JP5902333B1 - スパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スパッタリング中のアーキングを抑制するとともに、寿命の長いスパッタリングターゲットおよび製造方法の提供。【解決手段】表面におけるケイ素を含む有機物質の単位面積当たりの存在比率が15.8%以下であるターゲット部材102a、102bと、ターゲット部材102a、102bに対して接合材103を介して接合された基材101とを有するスパッタリングターゲット100、およびフィルム状樹脂で表面を覆われたターゲット部材102a、102bを接合材103を介して基材101に接合し、ターゲット部材102a、102bからフィルム状樹脂を剥離し、ターゲット部材102a、102bの表面において、フィルム状樹脂に含まれる有機物質の単位面積当たりの存在比率が15.8%以下になるようにターゲット部材102a、102bを研削するスパッタリングターゲットの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、スパッタリングターゲット及びその製造方法に関する。特に、スパッタリングターゲットの表面状態に関する。
近年、フラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)の製造技術や太陽電池の製造技術が急速に発展し、大型の薄型テレビや太陽電池の市場が大きくなってきている。また、これらの市場の発展に伴い、製品の製造コストを引き下げるために、ガラス基板の大型化が進んでいる。現在では、第8世代といわれる2200mm×2400mmサイズ用の装置開発が進められている。
特に、大型のガラス基板に金属薄膜や酸化金属薄膜を形成するスパッタリング装置では、平板型スパッタリングターゲットや円筒型(ロータリ型又は回転型ともいう)スパッタリングターゲットが使用されている。円筒型スパッタリングターゲットは平板型スパッタリングターゲットに比べて、ターゲットの使用効率が高い、エロージョンの発生が少ない、堆積物の剥離によるパーティクルの発生が少ないという利点がある。
スパッタリング法によって薄膜を形成する際に、パーティクルが発生するとパターン不良等の原因となる。このパーティクルの発生原因として最も多いのは、スパッタリング中に発生する異常放電(アーキング)である。特にターゲット表面でアーキングが発生すると、アーキングが発生した周辺のターゲット材がクラスタ状(塊状)でターゲットから放出され、基板に付着してしまう。
アーキングの発生頻度に影響するパラメータとして、ターゲット表面の凹凸(表面粗さ)が一般的に知られている。例えば特許文献1〜3に示すように、アーキングの発生を抑制するために、ターゲットの表面粗さを小さくする表面処理技術が開発されている。
特開2005−002364号公報 特開2003−055762号公報 特開平10−298743号公報
しかしながら、表面処理を行い、ターゲットの表面粗さを低減させても、アーキングを十分に抑制することは困難であった。そのため、ターゲットをスパッタリング装置に装着し、真空引きをしてからアーキングの発生数が低減して安定するまで、ダミー基板に成膜を続ける、プレスパッタリングをする必要があった。このプレスパッタリングは、スパッタリング装置状態が製造ラインにおける稼働状態に到達する時間を遅らせるだけでなく、ターゲットを消費させるため、ターゲットを使用できる期間(ターゲット寿命)を短くしてしまう。
上記の実情に鑑みて、発明者らが鋭意研究した結果、アーキングの発生頻度に影響するパラメータとして、ターゲットの表面粗さの他にターゲット表面の凹部に入り込んだ有機物質量が関連していることが判明した。この有機物質は絶縁体であり、スパッタリングにおけるプラズマ中から放出される電子によって帯電し、その帯電量が限界に達することでアーキングを引き起こす。また、この有機物質はターゲット表面の凹部に入り込んでいるため、ターゲットの表面粗さを指標にターゲットの表面処理を行った場合、その存在に気づくことはできない。したがって、スパッタリング装置が製造ラインにおける稼働状態に到達するまでのプレスパッタリングの期間が長くなってしまう。
本発明は、スパッタリング中のアーキングを抑制するとともに、寿命の長いスパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
本発明の一実施形態によるスパッタリングターゲットは、表面における有機物質の単位面積当たりの存在比率が15.8%以下であるターゲット部材と、ターゲット部材に対して接合材を介して接合された基材と、を有する。
また、別の態様において、有機物質は、ケイ素を含んでもよい。
また、別の態様において、ターゲット部材及び基材は、円筒型であってもよい。
また、別の態様において、ターゲット部材は、ITO(Indium Tin Oxide)で構成されてもよい。
また、別の態様において、ターゲット部材は、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)で構成されてもよい。
また、別の態様において、ターゲット部材は、IZO(Indium Zinc Oxide)で構成されてもよい。
また、別の態様において、ターゲット部材の表面粗さ(Ra)は0.5μm未満であってもよい。
本発明の一実施形態によるスパッタリングターゲットの製造方法は、フィルム状樹脂で表面を覆われたターゲット部材を接合材を介して基材に接合し、ターゲット部材からフィルム状樹脂を剥離し、ターゲット部材の表面において、フィルム状樹脂に含まれる有機物質の単位面積当たりの存在比率が15.8%以下になるようにターゲットを研削する。
また、別の態様において、研削は、ターゲット部材を表面から0.15mm以上研削してもよい。
また、別の態様において、有機物質は、ケイ素を含んでもよい。
また、別の態様において、研削は、ターゲット部材の表面粗さ(Ra)は0.5μm未満になるように研削してもよい。
本発明によれば、スパッタリング中のアーキングを抑制するとともに、寿命の長いスパッタリングターゲットを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲットを構成する円筒型焼結体の一例を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る組み立て後の円筒型スパッタリングターゲットの構成の一例を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲット100の製造方法を示すプロセスフロー図である。 本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲット表面の有機物質の存在比率とアーキング発生数の相関関係を示す図である。 本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲットにおいて、マスキングテープを剥離した直後のターゲット表面のSEM像である。 図5に示したターゲット表面をさらに拡大したSEM像である。 図6に示したSEM像のA−B断面図を示す図である。 本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲットにおいて、マスキングテープを剥離した直後のターゲット表面のSEM−EDXマッピング像である。 図8に示したSEM−EDXマッピング像の明るく見える箇所を測定したSEM−EDX分析結果を示すEDXスペクトルである。 図4に示したグラフのうち、ターゲット表面の有機物質の存在比率が10.2%のターゲット表面のSEM−EDXマッピング像である。 図4に示したグラフのうち、ターゲット表面の有機物質の存在比率が15.8%のターゲット表面のSEM−EDXマッピング像である。 図4に示したグラフのうち、ターゲット表面の有機物質の存在比率が38.5%のターゲット表面のSEM−EDXマッピング像である。 図4に示したグラフのうち、ターゲット表面の有機物質の存在比率が52.3%のターゲット表面のSEM−EDXマッピング像である。 実施例及び比較例におけるターゲット表面粗さ及び有機物質の存在比率とアーキング発生回数とを比較した実験結果である。
以下、本発明の実施の形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
また、以下の実施形態において、スパッタリングターゲットとして円筒型スパッタリングターゲットを例示して説明するが、これは本発明を円筒型スパッタリングターゲットに限定するものではなく、平板型スパッタリングターゲットに適用することもできる。
〈実施形態〉
[スパッタリングターゲットの構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲットを構成する円筒型焼結体の一例を示す斜視図である。また、図2は、本発明の一実施形態に係る組み立て後の円筒型スパッタリングターゲットの構成の一例を示す断面図である。
本実施形態では、円筒型スパッタリングターゲットを例示する。本実施形態に係るスパッタリングターゲット100は、基材101と、ターゲット部材102a、102bとを含んで構成される。各ターゲット部材102a、102bは、それぞれ基材101に対して接合材103を介して接合される。このとき、接合材103は、基材101とターゲット部材102a、102bとの間に設けられた間隙を充填するように設けられている。
本実施形態に係るスパッタリングターゲット100は、ターゲット部材102a、102bと、ターゲット部材102a、102bに対して接合材103を介して接合された基材101と、を有する。また、スパッタリングターゲット100はターゲット部材102a、102bを構成する焼結体の表面状態に特長がある。具体的には、ターゲット部材102a、102bの表面において、有機物質の単位面積当たりの存在比率が15.8%以下(好ましくは10.2%以下)である。この点については、後述する。
ここで、上記の有機物質の存在比率は、流通段階におけるスパッタリングターゲット100のターゲット部材102a、102bの表面状態における有機物質の存在比率である。つまり、上記の有機物質の存在比率は、スパッタリングを行う前(プラズマ雰囲気に曝される前、又はスパッタリングターゲット使用前)のターゲット部材102a、102bの表面状態における有機物質の存在比率である。ここで、スパッタリングを行う前の状態において、ターゲット部材102a、102bの表面粗さは平均面粗さ(Ra)が0.5μm未満である。
ターゲット部材102a、102bは、基材101の外周面を囲むように設けられている。ターゲット部材102a、102bは、基材101の中心軸に対して同軸または略同軸に設けられていることが好ましい。このような構成により、スパッタリングターゲット100をスパッタリング装置に装着して、基材101を中心に回転させたとき、各ターゲット部材102a、102bの表面と被成膜面(試料基板)との間隔を一定に保つことができる。
スパッタリングターゲット100は、基材101に対してターゲット部材102a、102bを装着する際に、各ターゲット部材102a、102bはそれぞれ所定の間隔で配置されている。
本実施形態のスパッタリングターゲット100は、ターゲット部材102を接合材103によって基材101に接合させることにより、長さ100mm以上の長尺状のスパッタリングターゲットとすることができる。
[基材]
基材101は、中空の円筒形状を有するターゲット部材102a、102bの内側表面に沿うような外面形状を有していることが好ましい。前述のように、基材101の外径は、各ターゲット部材102a、102bの内径よりも僅かに小さく、両者を同軸に重ねたときに間隙ができるように調整されている。この間隙には、接合材103が設けられる。
基材101は、接合材103とぬれ性がよく、接合材103との間に高い接合強度が得られる金属が好ましい。以上のことから、基材101を構成する材料としては、例えば、銅(Cu)又はチタン(Ti)、もしくは銅合金又はチタン合金又はステンレス(SUS)を用いることが好ましい。銅合金としては、クロム銅などの銅(Cu)を主成分とする合金を適用することができる。また、基材101としてチタン(Ti)を用いれば、軽量で剛性のある基材とすることができる。
[接合材]
接合材103は、基材101と各ターゲット部材102a、102bとの間に設けられている。接合材103は、基材101と各ターゲット部材102a、102bとを接合するとともに、耐熱性と熱伝導性が良好であることが好ましい。また、スパッタリング中は真空下に置かれるため、真空中でガス放出が少ない特性を有していることが好ましい。
さらに、製造上の観点から、接合材103は、基材101と各ターゲット部材102a、102bとを接合するときに流動性を有していることが好ましい。これらの特性を満足するために、接合材103としては、融点が300℃以下の低融点金属材料を用いることができる。例えば、接合材103として、インジウム、スズなどの金属、またはこれらのうちいずれか一種の元素を含む金属合金材料を用いてもよい。具体的には、インジウム又はスズの単体、インジウムとスズの合金、スズを主成分とするはんだ合金などを用いてもよい。
[ターゲット部材]
図1及び図2で示すように、各ターゲット部材102a、102bは中空の円筒形状に成形されている。各ターゲット部材102a、102bは、少なくとも数ミリメートルから数十ミリメートルの厚みを有し、この厚み部分全体をターゲット部材として利用することが可能である。
基材101に対してターゲット部材102a、102bを装着する際、ターゲット部材102a、102bの中空部分に基材101が挿入され、その後、接合材103によって両者は接合される。すなわち、各ターゲット部材102a、102bの内径(中空部分の径)よりも基材101の外径の方が小さく、両者は所定の間隔をおいて配置され、この間隙を充填するように接合材103が設けられている。各ターゲット部材102a、102bと基材101とを安定的に保持するために、その間隙において接合材103に隙間がないように設けられている。
ここで、接合材103を間隙に充填するときに、各ターゲット部材102a、102bの表面に接合材103が付着することを防止するために、各ターゲット部材102a、102bの表面を覆うようにフィルム状樹脂(マスキングテープ)を貼り付けてから接合材103を充填する。マスキングテープとしては、接合材103の溶融温度における耐熱性を有している材料を用いることが好ましい。例えば、シリコーン系粘着剤を用いたポリイミド性フィルムを用いることができる。マスキングテープは、各ターゲット部材102a、102bを基材101に接合した後に剥離される。ここで、各ターゲット部材102a、102bを基材101に接合する際には、約200℃の温度で処理される。したがって、接合材103としては、接合の処理温度で変質しない程度の耐熱性を有する材料を使用することが好ましい。
各ターゲット部材102a、102bは、スパッタリング成膜が可能な各種材料を用いて形成される。例えば、ターゲット部材102a、102bは、セラミックスであってもよい。セラミックスとしては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物の焼結体などを用いることができる。金属酸化物としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ガリウムなど典型元素に属する金属の酸化物を用いることができる。
具体的には、酸化スズと酸化インジウムの化合物(Indium Tin Oxide:ITO)、酸化亜鉛(Zinc Oxide:ZnO)、酸化インジウムと酸化亜鉛の化合物(Indium Zinc Oxide:IZO)、酸化インジウム、酸化亜鉛及び酸化ガリウムの化合物(Indium Gallium Zinc Oxide:IGZO)から選ばれた化合物の焼結体などをターゲット部材102a、102bとして用いることができる。
なお、上記の具体例は一例であり、本実施形態に係るスパッタリングターゲットは、ターゲット部材として各種スパッタリング材料を用いることができる。
ここで、各ターゲット部材102a、102bと基材101とを接合し、マスキングテープを剥離した後に、各ターゲット部材102a、102bの表面のマスキングテープ残留物を除去する工程が行われる。本発明者らは、各ターゲット部材102a、102bの表面の凹部にマスキングテープ残留物が埋め込まれた状態で残留し、凹部に埋め込まれたマスキングテープの残留物がアーキングの発生につながることを突き止めた。
そこで、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、各ターゲット部材102a、102bの表面において、有機物質の単位面積当たりの存在比率を15.8%以下にすることによって、アーキングの発生を抑制できることを見出した。つまり、本実施形態に係るスパッタリングターゲット100では、各ターゲット部材102a、102bの表面において、有機物質の単位面積当たりの存在比率を15.8%以下(好ましくは10.2%以下)としている。
[有機物質の存在比率について]
ここで、有機物質の単位面積当たりの存在比率の算出方法について、詳細に説明する。本実施形態における有機物質の存在比率は、各ターゲット部材102a、102bの表面への電子線照射によって発生する特性X線を検出することで算出する。電子線照射によって発生する特性X線のエネルギーは元素固有であるので、特性X線のエネルギーを測定することで、電子線を照射した対象物の元素の同定を行うことができる。また、特性X線の各々のエネルギー値における信号強度から、組成に関する情報を得ることができる。
上記のように、電子線照射によって発生する特性X線を検出する装置としては、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)に備えられたエネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X−ray Spectroscopy:EDX)を用いることができる。EDXの検出感度は約1atomic%である。SEM−EDXを用いて有機物質の単位面積当たりの存在比率を算出する場合、SEMで走査した1フレームの領域において、EDX測定(EDXマッピング測定)を行った全測定ポイント数を分母として、EDXによって一定量以上の有機物質が検出された測定ポイント数を分子とすることで算出することができる。
本実施形態では、有機物質の存在比率を検出する方法としてSEM−EDXを用いた方法を例示したが、この方法に限定されない。例えば、SEM−EDXの他にも、電子線マイクロアナライザ(Electron Probe MicroAnalyser:EPMA)、波長分散型X線分析(wavelength dispersive X−ray spectrometry:WDS)、又はオージェ電子分光法(Auger Electron Spectroscopy:AES)などの分析方法を用いることができる。いずれの分析方法においても、対象元素のマッピング測定の結果に基づいて有機物質の存在比率を算出することができる。
本実施形態では、各ターゲット部材102a、102bの表面の凹部に残留する有機物質を検出する必要があるため、表面付近の情報を取得するのに適したSEM−EDXで評価することが好ましい。さらに、できるだけ各ターゲット部材102a、102bの表面付近の情報を取得するために、SEM−EDXにおいてSEMの電子線の加速電圧を30kV以下に設定することが好ましい。より好ましくは、SEM−EDXにおけるSEMの電子線の加速電圧を20kV以下に設定するとよい。ここで、SEMの電子線の加速電圧が上限より大きいと、電子線が各ターゲット部材102a、102bの表面から内部に深く到達してしまうため、表面付近の情報を取得しにくくなるという問題がある。
また、本実施形態では、SEM−EDXにおいてケイ素(シリコン)が検出された場合にターゲット表面に有機物質が残留していると判断している。マスキングテープの粘着剤(接着剤)にはケイ素が含まれているため、ターゲット表面において検出されたケイ素はマスキングテープを剥離したときに粘着剤の一部が残留したものであると判断することができる。以降、特段の記載がない場合は、有機物質の存在比率をSEM−EDXにおけるケイ素の存在比率と等価な意味で用いる。
ここで、本実施形態ではケイ素を主成分として含まないターゲットを用いている。主成分にケイ素を含むターゲット部材に対して本発明を適用する場合は、マスキングテープの粘着剤に含まれる元素のうちケイ素以外の元素を評価することで、ターゲット部材にマスキングテープの粘着剤が残留するか否かを判断することができる。
以上のように、本実施形態に係るスパッタリングターゲットによると、ターゲット部材の表面において、有機物質の単位面積当たりの存在比率を15.8%以下にすることによって、アーキングの発生を抑制することができる。また、アーキングの発生を抑制するとともに、寿命の長いスパッタリングターゲットを提供することができる。
[スパッタリングターゲットの製造方法]
次に、本実施形態に係るスパッタリングターゲット100の製造方法について詳細に説明する。図3は、本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲット100の製造方法を示すプロセスフロー図である。
本実施形態では、酸化インジウムスズ(ITO)焼結体をターゲット部材102a、102bとした例を示すが、焼結体の材料はITOに限定されず、IZO、IGZOその他の酸化金属化合物を用いることもできる。
まず、ターゲット部材102a、102bを構成する原材料を準備する。本実施形態では、酸化インジウムの粉末と酸化スズの粉末を準備する(S401、S402)。これらの原料の純度は、通常2N(99質量%)以上、好ましくは3N(99.9質量%)以上、さらに好ましくは4N(99.99質量%)以上であるとよい。純度が2Nより低いとターゲット部材102a、102bに不純物が多く含まれてしまうため、所望の物性を得られなくなる(例えば、形成した薄膜の透過率の減少、抵抗値の増加、アーキングに伴うパーティクルの発生)という問題が生じ得る。
次に、これら原材料の粉末を粉砕し混合する(S403)。原材料の粉末の粉砕混合処理は、ジルコニア、アルミナ、ナイロン樹脂等のボールやビーズ(いわゆるメディア)を用いた乾式法を使用したり、前記ボールやビーズを用いたメディア撹拌式ミル、メディアレスの容器回転式ミル、機械撹拌式ミル、気流式ミルなどの湿式法を使用したりすることができる。ここで、一般的に湿式法は、乾式法に比べて粉砕及び混合能力に優れているため、湿式法を用いて混合を行うことが好ましい。
原材料の組成については特に制限はないが、目的とするターゲット部材102a、102bの組成比に応じて適宜調整することが望ましい。
次に、原材料の粉末のスラリーを乾燥、造粒する(S404)。このとき、急速乾燥造粒を用いてスラリーを急速乾燥してもよい。急速乾燥造粒は、スプレードライヤを使用し、熱風の温度や風量を調整して行えばよい。
次に、上述した混合及び造粒して得られた混合物(仮焼成を設けた場合には仮焼成されたもの)を加圧成形して円筒型の成形体を形成する(S405)。この工程によって、目的とするターゲット部材102a、102bに好適な形状に成形する。成形処理としては、例えば、金型成形、鋳込み成形、射出成形等が挙げられるが、円筒型のように複雑な形状を得るためには、冷間等方圧加工法(Cold Isostatic Pressing:CIP)等で成形することが好ましい。CIPによる成形の圧力は、ターゲット部材102a、102bに必要な密度により適宜設定すればよい。
次に、成形工程で得られた円筒型の成形体を焼結する(S406)。焼結には電気炉を使用する。焼結条件は焼結体の組成によって適宜選択することができる。例えばSnOを10wt.%含有するITOであれば、酸素ガス雰囲気中において、1400〜1600℃の温度下に10〜30時間置くことにより焼結することができる。焼結温度が下限よりも低い場合、ターゲット部材102a、102bの密度が低下してしまう。一方、1600℃を超えると電気炉や炉材へのダメージが大きく頻繁にメンテナンスが必要となるため、作業効率が著しく低下する。また、焼結時間が下限よりも短いとターゲットの密度が低下してしまう。また、焼結時の圧力は大気圧であってもよく、又は加圧雰囲気であってもよい。
次に、形成された円筒型の焼結体を、平面研削盤、円筒研削盤、旋盤、切断機、マシニングセンタ等の機械加工機を用いて、円筒型の所望の形状に機械加工する(S407)。ここで行う機械加工は、円筒型の焼結体を所望の形状、表面粗さとなるように加工する工程であり、最終的にこの工程を経てターゲット部材102a、102bが形成される。
ターゲット部材102a、102bの外側表面(スパッタリングされる面)に関しては、表面の平均面粗さ(Ra)を0.5μm以下とすることが好ましい。これにより、スパッタリング中に突起部に対して電界が集中し、異常放電が発生するリスクを低減することができる。
次に、機械加工された円筒型の焼結体(すなわち、ターゲット部材102a、102b)を純水中で超音波洗浄処理することで、焼結体表面に付着した機械加工の研削屑を除去する。続いて、上記の洗浄後に乾燥された焼結体の表面を覆うようにマスキングテープを貼り付ける(S408)。
次に、マスキングテープで表面を覆われたターゲット部材102a、102bを接合材103を介して基材101に接合する(S409)。特に、スパッタリングターゲット100の場合、円筒型のターゲット部材102a、102bは、図1及び2に示したように、バッキングチューブと呼ばれる円筒型の基材101に接合材103を接着剤として接合される。
例えば、接合材103としてインジウムを使用する場合、ターゲット部材102a、102bと基材101との間隙に溶融させたインジウムを注入する。
次に、基材101に接合されたターゲット部材102a、102bの表面に貼り付けられているマスキングテープを剥離する(S410)。続いて、マスキングテープが剥離されたターゲット部材102a、102bの表面に付着したマスキングテープの粘着剤を除去するために、有機溶剤を塗布した無塵布でターゲット表面の拭き取り処理を行う。
そして、拭き取り処理の後に#400番手のサンドペーパーを用いて、ターゲット部材102a、102bを表面側から研削する。この研削は、ターゲット部材102a、102bの表面において、マスキングテープに含まれる有機物質の単位面積当たりの存在比率が15.8%以下になるように行われる。有機物質の存在比率は上記の方法で算出することができる。そして、研削の後に純水中で20分間の超音波洗浄を行い、乾燥させる。以上の工程によって、本実施形態に係るスパッタリングターゲット100を得ることができる。
以上のように、本実施形態に係るスパッタリングターゲットの製造方法によると、ターゲット部材の表面において、有機物質の単位面積当たりの存在比率を15.8%以下になるまでスパッタリングターゲットを研削することによって、アーキングの発生を抑制することができる。また、アーキングの発生を抑制するとともに、寿命の長いスパッタリングターゲットを提供することができる。
本発明者らは、図3に示すプロセスフローにおける研削の工程(S411)において、研削量の異なる4つのターゲット部材を作製し、各々のターゲット部材の有機物質の存在比率と初期累積アーキング発生回数との相関関係を調査した。ここで、初期累積アーキング発生回数とは、スパッタリングターゲットをスパッタリング装置に装着して真空引きを行い、当該スパッタリング装置が製造ラインにおける稼働状態に到達するまでのプレスパッタリングの間に発生したアーキング発生回数の累積数である。
ここで、上記のプレスパッタリングの間に発生するアーキングについて詳細に説明する。スパッタリングターゲットをスパッタリング装置に装着するためには、スパッタリングを行う真空チャンバを大気開放する必要がある。真空チャンバが大気開放されると、真空チャンバ内壁に大気中の水分、ガス及び有機物質が付着する。また、同様にスパッタリングターゲット表面にも大気中の水分、ガス及び有機物質が付着する。上記のように、真空チャンバ及びスパッタリングターゲット表面に水分、ガス及び有機物質が付着した状態でプレスパッタリングを行うと、プラズマ中から放出された電子が上記の付着物に帯電し、その帯電量が限界に達することでアーキングを引き起こす。したがって、プレスパッタリング中は稼働状態に比べてアーキングが多く発生する。
このプレスパッタリング中のアーキングはプレスパッタリングを継続すると徐々に減少し、やがてアーキングの発生頻度は一定の範囲で安定する。そして、アーキングの発生頻度が安定したところでプレスパッタリングを終了する。つまり、上記の初期累積アーキング発生回数は、プレスパッタリング中に発生したアーキングの発生数の累積数である。
本実施例では、ターゲット表面の有機物質の存在比率と初期累積アーキング発生回数との相関関係について説明する。ここで、各々の有機物質の存在比率とターゲット部材との関係は表1に示す通りである。
ここで、「ターゲット部材の研削量」とは、図3に示すプロセスフローにおける研削工程(S411)の研削量である。本実施例においては、研削は#400番手のサンドペーパーを用いて行った。「ターゲット部材の研削量」が「なし」の条件は、S411における研削を省略したターゲット部材である。つまり、マスキングテープ剥離後に有機溶剤でターゲット部材表面を拭き取り、純水中で20分間の超音波洗浄を行い、乾燥させたターゲット部材である。また、「有機物質の存在比率」とは、SEM−EDXによって算出された有機物質の単位面積当たりの存在比率である。ここで、SEM−EDXの測定装置、測定条件及び存在比率は以下の通りである。
(装置名)
SEM:JEOL製電子顕微鏡 JSM−6700F
EDX:JEOL製エネルギー分散型分析装置 JED2200F
(測定条件)
加速電圧:15kV
エミッション電流:10μA
存在比率の算出方法について説明する。本実施例では、マスキングテープの粘着剤に含まれるケイ素がSEM−EDXで検出された場合に、有機物質が存在すると判断する。まず、EDXマッピング測定でケイ素のマッピング像を得る。マッピング像は、各々の測定ポイントに存在する有機物質の量によってケイ素のEDXスペクトル強度が異なる。次に、マッピング像におけるケイ素のEDXスペクトル強度のうち、最も高いスペクトル強度を100%とする規格化を全測定ポイントに対して行う。そして、スペクトル強度が70%以上の測定ポイントを「有機物質が存在する」と判断し、全測定ポイントに対する「有機物質が存在する」測定ポイントの割合を有機物質の存在比率として算出する。
また、初期累積アーキング発生回数の評価を行ったスパッタリング条件について説明する。本実施例における初期累積アーキング発生回数の評価を行ったターゲット及びスパッタリング条件は以下の通りである。
(評価ターゲット)
ターゲット材質:ITO(SnO=10%)
(スパッタリング条件)
スパッタリングガス:Ar
スパッタリング圧力:0.6Pa
スパッタリングガス流量:300sccm
スパッタリング電力:4.0W/cm
上記の条件で評価を行った結果について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲット表面の有機物質の存在比率とアーキング発生数の相関関係を示す図である。図4に示すように、有機物質の存在比率が38.5%から15.8%に低減すると、初期累積アーキング発生回数が468回から60回に激減する。一方、有機物質の存在比率が15.8%から10.2%に低減しても、初期累積アーキング発生回数は60回から45回になるだけでほとんど変化しない。つまり、図4の結果から、少なくとも有機物質の存在比率を15.8%以下にすることで初期累積アーキング発生回数を大幅に低減することができることが判明した。表1を参照すると、マスキングテープ剥離後のターゲットを0.15mm以上研削することで初期累積アーキング発生回数を大幅に低減することができる。
また、発明者らは、有機物質の存在比率と初期累積アーキング発生回数との相関関係のメカニズムを解明するために、ターゲット表面の分析を行った。図5は、本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲットにおいて、マスキングテープを剥離した後に一般的な表面処理を行った後のターゲット表面のSEM像である。図5に示すSEM像は上記の測定条件で行われた。図5に示すSEM像において、明るく見える箇所は凸部であり、暗く見える箇所は凹部である。図5に示すように、ターゲット表面には複数の凹部200、202、204が局在していることが確認される。凹部200をさらに拡大したSEM像を図6に示す。図6に示すように、凹部200は周囲に比べてよりいっそう暗く見えることが確認される。SEM像において、暗く見える箇所ほど深く凹んでいる。つまり、凹部200を含むA−B断面模式図が描かれた図7に示すように、凹部200は周囲に比べて大きく窪んだ形状をしている。
次に、図5に示すSEM像を撮影したサンプルに対してマスキングテープの粘着剤に起因したケイ素のEDXマッピング測定を行った結果について説明する。図8は、本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲットにおいて、マスキングテープを剥離した後に一般的な表面処理を行った後のターゲット表面のSEM−EDXマッピング像である。また、図9は、図8に示したSEM−EDXマッピング像の明るく見える箇所を測定したSEM−EDX分析結果を示すEDXスペクトルである。図8及び図9に示すマッピング像及びEDXスペクトルは上記の測定条件で行われた。
図8に示すマッピング像において明るく見える箇所では、図9に示すEDXスペクトルにおいて、ケイ素に起因するピーク220が確認される。つまり、マッピング像において明るく見える箇所は有機物質が存在する箇所である。図8に示すように、ターゲット表面には、有機物質が局所的に偏析した有機物質偏析領域210、212、214が存在していることが確認された。ここで、図5と図8とを比較すると、凹部200、202、204の各々に対応して有機物質偏析領域210、212、214が存在することが確認される。つまり、ターゲット表面の凹部にケイ素を含む粘着剤の残留物が存在することが判明した。
ここで、図4に示す有機物質の存在比率が異なるターゲットの各々に対して測定されたSEM−EDXマッピング像を図10乃至図13に示す。図10に示す表面の有機物質の存在比率が10.2%のターゲットには、有機物質偏析領域はほとんど存在しないことが確認される。図11に示す表面の有機物質の存在比率が15.8%のターゲットには、2箇所の有機物質偏析領域230、232が存在する。図12に示す表面の有機物質の存在比率が38.5%のターゲットには、マッピング像の全域に有機物質偏析領域が存在する。図13に示す表面の有機物質の存在比率が52.3%のターゲットには、マッピング像の全域に高密度の有機物質偏析領域が存在する。
なお、図4に示す有機物質の存在比率が異なるターゲットの各々について表面粗さを評価したところ、3つのターゲットの表面粗さに有意差はなく、いずれも表面の平均面粗さ(Ra)が0.5μm未満であった。なお、表面粗さの測定装置及び測定条件は以下の通りである。
(装置名)
ミツトヨ製表面粗さ計 サーフテスト SJ−301
(測定条件)
JIS2001規格準拠条件
測長長さ:4.0mm(0.8mm×5)
測定部先端材質:ダイヤモンド
測定部先端曲率半径:2μm
測定力:0.75mN
測定速度:0.5mm/s
以上のように、本発明らによる実験によれば、スパッタリングターゲットのターゲット部材の表面において、有機物質の単位面積当たりの存在比率を15.8%以下にすることによって、初期累積アーキング発生回数を抑制できることが判明した。また、本実施例における初期累積アーキング発生回数はターゲット部材の表面粗さに起因するものではないことが確認された。
[実施例と比較例との比較]
本発明の実施形態に係る実施例とその比較例について有機物質の存在比率及び表面粗さと初期累積アーキング発生回数とを比較した結果について説明する。
図14は、実施例及び比較例におけるターゲット表面粗さ及び有機物質の存在比率とアーキング発生回数とを比較した実験結果である。図14に示す実施例1、2及び比較例1、2は図4に示した有機物質の存在比率が異なる4つのターゲットに該当する。比較例3は、図3に示すプロセスフローにおける研削の工程(S411)の代わりに鏡面仕上げ処理を行ったターゲット部材である。つまり、マスキングテープ剥離後に研削を行わずに表面粗さを抑制するための鏡面仕上げ処理だけを行い、上記と同様に純水中の超音波洗浄及び乾燥を行ったターゲット部材である。
比較例3のように、研削の代わりに鏡面仕上げ処理を行ったターゲット部材では、有機物質の存在比率は68.5%、初期累積アーキング発生回数は232回であり、実施例の初期累積アーキング発生回数に比べて多い結果となっている。なお、比較例3のターゲット部材の表面粗さは実施例1及び2よりも小さく、Raは0.1μm未満であった。比較例3の結果からも分かるように、初期累積アーキング発生回数を抑制するためには、ターゲット部材の表面粗さを抑制するだけでは十分ではなく、ターゲット部材の表面に付着した有機物質、特にターゲット部材表面の凹部に入り込んだ有機物質の存在比率を小さくすることが重要であることが判明した。
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
また、上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
100:スパッタリングターゲット
101:基材
102:ターゲット部材
103:接合材
200、202、204:凹部
210、212、214:有機物質偏析領域
220:ピーク

Claims (9)

  1. 表面における有機物質の単位面積当たりの存在比率が15.8%以下である円筒型酸化物ターゲット部材と、
    前記円筒型酸化物ターゲット部材に対して接合材を介して接合された基材と、を有することを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. 前記有機物質は、ケイ素を含むことを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
  3. 前記円筒型酸化物ターゲット部材は、ITO(Indium Tin Oxide)で構成されることを特徴とする請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
  4. 前記円筒型酸化物ターゲット部材は、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)で構成されることを特徴とする請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
  5. 前記円筒型酸化物ターゲット部材は、IZO(Indium Zinc Oxide)で構成されることを特徴とする請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
  6. 前記円筒型酸化物ターゲット部材の表面粗さ(Ra)は0.5μm未満であることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
  7. フィルム状樹脂で表面を覆われた円筒型酸化物ターゲット部材を接合材を介して基材に接合し、
    前記円筒型酸化物ターゲット部材から前記フィルム状樹脂を剥離し、
    前記円筒型酸化物ターゲット部材の表面において、前記フィルム状樹脂に含まれる有機物質の単位面積当たりの存在比率が15.8%以下になるように前記円筒型酸化物ターゲット部材を表面から0.15mm以上研削することを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
  8. 前記有機物質は、ケイ素を含むことを特徴とする請求項7に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
  9. 前記研削は、前記円筒型酸化物ターゲット部材の表面粗さ(Ra)は0.5μm未満になるように研削することを特徴とする請求項7に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
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