プログラムの実行中にワークエリアとして用いられる。
タイマー450は、培地情報の登録処理及びロット判定処理を実行する際に必要な時刻を管理するために用いられる。
[5.2]登録処理部
次に、本実施形態のサーバ装置40における登録処理部421の詳細について説明する。
本実施形態の登録処理部421は、携帯用通信端末装置10と連動し、作業ID71に対応付けつつ、各培地情報を培地情報DB401に登録する登録処理を実行する。特に、登録処理部421は、培地情報に含まれる、初期登録か又は培養後登録かを示すフラグ情報に基づいて、異なる培地情報登録処理を実行する。
(初期登録)
登録処理部421は、初期登録を示すフラグ情報が携帯用通信端末装置10から送信された培地情報に含まれている場合には、初期登録に基づく登録処理を実行する。
具体的には、登録処理部421は、通信制御部410介して培地情報を取得すると、作業ID71を特定する。また、登録処理部421は、特定した作業IDに基づいて、作業管理DB404を検索し、該当する作業情報を特定しつつ、当該特定した作業情報に対応付けて、取得した培地画像データ及び撮像時刻を培地情報DB401に登録する。
特に、登録処理部421は、取得した作業ID71に基づいて検体を抽出した作業ライン80が含まれるロットID、当該作業ライン80のラインID、当該検体を抽出した工程ID71bを特定するとともに、当該特定したロットID、ラインID及び工程ID71bに対応付けて、固有の培地IDを付与しつつ、培地情報に含まれる培地画像データ及び撮像時刻を培地情報DB401に登録する。
なお、登録処理部421は、撮像時刻を培養開始時刻として培地情報DB401に登録する。また、培養開始時刻は、当該時刻に培地情報の登録処理を実行することを前提に撮像時刻に代えて予め設定された時刻を用いてもよい。
(培養後登録)
登録処理部421は、培養後登録を示すフラグ情報が携帯用通信端末装置10から送信された培地情報に含まれている場合には、培養後登録に基づく登録処理を実行する。
具体的には、登録処理部421は、初期登録と同様に、通信制御部410を介し培地情報を取得すると、当該培地情報に含まれる作業ID71を特定する。そして、登録処理部421は、特定した作業ID71に基づいて、作業管理DB404を検索し、該当する作業情報を特定しつつ、当該特定した作業情報に対応付けて、培地画像データ及び撮像時刻を培地情報DB401に登録する。なお、培養検査時刻は、培養開始時刻と同様に、当該時刻に培地情報の登録処理を実行することを前提に撮像時刻に代えて予め設定された時刻を用いてもよい。
また、登録処理部421は、コロニー検出判定部423に、取得した培地情報に基づいて、コロニー検出判定処理を実行させ、実行させて取得したコロニー情報、コロニー数及び判定結果を培地情報として特定した作業ID71に対応付けて培地情報DB401に登録する。
[5.3]コロニー検出判定部
[5.3.1]コロニー検出判定部の動作原理
次に、本実施形態のサーバ装置40におけるコロニー検出判定部423の動作原理について説明する。
コロニー検出判定部423は、検査条件情報取得処理、プロファイル特定処理、及び、コロニー検出判定処理を実行する。
特に、本実施形態のコロニー検出判定部423は、コロニー検出判定処理においては、(A)培地画像から、画像化されたコロニーを構成すると想定されるピクセルを検出するために、当該培地画像を構成する各ピクセルの中から、所定の条件を有する色に関する特徴量を有するピクセル(以下、「コロニーピクセル」という。)を検出し、
(B)所定の条件に基づいてコロニーピクセルを連結してラベリングを実行してIDを付与し、連結したコロニーピクセル群を一のオブジェクトをコロニー候補として検出し、
(C)所定の条件を有するコロニー候補をコロニーとして特定しつつ、その数を計数し、(D)計数したコロニーの数に基づいて培地判定を実行する。
通常、同一のフィルム型培地60であっても、各フィルム型培地60における培養開始から検査(すなわち、コロニーの検出及びその計数)を実行する時刻(以下、「検査時刻」という。)までの時間(すなわち、培養時間)が異なる場合であっては、当該培養時間が短い場合(例えば、培養開始から12時間後又は24時間後)には、フィルム型培地60上に発生した色及びその変化について厳密に検出し、コロニーの数よりも、コロニーの存在の有無またはその発生状態を検出することが優先される。
その一方、検査時刻が培養開始からある程度の時間が経過した場合には(例えば、培養開始から48時間後又は72時間後)、コロニー数などの個々のコロニーを確実に検出するために、コロニーの色やその変化ついて厳密に検出するよりも、コロニーの数、個々のコロニーの大きさ(領域範囲)及びコロニーの形状を検出することが要求される。
このようなことから、コロニーの色などの検出すべきコロニーの識別基準、その検出方法及び培地判定の基準などの検査基準(コロニーの検査基準)を培養開始から検査時刻までの培養時間によって変更させる必要がある。
また、同一の菌種のコロニーを検出する場合であっても、検体の種別が異なれば培養されるコロニーの検出基準も変化し、また、検体が抽出された工程にあっては、焼き工程、煮工程などの火を用いて調理する工程又は生の状態を維持した状態で調理する工程によって検出すべき菌の種別又は培養状態によってコロニーの識別基準、その検出方法及び培地判定の基準など検査基準は異なる。
さらに、フィルム型培地60に載置する検体の種別がそもそも異なる場合、又は、同一の検体において同一の菌種を検出する場合であっても、希釈液やその希釈倍率が異なるなどの培養条件が異なる場合には、又は、検体をフィルム型培地60に載置する際にフィルタ処理をしたか否か、コロニーの色、サイズ、及び、形状が異なり、また、コロニー以外の非対象物のフィルム型培地60上の混入要因が異なるので、このような場合にあっても、検出すべきコロニーの識別基準、その検出方法及び培地判定の基準などの検査基準は異なる。
そこで、本実施形態のコロニー検出判定部423は、種々の状況において的確にフィルム型培地60上におけるコロニーを検出するために、培地画像を取得する毎に、すなわち上記の検査を実行する毎に、フィルム型培地60の検査を実行する際のコロニーの培養環境に関する検査条件情報として、作業情報を取得しつつ、取得した作業情報に基づいてプロファイルを特定し、特定したプロファイルに基づいて所定の上記の検査を実行するようになっている。
[5.3.2]検査条件情報取得処理
次に、本実施形態のサーバ装置40におけるコロニー検出判定部423の検査条件情報取得処理の詳細について説明する。
コロニー検出判定部423は、登録処理部421によって特定された作業ID、及び、必要な場合には、当該登録処理部421によって取得された培地情報に含まれる情報に基づいて、作業情報DB404又は必要な場合には他のデータベースに記憶された情報を検索し、該当する作業情報を検査条件情報として取得する。
特に、本実施形態のコロニー検出判定部423は、予め管理者によって定められた、または、アプリケーションによって予め定められた1又は2以上の検査条件情報を取得する。
また、本実施形態においては、検査条件情報としての作業情報には、
(1)培養時間などのフィルム型培地60が画像化されて検査されるタイミングで変動する情報、
(2)検体の種別、検体を抽出した工程の種別又は検体を抽出する際のフィルタ有無(すなわち、フィルタ情報)などのフィルム型培地60載置される検体に基づいて定まる情報
(3)培養条件などのコロニーを培養する際に定まる情報
が含まれる。
具体的には、コロニー検出判定部423は、検体の種別、菌種、培養時間及び培養条件と、フィルタの使用の有無を示すフィルタ情報と、を検査条件情報として取得する。このとき、コロニー検出判定部423は、登録処理部421が携帯用通信端末装置10から受信した培地情報、又は、培地情報DB401に登録した培地情報と、当該培地情報に対応付けられた作業情報DB404に記憶されている作業情報その他のデータベースに記憶されている情報の中から検査条件情報を取得する。
特に、培養時間を取得する場合には、コロニー検出判定部423は、受信された又は登録された培地情報に含まれる撮像時刻と作業情報IDに基づいて、作業情報DB404を検索し、該当する作業IDを有する作業情報に含まれる培養時間を特定して取得する。
なお、コロニー検出判定部423は、該当する作業情報において2以上の培養時間が含まれる場合には、培養開始時刻及び取得された培地情報に含まれる撮像時刻によって算出された時間(実際の培養時間)と一定の範囲内(例えば±10分)に属する一の培養時間、又は、当該実際の培養時間に一番近い培養時間を特定して取得する。
また、検体の種別、フィルタ情報又は培養条件を取得する場合には、コロニー検出判定部423は、作業情報IDに基づいて、作業情報DB404を検索し、作業情報DB404に該当する作業IDに対応付けて記録された検体種別、フィルタ情報又は培養条件を特定して取得する。
なお、上記以外の情報を検査条件情報として取得してもよく、例えば、工程種別を取得する場合には、コロニー検出判定部423は、作業IDに基づいてライン情報DB402を検索し、ライン情報DB402に該当する作業IDに対応付けて記録された工程種別を特定して取得する。
[5.3.3]プロファイル特定処理
コロニー検出判定部423は、検査条件情報取得処理によって取得した1又は2以上の検査条件情報に基づいてプロファイルDB405を検索し、当該検査条件情報に合致する1又は2以上のコロニーの検査基準を有するプロファイルを取得する。
具体的には、コロニー検出判定部423は、検体の種別、菌種、培養時間及び培養条件と、フィルタの使用の有無を示すフィルタ情報と、を検査条件情報として取得した場合には、これらの検査条件情報によってプロファイルDB405を検索し、
(1)培地画像からコロニーピクセルを検出する際の色に関する特徴量の種別
(2)(1)の種別に基づいてコロニーを検出するための検出手法及び当該検出を実行するためのパラメータ、及び、
(3)培地判定を行う際の合否における閾値、
をセットとして有する1のプロファイルを特定する。
特に、プロファイルの規定される培地画像からコロニーピクセルを検出する際の色に関する特徴量の種別には、
(1A)各ピクセルのRGBの各サブピクセルの特徴量、
(1B)輝度、及び、
(1C)彩度、
を含む。
また、コロニーを検出するための検出手法及び当該検出を実行するためのパラメータには、
(2A)コロニーピクセルの検出手法、
(2B)コロニー候補の検出手法、
(2C)コロニーの特定に関する手法、及び、
(2E)上記の各検出手法に用いる各種のパラメータ、
を含む。
例えば、本実施形態においては、コロニーピクセルの検出手法には、単に一の特徴量に基づいて2値化してコロニーピクセルを検出するか、複数の特徴量に基づいてコロニーピクセルを検出するか、培地画像上の検出すべき有効領域の有無若しくはその領域(例えば、培地画像の周縁部の検出を無効にするための中心から所定の半径領域内)が含まれる。そして、これらのパラメータには、2値化する際の閾値、複数の特徴量を用いる場合には各最大値又は最小値の値、及び、有効領域の範囲の値が含まれる。
なお、複数の特徴量を用いる場合には、各ピクセルにおいて、それぞれの特徴量における予め設定された最大値及び最小値の範囲に属するピクセルのみをコロニーピクセルとして検出する。
また、コロニー候補の検出手法には、膨張処理又は収縮処理などのノイズを低減させるための画像フィルタ処理の実行の有無、及び、コロニー候補とするための隣接するコロニーピクセル同士の連結手法(近接基準)が含まれる。そして、これらのパラメータには、隣接するコロニーピクセルが同一のコロニーを構成するか否かを判定する際の各種の値が含まれる。
さらに、コロニーの特定に関する手法には、コロニーのサイズ、形状及び色特性など各コロニー候補のコロニーらしさを示す尤度を算出する演算手法が含まれる。そして、これらのパラメータには、演算手法に用いる係数及び尤度に基づいてコロニーか否かを判別する際の閾値が含まれる。
一方、培地判定に用いるパラメータとしては、合否判定を行う際に用いる閾値が含まれる。
なお、例えば、本実施形態においては、菌種及び培地時間を検査条件情報として取得した場合には、該当する検体種別であって、菌種及び培地時間における上記の閾値及びパラメータがセットと構成されたプロファイルを特定する。
[5.3.4]
本実施形態のコロニー検出判定部423は、特定されたプロファイルに基づいて各種の閾値又はパラメータを設定しつつ、コロニーピクセルの検出手法、コロニー候補の検出手法、コロニーの特定手法及び培地判定手法を定めつつ、各処理を実行する。
(コロニーピクセルの検出)
コロニー検出判定部423は、
(1)プロファイルに規定されるコロニーピクセルを検出する際の色に関する特徴量の種別が各ピクセルのRGBの個々のサブピクセルの特徴量の場合には、各ピクセルの個々のサブピクセルの階調値と当該プロファイルに規定されるパラメータに基づいて、
(2)当該特徴量の種別が輝度又は彩度の場合には、各ピクセルのRGBの個々のサブピクセルの階調値に基づいて所定の演算を実行して得られた値と当該プロファイルに規定されるパラメータに基づいて、
プロファイルに規定されるコロニーピクセルの検出手法に従って、コロニーピクセルを検出する。
特に、コロニー検出判定部423は、プロファイルに規定されるコロニーピクセルの検出手法が「2値化」を用いる場合には、プロファイルに規定された特徴量を当該プロファイルによって規定された閾値によって2値化して一方の値を具備するピクセルをコロニーピクセルとして検出する。
また、コロニー検出判定部423は、プロファイルに規定されるコロニーピクセルの検出手法が複数の特徴量を用いる場合には、当該プロファイルによって規定された各特徴量において予め定められた最大値と最小値とを読み出し、すべての特徴量について最大値から最小値の範囲に属するピクセルをコロニーピクセルとして検出する。
なお、周縁領域を除外した中心領域など培地画像上におけるコロニーピクセルの検出領域がプロファイルによって規定されている場合には、コロニー検出判定部423は、当該検出範囲に属するピクセルのみコロニーピクセルとして検出する。また、コロニー検出判定部423は、抽出した各コロニーピクセルをROM/RAM440に一時的に記憶する。
例えば、本実施形態においては、培養時間が短い場合には、コロニーを厳密に検出するために、プロファイルによって、培地画像の各ピクセルを2値化する場合の閾値(階調値)は、培養時間が長い場合より小さく設定され、菌種又は検体の種別によってはコロニーを構成するピクセルと培地又は検体を構成するピクセルとの輝度差が小さい場合には、2値化する場合の閾値は、当該輝度差が大きい場合に比べて小さく設定される。
また、本実施形態においては、希釈倍率が大きい場合又はフィルタを使用せずゴミなどの非対象物の混入の可能性が高い場合には、2値化する際の閾値は高く、希釈倍率が低い場合又はフィルタを使用している場合には、閾値は小さく設定される。
(コロニー候補の検出)
コロニー検出判定部423は、
(1)画像フィルタノイズを低減させるための膨張処理及び縮小処理を含む画像フィルタ処理を実行の有無に基づいて、及び、
(2)隣接するコロニーピクセルを連結してラベリングを実行してIDを付与する際の連結方法とそのパラメータに基づいて、
コロニー候補を検出する。
特に、コロニー検出判定部423は、コロニーピクセルの連結に関しては、プロファイルによって特定された各コロニーピクセルの色に関する特徴量と同一と判定されるべき範囲に基づいて、隣接するコロニーピクセルについて同一のコロニー候補であると判定したものを連結する。
また、コロニー検出判定部423は、隣接するコロニーピクセルを連結してコロニーピクセル群を形成させ、コロニーピクセル群毎の色特性又は培地画像上の重心位置を用いて同一のコロニーピクセルを構成するピクセル群同士を連結させる。
なお、膨張処理とは、画像フィルタ処理の一つであって、各コロニーピクセルに隣接して他のコロニーピクセルが存在する場合に、コロニーピクセルに隣接する全てのピクセルをコロニーピクセルに置き換える処理である。
また、収縮処理とは、コロニーピクセルに隣接して非検出したピクセル(以下、「非コロニーピクセル」という。)が存在する場合に当該コロニーピクセルに隣接するピクセルを全て非コロニーピクセルに置き換える処理である。
さらに、コロニー検出判定部423は、抽出した各コロニー候補について、コロニーピクセルの培地画像上の配置位置、色特性又は重心位置などの所定の情報をROM/RAM440に一時的に記憶する。
(コロニーの特定及びその計数)
コロニー検出判定部423は、
(1)検出した各コロニー候補について、色特性、真円度、形状及びサイズなどの特徴量に基づいて、コロニーらしさを示す尤度を算出し、当該尤度が閾値以上など所定の条件を有するコロニー候補をコロニーとして特定し、又は、
(2)検出した各コロニー候補について、各コロニー候補に属するコロニーピクセルの2以上の色の特徴量に基づいて多次元のヒストグラムを形成し、当該多次元によって規定される座標系上(特徴量空間)において、各特徴量に基づいて規定される座標位置を基準にコロニーか否かを特定する。
例えば、コロニー検出判定部423は、(1)については
(1A)コロニー候補に属する各コロニーピクセルの色に関する特徴量の平均値、
(1B)コロニー候補の重心の座標を基準としたコロニーの真円度、及び、
(1C)コロニー候補の境界におけるエッジの強さを示すエッジ強度、
を算出し、これらに基づいて各コロニー候補の尤度を算出する。
特に、真円度としては、コロニー候補の重心の座標からフィルム型培地60上における最短距離にある最外周のコロニーピクセルまでの距離Raとコロニー候補の重心の座標からフィルム型培地60上における最長距離にある最外周のコロニーピクセルまでの距離Rbとの比、又は、コロニーの面積「S」及び外周の長さ「L」に基づいて(式1)に従って算出される値「M」を用いる。
Figure 0005605529
また、エッジ強度としては、最外周の各コロニーピクセルと当該最外周のコロニーピクセルに隣接する非コロニーピクセルとにおける輝度、彩度又はRGBの階調値の差分の平均を用いる。
一方、コロニー検出判定部423は、(2)については、プロファイルによって規定されるコロニー候補の各コロニーピクセルのRGBの各階調値、輝度値、彩度、これらの2以上の色成分、又は、これらの値に基づいて統計的手法によって新規に算出する特徴量などの特徴量に基づいて、各コロニーピクセルをn個(「n」は2以上の整数)に多値化し、その色成分の値毎にコロニーピクセル数(すなわち、その範囲に属する階調値を有するコロニーピクセル数)を集計したbin数が「n」の色分布(ヒストグラム)を生成する。
そして、コロニー検出判定部423は、生成したヒストグラムの各binのコロニーピクセル数を正規化して(全てのコロニーピクセル数に基づく割合を算出して)それぞれの特徴量として特定する。すなわち、コロニー検出判定部423は、n個のbinにおける正規化したコロニーピクセル数を特徴量として特定する。
また、コロニー検出判定部423は、複数の特徴量を特定すると、複数次元の特徴量空間において、特定した特徴量に基づいて座標位置を決定し、当該座標位置がプロファイルによってコロニーと規定された座標領域内に属しているか否かを判定し、その結果に基づいてコロニー候補がコロニーであるか否かを特定する。
例えば、本実施形態においては、培養時間が短い場合には、コロニーを厳密に検出するために、プロファイルによって、コロニーとして特定するための尤度の閾値は、培養時間が長い場合より小さく設定され、菌種若しくは検体の種別によってはコロニーを構成するピクセルと培地若しくは検体を構成するピクセルとの輝度差が小さい場合、又は、コロニーが円形になりにくい場合には、尤度の閾値は、当該輝度差が大きい又はコロニーが円形になりやすい場合に比べて小さく設定される。
また、本実施形態においては、希釈倍率が大きい場合又はフィルタを使用せずゴミなどの非対象物の混入の可能性が高い場合には、尤度の閾値は高く、希釈倍率が低い場合又はフィルタを使用している場合には、閾値は小さく設定される。
なお、コロニー検出判定部423は、コロニー候補からコロニーが特定されると、特定された数をコロニー数として計数する。
また、コロニー検出判定部423は、隣接するコロニー候補間を連結した場合の連結コストを算出し、当該連結コストが閾値以下の場合に、同一のコロニー候補として連結させてもよい。ただし、この場合には、当該閾値はプロファイル情報に含まれており、コロニー検出判定部423は、当該閾値を設定して連結コストを算出してもよい。
(培地判定)
コロニー検出判定部423は、取得したプロファイルに基づいて設定した閾値と検出したコロニー数とに基づいて、各フィルム型培地60の検体が異常であるか正常であるかの培地判定(すなわち、検体の合否判定)を実行する。
例えば、本実施形態においては、培養時間が短い場合には、コロニーを厳密に検出するために、プロファイルによって、菌数の閾値は、培養時間が長い場合より小さく設定され、菌種又は検体の種別によっては、多少の菌数の検出は問題とならない場合には、菌数の閾値は、多少の菌数が検出された場合に大問題となる場合に比べて小さく設定される。
また、本実施形態においては、希釈倍率が大きい場合又はフィルタを使用せずゴミなどの非対象物の混入の可能性が高い場合には、菌数の閾値は高く、希釈倍率が低い場合又はフィルタを使用している場合には、閾値は小さく設定される。
なお、本実施形態においては、工程判定、ライン判定、及び、ロット判定で各フィルム型培地60の合否判定を用いるので、これらの各判定と対応付けて培地判定が実行される。なお、工程判定、ライン判定、及び、ロット判定において各フィルム型培地60の合否判定の手法については後述する。
(培地情報の提供)
コロニー検出判定部423は、検出したコロニーピクセル、検出したコロニー候補、特定したコロニー、計数したコロニー数及び培地判定結果を培地情報として登録処理部421を介して培地情報DB401に記憶する。
[5.4]ロット判定処理部
次に、本実施形態のサーバ装置40におけるロット判定処理部424の詳細について説明する。
本実施形態のロット判定処理部424は、管理者端末装置20に入力された管理者の指示に基づいて、指定されたロット、作業ライン80又は工程における衛生管理に関するデータ解析(すなわち、合否判定)を実行する。
具体的には、ロット判定処理部424は、各ロットについて、該当するロットに用いられる作業ライン80のライン情報と、該当する作業ライン80に対応付けられて登録された培地情報(少なくともコロニー数)と、に基づいて、同一条件によって製造又は検査された食品群が所定の条件を具備しているか否かを判定する。
また、ロット判定処理部424は、ロット判定が指示されると、該当するロットに含まれる作業ライン80及び当該作業ライン80に属する工程が衛生管理上において異常であるか正常であるかの作業ライン80のライン判定(すなわち、衛生管理上の合否の判定)及び各工程の工程判定(すなわち、衛生管理上の合否の判定)を実行し、工程判定及びライン判定を用いてロット判定を実行する。
特に、ロット判定処理部424は、ロット判定が指示された際に、例えば、培養開始後から24時間、48時間等の所定の培養検査時刻を経過した培地情報におけるフィルム型培地60のコロニー数や検体の合否判定の培地情報に基づいて当該工程の衛生管理上の合否を判定し、該当する作業ライン80に含まれる工程の合否判定に基づいて当該作業ライン80の衛生管理上の合否を判定し、該当するロットに含まれる作業ライン80の合否判定に基づいて当該ロットの衛生管理上の合否を判定する。
なお、本実施形態のロット判定処理部424は、ロット判定だけでなく、工程判定又はライン判定のみをデータ解析として実行してもよい。
(工程判定)
ロット判定処理部424は、同一タイミングの培養開始時刻、同一タイミングの培養検査時刻、予め設定された第1時刻から第2時刻までの時間内の時刻を有する培養開始時刻又は、予め設定された第1時刻から第2時刻までの時間内の時刻を有する培養検査時刻を有するなど、培養開始時刻又は培養検査時刻が所定の条件を有し、かつ、同一のロットの同一の工程に対応付けて登録された複数のフィルム型培地60の培地情報に基づいて、各工程判定を実行する。すなわち、ロット判定処理部424は、複数のフィルム型培地60の各培地判定の結果に基づく、総合判定によって各工程判定を実行する。
具体的には、ロット判定処理部424は、該当するフィルム型培地60の培地判定結果(すなわち、工程判定を実行すべき工程の工程ID71bを有する培地情報に登録されたすべての培地判定結果)を取得するとともに、判定結果の合否の数が所定の条件を具備している場合には、判定すべき工程の工程判定を合格と判定し、当該条件を具備していない場合には、判定すべき工程の工程判定を不合格と判定する。
例えば、ロット判定処理部424は、該当する工程における個々のフィルム型培地60において、合格のフィルム型培地60が所定の割合(60%)以上の場合、全てのフィルム型培地60が該当する条件(コロニー数が一定数以下)を具備している場合、又は、各フィルム型培地60のコロニー数が該当する条件(単一のフィルム型培地60の平均コロニー数が一定数以下)を具備している場合に、該当する工程を合格と判定する。
なお、本実施形態のロット判定処理部424は、検体の種別、検出する菌種等によって条件を変更することが可能となっており、管理者によって設定可能、又は、プログラムの一部として提供される。
(ライン判定)
ロット判定処理部424は、所定のタイミングで判定され、かつ、該当するライン情報に対応付けて登録された複数の工程の衛生管理上の合否判定に基づいて、各作業ライン80のライン判定を実行する。すなわち、ロット判定処理部424は、所定のタイミングで判定された同一ロットの複数の工程の各判定結果に基づく、総合判定によってライン判定を実行する。
具体的には、ロット判定処理部424は、同タイミング又は所定の条件を具備するタイミングに判定され、かつ、上述のように、ライン判定を実行すべき作業ライン80のラインIDを有する工程の工程判定の判定結果を取得するとともに、判定結果の合否の数が所定の条件を具備している場合には、判定すべき作業ライン80のライン判定を合格と判定し、当該条件を不具備の場合には、判定すべき作業ライン80のライン判定を不合格と判定する。
例えば、3つの工程が判定すべき作業ライン80のラインIDを有している場合であって、第1工程が「合格」、第2工程が「合格」及び第3工程が「不合格」で、所定の条件が「60%」の合格した工程から作業ライン80が構成されている場合には、ロット判定処理部424は、判定すべき作業ライン80のライン判定を合格する。
(ロット判定)
ロット判定処理部424は、所定のタイミングで判定され、かつ、該当するロット情報に対応付けて登録された複数の作業ライン80の衛生管理上の合否判定に基づいて、各ロットのロット判定を実行する。すなわち、ロット判定処理部424は、複数の作業ライン80の各判定結果に基づく総合判定によってロット判定を実行する。
具体的には、ロット判定処理部424は、ロット判定を実行すべきロットのロットIDを有する作業ライン80における合否判定に基づいて、ロット判定を実行する。
例えば、ロット判定処理部424は、ロットIDを有する作業ライン80の60%においてライン判定が合格の場合に、判定すべきロットのロット判定を合格とし、3つの作業ライン80が判定すべきロットのロットIDを有している場合を想定する。この場合において、第1作業ライン80が「合格」、第2作業ライン80が「合格」及び第3作業ライン80が「不合格」の場合には、ロット判定処理部424は、判定すべきロットのロット判定を合格と判定する。
なお、ロットの作業時間が長時間に及ぶ場合には、所定の時間(例えば8時間又は12時間)毎に時間を区切ってロットの判定を実行してもよい。この場合には、作業が中断している間のロット判定を実行する場合には、ダミーの結果を用いてもよいし、作業中断中として判定してもよい。
(その他)
ロット判定処理部424は、培地情報、ライン情報、ロット情報及び作業管理DB404を用いて、上述以外の判定及びデータ解析を行うことができるとともに、報告処理部425を介して当該判定結果又はデータ解析結果を管理者が閲覧可能に管理者端末装置20に提供することができるようになっている。
具体的には、ロット判定処理部424は、各フィルム型培地60に培養された検体の信頼性を確認するために、すなわち、検査ミスが発生していない否かを確認するために、一の培地IDにおける培地情報を培養開始時時刻から培養の終了まで、時系列に培地情報又は培地画像データの所定の解析を実行する。
例えば、ロット判定処理部424は、管理者端末装置20を介して受信した管理者の指示に基づいて、特定の培地ID(同一の培地ID)66を有し、培養開始時刻から所定の時刻までの複数の培地情報を、培地画像データとともに抽出する。そして、ロット判定処理部424は、各培地情報及び各画像データについて所定の時系列に沿って所定の解析を実行し、又は、各培地情報及び各画像データを時系列に沿って集約する。また、ロット判定処理部424は、報告処理部425に、解析結果又は集約結果を所定のデータ形式を有する閲覧データに生成させ、当該生成させた閲覧データを管理者に閲覧可能に管理者端末装置20に提供させる。
なお、ロット判定処理部424は、報告処理部425と連動して、このとき、管理者端末装置20の指示に基づいて、法定された衛生管理の報告用に、一の培地ID66における各培地情報を個々に閲覧可能にさせてもよい。
また、ロット判定処理部424は、培地情報、ライン情報、ロット情報又は作業管理情報の検索機能を有していてもよい。具体的には、ロット判定処理部424は、ロットID(指示書ID71a)、作業ラインID、工程ID71b、作業ID71、培養開始時刻、ロットの作業日時、培地ID66、検体の種別などを検索キーとしてデータベース400を検索し、報告処理部425と連動し、該当する培地情報や各種の情報を管理者に閲覧可能なデータを生成してもよい。
なお、報告処理部425は、管理者端末装置20を介して受信した管理者の指示に基づいて、検索によって特定された培地情報(培地画像データ、コロニー数及び培地判定結果)、工程情報、ライン情報、又は、ロットに関する情報を所定の報告形式で提供することも可能である。すなわち、報告処理部425は、法定の検査報告その他の場合においてその証拠又は報告書として種々の情報を提供することができるように構成されている。
[5.5]報告処理部
次に、本実施形態のサーバ装置40における報告処理部425の詳細について説明する。
報告処理部425は、管理者端末装置20に入力された管理者の指示及び所定の報告書形式を有するテンプレートデータに基づいて、指定されたロット、作業ライン80又は工程における衛生管理に関するデータ解析の解析結果(すなわち、合否判定の判定結果)を報告書データとして生成し、生成した報告書データを、通信制御部410を介して管理者に閲覧可能に管理者端末装置20に提供する。
具体的には、報告処理部425は、培地画像のデータ、コロニー数又は培地判定結果等、培地情報、ライン情報及びロット情報から必要な情報を抽出するとともに、抽出した情報とロット判定処理部424によって得られた解析結果に基づいて、テンプレートデータに各情報を割り当てつつ、報告書データを生成する。
なお、報告処理部425は、上述したように、種々の解析又は検索に応じて所定の報告書データ又は閲覧データを生成し、管理者端末装置20に提供することができるように構成されている。すなわち、報告処理部425は、受信した管理者の指示に基づいて、検索によって特定された培地情報、工程情報、ライン情報、又は、ロットに関する情報を所定の報告形式で提供することも可能であるとともに、法定の検査報告その他の場合においてその証拠又は報告書として種々の情報を提供することができるように構成されている。
[6]衛生管理システムの動作処理
[6.1]培地情報登録処理(携帯用通信端末装置)
次に、図6を用いて本実施形態の携帯用通信端末装置10における培地情報登録処理の動作について説明する。なお、図6は、本実施形態の携帯用通信端末装置10における培地情報の登録処理動作を示すフローチャートである。
本動作においては、ライン情報DB402及びロット情報DB403には、既に作業指示書70に対応付けられた該当するロット情報及びライン情報が記憶されているものとする。
また、フィルム型培地60及び作業指示書70には、2次元バーコードによって培地ID又は指示書IDが付されているものとする。
さらに、本動作においては、各フィルム型培地60におけるコロニー数の検出は、培地情報のデータベース400への登録時に実行されるものとし、携帯用通信端末装置10においては培地画像を撮像するためのRGBの階調値又は輝度値に対するキャリブレーションが実行されているものとする。
まず、携帯用通信端末装置10において、アプリケーション制御部120は、操作部170を介して培地登録アプリの起動指示を検出すると(ステップS101)、アプリケーション記憶部101から培地登録アプリを読み出して起動する(ステップS102)。このとき、アプリケーション制御部120は、携帯端末管理制御部190の制御下、ワークメモリの初期化その他の必要な処理を実行する。
次いで、アプリケーション制御部120は、表示制御部161と連動し、フィルム型培地60の初期登録であるか、又は、培養開始から所定の時間経過した培養後登録であるか選択させるための画像を表示部160に表示させてその入力を待機する(ステップS103)。
次いで、アプリケーション制御部120は、操作部170による選択指示の入力を検出すると(ステップS104)、初期登録か培養後登録かを判断し、フラグ情報にその結果を設定する(ステップS105)。
次いで、アプリケーション制御部120は、フィルム型培地60の撮像を促す画面を表示部160に表示させるとともに、操作部170と連動し、画像データ生成部110による撮像を待機する(ステップS106)。なお、このとき、アプリケーション制御部120は、取得すべき培地画像の位置合わせするために所定の画像を表示部160に重畳表示させる。
次いで、アプリケーション制御部120は、画像データ生成部110、表示制御部161及び操作部170と連動しつつ、画像データ生成部110による撮像を検出すると(ステップS107)、画像データ生成部110によって培地ID66とともに画像化されたフィルム型培地60の培地画像データを取得し、画像データ記憶部102に所定の画像IDを付与しつつ記憶する(ステップS108)。
次いで、アプリケーション制御部120は、タイマー180より現在時刻を培地画像データの撮像時刻として取得し、当該培地画像データに対応付けてメタデータとして画像データ記憶部102に記憶する(ステップS109)。
次いで、アプリケーション制御部120は、取得した画像化された培地画像データの所定の領域に形成された2次元バーコードを解析して培地ID66を取得し、当該培地画像データに対応付けて画像データ記憶部102に記憶する(ステップS110)。
次いで、アプリケーション制御部120は、表示制御部161と連動して指示書ID71a及び工程ID71bとともに指示書画像データを取得するための画面を表示部160に表示させ、指示書画像データの取得を待機する(ステップS111)。
次いで、アプリケーション制御部120は、画像データ生成部110、表示制御部161及び操作部170と連動しつつ、画像データ生成部110による撮像を検出すると(ステップS112)、作業ID71が画像化された指示書画像データを取得し、ステップS108によって取得した培地画像データに対応付けて画像データ記憶部102に記憶する(ステップS113)。
なお、アプリケーション制御部120は、工程ID71bを作業ID71として取得する場合、又は、複数の工程ID71bから一の工程ID71bを取得する場合には、表示制御部161及び操作部170と連動しつつ、ユーザに取得すべき工程ID71bを選択させる表示をし、該当する工程ID71bを取得する。
次いで、アプリケーション制御部120は、取画像化された指示書画像データ及び培地画像データの所定の領域に形成された2次元バーコードを解析して作業ID71を取得し、当該指示書画像データに対応付けて画像データ記憶部102に記憶する(ステップS114)。
次いで、アプリケーション制御部120は、タイマー180より現在時刻を培地画像データの撮像時刻として取得し、表示制御部161及び操作部170と連動して作業者に、取得した指示書画像データ、作業ID71、培地画像データ、培地ID66、及び、撮像時刻を確認させる(ステップS115)。
なお、アプリケーション制御部120は、取得した培地情報の作業者による確認時に、作業者の指示に基づいて、培地画像データの再取得を行っていてもよい。また、このとき、アプリケーション制御部120は、表示制御部161及び操作部170と連動して作業者によって培地画像データの補正を行うことができるようにしてもよい。
次いで、アプリケーション制御部120は、作業者の指示に基づいて、端末IDと作業ID71とともに、取得した培地画像データとそのメタデータ、及び、初期登録か培養後登録かを示すフラグ情報を培地情報として、ネットワーク通信部130を介してサーバ装置40に送信し(ステップS116)、携帯用通信端末装置10の登録処理を終了する。
このとき、ネットワーク通信部130は、培地情報を送信する際に、端末IDや入力されたID及びパスワードに基づいてサーバ装置40へのアクセスをするためのログインを実行し、ログイン完了後にサーバ装置40との通信回線を確立し、培地情報を送信する。
[6.2]培地情報登録処理(サーバ装置)
次に、図7を用いて本実施形態のサーバ装置40における培地情報の登録処理動作について説明する。なお、図7は、本実施形態のサーバ装置40における培地情報の登録処理動作を示すフローチャートである。
なお、本動作は、携帯用通信端末装置10によって実行された培地情報登録処理と連動して実行される処理であり、サーバ装置40は、携帯用通信端末装置10から送信された培地情報を培地情報DB401に登録するための処理である。
まず、サーバ装置40においては、通信制御部410が携帯用通信端末装置10から送信された培地情報を受信すると(ステップS300)、登録処理部421は、受信した培地情報に含まれるフラグ情報に基づいて、初期登録か培養後登録であるかを判定する(ステップS301)。
このとき、登録処理部421は、初期登録と判定した場合には、ステップS302の処理に移行し、初期登録でないと判定した場合には、すなわち、培養後登録と判定した場合には、ステップS304の処理に移行する。
次いで、登録処理部421は、初期登録と判定した場合には、培地情報に含まれる作業ID71を抽出して特定する(ステップS302)。
次いで、登録処理部421は、特定した作業ID71に基づいて培地情報を培地情報DB401に登録し(ステップS303)、本動作を終了する。なお、培養開始時刻は作業管理DB404に予め記憶されているが、登録処理部421は、ステップS303の処理において、受信した培地情報に含まれる撮像時刻を培養開始時刻として作業管理DB404に登録してもよい。
一方、登録処理部421は、培養後登録と判定した場合には、培地情報に含まれる作業ID71を抽出して特定し(ステップS304)、培地情報に含まれる撮像時刻に基づいて培地情報を登録する培養検査時刻を特定する(ステップS305)。
なお、このとき、登録処理部421は、携帯用通信端末装置10と連動して培地情報を登録する培養検査時刻を指定させて登録してもよいし、受信した培地情報に含まれる撮像時刻を培養検査時刻としてそのまま登録してもよい。また、登録処理部421は、既に実行された培養検査時刻における培地登録を管理し、培地情報を受信したタイミング及び既に培地情報の登録に用いた培養検査時刻に基づいて、培養検査時刻を特定してもよい。すなわち、登録処理部421は、培地情報の登録を実行する毎に実行フラグを書き換え、当該フラグの情報を参照しつつ、受信した撮像時刻と比較して、培養検査時刻を特定してもよい。
次いで、登録処理部421は、コロニー検出判定部423に、取得した培地情報及び特定した作業IDに基づいて、予め定められた検査条件情報を取得させて(ステップS306)、取得した検査条件情報に基づいて検査基準を示すプロファイルを特定させる(ステップS307)。
次いで、コロニー検出判定部423は、特定させたプロファイルに基づいて、受信した培地画像データに対して画像解析を実行し、培地画像を構成する各ピクセルの特徴量(輝度値)を抽出させるとともに(ステップS308)、当該培地画像を構成する各ピクセルの特徴量に基づいて画像化された検体に発生したコロニーを検出しつつ、その数を検出させる(ステップS309)。
次いで、コロニー検出判定部423は、特定されたプロファイルに基づいて、検出したコロニー数が所定の条件を具備するか否かを判定する(ステップS310)。すなわち、コロニー検出判定部423は、所定の条件を具備する場合には、合格(正常)と判定し、所定の条件を不具備な場合には、不合格(異常)と判定する。
なお、コロニー検出判定部423は、上述の自動登録に代えて、携帯用通信端末装置10と連動し、検出したコロニー数及び合否判定の結果を当該携帯用通信端末装置10の表示部160に表示させ、ユーザに閲覧及び確認させるようにしてもよい。
次いで、登録処理部421は、培地画像データ、認識した培地ID66、判定された合否、検出されたコロニーの数及び培地情報に含まれる撮像時刻を培養開始時刻とした培養開始時刻情報を、特定した作業ID71対応付けて培地情報DB401に登録し(ステップS311)、本動作を終了する。
なお、登録処理部421は、ライン情報及び登録すべき情報を携帯用通信端末装置10の表示部160に表示させ、当該携帯用通信端末装置10を介して入力されたユーザ指示に基づいて、培地情報等の登録をするようにしてもよい。
また、携帯用通信端末装置10から培地画像データが送信され、サーバ装置40によって各画像データを解析することによって培地ID66を認識する場合には、登録処理部421は、ステップS201の処理において、受信した培地画像データのそれぞれの所定の領域上に画像化された培地ID66を解析して当該培地ID66を認識して取得するようになる。同様に、指示書画像データにおける作業ID71についても、サーバ装置40において認識させる。
さらに、上述の動作は、携帯用通信端末装置10によって培地情報を取得した際に実行しているが、携帯用通信端末装置10によって取得した培地情報が培地情報DB401に記録され、その後に実行されてもよい。
[7]変形例
[7.1]変形例1
本実施形態において、タブレット型情報端末装置、スマートフォン又は携帯用電話機等の携帯用通信端末装置10を用いて培地情報の登録処理を実行している点に代えて、ラップトップ型又はデスクトップ型のパーソナルコンピュータと、スキャナ、デジタルカメラ又はスマートフォン等の画像入力装置と、によって当該培地情報の登録処理を実現してもよい。
この場合には、パーソナルコンピュータと画像入力装置とを所定の通信規格によって接続し、パーソナルコンピュータと画像入力装置とを一体的に用いて当該培地情報の登録処理を実現してもよいし、メモリカードその他の物理的なメモリに画像入力装置によって先に取得した培地画像データ及び指示書画像データを記憶させ、当該記憶させた各画像データをパーソナルコンピュータによって取り込みつつ、当該培地情報の登録処理を実現してもよい。
また、この場合には、サーバ装置40の機能をパーソナルコンピュータに持たせて上記の各種の処理を実行してもよい。
[7.2]変形例2
本実施形態においては、携帯用端末装置10から培地情報を取得し、又は、取得して登録されると、サーバ装置40において培地情報登録処理が実行されるが、当該培地情報登録処理の実行中に、管理者の指示に基づいて培地情報及び作業IDに基づいて取得した検査条件情報を修正するような構成を有していてもよい。
この場合には、管理者端末装置20に培地情報及び作業IDに基づいて取得した検査条件情報を表示し、管理者の指示又は修正指示に基づいて、その後の処理を実行することとなる。
[7.3]変形例3
本実施形態においては、携帯用通信端末装置10、管理者端末装置20、サーバ装置40が同一敷地内で設置又は使用されてもよいし、それぞれが国外などの遠隔地に設置され、又は、遠隔地にて使用されて上述の各処理が実行されてもよい。ただし、携帯用通信端末装置10は、同一ロットにおいて使用させることが前提となる。
[7.4]変形例4
本実施形態においては、フィルム型培地60を用いて当該フィルム型培地60に培養された検体における培地情報の登録を実行しているが、寒天培地を用いて当該寒天培地に培養された菌及びその検体における培地情報の登録を実行してもよい。
[7.5]変形例5
本実施形態において、画像データ生成部110によってフィルム型培地60を撮像して培地ID66を取得する点に代えて、作業者の操作入力によって培地ID66を入力させるようにしてもよい。
この場合には、アプリケーション制御部120は、表示制御部161及び操作部170と連動し、作業者に培地ID66を操作部170を用いて直接手入力させる。
また、アプリケーション制御部120は、クリック又はタッチ選択等によって、プルダウンメニュー等の表示項目を選択させるように表示制御部161及び操作部170を制御させて、作業者に培地ID66を入力させる。
[7.6]変形例6
本実施形態にておいては、単一のサーバ装置40によって各種の処理を実行しているが、複数のサーバ装置40から構成されるサーバシステムによって各種の処理を実行するようにしてもよい。
以上、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、このような構成を有することによって、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、コロニーを検査するタイミング(培養開始から検査時刻までの培養時間)によって変動する条件、培地に載置される検体の種別など検体に基づいて定まる条件、又は、検査に用いる希釈液若しくは検体を抽出して培地に載置する際のフィルタの有無を示す培養条件など、検査を実行する際に培地に培養されるコロニーの培養環境が異なる場合であっても、培地に培養されるコロニー検出基準を的確に特定し、当該特定したコロニー検出基準に基づいてコロニーの検出、その計数又は培地に載置された検体の異常性の判定などの培地の検査を行うことができる。
したがって、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、培養されるコロニーの培養環境が異なる場合であっても、的確な検査を実行することができるとともに、その結果、培地情報としての検査結果を的確に登録することができる。
また、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、コロニー数を培地情報のデータとして登録することができるので、フィルム型培地60を用いて食品に関する衛生管理を、電子的なデータによって解析可能となるとともに、その解析結果の提供をも電子的に実行することができる。
したがって、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、紙媒体などの物理的な資源を利用して種々のデータ解析及びその提供を行う場合に比べて省資源化をも図ることができるとともに、培地に関する培地情報をデータベースに登録させることによって登録ミスが著しく減少し、難しい培地の管理を容易にすることができるので、無駄に培地を消費すること無く省資源化を図ることができるようになっている。
なお、本実施形態の衛生管理システムSにおいては、食品を用いて説明したが、当該食品に限らず、薬品や薬剤の人体をはじめとする生物全般に提供される生産品について適用することができる。
本発明は、食品用の衛生管理システム等に利用することができる。
S … 衛生管理システム
10 … 携帯用通信端末装置
20 … 管理者端末装置
30 … ネットワーク
40 … サーバ装置
60 … フィルム型培地
70 … 作業指示書
80 … 作業ライン
100 … データ記憶部
101 … アプリケーション記憶部
102 … 画像データ記憶部
110 … 画像データ生成部
120 … アプリケーション制御部
130 … ネットワーク通信部
140 … 近距離無線通信インターフェース
150 … 現在位置検出部
160 … 表示部
170 … 操作部
180 … タイマー
190 … 携帯端末管理制御部
210 … 通信制御部
220 … ラベル発行処理部
230 … 管理者端末管理制御部
250 … タイマー
260 … 表示部
261 … 表示制御部
400 … データベース
401 … 培地情報DB
402 … ライン情報DB
403 … ロット情報DB
404 … 作業管理DB
405 … プロファイルDB
410 … 通信制御部
420 … データ処理部
421 … 登録処理部
423 … コロニー検出判定部
424 … ロット判定処理部
425 … 報告処理部
430 … サーバ管理制御部

Claims (11)

  1. 培地が画像化された培地画像を用いて当該培地に対する所定の検査を実行し、当該検査の結果を培地情報として登録する培地情報登録システムであって、
    培地の培地画像を有する培地画像データと、当該培地に培養されるコロニーの培養環境に関する条件を示す条件情報と、を取得する取得手段と、
    前記取得された条件情報に基づいて、前記条件情報と前記所定の検査のための検査基準を示す検査基準情報とが少なくとも対応付けられて記憶された第1データベースを検索し、前記所定の検査のための検査基準を特定する検索手段と、
    前記取得された培地画像データの培地画像、及び、前記特定された検査基準に基づいて、前記培地に対する前記所定の検査を実行する検査手段と、
    前記所定の検査の結果を少なくとも含む情報を培地情報として第2データベースに登録する登録手段と、を備え
    前記検査手段は、
    前記培地画像に含まれるコロニー候補についてコロニーらしさを示す尤度を算出し、算出された尤度を、前記検査基準に含まれる尤度の閾値と比較してコロニーを検出するコロニー検出手段と、
    検出されたコロニーの数を、前記検査基準に含まれる培地判定の閾値と比較して前記培地が正常であるか異常であるかを判定する培地判定を行い、当該培地判定の結果を前記検査の結果として出力する培地判定手段と、を備え、
    前記条件情報は、前記培地における前記コロニーの培養開始からの培養時間を含み、
    前記尤度の閾値及び前記培地判定の閾値のうちの少なくとも一方は、前記培養時間が短い場合には、前記培養時間が長い場合よりも小さい値に設定されることを特徴とする培地情報登録システム。
  2. 請求項1に記載の培地情報登録システムにおいて、
    前記尤度の閾値及び前記培地判定の閾値は、前記培養時間が短い場合には、前記培養時間が長い場合よりも小さい値に設定されることを特徴とする培地情報登録システム。
  3. 請求項2に記載の培地情報登録システムにおいて、
    前記検査手段は、
    前記取得された培地画像データの培地画像を構成する各ピクセルの色に関する特徴量を検出する特徴量検出手段と、
    前記培地画像を構成する各ピクセルの特徴量を、前記検査基準に含まれる2値化の閾値に基づいて2値化し、コロニーを構成すると想定されるピクセルであるコロニーピクセルを検出するコロニーピクセル検出手段と、
    前記コロニーピクセルを連結して前記コロニー候補を検出するコロニー候補検出手段と、を備え、
    前記2値化の閾値は、前記培養時間が短い場合には、前記培養時間が長い場合よりも小さい値に設定されることを特徴とする培地情報登録システム。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の培地情報登録システムにおいて、
    前記条件情報には、前記培地が画像化されて検査されるタイミングで変動する変動条件を少なくとも含む、培地情報登録システム。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の培地情報登録システムにおいて、
    前記条件情報には、前記培地に載置される検体に基づいて定まる条件、及び、前記コロニーを培養する際に定まる培養条件の少なくともいずれか一方の条件が含まれる、培地情報登録システム。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の培地情報登録システムにおいて、
    前記取得手段が、前記培地画像データに画像化された培地を特定する特定情報を取得するとともに、当該取得した特定情報に基づいて、前記培地毎に前記条件情報が記憶された第3データベースを検索し、前記特定情報によって特定した培地に対応する前記条件情報を取得する、培地情報登録システム。
  7. 請求項に記載の培地情報登録システムにおいて、
    前記特定情報には、前記培地毎に付与された固有の識別情報、及び、前記培地の種別の少なくともいずれか一方が含まれる、培地情報登録システム。
  8. コンピュータによって培地が画像化された培地画像を用いて当該培地に対する所定の検査を実行し、当該検査の結果を培地情報として登録するプログラムであって、
    前記コンピュータを、
    培地の培地画像を有する培地画像データと、当該培地に培養されるコロニーの培養環境に関する条件を示す条件情報と、を取得する取得手段、
    前記取得された条件情報に基づいて、前記条件情報と前記所定の検査のための検査基準を示す検査基準情報とが少なくとも対応付けられて記憶された第1データベースを検索し、前記所定の検査のための検査基準を特定する検索手段、
    前記取得された培地画像データの培地画像、及び、前記特定された検査基準に基づいて、前記培地に対する前記所定の検査を実行する検査手段、及び、
    前記所定の検査の結果を少なくとも含む情報を培地情報として第2データベースに登録する登録手段、
    として機能させ
    前記検査手段は、
    前記培地画像に含まれるコロニー候補についてコロニーらしさを示す尤度を算出し、算出された尤度を、前記検査基準に含まれる尤度の閾値と比較してコロニーを検出するコロニー検出手段と、
    検出されたコロニーの数を、前記検査基準に含まれる培地判定の閾値と比較して前記培地が正常であるか異常であるかを判定する培地判定を行い、当該培地判定の結果を前記検査の結果として出力する培地判定手段と、を備え、
    前記条件情報は、前記培地における前記コロニーの培養開始からの培養時間を含み、
    前記尤度の閾値及び前記培地判定の閾値のうちの少なくとも一方は、前記培養時間が短い場合には、前記培養時間が長い場合よりも小さい値に設定されることを特徴とするプログラム。
  9. 培地が画像化された培地画像を用いて当該培地に対する所定の検査を実行する培地検査装置であって、
    培地の培地画像を有する培地画像データと、当該培地に培養されるコロニーの培養環境に関する条件を示す条件情報と、を取得する取得手段と、
    前記取得された条件情報に基づいて、前記条件情報と前記所定の検査のための検査基準を示す検査基準情報とが少なくとも対応付けられて記憶された第1データベースを検索し、前記所定の検査のための検査基準を特定する検索手段と、
    前記取得された培地画像データの培地画像、及び、前記特定された検査基準に基づいて、前記培地に対する前記所定の検査を実行する検査手段と、
    を備え
    前記検査手段は、
    前記培地画像に含まれるコロニー候補についてコロニーらしさを示す尤度を算出し、算出された尤度を、前記検査基準に含まれる尤度の閾値と比較してコロニーを検出するコロニー検出手段と、
    検出されたコロニーの数を、前記検査基準に含まれる培地判定の閾値と比較して前記培地が正常であるか異常であるかを判定する培地判定を行い、当該培地判定の結果を前記検査の結果として出力する培地判定手段と、を備え、
    前記条件情報は、前記培地における前記コロニーの培養開始からの培養時間を含み、
    前記尤度の閾値及び前記培地判定の閾値のうちの少なくとも一方は、前記培養時間が短い場合には、前記培養時間が長い場合よりも小さい値に設定されることを特徴とする培地検査装置。
  10. コンピュータによって培地が画像化された培地画像を用いて当該培地に対する所定の検査を実行するプログラムであって、
    前記コンピュータを、
    培地の培地画像を有する培地画像データと、当該培地に培養されるコロニーの培養環境に関する条件を示す条件情報と、を取得する取得手段、
    前記取得された条件情報に基づいて、前記条件情報と前記所定の検査のための検査基準を示す検査基準情報とが少なくとも対応付けられて記憶された第1データベースを検索し、前記所定の検査のための検査基準を特定する検索手段、
    前記取得された培地画像データの培地画像、及び、前記特定された検査基準に基づいて、前記培地に対する前記所定の検査を実行する検査手段、
    として機能させ
    前記検査手段は、
    前記培地画像に含まれるコロニー候補についてコロニーらしさを示す尤度を算出し、算出された尤度を、前記検査基準に含まれる尤度の閾値と比較してコロニーを検出するコロニー検出手段と、
    検出されたコロニーの数を、前記検査基準に含まれる培地判定の閾値と比較して前記培地が正常であるか異常であるかを判定する培地判定を行い、当該培地判定の結果を前記検査の結果として出力する培地判定手段と、を備え、
    前記条件情報は、前記培地における前記コロニーの培養開始からの培養時間を含み、
    前記尤度の閾値及び前記培地判定の閾値のうちの少なくとも一方は、前記培養時間が短い場合には、前記培養時間が長い場合よりも小さい値に設定されることを特徴とするプログラム。
  11. 培地を画像化した培地画像を培地画像データとして生成する通信端末装置と、
    前記培地画像データに基づいて前記培地に発生したコロニーを検出してデータベースに登録するサーバ装置と、
    を備え、
    前記サーバ装置が、
    培地を画像化した培地画像を有する培地画像データと、当該培地に培養されるコロニーの培養環境に関する条件を示す条件情報と、を取得する取得手段と、
    前記取得された条件情報に基づいて、前記条件情報と前記所定の検査のための検査基準を示す検査基準情報とが少なくとも対応付けられて記憶された第1データベースを検索し、前記所定の検査のための検査基準を特定する検索手段と、
    前記取得された培地画像データの培地画像、及び、前記特定された検査基準に基づいて、前記培地に対する前記所定の検査を実行する検査手段と、
    前記所定の検査の結果を少なくとも含む情報を培地情報として第2データベースに登録する登録手段と、
    を備え
    前記検査手段は、
    前記培地画像に含まれるコロニー候補についてコロニーらしさを示す尤度を算出し、算出された尤度を、前記検査基準に含まれる尤度の閾値と比較してコロニーを検出するコロニー検出手段と、
    検出されたコロニーの数を、前記検査基準に含まれる培地判定の閾値と比較して前記培地が正常であるか異常であるかを判定する培地判定を行い、当該培地判定の結果を前記検査の結果として出力する培地判定手段と、を備え、
    前記条件情報は、前記培地における前記コロニーの培養開始からの培養時間を含み、
    前記尤度の閾値及び前記培地判定の閾値のうちの少なくとも一方は、前記培養時間が短い場合には、前記培養時間が長い場合よりも小さい値に設定されることを特徴とする衛生管理システム。
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