以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の遊技装置の説明図である。
本実施形態の遊技装置6は、遊技媒体数(遊技球数)もしくはそれに変換可能な金銭の額等の有価価値を記憶する記憶媒体が挿入されるカードユニット70(遊技用装置)及び実際に遊技を行い、遊技媒体を払出可能な遊技機1を備える。
遊技機1は前面枠3を備え、該前面枠3は本体枠(外枠)2にヒンジ4をして開閉回動可能に組み付けられている。遊技盤5(図3参照)は前面枠3の表側に形成された収納部(図示省略)に収装されている。また、前面枠3には、遊技盤5の前面を覆うカバーガラス(透明部材)を備えたガラス枠18が取り付けられている。
ガラス枠18のカバーガラスの周囲には、装飾光が発光される装飾部材9が設けられている。この装飾部材9は、内部にランプやLED等からなる装飾装置を備えている。この装飾装置を所定の発光態様に従って発光することによって、装飾部材9が所定の発光態様で発光する。
ガラス枠18の左右には、音響(例えば、効果音)を発するスピーカ30が設けられ、ガラス枠18の上方には照明ユニット10が設けられている。また、照明ユニット10の内部には、装飾装置が設けられ、照明ユニット10の右側には、遊技機1のエラー発生や前面枠3の開放をホール店員に通知するためのエラー報知LED29が設けられている。
前面枠3の下部の開閉パネル20には、図示しない打球発射装置に遊技球を供給する上皿21が、固定パネル22には灰皿15、下皿23及び打球発射装置の操作部24等が設けられている。さらに、下皿23には、下皿23に貯まった遊技球を排出するための下皿球抜き機構16が備えられる。前面枠3下部右側には、ガラス枠18を施錠するための鍵25が設けられている。上皿21の上縁部には、遊技者からの操作入力を受け付けるためのセレクトスイッチ40及び操作スイッチ41が設けられている。
この実施形態の遊技装置にあっては、遊技者が上記操作部24を回動操作することによって、打球発射装置が、上皿21から供給される遊技球を発射する。また、遊技者がセレクトスイッチ40を操作することによって、表示装置8(図3参照)における変動表示ゲームの演出内容を選択することができる。さらに、遊技者が操作スイッチ41を操作することによって、表示装置8で実行される変動表示ゲームにおいて、遊技者の操作を介入させた演出を行わせることができる。
上皿21の右上部には、遊技者が遊技媒体を借りる場合に操作する球貸ボタン26、及び、カードユニット70からプリペイドカードを排出させるために操作する排出ボタン27が設けられている。また、これらのボタン26、27の間には、プリペイドカードの残高を表示する残高表示部28が設けられている。
次に、カードユニット70について説明する。
カードユニット70の下部には、プリペイドカード又は会員カード等のカードが挿入可能なカード挿入口71が設けられている。プリペイドカード又は会員カード等のカードには、当該カードの識別情報、当該カードの所有者(遊技者)の会員情報、及び残高等が記憶されている。会員情報には、カードの所有者の住所、氏名、年齢、及び職業等が含まれる。
カード挿入口71にプリペイドカード又は会員カード等のカードが挿入された場合、内部のカードリーダ・ライタによって、カードに記憶された情報が読み出される。そして、読み出された情報のうちカード残高が、遊技機1の残高表示部28及びカードユニット70の中央付近に設けられた残高表示部72に表示される。
残高表示部72の上方には、紙幣を挿入可能な紙幣挿入口73が設けられている。紙幣挿入口73に挿入された紙幣の金額は、カードに残高として記憶される。紙幣挿入口73の上方には、動作表示部74が設けられている。動作表示部74は、カードユニット70の動作に対応して発光色が変化される。
次に、図2を用いて遊技機1の裏面側の構成を説明する。図2は、本実施形態の遊技機1の背面図である。
遊技機1の裏面側、具体的には、前面枠3の裏面側には、中央に略正方形状の開口部を有する枠状の裏機構盤310が取り付けられる。
裏機構盤310の上部には、島設備に設けられた補給装置(図示省略)から補給された遊技球を貯留すると共に、貯留した遊技球を流下させる球貯留ユニット320が配設されている。裏機構盤310の側部(図2中右側)には、球貯留ユニット320から流下してきた遊技球を、遊技機前面に配設された上皿21及び下皿23に払い出す球排出ユニット330が配設されている。
裏機構盤310の中央部には、遊技を統括的に制御する遊技制御装置100と、遊技制御装置100から送信される演出制御指令に基づいて変動表示ゲームの演出を制御する演出制御装置150とが配設され、遊技制御装置100には、検査装置に接続される検査装置接続端子107が配設されている。
裏機構盤310の下部には、遊技制御装置100から送信されるデータに基づいて球排出ユニット330の動作を制御する払出制御装置210と、電源装置160とが配設されている。払出制御装置210には、検査装置に接続される検査装置接続端子217及び払出制御装置210に発生したエラーの種類を数字で表示するエラーナンバー表示器222が配設されている。また、電源装置160の右側には、遊技機1をカードユニット70に接続するためのカードユニット接続端子340が配設されている。
次に、遊技盤5について、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態の遊技盤5の正面図である。
遊技盤5の表面には、ガイドレール55で囲われた略円形状の遊技領域51が形成されている。遊技領域51は、遊技盤5の四方に各々設けられた樹脂製のサイドケース52及びガイドレール55によって構成される。遊技領域51の右下側のサイドケース52は、前面の中央部が黒色透明の証紙プレート53で覆われている。
遊技領域51には、ほぼ中央に表示装置8が設けられるセンターケース300が配置されている。表示装置8はセンターケース300に設けられた凹部に、センターケース300の前面より奥まった位置に取り付けられている。すなわち、センターケース300は表示装置8の表示領域の周囲を囲い、表示装置8の表示面よりも前方へ突出するように形成されている。
表示装置8は、例えば、LCD(液晶表示器)、CRT(ブラウン管)等の表示画面を有する装置で構成されている。表示画面の画像を表示可能な領域(表示領域)には、複数の識別情報(特別図柄)や特図変動表示ゲームを演出するキャラクタが表示される。表示画面は1つであるが、複数(例えば3つ)の変動表示領域を有するとみることができ、各変動表示領域には、識別情報として割り当てられた特別図柄が変動表示(可変表示)して特図変動表示ゲームが行われる。その他、表示画面には遊技の進行に基づく画像(例えば、大当たり表示、ファンファーレ表示、エンディング表示等)が表示される。
センターケース300の左側には、普通図柄始動ゲート31が設けられている。センターケース300の左下側には、三つの一般入賞口32が配置され、センターケース300の右下側には、一つの一般入賞口32が配置されている。また、センターケース300の下側には、開閉可能な普通変動入賞装置33を備える始動入賞口34が配設されている。さらに、センターケース300に設けられた始動入賞口34の下方には、表示装置8の作動結果によって遊技球を受け入れない状態と受け入れ易い状態とに変換可能な特別変動入賞装置(大入賞口)36が配設される。
本実施形態の遊技機1では、図示しない発射装置から遊技領域51に向けて遊技球(パチンコ球)が打ち出されることによって遊技が行われる。打ち出された遊技球は、遊技領域51内の各所に配置された障害釘や風車等の方向転換部材によって転動方向を変えながら遊技領域51を流下し、普通図柄始動ゲート31、一般入賞口32、始動入賞口34、又は特別変動入賞装置36に入賞するか、遊技領域51の最下部に設けられたアウト口39へ流入し遊技領域から排出される。
なお、始動入賞口34の状態には、普通変動入賞装置33の開閉によって、遊技球が入賞しやすい状態と遊技球が入賞しにくい状態とがある。通常、普通変動入賞装置33は閉状態であり、始動入賞口34は、遊技球が入賞しにくい状態にされている。普通図柄始動ゲート31を遊技球が通過することによって、普図変動表示ゲームが実行され、普図変動表示ゲームの結果、当たり状態が発生すると、普通変動入賞装置33が開状態に変換され、始動入賞口34は遊技球が入賞し易い状態となる。
一般入賞口32への遊技球の入賞は、一般入賞口32に備えられた一般入賞口センサ32a〜32n(図4参照)によって検出される。始動入賞口34への遊技球の入賞は特図始動センサ34A(図4参照)によって検出される。この遊技球の通過タイミングによって抽出された特別図柄乱数カウンタ値は、遊技制御装置100内の特図記憶領域に特別図柄入賞記憶として所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この特別図柄入賞記憶の記憶数は、表示装置8の特別図柄入賞記憶数表示部(複合記憶表示部)に表示される。遊技制御装置100は、特別図柄入賞もしくはその記憶に基づいて、表示装置8にて特図変動表示ゲームを行う。
始動入賞口34に遊技球の入賞があると、表示装置8では、前述した数字等で構成される特別図柄(識別情報)が左(第一特別図柄)、右(第二特別図柄)、中(第三特別図柄)の順に変動表示を開始して、特図変動表示ゲームに関する画像が表示される。つまり、表示装置8では、特別図柄入賞記憶の記憶数に対応する特別図柄変動表示ゲームが行われ、興趣向上のために多様な表示を演出する。
始動入賞口34への入賞が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、入賞検出時の当たり乱数値が当たり値であるとき)には特図変動表示ゲームの結果として表示図柄により特定の結果態様(特別結果態様)が導出されて、大当たり状態となる。具体的には、表示装置8の特別図柄入賞記憶表示部では、当たり図柄である一桁の特別図柄で停止して、表示装置8は、三つの特別図柄が揃った状態(大当り図柄)で停止する。このとき、特別変動入賞装置36は、大入賞口ソレノイド38(図4参照)への通電によって、所定の時間(例えば、30秒)だけ、遊技球を受け入れない閉状態から遊技球を受け入れやすい開状態に変換される。すなわち、特別変動入賞装置36を所定の時間又は所定数の遊技球が入賞するまで大きく開かせて、この間に遊技者は多くの賞球を獲得することができるという特典が付与される。
特別変動入賞装置36への遊技球の入賞は、カウントセンサ36A(図4参照)によって検出される。普通図柄始動ゲート31への遊技球の通過は、普図始動センサ31A(図4参照)で検出される。この遊技球の通過タイミングによって抽出された普通図柄乱数カウンタ値は、遊技制御装置100内の普図記憶領域に普通図柄入賞記憶として所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この普図入賞記憶の記憶数は、表示装置8の図示しない普図入賞記憶数表示部に表示される。
普図入賞記憶があると、遊技制御装置100は、普図入賞記憶に基づいて普図入賞記憶数表示部で普図変動表示ゲームを開始する。すなわち、普通図柄始動ゲート31への通過
検出が所定のタイミングでなされたとき(具体的には、通過検出時の普図乱数カウンタ値が当たり値であるときには)には、普図入賞記憶数表示部に表示される普通図柄が当たり状態で停止し、当たり状態となる。このとき、普通変動入賞装置33は、普電ソレノイド90(図4参照)への通電により、始動入賞口34への入口が所定の時間だけ開放するように変換され、遊技球の始動入賞口34への入賞が許容される。なお、普通変動入賞装置33の開放時間は、例えば、確率変動状態及び変動時間短縮状態では2.9秒間、通常遊技状態では0.5秒間として、遊技状態に応じて開放態様が変化するように制御するとよい。
このようにして、一般入賞口32、始動入賞口34、又は特別変動入賞装置36に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球が払出制御装置210によって制御される払出ユニット360から、前面枠3の上皿21又は下皿23に排出される。
図4は、本実施形態の遊技装置6のブロック図である。
遊技制御装置100は、遊技用マイコン101、入力I/F(Interface)105、出力I/F(Interface)106及び検査装置接続端子107を備える。遊技用マイコン101は、CPU102、ROM(Read Only Memory)103及びRAM(Random Access Memory)104を備える。
CPU102は、遊技を統括的に制御する主制御装置であって、遊技制御を司る。ROM103は、遊技制御のための不変の情報(プログラム、固定データ等)を記憶している。RAM104は、遊技制御時にワークエリアとして利用される。
遊技制御装置100には検査装置接続端子107が設けられており、検査装置接続端子107からは、遊技用マイコン101に設定された識別番号を出力することができる。これによって、検査装置接続端子107に検査装置を接続すると、検査装置は遊技機1を識別することができる。また、遊技制御装置100は、遊技機1に関する情報を、外部情報端子108を介して、遊技店に設置された情報収集端末や遊技場内部管理装置(図示省略)に出力する。
オーバーフロースイッチ109は、下皿23に遊技球が所定数以上貯留されていることを検出する。球切れスイッチ110は、球貯留ユニット320に配設され、球貯留ユニット320に貯留される遊技球が所定数以下になることを検出する。枠開放スイッチ111は、前面枠3が開いたことを検出する。
CPU102は、入力I/F105を介して各種検出装置(特図始動センサ34A、普図始動センサ31A、カウントセンサ36A、及び一般入賞口センサa32a〜一般入賞口センサn32n、オーバーフロースイッチ109、球切れスイッチ110、及び枠開放スイッチ111)からの検出信号を受けて、大当り抽選等、種々の処理を行う。また、CPU102は、出力I/F106を介して、普図表示器121、特図表示器120、普電SOL(ソレノイド)90、大入賞口SOL(ソレノイド)38、払出制御装置210及び演出制御装置150に指令信号を送信して、遊技を統括的に制御する。
普図表示器121は、遊技球が普通図柄始動ゲート31に入賞した場合に行われる変動表示ゲームが表示される。特図表示器120には、遊技球が始動入賞口34に入賞した場合に行われる変動表示ゲームが表示される。
普電SOL90は、始動入賞口34に備わる普通変動入賞装置33を開放して、始動入賞口34への入口が所定の時間だけ開放させる。大入賞口SOL38は、特別変動入賞装
置36の大入賞口が所定の時間だけ、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)にする。
遊技制御装置100は、払出制御装置210へ払出し指令信号を送信するとともに、変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等を、演出制御指令信号として、演出制御装置150へ送信する。
次に、払出制御装置210及び演出制御装置150について説明する。
演出制御装置150は、遊技制御装置100から入力される各種信号に基づいて、エラー報知LED29、スピーカ30及び表示装置8を制御する。
払出制御装置210は、遊技制御装置100からの賞球指令信号に基づいて、払出装置の払出モータ220を駆動させ、賞球を払い出させるための制御を行う。また、払出制御装置210は、カードユニット70からの貸球要求信号に基づいて、遊技制御装置100が送信する払出指令信号に基づいて、払出装置の払出モータ220を駆動させ、貸球を払い出させるための制御を行う。
払出制御装置210は、遊技用マイコン211、入力I/F(Interface)215、出力I/F(Interface)216及び検査装置接続端子217を備え、遊技用マイコン211は、CPU212、ROM213及びRAM214を備える。
CPU212は、払い出しを統括的に制御する制御装置であって、払出制御を司る。ROM213は、払出制御のための不変の情報(プログラム、データ等)を記憶している。RAM214は、払出制御時にワークエリアとして利用される。
CPU212は、入力I/F215を介して検出センサとしての払出球検出センサ112、不正検出センサ113、オーバーフロースイッチ109、球切れスイッチ110、エラー解除スイッチ224、税率設定スイッチ226、及び貸出料金設定スイッチ227からの入力を受ける。また、CPU212は、出力I/F216を介して、払出モータ220、発射制御装置221、エラーナンバー表示器222、警報ランプ224等に指令信号を送信する。
エラー解除スイッチ224は、払出制御装置210にエラーが発生した場合に、遊技店の店員等が発生したエラーの原因を解消した際に、遊技店の店員等によって操作され、エラー状態を解除するためのスイッチである。税率設定スイッチ226は、遊技球の貸し出しに対して課税される間接税の税率を設定するスイッチである。貸出料金設定スイッチ227は、貸し出される遊技球の有価価値を設定するためのスイッチである。
払出モータ220は、実際に払出装置で遊技球を払い出すために駆動されるモータである。具体的には、払出モータ220には、1個の遊技球を保有可能な凹部を所定個数を有するスプロケットを回転させることによって、遊技球を払い出す。
発射制御装置221は、遊技球を遊技盤5に発射するための発射装置を制御する。エラーナンバー表示器222は、払出制御装置210の裏面側に配設され、払出制御装置210で発生したエラーの種類を特定可能に表示する。
なお、遊技制御装置100、演出制御装置150、及び払出制御装置210は、電源装置160に接続される。電源装置160は、バックアップ電源161、RAMクリアスイッチ162を備える。バックアップ電源161は、停電時においても、遊技制御装置10
0、演出制御装置150、及び払出制御装置210に電源を供給する(演出制御装置150には供給しなくてもよい)。
RAMクリアスイッチ162は、遊技制御装置100に備わるRAM102及び払出制御装置210に備わるRAM214に記憶されている情報を初期化するスイッチである。
また、遊技機1に備わる球貸ボタン26が操作されると、カードユニット70は、プリペイドカード又は会員カード等のカードに記憶されている有価価値から貸し出される遊技球分の有価価値を減算して、減算された有価価値の値を遊技機1の残高表示部28に表示する。また、遊技機1に備わる排出ボタン27が操作されると、カードユニット70は、カード挿入口71に挿入されたカードを排出する。
図5及び図6は、上記払出モータ220及び払出球検出センサ112を備えた排出装置としての球排出ユニット330の実施例を示す。このうち図5は球排出ユニット330の斜視図、図6は断面図である。
この実施例の球排出ユニット330は、図5に示されているように、本体ケース331の上面に2つの球導入口332a,332bが設けられ、ケース内部には外周に遊技球の一部が1個あて係合可能な凹部を有するスプロケット333が水平な支持軸334にて回転可能に配設され、上記球導入口332a,332bからスプロケット333の上部へ向かって遊技球を誘導する誘導路335が設けられている(図6参照)。
誘導路335は、スプロケット333の上部からその外周方向に沿って湾曲し、スプロケット333の側方やや下寄りの位置からほぼ垂直下方へ向かうように形成されている。図面からは分かりにくいが、誘導路335はスプロケット333の上部までは球導入口332a,332bに対応して2条の排出流路で構成されるが、スプロケット333の側方から垂直下方に亘っては1条の排出流路で構成されている。また、スプロケット333は上部の2条の誘導路335に跨って1つ設けられるとともに2条の誘導路335に対応する球保持部が各々位相を所定角度ずらした状態で形成されている。したがって、スプロケット333は上部の2条の誘導路335から保持した遊技球を下方の1条の誘導路335に排出するように構成されている。
そして、1条の誘導路335の下端すなわち遊技球の排出口に、非接触型の払出球検出センサ112がほぼ水平姿勢で配設されている。また、1条の誘導路335には、左右の流路幅を中央に狭めるように排出経路の側壁の途中から各々中央に突出するリブ336が形成されている。
さらに、この実施例の球排出ユニット330は、図5に示されているように、上記払出球検出センサ112の近傍に、該払出球検出センサ112と同一種類のセンサからなる不正検出センサ113が、センサ112と同じ向きで配設されている。この不正検出センサ113は、例えば本体ケース331の下面に収納凹部を形成してその中に収納させるようにして取り付けることができる。なお、本実施例では払出球検出センサ112と不正検出センサ113を全く同じ向きにしているが、水平方向に対しては所定角度ずれていてもよい。また、不正検出センサ113は、その前方側に金属部材が無い位置に配設することが望ましい。
また、本体ケース331の側部には、上記払出球検出センサ112及び不正検出センサ113や払出モータ220から引き出されたリード線の端部が接続され、前記払出制御装置210と電気的に接続可能にするためのコネクタ337が設けられている。球排出ユニット330のその他の構成は、本発明と直接的には関係しないので、詳しい説明は省略す
る。
次に、上記払出球検出センサ112及び不正検出センサ113について説明する。この実施例の球排出ユニット330において使用している払出球検出センサ112及び不正検出センサ113は、コイルに金属が近接すると磁界が変化する現象を利用して遊技球を検出する非接触型の磁気近接センサである。具体的には、ドミノ牌に似た形状のセンサ本体の一部に遊技球が通過可能な検出孔が形成され、この検出孔の周囲にコイルが配置されており、本体内部にはコイルに接続された検出回路が内蔵されている。
この種のセンサは、検出孔を遊技球が通過するとコイルの磁界が変化してコイルのインピーダンスが変化するので、その変化から遊技球が通過したことを検出するもので、パチンコ遊技機では従来から使用されているセンサである。しかし、磁気近接センサは、特定の周波数の電波を照射すると、検出孔を遊技球が通過しているにもかかわらず回路がそれを検出できず(不正電波の入力により磁界が変化していないことを検出して)制御装置が球無し状態と判定してしまう。そのため、遊技球の排出装置の払出し動作中にセンサに向けて電波を照射して、規定数以上の遊技球を排出させる不正が行われるおそれがある。
そこで、この実施例の球排出ユニット330においては、払出球検出センサ112の近傍に、該払出球検出センサ112と同一種類のセンサ(同じ特性、性能を有するもの)を使用した不正検出センサ113を、センサ112と同じ向きで配設して、不正検出センサの信号を監視することで、センサに向けて電波を照射して規定数以上の遊技球を排出させる不正を検出し防止できるようにした。
図7に上記改造した不正検出センサ113の具体例を示す。図7(A)のセンサは、払出球検出センサ112と全く同じ構成、形状、大きさのセンサを使用した例である。不正検出センサ113は、図に示されているように、ドミノ牌に似た形状のセンサ本体SSの一方の側に、遊技球が通過可能な大きさを有する検出孔Hが形成され、該検出孔H内に金属製の遊技球Bが挿入され、その周りを樹脂Mでモールドした構造にされている。遊技球の代わりに、金属塊を検出部に保持した状態でモールドあるいは接着剤または接着テープ等で固定しても良い。すなわち、不正検出センサ113は、検出センサが遊技球を検出する場合と同様の状態を保持した状態で球払出ユニット330に配設される。
このような構造のセンサにあっては、内部の回路は常に遊技球を検出している状態にある。そのため、この不正検出センサ113を、払出球検出センサ112の近傍に同じ向きで配設しておいて、該センサの出力から不正の有無を判定するようにしたものである。具体的には、払出球検出センサ112が電波を浴びて球が通過しているにもかかわらず球無し状態になったとすると、その近傍に配置されている不正検出センサ113もこれと同じ状態になるので、不正な電波が照射されていることを検出することができる。従って、排出動作中に不正検出センサ113が球無し状態になった場合には、排出装置による遊技球の排出を停止させることで不正を防止することが可能となる。
図7(B)は、不正検出センサ113の他の具体例を示す。このセンサは、センサ本体SSの両端に、それぞれ遊技球が通過可能な大きさを有する検出孔H1,H2を形成し、一方の検出孔H1内に金属製の遊技球Bを挿入し、その周りを樹脂Pでモールドしたものである。検出孔H1,H2の周囲の本体内にそれぞれコイルが配設されており、センサ本体の一方の端部側に払出球検出センサが設けられるとともに他方の端部側に不正検出センサが設けられている。このような構造のセンサであれば、球排出ユニットの本体ケースへの組み付けが1回で行えるため、図7(A)のセンサに比べて組立作業が容易になるという利点がある。また、2つのセンサの特性を同じにし易く、より確実に不正を検出することができるようになるという利点もある。また、各検出孔の設置角度も同一角度となり、
不正電波を同一の入射角度で受けるようにすることができる。
次に、図8及び図9を用いて、図1の実施形態の遊技機の監視手段としての払出制御装置210で実行されるメイン処理について説明する。図8は、払出制御装置210で行われるメイン処理の前半部のフローチャート、図9は、メイン処理の後半部のフローチャートである。
メイン処理は、遊技機1に電源が投入されたこと又は停電が復旧した場合に払出制御装置210のCPU212によって開始される。メイン処理が開始されると、まず、払出制御装置210は、所定時間周期(例えば、1ミリ秒周期)で行われるタイマ割込みを禁止する(601)。
次に、払出制御装置210は、各割込モードを設定し(602)、RAM214へのアクセスを許可する(603)。そして、払出制御装置210は、CPUの周辺デバイスの初期設定を行い(604)、スタックポインタを設定する(605)。
次に、払出制御装置210は、遊技機1に設けられ、払出制御装置210のRAM214を初期化するためのRAMクリアスイッチ162がONであるか否かを判定する(606)。このステップ606の処理で、RAMクリアスイッチ162がONであると判定した場合、払出制御装置210は、使用するすべてのRAM214に記憶されているデータをクリアする(607)。
そして、払出制御装置210は、RAM214に電源投入時の初期値を設定する(608)。なお、電源投入時の初期値は、予め定められた値である。続いて、払出制御装置210は、貸出料金設定スイッチ227によって設定された遊技球1個当たりの貸出金額をROM213に設定する(610)。
一方、ステップ606の処理で、RAMクリアスイッチ162がONでないと判定された場合、払出制御装置210は、停電からの復旧であることを示す停電復旧情報がRAM214に設定されているか否かを判定することによって、停電復旧時の電源投入であるか否かを判定する(611)。このステップ611の処理で、停電復旧時の電源投入でないと判定された場合には、上記ステップ607の処理へ移行して遊技機1を初期化する。
また、ステップ611の処理で、停電復旧時の電源投入であると判定された場合には、払出制御装置210は、RAM214に記憶されているデータが壊れている否かを判定するために、チェックサムが正常であるか否か調べる(613)。具体的には、停電があった際にRAM214に記憶されていたデータのチェックサムと現在RAM214に記憶されているデータのチェックサムとが一致するか否かを判定する。
ステップ613の処理で、チェックサムが異常であると判定された場合、RAM214に記憶されているデータが壊れていて、停電が発生した際のRAM214に記憶されていたデータを引き継ぐことができないので、遊技機1を初期化するためにステップ607の処理に進み、電源投入処理を実行する。
ステップ613の処理で、チェックサムが正常であると判定された場合、RAM214に記憶されているデータは正常であり、停電復旧処理を実行できるので、RAM214に停電復旧時の初期値を設定する(614)。その後、払出制御装置210は、遊技球の貸し出しを行うことができる状態になったことを知らせるため、PRDY信号をカードユニット70に出力する(615)。
次に、払出制御装置210は、時間を計測するためのタイマであるCTC(Counter Timer Circuit)を設定し(616)、ステップ601の処理で禁止された割り込みを許可する(617)。
それから、払出制御装置210は、図9のステップ618へ移行してカードユニット70が払出制御装置210に接続されているか否かを判定する。具体的には、カードユニット70からVL信号が出力されているか否かを判定する。払出制御装置210は、カードユニット70からのVL信号に基づいて、払出制御装置210にカードユニット70が接続されていると判定した場合には、発射制御装置221を遊技球の発射を許可状態に設定し(619)、ステップ621の処理に進む。
一方、払出制御装置210は、カードユニット70からVL信号が出力されていない、つまり払出制御装置210にカードユニット70が接続されていないと判定した場合には、発射制御装置221を遊技球の発射を不許可状態にし(620)、ステップ621の処理に進む。
次に、払出制御装置210は、払出制御モードを取得する(621)。そして、取得した払出制御モードによって処理を分岐させる(622)。払出制御モードには、モード0、モード1及びモード2がある。なお、初期状態では、払出制御モードは、モード0に設定されている。払出制御装置210は、取得した各モードに対応する処理を実行する。モード0の場合、遊技球が過剰に払い出されていないか否かを監視する処理を実行し、モード1の場合、遊技球を賞球として払い出す処理を実行し、モード2の場合、遊技球を貸球として払い出す処理を実行する。
具体的には、払出制御装置210は、ステップ621の処理で取得した払出制御モードがモード0である場合には、遊技球が過剰に払い出されていないか否かを監視する払出過剰エラー監視処理を実行する(623)。そして、払出制御装置210は、ステップ623の処理で払出過剰エラー監視処理を実行した後、実際に遊技球を払い出させる処理を開始させるために、払出制御装置制御開始判定処理を実行し(624)、ステップ628の処理に進む。
一方、払出制御装置210は、ステップ621の処理で取得した払出制御モードがモード1である場合には、賞球として払い出す遊技球の数を設定する賞球制御処理を実行し(625)、実際に設定された遊技球を払い出すように払出モータ220を制御する払出制御処理を実行し(626)、ステップ628の処理に進む。
また、払出制御装置210は、ステップ621の処理で取得した払出制御モードがモード2である場合には、貸球として払い出す遊技球の数を設定する球貸制御処理を実行し(627)、払出制御処理を実行し(626)、ステップ628の処理に進む。
そして、払出制御装置210は、各モードに対応する処理を実行した後、エラー報知編処理を実行する(628)。エラー報知編集処理は、遊技球を払い出す処理において、遊技球に過不足がある場合等のエラーを遊技店の店員等に報知するためのエラー報知コマンドを編集する処理である。なお、ステップ628の処理で設定されたエラー報知コマンドは、例えば、タイマ割込処理(図11)のステップ2212の処理で遊技制御装置100に送信される。
遊技制御装置100は、エラー報知コマンドを受信した場合、演出制御装置150に対してエラー報知コマンドを送信する。演出制御装置150は、エラー報知コマンドを受信した場合、受信したエラー報知コマンドに基づいて、エラーを報知するために、スピーカ30から警告音を出力したり、表示装置8にエラーを報知するための画面を表示させたりする。また、払出制御装置210は、エラー番号をエラーナンバー表示器222に表示する。これによって、エラー報知LED29の点灯等によってエラーに気付いた店員は、前面枠3を開放し、払出制御装置210の裏面側に配設されるエラーナンバー表示器222を見ることによって、どのようなエラーが発生したのかを把握できる。
次に、払出制御装置210は、不正監視処理を実行する(630)。なお、エラー報知編集処理(628)の前に不正監視処理(630)を実行するようにしてもよい。不正監視処理の具体的内容については、後に図10を用いて説明する。その後、払出制御装置210は、RAM214の特定の領域であって、停電があったことを示す停電フラグが格納される停電検査領域の内容を取得する(641)。停電フラグは、遊技機1に供給される電圧が所定値以下か否かを判定し、所定値以下である場合に設定される。そして、払出制御装置210は、取得した停電フラグに基づいて、停電が発生しているか否かを判定する(642)。
ステップ630の処理で、停電が発生していないと判定された場合、払出制御装置210は、ステップ618の処理に戻る。一方、ステップ630の処理で、停電が発生していると判定された場合、払出制御装置210は、ステップ631〜ステップ635の処理の停電時処理を実行する。
まず、払出制御装置210は、割り込み禁止を設定し(643)、すべての出力ポートをOFFに設定する(644)。払出制御装置210は、停電復旧情報をRAM214に保存し(645)、RAM214の電源が切れる前に、RAM214に記憶されているデータのチェックサムを算出し、算出したチェックサムの値を記憶する(646)。その後、払出制御装置210は、RAM214へのアクセスを禁止し(647)、遊技機1の電源が切れるまで待機する。なお、払出制御装置210には、バックアップ電源が接続されているので、停電が発生しても、すぐに電源が切れることはない。
次に、図9に示すステップ640の処理である不正監視処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。
不正監視処理では、まず、払出制御装置210は、例えば払出モータが駆動中か否か判定することで、払出ユニット360が遊技球の払出中(賞球或いは貸し球の払出中)であるか否かを判定する(631)。払出中でない時はそのまま処理を終了して、図9のメイン処理へ戻る。
一方、ステップ631で払出中と判定すると、払出制御装置210は、ステップ632へ進んで不正検出センサ113の出力が球無し状態であるか否かを判定する。ここで、球有りと判定できたとするとセンサは正常であるので、そのまま処理を終了して、図9のメイン処理へ戻る。ステップ632で球無しと判定した場合には、次のステップ633でセンサのエラーを示すエラーフラグをセットして、図9のメイン処理へ戻る。
そして、メイン処理では、ステップ626の払出制御処理の中でセンサエラーフラグをチェックして、エラーフラグが立っていれば払出制御を停止する。これにより、不正行為によって規定数以上の遊技球が払い出されるのを防止することができる。また、次に説明する図11のタイマ割込み処理の中の出力処理(2206)等で、センサエラーフラグをチェックして、エラーフラグが立っていれば警報ランプ224の点灯駆動信号を出力することで、不正が発生したことを外部へ報知することができる。
なお、払出制御装置210が警報ランプ224を点灯させる代わりあるいはこれと並行
して、遊技制御装置100へエラー発生を知らせる信号を送って、遊技制御装置100がエラー報知ランプ29を点灯させるように構成しても良い。なお、図10の不正監視処理では、遊技球の払出中であるか否かを判定するステップ641を設けているが、このステップは省略して、不正検出センサの出力が球無し状態であるか否かを判定するステップから開始するように構成して不正検出センサ113からの出力を常時監視するようにしても良い。
次に、払出制御装置210が所定時間周期毎に実行するタイマ割込処理について、図11のフローチャートを用いて説明する。
なお、タイマ割込処理で実行される処理は、割込発生毎に必ずしもすべて行なわれなくてもよい。例えば、出力処理(2206)及び入力処理(2207)においては、毎回入力信号を監視するが、出力処理は割り込みの発生の1回おきに実行されてもよい。つまり、1回の割り込み処理で一通りの処理をすべて完了するのではなく、この割り込み処理が複数回繰り返し実行されて一連の遊技制御処理が完了してもよい。
タイマ割込処理では、払出制御装置210は、CPU102のAFレジスタを退避させる(2201)。そして、払出制御装置210は、停電が発生した際に出力される強制割込信号である外部割込みのみを許可する(2202)。そして、払出制御装置210は、タイマ割込処理の終了を宣言し(2203)、割り込みを許可する(2204)。
次に、払出制御装置210は、CPU102のBCレジスタ、DEレジスタ及びHLレジスタを退避させる(2205)。それから、払出制御装置210は、出力処理を実行する(2206)。出力処理は、出力I/F106を介して、払出モータ220、発射制御装置221、エラーナンバー表示器222、警報ランプ224等に駆動信号を出力する処理である。
次に、払出制御装置210は、入力処理を実行する(2207)。入力処理は、入力I/F105を介して入力される各種センサ及びスイッチ等からの信号、並びに払出制御装置210とカードユニット70とを接続するポートを介して入力される信号にチャタリング除去等の処理をし、入力情報を確定する処理である。払出制御装置210に入力される信号としては、例えば、払出球検出センサ112、不正検出センサ113、球切れスイッチ110及びオーバーフロースイッチ109から入力される信号、並びにカードユニット70から入力される信号等がある。次に、払出制御装置210は、各種タイマを更新する処理を実行する(2208)。
次に、払出制御装置210は、要求監視処理を実行する(2209)。具体的には、払出制御装置210は、受信した各種コマンドや信号を解析し、カードユニット70からBRDY信号が出力されているか否かを監視する。それから、払出制御装置210は、入力監視処理を実行する(2210)。具体的には、払出制御装置210は、カードユニット70からVL信号に基づいて、カードユニット70と払出制御装置210とが接続されているか否かを監視し、払出球検出センサ112から入力される信号に基づいて、払い出されるべき数分の遊技球が払い出されているか否かを監視する。
次に、払出制御装置210は、払出ユニット出力編集処理を実行する(2211)。具体的には、払出制御装置210は、払出ユニット360の払出モータ220を制御するために出力情報を編集する。また、払出制御装置210は、外部情報出力編集処理を実行する(2212)。具体的には、払出制御装置210は、遊技機1に関する情報として賞球信号を、情報収集端末及び遊技場内部管理装置等に出力する。
次に、払出制御装置210は、ステップ2205の処理で退避させたBCレジスタ、DEレジスタ及びHLレジスタを復帰させる(2213)。その後、払出制御装置210は、外部割込み及びタイマ割込みを有効化し、ステップ2201の処理で退避させたAFレジスタを復帰させ(2215)、タイマ割込処理を終了する。
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、今回開示した実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではない。また、本発明の範囲は前述した発明の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び内容の範囲での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、不正検出センサの信号線が断線したことを検出する断線検出手段を設けて、該断線検出手段が断線を検出した場合に、不正処理を行うようにしてもよい。さらに、断線が発生したら、遊技球の非検出状態となる同じ信号レベルを形成する回路を設けて断線を検出するようにしてもよい。このようにすれば、不正検出センサを不正に取り外す不正も監視できる。
以上のように、本発明は、カードユニットによって遊技媒体としての遊技球が貸し出されるパチンコ遊技機に限定されず、アレンジボール遊技機、雀球遊技機、及びスロットマシンなどの遊技機にも適用可能である。