JP5901887B2 - プラズマ処理装置のクリーニング方法及びプラズマ処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマ処理装置のクリーニング方法及びプラズマ処理方法に関する。
従来から、半導体装置の製造分野等においては、半導体ウエハ等の基板に、成膜処理やエッチング処理等の処理を行う装置として、プラズマを用いたプラズマ処理装置が知られている。
上記のプラズマ処理装置において、水素ガスのプラズマを発生させ、この水素ガスのプラズマ中の水素ラジカルを被処理基板に作用させて、レジストのアッシングや、低誘電率膜のエッチングを行う技術が知られている。このように水素ガスのプラズマを使用する場合、平行平板型などの容量結合型のプラズマ処理装置を使用すると、電極が水素プラズマにより大きなダメージを受ける。このため、誘導結合プラズマ(ICP)を生成する誘導結合型のプラズマ処理装置が使用されている。
このような誘導結合型のプラズマ処理装置として、円筒状のプラズマ発生室の側壁部にコイルスプリング状の高周波コイルを設け、このプラズマ発生室と、処理を行う半導体ウエハ等の被処理基板が配置されたプラズマ処理室とを、貫通孔を有する複数の遮蔽板(隔壁部材)によって仕切り、プラズマ中のラジカルのみを選択的に基板に作用させるプラズマ処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
上記のように、側壁部に高周波コイルを設けた円筒状のプラズマ発生室と、プラズマ処理室とを遮蔽板によって仕切った構成のプラズマ処理装置では、側壁部に高周波コイルを設ける都合上、プラズマ発生室の形状が縦長となる。そして、この縦長のプラズマ発生室で発生させたプラズマ中からラジカルのみを移動させて被処理基板に作用させると、ラジカルの移動距離が長くなり、効率良くラジカルを被処理基板に作用させ、効率的に処理を行うことが難しい。このため、効率的に水素ラジカルによる処理を行うという点では、処理室の天井部に誘電体窓を設け、ここに平面状の高周波アンテナを設けたプラズマ処理装置を用いることが好ましい。
なお、酸素プラズマを用いたアッシング装置におけるクリーニング方法として、プラズマ処理室に付着した、フォトレジストに起因する炭素成分、及び半導体ウエハにバリアメタル層として形成されている窒化チタン膜又はチタン膜に起因するチタン成分を、四フッ化炭素のプラズマによってドライクリーニングし、アッシング速度の低下を防止することが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2009−16453号公報 特開平11−145115号公報
上述した水素プラズマを用いたプラズマ処理技術では、プラズマ発生室を構成する構成部材にシリコンを含む構成部材が用いられる場合がある。例えば、誘電体窓や隔壁部材を石英等によって構成する場合がある。このシリコンを含む構成部材にプラズマポテンシャルで加速された水素イオンが衝突し、シリコンを含む構成部材がスパッタされ、スパッタされた粒子がプラズマ密度の低い部分に堆積する。そして、この堆積物が熱応力によって剥がれてパーティクルが発生し、プラズマ処理室内の被処理基板に付着するという問題がある。
本発明は、上記従来の事情に対処してなされたもので、プラズマ発生室を構成するシリコンを含む構成部材に起因するパーティクルが被処理基板に付着することを防止することのできるプラズマ処理装置のクリーニング方法及びプラズマ処理方法を提供しようとするものである。
本発明のプラズマ処理装置のクリーニング方法の一態様は、シリコンを含む構成部材を有し、処理ガスを励起させてプラズマを生成するプラズマ生成室と、開口部を有する隔壁部材を介して前記プラズマ生成室に連通するプラズマ処理室と、前記プラズマ生成室の天井部に設けられた板状の誘電体窓の外側に配設された平面状の高周波アンテナと、を具備したプラズマ処理装置のクリーニング方法であって、前記プラズマ生成室内で水素ガスを含む処理ガスをプラズマ励起し、発生した水素ラジカルを前記隔壁部材を介して前記プラズマ処理室に導入し、被処理基板に作用させてプラズマ処理を施し、前記被処理基板を前記プラズマ処理室から搬出した後、前記プラズマ生成室内に四フッ化炭素ガスを導入して、当該プラズマ生成室内に堆積したシリコン系の堆積物を除去することを特徴とする。
本発明のプラズマ処理方法の一態様は、シリコンを含む構成部材を有し、処理ガスを励起させてプラズマを生成するプラズマ生成室と、開口部を有する隔壁部材を介して前記プラズマ生成室に連通するプラズマ処理室と、前記プラズマ生成室の天井部に設けられた板状の誘電体窓の外側に配設された平面状の高周波アンテナと、を具備したプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法であって、前記プラズマ生成室内で水素ガスを含む処理ガスをプラズマ励起し、発生した水素ラジカルを前記隔壁部材を介して前記プラズマ処理室に導入し、被処理基板に作用させてプラズマ処理を施すプラズマ処理工程と、前記プラズマ処理工程によってプラズマ処理された前記被処理基板を前記プラズマ処理室から搬出する搬出工程と、前記搬出工程の後、前記プラズマ生成室内に四フッ化炭素ガスを導入して、当該プラズマ生成室内に堆積したシリコン系の堆積物を除去するクリーニング工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、プラズマ発生室を構成するシリコンを含む構成部材に起因するパーティクルが被処理基板に付着することを防止することのできるプラズマ処理装置のクリーニング方法及びプラズマ処理方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置の断面概略構成を示す図。 図1のプラズマ処理装置の高周波アンテナの概略構成を示す図。 図2の高周波アンテナにおける電圧と電流の関係を示す図。 図1のプラズマ処理装置の誘電体窓に貼り付けた半導体ウエハの熱酸化膜の膜厚変化を調べた結果を示すグラフ。 図1のプラズマ処理装置の誘電体窓及び隔壁部材に貼り付けた半導体ウエハの熱酸化膜の膜厚変化を調べた結果を示すグラフ。 図1のプラズマ処理装置の隔壁部材に貼り付けた半導体ウエハの熱酸化膜の膜厚を調べた結果を示すグラフ。 実施形態の工程を示すフローチャート。
以下、本発明の詳細を、図面を参照して実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に使用するプラズマ処理装置1の構成を模式的に示す図である。先ずプラズマ処理装置1の構成について説明する。プラズマ処理装置1は、処理チャンバー10を具備している。処理チャンバー10は、表面を陽極酸化処理されたアルミニウム等から略円筒状に構成されている。処理チャンバー10の内側の底部には、半導体ウエハW等の被処理基板を載置するための載置台15が配設されている。載置台15の基板載置面には、被処理基板を吸着するための図示しない静電チャック等が設けられている。
処理チャンバー10の天井部には、載置台15と対向するように、シリコン(Si)を含む部材である石英製の誘電体窓13が設けられている。誘電体窓13は、円板状に形成されており、処理チャンバー10の天井部に形成された円形の開口を気密に閉塞するように配設されている。
処理チャンバー10の内部には、載置台15が配置された下方のプラズマ処理室20と、上方のプラズマ生成室30とを仕切るように、シリコン(Si)を含む部材である石英製の隔壁部材40が配設されている。この隔壁部材40には、複数の開口部40aが形成されている。
プラズマエッチング装置1には、処理チャンバー10のプラズマ生成室30内に水素ガスを含む処理ガスを供給するためのガス供給部120が設けられている。処理チャンバー10の側壁部にはガス導入口121が形成されており、ガス導入口121には、ガス供給配管123を介してガス供給源122が接続されている。ガス供給配管123の途中には、処理ガスの流量を制御するためのマスフローコントローラ124、開閉バルブ126が介挿されている。ガス供給源122からの処理ガスは、マスフローコントローラ124により所定の流量に制御されて、ガス導入口121から処理チャンバー10のプラズマ生成室30内に供給される。
図1では説明を簡単にするため、ガス供給部120を一系統のガスラインで表現しているが、ガス供給部120は単一のガス種の処理ガスを供給する場合に限られるものではなく、複数のガス種を処理ガスとして供給するものであってもよい。また、ガス供給部120は、処理チャンバー10の側壁部からガスを供給する構成のものに限られず、処理チャンバー10の天井部からガスを供給する構成であってもよい。この場合には、例えば、誘電体窓13の例えば中央にガス導入口を形成し、そこからガスを供給するようにしてもよい。
処理チャンバー10の底部には、処理チャンバー10内を排気するための排気部130が排気管132を介して接続されている。排気部130は例えば真空ポンプ等によって構成され、処理チャンバー10内を所定の圧力まで減圧し得るようになっている。処理チャンバー10の側壁部には、ウエハ搬出入口32が形成されており、このウエハ搬出入口32には、ウエハ搬出入口32を気密に閉塞し、開閉自在とされたゲートバルブ31が設けられている。
処理チャンバー10の天井部の外側には、誘電体窓13の外側面(上側面)に対向するように平面状の高周波アンテナ140が配置されており、この高周波アンテナ140を覆うように略筒状(本実施形態では円筒状)のシールド部材160が設けられている。高周波アンテナ140は、図2に示すように、例えば銅、アルミニウム、ステンレスなどの導体で構成された渦巻きコイル状のアンテナ素子142を、複数の挟持体144で挟持して構成されている。各挟持体144は、棒状に形成されており、3つの挟持体144が、アンテナ素子142の中央付近からその外側に向けて放射状に延在するように配置されている。
アンテナ素子142には、高周波電源150が接続されている。高周波電源150からアンテナ素子142に所定の周波数(例えば26.70MHz)の高周波を所定のパワーで供給することにより、処理チャンバー10内のプラズマ生成室30内に誘導磁界が形成される。これにより、プラズマ生成室30内に導入された水素ガスを含む処理ガスが励起され、プラズマが生成される。このプラズマ生成室30内に励起されたプラズマ中のイオンは、隔壁部材40によって遮蔽されてプラズマ処理室20内に進入することが阻止され、プラズマ中の水素ラジカルのみがプラズマ処理室20内に移動して水素ラジカルによる半導体ウエハWの処理が行われる。
高周波電源150から出力される高周波電力の周波数は、26.70MHzに限られるものではない。例えば13.56MHz、60MHzなどであってもよい。但し、高周波電源150から出力される高周波電力の周波数に応じてアンテナ素子142の電気的長さを調整する必要がある。
シールド部材160は、処理チャンバー10の天井部に固定された略円筒状の下部シールド部材161と、この下部シールド部材161の外側にスライド自在に設けられた上部シールド部材162とで構成されている。上部シールド部材162は、上面が閉塞し下面が開口する略円筒状に形成されている。上部シールド部材162は、処理チャンバー10の側壁部に設けられたアクチュエータ165によって上下にスライド駆動するようになっている。また、高周波アンテナ140も、アクチュエータ145によって高さ調整ができるようになっている。
プラズマ処理装置1は、制御部(全体制御装置)200を具備しており、この制御部200によってプラズマ処理装置1の各部が制御されるようになっている。また、制御部200には、オペレータがプラズマ処理装置1を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、プラズマ処理装置1の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなる操作部210が接続されている。
さらに、制御部200には、プラズマ処理装置1で実行される各種処理を制御部200の制御にて実現するためのプログラムやプログラムを実行するために必要なレシピなどが記憶された記憶部220が接続されている。
記憶部220には、半導体ウエハWの処理を実行するための複数のレシピの他、処理チャンバー10内のクリーニング処理など必要な処理を行うためのレシピなどが記憶されている。なお、これらのレシピはハードディスクや半導体メモリに記憶されていてもよく、またCD−ROM、DVD等の記憶媒体に収容された状態で記憶部220の所定位置にセットするようになっていてもよい。
制御部200は、操作部210からの指示等に基づいて所望のレシピを記憶部220から読み出して各部を制御することで、プラズマ処理装置1での所望の処理を実行する。また、操作部210からの操作によりレシピを編集できるようになっている。
次に、高周波アンテナ140の具体的な構成について説明する。高周波アンテナ140は、図2に示すようにアンテナ素子142の両端、すなわち外側端部142aと内側端部142bを自由端(電気的にフローティングの状態)とするとともに、巻き方向の長さの中点又はその近傍(以下、単に「中点」という。)を接地点(グラウンド)142cとし、1/2波長の定在波を形成できるように構成されている。
すなわち、アンテナ素子142は、高周波電源150から供給される所定の周波数(例えば26.70MHz)を基準として、その基準周波数の1/2波長で共振(半波長モードで共振)するように、長さ、巻径、巻回ピッチ、巻数が設定されている。例えばアンテナ素子142の電気的長さは、基準周波数の1/2倍によって共振する長さ、すなわち基準周波数である26.70MHzにおける1波長の1/2倍の長さである。なお、アンテナ素子142は、パイプ状、線状、板状などいずれの形状で構成してもよい。
高周波電源150からの高周波を供給する給電ポイント142dは、接地点142cよりも内側であっても外側であってもよく、例えばインピーダンスが50Ωとなる点であることが好ましい。給電ポイントは可変にしてもよい。この場合、モータなどにより給電ポイントを自動で変更できるようにしてもよい。
このようなアンテナ素子142によれば、高周波電源150から基準周波数(例えば26.70MHz)の高周波を高周波アンテナ140に印加して半波長モードで共振させると、ある瞬間では図3に示すようにアンテナ素子142に印加される電圧Vは、中点(接地点)がゼロで、一方の端部が正のピークとなり、他方の端部が負のピークとなるような波形になる。これに対して、アンテナ素子142に印加される電流Iは、電圧波形と90度位相がずれるため、中点(接地点)が最大で、両端部がゼロとなるような波形になる。
このとき、高周波の正負のサイクル毎に互いに瞬時容量が逆方向に増減するので、アンテナ素子142に印加される電圧Vと電流Iの波形はそれぞれ図3に示すようになる。すなわち、電圧Vについてはアンテナ素子142上に発生する正負の電圧成分によって相殺されて平均電圧が非常に小さくなるような半波長モードの定在波が形成される。これに対して、電流Iについてはアンテナ素子142上で中点(接地点)が最も強く、正のみ又は負のみの電流成分による定在波が形成される。
このような定在波によってアンテナ素子142の中央近傍に最大強度を有する垂直磁場Bが発生する。これによりプラズマ生成室30内に、垂直磁場Bを中心とする円形電場が励起され、ドーナツ状のプラズマが生成される。この際、アンテナ素子142に印加される平均電圧は非常に小さいので、容量結合度が極めて弱いため、電位の低いプラズマを生成することができる。
ここで、仮にアンテナ素子142の外側端部142aと内側端部142bの両方を接地して、外側端部142aと接地間に高周波電源150を接続した場合には、図3に示した電圧Vと電流Iの波形が逆になる。すなわち、高周波電源150から基準周波数(例えば26.70MHz)の高周波を高周波アンテナ140に印加して半波長モードで共振させると、ある瞬間ではアンテナ素子142に印加される電圧Vは、中点(接地点)が最大で、両端部がゼロとなるような波形になる。これに対して、アンテナ素子142に印加される電流Iは、電圧波形と90度位相がずれるため、中点(接地点)がゼロで、一方の端部が正のピークとなり、他方の端部が負のピークとなるような波形になる。
このように、アンテナ素子142の両端を接地して半波長モードで共振させると、接地点を境としてアンテナ素子142の内側部とアンテナ素子142の外側部では常に相反する方向の磁場が形成される。その相反する磁場によってほぼ同一平面内の近傍に円形電場が二つ形成される。しかもこの二つの円形電場の回転方向が常に相反しているため、互いに干渉し合い、生成されたプラズマが不安定になるおそれがある。
これに対して、アンテナ素子142の中点を接地点とすると、上述したように励起される円形電場は一つであって常に一方向であり、干渉し合う反対方向の電場もない。このため、アンテナ素子142の中点を接地点とする場合には、アンテナ素子142の端部を接地点とする場合に比べて安定したプラズマを形成することができる。
また、アンテナ素子142の両端を接地した場合は、共振状態でのアンテナ素子142上に電圧成分が残るので、プラズマ中に容量結合成分が多く発生する。この点、アンテナ素子142の中点を接地点とした場合には、上述したように共振状態でのアンテナ素子142上の電圧成分が非常に小さいので、プラズマ中に容量結合成分が発生し難い。従って、ダメージの少ないプラズマ処理を行うには、アンテナ素子142の中点を接地点とする場合の方が有利である。
ところで、本実施形態においてアンテナ素子142を1/2波長モードで共振させるためには、上述したようにアンテナ素子142の電気的長さを正確に基準周波数(ここでは26.70MHz)の1/2倍の長さに合わせる必要がある。しかしながら、アンテナ素子142の物理的長さを正確に製作するのは容易ではない。また、アンテナ素子142の共振周波数はアンテナ素子142の固有のリアクタンスだけでなく、アンテナ素子142とシールド部材160との間の浮遊容量(ストレキャパシタンス)も影響する。このため、たとえアンテナ素子142の物理的長さを正確に製作できたとしても、取付け誤差などによりアンテナ素子142とシールド部材160の距離に誤差が生じて設計通りの共振周波数が得られない場合もある。
このため本実施形態では、シールド部材160の高さを調整可能とし、これによってアンテナ素子142とシールド部材160との間の距離を調整して浮遊容量を変化させることで、アンテナ素子142の共振周波数を調整できるようになっている。具体的にはアクチュエータ165を駆動させて上部シールド部材162を高くすることで、シールド部材160と高周波アンテナ140との距離が長くなる。これにより、浮遊容量Cが小さくなるので、アンテナ素子142の電気長が長くなるように共振周波数を調整できる。
逆に、上部シールド部材162を低くすれば、シールド部材160と高周波アンテナ140との距離が短くなる。これにより、浮遊容量Cが大きくなるので、アンテナ素子142の電気長が短くなるように共振周波数を調整できる。このように、本実施形態によればシールド部材160の高さを調整することにより、アンテナ素子142とシールド部材160との間の浮遊容量Cを変えることができるので、アンテナ素子142の物理的長さを変えることなく、アンテナ素子142の共振周波数を調整できる。
さらに、本実施形態では、高周波アンテナ140の高さも調整可能とし、これによってプラズマとアンテナ素子142との距離を調整することでプラズマポテンシャルを調整できるようになっている。
上述した高周波アンテナ140とシールド部材160の高さ調整はそれぞれ、制御部200によってアクチュエータ145、165を制御することによって行われる。この場合、高周波アンテナ140とシールド部材160の高さ調整は、操作部210によるオペレータの操作によって行うようにしてもよく、また制御部200の自動制御によって行うようにしてもよい。
シールド部材160の高さ調整を自動的に行う場合には、例えば高周波電源150の出力側に高周波パワーメータ(例えば反射波パワーメータ)を設け、高周波パワーメータによって検出される高周波電力に応じて(例えば反射波電力が最小となるように)、アクチュエータ165を制御してシールド部材160の高さを調整し、アンテナ素子142の共振周波数を自動的に調整するように構成することができる。
上記構成のプラズマ処理装置1によって、半導体ウエハWのプラズマ処理を行う場合、ゲートバルブ31を開き、ウエハ搬出入口32から処理チャンバー10のプラズマ処理室20内に半導体ウエハWを搬入し、載置台15に載置して静電チャックにより吸着する。
次いで、ゲートバルブ31を閉じ、排気部130の図示しない真空ポンプ等によって、処理チャンバー10内を所定の真空度となるまで真空引する。
その後、ガス供給部120によって、所定流量の水素ガスを含む処理ガス、例えば、水素ガスと希ガス(Ar又はHe等)を含む処理ガスや、水素ガスと酸素ガスとを含む処理ガス等を、処理チャンバー10のプラズマ生成室30内に供給する。そして、処理チャンバー10内の圧力が、所定の圧力に維持された後、高周波電源150から、高周波アンテナ140に所定の周波数の高周波電力が印加される。これにより、プラズマ生成室30内には、水素ガスを含む処理ガスのICPプラズマが発生する。
このICPプラズマ中のイオンは、電気的なチャージを有するため、隔壁部材40によって遮蔽され、プラズマ処理室20内にはほとんど到達できない。一方、水素ラジカルは、電気的に中性であるため、隔壁部材40の開口部40aを通ってプラズマ処理室20内にまで到達する。そして、この水素ラジカルが、載置台15上に載置された半導体ウエハWに作用することによって、半導体ウエハWのプラズマ処理、例えば、エッチング処理やアッシング処理等が行われる。
この時、プラズマ処理装置1では、平面状の高周波アンテナ140を使用してICPプラズマが発生させており、比較的半導体ウエハWに近い領域にプラズマが存在する。このため、プラズマから半導体ウエハWに至るまでの水素ラジカルの移動量が少なくて済み、寿命の短い水素ラジカルを効率的に半導体ウエハWに作用させることができる。
そして、所定のプラズマ処理が終了すると、高周波電力の印加及び処理ガスの供給が停止され、上記した手順とは逆の手順で、半導体ウエハWが処理チャンバー10内から搬出される。そして、半導体ウエハWが処理チャンバー10内から搬出された後、必要に応じてクリーニング処理工程を実施する。
図4のグラフは、プラズマ処理装置1において、誘電体窓13の真空側の面に、熱酸化膜を形成した半導体ウエハの短冊状の切片を、誘電体窓13の径方向に沿って張り付けた状態でプラズマ生成室30に水素を含むガスのプラズマを発生させ、半導体ウエハの短冊状の切片における熱酸化膜の膜厚変化を測定した結果を示している。図4のグラフにおいて、縦軸は熱酸化膜の膜厚変化(nm/時間)、横軸は処理チャンバー10の中心からの距離(mm)を示している。また、図4に示す方向1は、アンテナ素子142の外側端部142a及び接地点(グラウンド)142cの直下を通る方向を示している。また、方向2はゲートバルブに向かう方向を示している。
プラズマの発生条件は、以下の通りである。
処理ガス:He/H=2400/100sccm
圧力:1995Pa(1.5Torr)
高周波電力:3000W
電源電流:23.0A
共振周波数:26.70MHz
放電時間:30秒×120回(合計1時間)(放電−放電間 5分冷却)
図4のグラフに示されるように、径方向の中間部(中心から距離が75〜150mm程度の部分)では、熱酸化膜の膜厚変化がマイナス側になっており、スパッタされている。一方、この部分より内側及び外側では、熱酸化膜の膜厚変化がプラス側になっており、デポ(堆積)が生じていることが分かる。スパッタされている領域は、プラズマ密度の高い部分であり、デポが生じている部分はプラズマ密度の低いで部分である。なお、方向1と方向2では、大きな差はない。これらの実験は、半導体ウエハの切片に形成した熱酸化膜(SiO膜)による結果であるが、同様にして、誘電体窓13の真空側の面においては、シリコンを含む部材である石英製の誘電体窓13が、プラズマ密度の高い部分ではスパッタされ、プラズマ密度の低い部分に位置する誘電体窓13の部分に、スパッタされた粒子が堆積する。なお、水素プラズマを用いた実際のプラズマ処理では、処理ガスとして、水素ガス単ガスの他、水素ガスと酸素ガスとの混合ガス、水素ガスと希ガス(例えば、Arガス)との混合ガス等が使用される。
図5のグラフは、上記した方向2について、誘電体窓13の真空側の面と、隔壁部材40の上面とに貼り付けた半導体ウエハの短冊状の切片について、熱酸化膜の膜厚変化を測定した結果を示している。図5のグラフにおいて、縦軸は熱酸化膜の膜厚変化(nm/時間)、横軸は処理チャンバー10の中心からの距離(mm)を示している。
図5のグラフに示されるように、隔壁部材40の上面においても、誘電体窓13の真空側の面と同様にスパッタされる部位とデポが生じる部位があるが、誘電体窓13の真空側の面に比べてデポが生じる領域が多く、デポの量も多くなっている。なお、この実験も、半導体ウエハの切片に形成した熱酸化膜(SiO膜)による結果であるが、同様にして、隔壁部材40の上面においては、シリコンを含む部材である石英製の隔壁部材40が、プラズマ密度の高い部分ではスパッタされ、プラズマ密度の低い部位に位置する隔壁部材40の部分に、スパッタされた粒子が堆積する。
図6のグラフは、縦軸を熱酸化膜の膜厚(nm)、横軸を処理チャンバー10の中心からの距離(mm)として、隔壁部材40の上面における熱酸化膜の膜厚を測定した結果を示している。図6のグラフにおいて、菱形のプロットは初期状態の膜厚を示している。また、正方形のプロットは、水素プラズマによる半導体ウエハのプラズマ処理を模した水素ガスによる放電を30分行った後の膜厚を示している。また、三角形のプロットは、クリーニング工程を実施した後の膜厚を示している。
上記のクリーニング工程は、以下の条件で行った。
処理ガス:CF=200sccm
圧力:26.6Pa(200mTorr)
高周波電力:3000W
電源電流:23.0A
共振周波数:26.70MHz
放電時間:30秒
図6のグラフに示すように、水素プラズマによる半導体ウエハのプラズマ処理を模した水素ガスによる放電を30分行った後は、プラズマ密度の低い部分にデポが生じている。そして、上記の条件でクリーニング工程を実施することによって、このデポ物を除去できることが確認できた。なお、図6に示した例では、30分のプラズマ処理工程に対して、30秒のクリーニング工程を実施した場合であるため、デポ物を完全には除去できていないが、2〜3分のクリーニング工程を実施すれば、デポ物を完全に除去することができることが分かる。
実際のプラズマ処理においては、あまりデポ物の量が多くならないうちにクリーニング工程を実施した方が、半導体ウエハに対する剥離したデポ物の付着防止効果を高めることができる。したがって、例えば数枚の半導体ウエハに対してプラズマ処理を実施し、プラズマ処理の積算処理時間が所定時間、例えば5分〜10分程度となる毎に、上記のクリーニング工程を実施することが好ましい。この場合、半導体ウエハがプラズマ処理室内に無い状態でクリーニング工程を実施することが好ましい。このため、半導体ウエハの水素プラズマによるプラズマ処理工程を図7のフローチャートに示すように行う。
すなわち、被処理基板をプラズマ処理室に搬入する工程(工程701)、被処理基板に水素プラズマから引き出した水素ラジカルを作用させてプラズマ処理する工程(工程702)、被処理基板をプラズマ処理室から搬出する工程(工程703)を繰り返して行うことによって、所定枚数の被処理基板にプラズマ処理を施す。この際に、被処理基板をプラズマ処理室から搬出する工程(工程703)の後、プラズマ処理の積算時間が所定時間に達したか否かを判定し(工程704)、プラズマ処理の積算時間が所定時間に達した場合はクリーニング工程(工程705)を実施する。一方、プラズマ処理の積算時間が所定時間に達していない場合は、次の被処理基板をプラズマ処理室に搬入する工程(工程701)を実施し、枚葉処理によるプラズマ処理を続ける。
以上、本発明を実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各種の変形が可能であることは勿論である。
1……プラズマ処理装置、10……処理チャンバー、13……誘電体窓、15……載置台、20……プラズマ処理室、30……プラズマ生成室、40……隔壁部材、40a……開口部、140……高周波アンテナ、142……アンテナ素子、150……高周波電源。

Claims (8)

  1. シリコンを含む構成部材を有し、水素ガスおよび希ガスを含む処理ガスをプラズマ励起して水素ラジカルを生成するプラズマ生成室と、
    壁部材を介して前記プラズマ生成室に連通するプラズマ処理室と、
    前記プラズマ生成室の天井部に設けられた板状の誘電体窓の外側に配設され、第1の自由端である外側端部、第2の自由端である内側端部、および前記第1、第2の自由端の中点に位置する接地点、を有する平面渦巻きコイル状の高周波アンテナと、を具備し、
    前記隔壁部材は、複数の開口を有し、互いに対向する一対の石英板から構成され、前記プラズマのイオンを遮蔽し、前記水素ラジカルを選択的に通過させる、
    ラズマ処理装置のクリーニング方法であって、
    前記高周波アンテナを半波長モードで共振させることによって、前記プラズマ生成室内で前記処理ガスをプラズマ励起し、発生した水素ラジカルを前記隔壁部材の前記開口を介して前記プラズマ処理室に導入し、被処理基板に作用させてプラズマ処理を施し、前記被処理基板を前記プラズマ処理室から搬出した後、
    前記プラズマ生成室内に四フッ化炭素ガスを導入して、当該プラズマ生成室内に堆積したシリコン系の堆積物を除去する
    ことを特徴とするプラズマ処理装置のクリーニング方法。
  2. 請求項1記載のプラズマ処理装置のクリーニング方法であって、
    前記希ガスがアルゴンガスであることを特徴とするプラズマ処理装置のクリーニング方法。
  3. 請求項1または2に記載のプラズマ処理装置のクリーニング方法であって、
    前記誘電体窓がシリコンを含むことを特徴とするプラズマ処理装置のクリーニング方法。
  4. 請求項1〜3いずれか1項記載のプラズマ処理装置のクリーニング方法であって、
    前記隔壁部材がシリコンを含むことを特徴とするプラズマ処理装置のクリーニング方法。
  5. シリコンを含む構成部材を有し、水素ガスおよび希ガスを含む処理ガスをプラズマ励起して水素ラジカルを生成するプラズマ生成室と、
    壁部材を介して前記プラズマ生成室に連通するプラズマ処理室と、
    前記プラズマ生成室の天井部に設けられた板状の誘電体窓の外側に配設され、第1の自由端である外側端部、第2の自由端である内側端部、および前記第1、第2の自由端の中点に位置する接地点、を有する平面渦巻きコイル状の高周波アンテナと、を具備し、
    前記隔壁部材は、複数の開口を有し、互いに対向する一対の石英板から構成され、前記プラズマのイオンを遮蔽し、前記水素ラジカルを選択的に通過させる、
    ラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法であって、
    前記高周波アンテナを半波長モードで共振させることによって、前記プラズマ生成室内で前記処理ガスをプラズマ励起し、発生した水素ラジカルを前記隔壁部材の前記開口を介して前記プラズマ処理室に導入し、被処理基板に作用させてプラズマ処理を施すプラズマ処理工程と、
    前記プラズマ処理工程によってプラズマ処理された前記被処理基板を前記プラズマ処理室から搬出する搬出工程と、
    前記プラズマ生成室内に四フッ化炭素ガスを導入して、当該プラズマ生成室内に堆積したシリコン系の堆積物を除去するクリーニング工程と、
    を有することを特徴とするプラズマ処理方法。
  6. 請求項5記載のプラズマ処理方法であって、
    前記希ガスがアルゴンガスであることを特徴とするプラズマ処理方法。
  7. 請求項5または6に記載のプラズマ処理方法であって、
    前記誘電体窓がシリコンを含むことを特徴とするプラズマ処理方法。
  8. 請求項5〜7いずれか1項記載のプラズマ処理方法であって、
    前記隔壁部材がシリコンを含むことを特徴とするプラズマ処理方法。
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