図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つの回胴のそれぞれに対応して3つのストップスイッチ140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCDが設けてある。
スロットマシン本体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回胴からなるリール(回胴)ユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つの回胴(第1回胴〜第3回胴)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転回胴の図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205が設けられている。
前記前扉130の裏面には、図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたメダル投入口132の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。ここでは図示しないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部(図2の符号205)を備える。
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、回胴の回転・停止やメダルの払い出しなどの処理を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134,ストップボタン140,リール(回胴)ユニット203、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これら80、81、82は前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。液晶制御基板200には、図1の液晶表示装置LCDが接続されている。
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
リールユニット203は、3つの回胴40a〜40cと、これらをそれぞれ回転させるステッピングモータ155a〜155cと、それらの位置をそれぞれ検出する回胴位置検出器159a〜159cとを備える(なお、ステッピングモータ155a〜155cを単にモータ155あるいはモータと記すことがある)。
ホッパ駆動部80は、ホッパ81を回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
投入受付部1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1回胴〜第3回胴の回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1回胴〜第3回胴の回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。スタートスイッチ134が押下され各回胴の回転が開始した時点(遊技開始時点)から3つのストップスイッチ140が押下され各回胴の回転が停止した時点(入賞した場合はメダル払い出しが完了した時点)(遊技終了時点)の間であって、メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10は、メダルの投入を受け付ける状態か否かに応じて、ベットスイッチBETの有効/無効を制御する。また、前記遊技終了時点から前記遊技開始時点までの間でベットスイッチBETは有効となるが、これ以外の期間においては(BETスイッチの押下が許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1100から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に前記乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。
すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
回胴制御手段1300は、遊技者のスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1回胴〜第3回胴をステッピングモータにより回転駆動させ、第1回胴〜第3回胴の回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中の回胴にそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1回胴〜第3回胴を抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
また、回胴制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、その回胴停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1回胴〜第3回胴の各回胴を停止させる制御を行う。
すなわち、回胴制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1回胴〜第3回胴のうち押下されたボタンに対応する回胴の停止位置を決定して、決定された停止位置で回胴を停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1回胴〜第3回胴の停止位置を決定し、決定された停止位置で第1回胴〜第3回胴を停止させる制御を行う。
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1回胴〜第3回胴の位置(押下検出位置)と、第1回胴〜第3回胴の実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、第1回胴〜第3回胴の停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるインデックスセンサを備えており、回胴制御手段1300は、回胴が1回転する毎にインデックスセンサで検出される基準位置信号に基づいて、回胴の基準位置(インデックスセンサによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在の回胴の回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップスイッチ140の作動時における回胴の位置を、回胴の基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
回胴制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とを回胴を停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)回胴を停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)回胴を停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止している回胴の停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各回胴の停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1回胴〜第3回胴を停止させる制御を行っている。
遊技機では、第1回胴〜第3回胴が、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中の回胴を停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各回胴の停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各回胴が停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
入賞判定手段1400は、第1回胴〜第3回胴の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1回胴〜第3回胴の全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
サブ基板20は、メイン基板10からのコマンドに従い、予め定められた画面を液晶表示装置LCDに表示させるためのコマンド(液晶表示装置用コマンド、描画コマンド)を生成する。
図4、遊技機の概略の設定変更フローチャートを示す。図4を参照して、設定変更手順を簡単に説明する。
ホール係員が遊技機の電源をオフにし(S20)、図示しない設定キースイッチ(電源部205に設けられている)をオンにする(S21)。そして、その状態で遊技機の電源をオンにする(S22)。電源スイッチは電源部205に設けられている。すると、設定変更モードになりメイン基板10が設定変更処理を開始する。設定変更モードになったら、所定の手順で設定変更を行う(S23)。具体的には、ホール係員が図示しない設定変更/リセットスイッチ(電源部205に設けられている)を押して設定値を所望の値に設定する。設定値は、メイン基板10により遊技機の図示しない表示部(例えば遊技機の前面に設けられた日の字型LED表示器)に表示される。所望の設定値になったら、ホール係員がスタートスイッチ134を押下する(S24)。設定値の更新処理が行われる(S25)。すなわち、メイン基板10は、S23で設定された新しい設定値をメイン基板10のメモリに記憶する。図示しない設定キースイッチがオフにされることで、設定変更処理が終了する(S26)。
図5は、発明の実施の形態に係るメイン基板のブロック図を示す。同図は、発明の実施の形態に関連する部分のみを示しており、他の部分の表示は省略している。
電源部205には電源スイッチPSWが設けられており、これを操作することで電源をオンオフする。すなわち、電源スイッチPSWをオンにすることで電源部から電源電圧VCCがメイン基板や他の基板に供給される。
10−1は、電源スイッチPSWをオフにしたときに、電源電圧VCCが降下する時間を計測する電圧降下時間計測部である。
10−2は、電圧降下時間計測部10−1により計測された電源電圧VCCの降下する時間が予め定められた閾値よりも短いと判定されたときに、異常フラグがセットされる異常フラグ記憶部である。
10−3は、異常フラグがセットされているときに異常を報知する異常報知部である。
10−4は、電圧降下時間計測部10−1について、少なくとも、電源オフ時の電圧降下時間を計測する動作を行うために十分な電流を供給するバックアップ電源又は蓄電器A(10−4)である。
10−5は、異常フラグ記憶部10−2について、少なくとも、電源オフにおいて記憶内容を保持するために十分な電流を供給するバックアップ電源又は蓄電器B(10−5)である。
なお、表記を簡単にするために、以下の説明において、バックアップ電源又は蓄電器A(10−4)、バックアップ電源又は蓄電器B(10−5)は、それぞれ、蓄電器A、蓄電器Bと記す。
蓄電器A及び蓄電器Bは、二次電池又はコンデンサなどの蓄電器である。これらはひとつの二次電池又は蓄電器で共用することもできる。
図6は、電源オフ時の処理フローチャートである。図7(a)は正常時の電源VCCの系統図、同図(b)は電源オフ時の電源VCCの電圧降下の様子を示すタイミングチャート、図8(b)は不正行為時の系統図、同図(b)は不正行為時のタイミングチャートである。以下、これらの図を参照して発明の実施の形態に係る遊技機の動作説明を行う。
S1:電圧降下時間を計測する。計測した時間とTmとする。
電圧降下時間計測部10−1により電圧降下時間を計測する。
電源部205は、通常、その内部に大容量のコンデンサC1を備えている。このため、電源スイッチPSWをオフにしても、図7(b)に示すように、電源電圧VCCはすぐには低下することなく、所定の降下時間Tm1経過した後に電源電圧VCCはゼロとなる。
具体的には、電源電圧VCCがオン(電圧が既定値であること)であると判定するための閾値VUthと、オフ(=ゼロ)であると判定するための閾値VLthとが予め定められ、電源電圧VCCが閾値VUthより大きいとき電源電圧VCCがオンとされ、電源電圧VCCが閾値VLthより小さいとき電源電圧VCCがオフとされる(図8(b)でも同じ。同図ではTm2が短いためt1とt4の表示は省略している)。図7(b)の例では、時刻t1で電圧が低下し始め、時刻t2で閾値VUthになり、時刻t3で閾値VLthになり、時刻t4でゼロになる。本発明の実施の形態で監視するのは、時刻t2とt3であり、時刻t1とt4は説明の便宜上表示しただけのものである。
電圧降下時間計測部10−1が測定するのは、時刻t2からt3までの時間であるTmである(図7(b)と図8(b)では説明の便宜上Tm1,Tm2と表示しているがこれらはいずれもTmである)。
閾値VUth、閾値VLthは、それぞれ電圧降下の開始と終了を規定する電圧であり、電圧降下時間を適切に計測できるように設定される。閾値VUthは、電源部205による電源電圧VCCの通常の変動の影響を受けないように、その変動幅よりも大きくなるように設定する。仮に変動幅が5%であるとすれば、例えば、閾値VUthは電圧VCCの標準値の90%に設定される。閾値VLthは、電圧が無くなったとみなせる程度、すなわち接地電位(=ゼロボルト)程度に設定される。例えば、10%に設定される。
S2:計測したTmを予め定められた閾値(異常判定閾値)と比較する。
この閾値(異常判定閾値)は、上記閾値VUth、閾値VLthとは異なり、時間に関する値である。
上述のように、電源スイッチPSWのオフから電源電圧VCCのゼロまでには、降下時間Tm1を要する。これが正常な降下時間である。そこで、正常な降下時間Tm1に基づき上記閾値(異常判定閾値)を設定する。言い換えれば、正常な降下時間Tm1と後述の異常な降下時間Tm2とを弁別できるように上記閾値(異常判定閾値)を設定する。正常な降下時間Tm1は、数百ミリ秒〜2,3秒であるのに対し、異常な降下時間Tm2は数ミリ秒程度である。そこで、例えば、Tm1の50%乃至80%程度を閾値(異常判定閾値)とする。
すなわち、閾値(異常判定閾値)は、図7(a)のような正しい(設計でさだめられた通常の)接続状態において計測された降下時間Tm1(例えば何回か計測された値の平均値あるいは最小値)に基づき定められる。通常の降下時間Tm1は、設計上の値、あるいは工場出荷時などの検査の段階における実測上の値である。一般的には、設計仕様書上は降下時間Tm1が定められていないことが想定されるので、実測上の値を通常の値とすることができる。当該値が遊技機ごとに変動する場合は、遊技機ごとに実測し、その結果を通常の値とするようにできる。あるいは、何台か遊技機について実測し、その結果から最小の降下時間を求め、これを通常の値として同じ機種すべてについて適用するようにしてもよい。
閾値(異常判定閾値)を上記のように設定した場合において、電圧降下時間計測部10−1が図7(b)の正常な降下時間Tm1を計測したとき、S2でTm≧閾値となる(Tm1≧0.5〜0.8Tm1であるから)。この場合、S3の処理を行うことなく、図6の処理を終了する。
これに対し、図8に示す不正行為の場合は、S2でTm<閾値となる。
図8(a)に示すように、不正行為の場合はハーネスの電源線に不正なスイッチXが設けられ、当該スイッチXにより電源VCCがオフにされる。スイッチXからメイン基板10にかけては大容量のコンデンサは設けられていない(電源部のコンデンサC1はスイッチXにより切り離される)。したがって、メイン基板10から見た電源VCCは、図8(b)に示すように急速に低下する。
この状態において、電圧降下時間計測部10−1が図8(b)の異常な降下時間Tm2を計測したとき、S2でTm<閾値となる(Tm2<0.5〜0.8Tm1)。
S2でTm<閾値となったら、S3の処理を実行する。
S3:異常フラグ記憶部10−2に異常フラグをセットする。
図7は、電源オン時の処理フローチャートである。
S10:異常フラグをチェックする。
メイン基板10は、電源オン時、異常フラグ記憶部10−2を調べ、異常フラグがセットされているかどうか判定する。
S11:異常フラグの判定を行う。
異常フラグがセットされていないときは、S13の通常の初期化処理を行い、遊技処理を実行する。
異常フラグがセットされているときは、S12の異常報知及び/又は遊技停止を行う。具体的には次のような処理を行う。
・異常報知
遊技機において、ブザーを吹鳴したり、液晶表示装置にエラーを表示することで異常を報知する。この異常報知はホール店員の知るところとなり、不正行為を摘発することができる。これに代えて、又はこれとともに、ホールコンピュータへエラー信号を送信するようにしてもよい。
・遊技停止
遊技の受付を停止する。例えば、通常の初期化処理を行わず、メイン基板10のCPUの動作を停止させる。あるいは、メダルの受付を停止する。
・設定値を最も不利な値にする
前述のように、設定値は所定の値(通常1〜6)をとるから、設定変更の結果によらず、それらのうちで最も不利なもの(当選確率の低いもの)を強制的に設定するようにする。こうすることで、遊技機が遊技可能になっても、不正行為者は不利な設定値で遊技をせざるを得ず、不正行為の目的を達成することができない。
・設定変更を受け付けない
設定変更の結果を無視して、従前の設定値を用いて遊技を行うようにする。こうすることで、不正行為者は有利な設定値の設定という目的を達成することができない。
以上のように、この発明の実施の形態によれば、電源オフ時の電圧降下時間を計測し、それが予め定められた閾値より小さいときに異常フラグをセットするので、ハーネスに設けられた不正なスイッチの操作を、電源スイッチの正常な操作と区別することができる。異常フラグに基づき電源オン後において異常報知を行い及び/又は遊技停止にするにより、こと不正行為者に利益を与えることがなくなる。
なお、図6の処理S2において、閾値を通常の電圧降下時間とし、Tmが閾値と一致しないときにS3の処理を行うようにしてもよい。すなわち、Tmが通常の電圧降下時間Tm1と一致しなくなったら、S3の処理を行う。
図10〜図14を参照して、電圧降下時間の具体的計測手段について説明を加える。
図10は、メイン基板10のCPUで直接計測するときのブロック図を示す。
同図の装置は、電源電圧VCCをデジタル値に変換するアナログ−デジタル変換器(A/D変換器)10−6を備え、その出力をI/Oから取り込むものである。図10のCPUは、遊技処理のためのものであるが電圧降下時間計測に兼用することができる。これに代えて、計測専用のCPUを備えてもよい。
図10の例では、CPUが電圧降下時間計測部10−1として機能する。すなわち、CPUはA/D変換器10−6の出力をI/Oから取り込み、これを監視している。電源電圧VCCが閾値VUthに達したときに計時を開始し、閾値VLthに達したときに計時を停止する。この計時結果を閾値(異常判定閾値)と比較する。これ以降、CPUは図6と図9の処理を実行する。なお、タイマー(例えばリアルタイムクロック(RTC))を備え、これに基づき計時を行うようにしてもよい。すなわち、CPUは、電源電圧VCCが閾値VUthに達したときにタイマーに計時を開始させ、閾値VLthに達したときにタイマーの値を読み取る。タイマーを別途設けることで、CPUは計時処理から開放され、その処理負荷を軽減することができる。
図11は、電圧の計測はアナログ回路で行い、計時をCPUで行うものである。
10−7は電源電圧VCCを基準電圧源10−9の閾値VUthと比較するコンパレータA(10−7)である(以下、コンパレータA(10−7)をコンパレータAと記す)。コンパレータAは、図13(b)に示すように、電源電圧VCCが閾値VUthを下回ったときに信号を出力する(Hレベルとなる)ように動作する。
10−8は電源電圧VCCを基準電圧源10−10の閾値VLthと比較するコンパレータB(10−8)である(以下、コンパレータB(10−8)をコンパレータBと記す)。コンパレータBは、図13(b)に示すように、電源電圧VCCが閾値VLthを下回ったときに信号を出力する(Hレベルとなる)ように動作する。
コンパレータA及びBの出力はI/Oに入力される。図11の例では、CPUとコンパレータA及びBが電圧降下時間計測部10−1として機能する。
CPUは、コンパレータAから信号が出力されたとき(図13のt2)、計時を開始し、コンパレータBから信号が出力されたとき(図13のt3)、計時を停止する。これによりTmを計測することができる。
なお、コンパレータA及びBの出力を、I/Oではなく、CPUの割り込み端子に入力するようにしてもよい。
図12は、CPUを使用せずにハードウエアで図6の処理を行う装置のブロック図である。
10−11は、抵抗とコンデンサからなる回路10−13で当該抵抗の定数とコンデンサの定数から定まる時定数Aに従って一定のパルスを発生するワンショット(単安定)マルチバイブレータである。
10−12は、抵抗とコンデンサからなる回路10−14で当該抵抗の定数とコンデンサの定数から定まる時定数Bに従って一定のパルスを発生するワンショット(単安定)マルチバイブレータである。
以下、ワンショットマルチバイブレータ10−11,10−12を、ワンショットマルチバイブレータA,Bと記すことにする。
10−15は、ワンショットマルチバイブレータA,Bの出力の論理積(AND)を求めるAND回路である。
図12では、異常フラグ記憶部として双安定のフリップフロップ回路が使用されている。当該フリップフロップ回路は、フラグをセットする端子であるSETと、リセットする端子であるRESETとを備えるが、同図ではSETのみを示している。
図12の回路を、図13及び図14を参照して説明する。
コンパレータAから信号が出力されたとき(図13のt2)、ワンショットマルチバイブレータAは、時定数Aから定まる持続時間TAのパルスを出力する。時定数Aは、持続時間TAが前述の閾値(異常判定閾値)に一致するように選ばれている。
コンパレータBから信号が出力されたとき(図13のt3)、ワンショットマルチバイブレータBは、時定数Bから定まる持続時間TBのパルスを出力する。持続時間TBは、フリップフロップ回路10−2でフラグをセットできる程度に長ければよく、持続時間TAに比べて制約は少ない。
図13は正常な電源オンオフを示すが、この場合、持続時間TAのパルスは、電源電圧VCCが閾値VLthを下回るときまでには消えている。その後、持続時間TBのパルスが発生するが、両者は時間的に重ならないのでAND回路10−15から信号は出力されない。
これに対し、図14の不正な電源オンオフの場合、電源電圧VCCの降下時間は短いから、持続時間TAのパルスは、電源電圧VCCが閾値VLthを下回るとき(時刻t3’)にはまだ存在している。したがって、持続時間TAのパルスと持続時間TBのパルスは重なり、AND回路10−15から信号が出力される(図14(b)の点線がその出力を示す)。これにより、フリップフロップ回路10−2のフラグがセットされる。
以下、CPUが図9の処理を行うことにより、異常報知などを行う。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。