以下、本発明の実施形態に係る冷凍装置を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る冷凍装置の概略構成図である。本実施形態に係る冷凍装置は、第1の冷凍サイクル回路91、第2の冷凍サイクル回路92及び給湯回路93を備える。また、冷凍回路を構成する冷凍機器(要素部品)を収納してユニット化することにより、冷凍ユニット10、ショーケース20、過冷却給湯装置30及び貯湯装置50が構成されている。
[第1の冷凍サイクル回路91の構成]
第1の冷凍サイクル回路91は、主冷媒回路(主回路)として、第1圧縮機1の一段目圧縮要素1aに吸入され圧縮された冷媒が、一段目吐出口から吐出され、中圧吐出配管16、中間冷却器7、配管17、第1圧縮機1の二段目吸入口へと順番に流れ、二段目圧縮要素1bで圧縮された後、高圧吐出配管15、第1放熱器2、分岐点81、配管21a、補助熱交換器14の主回路側流路14a、過冷却器5の第1の冷凍サイクル回路側流路5a、内部熱交換器6の高圧側流路、ストレーナ9、第1絞り手段としての第1膨張弁3、蒸発器4、内部熱交換器6の低圧側流路、及びアキュームレータ8を順番に流通し、第1圧縮機1の一段目吸入口へと戻るように冷媒回路が構成されると共に、補助冷媒回路(補助回路)として、分岐点81で分岐した冷媒が、配管21b、補助絞り手段としての補助膨張弁13、補助熱交換器14の補助回路側流路14b及び配管17bを順番に流れ、合流点82へと至る冷媒回路を構成する。
本実施形態に係る第1の冷凍サイクル回路91の冷媒としては、二酸化炭素(R744)を採用しているが、その他の冷媒、例えばR404AやR407C、R134a等のフルオロカーボン系冷媒やアンモニア(R717)等の自然冷媒を採用しうる。冷凍サイクルの高圧側で臨界圧力を超えることがある二酸化炭素冷媒では、外気温度の上昇により冷凍能力及び冷凍効率が著しく低下するので、本実施形態のように補助熱交換器14を採用することによる冷却性能改善の効果が大きい。
第1圧縮機1は、一段目圧縮要素1aと二段目圧縮要素1bを備えるロータリー式の二段圧縮式である。二段圧縮式とすることで、各段の圧縮要素の圧力比を小さくすることができ、高効率に冷媒を高圧力まで圧縮できるという利点を有する。また、第1圧縮機1には、一段目圧縮要素1aで圧縮した後の冷媒を吐出する一段目吐出口と、二段目圧縮要素1bに冷媒を吸入する二段目吸入口が設けられている。これにより中間冷却器7を接続することが可能となり、その結果、冷凍装置の冷却効率を向上させることができる。尚、圧縮機1としては、他の公知の圧縮機、例えば、スクロール式や往復式、スクリュー式等の圧縮機を用いることができる。
本実施形態に係る第1圧縮機1はインバータ駆動方式である。インバータ駆動方式では、冷却負荷に応じて圧縮機の回転速度を変更することできるので、圧縮機の発停を繰り返す定速式圧縮機の台数制御に比べて高効率な運転が可能となる。また、第1圧縮機1は、2台以上設けることが可能で、そのことにより冷却負荷に応じた容量制御(台数制御)を行うことが可能となる。また、第1圧縮機1の二段目吐出配管15には、第1圧縮機1から吐出される冷媒の温度を検出するための吐出冷媒温度センサT1、及び冷媒圧力を検出する圧力センサP1が設けられている。
第1放熱器2は、冷媒の熱を大気に放出するための熱交換器で、例えば、フィンアンドチューブ式の熱交換器を採用しうる。また、第1放熱器2は、冷媒と熱交換を行う空気を供給するためのファン2fを備える。また、第1放熱器2の出口側配管21には、放熱器出口冷媒温度を検出するための冷媒温度センサT2が設けられている。
補助熱交換器14は、第1放熱器2を出て過冷却器5へと流入する主回路側の冷媒と、
分岐点81で分岐した後に補助膨張弁13で減圧された補助回路側冷媒との間で熱交換を行い、主回路側冷媒を冷却し補助回路側冷媒を加熱するための熱交換器である。補助熱交換器14は、主回路側流路14aと補助回路側流路14bを備え、当該流路を流れる冷媒が熱交換可能に、且つ冷媒の流れ方向が対向するように構成されている。本実施形態に係る補助熱交換器14は、プレート式熱交換器を用いているが、その他の形式、例えば、二重管式やチューブ接触式等の種々の熱交換器を採用しうる。尚、補助熱交換器14の主回路側流路14aの出口には冷媒温度センサT3が、補助回路側流路14bの入口には冷媒温度センサT5が、補助回路側流路14bの出口には冷媒温度センサT6が各々設けられている。
補助絞り手段としての補助膨張弁13は、高圧の冷媒を中間圧力の状態に絞り膨張させるためのものである。補助膨張弁13は、電動式膨張弁であり、吐出冷媒温度センサT1で検出された第1圧縮機1の吐出冷媒温度が所定の値になるように、第1制御装置71により、その開度が制御される。これにより、補助冷媒回路の冷媒流量が好適に調整され、高効率な冷却を行うことが可能となる。尚、補助膨張弁13として、温度式膨張弁や定圧膨張弁、キャピラリーチューブ等、その他の形式の絞り装置を採用することもできる。
過冷却器5は、補助熱交換器14で補助回路側冷媒によって冷却された第1の冷凍サイクル回路91の主回路側冷媒を更に冷却するための熱交換器である。過冷却器5は、第1の冷凍サイクル回路側流路5aと第2の冷凍サイクル回路側流路5bを備え、当該流路を流れる冷媒が熱交換可能に構成されている。前記各流路は、冷媒の流れ方向が対向するように構成されており、このことにより、熱交換の効率が向上し、第1の冷凍サイクル回路側の冷媒の過冷却度、即ち過冷却器5aの出入口温度差、を大きくすることができる。また、過冷却器5出口側の第1の冷凍サイクル回路91の冷媒配管には、過冷却器5で冷却された後の第1の冷凍サイクル回路91の冷媒温度を検出するための過冷却温度センサT4が設けられている。
本実施形態に係る過冷却器5は、プレート式熱交換器を用いている。過冷却器5としては、プレート式の他、二重管式やチューブ接触式等の種々の熱交換器を採用しうる。プレート式熱交換器は、熱交換の効率が高く、熱交換器の占有スペースを小さくできるという点で優れており、二重管式やチューブ接触式は、製造加工が容易で、また、耐圧強度を容易に高くできる点で優れている。
内部熱交換器6は、過冷却器5を出た高圧冷媒と、蒸発器4から流出する低圧冷媒との間で熱交換を行い、高圧冷媒を冷却し低圧冷媒を加熱するための熱交換器である。内部熱交換器6は、高圧側流路と低圧側流路を備え、当該流路を流れる冷媒が熱交換可能に、且つ冷媒の流れ方向が対向するように構成されている。本実施形態に係る内部熱交換器6は、プレート式熱交換器を用いているが、その他の形式、例えば、二重管式やチューブ接触式等の種々の熱交換器を採用しうる。また、簡便な方法として、冷媒往き管22と冷媒戻り管23を接触させて施工することによって内部熱交換器6を構成するこもできる。
ストレーナ9は、冷媒回路中の異物を除去し、第1膨張弁3の詰まり等の不具合を防止するためのものであり、第1膨張弁3の上流側冷媒配管に設けられている。フルオロカーボン系冷媒を使用する場合には、冷媒回路中の水分を除去するドライヤを備えることもできる。
第1絞り手段としての第1膨張弁3は、冷媒往き管22を通り流入する高圧低温の冷媒を絞り膨張により減圧して、低圧低温の冷媒(通常気液二相状態)にするためのもので、キャピラリーチューブ、温度式膨張弁、電動膨張弁等を採用しうる。本実施形態に係る冷凍装置では、電動膨張弁を用いている。そして、第3制御装置73により、蒸発器4の出
口側冷媒の過熱度、即ち後述する蒸発器出口冷媒温度センサT8で検出された蒸発器4出口の冷媒温度と、後述する蒸発器入口冷媒温度センサT7で検出された蒸発器4入口の冷媒温度との差、が所定の値になるように第1膨張弁3の開度が制御されている。
蒸発器4は、冷媒の蒸発作用による吸熱により食品等を冷却するための熱交換器であり、フィンアンドチューブ式の熱交換器を採用している。蒸発器4の入口配管には、蒸発器4の入口における冷媒温度を検出するための蒸発器入口冷媒温度センサT7が設けられており、蒸発器4の出口配管には、蒸発器4の出口における冷媒温度を検出する蒸発器出口冷媒温度センサT8が設けられている。また、蒸発器4は、冷媒と熱交換を行い冷却される空気を供給するためのファン4fを備えている。蒸発器4において、ファン4fにより供給された空気は、冷媒の蒸発により冷却されて低温となり、その後、食品等の保冷スペースに供給される。
アキュームレータ8は、第1圧縮機1に液冷媒が吸入されることを防止するためのものであり、内部で気液分離を行い、一時的に液冷媒を貯留する機能を有する。特に、起動時や、除霜運転時等で機能を発揮する。また、アキュームレータ8から圧縮機の吸入口へつながる配管19上には、圧縮機吸入冷媒の圧力を検出するための圧力センサP2が取り付けられている。
中間冷却器7は、第1圧縮機1の一段目圧縮要素1aから吐出された冷媒と大気との間で熱交換を行い、冷媒を冷却するための熱交換器である。これにより第1圧縮機1の圧縮動力を低減し、冷却効率を向上させることができる。中間冷却器7は、フィンアンドチューブ式の熱交換器であり、冷媒と熱交換を行う空気を供給するためのファンは、第1放熱器2のファン2fを利用している。また、中間冷却器7は、第1放熱器2と冷却フィンを共有し、一体的に構成されている。尚、中間冷却器7は必須の構成要素ではないので、中間冷却器7を設けないことも可能である。
[第2の冷凍サイクル回路92の構成]
第2の冷凍サイクル回路92は、第2圧縮機31、第2放熱器32の冷媒流路32a、第2絞り手段としての第2膨張弁33、過冷却器5の第2の冷凍サイクル回路側流路5b、及びアキュームレータ38を順番に冷媒が流通して第2圧縮機31に戻る閉回路からなる。
本実施形態に係る冷凍装置では、第2の冷凍サイクル回路92の冷媒として二酸化炭素が封入されている。二酸化炭素冷媒を用いた冷凍サイクルでは、高圧側が冷媒の臨界圧力を超える遷臨界サイクルとなるので、水を高温度に且つ高効率に加熱できるという利点を有する。尚、第1の冷凍サイクル回路91と同様に、その他の冷媒を採用することも可能である。
第2圧縮機31は、低圧の冷媒を高圧の状態に圧縮するためのものである。本実施形態に係る冷凍装置では、冷媒として二酸化炭素を用いているので、第2圧縮機31から吐出される冷媒の圧力は臨界圧力を超える圧力となる。第2圧縮機31は、低圧側圧縮要素、即ち一段目圧縮要素と、高圧側圧縮要素、即ち二段目圧縮要素、を備える、ロータリー式の二段圧縮式である。二段圧縮式とすることで、各段の圧縮要素の圧力比を小さくすることができ、高効率に冷媒を高圧力まで圧縮できるという利点を有する。尚、第2圧縮機31として、スクロール式やロータリー式の一段圧縮方式等、その他の形式の圧縮機を採用することも可能である。
また、第2圧縮機31は、インバータにより駆動されており、運転中の回転速度を変更することが可能である。これにより冷凍負荷に応じて過冷却能力及び給湯能力を変更することができ、高効率な能力制御が可能となる。また、第2圧縮機31の吐出配管35には
、第2圧縮機31から吐出された冷媒の温度を検出するための吐出冷媒温度センサT31が設けられている。
第2放熱器32は、冷媒と水との間で熱交換を行い、給湯水を加温してお湯を沸かすための熱交換器である。第2放熱器32の冷媒流路32aと水流路32bは、熱交換可能に、且つ流れ方向が対向するように構成されている。第2放熱器32の冷媒流路32a内部での冷媒圧力は臨界圧力を超えているので、第2放熱器32はガスクーラとして作用する。即ち、第2放熱器32の冷媒流路32aの内部で冷媒は凝縮せず、水に熱を与えて冷却されるに従ってその温度が低下する。従って、前述の通り、冷媒と水の流れが対向するように各流路を構成することにより、高温度の水を高効率に沸き上げることが可能となる。第2放熱器32の冷媒流路32aは、高圧力に耐えうるように細円管を複数本用いている。水流路32bは、2枚の板状部材を重ね合わせ、周囲を互いに接合することにより形成された、前記板部材で挟まれた空間である。該空間には、流れをガイドする仕切り部材が設けられており、また、水の入口部と出口部が形成されている。そして冷媒流路32aとなる細管が水流路32bを形成する前記板部材の外面に熱交換可能に接合されている。尚、ガスクーラとしては、その他の形式、例えば二重管式やチューブ接合式等、の熱交換器を採用することも可能である。
第2絞り手段としての第2膨張弁33は、高圧の冷媒を低圧の状態に絞り膨張させるためのものである。第2膨張弁33は、電動式膨張弁であり、吐出冷媒温度センサT31で検出された第2圧縮機31の吐出冷媒温度が所定の値になるように、第2制御装置72により、その開度が制御される。これにより、高効率に給湯を行うことが可能となる。尚、第2膨張弁33として、温度式膨張弁や定圧膨張弁、キャピラリーチューブ等、その他の形式の絞り装置を採用することもできる。
前述の通り、過冷却器5は、第1の冷凍サイクル回路91の冷媒と第2の冷凍サイクル回路92の冷媒との間で熱交換を行い、第1の冷凍サイクル回路91の冷媒を過冷却するための熱交換器である。過冷却器5の構成については、既に説明した通りである。第2の冷凍サイクル回路側流路5bは、第2の冷凍サイクル回路92の蒸発器として機能し、その内部において冷媒は吸熱して蒸発する。尚、過冷却器5の第2の冷凍サイクル回路側流路5bの入口配管には、第2の冷凍サイクル回路92の蒸発温度を検出する冷媒温度センサT32が取り付けられている。
アキュームレータ38は、第2圧縮機31に液冷媒が吸入されることを防止するためのものであり、その機能は第1の冷凍サイクル回路91のアキュームレータ8と同じである。
尚、第2の冷凍サイクル回路92に、当該冷凍サイクル回路の冷媒から大気に対して放熱をするための手段を別途備えることも可能である。これにより、給湯水の加熱が不要である場合であっても、第2の冷凍サイクル回路92の冷却廃熱を大気に放出することにより、第1の冷凍サイクル回路91の過冷却を行うことができるようになる。
[給湯回路93の構成]
給湯回路93は、貯湯タンクとしての給湯タンク51、循環ポンプ52、及び第2放熱器32の水流路32bを順番に給湯水が流れ給湯タンク51に戻るように配管が接続され構成されている。ここで、循環ポンプ52の吸入側に接続される配管59は、給湯タンク51の下方に接続されており、これにより低温の水を第2放熱器32に供給することが可能となる。また、第2放熱器32の水流路32b出口に接続される配管60は、給湯タンク51の上部に接続されている。これにより、第2放熱器32で加熱された高温の湯は、給湯タンク51の上部に戻されることになり、給湯タンク51内部に温度成層状にお湯を貯えることが可能となる。
給湯タンク51の上部には逆止弁56を介して給湯配管58が接続されており、給湯タンク51の下部には減圧弁54と逆止弁55を介して給水配管57が接続されている。給湯配管58は湯を必要とする給湯負荷設備に給湯タンク51から湯を供給するための配管であり、給水配管57は給湯タンク51に市水を供給するためのものである。給湯負荷設備で給湯弁を開くと、給湯タンク51の上部から給湯配管58内を流通して高温の湯が供給され、それに伴い、給水配管57内を流れて給湯タンク51の下部に冷たい水が供給される。尚、給湯負荷設備に供給する湯を所定の温度にするために、混合弁を更に設け、給湯タンク51の下部から取り出した低温の湯(水)と給湯タンク51の上部から取り出した高温の湯とを混合することもできる。
給湯タンク51の外表面には、該タンク内に貯えられた給湯水の温度を検出する温度センサT51が、高さを変えて複数個取り付けられている。これにより給湯タンク51内の温度分布を計測できるようになり、その温度分布を基に給湯タンク51内部の高温の湯量を把握することができる。また、第2放熱器32の水流路32b出口側の配管60には、第2放熱器32で加温された湯の温度を検出するための温度センサT52が取り付けられている。
また、給湯回路93は、低温配管59と高温配管60を接続するバイパス配管と、三方弁53と、を備える。三方弁53は、循環ポンプに流れる水を、給湯タンク51につながる低温配管59側から供給するか、前記のバイパス配管側から供給するかを切り替えるものである。通常、第2の冷凍サイクル回路92によりお湯を沸き上げる運転を行う場合、三方弁53は、給湯タンク51につながる低温配管59側から水を供給するように切り替えられている。三方弁53を前記バイパス配管側からの水が流通するように切り替えることで、循環ポンプ52で押出された水が第2放熱器32の水流路32bを流れ、三方弁53を通り、循環ポンプ52に戻る閉回路が形成される。このような閉回路を形成するのは、第2の冷凍サイクル回路92による沸き上げ運転を開始した直後や運転停止後である。[ユニットの構成]
次に、各冷凍機器を収納したユニットの構成について説明する。冷凍ユニット10は、冷媒を圧縮する第1圧縮機1、中間圧力の冷媒を冷却する中間冷却器7、第1圧縮機1で圧縮され高温高圧となった冷媒の熱を大気に放熱する第1放熱器2、補助回路の冷媒を中間圧力に減圧する補助膨張弁13、補助回路冷媒と主回路冷媒との間で熱交換を行う補助熱交換器14、及び第1圧縮機1への液冷媒の吸入を防止するためのアキュームレータ8を備える。前述の通り、第1圧縮機1の冷媒吐出配管15は前記第1放熱器2に冷媒が流通可能に接続され、第1圧縮機1の冷媒吸入配管19は前記アキュームレータ8に接続されている。また、冷凍ユニット10は、第1制御装置71、冷媒温度センサT1、T2、T3、T5、T6、圧力センサP1、P2、及びその他の図示しない温度センサや圧力センサ等を含む。そして、冷凍ユニット10は、補助熱交換器14の主回路側流路14a出口につながる冷媒往き配管接続口と、アキュームレータ8につながる冷媒戻り配管接続口を備えている。
ショーケース20は、高圧の冷媒を減圧する第1膨張弁3、冷媒の蒸発作用により食品等を冷却するための蒸発器4、及び冷媒回路中の異物を除去するストレーナ9を備える。また、ショーケース20は、第3制御装置73、蒸発器入口冷媒温度センサT7、蒸発器出口冷媒温度センサT8、及びその他の冷媒温度センサ類、並びに食品等を保存するためのスペースや展示棚等を備えている。そして、ショーケース20は、ストレーナ9につながる冷媒入口配管接続口と、蒸発器4の出口側に接続される冷媒出口配管接続口を備えている。必要に応じてショーケース20を複数台設けることが可能であり、各々のショーケース20はショーケース20の冷媒入口管接続口が冷媒往き管22に接続され、冷媒出口管接続口が冷媒戻り管23に接続される。尚、ショーケース20は、必ずしも被冷却物を陳列展示するものに限らず、展示を目的としない保冷庫(クーリングコイル)とすること
もできる。
過冷却給湯装置30は、過冷却器5を含む第2の冷凍サイクル回路92を構成する冷凍機器、即ち、第2圧縮機31、第2放熱器32、第2膨張弁33、過冷却器5、及びアキュームレータ38を備える。また、過冷却給湯装置30は、第2制御装置72、吐出冷媒温度センサT31、冷媒温度センサT32、過冷却温度センサT4、及びその他の冷媒温度センサや圧力センサ類を備えている。更に、過冷却給湯装置30は、過冷却される第1の冷凍サイクル回路91の冷媒が流入するための配管接続口と、過冷却後の冷媒が流出するための配管接続口、第2放熱器32に流入する給湯水(冷水)配管の接続口、第2放熱器32で加熱された後の給湯水(湯)が流出するための配管60の接続口を備えている。
貯湯装置50は、給湯タンク51、三方弁53、循環ポンプ52を備える。また、貯湯装置50は、第4制御装置74、温度センサT51、T52、及びその他の温度センサ類、並びに減圧弁54、逆止弁55、逆止弁56を含む。尚、給湯タンク51は、貯湯すべき湯量に応じて、直列又は並列に複数個設けることも可能である。
このように本実施形態に係る冷凍装置は、各々ユニット化された、冷凍ユニット10、過冷却給湯装置30、ショーケース20及び貯湯装置50から構成されるので、設置工事を容易に行えるという利点を有する。即ち、施工現場において、冷凍ユニット10、過冷却給湯装置30、ショーケース20及び貯湯装置50を設置した後、第1の冷凍サイクル回路91、第2の冷凍サイクル回路92及び給湯回路93を構成するようにユニット化された各装置の配管接続口を配管により接続すれば良い。この場合において、設置現場で要求される冷却負荷や給湯負荷に応じて、各ユニット化された装置の設置台数を選定して、各々必要台数組み合わせることができる。これにより、冷却負荷や給湯負荷に適合した好適な冷凍装置を構築することができる。
また、既設の設備を改造して本実施形態の冷凍装置を構築することも容易に行うことができる。例えば、既設の冷凍機(冷凍ユニット10に相当)とショーケース(ショーケース20に相当)をそのまま利用して、過冷却給湯装置30と貯湯装置50を新規に追加設置し、既設の冷媒往き管(高圧冷媒管)の一部を切断し、過冷却給湯装置30の冷媒配管接続口に接続することにより、本発明の冷凍装置を構成することができる。
[制御装置70の構成]
図3は、本実施形態に係る冷凍装置の制御装置70を示すブロック図である。本実施形態の制御装置70は、冷凍ユニット10に備えられた第1制御装置71、過冷却給湯装置30に備えられた第2制御装置72、各ショーケース20に内蔵されている第3制御装置73、貯湯装置50に内蔵される第4制御装置74及び統合制御装置75から構成される。
第1制御装置71は、補助膨張弁13や第1圧縮機1、ファン2f等、基本的には、冷凍ユニット10に備えられた操作手段を制御するためのものである。そして、第1制御装置71は、各センサ類からの入力や設定入力手段71gからの入力信号を処理する入力信号処理部71aと、制御演算を行う主演算処理部71bと、演算結果を操作信号に変換して各制御操作手段に出力する操作信号出力部71cと、統合制御装置75や他の制御装置72〜74との通信を行うための通信処理部71dと、を備える。また、第1制御装置71は、制御設定データや運転指令を入力するための設定入力手段71g、及び制御データを表示するための表示器(図示せず)を備えている。
第2制御装置72は、第2圧縮機31、第2膨張弁33等、過冷却給湯装置30に備えられている制御手段を制御するものである。図示を省略するが、過冷却給湯装置30の第2制御装置72についても第1制御装置71と同様の処理部を備えた構成からなる。また
、第2制御装置72は、制御設定データや運転指令を入力するための設定入力手段72g、及び制御データを表示するための表示器(図示せず)を備えている。
第3制御装置73は、第1膨張弁3やファン4f等、基本的には、ショーケース20に備えられた操作手段を制御するためのものである。図示を省略するが、ショーケース20の第3制御装置73についても第1制御装置71と同様の処理部を備えた構成からなる。また、第3制御装置73は、制御設定データや運転指令を入力するための設定入力手段73g、及び制御データを表示するための表示器(図示せず)を備えている。
第4制御装置74は、循環ポンプ52や三方弁53等、基本的には、貯湯装置50に備えられた操作手段を制御するためのものである。図示を省略するが、貯湯装置50の第4制御装置74についても第1制御装置71と同様の処理部を備えた構成からなる。また、第4制御装置74は、制御設定データや運転指令を入力するための設定入力手段74g、及び制御データを表示するための表示器(図示せず)を備えている。
統合制御装置75は、冷凍ユニット10の第1制御装置71、過冷却給湯装置30の第2制御装置72、各ショーケース20の第3制御装置73、及び貯湯装置50の第4制御装置74と双方向に通信を行い、各センサ類による検出値や制御変数、制御指令等の情報を交換し、冷凍装置全体を統括的に制御するものである。統合制御装置75を備えることにより、通常離れた場所に設置される冷凍ユニット10、過冷却給湯装置30、ショーケース20及び貯湯装置50とから構成される冷凍装置について、外気条件や負荷条件の変動に対応した適切な運転制御を行うことが可能となる。また、統合制御装置75は、制御設定データや運転指令を入力するための設定入力手段75g、及び制御データを表示するための表示器手段70hを備えている。更に、統合制御装置75は、店舗の外から運転データを監視し、制御設定データを送受信するための遠隔通信機能も備えている。尚、本実施の形態では、第1制御装置71と統合制御装置75とを別個の手段として説明したが、それらの機能をひとつにまとめた制御装置としても本発明の目的・効果を達成できることはいうまでもない。
次に、第1制御装置71を例として、各制御装置における制御信号の流れを説明する。各センサ類で検出された入力信号は、先ず入力信号処理部71aで所定の検出値(制御変数)に変換される。一方、通信処理部71dで各制御装置72乃至75と通信を行い、制御設定データや運転指令、制御変数を送受信する。そして、主演算処理部71bにおいて、入力信号処理部71aからの制御変数と通信処理部71dからの制御データに基づき、制御動作が演算により決定される。そして、その演算結果が操作信号出力部71cによって、補助膨張弁13や第1圧縮機1、ファン2f等の各操作手段に適合する信号に変換され出力される。その操作信号に基づき、各操作手段が作動し、冷凍装置の適切な運転制御が行われる。また、主演算処理部71bにおける制御演算結果のうち必要な情報は、通信処理部71dによって各制御装置72乃至75に送信される。他の制御装置72乃至75ついても前述の第1制御装置71と略同様の流れで制御を行っている。
[第1の冷凍サイクル回路91の動作]
次に、本発明の実施形態に係る冷凍装置の動作について説明する。
図2は、本発明に係る冷凍装置の冷凍サイクルを示す圧力−比エンタルピ線図である。図2において、符号1Cが第1の冷凍サイクル、2Cが第2の冷凍サイクルである。第1の冷凍サイクル回路91では、図2において状態aで示される低温の冷媒蒸気が第1圧縮機1の一段目吸入口から吸入され、一段目圧縮要素1aにより圧縮され、高温中圧の冷媒蒸気となって吐出される。この状態での冷媒は、図2において状態bで示される。この冷媒は、中間冷却器7に入り、そこで大気と熱交換を行い冷却され、温度が低下して状態cになる。このように中間冷却器7によって、第1圧縮機1の一段目圧縮要素1aから吐出
された冷媒が冷却されるので、第1圧縮機1の二段目圧縮要素1bから吐出される冷媒の温度を低く抑えることが可能となり、圧縮機等の異常高温による不具合を防止できる。また、中間冷却器7を採用することにより、第1圧縮機1の圧縮動力を低減することができるので、冷却効率を向上させることができる。
中間冷却器7を出た状態cで示される冷媒は、合流点82において、補助回路側(配管17b側)から流れてきた状態nで示される低温の冷媒と合流する。合流後の冷媒は、状態dで示される。前記合流後の冷媒は、第1圧縮機1の二段目吸入口から吸入され、第1圧縮機1の二段目圧縮要素1bにより圧縮され、高温高圧の冷媒(状態e)となって吐出される。本実施形態では第1の冷凍サイクル回路91の冷媒として二酸化炭素を用いているので、第1圧縮機1から吐出される冷媒の圧力は、図2状態eのごとく、臨界圧力を超える場合がある。
第1圧縮機1から吐出された冷媒は、第1放熱器2に流入し、大気と熱交換を行い冷却される。図2で示されるように、第1放熱器2における冷媒の圧力が臨界圧力を超えている場合には、そこで冷却された冷媒は、凝縮せずに、冷却されるに従ってその温度が低下する。第1放熱器2によって冷却された冷媒は、状態fで示される。
第1放熱器2を出た冷媒は、分岐点81で分岐される。分岐点81を通過した後の主回路側冷媒は、配管21aを流れ、補助熱交換器14の主回路側流路14aへと流れる。他
方、分岐点81で分岐した補助回路側冷媒は、配管21bを流れ、補助膨張弁13を通過することによって絞り膨張(等エンタルピ膨張)して、第1圧縮機器1の一段目吸入圧力より高く二段目吐出圧力より低い中間圧力まで減圧される。補助膨張弁13で減圧された後の冷媒は、状態gで表わされ、臨界圧力以下である場合には、気液二相状態である。そして、補助膨張弁13で減圧された冷媒は、補助熱交換器14の補助回路側流路14bへと流れ込む。
補助熱交換器14において、主回路側流路14aを流れる冷媒と補助回路側流路14bを流れる冷媒は熱交換を行い、主回路側冷媒は冷やされ状態fから状態hに、補助回路側冷媒は加熱され状態gから状態nに、各々変化する。よって、交換熱量のバランスより、主回路側冷媒の流量に状態fと状態hとの比エンタルピ差を乗じた値と、補助回路側冷媒の流量に状態gと状態nとの比エンタルピ差を乗じた値は等しくなる。補助熱交換器14において主回路側冷媒が冷やされることにより、状態fと状態hとの比エンタルピ差に相当する分、蒸発器4における冷凍効果が増大することになる。
補助熱交換器14で熱交換を行った後の状態nで示される補助回路側冷媒は、前述の通り中間冷却器7で冷却された後の状態cの冷媒と合流点82において合流して、状態dになる。そして、第1圧縮機1の二段目吸入口から吸入される。補助回路を流れる中間圧力の冷媒が圧縮行程の途中、即ち二段圧縮の二段目吸入部、に戻されるため、当該冷媒を一段目吸入部へ戻す場合に比べ、一段目圧縮要素1aの圧縮動力を低減することができる。その結果、冷凍サイクルの冷凍効率を向上させることができる。
他方、補助熱交換器14において冷却された状態hの主回路側冷媒は、過冷却器5の第1の冷凍サイクル回路側流路5aへと流れ込み、そこで、第2の冷凍サイクル回路側流路5bを流れる第2の冷凍サイクル回路92の冷媒の蒸発作用により過冷却される。この状態の冷媒は、状態iである。このことにより冷媒の比エンタルピが更に小さくなり、過冷却器5で過冷却されない場合に比して、状態hと状態iとの比エンタルピ差(図2において符号dh)に相当する分、冷凍効果が大きくなる。
過冷却器5から流出した高圧低温の状態iの液冷媒は、内部熱交換器6の高圧側流路を
流れ、そこで低圧側流路を流れる低圧低温の冷媒と熱交換を行い冷却される。即ち、主回路高圧側の冷媒は状態iから状態jに変化し、主回路低圧側の冷媒は状態mから状態aに変化する。内部熱交換器6により、高圧冷媒が冷やされるので冷媒往き管22内部でのフラッシュガス発生防止になり、低圧冷媒が加熱されるので第1圧縮機1の湿り圧縮を防止する効果がある。また、内部熱交換器6の採用により、蒸発器4の内部に熱伝達率が高い二相領域を多く確保できるので、蒸発器4の伝熱性能が向上し、冷凍サイクルの性能を向上させることができる。
内部熱交換器6の高圧側流路から流出した冷媒は、冷媒往き管22を流通し、ストレーナ9を通過した後、第1膨張弁3により絞り膨張(等エンタルピ膨張)し、蒸発器4へと流れる。蒸発器4に流入する冷媒は、状態kで表わされ、低圧の気液二相状態である。蒸発器4において、冷媒は、ファン4fによって供給された被冷却空気と熱交換を行い、該空気を冷やし、液相部分が蒸発する。蒸発器4の出口において、冷媒は僅かに過熱した蒸気であり、状態mで表わされる。
蒸発器4から流れ出た冷媒は、冷媒戻り管23を通り、内部熱交換器6の低圧側流路に流れ込み、そこで高圧側流路を流れる高圧冷媒と熱交換を行い、加熱される。この状態での冷媒は、状態aである。そして、冷媒は、アキュームレータ8を通過し、そこで確実に気液分離された後、第1圧縮機1の一段目吸入口へと流れ、圧縮される。以上説明の通り、第1の冷凍サイクルが連続的に動作し、蒸発器4において冷凍能力が発揮される。そして、蒸発器4で冷却された空気が保冷スペースを循環し、食品等被冷却物の冷凍、冷蔵が行われる。
[第2の冷凍サイクル回路92の動作]
図2において、符号2Cは、第2の冷凍サイクルを表わしている。第2の冷凍サイクル
回路92においては、状態vで表わされる低温の冷媒蒸気が第2圧縮機31に吸入され高温高圧に圧縮される。第2圧縮機31の一段目圧縮要素で圧縮された中間圧力の冷媒は、引き続き二段目圧縮要素で高圧圧力まで圧縮される。この状態での冷媒は状態wで示される。第2の冷凍サイクル回路92では、冷媒として二酸化炭素を用いているので、状態wでの冷媒の圧力は臨界圧力を超えている。第2圧縮機31で圧縮された冷媒は、第2放熱器32の冷媒流路32aへと流れ、そこで水流路32bを流れる給湯水と熱交換を行い冷却される。第2放熱器32において冷媒は、超臨界状態であるので凝縮せず、水との熱交換により冷却されるに従ってその温度が低下する。即ち、第2放熱器32はガスクーラとして作用する。第2放熱器32で冷却された後の冷媒は状態xで示される。前述のごとく、第2放熱器32の冷媒流路32aと水流路32bは、各々の流れが対向するように構成されているので、熱交換に伴う温度勾配が生ずる超臨界冷媒と、水との効率的な熱交換が可能となる。そして、高圧側熱交換器内において一定温度の下で凝縮するフルオロカーボン系冷媒を用いる場合に比べて、遷臨界サイクルとなる二酸化炭素冷媒を用いた本発明のサイクルは、高温の湯を高効率に沸かすことが可能であるという点で有利である。
第2放熱器32で冷却された低温の超臨界冷媒は、第2膨張弁33によって絞られ、等エンタルピ膨張した後、状態yとなって、過冷却器5の第2の冷凍サイクル回路側流路5bに流入する。過冷却器5に流入する状態yの冷媒は、通常、気液二相状態である。過冷却器5において、第2の冷凍サイクル回路92の冷媒は、第1の冷凍サイクル回路側流路5aを流れる第1の冷凍サイクル回路91の冷媒と熱交換を行い、液相部分が蒸発し状態vとなる。第1の冷凍サイクル回路91の冷媒は、第2の冷凍サイクル回路92の冷媒の蒸発作用により過冷却されることとなる。よって、第1の冷凍サイクル回路91の主冷媒回路の冷媒流量に状態hと状態iとの比エンタルピ差dhを乗じた値と、第2の冷凍サイクル回路92の冷媒流量に状態yと状態vとの比エンタルピ差を乗じた値は等しい。
過冷却器5の第2の冷凍サイクル回路側流路5bを流出した低温蒸気冷媒は、アキュー
ムレータ38に流入し、そこで確実に気液分離された後、第2圧縮機31の吸入口へと流れ込み再び圧縮される。以上説明の動作が連続して行われ、第2の冷凍サイクル回路92による第1の冷凍サイクル回路91の過冷却と、その冷却廃熱を用いた給湯水の加熱が可能となる。
[給湯回路93の動作]
給湯回路93においては、給湯タンク51の下部より取り出された冷たい水が、低温配管59を流通し、三方弁53を通過し、循環ポンプ52により押出されて、第2放熱器32の水流路32bへと流れ込む。前述のごとく、第2放熱器32において、当該水は、第2の冷凍サイクル回路92の高温高圧冷媒と熱交換をして加熱される。そして、高温に加熱された給湯水は、高温配管60を流通し、給湯タンク51の上部よりタンク内部に流入し、温度成層状に貯えられる。
以上説明のごとく、本発明の冷凍装置によれば、過冷却器5において第2の冷凍サイクル回路92の冷媒の蒸発作用により第1の冷凍サイクル回路91の冷媒を過冷却するので、第1の冷凍サイクル回路91の冷凍効果が増大し(図2のdh相当分)、冷凍能力が増加する。そして、第1の冷凍サイクル回路91より蒸発温度(蒸発圧力)が高い第2の冷凍サイクル回路92により前記過冷却相当分の冷凍を行えるので、冷凍装置の冷却効率が向上する。そして更に、第2放熱器32において第2の冷凍サイクル回路92の冷媒の放熱作用により給湯水を加温するので、前述の過冷却相当分、即ち冷凍能力増大分、の冷却を行った廃熱を有効に利用して給湯を行うことができる。
[制御装置の動作]
第1圧縮機1の運転は、冷凍ユニット10に内蔵された第1制御装置71により制御されている。具体的には、吸入冷媒配管19に設けられた吸入圧力センサP2により検出された低圧冷媒の圧力が所定の圧力範囲になるように第1圧縮機1の回転速度制御及び発停制御を行っている。前記所定の圧力範囲は、ショーケース20に設けられた第3制御装置73との通信によって被冷却空間の保冷設定温度を読み取り、好適な冷凍サイクルとなるように決定される。これにより、冷却負荷に対応した高効率な冷却が行われる。
第1膨張弁3の開度の開度は、蒸発器4出口における冷媒の過熱度、即ち蒸発器出口温度センサT8で検出された蒸発器4出口の冷媒温度と蒸発器入口冷媒温度センサT7で検出された蒸発器4入口の冷媒温度との差、が所定の値になるように、ショーケース20の第3制御装置73によって制御されている。
第2圧縮機31の回転速度は、過冷却器5の第1の冷凍サイクル回路側流路5a出口に設けられた過冷却温度センサT4により検出された過冷却後の第1の冷凍サイクル回路91の冷媒温度が所定の値になるように、過冷却給湯装置30の第2制御装置72によって調整される。これにより冷却負荷に対応した適切な過冷却度を実現でき、高効率な冷却運転が可能となる。ここで、第2圧縮機31の最低回転速度は、必要とされる給湯熱量を基に設定されている。これにより加熱熱量不足による湯切れを回避し、要求される湯量を確実に供給することができるようになる。
ここで、図6を参照して第2圧縮機31の回転速度制御について更に詳しく説明する。図6は、例えば冬季運転のように外気温度が低くなった場合の第1の冷凍サイクルの変化を模式的に示している。図6において、符号1C0が外気温度が低くなった場合の第1の冷凍サイクルを示しており、括弧付き符号1Cで示した破線が通常(外気温度が高い場合)の第1の冷凍サイクルを示している。また、図6において、括弧で示した符号は、図2における同符号の冷媒の状態に対応するものである。外気温度が低くなると、第1放熱器2において外気に対して放熱をした後の冷媒の温度及び比エンタルピは、外気温度が高い場合に比べて低くなる。これを図6で見ると、第1放熱器2で冷却された後の冷媒、即ち補助熱交換器14の主回路側流路14aへ流入する冷媒は、状態fから状態f0へと変化
する。そうすると、補助熱交換器14の主回路側流路14a出口、即ち過冷却器5入口、における第1の冷凍サイクル回路91の冷媒の温度と比エンタルピも低下する傾向にある(状態hから状態h0へと変化する)。
過冷却器5入口における第1の冷凍サイクル回路91の冷媒の温度が低くなると、過冷却器5出口における第1の冷凍サイクル回路91の冷媒の温度も低くなる傾向にある。しかし、過冷却器5出口における第1の冷凍サイクル回路91の冷媒の温度が低くなりすぎると、第1膨張弁3の制御が不安定になり、また、冷媒管の結露や霜付き、更には、冷却能力が過大になることによる被冷却空間の冷やしすぎ等問題が発生し、また、第2の冷凍サイクル回路92の蒸発圧力が低下することにより冷却及び給湯効率が著しく低下することになる。
そこで、前述の通り、第2圧縮機31の回転速度は、過冷却器5で冷却された後の第1の冷凍サイクル回路91の冷媒の温度が所定の目標範囲内になるように、過冷却給湯装置30の第2制御装置72によって制御されている。具体的には、過冷却器5で冷却された後の第1の冷凍サイクル回路91の冷媒温度が所定の範囲内の値より低くなると、第2制御装置72は、第2圧縮機31の回転速度を低くし、第2の冷凍サイクル回路92の冷媒循環量を減らしている。その結果、外気温度が低下しても、過冷却器5で冷却された後の第1の冷凍サイクル回路91の冷媒温度は、適切な範囲に維持され(図6において、当該冷媒の状態はiからi0へと変化するが、その温度及び比エンタルピは大きく変化しない)、高効率な冷却及び給湯運転が可能となる。
また、冷却負荷が小さくなった場合、第1の冷凍サイクル回路91の冷媒循環量が減少するので、前記と同様に、過冷却器5出口における冷やしすぎの問題が発生する。このような場合についても、前記と同様に第2制御装置72によって第2圧縮機31の回転速度を制御し、第2の冷凍サイクル回路92の冷媒循環量を適切に維持することで、高効率で安定した冷却及び給湯運転を行うことができる。
また、過冷却給湯装置30の第2制御装置72は、冷凍ユニット10に設けられた第1制御装置71と通信を行い、第1の冷凍サイクル回路91の第1圧縮機1の発停に連動して、第2圧縮機31の発停を制御している。これにより第1圧縮機1が停止した場合の不必要な過冷却運転を防止できる。この発停制御に組み合わせて、過冷却給湯装置30の第2制御装置72は、貯湯装置50の第4制御装置74から給湯沸き上げの要否の信号を受け取り、該信号に基づき第2圧縮機31の発停制御を行っている。これにより給湯が不要である場合の不必要な給湯運転を防止することができる。尚、第2の冷凍サイクル回路92から大気に対して放熱する手段を備えている場合には、給湯が不要である場合であっても、第2の冷凍サイクル回路92の冷却廃熱を大気に放出することにより、第1の冷凍サイクル回路91の過冷却を行うことができる。
前述の給湯水の沸き上げが必要であるか否かの判断は、貯湯装置50の第4制御装置74によって、給湯タンク51に設けられた温度センサT51で検出された給湯タンク51内の湯温度から給湯タンク51内の湯量を求めることにより行われる。即ち、第4制御装置74は、給湯タンク51内の湯量が所定の湯量より少ない場合は給湯水の加温が必要であると判別し、所定の湯量より多い場合は加温が不要であると判断する。所定の湯量は、予め定めておくことも可能であるし、使用湯量を計測して第4制御装置74の学習機能により設定することも可能である。
第2膨張弁33の開度は、吐出配管35に設けられた吐出冷媒温度センサT31で検出した吐出冷媒温度が所定の値になるように、過冷却給湯装置30の第2制御装置72によって調整される。これによって、所定の温度に湯を沸き上げるための好適なサイクル条件
を維持することができ、第2の冷凍サイクル回路92による高効率な過冷却と給湯を行うことができる。
補助膨張弁13の開度は、配管15に取り付けられた吐出冷媒温度センサT1で検出された第1圧縮機1から吐出される冷媒の温度が所定の値になるように、第1制御装置71によって、制御されている。即ち、吐出冷媒温度が所定の目標値より高ければ補助膨張弁13の開度を大きくし、吐出冷媒温度が所定の目標値より低ければ補助膨張弁13の開度を小さくする制御を行う。このことにより補助冷媒回路を流れる冷媒の流量が適切に維持され、高効率な冷却運転が可能となる。
また、本実施形態に係る冷凍装置では、前述の吐出冷媒温度センサT1で検出された冷媒温度に基づく制御方法に組み合わせて、冷媒温度センサT3で検出された補助熱交換器14の主回路側流路14a出口の冷媒温度、又は過冷却温度センサT4で検出された過冷却器5の第1の冷凍サイクル回路側流路5a出口の冷媒温度、が所定の温度範囲になるように、補助膨張弁13の開度を制御している。冷凍ユニット10の第1制御装置71は、過冷却給湯装置30の第2制御装置72及び/又は貯湯装置50の第4制御装置74と通信を行い、過冷却給湯装置30の運転信号、即ち第2圧縮機31が運転中であるか否かの信号、を受け取り、過冷却給湯装置30が停止している時は、冷媒温度センサT3で検出された補助熱交換器14出口の冷媒温度に基づき制御を行い、他方、過冷却給湯装置30が運転中であれば、過冷却温度センサT4で検出された過冷却器5出口の冷媒温度に基づき補助膨張弁13の開度を制御している。これによって、給湯負荷の変動に対応した高効率な冷却運転を行うことができる。
尚、補助膨張弁13の開度を制御する方法としては、前述の制御方法の代わりに、若しくは前述の制御方法に組み合わせて、冷媒温度センサT5で検出された補助熱交換器14の補助回路側流路14b入口における冷媒温度や、冷媒温度センサT6で検出された補助回路側流路14b出口の冷媒温度、第1圧縮機1の二段目吸入口の冷媒温度、又は第1圧縮機1の中間圧力(配管16、17、17b部等の圧力)等を基準に制御することもできる。
ここで、図6及び図7を参照して補助膨張弁13の制御について更に詳しく説明する。既に説明した通り、図6は、外気温度が低下した場合の第1の冷凍サイクルの変化を模式的に示したものであり、外気温度が低下すると、第1放熱器2で冷却された後の冷媒、即ち補助熱交換器14の主回路側流路14a入口における冷媒は、状態fから状態f0へと変化する。そうすると、補助熱交換器14の出口における第1の冷凍サイクル回路91の冷媒、即ち過冷却器5に流入する冷媒、の温度と比エンタルピも低下する傾向にある(状態hから状態h0へと変化する)。
そして、前述の通り、過冷却器5で冷却された後の第1の冷凍サイクル回路91の冷媒温度が所定の範囲になるように第2圧縮機31の回転速度制御を行っているので、過冷却器5に流入する第1の冷凍サイクル回路91の冷媒温度が低下しても、過冷却器5出口における第1の冷凍サイクル回路91の冷媒温度は所定の範囲を外れて低くならない。即ち、図6において、過冷却器5で冷却された後の第1の冷凍サイクル回路91の冷媒の状態は、iからi0へと変化するが、その温度及び比エンタルピは大きく変化しない。その結果、外気温度が低下すると、過冷却器5の出入口における第1の冷凍サイクル回路91の冷媒の比エンタルピ差は小さくなる傾向にある(dhからdh0へと小さくなる)。
このように、外気温度の低下に伴い、過冷却器5においては、第1の冷凍サイクル回路91の冷媒の出入口比エンタルピ差は小さくなり(dhからdh0へと減少)、また、冷媒循環量が減少するので、交換熱量が少なくなる。その結果、第2の冷凍サイクル回路9
2の吸熱量及び放熱量が減少する。また、冷却負荷が小さくなり、第1の冷凍サイクル回路91の冷媒循環量が少なくなった状況においても、第2の冷凍サイクル回路92の冷媒循環量が減少するので、第2の冷凍サイクル回路92における吸熱用及び放熱量が減少してしまう。つまり、低外気温度条件や低冷却負荷条件においては、給湯能力が低下することになる。
そこで、前述の通り、本実施形態に係る冷凍装置では、過冷却温度センサT4で検出された過冷却器5の第1の冷凍サイクル回路側流路5a出口の冷媒温度が所定の温度範囲内になるように、補助膨張弁13の開度を制御している。具体的には、過冷却器5で冷却された後の第1の冷凍サイクル回路91の冷媒温度が所定の範囲を外れて小さくなった場合には、補助膨張弁13の開度を小さくしている。これにより補助冷媒回路を流れる冷媒量が少なくなり、補助熱交換器14における交換熱量が小さくなり、補助熱交換器14で冷却された後、即ち過冷却器5に流入する、第1の冷凍サイクル回路91の冷媒の温度及び比エンタルピが大きくなる。その結果、過冷却器5における第1の冷凍サイクル回路91の出入口比エンタルピ差を大きくし、また、冷媒流量を増加させることができるので、過冷却器5における交換熱量を増大させることができる。
図7の符号1C1は、補助膨張弁13の開度を小さく制御し、該開度がゼロ(全閉)になった状態の第1の冷凍サイクルを示している。図7において、括弧で示した符号は、図6における同符号の冷媒の状態に対応するものとする。補助熱交換器14を通過した後の冷媒は、補助膨張弁13を閉じることにより、状態h0から状態h1へと変化し、温度が上昇し、比エンタルピが大きくなる。そして、過冷却器5の入口と出口における第1の冷凍サイクル回路91の冷媒の比エンタルピ差は、dh0からdh1へと増大する。また、補助膨張弁13を閉じることにより、主回路側を流れる冷媒の流量は増大する。これにより、過冷却器5における交換熱量が増大し、有効に利用できる冷却廃熱量を確保できるので、第2の冷凍サイクル回路92の吸熱量及び放熱量が大きくなり、給湯能力を増大させることができる。その結果、低外気温度条件や低冷却負荷条件においても、必要な給湯量を維持することができるようになる。
[第1放熱器2における放熱量制御]
本実施形態に係る冷凍装置では、前述の通り、補助膨張弁13の開度を制御することにより第1の冷凍サイクル回路91の冷却廃熱量を適正に維持し、要求される給湯量を確保することができる。しかし、要求される給湯量が更に多い場合には、前述の補助膨張弁13の開度制御を行っても給湯量が不足してしまう場合もある。第2の圧縮機31の最低運転速度は所定の給湯能力を発揮するように決められているので、第1の冷凍サイクル回路91の冷却廃熱量が不十分である条件で冷凍装置が稼動すると、過冷却器5によって冷却された後の第1の冷凍サイクル回路91の冷媒温度が著しく低下し、第1の冷凍サイクル回路91の冷却能力が過大になり、第1圧縮機1の発停が頻繁に起こり、また更に、第2の冷凍サイクル回路92の蒸発圧力が低下するため、冷凍装置全体の効率が著しく低下することになる。また、過冷却器5出口の冷媒、即ち第1膨張弁3に流入する冷媒、の温度が著しく低下することにより、第1膨張弁3の制御が不安定になり、被冷却スペースの温度が低下しすぎるという問題も発生する。
図7の符号1C1は、補助膨張弁13が全閉の状態まで制御され、過冷却器5における交換熱量を増大させた場合の第1の冷凍サイクルを示している。この状態において、過冷却器5の交換熱量、即ち給湯用として利用される冷却廃熱量、が要求される給湯負荷に対して十分でないと、前述の通り、第2圧縮機31は、必要な給湯量を確保するように所定の最低運転速度で運転されるため、過冷却器5の出口における第1の冷凍サイクル回路91の冷媒温度(図7において状態i1)が適正範囲を外れて低くなり、給湯量の不足や効率の低下を招く。
そこで、本実施形態に係る冷凍装置では、第1放熱器2における放熱量を制御することにより、給湯加熱に必要な冷却廃熱量を確保している。図8の符号1C2は、第1放熱器2における放熱量を制御し、給湯用冷却廃熱を多くした場合の第1の冷凍サイクルを示している。図8において、括弧で示した符号は、図7における同符号の冷媒の状態に対応するものである。第1放熱器2で冷却された後の冷媒は、状態f2で示され、放熱量制御を行わない場合(状態f1)に比べ、温度が高く、比エンタルピが大きくなる。補助膨張弁13の開度は既に最小となっているので、補助熱交換器14における交換熱量は最小であり、過冷却器5に流入する第1の冷凍サイクル回路91の冷媒は、第1放熱器2を出た冷媒(状態f2)と略同じであり、状態h2となる。よって、過冷却器5入口における第1の冷凍サイクル回路91の冷媒の温度及び比エンタルピは高くなる。その結果、過冷却器5における第1の冷凍サイクル回路91の冷媒について、出入口の比エンタルピ差を大きくすることができるので(dh1からdh2へと増大する)、過冷却器5における交換熱量、即ち第2の冷凍サイクル回路92の吸熱量、が増大し、給湯熱量を大きくすることができる。
次に、第2放熱器における放熱量制御の制御フローについて詳細に説明する。図4は、本実施形態に係る第1放熱器2の放熱量制御の一例を示すフローチャートである。冷凍ユニット10の第1制御装置71は、過冷却温度センサT4によって過冷却器5の第1の冷凍サイクル回路側流路5a出口の冷媒温度T4を検出し、圧力センサP1によって高圧側圧力P1(吐出圧力P1)を検出し、そして、他の各センサにより外気温度Taや、その他各部の温度、圧力を検出する(ステップS10)。次に、第1制御装置71は、統合制御装置70、第2制御装置72、第3制御装置73及び第4制御装置と通信を行い、制御信号値や制御設定値を送受信する(ステップS20)。特に、第1放熱器2の放熱量制御では、過冷却給湯装置30の運転信号と貯湯装置50の残湯量、即ち給湯沸き上げの要否の信号、を受信して利用する。
次に、第1制御装置71は、過冷却給湯装置30が運転中であり(ステップS30)、給湯沸き上げ運転が要求されており(ステップS40)、且つ補助膨張弁13の開度が最小に制御されている場合に(ステップS50)、ステップS110へと進み、過冷却器5で冷却された後の第1の冷凍サイクル回路91の冷媒温度T4に基づく放熱量制御を行う。他方、ステップS30乃至S50の条件判定の内、何れかが条件を満たさない場合には、ステップS60へと進み、高圧側圧力P1に基づく放熱量制御を行う。
過冷却給湯装置30が運転中であり(ステップS30)、給湯沸き上げ運転が要求されており(ステップS40)、且つ補助膨張弁13の開度が最小に制御されている場合(ステップS50)、過冷却温度センサT4によって検出された、過冷却器5で冷却された後の冷媒温度T4と、目標温度範囲(目標温度T4t)を比較し(ステップS110、S130)、冷媒温度T4が目標温度T4tを超えて高い場合には、ファン2fの回転速度を所定数高くする制御を行う(ステップS120)。他方、冷媒温度T4が目標温度T4tの範囲を外れて低い場合には、ファン2fの回転速度を低くする制御を行う(ステップS140)。また、冷媒温度T4が、目標温度T4tの範囲内にあるときは、ファン2fの回転速度を変更しない。
ステップS30乃至S50の条件判定の内、何れかが条件を満たさない場合には、外気温度Taを基準に目標とする高圧側圧力範囲(目標高圧Ph)を演算により求め(ステップS60)、圧力センサP1で検出した高圧側圧力P1と比較する(S70、S90)。第1制御装置71は、検出した高圧側圧力P1が目標高圧Phより高い場合は、ファン2fの回転速度を所定数高くする制御を行う。他方、高圧側圧力P1が目標高圧Phより低い場合は、ファン2fの回転速度を所定数低くする制御を行う。また、高圧側圧力P1が所定の目標高圧P1の範囲内にあるときは、ファン2fの回転速度を同一に維持する。
ステップ150では、冷凍装置の運転指令信号を基に冷凍装置の運転継続を判断し、継続して運転する場合は、ステップS10へ戻り、第1放熱器2における放熱量制御を継続する。
以上説明の放熱量制御により、本発明に係る冷凍装置は、遷臨界サイクルにおける最適な高圧圧力を維持する高圧制御を基本として冷凍装置の冷却効率を向上させると共に、給湯量が不足する場合にのみ、該不足熱量に応じて、給湯利用可能な冷却廃熱量を増大させることができるので、低外気温度条件や低冷却負荷条件においても、高効率な冷却運転と、その冷却廃熱を利用した高効率な給湯を行うことができる。
図5は、本実施形態に係る第1放熱器2の放熱量制御の他の例を示すフローチャートである。本制御例では、第1の冷凍サイクル回路91の高圧側圧力P1が目標高圧Phになるようにファン2fの回転速度を制御することを基本とし、給湯用に利用できる冷却廃熱量が不足する条件においてのみ、前記目標高圧Phを補正する方法を採用している。
冷凍ユニット10の第1制御装置71は、過冷却温度センサT4によって過冷却器5の第1の冷凍サイクル回路側流路5a出口の冷媒温度T4を検出し、圧力センサP1によって高圧側圧力P1を検出し、そして、他の各センサにより外気温度Taや、その他各部の温度、圧力を検出する(ステップS210)。次に、第1制御装置71は、統合制御装置70、第2制御装置72、第3制御装置73及び第4制御装置と通信を行い、制御信号値や制御設定値を送受信する(ステップS220)。特に、第1放熱器2の放熱量制御では、過冷却給湯装置30の運転信号と貯湯装置50の残湯量、即ち給湯沸き上げの要否の信号、を受信して利用する。そして、外気温度Taを基準に、目標とする高圧側圧力範囲(目標高圧Ph)を演算により求める(ステップS230)。
次に、第1制御装置71は、過冷却給湯装置30が運転中であり(ステップS240)、給湯沸き上げ運転が要求されており(ステップS250)、補助膨張弁13の開度が最小に制御されており(ステップS260)、且つ過冷却器5で冷却された後の冷媒温度T4が目標温度T4tより低い場合に(ステップS270)、目標高圧Phに補正値Mを加えて補正する(ステップS280)。即ち、目標高圧Phは、前記補正により、ステップS230において演算により求められた値よりも補正値Mに相当する分だけ大きな値になる。他方、ステップS240乃至S270の条件判定の内、何れかが条件を満たさない場合には、ステップS230で求められた目標高圧Phを補正せずに、ステップ290へと進む。
次に、第1制御装置71は、圧力センサP1で検出した高圧側圧力P1と目標高圧Phを比較し(ステップS290、S310)、検出した高圧側圧力P1が目標高圧Phより高い場合は、ファン2fの回転速度を所定数高くする制御を行う(ステップS300)。他方、高圧側圧力P1が目標高圧Phより低い場合は、ファン2fの回転速度を所定数低くする制御を行う(ステップS320)。また、高圧側圧力P1が所定の目標高圧P1の範囲内にあるときは、ファン2fの回転速度を同一に維持する。
ステップ330では、冷凍装置の運転指令信号を基に冷凍装置の運転継続を判断し、継続して運転する場合は、ステップS210へ戻り、第1放熱器2における放熱量制御を継続する。
以上説明のごとく、本発明に係る冷凍装置は、遷臨界サイクルにおける最適な高圧側圧力を維持する高圧制御を基本として冷凍装置の冷却効率を向上させると共に、給湯量が不足する場合にのみ、第1放熱器2における放熱量を適切に制御することにより、該不足熱量に応じて、給湯利用可能な冷却廃熱量を増大させることができるので、低外気温度条件や低冷却負荷条件においても、高効率な冷却運転と、その冷却廃熱を利用した高効率な給
湯を行うことができる。
尚、上述の実施形態は、本発明の一具体例を示したものであり、従って本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、種々の変更実施が可能である。