JP5904409B2 - 靭性に優れた金型用鋼材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、各種の金型に用いることが可能な、靭性に優れた金型用鋼材の製造方法に関する。
金型用鋼材は、一般に、鋳造によって得られた素材を熱間加工して形状を整え、続いて焼鈍を行って製造される。そして、この焼鈍材に金型形状への機械加工と焼入れ焼戻しを行って、所定の使用硬さに調整した金型が作製される。従来、プラスチック成型等の耐食性と磨き性が求められる金型用鋼材には、JIS−SUS420J2に代表される高C−高Crのマルテンサイト系ステンレス鋼や、その改良鋼材が使用されてきた(特許文献1〜3)。これらの成分組成でなる金型用鋼材は、焼入れ焼戻しによって50HRCの高硬度が得られるので、使用時の耐摩耗性にも優れる。しかし、この焼入れ焼戻し後の高硬度の状態では、金型形状への機械加工が容易ではないことから、一般的には、例えば30HRC未満の硬度の低い上記の焼鈍材の状態で提供され、これを金型形状に機械加工してから、上記の使用硬さに焼入れ焼戻ししている。
これらの金型用鋼材には、あらかじめ焼入れ焼戻しされたプリハードン状態で提供されるものもある。プリハードン状態の金型用鋼材は、その焼入れ焼戻しのされた状態で金型形状に機械加工するので、焼入れ焼戻しによって生じる熱処理変形の課題を解決できるものである。例えば、上記の焼鈍材を30HRC程度に焼入れ焼戻しして提供されるものは、機械加工時の被切削性(工具寿命)は焼鈍材のそれより低いものの、機械加工自体は困難ではない。そして、提供された金型用鋼材は機械加工され、上記の50HRC程度の使用硬さに再度焼入れ焼戻しされる。あるいは、焼鈍材を40HRC程度に焼入れ焼戻ししてプリハードン状態で提供されるものは、この硬さでも機械加工は可能であるから、これを機械加工して、そのままの硬さで使用することも可能である。
特開平04−002745号公報 特開平03−097829号公報 特開2007−277639号公報
特許文献1〜3が提案するマルテンサイト系ステンレス鋼の成分組成は、高硬度の金型を得るのに適したものである。しかし、これらの金型用鋼材の成分組成は、多くのCを含有することから、上記した熱間加工後の焼鈍によって、その組織中に粗大な炭化物が分布しやすい。そして、この粗大な炭化物は、後の焼入れ焼戻しによっても消去し難い。この結果、機械加工を経て完成した金型の組織中に、この粗大な炭化物が多く存在すると、金型の靭性が劣化して、使用時の割れ等、金型の早期の破損につながる恐れがあった。
本発明の目的は、SUS420J2や、特許文献1〜3等で提案される成分組成のマルテンサイト系ステンレス鋼でなる金型用鋼材を提供するにおいて、その靭性を向上できる製造方法を提供することである。
本発明者は、焼鈍後の鋼材中に粗大な炭化物が分布する現象が発生する原因を調査した。その結果、この現象は、熱間加工後の素材が有する組織形態に、次の焼鈍に移行するまでの温度履歴が影響して発生していることを突きとめた。そこで、この温度履歴を、前工程である熱間加工の条件とともに相互に見直したところ、熱間加工の条件管理および熱間加工後の素材の温度履歴の管理を適切に行えば、焼鈍時の粗大な炭化物の発生を抑制できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、質量%で、C:0.3〜0.5%、Cr:12.0〜16.0%を含む成分組成のマルテンサイト系のステンレス鋼素材を熱間加工し、引き続いて前記熱間加工した前記ステンレス鋼素材を焼鈍する金型用鋼材の製造方法であって、前記熱間加工は、[(熱間加工前のステンレス鋼素材の厚み−熱間加工後のステンレス鋼素材の厚み)/熱間加工前のステンレス鋼素材の厚み]×100の式で算出される加工率が55%以上であり、かつ、前記熱間加工後のステンレス鋼素材をMs点以下の温度まで冷却してから、引き続いて焼鈍温度に加熱して前記焼鈍することを特徴とする靭性に優れた金型用鋼材の製造方法である。好ましくは、前記焼鈍温度は、600℃以上および/または1000℃以下である。あるいはさらに、熱間加工に供する前記ステンレス鋼素材は、再溶解法によって作製されたことが好ましい。
また、本発明は、前記焼鈍した後に、焼入れ焼戻しして、プリハードン状態の金型用鋼材とすることを特徴とする金型用鋼材の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、SUS420J2や、特許文献1〜3等で提案される成分組成の金型用鋼材の靭性を向上させることができ、特に大型の金型の提供に有用な製造方法である。
本発明法および従来法で製造した金型用鋼材の一例を示す、焼鈍後の金属ミクロ組織を表す図面代用写真である。 本発明法および比較法で製造した金型用鋼材の靭性に及ぼす熱間加工時の加工率の影響の一例を示す図である。
本発明の特徴は、熱間加工後の素材が焼鈍されるまでに経ていた従来の温度履歴を、その熱間加工時の条件とともに相互に見直したことで、最適な熱間加工および温度管理の手法を提案したところにある。以下に、本発明の各構成要件について説明する。
(1)質量%で、C:0.3〜0.5%、Cr:12.0〜16.0%を含む成分組成のマルテンサイト系のステンレス鋼素材を熱間加工し、引き続いて前記熱間加工した前記ステンレス鋼素材を焼鈍する金型用鋼材の製造方法である。
上述の通り、本発明の目的は、SUS420J2や、特許文献1〜3等で提案される成分組成の金型用鋼材の靭性を向上するものである。そして、この金型用鋼材が、通常の方法に従って、該成分組成のマルテンサイト系ステンレス鋼素材を熱間加工し、引き続いて焼鈍して製造されることも、上述の通りである。以下、素材の成分組成(つまり、金型用鋼材の成分組成)について説明する(以下、「質量%」の表記は、単に「%」と記す)。
・C:0.3〜0.5%
Cは、焼入れ性を高め、さらには、50HRC以上の十分な焼入れ焼戻し硬さを得るために必要な元素である。ただし、多すぎると、焼入れ後に焼割れが発生しやすくなる。よって、本発明では、0.3〜0.5%とする。好ましくは、0.33%以上および/または0.45%以下である。
・Cr:12.0〜16.0%
Crは、焼入れ性を高め、高い焼入れ焼戻し硬さを得るために必要な元素である。さらに、Crは、金型用鋼材の耐食性を高める重要な元素である。ただし、多すぎると、熱伝導率が著しく低下する。熱伝導率が高いと、金型として使用時の加熱・冷却の熱サイクルに要する時間を短縮でき、好適である。よって、本発明では、12.0〜16.0%とする。好ましくは、12.5%以上および/または15.0%以下である。
その他の元素も含め、本発明の製造方法に係る金型用鋼材の成分組成として好ましい組成範囲を示すと、以下の通りである。
C:0.3〜0.5%(好ましくは、0.33%以上および/または0.45%以下)
Si:1.0%以下(好ましくは、0.2%以上および/または0.7%以下)
Mn:1.0%以下(好ましくは、0.2%以上および/または0.7%以下)
P:0.05%以下(好ましくは、0.03%以下)
S:0.01%以下(好ましくは、0.005%以下)
Ni:無添加〜1.0%(好ましくは、0.5%以下)
Cr:12.0〜16.0%(好ましくは、12.5%以上および/または15.0%以下)
MoおよびWの1種または2種:(Mo+1/2W)の式で0〜1.5%(好ましくは、0.1%以上および/または1.0%以下)
Fe:実質的に残部(例えば、残部Feおよび不可避的不純物を含む)
Siは、被切削性を高める効果を有するが、多すぎると熱伝導率を極端に低下させる元素である。
Mnは、焼入れ性を高め、フェライトの生成を抑制する効果を有するが、多すぎると基地の粘さを極端に上げるため、被切削性を低下させる元素である。
Pは、多すぎると熱間加工性や靭性を低下させる元素である。
Sは、多すぎると熱間加工性や耐食性を低下させ、さらには、靭性の異方性を助長する元素である。
Niは、焼入れ性を高め、耐食性も向上させる効果を有するが、多すぎると熱伝導率を低下させる元素である。
MoおよびWは、焼戻し時の硬さを高める効果を有するが、多すぎると焼入れ時に基地に固溶しきれず、逆に、焼戻し硬さを低下させる。
(2)前記熱間加工は、[(熱間加工前のステンレス鋼素材の厚み−熱間加工後のステンレス鋼素材の厚み)/熱間加工前のステンレス鋼素材の厚み]×100の式で算出される加工率を55%以上とする。
本発明に係るステンレス鋼素材を熱間加工する際は、その加工性の向上と、炭化物の固溶による成分均質化のために、該素材を、通常、オーステナイト単相域の温度に加熱してから熱間加工する。そして、組織中の炭化物の微細化を目的とする本発明にとって、この熱間加工が終了した時の組織中の結晶粒は微細であることが有効である。つまり、後述する冷却過程以降において、該組織中のオーステナイト結晶粒界は炭化物の析出サイトとなるから、冷却前の結晶粒を微細にしておくことで、この析出サイトは増加して、焼鈍後の炭化物を微細にすることができる。
そこで、本発明では、上記のステンレス鋼素材を熱間加工する際の加工率を、以下の式による計算値で55%以上とすることが重要である。つまり、この加工率を55%以上とすることで、熱間加工中の組織には加工ひずみの蓄積と再結晶が繰り返される動的再結晶(dynamic recrystallization)の現象が進んで、結晶粒が十分に微細化され、炭化物の析出サイトを効果的に増やすことができる。好ましくは60%以上の加工率であり、さらに好ましくは65%以上の加工率である。また、結晶粒を微細にしておくことは、これ自体も破壊の組織単位を小さくすることに作用して、金型用鋼材の靭性などの機械特性を向上する効果を有する。
加工率(%)=[(熱間加工前のステンレス鋼素材の厚み−熱間加工後のステンレス鋼素材の厚み)/熱間加工前のステンレス鋼素材の厚み]×100
(3)前記熱間加工後のステンレス鋼素材をMs点以下の温度まで冷却してから、引き続いて焼鈍温度に加熱して前記焼鈍するものである。
上記の熱間加工を終えた素材は、そのまま放置すれば、加工終了温度から降温していく。このとき、素材は、加工後の冷却過程で炭化物が析出する温度域を通過するため、特にオーステナイト結晶粒界上に、微細な炭化物が析出しやすい。また、実際の操業においては、改めての加熱工程を省略して効率化するために、この冷却途中の素材は、すかさず焼鈍炉へ挿入されていた。したがって、従来、上記の微細な炭化物が析出した熱間加工後の素材は、具体的には300〜500℃付近の、十分な冷却をされないままの状態で、再び焼鈍温度に加熱され、長時間の焼鈍環境に曝されていた。そして、この温度履歴によって、上記の微細な炭化物は、金型用鋼の靭性を低下させるほどの粗大な炭化物へと成長していたことを、本発明者は突きとめた。
そこで、本発明者は、熱間加工後の素材に上記の微細な炭化物が析出していたとしても、次の焼鈍工程において、その炭化物の成長を抑制できる手法を検討した。その結果、上記の熱間加工を終了して炭化物の析出サイトを増加した素材について、冷却の途中で焼鈍に移行せずにMs点以下の温度まで冷却し、素材をマルテンサイト組織化してから焼鈍温度に再加熱すれば、炭化物の粗大化を抑制できることを突きとめた。つまり、このマルテンサイト変態によって、組織中には次の焼鈍工程で炭化物が析出できるサイトがさらに増加している。この結果、焼鈍中に結晶粒界へ拡散できる炭素やクロムの量が減少して、結晶粒界に炭化物が存在していても、その成長が抑制される。なお、熱間加工後の素材を冷却する温度は、Ms点より低いほど望ましい。好ましくは(Ms点−30℃)以下、さらに好ましくは(Ms点−50℃)以下の温度である。具体的には、150℃以下、100℃以下、50℃以下の温度の順で低くなる程、好ましい。但し、低すぎると焼割れを生じる可能性がある。よって、好ましくは0℃以上の温度である。なお、冷却速度については、本発明に係るステンレス鋼素材がマルテンサイト組織化できるものであれば、特に定める必要はない。そして、これについては、例えば、空冷以上の速い冷却速度が確保できれば十分である。
(4)好ましくは、前記焼鈍温度は、600℃以上および/または1000℃以下ある。
焼鈍状態で機械加工を行う場合、熱間加工後の焼鈍は硬さを低下させて加工性を向上させる効果を有する。また、後工程で発生する割れや曲がりを抑制する効果を有する。さらに、上記の成分組成でなるステンレス鋼においては、組織中にCr炭化物を均一に析出させることで発現する「結晶粒界のピン止め効果」により、後の焼入れ時で結晶粒の粗大化を抑制でき、靭性の低下を抑制できる効果も有する。これらの効果、特にピン止め効果を十分に得るためには、焼鈍温度は600℃以上が好ましい。ただし、焼鈍温度が高すぎると、上記のCr炭化物の析出が困難となるため、1000℃以下が好ましい。より好ましくは、650℃以上および/または950℃以下である。焼鈍は、例えば室温以下までの冷却を挟んで、2回以上を繰り返してもよい。
そして、上記の焼鈍温度は、A3点以上とすることが、さらに好ましい。例えば、750℃以上である。A3点以上で焼鈍を行うと、組織中には新たなオーステナイト粒が形成され、これに伴い、炭化物の析出できるサイトも増加する。この結果、上記と同様の作用によって、炭化物の成長をさらに抑制することができる。また、炭化物の析出サイトの増加は、組織中の炭化物の数密度を増加させることともなる。これら多くの炭化物は、後の焼入れ時に、上記の「ピン止め効果」を発現して、結晶粒の微細化に作用する。2回以上の焼鈍を繰り返す場合は、少なくとも1回以上は、A3点以上の温度で実施することが好ましい。
(5)好ましくは、熱間加工に供する前記ステンレス鋼素材は、再溶解法によって得られたものである。
本発明の製造するステンレス鋼の場合、上記の焼鈍時において、Cr炭化物を均一に析出させることが好ましい。よって、出発素材である鋼塊は、成分偏析が極力低減されていることが好ましい。また、該ステンレス鋼を、特にプラスチック成型用の金型等に使用するときは、鋼材の磨き性に悪影響を及ぼすAl等の非金属介在物は極力低減することが好ましい。以上のことから、熱間加工に供する鋼素材は、エレクトロスラグ再溶解法や真空アーク再溶解法等の、消耗電極式再溶解法によって得ることが好ましい。
(6)好ましくは、前記焼鈍した後に、焼入れ焼戻しして、プリハードン状態の金型用鋼材とするものである。
焼鈍後の金型用鋼材は、適宜、求められる硬さ、例えば25〜45HRCの硬さに焼入れ焼戻ししたプリハードン状態で提供できることは、上記の通りである。そして、機械加工時の被切削性(工具寿命)を重視するのであれば、25〜35HRC程度に焼入れ焼戻しすることが好ましい。また、機械加工後には、再度の焼入れ焼戻しを行わないのであれば、使用硬さも念頭に入れた35〜45HRC程度に焼入れ焼戻しすることが好ましい。
真空アーク再溶解法によって、表1の化学成分を有するマルテンサイト系ステンレス鋼の鋼塊を準備した。これらの鋼塊のMs点は約200℃、A3点は約800℃である。次に、これらの鋼塊を1100〜1200℃に加熱して、上述した式による加工率が約58%の熱間加工を行った後、表2の条件に従って冷却し、続く1回または2回の焼鈍を行った。このとき、熱間加工後の冷却は空冷とし、冷却温度は素材の表面温度で管理した。また、焼鈍は、加熱炉中で所定時間保持した素材を、そのまま炉冷することで行った。そして、これらの焼鈍材に、50HRCプリハードンの焼入れ焼戻しに適用されている通常の1030℃からの焼入れと350℃の焼戻しを行って、焼入れ焼戻し後の硬さおよび靭性を評価した。靭性の評価は、10Rシャルピー衝撃試験片を採取して、室温での衝撃値を測定した。
本発明法で製造した試料No.1〜5の金型用鋼材は、熱間加工後の冷却を室温まで実施したので、続く焼鈍後の組織は、オーステナイト粒界上の炭化物が微細なものになっていた(図1に、各試料の焼鈍後の金属ミクロ組織(×400倍)を示す)。そして、本発明法で製造した試料No.1〜5の金型用鋼材の、その後の焼入れ焼戻し特性は、50HRC以上の硬さにおいて、従来法で製造した試料No.6の金型用鋼材の倍以上の衝撃値を示した。
真空アーク再溶解法によって、表3の化学成分を有するマルテンサイト系ステンレス鋼の鋼塊を準備した。これらの鋼塊のMs点は約200℃、A3点は約800℃である。次に、これらの鋼塊を1100〜1200℃に加熱して、上述した式による加工率が表4に示す通りの熱間加工を行った後、素材の表面温度が25℃の室温になるまで冷却し、続いて1回目が780℃、2回目が860℃の2回の焼鈍を行った。このとき、熱間加工後の冷却および焼鈍の要領は、実施例1のものに従った。そして、これらの焼鈍材に、1030℃からの焼入れと350℃の焼戻しを行って、硬さを約50HRCに調整し、靭性を評価した。靭性の評価は、10Rシャルピー衝撃試験片を採取して、室温での衝撃値を測定した。
試料No.11〜17の金型用鋼材は、ほぼ同一の成分組成を有しているが、その約50HRCの硬さにおける靭性は、熱間加工時の加工率の増加に従って向上した(図2に加工率と衝撃値の関係を示す)。そして、熱間加工後の冷却を室温まで実施したことに加えて、熱間加工時の加工率を55%以上に高めた試料No.11〜16の金型用鋼材は、60J/cmを超える衝撃値を示した。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.3〜0.5%、Cr:12.0〜16.0%を含む成分組成のマルテンサイト系のステンレス鋼素材を熱間加工し、引き続いて前記熱間加工した前記ステンレス鋼素材を焼鈍する金型用鋼材の製造方法であって、
    前記熱間加工は、[(熱間加工前のステンレス鋼素材の厚み−熱間加工後のステンレス鋼素材の厚み)/熱間加工前のステンレス鋼素材の厚み]×100の式で算出される加工率が55%以上であり、かつ、
    前記熱間加工後のステンレス鋼素材をMs点以下の温度まで冷却してから、引き続いて焼鈍温度に加熱して前記焼鈍することを特徴とする靭性に優れた金型用鋼材の製造方法。
  2. 前記焼鈍温度は、600℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の靭性に優れた金型用鋼材の製造方法。
  3. 前記焼鈍温度は、1000℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の靭性に優れた金型用鋼材の製造方法。
  4. 前記ステンレス鋼素材は、再溶解法によって得られたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の靭性に優れた金型用鋼材の製造方法。
  5. 前記焼鈍した後に、焼入れ焼戻しして、プリハードン状態の金型用鋼材とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の靭性に優れた金型用鋼材の製造方法。
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