JP5901365B2 - イミダート化合物の製造方法 - Google Patents
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また、このようにして得られた高純度のイミダート体から高純度のブリンゾラミドを得ることができる。
以下順を追って説明する。
本発明で使用するスルホンアミド体は、特に制限されるものではなく、既知の方法、例えば特許文献1あるいは特許文献2に記載の方法で製造することができる。スルホンアミド体を単離する場合は、後述する反応溶媒に溶解できればよく、結晶、またはアモルファスであっても、粉末または塊状物であってもよく、これらの混合物であってもよい。
本発明で使用するオルト酢酸トリメチルは、特に制限されない。本発明で使用するオルト酢酸トリメチルの量は特に制限されるものではないが、操作性および反応収量を考慮すると、スルホンアミド体1質量部に対して、オルト酢酸トリメチルを0.36質量部以上0.44質量部以下とすることが好ましく、さらには0.37質量部以上0.40質量部以下とすることがより好ましい。オルト酢酸トリメチルの使用量が0.44質量部以下では、副生成物の生成をより抑制することができて好適である。
本発明において反応溶媒の使用は必須ではないが、反応制御が容易になることから、溶媒を使用することが好ましい。本発明で使用する反応溶媒は、反応に関与しない不活性溶媒であれば特に制限されるものではないが、副生するメタノールと共沸混合物となり得るアセトニトリル等の有機溶媒を使用することが好ましい。
本発明において、上記反応溶媒の使用量は特に制限されるものではないが、操作性を考慮すると、スルホンアミド体1質量部に対して、反応溶媒を0質量部以上4質量部以下とすることが好ましく、さらには0.4質量部以上1.6質量部以下とすることが好ましい。なお、反応後に続いてブリンゾラミドを製造する場合は、溶媒を除去することになるが、溶媒量が上記反応中間体1質量部に対して、1.6質量部以下の場合は溶媒除去操作を省略することが可能である。
本発明において、副生するメタノールを反応系から除去しながら反応を行う方法は特に限定されない。例えば、反応系を加熱し、溶媒を還流させずに気化したメタノールの大部分を反応系外に排出させる方法が好適に用いられる。具体的には、排気装置内にて開放系でおこなう方法や、反応容器に取り付けた反応管などを通じてメタノールを別容器に冷却回収する方法などが挙げられる。
反応温度は、反応速度、副生成物の生成抑制、およびメタノール除去の観点から、80〜85℃がより好ましく、82〜84℃が特に好ましい。反応時間は、反応温度に依存するものの、通常1時間以上4時間以下である。
こうして生成したイミダート体は濃縮操作によって溶媒が除去される。これにより、純度93%以上のイミダート体が得られる。
なお、実施例、比較例で得られたスルホンアミド体、イミダート体、及びブリンゾラミドの純度測定は、以下のように行った。
装置:WATERS社製 Alliance 型式e2695−2489
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:254nm)
カラム:ジーエルサイエンス株式会社製 商品名 Inertsil CN−3、粒径5μm、内径4.6mm、長さ25cm、
カラム温度:40℃ 一定温度
移動相:n−ヘキサン/エタノール=80/20
流量:1.0ml/分
測定時間:45分
上記条件において、スルホンアミド体は約29分に、イミダート体は約9.4分に、副生成物1は約5.8分に、副生成物2は約8.1分に、トシル化合物は約8.2分に、ブリンゾラミドは約19分にピークが確認される。以下の実施例、比較例において、スルホンアミド体、イミダート体、ブリンゾラミド、副生成物1及び副生成物2の純度または含有量は、上記条件で測定したとき、検出される全ピークの面積値の合計に対する化合物のピークの面積値の割合(百分率)示すものとする。
先ず、C6位のスルホンアミド基をイミダート保護する方法における例を示す。
スルホンアミド体500mg(1.40mmol)とオルト酢酸トリメチル182mg(1.08mmol)をアセトニトリル2mLに溶かし、84℃で2時間加熱して溶媒を還流させずに副生するメタノールを系外に除去しながら反応した。得られた反応液について、各化合物の純度を測定したところ、イミダート体の純度が91.3%、スルホンアミド体の含有量が4.49%、副生成物1と副生成物2の含有量の合計が3.30%であった。
表1に示す量のオルト酢酸トリメチルを使用し、それ以外は実施例1と同様にして、得られた反応液について、各化合物純度を測定した結果を表1に示した。
スルホンアミド体500mg(1.40mmol)とオルト酢酸トリメチル388mg(2.30mmol)をアセトニトリル4.5mLに溶かし、84℃で2時間還流しながら(メタノールを除去せずに)反応した。得られた反応液について、各化合物の純度を測定した結果を表1に示した。
表1のとおり、実施例1〜29(メタノール除去しながら反応)で得られた反応液はいずれも、比較例1(メタノール除去せずに反応)で得られた反応液よりもイミダート体の純度が高かった。特に、スルホンアミド体の残存量が少なく反応転化率が向上した。
また、オルト酢酸トリメチルの使用量について、図1によれば、1.08〜1.30モル当量、すなわち、スルホンアミド体1質量部に対して0.36〜0.44質量部のときは、反応転化率が高く、副生成物の生成が抑制されることから、特に高純度のイミダート体が得られる。
スルホンアミド体500g(1.40mol)をアセトニトリル2Lに溶解した液にオルト酢酸トリメチル189g(1.57mol,1.12モル当量)を加え、84℃で2時間加熱して溶媒留去しながら反応し、得られた反応液を濃縮してイミダート体588gを得た。これをテトラヒドロフラン1.5Lに溶解し、0℃に冷却して、トリエチルアミン213g(2.10mol)とパラトルエンスルホニルクロライド321g(1.68mol)を加え、2時間反応した。これに、70%モノエチルアミン水溶液2.50L(31.6mol)を10℃以下で滴下した後、室温で19時間攪拌した。続いて反応液を0℃に冷却し、12Mの塩酸2.5Lを50℃以下で加えた。この反応液をpH8に調整し、酢酸エチルで抽出した。乾燥、濃縮後、濃縮残渣にイソプロパノールを加えて再結晶すると355g(収率66%)のブリンゾラミドが得られた。得られたブリンゾラミドの純度は98.2%であり、光学純度は99%ee.以上であった。
スルホンアミド体500mg(1.40mmol)をアセトニトリル0.5mLに溶解した液にオルト酢酸トリメチル189mg(1.57mmol,1.12モル当量)を加え、84℃で2時間加熱して溶媒留去しながら反応した。得られた反応液を濃縮せず、テトラヒドロフラン1.5mLに溶解し、0℃に冷却して、トリエチルアミン213mg(2.10mmol)とパラトルエンスルホニルクロライド321mg(1.68mmol)を加え、2時間反応した。これに、70%モノエチルアミン水溶液2.5mL(31.6mmol)を10℃以下で滴下した後、室温で19時間攪拌した。続いて反応液を0℃に冷却し、12Mの塩酸2.5mLを50℃以下で加えた。この反応液をpH8に調整し、酢酸エチルで抽出した。乾燥、濃縮後、濃縮残渣にイソプロパノールを加えて再結晶させると360mg(収率66%)のブリンゾラミドが得られた。得られたブリンゾラミドの純度は98.8%であり、光学純度は99%ee.以上であった。
スルホンアミド体4.38g(12.3mmol)をアセトニトリル40mLに溶解した液にオルト酢酸トリメチル6.30mL(28.3mmol、2.30モル当量)を加え、85℃で15時間還流した。得られた反応液を30℃に冷却した後、反応液を濃縮してイミダート体5.63gを得た。これをテトラヒドロフラン22mLに溶解し、窒素雰囲気下にて、−10℃に冷却し、トリエチルアミン3.77mL(27mmol)とパラトルエンスルホニルクロライド4.69g(24.6mmol)を加え、2時間反応した。これに、70%モノエチルアミン水溶液30.0mL(370mmol)を11℃以下で滴下した後、室温で15時間攪拌した。続いて反応液を−5℃に冷却し、12M塩酸30mLを50℃以下で加えた。この反応液を室温(25℃)とし、t−ブチルメチルエーテルで洗浄し、1M塩酸2mLで再抽出してから、pH8に調整し、酢酸エチルで抽出した。乾燥、濃縮後、濃縮残渣にイソプロパノールを加えて再結晶すると2.86g(収率61%)のブリンゾラミドが得られた。得られたブリンゾラミドの純度は97.4%であり、光学純度は99%ee.以上であった。
Claims (3)
- (S)−3,4−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2−(3−メトキシプロピル)−2H−チエノ[3,2−e]−1,2−チアジン−6−スルホンアミド−1,1−ジオキシドと、オルト酢酸トリメチルとを反応させ、(S)−3,4−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2−(3−メトキシプロピル)−2H−チエノ[3,2−e]−1,2−チアジン−6−メトキシメチルスルホンイミダート1,1−ジオキシドを製造する方法において、
上記反応で副生するメタノールを、反応系から除去しながら反応を行うことを特徴とする方法。 - (S)−3,4−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2−(3−メトキシプロピル)−2H−チエノ[3,2−e]−1,2−チアジン−6−スルホンアミド−1,1−ジオキシド1質量部に対して、オルト酢酸トリメチル0.36質量部以上0.44質量部以下を使用する請求項1に記載の製造方法。
- 請求項1に記載の方法により(S)−3,4−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2−(3−メトキシプロピル)−2H−チエノ[3,2−e]−1,2−チアジン−6−メトキシメチルスルホンイミダート1,1−ジオキシドを得た後、該(S)−3,4−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2−(3−メトキシプロピル)−2H−チエノ[3,2−e]−1,2−チアジン−6−メトキシメチルスルホンイミダート1,1−ジオキシドと、塩化スルホニルとを、塩基の存在下に反応させ、次いで、アミンを加えて反応させることを特徴とする、(R)−4−(エチルアミノ)−3,4−ジヒドロ−2−(3−メトキシプロピル)−2H−チエノ[3,2,e]−1,2−チアジン−6−スルホンアミド 1,1−ジオキシドの製造方法。
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