JP2008020383A - リポソームをリガンドとして用いた体液タンパク質の解析方法及び体液タンパク質の調製方法 - Google Patents

リポソームをリガンドとして用いた体液タンパク質の解析方法及び体液タンパク質の調製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】体液に含有されるタンパク質を選択的に抽出し、調製できる方法を提供する。
【解決手段】体液とリポソームとをカルシウムイオン等の金属イオンの存在下に混合しタンパク質−リポソーム結合体を形成させ、該結合体以外の体液成分から分離した後、該結合体からタンパク質を遊離させ、分画し分画したタンパク質の少なくとも一つの画分を分析する、リポソーム結合性体液タンパク質の解析方法。前記と同様の方法で、タンパク質を遊離した後、遊離したタンパク質を回収するリポソーム結合性体液タンパク質の調製方法。前記と同様の方法で、タンパク質を分画した後、分画した結果を、同様の段階を経て得られた健常者から採取した体液についての分画結果と対比し、被検体液と健常者由来の体液において量の変化の認められるタンパク質を識別し、識別したタンパク質の少なくとも一つの画分を分析する、リポソーム結合性体液タンパク質を解析する。
【選択図】なし

Description

本発明は、リポソームをリガンドとして用いた体液タンパク質の解析方法及び体液タンパク質の調製方法に関する。特に本発明は、リポソームをリガンドとして用い、体液タンパク質に含まれるリポソームとの親和性を有するタンパク質を分画し、分析する体液タンパク質の解析方法に関する。さらに本発明は、リポソームをリガンドとして用い、体液タンパク質に含まれるリポソームとの親和性を有するタンパク質の調製方法に関する。
体液には、主に、血漿、血清、髄液、尿、唾液、涙液、及び汗等があり、タンパク質を多く含む体液の代表例は血漿である。血漿は、血液成分の一部として全身諸臓器を環流し、大循環を経て心臓にもどり、肺を通過してふたたび臓器に送られる。血液は、生理的条件では毛細血管を介して各臓器に直接または間接に暴露される。臓器ごとに毛細血管と臓器との解剖学的関連は、さまざまである。すなわち、有窓性血管では臓器組織と血液は直接接しているが、血管内皮細胞の細胞間接着が強固な臓器では血液は基底膜を介して間接的に連絡している。しかし、病的状態においては、血液と病巣の解剖学的病理学的環境が大きく変わる。たとえば、急性炎症においては、血管中の血漿成分が病巣へ移動し、その静脈側末梢では病巣由来の滲出液が血漿に戻り環流する。すなわち、種々の疾患において血漿は、臓器および病巣からの血液環流により直接に病巣からのタンパク質を大循環に運搬している。このように、血漿中のタンパク質は、障害臓器からの情報をタンパク質として直接もたらすことにより、病態マーカーを含んでいることが生理、病理学的な論拠として挙げられる。
血漿は、体内の体液のなかでタンパク質の種類と濃度およびそれを含む非タンパク質成分の構成に大きな特徴を有する。すなわち、アルブミンなどのきわめて濃度の高いタンパク質から、ホルモンなどの低濃度タンパク質より構成されている。タンパク質の種類としても、疎水性の強いタンパク質から親水性のタンパク質まで多様である。すなわち、タンパク質溶液としての血漿は、多様性を特徴とするきわめてユニークな体液である。近年、プロテオミクスの技術によって血漿には10000種類を超えるタンパク質が存在することが示唆された。さらに、病気の種類によってこれらのタンパク質の種類と濃度が変化することは、ヒト血液生化学臨床検査によるデータが示しているところである。
ヒト血漿に含まれているタンパク質を解析する方法として、脂質除去後に種々のクロマトグラフィ処理、引き続きタンパク質分解酵素処理とLC/MSによる解析が広く行われている。また、親和性表面を有するチップを用いて比較的簡便な前処理後、血漿が解析されている。これらの方法論は、既存のアフィニティー担体に依存していることから、そのアフィニティー担体の特異性が解析の限界を規定する。
[Ning Tang et al., Mass Spectrometry Reviews, 2004, 23, 34-44, "CURRENNT DEVELOPMENTS IN SELDI AFFINITY TECHNOLOGY"(非特許文献1)及びANALYTICL CHEMISTRY, 2003, 149A-155A, "SELDI-TOF MS for Diagnostic Proteomics" (非特許文献2)]
バイオロジカルリガンドとして、合成ペプチドに代表される機能性物質は、結合特異性の人為的なコントロールが一定の範囲で可能であることから、医薬分野で大きな期待がよせられている。新たなバイオロジカルリガンドの出現は、それ以前のさまざまな応用系では検出しにくかった分野の視野を与えるという点で重要な分野である。
[Byrne AM et al., J. Cell Mol. Med. 2005, 777-94, "Angiogenic and cell survival functions of vascular endothelial growth factor (VEGF)" (非特許文献3)及びEdlich F et al., Handb. Exp. Pharmacol., 2006, 359-404, "Pharmacological targeting of catalyzed protein folding the example of peptide bond cis/trans isomerases" (非特許文献4)]
生体膜は、種々の燐脂質およびそれらの異なる割合によって、機能特異的に発達した器官である。生体膜は、ホルモンと受容体の結合、生化学反応など、生命現象において必須の場を与える特殊な器官として生体に広く分布している。生体膜を、人工的に形成したリポソームは、生体膜上でおこる種々の現象をモデル的に引き起こすことができることから、酵素学、物性化学などの広い分野で検討されている。
例えば、特表2004−518118号公報(特許文献1)には、新規プロテオーム解析法及びそのための装置に関する発明が記載されている。特許文献1には、膜タンパク質とリポソームとを融合させ、これを用いてプロテオーム解析をしている。即ち、膜タンパク質とリポソームとの融合体と可溶性タンパク質を相互作用させ、得られた複合体の検出を行う。この方法では、リポソームを膜タンパク質の担体として用い、膜タンパク質と可溶性タンパク質の相互作用をプロテオーム解析の対象としている。
Ning Tang et al., Mass Spectrometry Reviews, 2004, 23, 34-44, "CURRENNT DEVELOPMENTS IN SELDI AFFINITY TECHNOLOGY" ANALYTICL CHEMISTRY, 2003, 149A-155A, "SELDI-TOF MS for Diagnostic Proteomics" Byrne AM et al., J. Cell Mol. Med. 2005, 777-94, "Angiogenic and cell survival functions of vascular endothelial growth factor (VEGF)" Edlich F et al., Handb. Exp. Pharmacol., 2006, 359-404, "Pharmacological targeting of catalyzed protein folding the example of peptide bond cis/trans isomerases" 特表2004−518118号公報
しかし、タンパク質とリポソーム相互作用を、プロテーム解析などの、いわゆる網羅的な解析に向けた方法論の開発に応用した例はない。リポソームに結合する分子モチーフも、endonexin foldやC2ドメインなど、クローン化されたタンパク質からの解析に留まっている。
疾患の診断及び治療、あるいは新薬の開発には、体液に含まれるタンパク質の解析が不可欠であるが、上述のように、例えば、血漿の場合、10000種類を超えるタンパク質を含有することから、疾患の診断及び治療に有効なタンパク質の探索は必ずしも容易ではない。疾患の診断及び治療に有効なタンパク質の探索を可能にする新たな方法論が必要とされている。
本発明の目的は、血漿を含む体液に含有されるタンパク質について、ある種の疾患の診断及び治療に有効なタンパク質の探索に有用な方法を提供することにある。さらに、本発明の目的は、血漿を含む体液に含有されるタンパク質について、ある種の疾患の診断及び治療に有効なタンパク質を選択的に抽出し、調製できる方法を提供することにある。
本発明者らは、リポソームが提供する膜状構造のタンパク質への親和性を用いた網羅的なタンパク質の解析の可能性を検討し、血漿タンパク質解析を通じて病態マーカー探索への応用の可能性を検討した。その結果、健常人および炎症性疾患患者の血漿を用いた解析により、現在までに報告されている病態マーカーがいくつか検出され、リポソームを用いた解析方法が血漿タンパク質のプロテオミクス解析に有用であることを見いだして本発明を完成させた。
本発明は以下の通りである。
[1]体液とリポソームとをカルシウムイオン、カドミウムイオン、亜鉛イオン及びテルビウムイオンから成る群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンの存在下に混合し、前記体液に含まれる少なくとも一部のタンパク質と前記リポソームとを結合させる段階、
得られたタンパク質−リポソーム結合体を、前記結合体を形成したタンパク質以外の体液成分の少なくとも一部から分離する段階、
分離したタンパク質−リポソーム結合体から少なくとも一部のタンパク質を遊離する段階、
遊離したタンパク質を含有する試料を分画処理に供し、前記試料に含まれるタンパク質を分画する段階、及び
分画したタンパク質の少なくとも一つの画分を分析する段階
を含むリポソーム結合性体液タンパク質の解析方法。
[2]体液とリポソームとをカルシウムイオン、カドミウムイオン、亜鉛イオン及びテルビウムイオンから成る群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンの存在下に混合し、前記体液に含まれる少なくとも一部のタンパク質と前記リポソームとを結合させる段階、
得られたタンパク質−リポソーム結合体を、前記結合体を形成したタンパク質以外の体液成分の少なくとも一部から分離する段階、
分離したタンパク質−リポソーム結合体から少なくとも一部のタンパク質を遊離する段階、及び
遊離したタンパク質を回収する段階
を含むリポソーム結合性体液タンパク質の調製方法。
[3]被検体液とリポソームとをカルシウムイオン、カドミウムイオン、亜鉛イオン及びテルビウムイオンから成る群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンの存在下に混合し、前記体液に含まれる少なくとも一部のタンパク質と前記リポソームとを結合させる段階、
得られたタンパク質−リポソーム結合体を、前記結合体を形成したタンパク質以外の体液成分の少なくとも一部から分離する段階、
分離したタンパク質−リポソーム結合体から少なくとも一部のタンパク質を遊離する段階、
遊離したタンパク質を含有する試料を分画処理に供し、前記試料に含まれるタンパク質を分画する段階、
分画した結果を、同様の段階を経て得られた健常者から採取した体液についての分画結果と対比し、被検体液と健常者由来の体液において量の変化の認められる少なくとも一部のタンパク質を識別する段階、及び
識別したタンパク質の少なくとも一つの画分を分析する段階
を含むリポソーム結合性体液タンパク質の解析方法。
[4]タンパク質−リポソーム結合体を分離する段階では、タンパク質−リポソーム結合体を沈殿物として分離する、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]リポソームとして、担体に固相化したリポソーム(担体固相化リポソーム)を用い、
タンパク質とリポソームとを結合させる段階では、担体固相化リポソームにタンパク質を結合させ、
タンパク質−リポソーム結合体を分離する段階では、担体固相化ポソームとタンパク質との結合体を、前記結合体を形成したタンパク質以外の体液成分の少なくとも一部から分離する、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[6]タンパク質を遊離する段階では、分離したタンパク質−リポソーム結合体と金属キレート剤、界面活性剤及び有機溶媒から成る群から選ばれる少なくとも1種を混合し、前記タンパク質−リポソーム結合体からタンパク質を遊離する、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]リポソームを構成する脂質がリン脂質、糖脂質及びコレステロールから成る群から選ばれる少なくとも1種の脂質である[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]リポソームを構成する脂質は、フォスファチジルセリン、フォスファチジルコリン、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジン酸、コレステロール、セラミド、及びガングリオシドから成る群から選ばれる少なくとも1種である[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9]分画処理の方法が、電気泳動法及び液体クロマトグラフィから成る群から選ばれる少なくとも1種である[1]、[3]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10]タンパク質−リポソーム結合体画分またはタンパク質画分の分析は、電気泳動、液体クロマトグラフィ、質量分析(MS)、MS/MS及びアミノ酸配列分析から成る群から選ばれる少なくとも1種で行う[1]、[3]〜[9]のいずれかに記載の方法。
[11]体液が、血漿、血清、髄液、尿、唾液、涙液、または汗である[1]〜[10]のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、体液に含まれるリポソームと親和性を有するタンパク質を選択的に分離でき、分離したタンパク質をさらに解析することができる。特に、体液が血漿等の膨大な種類のタンパク質を含有するものである場合、膨大な種類のタンパク質の中から、リポソームと親和性を有するタンパク質を選択的に分離でき、その中には、疾患に関連する種々のタンパク質が含まれていることから、分離したタンパク質を疾患の診断や疾患治療や診断のための薬剤探査の手段に利用することができる。
解析方法(方法A)
本発明の第1の態様は、リポソーム結合性体液タンパク質の解析方法に関する。この方法(方法A)は、
(A1)体液とリポソームとをカルシウムイオン、カドミウムイオン、亜鉛イオン及びテルビウムイオンから成る群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンの存在下に混合し、体液に含まれる少なくとも一部のタンパク質とリポソームとを結合させる段階、
(A2)得られたタンパク質−リポソーム結合体を、前記結合体を形成したタンパク質以外の体液成分の少なくとも一部から分離する段階、
(A3)分離したタンパク質−リポソーム結合体から少なくとも一部のタンパク質を遊離する段階、
(A4)遊離したタンパク質を含有する試料を分画処理に供し、前記試料に含まれるタンパク質を分画する段階、及び
(A5)分画したタンパク質の少なくとも一つの画分を分析する段階
を含む。
調製方法(方法B)
本発明の第2の態様は、リポソーム結合性体液タンパク質の調製方法に関する。この方法(方法B)は、
(B1)体液とリポソームとをカルシウムイオン、カドミウムイオン、亜鉛イオン及びテルビウムイオンから成る群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンの存在下に混合し、体液に含まれる少なくとも一部のタンパク質とリポソームとを結合させる段階、
(B2)得られたタンパク質−リポソーム結合体を、前記結合体を形成したタンパク質以外の体液成分の少なくとも一部から分離する段階、
(B3)分離したタンパク質−リポソーム結合体から少なくとも一部のタンパク質を遊離する段階、及び
(B4)遊離したタンパク質を回収する段階
を含む。
解析方法(方法C)
本発明の第3の態様は、リポソーム結合性体液タンパク質の解析方法に関する。この方法(方法C)は、
(C1)被検体液とリポソームとをカルシウムイオン、カドミウムイオン、亜鉛イオン及びテルビウムイオンから成る群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンの存在下に混合し、体液に含まれる少なくとも一部のタンパク質とリポソームとを結合させる段階、
(C2)得られたタンパク質−リポソーム結合体を、前記結合体を形成したタンパク質以外の体液成分の少なくとも一部から分離する段階、
(C3)分離したタンパク質−リポソーム結合体から少なくとも一部のタンパク質を遊離する段階、
(C4)遊離したタンパク質を含有する試料を分画処理に供し、前記試料に含まれるタンパク質を分画する段階、
(C5)分画した結果を、同様の段階を経て得られた健常者から採取した体液についての分画結果と対比し、被検体液と健常者由来の体液において量の変化の認められる少なくとも一部のタンパク質を識別する段階、及び
(C6)識別したタンパク質の少なくとも一つの画分を分析する段階
を含む。
本発明の方法A〜Cは、一部共通する段階を用いるので、各段階について、順次説明する。
タンパク質とリポソームとを結合させる段階
タンパク質とリポソームとを結合させる段階は、本発明の方法A〜Cの全てで共通する。即ち、段階(A1)、(B1)、(C1)は共通する段階である。
この段階は、体液とリポソームとをカルシウムイオン、カドミウムイオン、亜鉛イオン及びテルビウムイオンから成る群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンの存在下に混合し、体液に含まれる少なくとも一部のタンパク質とリポソームとを結合させる段階である。
本発明で解析または調製の対象となる体液は、例えば、血漿、血清、髄液、尿、唾液、涙液、または汗である。タンパク質の含有量や多彩さという観点からは、血漿及び血清が最も好ましく、次いで、髄液が好ましい。体液は、人由来のものであることができるが、人以外の動物(例えば、哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類等)由来の体液や昆虫等由来の体液であってもよい。さらには、体液は、植物由来の体液であってもよい。植物由来の体液とは、例えば、植物全体または部分(葉、茎、根、果実等)由来の抽出物であることができる。
「リポソーム」とは、脂質二重層により外界から仕切られた粒子を意味する。リポソームは、カルシウムイオンの存在下で、ある種のタンパク質と結合体を形成するものであれば、特に制限はない。リポソームは、例えば、植物から抽出された脂質等の膜構成成分から構成されることができる。具体的には、リポソームを構成する脂質は、例えば、リン脂質及び糖脂質から成る群から選ばれる少なくとも1種の脂質であることができる。リン脂質及び糖脂質としては、例えば、フォスファチジルセリン、フォスファチジルコリン、フォスファチジルイノシトール、セラミド、及びガングリオシドから成る群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
リポソームは、例えば、直径が50nmから5mmの範囲であることができる。さらに、リポソームは、球形または膜状(単層または層状)であることもできる。
ある種のタンパク質がカルシウム依存性にリポソームと結合体を形成することは知られている。[例えば、CE Creutz, Science, Vol258, Issue 5084, 924-9316 "The annexins and exocytosis"]
また、カルシウムに代えてカドミウムやテルビウムも同様の作用を有することも知られている。[例えば、Ohki S et al., J. Biol. Chem. 1993, 12388-92, "Mg2+ inhibits formation of 4Ca2+-calmodilin-enzyme complex at lower Ca2+ concentration. 1H and 113Cd NMR studies"及びAlmeida PF et al., Biochemistry, 2005, 10905-13, "Allosterism in membrane binding: a common motif of the annexins?"]
しかし、これら金属イオン依存性にリポソームと結合体を形成することを利用して、体液に含まれるタンパク質の中の特定のタンパク質を分離分画できることはこれまで知られていない。特に、上記金属イオン依存性のリポソームとの結合体形成を、存在量の多いタンパク質から存在量の少ないタンパク質を分離分画することに利用できることは知られていない。
上記金属イオン依存性のリポソームとの結合体形成は、体液に対して、リポソームと金属イオンとを混合することで実施できる。体液に対する、リポソームと金属イオンとの混合割合は、対象とする体液の種類や、使用するリポソームと金属イオンの種類に応じて適宜決定できるが、例えば、体液100μLに対して、リポソームを100mg〜1gの範囲、金属イオンを1mM〜100mMの範囲とし、全量を例えば、PBSで1mlとすることができる。
カルシウムイオン(Ca2+)は、例えば、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、くえん酸カルシウム、酢酸カルシウム、燐酸カルシウム等として上記金属イオンの供給に用いることができる。カドミウムイオン(Cd2+)は、例えば、塩化カドミウム、硝酸カドミウム、臭化カドミウム、酢酸カドミウム等として上記金属イオンの供給に用いることができる。テルビウムイオン(Tb2+)は、例えば、塩化テルビウム、炭酸テルビウム、硝酸テルビウム、酢酸テルビウム等として上記金属イオンの供給に用いることができる。亜鉛イオン(Zn2+)は、例えば、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛等として上記金属イオンの供給に用いることができる。
体液は、上記リポソームとの結合体形成前に、上記金属イオンとの結合を予め解除しておく目的で、金属キレート剤と混合し、その後、上記結合操作に供することが好ましい。その場合、使用する金属イオンは、結合解除の目的で用いた金属キレート剤の当量を超える、結合体形成に十分量とする。金属キレート剤の種類は特に制限はない。金属キレート剤としては、後述するEGTA等を用いることができる。
タンパク質−リポソーム結合体分離段階
得られたタンパク質−リポソーム結合体を、前記結合体を形成したタンパク質以外の体液成分の少なくとも一部から分離する段階は、本発明の方法A〜Cの全てで共通する。即ち、段階(A2)、(B2)、(C2)は共通する段階である。
体液に含まれるタンパク質には、上記金属イオン依存性でリポソームと結合体を形成するものと、リポソームとは結合体を形成しないものや形成しにくいものもある。そこで、この段階では、結合体を形成したタンパク質以外の体液成分の少なくとも一部から分離する。特に、リポソーム非結合タンパク質の少なくとも一部から、タンパク質−リポソーム結合体を分離する。リポソーム非結合タンパク質の少なくとも一部を除去することで、後の段階におけるタンパク質の分離分画がより容易になり、さらには、リポソーム結合性を有するタンパク質の中から、疾患等と関連するタンパク質の探査も容易になる。
タンパク質−リポソーム結合体を分離する段階では、例えば、タンパク質−リポソーム結合体を、例えば、沈殿物として分離することができる。体液とリポソームと金属イオンを混合して得た、タンパク質−リポソーム結合体を含有する試料を、例えば、遠心分離することにより、タンパク質−リポソーム結合体を沈殿物として分離することができる。このようにして得たタンパク質−リポソーム結合体を含む沈殿物は、さらに、洗浄することでタンパク質−リポソーム結合体の純度を上げる、即ち、リポソーム非結合タンパク質の含有量を低下させることができる。上記沈殿物の洗浄は、例えば、以下のように実施できる。タンパク質−リポソーム結合体を含む沈殿物に適量(例えば、1ml程度)の洗浄バッファー(例えば、20mM Hepes, 0.1M NaCl, 2mM CaCl2 pH7.5)を入れてボルテックスし、その後、遠心(例えば、15,000rpmで15分)した後に上清を捨てる。この操作は、適宜、2回以上繰り返すこともできる。このようにしてタンパク質−リポソーム結合体を分離することができる。
リポソームとして、担体に固相化したリポソーム(担体固相化リポソームとうい)を用い、タンパク質−リポソーム結合体を分離することもできる。担体に固相化したリポソームの調製は、例えば、疎水的相互作用による方法、あるいは共有結合による方法を用いることができる。疎水的相互作用による方法としては、例えば、住友ベークライトのイムロンなどを用いるものがある。また、共有結合による方法としては、例えば、GEヘルスケア社のCNBr-activated SepharoseやBio-Rad社のAffigel-10など第1級モノアミン基を介して固定化する方法などがある。
担体固相化リポソームを使用する場合、タンパク質とリポソームとを結合させる段階で、担体固相化リポソームにタンパク質を結合させ、次いで、タンパク質−リポソーム結合体を分離する段階で、担体固相化ポソームとタンパク質との結合体を、前記結合体を形成したタンパク質以外の体液成分の少なくとも一部から分離することができる。この場合、担体固相化リポソームは、カラムに充填しておき、このカラムに、体液と前記金属イオンとを供給し、担体固相化リポソームに親和性を有するタンパク質をリポソームに結合させ、リポソームに非結合のタンパク質を含む体液成分をカラムから流出することで、結合体の形成及び分離を並行して行うこともできる。リポソームに非結合性のタンパク質を含む体液成分をカラムから流出させた後に、前述した洗浄バッファーをカラムに供給して、担体固相化リポソームとタンパク質との結合体を洗浄することもできる。
担体固相化リポソームを使用する場合、カラムではなく、通常の容器内で、バッチ式で行うこともできる。但し、その場合も、リポソームが担体に固相化されているので、リポソームとタンパク質の結合体を溶液から分離し、さらには洗浄する操作は、容易に行うことができる。
タンパク質遊離段階
分離したタンパク質−リポソーム結合体から少なくとも一部のタンパク質を遊離する段階は、本発明の方法A〜Cの全てで共通する。即ち、段階(A3)、(B3)、(C3)は共通する段階である。
タンパク質−リポソーム結合体からのタンパク質の遊離は、例えば、分離したタンパク質−リポソーム結合体と金属キレート剤、界面活性剤及び有機溶媒から成る群から選ばれる少なくとも1種を混合することにより実施できる。
タンパク質−リポソーム結合体と金属キレート剤を混合すると、金属イオンが金属キレート剤によってキレートされ、金属イオン依存性で結合体を形成していたタンパク質はタンパク質−リポソーム結合体から溶出し、タンパク質を遊離することができる。また、タンパク質−リポソーム結合体と界面活性剤または有機溶媒を混合すると、タンパク質−リポソーム結合体を形成しているリポソームは崩壊し、その結果、タンパク質を遊離することができる。金属キレート剤、界面活性剤及び有機溶媒はいずれか2つ以上を併用することもできる。
金属キレート剤は、前述の金属イオン(カルシウムイオン、カドミウムイオン、亜鉛イオン及びテルビウムイオン)とキレートを形成できるものであれば、特に制限なく用いることができる。金属キレート剤の例を以下に示す。
EGTA: エチレングリコール-ビス(-アミノエチルエーテル) -N,N,N',N'-四酢酸
EDTA: エチレンジアミン4酢酸
BAPTA: 1,2-ビス(o-アミノ-5-ブロモフェノキシ)エタン-N,N,N′,N′-四酢酸
TPEN: N,N,N',N'-テトラキス-(2-ピリジルメチル) エチレンジアミン
これらは、ナトリウム等の塩であることもできる。
さらに金属キレート剤としては、膜透過型エステル、たとえばEGTA/AM: エチレングリコール-ビス (β-アミノエチル)-N,N,N′,N′-テトラアセトキシメチルエステル、MAPTAM: 1,2-ビス(o-アミノ-5′-メチルフェノキシ)エタン-N,N,N′,N′-4酢酸テトラアセトキシメチルエステルなども使用できる。
金属キレート剤の混合量は、結合体形成に使用した金属イオンの量を考慮して、適宜、決定することができる。例えば、結合体形成に使用した金属イオンに対して金属キレート剤の混合量は、例えばカルシウム5mMに対してEGTAを10mMの濃度になるように加えることが適当である。
界面活性剤は、タンパク質−リポソーム結合体を構成しているリポソームを破壊できるものであれば、制限なく利用できる。但し、遊離するタンパク質を変性させないか、または変性させても後の段階に影響のない程度の変性を与えるものであることが好ましい。界面活性剤としては、例えば、SDS、CHAPS、オクチルグルコシド、コール酸、Triton X−100、NP−40、Tween20、ルブロールなどを挙げることができる。界面活性剤の混合量は、リポソームを破壊できる量であり、かつタンパク質への変性の程度を考慮して適宜決定できる。SDSの場合であれば、例えば、1〜2%程度、Triton X−100の場合0.1%程度、CHAPSの場合3%程度とすることが適当である。
有機溶媒は、タンパク質−リポソーム結合体を構成しているリポソームを破壊できるものであれば、制限なく利用できる。但し、遊離するタンパク質を変性させないか、または変性させても後の段階に影響のない程度の変性を与えるものであることが好ましい。有機溶媒は、例えば、100%アセトンや、2%〜60%のアセトニトリルもしくはアセトニトリルと1:1に混合したイソプロパノールなどを挙げることができる。有機溶媒の混合量は、リポソームを破壊できる量であり、かつタンパク質への変性の程度を考慮して適宜決定できる。アセトンの場合であれば、例えば、20%〜100%とすることが適当である。
タンパク質回収段階
方法Bにおいては、タンパク質遊離段階で遊離したタンパク質を回収する(段階(B4))。遊離したタンパク質の回収は、既存のタンパク質の回収方法をそのまま利用することができる。例えば、遠心分離法等で行うことができる。具体的には、遊離したタンパク質を含有する試料を遠心(15,000rpm 15分)して上清を回収することで、遊離したタンパク質を回収することができる。
回収したタンパク質は、使用した体液の種類やリポソームとの結合体形成条件等により異なるが、混合物であることも、単体である場合もある。このような回収タンパク質は、例えば、臨床等の検査(抗体結合性、酵素活性など様々な活性の測定)に用いたり、またはさらなるタンパク質精製(プロテオーム目的に限らず)に使用したりすることもできる。
尚、前述のカラムに充填した担体固相化リポソームを用いる場合、このカラムにタンパク質遊離用の溶液を供給することで、タンパク質を遊離させることができる。さらに、カラムからの流出物を回収することで、遊離したタンパク質を回収することができる。特に、タンパク質の遊離に金属キレート剤を用いる場合、担体固相化リポソームはそのままで、タンパク質のみを遊離できることから、回収したタンパク質の精製が容易であるという利点がある。
分画段階
方法A及びCにおいては、(A3)または(C3)で得られた遊離したタンパク質を含有する試料を分画処理に供し、試料に含まれるタンパク質を分画する。
タンパク質を含有する試料の分画処理の方法は、特に制限はなく、タンパク質を分離分画できる方法であればよい。その様な分画処理としては、例えば、電気泳動法及び液体クロマトグラフィを挙げることができる。これらの方法は、いずれか一方または両方を組み合わせて用いることができる。
電気泳動法としては、例えば、1次元の電気泳動法及び2次元の電気泳動法を挙げることができる。さらに、電気泳動法には、銀染色やインジェルダイジェスチョンを併用することもできる。さらに、2次元電気泳動は、例えば、蛍光2次元差ゲル電気泳動(2D-DIGE)法であることもできる。
液体クロマトグラフィとしては、例えば、順相、逆相のカラムを用いた高速液体クロマトグラフィであることができる。
分画結果対比段階
方法Cにおいては、段階(C4)で分画した結果を、同様の段階を経て得られた健常者から採取した体液についての分画結果と対比して、被検体液と健常者由来の体液において量の変化の認められる少なくとも一部のタンパク質を識別する(段階(C5))。方法Cにおいては、例えば、ある疾患を有することが疑われる人、またはある疾患を有する人から採取した体液を被検体液とし、これとは別に、健常者から体液を採取し、これら2つの体液について、段階(C1)〜(C4)を経て分画結果を得、得られた被検体液及び健常者体液についての分画結果を対比して、被検体液と健常者由来の体液において量の変化の認められる少なくとも一部のタンパク質を識別する。量の変化の認められるタンパク質とは、例えば、被検体液に含まれるが健常者由来の体液には含まれない、または健常者由来の体液には含まれるが被検体液に含まれないタンパク質であることができる。さらに、被検体液及び健常者由来の体液の両方に含まれるが、存在量が、被検体液と健常者由来の体液とで相違する場合も含む。
上記識別は、タンパク質の分画を電気泳動により行った場合には、例えば、電気泳動像におけるゲルのスポットを対比することによって特徴的と認められたタンパク質を抽出することで行うことができる。
上記識別は、タンパク質の分離を液体クロマトグラフィにより行った場合には、例えば、液体クロマトグラムにおけるフラクション(ピーク)を対比することによって特徴的と認められたタンパク質を抽出することで行うことができる。
さらに、タンパク質画分を銀染色または2D DIGEに付した後ゲルイメージ解析し、ゲルスポットを統計処理して病気に関連するタンパク質を決定することもできる。
タンパク質画分を酵素的または化学的に切断しペプチドとするときにアイソトープラベルを行い、定量的質量分析を行い、結果の統計処理を行い、病気に関連するタンパク質を決定することもできる。
画分分析段階
方法A及びCにおいては、(A4)または(C5)で得られた、分画したタンパク質の少なくとも1つの画分について分析を行う。
これら画分の分析は、タンパク質画分の分析に一般に利用されている方法をそのまま利用することができる。タンパク質−リポソーム結合体画分またはタンパク質画分の分析は、例えば、電気泳動、液体クロマトグラフィ、質量分析(MS)、MS/MS及びアミノ酸配列分析から成る群から選ばれる少なくとも1種で行うことができる。
例えば、タンパク質画分の分析は、タンパク質画分をイン・ゲル・ダイジェスチョンに供し、次いで、ペプチド・マスフィンガープリント法に付すことで行うことができる。
あるいは、タンパク質画分の分析は、タンパク質Differential 解析により行うこともできる。タンパク質Differential 解析には、例えば、TOFを用いることができる。
より具体的には、例えば、タンパク質の分離の結果(ゲルのスポット)を対比することによって特徴的と認められたタンパク質をTOF−MS等で分析することができる。ああるいは、タンパク質の分離で得られるゲルのスポットは、液体クロマトグラフィにかけてESI―MSなどで解析することも可能である。このほか、例えば、調製したサンプル(タンパク質またはタンパク質−リポソーム結合体)を液体クロマトグラフィにかけ、ピークをダイジェスチョンしてそのままLC−ESI−MSで解析する方法などもある。その場合、タンパク質スポット(またはピーク)としてではなく、MS後のピークデータで比較を行うことも可能である。
病気に関連するタンパク質を決定下後、neural network analysisなどを用いた決定木の作成を行い、病態特異的タンパク質の同定を行い、血漿タンパク質のELISA、ウエスタン、種々の免疫沈降法による症例検討し、臨牀応用の検討を行うことができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1
材料および方法
1.材料 試薬は特記されたもの以外はSIGMA社特級を用いた。
2.血漿 血漿は、札幌医科大学倫理規定にのっとりインフォームドコンセント後附属病院第1内科患者より得た。得られた血液は、血漿分離し、血漿はー80℃に凍結保存した。
3.リポソーム(multilamellar liposome, MLV):
リン脂質(egg PC;phosphatidyl Choline, PS;phosphatidyl Serine)はクロロホルム/メタノール(CHCl3:CH3OH=2:1)に溶解し(10mg/ml)、必要量のPCとPS(PC:PS=9:1)を混ぜ、N2(gas)で乾固させた。その後、バッファー(50mM Hepes(pH7.5), 150mM NaCl)加えて、48℃で30分間インキュベートし、2分間vortexで激しく攪拌し調製した。リン脂質の終濃度は5mg/mlとした。
4.血漿タンパク質リポソーム結合 100μLの血漿に終濃度4mMとなるようにEGTAを添加し20kGにて遠心後、上清を回収した。その上清にリポソーム500mg、CaCl2 15mM加えPBSにて全量を1mLとし、4℃にて15分間静置した。20Kgにて遠心後、20mM Hepes(pH7.5),100mM NaCl, 2mM CaCl2のバッファーにて洗浄し、10mM EGTAにてリポソーム結合タンパク質を回収した。
5.電気泳動 IEFはGEヘルスケア社のドライストリップ(pH4-7)を用いて行った。泳動後、SDSに平衡化し、2次元目のSDS-PAGE(8-12%)を行った。銀染色キット(EZ stain Silver, ATTO, Tokyo)にて銀染色し、ImageMaster 2D Platinumにて解析した。得られたスポットを回収し、in gel digestionを行った。
6.質量分析 in gel digestionにて得られたペプチドをVoyger DE star(Applied Biosystems, Foster City, California)をもちいPeptide mass fingerprint法にて検討した。またMS/MS解析はnanoLC(DiNa, KYA techonology, Tokyo)とLCQ(Thermo Electron Co., Waltham, Massachusetts, USA)のLC/MSにて解析した。得られたデータはMASCOT(Matorix Science, Tokyo)を用いてSWISS prot, NCBInrタンパク質データベース検索をした。また、精製したタンパク質のN末端側の配列をアミノ酸シークエンサー(Procise, Applied Biosystems, Foster City, California)にて解析した。タンパク質の同定の確認のために、一部のタンパク質ではウエスタンブロット法も用いた。
結果
1.健常人を用いた血漿総タンパク質とリポソーム結合性タンパク質
図1に、2次元電気泳動像を示す。図Aは健常人血漿、Bはリポソーム結合タンパク質の2次元電気泳動像である。ともにタンパク質量50μgを泳動している。図Bの丸い円内は全血漿では認められないタンパク質スポットを示す。またA,B中央矢印のアルブミンは、全血漿でみられる量に類似したスポットがリポソーム結合タンパク質に認められる。これは、リポソームがアルブミンに結合性が弱いことを反映している。結果として血漿アルブミンを除去している。
2.健常人血漿と炎症性疾患患者血漿での検討
図2に、健常人血漿と2種類の異なる炎症性疾患患者血漿より得られたリポソーム結合タンパク質の2次元電気泳動像を示す。それぞれの電気泳動パターンで異なるスポットが多数認められる。
3.同一患者血漿での再現性の検討
図3に2次元電気泳動像を示す。図A,BおよびC,Dはそれぞれ同一患者血漿から別々の実験で得られたリポソーム結合タンパク質の2次元電気泳動像である。同一患者での再現性が確認できる。
4.カルシウム非依存的血漿タンパク質の比較
図4に、キレート剤にてリポソームより遊離しなかったタンパク質をSDS-PAGEにて1次元電気泳動した結果を示す。図4に示すSDS-PAGE1次元電気泳動においても、大量のタンパク質の結合が見られ、これらのタンパク質の解析も重要であることが示唆された。
実施例2
血漿0.5μLおよび血漿100μLからのリポソーム結合タンパク質の2次元電気泳動像の比較
材料および方法
健常人血漿0.5μLおよびリポソーム法によって得られたタンパク質を50μgづつ2次元電気泳動にて展開し、銀染色にて可視化した。結果を図5に示す。
リポソーム(multilamellar liposome, MLV):
リン脂質(卵白フォスファチジュルコリン(PC)、フォスファチジルセリン(PS))はクロロホルム/メタノール(CHCl3:CH3OH=2:1)に溶解し(10mg/ml)、必要量のPCとPS(PC:PS=9:1)を混ぜ、N2(gas)で乾固させた。その後、バッファー(50mM Hepes(pH7.5), 150mM NaCl)加えて、48℃で30分間インキュベートし、2分間vortexで激しく攪拌し調製した。リン脂質の終濃度は5mg/mlとした。
血漿タンパク質リポソーム結合:
100μLの血漿に終濃度4mMとなるようにEGTAを添加し20kGにて遠心後、上清を回収した。その上清にリポソーム500mg、CaCl2 15mM加えPBSにて全量を1mLとし、4℃にて15分間静置した。20Kgにて遠心後、20mM Hepes(pH7.5),100mM NaCl, 2mM CaCl2のバッファーにて洗浄し、10mM EGTAにてリポソーム結合タンパク質を回収した。
2次元電気泳動:
タンパク質をIsoelectric focusing buffer(7M Urea, 2M Thiourea, 2% ampholine, 3% CHAPS, 1% TritonX-100)に溶解し、pH4-7 11cmのDrystrip(Pharmacia bioscience)に添加し1次元目の等電点電気泳動を行った。泳動条件は500V4時間, 1000V1時間,6000V4時間で行った。1次元目の電気泳動終了後、ゲルを平行化バッファーにてSDSに平衡かした。同時にゲル内タンパク質を還元アルキル化した。すなわち平衡化バッファー(2%SDS, 50mM Tris pH8.8, 6M Urea, 30% Glycerol)10mLにDTT100mg入れたもので15分間続いて平衡化バッファー10mLにiodoacetamide 250mg入れたもので15分間処理した。処理後2次元目のSDS-PAGE電気泳動を行った。ゲルは8-12%のグラディエントゲルを用いた。電気泳動終了後銀染色にてタンパク質を可視化した。結果を図5に示す。染色したタンパク質についてゲル間のスポットの比較を行った。
実施例3
健常者(HC)および疾患患者(AD)血漿のリポソーム法による比較
実施例2と同等の方法を用いて、健常者(HC)および疾患患者(AD)血漿のリポソーム法による比較を行った。結果を図6に示す。尚、患者さんの血漿は、インフォームドコンセントの後に採血した血液を3000回転30分遠心し、上清を血漿として回収したものを使用まで-30℃で保存した。
図6の上図は、2次元電気泳動上のスポットのインテンシティー(銀染色での濃さ)をログで数値化して健常者の結果を縦軸、患者の結果を横軸にプロットしたものである。両者間で同一の分子量でかつ同一のインテンシティーならばy=xの線上にのる。どちらかが多いまたは少ない場合はy=xの線からのログ距離だけ離れる。さらに、図中のx2は、2倍増えた場合、x4は4倍増えた場合の範囲を示す。
実施例4
認知症患者血漿中のアネキシン5の濃度測定
インフォームドコンセントを得た患者から実施例3に示した方法にて血漿を得た。得られた血漿を抗ヒトアネキシン5特異的単クローン抗体を用いたサンドイッチELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)にて血漿中のアネキシン5濃度を定量した。結果を図7に示す。HDS-Rとは長谷川式dementia scoreの略である。長谷川式ではスコアの数字が低いほど認知症のレベルが高い傾向が認められる。左図では、ADの患者においてアネキシン5の濃度が血管性痴呆(VD)や健常人(C)より濃度が高いことが示されている。右図では長谷川式スコアが低い患者ほどアネキシン5の血漿濃度が高いことが示されている。左上の図はアネキシン5の構造の模式図である。アネキシン5はカルシウム存在下で酸性リン脂質(フォスファチジルセリン等)と結合するEndonexin foldを有していることを示す。これは酸性燐脂質よりなるリポソームに結合するドメインである。
本発明は、体液中のタンパク質の分離精製や分析、解析が必要なさまざまな分野、例えば、診断、治療、医薬品開発等の分野において有用である。
健常人を用いた血漿総タンパク質とリポソーム結合性タンパク質の2次元電気泳動像を示す。 健常人血漿と2種類の異なる炎症性疾患患者血漿より得られたリポソーム結合タンパク質の2次元電気泳動像を示す。 同一患者血漿から別々の実験で得られたリポソーム結合タンパク質の2次元電気泳動像を示す。 キレート剤にてリポソームより遊離しなかったタンパク質をSDS-PAGEにて1次元電気泳動した結果。 健常人血漿0.5μLおよびリポソーム法によって得られたタンパク質を50μgづつ2次元電気泳動にて展開し、銀染色にて可視化した結果。 健常者(HC)および疾患患者(AD)血漿のリポソーム法による比較結果(2次元電気泳動にて展開し、銀染色にて可視化した)。 血漿中のアネキシン濃度定量結果(左図)及びアネキシン濃度とHDS-Rとの関係(右図)。

Claims (11)

  1. 体液とリポソームとをカルシウムイオン、カドミウムイオン、亜鉛イオン及びテルビウムイオンから成る群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンの存在下に混合し、前記体液に含まれる少なくとも一部のタンパク質と前記リポソームとを結合させる段階、
    得られたタンパク質−リポソーム結合体を、前記結合体を形成したタンパク質以外の体液成分の少なくとも一部から分離する段階、
    分離したタンパク質−リポソーム結合体から少なくとも一部のタンパク質を遊離する段階、
    遊離したタンパク質を含有する試料を分画処理に供し、前記試料に含まれるタンパク質を分画する段階、及び
    分画したタンパク質の少なくとも一つの画分を分析する段階
    を含むリポソーム結合性体液タンパク質の解析方法。
  2. 体液とリポソームとをカルシウムイオン、カドミウムイオン、亜鉛イオン及びテルビウムイオンから成る群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンの存在下に混合し、前記体液に含まれる少なくとも一部のタンパク質と前記リポソームとを結合させる段階、
    得られたタンパク質−リポソーム結合体を、前記結合体を形成したタンパク質以外の体液成分の少なくとも一部から分離する段階、
    分離したタンパク質−リポソーム結合体から少なくとも一部のタンパク質を遊離する段階、及び
    遊離したタンパク質を回収する段階
    を含むリポソーム結合性体液タンパク質の調製方法。
  3. 被検体液とリポソームとをカルシウムイオン、カドミウムイオン、亜鉛イオン及びテルビウムイオンから成る群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンの存在下に混合し、前記体液に含まれる少なくとも一部のタンパク質と前記リポソームとを結合させる段階、
    得られたタンパク質−リポソーム結合体を、前記結合体を形成したタンパク質以外の体液成分の少なくとも一部から分離する段階、
    分離したタンパク質−リポソーム結合体から少なくとも一部のタンパク質を遊離する段階、
    遊離したタンパク質を含有する試料を分画処理に供し、前記試料に含まれるタンパク質を分画する段階、
    分画した結果を、同様の段階を経て得られた健常者から採取した体液についての分画結果と対比し、被検体液と健常者由来の体液において量の変化の認められる少なくとも一部のタンパク質を識別する段階、及び
    識別したタンパク質の少なくとも一つの画分を分析する段階
    を含むリポソーム結合性体液タンパク質の解析方法。
  4. タンパク質−リポソーム結合体を分離する段階では、タンパク質−リポソーム結合体を沈殿物として分離する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. リポソームとして、担体に固相化したリポソーム(以下、担体固相化リポソームという)を用い、
    タンパク質とリポソームとを結合させる段階では、担体固相化リポソームにタンパク質を結合させ、
    タンパク質−リポソーム結合体を分離する段階では、担体固相化ポソームとタンパク質との結合体を、前記結合体を形成したタンパク質以外の体液成分の少なくとも一部から分離する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. タンパク質を遊離する段階では、分離したタンパク質−リポソーム結合体と金属キレート剤、界面活性剤及び有機溶媒から成る群から選ばれる少なくとも1種を混合し、前記タンパク質−リポソーム結合体からタンパク質を遊離する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. リポソームを構成する脂質がリン脂質、糖脂質及びコレステロールから成る群から選ばれる少なくとも1種の脂質である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. リポソームを構成する脂質は、フォスファチジルセリン、フォスファチジルコリン、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジン酸、コレステロール、セラミド、及びガングリオシドから成る群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 分画処理の方法が、電気泳動法及び液体クロマトグラフィから成る群から選ばれる少なくとも1種である請求項1、3〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. タンパク質−リポソーム結合体画分またはタンパク質画分の分析は、電気泳動、液体クロマトグラフィ、質量分析(MS)、MS/MS及びアミノ酸配列分析から成る群から選ばれる少なくとも1種で行う請求項1、3〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 体液が、血漿、血清、髄液、尿、唾液、涙液、または汗である請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
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