JP5904399B2 - 燃料改質方法 - Google Patents
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Description
自動車用内燃機関に関しても、燃焼改善、フリクション低減などによる着実な効率化により、燃費改善がなされてきている。また、世界的にもエネルギー問題が顕著化してきており、燃料資源の有効利用のためにも燃費のさらなる向上が必要とされ、より効果の高い技術の開発が求められている。
さらに好都合なことには、良く知られているように、H2は内燃機関の燃焼促進に極めて有効な成分であり、燃焼速度が大きく、最小点火エネルギーが小さいが、オクタン価が高く、アンチノック性に優れるなどの特性を有するため、燃焼限界の拡大に有効である。例えば、高圧縮比化、リーン領域拡大、排気循環率を高めることができるなどの効果が期待される。
さらには、排気ガス中のCO2まで活用すると、30%以上の燃料熱量の増加分が期待される。すなわち、上記の燃焼限界の拡大に加えて、大きな排熱回収効果が加わるため、オンボードでの燃料の水蒸気改質反応とコンバインドした水素供給システムは、内燃機関の燃費改善に対して高いポテンシャルを有する技術である。
これに対して、自動車の内燃機関からの排気ガス温度は、マニホールドあるいはその直下位置でも通常の走行モードでは600℃に満たないことが多く、このような温度条件下では、ガソリン、軽油などの炭化水素系燃料を効率的に改質して要求量のH2を生成することは容易ではない。
したがって、運転モードの全域に亘って効果的なH2生成を実現するには、低温活性に優れた改質触媒の開発のみならず、触媒の使い方を含めたシステム開発も重要になるが、そのような使い方を含めた技術提案はほとんどなされていないのが現状である。
燃料改質触媒反応装置に供給する排気ガス量、燃料量、及び空気量の制御は、触媒層温度に従う。その際の制御パラメーターをO2/Cモル比とすることにより、効果的に反応を制御して効率的にH2を生成しうることができる。ここで、Cは燃料中のモル数であり、C1を基準にしたものである。
このとき、酸素量を増やして、O2/Cモル比が0.25を超えると、むしろO2を添加しない条件よりもH2生成量が低下するため、逆効果となる。この原因は、主として生成したH2が余剰酸素により酸化除去されるためと考えられる。
すなわち、燃料改質触媒の温度が350℃未満の場合には、H2O/Cモル比を0を超えて1.5未満に制御することが有効である。このような低温条件では、もともとH2Oを活性化できないため、水蒸気改質反応の促進は難しい。むしろ酸素の活用を図ることが肝要であるが、H2Oは酸素の作用を抑制するため、酸素の活用にはH2Oの削減が有効である。H2O/Cモル比を1.5未満とすることにより酸素に対するH2Oの影響を抑え込むことができる。さらには、H2O/Cモル比を1.0未満に制御すると酸素を効果的に活用できるようになる。
触媒成分は、用いる炭化水素燃料種により適するものを選定できる。特に、Rh成分はH2生成能が高く、耐コーキング性、安定性に優れるため好ましい成分であるが、反面、資源的に貴重であり、価格が高い。そのため、使用にあたっては担持量はできるだけ減らすことが好ましい。
これらの担体は、単に上記触媒成分を分散して活性に供する表面を増やし、触媒成分の安定化に寄与するのみならず、H2Oの活性化にも重要な役割を果たすので、触媒作用の一端を担うものである。本担体材料には、上記触媒成分との相性があり、調製法を適切に選定することで高性能な触媒が得られる。また、使用条件に応じて、選定した成分の比率を制御することで高耐久性触媒が実現できる。
また、本発明においては、触媒層温度に応じて、O2/Cモル比及びH2O/Cモル比をきめ細かく制御することで、触媒に対する余分な負荷が抑制されるため、触媒を長寿命化でき、触媒成分の節減にも寄与することができる。
当該燃料改質反応装置には、燃料噴霧器と燃料蒸発部と燃料改質触媒を含む燃料改質触媒反応装置と共に、空気(2次空気)供給装置が具備され、上記燃料改質触媒の温度を検出し、その温度に応じて、燃料改質触媒反応装置に供給される排気ガス量、燃料量、及び酸素(空気)量の制御を行うことができる。
ここで、排気ガス中に過剰に酸素を含むようなリーン・バーン運転の排気ガス中では、生成したH2が直ちに酸化されてしまうため、本法の適用は困難になる。リーン運転でも酸素残量が比較的少ない場合には適用することができる。本法は、内燃機関がリッチ乃至はストイキ近傍(14.6±0.3)で運転される条件に適用することで大きな効果が期待できる。
これらの金属酸化物は、単独でも有効だが、特にCe−Nb、Ce−Nd、La−Zr、Ce−Zrなどのように多成分化して用いることによって触媒が安定化するため好ましい。
本発明に用いる燃料改質触媒は、上記したように、触媒成分としてPt、Rh、Pd、Ni、Cu及びCoから選ばれた少なくとも1種の金属成分を含み、担体あるいは助触媒成分としてAl、Ce、Zr、La、Nd、Nb、Si、Mg及びCaから選ばれた少なくとも1種の金属の酸化物を含有させる。
言うまでもなく、触媒金属成分及び担体となる金属酸化物は、組み合せ方により特性が変化するが、ここでは代表的なものとして、Rhを触媒成分とし、担体としてCeとLaを含む酸化物を組み合せた触媒の製造例を示す。実際の触媒仕様は、用いる燃料種や内燃機関の使い方などの条件に応じて決定することになる。
硝酸セリウム(Ce(NO3)3)と硝酸ランタン(La(NO3)3)の混合水溶液中に、撹拌しながらアンモニア水を滴下し、生成した混合水酸化物の沈殿をイオン交換水で洗浄・ろ過した。得られた沈殿を110℃で一昼夜乾燥して水分を飛ばした後、大気中650℃で2時間焼成し、CeO2:La2O3の重量比が88:12の混合酸化物を得た。
この混合酸化物粉末を、硝酸ロジウム(Rh(NO3)3)の水溶液に投入し、2時間撹拌した後、100℃で2日間乾燥し、次いで、650℃で2時間焼成することにより、Rhが1%担持されたRh/CeO2−La2O3触媒を得た。
図4に示した燃料改質反応装置を用いて上記触媒の燃料改質性能を評価した。
ここでは、ガソリン模擬燃料として、2−,2−,4−トリメチルペンタン〈通称、イソオクタン)を燃料とした水蒸気改質反応を行った。
反応評価にあたり、模擬排気ガスとして、窒素(N2)をキャリアガスとして70ml/min、二酸化炭素(CO2)を40ml/min、 イソオクタンを0.02ml/minの流量で供給した。水及びO2は、O2/Cモル比及びH2O/Cモル比に応じて供給した。
本発明の燃料改質方法においては、燃料改質触媒の温度に応じて触媒入口におけるO2/Cモル比を制御する。
すなわち、図1に示したように、触媒温度が350℃未満、350℃以上450℃未満、450℃以上の場合、触媒入口におけるO2/Cモル比を0.3以上0.5未満、0.2以上0.4未満(好ましくは、0.25以上0.35未満)、0超過0.25未満にそれぞれ制御する。
また、改質触媒の温度が430℃(すなわち、350℃以上450℃未満)の場合には、O2/Cモル比を0.2以上0.4未満が有効であり、触媒温度がさらに低い340℃(すなわち、350℃未満)の場合には、O2/Cモル比を高めて0.3以上、好ましくは0.35〜0.45とすることで、H2濃度を効果的に高められることがわかる。
一方で、H2O/Cモル比が高いと触媒温度400℃以上でH2濃度が高くなり、H2O/Cモル比を1.5以上、より好ましくは2.5以上に制御することによってH2生成量を効率的に高められることが判明した。
Claims (10)
- 水及び二酸化炭素を含有する排気ガス又は当該排気ガスと燃料から、燃料改質触媒と上記排気ガスの熱を利用して、水素を含有する改質ガスを生成する燃料改質方法であって、
排気循環装置の系統内に、燃料噴霧器と燃料蒸発部と燃料改質触媒を含む燃料改質触媒反応装置を配置し、
上記燃料改質触媒の温度を検出し、検出された触媒温度に応じて、燃料改質触媒反応装置に供給する排気ガスの酸素量、排気ガス量及び燃料量を調整することにより、上記燃料改質触媒入口における酸素と燃料中炭素のモル比(O2/C)を制御するものであり、
上記燃料改質触媒が、Rh/CeO 2 −La 2 O 3 触媒であることを特徴とする燃料改質方法。 - 上記排気循環装置の系統内に、さらに空気供給装置を配置し、上記触媒温度に応じて、燃料改質触媒反応装置に供給する排気ガスの酸素量、排気ガス量、燃料量に加えて、上記空気供給装置からの空気供給量を調整することを特徴とする請求項1に記載の燃料改質方法。
- 上記燃料改質触媒の温度が350℃未満の場合に、該燃料改質触媒入口におけるO2/Cモル比を0.3以上0.5未満に制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料改質方法。
- 上記燃料改質触媒の温度が350℃以上450℃未満の場合に、該燃料改質触媒入口におけるO2/Cモル比を0.2以上0.4未満に制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料改質方法。
- 上記燃料改質触媒入口におけるO2/Cモル比を0.25以上0.35未満に制御することを特徴とする請求項4に記載の燃料改質方法。
- 上記燃料改質触媒の温度が450℃以上の場合に、該燃料改質触媒入口におけるO2/Cモル比を0超過0.25未満に制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料改質方法。
- 上記燃料改質触媒層の温度が350℃未満の場合に、燃料改質触媒装置に供給される燃焼排気ガス量、燃料量及び空気量の調整により、上記燃料改質触媒入口における水と燃料中炭素のモル比(H2O/C)を0超過1.5未満に制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の燃料改質方法。
- 上記燃料改質触媒入口における水と燃料中炭素のモル比(H2O/C)を0超過1.0未満に制御することを特徴とする請求項7に記載の燃料改質方法。
- 上記燃料改質触媒層の温度が350℃以上の場合に、燃料改質触媒装置に供給される燃焼排気ガス量、燃料量及び空気量の調整により、上記燃料改質触媒入口における水と燃料中炭素のモル比(H2O/C)を1.5以上に制御することを特徴とする請求項2、4〜6のいずれか1つの項に記載の燃料改質方法。
- 上記燃料改質触媒入口における水と燃料中炭素のモル比(H2O/C)を2.5以上に制御することを特徴とする請求項9に記載の燃料改質方法。
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