JP5907563B2 - アミロイドβ神経障害バイオマーカー - Google Patents

アミロイドβ神経障害バイオマーカー Download PDF

Info

Publication number
JP5907563B2
JP5907563B2 JP2012548738A JP2012548738A JP5907563B2 JP 5907563 B2 JP5907563 B2 JP 5907563B2 JP 2012548738 A JP2012548738 A JP 2012548738A JP 2012548738 A JP2012548738 A JP 2012548738A JP 5907563 B2 JP5907563 B2 JP 5907563B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mfg
alzheimer
disease
protein
antibody
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012548738A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2012081433A1 (ja
Inventor
康夫 小海
康夫 小海
仁 相馬
仁 相馬
今井 伸一
伸一 今井
圭代 松本
圭代 松本
成寿 木村
成寿 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sapporo Medical Univ
Original Assignee
Sapporo Medical Univ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sapporo Medical Univ filed Critical Sapporo Medical Univ
Publication of JPWO2012081433A1 publication Critical patent/JPWO2012081433A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5907563B2 publication Critical patent/JP5907563B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/68Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
    • G01N33/6893Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids related to diseases not provided for elsewhere
    • G01N33/6896Neurological disorders, e.g. Alzheimer's disease
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/68Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
    • G01N33/6803General methods of protein analysis not limited to specific proteins or families of proteins
    • G01N33/6806Determination of free amino acids
    • G01N33/6812Assays for specific amino acids
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2333/00Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
    • G01N2333/435Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from animals; from humans
    • G01N2333/46Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from animals; from humans from vertebrates
    • G01N2333/47Assays involving proteins of known structure or function as defined in the subgroups
    • G01N2333/4701Details
    • G01N2333/4709Amyloid plaque core protein
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2800/00Detection or diagnosis of diseases
    • G01N2800/28Neurological disorders
    • G01N2800/2814Dementia; Cognitive disorders
    • G01N2800/2821Alzheimer

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Neurosurgery (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Bioinformatics & Computational Biology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Description

本発明は,アルツハイマー病などのアミロイドβ神経障害を検査するためのバイオマーカーに関する。
アルツハイマー病は進行性の神経変性性疾患であり,βアミロイドと呼ばれる不溶性繊維状蛋白質の脳内の蓄積により特徴付けられる。アルツハイマー病の診断方法としては,脳脊髄液中の特定の蛋白質の検出,血液中の特定の蛋白質やリポ蛋白質の検出,遺伝子多型を含む遺伝的変異の検出など,様々な方法が提案されている。しかしながら,これまでのところ,末梢血を用いる簡便・有効な診断方法は実用化されていない。
J Neuroimmune Pharmacol (2008) 3:246-256
本発明の目的は,アルツハイマー病などのアミロイドβ神経障害を検査するための新規なバイオマーカーを提供することである。
本発明者らは,脳生体膜を模倣した磁性ナノリポソームを用いて,認知症モデルであるマウス初代神経培養細胞の培養上清中に存在するタンパク質群を探索したところ,Ca2+依存的にホスファチジルセリンに結合する蛋白質としてMFG-E8が同定された。さらに,アルツハイマー病患者においてMFG-E8蛋白質のレベルが上昇していることを発見し,MFG-E8がアルツハイマー病のバイオマーカーとなりうることを見いだした。
すなわち,本発明は,アルツハイマー病を検査するための方法であって,被験者または被検動物から得た血液,血清または血漿試料中のMFG-E8蛋白質の量を測定し,得られた測定値をアルツハイマー病の診断の指標とすることを特徴とする方法を提供する。好ましくは,アルツハイマー病はアミロイドβ蛋白質の蓄積が進行していない段階で診断される。また好ましくは,MFG-E8蛋白質の量は抗MFG-E8抗体を用いて測定される。
本発明はまた,抗MFG-E8抗体を含むアルツハイマー病の検査薬を提供する。本発明はさらに,抗MFG-E8抗体と,抗MFG-E8抗体と結合したMFG-E8蛋白質を検出するための試薬とを含むアルツハイマー病の検査キットを提供する。
別の態様においては,本発明は,アルツハイマー病の治療薬の候補物質を選択する方法を提供する。この方法は,アルツハイマー病のモデル細胞またはモデル動物に試験物質を投与し,前記モデル細胞の培養液中または前記モデル動物から得た試料中のMFG-E8蛋白質の量を測定し,そして,試験物質を投与したときに投与していないときと比較してMFG-E8蛋白質の量が低い場合に,その試験物質をアルツハイマー病の治療薬の候補物質として選択する,の各工程を含む。
本発明にしたがえば,アルツハイマー病の発症を簡便な方法により検査することができる。
図1は,マウスおよびヒトMFG-E8の構造を示す。 図2は,培養上清中のCa2+依存的にナノリポソームに結合する分画のSDS-PAGEの結果を示す。 図3は,ウエスタンブロットによるMFG-E8の発現量の測定の結果を示す。 図4は,健常老人対AD患者の血漿中MFG-E8濃度のROC曲線を示す。
本発明は,被験者の血液などの被検試料におけるMFG-E8の発現量を測定することにより,アルツハイマー病を診断する方法を特徴とする。
MFG-E8(Milk fat globule EGF
factor 8)は,lactadherin;P47;Mfgm;SED1などとも呼称される分泌タンパク質であり(GenBank No. NP_032620.2,IPI No. IPI00788387.1)
,2つの機能的ドメインを持つ(N末端にEGFドメイン,C末端にC2ドメイン)。これはL型(72kDa,61kDa)とS型(56kDa,48kDa)のアイソフォームを持ち,L型が分泌タイプであると報告されている(図1)。
MFG-E8は,多くの組織でアポトーシスに陥った細胞を貪食するのに貢献する。MFG-E8は,末梢血において,アポトーシス細胞のeat-meシグナルをマクロファージに伝え,マクロファージの貪食作用を促進し,過剰量で貪食作用を競合阻害するという,アポトーシス細胞貪食の重要な調節因子であることが知られている。これはアポトーシス細胞表面のPSに結合し,マクロファージ上のインテグリンとも結合して,アポトーシス細胞のマクロファージによる除去,授乳期が終わった乳腺の退縮,網膜色素上皮が脱落した視細胞外節膜の貪食,アテローム硬化性の血管内アポトーシス細胞のデブリスのクリアランスなどに関与している。また,MFG-E8は,細胞間相互作用を促進することが知られており,精子と卵子の結合,精巣上体上皮の維持,腸上皮補修,腺管の枝分かれを促進,血管新生,樹状細胞のエキソソーム機能の促進などに関与している。
Fullerら(J Neuroimmune
Pharmacol (2008) 3:246-256)は,ミクログリア由来細胞株を用いてMFG-E8の動態を調べ,脳内においてはミクログリア細胞がMFG-E8を産生し,MFG-E8がアポトーシスを起こした神経芽腫細胞を認識して,貪食において役割を果たす可能性を報告している。これは,末梢血においてマクロファージがMFG-E8を産生し,MFG-E8がアポトーシスを起こした細胞を認識してこれをマクロファージに伝える機能と対応するものと考えられる。一方,Fullerらはさらに実験を重ねた結果,ヒト家族性アルツハイマー病のAPP遺伝子を有するTGマウス(アルツハイマーモデルマウス)では,正常マウスと比較して脳内のMFG-E8のレベルが低下していることを見いだした。このことに関しては,MFG-E8の制御の乱れがアルツハイマー病の進行に何らかの役割を果たしているのではないかと解釈している。同様に,Boddaert Jら(Am J Pathol (2007) 170:921-929)も,アルツハイマー病の脳において同年齢の脳に比べMFG-E8のmRNA発現が低下している事実を示している。
これに対し,本発明者らは,免疫染色によって,正常マウス脳(12ヶ月齢)ではAβおよびMFG-E8の蓄積が全く確認されないこと,およびアルツハイマーモデルマウス脳(12ヶ月齢)において,Aβ蓄積部位に一致してMFG-E8が蓄積していることを発見した。FullerらやBoddaertらと発明者らとで全く逆の結果が得られたことになるが,その原因としては,使用した抗体の違いも一部考えられるものの,詳細は不明である。発明者らはこの発見に先立ち,下記実施例に具体的に示されるように,アルツハイマー病の患者において,末梢血液中のMFG-E8のレベルも有意に高いことを見出し,本発明を完成させた。末梢血液中のMFG-E8については,Aβ蓄積部位に一致して蓄積した上記MFG-E8が漏れ出して観察された可能性も考えられる。しかし,アルツハイマー病の患者で血液脳関門における血液から脳への透過性が亢進していることを示唆する研究は確かに散見されるものの,その程度は限定的であり,かつ,脳から血液への透過については全く不明である。したがって,Aβ蓄積部位において観察されたような上記MFG-E8が,血液脳関門を超えて血液中のMFG-E8の濃度に直接影響を及ぼすことは考えにくい。本発明において見いだされたMFG-E8のレベルの上昇とアルツハイマー病との相関の詳細なメカニズムは現在のところ不明である。
MFG-E8蛋白質の量を測定すべき被検試料としては,被験者または被検動物から得た体液,血液,血清,血漿などを用いることができる。ただし,上述の理由により脳脊髄液は試料として適していない。
被験者から得た試料におけるMFG-E8蛋白質の量は,抗MFG-E8抗体を用いて,当該技術分野においてよく知られる免疫学的測定法を用いて測定することができる。抗MFG-E8抗体はポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよい。各種の抗MFG-E8ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体が市販されており,それらのいずれの抗体も本発明において用いることができる。あるいは,抗体は当該技術分野においてよく知られる方法により作成してもよい。
抗MFG-E8抗体を用いて,免疫学的方法により,被験者または被検動物から得た試料中のMFG-E8蛋白質を測定する。測定は,定性的であっても定量的であってもよい。被験者から得たMFG-E8の発現の免疫学的測定は,例えば,ラジオイムノアッセイ,ELISA,イムノクロマト法,免疫沈降法,免疫凝集法,ウエスタンブロット等を用いて行うことができる。あるいは,表面プラズモン共鳴現象を利用したバイオセンサーを用いて行ってもよい。
例えば,典型的な例として,以下のようにしてサンドイッチELISAを行うことができる。被験者の末梢血を採血して血漿を調製し,これを抗MFG-E8抗体を固定化したプレートまたはチップに加え,適当な時間インキュベートする。プレートまたはチップを洗浄して未結合成分を除去した後,別の抗MFG-E8抗体を加える。この抗体は,酵素,蛍光色素,化学発光物質,ビオチン,放射線化合物等により検出可能なように標識することができる。適当な時間インキュベートした後,プレートまたはチップを洗浄し,蛍光,発光,放射活性等を測定することにより,標識を検出する。あるいは,抗MFG-E8抗体を結合させた後,二次抗体(例えばヤギ抗マウス抗体)を加えてシグナルを増強してもよい。二次抗体は,酵素,蛍光色素,化学発光物質,ビオチン,放射線化合物等により検出可能なように標識することができる。このようにして,被験者から得た血漿におけるMFG-E8蛋白質の量を測定することができる。
別の態様においては,凝集反応を利用した検出方法を用いてMFG-E8蛋白質を検出することができる。この方法においては,抗MFG-E8抗体を結合させた担体,例えばラテックス粒子を用いてMFG-E8を検出することができる。抗MFG-E8抗体を結合させたラテックス粒子を試料と混合して一定時間インキュベートすると,試料中にMFG-E8が含まれる場合には粒子が凝集する。この凝集の程度を肉眼で観察するか,または分光光度計を用いて定量することにより,試料中のMFG-E8を検出することができる。
本発明はまた,抗MFG-E8抗体を含むアルツハイマー病検査薬を提供する。本発明のアルツハイマー病検査薬は,検査キットの形で提供することができる。検査キットは,MFG-E8の検出のための試薬,例えば,抗MFG-E8抗体を有効成分として含む。また,このキットは,測定に必要な適当な試薬類,例えば緩衝液,希釈液,反応停止液,洗浄液,コントロール標品などをさらに含んでいてもよい。
本発明においては,このようにして測定されたMFG-E8蛋白質の量を指標として,アルツハイマー病の検査を行うことができる。具体的には,被験者または被検動物から得た試料中のMFG-E8蛋白質の量を測定し,得られた測定値を健常な対照の測定値と比較して,得られた測定値が対照の測定値より高い場合に,その被験者または被検動物はアルツハイマー病に罹患している可能性が高いと診断される。また,本発明の方法を用いてアルツハイマー病の経過をモニタリングしてもよい。被験者または被検動物から複数の時点で得た試料中のMFG-E8蛋白質の量を測定し,得られた測定値が時間とともに上昇していることはアルツハイマー病の進行を示し,低下していることはアルツハイマー病の改善を示す。この方法により治療の経過をモニタリングして、治療効果を判定してもよい。
本発明の方法にしたがえば,脳脊髄液を採取することなく,血液中のMFG-E8蛋白質をマーカーとして,アルツハイマー病を診断することができる。下記の実施例において示されるように,アルツハイマー病を発症している患者における血漿中のMFG-E8の発現量は,健常な対照者と対比して有意に上昇している。本発明の検査方法は,例えば,アルツハイマー病の早期診断(初期の,アミロイドβ蛋白質の蓄積が進行していない段階での診断),発症の確定診断,疾患の経過のモニタリング,治療効果の判定,および予後の予測に有用である。
さらに,本発明にしたがって,MFG-E8蛋白質の発現量を指標として,アルツハイマー病の治療薬の有力な候補物質をスクリーニングすることが可能である。スクリーニングは,アルツハイマー病のモデル細胞またはモデル動物,例えばAβ42ペプチドで細胞障害を与えたマウス初代神経培養細胞やTGマウスに試験物質を投与し,モデル細胞の培養液またはモデル動物から得た試料中のMFG-E8蛋白質の量を測定することにより行う。試験物質としては,各種の合成化学物質や、抗体を用いることができる。試験物質は、例えば,種々の合成又は天然の化合物ライブラリー,コンビナトリアルライブラリー,オリゴヌクレオチドライブラリー,ペプチドライブラリー等のライブラリーから取得することができる。また,細菌,真菌類,藻類,植物,動物等の天然物からの抽出物やその部分精製物を試験物質として用いてもよい。試験物質を投与したときに投与していないときと比較してMFG-E8蛋白質の量が低い場合には,その試験物質をアルツハイマー病の治療薬の候補物質として選択することができる。すなわち,本発明の検査方法は,アルツハイマー病の新規治療法開発におけるプラットフォームを提供するものである。
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが,本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
アミロイドβ(Aβ)神経障害バイオマーカーの探索
認知症のモデルとして,Aβ42ペプチドで細胞障害を与えたマウス初代神経培養細胞を用い,脳生体膜を模倣した磁性ナノリポソームを用いて,アミロイドβ神経障害バイオマーカー候補を探索した。Aβ42はアミロイドプリカーサプロテイン:APP(150KD)から3種類の酵素で切断されてできる最終産物のなかの一つであり,最も細胞毒性が強く,多くの研究で使用されているものである。
マウス終脳初代培養細胞(5x106/10mlシャーレ)をAβ42 (0.1μM)で24時間刺激した。条件としては,細胞障害を軽度に抑えるため,またアルツハイマー初期の状態も想定して,低濃度短時間とした。すなわち細胞壊死やアポトーシスが起きない濃度として0.1μM,時間は24時間を選択した。コントロールとしてはAβ42で刺激していない細胞を用いた。細胞培養上清をEGTA(終濃度5mM)で処理した後に一定量プールし,アミコンウルトラ153000NMWLを用いて限外濾過により10mlから1mlへ濃縮した。次に,濃縮上清へナノリポソーム1mgとCaCl2(終濃度10mM)を加え,0.5M HEPES(pH 7.5)にてpHを調整し,4℃,1.5時間ローターで反応させた。反応後EGTAでCa2+をキレートし,ナノリポソームとタンパク質を分離し,Ca2+依存的に酸性リン脂質(ホスファチジルセリン)に結合する分画を得た。
試料とリポソームをカルシウムイオンの存在下に混合し,キレート剤を用いてリポソーム結合性蛋白質を分離する方法の原理と詳細な手順は,特開2008-020383に記載されるとおりである。また,ナノリポソームは,温度応答性の高分子とリン脂質により表面を修飾した磁性微粒子であり,水溶液中でリポソーム様構造体を形成することができる。ナノリポソームの原理および構造は特開2010-066200に詳細に説明されている。このナノリポソームと試料を水性溶液中で混合すると,試料中のリン脂質結合性成分がナノリポソームに結合するので,温度変化と磁気を利用してナノリポソームを回収することにより,リン脂質結合性成分を容易に回収することができる。
ここでは,リン脂質としてホスファチジルセリンを用いた。ホスファチジルセリンは細胞膜を構成する脂質の1つであるが,通常は細胞膜の内側に存在しており,細胞がアポトーシスをおこすと細胞外に露出される。従って,ホスファチジルセリンに結合するタンパク質をスクリーニングすれば,アポトーシス関連タンパク質をスクリーニングできると考えられる。
このようにして得られた,培養上清中のCa2+依存的にナノリポソームに結合する分画を,一次元SDS-PAGEで分離し,銀染色した。結果を図2に示す。
次に,図2中の矢印の位置でゲルを10画分に分割し,トリプシンによるゲル内消化を行ってペプチドを回収し,質量分析により解析した。同定されたナノリポソーム結合タンパク質のうち上位100個中,Aβ刺激により発現量が増加したと考えられるものを解析したところ,マーカー候補タンパク質としてMFG-E8(milk fat globule-EGF factor 8 protein
isoform 1)が同定された。
ウエスタンブロットによる解析
次に,ウエスタンブロットにてタンパク質レベルでのMFG-E8の発現量の差を確認した。
材料としては,質量分析の解析に用いたものとは別のロットの培養上清から得られたPS100%ナノリポソーム結合分画を用いた。電気泳動(Bio RadReady Gel (5-15%))した後,PVDF膜に転写した(9V,16.5時間(約150Vhr)。1次抗体としてハムスター抗マウスMFG-E8抗体(MBL社)を1μg/mlで2時間(室温)反応させ,2次抗体としてHRPコンジュゲート化ヤギ抗ハムスターIgG(サンタクルーズ社)を1000倍希釈濃度で1時間(室温)反応させた。検出はPIERCE社感光試薬を用い,感光時間は3分間とした。
図3に結果を示す。得られたシグナルは,その分子量からMFG-E8ロングフォーム(アイソフォーム1)と考えられる。Aβ42(0.1μM )で刺激したサンプルのレーンにコントロール(無刺激)よりも濃いMFG-E8のバンドが検出されたことより,タンパク質のレベルでも有意差があることが確認できた。
アルツハイマー病患者血漿中のMFG-E8濃度の測定
アルツハイマー病(AD)患者および年齢の対応した健常老人の血漿中のMFG-E8濃度を,ELISAにより測定した。
健常老人20例,AD患者20例からの血漿を調製し,抗MFG-E8抗体を用いて,ELISA Kit for Human Milk Fat Globule EGF Factor 8(USCN社)によりキットの説明書通りの手順でELISAを行った。サンプルの希釈は10倍希釈とした。濃度測定後,JMPで統計解析を行った。
図4に,健常老人対AD患者血漿中MFG-E8濃度のROC曲線(ADを陽性とした)を示す。ROC曲線の下の面積は0.72000であり,有意差があることが示された。
これらの結果から,MFG-E8は,Aβ42で刺激を与えたマウス脳神経細胞培養液中に存在し,健常人と比較してAD患者血漿中により多く検出されたことが示された。
本発明は,アルツハイマー病の診断に有用である。

Claims (5)

  1. アルツハイマー病を検査するための方法であって,被験者または被検動物から得た血液,血清または血漿試料中のMFG-E8蛋白質の量を測定し,得られた測定値をアルツハイマー病の診断の指標とすることを特徴とする方法。
  2. MFG-E8蛋白質の量が抗MFG-E8抗体を用いて測定される,請求項1に記載の方法。
  3. 抗MFG-E8抗体を含むアルツハイマー病の血液,血清または血漿検査薬。
  4. 抗MFG-E8抗体と,抗MFG-E8抗体と結合したMFG-E8蛋白質を検出するための試薬とを含むアルツハイマー病の血液,血清または血漿検査キット。
  5. アルツハイマー病の治療薬の候補物質を選択する方法であって,
    試験物質を作用させたモデル細胞の培養液中または試験物質を作用させたモデル動物から得た血液,血清または血漿試料中のMFG-E8蛋白質の量を測定し,そして,
    試験物質を作用させたときに作用させていないときと比較してMFG-E8蛋白質の量が低い場合に,その試験物質をアルツハイマー病の治療薬の候補物質として選択する,
    の各工程を含む方法。
JP2012548738A 2010-12-16 2011-12-05 アミロイドβ神経障害バイオマーカー Expired - Fee Related JP5907563B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010280331 2010-12-16
JP2010280331 2010-12-16
PCT/JP2011/078036 WO2012081433A1 (ja) 2010-12-16 2011-12-05 アミロイドβ神経障害バイオマーカー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2012081433A1 JPWO2012081433A1 (ja) 2014-05-22
JP5907563B2 true JP5907563B2 (ja) 2016-04-26

Family

ID=46244541

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012548738A Expired - Fee Related JP5907563B2 (ja) 2010-12-16 2011-12-05 アミロイドβ神経障害バイオマーカー

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20130302838A1 (ja)
EP (1) EP2653872B1 (ja)
JP (1) JP5907563B2 (ja)
ES (1) ES2625529T3 (ja)
WO (1) WO2012081433A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019068072A1 (en) * 2017-09-29 2019-04-04 The General Hospital Corporation METHODS OF IDENTIFICATION AND TREATMENT OF ADRENOMYELONEUROPATHY (AMN)
KR102129179B1 (ko) * 2018-10-25 2020-07-01 (주) 넥셀 알츠하이머병 예방 또는 치료용 재조합 단백질을 포함하는 알츠하이머병 예방 또는 치료용 조성물

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7955812B2 (en) * 2004-07-19 2011-06-07 The General Hospital Corporation Methods of diagnosing alzheimer's disease by detecting antibodies to cross-linked β-amyloid oligomers
JP2008020383A (ja) 2006-07-14 2008-01-31 Sapporo Medical Univ リポソームをリガンドとして用いた体液タンパク質の解析方法及び体液タンパク質の調製方法
JP5565546B2 (ja) 2008-09-12 2014-08-06 北海道公立大学法人 札幌医科大学 親油性分子で表面修飾された温度応答性磁性微粒子および該微粒子と両親媒性分子を含むリポソーム様構造体を形成する組成物
EP2399131B1 (en) * 2009-02-20 2014-08-27 The U.S.A. As Represented By The Secretary, Department Of Health And Human Services Method for the diagnosis of age-associated vascular disorders

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6011068095; Boddaert J. et al.: 'Evidence of a role for lactadherin in Alzheimer's disease.' Am.J.Pathol. Vol.170(3), 2007, p.921-929 *

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2012081433A1 (ja) 2014-05-22
EP2653872B1 (en) 2017-02-22
US20130302838A1 (en) 2013-11-14
WO2012081433A1 (ja) 2012-06-21
EP2653872A4 (en) 2014-12-24
ES2625529T3 (es) 2017-07-19
EP2653872A1 (en) 2013-10-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
MXPA03009744A (es) Proceso para el diagnostico diferencial de demencia de alzheimer, y dispositivo para este.
US10613090B2 (en) Methods of detecting cancer
JP2015511014A (ja) アルツハイマー病の診断、予後および監視におけるオリゴマー型Aβ
CN101308144A (zh) 检测受试者体液内疾病相关蛋白聚合能力的方法
Keene et al. Luminex-based quantification of Alzheimer's disease neuropathologic change in formalin-fixed post-mortem human brain tissue
CN109073661B (zh) 用于神经学疾病的诊断的测定法
US20180216194A1 (en) Compositions and methods for detecting pancreatic cancer
WO2007136614A2 (en) Assays and methods for the diagnosis and progression of alzheimer's disease using a multi-analyte marker panel
JP5907563B2 (ja) アミロイドβ神経障害バイオマーカー
DK2446038T3 (en) SEQUENCES, ANTIBODIES, METHODS OF DETECTION AND IN VITRO DOSE OF periostin In DIAGNOSTIC OR IN THE FORECAST OF periostin-RELATED DISEASES OR BIOLOGICAL PHENOMENA
CN114573692A (zh) 用于检测嗜铬粒蛋白a的免疫测定与抗体
US20170097352A1 (en) Immunoglobulin-bound extracellular vesicles and uses thereof
KR102033776B1 (ko) 타우 단백질의 발현수준을 측정하는 제제를 포함하는 알츠하이머 중증도 진단용 조성물 및 이를 이용한 알츠하이머 중증도의 진단방법
US10288626B2 (en) Secreted tumor-associated cytochrome as a blood-based biomarker for cancer
US20150024419A1 (en) Method for the assay of synucleins
JP2005513480A (ja) トロンボスポンジンを使用する痴呆の診断および治療
KR102145438B1 (ko) 퇴행성 뇌질환 발병 위험성 예측용 조성물 및 이를 이용한 퇴행성 뇌질환의 발병 위험성 예측 방법
KR101250464B1 (ko) 혈장 내 pgcp 농도 측정을 통한 치매 진단 방법
WO2021256550A1 (ja) シナプス機能不全に起因する疾病、又はシナプス機能不全を付随する疾病の判定方法
JP4264469B2 (ja) 痴呆症の検査方法
EP3350599B1 (en) In vitro method and kit to diagnose skeletal disorders
KR20200099119A (ko) 퇴행성 뇌질환 발병 위험성 예측용 조성물 및 이를 이용한 퇴행성 뇌질환의 발병 위험성 예측 방법
US20220050118A1 (en) Method for diagnosing a liver disease
JP2023153066A (ja) 細胞外小胞新規大動脈瘤マーカーとしてのnos3
JP2014070037A (ja) アルツハイマー病の診断薬および診断方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160216

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160317

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5907563

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees