JP3576520B2 - 並列処理方式空調制御通信装置、並列処理方式空調制御通信方法、及び並列処理方式空調制御通信プログラム - Google Patents

並列処理方式空調制御通信装置、並列処理方式空調制御通信方法、及び並列処理方式空調制御通信プログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビルに備えられた空調設備を集中管理して、運転制御を行う並列処理方式空調制御通信装置、並列処理方式空調制御通信方法、及び並列処理方式空調制御通信プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からビル内に備えられた空調設備を制御するネットワークは、パッケージエアコン専用に開発された通信プロトコルを採用しており、パッケージエアコンを製造するメーカは、それぞれ、独自に専用通信プロトコルを開発して実装しているのが現状である。
本来、この空調用制御通信プロトコルは、パッケージエアコンの室内機と室外機の間の制御データの交換を目的として開発されたものであるため、通信速度が高速である必要はなく、通常、1秒位の時間以内で相手の機器に伝達されれば十分である。また、伝達される情報は、コンピュータネットワークとは異なり文書情報でなく空調機器制御情報であるので、センサーの入力値やアクチュエータを制御するための出力値といった内容であり、一項目が約数バイトで表現できる情報量となっている。また、空調用制御ネットワークに接続されるパッケージエアコンの室内機は、低コストが要求されるため、センサー入力、アクチュエータ出力、空調制御演算、制御ネットワーク通信等の全ての処理を一個のワンチップマイコンで行う必要がある。したがって、このような空調用制御ネットワーク専用通信プロトコルは、ワンチップマイコンの一つの処理として実行可能な程度の、速度、メモリ容量のものである必要がある。
【0003】
すなわち、速度としてはワンチップマイコンの内蔵のシリアル通信機能で実現できるビットレートである、9600bps以下、また、通信プロトコルプログラムの大きさは数キロバイト程度でなければならない。また、各メーカ独自の空調制御ネットワークの通信プロトコルを決めてしまうと、市場で使用する場合の組合せ、互換性の点から、通信プロトコルの変更はできなくなってしまっている。したがって、現時点からみると通信速度が比較的遅い通信プロトコルでも、使い続けなければならないという事情がある。
【0004】
図4は、従来技術による空調制御システムの構成を示すブロック図である。図4において、符号1は、ビルに備えられた設備(空調、照明、エレベータ等)の各機器を制御するビル管理ホストコンピュータ(以下、ビル管理ホストと称する)である。符号2は、各機器を接続するビル管理通信ネットワークである。符号3は、ビル管理ホスト1と各機器の間を取り持つ通信装置である。符号4は、通信装置3の外部から供給される商用電源である。符号5は、通信装置3の筐体内に備えられたパワーサプライである。符号6は、ビル管理ホスト1からの指示に応じて、各機器を制御する通信ノードであり、基板上に実装されている。符号7は、ビル管理通信ネットワーク2と異なるネットワークとを接続するためのネットワーク接続ポイントである。符号8は、空調設備専用の空調制御ネットワークであり、ネットワーク接続ポイントに接続される。符号90〜9mは、空調システムの室内機であり、空調制御ネットワーク8を介して、運転制御の指示を受取り、この指示に基づいて運転が行われる。
【0005】
次に、空調制御ネットワーク8の通信プロトコルについて説明する。図4に示す空調制御ネットワーク8の通信プロトコルは以下の通りである。
(1)通信速度(ビットレート):9600bps
(2)通信アクセス制御方式:CSMA/CD(衝突検知方式)
(3)パケットフォーマット:宛先アドレス+発信アドレス+データ長+データ+チェックサム
(4)データ:(コマンドコード+オペレーションコード)×複数セット
【0006】
コマンドコードとオペレーションコードは、パッケージエアコンの制御情報に特化してコマンドセットを予め定義されている。また、なるベく少ないバイト数で制御情報を表現できるようにしてあり、1バイトのコマンドコードと1バイト又は2バイトのオペレーションコードの組み合わせで一つの制御データを表現できるように以下のような構成となっている。すなわち、それぞれのコマンドコードに対して、複数のオペレーションコードが規則的に定義されている。
【0007】
Figure 0003576520
ここで、「xxh」は2桁の16進数であることを示す(1バイトに相当する)。
【0008】
このように、(コマンドコード+オペレーションコード)は2バイトから構成されるので、一つの通信パケットに複数組の(コマンドコード+オペレーションコード)を含めても、通信パケットの総バイト数は約10バイト程度で済んでしまうのが普通である。空調制御ネットワーク8のビットレートは9600bpsなので1バイトが約1msecとなり、一般的に1パケットは約10msec程度の占有時間となる。このように、空調制御ネットワーク8の通信プロトコルはパッケージエアコンの室内外機間通信に特化され、低速であるが1パケットが短く、独自のコマンドコードとオペレーションコードにより制御データを伝送するという特徴を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、空調制御ネットワーク8は低コスト化と長期使用という制約のため、現時点においては9600bpsという比較的通信速度が遅いものが使用されている。パッケージエアコンの室内機と室外機間のみの通信においては、9600bpsであれば十分な速度であるが、近年用いられているビル管理通信ネットワーク2の速度は78Kbpsが主流になりつつあり、空調制御ネットワーク8の速度と比較すると約10倍の差がある。
【0010】
大規模なビルにおいて、全てのフロアのパッケージエアコン室内機を緊急停止する場合のように、空調設備への通信が集中した場合、ビル管理ホスト1が一台一台の空調システム室内機90〜9mに停止指令を出していき、通信装置3から一台一台の停止状態報告により、ビル管理ホスト1の画面に停止状態を表示していかなければならない。したがって、この状態報告の応答が遅いと、オペレータがフロア全点停止結果が表示されるまで長い時間待機しなければならない。
図4に示すビル管理システムにおいては、通信装置3までは高速に各室内機に対する停止指令を送信することができるが、通信装置3より下位の空調制御ネットワーク8の通信プロトコルは通信速度が遅いため、通信装置3内の通信ノード6がボトルネックになってしまうという問題がある。また、ビル管理ホスト1は、パケットの送信後の所定時間(例えば、10秒)だけ待っても応答がない場合、タイムアウトと判断してしまい、ビル管理ホスト1は再送を試みなければならなくなるため、さらにトラフィックが増大し、さらに通信の渋滞が悪化してしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、通信プロトコルの異なる通信ネットワークを介して、空調設備の制御を行う場合に、通信トラフィックを増大させること無く適切に空調設備の制御を行うことが可能な並列処理方式空調制御通信装置、並列処理方式空調制御通信方法、及び並列処理方式空調制御通信プログラムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、ビルに備えられた設備を遠隔集中制御するビル管理ホストコンピュータからの指示に応じて、空調設備の運転制御を行う並列処理方式空調制御通信装置であって、前記並列処理方式空調制御通信装置は、前記ビル管理ホストコンピュータが接続されたビル管理の基幹ネットワークであり、第1の通信プロトコルが用いられるビル管理通信ネットワークと、前記空調設備が接続され、前記ビル管理通信ネットワークと異なるプロトコルであって前記第1の通信プロトコルの通信速度より低速である第2の通信プロトコルが用いられる空調制御ネットワークと、前記第1の通信プロトコルを用いて前記ビル管理通信ネットワークを介して受信した制御コマンドを、前記第2の通信プロトコルの制御コマンドに変換して前記空調制御ネットワークを介して前記空調設備に対して送信する通信ノードを実装した通信装置とを備え、前記通信装置は、前記第1の通信プロトコルを用いて、前記ビル管理ホストコンピュータと通信を行うビル管理通信プロセッサと、前記第2の通信プロトコルを用いて、前記空調制御ネットワークと通信を行う空調通信プロセッサと、前記ビル管理通信プロセッサと前記空調通信プロセッサ間をプロトコルの変換を行う通信プロセッサ間インタフェースとからなる通信ノードが複数実装されてなり、前記ビル管理通信プロセッサにおいて受信した複数の制御コマンドを一つのパケットにして所定の時間間隔で送信し、空調設備の制御処理を分散させることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記通信装置は、前記複数の通信ノードを1つの筐体に実装し、前記ビル管理通信ネットワーク及び空調制御ネットワークとの接続端子がそれぞれ一つであることを特徴とする。
【0017】
請求項に記載の発明は、前記ビル管理通信プロセッサは、前記ビル管理ホストコンピュータにおいて設定されたネットワーク変数が結合され、この結合されたネットワーク変数に基づいて空調設備の制御を行うことを特徴とする。
【0019】
請求項に記載の発明は、ビルに備えられた設備を遠隔集中制御するビル管理ホストコンピュータからの指示に応じて、空調設備の運転制御を行う並列処理方式空調制御通信方法であって、前記並列処理方式空調制御通信方法は、前記ビル管理ホストコンピュータが接続されたビル管理の基幹ネットワークであり、第1の通信プロトコルが用いられるビル管理通信ネットワークを介して制御コマンドを受信する過程と、前記制御コマンドを、前記空調設備が接続され、前記ビル管理通信ネットワークと異なるプロトコルであって前記第1の通信プロトコルの通信速度より低速である第2の通信プロトコルが用いられる空調制御ネットワークの制御コマンドに変換する過程と、前記空調設備に対して変換した制御コマンドを送信する過程とを有し、前記各過程は、前記第1の通信プロトコルを用いて、前記ビル管理ホストコンピュータと通信を行うビル管理通信プロセッサと、前記第2の通信プロトコルを用いて、前記空調制御ネットワークと通信を行う空調通信プロセッサと、前記ビル管理通信プロセッサと前記空調通信プロセッサ間をプロトコルの変換を行う通信プロセッサ間インタフェースとからなる複数の通信ノードが前記ビル管理通信プロセッサにおいて受信した複数の制御コマンドを一つのパケットにして所定の時間間隔で送信して処理を並列で同時に行うことを特徴とする。
【0021】
請求項に記載の発明は、ビルに備えられた設備を遠隔集中制御するビル管理ホストコンピュータからの指示に応じて、空調設備の運転制御を行う並列処理方式空調制御通信プログラムであって、前記並列処理方式空調制御通信プログラムは、前記ビル管理ホストコンピュータが接続されたビル管理の基幹ネットワークであり、第1の通信プロトコルが用いられるビル管理通信ネットワークを介して制御コマンドを受信する処理と、前記制御コマンドを、前記空調設備が接続され、前記ビル管理通信ネットワークと異なるプロトコルであって前記第1の通信プロトコルの通信速度より低速である第2の通信プロトコルが用いられる空調制御ネットワークの制御コマンドに変換する処理と、前記空調設備に対して変換した制御コマンドを送信する処理とからなり、前記各処理は、前記第1の通信プロトコルを用いて、前記ビル管理ホストコンピュータと通信を行うビル管理通信プロセッサと、前記第2の通信プロトコルを用いて、前記空調制御ネットワークと通信を行う空調通信プロセッサと、前記ビル管理通信プロセッサと前記空調通信プロセッサ間をプロトコルの変換を行う通信プロセッサ間インタフェースとからなる複数の通信ノードが前記ビル管理通信プロセッサにおいて受信した複数の制御コマンドを一つのパケットにして所定の時間間隔で送信して処理を並列で同時にコンピュータに行わせることを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態による並列処理方式空調制御通信装置を図面を参照して説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、図4に示す従来の装置と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。この図に示す装置が従来の装置と異なる点は、通信装置3に替えて複数の通信ノード61〜6nが同一の筐体に実装された通信装置31が設けられている点である。この通信装置31に実装されている通信ノード61〜6nは、並列に接続するために通信装置31の筐体内に内部ネットワーク接続N1、N2が備えられており、各通信ノードのそれぞれが相互に通信を行うことが可能である。また、通信装置31内に実装されている通信ノード61は、マスターノードに設定されている。 なお、図1においては、通信ノード61〜6nをそれぞれ1枚の基板に実装して、n枚の基板を並列に接続するようにしたが、全て(n個)の通信ノード61〜6nを1枚の基板のみに実装するようにしてもよい。
【0024】
次に、図2を参照して、図1に示す並列処理方式空調制御通信装置の空調設備制御動作を説明する。図2は、図1に示す通信ノード61の構成を示す説明図である。この図において、符号61aは、ビル管理通信ネットワーク2の通信プロトコルを用いて通信処理を行うビル管理通信プロセッサである。符号61bは、空調制御ネットワーク8の通信プロトコルを用いて通信処理を行う空調通信プロセッサである。空調通信プロセッサ61b内には、通信ノード61が制御を担う空調システム室内機90〜9mの数だけ空調制御通信予約テーブルTRT0〜TRTm(図2においては、TRT0とTRT1のみを図示)が設けられている。符号61cは、ビル管理通信プロセッサ61aと空調通信プロセッサ61bとを接続するための通信プロセッサ間インタフェースである。
【0025】
前述したように、空調制御ネットワーク8の通信プロトコルは、各コマンドコード毎にオペレーションコードが規則的に定義されているので、各空調制御コマンドコードを行列の「行」、各オペレーションコードを「列」としたテーブルとすることができ、これが空調制御通信予約テーブルTRT0〜TRTmである。この「行」と「列」で定義される行列の要素を「コマンドセル」と呼ぶ。
【0026】
まず、空調通信プロセッサ61bは、ビル管理通信プロセッサ61aからのネットワーク変数(例えば、OnOffCmd_1)を読み出すたびに、そのネットワーク変数から空調制御通信コマンドに変換して、該当する空調システム室内機90〜9m宛の空調制御通信予約テーブルのうちテーブルTRT1の該当するコマンドセルに送信予約の意味で「送信予約ビット=▲1▼」を書込む。
【0027】
一方、空調通信プロセッサ61bは、一定周期で、空調制御通信予約テーブルTRT0〜TRTmを順次スキャンし、空調制御通信予約テーブル毎に送信予約ビットが立っているコマンドセルを集めて通信パケットを送信バッファ内に組立てる。例えば、図2に示すように、コマンドコード「01h」,オペレーションコード「01h」とコマンドコード「02h」,オペレーションコード「00h」の2つのコマンドの送信予約ビットが一定周期の時間内に書き込まれたとすると、送信バッファには、「PAC_1(宛先アドレス)」、(中略)、「01h,01h」、「02h,00h」というパケットが組み立てられる。
【0028】
そして、空調通信プロセッサ61bは、送信バッファ内のパケットを空調制御ネットワーク8へ送信する。これによって、一定周期時間に受信したコマンドを1つにまとめて送信バッファ内に組み立てられたパケットが順次送信されることとなる。この送信バッファから送信される一定周期の時間は、ビル管理ホスト1からの指令が各フロアの空調システム室内機90〜9mの運転に反映されるまでの許容される遅れ時間を設定すればよく、通常、数秒オーダーは許容されため、数秒オーダに設定する。
【0029】
空調制御用の通信パケットは、宛先毎に発信する必要があるが、そのパケットのデータ部には複数のコマンドセットを入れることができるため、例えば、所定の空調システム室内機に対して、「運転;ON」、「運転モード;冷房」、「設定温度;25℃」、「リモコン操作;禁止」という制御情報を一つの通信パケットにパッキングすることができる。したがって、ビル管理ホスト1から、室内機1号機に「運転;ON」、室内機2号機に「運転;ON」、…、室内機1号機に「運転モード;冷房」、室内機2号機に「運転モード;冷房」‥、という順序でネットワーク変数に対してデータが到着したとしても、空調通信プロセッサ61bが順序に関わりなく、各空調システム室内機毎に複数の制御コマンドをパッキングして空調制御用通信パケットを組立てて送信するため、空調制御ネットワーク8の送信パケット総数を節約することができる。
【0030】
このようにすることによって、一定周期時間内では、ビル管理通信プロセッサ61aにおけるネットワーク変数のデータ到着順序によらず、空調制御ネットワーク8の宛先毎に、まとめて送信パケットを組立てられるため、送信回数を削減することができる。また、空調通信プロセッサ61bは、ネットワーク変数から空調制御通信コマンドにマッピングする際、空調制御通信予約テーブルの該当コマンドセルにビットを立てるだけなので、コマンド文字列を並べてリンクする方法よりも、高速に処理することが可能である。さらに、通信ノードを複数備えて、処理を分散させたため、通信の集中にボトルネックを解消することができる。さらに、通信速度の異なる2つの通信プロトコルのネットワークを介しても効率よく多くの空調制御コマンドを一度に送信することができる。したがって、遅いビットレートの空調制御ネットワーク8の通信回線を最大限に利用して、通信ノード内の通信ボトルネックを解消することができる。
【0031】
空調設備の制御を行うためには、ビル管理通信プロセッサ61aのネットワーク変数からデータを受け取る度に、宛先アドレス、送信元アドレス、データ長の計算、データ部にコマンド+オペレーションコードの文字列を代入、チェックサムの計算という空調制御通信パケットを組立てる処理が必要である。また、送信パケットを組立てた後も、ネットワーク回線アイドル検出、パケット送信衝突検知、バックオフアルゴリズム実行、送出、自送信読込みなどからなる一連の送出処理ルーチンを実行する必要があり、ワンチップマイコンの限られたCPU処理能力の大きな割合を占めてしまい、空調通信プロセッサ61bのパフォーマンスを落してしまう。しかし、図2に示す動作によれば、空調制御通信予約テーブルヘの書込み・読み出しは、予約ビットの書込み・読み出しであるため、ワンチップマイコンでも高速に実行できて、CPU占有時間も無視できる程度とすることができる。また、前述したように、通信パケットの組立てと送出はCPU時間を多く必要とするため、一つのパケットに複数のコマンドをパッキングして、送出処理を実行する回数を削減することにより、空調通信プロセッサ61bのCPU占有時間を節約できる。この節約した時間をビル管理通信プロセッサ61aからのネットワーク変数読み出し処理に配分することができる。これは結果的に、ビル管理通信プロセッサ61aから空調通信プロセッサ61bヘのデータ伝送が高速(頻繁に読み出す)となるので、全体のボトルネックを解消することができる。
【0032】
次に、図3を参照して、ネットワーク変数を設定することにより、空調設備全体を強制停止する動作を説明する。空調設備全体の強制停止は、火災などの緊急時になるベくすばやく全パッケージエアコンを停止させて、かつ、以後解除するまで、居住者がリモコンから運転することを禁止する場合などに用いるものであり、非常時において全パッケージエアコンを停止させるための並列処理方式空調制御通信装置通信の通信量を削減するためのものである。
【0033】
まず、ビル管理ホスト1内に定義されているネットワーク変数「SystemOff」に「強制停止」をセットする。このネットワーク変数「SystemOff」は「全体停止コマンド」に対応している。一方、マスターノードである通信ノード61にのみ、ネットワーク変数「SystemOff」は設定されている。同一のネットワーク(ここでは、ビル管理通信ネットワーク2)内において、同名のネットワーク変数は、結合されているため、異なる機器間でネットワーク変数の内容を共有することができる。したがって、ビル管理ホスト1は、自己の出力ネットワーク変数である「SystemOff」に、「強制停止」を書込めばその変数が結合されている通信ノード61のネットワーク変数「SystemOff」に「強制停止」がコピーされる。これを受けて、マスターノードである通信ノード61の空調通信プロセッサ61bはビル管理通信プロセッサ61aから「全体停止コマンド」信号を読み出して、現状の各空調システム室内機90〜9mの運転状態をメモリした後、空調制御ネットワーク8の通信パケットを順次送信する。これによって、空調設備全体が停止する。
【0034】
一方、マスターノードである通信ノード61のネットワーク変数「SystemOff」に「強制停止解除」が書込まれると、強制停止時にメモリされていた運転状態の情報に基づいて、各空調システム室内機90〜9mの強制停止直前の運転状態設定に戻すベく、運転モード、設定温度、リモコン操作許可、などの空調制御コマンドを各空調システム室内機90〜9mに対して順次送信する。これによって、強制停止直前の空調運転状態に戻される。
【0035】
このように、マスターノードに設定されている通信ノード61が、他の空調システム室内機90〜9mに対して、それぞれ停止、リモコン操作禁止などの制御コマンドを送信するようにしたため、複数のネットワーク変数から制御データを空調通信プロセッサ61bが順次読み出していく必要が無く、一つのネットワーク変数「SystemOff」を読むだけ済み、この結果、ビル管理通信を行うためのネットワーク変数の数を節約することができるとともに、ビル管理を行うための通信トラフィックを削減することができる。また、ビル管理通信プロセッサ61aと空調通信プロセッサ61bとの間のプロセッサ間インタフェースの伝送回数も削減することができる。
【0036】
なお、図1における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより空調制御処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0037】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、通信プロトコルの異なる通信ネットワークを介して、空調設備の制御を行う場合に、通信トラフィックを増大させること無く適切に空調設備の制御を行うことが可能になるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す通信ノード61の動作を示す説明図である。
【図3】ネットワーク変数の構成を示す説明図である。
【図4】従来技術によるビル管理システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1・・・ビル管理ホスト
2・・・ビル管理通信ネットワーク
3・・・通信装置
4・・・商用電源
5・・・パワーサプライ
6・・・通信ノード
7・・・ネットワーク接続ポイント
8・・・空調制御ネットワーク
90〜9m・・・空調システム室内機
31・・・通信装置
61〜6n・・・通信ノード
N1、N2・・・内部ネットワーク接続

Claims (5)

  1. ビルに備えられた設備を遠隔集中制御するビル管理ホストコンピュータからの指示に応じて、空調設備の運転制御を行う並列処理方式空調制御通信装置であって、
    前記並列処理方式空調制御通信装置は、
    前記ビル管理ホストコンピュータが接続されたビル管理の基幹ネットワークであり、第1の通信プロトコルが用いられるビル管理通信ネットワークと、
    前記空調設備が接続され、前記ビル管理通信ネットワークと異なるプロトコルであって前記第1の通信プロトコルの通信速度より低速である第2の通信プロトコルが用いられる空調制御ネットワークと、
    前記第1の通信プロトコルを用いて前記ビル管理通信ネットワークを介して受信した制御コマンドを、前記第2の通信プロトコルの制御コマンドに変換して前記空調制御ネットワークを介して前記空調設備に対して送信する通信ノードを実装した通信装置とを備え、
    前記通信装置は、
    前記第1の通信プロトコルを用いて、前記ビル管理ホストコンピュータと通信を行うビル管理通信プロセッサと、前記第2の通信プロトコルを用いて、前記空調制御ネットワークと通信を行う空調通信プロセッサと、前記ビル管理通信プロセッサと前記空調通信プロセッサ間をプロトコルの変換を行う通信プロセッサ間インタフェースとからなる通信ノードが複数実装されてなり、
    前記ビル管理通信プロセッサにおいて受信した複数の制御コマンドを一つのパケットにして所定の時間間隔で送信し、空調設備の制御処理を分散させることを特徴とする並列処理方式空調制御通信装置。
  2. 前記通信装置は、
    前記複数の通信ノードを1つの筐体に実装し、前記ビル管理通信ネットワーク及び前記空調制御ネットワークとの接続端子がそれぞれ一つであることを特徴とする請求項1に記載の並列処理方式空調制御通信装置。
  3. 前記ビル管理通信プロセッサは、
    前記ビル管理ホストコンピュータにおいて設定されたネットワーク変数が結合され、この結合されたネットワーク変数に基づいて空調設備の制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の並列処理方式空調制御通信装置。
  4. ビルに備えられた設備を遠隔集中制御するビル管理ホストコンピュータからの指示に応じて、空調設備の運転制御を行う並列処理方式空調制御通信方法であって、
    前記並列処理方式空調制御通信方法は、
    前記ビル管理ホストコンピュータが接続されたビル管理の基幹ネットワークであり、第1の通信プロトコルが用いられるビル管理通信ネットワークを介して制御コマンドを受信する過程と、
    前記制御コマンドを、前記空調設備が接続され、前記ビル管理通信ネットワークと異なるプロトコルであって前記第1の通信プロトコルの通信速度より低速である第2の通信プロトコルが用いられる空調制御ネットワークの制御コマンドに変換する過程と、
    前記空調設備に対して変換した制御コマンドを送信する過程とを有し、
    前記各過程は、前記第1の通信プロトコルを用いて、前記ビル管理ホストコンピュータと通信を行うビル管理通信プロセッサと、前記第2の通信プロトコルを用いて、前記空調制御ネットワークと通信を行う空調通信プロセッサと、前記ビル管理通信プロセッサと前記空調通信プロセッサ間をプロトコルの変換を行う通信プロセッサ間インタフェースとからなる複数の通信ノードが前記ビル管理通信プロセッサにおいて受信した複数の制御コマンドを一つのパケットにして所定の時間間隔で送信して処理を並列で同時に行うことを特徴とする並列処理方式空調制御通信方法。
  5. ビルに備えられた設備を遠隔集中制御するビル管理ホストコンピュータからの指示に応じて、空調設備の運転制御を行う並列処理方式空調制御通信プログラムであって、
    前記並列処理方式空調制御通信プログラムは、
    前記ビル管理ホストコンピュータが接続されたビル管理の基幹ネットワークであり、第1の通信プロトコルが用いられるビル管理通信ネットワークを介して制御コマンドを受信する処理と、
    前記制御コマンドを、前記空調設備が接続され、前記ビル管理通信ネットワークと異なるプロトコルであって前記第1の通信プロトコルの通信速度より低速である第2の通信プロトコルが用いられる空調制御ネットワークの制御コマンドに変換する処理と、
    前記空調設備に対して変換した制御コマンドを送信する処理とからなり、
    前記各処理は、前記第1の通信プロトコルを用いて、前記ビル管理ホストコンピュータと通信を行うビル管理通信プロセッサと、前記第2の通信プロトコルを用いて、前記空調制御ネットワークと通信を行う空調通信プロセッサと、前記ビル管理通信プロセッサと前記空調通信プロセッサ間をプロトコルの変換を行う通信プロセッサ間インタフェースとからなる複数の通信ノードが前記ビル管理通信プロセッサにおいて受信した複数の制御コマンドを一つのパケットにして所定の時間間隔で送信して処理を並列で同時にコンピュータに行わせることを特徴とする並列処理方式空調制御通信プログラム。
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