(第1実施形態)
本実施形態の通信制御システム1は、事務所ビルの各部屋等に設置された設備機器を一元的に監視および制御するシステムとして構成されている。なお、この設備機器には複数の照明器具および複数の空調設備が含まれる。
図1を参照して、通信制御システム1の構成について説明する。
通信制御システム1には、接続関係が階層化された複数の通信制御機器2が設けられている。通信制御機器2としては、管理装置としての1つの上位機器10と、制御ユニットとしての複数の中位機器20と、設備機器としての複数の下位機器30とが設けられている。
1つの上位機器10には、複数の中位機器20が接続されている。1つの中位機器20には、他の全ての中位機器20および複数の下位機器30が接続されている。なお、以下の説明においては、上位機器10、中位機器20、および下位機器30の総称として通信制御機器2を用いる。
各下位機器30においては、下位機器30の1つとしての照明器具に対応する他の下位機器30として、照明スイッチ、人感センサ、および明るさセンサ等の各種センサが設けられている。また、下位機器30の1つとしての空調機器に対応する他の下位機器30として、空調スイッチ、温度センサ、および湿度センサ等の各種センサが設けられている。
以下では、1つの上位機器10、1つの中位機器20、または1つの下位機器30からみたときに、各機器のそれぞれに対して直接的に接続されている他の機器の総称として「直接接続機器」を用いる。
1つの上位機器10においては、これに直接的に接続される各中位機器20がこの1つの上位機器10に対する直接接続機器に相当する。また、1つの中位機器20においては、これに直接的に接続される上位機器10、各下位機器30、および他の各中位機器20のそれぞれが上記1つの中位機器20に対する直接接続機器に相当する。また、1つの下位機器30においては、これに直接的に接続される中位機器20がこの1つの下位機器30に対する直接接続機器に相当する。
各通信制御機器2に共通する動作について説明する。
上位機器10、中位機器20、および下位機器30は、それぞれ直接接続機器から制御コマンドを受信したとき、以下の受付処理、指令処理、応答処理、および重合処理を含む出力処理を行う。なお、出力処理においては、制御コマンドの入力状況に応じて重合処理の実行が省略されることもある。
(a)受付処理では、入力された制御コマンドの受付を行なう。
(b)指令処理では、受付処理後の制御コマンドを直接接続機器に出力する。
(c)応答処理では、直接接続機器から出力される応答コマンドを受け付ける。
(d)重合処理では、複数の制御コマンドを連結した複合制御コマンドを出力する。
なお、重合処理における制御コマンドの連結は、制御コマンドの制御内容のみを順に結合し、制御コマンドの送信先および送信元などを示すヘッダや、制御コマンドの後にトレーラを付加することを意味する。したがって、個々の制御コマンドを単純に連結するよりも、ヘッダとトレーラとの個数が削減され、パケット長が短縮されることになる。
各通信制御機器2の動作を以下の(A)〜(C)に示す。
(A)上位機器10は、通信制御システム1の全体に関する情報を統括して管理する。また、中位機器20および下位機器30を制御するための制御コマンドを生成する。また、生成した制御コマンドを制御対象の中位機器20および下位機器30に出力する。また、中位機器20および下位機器30から制御コマンドを受信する。
(B)中位機器20は、自身および他の中位機器20に接続される下位機器30を個別に制御する制御コマンドを生成する。また、上位機器10を制御する制御コマンドを生成する。また、並列的に接続される他の中位機器20を制御する制御コマンドを生成する。また、生成した制御コマンドを制御対象の下位機器30、上位機器10、または他の中位機器20に対して出力する。また、下位機器30においての制御コマンドの指令処理の実行を制限する「通信量制限制御」を行う。また、上位機器10、下位機器30、および他の各中位機器20から制御コマンドを受信する。
通信量制限制御においては、通信制御システム1上の通信量が規定量以上であることに基づいて、下位機器30からの制御コマンドの出力を禁止する禁止制御コマンドを下位機器30に出力する。また、通信制御システム1上の通信量が規定量未満であることに基づいて、下位機器30からの制御コマンドの出力を許可する許可制御コマンドを下位機器30に出力する。なお、中位機器20は、各直接接続機器のそれぞれとの間においての通信量を合計したものを通信制御システム1上の通信量として取り扱う。
下位機器30は、中位機器20から禁止制御コマンドを受信したとき、中位機器20から許可制御コマンドを受信するまで、中位機器20に対して制御コマンドの指令処理の実行を停止する。
(C)下位機器30は、中位機器20から制御コマンドを受信したとき、制御コマンドに基づいて自身の制御態様を変更する。また、自身に関する情報に基づいて制御コマンドを生成する。また、生成した制御コマンドを中位機器20、上位機器10、または他の下位機器30に出力する。
制御コマンドに基づく下位機器30の制御の一例を以下に示す。
照明スイッチとしての1つの下位機器30は、その切り替え状態が変更されたとき、対応する別の下位機器30としての照明器具の点灯状態を変更する旨の制御コマンドを生成し、生成したコマンドを直接接続機器としての中位機器20に出力する。中位機器20は、下位機器30から制御コマンドを受信したとき、対応する別の下位機器30としての照明器具にこの制御コマンドを出力する。照明器具としての別の下位機器30は、中位機器20から制御コマンドを受信したとき、この制御コマンドに基づいて自身の点灯状態を制御する。
上位機器10は、下位機器30としての特定の照明器具の点灯状態を変更する旨の制御コマンドを生成し、この制御コマンドを中位機器20に出力する。中位機器20は、上位機器10から制御コマンドを受信したとき、対応する下位機器30としての照明器具にこの制御コマンドの内容に基づく制御コマンドを出力する。特定の照明器具としての下位機器30は、中位機器20から制御コマンドを受信したとき、この制御コマンドに基づいて自身の点灯状態を制御する。
図2を参照して、中位機器20の構成について説明する。なお、上位機器10および下位機器30についても同様の構成が採用されているため、ここでは上位機器10および下位機器30の説明を省略する。
図2(a)に示されるように、中位機器20には、上位機器10と接続するための第1入力ポート21と、下位機器30と接続するための第2入力ポート23と、複数の制御コマンドを集約してバッファする中間記憶部25とが設けられている。
第1入力ポート21には、上位機器10から出力された1つの制御コマンドをバッファするための第1ポート記憶部22が設けられている。第2入力ポート23には、下位機器30から出力された1つの制御コマンドをバッファするための第2ポート記憶部24が設けられている。
中間記憶部25には、第1ポート記憶部22にバッファされた制御コマンド、および第2ポート記憶部24にバッファされた制御コマンドがそれぞれ入力される。また、各制御コマンドが順次集約してバッファされる。
図2(b)に示されるように、第1入力ポート21および第2入力ポート23に順次制御コマンドが入力されたとき、中間記憶部25には、中位機器20に入力された順に制御コマンドが記憶される。
図3を参照して、重合処理による制御コマンドの連結について説明する。
ここで、1つの通信制御機器2に対して互いに異なるタイミングで入力される複数の制御コマンドについて、先に入力される1つの制御コマンドを「先行制御コマンド」とし、この先行制御コマンドの後に入力される1または複数の制御コマンドを「追加制御コマンド」とする。
追加制御コマンドには、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中に入力される制御コマンド、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中に入力される制御コマンド、先行制御コマンドの応答処理の実行中に入力される制御コマンド、および先行制御コマンドの出力後から所定の期間内に入力される制御コマンドが含まれる。
各通信制御機器2は、先行制御コマンドの受信後の重合許容期間TXに複数の追加制御コマンドを受信したとき、重合許容期間TXに受信した複数の追加制御コマンドを連結して複合制御コマンドを生成する。重合許容期間TXは、重合処理の対象とする追加制御コマンドを確定するための期間として設定されている。
単独の制御コマンドおよび複合制御コマンドは、先行制御コマンドおよび追加制御コマンドのいずれかに該当する場合、および先行制御コマンドおよび追加制御コマンドのいずれにも該当しない場合がある。すなわち、単独の制御コマンドまたは複合制御コマンドが先行制御コマンドまたは追加制御コマンドに該当するか否かは、各通信制御機器2に入力されるタイミングまたは各通信制御機器2においての他の制御コマンドの入力タイミングに応じて決定される。ただし、以下では便宜上、事後的に先行制御コマンドとなることが確定しているものを予め先行制御コマンドとして取り扱うものとする。
各通信制御機器2は、具体的には次のように複合制御コマンドを出力する。
すなわち、先行制御コマンドの受信後に先行制御コマンドの受信からの経過期間(以下、「先行受信後期間TA」)をカウントし、先行受信後期間TAが重合許容期間TX以上か否かを判定する。そして、先行受信後期間TAが重合許容期間TX以上の旨判定したとき、先行制御コマンドの受信後から判定の時点までに図2の中間記憶部25にバッファした複数の追加制御コマンドに対する受付処理を行なう。また、この受付処理の一環として複数の追加制御コマンドに対する重合処理を実行し、すなわち複数の追加制御コマンドを連結して複合制御コマンドを生成し、この複合制御コマンドを出力する。一方、先行制御コマンドの受信後から上記判定の時点までに追加制御コマンドがバッファされていないとき、およびバッファされた追加制御コマンドが1つのとき、複合制御コマンドの生成を行なわない。
図4を参照して、複合制御コマンドの生成パターンについて説明する。
通信制御機器2による複合制御コマンドの生成パターンは、図中の生成パターンA11〜A17に分類される。なお、図4の「経過待ち期間TB」は、先行制御コマンドに対する指令処理の完了後かつ先行受信後期間TAが重合許容期間TX未満の期間を示す。また、以下の説明において「追加制御コマンドを受信しない」旨の記載は、該当する通信制御機器2に対して別の通信制御機器2から追加制御コマンドとしての制御コマンドが入力されない状態を示している。
各生成パターンA11〜A17の詳細を以下に示す。
(A)生成パターンA11においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中に複数の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。また、経過待ち期間TBにおいては追加制御コマンドを受信しない。そして、先行受信後期間TAが重合許容期間TX以上のとき、バッファした複数の追加制御コマンドに対する受付処理を実行する。また、これらの複数の追加制御コマンドに対する重合処理を実行して複合制御コマンドを生成する。
(B)生成パターンA12においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中に複数の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。また、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。また、経過待ち期間TBにおいては追加制御コマンドを受信しない。そして、先行受信後期間TAが重合許容期間TX以上のとき、バッファした複数の追加制御コマンドに対する受付処理を実行する。また、これらの複数の追加制御コマンドに対する重合処理を実行して複合制御コマンドを生成する。
(C)生成パターンA13においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。また、経過待ち期間TBにおいて複数の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。そして、先行受信後期間TAが重合許容期間TX以上のとき、バッファした複数の追加制御コマンドに対する受付処理を実行する。また、これらの複数の追加制御コマンドに対する重合処理を実行して複合制御コマンドを生成する。
(D)生成パターンA14においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中に1つ以上の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中に1つ以上の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。また、経過待ち期間TBにおいては追加制御コマンドを受信しない。そして、先行受信後期間TAが重合許容期間TX以上のとき、バッファした複数の追加制御コマンドに対する受付処理を実行する。また、これらの複数の追加制御コマンドに対する重合処理を実行して複合制御コマンドを生成する。
(E)生成パターンA15においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中に1つ以上の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。また、経過待ち期間TBに1つ以上の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。そして、先行受信後期間TAが重合許容期間TX以上のとき、バッファした複数の追加制御コマンドに対する受付処理を実行する。また、これらの複数の追加制御コマンドに対する重合処理を実行して複合制御コマンドを生成する。
(F)生成パターンA16においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中に1つ以上の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。また、経過待ち期間TBに1つ以上の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。そして、先行受信後期間TAが重合許容期間TX以上のとき、バッファした複数の追加制御コマンドに対する受付処理を実行する。また、これらの複数の追加制御コマンドに対する重合処理を実行して複合制御コマンドを生成する。
(G)生成パターンA17においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中に1つ以上の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中に1つ以上の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。また、経過待ち期間TBに1つ以上の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。そして、先行受信後期間TAが重合許容期間TX以上のとき、バッファした3つ以上の追加制御コマンドに対する受付処理を実行する。また、上述した3つ以上の追加制御コマンドに対する重合処理を実行して複合制御コマンドを生成する。
図5を参照して、複合制御コマンドの非生成パターンについて説明する。
通信制御機器2は、先行受信後期間TAが重合許容期間TX未満のときに追加制御コマンドを1つだけ受信したとき、および追加制御コマンドを受信しないとき、複合制御コマンドを生成しない。この処理パターン(複合制御コマンドの非生成パターン)は、図中の非生成パターンB11〜B14に分類される。
各非生成パターンB11〜B14の詳細を以下に示す。
(A)非生成パターンB11においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中に1つの追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。また、経過待ち期間TBにおいては追加制御コマンドを受信しない。そして、先行受信後期間TAが重合許容期間TX以上のとき、バッファした1つの追加制御コマンドに対する受付処理および指令処理を実行する。すなわち、重合処理を実行することなく追加制御コマンドを出力する。
(B)非生成パターンB12においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中に1つの追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。また、経過待ち期間TBにおいては追加制御コマンドを受信しない。そして、先行受信後期間TAが重合許容期間TX以上のとき、バッファした1つの追加制御コマンドに対する受付処理および指令処理を実行する。すなわち、重合処理を実行することなく追加制御コマンドを出力する。
(C)非生成パターンB13においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。また、経過待ち期間TBに1つの追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。そして、先行受信後期間TAが重合許容期間TX以上のとき、バッファした1つの追加制御コマンドに対する受付処理および指令処理を実行する。すなわち、重合処理を実行することなく追加制御コマンドを出力する。
(D)非生成パターンB14においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。また、経過待ち期間TBにおいては追加制御コマンドを受信しない。そして、先行受信後期間TAが重合許容期間TX以上のとき、制御コマンドの受付処理および指令処理を行なわない。
図6を参照して、複合制御コマンドの別の生成パターンについて説明する。
通信制御機器2においては、重合許容期間TXとして予め設定された値が用意されている。一方、先行制御コマンドに対する受付処理の期間の長さ、および先行制御コマンドに対する指令処理の期間の長さは先行制御コマンドの内容に応じて異なる。
このため、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中に先行受信後期間TAが重合許容期間TX以上となることもある。また、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中に先行受信後期間TAが重合許容期間TX以上となることもある。前者の場合の複合制御コマンドの生成パターンは、図6(a)の生成パターンA21〜A23に分類される。後者の場合の複合制御コマンドの生成パターンとしては、図6(b)の生成パターンA31が該当するものとなる。
各生成パターンA21〜A23、および生成パターンA31の詳細を以下に示す。
(A)生成パターンA21においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中に複数の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。そして、先行制御コマンドに対する指令処理が完了したとき、バッファした複数の追加制御コマンドに対する受付処理を実行する。また、これらの複数の追加制御コマンドに対する重合処理を実行して複合制御コマンドを生成する。
(B)生成パターンA22においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中かつ先行受信後期間TAが重合許容期間TX未満のとき、複数の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。そして、先行制御コマンドに対する指令処理が完了したとき、バッファした複数の追加制御コマンドに対する受付処理を実行する。また、これらの複数の追加制御コマンドに対する重合処理を実行して複合制御コマンドを生成する。
(C)生成パターンA23においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中に1つ以上の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中かつ先行受信後期間TAが重合許容期間TX未満のとき、1つ以上の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。そして、先行制御コマンドに対する指令処理が完了したとき、バッファした複数の追加制御コマンドに対する受付処理を実行する。また、これらの複数の追加制御コマンドに対する重合処理を実行して複合制御コマンドを生成する。
(D)生成パターンA31においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中かつ先行受信後期間TAが重合許容期間TX未満のとき、複数の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。そして、先行制御コマンドに対する指令処理が完了したとき、バッファした複数の追加制御コマンドに対する受付処理を実行する。また、これらの複数の追加制御コマンドに対する重合処理を実行して複合制御コマンドを生成する。
図7を参照して、複合制御コマンドの非生成パターンについて説明する。
先行制御コマンドに対する指令処理の実行中に先行受信後期間TAが重合許容期間TX以上となる場合、複合制御コマンドの非生成パターンは、図7(a)の非生成パターンB21〜B23に分類される。また、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中に先行受信後期間TAが重合許容期間TX以上となる場合、複合制御コマンドの非生成パターンとしては、図7(b)の非生成パターンB31が該当するものとなる。
各非生成パターンB21〜B23、および非生成パターンB31の詳細を以下に示す。
(A)非生成パターンB21においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中に1つの追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。そして、先行制御コマンドに対する指令処理が完了したとき、バッファした1つの追加制御コマンドに対する受付処理および指令処理を実行する。すなわち、重合処理を実行することなく追加制御コマンドを出力する。
(B)非生成パターンB22においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中かつ先行受信後期間TAが重合許容期間TX未満のとき、1つの追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。そして、先行制御コマンドに対する指令処理が完了したとき、バッファした1つの追加制御コマンドに対する受付処理および指令処理を実行する。すなわち、重合処理を実行することなく追加制御コマンドを出力する。
(C)非生成パターンB23においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。そして、先行受信後期間TAが重合許容期間TX以上のとき、制御コマンドの受付処理および指令処理を行なわない。
(D)非生成パターンB31においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中かつ先行受信後期間TAが重合許容期間TX未満のとき、1つの追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。そして、先行制御コマンドに対する指令処理が完了したとき、バッファした1つの追加制御コマンドに対する受付処理および指令処理を実行する。すなわち、重合処理を実行することなく追加制御コマンドを出力する。
図3を参照して、中位機器20による制御コマンドの処理態様の一例について説明する。なお、ここで説明する処理態様は、上位機器10および下位機器30についても共通するものとなるため、上位機器10および下位機器30の処理態様の説明を省略する。
中位機器20は、直接接続機器としての上位機器10、下位機器30、または他の中位機器20から先行制御コマンドを受信したとき、この先行制御コマンドを中間記憶部25から取り出して受付処理を開始する。そして、先行制御コマンドに対する受付処理が完了したとき、先行制御コマンドを制御対象の下位機器30、上位機器10、または他の中位機器20に対して出力する指令処理を行う。
上位機器10、下位機器30、または他の中位機器20は、中位機器20から先行制御コマンドを受信したとき、応答コマンドを中位機器20に対して出力する。中位機器20は、上位機器10、下位機器30、または他の中位機器20から応答コマンドを受信したとき、これらの機器についての制御コマンドの処理が完了したことを認証する応答処理を行う。これにより、先行制御コマンドの出力処理が完了する。
中位機器20は、先行制御コマンドの指令処理の完了後かつ先行受信後期間TAが重合許容期間TX未満のとき、上位機器10、下位機器30、または他の中位機器20から2〜N個(Nは3以上の整数)の追加制御コマンドを受信する。また、受信した追加制御コマンドを中間記憶部25に順次バッファする。
そして、先行受信後期間TAが重合許容期間TXに達したとき、中間記憶部25にバッファされている複数の追加制御コマンドを取り出し、複数の追加制御コマンドに対する受付処理を行う。
そして、複数の追加制御コマンドを論理的に連結する重合処理を実行し、この重合処理により複合制御コマンドを生成する。そして、この複合制御コマンドを制御対象の下位機器30、上位機器10、または他の中位機器20に対して出力する指令処理を行う。
上位機器10、下位機器30、または他の中位機器20は、中位機器20から複合制御コマンドを受信したとき、応答コマンドを中位機器20に対して出力する。中位機器20は、上位機器10、下位機器30、または他の中位機器20から応答コマンドを受信したとき、応答コマンドを受信した機器についての制御コマンドの処理が完了したことを認証する応答処理を行う。これにより、複合制御コマンドの出力処理が完了する。
図1を参照して、複合制御コマンドを連結する処理について説明する。
各通信制御機器2は、受信した複合制御コマンドが先行制御コマンドまたは追加制御コマンドに該当するとき、この複合制御コマンドと先行制御コマンドまたは追加制御コマンドとを連結して別の複合制御コマンドとして出力する。
ここで、以下の順に制御コマンドが送信される場合を想定する。
(a)下位機器30は、制御コマンド(以下、「制御コマンドA」)を生成し、この制御コマンドAを直接接続機器としての中位機器20に送信する。
(b)中位機器20は、下位機器30から制御コマンドAを受信したとき、この制御コマンドAを他の中位機器20に送信する。
(c)他の中位機器20は、中位機器20から制御コマンドAを受信したとき、直接接続機器としての他の下位機器30に制御コマンドAを送信する。
直接接続機器としての中位機器20は、制御コマンドAに対する受付処理の実行中において他の制御コマンド(以下、「制御コマンドB」)を受信したとき、制御コマンドAと制御コマンドBとを連結して複合制御コマンドXを生成する。そして、他の中位機器20に複合制御コマンドXを出力する。
他の中位機器20は、複合制御コマンドXに対する受付処理の実行中において他の制御コマンド(以下、「制御コマンドC」)を受信したとき、複合制御コマンドXと制御コマンドCとを連結して複合制御コマンドYを生成する。そして、他の下位機器30に複合制御コマンドYを出力する。
(実施形態の効果)
本実施形態の通信制御システム1によれば以下の効果が得られる。
(1)通信制御システム1の上位機器10、中位機器20、および下位機器30は、それぞれ制御コマンドの出力処理を行なう。例えば、中位機器20に上位機器10、下位機器30、および他の中位機器20から制御コマンドとして複数の追加制御コマンドが入力されるとき、中位機器20は、少なくとも2つの追加制御コマンドを連結した複合制御コマンドを上位機器10、下位機器30、または他の中位機器20に出力する。
この構成によれば、先行制御コマンドに対する指令処理の完了前に追加制御コマンドが入力される場合、制御コマンドに対する指令処理を1つの制御コマンド毎に行う構成と比較して、追加制御コマンドに対する指令処理が完了するまでの期間が短くなる。このため、制御コマンドの処理の遅延が生じることを抑制することができる。
(2)通信制御システム1は、先行制御コマンドに対する指令処理を追加制御コマンドに対する受付処理よりも先に実行する。この構成によれば、先行制御コマンドに対する受付処理を再び実行し、その後に先行制御コマンドと追加制御コマンドと連結する構成と比較して、先行制御コマンドの出力処理が完了するまでの期間が短くなる。
(3)通信制御システム1の中位機器20は、第1入力ポート21および第2入力ポート23を有する。また、各第1入力ポート21と第2入力ポート23とにそれぞれ入力された制御コマンドを中位機器20に入力された順に記憶する中間記憶部25を有する。この構成によれば、中位機器20に入力された順序に対応する制御コマンドの処理順序を保証することができる。
(4)通信制御システム1は、複合制御コマンドが先行制御コマンドまたは追加制御コマンドに該当するとき、この複合制御コマンドと先行制御コマンドまたは追加制御コマンドとさらに連結して出力する。この構成によれば、複合制御コマンドに別の制御コマンドを連結しない構成と比較して、制御コマンドの処理が遅延すること抑制する効果が高くなる。
(5)通信制御システム1の中位機器20は、下位機器30の制御コマンドに対する指令処理を制限する「通信量制限制御」を行なう。この構成によれば、通信制御システム1上の通信量が多いとき、上位機器10からの制御コマンドを優先して実行することができる。このため、上位機器10の制御コマンドの出力処理の完了が大きく遅延することが抑制される。また、中位機器20において第1ポート記憶部22、第2ポート記憶部24、および中間記憶部25が下位機器30から入力される制御コマンドによりオーバーフローすることが抑制される。
(第2実施形態)
本実施形態の通信制御システム1は、第1実施形態の通信制御システム1の一部を以下に説明する内容に変更したものとして構成されている。また、その他の点については第1実施形態の通信制御システム1と同様の構成が採用されている。このため、以下では第1実施形態の通信制御システム1と異なる点の詳細を説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
第1実施形態の通信制御機器2は、先行制御コマンドの出力後に複数の追加制御コマンドを連結して複合制御コマンドを生成している。すなわち、先行制御コマンドを連結していない複合制御コマンドを出力している。
これに対して本実施形態の通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の完了後に先行制御コマンドと少なくとも1つの追加制御コマンドとを連結して複合制御コマンドを生成している。すなわち、先行制御コマンドを連結した複合制御コマンドを出力している。
また、第1実施形態の通信制御機器2は、先行受信後期間TAおよび重合許容期間TXに基づいて、重合処理の対象とする追加制御コマンドを確定している。すなわち、先行受信後期間TAが重合許容期間TX未満のときにバッファした追加制御コマンドを重合処理の対象としている。
これに対して本実施形態の通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理が完了しているか否かに基づいて、重合処理の対象とする追加制御コマンドを確定している。すなわち、先行制御コマンドに対する受付処理を開始してから受付処理が完了するまでの期間にバッファした追加制御コマンドを重合処理の対象としている。
各通信制御機器2は、具体的には次のように複合制御コマンドを出力する。
すなわち、先行制御コマンドの受信後から先行制御コマンドに対する受付処理の完了までに図2の中間記憶部25に1つ以上の追加制御コマンドをバッファしたとき、先行制御コマンドおよび1つ以上の追加制御コマンドに対する重合処理を実行する。すなわち、先行制御コマンドおよび1つ以上の追加制御コマンドを連結して複合制御コマンドを生成し、この複合制御コマンドを出力する。一方、先行制御コマンドに対する受付処理の完了までに追加制御コマンドをバッファしていないとき、複合制御コマンドの生成を行なわない。
図8を参照して、複合制御コマンドの生成パターンおよび非生成パターンについて説明する。なお、図8(a)には生成パターンが、また図8(b)には非生成パターンが示されている。
通信制御機器2による複合制御コマンドの生成パターンは、図8(a)の生成パターンA31,A32に分類される。また、複合制御コマンドの非生成パターンとしては、図8(b)の非生成パターンB31が該当するものとなる。
各生成パターンA31,A32および非生成パターンB31の詳細を以下に示す。
(A)生成パターンA31においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中に1つの追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。そして、先行制御コマンドに対する受付処理が完了したとき、バッファした1つの追加制御コマンドに対する受付処理を実行する。また、先行制御コマンドおよび1つ以上の追加制御コマンドに対する重合処理を実行して複合制御コマンドを生成する。
(B)生成パターンA31においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中に複数の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。そして、先行制御コマンドに対する受付処理が完了したとき、バッファした複数の追加制御コマンドに対する受付処理を実行する。また、先行制御コマンドおよび1つ以上の追加制御コマンドに対する重合処理を実行して複合制御コマンドを生成する。
(C)非生成パターンB31においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。そして、先行制御コマンドに対する受付処理の完了後に先行制御コマンドに対する指令処理を実行する。すなわち、重合処理を実行することなく先行制御コマンドを出力する。
図9を参照して、中位機器20による制御コマンドの処理態様の一例について説明する。なお、ここで説明する処理態様は、上位機器10および下位機器30についても共通するものとなるため、上位機器10および下位機器30の処理態様の説明を省略する。
中位機器20は、直接接続機器としての上位機器10、下位機器30、または他の中位機器20から先行制御コマンドを受信したとき、この先行制御コマンドを中間記憶部25から取り出して受付処理を開始する。また、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中において、上位機器10、下位機器30、または他の中位機器20から1〜N個(Nは2以上の整数)の追加制御コマンドを受信する。また、受信した追加制御コマンドを中間記憶部25に順次バッファする。
そして、先行制御コマンドに対する受付処理が完了したとき、中間記憶部25にバッファされている1つ以上の追加制御コマンドを取り出し、1つ以上の追加制御コマンドに対する受付処理を行う。
そして、追加制御コマンドに対する受付処理が完了したとき、先行制御コマンドと1つ以上の追加制御コマンドとを論理的に連結する重合処理を実行し、この重合処理により複合制御コマンドを生成する。そして、この複合制御コマンドを制御対象の下位機器30、上位機器10、または他の中位機器20に対して出力する指令処理を行う。
上位機器10、下位機器30、または他の中位機器20は、中位機器20から複合制御コマンドを受信したとき、応答コマンドを中位機器20に対して出力する。中位機器20は、上位機器10、下位機器30、または他の中位機器20から応答コマンドを受信したとき、応答コマンドを受信した機器についての制御コマンドの処理が完了したことを認証する応答処理を行う。これにより、複合制御コマンドの出力処理が完了する。
(実施形態の効果)
本実施形態の通信制御システム1によれば、第1実施形態の(3)〜(5)の効果に加えて以下の効果が得られる。
(6)通信制御システム1の上位機器10、中位機器20、および下位機器30は、それぞれ制御コマンドの出力処理を行なう。例えば、中位機器20に上位機器10、下位機器30、および他の中位機器20から制御コマンドとして先行制御コマンドおよび追加制御コマンドが入力されるとき、中位機器20は、これらの制御コマンドを連結した複合制御コマンドを上位機器10、下位機器30、または他の中位機器20に出力する。
この構成によれば、先行制御コマンドに対する指令処理の完了前に追加制御コマンドが入力される場合、制御コマンドに対する指令処理を1つの制御コマンド毎に行う構成と比較して、追加制御コマンドに対する指令処理が完了するまでの期間が短くなる。このため、制御コマンドの処理の遅延が生じることを抑制することができる。
(第3実施形態)
本実施形態の通信制御システム1は、第2実施形態の通信制御システム1の一部を以下に説明する内容に変更したものとして構成されている。また、その他の点については第2実施形態の通信制御システム1と同様の構成が採用されている。このため、以下では第2実施形態の通信制御システム1と異なる点の詳細を説明し、第2実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
第2実施形態の通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理が完了しているか否かに基づいて、重合処理の対象とする追加制御コマンドを確定している。すなわち、先行制御コマンドに対する受付処理を開始してから受付処理が完了するまでの期間にバッファした追加制御コマンドを重合処理の対象としている。
これに対して本実施形態の通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する指令処理が完了しているか否かに基づいて、重合処理の対象とする追加制御コマンドを確定している。すなわち、先行制御コマンドに対する受付処理を開始してから指令処理が完了する直前までの期間にバッファした追加制御コマンドを重合処理の対象としている。
各通信制御機器2は、具体的には次のように複合制御コマンドを出力する。
すなわち、先行制御コマンドの受信後から先行制御コマンドに対する指令処理の完了直前までに図2の中間記憶部25に1つ以上の追加制御コマンドをバッファしたとき、先行制御コマンドおよび1つ以上の追加制御コマンドに対する重合処理を実行する。すなわち、先行制御コマンドおよび1つ以上の追加制御コマンドを連結して複合制御コマンドを生成し、この複合制御コマンドを出力する。一方、先行制御コマンドに対する指令処理の完了直前までに追加制御コマンドをバッファしていないとき、複合制御コマンドの生成を行なわない。
図10を参照して、複合制御コマンドの生成パターンおよび非生成パターンについて説明する。なお、図10(a)には生成パターンが、また図10(b)には非生成パターンが示されている。
通信制御機器2による複合制御コマンドの生成パターンは、図10(a)の生成パターンA41〜A43に分類される。また、複合制御コマンドの非生成パターンとしては、図10(b)の非生成パターンB41が該当するものとなる。
各生成パターンA41〜A43および非生成パターンB41の詳細を以下に示す。
(A)生成パターンA41においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中に1つ以上の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。そして、先行制御コマンドに対する指令処理が完了直前のとき、この指令処理を中断する。また、先行制御コマンドに対する受付処理を再び実行し、かつバッファした1つ以上の追加制御コマンドに対する受付処理を実行する。また、先行制御コマンドおよび1つ以上の追加制御コマンドに対する重合処理を実行して複合制御コマンドを生成する。
(B)生成パターンA42においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中に1つ以上の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。そして、先行制御コマンドに対する指令処理が完了直前のとき、この指令処理を中断する。また、先行制御コマンドに対する受付処理を再び実行し、かつバッファした1つ以上の追加制御コマンドに対する受付処理を実行する。また、先行制御コマンドおよび1つ以上の追加制御コマンドに対する重合処理を実行して複合制御コマンドを生成する。
(C)生成パターンA43においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中に1つ以上の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中に1つ以上の追加制御コマンドを受信し、この追加制御コマンドをバッファする。そして、先行制御コマンドに対する指令処理が完了直前のとき、この指令処理を中断する。また、先行制御コマンドに対する受付処理を再び実行し、かつバッファした2つ以上の追加制御コマンドに対する受付処理を実行する。また、先行制御コマンドおよび2つ以上の追加制御コマンドに対する重合処理を実行して複合制御コマンドを生成する。
(D)非生成パターンB41においては、次の手順で通信制御機器2の処理が行なわれる。すなわち、通信制御機器2は、先行制御コマンドに対する受付処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。また、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中においては追加制御コマンドを受信しない。そして、先行制御コマンドに対する指令処理を中断することなく完了させる。すなわち、重合処理を実行することなく先行制御コマンドを出力する。
(実施形態の効果)
本実施形態の通信制御システム1によれば、第1実施形態の(3)〜(5)の効果、および第2実施形態の(6)の効果に準じた効果が得られる。
(第4実施形態)
本実施形態の通信制御システム1は、第1実施形態の通信制御システム1の一部を変更したものとして構成されている。また、その他の点については第1実施形態の通信制御システム1と同様の構成が採用されている。このため、以下では第1実施形態の通信制御システム1と異なる点の詳細を説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
第1実施形態の通信制御システム1においては、入力された制御コマンドを記憶する中間記憶部25が中位機器20に設けられている。これに対して本実施形態の通信制御システム1においては、中間記憶部25が省略され、かつポート記憶部に各制御コマンドを記憶することが可能な中位機器40が中位機器20に代えて設けられている。
図11を参照して、本実施形態の中位機器40の構成について説明する。
中位機器40には、上位機器10と接続するための第1入力ポート41と、下位機器30と接続するための第2入力ポート43とが設けられている。第1入力ポート41には、上位機器10から出力された複数の制御コマンドをバッファするための第1ポート記憶部42が設けられている。第2入力ポート43には、下位機器30から出力された複数の制御コマンドをバッファするための第2ポート記憶部44が設けられている。
中位機器40は、第1入力ポート41および第2入力ポート43に制御コマンドが順次入力されたとき、入力された順に各制御コマンドに番号を付加し、第1入力ポート41と第2入力ポート43とのそれぞれのポート記憶部42,44に制御コマンドを記憶する。そして、付加した番号の順に制御コマンドに対する受付処理を行なう。
(実施形態の効果)
本実施形態の通信制御システム1によれば、第1実施形態の(1)、(2)、(4)、および(5)の効果に加えて以下の効果が得られる。
(7)通信制御システム1においては、第1ポート記憶部42および第2ポート記憶部44が中位機器40に設けられている。また、各ポート記憶部42,44に入力された制御コマンドに対して、中位機器40に入力された順に番号が付加される。この構成によれば、中位機器40に入力された順序に対応する制御コマンドの処理順序が保証される。
(第5実施形態)
本実施形態の通信制御システム1は、第1実施形態の通信制御システム1の一部を変更したものとして構成されている。また、その他の点については第1実施形態の通信制御システム1と同様の構成が採用されている。このため、以下では第1実施形態の通信制御システム1と異なる点の詳細を説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
図12を参照して、本実施形態の通信制御システム1の構成について説明する。
通信制御システム1には、互いに接続された2つの通信制御機器2が設けられている。通信制御機器2としては、設備機器としての第1通信制御機器50と、設備機器としての第2通信制御機器60とが設けられている。また、第1通信制御機器50として照明器具が設けられている。また、第2通信制御機器60として照明器具のリモコンが設けられている。
各通信制御機器2の動作を以下の(A)および(B)に示す。
(A)第1通信制御機器50は、第2通信制御機器60を制御するための制御コマンドを生成する。また、生成した制御コマンドを第2通信制御機器60に出力する。また、第2通信制御機器60から制御コマンドを受信する。また、第1実施形態の通信制御機器2に準じた態様で受付処理、指令処理、応答処理、および重合処理を行なう。
(B)第2通信制御機器60は、第1通信制御機器50を制御する制御コマンドを生成する。また、生成した制御コマンドを第1通信制御機器50に対して出力する。また、第1通信制御機器50から制御コマンドを受信する。また、第1実施形態の通信制御機器2に準じた態様で受付処理、指令処理、応答処理、および重合処理を行なう。
(実施形態の効果)
本実施形態の通信制御システム1によれば、第1実施形態の(1)および(2)の効果に準じた効果が得られる。
(第6実施形態)
上述した実施形態では、照明器具、空調設備等の設備機器と、照明スイッチ、人感センサ、明るさセンサ等の各種センサとを下位機器30として説明した。本実施形態では、上述した通信制御システム1を用いて設備機器としての照明器具を制御する照明制御システムについて説明する。
以下に説明する照明制御システムは、事務所ビルあるいは商業ビルで用いることを想定しているが、病院、ホテル、集合住宅などの建物において使用することを妨げるものではない。すなわち、多数個の照明器具の点灯状態を集中して管理する照明制御システムであればよい。
この照明制御システムは、図13に示すように、第1実施形態において説明した中位機器20である制御ユニットを用いて構築される下位ネットワークと、コントローラ11と管理サーバ12と管理端末13とが含まれる上位ネットワークとを備える。すなわち、コントローラ11、管理サーバ12、および管理端末13は上位機器10に相当する。以下では、「中位機器20」に代えて「制御ユニット20」の用語を用いる。照明制御システムは、上位ネットワークと下位ネットワークとを備える階層化されたネットワークを構築している。
上位機器10を構成するコントローラ11は、制御ユニット20と通信線L4を介して双方向に通信する。上位ネットワークと下位ネットワークとは、制御ユニット20とコントローラ11とを通して相互に情報の伝送を行う。1台のコントローラ11が通信可能である制御ユニット20の台数には制限があり、1台のコントローラ11は、例えば最大で8台の制御ユニット20との通信が可能になっている。
管理サーバ12、コントローラ11、および制御ユニット20は、いずれもマイコンのようにプログラムに従って動作するデバイスを主なハードウェア要素として備える。ここでは、この種のデバイスとして、RISCプロセッサを想定している。
下位機器30は、制御対象である照明器具31と、照明器具31の点灯状態を変化させる契機となる事象を検出する監視装置32とを含む。照明器具31の点灯状態は、点灯および消灯のみであってもよいが、調光可能な照明器具31であれば調光レベルを含み、調色可能な照明器具31であれば発光色を含む。
監視装置32は、人の操作を検出する壁スイッチ321、照明器具31が照明する空間における人の存否を検出する人感センサ322、照明器具31が照明する空間の明るさを検出する明るさセンサ323を想定する。これらの監視装置32は、通信線L1を介して制御ユニット20と接続され、監視装置32が検出した監視情報を制御ユニット20に伝送するために通信機能を備えている。
つまり、壁スイッチ321、人感センサ322、明るさセンサ323は、所定の事象を検出するためのスイッチないしセンサと、検出した事象に対応する監視情報を制御ユニット20に通知する通信機能を備える。壁スイッチ321は人による操作の有無という事象を検出し、人感センサ322は人の存否という事象を検出し、明るさセンサ323は照度が設定範囲か否かという事象を検出する。これらの事象は、いずれも制御対象である照明器具31の点灯状態を変化させるための契機となる事象である。
監視装置32は、照明器具31の点灯状態を変化させるための契機となる事象を検出する構成であれば、上述した例以外の構成であってもよい。例えば、煙センサや炎センサのように防災用のセンサ、個人を認証する認証装置、カメラを用いて人の存在位置や人数を計測するセンサなども、監視装置32として用いることが可能である。
照明器具31は、通信線L3を介して伝送アダプタ33に接続され、伝送アダプタ33は、通信線L2を介して制御ユニット20に接続されている。伝送アダプタ33は、照明器具31との間でDALI(Digital Addressable Lighting Interface)規格に準拠する通信を行う。ただし、伝送アダプタ33を用いるシステム構成は一例であって、伝送アダプタ33は必須ではない。ここでは、1台の伝送アダプタ33は複数系統(ここでは、最大4系統)の通信線L3が接続可能であり、通信線L3の系統ごとに点灯状態を個別に制御可能な照明器具31が複数台(ここでは、最大16台)ずつ接続可能になっている。なお、個別に制御可能な照明器具31の台数は、個別に制御可能な照明器具31の回路数を意味する。したがって、1回路に複数台の照明器具31が含まれている場合でも1台の照明器具31という。
照明器具31の点灯状態は、伝送アダプタ33を通して制御ユニット20から指示を受けることにより制御される。制御ユニット20は、伝送アダプタ33を中継に用いて、制御対象の照明器具31を特定する識別情報と、制御対象の照明器具31に指示する点灯状態とを含む情報を伝送することにより、制御対象の照明器具31の点灯状態を指示する。
通信線L1における通信は、時分割多重伝送によるポーリング方式を基本にし、監視装置32が所定の事象を検出したときに監視装置32から制御ユニット20に割込信号を送信する構成を採用している。つまり、制御ユニット20は、常時は、個々の監視装置32に循環的にアクセスして監視装置32からの要求を順番に処理するが、いずれかの監視装置32から割込信号を受信すると、当該監視装置32が検出した事象に対する応答を割込処理で優先的に行う。このような処理は、割込ポーリング方式と呼ばれ、単純なポーリング方式と比べて事象の検出に対する応答性が高くなる。
制御ユニット20と監視装置32との間の通信線L1は2線式であり、通信線L1を伝送される信号は、極性が交番するベースバンド信号を用いる。監視装置32は、通信線L1を伝送される信号を整流することにより、動作のための電力を得る。また、通信線L1を伝送される信号の1フレームは、各監視装置32を特定するアドレスデータおよび制御データを含む送信帯、監視装置32からの要求を返送する返信帯、フレームの開始位置を示すスタートパルスなどを含む。送信帯に伝送されるアドレスデータ、制御データ、スタートパルスは、通信線L1の線間電圧を変化させる電圧信号が用いられ、返信帯に伝送される信号は、通信線L1の線間のインピーダンスを変化させて電流変化により伝送される電流信号が用いられる。制御データは、照明器具31のオンオフ、調光レベルを含む。
制御ユニット20と伝送アダプタ33との間の信号伝送に用いる通信線L2は、通信専用であってもよいが、ここでは照明器具31に電力を供給する電力線を通信用に兼用している。通信線L2は、配電線を通信線としても用い、電力線搬送通信の技術を用いて制御ユニット20と伝送アダプタ33との間の通信を行っている。
上位ネットワークを構築するコントローラ11と管理サーバ12と管理端末13とは通信線L5を介して情報を伝送する。コントローラ11に接続された通信線L4と通信線L5とは、汎用の規格が用いられる。ここでは、通信線L4および通信線L5を用いる通信の規格は、可変長のパケットを全二重で伝送可能とし、伝送速度が100Mbps程度であるEthernet(登録商標)を想定している。
コントローラ11は、制御ユニット20と通信することにより、監視装置32が検出した事象に対応した照明器具31の点灯状態を指示する制御コマンドを取得する機能を有する。また、コントローラ11は、照明器具31の点灯状態を指示する制御コマンドを集約した後、制御ユニット20に振り分けて通知する機能も有している。コントローラ11の機能は後述する。
管理サーバ12は、サーバコンピュータであって、タイムスケジュールに従ってスケジュール制御を行う機能と、アナンシエータとして照明器具31の動作状態を監視し故障やランプの球切れのような保全監視を行う機能とを有する。また、管理サーバ12は、後述する管理端末13と組み合わせることによって、照明器具31を手動で制御する機能も備える。
タイムスケジュールには、照明器具31の点灯状態を変化させる制御スケジュールと、照明器具31、監視装置32、伝送アダプタ33等に設定された条件を変更する設定スケジュールとの2種類の種別がある。スケジュール制御を行う場合、制御または設定の対象である下位機器30(照明器具31、監視装置32、伝送アダプタ33)を指定する情報と、対象である下位機器30に与える制御コマンドとがタイムスケジュールに含まれる。また、タイムスケジュールは、制御スケジュールあるいは設定スケジュールに含まれる制御コマンドを実施する日時、または実施する開始日時および終了日時の組を含む。制御コマンドは、照明器具31に対する制御内容と、照明器具31、監視装置32、伝送アダプタ33に対する設定内容とのいずれかを含む。
以下では、まず、タイムスケジュールが制御スケジュールである場合について説明し、その後、タイムスケジュールが設定スケジュールである場合について説明する。
管理サーバ12は、現在日時を計時する内蔵時計(リアルタイムクロック)を備える。管理サーバ12は、タイムスケジュールが登録されていると、内蔵時計の日時がタイムスケジュールの日時に一致したときに、タイムスケジュールに設定された制御コマンドをコントローラ11に送信する。タイムスケジュールには、制御スケジュールと設定スケジュールとの種別があるが、管理サーバ12は、制御スケジュールと設定スケジュールとを区別せず、トランザクションの発生順でコントローラ11に制御コマンドを送信する。
管理端末13は、個々の照明器具31の点灯状態、故障や球切れのような保全監視の情報を表示するモニタ装置131と、モニタ装置131に表示する内容を選択するための操作部132とを備えている。ここでは、管理端末13が適宜のプログラムを実行する汎用のコンピュータで実現されている場合を想定しているが、管理端末13は、いわゆるタブレット端末で実現されていてもよい。管理端末13は、モニタ装置131に表示する内容を管理サーバ12から取得し、管理サーバ12を通して操作部52の操作内容を照明器具31の点灯状態に反映させる。そのため、管理端末13は、管理サーバ12から提供されるサービスを閲覧するブラウザ機能を有する。
ところで、照明器具31の制御種別には、照明器具31ごとに1台ずつ点灯状態を指定する「個別制御」と、複数台の照明器具31の点灯状態をまとめて指定する「グループ制御」および「パターン制御」とがある。グループ制御は、まとめて制御される複数台の照明器具31について同じ点灯状態を指定する制御であり、パターン制御は、一斉に制御される複数台の照明器具31について個々に点灯状態を指定する制御である。すなわち、グループ制御を行う場合は、1種類の点灯状態と当該点灯状態とする複数台の照明器具31とが指定される。また、グループ制御では、照明器具31の点灯状態として点灯(オン)と消灯(オフ)とのほかに、調光率や発光色を指定可能にしてもよい。一方、パターン制御は、照明器具31の点灯状態として点灯と消灯とだけが指定可能になる。
管理サーバ12が管理するタイムスケジュールにおいて、制御対象とする照明器具31が、グループ制御あるいはパターン制御である場合には、一斉に制御される複数台の照明器具31の集合に対して付与された名称が用いられる。ここでは、グループ制御の対象になる複数台の照明器具31を指定する名称を「グループ名」と呼び、パターン制御の対象になる複数台の照明器具31を指定する名称を「パターン名」と呼ぶ。グループ名で指定される複数台の照明器具31は、別途に点灯状態を指定してタイムスケジュールを登録する必要がある。一方、パターン名で指定される複数台の照明器具31は、点灯状態がすでに指定されているから、タイムスケジュールにはパターン名のみを登録すればよい。
上述したコントローラ11と管理サーバ12との機能は、物理的には1台のコンピュータで構成されていてもよい。
照明制御システムは、上述したように、上位ネットワークと下位ネットワークとを備えている。したがって、グループ制御およびパターン制御の対象である複数台の照明器具31を、1つの下位ネットワークの範囲内で指定する場合と、複数の下位ネットワークに跨る範囲で指定する場合とがある。
前者の場合、グループ名やパターン名に対応付けられる照明器具31は、1台の制御ユニット20の管理下であるから、グループ名やパターン名と一群の照明器具31との対応付けは、制御ユニット20が行う。後者の場合、グループ名やパターン名に対応付けられる照明器具31が複数台の制御ユニット20で管理されるから、グループ名やパターン名と一群の照明器具31との対応付けは、コントローラ11が行う。
ここで、コントローラ11は複数の制御ユニット20が管理する照明器具31に跨る範囲でグループ制御やパターン制御が可能であるから、管理サーバ12は、1個以上のグループ名の集合や1個以上のパターン名の集合を扱うことが可能である。以下では、グループ名の集合の名称を「コントローラグループ名」と呼び、パターン名の集合の名称を「コントローラパターン名」と呼ぶ。
いま、コントローラグループ名をCGrj、コントローラパターン名をCPtk、グループ名をGrm、パターン名をPtnで表す。ただし、j,k,m,nは自然数である。この符号を用いると、例えば、CGr1=(Gr1,Gr2,Gr4)、CGr2=(Gr4,Gr5,Gr6)のように、1個以上のグループ名で表される照明器具31の集合を、1つのコントローラグループ名CGrjで表すことが可能になる。また、例えば、CPt1=(Pt1,Pt3)、CPt3=(Pt2,Pt4,Pt5)のように、1個以上のパターン名で表される照明器具31の集合を、1つのコントローラパターン名CPtkで表すことが可能になる。
コントローラグループ名とグループ名との対応関係、およびコントローラパターン名とパターン名との対応関係は、コントローラ11に登録される。コントローラ11は、コントローラグループ名を管理サーバ12から受け取ると、コントローラグループ名をグループ名の集合に展開する。また、コントローラ11は、コントローラパターン名を管理サーバ12から受け取ると、コントローラパターン名をパターン名の集合に展開する。コントローラグループ名やコントローラパターン名を展開した後には、コントローラ11が扱う制御コマンドは、グループ制御、パターン制御のいずれかになる。個別の照明器具31とグループ名やパターン名は、制御ユニット20において対応付けられている。
一方、照明器具31の点灯状態は、管理サーバ12が管理するタイムスケジュールだけではなく、監視装置32が検出した監視内容によっても変化する。下位ネットワークの範囲内での照明器具31に対する点灯状態の指示は、制御ユニット20が行うから、制御ユニット20は個々の照明器具31に対して点灯状態を指示しなければならない。一方、複数台の制御ユニット20に跨る制御を行う場合、個々の制御ユニット20では、他の制御ユニット20と連携して照明器具31を制御することはできない。そのため、コントローラ11が設けられているのであって、制御対象である照明器具31が複数台の制御ユニット20に跨って管理されている場合、コントローラ11は、複数の制御ユニット20に制御コマンドを送信する。
管理サーバ12は、タイムスケジュールにおける制御対象を、グループ名やパターン名、あるいはコントローラグループ名やコントローラパターン名として登録している。したがって、コントローラ11は、それぞれの制御ユニット20に通知すべきグループ名やパターン名を取得する。コントローラグループ名やコントローラパターン名は、上述したように展開されるから、コントローラ11は、グループ名およびパターン名のみを扱えばよい。個々のグループ名および個々のパターン名は制御コマンドに相当する。
上述したように、コントローラ11は、制御ユニット20と管理サーバ12とから取得した情報を用いることにより、すべての制御ユニット20に関して、制御対象となる照明器具31を含んでいるか否かを知ることができる。そのため、コントローラ11は、制御ユニット20と管理サーバ12とから取得した制御対象の情報を用いて、制御ユニット20ごとにグループ名およびパターン名(つまり、制御コマンド)を仕分ける機能を有する。
コントローラ11は、制御ユニット20ごとに仕分けたグループ名およびパターン名を、それぞれの制御ユニット20にまとめて送信する。コントローラ11から制御ユニット20へは、コントローラ11が制御情報を受け取った時間順で制御情報がシリアル伝送により伝送される。
このように、グループ名およびパターン名を仕分け、送り先である制御ユニット20ごとにまとめて送る処理を、以下では「まとめ送り処理」という。グループ名およびパターン名は制御コマンドに相当するから、「まとめ送り処理」は、制御コマンドを送信先の制御ユニット20ごとに仕分け、仕分けた制御コマンドを送信先ごとに連結して複合制御コマンドを生成することになる。すなわち、「まとめ送り処理」は、第1実施形態から第5実施形態において説明した「重合処理」に相当する。
「まとめ送り処理」の対象となる制御コマンドは、実施形態1において説明した先行制御コマンドと追加制御コマンドとであって、先行制御コマンドの受信から重合許容期間TXの間にコントローラ11が取得する。例えば、タイムスケジュールによる複数個の制御コマンドが重合許容期間TXの間に入力され、かつ送り先が同じ制御ユニット20である制御情報が含まれている場合、まとめ送り処理がなされる。
コントローラ11から1個のパケットで制御ユニット20に伝送されるペイロードの容量は制限されており、まとめ送り処理によって伝送される情報の情報量が多い場合は、複数のパケットに分割して伝送される。この場合、制御ユニット20は、まとめ送り処理によって複数回に分割されて受け取った情報を、一連のまとまった情報として扱うことが必要になる。
コントローラ11から「まとめ送り処理」によって送信される制御コマンドがグループ名あるいはパターン名を含む場合、制御コマンドを受け取った制御ユニット20は、グループ名あるいはパターン名を、個々の照明器具31の制御内容に展開する。コントローラ11が重合許容期間TXに受け取った制御コマンドから得られるグループ名あるいはパターン名を個々の照明器具31に展開すると、同じ照明器具31が重複して含まれる可能性がある。制御ユニット20は、時間順で受け取った制御コマンドを展開して得られる個々の照明器具31ごとの点灯状態について、時間順で後である点灯状態を有効な指示として扱う。したがって、最終的に、照明器具31と点灯状態(制御内容)とが一対一に対応付けられる。このように、制御コマンドを展開して得られる照明器具31と点灯状態とを一対一に対応付ける処理を「重ね合わせ処理」と呼ぶ。
制御ユニット20において重ね合わせ処理が行われることにより、1台の照明器具31に対して短時間の間に複数の点灯状態が指示されることが防止され、また、通信線L2を伝送される情報量が低減される。
上述したように、コントローラ11は、上述したまとめ送り処理を行って、制御ユニット20ごとに制御要求をまとめて伝送する。つまり、コントローラ11は、制御ユニット20に伝送する制御要求が発生するとすぐに制御ユニット20に伝送するのではなく、所定の重合許容期間TX内に入力された制御要求を、制御ユニット20ごとに仕分けたバッファに一時的に保存する。したがって、1台の制御ユニット20に伝送する制御要求が重合許容期間TX内に複数発生した場合でも、バッファに保存された複数個の制御要求を、パケットとしてまとめて制御ユニット20に伝送することが可能になる。
スケジュール制御について、まとめ送り処理と重ね合わせ処理との概念を図14にまとめて示す。図示例では、管理サーバ12に登録されたタイムスケジュールが、時刻と制御対象との組合せとして表されている。制御対象は、(CGr1,CGr3)、(CGr2,CGr3)などであり、ここではコントローラグループ名で制御対象が表されているものとする。制御対象が(CGr1,CGr3)である「時刻1」になると、コントローラ11に対して、(CGr1,CGr3)の組が送信される。
コントローラ11は、この制御対象(CGr1,CGr3)に対し、まとめ送り処理を行う。すなわち、コントローラグループ名を展開して制御コマンドを抽出した後、制御コマンドを制御ユニット20ごとに仕分けて結合する。図示例では、コントローラグループ名CGr1は、(Gr1,Gr2,Gr4)に展開され、コントローラグループ名CGr3は(Gr1,Gr3,Gr4)に展開されている。ここでは、展開後のグループ名は同じ制御ユニット20に送信される場合を想定し、展開後のグループ名(制御コマンド)を単純に結合し、まとめ送り処理で得られる複合制御コマンドを(Gr1,Gr2,Gr4,Gr1,Gr3,Gr4)としている。複合制御コマンドには、実際には送信先と送信元とを表すヘッダおよび伝送誤りを検出するためのトレーラが付加される。
このような複合制御コマンドが制御ユニット20に送信されると、制御ユニット20では、重ね合わせ処理を行って、照明器具31ごとに点灯状態を一対一に対応付ける。図示例では、照明器具31を識別するための識別情報(アドレスなど)が1,2,…,nとして、識別情報ごとに点灯状態を設定するスロットを有した制御内容バッファのような一時的記憶のための手段を設けている。各スロットに書き込まれる点灯状態は、上書きによって更新され、重合許容期間TXの終了時点においてスロットに書き込まれた点灯状態が照明器具31に指示される。すなわち、制御ユニット20が複合制御コマンドとして受け取ったグループ名の集合を、制御ユニット20において個別の照明器具31の識別情報に展開し、それぞれのスロットの内容に反映させるのである。
以上の処理を行うことによって、照明器具31と点灯状態とが一対一に対応付けられた状態で、点灯状態がそれぞれの照明器具31に指示されることになる。すなわち、制御ユニット20から照明器具31に伝送される情報量が低減され、しかも、照明器具31の点灯状態を指示する情報が短時間内に変化することがない。
ところで、スケジュール制御は、制御スケジュールだけではなく、設定スケジュールにも用いられる。設定スケジュールに関する基本的な処理は、制御スケジュールに関する処理を同様である。例えば、複数台の監視装置32に設けた不揮発性メモリに設定された設定値を一括して変更する場合に備えて、コントローラ11は、照明器具31に付与したグループ名やパターン名と同様のグループ名やパターン名を監視装置32にも設定している。監視装置32に設定される設定値は、例えば、監視装置32が検出する事象に対する閾値などを意味する。
この種の設定値の変更を一括して行う場合、グループ名やパターン名を用いることが可能になっている。また、「まとめ送り処理」や「重ね合わせ処理」も制御スケジュールの場合と同様に行われる。すなわち、コントローラ11は、管理サーバ12から制御コマンドを受け取ると、制御スケジュールの制御コマンドと、設定スケジュールの制御コマンドとに仕分ける。さらに、コントローラ11は、制御スケジュールの制御コマンドと、設定スケジュールの制御コマンドとのそれぞれについて、送信先となる制御ユニット20ごとに仕分けてまとめる。
一方、制御ユニット20は、コントローラ11からまとめ送り処理により送信された制御コマンドを受け取ると、制御コマンドをバッファに一時的に格納し、バッファに格納された制御コマンドの「重ね合わせ処理」を行う。すなわち、制御ユニット20は、時間順で受け取った制御コマンドを展開し、監視装置32と設定値とを一対一に対応させる。このようにして、設定スケジュールについても、制御スケジュールと同様に「重ね合わせ処理」を行って、監視装置32と設定値とを一対一に対応させる。
ところで、制御スケジュールと設定スケジュールとが混在していると、重ね合わせ処理の際に、制御を行う対象と設定値を設定する対象との区別が困難になる。そのため、コントローラ11は、「まとめ送り処理」に際して、タイムスケジュールを制御スケジュールと設定スケジュールとに分離し、制御スケジュールと設定スケジュールとのそれぞれを「まとめ送り処理」の対象とする。
制御スケジュールと設定スケジュールとは、「まとめ送り処理」を行う順番を選択可能にしておくことが望ましい。例えば、管理端末13を操作することにより、制御スケジュールと設定スケジュールとのどちらに対して、優先的に「まとめ送り処理」を行うかを選択可能にしておけばよい。
制御ユニット20は、コントローラ11から「まとめ送り処理」が行われた制御スケジュールまたは設定スケジュールに対応する制御コマンドを受け取ると、受け取った制御コマンドの「重ね合わせ処理」を行って、照明器具31あるいは監視装置32に重ね合わせ後の情報を伝送する。他の構成および動作は第1実施形態から第5実施形態で説明した構成と同様であるから説明を省略する。
(実施形態の効果)
「まとめ送り処理」および「重ね合わせ処理」を行うことにより、通信線L1,L4を伝送される情報量が低減されるから、タイムスケジュールが起動されてから照明器具31の点灯状態に反映されるまでの時間が比較的短くなる。また、複数台の照明器具31を一括して制御する際に、個々の照明器具31の点灯状態が確定するまでの時間差が少なく、違和感が生じにくいという効果が得られる。
(第7実施形態)
第6実施形態では、「まとめ送り処理」と「重ね合わせ処理」とを行う具体例として、スケジュール制御について説明した。すなわち、管理サーバ12の内蔵時計が計時する日時の変化を契機にしてタイムスケジュールに応じた制御コマンドが発生する場合に、「まとめ送り処理」と「重ね合わせ処理」とを行う動作例を説明した。
上述した「まとめ送り処理」と「重ね合わせ処理」とは、複数の照明器具31を連動させて動作させる場合に、複数の監視装置32で検出される複数種類の状態変化を契機として照明器具31を連動させる場合にも適用可能である。
制御ユニット20は、それぞれの監視装置32の状態変化に対応付けて連動させる照明器具31のグループ名やパターン名が登録可能であるから、コントローラ11は、制御ユニット20を通して複数のグループ名やパターン名を受け取る。連動させる制御対象である複数の照明器具31が、複数の制御ユニット20の管理下に跨って存在している場合、スケジュール制御を行う場合と同様に、それぞれの制御ユニット20に仕分けて制御コマンドが送信される。つまり、「まとめ送り処理」が行われる。また、「まとめ送り処理」がなされた制御コマンドを受け取った制御ユニット20は、「重ね合わせ処理」を行って照明器具31と点灯状態とを一対一に対応付ける。
ここに、照明器具31の連動関係は、タイムスケジュールによって動的に変化させてもよい。連動関係を動的に変化させる場合、タイムスケジュールは、連動させる照明器具31の組合せと、照明器具31の点灯状態とが含まれることになる。したがって、連動させる照明器具31の組合せについて制御スケジュールとして管理し、照明器具31の点灯状態を設定スケジュールとして管理すれば、第6実施形態と同様に、スケジュール制御を、制御スケジュールと設定スケジュールとに分けて管理することが可能になる。
「まとめ送り処理」と「重ね合わせ処理」とは、明るさセンサ323が検出している明るさが目標値に保たれるように、照明器具31の光出力をフィードバックする場合にも、適用可能である。例えば、明るさセンサ323が検出する明るさを用いて、複数台の照明器具31の光出力をフィードバック制御する場合に、明るさセンサ323が明るさを検出する範囲の複数台の照明器具31を対応付けることになる。
このような場合に、複数台の照明器具31を一括して制御する必要があるから、明るさセンサ323に対してグループ名やパターン名を対応付けることになる。また、複数台の照明器具31と複数個の明るさセンサ323とが配置されているときには、明るさセンサ323が検出した明るさの組合せに対して、照明器具31の光出力の組合せを変化させるから、複数のグループ制御や複数のパターン制御が同時的に発生する。ここで、明るさセンサ323で検出している明るさをコントローラ11が15秒程度の周期で取得するとすれば、1周期の間に取得した明るさを、個々の照明器具31の光出力に反映させることになる。
したがって、上述のようなフィードバック制御を行う場合にも、コントローラ11から制御ユニット20に送信する制御コマンドには重複や競合が生じる可能性がある。そのため、「まとめ送り処理」を行うことにより、通信線L4を伝送される制御コマンドの情報量を低減させることができる。また、「重ね合わせ処理」を行うことにより、照明器具31に与える指示について、照明器具31と点灯状態とを一対一に対応付けて通信線L1を伝送される情報量を低減させることができる。
コントローラ11は、監視装置32(明るさセンサ323)が取得した監視情報を周期的に取得するから、制御ユニット20による照明器具31のタイミングもコントローラ11が監視装置32からの監視情報を取得する周期と同期させることが望ましい。
本実施形態は、第6実施形態の構成をスケジュール制御以外の連動制御やフィードバック制御に拡張した例を示したものであって、他の構成および動作は第6実施形態と同様である。
(その他の実施形態)
本発明の実施態様は第1実施形態から第7実施形態として説明した実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示すように変更することもできる。また以下の各変形例は、第1実施形態から第7実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
第1実施形態(図3)では、重合許容期間TXとして予め設定された値が継続して用いられるが、重合許容期間TXを通信制御システム1の稼働中において変更することもできる。この場合の例としては以下のものが挙げられる。
(A)単位時間あたりに1つの通信制御機器2に入力される追加制御コマンドの数に基づいて、重合許容期間TXの長さを変更する。また、追加制御コマンドの数が多くなるにつれて重合許容期間TXを長くする。
(B)各通信制御機器2の間の通信量に基づいて、重合許容期間TXの長さを変更する。また、各通信制御機器2の間の通信量が多くなるにつれて重合許容期間TXを長くする。
第2実施形態(図9)では、重合処理の対象とする追加制御コマンドを確定するタイミングとして、先行制御コマンドに対する指令処理の完了直前が設定されているが、このタイミングは第2実施形態に例示された内容に限られるものではない。例えば、先行制御コマンドに対する指令処理の実行中において、この指令処理の中間時期を上記タイミングとして設定することもできる。
第4実施形態(図11)では、各制御コマンドに対して中位機器40に入力された順の番号が付加されるが、図15に示されるように、各制御コマンドが中位機器40に入力された時刻を各制御コマンドに対して付加することもできる。この場合には、付加された時刻の順に制御コマンドの受付処理を行う。
第5実施形態(図12)では、第1通信制御機器50として照明器具が設けられ、第2通信制御機器60として照明器具のリモコンが設けられているが、各通信制御機器50,60の具体的構成は第5実施形態に示される例に限られるものではない。他の具体的構成として例えば以下のものが挙げられる。
(a)第1通信制御機器50として照明器具を設ける。また、第2通信制御機器60として照明器具のセンサを設ける。
(b)第1通信制御機器50として照明器具を設ける。また、第2通信制御機器60として照明器具を設ける。
(c)第1通信制御機器50として空調装置を設ける。また、第2通信制御機器60として空調装置のリモコンを設ける。
(d)第1通信制御機器50として空調装置を設ける。また、第2通信制御機器60として空調装置のセンサを設ける。
(e)第1通信制御機器50として空調装置を設ける。また、第2通信制御機器60として空調装置を設ける。
第1実施形態から第4実施形態(図1)では、下位機器30から中位機器20,40に対する制御コマンドの指令処理が「通信量制限制御」により禁止されるが、「通信量制限制御」の内容を次のように変更することもできる。すなわち、「通信量制限制御」の実行により以下の(A)〜(E)の少なくとも1つの制御コマンドに対する指令処理を禁止することもできる。
(A)下位機器30から中位機器20,40に対する指令処理。
(B)上位機器10から中位機器20,40に対する指令処理。
(C)中位機器20,40から下位機器30に対する指令処理。
(D)中位機器20,40から上位機器10に対する指令処理。
(E)中位機器20,40から他の中位機器20,40に対する指令処理。
第1実施形態から第4実施形態(図1)において、下位機器30から中位機器20,40に対する制御コマンドの指令処理を禁止することに代えてまたは加えて、制御コマンドの生成を禁止することもできる。