JP5903210B2 - 電解加工方法 - Google Patents

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Description

本出願は、一般に、金属の研磨及び/又は機械加工に関連する方法、システム及び/又は装置に関する。より具体的には、ただし限定的にではないが、本出願は、金属の電解研磨及び/又は機械加工、特に、例えばタービンエンジンのブレードの製造に使用される金属を始めとする硬質金属の電解研磨及び/又は機械加工に関連する改良方法、システム及び/又は装置に関する。
一般に、伝統的技術(即ち、旋削、ミリング、グラインディング、穿孔などの機械的な力に依拠する機械加工方法)での機械加工非常に難しい硬質金属又は材料に常用されている2つの主な代替的な機械加工及び研磨の方法がある。これら2つの方法は、放電加工(以下、「EDM」)及び電解加工(以下、「ECM」)である。当業者には自明であろうが、これらの代替的方法はそれぞれ、その用途に伴う利点と欠点とを有する。
EDMは、速い一連の反復放電を生じさせることによって金属を除去するので、「スパーク加工」と呼ばれる場合が多い。これらの放電は、電極と機械加工される金属片との間を流れる。工作物から除去される少量の材料は、継続的に流れる流体を用いて洗い流される。反復放電は、所望の形状が作成されるまで、工作物に連続的な一連の深いくぼみを作り出す。
ラムEDM及びワイヤEDMという2つの主要なEDM方法がある。両者の主な相違点は、機械加工を行うのに使用される電極である。一般的なラムEDMの応用例では、グラファイト電極を特定の形状に構築し、電源及びラムに接続して、工作物にゆっくりと送り込。機械加工動作全体は、通常、流体槽に沈められた状態で行われる。流体は、一般に、次の3つの目的を果たす。即ち、1)材料を洗い流し、2)熱影響部を最小限に抑える(それによって、工作物に損傷を与える可能性を防ぐ)ための冷却材として働き、3)電極と工作物との間を電流が流れる降伏後の導体として作用する。ワイヤEDMでは、非常に細いワイヤが電極として働く。特殊な真鍮ワイヤが一般的に使用される。ワイヤは材料にゆっくり通され、放電が工作物を切断する。ワイヤEDMはまた、通常、水槽内で行われる。ワイヤ自体は切断すべき金属に触れず、放電が実際に少量の材料を除去し、ワイヤが工作物を貫通できるようにする。一般的に、コンピュータがワイヤの通過を制御する。
EDMは、チタン、ハステロイ、コバール及びインコネルなどの硬質金属又は合金を機械加工するのに有効に使用することができ、更に、入り組んだ又は複雑な形状を生産するのにコスト効率的に使用することができる。しかし、特に表面が平滑な完成品が要求される応用例では、EDMには著しい欠点がある。1つの態様では、この欠点としては、EDM加工部分の表面に沿ってリキャスト層(recast layer)が形成されることが挙げられる。リキャスト層は、EDMプロセスの熱によって形成される比較的薄い表面層である。熱によって、機械加工領域に隣接した部分の領域が軟化し、EDMプロセスが完了した後に再硬化する。再硬化は、一般に、金属の材質に悪影響を与える。これらの悪影響の1つは表面粗さが増すことであるが、これは、一般的に再硬化によって、表面欠陥、ばり、亀裂などの形成が引き起こされるためである。当業者には自明であろうが、タービンエンジンのホットパス(hot-path)構成部品に関与するものなど、多くの工業用途に関して、表面平滑度は重視される特性であり得る。例えば、一部のタービンエンジンの場合、10〜15RMSの表面処理を達成することで、エンジンの効率を著しく向上することができ、これは当然ながら、発電用途において非常に望ましい。その結果、EDMは多くの機械加工用途に関してコスト効率が良く有効な方法であるが、リキャスト層を除去し、機械加工部分の外表面を平滑にするため、第2の機械加工又は研磨方法が必要な場合が多い。
ECMも、金属から材料を除去するのに電気エネルギーを使用する。カソードとして働くツーリング部品と、プロセスによって機械加工される部品である、アノードとして働く工作物という2つの別個の電極を用いて、電解セルが電解質媒体中に作成される。一般的に、材料を溶解し、EDMと同様に導電性でなければならない工作物から除去するのに、高アンペア低電圧の電流が使用される。ECMは、本質的には、電気分解の原理を利用する脱めっき(deplating)プロセスである。
プロセスの間、従来方法によってそれぞれ異なる機械加工用途向けに独自に形成すべきツーリング部品は、工作物に非常に近接して位置決めされ、ツーリング部品と工作物との間のギャップ(以下、「電極間ギャップ」)の間に低電圧が印加される。一般的なECMシステムは、高アンペアDC電流が2つの電極間を流れるように、電極間ギャップを介して電解質を循環させる。材料が工作物から除去され、流れる電解質溶液がイオンを洗い流す。これらのイオンは金属水酸化物を形成し、これは、一般に、遠心分離によって電解質溶液から除去される。その結果、電解質及び金属スラッジは両方とも再利用することができる。従来の切断方法とは異なり、工作物の硬度が要因にならず、EDMのようにECMを機械加工が困難な材料に適したものにする。
ECMに伴ういくつかの利点がある。第一に、機械加工プロセスの間、構成要素は熱応力及び機械的応力のどちらも受けない。したがって、EDMとは異なり、リキャスト層が形成されない。第二に、プロセスの間、ツールの磨耗がない。したがって、著しく磨耗することなくツーリング部品を繰り返し使用することができる。専用のツール片又はツールが一旦形成されると、同じツーリング部品によって複雑な幾何学形状を繰り返し正確に機械加工することができる。第三に、表面を非常に高度な平滑度に機械加工又は研磨するのにECMを使用することができる。一般に、10〜15RMS以下の表面平滑度が達成可能である。
しかし、当業者には自明であろうが、ECMにも欠点がある。一般に、ECMは、他の機械加工方法と比べて時間がかかり、高価である。これは、一般に、機械加工される各構成要素又は部品と共に使用するために専用のECMツーリング部品を構築しなければならないことによる。それに加えて、より詳細に後述するように、これらツーリング部品は一般に、必要とされる多数の流路によってその複雑さが増す。更に、従来のECM機械は、高い流体圧力下で工作物に対してツーリング部品を精密にコンピュータ制御して移動させることが必要なため、複雑で比較的高価である。
本明細書に記載する本発明はこの用途に限定されないが、タービンエンジンブレードの機械加工に焦点を当てた実施例を以下に提供する。これは単に一例として提供されるものであり、本発明はそれに限定されないことが理解されるであろう。しかし、この実施例は、特に述べられている例示的なタービンエンジン応用例と同様の応用例に関して、本出願による機械加工をどのように使用して、機械加工コストを削減し、機械加工効率を向上することができるかを実証する。
タービンエンジンは、一般に多段のロータ及びステータブレードを有し、これらは、圧縮機がある場合はそこに又はエンジンのタービン部内に見出すことができる。これらのブレードはそれぞれ、それら自体の一連の航空力学的基準を有し、そのため、各列内のブレードはそれら自体の明確な形状を有する。記載されるように、より高いレベルの表面平滑度は、一般に、ブレードの空気力学的性能を向上し、それによって、エンジン全体の性能又は効率を改善することも理解されるであろう。所望の平滑度レベルを所与とすると、ECMは、ブレードの外表面を機械加工又は研磨するための好ましい代替例を示す。更に、二次加工プロセスの一部としてEDMが行われたブレードの場合、ECMは、リキャストの薄い外層を除去する魅力的な代替例をもたらす。これは、リキャストが一旦除去されると、タービンエンジンにおいて良好に働く平滑面が残るように行うことができる。このようにして、ECM及びEDMプロセスは互いに補完的であってもよく、即ち、EDMは、必要とされる機械加工の大部分に対してコスト効率的に使用されてもよく、一方でECMは、タービンエンジン用途において特に重視されるタイプの微細に研磨された表面を作り出すのに使用されてもよい。
しかし、タービンエンジンに必要とされるブレードの形状は様々に異なるため、従来のECMは比較的高価なプロセスになる。一般に、これは、タービンエンジン内で使用される多くの異なるタイプのブレードそれぞれに対して、独自の一連のECMツーリング部品が必要とされるためである。必要とされるツーリング部品の生産に必要な時間とコストが、ECM機械のコスト、並びにECMプロセス自体に関する時間及びコストに織り込まれるとき、ECMは、この性質の用途にとって桁違いなコストがかかるものになる場合が多い。これは、部品及び構成要素の設計が定期的に変更又は微調整され、それによって新しいツーリング部品が定期的に必要になることがあるような業界において、特に当てはまる。その結果、ECMプロセス及びECM機械に関連する改良方法、システム及び/又は装置、特に、初期機械コスト、ツーリング部品生産コスト及び/又は使用に関連する労力及び時間の点で、ECM機械及びプロセスをよりコスト効率が良く有効にすることができる方法、システム及び/又は装置が必要とされている。
以下、本願発明の概要について説明する。
本願発明では、電解加工方法であって、当該方法が、
アノードを含む工作物(106)及びカソードを含むツーリング部品(104)を電解質に沈める段階と、
前記工作物(106)及び前記ツーリング部品(104)を第1の位置に配置する段階と、
前記工作物(106)及び前記ツーリング部品(104)が第2の位置に位置するように、前記工作物(106)及び前記ツーリング部品(104)の少なくとも一方を他方に向かって移動させる段階と、
前記工作物(106)及び前記ツーリング部品(104)が第3の位置に位置するように、前記工作物(106)及び前記ツーリング部品(104)の少なくとも一方を他方から離れるように移動させる段階と、
前記工作物(106)及び/又は前記ツーリング部品(104)を第1の位置から第2の位置へ、また第2の位置から第3の位置へと移動させる段階の少なくとも一時期に、電源を用いて前記工作物(106)と前記ツーリング部品(104)との間に形成されるギャップの間に電圧を印加する段階と、
前記工作物(106)及び/又は前記ツーリング部品(104)を第1の位置から第2の位置へ、また第2の位置から第3の位置へと移動させる段階の少なくとも一時期に、前記工作物(106)の表面と前記ツーリング部品(104)の表面との間に電極間ギャップ(112)を形成する段階と、
前記ツーリング部品(104)及び/又は前記工作物(106)が第1の位置から第2の位置へと移動する際に、前記電極間ギャップ(112)が第1の臨界寸法から第2の臨界寸法へと狭まるまでの期間、前記電極間ギャップ(112)の間に電圧を印加する段階と、
前記電極間ギャップ(112)が第2の臨界寸法を含むときに、前記電極間ギャップ(112)の間に印加されている電圧を中断するとともに、前記ツーリング部品(104)及び/又は前記工作物(106)の移動を中断する段階と
を含んでおり、
前記ツーリング部品(104)と前記工作物(106)との間から電解質の所望の流れが生じるように、第1の位置から第2の位置への移動が制御され、
第1の位置及び第3の位置がそれぞれ離れた位置を含み、前記離れた位置が、前記ツーリング部品(104)と前記工作物(106)との間で電解加工を実行できないほど大きなギャップを含んでいる、方法を提供する
いくつかの実施形態では、上述の方法において前記工作物(106)及び/又は前記ツーリング部品(104)が第1の位置から第2の位置へと移動する速度は0.2〜3.5m/秒である
いくつかの実施形態では、上述の方法において前記工作物(106)及び/又は前記ツーリング部品(104)が第1の位置から第2の位置へと移動する速度は0.5〜2.5m/秒である
いくつかの実施形態では、上述の方法において電圧は、振幅が不変又は振幅が可変の中断されない電圧として継続的に印加される
いくつかの実施形態では、上述の方法において電圧は、12〜20Vの中断されない電圧として継続的に印加される
いくつかの実施形態では、上述の方法において電圧は15〜18Vの中断されない電圧として継続的に印加される
いくつかの実施形態では、上述の方法において前記電圧をパルス電圧として印加し、
前記パルス電圧が複数回繰り返されるサイクルを含み、
前記サイクルが、電圧が印加される第1の期間と、それに続く電圧が印加されない第2の期間とを含んでいる
いくつかの実施形態では、上述の方法において第1の期間が0.05〜0.3秒間であり、
第2の期間が0.1〜0.3秒間であり、
第1の期間に印加される電圧が15〜30Vであり、
サイクルの繰り返し数が10〜100回である
本出願のこれら及び他の特徴は、好ましい実施形態の以下の詳細な説明を図面及び添付の特許請求の範囲と併せ読むことによって明らかになるであろう。
本発明のこれら及び他の特徴は、本発明の例示的実施形態の以下のより詳細な説明を添付図面と併せて慎重に検討することによって、更に十分に理解され認識されるであろう。
従来の設計によるECMシステムの概略図である。 本出願の例示的実施形態によるECMシステムの概略図である。 本出願の例示的実施形態によるECMシステム及びECMプロセスの概略図である。 本出願の例示的実施形態による可撓性ツーリング部品の側面図である。 図4の可撓性ツーリング部品の平面図である。 例示的な工作物に対して使用するにあたって位置決めされているような、例示的実施形態による可撓性ツーリング部品の側面図である。 交互に形作られた工作物に対して使用するにあたって位置決めされているような、例示的実施形態による可撓性ツーリング部品の側面図である。
本明細書に記載するように、本出願の実施形態による電解加工(「ECM」)プロセスは、機械加工後の表面が高度に研磨されているように、工作物から外層を迅速に除去する、比較的高速の電解反応をもたらすことができる。本明細書に記載される実施形態によるECMプロセスはまた、一般的には放電加工(EDM)の間に形成される、リキャスト層を効率的に除去するのに使用されてもよい。特定の実施形態では、後述するように、本出願は、工作物とツーリング部品との間での周期運動を用いて、必要とされる電解質の流れを生じさせるECMシステムを提供し、それによって、ツーリング部品の構築を簡略化し、且つ/又は従来システムで一般的に使用される、高圧ポンプシステムを排除できるようにすることができる。それに加えて、本出願の特定の実施形態では、修正された可撓性ツーリング部品によって、多くの異なる形状の工作物に対して単一のツーリング部品を使用できるようにすることができる。いくつかの実施形態では、パルス電流を使用して、電極間ギャップにおける様々な機械加工製品の集中を調整してもよく、これは拡散律速腐食(diffusion-controlled erosion)に使用されてもよい。
次に図1を参照すると、従来の設計によるECMシステム100が示される。理解されるように、ECMシステム100の主要構成要素としては、電源102、カソード又はツーリング部品104、アノード又は工作物106、電解質ポンプ108及び電解質タンク110が挙げられる。動作の際、当業者には自明であろうが、ツーリング部品104及び工作物106は、それらの間の空間によって比較的狭い電極間ギャップ112が画定されるように位置決めされる(また、機械加工プロセスが継続するにつれて再度位置決めされる)。次に、電源102を使用して、形成される電解セルの工作物106とツーリング部品104、即ちそれぞれアノードとカソードの間に電圧が印加される。
ECMシステム100は、図示されるように、加圧された電解質の継続的な流れを電極間ギャップ112内へと圧送するように動作する、電解質システムを含んでもよい。機械加工プロセスの間、ツーリング部品104の形状がほぼ変化しないままであるように、適切な電解質、例えば塩化ナトリウム(食塩)水溶液が選択される。電解質は、ポンプ108によって電解質タンク110から圧送され、比較的高速及び高圧でツーリング部品104に送達される。一般に、電解質は、ツーリング部品104を介して電極間ギャップ112に導入される。これは、一般的に、図1に示されるように、ツーリング部品104内に形成された1つ以上の中空の電解質チャネル114を通して行われる。電解質チャネル114は電解質を工作物106に向ける。電解質チャネル114から電解質はツーリング部品104を出て、電極間ギャップ112によって画定された空間を通って流れる。このようにして、電解質は、比較的高速及び高圧で電極間ギャップ112を介して移動するようにされてもよい。
独自のツーリング部品104、即ち、必要とされる形状とその中に構成された必要な電解質チャネル114とを有するものを二次加工することは、特に異なる部品形状それぞれに対して独自のツーリング部品104を作成しなければならないとき、一般的に重大な試みであることが理解されるであろう。それに加えて、多くの応用例では、工作物106/ツーリング部品104アセンブリの外部に沿った縁部をシールしなければならない。これは、一般的に、所望の電解質の流れパターン、速度及び圧力が作り出され、機械加工プロセスの間、電極間ギャップ112を介して維持されるようにして行われる。更に、ツーリング部品104は、工作物106が機械加工されているとき、ツーリング部品104と工作物106との間で必要な電極間ギャップ112が維持されるように位置決めしなければならない。これは、一般に、工作物106が機械加工されるにつれてそれに向かってツーリング部品104を徐々に移動させる制御システムを含む。これは、単一の軸線又は2つの軸線に沿った移動を含んでもよい。これらの要件が、全体として、従来のECMプロセスを複雑にしていることが理解されるであろう。当業者には自明であろうが、このことによって、特に製造される構成部品の予測数が少ないか又は機械加工を必要とする異なる形状の部品数が多い場合、一般に、時間がかかり高価な機械加工方法となっている。
動作の際、金属除去は、上述したようにECMの電解セルの一部品である、アノード分極された工作物106を電気化学溶解することによって達成される。硬質金属は、ECMを使用することによって電気分解により形作ることができ、機械加工の速度は、一般にそれらの硬度に依存しない。プロセスに使用されるツーリング部品104、即ちECMの電解セルにおける他方の電極は磨耗せず、したがって、従来の機械加工方法とは異なり、より硬質な工作物上に形状を形成するためのツールとして軟金属が使用されてもよい。当業者には自明であろうが、ECMは、鋼構造における表面の平滑化、穴の穿孔、複雑な形状の形成及び疲労亀裂除去に使用されてもよい。
動作の間、電極間ギャップ112を通って移動する電解質は、電気化学溶解材料を工作物106から除去する。それに加えて、電解質の流れは、カソードガス発生及び電気的加熱によって発生するものなどの無用な影響を減少させる。金属がアノード(即ち、工作物)106から除去される速度は、電極間の距離にほぼ反比例する。機械加工が進行するにしたがって、またそれと同時にカソードが一般的な速度でアノードに向かって移動するのに伴って、電極長さに沿った電極間ギャップ112の幅は徐々に定常値となる傾向がある。これらの条件下では、アノード上において、カソードの形状を大まかに補完する形状が再現される。一般的なギャップ幅は約0.0004メートルであり得る。
ポンプ108は、一般に、システム全体にわたって流体動力を供給する。ポンプ108がその一部を成す電解質システムは、この動作を向上させる他の従来の構成要素を含んでもよい。例えば、電極間ギャップ112に送達される電解質の流量及び圧力を調節するためのバルブ116が、ポンプ108の上流に位置決めされてもよい。従来のフィルタ118も含まれてもよい。フィルタ118は、一般的に、電極間ギャップ112の下流に位置し、工作物106から除去された材料を濾過するので、電解質を、不純物を含まず再使用できる状態でタンク110に戻すことができる。
次に図2を参照すると、本出願の例示的実施形態によるECMシステム200が示される。理解されるように、ECMシステム200は、電源102、ツーリング部品104及び工作物106を含む、図1の従来システムに示されるのと同じ構成要素の多くを含んでもよい。図示されるように、工作物106はタービンブレードであってもよい。いくつかの実施形態では、本発明は、タービンブレードの表面の機械加工又は研磨を行う(それによって、タービンエンジン用途で重視される性質の平滑面を作成し、且つ/又は、例えばそれに先立つEDMプロセスの間に形成された、リキャスト層を除去する)のに特に良く適しているが、この特定の用途についての本明細書における記載は単に例示的なものである。当業者には自明であろうが、この性質及び他のものの応用も可能である。
ツーリング部品104は、工作物106に所望の機械加工効果を作り出す表面の外形を備えて構築されてもよい。図示されるように、タービンブレードの場合、ツーリング部品104は工作物106の表面の外形をほぼ反映する表面の外形を有していてもよい。したがって、図2に示されるように、ツーリング部品104の凹面は、タービンブレード(即ち、工作物106)の凸状の負圧側に対して間隔を空けて、且つ電極間ギャップ112の全域に存在してもよい。タービンブレードの反対側を機械加工している場合(図示なし)、ツーリング部品は、タービンブレードの凹状の正圧側に対して間隔を空けて、且つそこから電極間ギャップ112の全域に存在する凸状面を有する。しかし、本発明の特定の実施形態に関して本明細書に提供されるように、ツーリング部品104の表面の外形は、タービンブレード工作物の外形と正確に一致する必要はない。これは、特定の場合においては、薄い外層のみが除去される研磨用途に正確な外形の一致が必要ないためである。これらの例では、近似的な外形の一致のみを必要とする。このため、本発明によれば、単一のツーリング部品104を、多少異なるものの類似した表面の外形を有する多くの工作物106と共に使用できる可能性がある。このことは、例えばタービンブレードの機械加工において特に有利であるが、それは、隣接した段のブレードが互いに類似し、ただし僅かに修正された空気力学的外形を有する場合が多いためである。
やはり言及したように、ツーリング部品104は様々な材料で作られてもよい。本出願の実施形態によれば、好ましくは、ツーリング部品104は、銅、ステンレス鋼及び他の類似のタイプの金属及び材料といった材料のいずれかを使用して構築されてもよい。工作物106は一般的には硬質金属である。本出願のシステム及び方法によって一般的に機械加工されてもよいタイプの金属としては、チタン、ハステロイ、コバール、インコネル、ステンレス鋼及び炭素鋼が挙げられる。他の材料もこのプロセスを使用して機械加工されてもよい。電解質溶液は任意の従来の電解質溶液であってもよい。一般的には、電解質溶液は様々な濃度レベルの水性硝酸ナトリウムであってもよい。
ECMシステム200は電解質システムを含んでもよい。いくつかの実施形態では、電解質システムは、図1の従来システムに関して記載したものとは異なる。要するに、電解質溶液の高圧の方向付けられた流れは必要ではないので、図2のECMシステム200の電解質システムは従来の設計よりも簡略化されてもよい。代わりに、図2に示されるように、機械加工プロセスの間、工作物106及びツーリング部品104が沈められるように、電解質は作業タンク204を充填してもよい。より詳細に後述するように、電解質は、作業タンク204から別のタンク、つまり電解質リザーバ208へと圧送又は排出されてもよい。その際、電解質は従来のフィルタ118を通り抜けてもよい。フィルタ118は、工作物106から機械加工された材料を除去するので、濾過後に電解質を再使用することができる。フィルタ118は、作業タンク204と電解質リザーバ208との間に位置してもよいが、他の位置も可能である。この濾過用途に使用してもよいタイプのフィルタとしては、バッグフィルタ、カートリッジフィルタ及び/又は他の従来の濾過システムが挙げられる。一般的に、本出願によるECM用途は比較的少量の電解スラッジを発生させ、これは一般に、濾過システムがコスト及び容量の比較的低いシステムであり得ることを意味する。濾過された電解質は、電解質リザーバ208から作業タンク204に戻されてもよい。これにポンプ210が使用されてもよい。しかし、ECMシステム200の動作により、図3に関してより詳細に記載するように、ポンプ210は、比較的高い流量及び圧力下で電解質を電極間ギャップ112内の精密な位置へと圧送する必要がない。代わりに、ポンプ210は単に(いくつかの実施形態では)、ツーリング部品104及び工作物106が電解質に再び沈められるように、低圧で作業タンク204を再充填することが必要とされる。更に、電解質を電極間ギャップ112内の精密な位置へと高圧で方向付ける(図1のシステムの場合のように)必要がないので、多くのパイプ、ホース、取付具及び/又は接続部などをシステムから排除することができる。工作物106を切断する中空の電解質チャネル114も、本出願の実施形態によって不要になっている可能性がある。当業者には自明であろうが、これにより、システム及びツーリング部品104の構造が全体的に簡略化される。
図3は、本出願の例示的実施形態によるECMシステム200の機能を示す。図3(a)〜3(f)は、本出願の一実施形態によるシステムの動作中の、工作物106に対するツーリング部品104の移動を示す。図3(a)では、ツーリング部品104は初期の上方又は上昇位置にある。この位置では、電極間ギャップ112は広く、また一般に、機械加工を行うには広すぎる。電極、即ちツーリング部品104及び工作物106が離れた位置にあると言うこともできる。いずれの場合も、この位置では、電源(図3には図示なし)はギャップの間に電圧を印加しない。図3(a)では、作業タンク204内の電解質は溶解不純物をほぼ含まないことが理解されるであろう。
図3(b)では、矢印によって示されるように、ツーリング部品104は下向きに又は工作物106に向かって移動される。制御された下向きの運動は、従来の利用可能なシステム及び可動部を使用して達成されてもよい。例えば、当業者には自明であろうが、モータ及びスピンドルに基づく電気駆動系、ピストン及びシリンダに基づく油圧駆動系、並びにリニアモータ又は軸受に基づいた電磁駆動系が使用されてもよい。他の従来の装置及びシステムも使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ツーリング部品104の下向きの運動は比較的高速である。そのような実施形態では、好ましくは、ツーリング部品104の下向きの速度は約0.2〜3.5m/sであってもよい。より好ましい実施形態では、ツーリング部品104の下向きの速度は約0.5〜2.5m/sであってもよい。ツーリング部品104の下向きの運動によってツーリング部品104と工作物106との間の空間が狭まり、最終的に、電極間の狭い空間、即ち電極間ギャップ112が形成されることが理解されるであろう。また、電極間ギャップ112を形成し狭めることにより、図3(b)及び3(c)の矢印によって示されるように、ツーリング部品104と工作物106との間から電解質が排除されることが理解されるであろう。これにより、ツーリング部品104と工作物106との間の電解質の流れが作られる。流れは、一般に、電極間ギャップ112の周辺へと方向付けられる。
図3(c)では、ツーリング部品104の運動によって電極間ギャップ112が臨界寸法へと狭められると、電源102は、電極間ギャップ112の間に電圧が生じるように、電極(即ち、ツーリング部品104及び工作物106)に電気を送ることができ、それによって、工作物106の電解溶解が始まる。電解溶解による残留物、即ち機械加工粒子212は、電極間ギャップ112からの電解質の流れによって作業タンク204内へと流すことができる。
いくつかの実施形態では、所望の期間の間、電極間ギャップ112の間に比較的中断されない電圧が印加されるように、電源102からの電気の印加は継続的であってもよい。そのような実施形態では、電極間ギャップ112の間に印加される中断されない電圧は約12〜20Vであってもよい。より好ましくは、これらの実施形態では、電極間ギャップ112の間に印加される中断されない電圧は約15〜18Vである。他の実施形態では、電極間ギャップ112の間における電源102からの電気の印加は、一連の離散的なパルスとして印加されてもよい。この場合、電圧は短い持続時間の間、電極間ギャップ112の間に印加され(即ち、「パルス」)、それに続いて、別の短い持続時間の間は電極間ギャップ112の間に電圧は印加されない。次に、この「オン/オフ」サイクルは所望の回数繰り返される。好ましい一実施形態では、サイクルは、約15〜30Vの電圧が約0.05〜0.3秒間、電極間ギャップ112の間に印加され、それに続いて、約0.1〜0.3秒間は電極間ギャップ112の間に電圧が印加されないことを含んでもよい。この場合、電源102はパルスを終了する前に10〜100サイクルを実行してもよい。より好ましくは、別の実施形態では、サイクルは、約22〜28Vの電圧が約0.08〜0.2秒間、電極間ギャップ112の間に印加され、それに続いて、約0.12〜0.3秒間は電極間ギャップ112の間に電圧が印加されないことを含んでもよい。この場合、電源102はパルスを終了する前に20〜50サイクルを実行してもよい。パルス電力を使用するいくつかの応用例では、より良好な電解質流れ及び表面品質が提供されることが実証されている。パルス間隔はまた、溶解材料のより良好な洗い流しを可能にすることができる。
他の実施形態では、より詳細に後述するように、可変の電圧レベルが他のやり方で適用されてもよい。これには、電圧の振幅、パルス間の時間、臨界寸法及び他の変数を変化させることが挙げられる。上述したような電圧の印加は、コンピュータ実施制御システムと連結された、従来の機械類及び電気システムを使用して実現されてもよいことが理解されるであろう。例えば、当業者には理解されるように、そのようなシステムを実現するために、他の電子制御素子及び技術の中でも、スイッチモード電源、金属酸化膜半導体、電界効果トランジスタ(MOSFET)及び/又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が使用されてもよい。
工作物106に向かうツーリング部品104の運動によって電極間ギャップ112が第2の臨界寸法へと狭まると、ツーリング部品104の運動を停止してもよく、また電極の間に印加される電圧を終了してもよい。第2の臨界寸法は、電極間ギャップ112が相対的に非常に狭い(第1の臨界寸法よりも狭い)寸法を含んでもよい。この停止位置では、電解溶解、即ち粒子212の大部分又は全てが、図3(d)に示されるように、電極の間から作業タンク204の他の部分内へと洗い流されているであろうことが理解されるであろう。
この時点で、好ましい一実施形態では、作業タンク204内の電解質が濾過される。このようにして、電解溶解による粒子212を、更なる電解加工に干渉しないように除去することができる。そのため、作業タンク204内の電解質を、電解質リザーバ208に排出し、従来のフィルタ118に通してそこで粒子を除去することができる。例えば、バッグフィルタ、カートリッジフィルタ及び他の類似のデバイスを始めとする従来の濾過デバイス及び技術をこれに使用してもよい。それによって濾過されて、電解質を更なる機械加工のために作業タンク204に戻すことができる。これは、従来のポンプ210を用いて又は電解質リザーバ208の配置に応じて、単純な排水管を用いて実現されてもよい。電解質の濾過は他の形で実現されてもよいことが理解されるであろう。また、いくつかの応用例では、濾過を行わずに電解質を繰り返し使用することが可能であってもよく又は、電解質を未使用の電解質と交換することも行われてもよい。
図3(e)及び3(f)は、初期位置へと戻るツーリング部品104を示す。図3(e)では、ツーリング部品104は工作物106から離れるように移動する。これにより、濾過された電解質の流入が可能になって、次の機械加工サイクルのために電解質が供給される。図3(f)では、ツーリング部品104はその初期位置に達しており、本明細書に記載される本発明にしたがった別のECMサイクルに対応できる状態になっている。
本明細書にて使用するとき、「ECMサイクル」は、全体として、図3(a)〜3(f)で提供される段階の一部又は全てを指すことを意図する。即ち、本発明による「ECMサイクル」は、概して、2つのECM電極を離れた位置から近接位置へと近付け、2つのECM電極間に形成される電極間ギャップの間に電圧を印加し、次に電極を離れた位置へと戻すサイクルを指すことを意図する。「離れた位置」は、ECMの観点で比較的大きなギャップが、即ち、ECM機械加工が不可能であるか、実行不能であるか又はシステムオペレータがそれを要求しないほど大きなギャップが電極間に存在する、電極のあらゆる位置決めを指す。「近接位置」は、ECM機械加工が可能であるか、実行可能であるか又はシステムオペレータがそれを要求する、電極のあらゆる位置決めを指す。
本出願のいくつかの実施形態にしたがって、ECMサイクルは、特定の用途に関して存在することがある異なる基準に応じて複数の形で行われてもよいことが理解されるであろう。これらの方法のいくつかは現在説明されている。しかし、これらは単に例示的なものであり、他の変形例も可能であることが、当業者には理解されるであろう。
第1の好ましい実施形態(その態様については、図3に関してより一般的な用語で既に検討した)では、電極は離れた位置で始まってもよい。この位置から、ツーリング部品104を工作物106に向かって移動させて、近接位置に到達すると、電極間ギャップ112がツーリング部品と工作物との間に形成されるようにしてもよい。工作物の運動によって電極間ギャップが第1の臨界寸法(例えば、ツーリング部品と工作物との間における電極間ギャップの間の最小距離、ツーリング部品と工作物との間における電極間ギャップの間の平均距離又は工作物に対するツーリング部品の近接度若しくは電極間ギャップの間の距離に関する他の何らかの寸法を表してもよい)に達すると、電源によって電極間ギャップの間に電圧が印加されてもよい。用途に応じて、電圧は多数の異なるやり方で印加されてもよい。これらには、振幅が不変の中断されない電圧、振幅が可変の中断されない電圧、振幅が不変のパルス電圧、振幅が可変のパルス電圧、パルス電圧と中断されない電圧との何らかの組み合わせなどを印加することが挙げられる。ツーリング部品は、第2の臨界寸法に達するまで、電圧が印加されている状態で工作物に向かって移動し続けてもよい。第2の臨界寸法では、ツーリング部品の運動が停止されてもよく、電極間ギャップの間に印加されている電圧が止められてもよい。次に、ツーリング部品は離れた位置へと戻されてもよい。上述したように、いくつかの実施形態では、ツーリング部品は、作業タンクが空にされ、電解質が濾過又は交換されるまで停止位置(即ち、第2の臨界寸法)に残り、次に離れた位置へと戻されてもよい。他の実施形態では、ツーリング部品は、停止された直後に又は停止されてから短い期間の後に、且つ電解質の排出/濾過/交換が完了する前に離れた位置へと戻されてもよい。後述する他の実施形態に対して、ツーリング部品を離れた位置へと戻すためのいくつかの代替例が可能であることが理解されるであろう。第1の好ましい実施形態に関して、特定の例では、第1及び第2の臨界寸法は、ツーリング部品の表面と工作物の表面との間の近似距離を表してもよく、好ましくは、第1の臨界寸法は0.0008〜0.0004mの値を有してもよく、第2の臨界寸法は0.0004〜0.0001mの値を有してもよい。
第2の好ましい実施形態では、電極はやはり離れた位置で始まる。ツーリング部品104を工作物106に向かって移動させて、近接位置に到達すると、電極間ギャップ112がツーリング部品と工作物との間に形成されるようにしてもよい。工作物の運動によって電極間ギャップが第1の臨界寸法に達すると、電源によって電圧(一定、パルス、可変振幅など)を電極間ギャップの間に印加してもよい。ツーリング部品は、第2の臨界寸法に達するまで、電圧が印加されている状態で工作物に向かって移動し続けてもよい。第2の臨界寸法では、ツーリング部品の運動が停止されてもよい。しかし、第1の実施形態とは異なり、ツーリング部品が静止している状態で予め定められた期間の間、電圧を印加し続けてもよい。次に、予め定められた期間が経過した後、電圧を止めてもよい。次に、上述の代替例のいずれかによって、ツーリング部品が離れた位置へと戻されてもよい。第2の好ましい実施形態に関して、特定の例では、第1及び第2の臨界寸法は、ツーリング部品の表面と工作物の表面との間の近似距離を表してもよく、好ましくは、第1の臨界寸法は0.0005〜0.0004mの値を有してもよく、第2の臨界寸法は0.00025〜0.00015mの値を有してもよい。
第3の好ましい実施形態では、電極はやはり離れた位置で始まる。ツーリング部品104を工作物106に向かって移動させて、近接位置に到達すると、電極間ギャップ112がツーリング部品と工作物との間に形成されるようにしてもよい。工作物の運動によって電極間ギャップが第1の臨界寸法に達すると、電源によって電圧(一定、パルス、可変振幅など)を電極間ギャップの間に印加してもよい。ツーリング部品は、第2の臨界寸法に達するまで、電圧が印加されている状態で工作物に向かって移動し続けてもよい。第2の臨界寸法では、ツーリング部品の運動は継続してもよく、一方で電圧は止められる。ツーリング部品は、第3の臨界寸法に達するまで工作物に向かって移動し続けてもよい(電圧の印加はなし)。電圧を印加しないこの追加の移動は、電極間ギャップから電解溶解材料をより良好に洗い流すことができる。第3の臨界寸法では、ツーリング部品の運動が止められてもよい。次に、上述の代替例のいずれかによって、ツーリング部品が離れた位置へと戻されてもよい。第3の好ましい実施形態に関して、特定の例では、第1、第2及び第3の臨界寸法は、ツーリング部品の表面と工作物の表面との間の近似距離を表してもよく、好ましくは、第1の臨界寸法は0.0008〜0.0004mの値を有してもよく、第2の臨界寸法は0.0004〜0.0003mの値を有してもよく、第3の臨界寸法は0.0003〜0.0001mの値を有してもよい。
第4の好ましい実施形態では、電極はやはり離れた位置で始まり、ツーリング部品104を工作物106に向かって移動させて、近接位置に達すると、電極間ギャップ112はツーリング部品と工作物の間に形成される。工作物の運動によって電極間ギャップが第1の臨界寸法に達すると、電源によって電圧(一定、パルス、可変振幅など)を電極間ギャップの間に印加してもよい。ツーリング部品は、第2の臨界寸法に達するまで、電圧が印加されている状態で工作物に向かって移動し続けてもよい。第2の臨界寸法では、ツーリング部品の運動が停止されてもよい。この時点で、ツーリング部品は、1)電圧が継続している状態で予め定められた期間の間休止し、次に、電圧が依然として印加されている状態で方向を逆転してもよく、或いは、2)電圧が印加され続けている状態で、休止せずに方向を逆転してもよい。第3の臨界寸法に達するまで、ツーリング部品を工作物から離れるように移動させながら、電圧を継続してもよく、いくつかの実施形態では、その第3の臨界寸法は第1の臨界寸法とほぼ同じであってもよい。第3の臨界寸法に達した後、電圧を終了させ、次に、上述の代替例のいずれかにしたがって、ツーリング部品を離れた位置まで戻してもよい。第4の好ましい実施形態に関して、特定の例では、第1、第2及び第3の臨界寸法は、ツーリング部品の表面と工作物の表面との間の近似距離を表してもよく、好ましくは、第1の臨界寸法は0.0008〜0.0004mの値を有してもよく、第2の臨界寸法は0.0004〜0.0001mの値を有してもよく、第3の臨界寸法は0.0008〜0.0004mの値を有してもよい。
本明細書に記載される例示的実施形態は、ツーリング部品を静止した工作物に向かって移動させることについて述べているが、本出願の代替実施形態では、ツーリング部品が静止したままであって、工作物をそれに向かって移動させてもよいことが理解されるであろう。又は、別の実施形態では、両方を互いに向かって移動させてもよい。
動作の際、図2及び3並びにそれに付随する文章において提供されるようなECMシステム200は、使用時に、有効且つコスト効率的なやり方で、工作物106の表面を機械加工又は研磨するのに使用されてもよい。これを達成する1つのやり方は、ツーリング部品の構造を簡略化することによるものである。本発明の実施形態では、電解質案内チャネルは必要ではないことが理解されるであろう。更に、反応領域の周囲をシールする必要性も排除されるか又は大幅に低減されることが理解されるであろう。それに加えて、本発明のいくつかの実施形態では、作業タンク内の電解質を機械加工後に排出/濾過/交換するため、システムがポンプを必要とすることがあるが、従来システムでは一般に求められる高圧ポンプは排除されてもよい。これは、ツーリング部品と工作物とを近付けることによって、全体として、高圧ポンプが電解質をギャップ内に圧送する代わりに、求められる電解質の流れが電極間ギャップ内で作り出されるためである。
本発明の1つの応用例では、上述したように、システムは、図2及び3に示されるように、金属の薄い外層をタービンブレードから除去するのに使用されてもよい。タービンエンジンはよりサイズが大きく温度が高くなるように発展しているので、ブレードに使用される材料は、より硬質でより耐性をもつようにしなければならず、従来の機械加工方法が困難になり又は役に立たなくなっている。例えば、より新しいブレード技術は、ほとんどの機械加工方法に対する非常に高い耐性をもつインコネルの使用を含む場合が多い。しかし、EDMは上首尾にインコネルを機械加工するのに使用されてきた。しかし、上述したように、EDMは一般に、リキャストの薄い層を後に残し、それが表面平滑度及び他の材料性質に悪影響を与える。タービンエンジン内でブレードがより良好に機能するために、このリキャスト層は除去するべきである。
本出願の実施形態は、コスト効率的なやり方でこの層を除去することに特に適合しており、非常に平滑な完成品を供給するものと判断されている。このタイプの平滑で研磨された表面を有するタービンブレードは、エンジン効率を1%改善することができる。はるかに小さな程度の効率改善が重視される産業では、このことは重要である。本発明は、簡略化され、さほど高価ではないECM機械加工システムを使用して、高度に研磨された表面をもたらす能力を有し、また、インコネルを含むより硬質な新素材のいずれかに対して使用されてもよい。
図面を再び参照すると、図4〜7は、本出願の例示的実施形態による可撓性カソード、即ち可撓性ツーリング部品300を示す。可撓性ツーリング部品300は、コスト効率的及び/又は有効なECMプロセスを提供するための代替のシステム又は方法を示すことが理解されるであろう。例えば、詳細に後述するように、可撓性ツーリング部品300は、様々な異なる形状の工作物上に対して使用される能力を有するツーリング部品を提供してもよい。当業者には自明であろうが、また上述したように、他の利点の中でも、このことにより、ECM用途それぞれに対して独自のツーリング部品を製造する必要性を排除又は低減することによって、ECMプロセスと関連するコストが全体的に削減される。図2及び3に関して記載したECMプロセスも、ある程度のツーリング部品の互換性を提供するものとして記載した。しかし、図4〜7の可撓性ツーリング部品300と関連した実施形態の多くでは、より高いレベルの互換性を提供することができ、それによって、より広範囲の工作物形状に対して単一のツーリング部品を使用する能力を提供することができる。
図4及び5に示されるように、本出願の例示的実施形態による可撓性ツーリング部品300の構成要素は、外側カソード面302と、1つ以上のスペーサパッド304と、エラストマー裏打ち306と、1つ以上の導電ストリップ308と、1つ以上の電解質チャネル310とを含んでもよい。これらの構成要素(本発明の他の例示的実施形態では、それら全てが存在するのではないことがある)は、可撓性ツーリング部品300が所望のやり方で工作物106を係合するように、可撓性ツーリング部品300を移動させる又は位置決めするように動作する、機械ラム312若しくは他の機械構成要素の遠位端に位置決めされてもよい。この位置決めは、複数の軸線及び/又は回転に沿った移動を含んでもよく、また、図2及び3に関して上述したシステム及び/又は可動部のいずれかによって完了してもよい。
本発明の例示的実施形態によれば、外側カソード面302は、一般に、可撓性で導電性の材料を含む。いくつかの好ましい実施形態では、銅又はステンレス鋼が外側カソード面302に使用されてもよいが、他の材料又は金属も使用されてもよい。図5に示されるように、外側カソード面302は、ドーナツ形状、即ち中心に円形のカットアウトを有する円形を有してもよい。当業者には自明であろうが、正方形、楕円形、長方形、三角形、五角形などの他の形状が、全体形状及びカットアウト形状の両方に使用されてもよい。図示されるように、外側カソード面302は比較的薄い厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、外側カソード面302の厚さは約0.00005〜0.0005mであってもよい。より好ましくは、外側カソード面302の厚さは約0.0001〜0.0002mであってもよい。
一般に、エラストマー裏打ち306は、外側カソード面に対して弾性の裏打ち又は支持を提供し、全体として、機械ラム312と外側カソード面302との間の空間に位置決めされる。当業者には自明であろうが、この弾性の裏打ち又は支持は様々な形で提供されてもよい。例えば、エラストマー裏打ち306は固体の弾性材料を含んでもよい。それに加えて、エラストマー裏打ち306は、空気又は液体のどちらかで充填された可撓性の外膜を含んでもよい。それに加えて、エラストマー裏打ち306は、機械系又は同様の方法で行う液圧式の配置を含んでもよい。
上述したように、エラストマー裏打ち306は、外側カソード面302に対して弾性支持を提供する。この配置では、エラストマー裏打ち306は、外側カソード面302に対して支持を提供すると同時に、動作の際、外側カソード面302が工作物106の表面の外形に沿うことができるように、外側カソード面302が変形できるようにもする。より具体的には、エラストマー裏打ち306によって提供される弾性支持は、外側カソード面302に対する予期される圧力が外側カソード面302を所望量だけ弾性的に変形させ(この動作は、図6を考察することによってより明らかになるであろう)、次に、外側カソード面302に対する圧力が取り除かれると、エラストマー裏打ち306が外側カソード面302をそのほぼ元の形状へと戻すように構成されてもよい。
変形の程度及び変形を起こすために求められる圧力量は、材料の選択及び/又はエラストマー裏打ち306として使用される、液圧若しくは機械構成要素の構造又は構成部品によって制御することができることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、エラストマー裏打ち306は、例えば、様々なゴム、合成ポリイソプレン、フルオロエラストマー、シリコーン、ブタジエンゴム、熱オレフィンエラストマー又は他の類似のタイプの材料など、ほぼ固体の材料であってもよい。他の実施形態では、上述したように、エラストマー裏打ち306は、ガス(空気若しくは窒素など)又は液体を封入した可撓性の外層を含んでもよい。例えば、この場合、エラストマー裏打ち306の可撓性の外層は、ポリエチレン、ナイロン/ポリアミド又は他の類似の材料を含んでもよい。可撓性の外層が液体で充填されている場合、液体は、水、油又は他の流体を含んでもよい。機械系又は液圧構造を含むエラストマー裏打ち306に関して、本出願による実施形態は複数のバネを含んでもよく、バネは、金属、空気、液圧又は他のタイプのバネを含んでもよい。この場合、例えば、エラストマー裏打ち306は、機械ラム312から外側カソード面302までそれぞれ延在する複数のバネを備えてもよい。複数のバネは、外側カソード面302の内表面全体にわたって均等に間隔が空けられていてもよい。
いずれの場合であっても、エラストマー裏打ち306は、一般に、タービンブレードの湾曲した表面の外形など、工作物106の不均一な表面に外側カソード面302を押し付けると、工作物106の不均一な表面によって、外側カソード面302の表面全体にわたって不均一な圧力が生じるように構成されてもよいことが理解されるであろう。この不均一の圧力によって、外側カソード面302の異なる範囲が、印加される圧力レベルに対応する距離だけ押し下げられる。このようにして、エラストマー裏打ち306により、外側カソード面302が係合される(即ち、押し付けられる)工作物106の表面の外形をほぼ模倣するように、外側カソード面302を変形させることが可能になる。
上述したように、1つ以上のスペーサパッド304も可撓性ツーリング部品300に含まれてもよい。スペーサパッド304は、外側カソード面302の周囲で間隔を空けられた比較的薄いパッドを含んでもよい。スペーサパッド304は、プラスチック、ゴム又は他の同様のタイプの材料などの非導電性材料から作られてもよい。図示されるように、また好ましい一実施形態では、スペーサパッド304は、ドーナツ形状の外側カソード面302の外縁部及び内縁部の周囲にほぼ均等に分配されてもよい。図6及び7により明らかに示されるように、外側カソード面302が工作物106を係合するか又はそれに押し付けられたとき、スペーサパッド304は、外側カソード面302と工作物106の表面との間のほぼ一定の予め定められたギャップを維持するように構成される。スペーサパッド304の厚さは、可撓性ツーリング部品300の外側カソード面302と工作物106の表面との間で所望の電極間ギャップ112が形成され維持されるように提供されることが理解されるであろう。
導電ストリップ308も可撓性ツーリング部品300に含まれてもよい。導電ストリップ308は、機械ラム312(又は電源に接続されてもよい他の構成要素)から外側カソード面302まで延在して、それらの間に接続をもたらしてもよい導電性材料のストリップを含んでもよい。好ましい実施形態では、動作の間の外側カソード面302又はエラストマー裏打ち306のどちらかの弾性変形を妨げたり、それに抵抗することがないように、導電ストリップ308は可撓性である。いくつかの好ましい実施形態では、図示されるように、エラストマー裏打ち306の外側の周囲で間隔を空けられた、複数の導電ストリップ308がある。単一の導電ストリップ、エラストマー裏打ち306を囲む連続的な導電ストリップ又はエラストマー裏打ち306を貫通する、若しくは電解質チャネル310を下方へ進む1つ以上の導電ストリップなど、他の構成も可能である。
電解質チャネル310は、図示されるように、エラストマー裏打ち306内に位置し、機械ラム312から外側カソード面302を介して出口まで延在してもよい。他の構成も可能である。図示されるように、電解質チャネル310は円形の断面を有してもよいが、他の断面形状が可能である。また、図示されるように、電解質チャネル310はフレア状の円形出口を有してもよい。電解質チャネル310は、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)又は他の類似の材料など、任意の適切な材料から作られてもよい。従来方法にしたがって、電解質チャネル310は、可撓性であり、周囲のエラストマー裏打ち306とは独立に移動することができるように構成されてもよい。このようにして、エラストマー裏打ち306及び外側カソード面302が動作の際に変位したとき、電解質チャネル310は損なわれず損傷を受けないままであることができる。電解質チャネル310の他の多くの構成が可能であることが当業者には理解されるであろう。例えば、電解質チャネル310は、外側カソード面302全体にわたって均等に間隔が空けられた多数の出口を有する、複数のチャネルを備えてもよい。電解質チャネル310は、電解質ポンプ(図示なし)に接続する電解質供給ライン(図示なし)に接続してもよい。動作の際、より詳細に後述するように、電解質ポンプは動作の間、電解質チャネル310を介して電解質を循環させてもよい。このようにして、電解質の流れが機械加工プロセスのために作られてもよく、電解質は、清浄な供給を使用できるようにフィルタを介して循環されてもよい。
いくつかの実施形態では、また図5に最も明らかに示されるように、可撓性ツーリング部品300の性能を向上させるため、絶縁体コーティング316が使用されてもよい。本発明によるいくつかのECM用途には不要であるが、絶縁体コーティング316は、外側カソード面302の特定の目的範囲において電解反応が起こるのを防ぐため、動作の際に使用されてもよい。これらの目的範囲は、電解質の流れが安定していない、滑らかな又は十分な場所に対応してもよい。例えば、電解質チャネル310の出口に隣接した場所又は出口付近では、電解質の流れは一般に安定性が低い。その結果、この場所で電解反応が起こるのを防ぐことが有益であるか又は望ましいことがある。したがって、図示されるように、絶縁体コーティング316の境界は、電解質出口に隣接した、且つ/又は出口付近の外側カソード面302に適用されてもよい。それに加えて、外側カソード面302の外縁部付近の又はそこに隣接した電解質の圧力及び流量は、いくつかの例では、有効なECMのためには低すぎることがある。この場合、外側カソード面302の外縁部に隣接して、若しくはその付近で電解反応が起こるのを防ぐことが有益であるか又は望ましいことがある。図示されるように、絶縁体コーティング316の境界は、外側カソード面302の外縁部若しくは外周に隣接した、且つ/又はその付近の外側カソード面302に適用されてもよく、それによって、これらの範囲で電解反応が起こるのを防ぐことができる。
使用の際、図6及び7に示されるように、可撓性ツーリング部品300は、電解加工又は研磨の目的で、機械ラム312を通して工作物106の表面に適用されてもよい。図6は、例示的なタービンブレードの負圧側、即ち凸状側に対する可撓性ツーリング部品300の適用を示す。図7は、例えば例示的なタービンブレードの正圧側を表してもよい、凹状表面の外形を備えた工作物に対する、可撓性ツーリング部品302の適用の拡大図を示す。図6及び7は例証目的で提供されるものであり、縮尺通りに描かれていないこともあることに留意されたい。
どちらの場合も、可撓性ツーリング部品300は、有効な電解加工のため、外側カソード面302がツーリング部品の表面に対して所望の位置を維持するように、弾性的に変形する。より具体的には、外側カソード面302は、工作物106の表面に近接した、ただしそれに対して間隔を空けた位置を維持する(即ち、外側カソード面302は、工作物106の表面にほぼ平行であるが、ただしスペーサパッド302の厚さ分だけずれている)。図6の場合、適切に係合された外側カソード面302は、工作物106の凸状表面の外形に対応する凹状表面の外形を形成する。一方、図7の場合、適切に係合された外側カソード面302は、工作物106の凹状表面の外形に対応する凸状表面の外形を形成する。
外側カソード面302と工作物106の表面との間で維持されるほぼ一定の距離、即ちECM用途のための電極間ギャップは、いくつかのスペーサパッド304の厚さによってほぼ決まる。この場合、スペーサパッド304の厚さは、ECM用途に応じた所望の厚さに調節されてもよい。それに加えて、いくつかの実施形態では、電解質の流れが有益なやり方で制御されるように、いくつかのスペーサパッド304の厚さは、外側カソード面302の表面に沿って異なるように又は可変にされてもよい。例えば、スペーサパッド304の厚さは、外側カソード面302/電解質チャネル310の出口の中心からの距離であるスペーサパッド304の距離の関数であるようにしてもよい。好ましい一実施形態では、パッド304の位置から外側カソード面302/電解質チャネル310の出口の中心までの距離が増加するにつれて、スペーサパッド304の厚さを減少させてもよい。これにより、外側カソード面302の外縁部又は外周付近の、外側カソード面302と工作物106の表面との間のギャップが狭まる。このように狭まることで、一般に、この空間を介する電解質の流量が増す(スペーサパッド304が一定の厚さである場合に比べて)。当業者には自明であろうが、電解質の流量をより多く維持することは、特定のECM用途では有利なことがある。例えば、より多い流量は、電解プロセスの間に一般的に形成される、水素化物スラッジ及び水素の泡をより良好に洗い流すことができる。場合によっては、これらの向上した洗い流しの特性は、外側カソード面302の外周における絶縁体コーティング316の上述した必要性を緩和することができる。
可撓性ツーリング部品300が工作物106を適切に係合するか又はそれに対して位置決めされると、電解質チャネル310を介して電解質を圧送し、それによって、外側カソード面302に形成された出口から、外側カソード面302と工作物106との間に形成されたギャップ(即ち、電極間ギャップ112)を介して電解質を流すことができる。電解質は一般に、出口から外側カソード面302の外周又は外縁部に向かって流れ、そこで、電解質は一般に、外側カソード面302と工作物106の表面との間に形成されている電極間ギャップ112から出ることが理解されるであろう。また、電解質ポンプの方向を反転させることによって、電解質が電極間ギャップ112の外周で電極間ギャップ112に入り、そこから電解質チャネル310に向かって流れ、次にそこに入るように、可撓性ツーリング部品300を動作させることが可能であることに留意されたい。
従来の電源(図示なし)を使用して、外側カソード面302と工作物106の表面との間に形成されている電極間ギャップの間に電圧を印加してもよい。上述したように、カソードの場合、1つ以上の導電ストリップ308又は他の任意の従来手段を介して電圧を印加してもよい。それに加えて、用途に応じて、図2及び3のシステムに関して上述した異なるやり方のいずれかで電圧を印加してもよい。即ち、一般に、電圧は、振幅が不変の中断されない電圧、振幅が可変の中断されない電圧、振幅が不変のパルス電圧、振幅が可変のパルス電圧、パルス電圧と中断されない電圧との何らかの組み合わせなどとして印加してもよい。いくつかの実施形態では、パルス電圧は、反応の間に形成される電解スラッジの洗い流しを制御するという利点により、好ましいことがある。即ち、パルス電圧を使用することによって、依然として反応生成物を電極間ギャップから的確に洗い流しながら、比較的低速の電解質流量を使用することができる。
特定の工作物の表面を機械加工するため、いくつかの用途では、所望のレベルの機械加工が達成されるまで複数回、工作物の表面上で可撓性ツーリング部品300が位置決めし直されることがあることが理解されるであろう。例えば、特定の可撓性ツーリング部品/工作物の係合では、スペーサパッド304によって覆われている工作物の範囲は、一般に、電解反応が起こるのをスペーサパッドが阻害するため機械加工されない。僅かに位置決めし直して、それらのこれまで覆われていた範囲を露出させることは、所望レベルの表面の均一性を満たすために必要なことがある。それに加えて、様々な理由で、工作物の表面積の全て又はほぼ全てを覆わないように、可撓性ツーリング部品300をサイズ決めしてもよい。この場合、当業者には自明であろうが、可撓性ツーリング部品300は、所望レベルの機械加工/研磨/表面均一性が工作物の関連範囲で達成されるように、予め定められた又は計算されたやり方で反復して位置決めされ、再度位置決めされてもよい。
上述したような本発明のプロセス及び方法を実施できるように、必要なハードウェア、構成要素及びシステムを制御するため、アルゴリズム、制御プログラム、論理流れ図及び/又はソフトウェアプログラムが開発されてもよいことが、当業者には理解されるであろう。当業者には自明であろうが、そのようなシステムは、関連する操作変数を監視する複数のセンサを含んでもよい。これらのハードウェアデバイス及びシステムは、従来のオペレーティングシステムにデータ及び情報を送信し、それによって制御され操作されてもよい。即ち、従来の手段及び方法にしたがって、オペレーティングシステムは、当業者には自明であろうが、ソフトウェアプログラムの一部を成し、コンピュータ主導のオペレーティングシステムを通して実現されてもよい、一連の命令又は論理流れ図にしたがって、システムからデータを取得し、データを処理し、システムのオペレータと通信し、且つ/又はシステムの様々な機械的デバイスを制御してもよい。
より具体的には、当業者には自明であろうが、提供された例示的実施形態に関して上述した多くのプロセス段階は、従来のコンピュータオペレーティングシステムによって実現され、実行されてもよい。即ち、従来のコンピュータオペレーティングシステムは、従来の機械系及び/又は、上述したように、本発明による方法を実施するように本発明で使用するのに適合されている機械系の動作を制御してもよい。いくつかの実施形態では、オペレーティングシステムは、任意の適切な高出力の固体スイッチング素子を含んでもよい。オペレーティングシステムは、その周辺インターフェースを備えたコンピュータであってもよいが、これは単に、本出願の範囲内にある適切な高出力制御システムの例示である。例えば、ただし限定するものではないが、オペレーティングシステムは、高速運動系、流体系及び/又は電源系の少なくとも1つに指令を与えてもよい。オペレーティングシステムはまた、全体的なシステムレベルの制御用の主プロセッサ部又は中央プロセッサ部と、中央プロセッサ部の制御下における、様々な異なる特定の組み合わせ、機能及び他のプロセスの実行専用の別個の部分とを有する、ASICなどの単一の専用集積回路として実現されてもよい。オペレーティングシステムはまた、PLD、PAL、PLAなどの個別素子回路若しくはプログラム可能論理素子を始めとする配線電子又は論理回路など、様々な個別の専用或いはプログラム可能な集積電子回路や他の電子回路を使用して実現されてもよいことが、当業者には理解されるであろう。オペレーティングシステムはまた、マイクロプロセッサ若しくはマイクロコントロールなどの適切にプログラムされた汎用コンピュータ又はCPU若しくはMPUなどの他のプロセッサデバイスを使用して、単独で、或いは1つ以上の周辺のデータ及び信号処理デバイスと併せて実現されてもよい。概して、有限状態機械が論理流れ図を実現することができる、あらゆるデバイス又は類似のデバイスが、オペレーティングシステムとして使用されてもよい。最大のデータ/信号処理能力及び速度のため、分散処理アーキテクチャが好ましいことがある。
当業者には自明であろうが、いくつかの例示的実施形態に関して上述した多くの様々な特徴及び構成を、更に、本発明の他の可能な実施形態を形成するために選択的に適用することができる。簡潔にするため、また当業者の能力を考慮に入れて、考えられる繰り返しは全て提供しないか又は詳細に考察していないが、以下のいくつかの請求項に採用される可能な実施形態乃至は別の実施形態の全ての組み合わせは、本出願の一部であるものとする。それに加えて、本発明のいくつかの例示的実施形態の上述した記載から、当業者であれば、改善、変更及び修正を認知するであろう。当該分野の範囲内にあるそのような改善、変更及び修正も、添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。更に、上述の説明は本出願の記載した実施形態のみに関するものであり、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義されるような本出願の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書において多数の変更及び修正を行うことができることは明らかであろう。
100 ECMシステム
102 電源
104 ツーリング部品(カソード)
106 工作物(アノード)
108 電解質ポンプ
110 電解質タンク
112 電極間ギャップ
114 電解質チャネル
116 バルブ
118 フィルタ
200 ECMシステム
204 作業タンク
208 電解質リザーバ
210 ポンプ
212 粒子
300 可撓性ツーリング部品
302 外側カソード面
304 スペーサパッド
306 エラストマー裏打ち
308 導電ストリップ
310 電解質チャネル
312 機械ラム
316 絶縁体コーティング

Claims (8)

  1. 電解加工方法であって、当該方法が、
    アノードを含む工作物(106)及びカソードを含むツーリング部品(104)を電解質に沈める段階と、
    前記工作物(106)及び前記ツーリング部品(104)を第1の位置に配置する段階と、
    前記工作物(106)及び前記ツーリング部品(104)が第2の位置に位置するように、前記工作物(106)及び前記ツーリング部品(104)の少なくとも一方を他方に向かって移動させる段階と、
    前記工作物(106)及び前記ツーリング部品(104)が第3の位置に位置するように、前記工作物(106)及び前記ツーリング部品(104)の少なくとも一方を他方から離れるように移動させる段階と、
    前記工作物(106)及び/又は前記ツーリング部品(104)を第1の位置から第2の位置へ、また第2の位置から第3の位置へと移動させる段階の少なくとも一時期に、電源を用いて前記工作物(106)と前記ツーリング部品(104)との間に形成されるギャップの間に電圧を印加する段階と、
    前記工作物(106)及び/又は前記ツーリング部品(104)を第1の位置から第2の位置へ、また第2の位置から第3の位置へと移動させる段階の少なくとも一時期に、前記工作物(106)の表面と前記ツーリング部品(104)の表面との間に電極間ギャップ(112)を形成する段階と、
    前記ツーリング部品(104)及び/又は前記工作物(106)が第1の位置から第2の位置へと移動する際に、前記電極間ギャップ(112)が第1の臨界寸法から第2の臨界寸法へと狭まるまでの期間、前記電極間ギャップ(112)の間に電圧を印加する段階と、
    前記電極間ギャップ(112)が第2の臨界寸法を含むときに、前記電極間ギャップ(112)の間に印加されている電圧を中断するとともに、前記ツーリング部品(104)及び/又は前記工作物(106)の移動を中断する段階と
    を含んでおり、
    前記ツーリング部品(104)と前記工作物(106)との間から電解質の所望の流れが生じるように、第1の位置から第2の位置への移動が制御され、
    第1の位置及び第3の位置がそれぞれ離れた位置を含み、前記離れた位置が、前記ツーリング部品(104)と前記工作物(106)との間で電解加工を実行できないほど大きなギャップを含んでいる、方法。
  2. 前記工作物(106)及び/又は前記ツーリング部品(104)が第1の位置から第2の位置へと移動する速度が0.2〜3.5m/秒である、請求項1記載の方法。
  3. 前記工作物(106)及び/又は前記ツーリング部品(104)が第1の位置から第2の位置へと移動する速度が0.5〜2.5m/秒である、請求項1記載の方法。
  4. 電圧が、振幅が不変又は振幅が可変の中断されない電圧として継続的に印加される、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
  5. 電圧が、12〜20Vの中断されない電圧として継続的に印加される、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
  6. 電圧が、15〜18Vの中断されない電圧として継続的に印加される、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
  7. 前記電圧をパルス電圧として印加し、
    前記パルス電圧が複数回繰り返されるサイクルを含み、
    前記サイクルが、電圧が印加される第1の期間と、それに続く電圧が印加されない第2の期間とを含んでいる、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
  8. 第1の期間が0.05〜0.3秒間であり、
    第2の期間が0.1〜0.3秒間であり、
    第1の期間に印加される電圧が15〜30Vであり、
    サイクルの繰り返し数が10〜100回である、請求項7記載の方法。
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